JP6845074B2 - ベーカリー用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ベーカリー用油脂組成物及びそれを含有するベーカリー製品に関する。
ベーカリー製品、特に焼菓子には油脂を比較的多く使用するために、油脂の風味が大きく影響する。
ここでコク味を有するベーカリー製品を得るためには乳脂や豚脂、牛脂などの動物油脂が主に利用されていた。
これはこれらの動物油脂が、天然の油脂であって常温で固形であることに加え、その風味とコク味が優れており、特に、ベーカリー製品に使用した場合はその特徴が強く顕れるためである。
しかし、これらの動物油脂はまた特定の風味を有していること、更には酸化劣化が早く、その最初期においてもどり臭である「獣臭」を生成する問題があった。そのため、ベーカリー製品に特定の風味がある場合など、単にベーカリー製品にコク味を付与又は増強する場合にはその動物油脂由来の風味や獣臭は邪魔である。
そのため、パーム油などの風味が淡泊である植物油脂を使用したマーガリンやショートニングを使用することとなるが、当然、ベーカリー製品は淡泊な風味に仕上がることが多い。そのため、コク味の不足がよく指摘されることとなる。
また焼菓子において、良好なコク味と甘味を付与する手法としてナッツペーストやナッツの粉末を使用することがあり、この目的では一般的にはアーモンドプードルが使用される。この際、その風味を際立たせるために使用前に空焼き(ロースト)することがよく行われている。
しかし、ナッツ類は大変高価であるため、高級な焼菓子でない限り多量に配合することは難しく、またナッツ類の油脂は特に酸化しやすいことに加えローストした場合は更に酸化しやすいためローストする際は使用直前に行うのが求められるなど、使い勝手は非常によくないものである。
そのため、風味が良好でコク味のあるベーカリー製品、特に焼菓子について、各種のコク味付与方法が提案されてきた。
少量の添加でコク味を付与あるいは強化する素材として、たとえば、乳清ミネラルの加熱処理物(例えば特許文献1参照)、アミノ酸の混合物を含む可塑性油脂組成物(例えば特許文献2参照)、乳清ミネラル、特定の乳原料及び糖類を含む組成物(例えば特許文献3参照)、乳清ミネラルを含有するエキス類(例えば特許文献4参照)、等を使用する方法等が知られている。
しかし、特許文献1に記載の方法はコク味以外にロースト風味を付与されるがその風味が必ずしも焼菓子にあわない風味となることがあるという問題があった。特許文献2に記載の方法は乳風味の香り、呈味、コク味の強化効果は高いがその他の風味のコク味強化効果についてはまだ不十分である。特許文献3に記載の方法は乳風味のコク味の強化作用に優れているがその他の風味のコク味強化効果についてはまだ不十分であることに加え、油脂組成物に使用すると効果が低くなってしまうという問題があった。特許文献4記載の方法はコク味以外にエキス由来の風味が付与されてしまいやすいという問題があった。
一方、油脂のコク味付与効果に注目し、飲食品に特定の油脂を使用する方法として、油脂中でアミノ酸と糖類を加熱処理して発生するメイラード反応生成物の風味を油脂へ移行させた香味油脂を使用する方法をはじめ、レッドパームを使用する方法(例えば特許文献5参照)、ココナッツオイルを使用する方法(例えば特許文献6参照)、特定の酸化部分水添油脂を使用する方法(例えば特許文献7参照)、油脂と酵母エキスを混合し加熱する工程を経て得られた香味油を使用する方法(例えば特許文献8参照)等が知られている。
しかし特許文献5に記載の方法には酸化劣化が早くなってしまう問題、着色の問題に加え、コク味の付与効果が弱いため、特に可塑性油脂組成物の油相に使用するには不適である問題があった。特許文献6に記載の方法には、その主要構成脂肪酸が短鎖脂肪酸であることから加水分解しやすく、そのため、水相を含むマーガリンには不適であるという問題があった。特許文献7に記載の方法には硬化油の代替風味を付与するものであることからその効果は低く、油脂使用量の少ないベーカリー製品には十分なコク味を付与することができないという問題があった。特許文献8に記載の方法には独特の風味が強すぎるという問題があった。
また、これらの方法によっては、ベーカリー製品に対し一定のコク味を付与することはできるが、ベーカリー製品、特に油脂の使用量の多い焼菓子において、アーモンドプードルを使用したときのような良好なナッツ様のコク味と甘味は得られなかった。
ところで、日本国内において、香味を有する油脂として古来胡麻油がよく使用されてきた。
ここで、胡麻油は「焙煎油」、すなわち胡麻種子を焙煎してから圧搾あるいは抽出して得られる、色が濃く、濃厚な胡麻風味を有する油脂と、「太白油」、すなわち通常の植物油脂と同様に胡麻種子を焙煎することなく搾油し、脱ガム、脱酸、漂白及び脱臭して得られる、透明で無風味の油脂に分類される。
ここで、前者の焙煎油は脱臭するとその特徴が焼失することから、脱臭工程を経ることなくそのままで各種飲食品、特に中華料理や和風料理を中心に胡麻風味を積極的に付与する用途に利用されている。(特許文献9)
