JP6832198B2 - レーザ溶接装置、レーザ溶接方法及びレーザ加工用レンズ - Google Patents

レーザ溶接装置、レーザ溶接方法及びレーザ加工用レンズ Download PDF

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Description

本発明は、レーザ光を用いて溶接対象となる部材を溶接するレーザ溶接装置、レーザ溶接方法、及び、レーザ溶接に利用されるレーザ加工用レンズに関する。
従来、溶接対象となる2つの部材がレーザ溶接装置によって溶接されるものの1つとして、ケースに蓋が溶接されてなる電池が知られている。こうした電池では、ケース内の電解液などが外部に漏れ出すことのない高い密閉性を維持すべくそのケースと蓋との溶接が高い精度で行われている。こうした、電池のケースと蓋との溶接としてレーザ溶接が知られている。
レーザ溶接は、レーザ光のエネルギーの強度分布(以下単に強度分布と称することもある)、いわゆるプロファイルを調整することによって、レーザ溶接をより好適に行うことが知られている。例えば、強度分布を調整することで、レーザ溶接を好適に行う技術の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載のレーザ溶接装置は、2種のレーザ系からの異なった第1、第2レーザ光を重畳した強度分布を有するレーザ光を出力する。この強度分布を有するレーザ光は、第2レーザ光の被加工物上での有効スポットサイズが第1レーザ光の有効スポットサイズ未満となるように集光される。被加工物は、上記強度分布を有するレーザ光が照射されることで加工される。
特開2005−254328号公報
ところで、電池のケースと蓋との溶接においては、切れ目なく連続して溶接が行われることが望ましいが、長方形状の蓋における角部分は、直線部分に比較して加工速度の低下が避けられず、レーザ光の照射時間が長くなってしまうおそれがある。例えば、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、強度分布を直線部分に合わせて調節すると、加工速度が低下する角部分が過熱されて、溶接精度が低下するおそれがある。
なお、このような課題は、電池の蓋をレーザ溶接する場合に限られるものではなく、レーザ溶接が可能である溶接対象物をレーザで溶接するときにも同様に生じる共通の課題である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、レーザ溶接中に溶接対象物との間の相対速度が変動するような場合であれ、レーザ溶接の精度を維持することのできるレーザ溶接装置、レーザ溶接方法、及び、レーザ溶接に利用されるレーザ加工用レンズを提供することにある。
上記課題を解決するレーザ溶接装置は、溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置であって、前記溶接用レーザ光は、少なくともガウス型の強度分布を有するレーザ光を含んでいる1又は複数のレーザ光から生成したレーザ光であって、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有する前記溶接用レーザ光として生成する生成部を備え、前記生成部は、前記生成したレーザ光の前記強度分布の最大値を前記相対速度の増加に応じて大きくする。
上記課題を解決するレーザ溶接装置は、溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置であって、前記溶接用レーザ光は、強度分布がガウス型である第1のレーザ光と、強度分布がトップハット型である第2のレーザ光とを合成することにより生成したレーザ光であって、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有し、前記第2のレーザ光の照射径よりも、前記第1のレーザ光の照射径を小さく設定して前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成することで前記溶接用レーザ光を生成する生成部を備え、前記生成部は、前記相対速度の増加に応じて前記第1のレーザ光の強度分布の最大値を増大させる。
上記課題を解決するレーザ溶接方法は、溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置でレーザ溶接をするレーザ溶接方法であって、前記溶接用レーザ光は、強度分布がガウス型である第1のレーザ光と、強度分布がトップハット型である第2のレーザ光とを合成することにより生成したレーザ光であって、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有し、前記溶接用レーザ光を生成する生成部で、前記第2のレーザ光の照射径よりも、前記第1のレーザ光の照射径を小さく設定して前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成することで前記溶接用レーザ光を生成する工程と、前記生成部で、前記相対速度の増加に応じて前記第1のレーザ光の強度分布の最大値を増大させる工程とを備える。
このような構成又は方法によれば、溶接用レーザ光の強度分布が、相対速度が変化することに応じて、具体的には、分布中央部の最大値が溶接対象物との相対速度に応じて、例えば溶接速度が速くなることに応じて大きくなる。これにより、レーザ溶接中に溶接用レーザ光と溶接対象物との間の相対速度が変動するような場合であれ、レーザ溶接の精度を維持することができるようになる。例えば、中央部の最大値を加熱によるスパッタの生じない値に設定することで、相対速度が変動したとしても、スパッタが発生しない、かつ、酸化した溶接対象物を溶融させることができる。
好ましい構成として、前記第1のレーザ光は、ファイバーレーザから出力されるレーザ光であり、前記第2のレーザ光は、半導体レーザから出力されるレーザ光である。
このような構成によれば、半導体レーザからは溶接安定性が高いトップハット型のレーザ光が得られ、ファイバーレーザからは溶融状態に対する応答性が高いガウス型のレーザ光が得られる。よって、トップハット型のレーザ光と、ガウス型のレーザ光とをそれぞれ適切な強度にして合成することで速度変化への対応が好適にできる。また、ファイバーレーザは出力強度の調整が比較的容易であり、出力されるガウス型のレーザ光は溶融状態に対して応答性が高いことから、相対速度に応じて適切な溶融状態となるように出力強度を調節することができる。
好ましい構成として、前記相対速度を取得するとともに、前記取得した相対速度が速くなることに応じて前記第1のレーザ光の出力強度を高くする制御装置を備える。
このような構成によれば、相対速度が速くなることに応じて第1のレーザ光の出力強度が高められることでレーザ光の照射時間が短くなる溶接対象物を好適にレーザ溶接することができるようになる。
好ましい構成として、前記相対速度を取得するとともに、前記取得した相対速度が速くなることに応じて前記第1のレーザ光の出力の分散を小さくする制御装置を備える。
このような構成によれば、相対速度が速くなるに応じて第1のレーザ光の出力の分散が小さくなることでレーザ光が集中するようになり、レーザ光の照射時間が短くなる溶接対象物を好適にレーザ溶接することができるようになる。
好ましい構成として、前記制御装置は、前記相対速度を180mm/秒以上、かつ、510mm/秒以下の範囲で可変とする。
このような構成によれば、相対速度の速度差を最大3倍までにすることができる。
好ましい構成として、トップハット型の出力が、ガウス型の出力の1.5倍以上である。
このような構成によれば、ガウス型である第1のレーザ光で溶融のきっかけを作り、トップハット型である第2のレーザ光での溶融のロバスト性がより好適に維持される。
好ましい構成として、前記溶接用レーザ光は、前記溶接対象物に照射されたとき、前記第1のレーザ光の照射径が前記第2のレーザ光の照射径に対して20%以上50%以下の径である。
このような構成によれば、最低の速度と最高の速度との差が約3倍になっても、スパッタが発生しない、かつ、酸化した溶接対象物を溶融させることができる。
上記課題を解決するレーザ溶接装置は、溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置であって、前記溶接用レーザ光は、ガウス型の強度分布を有するレーザ光から生成したレーザ光であって、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有する前記溶接用レーザ光として生成する生成部を備え、前記生成部は、強度分布がガウス型であるレーザ光を所定の径で入力することで、この入力されたレーザ光をトップハット型のレーザ光に変換して出力するビームシェーパと、前記ガウス型のレーザ光を任意の径で前記ビームシェーパに入力させる調整部とを備え、前記生成部は、前記相対速度の増加に応じて、前記調整部で前記ビームシェーパに入力する前記ガウス型のレーザ光の前記任意の径を前記所定の径以下に縮径する。
上記課題を解決するレーザ溶接方法は、溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置でレーザ溶接をする方法であって、レーザ溶接装置が強度分布がガウス型であるレーザ光を所定の径で入力することで、この入力されたレーザ光をトップハット型のレーザ光に変換して出力するビームシェーパを備え、前記溶接用レーザ光を生成する生成部で、前記ガウス型の強度分布を有するレーザ光を、前記相対速度が増加することに応じて、前記所定の径以下に縮径して前記ビームシェーパに入力することで、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有する前記溶接用レーザ光として生成する。
