JP6856893B2 - 塩素中和剤、それを用いた投入型塩素中和剤、塩素中和装置及び塩素中和方法 - Google Patents

塩素中和剤、それを用いた投入型塩素中和剤、塩素中和装置及び塩素中和方法 Download PDF

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Description

本発明は、塩素中和剤、それを用いた投入型塩素中和剤、塩素中和装置及び塩素中和方法に関する。
次亜塩素酸ナトリウムは、種々の産業において洗浄、殺菌、漂白、脱臭を目的として使用されている。次亜塩素酸ナトリウムを水に溶解した水溶液等は、安全で安価な塩素系殺菌剤として用いられており、例えば上下水道、水泳プールの水に投入されて使用され、調理現場では、例えば消毒・殺菌の対象物とともに水に投入されて使用される。
塩素系殺菌剤の使用によって消毒・殺菌が行われた後の水に含まれる残留塩素は、有機物と反応してトリハロメタン等を生じることがあり、また魚類などの水生生物の鰓呼吸を阻害するなどの悪影響があるため、残留塩素を高濃度に含む水(廃液)をそのまま排水することは、環境への影響等が懸念される。そこで、高濃度の残留塩素を含む水を排水する前に、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤の添加、金属酸化物や活性炭等の分解触媒と膜濾過法を組み合わせた接触法、酸化亜鉛系固溶体を有効成分とする中和剤の使用(特許文献1)等により、残留塩素を中和(除去)処理をすることが知られている。
ところで、中空糸膜等の濾過材の分野において、次亜塩素酸ナトリウム等の遊離塩素を生成する殺菌剤を含む液体の処理に使用する耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜(特許文献2)、水の除濁等に使用するポリフッ化ビニリデン中空糸膜(特許文献3)、水道水等に含まれる塩素の除去に用いられる浄水器(特許文献4)が知られている。
特許文献2には、ポリオレフィン中空糸膜の細孔内表面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合体を付着させることにより、耐塩素性を向上したポリオレフィン中空糸膜が記載されている。特許文献3には、ポリフッ化ビニリデン中空糸膜の表面を、エチレン−ビニルアルコール共重合体を被覆することにより、高強度、高耐圧、耐汚染性に優れた中空糸膜とすることが記載されている。特許文献4には、浄水器に用いられる濾過材の一つである多孔質中空糸膜を親水化するために、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いてもよいことが記載されている。
特開2002−121537号公報 特開2006−205003号公報 特開2011−11211号公報 特開2006−281216号公報
しかしながら、上述の塩素系殺菌剤を用いた場合に中和処理を行う必要がある対象物には、上記廃液のみならず、塩素系殺菌剤を使用した種々の設備や機器(機械、装置、器具類)等に付着・残留した塩素系成分等も含まれる。具体的には、設備や機器に付着・残留した液滴、ゴム製や樹脂製の機器の内部に浸透した塩素系成分、塩素系殺菌剤を使用した室内空間に浮遊する塩素系殺菌剤の微細ミストや揮発性次亜塩素酸等についても中和処理を行う必要がある。このような多岐にわたる対象物に対して中和処理を行うにあたって、上記従来の中和処理の方法は必ずしも簡便にかつ経済的に適用できるものではない。
例えば、塩素化合物をチオ硫酸ナトリウム等で中和して除去する方法では、残留塩素の濃度に対して使用するチオ硫酸ナトリウムの量を管理する必要がある。
特許文献1に記載の中和剤は、酸化亜鉛系固溶体を樹脂フィルムや繊維等に配合して使用される。そのため、酸化亜鉛系固溶体を製造した後に、樹脂フィルムや繊維の材料となる樹脂と混合して成形する必要があり、中和剤の製造工程が増える傾向にあるため、経済的ではない。
また、特許文献1〜4のいずれにも、残留塩素の中和剤としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いることについて記載されていない。
本発明は、簡便に使用・製造できる新規な塩素中和剤、それを用いた投入型塩素中和剤、塩素中和装置及び塩素中和方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の塩素中和剤、それを用いた投入型塩素中和剤、塩素中和装置及び塩素中和方法である。
〔1〕 塩素系成分を中和する塩素中和剤であって、
