JP6840556B2 - おしゃぶり - Google Patents

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Description

本発明は、歯がためのような機能を兼ね備えたおしゃぶりに関する。
従来より、乳幼児におしゃぶりを咥えさせると精神的に落ち着くことから、おしゃぶりを寝かしつけの道具として利用する者が多い。
また、月齢が進むにつれて歯が生え始めてきた乳幼児は歯茎がむずがゆくなり、愚図ったりする。そこで、歯茎を刺激して落ち着かせるために、又は、噛む練習をさせるため、歯がためを与えることも多い。
なお、おしゃぶりと歯がためを利用する月齢が一致している期間があることから、特許文献1のように、歯がため機能とおしゃぶりの機能の双方を備えた育児用品も開示されている。即ち、特許文献1の歯がため装置は、その図1に示すように、複数の突起部13を有する平板状の歯がため部材11と、この歯がため部材11の中央部に配置された乳首部15とを有している。
特表2014−530735号公報
ところで、発明者の観察によれば、同じ乳幼児であっても、時間軸によっておしゃぶりの扱いが異なることが分かった。例えば、まどろんでいる時は、おしゃぶりを長時間吸ってくれることが多いのに対して、眠たくない時は乳首を噛んで吸わなかったり、直ぐに口の外に出したりして、愚図ってしまうことがある。このように、覚醒度が高い時の乳幼児におしゃぶりを使用させるのは難しい場合があり、そのような時にこそ乳幼児を落ち着かせて入眠させたいのに、これでは、おしゃぶりは入眠促進の道具として必ずしも十分とは言えない。
なお、特許文献1の歯がため装置は、おしゃぶりの機能を併せ持つが、おしゃぶりの機能を十分に発揮することができない。例えば、最初に歯がためで遊び、その後、落ち着いてきたため、おしゃぶりを咥えさせようとすると、一旦、歯がためを口から引き抜くことになり、この引き抜く際、乳幼児はまた覚醒してしまう恐れがある。また、おしゃぶりを吸っている際に、乳首部の近くにある歯がため部材の突起部が顔に当たって、入眠に導く邪魔となる。
本発明は、覚醒度合いに拘らず、乳幼児を落ち着かせて入眠を促すことが出来るおしゃぶりを提供することを目的とする。
上記課題は、本発明によれば、乳幼児に咥えられる乳首部を備えたおしゃぶりであって、前記乳首部には、これを咥えた乳幼児が及ぼす外力による変形の程度を検出するセンサが設けられており、前記センサの検出結果に基づいて、乳幼児の覚醒度を判断する制御部を有し、前記制御部は、相対的に、前記覚醒度が高いほど歯茎を刺激する形状及び/又は硬さとなり、前記覚醒度が低いほど前記歯茎を刺激しない形状及び/又は硬さとなるように、前記乳首部を変化させる変化手段を制御し、前記乳首部は、前記制御部が前記覚醒度が高いと判断している時は、表面が前記歯茎を刺激するための凹凸形状とされるおしゃぶりにより解決される。
上記構成のおしゃぶりによれば、乳幼児に咥えられる乳首部を備えているため、乳幼児に乳首部を咥えさせて落ち着かせることができ、従来と同様、寝かしつけの道具として利用できる。
そして、乳首部には咥えた乳幼児が及ぼす外力による変形の程度を検出するセンサが設けられているため、このセンサで、乳幼児が乳首部を上下の歯茎で噛んだり、又は吸ったり、或いは舌でしごいたりした際の圧力を検出することができる。
また、このセンサの検出結果に基づいて、乳幼児の覚醒度を判断する制御部を有している。即ち、センサは、上述のように乳首部を噛む・吸う・しごく際の圧力を検出できるので、これらの動作の強弱・間隔・リズム等といった状況を把握することができる。そして、これらの動作の状況は乳幼児の覚醒度を把握する目安になるため、圧力(検出結果)に基づいた動作の状況を覚醒度として制御部が把握するようにしている。
ここで、本発明のおしゃぶりは、乳首部の形状及び/又は硬さを変化させる変化手段を有しているが、制御部は、相対的に、覚醒度が高いほど歯茎を刺激する形状及び/又は硬さとなるように変化手段を制御している。従って、例えば乳幼児に落ち着きがなく、覚醒度が高い時は歯茎を刺激して、歯がためのように歯茎のむず痒さ等を抑制して落ち着かせることができる。そして、このように乳幼児が落ち着いて来れば、咥えられた乳首部に加わる圧力も総じて弱まるため、制御部は乳幼児の覚醒度が低いことを把握することになる(上記「総じて弱まる」とは、乳首部に加わる一回の圧力が弱くなるだけでなく、一回の圧力は左程変わらなくても、圧力を加えない間隔が長くなって、一定の時間帯のトータルとして圧力が弱まる場合なども含まれる)。そして、このように覚醒度が低いと制御部が判断すれば、相対的に歯茎を刺激しない形状及び/又は硬さとなるように変化手段を制御するため、乳幼児の口に含まれたまま、吸啜し易い形状及び/又は硬さに変化する。従って、おしゃぶりを口から一旦取り外す必要がないので、乳幼児の落ち着いた又はウトウトした状態を邪魔することなく、おしゃぶりの機能で入眠に導くことができる。
以上のように、歯茎がむず痒い等の理由で、おしゃぶりを上手く咥えてくれない乳幼児であっても、ひとしきり歯がために似た形状・硬さのおしゃぶりを噛ませて落ち着かせ、その後、落ち着いてから、吸啜し易いおしゃぶりに変身して、そのまま入眠に導くという一連の流れを口の中で作ることができる。
なお、本発明は歯がためのような機能を備えたおしゃぶりとしているが、おしゃぶりの機能を備えた歯がためとしても捉えることができる。
また、乳首部は、制御部が覚醒度が高いと判断している時は、表面が歯茎を刺激するための凹凸形状とされる。従って、ウトウト状態ではない等の覚醒度が高い場合、乳首部の凹凸形状により歯茎を刺激し易くして、覚醒時おける歯がための機能を有効に発揮することができる。
また、好ましくは、前記乳首部は、前記制御部が前記覚醒度が低いと判断している時は、前記制御部が前記覚醒度が高いと判断している時と比較して表面が前記歯茎を刺激しないための平滑とされることを特徴とする。
