JP6852521B2 - 固定子コイル部材の摩耗評価方法および寿命評価方法 - Google Patents

固定子コイル部材の摩耗評価方法および寿命評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機の固定子コイル部材の摩耗および寿命を評価する方法に関する。
従来、回転電機は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電動機として用いられたり、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機として用いられたりしている。
図1は、発電機の一例を示す概略図である。図1に示す発電機10は、円筒状の固定子12と、固定子12内に設けられる回転子14とを備えている。固定子12は、円筒状の固定子鉄心16と、固定子鉄心16に取り付けられた固定子コイル18とを有している。詳細な図示および説明は省略するが、回転子14も同様に、回転子鉄心と回転子コイルとを有している。
固定子鉄心16には、複数のスロット16aが形成されている。各スロット16aは、固定子鉄心16の内周面から、固定子鉄心16の径方向外側に向かって凹むように形成されている。すなわち、各スロット16aは、固定子鉄心16の内周面において開口している。また、各スロット16aは、固定子鉄心16の軸方向に延びるように形成されている。複数のスロット16aは、固定子鉄心16の周方向において等間隔に並ぶように形成されている。複数のスロット16aに、固定子コイル18が嵌められている。詳細な説明は省略するが、固定子コイル18は、例えば、複数のコイルセグメント(固定子コイル部材)18a(図2参照)を連結した構成を有する。
図3は、固定子鉄心16と固定子コイル18との関係を説明するための図である。なお、図3では、固定子鉄心16の軸方向に対して直交する断面を示している。
図3を参照して、固定子鉄心16のスロット16a内には、2つのコイルセグメント18aそれぞれの一部が嵌められている。具体的には、2つのコイルセグメント18aが、スロット16a内において、板状のスペーサ20を介して固定子鉄心16の径方向に積層されている。スロット16aの開口端側(固定子鉄心16の径方向内側)は、ウェッジ22によって塞がれている。スロット16aの開口端側のコイルセグメント18aとウェッジ22との間には、板状のスペーサ24が設けられ、スロット16aの底部側(固定子鉄心16の径方向外側)のコイルセグメント18aとスロット16aの底部との間には、支持板26が設けられている。
各コイルセグメント18aは、複数の素線180と、複数の素線180を覆う主絶縁部材182と、主絶縁部材182を覆うコロナ防止テープ184とを備えている。
上記のような構成を有する発電機10では、絶縁破壊等に基づく不具合の発生を防止するために、固定子コイル18の寿命を適切に評価することが望まれている。そこで、従来、固定子コイルの寿命を評価するための種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、タービン発電機固定子コイルの余寿命評価方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、固定子コイルの絶縁破壊電圧がワイブル分布で表され、このワイブル分布から固定子コイルの絶縁耐力が求められる。そして、求めた固定子コイルの絶縁耐力によって固定子コイルの余寿命が評価される。
特開2008−2893号公報
しかしながら、本発明者らの種々の検討の結果、特許文献1に開示された方法のように、絶縁破壊電圧に基づいて固定子コイルの余寿命を評価する場合、余寿命を適切に評価できない場合があることが分かった。
そこで、本発明の目的は、固定子コイル部材の適切な寿命評価を可能にするための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、回転電機の固定子コイルの寿命を適切に評価するために、種々の検討を行った。この検討の中で、本発明者らは、運転中の回転電機において、以下に説明するような現象が生じていると推定した。図4は、運転中の回転電機において生じている現象を説明するための図である。なお、以下においては、回転電機の一例として上述の発電機10において生じている現象について説明する。
図4(a)を参照して、まず、本発明者らは、コロナ防止テープ184のうちスペーサ20と接触する部分が劣化することによって、その劣化した部分において放電が発生すると考えた。そして、この放電により、図4(b)に示すように、コロナ防止テープ184の一部が消失し、コイルセグメント18aとスペーサ20との間に隙間が生じると考えた。
