以下、図1〜図15を用い、実施形態に係る画像読取装置を説明する。画像読取装置として、複合機100を例に挙げて説明する。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(複合機100)
図1を用いて、実施形態に係る複合機100を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
図1に示すように、複合機100は、主制御部101、第1画像読取部1、第2画像読取部2、記憶部3、操作パネル4、印刷部5、通信部6を含む。
主制御部101は複合機100の動作を制御する。主制御部101は、コピーや送信のようなジョブでの動作を制御する。主制御部101は、CPU101aと画像処理回路101bを含む。記憶部3はRAM30、ROM31、ストレージ32(HDD又はSSD)を含む。主制御部101は、記憶部3のプログラムやデータに基づき、各部を制御する。第1画像読取部1と第2画像読取部2は、原稿を読み取って画像データを生成する。画像処理回路101bは、第1画像読取部1、第2画像読取部2が生成した画像データの画像処理を行う。
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。主制御部101は、メッセージ、設定用画面を表示パネル41に表示させる。主制御部101は、操作用画像を表示パネル41に表示させる。例えば、操作用画像はボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、主制御部101は、操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキー43aやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。例えば、操作パネル4は、原稿の両面を読み取るジョブの設定を受け付ける。主制御部101は操作パネル4の出力に基づき設定内容を認識する。
印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5d、両面搬送部5eを含む。印刷ジョブのとき、主制御部101は用紙を給紙部5aに供給させる。主制御部101は用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。用紙搬送部5bは印刷済み用紙を機外に排出する。主制御部101は画像データに基づくトナー像を画像形成部5cに形成させる。主制御部101は搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部5cに行わせる。主制御部101は転写されたトナー像の用紙への定着を定着部5dに行わせる。両面印刷のとき、主制御部101は両面搬送部5eを動作させる。両面搬送部5eは片面印刷済の用紙の表裏を反転させる。両面搬送部5eは、表裏を反転させた用紙を画像形成部5cの上流に送り返す。これにより、用紙が再度、画像形成部5cに送り込まれる。
通信部6は、通信用のハードウェア(通信回路)とソフトウェアを含む。通信部6はコンピューター200やFAX装置300と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。
複合機100では、原稿を読み取って得られた画像データに基づくジョブを実行することができる。原稿の画像データに基づくジョブとしては、コピージョブ、送信ジョブ、FAX送信ジョブがある。コピージョブのとき、主制御部101は、原稿の画像データに基づき、印刷部5に印刷させる。送信ジョブのとき、主制御部101は、操作パネル4で設定された宛先(コンピューター200)に向けて、原稿の画像データに基づく画像ファイルを通信部6に送信させる。FAX送信ジョブのとき、主制御部101は、操作パネル4で設定されたFAX装置300に向けて、原稿の画像データに基づくFAXデータを通信部6に送信させる。
(第1画像読取部1と第2画像読取部2)
次に、図2、3を用いて、実施形態に係る第1画像読取部1と第2画像読取部2の一例を説明する。図2、図3は、実施形態に係る各画像読取部の一例を示す図である。
図2に示すように、第1画像読取部1は第2画像読取部2の上方に設けられる。第1画像読取部1は原稿を搬送する。第1画像読取部1は、DPやADFと略称されることもある。第1画像読取部1は、第2画像読取部2に対し上下方向に開閉する。第1画像読取部1は原稿を上方から押さえるカバーとして機能する。表面が上向きになるように、使用者は第1画像読取部1に原稿をセットする。
第1画像読取部1は、セット原稿を1枚ずつ搬送する。第1画像読取部1は、送り読取用コンタクトガラス2a(読み取り位置)に向けて原稿を搬送する。第1画像読取部1は原稿搬送ユニット11を含む。原稿搬送ユニット11は、セットされた原稿を搬送する装置である。原稿搬送ユニット11は、原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ1a、供給ローラー1b、原稿搬送路1c、複数の搬送ローラー対1d、排出ローラー対1e、排出トレイ1fを含む。原稿は原稿搬送路1cを通る。供給ローラー1b、複数の搬送ローラー対1d、排出ローラー対1eは、原稿を1枚ずつ排出トレイ1fに向けて搬送する。
原稿トレイ1aには、原稿セットセンサー13が設けられる。原稿セットセンサー13の出力は主制御部101に入力される。原稿セットセンサー13の出力に基づき、主制御部101は、原稿トレイ1a上の用紙の有無を認識する。原稿トレイ1aに1又は複数枚の原稿がセットされる。
図3に示すように、第1制御部10が第1画像読取部1内に設けられる。第1制御部10は処理回路(CPUやASIC)やメモリーを含む基板である。また、第1画像読取部1は第1読取ユニット12を含む。第1読取ユニット12は、CIS方式のスキャンユニットである。第1読取ユニット12は原稿の搬送経路に面する。第1読取ユニット12は第1ランプ16と第1イメージセンサー17を含む(図4参照)。第1ランプ16は原稿の表面に光を照射する。第1イメージセンサー17は主走査方向に並べられた複数の受光素子(画素)を含む。第1イメージセンサー17はカラーでの読み取りに対応している。そのため、第1イメージセンサー17は、少なくともR、G、Bのラインセンサーを含む。各受光素子は受光した原稿の反射光の光量に応じたアナログ電気信号を出力する。
