JP6835510B2 - 建築土木用筋材、これを用いたコンクリート構造物、コンクリート床版構造体及びその施工方法と補強方法 - Google Patents
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Description
一方、前記FRP補強工法は、即硬化性の樹脂モルタルを使用するものの工程数が多く、各工程で養生時間を確保する必要もあるため、工期短縮が難しいという問題がある。
早期に大規模更新、修繕を施す必要がある高速道路の橋梁は総延長で数百kmにも及ぶことから、床版を強化し補強する工事には、重量増加を抑えて短い交通規制期間で確実且つ速やかに施工可能なことが要求され、これを実現する新たな工法の開発が要請されている。
また、突起部を構成する管体はガラス繊維強化樹脂材(以下、「GFRP」ともいう。)、CFRP、AFRPの何れかにより形成することができる。
筋材本体に管体を固定するための定着剤は、エポキシ系樹脂充填剤又は膨張セメントを用いることができる。
(関係式)φ+6mm≦S≦φ+35mm
また、管体の内径(T)と筋材本体の径(φ)が以下の関係式を満たす構成を有することを特徴とする。
(関係式)φ+2mm≦T≦φ+10mm
また、管体の厚みが1〜8mmであることを特徴とする。
またさらに、隣接する管体同士の間隔が100〜1500mmであることを特徴とする。
前記構成の筋材において、繊維強化樹脂材中の繊維状強化材の含有量が30〜80体積%であることも特徴とする。
また、コンクリート床版構造体を形成する場合に、コンクリート床版内に埋め込んで床版を補強する手段として用いることができる。
その他、本発明の建築土木用筋材は、ビルや道路、橋梁、水路、堤防など様々なコンクリート構造の建築物や土木構造物などに、構造材料に埋め込んで補強する筋材として用いることができる。
前記構成の建築土木用筋材をコンクリート床版上に複数本設置する工程と、
前記建築土木用筋材が設置されたコンクリート床版上に速硬化モルタルを打設する工程と、
前記速硬化モルタル上にアスファルト舗装体を敷設する工程と、を有することを特徴とする。
前記アスファルト舗装体を撤去する工程と、
前記構成の建築土木用筋材をコンクリート床版上に複数本設置する工程と、
前記建築土木用筋材が設置されたコンクリート床版上に速硬化モルタルを打設する工程と、
前記速硬化モルタル上にアスファルト舗装体を敷設する工程と、を有することを特徴とする。
既設のコンクリート床版の上面部分をその内部に配置された鉄筋が露出する深さに切除する工程と、
前記構成の建築土木用筋材を前記切除した部分の上面に複数本設置する工程と、
前記建築土木用筋材が設置されたコンクリート床版上に速硬化モルタルを打設する工程と、を有することを特徴とする。
これによれば、構造材料中に埋設される建築土木用筋材は、FRP製の筋体本体の外周に沿って複数の突起部を適宜な間隔を開けて一体化した形状に設けられているので、速硬化モルタルとの界面に剥離応力が発生し難く、筋材は高い付着性でモルタルに確実に一体化し、コンクリート床版が引張りや曲げを受けても筋材は引き抜け難く、構造材料の耐衝撃性や曲げ強度、耐摩耗性などの物性を向上させてコンクリート床版を有効に補強することができる。コンクリートに対して高い付着性が発揮される形状に筋材が設けられているので、速硬化性のモルタルやコンクリートを使用して短い工期でコンクリート床版構造体の施工や補強が可能となる。
また、FRP製の筋材は耐腐食性に優れており、ヤング係数が鉄の2倍以上の高弾性CFRP製の筋材であれば鉄筋の応力緩和効果が高く、コンクリート床版の強度を高めることができる。
図示した筋材1は、適宜な径(φ)及び長さのFRP製、好ましくは高弾性のCFRP製又はAFRP製の筋材本体2の外周に、FRP製、好ましくはGFRP製、CFRP製又はAFRP製、より好ましくはGFRP製の管体4を通し、且つこれを定着剤5により筋材本体2に固定してなる複数の突起部3を一体に設けて形成してある。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
モルタルとしては、膨張モルタル、軽量モルタル、耐火モルタル等が挙げられる。
セメントとしては、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム等を主成分とする普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、高炉ポルトランドセメント、超速硬セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミセメント、膨張セメント、耐硫酸塩セメント、高炉コロイドセメント、コロイドセメント等が挙げられる。
セメントは、必要に応じて水及び公知のセメント用混和剤、例えば、収縮補償材、硬化促進割、硬化遅延剤、分散剤、空気連行剤、増粘剤、減水剤、充填材等を併用することができる。
中でも、コンクリート等の被定着物との付着応力度の観点から、エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂系の充填材やセメントが好ましく、膨張セメントがより好ましい。
すなわち、筋材本体2は、その径(φ)が5〜20mmに設定されていることが好ましく、7〜15mmに設定されていることがより好ましい。