このような構成又は方法によれば、ビームシェーパへのガウス型のレーザ光の入力径を所定の径以下にすることで、ガウス型のレーザ光の中央部の強度分布が、ビームシェーパによって分散される割合を変更する。具体的には、ガウス型のレーザ光の強度を狭い範囲に集中させることにより、ビームシェーパからも狭い範囲で出力強度が高いレーザ光が出力されるようになる。換言すると、ガウス型のレーザ光の変換にビームシェーパの一部が利用されるので、ビームシェーパから出力されるレーザ光を中央部の強度の高いレーザ光にすることができる。これにより、相対速度が速くて照射時間が短くなる溶接対象物についても高い強度のレーザ光によってレーザ溶接をすることができるようになる。
好ましい構成として、前記調整部は、前記ガウス型のレーザ光が前記ビームシェーパへ入力される径である前記任意の径を、前記ガウス型のレーザ光が出射される位置と前記ビームシェーパとの間の距離を変化させることにより変更する。
このような構成によれば、ビームシェーパへのガウス型のレーザ光の入力径を所定の径よりも小径とすることが容易に行えるようになる。
好ましい構成として、前記ガウス型のレーザ光が出射される位置と前記ビームシェーパとの間には、前記ガウス型のレーザ光が出射される位置から出力されるレーザ光を平行光に変換して前記ビームシェーパに入力させるコリメータレンズが設けられ、前記調整部は、前記任意の径を、前記ガウス型のレーザ光が出射される位置と前記コリメータレンズとの間の距離を変化させることにより変更する。
このような構成によれば、ガウス型のレーザ光が出射される位置とビームシェーパとの位置が固定されていても、コリメータレンズの位置を変更させることによりビームシェーパへのガウス型のレーザ光の入力径を所定の径よりも小径とすることが容易に行えるようになる。
好ましい構成として、前記相対速度を可変とする制御装置を備え、前記制御装置は、前記相対速度を180mm/秒以上、かつ、340mm/秒以下の範囲で可変とする。
このような構成によれば、相対速度の速度差を最大1.89倍までにすることができる。
好ましい構成として、前記溶接対象物は、電池に備えられるケース及び蓋であって、前記ケース及び前記蓋は、アルミニウム製であり、前記相対速度は、レーザ溶接による加熱によって生じるアルミニウムの飛散物であるスパッタが生じない速度範囲における最低速度、かつ、酸化アルミニウムが溶融する速度範囲における最高速度の間の速度範囲内で設定される。
このような構成によれば、電池に備えられるアルミニウム製のケース及び蓋が溶接されるようになる。
上記課題を解決するレーザ加工用レンズは、ガウス型の強度分布のレーザ光を所定の径で入力することで、前記レーザ光の強度分布を変換するレーザ加工用レンズであって、前記ガウス型の強度分布をトップハット型の強度分布に変換する変換部と、前記変換部に囲まれた範囲にあって、前記ガウス型の強度分布が最大値となる部分を含む所定の領域について、入力されたレーザ光を出力するときの拡散角度が、前記変換部において隣接する部分に比べて小さい緩和部とを備える。
このような構成によれば、強度が最大値となる部分を含む所定の領域に入力されたレーザ光は拡散角度が小さいため、強度が高い状態を維持したまま溶接対象物等に照射される。例えば、レーザを拡散させる部分のレンズ形状は凹レンズであることから、凹レンズである領域に凹レンズの曲率を小さくさせる緩和部を形成することで、緩和部における拡散角度を小さくすることができる。これにより、入力されたガウス型のレーザ光の最大値よりも小さいが、トップハット型のレーザ光の最大値よりは大きいレーザ光の強度を有するレーザ光を出力することができるようになる。
好ましい構成として、前記所定の領域を入力させる範囲は前記レーザ光を拡散しない。
このような構成によれば、ガウス型の強度分布が拡散せずに透過するので、周囲に比較して中央部にガウス型の強度分布が維持されたレーザ光を出力することができる。
好ましい構成として、前記所定の領域は、前記レーザ光が出力される前記レーザ加工用レンズの出力側が平面である。
このような構成によれば、レーザ光を拡散しない部分を設けることが容易である。
好ましい構成として、前記平面は、前記レーザ加工用レンズの出力側に凹部として形成されている。
このような構成によれば、レーザ光を拡散させる部分のレンズ形状は凹レンズであることから、凹レンズである領域にあっては凹部を形成することで、凹部の底面の曲率を凹レンズの曲率よりも小さくすることができる。
この発明によれば、レーザ溶接中に溶接対象物との間の相対速度が変動するような場合であれ、レーザ溶接の精度を維持することができる。
レーザ溶接装置を具体化した第1の実施形態について、その概略構成を示す構成図。 同実施形態のビーム生成装置について、その概略構成を示す構成図。 同実施形態のトップハット型のレーザ光の強度分布の一例を模式的に示す図。 同実施形態のガウス型のレーザ光の強度分布の一例を模式的に示す図。 同実施形態の合成したレーザ光の強度分布の一例を模式的に示す図。 同実施形態でレーザ溶接される電池のケースと蓋とを模式的に示す模式図。 同実施形態で電池のケースと蓋とをレーザ溶接するときの状態を時系列で示す図であって、(a)は位置と加工速度との関係を示す図、(b)はトップハット型のレーザ光の出力強度を示す図、(c)はガウス型のレーザ光の出力強度を示す図。 同実施形態のレーザ溶接を含めて、電池のケースと蓋とをレーザ溶接するときの、溶接速度と溶融深さとの関係を示すグラフ。 同実施形態のレーザ溶接を含めて、電池のケースと蓋とをレーザ溶接するときの、溶接速度とアスペクト比との関係を示すグラフ。 レーザ溶接装置を具体化した第2の実施形態について、その概略構成を示す構成図。 同実施形態で利用されるレーザ光の強度分布の態様を示す図であり、(a)は、ガウス型のレーザ光の強度分布の一例を示す図、(b)は、トップハット型のレーザ光の強度分布の一例を示す図、(c)は、ガウス型をトップハット型に変換するときの中間的な強度分布の一例を示す図。 同実施形態のレーザ溶接を含めて、電池のケースと蓋とをレーザ溶接するときの、溶接速度と溶融深さとの関係を示すグラフ。 同実施形態のレーザ溶接を含めて、電池のケースと蓋とをレーザ溶接するときの、溶接速度とアスペクト比との関係を示すグラフ。 レーザ溶接装置を具体化した第3の実施形態について、その概略構成を示す構成図。 同実施形態のビーム生成装置について、その概略構成を示す構成図。 同実施形態のビーム生成装置のレーザ加工用レンズについて示す図であって、入力されるレーザ光の強度分布を変換するレーザ加工用レンズの一例を示す図。 同実施形態のレンズの一部を拡大して示す拡大図。 レーザ加工用レンズを具体化したその他の実施形態について、その概略構成を示す図。
(第1の実施形態)
図1に従って、レーザ溶接装置、及び、レーザ溶接方法を具体化した第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、レーザ溶接装置20は、第1のレーザ光L1を出力するガウスビーム発振器21と、第2のレーザ光L2を出力するトップハットビーム発振器22と、第1のレーザ光L1及び第2のレーザ光L2を入力して溶接用レーザ光としての照射レーザ光Ltgを生成するビーム生成装置23とを備える。また、レーザ溶接装置20は、ガウスビーム発振器21の出力を調整する制御装置30を備える。また、レーザ溶接装置20は、ビーム生成装置23で作成した照射レーザ光Ltgを溶接対象物としての電池ケース10に照射する。電池ケース10は、照射レーザ光Ltgが照射される位置がレーザ溶接される。
電池ケース10は、ニッケル水素二次電池用の電池ケースであって、極板群(図示略)を挿入するための開口を有するケース11(図6参照)と、開口を封止するための蓋12(図6参照)とを備えている。ケース11及び蓋12は、アルミニウム又はアルミニウム合金から生成されている、いわゆるアルミニウム製である。すなわち、電池ケース10は、アルミニウム製のケース11とアルミニウム製の蓋12との境界部分及びその周囲の照射位置に照射レーザ光Ltgが照射されることでケース11と蓋12とがレーザ溶接されている。
電池ケース10は、制御装置30による位置制御によって照射レーザ光Ltgの照射位置に対して相対移動する移動テーブル40に載置されている。移動テーブル40は、モータ等の駆動で前後方向、及び、左右方向に移動可能に構成されており、制御装置30から入力される加減速信号等に応じてテーブルを移動させる。よって、電池ケース10は、ケース11と蓋12との間の溶接対象位置に、加減速信号に基づいて移動テーブル40が相対移動することで生じる相対速度で照射レーザ光Ltgが照射されることで、ケース11及び蓋12がレーザ溶接される。
制御装置30は、演算部や記憶部を有するコンピュータを含み構成されており、記憶部等に記憶されたプログラムの演算部での演算処理を通じて移動テーブル40の加減速処理(相対速度の増加減処理)やレーザ光の出力強度の調整処理等の各種処理を行う。例えば、本実施形態では、制御装置30は、移動テーブル40の加減速を制御して照射レーザ光Ltgと電池ケース10との間の相対速度が180mm/秒以上、かつ、510mm/秒以下の範囲で可変とする。また、制御装置30は、出力制御信号を出力してガウスビーム発振器21の出力強度を制御する。具体的には、制御装置30は、相対速度が速くなることに応じてガウスビーム発振器21の出力する第1のレーザ光L1の出力強度を上げるようにする。よって、相対速度の増加に応じて第1のレーザ光の強度分布における最大値が増大される。
