JP6835354B2 - 感圧センサ - Google Patents

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Description

本発明は、感圧センサ、その製造方法、及び、前記感圧センサにかかる応力を検出する方法に関する。
高齢化社会の到来を間近にひかえ、安全安心、健康寿命の延伸を目指した人間工学的もの作りに期待が集まっている。それに伴い、人体の動きを計測するモーションセンサの重要性が高まる中、軽量化が容易で、耐久性が高くウェアラブルセンサとしての応用が期待できる圧電型感圧センサに注目されている。圧電型感圧センサは応力が印加された際、生じる機械的変位を電気信号に直接変換するため、高い応答性を持つ利点がある。
従来、シート状の圧電型感圧センサとしては、高分子ゴム中に導電性微粒子を分散させた感圧ゴムが用いられている。この感圧ゴムは、これに圧力が加わると抵抗が変化するため、この現象を利用して垂直方向にかかる応力を検出するものである。しかし、このような感圧ゴムでは、横方向にかかるずり応力を検出できないという問題があった。
特許文献1では、検出感度の高い加速度センサが開示されている。この加速度センサでは、圧電素子2が6層以上の偶数層の圧電体層2a〜2fを積層してなり、圧電素子2の層間および表裏主面に電極が設けられ、層間電極は、加速度が印加されたときに圧電素子に加わる伸びストレスと縮みストレスの変極点付近で長さ方向に分割された電極4,6と、圧電素子の長さ方向の端部に引き出された電極3,5,7とで構成される。圧電体層2a〜2fは、加速度が作用した際に、電極の両側の圧電体層において同一極性の電荷がこの電極から取り出されるように厚み方向に分極され、かつ同一の圧電体層内において中央部と両端部とで逆方向となるように分極されている。しかし、この特許文献は、横方向にかかるずり応力の測定を可能にする感圧センサを開示するものではない。
特開2002−214248号公報
本発明は、上記現状に鑑み、ずり応力を検出できる感圧センサ、その製造方法、及び、当該感圧センサを搭載したシューズ又はインソール、さらに、前記感圧センサにかかる応力を検出する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ずり応力を検出できる感圧センサを開発すべく検討した結果、圧電体層と電極から構成される感圧センサにおいて特定の層構成を採用すると共に、電極間の圧電体を特定の向きで分極させることで、感圧センサにかかるずり応力を検出することに成功し、本発明に至った。
すなわち本発明は、第一電極と、該第一電極に対向する第二電極とを有する大電極と、該第一電極と該第二電極との間に配置された圧電体層と、該圧電体層中に、少なくとも一対の中間電極を有する感圧センサであって、該中間電極は、該第一電極と該第二電極間の異なる位置に第一の中間電極及び第二の中間電極を有し、第一の中間電極と各大電極間の圧電体層の分極方向は、第一の中間電極から各大電極方向又は各大電極から第一の中間電極方向であり、第二の中間電極と各大電極間の圧電体層の分極方向は、前記第一の中間電極と各大電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、第一の中間電極と第二の中間電極は、逆極性の電荷を有することを特徴とする、感圧センサに関する。
また本発明は、第一電極と、該第一電極に対向する第二電極とを有する大電極と、該第一電極と該第二電極との間に配置された圧電体層と、該圧電体層中に、少なくとも二対の中間電極を有する感圧センサであって、該中間電極は、該第一電極と該第二電極間の異なる位置に、第一の中間電極、第二の中間電極、第三の中間電極及び第四の中間電極を有し、第一の中間電極と大電極又は第三の中間電極間の圧電体層の分極方向は、第一の中間電極から大電極又は第三の中間電極方向、あるいは、大電極又は第三の中間電極から第一の中間電極方向であり、第二の中間電極と大電極又は第四の中間電極間の圧電体層の分極方向は、前記第一の中間電極と大電極又は第三の中間電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、第三の中間電極に対向する電極であって第一の中間電極以外の電極と第三の中間電極間の圧電体層の分極方向は、第一の中間電極と第三の中間電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、第四の中間電極に対向する電極であって第二の中間電極以外の電極と第四の中間電極間の圧電体層の分極方向は、第二の中間電極と第四の中間電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、第一の中間電極と第四の中間電極は、同極性の電荷を有し、第一の中間電極と第二および第三の中間電極は、逆極性の電荷を有することを特徴とする、感圧センサにも関する。
本発明に係る感圧センサは、各大電極と各中間電極に接続された引出配線をさらに有することができる。
本発明において、圧電体層の材料は、有機系高分子材料であることが好ましい。
さらに本発明は、感圧センサを内蔵又は設置されたインソール及びシューズにも関する。
また、本発明は、前記感圧センサを製造する方法であって、圧電体層が分極するように、各大電極間に電圧を印加する第一工程と、第一工程による分極方向とは逆方向に分極するように、第一の中間電極と大電極間に電圧を印可する第二工程、及び、第一工程による分極方向とは逆方向に分極するように、第二工程とは異なる大電極と第二の中間電極間に電圧を印可する第三工程を含む、方法にも関する。
また、本発明は、感圧センサにかかる応力を検出する方法であって、感圧センサにかかるずり応力を検出する工程を含む、方法にも関する。該方法では、さらに、垂直応力も検出することができる。
本発明によると、ずり応力を検出できる感圧センサを提供することができる。従来の感圧センサは垂直方向にかかる垂直応力のみを測定するものであったため、横方向にかかるずり応力を測定したい場合には感圧センサを縦向きに立設する必要があったが、本発明に係る感圧センサではそのような必要はない。本発明によると、感圧センサを基材表面に貼り付けて電極間の電圧変化を測定することで、ずり応力を検出することが可能となる。さらに、ずり応力に加えて垂直応力も検出することができ、しかも、両者を区別して検出することができる。