前記塩素中和剤は、ビニルアルコール系重合体を含み、
前記ビニルアルコール系重合体は、繰り返し構造単位に少なくともビニルアルコールを含む重合体である、塩素中和剤。
〔2〕 前記塩素系成分は、塩素系処理剤を含有する液体に含まれる。
〔3〕 前記塩素中和剤は、前記塩素中和剤をなす全成分の総質量に対して、前記ビニルアルコール系重合体を30質量%以上含む。
〔4〕 前記ビニルアルコール系重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びビニルアルコール重合体のうち1種又は2種である。
〔5〕 前記塩素中和剤は、粒子、フィルム、繊維、布帛からなる群より選ばれる少なくとも1つの形状を有する成形体である。
〔6〕 前記塩素中和剤は、前記塩素系成分が通過可能な孔を有するケースに封入した封入体である。
〔7〕 前記塩素中和剤を用いた、投入型塩素中和剤。
〔8〕 前記塩素中和剤を用いた、塩素中和装置。
〔9〕 前記塩素中和装置は、濾過材及び吸着材のうちのいずれかである。
〔10〕 塩素系成分を中和する塩素中和方法であって、
前記塩素系成分とビニルアルコール系重合体とを接触させて前記塩素系成分を中和する工程を有し、
前記ビニルアルコール系重合体は、繰り返し構造単位に少なくともビニルアルコールを含む重合体である、塩素中和方法。
〔11〕 前記塩素系成分と前記ビニルアルコール系重合体との接触は、前記塩素系成分を含有する環境に前記ビニルアルコール系重合体をさらす、もしくは、前記ビニルアルコール系重合体内に前記塩素系成分を導入することによって行われる。
本発明は、簡便に使用・製造できる塩素中和剤、それを用いた投入型塩素中和剤、塩素中和装置及び塩素中和方法を提供することができる。
実施例1で用いた、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いたチップの塩素中和効果を示す図である。 実施例2で用いた、エチレン−ビニルアルコール共重合体をフィルムの塩素中和効果を示す図である。 実施例3で用いた、エチレン−ビニルアルコール共重合体を鞘構造に用いた芯鞘繊維の塩素中和効果を示す図である。 実施例4で用いた、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いたメルトブロー不織布の塩素中和効果を示す図である。 実施例5で用いた、ビニルアルコール重合体を用いたチップの塩素中和効果を示す図である。 実施例6で用いた、エチレン−ビニルアルコール共重合体を鞘構造に用いた芯鞘繊維の塩素中和効果を示す図である。 実施例7で用いた、エチレン−ビニルアルコール共重合体を鞘構造に用いた芯鞘繊維の塩素中和効果を示す図である。 (a)は比較例1で用いたレーヨン不織布の塩素中和効果を示す図であり、(b)は、比較例2で用いたポリエチレンテレフタレート不織布の塩素中和効果を示す図である。
本発明者らは、塩素系成分とビニルアルコール系重合体とを接触させた際に、ビニルアルコール系重合体以外の汎用樹脂を用いた場合に比較して、塩素系成分の消費速度が極めて速いことを発見した。本発明は、この知見に基づき、新規な塩素中和剤としてビニルアルコール系重合体を用いるものである。
本発明の塩素中和剤は、塩素系成分の中和処理に際して、使用量を厳密に管理する必要がなく、以下で述べるように、フィルムや繊維等の成形体に成形して使用することができる、安全かつ簡便に使用・製造可能な塩素中和剤である。
<塩素中和剤>
塩素中和剤は、塩素系成分の酸化力を中和するものである。ここで、「中和」とは、塩素中和剤と塩素系成分とが化学反応することのみならず、塩素系成分によってもたらされる、例えば殺菌、消毒、洗浄、漂白、脱臭等の効力を不活性化することを含むものである。
塩素中和剤は、有効成分としてビニルアルコール系重合体を含み、ビニルアルコール系重合物は、繰り返し構造単位に少なくともビニルアルコールを含む重合体である。ビニルアルコール系重合体は、繰り返し構造単位にビニルアルコールを含んでいればよく、繰り返し構造単位にビニルアルコールと共重合可能な共重合成分を含んでいてもよい。共重合成分は、特に限定されないが、エチレン、プロピレン等のαオレフィン、塩化ビニル、ブテンジオール等を挙げることができ、このうちエチレンが好ましい。
ビニルアルコールと共重合成分との共重合比率は特に限定されないが、ビニルアルコール系重合体における共重合成分の含有量は、10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、65mol%以下であることが好ましく、50mol%以下であることがより好ましい。上記含有量が10mol%〜65mol%の範囲において、ビニルアルコール系重合体中の共重合成分の含有量が増えるほど塩素中和効果を向上させることができる。