従って、覚醒度が低いと制御部が判断すれば、乳首部は、制御部が覚醒度が高いと判断している時と比較して表面が歯茎を刺激しないための平滑とされる。従って、おしゃぶりを口から一旦取り外す必要がないので、乳幼児の落ち着いた又はウトウトした状態を邪魔することなく、おしゃぶりの機能で入眠に導くことができる。
また、好ましくは、前記制御部は、一定以上の強さで前記乳首部に加えられる吸啜を連続して行う時間帯であるバースト時と、前記吸啜を休止している時間帯であるポーズ時とが交互に規則的に繰り返された場合に睡眠前のウトウト状態であると把握するようになっており、前記ウトウト状態ではない時は前記覚醒度が高いと判断し、前記ウトウト状態の時は前記覚醒度が低いと判断することを特徴とする。
これにより、乳幼児が覚醒度の低い状態なのか、或いは覚醒度が高い状態なのかの区別を確実に判断し、歯がため状態からおしゃぶり状態に変化するタイミングを適切に行うことができる。
即ち、出願人の研究により、乳幼児が眠りに入る前のウトウト状態では、乳首部を一定以上の強さで吸ったりしごいたりする吸啜を連続して行う時間帯であるバースト時と、該吸啜を休止している時間帯であるポーズ時とが交互に規則的に繰り返えされる所定のリズムがあり、このリズムは睡眠前の殆どの乳幼児に見られることが判明した。そこで、乳首部に設けられたセンサの検出結果を利用して、バースト時とポーズ時とが交互に規則的に繰り返されたならば、乳幼児は睡眠前(入眠前)のまどろんだウトウト状態であると把握することができる。そして、このウトウト状態は覚醒度の低い状態に他ならないので、ウトウト状態を境に乳首の形状及び/又は強さを変化させれば、そのまま乳幼児を入眠に導くことができる。
なお、バースト時の吸啜の強さに関する上記「一定以上の強さ」とは、乳首部を明確に吸ったりせずに、例えば単に口に含んでモゴモゴしているような乳首部にかかる外力を排除する趣旨である。
この点、バースト時とポーズ時とが交互に規則的に繰り返えされている否かを制御部が判断する際の条件である「規則的に」とは、例えば所定の時間内に検出されたバースト時の回数とポーズ時の回数が略同じ場合などがあるが、好ましくは、前記制御部は、複数繰り返される前記バースト時の夫々の関係について、1回の前記バースト時の時間及び/又は吸啜回数にバラツキが略ない場合、前記規則的であると判断するとよい。このバラツキが略ない状態はウトウト状態に見られる特徴であって、これにより、制御部はウトウト状態であることを、より確実に判断できる。なお、この「バラツキが略ない」とは、ウトウト状態ではない起きた状態(覚醒度が高い状態)のバラツキに比べて略ないと言える程度の値であり、例えば、各バースト時における吸啜の回数について言えば、研究の結果、3〜7回、より好ましくは4〜7回の範囲内の吸啜回数である。
また、好ましくは、前記乳首部は、その内側空間が封止されており、前記変化手段は、前記制御部が前記覚醒度が高いと判断している時は、前記覚醒度が低いと判断している時に比べて、前記内側空間の圧力を高くすることを特徴とする。
従って、ウトウト状態ではない等の覚醒度が高い場合、乳首部は、その内側の圧力が高まって硬くなり、歯茎を刺激し易くすることができ、覚醒時おける歯がための機能を有効に発揮することができる。
以上、本発明によれば、覚醒度合いに拘らず、乳幼児を落ち着かせて入眠を促すことが出来るおしゃぶりを提供することができる。
本発明の実施形態に係るおしゃぶりの斜視図。 図1の乳首部のA−A断面を模式的に表した図であり、図2(A)は乳首部に外力を作用させない状態図、図2(B)は乳首部に外力を作用させたときの乳首部の変形の様子を示す状態図である。 図1のおしゃぶりの変化の前後を説明するための図であり、図3(A)は変化前の側面図、図3(B)は変化後の側面図。 図1のおしゃぶりの特徴的な構成を示す概略ブロック構成図。 図1のおしゃぶりと同様のおしゃぶりセンサを用いて得たウトウト状態の信号波形図。 図5のおしゃぶりセンサを用いて吸啜状態を実験した結果を示すデータ。 図1のおしゃぶりの動作例を示すフロー図。 本発明の実施形態の変形例に係るおしゃぶりの平面図であり、乳首部のみ断面を表した図。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
また、以下の図で同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
[おしゃぶりの概要]
図1及び図2は本発明の一実施例としてのおしゃぶり10であり、図1はその斜視図、図2は図1のA−A断面を模式的に表した図である。なお、図1の乳首部11は透明にして、中の部材が透けて見えるようにしている。
このおしゃぶり10は、授乳期にある乳幼児を精神的に落ち着かせて寝かしつける道具として使用でき、特に、授乳期中であって、かつ、歯のはえ始め時期でもある乳幼児に好適に使用できる。
図において、おしゃぶり10は、乳幼児に咥えられる「乳首部11」と、この乳首部11の基部13を支持するボックス状の「台座部17」と、乳首部11と台座部17とを区切るように配置され、フランジ状に広がることで、乳首部11を咥えた乳幼児の口の先端が基部13付近で止めるための「座板部12」を有している。
乳首部11は、後述する図3(A)の通常のおしゃぶりの状態では、母親の乳首の感触と近似した感触を与えるように形成されるのが好ましく、さらに、乳幼児に吸われたり、しごかれたりすることで、口腔内で十分変形されるのが好ましい点を考慮して、十分柔らかい材料(例えばシリコーンゴム)により形成されている。図1及び図2の乳首部11は、幅方向Xに比べて上下方向Yの寸法が小さく、断面が扁平な略棒状とされることで、上下方向Yに曲がったり潰れたりし易くなっている。