(実施例1)
径(φ)12mmの高弾性CFRP製の筋材本体2の外周に、内径(T)18mm、長さ50mm、外径(S)24mm、厚み3mmのGFRP製の管体4(ガラス繊維含有量65.6体積%)を通し、これを定着剤5としてエポキシ樹脂系充填剤を用いて固着し、筋材本体2の外周に一つの突起部3が一体化された筋材1を形成した。管体4の定着長(L)は110mmとした(図5参照)。
定着剤5として膨張セメントを用いる以外、実施例1と同じ条件で筋材1を形成した。
径13mmの鉄筋(D13)を筋材として用いた。
径12mmの高弾性CFRP製のロッドを筋材として用いた。
各試験体のコンクリートブロックから露出した筋材の端部に鋼製スリーブを定着させ、鋼製スリーブを下向きにした試験体を支持した状態で、鋼製スリーブを下方へ引張り、筋材がコンクリートブロックから離脱した時の最大引張り強度(Pmax)を測定した。
測定された最大引張り強度から付着応力度を導出し、各実施例と比較例の平均値を求めた。その結果を表1に示す。
なお、実施例1,2では、鉄筋を用いていないため、改修後にもセメントに含まれる水分による錆等の腐食が発生する心配はない。
(実施例3)
定着剤5として膨張セメントを用い、管体4の長さを30mmとする以外は、実施例1と同じ条件で筋材1を形成した。
定着剤5として膨張セメントを用いる以外、実施例1と同じ条件で筋材1を形成した。
定着剤5として膨張セメントを用い、管体4の長さを70mmとする以外は、実施例1と同じ条件で筋材1を形成した。
各試験体のコンクリートブロックから露出した筋材の端部に鋼製スリーブを定着させ、鋼製スリーブを下向きにした試験体を支持した状態で、鋼製スリーブを下方へ引張り、筋材がコンクリートブロックから離脱した時の最大引張り強度(Pmax)を測定した。
測定された最大引張り強度から付着応力度を導出し、各実施例と比較例の平均値を求めた。その結果を表2に示す。
Claims (10)
- 繊維強化樹脂材(FRP)からなる筋材本体の外周に、当該筋材本体の外周に通された繊維強化樹脂材からなる管体をエポキシ系樹脂充填剤又は膨張セメントからなる定着剤で筋材本体に固定してなる突起部が複数設けられた構成を有する建築土木用筋材であり、前記筋材本体の径(φ)と、前記突起部を形成する管体の外径(S)及び内径(T)とが以下の関係式を満たすとともに、管体の長さと厚みが以下の条件を満たすものであることを特徴とする建築土木用筋材。
(関係式)φ+10mm≦S≦φ+20mm
φ+4mm≦T≦φ+8mm
(管体の長さ)50〜70mmであること
(管体の厚み)3〜8mmであること - 筋材本体が炭素繊維強化樹脂材(CFRP)、アラミド繊維強化樹脂材(AFRP)の何れかにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の建築土木用筋材。
- 管体がガラス繊維強化樹脂材(GFRP)、炭素繊維強化樹脂材(CFRP)、アラミド繊維強化樹脂材(AFRP)の何れかにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築土木用筋材。
- 隣接する管体同士の間隔が100〜1500mmであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の建築土木用筋材。
- 繊維強化樹脂材中の繊維状強化材の含有量が30〜80体積%であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の建築土木用筋材。
- 請求項1から5の何れかに記載の建築土木用筋材を用いて形成されたコンクリート構造物。
- 請求項1から5の何れかに記載の建築土木用筋材を用いて形成されたコンクリート床版構造体。
- コンクリート床版上にアスファルト舗装体を設けてなるコンクリート床版構造体の施工方法において、
請求項1から5の何れかに記載の建築土木用筋材をコンクリート床版上に複数本設置する工程と、
前記建築土木用筋材が設置されたコンクリート床版上に速硬化モルタルを打設する工程と、
前記速硬化モルタル上にアスファルト舗装体を敷設する工程と、を有することを特徴とするコンクリート床版構造体の施工方法。 - コンクリート床版上にアスファルト舗装体を設けてなる既設のコンクリート床版構造体を補強する方法において、
前記アスファルト舗装体を撤去する工程と、
請求項1から5の何れかに記載の建築土木用筋材をコンクリート床版上に複数本設置する工程と、
前記建築土木用筋材が設置されたコンクリート床版上に速硬化モルタルを打設する工程と、
前記速硬化モルタル上にアスファルト舗装体を敷設する工程と、を有することを特徴とするコンクリート床版構造体の補強方法。 - 既設のコンクリート床版構造体を補強する方法において、
既設のコンクリート床版の上面部分をその内部に配置された鉄筋が露出する深さに切除する工程と、
請求項1から5の何れかに記載の建築土木用筋材を前記切除した部分の上面に複数本設置する工程と、
前記建築土木用筋材が設置されたコンクリート床版上に速硬化モルタルを打設する工程と、を有することを特徴とするコンクリート床版構造体の補強方法。
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