JP6847438B2 - 製紙工程におけるピッチ障害抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は製紙工程におけるピッチ障害抑制方法に関する。
従来から、製紙工程においてはピッチによる障害が発生し、これを抑制・防止するために、様々な薬剤の開発が行われてきた。
ピッチとは、木材やパルプおよび紙から遊離した天然樹脂やガム物質、さらには紙およびパルプの製造工程で使用される添加剤等に由来する有機物を主体とする非水溶性の粘着物質のことをいう。
一般に、ピッチは、紙およびパルプの製造工程の工程水(パルプスラリーや白水)中では、コロイド状態で分散しているが、何らかの外的作用、例えば、大きな剪断力、pHの急激な変化、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)の過剰添加などにより、そのコロイド状態が破壊されて、凝集、巨大化するものと考えられている。
この凝集、巨大化したピッチは、その粘着性により、紙やパルプ、さらにはファンポンプ、配管内、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロールなどの製造装置類に付着するだけでなく、この付着物が剥離して紙やパルプに再付着する。そして、形成された紙の汚点・欠点が紙製品の品質を低下させ、発生する断紙が生産性・作業性を低下させるなどの障害を引き起こす。
近年、紙の多様化により添加剤の種類やその使用量が増加し、また古紙の使用比率が増加し、製紙工程中で使用する水のクローズド化が高くなるにつれて、従来にも増してピッチ障害の発生が増加すると共に、その発生形態が複雑化している。
例えば、従来のグランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプ由来のピッチや、クラフトパルプ(KP)などの化学パルプ由来のピッチのみでなく、古紙原料由来のピッチトラブルが増加している。古紙原料由来のピッチとしては、雑誌の背糊(ポリ酢酸ビニル)やラベル(アクリル系粘着糊)のような合成樹脂が挙げられる。
また、生産性を向上させるために、装置の大型化、抄紙速度の上昇により、他の要因と相まって、ワイヤーパート、プレスパートのロール、毛布、毛布サクションボックスへのピッチ汚れの問題が顕在化している。
このようなピッチ障害を抑制する方法として、微細タルクなどの無機系化合物にピッチ成分を吸着させる方法、凝集する前のピッチ粒子をパルプ繊維に定着させる方法、ピッチ粒子を分散させる方法およびこれらを組み合わせた方法などが提案され、実用化されている。
例えば、特許文献1には、製紙工程中の調成工程において、ミキシングチェストで攪拌・混合に付される以前のパルプスラリーに無機アルミニウム化合物を添加し、ミキシングチェストで攪拌・混合に付される以後のパルプスラリーに分子量20,000〜200,000のポリジアリルジメチルアンモニウム塩を添加する製紙工程用ピッチ障害防止方法が開示されている。
また、特許文献2には、使用する目的に合わせポリマーの分子量、ペンダント二重結合の数、ポリマー構造などの設計可能で、水系でも溶剤系でも共重合に供することができ、かつ他の組成からなる高分子鎖中に共有結合を介してカチオンポリマー鎖を導入することができる、反応基を有する新規な両親媒性のカチオン性高分子組成物が開示されている。
そして、特許文献2には、このような高分子組成物が、モノアリル化合物および/またはジアリル化合物とトリアリル化合物および/またはテトラアリル化合物とを共重合させることにより、またモノアリル化合物および/またはジアリル化合物とトリアリル化合物および/またはテトラアリル化合物と末端に不飽和結合を有するポリアルキレングリコール化合物とを共重合させることにより得られることが開示されている。
一般的に、製紙プロセスは、1)パルプ化工程、2)薬品配合を行う調成工程、3)抄紙工程、4)仕上げ工程に分けられており、従来のピッチ障害抑制方法では、製紙工程中(調成工程及び抄紙工程)のパルプスラリーに、ピッチコントロール剤を添加し、主に製紙工程で生じるピッチ障害を抑制する方法が提案されていた。しかしながら、このような方法では製紙工程におけるピッチ障害の防止効果が充分とはいえず、さらに有効なピッチ障害抑制方法が望まれている。
特開2008−007905号公報 特開2013−181130号公報
そこで、本発明は、製紙工程におけるピッチ汚れの抑制・防止に有用なピッチ障害抑制方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、製紙工程の前段階であるパルプ化工程におけるパルプスラリーにピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加することで製紙工程におけるピッチ汚れの優れた抑制・防止効果を発揮する事実を見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、製紙工程におけるピッチ障害抑制方法であって、製紙工程の前段階であるパルプ化工程におけるパルプスラリーにピッチ分散剤添加することを含み、記パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器であって排水ラインより上流側に設置されている機器のうち少なくとも1つの機器内にあるパルプスラリーに、上記ピッチ分散剤添加し、上記排水ラインは、上記パルプスラリーが流れる原料ラインから、白水をパルプ化工程の系外へ排出するラインであることを特徴とするピッチ障害抑制方法である。