第2画像読取部2は原稿の表面を読み取る。第2画像読取部2は表面の画像データを生成する。第2画像読取部2の上面に送り読取用コンタクトガラス2aと載置読取用コンタクトガラス2bが設けられる。載置読取用コンタクトガラス2bの左側に送り読取用コンタクトガラス2aが設けられる。載置読取用コンタクトガラス2bには、書籍のような原稿がセットされる。第2画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス2bにセットされた原稿を読み取る(テーブル読み取り)。または、第2画像読取部2は、第1画像読取部1が搬送する原稿を読み取る(送り読み取り)。
図3に示すように、第2画像読取部2は、第2制御部20を含む。第2制御部20は第2画像読取部2の動作を制御する。第2制御部20は、処理回路(CPUやASIC)、メモリー、その他の回路を含む基板である。第2制御部20と第1制御部10に、同じ処理回路を用いてもよいし、異なる処理回路を用いてもよい。第2制御部20は、主制御部101からの指示、信号に基づき、原稿の読み取りを行う。
また、図2に示すように、第2画像読取部2は、第2読取ユニット21、ワイヤー2c、巻取ドラム2dを含む。第2読取ユニット21は、CCD方式のスキャンユニットである。第2読取ユニット21はCIS型のスキャンユニットでもよい。第2読取ユニット21は、第1移動枠2e、第2移動枠2f、レンズ2g、第2イメージセンサー25を含む。第1移動枠2eは第2移動枠2fの上方に配される。第1移動枠2eは、第2ランプ24、第第1ミラー2hを含む。第2移動枠2fは、第2ミラー2iと第3ミラー2jを含む。又、第2ランプ24と各ミラーは、主走査方向を長手方向とする。各ミラーは原稿の反射光をレンズ2gに導く。レンズ2gは、原稿の反射光を集光し、第2イメージセンサー25に入射する。第2イメージセンサー25は主走査方向に並べられた複数の受光素子(画素)を含む。第2イメージセンサー25もカラーでの読み取りに対応している。そのため、第2イメージセンサー25も、少なくともR、G、Bのラインセンサーを含む。各受光素子は受光した原稿の反射光の光量に応じたアナログ電気信号を出力する。
ワイヤー2cは第2読取ユニット21と巻取ドラム2dに接続される。巻取ドラム2dは、正逆回転する巻取モーター22(図3参照)により回転する。テーブル読み取りのとき、第2制御部20は、巻取ドラム2dを回転させる。第2読取ユニット21は水平方向(副走査方向、図2の左右方向)に移動する。搬送原稿を読み取るとき、第2制御部20は、送り読取用コンタクトガラス2aの下方に第2読取ユニット21を配置する。
操作パネル4は、原稿の片面を読み取るか、両面を読み取るかの設定を受け付ける。片面を読み取るジョブのとき、主制御部101は、原稿セットセンサー13の出力に基づき、第1画像読取部1(原稿トレイ1a)に原稿がセットされているか否かを確認する。原稿トレイ1aに原稿がセットされているとき、主制御部101は、第1制御部10と第2制御部20に送り読取要求を出す。送り読取要求に基づき、第1制御部10は原稿搬送モーター14を駆動させる。原稿搬送モーター14により、供給ローラー1bや搬送ローラー対1dが回転する。そして原稿は読み取り位置に向けて搬送される。原稿は、送り読取用コンタクトガラス2aの上側(一方側)を通過する。第2画像読取部2は、第2読取ユニット21の読み取り位置を送り読取用コンタクトガラス2aの下方とする。第2読取ユニット21は搬送原稿の表面を読み取る。
片面を読み取るジョブで原稿トレイ1aに原稿がセットされていないとき、主制御部101は、第2画像読取部2にテーブル読取要求を出す。テーブル読取要求に基づき、第2画像読取部2は、巻取モーター22(図3参照)を回転させる。第2画像読取部2は読み取り位置を副走査方向で移動させる。第2画像読取部2は、載置読取用コンタクトガラス2bにセットされた原稿を読み取る。
両面を読み取るジョブ(両面読取ジョブ)のとき、主制御部101は、原稿セットセンサー13の出力に基づき、第1画像読取部1(原稿トレイ1a)に原稿がセットされているか否かを確認する。原稿トレイ1aに原稿がセットされているとき、主制御部101は、第1制御部10と第2制御部20に両面読取要求を出す。両面読取要求に基づき、第1制御部10は原稿搬送モーター14を駆動させる。これにより、原稿が1枚ずつ搬送される。第1制御部10は、搬送原稿の裏面を第1読取ユニット12に読み取らせる。また、第2制御部20は、送り読取用コンタクトガラス2aを通過する原稿を第2読取ユニット21に読み取らせる。
第1画像読取部1は第1画像信号処理部15を含む。第1画像信号処理部15は、第1イメージセンサー17の出力に基づき、裏面の画像データを生成する。第2画像読取部2は第2画像信号処理部23を含む。第2画像信号処理部23は、第2イメージセンサー25の出力に基づき、裏面の画像データを生成する。
(第1画像読取部1での画像データの生成)
次に、図4を用いて、実施形態に係る第1画像読取部1での画像データの生成の流れの一例を説明する。図4は、実施形態に係る第1画像読取部1の一例を示す図である。
第1画像読取部1は、第1読取ユニット12、第1画像信号処理部15を含む。第1読取ユニット12は第1ランプ16、第1イメージセンサー17を含む。第1画像信号処理部15は、第1AFE18(アナログフロントエンド)、第1A/D変換回路110、第1補正回路111を含む。
第1読取ユニット12に読み取りを行わせるとき、第1制御部10は、第1ランプ16を点灯させる。これにより、原稿の裏面に光が照射される。第1イメージセンサー17は、原稿の反射光を受ける。第1イメージセンサー17の各受光素子は、受光量に応じたアナログ信号(第1画像信号S1)を出力する。第1イメージセンサー17はカラーで原稿を読み取る。各受光素子の第1画像信号S1は、第1画像信号処理部15(第1AFE18)に入力される。
第1AFE18は、第1画像信号S1を処理する。例えば、第1AFE18は、第1増幅回路19を含む。第1増幅回路19は第1画像信号S1を増幅する。第1増幅回路19は、色成分(R、G、Bのラインセンサー)につき、1つ設けてもよい。図4では、便宜上、第1増幅回路19を1つのみ図示している。なお、第1AFE18は第1画像信号S1の補正を行ってもよい。例えば、相関二重サンプリング法に基づくノイズ除去や、第1画像信号S1のオフセット補正を行ってもよい。
