JP6830191B2 - エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る半導体装置1の、プリント配線板10の厚み方向に切断した概略断面図である。図1中、1は半導体装置、10はプリント配線板、11はアルミニウム製のボンドパッド部(以下、アルミパッド部という)、20は半導体、30は金製の金属ワイヤー(以下、金ワイヤーという)、40は接合体、50は封止樹脂体である。なお、図1において、プリント配線板1の導体配線、スルーホール、半田付け用電子部品などは省略している。
エポキシ樹脂組成物は有機成分を含有する。有機成分としては、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含有し、必要に応じて、ゴム粒子、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などをさらに含有してもよい。
エポキシ樹脂組成物は有機成分としてエポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンノボラック型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂などのナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格変性エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などを用いることができる。これらのうちの1種のみを用いてもよいし、これら2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、エポキシ樹脂がナフタレン骨格を有すること、すなわちエポキシ樹脂としてナフタレン型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、プリント配線板10や後述する本実施形態に係る金属張積層板(以下、まとめてプリント配線板10等という)のガラス転移温度(Tg)を、ナフタレン型エポキシ樹脂を用いない場合に比べて、より高くすることができる。さらにプリント配線板10等の抵抗変化率を±5%以内に抑制することができる。プリント配線板10等の抵抗変化率は、実施例に記載の熱衝撃試験の測定方法と同一の測定方法により測定した値である。
エポキシ樹脂組成物は、有機成分として硬化剤を含有する。硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物、イミダゾール系化合物、スルフィド樹脂、ジシアンジアミドなどを用いることができる。これらのうちの1種のみを用いてもよいし、これら2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、硬化剤がフェノール骨格を有すること、すなわち硬化剤としてフェノール型硬化剤を含むことが好ましい。これにより、より吸湿しにくいプリント配線板10等とすることができる。
エポキシ樹脂組成物は、有機成分として硬化促進剤を含有する。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、アミン系化合物、チオール化合物、金属石鹸などの有機酸金属塩などを用いることができる。
エポキシ樹脂組成物は、無機成分をさらに含有してもよい。無機成分を構成する材料としては、例えば、シリカ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク、クレー、マイカなどを用いることができる。これらのうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機成分の形状は、特に限定されず、例えば、球状、破砕状などが挙げられる。無機成分の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上2.5μm以下である。なかでも、無機成分は球状シリカ粒子を含み、この球状シリカ粒子の平均粒子径が0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。これにより、4層板成型性に優れるプリント配線板10等とすることができる。球状シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上3μm以下、より好ましくは0.1μm以上2.5μm以下である。ここで、平均粒子径とは、体積累積平均径(D50)を意味する。平均粒子径の測定には、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置MT−3300(日機装(株)製)を用いることができる。
エポキシ樹脂組成物の調製方法としては、例えば、有機成分、その他必要に応じて配合する成分を、それぞれ所定の配合量準備し、これらを溶媒中で配合し、さらに攪拌、混合する方法などが挙げられる。溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエンなどを用いることができる。
本実施形態に係るプリプレグ(以下、単にプリプレグという場合がある)は、繊維基材と、繊維基材に含浸された、エポキシ樹脂組成物の半硬化物と、を備える。
本実施形態に係る金属張積層板(以下、単に金属張積層板という場合がある)は、プリプレグの1枚の硬化物又は複数枚の積層物の硬化物(以下、第一絶縁層という場合がある)と、この硬化物の片面または両面に接着された金属箔と、を備える。すなわち、金属張積層板の構成は、第一絶縁層と、この第一絶縁層の片面に接着された金属箔との2層構成、又は第一絶縁層と、この第一絶縁層の両面に接着された金属箔との3層構成である。
本実施形態のプリント配線板10(以下、単にプリント配線板10という場合がある)は、プリプレグの1枚の硬化物又は複数枚の積層物の硬化物(以下、第二絶縁層という場合がある)と、この硬化物の片面又は両面に設けられた導体配線とを備える。プリント配線板10は、第二絶縁層と、この第二絶縁層の片面又は両面に導体配線とからなる単層構造のプリント配線板(以下、コア基板という場合がある);コア基板の導体配線が形成された面上に、第二絶縁層(以下、層間絶縁層という場合がある)と内層の導体配線(以下、内層導体配線という場合がある)とが交互に形成されて構成され、最外層に導体配線が形成された多層構造のプリント配線板などを含む。多層構造のプリント配線板の層数は特に限定されない。