上記ピッチ分散剤は、界面活性剤、カチオンポリマー及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器は、上記機器内で50rpm以上3000rpm以下の回転速度でパルプスラリーを攪拌する機器であることが好ましい。
上記パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器であって排水ラインより上流側に設置されている機器は、パルパー、リファイナー、スクリュープレス、ダブルセパレーター及びファンポンプからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器であって排水ラインより上流側に設置されている機器は、パルパーであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、製紙工程におけるピッチ障害抑制方法であって、製紙工程の前段階であるパルプ化工程におけるパルプスラリーにピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加することを特徴とするピッチ障害抑制方法である。これによりパルプ化工程におけるパルプスラリーにおいてピッチ成分の凝集や粘着性が抑制され、及び/又は、パルプスラリー中のピッチ成分量が低減されるため、製紙工程に導入されるパルプスラリーにおけるピッチ成分の肥大化が抑制され、製紙工程でのピッチ障害を防止することができる。
本発明のピッチ障害抑制方法は、パルプ化原料が、木材及び古紙のいずれであってもよい。
例えば、古紙を原料とする場合、古紙のパルプ化工程は、主として離解工程、粗選・精選工程および脱水・洗浄工程を含んでなる。さらに、古紙に含まれるインクを除去する脱墨工程及びパルプを化学的に漂白する漂白工程を含む場合もある。各工程について具体的に説明すると、原料となる古紙を水と混合しながら機械力でパルプスラリーとする離解(パルパー)工程、古紙に含まれる異物を除去する粗選(除塵)工程、脱墨剤を加えてインキ成分を除去する脱墨工程、古紙に含まれる異物とパルプ分とをスクリーンで分離する精選工程、パルプスラリーを水洗する洗浄工程、及びパルプの脱水を行う脱水工程、漂白剤を加えてパルプの漂白を行う漂白工程である。上記各工程で用いられる水、及び排水される水を白水という。また、上記パルパー工程において原料である古紙と白水とが混合されたものをパルプスラリーという。
また、木材を原料とする場合、例えば、化学パルプのパルプ化工程は、主として調木工程、蒸解工程、精選・洗浄工程及び脱水工程を含んでなる。さらに、パルプを化学的に漂白する漂白工程を含む場合もある。上記蒸解工程では、チップに薬品を加え、高温・高圧で煮、樹脂(リグニン)を溶かし繊維分を取り出し、チップをパルプ化する。すなわち、パルプ原料は蒸解工程を経てパルプスラリーとなる。また、機械パルプのパルプ化工程は、砕木工程、除塵工程及び濃縮工程を含んでなる。さらに、パルプを化学的に漂白する漂白工程を含む場合もある。上記工程では機械的に繊維化することでパルプスラリーとなる。
本発明のピッチ障害抑制方法は、原料が木材であっても古紙であっても、パルプ化工程におけるパルプスラリーに、ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加するピッチ障害抑制方法であり、ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を、パルプ化工程においてパルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器のうち少なくとも1つの機器にあるパルプスラリーに、及び/又は、上記機器よりも上流側のパルプスラリーに添加することが好ましい。ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を上述の特定の位置に添加することにより、ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤とパルプスラリーとが充分に攪拌混合され、パルプスラリーに含まれるピッチ成分が充分に分散されピッチ成分の凝集を抑制できるためである。
なお、本発明において、機械的シェアをかける機器とは、例えば、機器内で50rpm以上3000rpm以下の回転速度でパルプスラリーを攪拌する機器をいい、機器内のパルプスラリーに働く応力が、配管を流れるパルプスラリーに働く応力よりも大きい箇所をいう。具体的には、パルパー、リファイナー、スクリュープレス、ダブルセパレーター、精選スクリーン、ロータリースクリーン、ウォッシャー、シックナー及びファンポンプ等が挙げられる。好ましい具体的な機器としては、パルパー、リファイナー及びファンポンプが挙げられる。
さらに、本発明においては、ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を、排水ラインよりも上流側に添加することがより好ましい。上述の通り、機械的シェアをかける機器のうち少なくとも1つの機器よりも上流側のパルプスラリーにピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加することにより、パルプスラリー中ピッチ成分が充分に分散され、その後、排水ラインを介して、分散されたピッチ成分が白水と共にパルプ化工程の原料ラインから排出されるため、パルプスラリー中のピッチ成分量を低減できる。そのため、パルプ化工程に続く製紙工程におけるピッチ障害をより効果的に防止することができる。