また、本発明に係る感圧センサはフィルム状のものとすることができ、自在に変形させ又は折り曲げて、また、カットして使用することができる。
本発明に係る感圧センサをシューズ又はインソールに搭載すると、シューズ又はインソールにかかるずり応力を検出することができ、また、シューズ又はインソールに複数の感圧センサを分散して配置することで、三軸方向の応力測定が可能となる。
本発明の第一実施形態に係る感圧センサの断面を示す概念図 前記第一実施形態に係る感圧センサの上面図 本発明の第二実施形態の一態様に係る感圧センサの断面を示す概念図 本発明の第二実施形態の別の態様に係る感圧センサの断面を示す概念図 本発明の第三実施形態に係る感圧センサの断面を示す概念図 本発明の第四実施形態に係る感圧センサの断面を示す概念図 実施例1に係る感圧センサに垂直応力又はずり応力を加えた時の電圧変化を示す図 比較例1に係る感圧センサに垂直応力又はずり応力を加えた時の電圧変化を示す図
以下、図面に基づいて本発明に係る実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
(第一実施形態)
図1は、一対の中間電極を含む本発明の第一実施形態に係る感圧センサを示す断面図である。まず、当該実施形態に係る感圧センサの層構成を説明する。
本実施形態に係る感圧センサ10は、第一電極11と、その下方に、対向して配置された第二電極12と、両電極の間に充填された圧電体層21を含む。なお、本願において、各図について言及する「上」及び「下」とは、図面を参酌して説明する際の便宜上のものであり、各図中の上下を指しているものにすぎず、感圧センサを実使用する際の上下の向きを特定しようとするものではない。また、図1における上下方向を、感圧センサの厚み方向、横方向を、感圧センサの面方向ともいう。
第一電極11と第二電極12は、電気信号の取り出しが可能な薄膜状の電極である。これら電極を構成する材料としては導電性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、Al、NiCr、Ni、Pt、Au、W、Ta、Cr、Ti、Cuなどの金属材料、ITO、FTO、ATOなどのセラミックス材料、カーボンナノチューブ、ポリアセチレン、ポリピロール、PEDOT:PSS、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレンなどの有機系材料等が挙げられる。
各電極の厚みは特に限定されず、電気信号の取り出しに必要な厚みであって、かつ、計測する応力によって破壊されない程度の厚みであればよく、例えば10nm〜1mm程度であってよい。好ましくは10nm〜100μmであり、より好ましくは50nm〜150nmである。なお、電極の厚みは、接触式厚み計または原子間力顕微鏡を用いて測定することができる。
また、各電極の面積も特に限定されないが、両電極間からの電気信号の取り出しを可能とする面積であればよい。電極の面積は光学顕微鏡又はスケールを用いて測定することができる。本願において、第一電極及び第二電極は中間電極よりも面積が大きいため、大電極ともいう。しかし、第一電極と第二電極の面積は、中間電極の面積よりも大きいものであればよく、特定の大きさに限定されるものではない。
電極を形成する方法は特に限定されず、適切な方法を適宜採用することができるが、例えば、スパッタ法、塗布法、蒸着法を用いることができる。
図示していないが、第一電極11及び/又は第二電極12の外側には、絶縁材料からなる基材層を配置してもよい。これにより、感圧センサ10を支持することができる。基材層を構成する材料としては特に限定されないが、ポリイミド,ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル、ウレタンゴム、ゲルなどの有機材料や、石英、ガラス、シリコン、ガリウム砒素などの無機材料が挙げられる。基材層としては、有機材料から構成される可撓性のフィルムが好ましい。これにより、感圧センサを、変形又は折り曲げ可能なフィルム状のセンサとすることができる。
圧電体層21は、第一電極11と第二電極12間の空間を充填するように配置されており、圧電性能を示す材料から構成される層である。圧電性能を示す材料であれば特に限定されず、無機系の圧電材料であってもよいし、有機系の圧電材料であってもよい。また、有機系と無機系をハイブリッドした圧電材料であってもよい。しかし、本発明に係る感圧センサをシューズなどの変形する物品に搭載する場合には、柔軟性と耐久性に優れ、割れにくいため、有機系高分子材料から構成される圧電材料が好ましい。
本発明で使用できる無機系の圧電材料としては特に限定されず、例えば、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、ニオブ酸ナトリウムカリウム、ビスマスフェライト、ニオブ酸ナトリウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスナトリウム等が挙げられる。
本発明で使用できる有機系の圧電材料としても特に限定されず、例えば、フタル酸エステル系化合物、スルフェンアミド系化合物、フェノール骨格を有する有機化合物など低分子の有機化合物の他、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン系共重合体、ポリシアン化ビニリデン、シアン化ビニリデン系共重合体、ナイロン9、ナイロン11などの奇数ナイロン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10などの偶数ナイロン、芳香族ナイロン、脂環族ナイロン、ポリ乳酸やポリヒドロキシブチレートなどのポリヒドロキシカルボン酸、セルロース系誘導体、ポリウレアなどの有機系高分子材料が挙げられる。これらは1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明で使用可能な有機系圧電材料としては、良好な圧電特性、加工性、及び入手容易性といった観点から、ポリフッ化ビニリデン(単独重合体)、及び、ポリフッ化ビニリデン系共重合体が好ましい。ポリフッ化ビニリデン系共重合体においてフッ化ビニリデンと共重合するモノマー成分としては、その共重合体が圧電性能を発揮する限り特に限定されないが、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロパン、クロロフルオロエチレン等が挙げられる。特に、フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体が好ましい。
