JP6853979B2 - プラスマローゲン含有水性液 - Google Patents

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Description

本発明はプラスマローゲンを含有する水性液に関する。
プラスマローゲンは1−アルケニルアシル型リン脂質ともいい、グリセロリン脂質の一種であり、グリセロール骨格のsn−1位にオレフィニル鎖(ビニルエーテル結合)、sn−2位にアシル鎖、sn−3位に塩基の結合したリン酸を持つものである。天然に存在するプラスマローゲンの主たるオレフィニル鎖の炭素数は16〜18であり、主たるアシル鎖は炭素数16〜22の脂肪酸である。また、そのリン酸に結合する主たる塩基は、コリンとエタノールアミンであり、リン酸にコリンが結合したプラスマローゲンはコリン型プラスマローゲン(以下、CPと称することがある)、リン酸にエタノールアミンが結合したプラスマローゲンはエタノールアミン型プラスマローゲン(以下、EPと称することがある)と呼ばれている。例えば、哺乳類の心臓や骨格筋ではCPの比が高く、その脳や腎臓ではEPの比が高いことが知られている。
プラスマローゲンがその構造中に有するビニルエーテル結合は、極めて酸化を受けやすく、生体内においてはプラスマローゲンが優先的に酸化されることで、活性酸素やフリーラジカルによる生体成分の酸化傷害を防いでいる(非特許文献1)。また、プラスマローゲンは広範な生体内組織に存在するため、加齢や酸化ストレスに関与する様々な疾病と関係しているといわれており、神経変性疾患やアルツハイマー病の予防などへの利用が検討されている(特許文献1及び特許文献2)。更に、プラスマローゲンが持つ抗酸化能を利用して、プラスマローゲンを生体組織の脂質の過酸化を抑制する抗酸化剤として用いる方法(特許文献3)や酸化安定性に優れた高度不飽和脂肪酸供給組成物として用いる方法(特許文献4)が開示されている。
このようにプラスマローゲンの有用性が注目される一方、プラスマローゲンを安定的に保存するにはいまだ多くの課題が存在する。上記のとおり、プラスマローゲンはビニルエーテル結合が酸化されやすく、特に水の存在下では不安定となり、且つ、不安定な高度不飽和脂肪酸残基を多く含むため、保管中にプラスマローゲンが分解してその含有量が一気に低下しやすくなる。そのため、プラスマローゲンは、一定以上の濃度を保証しなければならない健康食品や、正確な濃度管理が求められる医薬品、更にはそれらの濃度測定に用いる分析用試薬での使用は大変困難であった。またプラスマローゲンは特有の不快臭があるため、飲食品に配合する際に添加量を制限しなければならないという問題もあった。
米国特許第5759585号明細書 特開2004−26803号公報 特開2003−012520号公報 特開2003−003190号公報
Experimental Gerontology, 1998, Vol.33, No.5, p.363-369
したがって本発明の目的は、水の存在下では極めて安定性が悪いプラスマローゲンの分解が抑制された、健康食品、医薬品、分析用試薬等に広く使用することができる、保存安定性に優れるプラスマローゲン含有水性液を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、プラスマローゲンを水中に分散させた水性液に、ポリエチレングリコール、特に特定の分子量のポリエチレングリコールを添加した場合に、上記問題を解決可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、プラスマローゲン及びポリエチレングリコールを含有する水性液を提供するものである。
本発明の水性液は、プラスマローゲンを含有しながら、そのsn−1位のビニルエーテル結合の分解が抑制され、長期の保管の際にも高い残存率をしめす。そのため保存安定性に優れ、健康食品、医薬品、分析用試薬等に広く使用することができる。
以下、本発明について好ましい実施形態に基づき詳述する。
まず、本発明の水性液に使用するプラスマローゲンについて述べる。
プラスマローゲンとは、上述のように1−アルケニルアシル型リン脂質ともいい、グリセロリン脂質のうち、グリセロール骨格のsn−1位にビニルエーテル結合のアシル鎖を有し、且つsn−2位にアシル鎖、sn−3位に塩基の結合したリン酸をもつ脂質である。
