JP6830613B2 - ガラス繊維ストランド、ガラス織物、及びセメント製品 - Google Patents

ガラス繊維ストランド、ガラス織物、及びセメント製品 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス繊維ストランド、ガラス織物、及びセメント製品に関する。
ZrOを含有し、耐アルカリ性を有するガラス繊維ストランドは、GRC(Glassfiber Reinforced Cement)の補強材として広く用いられており、セメントの脆性を補い、GRCの引張強度、曲げ強度、衝撃強度を向上させる役割を果たしている。
ガラス繊維ストランドは、数百から数千のノズルを有するブッシングから溶融ガラスを引き出すことによって得られるガラス繊維モノフィラメントに、アプリケーターを用いてガラス繊維用集束剤を塗布した後、数十本から数百本のガラス繊維モノフィラメントを束ねた後、紙管に巻き取ってケーキを作製する紡糸工程、及びガラス繊維用集束剤の揮発分を乾燥させてガラス繊維モノフィラメントの表面に皮膜を形成する乾燥工程を経ることにより製造される。
ガラス繊維用集束剤は、紡糸工程において形成されるガラス繊維モノフィラメント表面に傷が入るのを防止する機能、ガラス繊維モノフィラメントを束ねた際における毛羽の発生や糸切れを防止する機能、及びGRCの強度を向上させる機能を有している。
GRCの製造工程において、ガラス繊維ストランドは、様々な部材と接触する。そのため、ガラス繊維ストランドは、GRCが製造されるまでに、多くのダメージを受ける。例えば、GRCの製造方法の一つであるFW成形法においては、ガラス繊維ストランドを、マンドレルに精度よく巻き付けるため、ガラス繊維ストランドにはテンションが加えられる。具体的には、セメントを含浸させるために、ガラス繊維ストランドは、セメントが充満されたセメント槽内を走行し、アイレットによってテンションが加えられながらマンドレルに巻き取られる。そのため、引張強度が低いガラス繊維ストランドでは、アイレットによってテンションが加えられる際に切断してしまう。
このように、マンドレルへの巻き付け途中にガラス繊維ストランドが切断してしまうと、マンドレルへの巻き付け作業性が低下するのみならず、GRCの強度が低下する。
一方、セメント製品や建物の外壁等に使用されるセメントモルタルやコンクリートは、乾燥収縮することによってクラックが発生しやすく、このようなクラックを長期間に亘って放置すると、クラックが徐々に製品の表面から裏面まで拡大し、その一方から水が侵入して漏水を引き起こしたり、セメント製品の強度が低下しやすくなるため好ましくない。
そのため、セメント製品の表面近くに、ガラス繊維ストランドからなるガラス織物を埋設し、これによってクラックの拡大を防止すること(ガラス織物補強)が試みられている。
通常、この種のガラス織物は、先ず複数本のガラス繊維ストランドからなる縦糸の間に、複数本のガラス繊維ストランドからなる横糸を一定間隔で打ち込んだ後、たて糸をよこ糸に絡ませる絡み織りによって、メッシュ状の生織物を作製し、次いで、エマルジョン化させた樹脂または溶剤に溶かした熱硬化性樹脂などの樹脂接着剤を生織物に塗布してから乾燥固化し、目止めすることによって作製される。
よって、目止めを行う樹脂接着剤のガラス繊維ストランドへの含浸性が重要となる。ガラス繊維ストランドへの樹脂の含浸が不十分であるとガラス織物の引張強度が低くなる。樹脂接着剤の含浸を向上させるため、ガラス繊維用集束剤塗布量を減少させると、ガラス繊維ストランド自体の引張強度が低下し、その結果ガラス織物の生産時の毛羽立ちやガラス繊維ストランドの切断の要因となる。
特許文献1には、ガラス繊維用集束剤として、エチレンの含有量が5質量%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂をガラス繊維用集束剤固形分中に55質量%以上含むGRC用ガラスロービングが開示されている。
特開2003−201150号公報
特許文献1のGRC用ガラスロービングは、従来と比べて切断しにくいが、改善の余地がある。また、樹脂接着剤の含浸性は不十分である。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、引張強度が高く、ガラス織物の生産時等の毛羽立ちを抑制するとともに、樹脂接着剤の含浸性が良好なガラス繊維ストランド、ガラス繊維ストランドにより構成され、目止めの樹脂接着剤がガラス繊維ストランドに十分含浸したガラス織物、及びセメント製品を提供することを目的とする。
本発明のガラス繊維ストランドは、ZrOを12質量%以上含有するガラス繊維モノフィラメントと、前記ガラス繊維モノフィラメントを覆うように構成されてなり、(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物を含む皮膜層とを有することを特徴とする。
また、本発明のガラス繊維ストランドは、皮膜層が、さらにポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