圧電体層21の厚みは、各中間電極の厚み以上である。また、第一電極と中間電極との間の圧電体層、又は、中間電極と第二電極との間の圧電体層はそれぞれ特定の向きの分極を保持する必要があり、また、感圧センサにかかる応力によって破壊されない必要があるので、圧電体層の厚みは、それらを考慮した厚みとすることが好ましい。具体的な数値は適宜決定することが可能であるが、例えば、10nm〜1mm程度であることが好ましい。より好ましくは100nm〜10μmであり、さらに好ましくは1000nm〜2000nmである。なお、圧電体層の厚みは接触式厚み計または電子顕微鏡を用いて測定することができる。
圧電体層21を形成する方法は特に限定されず、適切な方法を適宜採用することができるが、例えば、第一電極11又は第二電極12の表面に圧電材料を塗布する方法の他、スパッタ法や、気相成長法等を利用することができる。
圧電体層21の内部には、一対の中間電極、すなわち第一の中間電極31及び第二の中間電極32が配置されている。これら中間電極は、感圧センサの面方向に、第一電極11と第二電極12と平行して配置されている。第一の中間電極31と第二の中間電極32はそれぞれ、圧電体層21を介して、第一電極11と第二電極12の双方に対向している。
なお、図1では、第一の中間電極31を左側に、第二の中間電極32を右側に示しているが、この位置関係に限定されるものではなく、第一の中間電極31及び第二の中間電極32の位置関係は、左右が逆であってもよい。
ここで、中間電極が圧電体層の内部に配置されるとは、中間電極の周囲を圧電体層が取り囲んでいる状態をいう。ただし、後述する引出配線を各中間電極に接続する箇所においては、中間電極の周囲を圧電体層が取り囲んでいるわけではない。
一対の中間電極31、32はいずれも、電気信号の取り出しが可能な薄膜状の電極である。各中間電極を構成する材料としては、上述した第一電極及び第二電極を構成する材料と同じ材料を挙げることができる。各中間電極の厚みは特に限定されず、電気信号の取り出しに必要な厚みであって、かつ、計測する応力によって破壊されない程度の厚みであればよく、例えば10nm〜1mm程度であってよい。好ましくは10nm〜100μmであり、より好ましくは50nm〜150nmである。また、各中間電極の面積も特に限定されないが、両中間電極間からの電気信号の取り出しを可能とする面積であればよい。
第一の中間電極31の幅と第二の中間電極32の幅は、それぞれ、第一電極11の幅および第二電極12の幅よりも小さく、また、第一の中間電極31の幅と第二の中間電極32の幅の合計は、第一電極11の幅および第二電極12の幅よりも小さい。第一の中間電極31と第二の中間電極32は互いと接触しておらず、離隔して配置されている。そのため、第一の中間電極31と第二の中間電極32間の領域は、圧電体層21によって占められている。
第一の中間電極31と第二の中間電極32間の距離は特に限定されず、両電極がそれぞれの帯電を保持できる距離であればよいが、例えば、1μm〜1mm程度である。好ましくは1μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜700μmであり、さらに好ましくは100μm〜500μmである。
図1では、第一の中間電極31と第二の中間電極32は、第一電極11から第一の中間電極31に至る距離と、第一電極11から第二の中間電極32に至る距離が同程度になるよう、横方向に配置されているが、必ずしもこれに限定されない。
次に、第一実施形態に係る感圧センサにおける分極の状態について説明する。本発明に係る感圧センサは、各電極間の圧電体層が特定の向きで分極するよう分極の向きが制御されるように、分極方向のパターニングを行なっている点に特徴がある。なお、本願で述べる分極の向きは、各電極間の圧電体層が有する分極のうち感圧センサの厚み方向における分極ベクトルについて説明するものである。
第一実施形態に係る感圧センサ10では、第一電極11と第一の中間電極31に挟まれた圧電体層における分極の向きと、第一の中間電極31と第二電極12に挟まれた圧電体層における分極の向きは互いに対して逆向きとなっており、いずれの電極間の圧電体層も、第一の中間電極31から、これに対向する電極に向かう向きで分極している。具体的に説明すると、第一電極11と第一の中間電極31との間の圧電体層は、第一の中間電極31から第一電極11に向かう方向(図1中の符号41)で分極している。また、第一の中間電極31と第二電極12との間の圧電体層は、第一の中間電極31から第二電極12に向かう方向(図1中の符号42)で分極している。そして、第一の中間電極31は正の電荷を有している。
一方、第一電極11と第二の中間電極32間の圧電体層における分極の向きと、第二の中間電極32と第二電極12間の圧電体層における分極の向きも互いに対して逆向きとなっているが、各分極の向きは、第一の中間電極31に関わる分極の向きとは逆向きになっており、いずれの電極間の圧電体層も、第二の中間電極32に対向する電極から、第二の中間電極32に向かう方向で分極している。具体的に説明すると、第一電極11と第二の中間電極32との間の圧電体層は、第一電極11から第二の中間電極32に向かう方向(図1中の符号43)で分極している。また、第二の中間電極32と第二電極12との間の圧電体層は、第二電極12から第二の中間電極32に向かう方向(図1中の符号44)で分極している。そして、第二の中間電極32は負の電荷を有している。
第一の中間電極31と第二の中間電極32の間にある圧電体層は、分極していなくてもよい。しかし、分極していることが好ましく、その場合には、第一電極11と第二電極12間の電気信号の出力、又は、第一の中間電極31と第二の中間電極32間の電気信号の出力を高めることができる。図1では、第一の中間電極31と第二の中間電極32間の圧電体層は、第二電極12から第一電極11に向かう方向(図1中の符号61)で分極している状態を示している。しかし、この方向に限定されず、第一電極11から第二電極12に向かう方向であってもよい。
圧電体層を分極させる方法としては、自発的な配向であってもよいが、各電極を電気的に接続して電圧を印加する方法の他、磁界を印加する方法、応力をかける方法などが挙げられる。
