以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。添付図面は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、添付図面において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[情報記録システムの概要]
まず、実施の形態に係る情報記録システムの概要について説明する。図1は、実施の形態に係る情報記録システムの外観斜視図である。
図1に示されるように、情報記録システム200は、情報記録装置100と、情報端末110と、表示装置120とを備える。
情報記録装置100は、複数の光ディスクを用いてデータを記憶するデータアーカイバである。情報端末110及び表示装置120は、情報記録システム200におけるユーザインターフェースであり、ユーザは、情報端末110及び表示装置120を用いて、情報記録装置100に記録された情報の読み出し、及び、情報記録装置100への情報の記録指示を行うことができる。
情報記録装置100は、具体的には、マガジンストッカー10と、複数のマガジン20と、ピッカー30と、キャリア40と、複数のディスクドライブ50と、制御装置60とを備える。
マガジン20は、複数の光ディスクを収容する筐体である。図2は、マガジン20の外観斜視図であり、図3は、マガジン20の分解斜視図である。
図2及び図3に示されるように、マガジン20は、複数の光ディスク80が上下方向に積み重なった状態で収容されるマガジントレイ21と、マガジントレイ21を収容するケース22とを有する。1つのマガジントレイ21には、例えば、12枚の光ディスク80が収容される。
光ディスク80は、円盤状の記録媒体である。実施の形態では、光ディスク80は、記録型(追記型)の光ディスクであって、例えば、1枚あたり100GB程度のデータが記録される。なお、追記型の光ディスク80は、情報を付加的に記録する記録媒体であり、一旦記録されたデータを書き換えることはできない。
ピッカー30は、マガジンストッカー10に収容された複数のマガジン20の中から1つのマガジン20を選択し、選択したマガジン20のマガジントレイ21を引き出す。また、ピッカー30は、引き出したマガジントレイ21を保持し、複数のディスクドライブ50の近傍まで搬送する。ピッカー30は、マガジントレイ21に収納された複数の光ディスク80を互いに接触しないように分離するセパレータ31を有する。
キャリア40は、セパレータ31により分離された複数の光ディスク80を、当該分離された状態でセパレータ31から受け取り、複数のディスクドライブ50の挿入口51に1枚ずつ挿入する。
ディスクドライブ50は、光ディスク80への情報の記録及び、光ディスク80の再生を行う装置である。ディスクドライブ50は、トレイを使用せずに光ディスク80をローディングするスロットイン方式のディスクドライブである。複数のディスクドライブ50は、上下方向(高さ方向)に積み重ねられている。情報記録装置100が備える複数のディスクドライブ50の総数は、マガジン20に収容された光ディスク80の総数と等しく、実施の形態では12である。
制御装置60は、ピッカー30、キャリア40、及びディスクドライブ50などの各装置の動作を制御する制御装置である。
以上説明したような情報記録装置100は、使用開始前に複数のマガジン20の検査を行う。情報記録装置100は、具体的には、マガジン20内の光ディスク80が未記録の状態で、当該光ディスク80にキズまたは付着物が無いかの検査を行う。
[光ディスクの構造]
次に、光ディスク80の記録層の構造について説明する。図4は、光ディスクの記録層の構造を示す模式断面図である。図5は、光ディスクの記録層の構造を示す平面図である。
上述のように、光ディスク80は、記録型(追記型)の光ディスクである。図4に示されるように、光ディスク80は、上面及び下面にそれぞれ3つの記録層を有する。光ディスク80は、上面側にLayer0(図4のL0)、Layer1(図4のL1)、及びLayer2(図4のL2)の3つの記録層を有し、下面側にもLayer0、Layer1、及びLayer2の3つの記録層を有する。
また、図5に示されるように、1つの記録層においては、中心付近からスパイラル状にグルーブ(溝)が形成され、グルーブ及びランド(溝と溝の間の領域)の一方が、記録マークが形成されるトラック81とされている。なお、グルーブ及びランドの両方がトラック81とされてもよい。
トラック81は、複数のECC(Error Correcting Code)ブロック82に分割されている。言い換えれば、複数のECCブロック82は、記録層においてスパイラル状のトラックを構成している。ECCブロック82は、記録単位の一例であって、データが記録された場合にエラー訂正が行われる単位である。