ガウスビーム発振器21は、第1のレーザ光L1をガウス型の強度分布を有するレーザ光として出力する。一方、トップハットビーム発振器22は、第2のレーザ光L2をトップハット型の強度分布を有するレーザ光として出力する。
まず、図3及び図4を参照してトップハット型の強度分布、及び、ガウス型の強度分布について説明する。
一般に、レーザ光のエネルギー強度Pの分布である強度分布(プロファイル)の種類として、トップハット型とガウス型とがよく知られている。トップハット型は、例えば図3の強度分布D2に示すように、強度分布が矩形分布型であるものであり、ガウス型は、例えば図4の強度分布D1に示すように、強度分布が正規分布型であるものである。
詳述すると、バックグラウンドレベルよりも有意に大きいレーザ光の強度を有する照射領域の径を照射径Φ1とする。例えば、有意に大きいレーザ光の強度とは、レーザ光の最大強度の1%以上の出力が照射される領域である。また、レーザ光の最大強度を最大値Mとするとき、照射強度の値が0.9Mとなる部分の径を0.9M部分強度照射径ΦQとする。つまり、0.9M部分強度照射径ΦQは、レーザ光の最大値Mの10%以上の強度が照射される領域の径である。この場合、トップハット型及びガウス型は、照射径Φ1と0.9M部分強度照射径ΦQとの比で定義することができる。すなわち、本実施形態では、トップハット型の強度分布を下記の式(1)の関係式を満たす強度分布とする。
ΦQ/Φ1≧0.9・・・(1)
また、ガウス型の強度分布を下記の式(2)の関係式を満たす強度分布とする。
ΦQ/Φ1<0.8・・・(2)
図1に示すガウスビーム発振器21は、ファイバーレーザ共振器、いわゆるファイバーレーザを用いてガウス型の強度分布D1を有する第1のレーザ光L1を出力する。ファイバーレーザ共振器は、発振器から入力されたレーザ光を増幅させる共振媒質としての光ファイバーを備えている。ファイバーレーザ共振器は、第1のレーザ光L1として、レーザ溶接に利用可能な波長のレーザ光を出力する。よって、ガウスビーム発振器21は、発振器からのレーザ光をファイバーレーザ共振器の光ファイバーの一端に入力し、この入力したレーザ光を当該光ファイバーを通じて増幅し、該光ファイバーの他端から第1のレーザ光L1として出力する。なお、アルミニウムは波長1070nm以下のレーザ光に高い吸収特性を示すことから、この範囲の波長のレーザ光によれば加熱が容易である。
詳述すると、光ファイバーは、いわゆるプロセスファイバーやダブルコアファイバーである。光ファイバーは、中心部に配置されるファイバー形状の第1コア部と、ファイバー形状の第1コア部を円筒状に覆う第2コア部とを備える。さらに、光ファイバーは、第1コア部と第2コア部との間の第1クラッド部と、第2コア部の外周面の第2クラッド部と、第2クラッド部の外周面を被覆する樹脂などの外装とを備えている。光ファイバーは、励起光や信号光を第1コア部や第2コア部に入力し、この励起光の入力された第1コア部を励起させることによって発振されるレーザ光を信号光に応じて第1コア部から出力させる。
また、ファイバーレーザ共振器は、レーザ光の出力強度を変更することが容易である。一方、ファイバーレーザ共振器から出力されるガウス型の強度分布のレーザ光は、出力変更すると照射位置に与えるエネルギー強度Pが大きく変動するため溶接状態が変化しやすい。
図1に示すトップハットビーム発振器22は、いわゆる半導体レーザであって、レーザダイオードを発振させてトップハット型の強度分布D2を有する第2のレーザ光L2を出力する。また、トップハットビーム発振器22は、第2のレーザ光L2として、レーザ溶接に利用可能な波長のレーザ光を出力する。本実施形態では、ガウスビーム発振器21の出力に対して、トップハットビーム発振器22の出力を1.5倍以上とし、強度分布が平均化されても必要強度が維持されるようにしている。半導体レーザからは、トップハット型の強度分布を有するレーザ光を出力させることは容易であるため、トップハットビーム発振器22としての構成が簡単になりコストも抑えられる。
半導体レーザは、レーザ光の出力強度を変更することが、ファイバーレーザ共振器に比較して容易ではない。また、出力変更したとしても照射位置に与えるエネルギー強度Pの変化量が小さく、いわゆる安定的であるため溶接状態が変化しづらい。
図2に示すように、ビーム生成装置23は、第1のレーザ光L1を第3のレーザ光L3に変換する第1のコリメートレンズ181と、第2のレーザ光L2を第4のレーザ光L4に変換する第2のコリメートレンズ180とを備える。また、ビーム生成装置23は、第3のレーザ光L3の進行方向を変更する全反射ミラー200と、入力した第3のレーザ光L3及び第4のレーザ光L4を合成して強度分布D6を有する合成レーザ光L6を出力する合成器210とを備える。またビーム生成装置23は、入力した合成レーザ光L6を集光することでレーザ溶接に適した照射レーザ光Ltgとして出力する集光レンズ250を備えている。つまり、ビーム生成装置23は、集光レンズ250から出力した強度分布D6を有する照射レーザ光Ltgを溶接対象物に照射して、溶接対象物をレーザ溶接する。
全反射ミラー200は、入力されたレーザ光を少ないロスで反射させるものである。全反射ミラー200は、第3のレーザ光L3の進行方向を変更させるためのものであり、入力した第3のレーザ光L3の進行方向を合成器210の方向へ変更させる。
合成器210は、いわゆるダイクロックミラーであって、入射する第3のレーザ光L3と第4のレーザ光L4とを合成して合成レーザ光L6を生成する。合成器210は、第4のレーザ光L4を透過させる一方、第3のレーザ光L3を反射させる反射部211を備える。合成器210は、反射部211を透過した第4のレーザ光L4の光軸と、反射部211に反射された第3のレーザ光L3の光軸とを同一軸線上に一致させることによって、第4のレーザ光L4と第3のレーザ光L3との合成された合成レーザ光L6を生成する。
図5に示すように、合成レーザ光L6は、第1のレーザ光L1の強度分布D1と、第2のレーザ光L2の強度分布D2とを合成させて、具体的には組み合わせて得られる強度分布D6を有する。つまり合成された強度分布D6は、第2のレーザ光L2のトップハット型(強度分布D2)と、このトップハット型よりも分布範囲の絞り込まれた第1のレーザ光L1のガウス型(強度分布D1)とを組み合わせることによって合成されたものとなる。従って強度分布D6は、トップハット型(強度分布D2)を土台として、その分布範囲の中心にガウス型の強度分布D1が加算される態様で合成される。換言すると、強度分布D6から強度分布D2を取り出せばトップハット型の分布をしており、強度分布D2を取り出して残る強度分布D1はガウス型の分布をしているものとなる。なお、図6は、図4のエネルギー強度のスケールの大きさが、図3のエネルギー強度のスケールの大きさの半分であるとした場合について示している。
なお、合成器210は、レーザ光の入力位置に応じて透過や反射するレーザ光の軸線の位置が変わるため、第3のレーザ光L3や第4のレーザ光L4の入力位置を調整することによって、第3のレーザ光L3の強度分布D1と、第4のレーザ光L4の強度分布D2との合成態様を変更することも可能である。つまり、ガウス型が加算される位置をトップハット型の分布範囲の中心部以外の位置に変更させた態様の強度分布を生成することもできる。
集光レンズ250は、入力されたレーザ光を所定の位置に集光させるように出力するレンズであって、入力される合成レーザ光L6を集光させた照射レーザ光Ltgを出力する。集光レンズ250は、合成レーザ光L6の強度分布D6を保ったまま狭い範囲に集めることによって照射レーザ光Ltgの照射範囲におけるエネルギー強度Pを高くする。これにより、照射レーザ光Ltgは、溶接対象部分に高いエネルギー強度Pで照射されるようになり、溶接対象部分の温度上昇及び溶融が好適に行われる。例えば、溶接対象である複数の金属部材を溶融させてそれら金属部材を溶接することができる。
本実施形態のレーザ溶接装置は、トップハット型とガウス型との各強度分布D2,D1の組み合わされた強度分布D6を有する合成レーザ光L6がその分布を保ったまま集光されてなる照射レーザ光Ltgが溶接対象物の溶接対象部分に照射される。
続いて、レーザ光の強度分布とレーザ溶接の態様とについて説明する。
図3に示すように、トップハット型は、光軸Cを中心に所定の半径61となるレーザ光が照射される範囲にレーザ光のエネルギーP12を略均等に、いわゆる台形状62に付与する。これによりレーザ光が照射される範囲に分布する熱量も平均化されるため、照射範囲全体が均等に加熱・溶融される。そして、溶接対象物は、この均等な溶融に応じた溶融状態によって安定的に溶接加工されるようになる。また、強度分布中にエネルギーの強度Pの高い部分が無いため、特定個所への過剰なエネルギー付与が抑制されて過熱や部品貫通などの過剰な溶融加工を生じさせるおそれが低減されるようになる。このように、トップハット型は安定的な溶接加工を可能とし、溶接に関して安定した、いわゆるロバスト性の高い制御を行うことが容易である。一方、強度分布D2が平均化されているため、つまりレーザ光のエネルギーが照射範囲に均等に分散されるために部材の加熱・溶融に時間を要するため、加工速度が低く抑えられたり、部材の溶け込み深さが浅く抑えられたりするという特性も有する。