各圧電体層はそれぞれ、応力の検出感度の観点から、上述した分極の向きにおいて測定される残量分極10mC/m以上を有するように分極させることが好ましい。より好ましくは30mC/m以上であり、さらに好ましくは50mC/m以上である。応力の検出感度を高めるには残量分極の数値は大きいほど好ましいので、残留分極の上限値は限定されない。当該上限値は、圧電材料の種類に応じて適宜設定することができる。また、各電極間の残留分極が互いに同じ値となるように分極処理を行なうことが好ましい。
図2は、図1の第一実施形態に係る感圧センサを上面から見た透視図である。この図では、第一の中間電極31、第二の中間電極32はそれぞれ、長方形状の電極であり、平行して配置されている。
また、第一電極11、第二電極12、第一の中間電極31、第二の中間電極32それぞれに引出配線71、72、73、74を接続している。これにより、第一電極11と第二電極12を接続して両電極間の電圧変化を測定することができ、また、第一の中間電極31と第二の中間電極32を接続して両中間電極間の電圧変化を測定することができる。また、この引出配線を利用して各電極間に外部電圧を印加することで、圧電体層を特定の向きに分極させることができる。なお、これら引出配線の表示は図1では省略している。
第一実施形態に係る感圧センサを製造する方法は特に限定されるものではないが、製法の一例を示すと、まず基材層の上に第二電極を配置又は形成する。第二電極の表面に、圧電材料をキャスト法で塗布して一次圧電体層を形成した後、その上に、第一の中間電極及び第二の中間電極を配置又は形成する。その際、両中間電極間には所定の間隔を設けて両中間電極の配置又は形成を行なう。その後、再度、圧電材料をキャスト法で塗布して二次圧電体層を形成する。必要に応じてアニール処理を行い、一次圧電体層と二次圧電体層をあわせて圧電体層が構成される。なお、圧電材料を各電極上に配置する方法としては、キャスト法の他、圧電材料であるオリゴマーを蒸着する方法であってもよい。次いで、形成された圧電体層のうえに、さらに第一電極を配置又は形成する。以上により、特定の構成を有する素子が製造される。
次いで、第一電極11と第二電極12間に外部電圧を印加して、圧電体層全体を特定方向に分極させる第一工程を行なう。図1を用いて具体的に説明すると、例えば、圧電体層21全体を上向きの方向に分極させる。
第一工程の後、所定の電極間の分極方向を反転させる処理を行なう。すなわち、第一の中間電極31と第二電極12間に外部電圧を印加して第一の中間電極31と第二電極12間の圧電体層を、第一工程における分極方向とは逆方向に分極させる第二工程と、第二の中間電極32と第一電極11間に外部電圧を印加して第二の中間電極32と第一電極11間の圧電体層を、第一工程における分極方向とは逆方向に分極させる第三工程を行なう。第二工程と第三工程の順序は限定されない。図1を用いて具体的に説明すると、例えば、第一の中間電極31と第二電極12間の圧電体層を、下向きの方向に分極させ、また、第二の中間電極32と第一電極11間の圧電体層も下向きの方向に分極させる。
また、第一工程で下向きの方向に分極させてもよく、その場合には、第二工程及び第三工程で上向きの方向に分極させればよい。
以上の工程を実施することにより、本発明に特有の分極方向のパターニングを実現することが可能となる。
(第二実施形態)
図3は、本発明の第二実施形態に係る感圧センサを示す断面図である。第二実施形態に係る感圧センサ20は、第一実施形態における第二電極12の下方に、これに対向して、第三電極13を配置し、第二電極12と第三電極13の間に充填された第二圧電体層22を含む。第二圧電体層22の内部には、一対の中間電極、すなわち第三の中間電極33及び第四の中間電極34が配置されている。以下では第一実施形態と異なる点を説明し、同じ点については説明を省略する。
第二圧電体層22の内部に配置された一対の中間電極33、34は、圧電体層21の内部に配置された一対の中間電極31、32の場合と同様、感圧センサの面方向に、第二電極12と第三電極13と平行して配置されている。第三の中間電極33及び第四の中間電極34はそれぞれ、第二圧電体層22を介して、第二電極12と第三電極13の双方に対向している。これら中間電極の材料や幅、厚み等は、第一実施形態における中間電極と同じであってよい。また、第三の中間電極33と第四の中間電極34間の距離についても、第一の中間電極31と第二の中間電極32間の距離に準じる。
また、第三電極13の材料や厚み等は、第一実施形態における第一電極11や第二電極12と同じであってよい。第二圧電体層22の材料や厚み等に関しても、第一実施形態における圧電体層21と同じであってよい。
図3では、第二電極12と第三の中間電極33間の第二圧電体層における分極の向きと、第三の中間電極33と第三電極13間の第二圧電体層における分極の向きは互いに対して逆向きとなっており、いずれの電極間の第二圧電体層も、第三の中間電極33から、これに対向する電極に向かう向きで分極している。すなわち、第二電極12と第三の中間電極33との間の第二圧電体層は、第三の中間電極33から第二電極12に向かう方向(図3中の符号45)で分極し、第三の中間電極33と第三電極13との間の第二圧電体層は、第三の中間電極33から第三電極13に向かう方向(図3中の符号46)で分極している。第三の中間電極33は正の電荷を有している。
一方、第二電極12と第四の中間電極34間の第二圧電体層における分極の向きと、第四の中間電極34と第三電極13間の第二圧電体層における分極の向きも互いに対して逆向きとなっているが、各分極の向きは、第三の中間電極33に関わる分極の向きとは逆向きになっており、いずれの電極間の第二圧電体層も、第四の中間電極34に対向する電極から、第四の中間電極34に向かう向きで分極している。すなわち、第二電極12と第四の中間電極34との間の第二圧電体層は、第二電極12から第四の中間電極34に向かう方向(図3中の符号47)で分極し、第四の中間電極34と第三電極13との間の第二圧電体層は、第三電極13から第四の中間電極34に向かう方向(図3中の符号48)で分極している。第四の中間電極34は負の電荷を有している。