また、本発明のガラス繊維ストランドは、前記(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂と、前記(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物の質量比は、(a)/(b)=0.25
〜3.05であることが好ましい。
また、本発明のガラス繊維ストランドは、番手が300〜4800texであることが好ましい。
本発明のガラス織物は、前記のガラス繊維ストランドにより構成された複数本の縦糸と、前記のガラス繊維ストランドにより構成され、かつ前記縦糸と交差するように配置された複数本の横糸と、少なくとも前記縦糸及び横糸の交差箇所に付着してなる樹脂接着剤とを有することを特徴とする。
本発明のガラス織物は、前記複数本の縦糸の間隔及び横糸の間隔は3〜50mmであり、前記樹脂接着剤の付着率は5〜30質量%であり、目付は60〜1200g/mであることが好ましい。
また、本発明のガラス織物は、前記樹脂接着剤が、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、及びメラミン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
本発明のセメント製品は、上記のガラス織物を含むことを特徴とする。
本発明のセメント製品は、上記のガラス繊維ストランドを含むことを特徴とする。
本発明によれば、引張強度が高く、ガラス織物の生産時等の毛羽立ちを抑制するとともに、樹脂接着剤の含浸性が良好なガラス繊維ストランド、ガラス繊維ストランドにより構成され、目止めの樹脂接着剤がガラス繊維ストランドに十分含浸したガラス織物、及びセメント製品を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
本発明のガラス繊維ストランドは、ZrOを12質量%以上含有するガラス繊維モノフィラメントを含む。ガラス繊維モノフィラメントは、溶融ガラスを白金製のブッシングの底部に設けられた多数のノズルから引き出すことによって得られる。ガラス繊維モノフィラメントは、ZrOを12〜20質量%含有することが好ましく、14〜18質量%含有することがより好ましい。ZrOを12質量%以上含有するガラス繊維モノフィラメントは、耐アルカリ性が良好であるため、ガラス繊維モノフィラメントにより構成されたガラス繊維ストランドやガラス織物は、セメントに含まれるアルカリ成分により浸食されにくい。また、ガラス繊維モノフィラメントのZrOが20質量%以下であると、比較的安価なコストでガラス繊維ストランドやガラス織物を製造することができる。
ガラス繊維モノフィラメントとしては、例えば、SiO 54〜65質量%、ZrO 12〜20質量%、LiO 0〜5質量%、NaO 10〜17質量%、KO 0.5〜8質量%、RO(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10質量%、TiO 0.5〜7質量%、Al 0〜2質量%含有するガラス繊維モノフィラメントが挙げられる。
ガラス繊維モノフィラメントは、SiO 57〜64質量%、ZrO 14〜18質量%、LiO 0.5〜3質量%、NaO 11〜15質量%、KO 1〜5質量%、RO 0.2〜8質量%、TiO 0.5〜5質量%、Al 0〜1質量%含有することが好ましい。
なお、本発明のガラス繊維ストランドは、ZrOを12質量%以上含有するガラス繊維モノフィラメントと、ZrOを12質量%未満含有するガラス繊維モノフィラメントを含んでいても良い。ZrOを12質量%未満含有するガラス繊維モノフィラメントとしては、耐アルカリ性のガラスからなるガラス繊維モノフィラメントが挙げられる。例えば、SiO 47〜58質量%、Al 3〜12質量%、Fe 0〜4質量%、FeO 0〜4質量%、MgO 1〜6質量%、CaO 12〜22質量%、NaO 7〜16質量%、KO 0〜5質量%、B 0〜10質量%、TiO 0〜4質量%、MnO 0〜4質量%、BaO 0〜3質量%、P 0〜4質量%、SO 0〜1質量%、F 0〜1質量%含有するガラス繊維モノフィラメントが挙げられる。
本発明のガラス繊維ストランドは、以下のように製造することができる。まず、ブッシングの底部のノズルから引き出された複数本のガラス繊維モノフィラメントに、アプリケーターなどによってガラス繊維用集束剤を塗布し、これらガラス繊維モノフィラメントを、ギャザリングシューにより1束に集束し、コレットに巻き取りケーキとする。そして、ケーキを乾燥器に入れ、80〜130℃で、1〜30時間程度かけてガラス繊維用集束剤に含まれる溶媒(揮発分)を蒸発させ、ガラス繊維モノフィラメントの表面の一部または表面全体を覆うような固形の皮膜層を形成する。これにより、ケーキに巻き取られたガラス繊維ストランドが得られる。
なお、ガラス繊維用集束剤は、溶媒と、以下に示す皮膜層を構成する成分が含まれる。以下に、皮膜層を構成する成分について説明する。
皮膜層は、(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物を含む。また、さらに、ポリエステル樹脂を含んでもよい。