焙煎胡麻油を利用した油脂組成物に関する発明としては、臭気を有する油脂に50ppm程度のごく少量の焙煎胡麻油を添加して臭気と焙煎油の風味の両方を抑制した油脂組成物(特許文献10)、精製油脂に50%以上となるように焙煎胡麻油を添加した香味を有する精製油脂(特許文献11)がある。
なお、上述のように焙煎油は脱臭するとその特徴が消失することから、焙煎油を脱臭して精製油とすることは通常はなく、わずかに、臭気を有する油脂に0.01〜1%という少量の脱臭焙煎胡麻油を添加して臭気と焙煎油の風味の両方を抑制した油脂組成物(特許文献12)があるのみである。
特開2013−233089号公報 WO2009−101972 特開2016−202151号公報 特開2015−089349号公報 特開2009−240220号公報 特開2003−304808号公報 特開2014−236672号公報 特開2010−081886号公報 WO2005−073356 特開2007−236206号公報 特開2009−284803号公報 WO2009−028483号パンフレット
従って、本発明の目的はベーカリー製品、特に油脂の使用量の多い焼菓子に使用した際にナッツ様のコク味と甘味を付与又は増強することのできるベーカリー用油脂組成物、更にはナッツ様のコク味と甘味が感じられるベーカリー製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、焙煎胡麻油を使用するのではなく、焙煎胡麻油を脱臭、特に低温で脱臭して用いることで上記課題を解決可能であることを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明は、脱臭焙煎胡麻油を1〜15質量%含有するベーカリー用油脂組成物を提供するものである。また本発明は、該ベーカリー用油脂組成物を使用したベーカリー製品を提供するものである。
本発明のベーカリー用油脂組成物を使用することにより、ベーカリー製品、特に焼菓子に使用した際に、ベーカリー製品にナッツ様のコク味と甘味を付与又は増強することができる。
以下、本発明についてその好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。本実施形態のベーカリー用油脂組成物は、ベーカリー製品、特に焼菓子に使用した際にナッツ様のコク味と甘味を付与又は増強することのできるものであり、更にはナッツ様のコク味と甘味が感じられるベーカリー製品を提供するものである。
まず本発明で使用する脱臭焙煎胡麻油について説明する。
本発明で使用する脱臭焙煎胡麻油とは、色が濃く、濃厚な胡麻風味を有する焙煎油とも、透明で無風味の太白油とも異なる油脂である、胡麻種子を焙煎してから圧搾あるいは抽出し、その後脱臭して得られる油脂である。
脱臭の方法は特に限定されないが、油脂の精製に通常用いられる減圧水蒸気蒸留にて脱臭することが好ましい。
上記脱臭焙煎胡麻油の脱臭温度は特に制限はなく通常の油脂の脱臭温度であればよいが、良好なナッツ様のコク味と甘味の油脂組成物が得られる点で200℃未満であることが好ましく、より好ましくは160℃未満である。200℃以上の脱臭温度であると、ナッツ様のコク味と甘味が付与されないおそれがある。なお、下限については90℃以上であることが好ましい。90℃未満であると、苦味を感じるおそれがある。
なお、脱臭時間については減圧下、10〜300分の範囲で適宜選択可能であるが、好ましくは30〜150分、より好ましくは60〜150分である。減圧の程度は、油脂の劣化抑制及び風味維持の観点から絶対圧で1500Pa以下とすることが好ましく、900Pa以下とすることがより好ましく、また水蒸気蒸留における水蒸気吹き込み量は、油脂の劣化抑制及び風味維持の観点から、油脂に対して1重量%以上8重量%以下とすることが好ましく、2重量%以上6重量%以下とすることがより好ましい。
上記脱臭焙煎胡麻油の焙煎温度は、良好なナッツ様のコク味と甘味の油脂組成物が得られる点で120〜250℃であることが好ましく、より好ましくは150〜210℃である。120℃未満の焙煎温度であると、ナッツ様のコク味と甘味が全く付与されず、また、250℃超の焙煎温度であると、苦味を感じるおそれがある。
なお、圧搾あるいは抽出の方法は特に限定されず公知の方法を用いることができる。
また、焙煎後、脱色については行っても行わなくてもよいが、風味維持の点で未脱色の方が良い。
なお、脱臭焙煎胡麻油に係る上記の脱臭温度及び焙煎温度、減圧程度や水蒸気吹き込み量等の記載が、仮に物の製造方法により物を特定するものであったとしても、本願出願時においては、脱臭焙煎胡麻油の特性を全て特定することが不可能であるという事情が存在した。具体的には、本明細書で述べた脱臭焙煎胡麻油による効果と関係する脱臭焙煎胡麻油の特性を確認することには、新たな測定方法を確立して特定する必要があり、そのためには、著しく過大な経済的支出及び時間を要する。このため、特許出願の性質上、迅速性等を必要とすることに鑑みて、出願人は、上記の脱臭及び焙煎等に係る各条件を記載した。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、上記脱臭焙煎胡麻油を1〜15質量%、好ましくは1.5〜10質量%含有する。1質量%未満であると本発明の効果が得られず、15質量%超であると苦味を感じるおそれがある。