そして、乳首部11は、先端が少し丸まった乳頭先端部15から基部13にかけて中空状とされ、所定の体積を有する内側空間Sを有し、この内側空間S内にセンサ14が設けられている。センサ14は、乳首部11を咥えた乳幼児が及ぼす外力による乳首部11の変形の程度を検出するものである。センサ14を設けるのは、その検出結果に基づいて、歯茎で噛んだり、吸ったり、或いは舌でしごいたりする動作状況に応じて乳首部11にかかる圧力の強弱や間隔・リズムを把握して、乳幼児の覚醒の度合を判断するためである。
具体的には、図に示すように、内側空間S内には変形自在のわた状部材20が充填されており、このわた状部材20にセンサ14が包まれて配置されている。わた状部材20は、反射型フォトセンサから発する光を反射可能で伸縮変形自在なものであればよく、例えば、ぬいぐるみやパッチワークなどの詰め物に用いる手芸用のわた(株式会社アライ製の「つぶつぶ手芸わた」など)等のポリエステル等を利用できる。より好ましくは、通常のポリエステルに比べて耐熱性及び熱伝導性の高い繊維、例えば、ケプラー(商標)等の有機系のパラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維を利用できる。
センサ14は、乳頭先端部15の近傍のわた状部材20の中央付近に配置された第1センサ14aと、中央部近傍のわた状部材46の中央付近に配置された第2センサ14bとからなっている。
第1センサ14aと第2センサ14bとは同じ構成であり、小型の反射型フォトセンサが用いられており、例えばコーデンシ株式会社製のフォトインタラプタSG−105などを利用できる。この反射型フォトセンサは、電源部58から電力を供給されて赤外線を発光する発光ダイオードと、電源部58に接続されてベースに入光する赤外線の受光量に応じた電流をコレクタ・エミッタ間に流すフォトトランジスタと、を有し、フォトトランジスタのエミッタと抵抗との接続点に接続されたアウトプット端子(Output)から検出信号(電圧)を出力可能である。また、フォトトランジスタは受光量に応じた電流をコレクタ・エミッタ間に流すから、アウトプット端子(Output)からの検出信号は、受光量が値0のときには0Vとなり、受光量が多くなるほど高い電圧となる。なお、本実施形態のセンサ14は2つ(第1センサ14aと第2センサ14b)であり、2つの信号は合成されて1つの信号にされるが、本発明はこれに限られず、センサ14は1つ、或いは3つ以上であっても構わない。
図の第1センサ14aおよび第2センサ14bは、わた状部材20に包まれており、発光ダイオードから発した赤外線はわた状部材20で反射してフォトトランジスタに入光され、その入光量に応じた検出信号を出力する。従って、図1(A)に示す乳首部11に外力を作用させない状態から、図1(B)に示す外力を作用させた状態にすると(例えば、乳首部11を口に咥えて噛んだり吸ったりすると)、わた状部材20の密度は変化し、これにより、わた状部材20で反射してフォトトランジスタに入光する光量も変化するから、検出信号も変化する。このため、第1センサ14aおよび第2センサ14bは、周りのわた状部材20の密度の変化を検出信号として出力することになるから、この信号を吸啜等の動作状況により変化する圧力として把握することができる。
本実施形態では、図1(A)の乳首部11が何ら変形していない状態のときにセンサ14からの検出信号(電圧)が最大となるようにわた状部材20の充填量(密度)が調節されている。
また、後述する図3(A)及び(B)に示すように、乳首部11は2種類の形状に変化するため、その変化の前後で検出される圧力も多少変化する恐れがある。そこで、この圧力の変化が大きい場合は、該形状の変化に伴う圧力の変化分を補正して、乳幼児の動作に基づく圧力を把握するのが好ましい。例えば、図3(A)と図3(B)の双方に同じ圧力を加えて、それによりセンサ14で検出される圧力の相違を予め特定しておき、そして、実際に圧力を把握する場合は、図3(A)と図3(B)の乳首部11の形状が同じものとなるように該特定した相違分を補正して、乳幼児の動作による圧力を把握するのが好ましい。
ここで、乳首部11については、上述したセンサ14の検出結果に基づいて判断した乳幼児の覚醒の度合に応じて、その形状が変化するようになっている。乳首部11の形状を変化させるのは、覚醒度が高い状態の時には歯茎で噛む等することで歯茎を刺激する機能を発揮させ、覚醒度が低い状態(例えばウトウト状態)の時には吸ったりしごいたりするのに適したおしゃぶりとしての機能を発揮させるためである。即ち、相対的に、乳幼児の覚醒度が高いほど歯茎を刺激する形状となり、覚醒度が低いほど歯茎を刺激しない形状となるように、乳首部11を変化させる変化手段19を有している。
図3はこの変化手段19により変化した前後を説明するための図であり、図3(A)は変化手段19で乳首部11を変化させる前の側面図であって、おしゃぶり状態である。図3(B)は変化手段19で乳首部11を変化させた後の側面図であって、歯茎を刺激する機能を発揮させる状態(以下、「歯がため状態」という。)である。なお、図3は乳首部11の一部を切り欠いて図示しているが、その切り欠いた断面の部分拡大図である一点鎖線で囲った図にのみ断面を示す平行斜線を図示している。
本実施形態の変化手段19は、乳首部11に設けられた形状記憶材料24と、この形状記憶材料24に変化の原因を与える発熱部56とを有している。
形状記憶材料24としては、形状記憶合金などもあるが、本実施形態では形状記憶ポリマーが用いられている。形状記憶ポリマーは、成形加工後に力を加え変形しても、所定の温度以上に加熱すると元の形状に回復するポリマーである。このような形状記憶ポリマーは公知のものを利用できるが、約38〜43℃の範囲の加熱により形状を変えることが可能なポリマーが好まく、例えば、日本ゼオン製のノルボルネン系ポリマー、三菱重工業製のウレタン系ポリマー等の種々のポリマーを利用できる。38〜43℃の範囲の加熱変化が好ましいのは、乳首部11を咥える乳児の平熱が37.5℃以下であり、また、44℃以上であると、3時間以上の使用で低温やけどの恐れが高まるからである。さらに好ましくは、40℃前後の加熱で変形する形状記憶ポリマーがよい。40℃前後はミルクを与える時の好ましい温度だからである。