(エポキシ樹脂組成物)
エポキシ樹脂組成物の原料として、以下のものを用意した。有機成分、無機成分及び溶媒を表1及び表2に示す割合で配合して、これを撹拌、混合して均一化することにより、エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表1及び表2中の各製品の質量部の記載について、「(固形分)」の記載があるものは製品の固形分の質量部を指し、「(固形分)」の記載がないものは製品自体の質量部を指す。
(エポキシ樹脂)
・品名「EPPN502H」(トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、エポキシ当量:170g/eq)
・品名「HP4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、エポキシ当量240g/eq)
・品名「5046B80」(臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社、溶剤:MEK(メチルエチルケトン)、臭素含有量:21%、固形分:80%(MEKカット)、エポキシ当量:470g/eq)
・品名「NC3000」(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、エポキシ当量:230g/eq)
(硬化剤)
・品名「TD−2090 60M」(ノボラック型フェノール樹脂、DIC株式会社製、固形分:60%、溶剤:MEK、水酸基当量:105g/eq)
・品名「XZ92741」(リンフェノール樹脂、ダウ・ケミカル日本株式会社製)
・品名「LA−7052」(ATN(アミノトリアジンノボラック)、DIC株式会社製、溶剤:MEK、窒素含有量:8%、固形分:60%、水酸基当量:120g/eq)
(硬化促進剤)
・品名「2E4MZ」(イミダゾール、四国化成工業株式会社製)
<無機成分>
・品名「SC2500−SQ」(球状シリカ粒子、株式会社アドマテックス製、平均粒子径:0.5μm)
・品名「SC5500−SQ」(球状シリカ粒子、株式会社アドマテックス製、平均粒子径:1.5μm)
・品名「AC9000−SI」(アルミニウム粒子、株式会社アドマテックス製、平均粒子径:10μm)。
・MEK
・ブタノール
なお、上記のエポキシ当量、臭素含有量、固形分、水酸基当量、窒素含有量及び平均粒子径はカタログ値である。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、下記の連続式製法により、第一プリプレグと、第二プリプレグの2種類のプリプレグを得た。第一プリプレグは後述する金属張積層板の材料として用いられる。第二プリプレグは後述する熱衝撃試験及び4層板成型性の評価試験に用いられる。
走行する長尺状のガラスクロス(日東紡績株式会社製の♯2116タイプ、WEA116E、Eガラス)を、プリプレグの硬化物の厚みが0.1mmとなるようにエポキシ樹脂組成物に含浸させた。次いで、ガラスクロスに含浸されたエポキシ樹脂組成物を半硬化状態となるまで非接触タイプの加熱ユニットによって加熱乾燥した。これにより、エポキシ樹脂組成物中の溶媒を除去した。加熱温度は110〜160℃、乾燥時間は約1.5〜5分であった。次いで、必要な長さに切断して、ガラスクロスと、このガラスクロスに含浸されたエポキシ樹脂組成物の半硬化物とを備える第一プリプレグを得た。第一プリプレグのレジンコンテント(樹脂量)は、第一プリプレグ100質量部に対して55質量部であった。
ガラスクロス(日東紡績株式会社製の#1078タイプ、WEA1078、Eガラス)を用い、このガラスクロスを第二のプリプレグの厚さが0.06mmとなるようにエポキシ樹脂組成物を含有させた他は第一プリプレグの連続式製法と同様にして、0.06mm厚さの第二プリプレグを得た。
得られた第一プリプレグを用いて、下記の方法により、0.4mm厚さの両面金属張積層板(以下、第一金属張積層板という)と、0.8mm厚さの両面金属張積層板(以下、第二金属張積層板という)との2種類の金属張積層板を得た。第一金属張積層板は、後述するブタノール含有量、塩素含有量、臭素含有量、ガラス転移温度(Tg)及び熱膨張係数(CTE(α1))の測定試験、4層板成型性の評価試験に用いられる。第二金属張積層板は、後述する熱衝撃試験、吸水率の測定試験及びワイヤーボンディングの接合信頼性の評価試験に用いられる。
まず、第一プリプレグを4枚重ねて積層物を得、得られた積層物の両面に金属箔として第一銅箔(厚み:12μm)を重ねて、銅箔付きの積層物を得た。次いで、この銅箔付きの積層物を、加熱加圧成形することによって、0.4mm厚さの第一金属張積層板を得た。加熱加圧成形の条件は、210℃、4MPa、120分間であった。
第一プリプレグを8枚重ねた他は第一金属張積層板の製造方法と同様にして、0.8mm厚さの第二金属張積層板を得た。
下記方法により、ブタノール含有量、塩素含有量、臭素含有量、ガラス転移温度(Tg)、抵抗変化率、吸水率及び熱膨張係数(CTE(α1))を測定した。さらに、4層板成形性及びワイヤーボンディングの接合信頼性の評価を行った。材料特性の測定及び評価の結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2中、「<0.16(n.d.)」とは、測定検出限界未満であることを意味する。
0.4mm厚さの第一金属張積層板の両面に接着された第一銅箔ごと表面に位置するプリプレグの硬化物を表裏各1枚はがして、0.2mm厚さの硬化物のみの試料を得た。得られた試料のブタノール含有量を、ガスクロマトグラフィー質量分析計(「PerkinElmer, Inc.社製TurboMatrix650ATD/Clarus600/Clarus600T、カラム:SPB-1、吸着加熱条件:130℃・60分加熱、カラム昇温条件:35℃・5分〜(10℃/分)〜100℃〜(20℃/分)〜290℃・24分」、キャリアガス:ヘリウム(1mL/分)、注入量:14.3%)、測定モード:スキャン(m/z=24〜400)SIR(m/z=31、41、56))を用いて定量した。