発電機10の運転中には、固定子コイル18に対して電磁加振力が作用している。このため、コイルセグメント18aとスペーサ20との間に隙間が生じた場合、図4(c)に示すように、コイルセグメント18aが固定子鉄心16の径方向に振動すると考えられる。そして、コイルセグメント18aとスペーサ20とが繰り返し衝突することによって、コイルセグメント18aのスペーサ20側の部分が摩耗すると考えられる。コイルセグメント18aにおいてこのような摩耗が生じることによって、地絡が発生すると考えられる。このため、コイルセグメント18aの摩耗量を適切に予測することができれば、固定子コイル18の寿命を適切に評価することができると考えられる。
本発明者らは、上記のような推定に基づいて、固定子コイル18の摩耗量を予測する方法について詳細な検討を行った。具体的には、まず、電磁加振力に基づくコイルセグメント18aとスペーサ20との衝突を想定して、コイルセグメント18aの表面(スペーサ20と接触する部分)に、板状の押し付け部材を繰り返し押し付ける実験を行った。
しかしながら、押し付け部材を単に押し付けても、コイルセグメント18aの表面は、ほとんど摩耗しなかった。この結果から、本発明者らは、発電機10の運転中には、コイルセグメント18aとスペーサ20とが、固定子鉄心16の径方向における衝突を繰り返しているだけではなく、コイルセグメント18aがスペーサ20に対して、固定子鉄心16の軸方向もしくは周方向に摺動していると考えた。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記の摩耗評価方法および寿命評価方法を要旨とする。
(1)円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内において前記固定子鉄心の径方向にスペーサを介して積層される複数の固定子コイル部材とを有する回転電機の前記固定子コイル部材の摩耗評価方法であって、
前記固定子コイル部材は、前記回転電機において前記スペーサに接触する接触面を有し、
前記固定子コイル部材から所定長さの試験材を切り出す、切り出しステップと、
前記試験材における前記接触面の法線方向に押し付け荷重を付与するようにスペーサ切出し部材を前記試験材に接触させた状態で、前記試験材を、前記スペーサ切出し部材に対して相対的に往復運動させて、前記往復運動の回数と前記接触面の摩耗量との関係を示す摩耗評価情報を取得する、評価情報取得ステップと、
を備える固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(2)前記摩耗量は、前記往復運動によって摩耗された部分の前記法線方向における高さである、上記(1)に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(3)前記評価情報取得ステップでは、前記押し付け荷重および前記往復運動における前記試験材の前記スペーサ切出し部材に対する変位量を変化させて、前記押し付け荷重ごとの前記摩耗評価情報および前記変位量ごとの前記摩耗評価情報を取得する、上記(1)または(2)に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(4)前記押し付け荷重ごとの前記摩耗評価情報および前記変位量ごとの前記摩耗評価情報に基づいて、前記押し付け荷重と前記変位量と前記接触面の摩耗速度との関係を示す摩耗速度情報を取得する、摩耗速度情報取得ステップ、
をさらに備える上記(3)に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(5)前記摩耗速度は、1回の前記往復運動における前記接触面の摩耗量である、上記(4)に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(6)前記回転電機において電磁加振力によって前記固定子コイル部材が前記径方向に振動して前記固定子コイル部材が前記スペーサに衝突する際に、前記固定子コイル部材に付与される衝撃荷重を前記押し付け荷重とし、かつ
前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が前記スペーサに衝突する際の、前記固定子鉄心の軸方向における前記固定子コイル部材の前記スペーサに対するすべり量を前記変位量として、
前記摩耗速度情報に基づいて、前記固定子コイル部材の摩耗速度を評価する、上記(4)または(5)に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(7)前記すべり量は、0.035〜0.105mmに設定される、上記(6)に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