図の形状記憶材料24は、シリコーン樹脂部25の中に埋設されており、これにより、もしも形状記憶材料24から有害物質(例えばホルムアルデヒド)が発生する恐れがあると仮定したとしても、有害物質の口腔内への進入を防止することができる。なお、本発明の形状記憶材料24は、シリコーン樹脂部25の内側空間Sに露出した面(即ち乳首部11の内面)に接着剤で貼着しても構わないが、上述のようにシリコーン樹脂部25の中に埋設することで接着剤を不要として、より安全性を確保できる。
なお、形状記憶材料24は、図3に示すように、扁平な乳首部11について変形し易い上下方向Yの概ね平坦なシリコーン樹脂部25の中に埋設されている。
具体的には、後述する制御部52が乳幼児の覚醒度が高いと判断している時は、図3(B)に示すように、形状記憶材料24により、乳首部11の表面が歯茎を刺激する凹凸形状とされる。図3(B)の場合、形状記憶材料24が波打つことで、これに当接したシリコーン樹脂部25の表面が凹凸形状に変化するようになっている。図の凹凸形状は高低差の大きな凹凸ではなく、乳幼児が乳首部11を舌の上に載せた際、その載せた乳首部11の外周側面の全体が舌に密着する程度の大きさとされ、例えば高さH1を1〜2mm程度の凸部に抑えることで、吸啜できると共に、平滑な外周側面に比べて歯茎を刺激できる形状としている。
発熱部56は、このような形状記憶ポリマーからなる形状記憶材料24を加熱する部品である。発熱部56は、台座部17に収容され、内側空間S側を加熱可能としている。この発熱部56は、形状記憶材料24に対する加熱を邪魔するシリコーン樹脂部25、及び乳首部11内のわた状部材46を考慮して、形状記憶材料24の変形温度(本実施形態の場合は38〜43℃)よりも高い温度(例えば、41〜46℃)で発熱する部材が好ましく、例えば十分な加熱能力があるセラミックヒーターを利用でき、なかでも小型のマイクロセラミックヒーターが好ましい。なお、発熱部56は、わた状部材46の密度・種類やシリコーン樹脂部25の厚みに応じて発熱温度を決めればよいが、ヒーターの温度が高すぎる場合は、ワット数を下げたりサイズを小さくしたりし、或いは、耐熱性のシリコーン樹脂で被覆する等して対応すればよい。
このような形状記憶材料24と発熱部56を有する変化手段19は、台座部17に収容された制御部52により制御されている。
具体的には、制御部52は、センサ14の検出結果に基づき、乳首部11にかかる外力の状況に応じた乳幼児の覚醒度を判断している。なお、上記「外力の状況」とは、乳首部11を歯茎で噛んだり、吸ったり、或いは舌でしごいたりする際の強弱・間隔・リズム等の状況である。本実施形態の場合、制御部52は、センサ14の検出結果に基づいて、乳幼児が睡眠前の体動が少しまどろんだような状態(即ち、ウトウト状態)か否かの判断を行っている(このウトウト状態か否かを判断するための具体的な手法については後で詳細に説明する)
そして、制御部52は、乳幼児の覚醒度に応じて変化手段19を制御している。即ち、相対的に、乳幼児の覚醒度が高いほど乳首部11が歯茎を刺激する形状となり、覚醒度が低いほど乳首部11が歯茎を刺激しない形状(覚醒度が高い時に比べて刺激しない形状であり、好ましくは一般的なおしゃぶりの形状)となるように制御をしている。本実施形態の場合、制御部52は、乳幼児がウトウト状態ではないと判断した時は、ウトウト状態の時よりも歯茎を刺激する形状に乳首部11を変化させるため、発熱部56に対して電気を流すように電源部58に指令を出し、これにより、乳首部11は図3(B)に示す形状となる。
なお、図3に示す台座部17には、発熱部56、及び制御部52の他にも、モード切替部50、電源部58、電源ボタン54が設けられている。
「モード切替部50」は、おしゃぶり10を歯がため状態にするか否かを決定するための切替え手段であり、座板部12を間に挟んで乳首部11側と反対側の面17aに露出し、モードを切り替えるためのスイッチ50aを有している。
使用者はスイッチ50aを切り替えて切替え部50をおしゃぶりモードにすれば、発熱部56は作動することなく、通常のおしゃぶりのままの形状となる。これに対し、歯がためモードにすれば、制御部52の制御により、後述する乳幼児の覚醒度合に応じて、歯がため状態になったり、おしゃぶり状態になったりする。
「電源ボタン54」は上記電子部品14,50,52,56への電源の供給・不供給を決めるON・OFFのスイッチであり、ボタン型電池などの電源部58と電気的に接続され、電源ボタン54をONにすることで、これらの各電子部品14,52,56に電源を供給可能となる。
[特徴的なブロック構成]
図4は図1のおしゃぶり10の特徴的な構成を示す概略ブロック構成図である。
この図のおしゃぶり10は、上述したモード切替部50、発熱部56、センサ14、電源ボタン54、電源部58と電気的に接続された制御部52を有している。
制御部52は、おしゃぶり10の全体的な動作の制御を行うものであり、例えばCPUやマイクロプロセッサ等のプロセッサ(処理装置)を用いており、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、不揮発性メモリ、クロックを有している。クロックは、現在時刻の取得や所定の処理実行のタイミングを計り、また、乳幼児が吸啜等の行動をとった時間の計測等に用いられる。
特に、制御部52は、センサ14と電気的に接続された制御本体(プロセッサ)60を有し、制御本体60は後述する各プログラム62〜64を読み込んで所定の処理実行を行うことで、センサ14の検出結果を利用して、乳幼児が覚醒度の高い状態か、或いは低い状態(ウトウト状態)か否かをリアルタイムに判断している。