トラック81(グルーブ)は、トラック81沿に沿って細かいウォブリング構造を有し、ディスクドライブ50は、ウォブリング構造を光ディスク80内のアドレス情報として認識することができる。ウォブリング構造によれば、ディスクドライブ50は、データが記録される前の光ディスク80であっても、安定してアドレスを特定することができる。
[情報記録システムの機能構成]
次に、情報記録システム200の機能構成について説明する。図6は、情報記録システム200の機能構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、情報記録システム200は、情報記録装置100と、情報端末110と、表示装置120とを備える。情報端末110は、例えば、パーソナルコンピュータであり、表示装置120は、例えば、液晶ディスプレイである。
また、情報記録装置100は、主として、ディスクドライブ50及び制御装置60を備える。まず、ディスクドライブ50の詳細な構成について説明する。ディスクドライブ50は、光ヘッド52と、スピンドルモータ53と、サーボ制御部54と、アドレス特定部55と、二値化処理部56と、レーザ駆動部57と、第一制御部58と、第一記憶部59とを備える。
光ヘッド52は、光ディスク80の記録層にレーザ光を集光し、光ディスク80の記録層で反射したレーザ光を受光する。また、光ヘッド52は、受光したレーザ光を電気信号に変換して出力する。光ヘッド52は、電気信号として、ウォブル信号、サーボエラー信号、及び、データ信号を出力する。光ヘッド52は、具体的には、光ピックアップ装置であり、レーザ光を出射するレーザ光源、及び、レーザ光を電気信号に変換するフォトディテクタ(フォトダイオード)を有する。
ウォブル信号は、光ディスク80のウォブリング構造に応じた信号であり、トラック81内でレーザ光が集光されている位置(集光位置)のアドレスを示す信号である。サーボエラー信号は、レーザ光を記録層にフォーカスし、かつ、集光位置をトラック81に追従させるための信号である。データ信号は、トラック81に記録されたデータを示す信号である。
スピンドルモータ53は、サーボ制御部54の制御に基づいて、光ディスク80を回転させる。サーボ制御部54は、光ヘッド52から出力されるサーボエラー信号に基づいて、レーザ光を記録層にフォーカスし、かつ、集光位置をトラック81に追従させる制御を行う。また、サーボ制御部54は、スピンドルモータ53の回転数を制御する。サーボ制御部54は、例えば、第一制御部58によって制御される。
アドレス特定部55は、ウォブル信号に基づいて、記録層内のレーザ光の集光位置のアドレスを特定する。アドレス特定部55は、具体的には、ADC(Analog Digital Converter)回路を含む。ADC回路は、ウォブル信号に対して、DC変動を抑制するHPF(High Pass Filter)処理、ウォブル信号の再生に不要な高域ノイズを除去するLPF(Low Pass Filter)処理、及び、ウォブル信号の振幅変動を抑制するAGC(Auto Gain Control)処理などのアナログ信号処理を行う。
また、アドレス特定部55には、さらに、PLL(Phase Locked Loop)回路及び復調回路が含まれる。ADC回路は、PLL回路から供給されるクロック信号を用いて、アナログ信号処理された後のウォブル信号をディジタル化する。PLL回路は、ディジタル化され、かつ、BPF処理されたウォブル信号から、当該ウォブル信号に同期したクロック信号を生成し出力する。復調回路は、PLL回路から出力されるクロック信号を基準に、サンプリングされたウォブル信号からアドレス情報を復調する。この結果、記録層内のレーザの集光位置のアドレスが特定される。
二値化処理部56は、光ヘッド52から出力されるデータ信号を二値化する処理を行う。二値化処理部56は、具体的には、ADC回路を含む。ADC回路は、データ信号に対して、DC変動を抑制するHPF処理、二値化に不要な高域ノイズを除去するLPF処理、及び、データ信号の振幅変動を抑制するAGC処理等のアナログ信号処理を行う。
また、二値化処理部56には、さらに、PLL回路、適応フィルタ、及び、復調回路が含まれる。ADC回路は、データPLL回路から供給されるクロック信号を用いて、データ信号をディジタル化する。ディジタル化されたデータ信号は、適応フィルタによってフィルタ処理された後、復調回路によって二値化データに変換される。なお、詳細は図示されないが、二値化データに対しては、その後、誤り訂正処理などが行われる。