(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物を含む皮膜層は、ガラス繊維モノフィラメントどうしの集束性を高め、かつガラス繊維モノフィラメントの表面を保護する。そのため、引張強度が高く、ガラス織物の生産時等の毛羽立ちが発生しにくいガラス繊維ストランドが得られる。さらに、ガラス織物の目止めに使用される樹脂接着剤がガラス繊維ストランドに十分含浸する。なお、(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂、または(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物のみしか含まない場合、樹脂接着剤の含浸性が低くなる。
そして、(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物の質量比は、(a)/(b)=0.25〜3.05であることが好ましい。
((a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物の質量比を、(a)/(b)=0.25〜3.05とすることにより、集束性をより高め、表面を十分に保護できるとともに、樹脂接着剤の含浸性が良好となる。
なお、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの開環重合により得られる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシド以外の環状エーテル等も一緒に重合させてもよい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの重量平均分子量は、1000〜2000であることが好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのエチレンオキシドを重合させる際における、エチレンオキシド単量体の質量割合は、重合させる単量体全量に対して60〜90質量であることが好ましく、65〜85質量%であることがより好ましい。
なお、ビスフェノールAEO付加物とは、ビスフェノールAに、エチレンオキシドを付加することにより得られた化合物である。
皮膜層は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤は、有機官能基を有している。有機官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ウレイド基、メタクリル基、ビニル基、メルカプト基、スチリル基、などが挙げられる。これらの有機官能基を有するシランカップリング剤の中でも、引張強度を特に向上させるエポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
他にも、皮膜層は、潤滑剤、ワックス等を含んでいてもよい。
本発明のガラス繊維ストランドは、番手が300〜4800texであることが好ましい。番手が300tex以上であると、ガラス繊維ストランドは、十分な引張強度を有し、ガラス織物の生産時の毛羽立ち、ガラス繊維ストランドの切断が起こりにくい。番手が4800tex以下であると、ガラス繊維ストランドを取扱いやすい。
本発明のガラス繊維ストランドは、強熱減量が0.5〜1.5質量%であることが好ましい。強熱減量が0.5質量%以上であると、ガラス繊維ストランドは、十分な引張強度を有し、ガラス織物の生産時の毛羽立ち、ガラス繊維ストランドの切断が起こりにくい。強熱減量が1.5質量%以下であると、セメントはガラス繊維ストランド内部まで短時間で含浸しやすくなる。
なお、強熱減量は、JIS R3420(2013)に従う方法により求めた値である。
本発明のガラス繊維ストランドは、以下のように製造することができる。まず、ブッシングの底部のノズルから引き出された複数本のガラス繊維モノフィラメントに、アプリケーターなどによってガラス繊維用集束剤を塗布し、これらガラス繊維モノフィラメントを、ギャザリングシューにより1束に集束し、コレットに巻き取りケーキとする。そして、ケーキを乾燥器に入れ、80〜130℃で、1〜30時間程度かけてガラス繊維用集束剤に含まれる溶媒(揮発分)を蒸発させ、ガラス繊維モノフィラメントの表面の一部または表面全体を覆うような固形の皮膜層を形成する。これにより、ケーキに巻き取られたガラス繊維ストランドが得られる。
なお、ガラス繊維用集束剤は、水、有機溶媒等の溶媒と、上述の皮膜を構成する成分が含まれる。溶媒としては、純水、イオン交換水、工業用水、蒸留水等の水であることが好ましい。
また、溶媒に含まれる皮膜を構成する成分の割合は、溶媒を蒸発させた後に形成される皮膜層を構成する成分の割合とほぼ同一となる。
ガラス繊維用集束剤中の溶媒量は、80〜99質量%であることが好ましく、85〜98質量%であることがより好ましい。
次に、本発明のガラス織物について説明する。本発明のガラス織物は、本発明のガラス繊維ストランドにより構成された複数本の縦糸及び横糸を含む。複数本の縦糸は、所定の方向に向けて整列している。そして、複数本の横糸は、複数本の縦糸と交差して配置されるように、縦糸の整列方向とは異なる方向に向けて整列している。例えば、横糸は、縦糸の整列する方向に対して垂直な方向に整列している。