図3では、第一の中間電極31と第二の中間電極32の間にある第一圧電体層が、第二電極12から第一電極11に向かう方向(図3中の符号61)で分極している状態を示しているが、この分極の向きは第一電極11から第二電極12に向かう方向であってもよい。同様に、図3では第三の中間電極33と第四の中間電極34の間にある第二圧電体層が、第三電極13から第二電極12に向かう方向(図3中の符号62)で分極している状態を示しているが、この分極の向きは第二電極12から第三電極13に向かう方向であってもよい。さらに、図3では符号61で示した分極方向と符号62で示した分極方向は互いに同じ向きとなっているが、これに限定されず、互いに異なる向きであってもよい。また、第一の中間電極31と第二の中間電極32の間にある第一圧電体層は分極していなくてもよいし、第三の中間電極33と第四の中間電極34の間にある第二圧電体層も分極していなくてもよい。
このように第二実施形態では、第二電極12と第三電極13間の構成は、第一実施形態の第一電極11と第二電極12間の構成と実質的に同じものであり、第二実施形態は、第一実施形態の構成を感圧センサの厚み方向に重ねて構成されたものである。この第二実施形態によると、大電極と中間電極の数が増えることで電圧変化を測定できる箇所が増加して、感圧センサによる応力の検出感度の向上を期待することができる。
図3では圧電体層21内部の分極パターンと、第二圧電体層22内部の分極パターンが同一になる態様を示したが、第二実施形態はこれに限定されない。
図4は、本発明の第二実施形態の別の態様に係る感圧センサを示す断面図である。この態様では、第二圧電体層22内部の分極パターンが図3に示した態様とは異なっており、圧電体層21内部の分極パターンと、第二圧電体層22内部の分極パターンが左右で逆のパターンになる態様を示している。なお、図4に示す態様は、以下に説明する分極パターン以外は図3に示す態様と同じである。
具体的に説明すると、図4では、第二電極12と第三の中間電極33′との間の第二圧電体層は、第二電極12から第三の中間電極33′に向かう方向(図4中の符号45′)で分極し、第三の中間電極33′と第三電極13との間の第二圧電体層は、第三電極13から第三の中間電極33′に向かう方向(図4中の符号46′)で分極している。第三の中間電極33′は負の電荷を有している。
また、第二電極12と第四の中間電極34′との間の第二圧電体層は、第四の中間電極34′から第二電極12に向かう方向(図4中の符号47′)で分極し、第四の中間電極34′と第三電極13との間の第二圧電体層は、第四の中間電極34′から第三電極13に向かう方向(図4中の符号48′)で分極している。第四の中間電極34′は正の電荷を有している。
図4に示す態様によると、図3に示す態様と同様に、感圧センサによる応力の検出感度の向上を期待することができる。
第二実施形態に係る感圧センサを製造する方法は、第一実施形態に係る感圧センサを製造する方法に準じて実施することができる。すなわち、第一電極11と第二電極12間において、第一実施形態に係る感圧センサを製造する方法における第一工程〜第三工程の分極処理を行い、それとは別に、第二電極12と第三電極13間において第一工程〜第三工程に準じた分極処理を行うことで、第二実施形態に係る感圧センサを製造することができる。
図3及び4では、第一実施形態の第二電極12の下に、圧電体層、一対の中間電極及び大電極から構成される一組の構成を追加し、圧電体層を合計で2層含む二重構成の態様を示したが、第二実施形態はこの態様に限定されない。第二実施形態は、第一実施形態の第二電極12の下に、圧電体層、一対の中間電極及び大電極から構成される構成を二組以上重ねて追加し、三重以上の構成とした態様とすることができる。
(第三実施形態)
図5は、本発明の第三実施形態に係る感圧センサを示す断面図である。図1に示した第一実施形態は感圧センサの面方向に並んで配置された一対の中間電極31、32を有するものであったが、第三実施形態に係る感圧センサ30は、第一の中間電極31と第二の中間電極32に加えて、同じく圧電体層21の内部で、感圧センサの面方向に並んで配置された一対の中間電極、すなわち第三の中間電極35、第四の中間電極36をさらに有している。第三の中間電極35と第四の中間電極36はそれぞれ、圧電体層21を介して、第一電極11と第二電極12の双方に対向している。すなわち、第三実施形態では、圧電体層21の内部に、感圧センサの面方向に配置された二対の中間電極を有している。
第三の中間電極35と第四の中間電極36の詳細、及び、これら中間電極周囲の分極の向きは、それぞれ、第一の中間電極31、第二の中間電極32と同様であるので説明を省略する。図5では第三の中間電極35が正に帯電し、第四の中間電極36が負に帯電しているが、これに限定されず、第三の中間電極35が負に帯電し、第四の中間電極36が正に帯電してもよい。また、第三の中間電極35と第四の中間電極36間の距離に関しては、第一の中間電極31と第二の中間電極32間の距離に準じる。
図5では、第一の中間電極31と第二の中間電極32間の圧電体層、第二の中間電極32と第三の中間電極35間の圧電体層、及び、第三の中間電極35と第四の中間電極36間の圧電体層は、第二電極12から第一電極11に向かう方向(図5中の符号61)で分極しているが、この分極の向きは第一電極11から第二電極12に向かう方向であってもよい。また、これら中間電極間の圧電体層は分極していなくともよい。
第三実施形態によると、感圧センサの面積を拡大し、感圧センサによる応力の検出感度の向上を期待することができる。また、第三実施形態に係る感圧センサを製造する方法は、第一実施形態に係る感圧センサを製造する方法に準じて実施することができる。すなわち、まず、第一実施形態に関する第一工程と同様、第一電極11と第二電極12間に外部電圧を印加して、圧電体層全体を特定方向(例えば上向きの方向)に分極させる。その後、第一の中間電極31と第二電極12間、第一電極11と第二の中間電極32間、第三の中間電極35と第二電極12間、及び、第一電極11と第四の中間電極36間それぞれに外部電圧を印加して、各電極間の圧電体層を、第一工程における分極方向とは逆方向(例えば下向きの方向)に分極させる工程を行なうことによって、第三実施形態に係る感圧センサを製造することができる。
図5では、圧電体層21の内部で感圧センサの面方向に配置された二対の中間電極を有する態様を示したが、第三実施形態はこの態様に限定されず、圧電体層21の内部で感圧センサの面方向に配置された三対以上の中間電極を有することもできる。
