以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、搬送部2による搬送方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、水平面と直交する上下方向をZ方向とする。
[第1実施形態]
(部品実装装置の構成)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
部品実装装置100は、図1に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などのワークWに実装するように構成されている。また、部品実装装置100は、立体形状を有するワークWを搬送して、ワークWに部品Eを実装する装置である。
部品実装装置100は、図1に示すように、基台1と、搬送部2と、保持ユニット3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識カメラ7と、基板認識カメラ8と、制御部9とを備えている。なお、基板認識カメラ8は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。
ワークWは、載置部材200に載置された状態で搬送される。また、複数の載置部材200は、搬送部材Hに載置されて、搬送部2により、まとめて搬送されるように構成されている。ワークWが載置された載置部材200は、ヘッドユニット4により個別に移動される。具体的には、搬送位置P1に搬送された複数の載置部材200(ワークW)は、個別に、実装位置P2の保持ユニット3まで移動される。そして、実装位置P2において、ワークWに部品Eが実装される。
図1に示すように、基台1のY1側およびY2側の端部には、それぞれ、複数のテープフィーダ11を配置するためのフィーダ配置部12が設けられている。
テープフィーダ11は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き回されたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ11は、部品Eを保持するテープを送出することにより、先端から部品Eを供給するように構成されている。
各テープフィーダ11は、フィーダ配置部12に設けられた図示しないコネクタを介して制御部9に電気的に接続された状態で、フィーダ配置部12に配置されている。これにより、各テープフィーダ11は、制御部9からの制御信号に基づいて、テープを送出して、部品Eを供給するように構成されている。
基台1のY2側の端部には、ノズル41aおよび係合部310が配置されるノズルステーション13が設けられている。ノズルステーション13には、複数の種類のノズル41aおよび係合部310が保持されている。
搬送部2は、搬送部材Hに、載置部材200を介して配置されたワークWを搬入し、搬送方向(X方向)に搬送し、搬出するように構成されている。また、搬送部2は、搬入された搬送部材Hを搬送位置P1に停止させるように構成されている。部品実装装置100では、搬送部2により、単一の搬送路が形成されている。
ここで、図1および図2に示すように、ワークWは、載置部材200(治具)に保持された状態で、搬送部2により搬送される。載置部材200は、ワークWの搬送用の部材であって、板形状を有する。板形状を有する載置部材200には、上面(Z1側の面)に微粘着性の接着層が形成されている。載置部材200は、ワークWが接着層に接着されることにより、上面上に着脱可能にワークWを保持して固定するように構成されている。なお、上記固定方法の他に、ワークWが載置部材200に下からねじ止めされて固定されてもよい。
搬送部2は、一対のコンベア部21を有している。一対のコンベア部21は、搬送部材Hの搬送方向と直交する方向(Y方向)に配列されている。また、一対のコンベア部21は、搬送部材HのY方向の両端部を下方から支持しながら、搬送方向に搬送部材Hを搬送するように構成されている。また、一対のコンベア部21は、搬送方向と直交する方向(Y方向)の間隔を調整可能に構成されている。これにより、搬送部材Hの大きさ(Y方向の幅)に応じて、一対のコンベア部21の間の幅(Y方向の幅)を調整することが可能である。
保持ユニット3は、実装位置P2においてワークWを受け取り、保持するように構成されている。具体的には、保持ユニット3は、載置部材200を介してワークWを保持するように構成されている。
また、保持ユニット3は、保持したワークWを上下方向(Z方向)に移動させるように構成されている。また、保持ユニット3は、保持したワークWを傾斜させる(水平方向の回転軸周りに回動させる)ように構成されている。また、保持ユニット3は、保持したワークWを回転させる(上下方向の回転軸周りに回動させる)ように構成されている。言い換えると、保持ユニット3は、ワークWを上下方向に移動させ、傾斜させ、または回転させることにより、ワークWの姿勢を調整可能に構成されている。これにより、ワークWの実装面を水平面と略平行になるように、ワークWの姿勢を調整することが可能である。