ビニルアルコール系重合物としては、具体的には、ビニルアルコールの単独重合体(PVOH)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、プロピレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、ブテンジオール−ビニルアルコール共重合体等を挙げることができ、このうち、ビニルアルコールの単独重合体及びエチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いる場合、エチレン含有量は、反応速度の観点から、25mol%〜60mol%であることが好ましく、30mol%〜55mol%であることがより好ましく、35mol%〜50mol%であることがさらに好ましい。
塩素中和剤中のビニルアルコール系重合体の含有量は、塩素中和剤をなす全成分の総質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。塩素中和剤には、ビニルアルコール系重合体以外の他の成分が含まれていてもよい。塩素中和剤に含まれる他の成分としては、ビニルアルコール系重合体以外のポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、アクリル酸エステル等の他の重合体、ガラス、セラミックス、金属等の無機物等が挙げられる。
塩素中和剤は、ビニルアルコール系重合体を含む樹脂を粒子、フィルム、多孔質体、繊維、布帛の形状に成形した成形体であることが好ましい。塩素中和剤の形状が粒子である場合には、粒径が1mm〜10mmの球状、楕円球状、楕円柱状、ペレット状、チップ状等の粒子にすればよい。塩素中和剤の形状がフィルムである場合には、所定の大きさに形成されたものでもよく、長尺物として例えばロール状に巻き取られたものであってもよい。塩素中和剤の形状が多孔質体である場合には、ビニルアルコール系重合体を発泡成形すればよい。
塩素中和剤の形状が繊維である場合には、ポリビニルアルコール系重合体のみからなる繊維であってもよく、ポリビニルアルコール系重合体と他の重合体とを組み合わせた複合繊維であってもよい。複合繊維の構造は、芯鞘構造、サイドバイサイド構造、分割型構造、海島構造等、特に限定されないが、複合繊維の繊維表面にポリビニルアルコール系重合体が配置されるようにすることが好ましい。具体的には、芯鞘構造の場合には鞘構造、海島構造の場合には海構造にポリビニルアルコール系重合体を配置することが好ましい。これにより、繊維状の塩素中和剤が、塩素系成分と接触しやすくなり、塩素中和効果を発揮しやすくなる。繊維径は特に限定されないが、通常、0.1μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましい。繊維径を小さくすることにより比表面積が大きくなるため、塩素中和効果を向上させることができるが、1μm未満の繊維は力学物性が低下し生産性も低くなるため、適度に小さな繊維径であることが好ましい。
塩素中和剤の形状が布帛である場合には、ポリビニルアルコール系重合体を含む繊維又は糸を用いて、不織布、織物又は編物とすればよい。不織布としては、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布等、特に限定されない。このうち、不織布をなす繊維の繊維径が小さく、比表面積が大きいメルトブロー不織布であることが好ましい。また、織物や編物の構造も特に限定されず、ポリビニルアルコール系重合体を紡糸して得られた糸を用い、任意の構造に製織又は製編すればよい。
塩素中和剤の成形体は、比表面積を大きくすることができる形状であることが好ましく、フィルム、多孔質体、繊維、布帛が好ましく、繊維、布帛がより好ましい。塩素中和剤の成形体の比表面積を大きくすることで、塩素系成分との接触面積を大きくすることができ、塩素中和効果を向上させることができる。
塩素中和剤の成形体と塩素系成分とが接触し、塩素系成分を効率的に中和することができるように、塩素中和剤の外表面にビニルアルコール系重合体を配置することが好ましい。また、液体に含有される塩素系成分に対して塩素中和剤を用いる場合、塩素系成分を含有する液体が塩素中和剤の成形体表面から内部に浸透するため、塩素中和剤の成形体の表面から1μm〜10μmの厚さにポリビニルアルコール系重合体を配置することが好ましい。例えば、2層構造以上の積層構造をなす塩素中和剤を形成する場合には、外層をビニルアルコール系重合体とし、内層をビニルアルコール系重合体以外の、無機物や樹脂等の化合物で形成してもよい。