なお、上記排水ラインは、パルプスラリーが流れる原料ラインから、白水をパルプ化工程の系外へ排出するラインを意味し、再利用のため白水を回収するラインは含まれない。
また、パルプ化工程からピッチ成分を系外に排出する方法には、上述の通り排水ラインを介してピッチ成分を白水と共に原料ラインから排出する方法の他に、ピッチ成分をパルプスラリーと共にパルプ化工程から続く調成工程へ移送する方法もあるが、上記「排水ライン」に該当するのは、ピッチ成分を白水と共に原料ラインから排出するラインである。
本発明のピッチ障害抑制方法は、フローテーターを含まないパルプ化工程に用いられることが好ましく、また、フローテーターを含む場合であってもフローテーターを除く原料ラインに、分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加することが好ましい。パルプスラリーに含まれるピッチ成分が分散され、排水ラインを介して、分散されたピッチ成分が白水と共にパルプ化工程の原料ラインから排出されるため、パルプスラリー中のピッチ成分量を減少させることができる。パルプ化工程にフローテーターを含む場合は、フローテーターよりも上流側のパルプスラリーにピッチ分散剤及び/又は酸化剤を添加することがより好ましい。排水ラインが存在しない場合であっても、フローテーターにおける脱墨処理時のピッチ除去効果を高めることができる。また、パルプ化工程にフローテーターを含む場合は、フローテーターよりも下流側のパルプスラリーにピッチ分散剤及び/又は酸化剤を添加することが好ましい。パルプスラリーに含まれるピッチ成分が分散され、排水ラインを介して、分散されたピッチ成分が白水と共にパルプ化工程の原料ラインから排出されるため、パルプスラリー中のピッチ成分量が減少するためである。また、排水ラインが存在しない場合であっても、パルプスラリー中のピッチ成分の分散状態を維持することができ、パルプ化工程に続く製紙工程でのピッチ障害を効果的に防止できるためである。
なお、パルプ化工程において、排水ラインが存在しない場合には、パルプ化工程にピッチ分散剤及び/又は酸化剤を添加することによってパルプスラリー中のピッチ成分の分散状態を維持し、ピッチによるトラブルがない状態にし、ピッチ成分が凝集し肥大化することなく、分散状態にあるピッチをパルプに抄き込んで製紙工程系外へ排出することができる。
本発明で用いられる上記特定の酸化剤は、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、二酸化塩素、過酸化水素及び結合ハロゲンからなる群より選択される少なくとも1種である。
上記次亜塩素酸塩としては、具体的には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、本発明ではこれらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
上記亜塩素酸塩としては、具体的には、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム及び亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、本発明ではこれらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
上記二酸化塩素は、極めて不安定な化学物質であるため、その貯蔵や輸送は非常に困難である。したがって、その場で公知の方法により二酸化塩素を製造(生成)し、添加濃度に調整して用いるのが好ましい。
例えば、次のような反応により二酸化塩素を製造することができ、市販の二酸化塩素発生器(装置)を用いることもできる。
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの反応
NaOCl+2HCl+2NaClO → 2ClO+3NaCl+H
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との反応
5NaClO+4HCl → 4ClO+5NaCl+2H
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との反応
2NaClO+H+HSO → 2ClO+NaSO+O+2H
また上記結合ハロゲンとしては、結合塩素及び結合臭素等が挙げられ、具体的には、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンであることが好ましい。
上記モノクロラミン及びモノブロラミンは、OCl−(Br−)+NH+→NHCl(Br)+HOのような反応で生成される穏やかな酸化剤である。例えば、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウム化合物とを混合することによりモノクロラミンを生成でき、アンモニウム化合物としては、具体的に、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次亜塩素酸塩とアンモニウム化合物とのモル比は、一又は複数の実施形態において、残留塩素量と窒素とのモル比として1:1〜1:2であることが好ましい。