具体的には、図4に示すように、保持ユニット3は、昇降機構部31と、傾斜機構部32と、回転機構部33と、保持部34とを含んでいる。保持ユニット3では、保持部34が回転機構部33に取り付けられている。また、回転機構部33が傾斜機構部32に取り付けられている。また、傾斜機構部32が昇降機構部31に取り付けられている。
昇降機構部31は、駆動モータ31aを有し、駆動モータ31aの駆動力により、保持部34により保持されたワークWを上下方向(Z方向)に沿って移動させるように構成されている。傾斜機構部32は、駆動モータ32aを有し、駆動モータ32aの駆動力により、水平方向に沿って延びる回転軸線A1周りに、保持部34により保持されたワークWを回転させるように構成されている。これにより、傾斜機構部32は、保持部34により保持されたワークWを傾斜させるように構成されている。回転機構部33は、駆動モータ33aを有し、駆動モータ33aの駆動力により、回転軸線A1に略直交する方向に延びる回転軸線A2周りに、保持部34により保持されたワークWを回転させるように構成されている。保持部34は、載置部材210を介してワークWを保持するように構成されている。具体的には、保持部34は、複数の爪部34aを有し、複数の爪部34aにより、載置部材210の被保持部212を保持して固定するように構成されている。
ヘッドユニット4は、支持部5および一対のレール部6を介して、基台1の上方位置に設けられている。また、ヘッドユニット4は、搬送部2、保持ユニット3およびテープフィーダ11よりも上方(Z1方向)の位置に設けられており、水平方向に移動可能に構成されている。
ヘッドユニット4は、保持ユニット3により保持された状態のワークWに部品Eの実装作業を行うように構成されている。具体的には、ヘッドユニット4は、テープフィーダ11から供給される部品Eを吸着するとともに、吸着された部品EをワークWに実装するように構成されている。
図1および図3に示すように、ヘッドユニット4には、複数(6つ)の実装ヘッド41と、実装ヘッド41毎に設けられた複数(6つ)のボールネジ軸42と、ボールネジ軸42毎に設けられた複数(6つ)のZ軸モータ43と、実装ヘッド41毎に設けられた複数(6つ)のR軸モータとが設けられている。
複数の実装ヘッド41は、搬送方向(X方向)に沿って直線状に配列されている。各実装ヘッド41の先端には、それぞれ、ノズル41aが取り付けられている。実装ヘッド41は、図示しない負圧発生機によりノズル41aの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ11から供給される部品Eを吸着して保持することが可能に構成されている。実装ヘッド41は、ノズルステーション13にアクセスすることにより、先端のノズル41aを交換するように構成されている。ノズル41aは、板ばねにより実装ヘッド41の先端に着脱可能に固定されている。
各ボールネジ軸42は、それぞれ、上下方向に延びるように形成されている。各Z軸モータ43は、それぞれ、対応するボールネジ軸42を回転させるように構成されている。また、各実装ヘッド41には、それぞれ、対応するボールネジ軸42に係合(螺合)されるボールナット41bが設けられている。実装ヘッド41は、Z軸モータ43によりボールネジ軸42が回転されることにより、ボールネジ軸42と係合(螺合)するボールナット41bとともに、ボールネジ軸42に沿って上下方向に移動可能に構成されている。これにより、実装ヘッド41は、部品Eの吸着や実装(装着)などを行うことが可能な下降した状態の高さ位置と、実装ヘッド41の水平方向の移動が可能な上昇した状態の高さ位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。各R軸モータは、それぞれ、対応する実装ヘッド41をノズル41aの中心軸周り(Z方向の回転軸周り)に回転(θ回転)させるように構成されている。
図1に示すように、支持部5は、ヘッドユニット4を搬送方向(X方向)に移動させるように構成されている。支持部5は、X方向に延びるボールネジ軸51と、ボールネジ軸51を回転させるX軸モータ52と、X方向に延びる図示しないガイドレールとを含んでいる。また、ヘッドユニット4には、ボールネジ軸51が係合(螺合)されるボールナット45(図3参照)が設けられている。ヘッドユニット4は、X軸モータ52によりボールネジ軸51が回転されることにより、ボールネジ軸51と係合(螺合)するボールナット45とともに、支持部5に沿って搬送方向(X方向)に移動可能に構成されている。