複数本の縦糸同士の間隔及び複数本の横糸同士の間隔は、3〜50mmであることが好ましい。間隔が3mm以上であれば、セメントがガラス繊維ストランドの間に入り込みやすい。間隔が50mm以下であれば、効率的に補強することができる。複数本の縦糸どうしの間隔及び複数本の横糸どうしの間隔は、5〜40mmであることが好ましく、10〜35mmであることがより好ましい。
縦糸と横糸との交差箇所には、樹脂接着剤が付着している。これにより、縦糸と横糸が接着され、織物形状となる。樹脂接着剤としては、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂が使用可能であるが、特にアクリル樹脂は、耐アルカリ性に優れ、ガラス織物のコシを強くできるため好ましい。
樹脂接着剤の含有率は、ガラス織物の全質量に対して5〜30質量%であることが好ましい。樹脂接着剤の含有率が5質量%以上であると、ガラス織物は目ズレを起こしにくい。また、樹脂接着剤の含有率が30質量%以下であると、ガラス織物は十分なコシがあり、セメント製品の成型時の作業性に優れる。樹脂接着剤の含有率は、ガラス織物の全質量に対して7〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
本発明のガラス織物は、目付が60〜1200g/mであることが好ましい。目付が60g/m以上であると、十分な補強効果が得られる。目付が1200g/m以下であると、セメントのガラス織物への含浸性が良好となる。
なお、本発明のガラス織物は、縦糸及び横糸以外にも、例えば、三軸織物のように、縦糸及び横糸とは異なる方向に向けて整列する複数の第三の糸を有していても良い。その場合、各々の糸の交差箇所には、樹脂接着剤が付着している。
また、四軸織物のように、縦糸及び横糸とは異なる方向に向けて整列する複数の第三の糸と、縦糸、横糸及び第三の糸とは異なる方向に向けて整列する複数の第四の糸を有しても良い。その場合、各々の糸の交差箇所には、樹脂接着剤が付着している。
次に、本発明のセメント製品について説明する。本発明のセメント製品は、本発明のガラス織物を含む。
本発明のセメント製品は、例えば、セメント、砂、カオリンなどの骨材、水、混和剤などからなるモルタルと、ガラス織物とを含有する。
本発明のセメント製品は、以下のような工程により製造することが好ましい。
あらかじめモルタルにより製品の形状を成形し、モルタルに含まれる水分を乾燥させる。乾燥させた後、ガラス織物を貼り付け、ガラス織物の表面にモルタルを供給し、ガラス織物を埋設させる。最後に、モルタルの水分を乾燥させる。
また、本発明のセメント製品は、ガラス織物の代わりに、本発明のガラス繊維ストランドを含む。
セメント製品中におけるガラス繊維ストランドの含有割合は、10〜20質量%であることが好ましい。ガラス繊維ストランドの含有割合が10質量%以上であると、十分な補強効果得られる。ガラス繊維ストランドの含有割合が20質量%以下であると、セメント製品の表面にガラス繊維ストランドが露出することがない。
本発明のセメント製品は、以下のような工程により製造することが好ましい。
初めに、ガラス繊維ストランドを、モルタルが貯留されたモルタル槽内を走行させることにより、ガラス繊維ストランドにセメントを含浸させる(含浸工程)。ガラス繊維ストランドの走行速度や、ガラス繊維ストランドのモルタル槽内の走行距離は、ガラス繊維ストランドへの含浸されるセメントの含有率を確認しながら設定することが好ましい。
次に、モルタル槽内を走行し、セメントが含浸したガラス繊維ストランドをマンドレルに巻き取る(巻き取り工程)。マンドレルは、製造しようとするセメント製品の形状に応じた形状である。マンドレルは、金属、セラミック、プラスチック等の材質により構成される。なお、ガラス繊維ストランドは、マンドレルに対して単層となるように巻き取っても良く、複数層となるように巻き取っても良い。ガラス繊維ストランドを複数層となるように巻き取れば、強度の高いセメント製品が得られるため好ましい。また、アイレットによりガラス繊維ストランドにテンションを加えながらマンドレルに巻き取ることで、精度良く巻き取ることができるため好ましい。
ガラス繊維ストランドに含浸したモルタル中のセメントと水は、時間の経過とともに水和反応を起こし、固化する。そのことにより、強固なセメント製品が得られる。
最後に、マンドレルを抜き取ることにより、セメント製品が完成する(抜き取り工程)。
本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
まず、ガラス組成がSiO 57.9質量%、ZrO 17.2質量%、LiO 0.5質量%、NaO 14.8質量%、KO 1.3質量%、CaO 0.9質量%、TiO 7.4質量%となるように秤量、調合した各種のガラス原料をガラス溶融炉中で溶融した。溶融ガラスを成形体に設けられた複数のノズルから引き出し、ガラス繊維モノフィラメントを得た。ガラス繊維モノフィラメントの直径は、約27μmであった。次に、アプリケーターを用いて、固形分の含有質量割合が表1及び2の記載のようになるように調製し、蒸留水に溶解させたガラス繊維用集束剤をガラス繊維モノフィラメントの表面に均等に塗布した。その後、ギャザリングシューによって1600本のガラス繊維モノフィラメントを束ねて1本のガラス繊維ストランドとし、さらに紙管に巻き取ってガラス繊維ストランドの巻回体を作製した。次に、この巻回体を誘電加熱装置によって、ガラス繊維用集束剤が固化し、皮膜層が形成されるまで加熱して乾燥させた後に、ガラス繊維ストランドの巻回体から紙管を抜き取って、最内層から数層分のガラス繊維ストランドを引き出した後、引き出したガラス繊維ストランドを切除した。このようにして、2400texのガラス繊維ストランドが巻き取られた実施例及び比較例の巻回体を得た。なお、ガラス繊維ストランドの強熱減量はそれぞれ0.8質量%である。