レーザ駆動部57は、第一制御部58の制御に基づいて、光ヘッド52にレーザ光を出射させる。レーザ駆動部57は、具体的には、半導体レーザ用の駆動回路である。なお、レーザ駆動部57は、光ヘッド52に含まれてもよい。
第一制御部58は、ディスクドライブ50が備える各構成要素の制御、及び、制御装置60との通信を行う。第一制御部58は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路などによって実現される。第一制御部58は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、及び、専用回路のうち2以上の組み合わせによって実現されてもよい。なお、詳細は図示されないが、第一制御部58と制御装置60との間には、通信インターフェース(通信回路)が介在する。
第一記憶部59は、第一制御部58が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。第一記憶部59は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。
次に、制御装置60について説明する。制御装置60は、第二制御部61と、第二記憶部62とを備える。
第二制御部61は、例えば、情報端末110からの指示に基づいて、ピッカー30、キャリア40、及び、ディスクドライブ50などの各装置の動作を制御する。第二制御部61は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路などによって実現される。第二制御部61は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、及び、専用回路のうち2以上の組み合わせによって実現されてもよい。なお、詳細は図示されないが、第二制御部61と情報端末110との間には、通信インターフェース(通信回路)が介在する。
また、第二制御部61は、情報記録装置100が使用開始される前、つまり、マガジン20内の光ディスク80が未記録の状態で、当該光ディスク80にキズまたは付着物が無いかの検査を行う。このような検査の詳細については後述する。
第二記憶部62は、第二制御部61が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。この制御プログラムには、光ディスク80(マガジン20)の検査用のプログラムが含まれる。第二記憶部62は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。
[光ディスクの検査方法]
次に、制御装置60(第二制御部61)が行う、マガジン20内の光ディスク80の検査方法について説明する。図7は、光ディスク80の検査方法のフローチャートである。なお、図7のフローチャートは、第二制御部61がピッカー30及びキャリア40を制御して光ディスク80をディスクドライブ50に挿入した後、1つの光ディスク80に対して行われる検査方法を示す。
まず、第二制御部61は、第一制御部58を介してレーザ駆動部57及びサーボ制御部54を制御することにより、レーザ光を光ディスク80の記録層に集光する(S11)。このとき、第二制御部61は、第一制御部58を介してサーボ制御部54を制御してスピンドルモータ53を回転させることにより、記録層に集光されたレーザ光のビームスポットを光ディスク80の記録層のトラック81に追従させる。
次に、第二制御部61は、記録層で反射したレーザ光に応じたデータ信号を取得する(S12)。記録層にデータが記録された状態においては、データ信号は、記録されたデータに応じて信号レベルが変動する信号であるが、本検査方法は、データが未記録の光ディスク80を対象に行われる。データが未記録の状態において、データ信号は、通常、ほぼ一定の信号レベルとなるが、光ディスク80の表面にキズまたは付着物がある場合にはレーザ光の反射量が低下するため、信号レベルが低下する。つまり、データ信号の信号レベルが低下している期間は、キズまたは付着物がある期間であるとみなすことができる。
そこで、第二制御部61は、ステップS12において取得されたデータ信号において、当該データ信号の信号レベルが所定値よりも低くなる第一期間をECCブロック82に対応する第二期間ごとに特定する(S13)。図8は、第一期間の特定方法を説明するための図である。
図8では、検査中のデータ信号が図示されている。上述のように、記録層に集光されたレーザ光のビームスポットは、光ディスクの回転によってトラック81に沿って進む。光ディスク80の表面の対象部分にキズまたは付着物があれば、トラック81のうち対象部分に重なる部分にビームスポットが当たっている間は、データ信号の信号レベルが低下する。図8では、第一期間T1において、データ信号の信号レベルが所定値よりも低下している。