一対のレール部6は、共にY方向に延びるように形成されており、基台1のX方向の両端部において基台1上に固定されている。また、一対のレール部6は、支持部5を搬送方向と直交する方向(Y方向)に移動させるように構成されている。一対のレール部6は、共にY方向に延びる一対のボールネジ軸61と、ボールネジ軸61毎に設けられた複数(2つ)のY軸モータ62とを含んでいる。各Y軸モータ62は、それぞれ、対応するボールネジ軸61を回転させるように構成されている。また、支持部5には、ボールネジ軸61が係合(螺合)される図示しないボールナットが設けられている。支持部5は、各Y軸モータ62により各ボールネジ軸61が同期して回転されることにより、各ボールネジ軸61と係合(螺合)するボールナットとともに、一対のレール部6に沿って搬送方向と直交する方向(Y方向)に移動可能に構成されている。
このような構成により、ヘッドユニット4は、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット4は、たとえばテープフィーダ11の上方に移動して、テープフィーダ11から供給される部品Eを吸着することが可能である。また、ヘッドユニット4は、たとえば保持ユニット3に保持された状態のワークWの上方に移動して、吸着された部品EをワークWに実装することが可能である。また、ヘッドユニット4は、載置部材200に載置されたワークWを移動させることが可能である。
部品認識カメラ7は、テープフィーダ11の近傍の基台1の上面上に固定されており、部品Eの実装に先立って実装ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eを撮像するように構成されている。部品認識カメラ7は、実装ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eを、下方(Z2方向)から撮像するように構成されている。この撮像結果は、制御部9により取得される。制御部9は、実装ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eの撮像結果に基づいて、下方から見た部品Eの吸着状態(回転姿勢および実装ヘッド41のノズル41aに対する吸着位置)を認識するように構成されている。また、制御部9は、部品Eの吸着状態の認識結果に基づいて、部品Eの回転姿勢および実装時の部品実装位置座標位置(XY座標位置)を補正するように構成されている。
基板認識カメラ8は、部品Eの実装に先立ってワークWに付された位置認識マークを撮像するように構成されている。位置認識マークは、ワークWの位置を認識するためのマークである。この位置認識マークの撮像結果は、制御部9により取得される。制御部9は、位置認識マークの撮像結果に基づいて、保持ユニット3により保持された状態のワークWの正確な位置および姿勢を認識するように構成されている。また、制御部9は、ワークWの位置および姿勢の認識結果に基づいて、実装時の部品実装位置座標位置(XY座標位置)を補正するように構成されている。
また、基板認識カメラ8は、ヘッドユニット4に取り付けられている。具体的には、基板認識カメラ8は、ヘッドユニット4のY1側の側部において、X方向に並んだ実装ノズル配列の中央の位置に取り付けられている。これにより、基板認識カメラ8は、ヘッドユニット4とともに、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。また、基板認識カメラ8は、載置部材210およびワークWの少なくとも一方を撮像可能に構成されている。具体的には、基板認識カメラ8は、水平方向に移動して、ワークWに付された位置認識マークを、ワークWの上方(Z1方向)から撮像するように構成されている。また、基板認識カメラ8は、水平方向に移動して、載置部材210を上方から撮像するように構成されている。
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含み、部品実装装置100の動作を制御するように構成されている。具体的には、制御部9は、搬送部2、保持ユニット3、ヘッドユニット4、支持部5、一対のレール部6、部品認識カメラ7、基板認識カメラ8およびテープフィーダ11などを予め記憶されたプログラムに従って制御して、ワークWに部品Eの実装を行うように構成されている。
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、ワークWは、立体形状を有している。つまり、ワークWは、互に平行ではない実装面の位置に部品Eが実装されるように構成されている。載置部材210(200)は、上面211と、被保持部212と、開口213と、被係合部214とを含んでいる。ワークWは、載置部材210の上面211上に載置されている。また、ワークWは、載置部材210に対して位置決めされた状態で固定されている。
被保持部212は、保持ユニット3の保持部34に把持されるように構成されている。また、被保持部212は、載置部材210の下面(Z2側の面)に設けられている。また、被保持部212は、上面上に保持されたワークWの重心位置近傍に1つ設けられている。被保持部212は、載置部材210の下面から下方(Z2方向)に向けて突出するように形成されている。ワークWは、載置部材210を介して保持ユニット3により保持される。