<塩素系成分>
塩素系成分は、例えば、塩素系処理剤に由来する遊離残留塩素(HClO、ClO、Cl)や結合残留塩素(クロラミン等)のほか、空気中に揮発したClやHClO、二酸化塩素等を挙げることができる。
塩素系処理剤は、有効塩素により、殺菌、消毒、洗浄、漂白、脱臭等(以下、「殺菌等」という。)の効力を発揮するものである。有効塩素とは、殺菌等の効力を有する塩素化合物をいい、例えばHClO、ClO、クロラミン等が挙げられる。塩素系処理剤としては、例えば、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、二酸化塩素、液化塩素、及びこれらのうち少なくとも1つを水に溶解したもの等を用いることができる。塩素系処理剤は、水、及び、水を主成分とし水と混和性のある成分を含む水性媒体等の液体に添加して使用されてもよいし、空気中に揮発させて使用されてもよい。液体には、殺菌等の対象となる水や水性媒体、又は、殺菌等を行う対象物に適用される水及び水性媒体等が含まれる。なお、主成分とは、液体をなす成分のうち、最も含有量(質量部)の多い成分をいう。
<塩素中和剤の使用形態>
塩素中和剤は、塩素系成分と接触することにより塩素系成分を中和する。塩素中和剤と塩素系成分との接触は、塩素系成分を含有する環境に塩素中和剤をさらすことによって行われてもよく、塩素中和剤中に塩素系成分を導入することによって行われてもよい。
塩素中和剤は、投入型塩素中和剤として塩素系成分を含有する環境に直接投入することと等により、当該環境に塩素中和剤をさらして使用することができる。塩素系成分を含有する環境は、例えば、塩素系処理剤等に由来する塩素系成分を含有する液体及びその廃液、塩素系処理剤等に由来する塩素系成分を含有するミストや塩素系成分の揮発物が浮遊する室内等の空間、各種施設からの排気、弱酸性次亜塩素酸水溶液の製造機器の内部等を挙げることができる。
投入型塩素中和剤は、上述のように粒子、フィルム、多孔質体、繊維、布帛の形状の成形体であってもよく、ガラス、セラミックス、金属等の無機物、樹脂成形体等で形成された芯材の表面にビニルアルコール系重合体をコーティング等によって被覆した被覆体でもよい。フィルム、多孔質体、布帛の成形体とした投入型塩素中和剤は、長尺物として製造し、例えばロール状に巻き取っておけば、使用時に必要量を切り取って使用することもでき、使い勝手に優れたものとすることができる。
また、投入型塩素中和剤は、塩素系成分が通過可能な孔を有するケースに成形体や被覆体を封入した封入体であってもよい。塩素系成分を含有する環境は、液体や気体等の流体で満たされた領域であるため、塩素系成分が通過可能な孔は、これら流体が通過可能な大きさの孔であればよい。塩素系成分が通過可能な孔を有するケースは、特に限定されないが、例えば、ネット状に加工されたシート状物又は板状物、微細孔を有する布帛、微細孔を形成したフィルム等を用いて、袋状又は箱状に形成すればよい。
このように塩素中和剤を成形体、被覆体及び封入体とすることによって、塩素系成分を含む環境にさらすという簡便な方法で塩素中和処理を行うことができる。また、塩素中和処理後も、塩素系成分を含む環境から、成形体、被覆体及び封入体を除去するという簡便な操作によって、使用済みの塩素中和剤を回収することができるため、取扱い性に優れた塩素中和剤を提供することができる。
塩素中和剤は、塩素中和装置に用いることもできる。塩素中和装置としては、カラム、フィルター等の濾過材、拭き取り材、吸着材等が挙げられる。塩素中和装置がカラムである場合には、塩素中和剤を粒子や繊維の形状とした成形体をカラム本体に充填して用いればよい。
塩素中和装置がフィルターである場合には、成形体の塩素中和剤を使用し、塩素系成分が通過するように当該成形体に塩素系成分を導入すればよい。例えば、シート状に成形したシート状成形体(フィルム、布帛、多孔質体)は、それ自体をフィルターとして用いることができる。
また、塩素中和装置がフィルターである場合には、カートリッジフィルターの形態で用いることもできる。カートリッジフィルターは、カートリッジケース内に、粒子、繊維、多孔質体に成形した成形体の塩素中和剤を充填して用いることができる。また、カートリッジケース内に、シート状成形体をロール状に巻回したもの、シート状成形体にプリーツ加工を施したもの、円盤状のシート状成形体を積層したもの等を充填してカートリッジフィルターとしてもよい。