天然に存在するプラスマローゲンの主たるオレフィニル鎖(ビニルエーテル結合)の炭素数は16〜18であり、主たるアシル鎖は炭素数16〜22の脂肪酸であり、sn−2位アシル鎖は、アラキドン酸やドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸が主である。また、そのリン酸に結合する主たる塩基は、コリンとエタノールアミンである。
本発明に用いるプラスマローゲンとしては、例えば、天然物から抽出したものを用いることができる。
プラスマローゲンを抽出、分離する天然物としては、各種の動物、植物、微生物を挙げることができる。本発明においては、プラスマローゲンを抽出、分離する天然物は動物が好ましい。プラスマローゲンを抽出、分離する動物としては、例えば、ウシ、ブタ等の哺乳類、カツオ、マグロ、イワシ等の魚類、ホタテ、カキ、ハマグリ等の貝類、タコ、イカ等の頭足類、カニ、エビ等の甲殻類等が挙げられ、これらの動物の動物組織を使用することができる。本発明で使用することができる動物組織としては、動物の個体そのものでもよく、その筋肉組織や、脂肪組織、あるいは脳などの神経組織、腸などの内臓組織、更にはその卵でもよいが、プラスマローゲンの含有量、あるいは入手の容易性や価格などの点から、ウシ若しくはブタの心臓あるいは脳を用いることが好ましい。
本発明の水性液では、プラスマローゲンは、これら各種動物、植物、微生物から、溶剤抽出などによって抽出されたプラスマローゲン含有脂質の形態で含まれている場合がある。また、上記プラスマローゲン含有脂質に液液抽出やカラムクロマトグラフィー、酵素処理などを施してプラスマローゲンを濃縮、精製したプラスマローゲン含有脂質濃縮物の形態で含まれている場合がある。更に、上記プラスマローゲン含有脂質濃縮物を、更に濃縮、精製したプラスマローゲンの形態で含まれている場合がある。また、上記プラスマローゲン含有脂質に脂肪酸エステル組成の変換、あるいは塩基部分の修飾などの加工処理を施した脂質の形態で含まれている場合がある。
本発明においてプラスマローゲン含有脂質及びプラスマローゲン含有脂質濃縮物は、原料によって異なるものの、プラスマローゲンの含有量が0.1〜99質量%の脂質を意味する。プラスマローゲン含有脂質やプラスマローゲン含有脂質濃縮物中のプラスマローゲンの含有量は、例えば、ヨウ素付加による吸光検出法(E.L.Gottfried, J. Biol. Chem., 237, 329(1962))、p-ニトロフェニルヒドラジン法(C.Pries, Biochim. Biophys. Acta, 38, 340(1960))、HPLC分析法(S. Mawatari, Anal. Biochem., 370, 54(2007))、LC-MS分析法(K. A. Zemski, J. Am. Soc. Mass Spectrom, 15, 149(2004))などにより測定することができる。
動物及びその組織からのプラスマローゲン含有脂質の抽出方法としては、Folch法(Folch et al.:J. Biol. Chem., 226, 497-505, 1957)、Bligh & Dyer法(Bligh et al.:Can. J. Biochem. Physiol., 37, 911-917, 1959)、あるいは安全性の高い有機溶媒であるヘキサンや低級アルコールを用いた混合溶媒を用いる方法(Hara et al.:Anal. Biochem., 90(1):420-6,1978、特開2005-179340)などがある。また、抽出効率を高めるために、上記動物組織を脱水処理したものを用いることができる。安全性と操作性の点から、ヘキサンとエタノールの混合溶媒を用いて抽出することが好ましい。
また、上記プラスマローゲン含有脂質濃縮物を得る方法としては、プラスマローゲン含有脂質から、アセトン沈殿法(山川民夫監修:生化学実験講座3,脂質の化学(日本生化学会編),p.19−20,1963,東京化学同人)、カラムクロマトグラフィー法(James et al.:Lipids, 23, 1146-1149, 1988)等によるトリグリセリドの除去する方法を用いることができ、あるいは、哺乳動物膵臓由来リパーゼ又は微生物由来のホスホリパーゼA1処理(Woelk et al. : Z Physiol. Chem. 354, 1265-70, 1973)、弱アルカリ処理(Hanahan et al. : J. Biol. Chem. 236, 59-60, 1961)によってジアシル型リン脂質を分解する方法を用いることができる。
