(1)給油口キャップの第1の実施形態(図1乃至図14参照)
(1−1)筒本体16の第1の実施形態(弁部VA、図1乃至図12参照)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1に示すように、本実施形態における燃料タンク100の給油口キャップ10は、自動車、農機具、発電機、芝刈り機、オートバイ、船舶、建設機械、道路工事用機械等(以後、これらを総称して「自動車101」という。)に搭載され、エンジン99に燃料(本実施形態では、ガソリン)の供給を行う前記燃料タンク100の給油口98を開閉するものである。尚、前記燃料タンク100と前記エンジン99との間には、気化器95が配管接続されている。
前記給油口キャップ10は、図2、図3及び図4に示すように、側壁12Cに手回し用の凹凸部11が形成されて収納空間12Aを備えたアウターケース(以下、「外蓋」という。)12と、該外蓋12の前記収納空間12A内に取付けられるインナーケース(以下、「内蓋」という。)13とから構成されるキャップ本体14を備えている。そして、この内蓋13には後述する弁機構部が備えられる。前記凹凸部11は、凸部11Aと凹部11Bとが交互に繰り返して形成される。
前記外蓋12は上壁12Bと前記側壁12Cとを備えた概ね有底円筒形状を呈しており、前記上壁12Bと前記側壁12Cとで形成される前記収納空間12A内に、後述するフィルター38が取り付けられた前記内蓋13を収納した状態で、前記内蓋13が前記外蓋12に取り付けられる。
そして、図4、図6及び図7に示すように、前記内蓋13の内面側の略中心位置に、前記内蓋13の底壁13Aと一体に中空の筒本体16が立設されている。前記筒本体16は円柱状の第1空間SIを備えた中空の円筒形状の本体部16Aと、該本体部16Aの上部に円錐台形状の第2空間S2を備えると共に外形が円錐台形状を呈する空気通路形成部16Bとから構成される。しかし、以上のように、前記筒本体16は当初から前記内蓋13の前記底壁13Aと一体に成形してもよいが、独立した前記筒本体16を前記内蓋13の前記底壁13Aに固定するようにしてもよい。
また、前記筒本体16は下から第1側壁16Cと、該第1側壁16C上部に設けられる下水平壁16Dと、該下水平壁16Dの上部に設けられる第2側壁16Eと、該第2側壁16Eの上部に設けられると共に前記筒本体16内の空間(前記第2空間S2を含む。)と前記燃料タンク100外部(大気)とを連通させる開口S3がその中央部に形成された上水平壁16Fとから構成される。前記第2側壁16Eは、上方に向かうに従って内径が小さくなるような内側面16E1を有する。
そして、図8に示すように、前記外蓋12に前記内蓋13を収納した状態で取り付けた状態では、前記外蓋12の前記上壁12Bの裏面に形成された空間12S内に、前記筒本体16の前記上水平壁16Fが前記上壁12B裏面に当接しないように間隔を存して入り込むように収納される。
そして、前記開口S3と前記第2空間S2とに連通する複数の第1空気通路15が前記筒本体16の前記第2側壁16Eに形成される。詳述すると、前記第2側壁16Eの前記内側面16E1(前記第2空間S2を形成する内側面)に、所定の間隔を存して、上下方向に延びて、横断平面が、例えば三角形状の凸部16Tが複数条(例えば、8条)形成される。また、前記凸部16Tは前記内側面16E1に沿ってその高さが同じで、前記第2空間S2内に突出して、各凸部16T間に前記第1空気通路15が形成されることとなる。即ち、前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1には、前記凸部16Tと前記第1空気通路15とが交互に形成されることとなる。
そして、図7乃至図11において、22はステンレス製の球状のボールから構成された弁体であり、後述するように、その一部が前記凸部16Tに接することができるように、昇降部材23の小径部23Bの上面上に載置した状態で、前記第2空間S2内に収納される。
前記弁体22を載置させて支持する前記昇降部材23は、上面を備えて下面を開口した有底中空円筒形状を呈して、円柱状の第1空間S1内に収納される下部の大径部23Aと前記第2空間S2内に収納される上部の外形が円錐台形状を呈する前記小径部23Bとを備えている。前記弁体22は、前記小径部23B上に載置されたときに、その上部が前記開口S3に面することとなる。
そして、前記昇降部材23に形成された空間23S内には、この昇降部材23を上昇させるように伸張した状態で付勢する付勢体であるコイルスプリング(以下、「スプリング」という。)17が収納される。
そして、前記内蓋13の前記底壁13Aに形成された固定孔13G(図6参照)と取付部材としてのスプリング33に形成された固定孔33Aとにリベット34が挿入されて、前記底壁13Aに前記スプリング33が固定される。尚、前記スプリング33は、錆びにくく、前記燃料によって溶解することのない金属材料で作製する。
そして、板バネ材料で作製された前記スプリング33の中央部に連通路を構成する開口33Bが開設されて、前記昇降部材23の前記空間23Sと前記燃料タンク100とに連通する空気通路が形成される。なお、前記スプリング33は、前記空気通路等を形成する通路形成体であると共に、前記燃料タンク100の前記給油口98に前記給油口キャップ10(前記キャップ本体14)を取付け固定するための固定具でもある。