具体的には、制御本体60では、「個人別吸啜力計算部61」「睡眠前状態判断部62」「ポーズ発生判断部63」「バースト発生判断部64」に格納されたプログラムを読み込んで所定の処理実行がなされる。
図4の「個人別吸啜力計算部61」は、吸啜力(ここでは、一定以上の強さで乳首部に加えられる吸啜の圧力)が咥えられる位置等により個人差があるため、使用者に則した吸啜力を判断するためのプログラムである。具体的には、センサ14から受信した複数回の吸啜力の平均値を計算し、これに安全値(例えば70%)をかけた値を演算している。この演算結果の数値を、単に口をもごもごしているだけではなく、乳首部を吸啜したのか否かを判断するための基準値である吸啜の圧力(以下、「基準吸啜力」という)としている。そして、この基準吸啜力は「基準吸啜力記憶部65」に記憶され、この基準吸啜力を上回らない場合は、吸啜していないと判断される。なお、基準吸啜力記憶部65はRAMであって、書き換え可能とされ、使用する毎に基準吸啜力は書き換えられる。
また、この個人別吸啜力計算部61は、おしゃぶりを安定して吸啜し始めた後のセンサ14の検出値(圧力値)を用いて基準吸啜力を演算するのが好ましく、本実施形態では、センサ14が予め決められた所要の圧力値を検出した後の吸啜力を用いて演算している。或いは、図1の舌でしごかれる中間部にある第2センサ14bと、哺乳禍に収まる第1センサ14aの双方が所要の圧力値を検出した場合、確実に吸啜又はしごき始めたと判断し、その後の圧力値を用いて基準吸啜力を演算してもよい。
図4の「睡眠前状態判断部62」は、乳幼児のまどろんだウトウト状態を把握するためのプログラムであり、吸啜(基準吸啜力記憶部65に記録された基準吸啜力を超える圧力を有する行為)を連続して行う時間帯であるバースト時と、該吸啜を休止している時間帯であるポーズ時とが交互に規則的に繰り返される睡眠前のウトウト状態であるか否かを判断している。
図5は、このウトウト状態を説明するためのデータであり、図1のおしゃぶり10と同様のおしゃぶり型センサ(特開2015−160079で開示された公知のセンサ)を用いて計測したウトウト状態の時の信号波形図である。
図5に示すように、ウトウト状態では、吸啜を連続して行うバースト時75と、吸啜を行わないポーズ時68が規則的に交互に繰り返されていることが分かる。
即ち、乳幼児が乳首部を単に咥えると、ある程度の圧力が加わって変形するため、センサの上述したフォトトランジスタで受光する光量がある程度小さくなる。この状態は、単に咥えているだけのポーズ時68の状態に該当する。そして、このポーズ時68の状態から吸啜をした場合には、乳首部は図1(B)のように圧力が大きく加わって変形することになるから、フォトトランジスタで受光する光量がより小さくなり、図5のデータでは圧力が大きいポイントP1として現れる。そして、吸啜から乳首部を解放すると、乳首部は一瞬、圧力がほとんど加わらなくなって(図1(A)のような状態に略なって)、フォトトランジスタで受光する光量が大きくなり、図5のデータでは圧力がかなり小さいポイントP2として現れる。このポイントP1からポイントP2を経て次のポイントP1に続く波形信号が1回の吸啜を表す。そして、図5に示すように、ウトウト状態では、バースト時75に4〜7回程度の吸啜を連続して行い、その後、所定の時間、ポーズ時68になり、この動きを規則的に(リズミカルに)繰り返すことが分かった。このような状態は、睡眠前の乳幼児の殆どに見られるものであり、従って、このバースト時75とポーズ時68が規則的に交互に繰り返されている場合に、ウトウト状態であると把握することが可能である。
そこで、図4の睡眠前状態判断部62は、基準吸啜力記憶部65で記憶された基準吸啜力を超える吸啜を連続して行う時間帯であるバースト時75(図5参照)と、該吸啜を休止している時間帯であるポーズ時68(図5参照)とが交互に規則的に繰り返される睡眠前の状態を特定して、ウトウト状態であると判断し、この判断に基づいて、制御本体60は発熱部56に電気を流すか否かを決定している。即ち、ウトウト状態である場合は覚醒度が低い状態であると判断し、発熱部56に電気を流さないようにし、これに対して、ウトウト状態ではない場合は覚醒度が高い状態であると判断し、発熱部56に電気を流して、乳首部を加熱して図3(B)の凹凸形状に変化させている。
この点、図5に示すように、ポーズ時68の時間は区々であり、バースト時75とポーズ時68が交互に「規則的に」現れるとは言っても、各バースト時75と各ポーズ時68が全く同じに繰り返されるわけではない。この点、さらに分析した結果、ウトウト状態では、1回のバースト時の吸啜回数、及び1回のバースト時の時間について、いずれのバースト時においてもバラツキが略ないことが更なる特徴だと分かった(例えば、図5のバースト時75bの吸啜回数とバースト時75cの吸啜回数は略同じである)。そこで、本実施形態では、複数繰り返されるバースト時の夫々の関係について、1回毎のバースト時の時間及び/又は吸啜回数にバラツキが略ない場合、「規則的」であると判断している。
図6は、この更なる特徴(バースト時の吸啜回数・時間のバラツキのなさ)を説明するための実験データである。
この実験データは、抱っこ、又はベビーラック上に仰向けに寝かされた乳幼児に対して、図1のおしゃぶり10と同様のおしゃぶり型センサ(特開2015−160079で開示された公知のセンサ)を咥えさせて計測した信号波形を分析したもので、かつ、乳幼児が安定した吸啜を示してからの実験結果を分析したものである。
図6のパターン1とパターン2は、乳幼児が覚醒した状態(大きく開眼し、体動(頭部や手足の動き)も大きい状態)の分析結果であり、この内、パターン2は所定の吸啜をかなり長く続けている状態の分析結果である。パターン3は、ウトウト状態(開眼又は閉眼で、体動が少しまどろんだような状態)の際の分析結果である。なお、これら各パターンにおいて、約1分間の吸啜波形を分析した。