第1AFE18が処理した第1画像信号S1は、第1A/D変換回路110に入力される。第1A/D変換回路110は各受光素子のアナログ信号(第1画像信号S1)をディジタル値に変換する。第1A/D変換回路110は、例えば、1つの色成分につき、8ビット又は10ビットのデータに変換する。これにより、裏面の画像データが生成される。第1補正回路111は、読み取りに起因する濃度の歪みを補正する。例えば、第1補正回路111はシェーディング補正を行う。第1画像信号処理部15により生成された各ラインの画像データは、RAM30に出力される。モノクロ(白黒)のジョブのとき、画像処理回路101bは、カラーの画像データからモノクロの画像データを生成してもよい。
(第1増幅回路19のゲイン調整)
次に、図5を用いて、実施形態に係る第1増幅回路19のゲイン調整の一例を説明する。図5は、実施形態に係る第1増幅回路19のゲイン調整の一例を示す図である。
第1増幅回路19はゲイン(増幅率)可変型の増幅回路である。第1制御部10は、ゲインを制御するための第1制御信号C1を入力する。第1制御信号C1により、第1増幅回路19のゲインを設定することができる。第1増幅回路19は、第1制御信号C1の大きさ(電圧値)に応じたゲインを選択する。例えば、第1制御信号C1の電圧値が大きいほど、第1増幅回路19はゲインを大きくする。
ダイナミックレンジが広くなるように、ゲインの調整が行われる。ゲインを調整するとき、第1制御部10は第1ランプ16を点灯させる。第1読取ユニット12の向かいに白基準ローラー1gが設けられる(図2参照)。第1読取ユニット12は白基準ローラー1gを読み取る。白基準ローラー1gの読み取り時、第1制御部10は白基準ローラー1gを回転させてもよい。
白基準ローラー1gの読み取って得られた画像データがRAM30に記憶される。第1制御部10は白基準ローラー1gの読み取りで得られた画像データの各画素の平均値を求める。第1制御部10は、色成分ごと(R、G、Bごと)に平均値を求める。第1制御部10は、求めた平均値が予め定められた第1基準範囲71a内であるか否かを確認する。第1基準範囲71aは、最も明るい画素値(真っ白の値)を含まない。256階調(8ビット)、値が大きいほど明るい(白い)とき、第1基準範囲71aは、255未満とする(例えば、245〜250程度)。
ゲイン調整の開始時、例えば、第1制御部10は、第1増幅回路19のゲインを最小に設定する。平均値が第1基準範囲71aになるまで、第1増幅回路19のゲインを1又は数段階ずつ大きくする。平均値が第1基準範囲71aを超えたとき、第1増幅回路19のゲインを1段階小さくする。ゲインを変更したとき、第1制御部10は、再度、白基準ローラー1gを第1読取ユニット12に読み取らせる。第1制御部10は、平均値が第1基準範囲71aに収まるときの第1制御信号C1の値を第1調整値71として記憶部3に記憶させる。第1制御部10は色成分ごと(第1増幅回路19ごと)に、第1調整値71を取得する。原稿を読み取るとき、第1制御部10は、第1調整値71の大きさの第1制御信号C1を各第1増幅回路19に入力する。第1増幅回路19は、第1調整値71に応じたゲインに設定される。
(第2画像読取部2での画像データの生成)
次に、図6を用いて、実施形態に係る第2画像読取部2での画像データの生成の流れの一例を説明する。図6は、実施形態に係る第2画像読取部2の一例を示す図である。
第2画像読取部2は、第2読取ユニット21、第2画像信号処理部23を含む。第2読取ユニット21は第2ランプ24、第2イメージセンサー25を含む。第2画像信号処理部23は、第2AFE26(アナログフロントエンド)、第2A/D変換回路28、第2補正回路29を含む。
第2読取ユニット21に読み取りを行わせるとき、第2制御部20は、第2ランプ24を点灯させる。これにより、原稿の裏面に光が照射される。第2イメージセンサー25は、原稿の反射光を受ける。第2イメージセンサー25の各受光素子は、受光量に応じたアナログ信号(第2画像信号S2)を出力する。第2イメージセンサー25はカラーで原稿を読み取る。各受光素子の第2画像信号S2は、第2画像信号処理部23(第2AFE26)に入力される。
第2AFE26は、第2画像信号S2を処理する。例えば、第2AFE26は、第2増幅回路27を含む。第2増幅回路27は第2画像信号S2を増幅する。第2増幅回路27は、色成分(R、G、Bのラインセンサー)につき、1つ設けてもよい。図4では、便宜上、第2増幅回路27を1つのみ図示している。なお、第2AFE26は第2画像信号S2の補正を行ってもよい。例えば、相関二重サンプリング法に基づくノイズ除去や、第2画像信号S2のオフセット補正を行ってもよい。
第2AFE26が処理した第2画像信号S2は、第2A/D変換回路28に入力される。第2A/D変換回路28は各受光素子のアナログ信号(第2画像信号S2)をディジタル値に変換する。第2A/D変換回路28は、例えば、1つの色成分につき、8ビット又は10ビットのデータに変換する。これにより、表面の画像データが生成される。第2補正回路29は、読み取りに起因する濃度の歪みを補正する。例えば、第2補正回路29はシェーディング補正を行う。第2画像信号処理部23により生成された各ラインの画像データは、RAM30に出力される。
(第2増幅回路27のゲイン調整)
次に、図7を用いて、実施形態に係る第2増幅回路27のゲイン調整の一例を説明する。図7は、実施形態に係る第2増幅回路27のゲイン調整の一例を示す図である。
第2増幅回路27はゲイン(増幅率)可変型の増幅回路である。第2制御部20は、ゲインを制御するための第2制御信号C2を入力する。第2制御信号C2により、第2増幅回路27のゲインを設定することができる。本実施形態の第2増幅回路27は、第2制御信号C2の大きさ(電圧値)に応じたゲインを選択する。例えば、第2制御信号C2の電圧値が大きいほど、第2増幅回路27はゲインを大きくする。
ダイナミックレンジが広くなるように、ゲインの調整が行われる。ゲインを調整するとき、第2制御部20は第2ランプ24を点灯させる。載置読取用コンタクトガラス2bと送り読取用コンタクトガラス2aの間の下面に白基準板2kが設けられる(図2参照)。第2読取ユニット21は白基準板2kを読み取る。