(8)前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が振動する際の振動数を1秒当たりの前記往復運動の回数として、上記(1)から(3)のいずれかに記載された固定子コイル部材の摩耗評価方法によって取得された摩耗評価情報に基づいて、前記固定子コイル部材の寿命を評価する、寿命評価ステップ、
を備える固定子コイル部材の寿命評価方法。
(9)前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が振動する際の振動数を1秒当たりの前記往復運動の回数として、上記(4)または(5)に記載された固定子コイル部材の摩耗評価方法によって取得された摩耗速度情報に基づいて、前記固定子コイル部材の寿命を評価する、寿命評価ステップ、
を備える固定子コイル部材の寿命評価方法。
(10)前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が振動する際の振動数を1秒当たりの前記往復運動の回数として、上記(6)または(7)に記載された固定子コイル部材の摩耗評価方法によって評価された摩耗速度に基づいて、前記固定子コイル部材の寿命を評価する、寿命評価ステップ、
を備える固定子コイル部材の寿命評価方法。
本発明によれば、固定子コイル部材の適切な寿命評価が可能になる。
図1は、発電機の一例を示す概略図である。 図2は、コイルセグメントを示す斜視図である。 図3は、固定子鉄心と固定子コイルとの関係を説明するための図である。 図4は、運転中の回転電機において生じている現象を説明するための図である。 図5は、試験材を示す斜視図である。 図6は、すべり試験を説明するための図である。 図7は、摩耗評価情報の一例を示す図である。 図8は、変位量と摩耗速度との関係の一例を示す図である。 図9は、押し付け荷重と摩耗速度との関係の一例を示す図である。 図10は、摩耗評価情報の他の例を示す図である。 図11は、摩耗評価情報のその他の例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る固定子コイル部材の摩耗評価方法および寿命評価方法について説明する。なお、本実施形態においては、固定子コイル部材の寿命評価方法は、摩耗評価方法を含む。以下においては、一例として、上述の発電機10のコイルセグメント18aの寿命を評価する場合について説明するが、本実施形態に係る寿命評価方法は、他の回転電機の固定子コイル部材の寿命評価にも好適に利用することができる。
(寿命評価方法の概要)
本実施形態に係る寿命評価方法は、切り出しステップと、評価情報取得ステップと、摩耗速度情報取得ステップと、寿命評価ステップとを備えている。なお、本実施形態では、切り出しステップと、評価情報取得ステップと、摩耗速度情報取得ステップとが、摩耗評価方法に含まれる。以下、各ステップについて説明する。
(切り出しステップ)
図2および図5を参照して、切り出しステップでは、コイルセグメント(固定子コイル部材)18aから、所定長さの試験材30を切り出す。図5を参照して、試験材30は、コイルセグメント18aが発電機10に組み込まれた場合にスペーサ20(図4参照)に接触する接触面30aを有している。なお、図5においては、試験材30の長さ方向および幅方向を矢印で示している。長さ方向および幅方向に直交する方向が、固定子鉄心16(図1参照)の径方向に対応する。
(評価情報取得ステップ)
図6を参照して、評価情報取得ステップでは、試験装置40を用いてすべり試験が行われる。なお、図6においては、試験装置40の概略構成が示されている。本実施形態では、試験装置40は、凹部42aを設けた板状の押し付け部材42と、一対のロータ44aを有する支持部44とを備えている。
すべり試験では、板状のスペーサ切出し部材20aを、押し付け部材42の凹部42aに装着し、スペーサ切出し部材20aと支持部44とで試験材30を挟むように支持する。具体的には、試験材30の接触面30aの法線方向に所定の押し付け荷重Fpを付与するように、図示しない加圧装置によって、押し付け部材42に装着したスペーサ切出し部材20aを接触面30aに接触させる。試験材30の表面のうち、前記法線方向において接触面30aと反対側の面30bは、ロータ44aによって、試験材30の長さ方向に移動自在に支持される。なお、スペーサ切出し部材20aは、例えば、上述のスペーサ20から切り出した部材、またはスペーサ20と同様の材料から切り出した部材である。
上記のように試験材30を支持した状態で、図示しない駆動装置によって、試験材30を、例えば、試験材30の長さ方向に往復運動させる。図6においては、往復運動する際の一端位置の試験材30を実線で示し、他端位置の試験材30を一点鎖線で示している。なお、往復運動の方向は、長さ方向に限定するものではなく、幅方向でも良い。本発明者らによって、往復運動の方向によらず、同様な摩耗特性が得られることが確認されている。