図4に示すように、ガウス型は、光軸Cを中心に所定の半径63となるレーザ光が照射される範囲のうち中央部の狭い範囲にレーザ光のエネルギーP11が集中されたエネルギー強度Pの高い部分64を有し、その狭い範囲において部材を加熱・溶融させる。よって、ガウス型のレーザ光は、それが集中的に照射される狭い範囲を溶融させ、その溶融を維持させる溶融状態によって溶接対象物を溶接する。溶融状態を維持することで迅速な溶接加工を可能にする。例えば、ガウス型のレーザ光は、エネルギー強度Pの高い部分64に気化した材料による凹み、いわゆるキーホールを発現させて溶融した部材の対流などを生じさせて深くまでの溶融加工を行うことのできる溶融状態とさせることが可能である。併せて、融点温度の高い酸化した金属(例えば酸化アルミニウム等)を、材料とともに溶融させることもできるようになる。よって、エネルギー強度Pの高い部分64によって短時間での確実な加熱・溶融が可能であるために溶接を行いやすかったり、溶け込み深さの深い溶接加工を可能にする。一方、エネルギーの強度Pの高い部分64を有することや、未照射部分との間でのエネルギー量の差が大きくなることなどから、短時間で溶接状態が変わる等加工に対する感度が高くなる。また、ロバスト性が低下したり、照射時間が少しでも長くなると過熱や貫通のおそれが生じたり、レーザ光を照射する位置を高い精度で制御しなければならない等、精度の高い制御が求められるという特性も有する。
図5に示すように、本実施形態では、照射レーザ光Ltgの強度分布D6をトップハット型の強度分布D2とガウス型の強度分布D1とを組み合わせた分布とした。また、ガウス型のレーザ光の照射範囲は、トップハット型のレーザ光の照射範囲よりも狭くしている。例えば、合成レーザ光L6の強度分布D6は、ガウス型のレーザ光の照射径がトップハット型のレーザ光の照射径に対して20%以上50%以下の径であることから、トップハット型の強度分布D2の中央部分にガウス型の強度分布D1が加算された形状のレーザ分布となる。このように強度分布D6と同形状の強度分布を有する照射レーザ光Ltgは、トップハット型の対応する照射範囲には平均的にエネルギーが付与されることから安定的な溶接加工が可能となり、その制御も容易である。また、ガウス型の対応する照射範囲の中心部は高いエネルギーによる確実な溶接加工が期待される。なお、ガウス型のレーザ光の照射径がトップハット型のレーザ光の照射径に対して25%以上50%以下の径であるとよりよい。
照射レーザ光Ltgによる作用効果を説明する。
照射レーザ光Ltgは、トップハット型の強度分布D2によって照射範囲全体を均等に加熱・溶融させ、その中心部に照射されるガウス型の強度分布D1によって中心部の加熱・溶融を補助させる。このため、ガウス型の強度分布D1だけのレーザ光による溶接に比べて、ガウス型のエネルギー強度Pの高い部分64の強度低下が可能となり、この強度低下によって溶接加工の安定性が向上する。一方、照射レーザ光Ltgは、ガウス型の強度分布D1によって中心部の迅速な温度上昇・溶融を行わせることができることに併せ、中心部の温度上昇や溶融がトップハット型の強度分布D2の部分にも迅速に伝えられるようになりトップハット型の強度分布D2による溶接加工の迅速性も向上する。つまり、トップハット型とガウス型が合成された照射レーザ光Ltgによれば、トップハット型の安定性と、ガウス型の迅速性とを兼ね備えた溶接加工を行うことができるようになる。また、合成させるトップハット型とガウス型との比率を可変とすることで、溶接対象物に好適な強度分布(プロファイル)を作成することができるようになる。
またレーザ光の強度分布は、一般にレーザ発振器の発振するレーザ光に制約されるなどレーザ発振器による制約などが大きく、その強度分布の状態を容易に調節することはできない。しかし本実施形態によれば、上述したように、ガウスビーム発振器21のレーザ光L1とトップハットビーム発振器22のレーザ光L2とに基づく2つのレーザ光L3,L4を合成することで、合成レーザ光L6の強度分布D6を簡易に調整することができる。つまり本実施形態のレーザ溶接装置によれば、溶接対象物に照射するレーザ光の強度分布をより適切に設定することができる。
図6及び図7を参照して、本実施形態の作用について説明する。
図6は、溶接対象である電池ケース10を電池としての上側から見た図である。電池ケース10は、ケース11に蓋12が溶接されている。蓋12には、正極側電極13と負極側電極14とが設けられている。電池ケース10は、ケース11の開口に載置された蓋12がケース11とレーザ溶接によって接合される。このとき、ケース11に蓋12をどの溶接部分も均一な溶接状態になるように溶接する必要があるが、溶接経路上のポイントP1〜P10には、直線部分及び角部が混在しており、例えば、移動テーブル40の制約などにより直線部分と角部とを同じ速度でレーザ溶接することができない。NC加工機等の装置は、直線部分と角部とで加工速度に差が生じることが避けられない。特に、高速溶接(一般的には10m/分以上での溶接)では、角部で大きく減速することになる傾向にある。
詳しくは、図7(a)に示すように、溶接経路上においてポイントP1〜P10毎に電池ケース10の溶接位置と照射レーザ光Ltgとの相対速度が変化する。これは、照射位置の精度を維持しつつ、電池ケース10の移動方向を変更することに伴って生じる速度変化である。具体的に説明すると、溶接開始位置及び溶接終了位置をポイントP2とする。つまり、レーザ溶接は、第1の長辺の端にある角部(ポイントP2)から溶接が開始される。次に、レーザ溶接は、角部である2つのポイントP2,P3の間の第1の短辺、続いて、ポイントP4,P5,P6を含む第2の長辺、続いて、角部である2つのポイントP7,P8の間の第2の短辺、続いて、ポイントP9,P10,P1を含む第1の長辺、最後に、角部であるポイントP2の順に行われる。まず、溶接開始に伴ってポイントP2から相対速度が増加するが、角部であるポイントP2,P3は低速である必要があるのでポイントP3までは相対速度が低速に維持される。つまり、ポイントP2、第1の短辺及びポイントP3までは低速で溶接し、ポイントP3を過ぎてから加速してポイントP4,P5,P6は高速で溶接する。角部であるポイントP7及びP8は低速である必要があるので、ポイントP7の手前で減速されて、第2の短辺を通りポイントP8までは低速で溶接する。ポイントP8を過ぎてから加速してポイントP9,P10,P1は高速で溶接し、ポイントP2の手前で減速されて溶接終了位置であるポイントP2で停止する。また、加工強度や安定性の観点から、開始した溶接は途中で停止することなく最後まで続けることが望ましい。
このとき、照射レーザ光Ltgが一定強度に維持されていると、相対速度の変化に応じて溶接位置に付与されるエネルギーに相違が生じる。例えば、相対速度が低速になれば相対的にエネルギー強度Pが高くなって、スパッタが生じる加熱や貫通等が生じやすくなるが、逆に、高速になれば相対的にエネルギー強度Pが低くなって溶け込み不足や溶接できていないおそれが生じる。そこで本実施形態では、照射レーザ光Ltgの強度分布D6を相対速度に応じて変化させるようにした。
図7(b)に示すように、トップハットビーム発振器22から出力する第2のレーザ光L2の強度は、発振開始及び発振停止のタイミングを除いて一定強度とする。これにより、レーザ溶接中に溶接対象位置には安定的に溶接用のエネルギーが供給される。つまり、第2のレーザ光L2の強度は、相対速度にかかわらず一定であるが溶接に対する安定性が高いため、スパッタが生じる加熱や貫通等は生じない。一方、安定性が高いため、迅速に溶融させることが難しいため相対速度が速いときは加熱が不十分になって溶接できないおそれがある。
これに対して、図7(c)に示すように、ガウスビーム発振器21から出力する第1のレーザ光L1の強度は、相対速度に応じて変化する。つまり、相対速度が増加すれば強度が高くなり、相対速度が減少すれば強度が低くなるようにしている。制御装置30は、移動テーブル40の照射レーザ光Ltgに対する相対速度を取得し、取得した相対速度に応じてガウスビーム発振器21に出力強度を制御する出力制御信号を出力する。そして、ガウスビーム発振器21は、入力した出力制御信号に応じて第1のレーザ光L1の出力強度を調整する。制御装置30は、相対速度を加減速信号、又はモータの回転数などから取得する。なお、相対速度が第1のレーザ光L1を不要とする程度に低速である場合、例えば図7(a)において、2つのポイントP2,P3の間や2つのポイントP7,P8の間において該程度に低速である場合、第1のレーザ光L1の強度は「0」であってもよい。
図8及び図9を参照して本実施形態の効果について説明する。なお、図8及び図9は、ガウス型の強度分布と、トップハット型の強度分布と、これらが組み合わされた強度分布との各レーザ光の溶接における特徴を比較するため、後述する条件を一例として比較したものである。よって、上述した組み合わされた強度分布の変化の態様が、ここで複数の強度分布の例として示されているわけではない。例えばここでは、トップハットビーム発振器22からの第2のレーザ光L2の出力強度も可変とされている。なお、このような対比を第2のレーザ光L2の出力強度を一定として、第1のレーザ光L1の出力強度を変化させるようにして行われてもよい。
図8は、照射レーザ光Ltgの各強度分布について、材料の貫通もなく、スパッタの発生しない条件でレーザ溶接をすることができる相対速度(溶接速度)と溶融深さとの関係を示している。各グラフG10〜G15について、それぞれ第1のレーザ光L1の出力強度、及び第2のレーザ光L2の出力強度について、第1のレーザ光L1の出力強度+第2のレーザ光L2の出力強度と表記して説明する。第1グラフG10は、1500W+1500W、第2グラフG11は、3000W+0W、第3グラフG12は、1200W+1800W、第4グラフG13は、1000W+2000W、第5グラフG14は、800W+2200W、第6グラフG15は、0W+3000Wである。なお、第1のレーザ光L1の集光径は0.1mm、第2のレーザ光L2の集光径は0.45mmである。よって、第1のレーザ光L1の照射径が第2のレーザ光L2の照射径に対して20%以上50%以下の範囲にある約22%である。また、第1のレーザ光L1は、溶融発生のトリガとなるが、スパッタ低減のためにはできるだけ低出力であることが好ましい。