白基準板2kの読み取って得られた画像データがRAM30に記憶される。第2制御部20は白基準板2kの読み取りで得られた画像データの各画素の平均値を求める。第2制御部20は、色成分ごと(R、G、Bごと)に平均値を求める。第2制御部20は、求めた平均値が予め定められた第2基準範囲72a内であるか否かを確認する。第2基準範囲72aは最も明るい画素値(真っ白の値)を含まない。256階調(8ビット)、値が大きいほど明るい(白い)とき、第2基準範囲72aは255未満とする。(例えば、245〜250程度)
ゲイン調整の開始時、例えば、第2制御部20は、第2増幅回路27のゲインを最小に設定する。平均値が第2基準範囲72aになるまで、第2増幅回路27のゲインを1又は数段階ずつ大きくする。ゲインを変更したとき、第2制御部20は、再度、白基準板2kを第2読取ユニット21に読み取らせる。平均値が第2基準範囲72aを超えたとき、第2増幅回路27のゲインを1段階小さくする。第2制御部20は、平均値が第2基準範囲72aに収まるときの第2制御信号C2の値を第2調整値72として記憶部3に記憶させる。第2制御部20は色成分ごと(第2増幅回路27ごと)に、第2調整値72を取得する。原稿を読み取るとき、第2制御部20は、第2調整値72の大きさの第2制御信号C2を各第2増幅回路27に入力する。第2増幅回路27は、第2調整値72に応じたゲインに設定される。
(原稿搬送速度)
次に、図8を用いて、実施形態に係る第1画像読取部1の原稿搬送速度の一例を説明する。図8は、実施形態に係る第1画像読取部1の原稿搬送速度の一例を示す図である。
実施形態に係る複合機100では、操作パネル4での設定に応じて原稿搬送速度を変える。具体的に、第1制御部10は、読取解像度が大きいほど、原稿搬送速度を遅くする。操作パネル4は読取解像度の設定を受け付ける。例えば、読取解像度として、600dpiと300dpiを選択することができる。原稿搬送速度が一定の場合、読取解像度が高いほど1ラインの読み取り時間は短くなる。読み取り時間が短すぎると、適切に原稿を読み取ることができない。そこで、読取解像度が大きいほど、第1制御部10は原稿搬送速度を遅くする。
また、600dpiでは、第1制御部10は、カラー読み取りでの原稿搬送速度を、モノクロ(白黒)読み取りでの原稿搬送速度よりも遅くする。設定に応じた原稿搬送速度の一例を図8に示す。カラーで600dpiの読み取りのとき、第1制御部10は、第1原稿搬送速度で原稿を搬送する。モノクロで600dpiの読み取りのとき、第1制御部10は、第2原稿搬送速度で原稿を搬送する。カラーで300dpi又はモノクロで300dpiの読み取りのとき、第1制御部10は、第3原稿搬送速度で原稿を搬送する。第3原稿搬送速度>第2原稿搬送速度>第1原稿搬送速度の関係がある。例えば、第1原稿搬送速度=250mm/s、第2原稿搬送速度=300mm/s、第3原稿搬送速度=400mm/sである。原稿搬送速度の種類は、2種類でもよいし、3種類以上でもよい。
なお、テーブル読取のとき、第2制御部20は、第2読取ユニット21のうち、第1移動枠2eを原稿搬送速度と同じ速度で移動させる。カラーで600dpiの読み取りのとき、第2制御部20は、第1原稿搬送速度で第1移動枠2eを移動させる。モノクロで600dpiの読み取りのとき、第2制御部20は、第2原稿搬送速度で第1移動枠2eを移動させる。カラーで300dpi又はモノクロで300dpiの読み取りのとき、第1制御部10は、第3原稿搬送速度で第1移動枠2eを移動させる。また、第2移動枠2fは、第1移動枠2eの半速で移動するようになっている。
読取画像データの画質を高くするため、第1制御部10は、原稿搬送速度ごとに第1調整値71を設定する。具体的に、第1制御部10は、第1原稿搬送速度向けの第1調整値71と、第2原稿搬送速度向けの第1調整値71と、第3原稿搬送速度向けの第1調整値71を設定する。
また、第2制御部20は、原稿搬送速度ごとに第2調整値72を設定する。具体的に、第2制御部20は、第1原稿搬送速度向けの第2調整値72と、第2原稿搬送速度向けの第2調整値72と、第3原稿搬送速度向けの第2調整値72を設定する。
(ゲイン調整の実行タイミング)
次に、図9を用いて、実施形態に係る複合機100でのゲイン調整の実行タイミングの一例を説明する。図9は実施形態に係る複合機100の電力供給の一例を示す図である。
複合機100は電源装置9を含む。電源装置9は商用電源400(コンセント)から電力の供給を受ける。電源装置9は、電源制御部90、1次電源回路91、2次電源回路92、電力供給制御用スイッチ93を含む。電源制御部90は、各部への電力供給を制御する。1次電源回路91は入力された交流電力を整流する。1次電源回路91は、例えばスイッチング電源回路である。1次電源回路91は予め設定された大きさの直流電圧を出力する。1次電源回路91はモーター駆動用の直流電圧(例えば、DC24V)を出力する。
2次電源回路92は1次電源回路91が生成した電圧を降圧する。2次電源回路92は、予め設定された大きさの直流電圧を出力する。2次電源回路92は、例えば、DCDCコンバーターである。2次電源回路92は、各部の回路、素子の動作に必要な電圧を生成する。複数種の電圧が必要なため、2次電源回路92は複数設けられる。
複合機100はアクティブモードと省電力モード(スリープモード)を備える。アクティブモードで予め定められた移行条件が満たされたとき、主制御部101は、複合機100を省電力モードとする。移行条件は適宜定められる。例えば、ジョブ終了から、又は、最後の操作パネル4への操作から予め定められた移行時間が経過したとき、主制御部101は移行条件が満たされたと判定する。
省電力モードでは、予め定められた供給停止部分への電力供給が停止される。図9のうち、供給停止部分は、第1画像読取部1、第2画像読取部2、操作パネル4、印刷部5である。供給停止部分への電力供給のON/OFFのため、電力供給制御用スイッチ93が設けられる。主制御部101から省電力モードへの移行指示を受信したとき、電源制御部90は、電力供給制御用スイッチ93をOFFにする。これにより、待機状態の複合機100の消費電力を下げることができる。なお、主制御部101、記憶部3、通信部6への電力供給は省電力モードでも行われる。