最も効率的にプラスマローゲン含有脂質濃縮物を得る方法としては、プラスマローゲン含有脂質に、Actinomadura sp.由来のホスホリパーゼA1を弱酸性緩衝液下で反応させ、生成物をヘキサン/エタノール混合溶媒により再抽出し、シリカゲルなどの担体によるカラムクロマトグラフィーによりプラスマローゲン含有脂質濃縮物を得る方法が挙げられる。
例えば、ホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ)を用い、ジアシル型リン脂質及びプラスマローゲンの混合脂質1gに酵素0.1〜2.0U、酢酸緩衝液pH4.0〜6.0を2〜20%、好ましくは5〜10%添加し、30〜60℃で、2〜100時間、攪拌しながら反応させる。反応溶液にヘキサン/エタノール/水の混合溶媒、例えばヘキサン65〜90に対し、エタノール5〜20、水4〜10、好ましくはヘキサン75〜85、エタノール8〜16、水8〜16の比の混合溶媒を加え、上層のヘキサン層を採取してプラスマローゲン含有脂質濃縮物を回収する。この抽出処理により、ホスホリパーゼA1反応で生じた1−リゾリン脂質は水層に溶解するために分画されうる。
得られたプラスマローゲン含有脂質濃縮物は更にアセトン沈殿法やカラムクロマトグラフィーによって中性脂質を分画して濃縮できる。
得られたプラスマローゲン含有脂質は更に塩基組成別にも濃縮可能なシリカゲルクロマトグラフィーによって各塩基のプラスマローゲン含有脂質を回収することも可能である。例えば、シリカゲルをヘキサン/エタノール混合溶媒、好ましくは95:5〜60:40の混合溶媒で充填したカラムに、プラスマローゲン含有脂質を充填し、同溶媒をカラム体積の2〜8倍量通液させて中性脂質を溶出させた後、ヘキサン/エタノール混合溶媒、好ましくは5:95〜0:100、あるいはエタノール/水の混合溶媒、好ましくは100:0〜95:5をカラム体積の6〜15倍量通液させることにより、エタノールアミン型のプラスマローゲン含有脂質を分画することができ、続いてエタノール/水の混合溶媒、好ましくは90:10〜70:30をカラム体積の8〜20倍量通液させることにより、コリン型のプラスマローゲン含有脂質を分画することができる。
本発明の水性液におけるプラスマローゲンの含有量は、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%、更に好ましくは0.002〜1質量%、最も好ましくは0.003〜0.3質量%である。プラスマローゲンの含有量が0.0001質量%未満であると、食品や医薬品に応用する際の機能効果が乏しくなる問題があり、5質量%を超えると、プラスマローゲン特有の不快臭が感じられる可能性がある。また、従来、プラスマローゲンを高濃度(例えば5質量%)で存在させるとその分解が生じるおそれがあったが、本発明によれば、プラスマローゲンをポリエチレングリコールと共存させることで、その分解が効果的に防止される。本発明の水性液において、プラスマローゲンがプラスマローゲン含有脂質やプラスマローゲン含有脂質濃縮物の形態で含まれている場合、プラスマローゲン含有脂質やプラスマローゲン含有脂質濃縮物を、水性液におけるプラスマローゲンの含有量が上述の範囲となるように含有させることが好ましい。本発明の水性液におけるプラスマローゲンの含有量はヨウ素付加による吸光検出法(E.L.Gottfried, J. Biol. Chem., 237, 329(1962))、p-ニトロフェニルヒドラジン法(C.Pries, Biochim. Biophys. Acta, 38, 340(1960))、HPLC分析法(S. Mawatari, Anal. Biochem., 370, 54(2007))、LC-MS分析法(K. A. Zemski, J. Am. Soc. Mass Spectrom, 15, 149(2004))などにより測定することができる。