電池ケース10の溶接には、溶接深さとして0.5mmよりも深く、1.0mmよりも浅い深さが求められている。この深さは、電池ケース10のケース11及び蓋12の材料の厚さに基づいて定まる。このとき、第1グラフG10は、深すぎであり、第2グラフG11及び第6グラフG15は、適切な溶融深さになる溶接速度の範囲が狭いため安定的に溶接することが容易でない。これに対して、第3〜第5グラフG12〜G14は、適切な溶融深さになる溶接速度(相対速度)の範囲が広いため安定的に溶接することが容易になる。例えば、適切な溶融深さになる溶接速度になる範囲が、第3グラフG12は、280mm/秒〜450mm/秒、第4グラフG13は、250mm/秒〜400mm/秒、第5グラフG14は、210mm/秒〜400mm/秒である。つまり、第2グラフG11の250mm/秒〜360mm/秒、第6グラフG15の180mm/秒〜250mm/秒に比べて広くなる。
図9は、照射レーザ光Ltgの各強度分布について、材料の貫通もなく、スパッタの発生しない条件でレーザ溶接をすることができる相対速度(溶接速度)とアスペクト比との関係を示している。ここでアスペクト比は、ビードの幅に対する溶け込み深さの割合を示す。アスペクト比が高いと、溶け込み深さが深く、アスペクト比が低いと、溶接の安定性が低いことを示す。アスペクト比が0.8〜0.6の範囲は、スパッタの発生が少なく、アルミニウムの酸化膜による溶融不良も起こりにくい溶融状態であって溶接に適している遷移領域である。アスペクト比が0.8を越えると、溶融現象がキーホール現象に傾き、スパッタの発生するおそれが顕著に増大する。
ここでも、第1グラフG10は、アスペクト比が高すぎる。第2グラフG11及び第6グラフG15は、適切なアスペクト比になる溶接速度の範囲が狭いため安定的に溶接することが容易でない。これに対して、第3〜第5グラフG12〜G14は、適切なアスペクト比になる溶接速度(相対速度)の範囲が広いため安定的に溶接することが容易になる。例えば、適切な溶融深さになる溶接速度になる範囲が、第3グラフG12は、300mm/秒〜450mm/秒、第4グラフG13は、240mm/秒〜400mm/秒、第5グラフG14は、210mm/秒〜400mm/秒である。つまり、第2グラフG11の270mm/秒〜500mm/秒、第6グラフG15の180mm/秒〜250mm/秒に比べて広くなる。
よって、レーザ溶接に、第3グラフG12、第4グラフG13及び第5グラフG14に対応する強度分布を適用すれば溶接に適した速度範囲が広く確保される。一方、第2グラフG11に示すガウス型の強度分布D1では、例えば、2倍以上の速度を同一条件で溶接することはできない。
また、ビーム生成装置23は、照射レーザ光Ltgの強度分布D6において、ガウス型の強度分布D1のレーザ光L1の出力強度を変更することができる。よって、制御装置30は、相対速度に応じてガウス型の強度分布D1のレーザ光L1の出力強度を適切に変更するようにガウスビーム発振器21の出力強度を制御することで、適切にレーザ溶接をすることができる相対速度の範囲を広範囲にすることができる。例えば、レーザ溶接装置20は、相対速度を180mm/秒以上、かつ、510mm/秒以下の範囲とすることができる。
例えば、直線部を相対速度500mm/秒、出力500W+2300Wで溶接して、減速に応じて第1のレーザ光L1の出力を減少させ、180mm/秒以下で第1のレーザ光L1の出力を0Wにするように設定すれば、速度変化が激しくても、好適な溶接が行えるようになる。すなわち、直線部は速く溶接し、速度が低下する角部も良好に溶接することができるようになる。
また、移動テーブル40の移動速度にしても、速度範囲が180mm/秒〜510mm/秒の範囲にあれば、制御装置30による制御性や移動テーブル40の移動速度として特段の困難性はないことから、移動テーブル40の加減速制御としてもこれを行いやすい。
以上説明したように、本実施形態のレーザ溶接装置、及び、レーザ溶接方法によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)照射レーザ光Ltgの強度分布が、相対速度が変化することに応じて、具体的には、分布中央部の最大値が電池ケース10との相対速度に応じて、例えば溶接速度が速くなることに応じて大きくなる。これにより、レーザ溶接中に照射レーザ光Ltgと電池ケース10との間の相対速度が変動するような場合であれ、レーザ溶接の精度を維持することができるようになる。例えば、中央部の最大値を加熱によるスパッタの生じない値に設定することで、相対速度が変動したとしても、スパッタが発生しない、かつ、アルミニウムの酸化物を溶融させることができる。
(2)第1のレーザ光L1の照射径(半径63)よりも第2のレーザ光L2の照射径(半径61)が大きく設定されることでレーザ光の強度が中央部で最大値となる分布となる。
(3)半導体レーザからは溶接安定性が高いトップハット型の第2のレーザ光L2が得られ、ファイバーレーザからは溶融状態に対する応答性が高いガウス型の第1のレーザ光L1が得られる。よって、トップハット型のレーザ光と、ガウス型のレーザ光とをそれぞれ適切な強度にして合成することで速度変化への対応が好適にできる。また、ファイバーレーザは出力強度の調整が比較的容易であり、出力されるガウス型のレーザ光は溶融状態に対して応答性が高いことから、相対速度に応じて適切な溶融状態となるように出力強度を調節することができる。
(4)相対速度が速くなることに応じて第1のレーザ光L1の出力強度が高められることでレーザ光の照射時間が短くなる電池ケース10を好適にレーザ溶接することができる。
(5)レーザ溶接における相対速度の速度差を最大3倍までにすることができる。
(6)ガウス型である第1のレーザ光L1で溶融のきっかけを作り、トップハット型である第2のレーザ光L2での溶融のロバスト性がより好適に維持される。
(7)第1のレーザ光L1の照射径が第2のレーザ光L2の照射径に対して20%以上50%以下の径であることによっても、最低の速度と最高の速度との差が約3倍になっても、スパッタが発生しない、かつ、酸化した電池ケース10を溶融させることができる。
(8)電池に備えられるアルミニウム製のケース11及び蓋12が溶接されるようになる。
(第2の実施形態)
図10〜図13に従って、レーザ溶接装置、及び、レーザ溶接方法を具体化した第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、レーザ溶接装置20Aの構成が、第1の実施形態のレーザ溶接装置20と相違する。その他の構成については、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明の便宜上、その詳細な説明を割愛する。なお、本実施形態におけるトップハット型の強度分布及びガウス型の強度分布は、第1の実施形態に記載した式(1)及び式(2)によって定義される分布であってもよいし、式(1)及び式(2)に定義される分布の傾向を有していればこれらの定義と多少相違した分布であってもよい。
レーザ溶接は、ガウス型の強度分布のレーザ光による溶接と、トップハット型の強度分布のレーザ光による溶接とが知られている。この2つのレーザ光を比較してみると、ガウス型の強度分布のレーザ光は、高速溶接性に優れているという特徴を有するが、狙い位置や隙間の大きさにより溶接品質が大きく変化しやすかったり、スパッタを発生させやすい等使いこなしが容易ではないという課題を有する。これに対して、トップハット型の強度分布のレーザ光は、溶接の品質が安定していたり、スパッタの発生が少ないといった特徴を有するが、溶接速度が速くなると十分な溶融深さが得られないといった課題を有する。
そこで、図10に示すように、本実施形態のレーザ溶接装置20Aは、ガウス型の強度分布のレーザ光L10を、狙い位置や間隔の大きさに対する感度を低くするために強度分布を分散して広げる。つまりレーザ溶接装置20Aは、レーザ光L10を、スパッタの発生を低減させるために最大値を低下させた生成レーザ光L7とする。
図11を参照して説明すると、ガウスビーム発振器21は、図11(a)に示すガウス型の強度分布D10のレーザ光L10を出力する。ビーム生成装置23Aは、レーザ光L10を入力して、入力したレーザ光L10の強度分布D10を変更して、例えば、図11(b)に示すトップハット型の強度分布D11のレーザ光L7を出力する。従来、ガウスビーム発振器21が出力する一意に特定されているレーザ光L10の強度分布D10を、予め定めた特定の強度分布、ここではトップハット型の強度分布D11に変換することは可能である。これに対して、本実施形態のビーム生成装置23Aは、ガウスビーム発振器21が出力するレーザ光L10の強度分布D10を、トップハット型の強度分布D11に変換するだけではなく、例えば、図11(c)に示すようにレーザ光の強度分布D10とトップハット型の強度分布D11との間の中間的である強度分布D12に変換することが可能である。そして、ビーム生成装置23Aは、トップハット型の強度分布D11、又は、中間的である強度分布D12に変換した後の生成レーザ光L7を溶接用レーザ光としての照射レーザ光L8として溶接対象物である電池ケース10に対して照射する。