なお、上記酸化剤の添加量は、パルプスラリーの状態などにより適宜設定すればよいが、通常、古紙パルプであればパルプ化工程におけるパルパーなどの機械的シェアがかかる場所、化学パルプや機械パルプであれば洗浄工程の前段などの機械的シェアがかかる場所におけるパルプスラリーに対して、パルプスラリー中の酸化剤濃度が5ppm以上、100ppm以下になるように添加することが好ましく、10ppm以上、80ppm以下になるように添加することがより好ましく、経済性の点から、50ppm以下になるように添加することが更に好ましい。
また、上記酸化剤は、パルプスラリー中の残留塩素量(モノブロラミンの場合は残留塩素量換算値として)が、0.5mg/L以上、30mg/L以下になるように添加することが好ましく、1mg/L以上、30mg/L以下になるように添加することがより好ましく、経済性の点から、1mg/L以上、10mg/L以下、又は、1mg/L以上、5mg/L以下になるように添加することが更に好ましい。
また、本発明のピッチ障害抑制方法に用いられる酸化剤は、結合ハロゲンを含むことが特に好ましい。パルプスラリー中の残留塩素量が持続し、ピッチ障害抑制効果を持続して発揮するためである。
なお、本発明における「残留塩素量」の記載は、モノブロラミンである場合には「残留塩素量換算値」を意味する。
本発明において用いられるピッチ分散剤は、界面活性剤、カチオンポリマー及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ピッチ成分の凝集や粘着性を低減させる点から、2種以上であることがより好ましい。
上記界面活性剤は、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記カチオン界面活性剤としては、例えば、炭素数10〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩及びジアルキルジメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム化合物、炭素数10〜18のジヒドロキシエチルアルキルアミン等が挙げられる。
具体的には、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、デシルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド及びオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン及びジヒドロキシエチルオレイルアミン等が挙げられ、本発明ではこれらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。また、これらの中でも、パルプスラリー中のピッチ成分の分散性向上効果の点で、炭素数12〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩及び炭素数12〜18のジヒドロキシエチルアルキルアミン等が好ましく、炭素数12〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド及びジヒドロキシエチルステアリルアミンが特に好ましい。
上記ノニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加物、及び、高級アルコールエーテルのエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加物等が挙げられる。
高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加物としては、炭素数10〜20の飽和又は不飽和の脂肪族アミンに、エチレンオキサイドを15〜30モル付加させたもの、プロピレンオキサイドを0〜15モル付加させたものが、ピッチ成分の分散性向上効果の点で好ましく、エチレンオキサイドを15〜20モル付加させたもの、プロピレンオキサイドを0〜5モル付加させたものがさらに好ましい。
炭素数10〜20の飽和または不飽和の脂肪族アミンとしては、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、牛脂アルキルアミン、及び、ヤシアルキルアミンが挙げられる。ここで、牛脂アルキルアミン、ヤシアルキルアミンとは、そのアミンがヤシ油もしくはヤシ脂肪、牛脂などから公知の手段により製造された炭素数12〜20の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基がその主要成分を占めるアミンの混合物(混合アルキルアミン)であることを意味する。
高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの付加物は、具体的には、ステアリルアミン・エチレンオキサイド20モル付加物及び牛脂アミン・エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加比85/15(エチレンオキサイド31モルプロピレンオキサイド4モル付加物)が特に好ましい。
高級アルコールエーテルのエチレンオキサイドの付加物としては、炭素数12〜18の飽和または不飽和の脂肪酸に、エチレンオキサイドを4〜50モル付加させたもの、プロピレンオキサイドを0〜15モル付加させたものが、ピッチ成分の分散性向上の点で好ましく、ポリオキシエチレンアルキルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