本発明では上記脱臭焙煎胡麻油以外のその他の油脂を使用することができる。
上記その他の油脂としては、食用油脂であれば特に制限なく使用することができ、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油などの植物油脂や、牛脂、豚脂、カカオ脂、シア脂、乳脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を使用することができる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、特に植物油脂を使用することが好ましい。
本発明のベーカリー用油脂組成物における油分含量は、上記脱臭焙煎胡麻油と上記その他の油脂、更には下記のその他の成分に含まれる油脂分を合計した含量が好ましくは20〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、よりコク味付与効果が高い点、更には脱臭焙煎胡麻油の風味安定性が向上する点において乳清ミネラルを含有することが好ましい。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、より自然なコク味のベーカリー製品が得られる点、及び、コク味強化の効果が高い点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満、特に1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、更には冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明のベーカリー用油脂組成物における上記乳清ミネラルの含有量は、固形分として好ましくは0.006〜2.1質量%、更に好ましくは0.03〜0.6質量%含有する。0.006質量%未満であると本発明の効果が得られず、2.1質量%超であると塩味が出やすく、また、油脂組成物が水相を含有する場合に乳化が不安定になるおそれがある。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、乳酸発酵風味素材を含有させることにより、より良好なコクのある乳風味が得られる点で好ましい。
上記乳酸発酵風味素材とは、乳酸菌が資化可能な基質を乳酸発酵して得られた風味素材であるが、その基質としてはより自然なコク味が付与できる点で乳原料を使用することが好ましい。該乳原料としては、牛乳、濃縮乳、練乳、ホエイ、クリーム、バタークリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水中油型の乳や乳製品をはじめ、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダーなどの粉乳類や、脱脂乳などの乳糖を含有する乳製品も使用可能である。
なお、本発明では上記発酵風味素材として、乳酸発酵を利用した市販の飲食品や風味素材、たとえばクリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、発酵乳飲料、製パン用発酵種等を使用することもできる。
また、本発明では、上記乳酸発酵風味素材は、基質や発酵条件の異なる2種以上の乳酸発酵風味素材を用いてもよい。
本発明のベーカリー用油脂組成物における上記乳酸発酵風味素材の含有量は組成物基準で固形分として好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、更に好ましくは0.1〜1.0質量%である。上記乳酸発酵風味素材の含有量が0.01質量%未満であると乳酸発酵風味素材の添加効果が感じられにくく、5質量%を超えると酸味が強まり風味バランスが崩れてしまうおそれがあることに加え、低いpHが物性等に悪影響を及ぼすおそれがある。
以下、上記乳酸発酵風味素材の製造方法について、乳酸菌が資化可能な基質として乳原料を使用した場合の好ましい実施態様について詳述する。
上記乳酸発酵風味素材を得るためには、まず乳酸菌が資化可能な基質、好ましくは乳原料を含有するミックス液を調製する。
具体的には、牛乳、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水中油型の乳や乳製品、あるいは水に、乳蛋白質、乳糖等の水溶性の乳原料を添加し、水分含量が好ましくは20〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%となるように調整して乳原料を含有するミックス液とする。また、該乳原料を含有するミックス液は、食用油脂を添加した水中油型乳化物としてもよいが、良好な風味バランスの乳酸発酵風味素材を得るため、本発明では、食用油脂は使用しないことが好ましく、より好ましくは、ミックス液は油脂含量を5質量%以下とする。