開口213は、X方向に沿って一対設けられている。言い換えると、開口213は、ヘッドユニット4の複数の実装ヘッド41が配列される方向に沿って一対設けられている。また、一対の開口213は、ワークWを挟み込むように配置されている。また、開口213は、Y方向に延びる長穴形状に形成されている。
被係合部214は、開口213の縁近傍に配置されている。また、被係合部214は、係合部310が嵌り込むように凹形状を有している。つまり、被係合部214は、係合部310の上面にならう形状に、載置部材210の下面から上方に凹んでいる。また、被係合部214は、複数(2つ)設けられている。また、複数の被係合部214(開口213)は、実装ヘッド41の間隔の整数倍の間隔を隔てて配置されている。これにより、複数の実装ヘッド41の係合部310が、それぞれ、被係合部214に係合することが可能である。被係合部214は、開口213に対して、30度〜60度程度回転した方向に延びるように形成されている。
図5に示すように、係合部310は、実装ヘッド41に設けられている。係合部310は、ワークWが載置された載置部材210の被係合部214に係合するように構成されている。具体的には、係合部310は、水平方向に延びる細長形状を有している。また、係合部310は、側方から見て略T字形状を有している。また、係合部310は、被係合部214に下方から係合するように構成されている。
ここで、第1実施形態では、実装ヘッド41は、係合部310が被係合部214に係合された状態で、載置部材210とともにワークWを移動させるように構成されている。具体的には、図5および図6に示すように、実装ヘッド41は、載置部材210の開口213に係合部310を上方から挿入させて、係合部310と開口213の縁近傍の被係合部214とを係合させるように係合部310を移動させるように構成されている。また、実装ヘッド41は、係合部310を鉛直方向(Z方向)の回転軸線回りに回動させて、係合部310と被係合部214とを係合させるように構成されている。
また、複数の実装ヘッド41の各々に設けられた係合部310と、複数の被係合部214とは、各々係合するように構成されている。実装ヘッド41は、係合部310が被係合部214に係合された状態で、上昇して、載置部材210(ワークW)を持ち上げるように構成されている。そして、実装ヘッド41は、水平方向に移動して、載置部材210(ワークW)を実装位置P2まで移動させる。その後、実装ヘッド41は、載置部材210(ワークW)を保持ユニット3まで下降させる。保持ユニット3の保持部34により載置部材210の被保持部212が保持される。そして、実装ヘッド41は、係合部310を鉛直方向(Z方向)の回転軸線回りに回動させて、係合部310と被係合部214との係合を解除させる。そして、実装ヘッド41は、係合部310を開口213から出すように上昇させる。これにより、載置部材210(ワークW)が移動を終了する。
係合部310は、部品Eを吸着するためのノズル41aに替えて、実装ヘッド41に取り付けられるように構成されている。具体的には、載置部材210(ワークW)を持ち上げて移動させる場合に、2つの実装ヘッド41のノズル41aが、係合部310に替えられる。実装ヘッド41から外されるノズル41aは、ノズルステーション13に保持され、実装ヘッド41に付けられる係合部310は、ノズルステーション13から供給される。また、載置部材210(ワークW)を持ち上げることによる移動が完了すると、2つの実装ヘッド41の係合部310がノズル41aに替えられる。
また、第1実施形態では、制御部9は、実装ヘッド41の下降前または下降中に、基板認識カメラ8により載置部材210およびワークWの少なくとも一方を撮像する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部9は、実装ヘッド41の下降前に基板認識カメラ8により載置部材210を撮像する制御を行うように構成されている。また、制御部9は、基板認識カメラ8により載置部材210の被係合部214(開口213)が有るはずの位置を撮像する制御を行うように構成されている。そして、制御部9は、撮像結果に基づいて、載置部材210の被係合部214の有無および位置の少なくとも一方を認識するように構成されている。また、制御部9は、認識結果に基づいて、実装ヘッド41の係合位置への移動を制御するように構成されている。つまり、制御部9は、被係合部214(開口213)の上方に係合部310が設けられた実装ヘッド41を移動させて、係合部310を開口213に向けて下降させるように構成されている。
また、制御部9は、被係合部214を認識しない場合に、実装ヘッド41を下降させないとともに、エラーを通知するように構成されている。エラーの通知は、音、光、表示部による表示、外部機器による通知などにより行われる。