高級アルコールエーテルのエチレンオキサイドの付加物は、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルドデシルフェニルエーテルが挙げられる。このうち、ポリオキシエチレンアルキルフエノールエーテルの使用が好ましく、特にエチレンオキサイド10〜16モル付加のポリオキシエチレンノニルフエノールエーテルが特に好ましい。
上記両性界面活性剤としては、例えば、炭素数10〜18の飽和または不飽和のアルキル基を有するアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
具体的には、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヘキサデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクタデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及び、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、本発明ではこれらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。また、これらの中でも、パルプスラリー中のピッチ成分の分散性向上効果の点で、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が好ましい。
上記カチオンポリマーとしては、例えば、水溶性アルミニウム化合物、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩及びエピクロルヒドリン−ジアルキルアミン縮合物等が挙げられる。
上記水溶性アルミニウム化合物としては、具体的には、ポリ塩化アルミニウム及びポリ塩化ヒドロキシアンモニウム等が挙げられる。
上記ポリジアリルジメチルアンモニウム塩としては、具体的には分子量20,000〜100,000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムブロマイド、ポリジアリルジメチルアンモニウムナイトレート、ポリジアリルジメチルアンモニウムサルフェイト及びポリジアリルジメチルアンモニウムホスフェイトなどが挙げられ、なかでもポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドが特に好ましい。
上記エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン縮合物としては、具体的には分子量10,000〜200,000のエピクロルヒドリンジメチルアミン縮合物およびエピクロルヒドリンジエチルアミン縮合物等が挙げられる。
本発明ではこれらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。また、これらの中でも、パルプスラリー中のピッチ成分の分散性向上効果の点で、ポリ塩化アルミニウム及び/又は分子量20,000〜100,000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、高級脂肪酸アルキルアミド、グリコール、グリコールエーテル及びジメチルスルホキシド及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記高級脂肪酸アルキルアミドとしては、具体的には、トール油脂肪酸ジメチルアミドが挙げられる。
上記、グリコールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコール等が挙げられる。
上記、グリコールエーテルとしては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーエル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロポキシプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
本発明ではこれらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。また、これらの中でも、パルプスラリー中のピッチ成分の分散性向上効果の点で、トール油脂肪酸ジメチルアミド、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましい。