0.4mm厚さの第一金属張積層板の両面に接着された第一銅箔ごと表面に位置するプリプレグの硬化物を表裏各1枚はがして、0.2mm厚さの硬化物のみの試料を得た。得られた試料の塩素含有量を、JISK 7229に規定のフラスコ燃焼法に準拠して、硝酸銀滴定法によって定量した。得られた試料の臭素含有量を、JIS K 7229に規定のフラスコ燃焼法に準拠して、硝酸銀滴定法によって定量した。
0.4mm厚さの第一金属張積層板の両面に接着された第一銅箔をエッチングにより除去して、積層物の硬化物を得た。上記ガラスクロスは縦糸及び横糸がほぼ直交するように織られた織布からなる。この縦糸又は横糸に対して斜め45°方向に、この積層物の硬化物を切断して、サイズが50mm×5mmの試料を作製した。この試料のガラス転移温度Tgを、JIS C 6481に規定のDMA法(Dynamin-mechanical analysis)に準拠し、動的粘弾性測定装置(Seiko Instruments Inc.社製「DMA/DMS6100」)を用いて測定した。
図2Aは、評価用基板の4層階段デイジーチェーンパターンの形成部位の概略断面図である。図2Bは、評価用基板の外層デイジーチェーンパターンを形成部位の概略断面図である。図2A及び図2B中、60は評価用基板、60Aは4層階段デイジーチェーンパターンが形成された第一部位、60Bは外層デイジーチェーンパターンが形成された第二部位、70はコア基板、71は積層体の硬化物、72A,72Bは内層配線、73は第二プリプレグの硬化物、74A,74Bは貫通穴、75A,75Bは外層配線、76A,76Bはスルーホールめっきを指す。
0.8mm厚さの第二金属張積層板の両面に接着された第一銅箔をエッチングにより除去して、積層物の硬化物を得た。得られた積層物の硬化物を用いて、JIS C6481に準拠して試料を作製した。この試料の、エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度未満の温度における吸水率を、JIS C 6481に準拠して測定した。
0.4mm厚さの第一金属張積層板の両面に接着された第一銅箔をエッチングにより除去して、積層物の硬化物を得た。得られた積層物の硬化物の、エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度未満の温度におけるタテ方向の熱膨張係数を測定した。測定はJIS C6481に規定のTMA法(Termo-mechanical analysis)に準拠し、熱分析装置(Seiko Instruments Inc.社製「TMA/SS6000」)を用いた。ここで、タテ方向とは、積層物の硬化物の面において、プリプレグを連続式製法により製造する際のガラスクロスの走行方向に平行な方向をいう。
図3Aは格子パターン81の一部に形成された中抜け部81Aを示す、4層板成型性の評価試験で用いるコア基板80の概略正面図である。図3Bは図3A中のP部の拡大正面図である。図3Aでは、金属細線82を略している。
○:両面にカスレが確認できなかった。
△:中抜け部81Aのみにカスレが確認できた。
×:両面の格子部81B、中抜け部81Aの両方にカスレが確認できた。
0.8mm厚さの第二金属張積層板の片面に接着された第一銅箔の一部をエッチングにより除去して、導体配線を形成した。さらに、この導体配線上にスパッタリング法によりアルミニウム薄膜(組成:Al98.5質量%、Si 1.0質量%、Cu 0.5質量%)を形成し、アルミパッド部を有するプリント配線板を得た。
OK:4μm以上のクラックが観察されなかった。
NG:4μm以上のクラックが観察された。
10 プリント配線板
11 ボンドパッド部
20 半導体
30 金属ワイヤー
40 接合体
50 封止樹脂体
60 評価用基板
60A 4層階段デイジーチェーンパターンが形成された第一部位
60B 外層デイジーチェーンパターンが形成された第二部位
70 コア基板
71 積層体の硬化物
72A,72B 内層配線
73 第二プリプレグの硬化物
74A,74B 貫通穴
75A,75B 外層配線
76A,76B スルーホールめっき
Claims (6)
- ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含む有機成分と、平均粒子径が1.5μm以上3μm以下である球状シリカ粒子を含む無機成分と、を含有し、
硬化後のブタノール含有量が、ガスクロマトグラフィー質量(GC−MS)分析法にて測定検出限界未満であり、硬化後の塩素含有量が900ppm以下、且つ、硬化後の臭素含有量が900ppm以下であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 - 前記硬化剤がフェノール骨格を有することを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機成分の含有量が、前記有機成分100質量部に対して、150質量部以上220質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 繊維基材と、
前記繊維基材に含浸された、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の半硬化物と、を備えることを特徴とするプリプレグ。 - 請求項4に記載のプリプレグの1枚の硬化物又は複数枚の積層物の硬化物と、
前記硬化物の片面または両面に接着された金属箔と、
を備えることを特徴とする金属張積層板。 - 請求項4に記載のプリプレグの1枚の硬化物又は複数枚の積層物の硬化物と、
前記硬化物の片面または両面に接着された導体配線と、
を備えることを特徴とするプリント配線板。
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