上述したように、押し付け部材42に装着したスペーサ切出し部材20aが接触面30aに押し付けられているので、試験材30を往復運動させることによって、接触面30aがスペーサ切出し部材20aに対して摺動し、接触面30aが摩耗する。本実施形態では、このすべり試験によって、図7に示すような、試験材30の往復運動の回数と接触面30aの摩耗量との関係を示す摩耗評価情報を取得する。なお、本実施形態では、接触面30aの摩耗量は、試験材30の往復運動によって摩耗した部分の前記法線方向における高さ(以下、摩耗高さとも記載する。)である。
また、本実施形態では、押し付け荷重Fpおよび変位量ΔS(往復運動における試験材30のスペーサ切出し部材20aに対する変位量)を変更して、図7に示すような摩耗評価情報を、押し付け荷重Fpごとおよび変位量ΔSごとに取得する。
なお、上記の例では、試験材30を往復運動させているが、試験材30がスペーサ切出し部材20aに対して相対的に移動すればよく、スペーサ切出し部材20aを試験材30の長さ方向または幅方向に往復運動させてもよい。
(摩耗速度情報取得ステップ)
摩耗速度情報取得ステップでは、押し付け荷重Fpごとの摩耗評価情報および変位量ΔSごとの摩耗評価情報に基づいて、押し付け荷重Fpと変位量ΔSと接触面30aの摩耗速度との関係を示す摩耗速度情報を取得する。
図7を参照して、本実施形態では、まず、すべり試験によって押し付け荷重Fpごとおよび変位量ΔSごとに得た摩耗量と往復運動の回数との関係を線形近似して近似直線を求め、その近似直線の傾きを摩耗速度として求める。すなわち、押し付け荷重Fpごとに、複数の異なる変位量ΔSに対応する複数の摩耗速度を求め、変位量ΔSごとに、複数の異なる押し付け荷重Fpに対応する複数の摩耗速度を求める。
また、本実施形態では、押し付け荷重Fpごとに求めた複数の摩耗速度に基づいて、図8に示すような、変位量ΔSと摩耗速度との関係を求める。具体的には、例えば、押し付け荷重Fpごとに求めた複数の摩耗速度をべき乗近似して、摩耗速度と変位量ΔSとの関係を示す近似式を算出する。同様に、変位量ΔSごとに求めた複数の摩耗速度に基づいて、図9に示すような、押し付け荷重Fpと摩耗速度との関係を求める。具体的には、例えば、変位量ΔSごとに求めた複数の摩耗速度をべき乗近似して、摩耗速度と押し付け荷重Fpとの関係を示す近似式を算出する。
さらに、本実施形態では、上記のようにして得た近似式から、下記式(i)で示される摩耗速度情報を求める。なお、下記式(i)において、dy/dNは摩耗速度であり、すべり試験における試験材30の1回の往復運動による接触面30aの摩耗高さy(mm)を示す。Fpは、すべり試験において試験材30に付与される単位長さ当たりの荷重(N/m)を示す。また、ΔSは、上述したように、試験材30のスペーサ切出し部材20aに対する変位量(mm)である。a、b、cはそれぞれ係数である。
dy/dN=a・Fp ・ΔS ・・・(i)
図4を参照して、上述したように、発電機10において電磁加振力によってコイルセグメント18aが固定子鉄心16の径方向に振動する際に、コイルセグメント18aとスペーサ20とが衝突する。摩耗速度情報取得ステップでは、この衝突の際に、コイルセグメント18aに付与される単位長さ当たりの衝撃荷重(N/m)を求める。なお、詳細な説明は省略するが、コイルセグメント18aに付与される衝撃荷重は、発電機10の仕様および運転条件等に基づいて求めることができる。本実施形態では、コイルセグメント18aに付与される衝撃荷重Fc(N/m)は、例えば、下記式(ii)で表される。なお、下記式(ii)において、mはコイルセグメント18aの単位長さ当たりの質量(kg/m)であり、vは、コイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際の速度である。
Fc=m・v/(4.60×10−4) ・・・(ii)
また、本実施形態では、電磁加振力によってコイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際の、固定子鉄心16の軸方向におけるコイルセグメント18aのスペーサ20に対するすべり量を推定する。上記すべり量は、発電機10の仕様および運転条件等に基づいて、適宜推定される。すべり量は、例えば、0.035〜0.105mmに設定される。
本実施形態では、荷重Fpとして上記の衝撃荷重Fcを用い、変位量ΔSとして上記のすべり量を用いて上記式(i)によって求められる摩耗速度に基づいて、コイルセグメント18aの摩耗速度を評価する。
(寿命評価ステップ)
寿命評価ステップでは、電磁加振力によってコイルセグメント18aが振動する際の振動数が1秒当たりの試験材30の往復運動の回数に対応するとして、上記式(i)によって求められた摩耗速度に基づいて、コイルセグメント18aの寿命を評価する。