本発明の水性液は、油脂を含有することができる。油脂を含有する実施形態について水性液に上記プラスマローゲン含有脂質、あるいはプラスマローゲン含有脂質濃縮物を使用する場合を例にすると、上記プラスマローゲン含有脂質又は上記プラスマローゲン含有脂質濃縮物を、下記の方法により本発明の水性液を製造する際に、油相としてそのまま分散させることも可能であるが、油相粘度を低下させる目的で、低融点の油脂を加配したり、酸化安定性の高い油脂を加配することが好ましい。酸化安定性の高い油脂を加配することにより酸化安定性に優れた水性液を得ることができる。
加配する油脂としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明では水性液として水中油型乳化物とする場合の製造が容易な粘度となる点、水中油型乳化物の乳化安定性や酸化安定性に優れる点で、加配する油脂として、パーム油の分別軟部油、及び/又は、パーム油の分別軟部油のエステル交換油を使用することが好ましい。
なお、本発明でいう「水性液」とは、水溶液のほか、水相を主体として油溶性成分が分散した水中油型乳化物を含むものとする。本発明の水性液においては、水相の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%であることが更に好ましい。
続いて、本発明の水性液に使用するポリエチレングリコールについて述べる。
本発明の水性液は、プラスマローゲンと共にポリエチレングリコールを含有することにより、プラスマローゲンの分解が抑制され、保存安定性に優れるものとなる。特に、プラスマローゲンの含有量が、例えば、5質量%と高濃度な場合であっても、プラスマローゲンの分解が抑制される。本発明で使用することのできるポリエチレングリコールは特に制限されないが、プラスマローゲンの分解防止の効果が極めて高い点で、重量平均分子量が3000〜50000のポリエチレングリコールを使用することが好ましく、より好ましくは重量平均分子量15000〜40000のポリエチレングリコールを使用する。重量平均分子量3000未満のポリエチレングリコールを使用するとプラスマローゲンの分解防止効果が低く、重量平均分子量50000超のポリエチレングリコールは水への溶解性が低いため水性液の製造が困難になることに加え、水性液を長期保管した場合にプラスマローゲンが分離しやくすく、その場合酸化安定性が悪化しやすい。本発明の水性液中に含まれるポリエチレングリコールの重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリエチレングリコールによる検量線を作成することにより測定することができる。
本発明の水性液におけるポリエチレングリコールの含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.3〜3質量%である。ポリエチレングリコールの含有量は公知の方法で測定することができる。
本発明の水性液は、酸化防止剤を含有することが好ましい。上記酸化防止剤としては、例えば、EDTA類(例えば、EDTA、EDTA二ナトリウム、等)、アスコルビン酸、トコフェロール(α、β、γ、若しくはδトコフェロール、又はα、β、γ及びδトコフェロールの2種以上を含むミックストコフェロール、等)、カテキン、エリソルビン酸塩類、タンニン、アントシアニン、茶ポリフェノール等のポリフェノール類、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム等を例示することができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。本発明では、酸化防止剤として、EDTA類、アスコルビン酸、トコフェロール、及び、カテキンから選択される1種又は2種以上の酸化防止剤であることが好ましく、更に好ましくはEDTA類と、アスコルビン酸、トコフェロール、及びカテキンから選択される1種又は2種以上とを併用した酸化防止剤を使用する。
本発明の水性液における酸化防止剤の含有量は、酸化防止剤の種類にもよるものの、好ましくは0.00001〜5質量%、より好ましくは0.0001〜0.1質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%である。特に、EDTA類の含有量としては0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%が更に好ましい。