第一期間T1の長さが長いほど、光ディスク80の表面に大きなキズまたは付着物が有ると考えられる。このため、第一期間T1の長さが所定期間よりも長い場合に、このような光ディスク80には異常がある(使用不可能である)と判定する検査方法が考えられる。なぜなら、このような光ディスク80には、キズまたは付着物が障害となって、データを正常に記録または再生できない可能性があるからである。
しかしながら、このような検査方法によって使用不可能であると判定された光ディスク80は、実際には使用できる場合がある。具体的には、図8に示されるように、第一期間T1が2つの第二期間T21及び第二期間T22にまたがっている場合、つまり、キズまたは付着物が2つのECCブロック82にまたがって存在する場合である。
上述のように、ECCブロック82は、データが再生された場合にエラー訂正が行われる単位である。1つのECCブロック82においてキズまたは付着物がない領域が確保されていればエラー訂正が可能であり、通常はデータの再生に問題が生じない。図8の例では、第一期間T1には、一のECCブロック82に対応する第二期間T21に属する第一期間T11と、他のECCブロック82に対応する第二期間T22に属する第一期間T12とが含まれる。このような場合、第一期間T11の長さ及び第一期間T12の長さのそれぞれが所定の長さ未満であれば、通常はデータの記録に問題が生じない。
そこで、ステップS13では、第二制御部61は、ECCブロック82に無関係に第一期間を特定するのではなく、データ信号において、第一期間をECCブロック82に対応する第二期間ごとに特定する。図8の例では、第二制御部61は、第二期間T21に含まれる第一期間T11を特定し、第二期間T22に含まれる第一期間T12を特定する。
なお、データ信号のうち第二期間の始点及び終点(2つのECCブロック82の境界)は、アドレス特定部55から出力されるアドレスに基づいて特定することができる。データ信号が所定値以下となるか否かは、例えば、コンパレータ回路などによって特定できる。所定値は、例えば、データ信号の信号レベルの最大値の50%とされるが、特に限定されない。
そして、第二制御部61は、第一期間T11の長さ及び第一期間T12の長さのそれぞれが所定の長さ以上であるか否かを判定する(S14)。第一期間の長さは、例えば、タイムカウンタ等によって計測できる。所定の長さは、例えば、600Byteの情報量に相当する長さである。第二期間の長さは、64KByteの情報量に相当するため、所定の長さは、第二期間の長さの1%程度の長さである。なお、所定の長さは、特に限定されないがエラー訂正が許容される所定の情報量に対応する長さであるとよい。
第二制御部61は、第一期間T11の長さ及び第一期間T12の長さの少なくとも一方が所定の長さ以上であると判定すると(S14でYes)、光ディスク80に異常があると判定する(S15)。つまり、光ディスク80には、データを正常に記録または再生できないような大きなキズまたは付着物があると判定する。
一方、第二制御部61は、第一期間T11の長さ及び第一期間T12の長さの両方が所定の長さ未満であると判定すると(S14でNo)、光ディスク80に異常がないと判定する(S16)。つまり、光ディスク80には、データを正常に記録または再生できないような大きなキズまたは付着物はないと判定する。
最後に、第二制御部61は、判定結果を出力する(S17)。判定結果は、例えば、情報端末110に出力される。この結果、例えば、表示装置120には、判定結果(検査結果)を示す画像が表示される。
以上のような検査方法によれば、光ディスク80がデータを正常に記録または再生できる状態であるかどうかを高い精度で検査することができる。
[変形例1]
上述のように、光ディスク80は、上面及び下面にそれぞれ3つの記録層を有する。つまり、光ディスク80は、複数の記録層が積層された構造を有する。ここで、例えば、光ディスク80の上面及び下面の一方の面を検査するときには、レーザ光は、3つの記録層のうちの1つの記録層に集光されればよい。このとき、レーザ光は、3つの記録層のいずれに集光されてもよい。図9及び図10は、レーザ光が集光された記録層を示す模式図である。
図9では、複数の記録層のうち光ヘッド52から最も遠い記録層であるLayer0にレーザ光が集光され、図10では、複数の記録層のうち光ヘッド52に最も近い記録層であるLayer2にレーザ光が集光されている。