中間的である強度分布D12とは、例えば、下記の条件の1又は複数を満たす強度分布である。条件としては、例えば、強度の最大値が、ガウス型の強度分布D10の最大値よりも小さく、かつ、トップハット型の強度分布D11の最大値よりも大きい。また、条件としては、例えば、平均値に対する散らばりが、ガウス型の強度分布D10の散らばりよりも小さく、かつ、トップハット型の強度分布D11の散らばりよりも大きい。
図10に示すように、レーザ溶接装置20Aは、ガウスビーム発振器21と、生成部としてのビーム生成装置23Aと、制御装置30Aとを備える。ビーム生成装置23Aは、ガウスビーム発振器21からガウス型の強度分布D10のレーザ光L10を入力するとともに、強度分布を変換して生成した生成レーザ光L7に基づく照射レーザ光L8を出力する。
ビーム生成装置23Aは、強度分布が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有する溶接用レーザ光である生成レーザ光L7を生成する強度分布変換器50を備えている。
強度分布変換器50は、変換前のレーザ光L10を入力させる入力部51と、レーザ光L10を出射する出射部56と、拡散する入射光を平行光に変更するコリメータレンズ57と、コリメータレンズ57を出射部56の出射方向に対して相対移動させる調整部としての駆動支持体52とを備える。また、強度分布変換器50は、入射したガウス型の強度分布D10をトップハット型の強度分布D11に変換するトップハットビームシェーパ53を備える。
入力部51は、ガウスビーム発振器21からの光ファイバーが接続される部分である。
出射部56は、入力されたレーザ光L10を所定の拡散角度で出射する。
コリメータレンズ57は、入射された拡散角度を有する拡散レーザ光L11を任意の直径DLの平行光L12に変換する。
駆動支持体52は、ガウス型の強度分布D10である平行光L12を任意の直径DLでトップハットビームシェーパ53に入力させるものである。駆動支持体52は、出射部56からトップハットビームシェーパ53との間でコリメータレンズ57の出射部56までの距離を変化させる方向に平行移動させる案内機構を備える。駆動支持体52は、制御装置30Aからの位置指令に応じたモータの駆動により移動する案内機構によってコリメータレンズ57を平行移動させ、出射部56までの距離dが変更される。
トップハットビームシェーパ53は、所定の入力径を有する平行光L12として入射したガウス型のレーザ光L10を、トップハット型の生成レーザ光L7に変換する。すなわち、トップハットビームシェーパ53は、平行光L12の直径DLが、入力径と同じ大きさに設定された平行光L12が入力されることに応じて、この入力された平行光L12をトップハット型の生成レーザ光L7に変換して出力する。一方、本実施形態のトップハットビームシェーパ53は、平行光L12の直径DLが、入力径として設定された径よりも縮径された径である平行光L12が入力されると、この入力された平行光L12を中間的な強度分布D12であるレーザ光L7に変換して出力する。
また、トップハットビームシェーパ53は、出力する生成レーザ光L7の強度分布の中央部分が、入力される平行光L12の直径DLの大きさに反比例してエネルギー密度が高くなるように変化する。具体的には、トップハットビームシェーパ53は、入力径に対して直径DLが縮径された割合に応じて中間的な強度分布D12における、強度の最大値や、平均値に対する散らばりが変化する。例えば、縮径された割合が大きくなると、強度の最大値は小さくなり、平均値に対する散らばりは大きくなる。よって、コリメータレンズ57と出射部56との距離dが短くなることに応じてコリメータレンズ57から出力される平行光L12の直径DLが小さくなるから、駆動支持体52が距離dを短くさせることに応じて入力径に対して縮径された直径DLの割合に応じた中間的な強度分布D12が生成レーザ光L7として出力される。
制御装置30Aは、移動テーブル40に加減速信号を与えて移動テーブル40を移動させることに基づいて電池ケース10と照射レーザ光L8とを相対移動させる。また、制御装置30Aは、駆動支持体52に位置指令を与えてコリメータレンズ57の出射部56からの距離dを変化させることに基づいて中間的な強度分布D12の生成レーザ光L7についてその強度の分布を変化させる。
具体的には、制御装置30Aは、電池ケース10と照射レーザ光L8との間の相対速度が速くなると平行光L12の直径DLを縮径させるために出射部56とコリメータレンズ57との間の距離dを短くすることで生成レーザ光L7の強度分布を変更する。一方、制御装置30Aは、電池ケース10と照射レーザ光L8との間の相対速度が遅くなると平行光L12の直径DLを拡径させるために出射部56とコリメータレンズ57との間の距離dを長くすることで生成レーザ光L7の強度分布を変更する。仮に、図7を参照して説明すると、制御装置30Aは、図7(a)に示すように速度が変化するとき、相対速度が速くなることに応じて距離dを短くし、相対速度が遅くなることに応じて距離dを長くするように制御することができる。
図12及び図13を参照して本実施形態の効果について説明する。
図12は、照射レーザ光L8の各強度分布について、材料の貫通もなく、スパッタの発生しない条件でレーザ溶接をすることができる相対速度(溶接速度)と溶融深さとの関係を示している。なお、第10グラフG20はガウス型の強度分布D10である場合を示し、第11グラフG21は中間的である強度分布D12である場合を示し、第12グラフG22はトップハット型の強度分布D11である場合を示している。また、いずれの場合も、ガウスビーム発振器21からの出力強度は同じであるものとする。また、照射レーザ光L8は、ガウス型の強度分布D10のときの集光径は0.1mm、トップハット型のときの集光径は0.45mmであるものとする。
電池ケース10の溶接には、溶接深さとして0.5mmよりも深く、1.0mmよりも浅い深さが求められている。このとき、第10グラフG20は、溶融深さが適当な深さになるには溶接速度が260mm/秒以上必要であり、直線部を加工するときの高速度には対応できるものの、角部を加工するときの低速度に対応できない。つまり、低速度に対する柔軟性が低い。第11グラフG21は、溶融深さが適当な深さであるとともに、溶接速度が210mm/秒〜350mm/秒の範囲にあり、角部を加工するときの低速度、及び、直線部を加工するときの高速度の両方の速度に対応することができる。また、低速度と高速度との速度差を大きくすることができるので、加減速に対する柔軟性が高い。第12グラフG22は、溶融深さが適当であるときの溶接速度が180mm/秒〜240mm/秒の範囲にあり、角部を加工するときの低速度には対応できるものの、直線部を加工するときの高速度には対応することができない。つまり、高速度に対する柔軟性が低い。
図13は、照射レーザ光L8の各強度分布について、材料の貫通もなく、スパッタの発生しない条件でレーザ溶接をすることができる相対速度(溶接速度)とアスペクト比との関係を示している。ここでアスペクト比は、ビードの幅に対する溶け込み深さの割合を示す。アスペクト比が高いと、溶け込み深さが深く、アスペクト比が低いと、溶接の安定性が低いことを示す。
ここでも、第10グラフG20は、適切なアスペクト比になる溶接速度が270mm/秒〜340mm/秒で高く、低速度に対する柔軟性が低い。第11グラフG21は、適切なアスペクト比になる溶接速度が220mm/秒〜310mm/秒であり、低速度及び高速度の両方に対応できる。第12グラフG22は、適切なアスペクト比になる溶接速度が180mm/秒〜220mm/秒で低く、高速度に対する柔軟性が低い。
すなわち、第10グラフG20は、溶接に適した速度範囲が270mm/秒〜340mm/秒であり、範囲が70mm/秒ある。また、第11グラフG21は、溶接に適した速度範囲が220mm/秒〜310mm/秒にあり、範囲が90mm/秒ある。また、第12グラフG22は、溶接に適した速度範囲が210mm/秒〜220mm/秒にあり、範囲が10mm/秒ある。よって、レーザ溶接に、第11グラフG21となる中間的である強度分布D12を使用することで溶接に適した速度範囲が広く確保される。
また、ビーム生成装置23Aは、照射レーザ光L8の強度分布を、ガウス型の強度分布D10〜中間的である強度分布D12〜トップハット型の強度分布D11の範囲で変更可能である。ここで、照射レーザ光L8の強度分布は、距離dが長くなることに応じて、ガウス型の強度分布D10からトップハット型の強度分布D11へ変化する。具体的な変化の態様としては、距離dが長くなることに応じて、徐々に照射範囲が拡大していくとともに、徐々に強度の山の部分が平均値に近くなるようにつぶれ、広がっていくように遷移する。よって、制御装置30Aは、相対速度に応じて適切な強度分布となるようにビーム生成装置23Aを制御することで、適切にレーザ溶接をすることができる相対速度の範囲を広範囲にすることができる。例えば、レーザ溶接装置20Aは、相対速度を180mm/秒以上、かつ、340mm/秒以下の範囲とすることができる。相対速度を180mm/秒以上、かつ、320mm/秒以下の範囲とするとより好ましい。例えば、図7(a)に示すように相対速度が変化する場合、相対速度が低下すると距離dを長くし、相対速度が上昇すると距離dを短くすることで、相対速度に応じて、ガウス型の出力強度を変化させるようにすることもできる。
また、移動テーブル40の移動速度にしても、速度範囲が180mm/秒〜340mm/秒の範囲にあれば、制御装置30Aによる制御性や移動テーブル40の移動速度として特段の困難性はないことから、移動テーブル40の加減速制御としてもこれを行いやすい。