また、図6の括弧以外の数値は個人別の平均値の範囲であり、括弧内は個人内でのバラツキの範囲を示している。なお、図6のnは被験者の数であり、各パターンの数は多くはなく、特にパターン3では被験者が1名しかいないが、さらに多数の乳幼児を目視して、図6と同様の結果であることは確認している。
この図6に示すように、乳幼児が完全に起きているパターン1では、各バースト時の時間のバラツキは最大で9.6秒、吸啜回数のバラツキでは最大で17回と区々であることが分かる。これに対して、乳幼児がまどろんだウトウト状態のパターン3では、各バースト時の時間のバラツキは僅か1.5秒、吸啜回数のバラツキも僅か2回しかないことが分かった。なお、このパターン3における各バースト時の時間と吸啜回数のバラツキは、パターン1の該バラツキから比べれば極めて少なく、従って、相対的な観点からバラツキは略ないと見ることができる。
また、いずれのパターンでも、バースト時における1秒間の吸啜力に起因する振動数(即ち、吸啜速度)は概ね2Hzであって左程変化せず、いかなる状態及びいかなる乳幼児でも同様であることが分かり、概ね0.5秒間に1回の吸啜を行っている。従って、本実施形態において、バースト時における連続した吸啜は、安全率を見て少なくとも0.8秒間に1回の吸啜を続けて行うことであると特定している。
このような図6及び目視による研究結果から、吸啜(基準吸啜力を超える吸啜)を所定時間(本実施形態では1.5秒)以上行わない時間帯を1回のポーズ時、その後、連続して吸啜を行う時間帯(0.8秒以内に行う吸啜を連続して4〜7回行う時間帯)を1回のバースト時とし、この1回のポーズ時とこれに続く1回のバースト時を1サイクルとして、これを複数回繰り返した場合に、バースト時とポーズ時が交互に規則的に繰り返された判断するようになっており、この判断を行うためのプログラムとして図4の睡眠前状態判断部62が設けられている。
具体的には、吸啜が所定時間(図の場合は1.5秒)以上行われないポーズ時を判断するのは、プログラムである「ポーズ発生判断部63」に基づいてである。
また、吸啜(少なくとも0.8秒以内に1回行われる吸啜)が連続して予め定められた所定の範囲内の回数(これが上記「バラツキが略ない」とする範囲であり、好ましくは4〜7回)である場合にバースト時であると判断するのは、プログラムである「バースト発生判断部64」に基づいてである。
そして、ポーズ発生判断部63に基づいてポーズ時が発生したと制御本体60が判断し、続いて、バースト発生判断部64に基づいてバースト時が発生したと制御本体60が判断し、該ポーズ時とこれに続くバースト時が発生したことを複数回判断した場合、睡眠前状態判断部62のプログラムに基づいて、制御本体60はウトウト状態であると判断するようになっている。即ち、ここでは、睡眠前状態判断部62は、ポーズ発生判断部63に基づいて判断されるポーズ時と睡眠前状態判断部62に基づいて判断されるバースト時を交互に繰り返したことをカウントするプログラムが格納されており、このカウント回数が所定回数(本実施形態では5回)繰り返されたと制御本体60が判断した場合に、発熱部56に対して電気を流すように指示を出すプログラムが格納されている。
なお、本実施形態では、ポーズ発生判断部63とバースト発生判断部64と睡眠前状態判断部62を別々のプログラムとして説明したが、本発明の睡眠前状態判断部は、ウトウト状態か否かの判断を行うためのプログラム、或いは、そのプログラムを用いて判断する制御手段であればよく、例えば、ポーズ発生判断部63とバースト発生判断部64を睡眠前状態判断部62の一部として把握しても構わない。
また、バースト発生判断部64において、1回のバースト時当りの連続した吸啜回数に関して、基準とする上記「予め定められた範囲内の回数(バラツキが略ないとする範囲)」とは、好ましくは4〜7回であるが、個人差による吸啜回数の相違を考慮して、3〜7回の吸啜回数であっても構わない。即ち、吸啜回数が8回以上であれば、ウトウト状態ではなく、しっかり起きていると判断できるのに対して、吸啜回数が3回の場合は、よりウトウト状態であると考えることもできるからである。但し、吸啜回数が1〜2回の場合は、ウトウト状態というよりも、もはや睡眠状態に近いと把握することもできる。或いは、例えば他の事に気を取られるなど、何等かの起きている最中の理由で吸啜を中止したものと把握することもできる。このため、「予め定められた範囲内」は3〜7回、好ましくは4〜7回の吸啜回数である。
なお、本実施形態では、1回のポーズ時とこれに続く1回のバースト時を1サイクルとしているが、1回のバースト時とこれに続く1回のポーズ時を1サイクルとしても構わない。
[おしゃぶりの動作例]
次に、本実施形態のおしゃぶりの動作例について、図3及び図4を参照しながら、図7を用いて説明する。
図7は、図1のおしゃぶりの動作例を示すフロー図である。
図7では、おしゃぶりの電源ボタンを押すと、おしゃぶりは歯がためモードか否かの判断を行う(ステップ1)。即ち、図3及び図4のモード切替部50が歯がためモードかおしゃぶりモードかの判断をし、歯がためモードでない場合(おしゃぶりモードの場合)、発熱部56に電気を流すことなく、図3(A)に示す細かな凹凸形状のない吸啜により適したおしゃぶりの形状にする。
これに対して、歯がためモードになっている場合は、制御部52は発熱部56に電気を流すように指示をし、これにより発熱部56の熱を受けて図3(B)に示すように形状記憶材料24が変形して、細かな凹凸形状がある形状に変化する(図7のステップ2)。
この状態で乳幼児が図3(B)に示す乳首部を咥えると、図4の個人別吸啜力計算部61に格納されたプログラムが作動して、乳首部を吸啜したか否かを判断するための基準値である基準吸啜力を演算し、その値を図4の基準吸啜力記憶部65に記録する(図7のステップ3)。この際、個人別吸啜力計算部61は、センサ14が予め決められた所定の圧力を検出した後の吸啜力を用いて演算することで、正確な基準吸啜力を算定可能となっている。