ミックス液は、風味が強化された乳酸発酵風味素材を安定して製造可能な点で、上記乳原料の含量が無脂乳固形分として2〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましい。
次に、必要に応じて、この乳原料を含有するミックス液を加熱する。加熱する温度は、好ましくは35〜75℃である。更に、必要に応じて均質化を行なう。均質化を行なうための均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられ、好ましくは1〜200MPaの均質化圧力にて均質化を行なう。
均質化後、必要に応じて、加熱殺菌を行なう。該加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波、ジュール加熱式等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の50〜160℃、好ましくは55〜100℃の加熱処理を行なえば良い。
このようにして調製された乳原料を含有するミックス液に乳酸菌を添加して、乳酸発酵を行なう。
上記乳酸菌としては、特に制限されるものではないが、Lactococcus lactis subsp. lactis、Lactococcus lactis subsp. cremoris、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Lactobacillus casei subsp. casei、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis、Lactobacillus jugurti、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus kefyr、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rhamnosus、Streptococcus thermophilus、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremoris 、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium breve等が挙げられ、これらを単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、これらの乳酸菌は、乳酸菌を含む発酵乳の形態で使用することも可能である。また、更に、乳酸発酵風味素材の風味を向上させる目的で、Candida kefyr、Kluyveromycesmarxianus var. marxianus、Saccharomyces unisporus、Saccharomyces florentinus等の酵母を含むスターターを使用してもよい。
ここで本発明では、より良好な香味を有する乳酸発酵風味素材が得られる点で、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Lactobacillus helveticus、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc mesenteoides subsp. cremorisのうちの1種、又は2種以上を用いることが好ましく、より好ましくは、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactisと、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremorisの2種を併用するか、または、Lactobacillus helveticusと、Leuconostoc mesenteroidesの2種を併用する。
また、乳酸発酵の条件は、温度については、使用される各乳酸菌に好適な発酵温度(例えば20〜40℃)を適宜選択すればよい。
乳酸発酵時間は基質濃度や乳酸菌の添加量等に応じ適宜選択可能であるが、好ましくは、乳酸発酵後のpHの値が4〜6、より好ましくは4.0〜5.5、更に好ましくは4.2〜5.2、最も好ましくは4.3〜4.8となる時間とする。
なお、上記乳酸発酵時は静置状態であってもよいが、好ましくは攪拌をおこなう。好ましい攪拌条件は、1分間に5〜50回転、より好ましくは10〜30回転である。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、必要に応じ、本発明の効果を妨げない範囲において、「その他の成分」を含有することができる。「その他の成分」としては、水、乳製品、糖類、甘味料、乳化剤、増粘安定剤、酵素、食塩、塩化カリウム、着色料、酸味料、調味料、酸化防止剤、着香料、アルコール、酒、各種リキュール、アミノ酸、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、コーヒー、紅茶、緑茶、穀類、澱粉、豆類、卵類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物等をあげることができる。