塩素中和装置が拭き取り材である場合には、塩素中和剤を例えば布帛やスポンジのような多孔質体に成形して用いることができる。拭き取り材では、塩素系処理剤等を使用した設備や機器等に付着・残留した付着・残留物に含まれる塩素系成分や、ゴム製や樹脂製の機器の内部に一旦浸透しその後機器外に染み出てきた(再移行する)浸出物に含まれる塩素系成分を拭き取って使用する。これにより、拭き取り材内に塩素系成分が導入されて、塩素系成分を中和することができる。
塩素中和装置が吸着材である場合には、塩素中和剤を例えば粒子、繊維、多孔質等の成形体に成形して用いることができる。吸着材は、塩素系成分が使用された室内等の空間に設置して使用することができる。当該空間内に浮遊するミストや揮発成分に含まれる塩素系成分が吸着材内に取り込まれることにより、塩素系成分を中和することができる。
<塩素中和剤の使用条件>
塩素中和剤は、液体中で使用する場合は、良好な塩素中和効果が得られやすいpH2.0〜pH6.5の酸性条件下で使用することが好ましく、pH5.0〜pH6.5の弱酸性条件下で使用することがより好ましい。塩素中和剤をpH7.0〜pH12.0のアルカリ性条件下で使用する場合には、アクリル酸エステル等のバインダー成分と併用して用いることが好ましい。
塩素中和剤は、液体中の塩素系成分の濃度が0.1ppm〜5000ppmである場合に好適に使用でき、0.1ppm〜200ppmである場合により好適に使用できる。上記の濃度範囲で塩素中和剤を用いると、塩素中和剤の変色や劣化が少なく、取扱い性に優れた塩素中和剤を提供することができる。
塩素中和剤の使用量は特に限定されないが、水溶液1Lの塩素系成分の濃度が0.1ppm〜200ppmである場合には、1g〜2000gを用いることが好ましく、1g〜200gであることがより好ましい。
〔実施例1〜7、比較例1、2〕
[塩素中和剤]
塩素中和剤として、下記のものを用意した。
・実施例1
エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44mol%)からなるチップ(粒径(直径)3mm、高さ5mmの円筒形)
・実施例2
エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44mol%)からなるフィルム(厚み30μm)
・実施例3
芯鞘繊維(商品名「ソフィスタ」、クラレ社製(鞘(50質量%):エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44mol%)、芯(50質量%):ポリエチレンテレフタレート、平均繊維径15μm)
・実施例4
エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるメルトブロー不織布(平均繊維径4μm、目付50g/m
・実施例5
ビニルアルコール重合体からなるチップ(粒径(直径)3mm、高さ5mmの円筒形)
・実施例6
芯鞘繊維(鞘(50質量%):エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量32mol%)、芯(50質量%):ポリエチレンテレフタレート、平均繊維径15μm)
・実施例7
芯鞘繊維(鞘(50質量%):エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量48mol%)、芯(50質量%):ポリエチレンテレフタレート、平均繊維径15μm)
・比較例1
レーヨンからなる繊維(平均繊維径13μm)
・比較例2
ポリエチレンテレフタレートからなる繊維(平均繊維径12μm)
[塩素中和効果の評価]
186ppmの次亜塩素酸を含むpH6の次亜塩素酸水溶液を調整した。マッシャーを用いて油剤を除去した塩素中和剤2gをビーカーに入れ、上記次亜塩素酸水溶液を100mLを加えた。温度20℃でビーカー全体を遮光して、次亜塩素酸水溶液と塩素中和剤とを反応させ、DPD比色法で塩素系成分濃度を測定した。次亜塩素酸水溶液と塩素中和剤との反応は、実施例1、2及び5では300rpmの撹拌条件下で行い、それ以外は静置下で行った。測定した塩素系成分濃度の経時変化から、塩素系成分濃度が測定限界の下限値以下となるまでの時間を塩素消費時間として求めた。その結果を表1に示す。また、塩素系成分の濃度の時間変化を図1〜図8に示す。
Figure 0006856893
[結果の考察]
表1及び図1〜8に示すように、塩素中和剤としてビニルアルコール系重合体を用いた場合(実施例1〜7)には、ビニルアルコール系重合体以外の重合体を用いた場合(比較例1、2)よりも塩素消費時間が短くなった。ビニルアルコール系重合体は、他の重合体に比較して塩素中和効果に優れることがわかる。特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いた場合に、塩素中和効果に優れることがわかる(実施例1、5)。