次いで、図7に示すように、吸啜(上記の基準吸啜力を超える吸啜であり、以下同様)を所定時間(本実施形態では1.5秒)以上行わなくなった場合をポーズ時であると判断し、このポーズ時が発生したか否かを判断する(図7のステップ4)。この判断は図4のポーズ発生判断部63のプログラムに基づいて行われる。
ポーズ時が発生していない場合は、覚醒度が高いと判断して、図7のステップ1に戻って、ポーズ時が発生することを再び監視する。
これに対して、ポーズ時であると判断した場合、図7のステップ5に進み、バースト時であるか否かの判断を行う。即ち、図4のバースト発生判断部64に格納されたプログラムに基づいて、連続して行われる吸啜回数が予め定められた範囲内(バースト時の吸啜回数について、バラツキが略ないと判断できる範囲)の回数であるか否かの判断を行う。この「予め定められた範囲内」は、上述したように3〜7回、好ましくは4〜7回である。
そして、図7のステップ5において、連続した吸啜回数が予め定められた範囲内でない場合は、未だウトウト状態ではないと判断でき、ステップ1に戻って、ポーズ時の発生を再び監視する。なお、乳幼児は、長さに違いはあっても、必ずウトウト状態を通って睡眠に至るため(入眠するため)、ステップ5において、連続した吸啜回数が予め定められた範囲内でないと判断された乳幼児が、いきなり睡眠に至ることは、特段の事由がない限りない。
これに対して、図7のステップ5において、連続した吸啜回数が予め定められた範囲内である場合は、次のステップ6に進み、ポーズ時(ステップ4の肯定的判断)とこれに続くバースト時(ステップ5の肯定的判断)が、複数回、連続して続いているか否かの判断を行う。即ち、ステップ4でポーズ時であると判断し、続いて、ステップ5でバースト時であると判断し(このステップ4と5の連続する1回の肯定的な判断が1サイクルとなる)、これらの肯定的な判断が連続して複数回行われた場合(即ち、5回などの複数回のサイクルを行った場合)、図4の睡眠前状態判断部62に基づいて、はじめてウトウト状態であって覚醒度が低いと判断する。
次いで、図7のステップ7に進み、図4の制御本体60は発熱部56への通電状態を解除する指令を出し、これにより発熱部56は発熱を中止して、図3(A)に示すおしゃぶりの形状に変化する。従って、乳幼児は、凸凹した図3(B)の形状とは異なり、吸啜し易くなって、おしゃぶりとしての機能を十分に発揮することができる。
その後、本実施形態では、ステップ4に戻って、ステップ5及びステップ6へと進み、ポーズ時とバースト時が連続して複数回行われたかを判断し、それが肯定的な判断であれば、そのままおしゃぶりの形状を保持する。これに対して、ステップ4〜6のいずれかにおいて否定的な判断がある場合は、ウトウト状態ではなくなり覚醒度が高まったと判断して、ステップ1に戻り、歯がためモードであった場合は図3(B)に示す歯がための状態に戻る。
なお、被使用者は、いずれのステップにおいても、おしゃぶりを口から引き抜いて電源を切り、本おしゃぶりの使用を終了することができる。
本発明の実施形態は以上のように構成されており、歯茎がむず痒い等の理由で、おしゃぶりを上手く咥えてくれない乳幼児であっても、ひとしきり歯がために似た形状・硬さのおしゃぶりを噛ませて落ち着かせ、その後、落ち着いてから、吸啜し易いおしゃぶりに変身して、そのまま入眠に導くという一連の流れを口の中で作ることができる。
なお、上記実施形態では、図7に示すようにバースト時とポーズ時とが交互に規則的に繰り返されてウトウト状態になった場合、乳首部の形状及び/又は硬さが図3(A)に示す通常のおしゃぶりと同様となるように変化するが、本発明はこれに限られず、例えば、図7のステップ4で1回でもポーズ時が発生した場合、或いは、ポーズ時とバースト時が1回でも発生した場合などに図3(A)の形状に変化させても構わない。
〔変形例〕
図8は上述した実施形態の変形例に係るおしゃぶり70の平面図であり、乳首部のみ断面を示している。
この図において、図1〜図7で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この変形例に係るおしゃぶり70が上述した実施形態と異なるのは、主に変化手段80についてである。
すなわち、図3の変化手段19が乳首部11の形状を変化させるのに対して、図9の変化手段80は、主に乳首部11の硬さを変化させている。
図9の変化手段80の場合、乳首部11の内側空間Sの圧力を変化させることで乳首部11の硬さを変えており、台座部17内に収容されたアクチュエータ72と、このアクチュエータ72の先端部に設けられた封止部89とを有している。
アクチュエータ72は、乳首部11の長手方向Zに沿って進退する軸部74を有し、例えばボールねじ装置を利用しており、モータ73の回転運動をネジ軸である軸部74の直進運動(Z方向の運動)に変換している。
封止部89は、軸部74の先端部に接続され、乳首部11の先端に向かって進退可能とされている。そして、封止部89は、その進退方向(Z方向)と直交する方向(XY面方向)に拡幅する板状部材とされ、乳首部11の内面と密着することで内側空間Sを封止している。これにより、封止部89は、アクチュエータ72を駆動させ、乳首部11の先端に向かって進めば内側空間Sの圧力を高め、元に戻れば内側空間Sの圧力を低くするようになっている。
ここで、制御部52は、乳幼児の覚醒度が高いと判断している時は、該覚醒度が低いと判断している時に比べて、内側空間Sの圧力を高くするように変化手段80を制御している。従って、乳幼児の覚醒度が高い場合は、相対的に内側空間Sの圧力が高まって、乳首部11は硬くなるため、乳首部11を歯茎で噛んだ際の歯茎に対する刺激を強めることができる。これに対して、乳幼児の覚醒度が低い場合は、相対的に内側空間Sの圧力が低くなって、乳首部11は軟らかくなるため、吸啜し易くなって、おしゃぶりとしての機能を十分に発揮できる。なお、内側空間Sの圧力は、おしゃぶりの基本的機能を発揮するための硬さを基準にして、乳幼児の覚醒度が高い場合、その基準よりも硬くなるように圧力を高めればよい。