なお、上述の実施形態では、上記式(i)によって求められた摩耗速度に基づいて、固定子コイル部材の寿命を評価する場合について説明したが、押し付け荷重Fpごとおよび変位量ΔSごとに取得した摩耗評価情報に基づいて、コイルセグメント18aの寿命を評価してもよい。また、押し付け荷重Fpごとおよび変位量ΔSごとに取得した摩耗速度情報に基づいて、コイルセグメント18aの寿命を評価してもよい。
以下、実施例によって、本発明をより具体的に説明する。実施例では、まず、コイルセグメント18aから、複数の試験材30(長さ45mm、幅17mm)を採取した。各試験材30の単位長さ当たりの質量は、6.015kg/mであった。
次に、発電機10においてコイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際に、コイルセグメント18aに付与される単位長さ当たりの衝撃荷重(N/m)を推定した。
具体的には、試験材30を自由落下によってスペーサ20に衝突させる試験を行い、その際に生じる衝撃力Fを測定した。その結果,衝撃力Fは力積の考え方で整理でき、下記式(iii)で表わすことができた。なお、下記式(iii)において、mは試験材30の質量であり、vは試験材30がスペーサ20に衝突する際の速度である。
F=m・v/(4.60×10−4) ・・・(iii)
上記式(iii)に基づいて、発電機10においてコイルセグメント18aに付与される衝撃荷重Fc(N/m)は、下記式(ii)で表すことができる。なお、下記式(ii)において、mはコイルセグメント18aの単位長さ当たりの質量(kg/m)であり、vは、コイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際の速度である。
Fc=m・v/(4.60×10−4) ・・・(ii)
発電機10において電磁加振力によってコイルセグメント18aが振動している際のコイルセグメント18aの加速度が一定であると仮定すると、コイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際の速度vは、下記式(iv)で表わすことができる。なお、下記式(iv)において、aは固定子鉄心16の径方向におけるコイルセグメント18aの加速度であり、tは、コイルセグメント18aがウェッジ22(図4参照)側からスペーサ20(図4参照)側へ移動するのに要する時間である。
=a・t ・・・(iv)
ここで、ウェッジ22(図4参照)側からスペーサ20(図4参照)側へのコイルセグメント18aの移動距離y(m)は、下記式(v)で表すことができる。
=(1/2)・a・t ・・・(v)
上記式(v)から、移動時間tは、下記式(vi)で表すことができる。
=√(2y/a) ・・・(vi)
上記式(iv)および(vi)から、コイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際の速度vは、下記式(vii)で表すことができる。
=√(2a・y) ・・・(vii)
ここで、寿命を評価する対象である発電機10の加振力Fは、1568N/mであり、コイルセグメント18aの質量mは、6.015kg/mであった。このため、固定子鉄心16の径方向におけるコイルセグメント18aの加速度a(=F/m)は、261m/sと推定できる。コイルセグメント18aの移動距離yが0.005mであると仮定すると、上記式(ii)および(vii)に基づいて、コイルセグメント18aがスペーサ20に衝突する際に、コイルセグメント18aに付与される単位長さ当たりの衝撃荷重Fcは、20.9kN/mであると推定される。
次に、採取した複数の試験材30を用いて、上述のすべり試験を実施した。なお、すべり試験では、上記のように推定した衝撃荷重Fcを考慮して、押し付け荷重Fpを設定した。具体的には、試験材30の長さは45mmであるので、試験材30に20.9kN/mの荷重を付与するためには、押し付け荷重Fpを940.5Nに設定する必要がある。ただし、一般に、コイルセグメント18aの移動距離yは0.005m以下であると考えられるので、押し付け荷重Fpは、940.5Nよりも小さい値に設定した。具体的には、押し付け荷重Fpは、350Nおよび700Nに設定した。
また、本実施例では、変位量ΔSは、0.3mmおよび0.5mmに設定した。すべり試験における試験材30の振動数は、20Hzに設定した。すべり試験によって得られた摩耗評価情報を図10および図11に示す。なお、図10は、変位量ΔSを0.5mmに設定した場合の摩耗評価情報であり、図11は、押し付け荷重Fpを700Nに設定したときの摩耗評価情報である。