省電力モードで予め定められた復帰条件が満たされたとき、主制御部101は複合機100をアクティブモードとする。復帰条件は適宜定められる。例えば、複合機100に設けられた復帰ボタンが操作されたことや、コンピューター200やFAX装置300から印刷用データを受信したことが復帰条件とされる。主制御部101は復帰条件が満たされたことを認識する。主制御部101からアクティブモードへの復帰指示を受信したとき、電源制御部90は、電力供給制御用スイッチ93をONにする。これにより、供給停止部分への電力供給が再開される。
複合機100の主電源ON又はアクティブモードへの復帰により、第1画像読取部1と第2画像読取部2への電力供給が開始される。電力供給が開始されたとき、第1画像読取部1と第2画像読取部2はイニシャル動作を行う(起動する)。まず、第1制御部10と第2制御部20は、イニシャル動作(起動処理)を開始する。イニシャル動作は、第1画像読取部1と第2画像読取部2を使用できるようにするための処理を含む。第1制御部10は、イニシャル動作の1つとして、第1増幅回路19のゲイン調整(第1調整値71の設定)を行う。原稿搬送速度ごとに、1ラインの読み取り時間(受光素子の電荷蓄積期間)が変わる。そのため、第1制御部10は、原稿搬送速度ごとに第1調整値71を設定する。第2制御部20は、イニシャル動作の1つとして、第2増幅回路27のゲイン調整(第2調整値72の設定)を行う。第2制御部20も、原稿搬送速度ごとに第2調整値72を設定する。
(最初に設定する調整値の決定)
次に、図10、図11を用いて、実施形態に係る複合機100で最初に設定する調整値の決定の流れの一例を説明する。図10は、実施形態に係る複合機100での最初に設定する調整値の決定の流れの一例を示す図である。図11は、実施形態にかかる記録データD1の一例を示す図である。
図10のスタートは、主電源投入時点、又は、復帰条件が満たされた時点である。言い換えると、電源装置9が操作パネル4、第1画像読取部1、第2画像読取部2への電力供給を開始した時点である。これにより、操作パネル4が操作を受け付ける状態となる。また、第1画像読取部1と第2画像読取部2は、イニシャル動作を開始する。
操作パネル4の出力に基づき、主制御部101は、操作パネル4に設けられた特定キーが操作されたか否かを確認する(ステップ♯11)。特定キーは、例えば、スタートキー43aである。特定キーは、スタートキー43a以外のキーでもよい。特定キーが操作されていないとき(ステップ♯11のNo)、主制御部101は、ジョブの種類が選択されたか否かを確認する(ステップ♯12)。ジョブの種類が選択されていないとき(ステップ♯12のNo)、フローはステップ♯11に戻る。
ジョブの種類が選択されたとき(ステップ♯12のYes)、主制御部101は選択されたジョブの種類を第1制御部10と第2制御部20に通知する。操作パネル4が直接、第1制御部10と第2制御部20に選択されたジョブの種類を通知してもよい。
第1制御部10と第2制御部20は、選択されたジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度を認識する(ステップ♯13)。第1制御部10と第2制御部20は、記録データD1に基づき、最も使用されている原稿搬送速度を認識する。例えば、コピージョブが選択されたとき、第1制御部10と第2制御部20は、コピージョブで最も使用されている原稿搬送速度を認識する。
図11は、記録データD1の一例である。記憶部3は不揮発的に記録データD1を記憶する。記録データD1は、ジョブで使用された原稿搬送速度の記録である。言い換えると、記録データD1は、各原稿搬送速度がジョブで使用された回数を示すデータである。原稿搬送速度がジョブで使用された回数は、ジョブの種類ごとに記憶される。ジョブが完了するごとに、主制御部101は、記録データD1を更新する。主制御部101は、使用された原稿搬送速度、及び、完了した種類のジョブに対応する回数値に1を加算する。
図11では、原稿搬送速度が第1〜第3原稿搬送速度の3種類である例を示している。原稿を読み取るジョブの種類は、コピージョブ、送信ジョブ、FAX送信ジョブの3種類である例を示している。ジョブの種類は更に多くてもよい。主制御部101は、ジョブの種類ごとに、ジョブ実行回数(合計)を記録データD1に含める。合計の欄の値は、第1〜第3原稿搬送速度の使用回数の合計値である。
ステップ♯13のとき、第1制御部10と第2制御部20は記録データD1を参照する。そして、第1制御部10と第2制御部20は、選択されたジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度を認識する。第1制御部10と第2制御部20は、最も使用されている原稿搬送速度向けの第1調整値71と第2調整値72から設定を開始する(ステップ♯14)。これにより、イニシャル動作開始後、どの原稿搬送速度向けの調整値から設定するかが決まる。そして、本フローは終了する(エンド)。
一方、ジョブの種類の選択前に特定キーが操作されたとき(ステップ♯11のYes)、主制御部101は特定キーが操作されたことを第1制御部10と第2制御部20に通知する(ステップ♯15)。操作パネル4が直接、第1制御部10と第2制御部20に特定キーが操作されたことを通知してもよい。
特定キーが操作されたことの通知を受けたとき、第1制御部10と第2制御部20は、今まで最も実行回数が多いジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度を認識する(ステップ♯16)。第1制御部10と第2制御部20は、記録データD1に基づき、今まで最も実行回数が多いジョブの種類を認識する。さらに、第1制御部10と第2制御部20は、記録データD1に基づき、認識したジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度を認識する。例えば、コピージョブの実行回数が最も多いとき、第1制御部10と第2制御部20は、コピージョブで最も使用されている原稿搬送速度を認識する。そして、第1制御部10と第2制御部20は、認識した原稿搬送速度向けの第1調整値71と第2調整値72から設定を開始する(ステップ♯17)。これにより、イニシャル動作開始後、どの原稿搬送速度向けの調整値から設定するかが決まる。そして、本フローは終了する(エンド)。