以上説明したように、本実施形態のレーザ溶接装置、及び、レーザ溶接方法によれば、上記第1の実施形態に記載した(1)の効果に加えて、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(9)トップハットビームシェーパ53へのガウス型のレーザ光L10の平行光L12の入力径を所定の入力径以下にすることで、ガウス型のレーザ光L10の中央部の強度分布が、トップハットビームシェーパ53によって分散される割合を変更する。具体的には、ガウス型のレーザ光L10の強度を狭い範囲に集中させることにより、トップハットビームシェーパ53からも狭い範囲で出力強度が高いレーザ光が出力されるようになる。換言すると、ガウス型のレーザ光の変換にトップハットビームシェーパ53の一部が利用されるので、トップハットビームシェーパ53から出力されるレーザ光を中央部の強度の高いレーザ光にすることができる。これにより、相対速度が速くて照射時間が短くなる溶接対象物についても高い強度のレーザ光によってレーザ溶接をすることができるようになる。
(10)トップハットビームシェーパ53へのガウス型のレーザ光L10の入力径を所定の径よりも小径とすることが容易に行えるようになる。
(11)ガウス型のレーザ光L10が出射される位置とトップハットビームシェーパ53との位置が固定されていても、コリメータレンズ57の位置を変更させることによりトップハットビームシェーパ53へ入力するガウス型のレーザ光の径を所定の入力径よりも小径とすることが容易に行えるようになる。
(12)相対速度の速度差を最大1.89倍までにすることができる。
(第3の実施形態)
図14〜図17に従って、レーザ溶接装置、レーザ溶接方法、及び、レーザ加工用レンズを具体化した第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、変換レンズ55の構成が第2の実施形態のトップハットビームシェーパ53の構成と相違する。その他の構成については、第1及び第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明の便宜上、その詳細な説明を割愛する。
図14に示すように、変換レンズ55は、ビーム生成装置23Aにおいて、駆動支持体52によって該変換レンズ55に対して遠近方向に相対移動されるコリメータレンズ57から出力されるレーザ光である平行光L12が入力されるようになっている。変換レンズ55は、入力される平行光L12の直径DLが、コリメータレンズ57が変換レンズ55から離れると縮径され、コリメータレンズ57が変換レンズ55に近づくと拡径される。換言すると、平行光L12の直径DLは、コリメータレンズ57が出射部56に近づくと縮径され、コリメータレンズ57が出射部56から離れると拡径される。
制御装置30Aは、電池ケース10と照射レーザ光L14との間の相対速度が速くなると平行光L12の直径DLを縮小させることで生成レーザ光L13のエネルギー密度を高める。具体的には、制御装置30Aは、平行光L12の直径DLを縮小させるため、出射部56とコリメータレンズ57との間の距離dが近づくようにコリメータレンズ57を移動させる。
一方、制御装置30Aは、電池ケース10と照射レーザ光L14との間の相対速度が遅くなると平行光L12の直径DLを拡大させることで生成レーザ光L13のエネルギー密度を低下させる。具体的には、制御装置30Aは、平行光L12の直径DLを拡大させるため、出射部56とコリメータレンズ57との間の距離dが離れるようにコリメータレンズ57を移動させる。仮に、図7を参照して説明すると、制御装置30Aは、図7(a)に示すように速度が変化するとき、相対速度が速くなることに応じて距離dを短くし、相対速度が遅くなることに応じて距離dを長くするように制御することができる。
図15を参照して、本実施形態の変換レンズ55が出力する生成レーザ光L13について説明する。
図15に示すように、強度分布変換器50には、ガウス型の強度分布D10のレーザ光L10が入力される。このレーザ光L10が出射部56から所定の拡散角度で拡散レーザ光L11として出射され、拡径した拡散レーザ光L11がコリメータレンズ57に入力される。コリメータレンズ57は、拡径した拡散レーザ光L11を平行光L12に変換して変換レンズ55に入力させる。
図15及び図16に示すように、変換レンズ55は、ガウス型の強度分布D10を有する平行光L12を、トップハット型の強度分布D15と、強度分布D15の中央部に突出するガウス型の強度分布D14とを組み合わせた形状に合成された強度分布D13に変換して生成レーザ光L13として出力する。そして、生成レーザ光L13が集光レンズ250を通過することで出力される照射レーザ光L14が溶接対象である電池ケース10の溶接部に照射される。
図16及び図17を参照して、変換レンズ55について説明する。
変換レンズ55は、ガウス型の強度分布D10のレーザ光L10が入力されると、これを、トップハット型の強度分布D15にガウス型の強度分布D10の一部が合成された強度分布D13に変換して出力する。変換レンズ55は、例えば、光の透過方向に沿う断面において入射側は平面であり、出射側が中央に窪みを有し、外周より内側に外周及び中央部の窪みよりも突出する膨らみを有する形状を有している。なお、変換レンズ55は、その構造として周知のレンズを用いることができる。
詳述すると、変換レンズ55は、ガウス型の強度分布D10のレーザ光L10をトップハット型の強度分布D15に変換する変換部66と、入力された強度分布を維持する、すなわち変換しない緩和部としての無変換部67とを備えている。変換部66は、変換レンズ55に所定の入力径W31で入射されたガウス型の強度分布D10のレーザ光L10をトップハット型の強度分布D15に変換する。無変換部67は、入力径W31より狭い範囲であって、光軸Cを中心とする出力径W32の範囲に設けられ、この出力径W32の範囲から出射するレーザ光の強度分布D14を入力されたときの強度分布に維持して出力する。ところで、変換レンズ55は、中央部の窪みの部分に水平面からなる無変換部67を有している。そこで水平面を形成するため、変換レンズ55は、中央部の窪みの最深部分に合わせて凹ませた凹部68を形成し、その底面を無変換部67としている。
この変換レンズ55によれば、合成された強度分布D13として、光軸Cを中心とする出力径W32の範囲を変換しない強度分布D14と、光軸Cを中心とする出力径W32の範囲を除いた入力径W31の範囲を変換したトップハット型の強度分布D15とを合成した強度分布が得られる。
変換レンズ55によれば、ガウス型の強度分布D10のレーザ光L10が入力されたときの出力の強度分布D14は、入力されたガウス型の強度分布D10のうち光軸Cを中心とする出力径W32に対応する範囲の分布であり、強度分布D15は、入力径W31の範囲を変換して出力径W33としたトップハット型の分布を有している。
以上説明したように、本実施形態のレーザ溶接装置、レーザ溶接方法、及び、レーザ加工用レンズによれば、上記第1の実施形態に記載した(1)の効果に加えて、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(13)強度が最大値となる部分を含む所定の領域(出力径W32)に入力されたレーザ光は拡散角度が小さいため、強度が高い状態を維持したまま溶接対象物等に照射される。例えば、レーザを拡散させる部分のレンズ形状は凹レンズであることから、凹レンズである領域に凹レンズの曲率を小さくさせる無変換部67を形成することで、無変換部67における拡散角度を小さくすることができる。これにより、レーザ光の最大値が、入力されたガウス型のレーザ光L10の最大値よりも小さいが、トップハット型のレーザ光の最大値よりは大きい強度を有するレーザ光を出力することができるようになる。
(14)出力径W32の範囲は、ガウス型の強度分布D10が拡散せずに透過するので、周囲に比較して中央部にガウス型の強度分布が維持されたレーザ光を出力することができる。
(15)無変換部67を平面とすることでレーザ光を拡散しない部分を設けることが容易である。
(16)レーザ光を拡散させる部分のレンズ形状は凹レンズであることから、凹レンズである領域にあっては無変換部67を凹部68に形成することで、凹部68の底面の曲率を凹レンズの曲率よりも小さくすることができる。
(その他の実施形態)
なお上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記第3の実施形態では、変換レンズ55は、無変換部67を中央部の窪みの最深部分に合わせて凹ませた凹部68として有している場合について例示したが、これに限らず、変換レンズは、無変換部を中央部の窪みを周囲の高さまでかさ上げした形状で有していてもよい。また、変換部との間に段差が生じないように無変換部を形成してもよい。
例えば、図18に示すように、変換レンズ55Aは、入力された強度分布を変換する変換部66と、入力された強度分布を維持する無変換部69とを備えていてもよい。そして、無変換部69を、変換部66との境界部分に接続する平面として形成してもよい。これにより、入力された強度分布を出力径W42に維持しているとともに、入力径W41の範囲を変換して出力径W43のトップハット型の分布としたレーザ光が出力される。
・また、無変換部67は、中央を少しかさ上げするとともに、変換部との境界を少し凹ませた形状とが合わさった形状であってもよい。
・上記第3の実施形態では、無変換部67が平面である場合について例示したが、これに限らず、無変換部は変換部に比較して曲率を小さい曲面を含んでいてもよい。これにより中央部のガウス型のレーザ光の拡散を減らすことで中央部の強度を維持することができる。