従って、前記弁体22を前記小径部23Bの上面上に載置すると共に前記空間23S内に前記スプリング17を収納した前記昇降部材23を前記筒本体16の前記第1空間S1及び前記第2空間S2内に収納して、前記内蓋13の前記底壁13Aの前記固定孔13Gと前記スプリング33の前記固定孔33Aとに前記リベット34を挿入することにより、前記内蓋13の前記底壁13Aに前記スプリング33が固定される。
すると、前記昇降部材23の前記小径部23B上に前記弁体22が載置した状態で、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23を上方へ押し上げ、前記弁機構部を構成する前記弁体22の上半球の上下方向における、例えば1/2の位置における横方向の外周CF(「水平方向に切断した面の円周」であって、以下「前記弁体22の前記横方向の外周CF」と略す。)が前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの頂部(前記第2空間S2内への突出方向における頂部)に前記スプリング17の付勢力により押圧されて点接触することとなる。
そして、本実施形態では、前記弁部VAは前記弁体22の前述した前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部に押圧して点接触する部位間の前記弁体22の横方向の点接触しない前記横方向の外周の部分CF1と、前記弁体22の中心COと前記横方向の外周CFとを結んでできた面CS(例えば、円錐面)を外方へ延長した面で前記第1空気通路15を形成する前記内側面16E1及び該内側面16E1の両隣の前記凸部16Tを切断した前記第1空気通路15の切り口である第1連通口RAとで構成される。
なお、前記弁部は、1又はそれ以上であってもよく、他の実施形態においても同様である。また詳述すると、前述した前記面CSを外方へ延長した面については、半径方向の外方へ延長したり、斜め上方向へ延長して形成した面である。
前記弁部VAにおいては、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tの前記頂部に点接触している部位と前記第2側壁16Eに接触していない部位が形成されることとなる。従って、前述したように、点接触しない前記横方向の外周の部分CF1と前記第1連通口RAとで構成される面積が極小さい前記弁部VAが形成されることとなる。
そして、前記筒本体16は下部の大径部と上部の外形が円錐台形状を呈する小径部とを備えており、本実施形態では、平面視円形状を呈する前記上水平壁16Fの中心を通る縦断面である図9に示すように、対向する前記凸部16Tの前記頂部の上方への延長線同志が交わってできる角度は、本実施形態では60度(50度以上から70度以下が望ましい。)とする。これにより、前述した如く、前記弁体22の上半球の上下方向における1/2の位置において、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触することとなる。
なお、対向する前記凸部16Tの前記頂部の上方への延長線同志が交わってできる角度は前記凸部16Tの高さは全ての位置において同じである。また、前記上水平壁16Fの中心を通って縦断面したときの前記第2空間S2の形状は台形状を呈しており、この台形の斜辺の上方への延長線同志が交わる角度も、本実施形態では60度であるが、これに限らず、50度以上から70度以下が望ましく、前記第2空間S2は円錐台形状を呈していればよい。
ここで、図8乃至図11について詳述すると、前記昇降部材23の前記大径部23Aの外径は前記筒本体16の前記第1側壁16Cにより形成される前記第1空間S1の径より僅か小さく、この第1空間S1内を前記昇降部材23が上下に移動可能である。また、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23は上昇され、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触するように押圧されるが、前記昇降部材23の前記大径部23Aと前記小径部23Bとの段差壁23E及び前記小径部23Bの側壁23Fは前記筒本体16の前記下水平壁16D及び前記第2側壁16Eとは接触しないで、僅かの隙間を有する。
なお、前記筒本体16の前記第1側壁16Cの内面と前記昇降部材23の前記大径部23Aの側壁23Gの外面との間には隙間35が形成され、また前記側壁23Gの表面上には外方向に突出した凸部23Tが上下方向に延びて形成されが、前記凸部23Tと前記第1側壁16Cの内面との間にも隙間が形成される。従って、前記昇降部材23が昇降する際に、前記第1側壁16Cと前記凸部23Tとが接触しても、その接触面積が少なく、前記昇降部材23は円滑に昇降できる。なお、前記側壁23Gの下端部には所定間隔を存して複数の切除部23Hが形成される。
従って、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23及び前記弁体22が上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触して、前記燃料タンク100内の圧力が大気圧の状態又は後述する5kPa以上になるまでの正圧の状態では、前記弁部VAの面積の大きさにより設定された第1通路抵抗(前記弁部VAを流体(気化ガスや前記燃料)が通過するときの抵抗)が大きいために、前記点接触が解除しない。このため、前記燃料タンク100内の圧力が大気圧以下では、前記第1空間S1は前記第1空気通路15を介して前記開口S3とは連通していても、前述した5kPa以上になるまでの正圧の状態では、前記弁部VAではその上方と下方との間の前記流体の行き来がない。