なお、操作パネル4でのジョブの種類の選択、又は、特定キーが操作されない限り、第1調整値71と第2調整値72の設定が開始されない。場合によっては、アクティブモードになっても、第1調整値71と第2調整値72の設定がなされないまま、省電力モードに移行する場合がある。例えば、コンピューター200から送信されたデータに基づくプリントジョブを行った後、移行時間が経過したとき、各調整値の設定をしていない状態で、主制御部101は複合機100のモードを省電力モードに戻す。無駄な調整値の設定を無くすことができる。複合機100の消費電力を減らすことができる。
(第1調整値71の設定時の処理)
次に、図12、図13を用いて、実施形態に係る第1調整値71の設定時の処理の流れの一例を説明する。図12、図13は、実施形態に係る第1調整値71の設定時の処理の流れの一例を示す図である。
図12のスタートは、第1調整値71の設定を開始した時点である。主制御部101は、原稿の表面と裏面を読み取るジョブ(両面読取ジョブ)の実行開始指示を受け付けたか否かを確認する(ステップ♯21)。操作パネル4の出力に基づき、主制御部101は両面読取が設定されたジョブについて、スタートキー43aが操作されたことを認識する。両面読取ジョブの実行開始指示がなされたとき、主制御部101は、両面読取指示を第1制御部10に通知する。
操作パネル4が両面読取ジョブの実行開始指示を受け付けていないとき(ステップ♯21のNo)、第1制御部10は、設定中の第1調整値71の設定が完了したか否かを確認する(ステップ♯22)。完了していないとき(ステップ♯22のNo)、フローはステップ♯21に戻る。第1制御部10は、設定中の原稿搬送速度向けの第1調整値71の設定を続ける。
完了したとき(ステップ♯22のYes)、第1制御部10は、全ての原稿搬送速度向けの第1調整値71の設定が完了したか否かを確認する(ステップ♯23)。完了したとき(ステップ♯23のYes)、第1制御部10は本フローを終了させる(エンド)。
完了していないとき(ステップ♯23のNo)、第1制御部10は、次に設定対象とする原稿搬送速度を決定する(ステップ♯24)。操作パネル4でジョブの種類が選択されているとき、第1制御部10は、第1調整値71の設定が未完了の原稿搬送速度のうち、選択されたジョブの種類で最も使用回数が多い原稿搬送速度を設定対象とする。操作パネル4でジョブの種類が選択されていないとき、第1制御部10は、実行回数が最も多いジョブの種類を認識する。そして、第1制御部10は、第1調整値71の設定が未完了の原稿搬送速度のうち、認識したジョブの種類で最も使用回数が多い原稿搬送速度を設定対象とする。第1制御部10は、決定した原稿搬送速度向けの第1調整値71の設定を開始する(ステップ♯25)。
操作パネル4が両面読取ジョブの実行開始指示を受け付けたとき(ステップ♯21のYes)、第1制御部10は実行開始指示がなされた両面読取ジョブの原稿搬送速度を認識する(ステップ♯26)。主制御部101は、両面読取指示とともに、両面読取ジョブの原稿搬送速度を第1制御部10に通知する。そして、第1制御部10は、認識した原稿搬送速度(両面読取ジョブの原稿搬送速度)である使用速度向けの第1調整値71を設定中であるか否かを確認する(ステップ♯27)。使用速度向けの第1調整値71の設定中ではないとき(ステップ♯27のNo)、第1制御部10は第1調整値71の設定を中止する(ステップ♯28、ゲイン調整の中止)。さらに、第1制御部10は、使用速度向けの第1調整値71が設定済か否かを確認する(ステップ♯29)。設定済でないとき(ステップ♯29のNo)、第1制御部10は、使用速度向けの第1調整値71の設定を開始する(ステップ♯210)。
設定中であるとき(ステップ♯27のYes)、又は、ステップ♯210の後、第1制御部10は使用速度向けの第1調整値71の設定を完了させる(ステップ♯211)。使用速度向けの第1調整値71の設定を完了したとき(ステップ♯211)、又は、設定済のとき(ステップ♯29のYes)、第1制御部10は、使用速度の第1調整値71に基づき、第1増幅回路19のゲインを設定する(ステップ♯212)。
第1増幅回路19のゲイン設定後、第1制御部10は使用速度での原稿の搬送を開始する(ステップ♯213)。第1制御部10は、第1読取ユニット12に原稿の裏面の読み取りを開始させる(ステップ♯214)。第1制御部10は、セットされた原稿のページ数分、裏面の読み取りが繰り返させる。これにより、原稿の裏面を読み取るジョブが完了する(ステップ♯215)。ステップ♯215の後、フローは、ステップ♯21に戻る。
操作パネル4が両面読取ジョブの実行開始指示を受け付けない限り、第1制御部10は、第1調整値71の設定を続ける。片面を読み取るジョブが実行されても第1調整値71の設定を中断しない。但し、片面の送り読み取りのとき、原稿が白基準ローラー1gを通過している間、第1制御部10は、第1読取ユニット12に読み取りを行わせない。
(第2調整値72の設定時の処理)
次に、図14、図15を用いて、実施形態に係る第2調整値72の設定時の処理の流れの一例を説明する。図14、図15は、実施形態に係る第2調整値72の設定時の処理の流れの一例を示す図である。
第1調整値71の設定時間と第2調整値72の設定時間に差が出ることがある。そのため、第1制御部10は独自に図12、図13のフローチャートを実行する。第2制御部20は独自に図14、図15のフローチャートを実行する。
図14のスタートは第2調整値72の設定を開始した時点である。主制御部101は、原稿の読取ジョブの実行開始指示を受け付けたか否かを確認する(ステップ♯31)。ここでの読取ジョブは、片面読取と両面読取の両方を含む。操作パネル4の出力に基づき、主制御部101は、原稿を読み取るジョブについて、スタートキー43aが操作されたことを認識する。読取ジョブの実行開始指示がなされたとき、主制御部101は送り読取指示、テーブル読取指示、又は、両面読取指示を第2制御部20に通知する。