本発明に用いられるピッチ分散剤及び/又は酸化剤は、上記酸化剤、上記界面活性剤、上記カチオンポリマー及び上記有機溶剤からなる群から選択される少なくとも2種であることが好ましい。ピッチの種類やパルプスラリーの組成によって好ましい組合せは異なるが、酸化剤及びノニオン界面活性剤の組合せ、酸化剤、ノニオン界面活性剤及びカチオンポリマーとの組合せ、酸化剤及びカチオンポリマーの組合せがより好ましい。具体的に、酸化剤としては、次亜塩素酸塩、二酸化塩素及びモノクロラミンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、カチオン界面活性剤としてラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド及び/又はジヒドロキシエチルステアリルアミンが好ましい。ノニオン界面活性剤としては、エチレンオキサイド15〜30モル付加のポリオキシエチレンステアリルアミン及び/又はエチレンオキサイド10〜16モル付加のポリオキシエチレンノニルフエノールエーテルが好ましい。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。カチオンポリマーとしては、ポリ塩化アルミニウム及び/又は分子量20,000〜100,000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドが好ましい。有機溶剤としては、トール油脂肪酸ジメチルアミド、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1種が好ましい。
少なくとも2種のピッチ分散剤の好ましい組み合わせとしては、ポリオキシエチレンステアリルアミン及びポリ塩化アルミニウムの組合せ、ポリオキシエチレンステアリルアミン及びトール油脂肪酸ジメチルアミドの組合せ、ポリオキシエチレンステアリルアミンとトール油脂肪酸ジメチルアミド及びポリ塩化アルミニウムの組合せ、ポリオキシエチレンステアリルアミン及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの組合せ、ポリオキシエチレンステアリルアミン、トール油脂肪酸ジメチルアミド及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの組合せが挙げられる。
酸化剤とピッチ分散剤との好ましい組み合わせとして、モノクロラミン及びポリ塩化アルミニウムの組合せ、モノクロラミン、トール油脂肪酸ジメチルアミド及びポリ塩化アルミニウムの組合せ、モノクロラミン及びポリオキシエチレンステアリルアミンの組合せ、モノクロラミン、トール油脂肪酸ジメチルアミド及びポリオキシエチレンステアリルアミンの組合せ、次亜塩素酸ナトリウム及びポリ塩化アルミニウムの組合せ、次亜塩素酸ナトリウム、トール油脂肪酸ジメチルアミド及びポリ塩化アルミニウムの組合せ、次亜塩素酸ナトリウム及びポリオキシエチレンステアリルアミンの組合せ、次亜塩素酸ナトリウム、トール油脂肪酸ジメチルアミド及びポリオキシエチレンステアリルアミンの組み合わせが挙げられる。
上記ピッチ分散剤が界面活性剤及び/又は有機溶剤の場合は、パルプ化工程におけるパルプスラリーに対し、添加総量が対パルプ換算で、例えば、上限が1.5kg/tであることが好ましく、上限が1.0kg/tであることがより好ましく、経済性の点から上限が0.5kg/tであることがさらに好ましい。また、下限は、0.1kg/tであることが好ましく、0.25kg/tであることがより好ましい。上記ピッチ分散剤がカチオンポリマーの場合は、添加総量が対パルプ量換算で、例えば、上限が3.0kg/tであることが好ましく、上限が1.5kg/tであることがより好ましく、経済性の点から1.0kg/tであることがさらに好ましい。また、下限は、0.1kg/tであることが好ましく、0.25kg/tであることがより好ましい。パルプスラリーに対し上記添加量でピッチ分散剤が添加されることにより、パルプスラリー中のピッチ成分の分散性を維持し、ビッチの肥大化を防止することができるためである。
また、上記ピッチ分散剤は、連続添加されてもよく、間欠添加されてもよいが、連続添加されることが好ましい。
また、本発明のピッチ障害抑制方法は、パルプ化工程におけるパルプスラリーに、ピッチ分散剤及び特定の酸化剤を添加することが好ましい。パルプ化工程におけるパルプスラリーに、ピッチ分散剤に加え酸化剤を添加することにより、ピッチの肥大化をより効果的に抑制することができるため、パルプ化工程に続く製紙工程におけるピッチ障害の発生を予防することができる。
さらに、本発明で用いられるピッチ分散剤は、残留塩素濃度が0.5mg/L以上、30mg/L以下のパルプスラリーに添加されることがより好ましい。パルプ化工程におけるパルプスラリー中のピッチ成分の肥大化の抑制及び分散性向上効果の点で好適であるためである。
また、上記ピッチ分散剤及び特定の酸化剤は、連続添加されてもよく、間欠添加されてもよいが、連続添加されることが好ましい。
なお、本発明において連続添加とは、パルプ化工程におけるパルプスラリーに対し上記ピッチ分散剤及び/又は上記酸化剤を持続的に供給して添加することを意味する。なお、持続的に供給するとは、上記ピッチ分散剤及び/又は酸化剤をパルプスラリーに供給し続けること、及び、供給と停止を繰り返す場合であっても停止時間が30分未満である場合は持続的に供給するという。
本発明のピッチ障害抑制方法では、上記ピッチ分散剤及び/又は上記特定の酸化剤を、パルプ濃度が、0.5〜50%であるパルプスラリーに添加することが好ましく、パルプ濃度が2.0〜20%であるパルプスラリーに添加することがより好ましい。
図1は、本発明の一形態を説明する古紙パルプ化工程を説明するブロック図である。
古紙原料は、パルパー1でパルプスラリーにされ、スクリュープレス2で脱水後、熟成タワー3に貯蔵される。次に、熟成タワー3から送付されたパルプスラリーはダブルセパレーター4を経て、フォールウォッシャー5及びロータリースクリーン6で脱墨され、ストックチェスト7aに貯蔵される。その後、パルプスラリーは、過酸化水素晒タワー8で漂白され、ウォッシャー9及びシックナー10にて洗浄・脱水され、完成チェスト7bに貯蔵される。各工程で排出される白水は、白水回収ライン12により回収され、白水ピット11に集約される。