また、制御部9は、基板認識カメラ8による撮像結果、または、部品Eを吸着する際の負圧の検知結果に基づいて、係合部310と被係合部214との係合状態、または、係合部310の実装ヘッド41に対する離脱を検出するように構成されている。具体的には、制御部9は、実装ヘッド41により載置部材210(ワークW)を搬送している場合に、基板認識カメラ8により、載置部材210を撮像する。そして、制御部9は、載置部材210を所定の位置に認識している場合は、係合部310に被係合部214が正常に係合していると判断する。また、制御部9は、載置部材210が所定の位置に認識しない場合は、載置部材210の被係合部214が係合部310から外れていると判断する。また、制御部9は、負圧の変化に基づいて、係合部310が実装ヘッド41から離脱していることを検出する。つまり、係合部310が実装ヘッド41に装着されている場合は、負圧は略変化しない。一方、係合部310が実装ヘッド41から離脱した場合、負圧供給路が開放されるので、負圧が大きく変化し、この負圧の変化に基づいて、係合部310の離脱を検出する。
(ワーク移動処理)
次に、図7を参照して、制御部9によるワーク移動処理をフローチャートに基づいて説明する。
図7に示すように、ステップS1において、載置部材210の開口213に、係合部310が設けられた実装ヘッド41を下降させる。これにより、係合部310が開口213に挿入される。ステップS2において、実装ヘッド41のZ方向に回転軸線を有するθ軸を回転させる。たとえば、被係合部214の位置に対応させて、係合部310が30度〜60度程度回動される。
ステップS3において、実装ヘッド41が上昇される。これにより、係合部310と被係合部214とが係合される。そして、実装ヘッド41により載置部材210(ワークW)が持ち上げられる。ステップS4において、実装ヘッド41が水平方向に移動される。これにより、載置部材210(ワークW)が水平方向に移動される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、係合部310を被係合部214に係合させることにより、実装ヘッド41の吸着力よりも大きな重さを有するワークWでも、確実に持ち上げることができる。また、吸着のための水平方向に延びる面を載置部材210に設けなくても、係合部310を被係合部214に係合させることにより、ワークWが保持された載置部材210を確実に持ち上げることができる。また、載置部材210を吸着する場合と異なり、何らかの要因で、吸着のための負圧の作用が小さくなった場合でも、ワークWを落下させることを抑制することができる。これらの結果、ワークWを確実に移動させることができる。また、部品実装のための実装ヘッド41によりワークWを移動させることができるので、ワークWの移動のための専用の移動機構を別途設ける必要がない。
また、第1実施形態では、上記のように、ワークWは、立体形状を有している。これにより、水平方向以外の実装面をする立体形状を有するワークWを部品実装装置100に搬入した後、実装ヘッド41により、実装位置P2に容易に移動させることができる。また、部品実装後、立体形状を有するワークWを実装ヘッド41により搬出位置に容易に移動させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、実装ヘッド41を、係合部310を鉛直方向(Z方向)の回転軸線回りに回動させて、係合部310と被係合部214とを係合させるように構成する。これにより、実装ヘッド41の回動により、係合部310と被係合部214とを容易に係合させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、実装ヘッド41を、複数設ける。また、載置部材210に、複数の被係合部214を設ける。そして、複数の実装ヘッド41の各々に設けられた係合部310と、複数の被係合部214とを、各々係合するように構成する。これにより、複数の実装ヘッド41により載置部材210を支持することができるので、バランス良く載置部材210を支持することができる。これにより、安定して載置部材210(ワークW)を移動させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、載置部材210の上面に開口213を設ける。そして、実装ヘッド41を、載置部材210の開口213に係合部310を上方から挿入させて、係合部310と開口213の縁近傍の被係合部214とを係合させるように係合部310を移動させるように構成する。これにより、実装ヘッド41により載置部材210を吊り下げて支持することができるので、載置部材210(ワークW)を安定して支持することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、係合部310を、部品Eを吸着するためのノズル41aに替えて、実装ヘッド41に取り付けられるように構成する。これにより、係合部310を用いない場合には、部品吸着のためのノズル41aを実装ヘッド41に取り付けることができるので、実装ヘッド41を効率よく使用することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9を、実装ヘッド41の下降前または下降中に、基板認識カメラ8により載置部材210およびワークWの少なくとも一方を撮像する制御を行うように構成する。