操作パネル4が読取ジョブの実行開始指示を受け付けていないとき(ステップ♯31のNo)、第2制御部20は設定中の第2調整値72の設定が完了したか否かを確認する(ステップ♯32)。完了していないとき(ステップ♯32のNo)、フローはステップ♯31に戻る。第2制御部20は設定中の原稿搬送速度向けの第2調整値72の設定を続ける。完了したとき(ステップ♯32のYes)、第2制御部20は、全ての原稿搬送速度向けの第2調整値72の設定が完了したか否かを確認する(ステップ♯33)。完了したとき(ステップ♯33のYes)、第2制御部20は本フローを終了させる(エンド)。
完了していないとき(ステップ♯33のNo)、第2制御部20は、次に設定対象とする原稿搬送速度を決定する(ステップ♯34)。操作パネル4でジョブの種類が選択されているとき、第2制御部20は、第2調整値72の設定が未完了の原稿搬送速度のうち、選択されたジョブの種類で最も使用回数が多い原稿搬送速度を設定対象とする。操作パネル4でジョブの種類が選択されていないとき、第2制御部20は、実行回数が最も多いジョブの種類を認識する。そして、第2制御部20は、第2調整値72の設定が未完了の原稿搬送速度のうち、認識したジョブの種類で最も使用回数が多い原稿搬送速度を設定対象とする。第2制御部20は、決定した原稿搬送速度向けの第2調整値72の設定を開始する(ステップ♯35)。
操作パネル4が読取ジョブの実行開始指示を受け付けたとき(ステップ♯31のYes)、第2制御部20は実行開始指示がなされた読取ジョブの原稿搬送速度(第1移動枠2eの移動速度)を認識する(ステップ♯36)。主制御部101は、読取指示とともに、これから実行する読取ジョブの原稿搬送速度を第2制御部20に通知する。第2制御部20は、認識した原稿搬送速度である使用速度向けの第2調整値72を設定中であるか否かを確認する(ステップ♯37)。使用速度向けの第2調整値72の設定中ではないとき(ステップ♯37のNo)、第2制御部20は、第2調整値72の設定を中止する(ステップ♯38、ゲイン調整の中止)。さらに、第2制御部20は、使用速度向けの第2調整値72が設定済か否かを確認する(ステップ♯39)。設定済でないとき(ステップ♯39のNo)、第2制御部20は、使用速度向けの第2調整値72の設定を開始する(ステップ♯310)。
設定中であるとき(ステップ♯37のYes)、又は、ステップ♯310の後、第2制御部20は使用速度向けの第2調整値72の設定を完了させる(ステップ♯311)。使用速度向けの第2調整値72の設定を完了したとき(ステップ♯311)、又は、設定済のとき(ステップ♯39のYes)、第2制御部20は、使用速度の第2調整値72に基づき、第2増幅回路27のゲインを設定する(ステップ♯312)。第2増幅回路27のゲイン設定後、第2制御部20は第2読取ユニット21に原稿の表面の読み取りを開始させる(ステップ♯313)。やがて、原稿の表面を読み取るジョブが完了する(ステップ♯314)。ステップ♯314の後、フローはステップ♯31に戻る。
このようにして、実施形態に係る画像読取装置(複合機100)は、原稿搬送ユニット11、第1読取ユニット12、第1画像信号処理部15、操作パネル4、第1制御部10を含む。原稿搬送ユニット11はセットされた原稿を搬送する。第1読取ユニット12は第1イメージセンサー17を含む。第1読取ユニット12は搬送される原稿の裏面を読み取る。第1画像信号処理部15は第1増幅回路19を含む。操作パネル4はジョブに関する操作を受け付ける。第1制御部10は第1増幅回路19のゲインを調整するための第1調整値71を設定する。第1増幅回路19は、第1イメージセンサー17が出力する第1画像信号S1を増幅する。第1画像信号処理部15は、増幅後の第1画像信号S1に基づき原稿の裏面の画像データを生成する。第1制御部10は、所定の開始時点に原稿搬送速度の種類ごとの第1調整値71の設定を開始する。第1調整値71の設定の開始後、操作パネル4が両面を読み取る設定のジョブである両面読取ジョブの実行開始指示を受け付けたとき、第1制御部10は、当該両面読取ジョブの原稿搬送速度を認識する。第1制御部10は、設定中の第1調整値71が認識した原稿搬送速度である使用速度向けの第1調整値71であるか否かを確認する。設定中の第1調整値71が使用速度向けの第1調整値71のとき、第1制御部10は、第1調整値71の設定を完了する。設定中の第1調整値71が使用速度向けの第1調整値71ではないとき、第1制御部10は、第1調整値71の設定を中断する。中断後、第1制御部10は、使用速度向けの第1調整値71の設定が完了しているか否かを確認する。第1調整値71の設定が完了していないとき、第1制御部10は、使用速度向けの第1調整値71の設定を開始する。使用速度向けの第1調整値71の設定が完了しているとき、又は、完了したとき、第1制御部10は、使用速度での原稿搬送を原稿搬送ユニット11に開始させる。第1制御部10は、搬送原稿を第1読取ユニット12に読み取らせる。
全種類の第1調整値71の設定の完了前に両面読取ジョブの実行開始指示がなされたとき、これから実行する両面読取ジョブの原稿搬送速度に応じた第1調整値71を速やかに設定することができる。これから実行する両面読取ジョブの原稿搬送速度と対応しないゲイン調整を中断することができる。必要な第1調整値71を速やかに設定することができる。これにより、これから実行する両面読取ジョブの原稿搬送速度での裏面の読み取り準備を速やかに終わらせることができる。全種類の第1調整値71の設定完了前にジョブを開始することができる。できるだけ速く、原稿裏面の読み取りを開始することができる。待ち時間が少なく、使い勝手のよい画像読取装置を提供することができる。
画像読取装置は記録データD1を記憶する記憶部3を含む。記録データD1は、ジョブの種類ごとに、ジョブで使用された原稿搬送速度を記録したデータである。操作パネル4はジョブの種類の選択を受け付ける。第1制御部10は、電力供給の開始によるイニシャル動作の開始後、操作パネル4がジョブの種類の選択を受け付けたとき、記録データD1に基づき、選択されたジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度向けの第1調整値71の設定を開始する。使用される可能性が高い原稿搬送速度向けの第1調整値71から設定を開始することができる。ゲイン調整の中断が生じにくくなるように、第1調整値71の設定順を定めることができる。両面読取ジョブの実行開始指示がなされたとき、必要な第1調整値71が設定済である可能性を高めることができる。これにより、読取準備に要する時間(使用者の待ち時間)を平均的に短くすることができる。