本発明のベーカリー用油脂組成物において、上記の「その他の成分」の含有量は合計で、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
本発明のベーカリー用油脂組成物は、例えば、ショートニング、マーガリン及びバター等の可塑性油脂組成物や、サラダ油、流動ショートニング及び溶かしバター等の流動状油脂組成物、また、粉末油脂等の何れの形態であってもよく、油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型の何れでも構わないが、パン生地に適用する場合に生地への分散性が良好であることや焼菓子生地に使用する場合のクリーミング性が良好である点、更にはベーカリー生地を安定して製造可能な点で、可塑性油脂組成物であることが好ましく、より好ましくは、水分を含み、乳化型が油中水型あるいは油中水中油型である可塑性油中水型乳化油脂組成物であることがよりベーカリー生地を安定して製造可能な点で好ましい。
本発明のベーカリー用油脂組成物の形態としては水分を含まないショートニングや液状油脂、あるいは液状ショートニングであってもよく、水分を含有するマーガリンやファットスプレッドであってもよく、水分を含有する場合は水中油型乳化物であっても油中水型乳化物、更には油中水中油型などの二重乳化型などの多重乳化型であってもよいが、好ましくは可塑性を有する油脂であることが好ましく、より好ましくは水分を含み、乳化型が油中水型あるいは油中水中油型であることが保存安定性やクリーミング性や伸展性、スプレッド性などの物性が良好でベーカリー用として利用範囲が広い点で好ましい。なお、水分を含有する場合、本発明のベーカリー用油脂組成物の水分含量は特に限定されず、例えば0.5〜80質量%の範囲であればよいが好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
本発明のベーカリー用油脂組成物の製造方法は特に限定されず、上記脱臭焙煎胡麻油を含有する以外は、一般の油脂組成物の製造方法と同様でよい。
例えば、まず、マーガリン、ショートニング又は液状油等の既存の油脂組成物に添加し、混合する方法が挙げられる。
また、マーガリン、ショートニング又は液状油等の油脂組成物の製造の際に、その原料油脂の一部又は全部として上記脱臭焙煎胡麻油を使用する方法によっても得ることができる。
例えばショートニングやマーガリン、ファットスプレッド等の可塑性油脂組成物の場合は、上記脱臭焙煎胡麻油を含有する油相を溶解し、必要により水相を乳化混合後、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
また、可塑性油脂組成物の別の製造方法として、冷却し、結晶化させる際に、まだ固化する前の流動性を有する状態のうちに上記脱臭焙煎胡麻油を添加し、混合する方法によっても製造することができる。
なお冷却、結晶化の際の、冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上である。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等の油脂組成物製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等も挙げられる。
また、本発明のベーカリー用油脂組成物を製造する際の何れかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
急冷可塑化工程後は必要に応じてシート状、ブロック状、円柱状等の形状に成形することも可能である。
次に本発明のベーカリー生地について説明する。
本発明のベーカリー生地は上述のように本発明のベーカリー用油脂組成物を使用するものであり、使用方法としては練り込み用、ロールイン用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コーティング用などが挙げられるが、好ましくはベーカリー生地は、ベーカリー用油脂組成物を含有するものであり、特に好ましくは、ベーカリー生地製造時に練り込み及び/又はロールインしたものである。上記のベーカリー生地としては、例えば、クッキー生地、サブレ生地、ガレット生地、タルト生地、練りパイ生地、折パイ生地、シュー生地、サブレ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地等の焼菓子生地や、食パン生地、フランスパン生地、バラエティブレッド生地、ブリオッシュ生地、デニッシュ生地、スイートロール生地、イーストドーナツ生地、マフィン生地、ピザ生地、スコーン生地、蒸しパン生地、ワッフル生地、イングリッシュマフィン生地、バンズ生地等のパン生地が挙げられるが、本発明では、油脂配合量が多いため、よりナッツ様のコク味と甘味を呈する点で焼菓子生地であることが好ましく、とりわけ、クッキー生地、サブレ生地、ガレット生地、タルト生地、練りパイ生地のうちのいずれかであることが特に好ましい。