そして、制御部9を、撮像結果に基づいて、載置部材210の被係合部214の有無および位置の少なくとも一方を認識して、実装ヘッド41の係合位置への移動を制御するように構成する。これにより、係合部310を被係合部214に確実に係合させることができるので、載置部材210(ワークW)を確実に移動させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9を、被係合部214を認識しない場合に、実装ヘッド41を下降させないとともに、エラーを通知するように構成する。これにより、係合部310が被係合部214以外に当接することを抑制することができるので、係合部310、実装ヘッド41、載置部材210、ワークWなどが損傷するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9を、基板認識カメラ8による撮像結果、または、部品Eを吸着する際の負圧の検知結果に基づいて、係合部310と被係合部214との係合状態、または、係合部310の実装ヘッド41に対する離脱を検出するように構成する。これにより、載置部材210(ワークW)の搬送不良を速やかに検知することができる。
[第2実施形態]
次に、図8を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、被係合部を載置部材の側部に設ける構成の例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
載置部材220は、側部221と、被保持部222と、凹部223と、被係合部224とを含んでいる。ワークWは、載置部材220の上面上に載置されている。また、ワークWは、載置部材220に対して位置決めされた状態で固定されている。
被保持部222は、保持ユニット3の保持部34に把持されるように構成されている。また、被保持部222は、載置部材220の下面(Z2側の面)に設けられている。また、被保持部222は、上面上に保持されたワークWの重心位置近傍に1つ設けられている。
凹部223は、側部221に設けられている。また、凹部223は、X方向に沿って一対設けられている。言い換えると、凹部223は、ヘッドユニット4の複数の実装ヘッド41が配列される方向に沿って一対設けられている。また、一対の凹部223は、ワークWを挟み込むように配置されている。
被係合部224は、凹部223に配置されている。また、被係合部224は、係合部320が嵌り込むように凹形状を有している。つまり、被係合部224は、係合部320の上面にならう形状に、上方に凹んでいる。また、被係合部224は、複数(2つ)設けられている。また、複数の被係合部224は、実装ヘッド41の間隔の整数倍の間隔を隔てて配置されている。これにより、複数の実装ヘッド41の係合部320が、それぞれ、被係合部224に係合することが可能である。被係合部224は、X方向に対して、30度〜60度程度回転した方向に延びるように形成されている。
係合部320は、実装ヘッド41に設けられている。係合部320は、ワークWが載置された載置部材220の被係合部224に係合するように構成されている。具体的には、係合部320は、水平方向に延びる細長形状を有している。また、係合部320は、側方から見て略L字形状を有している。また、係合部320は、被係合部224に下方から係合するように構成されている。
ここで、第2実施形態では、実装ヘッド41は、係合部320が被係合部224に係合された状態で、載置部材220とともにワークWを移動させるように構成されている。また、実装ヘッド41は、載置部材220の被係合部224に係合部320を側方から近づけて、係合部320と被係合部224とを係合させるように構成されている。具体的には、2つの係合部320を、それぞれ、載置部材220の両端の外側に下降させる。そして、係合部320を被係合部224の角度に合わせて回動させる。その後、係合部320が持ち上げられて、係合部320と被係合部224とが係合される。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、係合部320を被係合部224に係合させることにより、ワークWを確実に移動させることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、載置部材220の側部221に被係合部224を設ける。そして、実装ヘッド41を、載置部材220の被係合部224に係合部320を側方から近づけて、係合部320と被係合部224とを係合させるように構成する。これにより、載置部材220の側部221に被係合部224が設けられるので、載置部材220の上面を広く使用することができる。これにより、より大きいワークWを載置部材220に保持させることができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図9を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態と異なり、実装ヘッドと載置部材とが螺合により係合する構成の例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