ある原稿搬送速度の第1調整値71の設定が完了したとき、第1制御部10は、第1調整値71の設定が未完了の原稿搬送速度のうち、選択されたジョブの種類で最も使用回数が多い原稿搬送速度向けの第1調整値71の設定を開始する。使用回数が多い原稿搬送速度向けの第1調整値71から設定することができる。ゲイン調整の中断が生じにくくなるように、第1調整値71の設定順を定めることができる。読取準備に要する時間(使用者の待ち時間)を平均的に短くすることができる。
記録データD1は、ジョブの種類ごとに、ジョブの実行回数を記憶する。イニシャル動作の開始後、操作パネル4がジョブの種類の選択を受け付ける前に操作パネル4の特定キーが操作されたとき、第1制御部10は、今まで最も実行回数が多いジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度向けの第1調整値71の設定を開始する。イニシャル動作の開始後、最初に特定キーを操作するだけで、実行される可能性が高いジョブで使用される可能性が高い原稿搬送速度向けの第1調整値71から設定を開始させることができる。
第1制御部10は、両面読取ジョブの間、第1調整値71の設定を行わない。両面読取ジョブの完了後、第1制御部10は、設定未完了の第1調整値71の設定を開始する。第1調整値71の設定よりもジョブ(読み取り)を優先させることができる。第1調整値71の設定を後回しにすることができる。最終的に全種類の第1調整値71を設定することができる。
画像読取装置は、第2読取ユニット21、第2画像信号処理部23、第2制御部20を含む。第2読取ユニット21は第2イメージセンサー25を含む。第2読取ユニット21は搬送される原稿の表面を読み取る。第2画像信号処理部23は第2増幅回路27を含む。第2制御部20は第2増幅回路27のゲインを調整するための第2調整値72を設定する。第2増幅回路27は、第2イメージセンサー25が出力する第2画像信号S2を増幅する。第2画像信号処理部23は、増幅後の第2画像信号S2に基づき原稿の表面の画像データを生成する。第2制御部20は、開始時点に第2調整値72の設定を開始する。第2調整値72の設定の開始後、操作パネル4が原稿の片面又は両面を読み取る読取ジョブの実行開始指示を受け付けたとき、第2制御部20は、当該読取ジョブの原稿搬送速度を認識する。第2制御部20は、設定中の第2調整値72が認識した原稿搬送速度である使用速度向けの第2調整値72であるか否かを確認する。設定中の第2調整値72が使用速度向けの第2調整値72のとき、第2制御部20は、第2調整値72の設定を完了する。設定中の第2調整値72が使用速度向けの第2調整値72ではないとき、第2制御部20は、第2調整値72の設定を中断する。中断後、第2制御部20は、使用速度向けの第2調整値72の設定が完了しているか否かを確認する。第2調整値72の設定が完了していないとき、第2制御部20は、使用速度向けの第2調整値72の設定を開始する。使用速度向けの第2調整値72の設定が完了しているとき、又は、完了したとき、第2制御部20は、原稿を第2読取ユニット21に読み取らせる。
この構成により、全種類の第2調整値72の設定の完了前に読取ジョブの実行開始指示がなされたとき、これから実行する読取ジョブの原稿搬送速度に応じた第2調整値72を速やかに設定することができる。これから実行する読取ジョブの原稿搬送速度と対応しないゲイン調整を中断することができる。必要な第2調整値72を速やかに設定することができる。これにより、これから実行する読取ジョブの原稿搬送速度での表面の読み取り準備を速やかに終わらせることができる。全種類の第2調整値72の設定完了前にジョブを開始することができる。できるだけ速く、表面の読み取りを開始することができる。待ち時間が少なく、使い勝手のよい画像読取装置を提供することができる。
画像読取装置は記録データD1を記憶する記憶部3を含む。記録データD1は、ジョブの種類ごとに、ジョブで使用された原稿搬送速度を記録したデータである。操作パネル4はジョブの種類の選択を受け付ける。第2制御部20は、電力供給の開始によるイニシャル動作の開始後、操作パネル4がジョブの種類の選択を受け付けたとき、記録データD1に基づき、選択されたジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度向けの第2調整値72の設定を開始する。これから実行するジョブで使用される可能性が高い原稿搬送速度向けの第2調整値72から設定を開始することができる。ゲイン調整の中断が生じにくくなるように、第2調整値72の設定順を定めることができる。ジョブの実行開始指示がなされたとき、必要な第2調整値72が設定済である可能性を高めることができる。これにより、読取準備に要する時間(使用者の待ち時間)を平均的に短くすることができる。
ある原稿搬送速度の第2調整値72の設定が完了したとき、第2制御部20は、第2調整値72の設定が未完了の原稿搬送速度のうち、選択されたジョブの種類で最も使用回数が多い原稿搬送速度向けの第2調整値72の設定を開始する。使用回数が多い原稿搬送速度向けの第2調整値72から設定することができる。ゲイン調整の中断が生じにくくなるように、第2調整値72の設定順を定めることができる。読取準備に要する時間(使用者の待ち時間)を平均的に短くすることができる。
記憶部3は、ジョブの種類ごとに、ジョブの実行回数を記憶する。イニシャル動作の開始後、操作パネル4がジョブの種類の選択を受け付ける前に操作パネル4の特定キーが操作されたとき、第2制御部20は、今まで最も実行回数が多いジョブの種類で最も使用されている原稿搬送速度向けの第2調整値72の設定を開始する。イニシャル動作の開始後、最初に特定キーを操作するだけで、実行される可能性が高いジョブで使用される可能性が高い原稿搬送速度向けの第2調整値72から設定を開始させることができる。
第2制御部20は、原稿の読み取り中、第2調整値72の設定を行わない。原稿の読み取り完了後、第2制御部20は設定未完了の第2調整値72の設定を開始する。調整値の設定よりもジョブ(読み取り)を優先させることができる。第2調整値72の設定を後回しにすることができる。最終的に全種類の第2調整値72を設定することができる。