また、トコフェロールの含有量としては、0.00001〜1質量%が好ましく、0.0001〜0.1質量%がより好ましい。上記範囲で含有させることにより、本発明の効果をより高めることができる。酸化防止剤の含有量は公知の方法で測定することができる。
本発明の水性液は水を含有する。本発明の水性液に使用する水は、水道水であってもミネラルウォーターであってもよい。また、牛乳、果汁などの水を含有する食品原料を使用することもできる。
なお、本発明の水性液は、上記プラスマローゲン、ポリエチレングリコール、油脂、酸化防止剤以外のその他の成分を含有することができる。該その他の成分としては例えば、プラスマローゲン以外の複合脂質、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、部分グリセリド、乳製品、卵製品、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、ベータカロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、着香料、pH調整剤、食品保存料、炭酸ナトリウム、プロピレングリコール、カルシウム塩類、リン酸塩類、鉄類等の品質安定剤、日持ち向上剤等の食品素材や食品添加物を挙げることができる。また、各種ビタミンやコエンザイムQ、植物ステロール、植物ステロール脂肪酸エステル、乳脂肪球皮膜等の機能素材を含有させることも可能である。
本発明の水性液における上記その他の成分の含有量は特に制限されないが、合計して10質量%以下となるように配合するのが好ましく、より好ましくは5質量%以下となるように配合するのが好ましい。
なお、本発明の水性液の製造方法については特に制限されず、例えば、プラスマローゲンを、ポリエチレングリコールを溶解した水に乳化又は分散させることによって得ることができる。この際、上記プラスマローゲンはリポソーム又はミセルの形態で含有することが好ましい。リポソームは2重膜層、ミセルは単分子膜の違いはあるが、親水基を外側に向けた小胞体である。上記プラスマローゲンをリポソーム又はミセルの形態とするには、プラスマローゲンに必要に応じ油脂を加配し、ポリエチレングリコールを溶解した水に乳化することによって簡単に得ることができる。
なお、粒径及び粒径分布は用途に応じて適宜設計すればよい。
このようにして得られた本発明の水性液は、そのまま、健康食品、医薬品、分析用試薬等に広く使用することができる。
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、特に但し書きがない限り、分子量は重量平均分子量(Mw)を表すものとする。
〔製造例1〕プラスマローゲン含有脂質の製造
ウシの心臓から筋肉部分6kg(水分含有量80質量%)を切り出し、ホモジナイザーを用いてペースト状にした組織に、ヘキサン:エタノール=60:40で混合した混合溶媒18Lを加え、10分間攪拌した。その後、吸引濾過により得たろ液の上層であるヘキサン層を脂質抽出液として回収した。続いて、ろ液下層と濾過残渣を合わせ、それに新たにヘキサン10Lを加え、10分間攪拌して脂質画分を抽出後、上記同様に抽出液を回収した。更に、ろ液下層と濾過残渣に同一の操作をもう1回繰り返し、回収した合計3回分の抽出液を併せ、エバポレーターを使用して混合溶媒を除去し、残渣としてプラスマローゲン含有脂質181gを得た。得られたプラスマローゲン含有脂質は、総リン脂質含量は98質量%であり、プラスマローゲンを24質量%含有するものであった。
〔実施例1〜5、比較例1〕
上記プラスマローゲン含有脂質0.15mgを0.2Mグリシン−NaOH緩衝液(pH7.4)10mlに分散する際に、緩衝液に水溶性高分子として、分子量400のポリエチレングリコール[PEG−400/Mw約400、ADEKA社製](実施例1)、分子量4,000のポリエチレングリコール[PEG−4000/Mw約4000、ADEKA社製](実施例2)、分子量8,000のポリエチレングリコール[PEG−8000/Mw約8000、和光純薬工業社製](実施例3)、分子量20,000のポリエチレングリコール[PEG−20000/Mw約20000、和光純薬工業社製](実施例4)、分子量35,000のポリエチレングリコール[PEG−35000/Mw約28000、メルク社製](実施例5)をあらかじめそれぞれ140mg溶解したものを使用した。また、ポリエチレングリコール無添加の上記緩衝液10mlに上記プラスマローゲン含有脂質0.15mg分散したものも準備した(比較例1)。実施例1〜5の水性液におけるプラスマローゲンの含有量は0.00036質量%であり、ポリエチレングリコールの含有量は1.4質量%であった。