ここで、Layer0にレーザ光が集光されているときの光ディスク80の表面におけるビームスポット径r1は、Layer2にレーザ光が集光されているときの光ディスク80の表面におけるビームスポット径r2よりも小さい。図9及び図10に示されるように、付着物70は、光ディスク80の表面に付着するため、表面におけるビームスポット径が小さいほど、高い精度で付着物70の有無の検査を行うことができる。つまり、図10に示されるように、光ディスク80に含まれる複数の記録層のうち光ヘッド52に最も近い記録層にレーザ光が集光されることで、検査精度を高めることができる。
[変形例2]
光ディスク80には、データの記録または再生の障害となるようなキズまたは付着物が1つもないことが望ましい。したがって、光ディスク80の検査においては、1つの記録層に含まれるECCブロック82の数と同じ数の第二期間が特定され、特定された全ての第二期間が、当該第二期間に含まれる第一期間が所定の長さ未満であるという条件を満たすことが理想的である。光ディスク80のように両面記録型の光ディスクにおいては、上面側の記録層、及び、下面側の記録層のそれぞれにおいて、上記の条件を満たすことが理想的である。
しかしながら、特定された複数の第二期間のうち、一部の第二期間が条件を満たさない場合、つまり、光ディスク80に、キズまたは付着物によって記録に使用できないと推定されるECCブロック82(以下、不良ECCブロックと記載する)が含まれる場合であっても、不良ECCブロックのアドレスが記憶され、不良ECCブロックへの記録が回避されれば、光ディスク80を使用することができる。なお、不良ECCブロックは、言い換えれば、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間に対応するECCブロックである。
そこで、第二制御部61は、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間の数、つまり、不良ECCブロックの数に基づいて、光ディスク80の異常の有無を判定してもよい。第二制御部61は、具体的には、データ信号における所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間の数(記録層における不良ECCブロックの数)が所定数以上である場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい。
所定数は、例えば、記録容量に応じて定められるとよい。所定数は、例えば、1枚の光ディスク80の最大記録容量うち不良ECCブロックの記録容量の合計が10%未満となるような数に定められる。
[変形例3]
第二制御部61は、光ディスク80の径方向に長いキズまたは付着物があると推定される場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい。図11は、径方向に長いキズまたは付着物の有無を推定する方法を説明するための模式図である。なお、図11に図示されているトラック81は、実際にはスパイラル状であるが、説明のために簡略化して記載されている。
図11において、ECCブロック群83は、トラック81のうち光ディスク80の中心(最内周)からl周目の部分に含まれる複数のECCブロック82からなる。ECCブロック群84は、トラック81のうち光ディスク80の中心からm周目の部分に含まれる複数のECCブロック82からなり、ECCブロック群85は、トラック81の中心からn周目の部分に含まれる複数のECCブロック82からなる。なお、l、m、nは、互いに異なる自然数である。
ここで、ECCブロック群83、ECCブロック群84、及び、ECCブロック群85のそれぞれに少なくとも1つの不良ECCブロックが含まれる場合には、径方向に長い付着物71(またはキズ)が存在していると推定される。
そこで、第二制御部61は、ECCブロック群83、ECCブロック群84、及び、ECCブロック群85のそれぞれに少なくとも1つの不良ECCブロックが含まれると判断した場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい。
第二制御部61は、具体的には、取得されたデータ信号において、トラック81のl周目の部分に対応する期間、トラック81のm周目の部分に対応する期間、及び、トラック81のn周目の部分に対応する期間のそれぞれに、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間が含まれる場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい。なお、データ信号内のトラック81のl周目の部分に対応する期間、トラック81のm周目の部分に対応する期間、及び、トラック81のn周目の部分に対応する期間のそれぞれは、アドレス特定部55から出力されるアドレスに基づいて特定することができる。