また、第三実施形態の構成は、第二実施形態の構成と組み合わせることもできる。その場合には、第二実施形態における圧電体層21と第二圧電体層22のいずれか又は双方の内部に、第三実施形態で示した感圧センサの面方向に配置された二対以上の中間電極を配置すればよい。
(第四実施形態)
図6は、本発明の第四実施形態に係る感圧センサを示す断面図である。第四実施形態に係る感圧センサ40は、第一実施形態における第一の中間電極31と第二の中間電極32それぞれの下方に、第三の中間電極37と第四中間電極38を配置している。以下では第一実施形態と異なる点を説明し、同じ点については説明を適宜省略する。
第四実施形態では、第一電極11と第二電極12に挟まれた圧電体層21の内部に、第一の中間電極31、第二の中間電極32、第三の中間電極37、及び第四の中間電極38が配置されている。第一の中間電極31及び第二の中間電極32は、感圧センサの面方向に並んで配置され、それぞれ、圧電体層を介して第一電極11に対向している。また、第三の中間電極37及び第四の中間電極38も、感圧センサの面方向に並んで配置されている。第三の中間電極37は第一の中間電極31と第二電極12の間に配置され、圧電体層を介して、第一の中間電極31と第二電極12の双方に対向している。第四の中間電極38は第二の中間電極32と第二電極12の間に配置され、圧電体層を介して、第二の中間電極32と第二電極12の双方に対向している。
これら中間電極の材料や厚み等は、第一実施形態における中間電極と同じであってよい。
第四実施形態では、第一電極11と第一の中間電極31との間の圧電体層における分極の向きと、第一の中間電極31と第三の中間電極37との間の圧電体層における分極の向きと、第三の中間電極37と第二電極12との間の圧電体層における分極の向きは、順番に、交互に逆向きになるように制御されている。具体的に説明すると、第一電極11と第一の中間電極31との間の圧電体層は、第一の中間電極31から第一電極11に向かう方向(図6中の符号41)で分極し、第一の中間電極31と第三の中間電極37との間の圧電体層は、第一の中間電極31から第三の中間電極37に向かう方向(図6中の符号42)で分極し、第三の中間電極37と第二電極12との間の圧電体層は、第二電極12から第三の中間電極37に向かう方向(図6中の符号49)で分極している。このように図6の左側において、各電極間の圧電体層の分極の向きは、順番に、交互に異なる方向を向くように制御されている。分極の方向に対応して、第一の中間電極31は正の電荷を有し、第三の中間電極37は負の電荷を有している。
一方、図6の右側においても第一電極11と第二の中間電極32との間の圧電体層における分極の向きと、第二の中間電極32と第四の中間電極38との間の圧電体層における分極の向きと、第四の中間電極38と第二電極12との間の圧電体層における分極の向きに関しても、順番に、交互に逆向きになるように制御されているが、各分極の向きは、図6の左側における分極の向きとは逆向きになっている。具体的に説明すると、第一電極11と第二の中間電極32との間の圧電体層は、第一電極11から第二の中間電極32に向かう方向(図6中の符号43)で分極し、第二の中間電極32と第四の中間電極38との間の圧電体層は、第四の中間電極38から第二の中間電極32に向かう方向(図6中の符号44)で分極し、第四の中間電極38と第二電極12との間の圧電体層は、第四の中間電極38から第二電極12に向かう方向(図6中の符号50)で分極している。このように各電極間の圧電体層の分極の向きは図6の右側においても、順番に、交互に異なる方向を向くように制御されている。分極の方向に対応して、第二の中間電極32は負の電荷を有し、第四の中間電極38は正の電荷を有している。
図6では、第一の中間電極31と第三の中間電極37と、第二の中間電極32と第四の中間電極38との間の圧電体層は、第二電極12から第一電極11に向かう方向(図6中の符号63)で分極している状態を示しているが、この分極の向きは第一電極11から第二電極12に向かう方向であってもよい。また、これら中間電極間の圧電体層は分極していなくともよい。
この第四実施形態によると、中間電極の数が増えることで電圧変化を測定できる箇所が増加して、感圧センサによる応力の検出感度の向上を期待することができる。
また、第四実施形態に係る感圧センサを製造する方法は、第一実施形態に係る感圧センサを製造する方法に準じて実施することができる。一例を挙げて説明すると、まず、第一実施形態に関する第一工程と同様、第一電極11と第二電極12間に外部電圧を印加して、圧電体層全体を特定方向(例えば上向きの方向)に分極させる工程を行なう。次いで、第一電極11と第二の中間電極32間、第一の中間電極31と第三の中間電極37間、及び、第四の中間電極38と第二電極12間それぞれに外部電圧を印可して、各電極間の圧電体層を、第一工程における分極方向とは逆方向(例えば下向きの方向)に分極させる工程を行なうことによって、第四実施形態に係る感圧センサを製造することができる。
図6では圧電体層21の内部に二対の中間電極を有し、各対が感圧センサの厚み方向に配置された態様を示したが、第四実施形態はこの態様に限定されず、圧電体層21の内部に三対以上の中間電極を有し、各対を感圧センサの厚み方向に配置することもできる。この場合、各電極間の圧電体層の分極の向きは、図6で示した分極の向きに準じて、順番に、交互に異なる方向を向くように制御されており、かつ、左側の分極の向きと右側の分極の向きは互いに逆向きになるように制御される。
また、第四実施形態の構成は、第二実施形態及び/又は第三実施形態の構成と組み合わせることもできる。第二実施形態の構成と組み合わせる場合には、第二実施形態における圧電体層21と第二圧電体層22のいずれか又は双方の内部に、感圧センサの厚み方向に配置された二対以上の中間電極を配置すればよい。また、第三実施形態の構成と組み合わせる場合には、第三実施形態で示した感圧センサの面方向に配置された二対以上の中間電極を、感圧センサの厚み方向において複数繰り返して配置すればよい。
(応力検出方法)
本発明の感圧センサでは、第一電極と第二電極間の電圧変化、及び/又は、一対の中間電極間の電圧変化を測定することで、感圧センサにかかるずり応力を検出することができる。さらに、本発明の感圧センサによると、ずり応力に加えて垂直応力も検出することができ、しかも、垂直応力が加えられた時の電圧変化の波形と、ずり応力が加えられた時の電圧変化の波形が異なるので、垂直応力とずり応力を識別して検出することができる。