実施例1〜5及び比較例1の水性液におけるプラスマローゲンの安定性を下記のとおり評価した。
プラスマローゲンの安定性を評価する方法としては、各サンプル300μlを10ml試験管に採り水溶性ラジカル開始剤(AAPH)を50mMとなるように添加した後、37℃で2時間インキュベートし、定法により脂質を抽出し、HPLCを使用してプラスマローゲン含量を測定し、安定性試験前のサンプルのプラスマローゲンの含有量に対する残存率で評価を行った。
評価結果について、表1に記載した。ポリエチレングリコールを含有しない緩衝液を用いた比較例1では、プラスマローゲンの残存率がわずかに8%にすぎなかったのに対し、ポリエチレングリコールを添加した実施例1〜5では、プラスマローゲンの残存率が56〜93%と高くなった。特に、分子量3,000〜50,000のポリエチレングリコールを含有する実施例2〜5の水性液の効果が高く、更には、分子量15,000〜40,000のポリエチレングリコールを含有する実施例4及び5の水性液の効果がより高いことが分かる。
Figure 0006853979
〔実施例6〜9、比較例2〜3〕
上記プラスマローゲン含有脂質2.16mgを、分子量20,000のポリエチレングリコール50mg及び酸化防止剤としてEDTA0.3mg/mlとなるよう溶解させた0.2Mグリシン−NaOH緩衝液(pH7.4)10mlに分散させ、水性液を調製した(実施例6)。また、酸化防止剤として、EDTAに代えてミックストコフェロール1.8μg/mlを用いた以外は実施例6と同様にして水性液を調製した(実施例7)。また、酸化防止剤として、EDTAに加えミックストコフェロール1.8μg/mlとなるよう溶解させた以外は実施例6と同様にして水性液を調製した(実施例8)。更に、酸化防止剤を未添加とする以外は実施例6と同様にした水性液を調製した(実施例9)。
実施例6〜9の水性液におけるプラスマローゲンの含有量は0.0052質量%であり、ポリエチレングリコールの含有量は0.5質量%であった。
一方、上記プラスマローゲン含有脂質2.16mgを、0.2Mグリシン−NaOH緩衝液(pH7.4)10mlに分散させ、水性液を調製した(ポリエチレングリコール及び酸化防止剤は無添加、比較例2)。また、酸化防止剤としてEDTA0.3mg/mlとなるよう溶解させた緩衝液を使用した以外は比較例2と同様にして水性液を調製した(比較例3)。
プラスマローゲンの安定性の評価方法としては、各サンプル1.5mlを3mlクリンプバイアルに入れ、遮光下、25℃恒温槽で静置し、0日目、5日目、12日目、20日目、33日目、47日目に、定法により脂質を抽出し、HPLCを使用してプラスマローゲン含量を測定し、安定性試験前のサンプルのプラスマローゲンの含有量に対する残存率で評価を行った。
評価結果について、表2に記載した。表2から、実施例6〜9の水性液は、比較例2及び3の水性液に比べて、プラスマローゲンの残存率が上昇していることが分かる。また、酸化防止剤を含有する実施例6〜8の水性液は、酸化防止剤を含有しない実施例9の水性液に比べてプラスマローゲンの残存率が上昇していることが分かる。特に、EDTAとトコフェロールを併用した実施例8の水性液は特に残存率が優れていることが分かる。
Figure 0006853979

Claims (3)

  1. プラスマローゲン及びポリエチレングリコールを含有する水性液であって、ポリエチレングリコールの分子量が3000〜50000であり、且つポリエチレングリコールの含有量が0.3〜3質量%である、水性液
  2. 更に酸化防止剤を含有する請求項記載の水性液。
  3. 上記酸化防止剤が、EDTA類、アスコルビン酸、及びトコフェロールから選択される1種又は2種以上の酸化防止剤である請求項記載の水性液。
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