次に、上記の摩耗評価情報において、摩耗高さと往復運動の回数との関係を線形近似することによって、摩耗速度を求めた。その結果、押し付け荷重Fpが700Nで変位量ΔSが0.5mmの場合は、摩耗速度が2.045×10−7(mm/回)であり、押し付け荷重Fpが350Nで変位量ΔSが0.5mmの場合は、摩耗速度が2.570×10−8(mm/回)であり、押し付け荷重Fpが700Nで変位量ΔSが0.3mmの場合は、摩耗速度が6.470×10−8(mm/回)であった。これらの関係から、上述の(i)式を求めた。ここで、摩耗速度のΔSに対する依存性(図8中の傾きc)は荷重によらず一定であり、摩耗速度の荷重に対する依存性(図9中の傾きb)はΔSによらず一定であるとの前提に立つと、上述の(i)式の係数bは、2.992であり、係数cは、2.253であった。これらを(i)式に代入すると,係数aはおのずと求まり、2.798×10−19となった。
ここで、本実施例では、コイルセグメント18aの単位長さ当たりの質量は、6.015kg/mであり、コイルセグメント18aの加速度aは、261m/sである。コイルセグメント18aの移動距離y(m)がコイルセグメント18aの摩耗高さy(固定子鉄心16の径方向における摩耗量。単位はm。)に等しいとすると、上記式(ii)および(vii)に基づいて、コイルセグメント18aに付与される衝撃荷重Fc(N/m)は、下記式(viii)で表すことができる。
Fc=(2.988×10)√y ・・・(viii)
さらに、衝撃荷重Fcは、摩耗高さyをmmの単位で表した摩耗高さyhm(=1000×y)を用いると、下記式(ix)で表すことができる。
Fc=9449√yhm ・・・(ix)
固定子鉄心16の軸方向もしくは幅方向におけるコイルセグメント18aのすべり量を0.1mmと仮定して、上記式(i)の変位量ΔSに0.1を代入し、上記式(ix)の衝撃荷重Fcを上記式(i)の荷重Fpに代入することによって、コイルセグメント18aの摩耗速度dyhm/dNは、下記式(x)で表すことができる。なお、上述したように、上記式(i)の係数a、b、およびcの値はそれぞれ、2.798×10−19、2.992、および2.253である。なお、摩耗速度dyhm/dNは、電磁加振力によってコイルセグメント18aが1回振動する際の、コイルセグメント18aの摩耗量を示す。
dyhm/dN=(1.226×10−9)yhm 1.496 ・・・(x)
ここで、係数p(=1.226×10−9)およびq(=1.496)を用いて、上記式(x)は、下記式(xi)に変換できる。
dN=(1/p)yhm −qdyhm ・・・(xi)
上記式(xi)を積分することによって、摩耗高さyhm1から摩耗高さyhm2になるまでの間のコイルセグメント18aの振動回数Nは、下記式(xii)で示すことができる。
N=1/(p(1‐q))×(yhm2 1−q−yhm1 1−q) ・・・(xii)
係数pおよびqはそれぞれ、1.226×10−9および1.496であるので、コイルセグメント18aの振動回数Nは、下記式(xiii)で表すことができる。
N=−1.644×10(yhm2 −0.496−yhm1 −0.496) ・・・(xiii)
例えば、摩耗高さyhm1を0.1mmとし、摩耗高さyhm2を3.0mmとすると、上記式(xiii)に基づいて、コイルセグメント18aの振動回数Nは、4.2×10回となる。発電機10における電磁加振力の振動数(周波数)が120Hzであるとすると、コイルセグメント18aの摩耗高さが0.1mmから3.0mmになるまでの発電機10の運転時間は、1.1年になる。このように、本発明によれば、コイルセグメント18aが所定の摩耗高さになるまでの時間(コイルセグメント18aの寿命)を推定することができる。
なお、コイルセグメント18aのすべり量を0.035mmおよび0.105mmとした場合、摩耗高さが0.1mmから3.0mmになるまでの発電機10の運転時間は、それぞれ12年および1年となる。コイルセグメント18aの寿命は、一般に1〜12年であると考えられるので、上記すべり量を0.035〜0.105mmの範囲の値に設定することによって、コイルセグメント18aの寿命をより適切に評価できると考えられる。
また、ある事例では部分放電が起こってから,5〜6年で絶縁破壊による不具合が生じたことが判明した。この場合,上記すべり量が0.051〜0.057mmの範囲であったことが推定される。
なお、全く使用実績のない回転電気を評価対象とする場合には、例えば、上記すべり量を0.105mmに設定すればよい。なお、上記すべり量は、メンテナンス実績に応じて調整すればよい。
本発明によれば、固定子コイル部材の適切な寿命評価が可能になる。
10 発電機
12 固定子
14 回転子
16 固定子鉄心
18 固定子コイル
18a コイルセグメント
20 スペーサ
20a スペーサ切出し部材
30 試験材

Claims (10)