本発明の感圧センサは、シューズまたはシューズのインソールに内蔵又は設置することで足にかかる垂直方向の応力と横方向の応力の時間的変化を経時的に測定することができる。また、本発明の感圧センサを複数個分散させてシューズまたはインソールに配置することで、3軸方向の応力測定が可能となり、ウェアラブルセンサとしての応用を期待することができる。特に本発明の感圧センサは中周波数以上の高速応答の感度が良好であるので、ランニング用のシューズ又はインソールに好適に搭載することができる。
本発明の感圧センサを例えばインソールの内部に配置する場合には、感圧センサの周囲をゴム又はエラストマー状の材料で包囲することが好ましい。これにより、応力が感圧センサに対してより効果的に作用するようになり、上下方向と左右方向の応力測定をより効果的に実施することができる。
また、逆圧電効果を利用して感圧センサにフィルム振動を発生させて、これにより足に振動刺激を与えることも可能となる。
さらに、本発明に係る感圧センサは、シューズやインソール以外にも多数の用途で使用可能である。例えば、人体が物体に接触する箇所、例えば、ベッド、枕、車椅子のシート、スキーブーツ、衣服、靴下、サポーターなどに用いて、人間と物体の接触面で発生する多様な応力、その時間依存性、3軸方向の応力分布などを測定することができる。その他、乗用車のハンドル、ゴルフクラブの把持部などに用いて握力の変化を測定することもできる。また、逆圧電効果を利用した振動刺激により警告刺激を発したり、鬱血を防止する効果を期待することもできる。
さらに、ゴルフクラブのフェーズ、ロボットのハンド、路面状況を測定する目的でタイヤ表面、血流のズリ応力を測定する目的で血管の内表面等に設置することもできる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、ポリエチレンテレフタレート基板上にアルミニウムを真空蒸着し、有効面積6mm、厚み100nmの第二電極を形成した。次いで、第二電極の表面に、フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体の溶液をスピンコート法(回転塗布法)で塗布して、有効面積6mm、厚み1000nmの一次圧電体層を形成した。
一次圧電体層の表面に、マスキングしながらアルミニウムを真空蒸着して、それぞれ、有効面積2mm、厚み100nmの第一の中間電極及び第二の中間電極を形成した。ただし、第一の中間電極と第二の中間電極は、あいだに400μmの距離を空けて形成した。
その後、フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体の溶液を再度スピンコート法で塗布して、有効面積6mm、厚み1000nmの二次圧電体層を形成し、さらに130℃で1.5時間、アニール処理を行なった。これにより、有効面積6mm、厚み2000nmの圧電体層を形成した。
次いで、圧電体層の表面に、アルミニウムを真空蒸着し、有効面積6mm、厚み100nmの第一電極を形成した。これにより、図1の層構成を持つ圧電素子を製造した。
得られた圧電素子について、各電極に引配線を接続し、次に示す手順で、各電極間に外部電圧を印加することで、圧電体層が図1に示す方向で分極するように外部電圧を印加した。まず、第一電極と第二電極間に外部電圧を印加して、圧電体層全体を上向きの方向に分極させた。次に、第二の中間電極と第一電極間の圧電体層を下向きの方向に分極させ、さらに、第一の中間電極と第二電極間の圧電体層も下向きの方向に分極させた。なお、それぞれの残留分極は50mC/mとなるように外部電圧を印加した。以上により、第一実施形態に相当する本実施例に係る感圧センサを得た。
次いで、この感圧センサの圧電効果を評価した。圧電効果の評価にあたっては、電動シリンダーの先端にロードセルを取り付けた加圧装置を制作して使用した。このロードセルにより感圧センサを加圧し、その加圧量を測定すると同時に、圧電効果により生じた電圧を、第一電極と第二電極間、及び、第一の中間電極と第二の中間電極間で測定した。
まず、垂直方向から170Nの応力を加えた時に、感圧センサにおいて発生する電圧変化を測定した結果を、図7(a)及び(b)のチャートで示す。(a)のチャートは、第一電極と第二電極間の電圧変化を示し、(b)のチャートは第一の中間電極と第二の中間電極間の電圧変化を示す。これら(a)及び(b)のチャートより、本実施例に係る感圧センサに垂直方向から力を加えることで、第一電極と第二電極間、及び、第一の中間電極と第二の中間電極間の双方で、正の電圧変化を確認できること、すなわち垂直応力を検出できることが分かる。
次に、当該感圧センサに垂直方向から130Nの応力を加えつつ、感圧センサを載置した固定台に横方向から15.3Nの力を加えた。このようにずり応力を加えた時に、感圧センサにおいて発生する電圧変化を測定した結果を、図7(c)及び(d)のチャートで示す。(c)のチャートは、第一電極と第二電極間の電圧変化を示し、(d)のチャートは第一の中間電極と第二の中間電極間の電圧変化を示す。
これら(c)及び(d)のチャートより、本実施例に係る感圧センサに横方向から力を加えることで、第一電極と第二電極間、及び、第一の中間電極と第二の中間電極間それぞれで、電圧変化を確認できること、すなわちずり応力を検出できることが分かる。しかも、これら(c)及び(d)のチャートでは正の電圧変化の直後に、負の電圧変化が確認された。これらの波形は、(a)及び(b)で示した垂直応力印加時の波形とは明らかに異なることから、この感圧センサによると、垂直応力とずり応力を区別して検出することが可能となる。
さらに、本実施例に係る感圧センサを靴用インソールの内部に5箇所配置し、これを無線モジュールと組み合わせ、シューズ内に配置することで、無線型感圧センサーシューズを試作した。このシューズを履いて地面を踏んだときと、地面から持ち上げたときの各電極間の電圧を測定したところ、実行動に対応して電圧変化が測定され、実行動のセンシングに成功した。
また、本実施例に係る感圧センサは有機系の圧電材料を用いたものであるため、耐久性に優れたものであった。
(比較例1)