(ガラス繊維ストランドの引張強度)
ガラス繊維ストランドの引張強度は、JIS R−3420(2013)7.4.3に従い評価を行った。具体的には、巻回体からガラス繊維ストランドを引き出し、350mmにカットする。チャック間距離を250mmとして引張り試験機にセットし、ストランドの引張り強度を測定する。その引張り強度をN/tex番手換算し比較評価した。
(含浸性の評価)
含浸性の評価としてφ6.0mmのガラス管にガラス繊維ストランドを6本挿入し、一方の端部をガラス管端部に揃える。揃えた端部を、着色したアクリルエマルジョンに浸漬し、30分後に毛細管現象でアクリルエマルジョンを吸い上げた高さを含浸性とした。吸い上げた高さが高いほど樹脂接着剤の含浸性が良好であることを示す。
表1、2に、実施例及び比較例におけるガラス繊維ストランドの引張強度、及び含浸性を示す。
実施例1〜6の試料は、引張強度が0.45N/texと高く、十分な引張強度を有していた。また、浸透性が21cm以上であり、樹脂接着剤のガラス繊維ストランドへの含浸性が良好であった。一方、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びビスフェノールAEO付加物を含有しない比較例7、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含有しない比較例8〜10は、浸透性が14〜18cmであり、含浸性が低かった。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を含有しない比較例8〜10は、引張強度が0.43N/tex以下であり、引張強度が低かった。

Claims (9)

  1. ZrOを12質量%以上含有するガラス繊維モノフィラメントと、
    前記ガラス繊維モノフィラメントを覆うように構成されてなり、
    (a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物を含む皮膜層とを有することを特徴とするガラス繊維ストランド。
  2. 前記皮膜層がさらにポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維ストランド。
  3. 前記(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂又は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂、及び(b)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及び/又はビスフェノールAEO付加物の質量比は、(a)/(b)=0.25〜3.05であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維ストランド。
  4. 番手が300〜4800texであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス繊維ストランド。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス繊維ストランドにより構成された複数本の縦糸と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス繊維ストランドにより構成され、かつ前記縦糸と交差するように配置された複数本の横糸と、
    少なくとも前記縦糸及び横糸の交差箇所に付着してなる樹脂接着剤とを有することを特徴とするガラス織物。
  6. 前記複数本の縦糸の間隔及び横糸の間隔は3〜50mmであり、
    前記樹脂接着剤の付着率は5〜30質量%であり、
    目付は60〜1200g/mであることを特徴とする請求項に記載のガラス織物。
  7. 前記樹脂接着剤は、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル樹脂、またはメラミン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項5または6に記載のガラス織物。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のガラス織物を含むことを特徴とするセメント製品。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス繊維ストランドを含むことを特徴とするセメント製品。
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