なお、該ベーカリー生地の製造方法は、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができ、焼菓子生地であれば、オールインミックス法、シュガーバッター法、フラワーバッター法、後粉法、別立法、後油法等、パン類生地であれば中種法、ストレート法、湯種法、長時間冷蔵法等を適宜選択可能である。
上記のベーカリー生地における本発明のベーカリー用油脂組成物の使用量は、ベーカリー生地の種類により異なるが、練り込み使用する場合で、焼菓子生地の場合は焼菓子生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは30〜100質量部であり、パン生地の場合はパン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは2〜80質量部、より好ましくは4〜30質量部である。
なお、ロールイン使用する場合は、ベーカリー生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは10〜150質量部、より好ましくは20〜100質量部である。
上記澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉及び全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉及び松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉及び米澱粉などの澱粉並びにこれらの澱粉に酵素処理、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理及びグラフト化処理から選択される1以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
本発明では、澱粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%使用することが望ましい。
次に、本発明のベーカリー製品について述べる。
本発明のベーカリー製品は、上記の本発明のベーカリー生地の焼成品であり、詳しくは上記の本発明のベーカリー生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、焼成することにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記焼成には蒸し焼きを含むものである。
また、得られた本発明のベーカリー製品を、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
次に本発明のベーカリー製品のコク味強化方法について述べる。
本発明のベーカリー製品のコク味強化方法は、ベーカリー製品の製造時に上記本発明のベーカリー用油脂組成物を用いるものであり、その添加量、使用方法は上述のとおりである。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
<脱臭焙煎胡麻油の製造又は未脱臭焙煎胡麻油の製造>
〔製造例1〕未脱臭の焙煎胡麻油(焙煎温度:160℃以上200℃未満)に対し、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量 油脂に対して5重量%、絶対圧4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、脱臭焙煎胡麻油Aを得た。
〔製造例2〕未脱臭の焙煎胡麻油(焙煎温度:160℃以上200℃未満)に対し、脱臭(120℃、120分間、水蒸気吹き込み量 油脂に対して5重量%、絶対圧4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、脱臭焙煎胡麻油Bを得た。
〔製造例3〕未脱臭の焙煎胡麻油(焙煎温度:160℃以上200℃未満)に対し、脱臭(100℃、150分間、水蒸気吹き込み量 油脂に対して5重量%、絶対圧4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、脱臭焙煎胡麻油Cを得た。
<ベーカリー用油脂組成物の製造>
〔実施例1〕パームオレインのランダムエステル交換油60質量%、パーム核油とパーム極度硬化油を75:25の質量比で混合した配合油脂のランダムエステル交換油20質量%、菜種液状油20質量%からなる混合油脂76質量部にグリセリンモノステアリン酸エステル0.5質量部及びレシチン0.5質量部を添加し、溶解させた油相を用意した。この油相を65℃に調温し、ここに、水18質量部からなる水相を添加して油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分)にかけ、流動状のうちに、製造例1で得られた脱臭焙煎胡麻油A5質量部を添加し、十分に混合し、本発明のベーカリー用油脂組成物Aを得た。
〔実施例2〕脱臭焙煎胡麻油A5質量部に代えて脱臭焙煎胡麻油B5質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、本発明のベーカリー用油脂組成物Bを得た。