白水ピット11に回収された白水は、パルパー1、パルパー1と熟成タワー3とをつなぐ流路、晒タワー8とウォッシャー9とをつなぐ流路等に白水を供給するための白水供給ライン13を介し、古紙パルプ製造工程へ供給され、再利用される。
このように、一般的にパルプ化工程においては複数回の洗浄・脱水工程を有しており、パルパー、リファイナー、スクリュープレス、ダブルセパレーター、精選スクリーン、ロータリースクリーン、ウォッシャー、シックナー及びファンポンプ等の各機器において、パルプスラリーが撹拌される。
本発明のピッチ障害抑制方法においては、排水ラインよりも上流側にある撹拌工程よりも上流側のパルプスラリーに上記ピッチ分散剤及び/又は上記酸化剤が添加されていることが好ましい。パルプスラリー中のピッチ成分の凝集がより効果的抑制され、分散性が上がり、続く排水ラインにおいて白水と共にピッチ成分が排出されるためである。
また、本発明のピッチ障害抑制方法においては、さらに、排出ラインよりも下流側のパルプスラリーに上記ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加することが好ましい。パルプスラリー中に残存するピッチ成分の凝集及び肥大化を抑制し、続く製紙工程におけるピッチ障害を効果的に予防できるためである。
また、パルプ化工程における上記ピッチ分散剤及び/又は上記特定の酸化剤の添加は、白水ループ毎に少なくとも一箇所で行われることがさらに好ましい。ここで、白水ループとは、パルプ化工程から抽出及び/又は排水される白水が白水ピットに集約され、白水ピットに集約された白水が上記パルプ化工程の原料ラインに供給されることで形成される白水の再循環系のことをいい、一つの白水ピットに対し一つの白水ループが形成される。なお、一つの白水ピットから複数の白水供給ラインを有する場合は、白水ピットから古紙パルプ製造工程の最上流側に白水を供給する最上流側白水供給ラインで形成される白水の再循環系を白水ループといい、上記最上流側白水供給ラインから分岐する白水供給ラインも上記白水ループの一部に含まれる。
本発明のピッチ障害抑制方法により、製紙工程におけるピッチ障害を予防することができる。
図1は、本発明の一形態を説明する古紙パルプ化工程を説明するブロック図である。
以下の実施例及び比較例に基いて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実機試験1:本試験はピッチ分散剤をパルプ化工程におけるパルプスラリーに連続添加することで製紙工程におけるピッチ障害を防止した例である。
(実施例1及び比較例1)
某製紙工場Aにて試験を行った。
(試験運転条件)
当該製紙工場Aでは、原料に印刷古紙を使用しており、従来パルプ化工程におけるピッチコントロールは行われておらず、製紙工程におけるピッチコントロールが行われていた。具体的に従来は、ピッチ障害が発生する製紙工程でピッチコントロール剤(界面活性剤系薬剤)の添加が行われていた。
なお、製紙工場Aでは、パルプ化工程の脱墨工程及び/又は漂白工程において、分散剤及び/又は酸化剤が用いられているが、これは従来通りの脱墨及び/又は漂白を目的として添加されるものであり、パルプスラリー中のピッチ成分の分散性には影響していなかった。脱墨工程及び/又は漂白工程への各薬剤添加は、下記実施例の前後において変更することなく実施されている。
実施例1では、下記調製例1に記載の各薬剤を、パルプ化工程におけるパルパー工程と脱墨工程との間(具体的には、図1における熟成タワー3出口)で1カ所、及び、総合チェスト7cで1カ所の計2カ所で連続添加した。従来のピッチコントロール方法を比較例1とし、実施例1の試験の開始前3か月弱及び試験開始後2カ月(計5カ月)の製紙工程におけるピッチ汚れ洗浄回数を下記表1に示す。
<調整例1>
次の通り調整された各薬剤を下記条件で添加した。
(熟成タワー3出口におけるピッチ分散剤の添加)
ピッチ分散剤:ポリオキシエチレンステアリルアミン・エチレンオキサイド20モル付加物 添加量:0.2Kg/t(総合チェスト7cへのピッチ分散剤の添加)
ピッチ分散剤:ポリ塩化アルミニウム 添加量:0.2Kg/t
Figure 0006847438
表1から、パルプ化工程のパルプスラリーにピッチ分散剤を連続添加することにより、パルプスラリー中のピッチ成分が分散し、さらに、パルプ化工程における排水によりパルプスラリー中のピッチ成分量が減少し、製紙工程でのピッチ障害の発生が効果的に抑制されていることが確認できた。
[試験例1]
(実施例2〜7及び比較例2)
某製紙工場Bのパルプ化工程におけるパルプスラリーを取得し、パルプ濃度、ピッチ含有量及びピッチ成分の種類を測定した。測定結果を下記表2に示す。
次に、下記表3に記載の各薬剤を上記パルプスラリーを取り分けたビーカーにそれぞれ添加し、スターラーを用いて40℃で2時間攪拌した(約300rpm)。次に、攪拌後のパルプスラリーから、手抄きにてパルプシートを作成した。なお、パルプシート作成過程で手抄きシートから分離される濾液は排水した。得られたパルプシートに含まれているピッチ成分を有機溶剤抽出にて抽出し、ピッチ成分量を測定した。薬剤無添加である比較例2のピッチ成分量に対して実施例において減少した割合を計算し、ピッチ除去率として下記表3に示す。
なお、以下表3、5及び7中のピッチ分散剤の添加濃度はパルプに対する添加量を記載し、酸化剤の添加濃度はパルプスラリーに対する添加量を記載する。