・上記第2及び第3の実施形態では、コリメータレンズ57を平行移動させ、出射部56までの距離dが変更されることで平行光L12の直径DLが変更される場合について例示した。しかしこれに限らず、トップハットビームシェーパや変換レンズ、又は、出射部を平行移動させて、トップハットビームシェーパや変換レンズと、出射部との間の距離を変更してトップハットビームシェーパや変換レンズに入力されるレーザ光の直径を変更してもよい。
・上記各実施形態では、レーザ溶接装置20に制御装置30,30Aが含まれる場合について例示したが、これに限らず、レーザ溶接装置が相対速度に応じて出力強度を変更したり、強度分布を変更したりすることができるのであれば、レーザ溶接装置に制御装置が含まれていなくてもよい。
・上記第1の実施形態では、第1のレーザ光L1の出力強度を変更する場合について例示した。しかしこれに限らず、第1のレーザ光の分散を変更してもよい。第1のレーザ光の分散が大きくなれば、エネルギー集中が緩和されることから溶融の安定性を高めることができるため低速での溶接が可能にもなる。逆に、相対速度が速くなるに応じて第1のレーザ光の出力の分散が小さくなればレーザ光が集中するようになり、レーザ光の照射時間が短くなる溶接対象物を好適にレーザ溶接することができるようになる。
・上記第1の実施形態では、トップハットビーム発振器22は、出力が一定である場合について例示したが、トップハットビーム発振器の出力を変化させてもよい。
・上記第1の実施形態では、ガウスビーム発振器21は、レーザ光の波長が1070nmである場合について例示したが、これに限らず、レーザ溶接に適切な波長であれば、レーザ光の波長が1070nm以外、例えば、1070nm未満であって、880nm〜980nmでもよい。
・上記第1の実施形態では、トップハットビーム発振器22は、レーザ光の波長が940nm〜1024nmである場合について例示したが、これに限らず、レーザ溶接に適切な波長であれば、レーザ光の波長が940nm〜1024nm以外、例えば、880nm以上940nm未満でもよい。
・上記第1の実施形態では、ガウスビーム発振器21の出力に対して、トップハットビーム発振器22の出力を1.5倍とした場合について例示したが、これに限らず、レーザ溶接が好適になされるのであれば、1.5倍未満であってもよいし、逆に、1.5倍より大きくてもよい。
・上記第1の実施形態では、制御装置30は、相対速度を180mm/秒未満にしてもよいし、510mm/秒より速くすることができてもよい。
その他の実施形態であっても、相対速度の範囲が最低値より遅くなってもよいし、最高値より速くなってもよい。
なお、いずれの実施形態であれ、少なくとも溶接開始時や溶接終了時には相対速度は0mm/秒〜180mm/秒未満の間で変化することになることは言うまでもない。
・上記各実施形態では、ガウスビーム発振器21は、ファイバーレーザ共振器であって、ガウス型の強度分布D1を有する第1のレーザ光L1を出力する場合について例示した。しかしこれに限らず、ガウス型の強度分布のレーザ光を出力できるのであれば、ガウスビーム発振器は、ファイバーレーザ共振器以外の発振器、例えば、半導体レーザ等であってもよい。なお、出力強度の変更が容易であるとなおよい。
・上記第1の実施形態では、トップハットビーム発振器22は、いわゆる半導体レーザであって、トップハット型の強度分布D2を有する第2のレーザ光L2を出力する場合について例示した。しかしこれに限らず、トップハット型の強度分布のレーザ光を出力できるのであれば、トップハットビーム発振器は、半導体レーザ以外の発振器、例えば、ファイバーレーザ共振器等であってもよい。
・上記第1の実施形態では、トップハット型の強度分布及びガウス型の強度分布を式(1)及び式(2)によって定義する場合について例示したが、これに限らず、式(1)及び式(2)に定義される分布の傾向を有していればこれらの定義と多少相違した分布であってもよい。例えば、式(1)及び式(2)の定義に含まれていなくとも、式(1)の定義に近い分布をトップハット型に含め、式(2)定義に近い分布をガウス型に含めてもよい。
・上記各実施形態では、電池ケース10の移動方向が移動テーブル40で変更される場合について例示した。しかしこれに限らず、照射レーザ光が移動されてもよいし、電池ケース及び照射レーザ光が共に移動されてもよい。
・上記各実施形態では、電池ケース10は、ニッケル水素二次電池用の電池ケースである場合について例示したが、電池ケースは、リチウムイオン二次電池用の電池ケース等であってもよい。
・上記各実施形態では、電池ケース10を溶接する場合について例示したが、これに限らず、溶接加工を要するものであれば、電池ケース以外のものを溶接対象物にしてもよい。これにより、レーザ溶接装置を適用することのできる範囲の拡張が図られるようになる。
・上記各実施形態では、溶接対象物が金属製の部材である場合について例示した。しかしこれに限らず、溶接対象の部材は、レーザにより溶融させることができる材料であれば、例えば樹脂など、金属以外の材料からなる部材であってもよい。これにより、レーザ溶接装置として設計の自由度が向上されるようになる。
10…電池ケース、11…ケース、12…蓋、13…正極側電極、14…負極側電極、20,20A…レーザ溶接装置、21…ガウスビーム発振器、22…トップハットビーム発振器、23,23A…ビーム生成装置、30,30A…制御装置、40…移動テーブル、50…強度分布変換器、51…入力部、52…駆動支持体、53…トップハットビームシェーパ、55,55A…変換レンズ、56…出射部、57…コリメータレンズ、61…半径、66…変換部、67…無変換部、68…凹部、69…無変換部、180…第2のコリメートレンズ、181…第1のコリメートレンズ、200…全反射ミラー、210…合成器、211…反射部、250…集光レンズ。

Claims (8)

  1. 溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置であって、
    前記溶接用レーザ光は、強度分布がガウス型である第1のレーザ光と、強度分布がトップハット型である第2のレーザ光とを合成することにより生成したレーザ光であって、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有し、
    前記第2のレーザ光の照射径よりも、前記第1のレーザ光の照射径を小さく設定して前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成することで前記溶接用レーザ光を生成する生成部と、
    前記相対速度を取得するとともに、前記取得した相対速度が速くなることに応じて前記第1のレーザ光の出力の分散を小さくする制御装置とを備え、
    前記生成部は、前記相対速度の増加に応じて前記第1のレーザ光の強度分布の最大値を増大させる
    レーザ溶接装置。
  2. 前記第1のレーザ光は、ファイバーレーザから出力されるレーザ光であり、
    前記第2のレーザ光は、半導体レーザから出力されるレーザ光である
    請求項に記載のレーザ溶接装置。
  3. 前記相対速度を取得するとともに、前記取得した相対速度が速くなることに応じて前記第1のレーザ光の出力強度を高くする制御装置を備える
    請求項又はに記載のレーザ溶接装置。
  4. 前記制御装置は、前記相対速度を180mm/秒以上、かつ、510mm/秒以下の範囲で可変とする
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
  5. トップハット型の出力が、ガウス型の出力の1.5倍以上である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
  6. 前記溶接用レーザ光は、前記溶接対象物に照射されたとき、前記第1のレーザ光の照射径が前記第2のレーザ光の照射径に対して20%以上50%以下の径である
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
  7. 前記溶接対象物は、電池に備えられるケース及び蓋であって、
    前記ケース及び前記蓋は、アルミニウム製であり、
    前記相対速度は、レーザ溶接による加熱によって生じるアルミニウムの飛散物であるスパッタが生じない速度範囲における最低速度、かつ、酸化アルミニウムが溶融する速度範囲における最高速度の間の速度範囲内で設定される
    請求項1〜のいずれか一項に記載のレーザ溶接装置。
  8. 溶接用レーザ光を溶接対象物に照射して前記溶接対象物をレーザ溶接するとともに、前記溶接用レーザ光と前記溶接対象物との間の相対速度が可変とされるレーザ溶接装置でレーザ溶接をするレーザ溶接方法であって、
    前記溶接用レーザ光は、強度分布がガウス型である第1のレーザ光と、強度分布がトップハット型である第2のレーザ光とを合成することにより生成したレーザ光であって、前記生成したレーザ光の強度が周辺部に囲まれた中央部で最大値となる分布を有し、
    前記溶接用レーザ光を生成する生成部で、前記第2のレーザ光の照射径よりも、前記第1のレーザ光の照射径を小さく設定して前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成することで前記溶接用レーザ光を生成する工程と、
    前記相対速度を取得するとともに、前記取得した相対速度が速くなることに応じて前記第1のレーザ光の出力の分散を小さくするように制御する工程と、
    前記生成部で、前記相対速度の増加に応じて前記第1のレーザ光の強度分布の最大値を増大させる工程とを備える
    レーザ溶接方法。
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