〔実施例3〕脱臭焙煎胡麻油A5質量部に代えて脱臭焙煎胡麻油C5質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、本発明のベーカリー用油脂組成物Cを得た。
〔実施例4〕脱臭焙煎胡麻油の添加量を5質量部から2質量部に変更し、混合油脂の配合量を76質量部から79質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合及び製法で、本発明のベーカリー用油脂組成物Dを得た。
〔実施例5〕脱臭焙煎胡麻油の添加量を5質量部から10質量部に変更し、混合油脂の配合量を76質量部から71質量部に変更した以外は実施例2と同様の配合及び製法で、本発明のベーカリー用油脂組成物Eを得た。
〔実施例6〕水18質量部からなる水相に代えて、下記の製法で得られた乳清ミネラルA0.3質量部を水17.7質量部に溶解した水相を使用した以外は実施例2と同様の配合及び製法で、本発明のベーカリー用油脂組成物Fを得た。
<乳清ミネラルの製造>
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、更に逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これを更にエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルAを得た。得られた乳清ミネラルAの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
〔実施例7〕水18質量部からなる水相に代えて、上記乳清ミネラルA0.3質量部及び下記の配合及び製法で得られた乳酸発酵風味素材A5質量部を水12.7質量部に溶解した水相を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、本発明のベーカリー用油脂組成物Gを得た。
<乳酸発酵風味素材の調製>
脱脂粉乳10質量部、ホエイパウダー2質量部及び水82.99質量部を混合し、55℃に加熱し、ケミコロイド社製シャーロットコロイドミルにてクリアランス0.2mm、回転数3500rpmにて均質化し、プレート式熱交換器にて80℃で3分間加熱殺菌後、プレート式熱交換器にて30℃に冷却し、無脂乳固形分含量が12.0質量%であるミックス液を調製した。第1乳酸発酵工程として、この乳原料を含有するミックス液に、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis及びLeuconostoc mesenteroides subsp. cremorisの2種から成る乳酸菌スターター0.01質量部を加え、30℃で15回転/分で攪拌しながら5時間発酵した。ここで、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物5質量部を添加し、更に第2乳酸発酵工程として、30℃で10回転/分で攪拌しながら7時間発酵し、pHが4.71である乳酸発酵風味素材A(固形分13.5質量%)を得た。
〔比較例1〕脱臭焙煎胡麻油A5質量部を添加せず、混合油脂の配合量を76質量部から81質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、比較例のベーカリー用油脂組成物Hを得た。
〔比較例2〕脱臭焙煎胡麻油A5質量部に代えて、「太白油」である精製胡麻油(胡麻油の脱酸、脱色油を減圧下250℃60分脱臭処理したもの)5質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、比較例のベーカリー用油脂組成物Iを得た。
〔比較例3〕脱臭焙煎胡麻油A5質量部に代えて、製造例1〜3で原料油脂として用いた未脱臭の焙煎胡麻油5質量部を使用した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、比較例のベーカリー用油脂組成物Jを得た。
<ベーカリー生地及びベーカリー製品の製造1(クッキー)>
〔実施例8〜16及び比較例4〜6〕
上記実施例及び比較例で得られたベーカリー用油脂組成物A〜Jを用いて、次の配合及び製法によりクッキー生地A〜J、更に型抜きクッキーA〜Jを製造した。
(配合)
薄力粉100質量部、砂糖40質量部、食塩0.7質量部、重炭安1質量部、重曹1質量部、水5質量部、ベーカリー用油脂組成物60質量部
(製法)
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)にベーカリー用油脂組成物及び砂糖を投入し、軽く混合した後、中速で2分クリーミングした。次いで、あらかじめ水、食塩及び重炭安を混合した水相を少しずつ加えて攪拌し、混合した(比重:0.9)。更に薄力粉及び重曹を加えた後、低速で1分混合してクッキー生地を得た。得られたクッキー生地を、厚さ4ミリ、直径4センチの丸型で抜き、オーブン(フジサワ社製)で180℃にて10分焼成し、型抜きクッキーを得た。
[焼菓子の評価]
得られた本発明のベーカリー製品(焼菓子)である型抜きクッキーA〜Gと、比較のための焼菓子である型抜きクッキーH〜Jは、10人のパネラーにより下記[評価基準]に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を〔表1〕に示した。