載置部材230は、上面231と、被保持部232と、被螺合部233とを含んでいる。ワークWは、載置部材230の上面231上に載置されている。また、ワークWは、載置部材230に対して位置決めされた状態で固定されている。また、載置部材230には、複数のワークWが載置されている。被螺合部233は、請求の範囲の「被係合部」の一例である。
被保持部232は、保持ユニット3の保持部34に把持されるように構成されている。また、被保持部232は、載置部材230の下面(Z2側の面)に設けられている。また、被保持部232は、上面231上に保持された複数のワークWの重心位置近傍に1つ設けられている。
被螺合部233は、上面231に設けられている。また、被螺合部233は、複数のワークWの間に配置されている。好ましくは、被螺合部233は、複数のワークWの重心位置近傍に配置されている。また、被螺合部233は、鉛直方向(Z方向)に延びる雌ねじ状の穴である。
螺合部330は、実装ヘッド41に設けられている。螺合部330は、ワークWが載置された載置部材230の被螺合部233に螺合(係合)するように構成されている。具体的には、螺合部330は、鉛直方向(Z方向)に延びる雄ねじ状を有している。
ここで、第3実施形態では、実装ヘッド41は、螺合部330が被螺合部233に螺合(係合)された状態で、載置部材230とともにワークWを移動させるように構成されている。また、実装ヘッド41は、螺合部330を回転させて、螺合部330と被螺合部233とを螺合させるように構成されている。具体的には、螺合部330を、載置部材230の上面231まで下降させる。そして、螺合部330を回転させながら、被螺合部233に下降させる。螺合の際の回転は、30度〜数回転程度である。これにより、螺合部330と被螺合部233とが係合(螺合)される。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、螺合部330を被螺合部233に係合(螺合)させることにより、ワークWを確実に移動させることができる。
また、第3実施形態では、上記のように、実装ヘッド41を、螺合部330を回転させて、螺合部330と被螺合部233とを螺合させるように構成する。これにより、螺合により螺合部330と被螺合部233とをより安定して係合させることができるので、安定して載置部材230(ワークW)を移動させることができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態]
次に、図10を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なり、係合部がノズルに一体的に設けられている構成の例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
係合部340は、実装ヘッド41に設けられている。係合部340は、ワークWが載置された載置部材200の被係合部に係合するように構成されている。具体的には、係合部340は、水平方向に延びる鉛直方向(Z方向)に延びる細長形状を有している。また、係合部340には、ノズルが一体的に設けられている。具体的には、係合部340には、実装ヘッド41の負圧通路と連通する通路341が設けられている。通路341の負圧により、係合部340の先端に部品Eを吸着することが可能である。また、実装ヘッド41は、係合部340が被係合部に係合された状態で、載置部材200とともにワークWを移動させるように構成されている。
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第4実施形態では、上記のように、係合部340を被係合部に係合させることにより、ワークWを確実に移動させることができる。
また、第4実施形態では、上記のように、係合部340を、部品Eを吸着するためのノズルに一体的に設ける。これにより、ノズルを替えることなく、ワークWの移動および部品Eの実装を行うことができるので、実装動作の時間を短縮することができる。
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、撮像部として基板認識カメラを用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図11に示す変形例のように、実装位置または吸着位置を撮像するための撮像ユニット47を、載置部材200またはワークWの少なくとも一方を撮像するために用いてもよい。撮像ユニット47は、複数のカメラ471と、照明472とを含んでいてもよい。複数のカメラ471は、上下方向に並んで配置されていてもよい。また、撮像ユニット47は、鉛直方向(Z方向)に対して複数の斜め方向から撮像可能に構成されていてもよい。なお、撮像ユニット47は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。