これにより、第二制御部61は、径方向に長いキズまたは付着物があると推定される光ディスク80を異常ありと判定することができる。
また、トラック81のl周目、m周目、及びn周目は、例えば、等間隔に設定され、l<m<nであるとすると、m−lは、n−mに等しくなる。m−l及びn−mのそれぞれは、例えば、1以上の整数である。このように、第二制御部61は、データ信号のうち、等間隔に選択された、互いに隣り合わないN周分のトラックに対応するNの期間のそれぞれに、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間が少なくとも1つ含まれる場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい(Nは2以上の整数)。
なお、第二制御部61は、少なくとも2つのECCブロック群(例えば、ECCブロック群84、及び、ECCブロック群85)のそれぞれに、少なくとも1つの不良ECCブロックが含まれると判断した場合に、光ディスク80に異常があると判定すればよい。つまり、第二制御部61は、取得されたデータ信号において、トラック81のうち光ディスク80の中心からm周目の部分に対応する期間、及び、トラック81のうち光ディスク80の中心からn周目の部分に対応する期間のそれぞれに、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間が含まれる場合に、光ディスク80に異常があると判定すればよい。
[変形例4]
上記検査方法では、光ディスク80ごとに判定結果が出力されたが、マガジン20ごとに判定結果が出力されてもよい。つまり、マガジン20ごとに異常の有無(使用可否)が判定されてもよい。
ここで、マガジン20に収容された複数の光ディスク80のうちキズまたは付着物が発生しやすいのは、一番上に位置する第一光ディスクの上面である。なぜなら、第一光ディスクの上面は、ケース22に接触しやすいからである。同様に、マガジン20に収容された複数の光ディスク80のうち一番下に位置する第二光ディスクの下面もキズまたは付着物が発生しやすい。なぜなら、第二光ディスクの下面は、マガジントレイ21に接触しやすいからである。
そこで、マガジン20ごとに異常の有無が判定される場合には、マガジン20内の全ての光ディスク80を検査対象とするのではなく、第一光ディスク及び第二光ディスクのみが検査対象とされてもよい。より詳細には、第一光ディスクの上面側の記録層、及び、第二光ディスクの下面側の記録層のみが検査の対象とされてもよい。
この場合、検査においては、第一光ディスクの上面側の記録層、及び、第二光ディスクの下面側の記録層のみを対象として、当該記録層にレーザ光が集光される。つまり、1つのマガジン20に対して、2つの記録層のみが検査の対象となる。異常の有無の判定には、上述したどの方法が用いられてもよい。
そして、第一光ディスク及び第二光ディスクの少なくとも一方が異常であると判定された場合に、マガジン20が異常であることを示す判定結果が出力される。
このように、第一光ディスクの上面側の記録層、及び、第二光ディスクの下面側の記録層のみが選択的に検査されることにより、効率的にマガジン20の異常の有無を判定することができる。
[効果等]
以上説明したように、上記実施の形態は、記録型の光ディスク80の検査方法に関する。光ディスク80は、データが記録された場合にエラー訂正が行われる単位であるECCブロック82を複数含む記録層を有する。ECCブロック82は、記録単位の一例である。検査方法は、レーザ光を記録層に集光する集光ステップ(S11)と、記録層で反射したレーザ光に応じたデータ信号を取得する取得ステップ(S12)とを含む。検査方法は、取得されたデータ信号において、当該データ信号の信号レベルが所定値よりも低くなる第一期間をECCブロック82に対応する第二期間ごとに特定する(S13)ことにより、光ディスク80の異常の有無を判定する判定ステップ(S14〜S16)と、判定結果を出力する出力ステップ(S17)とを含む。データ信号は、電気信号の一例である。
このような検査方法によれば、ECCブロック82ごとに障害となるキズまたは付着物の有無が判定されるため、光ディスク80がデータを正常に記録できる状態であるかどうかを高い精度で検査することができる。
また、判定ステップでは、取得されたデータ信号において、第二期間に含まれる第一期間の長さが所定の長さ以上である場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい。
これにより、上記検査方法は、例えば、ECCブロック82が、データが記録された場合にエラー訂正が可能であるかを考慮して光ディスク80の検査を行うことができる。