試験で添加した薬剤の分類を、ピッチ分散剤をAとし、酸化剤をBとして示す。
Figure 0006847438
Figure 0006847438
[試験例2]
(実施例8〜10及び比較例3)
某製紙工場Cのパルプ化工程におけるパルプスラリーを取得し、パルプ濃度、ピッチ含有量及びピッチ成分の種類を測定した。測定結果を下記表4に示す。
次に、下記表5に記載の各薬剤を上記パルプスラリーを取り分けたビーカーにそれぞれ添加し、スターラーを用いて40℃で2時間攪拌した(約800rpm)以外は試験例1と同様に試験した。結果を下記表5に示す。
Figure 0006847438
Figure 0006847438
[試験例3]
(実施例11〜20及び比較例4)
某製紙工場Dのパルプ化工程におけるパルプスラリーを取得し、パルプ濃度、ピッチ含有量及びピッチ成分の種類を測定した。測定結果を下記表6に示す。
次に、下記表7に記載の各薬剤を上記パルプスラリーを取り分けたビーカーにそれぞれ添加し、卓上パルパー(熊谷理機工業株式会社製)を用いて室温にて3分間撹拌した(約2000rpm)以外は試験例1と同様に試験した。結果を下記表7に示す。
Figure 0006847438
Figure 0006847438
[試験例4]
(比較例5〜9)
試験例3と同じパルプスラリーを用いて、下記表8に記載の各薬剤をビーカーにそれぞれ添加し、室温にて薬剤がパルプスラリー全体にまざる程度に緩やかに3分間撹拌した以外は試験例1と同様に試験した。結果を下記表8に示す。
Figure 0006847438
以上の実施例2〜20によると、パルプ化工程におけるパルプスラリーに、上記ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤を添加することで、ピッチ成分の少ないパルプシートを得ることができた。これは、ピッチ分散剤及び/又は特定の酸化剤の添加により、パルプスラリー中のピッチ成分の凝集が抑制され、パルプスラリー中にピッチ成分が肥大化することなく分散するため、パルプシートを作成する工程にてピッチ成分が排出されたためと考えられる。
また、実施例2及び8、実施例3及び9、実施例4、10及び13を確認すると、同じ薬剤を同じ濃度で添加した場合でも、その後の撹拌における回転数が上がるにつれて、ピッチ除去率が上昇している。これは、ピッチ分散剤を添加した後に回転によるシェアがかかることによりパルプスラリー中のピッチ成分がより効果的に分散し、これによりパルプシート作成時にピッチ成分が排出されたためと考えられる。
また、実施例3及び4と実施例7とを確認すると、2種のピッチ分散剤を組み合わせて用いた実施例7では、実施例3及び4で用いた薬剤と総添加量が同じ場合であっても、ピッチ除去率が向上している。実施例19も同様に実施例13と薬剤の総添加量は同じであるがピッチ除去率が向上している。
また、2種のピッチ分散剤に加え酸化剤を用いた実施例20は、実施例19よりもさらに高いピッチ除去率を示している。
一方で、抄紙工程における薬剤添加を想定した比較例5〜9ではピッチ除去率の向上が見られなかった。
1 パルパー
2 スクリュープレス
3 熟成タワー
4 ダブルセパレーター
5 フォールウォッシャー
6 ロータリースクリーン
7a ストックチェスト
7b 完成チェスト
7c チェスト
8 過酸化水素晒タワー
9 ウォッシャー
10 シックナー
11 白水ピット
12 白水回収ライン
13 白水供給ライン

Claims (5)

  1. 製紙工程におけるピッチ障害抑制方法であって、
    製紙工程の前段階であるパルプ化工程におけるパルプスラリーにピッチ分散剤添加することを含み、
    前記パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器であって排水ラインより上流側に設置されている機器のうち少なくとも1つの機器内にあるパルプスラリーに、前記ピッチ分散剤添加し、
    前記排水ラインは、前記パルプスラリーが流れる原料ラインから、白水をパルプ化工程の系外へ排出するラインである
    ことを特徴とするピッチ障害抑制方法。
  2. ピッチ分散剤は、界面活性剤、カチオンポリマー及び有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のピッチ障害抑制方法。
  3. パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器は、前記機器内で50rpm以上3000rpm以下の回転速度でパルプスラリーを攪拌する機器である請求項1又は2に記載のピッチ障害抑制方法。
  4. パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器であって排水ラインより上流側に設置されている機器は、パルパー、リファイナー、スクリュープレス、ダブルセパレーター及びファンポンプからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2又は3に記載のピッチ障害抑制方法。
  5. パルプスラリーに対し機械的シェアをかける機器であって排水ラインより上流側に設置されている機器は、パルパーである請求項1、2又は3に記載のピッチ障害抑制方法。
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