具体的には、本変形例においても、制御部52は、乳幼児がウトウト状態ではない時に覚醒度が高いと判断し、ウトウト状態の時に覚醒度が低いと判断している。そして、このウトウト状態は、図5に示すようにバースト時75とポーズ時68とが交互に規則的に繰り返されるというリズムを目安にして判断される。従って、内側空間Sの圧力の高低によってセンサ14が検出する圧力値は変わるが、リズムは圧力の多少の変動では変わらないので、制御部52は乳幼児の覚醒度の高低を正確に判断することができる。但し、バースト時75の吸啜か否かを判断するためには、単にモゴモゴすることで生じる圧力を排除するため、図4の個人別吸啜力計算部61のプログラムが作動して、吸啜の有無を判断するための基準値である基準吸啜力を演算し、この基準吸啜力を超えた場合に吸啜であると判断している。このため、この基準吸啜力の判断に対して、内側空間Sの圧力の高低は影響を及ぼす。従って、封止部89を押し出して内側空間Sの圧力を高くした場合、その高くなった圧力値分を補正して、図4の個人別吸啜力計算部61が基準吸啜力を判断するとよい。
また、図8のおしゃぶり70では、乳幼児の覚醒度が高い場合、乳首部11の形状も若干変化する。具体的には、乳首部11は、相対的に、厚みが大きい肉厚部82と、厚みが小さい肉薄部83とを有しており、肉薄部83は、封止部89を押して内側空間Sの圧力を高めると、図の一点鎖線で囲った図に示すように、外側に膨らむようになっている。この膨らみは僅かでも構わず、敏感な口腔内ではこれを感知することが可能である。
本発明の実施形態の変形例は以上のように構成されており、覚醒度が高い場合、乳首部は、その内側空間Sの圧力を高めて硬くなり、歯茎を刺激して乳幼児を落ち着かせ、その後、覚醒度が低くなったら、乳首部11を吸啜に適した硬さにして、そのまま入眠を促すことができる。なお、本変形例では、乳首部11に肉厚部82と肉薄部83を形成しているが、一様の厚みにして、硬さのみを変化させるようにしても構わない。
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、図4の睡眠前状態判断部62では、バースト時とポーズ時とが交互に“規則的”に繰り返されているか否かを判断する際、各バースト時の吸啜回数のバラツキが略なく、予め定められた範囲内にある場合に該「規則的」であると判断している。しかし、本発明はこれに限られず、各バースト時の時間の長さにバラツキが略なく、予め定められた所定の範囲内(例えば1.5〜3.5秒)である場合に「規則的」であると判断するようにしてもよい。或いは、各バースト時の吸啜回数と時間の双方が上記所定の範囲内である場合に「規則的」であると判断することで、より確実にウトウト状態であることを判断可能となる。
また、乳幼児の覚醒度を判断するためのセンサは、図1〜図3の場合、反射型フォトセンサからなるセンサ14をわた状部材20で包み、受光量の違いに基づいて、外力による乳首部11の変形の程度を検出可能としているが、本発明はこれに限らず、例えば、公知の圧力センサを用いて、外力による乳首部11の変形の程度を検出するようにしてもよい。
10,70・・・おしゃぶり、11・・・乳首部、14・・・センサ、17・・・台座部、19,80・・・変化手段、62・・・睡眠前状態判断部、63・・・ポーズ発生判断部、64・・・バースト発生判断部、68・・・ポーズ時、75・・・バースト時

Claims (5)

  1. 乳幼児に咥えられる乳首部を備えたおしゃぶりであって、
    前記乳首部には、これを咥えた乳幼児が及ぼす外力による変形の程度を検出するセンサが設けられており、
    前記センサの検出結果に基づいて、乳幼児の覚醒度を判断する制御部を有し、
    前記制御部は、相対的に、前記覚醒度が高いほど歯茎を刺激する形状及び/又は硬さとなり、前記覚醒度が低いほど前記歯茎を刺激しない形状及び/又は硬さとなるように、前記乳首部を変化させる変化手段を制御し、
    前記乳首部は、前記制御部が前記覚醒度が高いと判断している時は、表面が前記歯茎を刺激するための凹凸形状とされる
    ことを特徴とするおしゃぶり。
  2. 前記乳首部は、前記制御部が前記覚醒度が低いと判断している時は、前記制御部が前記覚醒度が高いと判断している時と比較して表面が前記歯茎を刺激しないための平滑とされる
    ことを特徴とする請求項1に記載のおしゃぶり。
  3. 前記制御部は、
    一定以上の強さで前記乳首部に加えられる吸啜を連続して行う時間帯であるバースト時と、前記吸啜を休止している時間帯であるポーズ時とが交互に規則的に繰り返された場合に睡眠前のウトウト状態であると把握するようになっており、
    前記ウトウト状態ではない時は前記覚醒度が高いと判断し、前記ウトウト状態の時は前記覚醒度が低いと判断する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のおしゃぶり。
  4. 前記制御部は、複数繰り返される前記バースト時の夫々の関係について、1回の前記バースト時の時間及び/又は吸啜回数にバラツキが略ない場合、前記規則的である判断することを特徴とする請求項に記載のおしゃぶり。
  5. 前記乳首部は、その内側空間が封止されており、
    前記変化手段は、前記制御部が前記覚醒度が高いと判断している時は、前記覚醒度が低いと判断している時に比べて、前記内側空間の圧力を高くする
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のおしゃぶり。
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