また、変形例2のように、判定ステップでは、取得されたデータ信号における、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間の数に基づいて、光ディスクの異常の有無を判定してもよい。
これにより、上記検査方法は、例えば、必要な記録容量を考慮して光ディスク80の検査を行うことができる。
また、変形例3のように、複数のECCブロック82は、記録層においてスパイラル状のトラック81を構成し、判定ステップでは、取得されたデータ信号において、トラック81のうち光ディスク80の中心からm(mは自然数)周目の部分に対応する期間、及び、トラック81のうち光ディスク80の中心からn(nはmと異なる自然数)周目の部分に対応する期間のそれぞれに、所定の長さ以上の第一期間を含む第二期間が含まれる場合に、光ディスク80に異常があると判定してもよい。
これにより、上記検査方法は、径方向に長いキズまたは付着物があると推定される光ディスク80を異常ありと判定することができる。
また、変形例1のように、光ディスク80は、複数の記録層が積層された構造を有し、集光ステップでは、複数の記録層のうちレーザ光を出射する光ヘッド52に最も近い記録層にレーザ光を集光してもよい。
これにより、光ディスク80の表面におけるビームスポット径が小さくなる。このため、上記検査方法は、高い精度で付着物の有無の検査を行うことができる。
また、変形例4のように、検査方法は、上下方向に積み重なった状態でマガジン20に収容された複数の光ディスク80であって、それぞれが上面及び下面の両方に記録層を有する複数の光ディスク80のうち、一番上に位置する第一光ディスク及び一番下に位置する第二光ディスクのみを対象として行われてもよい。集光ステップでは、第一光ディスクの上面側の記録層、及び、第二光ディスクの下面側の記録層のみを対象として、当該記録層にレーザ光を集光してもよい。出力ステップでは、判定ステップにおいて第一光ディスク及び第二光ディスクの少なくとも一方が異常であると判定された場合に、マガジンが異常であることを示す判定結果を出力してもよい。
これにより、キズまたは付着物70が付着しやすい光ディスク80の記録層のみが選択的に検査される。このため、上記検査方法は、効率的にマガジン20の異常の有無を判定することができる。
また、検査方法は、データが未記録の光ディスク80を対象として行われてもよい。
これにより、上記検査方法は、データが未記録の光ディスク80におけるキズまたは付着物の有無を判定することができる。
また、上記のように、ECCブロック82は、記録単位の一例である。つまり、記録単位は、ECCブロックであってもよい。
これにより、上記検査方法は、ECCブロック82ごとに障害となるキズまたは付着物の有無を検査することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態をまとめて説明する。
上記実施の形態では、検査方法は、制御装置が備える第二制御部によって実行されたが、ディスクドライブが備える第一制御部によって実行されてもよい。また、検査方法に含まれる各処理が、情報記録装置が備える各構成要素によって分担されてもよい。
また、上記実施の形態において、第一制御部及び第二制御部などの構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態の検査方法は、各種記録型の光ディスクに適用可能である。例えば、AD(アーカイバルディスク(登録商標))、BD(ブルーレイディスク(登録商標))、DVD、CDなどの記録型のディスクに適用可能である。また、検査方法の対象となるディスクは、両面記録型であってもよいし、片面記録型であってもよい。
また、上記実施の形態において説明された検査方法における複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理のうち一部の処理が並行して実行されてもよい。
また、本開示の包括的または具体的な態様は、検査方法に限定されるものではなく、システムまたは装置として実現されてもよい。また、本開示の包括的または具体的な態様は、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。
例えば、本開示は、上記実施の形態で説明されたディスクドライブ、情報記録装置、または情報記録システムとして実現されてもよい。また、本開示は、上記検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、当該プログラムが記録された非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。