ビニルアルコール系重合体を繊維に成形することで(実施例3、4、6、7)、チップやフィルムに成形した場合(実施例1)よりも塩素消費時間が短くなった。また、ビニルアルコール系重合体を繊維径の小さいメルトブロー不織布に成形した場合には(実施例4)、芯鞘繊維に成形した場合(実施例3、6、7)よりも塩素消費時間が短くなった。成形体の比表面積は、本実施例では、チップ、芯鞘繊維、メルトブロー不織布の順に大きくなることから、ビニルアルコール系重合体を比表面積の大きい成形体に成形することで、塩素中和効果を向上できることがわかる。
図3及び表1に示すように、ビニルアルコール系重合体を含む繊維を用いた場合には、数時間で塩素系成分の濃度が急速に低下し3時間で測定限界の下限値以下となった。一方、図8(a)(b)及び表1に示すように、レーヨンの繊維を用いた場合(図8(a))には、塩素系成分の濃度が測定限界の下限値以下となるまでに14日間を要し、ポリエチレンテレフタレートの繊維を用いた場合(図8(b))には、14日を経過しても塩素系成分の濃度が測定限界の下限値以下とはならなかった。
本発明は、塩素系成分を中和する用途に用いることができ、殺菌等を行った水や水性媒体に含まれる塩素系成分、廃液に含まれる塩素系成分のほか、装置や機器類に付着・残留した塩素系成分、空気中等に浮遊・拡散する塩素系成分の中和用途に用いることができる。

Claims (12)

  1. 塩素系成分を中和する塩素中和剤であって、
    前記塩素中和剤は、ビニルアルコール系重合体を含み、
    前記ビニルアルコール系重合体は、繰り返し構造単位に少なくともビニルアルコールを含む重合体であり、
    前記塩素中和剤をなす全成分の総質量に対して、前記ビニルアルコール系重合体を30質量%以上含む、塩素中和剤(ただし、アニオン交換基を有するビニルアルコール系重合体を含むものを除く。)
  2. 前記塩素系成分は、塩素系処理剤を含有する液体に含まれる、請求項1に記載の塩素中和剤。
  3. 前記ビニルアルコール系重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びビニルアルコール重合体のうち1種又は2種である、請求項1又は2に記載の塩素中和剤。
  4. 前記ビニルアルコール系重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩素中和剤。
  5. 前記塩素中和剤は、粒子、フィルム、繊維、布帛からなる群より選ばれる少なくとも1つの形状を有する成形体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩素中和剤。
  6. 前記塩素中和剤は、塩素系成分が通過可能な孔を有するケースに封入した封入体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塩素中和剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩素中和剤を用いた、投入型塩素中和剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の塩素中和剤を用いた、塩素中和装置。
  9. 濾過材及び吸着材のうちのいずれかである、請求項8に記載の塩素中和装置。
  10. 塩素系成分を中和する塩素中和方法であって、
    前記塩素系成分とビニルアルコール系重合体(ただし、アニオン交換基を有するものを除く。)とを接触させて、前記ビニルアルコール系重合体により前記塩素系成分を中和する工程を有し、
    前記ビニルアルコール系重合体は、繰り返し構造単位に少なくともビニルアルコールを含む重合体である、塩素中和方法。
  11. 前記塩素系成分と前記ビニルアルコール系重合体との接触は、前記塩素系成分を含有する環境に前記ビニルアルコール系重合体をさらす、もしくは、前記ビニルアルコール系重合体内に前記塩素系成分を導入することによって行われる、請求項10に記載の塩素中和方法。
  12. 前記ビニルアルコール系重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む、請求項10又は11に記載の塩素中和方法。
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