44〜50点:◎++、37〜43点:◎+、30〜36点:◎、23〜29点:○、16〜22点:△、15点以下:×
[評価基準]
5点…優れたナッツ様のコク味と甘味を感じる。
3点…良好なコク味と甘味を感じる。
1点…コク味を感じるがナッツ様の風味ではない。
0点…コク味が弱い。または苦味を感じる
<ベーカリー生地及びベーカリー製品の製造2(バターケーキ)>
〔実施例15〜16及び比較例7〜8〕
上記実施例及び比較例で得られたベーカリー用油脂組成物B、F、I、Jを用いて、次の配合及び製法によりバターケーキ生地B,F,I、J、更に型抜きクッキーB,F,I、Jを製造した。
(配合)
薄力粉100質量部、砂糖85質量部、ベーキングパウダー1質量部、全卵(正味)90質量部、ベーカリー用油脂組成物85質量部
(製法)
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)にベーカリー用油脂組成物及び砂糖を投入し、軽く混合した後、中速で3分クリーミングした。次いで、全卵を少しずつ加えて攪拌して混合した。更に薄力粉及びベーキングパウダーを加えた後、低速で1分混合してバターケーキ生地を得た。得られたバターケーキ生地を、紙を敷いたパウンド型に400g流し入れ、オーブン(フジサワ社製)で160℃にて40分焼成し、バターケーキを得た。
[焼菓子の評価]
得られた本発明のベーカリー製品(焼菓子)であるバターケーキB、Fと、比較のための焼菓子であるバターケーキI、Jは、10人のパネラーにより下記[評価基準]に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を〔表2〕に示した。
44〜50点:◎++、37〜43点:◎+、30〜36点:◎、23〜29点:○、16〜22点:△、15点以下:×
[評価基準]
5点…優れたナッツ様のコク味と甘味を感じる。
3点…良好なコク味と甘味を感じる。
1点…コク味を感じるがナッツ様の風味ではない。
0点…コク味が弱い。または苦味を感じる
<ベーカリー生地及びベーカリー製品の製造3(パイ)>
〔実施例17〜18及び比較例9〜10〕
上記実施例及び比較例で得られたベーカリー用油脂組成物B、F、I、Jを用いて、次の配合及び製法によりパイ生地B,F,I、J、更にパイB,F,I、Jを製造した。
なお、ベーカリー用油脂組成物(ロールイン用油脂)についてはあらかじめ厚さ10mmの板状に成形したものを用いた。
(配合)
強力粉70質量部、薄力粉30質量部、砂糖2質量部、脱脂粉乳3質量部、食塩1.3質量部、ベーカリー用油脂組成物(練込油脂)5質量部、水54質量部、ベーカリー用油脂組成物(ロールイン用油脂)80質量部
(製法)
ロールイン用油脂以外の原料をたて型ミキサーにて低速2分及び中速3分ミキシングした後、5℃の冷蔵庫内で生地を一晩リタードした。この生地にロールイン用油脂をのせ、定法によりロールイン(4つ折4回)、成型(縦100mm×横100mm×厚さ3mm)し、ピケローラーでピケをうった後、オーブン(フジサワ社製)で200℃にて15分焼成し、パイを得た。
焼成した。
[焼菓子の評価]
得られた本発明のベーカリー製品(焼菓子)であるパイB、Fと、比較のための焼菓子であるパイI、Jは、10人のパネラーにより下記[評価基準]に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を〔表3〕に示した。
44〜50点:◎++、37〜43点:◎+、30〜36点:◎、23〜29点:○、16〜22点:△、15点以下:×
[評価基準]
5点…優れたナッツ様のコク味と甘味を感じる。
3点…良好なコク味と甘味を感じる。
1点…コク味を感じるがナッツ様の風味ではない。
0点…コク味が弱い。または苦味を感じる

Claims (8)

  1. 脱臭焙煎胡麻油を〜15質量%含有するベーカリー用油脂組成物。
  2. 脱臭焙煎胡麻油の脱臭温度が200℃未満である請求項1記載のベーカリー用油脂組成物。
  3. 脱臭焙煎胡麻油の焙煎温度が250℃以下である請求項1又は2記載のベーカリー用油脂組成物。
  4. 乳清ミネラルを固形分として0.001〜10質量%含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のベーカリー用油脂組成物。
  5. 油脂組成物に対し、脱臭焙煎胡麻油を〜15質量%となる量で含有させるベーカリー用油脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のベーカリー用油脂組成物を使用したベーカリー生地。
  7. 請求項6記載のベーカリー生地の焼成品であるベーカリー製品。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のベーカリー用油脂組成物を用いるベーカリー製品のコク味強化方法。
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