実施例1で得た圧電素子において、圧電体層全体が上向きの方向で分極するように電圧を印加したものの、その後の下向きの分極を行なわなかった点以外は実施例1と同様にして、本比較例に係る感圧センサを製造した。この感圧センサについて実施例1と同様の手順で、垂直応力及びずり応力の検出を試みた。その結果を図8に示す。
図8(a)及び(b)のチャートでは、垂直応力を加えた時に、感圧センサにおいて発生する電圧変化を測定した結果を示す。(a)のチャートは、第一電極と第二電極間の電圧変化を示し、(b)のチャートは第一の中間電極と第二の中間電極間の電圧変化を示す。これら(a)及び(b)のチャートより、本比較例に係る感圧センサに垂直応力を加えることで、第一電極と第二電極間で正の電圧変化を確認できるが、第一の中間電極と第二の中間電極間では電圧変化は微弱であり、垂直応力を検出できないことが分かる。
図8(c)及び(d)のチャートでは、比較例1に係る感圧センサにずり応力を加えた時に、感圧センサにおいて発生する電圧変化を測定した結果を示す。(c)のチャートは、第一電極と第二電極間の電圧変化を示し、(d)のチャートは第一の中間電極と第二の中間電極間の電圧変化を示す。これら(c)及び(d)のチャートより、本比較例に係る感圧センサにずり応力を加えることで、第一電極と第二電極間で正の電圧変化を確認できるが、第一の中間電極と第二の中間電極間では電圧変化は微弱であり、ずり応力を検出できないことが分かる。
また、垂直応力及びずり応力を検出できた第一電極と第二電極間においても、(a)のチャートで示された垂直応力印加時の波形と、(c)のチャートで示されたずり応力印加時の波形には実質的な差異がなく、垂直応力とずり応力を区別できないことが分かる。
(比較例2)
実施例1で得た圧電素子を、中間電極を形成せずに、第一電極、第二電極、及び圧電体層の三層からなる層構成の圧電素子に変更し、この圧電素子において、圧電体層が第一電極から第二電極に向かう方向で分極するように電圧を印可した以外は、実施例1と同様にして、本比較例に係る感圧センサを製造した。
この感圧センサについて実施例1と同様の手順で、第一電極と第二電極間で電圧変化の測定を試みたところ、垂直応力に対しては第一電極と第二電極間で正の電圧変化を確認できたが、ずり応力に対する電圧変化は極めて微弱であり、ずり応力を検出できなかった。
10、20、30、40 感圧センサ
11 第一電極
12 第二電極
13 第三電極
21 圧電体層
22 第二圧電体層
31 第一の中間電極
32 第二の中間電極
33、33′、35、37 第三の中間電極
34、34′、36、38 第四の中間電極
41〜50、41′〜48′、61〜63 圧電体層中の分極の向き
71〜74 引出配線


Claims (9)

  1. 第一電極と、該第一電極に対向する第二電極とを有する大電極と、
    該第一電極と該第二電極との間に配置された圧電体層と、
    該圧電体層中に、少なくとも一対の中間電極を有する感圧センサであって、
    該中間電極は、該第一電極と該第二電極間の異なる位置に第一の中間電極及び第二の中間電極を有し、
    第一の中間電極と各大電極間の圧電体層の分極方向は、第一の中間電極から各大電極方向又は各大電極から第一の中間電極方向であり、
    第二の中間電極と各大電極間の圧電体層の分極方向は、前記第一の中間電極と各大電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、
    第一の中間電極と第二の中間電極は、逆極性の電荷を有することを特徴とする、感圧センサ。
  2. 第一電極と、該第一電極に対向する第二電極とを有する大電極と、
    該第一電極と該第二電極との間に配置された圧電体層と、
    該圧電体層中に、少なくとも二対の中間電極を有する感圧センサであって、
    該中間電極は、該第一電極と該第二電極間の異なる位置に、第一の中間電極、第二の中間電極、第三の中間電極及び第四の中間電極を有し、
    第一の中間電極と大電極又は第三の中間電極間の圧電体層の分極方向は、第一の中間電極から大電極又は第三の中間電極方向、あるいは、大電極又は第三の中間電極から第一の中間電極方向であり、
    第二の中間電極と大電極又は第四の中間電極間の圧電体層の分極方向は、前記第一の中間電極と大電極又は第三の中間電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、
    第三の中間電極に対向する電極であって第一の中間電極以外の電極と第三の中間電極間の圧電体層の分極方向は、第一の中間電極と第三の中間電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、
    第四の中間電極に対向する電極であって第二の中間電極以外の電極と第四の中間電極間の圧電体層の分極方向は、第二の中間電極と第四の中間電極間の圧電体層の分極方向とは逆であり、
    第一の中間電極と第四の中間電極は、同極性の電荷を有し、
    第一の中間電極と第二および第三の中間電極は、逆極性の電荷を有することを特徴とする、感圧センサ。
  3. 各大電極と各中間電極に接続された引出配線をさらに有する、請求項1又は2の何れか一項に記載の感圧センサ。
  4. 圧電体層の材料が、有機系高分子材料である、請求項1〜3の何れか一項に記載の感圧センサ。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の感圧センサを内蔵又は設置されたインソール。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載の感圧センサを内蔵又は設置されたシューズ。
  7. 請求項1に記載の感圧センサを製造する方法であって、
    圧電体層が分極するように、各大電極間に電圧を印加する第一工程と、
    第一工程による分極方向とは逆方向に分極するように、第一の中間電極と大電極間に電圧を印可する第二工程、及び
    第一工程による分極方向とは逆方向に分極するように、第二工程とは異なる大電極と第二の中間電極間に電圧を印可する第三工程を含む、方法。
  8. 請求項1〜4の何れか一項に記載の感圧センサにかかる応力を検出する方法であって、
    感圧センサにかかるずり応力を検出する工程を含む、方法。
  9. さらに、垂直応力も検出する、請求項8に記載の方法。


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