  1. 円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内において前記固定子鉄心の径方向にスペーサを介して積層される複数の固定子コイル部材とを有する回転電機の前記固定子コイル部材の摩耗評価方法であって、
    前記固定子コイル部材は、前記回転電機において前記スペーサに接触する接触面を有し、
    前記固定子コイル部材から所定長さの試験材を切り出す、切り出しステップと、
    前記試験材における前記接触面の法線方向に押し付け荷重を付与するようにスペーサ切出し部材を前記試験材に接触させた状態で、前記試験材を、前記スペーサ切出し部材に対して相対的に往復運動させて、前記往復運動の回数と前記接触面の摩耗量との関係を示す摩耗評価情報を取得する、評価情報取得ステップと、
    を備え
    前記スペーサ切出し部材は、前記スペーサから切り出した部材、または前記スペーサと同じ材料から切り出した部材であり、
    前記評価情報取得ステップでは、前記押し付け荷重または前記往復運動における前記試験材の前記スペーサ切出し部材に対する変位量を変化させて、前記押し付け荷重ごとの前記摩耗評価情報または前記変位量ごとの前記摩耗評価情報を取得する、固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  2. 前記摩耗量は、前記往復運動によって摩耗された部分の前記法線方向における高さである、請求項1に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  3. 前記評価情報取得ステップでは、前記押し付け荷重および前記往復運動における前記試験材の前記スペーサ切出し部材に対する変位量を変化させて、前記押し付け荷重ごとの前記摩耗評価情報および前記変位量ごとの前記摩耗評価情報を取得する、請求項1または2に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  4. 前記押し付け荷重ごとの前記摩耗評価情報および前記変位量ごとの前記摩耗評価情報に基づいて、前記押し付け荷重と前記変位量と前記接触面の摩耗速度との関係を示す摩耗速度情報を取得する、摩耗速度情報取得ステップ、
    をさらに備える請求項3に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  5. 前記摩耗速度は、1回の前記往復運動における前記接触面の摩耗量である、請求項4に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  6. 前記回転電機において電磁加振力によって前記固定子コイル部材が前記径方向に振動して前記固定子コイル部材が前記スペーサに衝突する際に、前記固定子コイル部材に付与される衝撃荷重を前記押し付け荷重とし、かつ
    前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が前記スペーサに衝突する際の、前記固定子鉄心の軸方向における前記固定子コイル部材の前記スペーサに対するすべり量を前記変位量として、
    前記摩耗速度情報に基づいて、前記固定子コイル部材の摩耗速度を評価する、請求項4または5に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  7. 前記すべり量は、0.035〜0.105mmに設定される、請求項6に記載の固定子コイル部材の摩耗評価方法。
  8. 前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が振動する際の振動数を1秒当たりの前記往復運動の回数として、請求項1から3のいずれかに記載された固定子コイル部材の摩耗評価方法によって取得された摩耗評価情報に基づいて、前記固定子コイル部材の寿命を評価する、寿命評価ステップ、
    を備える固定子コイル部材の寿命評価方法。
  9. 前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が振動する際の振動数を1秒当たりの前記往復運動の回数として、請求項4または5に記載された固定子コイル部材の摩耗評価方法によって取得された摩耗速度情報に基づいて、前記固定子コイル部材の寿命を評価する、寿命評価ステップ、
    を備える固定子コイル部材の寿命評価方法。
  10. 前記電磁加振力によって前記固定子コイル部材が振動する際の振動数を1秒当たりの前記往復運動の回数として、請求項6または7に記載された固定子コイル部材の摩耗評価方法によって評価された摩耗速度に基づいて、前記固定子コイル部材の寿命を評価する、寿命評価ステップ、
    を備える固定子コイル部材の寿命評価方法。
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