また、上記第1〜第4実施形態では、ワークが、平坦な実装面を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ワークが、平坦でない実装面(曲面としての実装面)を有していてもよい。また、平坦な実装面と、平坦でない実装面との両方を有していてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、被係合部が係合部の形状に合わせて凹状に形成されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被係合部は、平坦状に形成されていてもよいし、係合部に係合するように凸状に形成されていてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、実装ヘッドによりワークを保持ユニットに移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ワークを保持ユニット以外の位置に移動させてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、基台の両側の端部に、フィーダ配置部がそれぞれ設けられるとともに、テープフィーダがそれぞれ配置された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基台の一方側の端部に、フィーダ配置部が設けられるとともに、テープフィーダが配置されていてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、テープフィーダにより部品を供給する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、テープフィーダ以外から部品を供給してもよい。たとえば、トレイなどにより部品を供給してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、1つのレーンに沿って、ワークが搬送されて作業が行われる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2つ以上のレーンに沿って、ワークが搬送されて作業が行わる構成であってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、ワークとして基板を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品が実装されるワークとして基板以外を用いてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、2つの係合部により載置部材(ワーク)を持ち上げて移動させる構成の例を示し、上記第3実施形態では、1つの螺合部(係合部)により載置部材(ワーク)を持ち上げて移動させる構成の例をしたが、本発明はこれに限られない。本発明では、3つ以上の係合部により載置部材(ワーク)を持ち上げて移動させてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、係合部を鉛直方向の回転軸線回りに回転させて、係合部と被係合部とを係合させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、係合部を上下方向や水平方向に並進移動させて、係合部と被係合部とを係合させてもよい。
また、上記第3実施形態では、螺合部が雄ねじ形状を有し、被螺合部が雌ねじ形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、螺合部が雌ねじ形状を有し、被螺合部が雄ねじ形状を有していてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、複数の載置部材を搬送部材に乗せて搬送部により搬送する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、載置部材を直接搬送部により搬送してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、実装ヘッドが一列に配置されたヘッドユニットを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッドが複数列直線状に配置されたヘッドユニットを備えていてもよいし、実装ヘッドが周状に配置されたロータリーヘッドを備えていてもよい。
上記第1〜第4実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。