なお、(1−1)の実施形態における5kPaは、前記弁部VAの面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量以上の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
そして、外気温の上昇に伴い、前記燃料タンク100内の燃料が蒸発すると、前記給油口キャップ10内の圧力が上昇して前記筒本体16の下面開口より流入する圧力も前記燃料タンク100の内圧と同じとなって、前述したような設定した所定の圧力値以上になるまでは、自身の下面開口より前記筒本体16内に流入する圧力を前記給油口キャップ10の外部に放出せずに、前記筒本体16内と前記燃料タンク100内とは同じ圧力となる。
なお、前述したように、前記弁部VAの面積の大小により、前記第1通路抵抗を設定し、前記スプリング17の付勢力の大きさとの組み合わせにより、前記弁体22の前記横方向の外周CFと複数条の前記凸部16Tとの点接触を解除するという前記弁部VAの開放圧力を設定できる。本実施形態においては、前記開放圧力を前述したように、例えば5kPaに設定し、前記弁部VAの面積は極めて小さく、例えば0.002mm2以上〜0.02mm2以下とし、前記第1通路抵抗を大きく設定しており、後述する弁部VB等の面積も極めて小さく、同様のサイズである。
また、前記スプリング17の付勢力が大きすぎると、前記燃料タンク100内の負圧もかなり大きくなければ、前記昇降部材23及び前記弁体22を下降させることができないので、前記スプリング17の付勢力は前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下とし、前記スプリング17は前記弁体22と前記昇降部材23とを押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFを前記第2側壁16Eに形成された複数条の前記凸部16Tの前記頂部に軽く押圧させて点接触させる小さな付勢力を有すれば足りる。
即ち、自然落下式のエンジンでは、前述したように、前記スプリング17の付勢力は前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の、例えば1.1倍程度であって、燃料供給ポンプ式エンジンでは、例えば2.0倍程度である。
そして、外気温度が上昇して、前記燃料タンク100内の前記燃料が気化して発生したガス(Volatile Organic Compounds Gasで、「VOCガス」と略す。)又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で膨張した前記燃料の流体圧力が、例えば5kPa未満であれば、前記VOCガス又は前記燃料が前記スプリング33の前記開口33Bを介して前記筒本体16と前記昇降部材23との前記隙間35内に流入したときに、前記昇降部材23内にも流入して前記昇降部材23内の圧力を高めて、前記スプリング17の付勢力と相俟って、前記昇降部材23及び前記弁体22を押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFを複数条の前記凸部16Tの前記頂部に点接触して前記通路抵抗により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100の外部、即ち前記給油口キャップ10の外部へと流れない。
しかし、前記筒本体16内は前記開口S3を介して、即ち前記弁部VAを構成する前記第1連通口RAを介して外気に連通しており、前記筒本体16内の空間が密閉状態ではなく、前記筒本体16と前記昇降部材23との前記隙間35を介して前記第2空間S2内に流入した前記VOCガス又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で膨張した前記燃料の流体圧力が、例えば5kPaに達すると、前記弁部VAの下方の前記第2空間S2内に流入した前記VOCガス又は前記燃料は前記第1通路抵抗に抗して前記第1空気通路15内を斜め上方に向けて上昇しながら前記弁部VAを通過して、斜め上方へ向けて上昇する。そして、前記開口S3を介して前記給油口キャップ10外部に放出されるが、この放出の際の圧力により前記スプリング17の付勢力に抗して前記弁体22及び前記昇降部材23を円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ下降させ、前記弁体22の前記横方向の外周CFと複数条の前記凸部16Tとの点接触を解除し、前記弁部VAを開放する。
従って、前記給油口キャップ10が前記燃料タンク100に取付けられたときに、前記燃料タンク100内の圧力が高まることによって、例えば5kPaに達することによって、前記昇降部材23及び前記弁体22が下降するまで、この前記燃料タンク100内の圧力を前記燃料タンク100外に放出しない。
なお、本実施形態において、前記外蓋12、前記内蓋13、前記昇降部材23は、ガソリン、軽油、エタノール、メタノール等の溶剤である燃料に対して耐溶剤性のある合成樹脂材料であるナイロン6又はナイロン66により作製する。
そして、前述したように、前記スプリング33により、前記キャップ本体14が前記燃料タンク100の前記給油口98に取付けられると、リング状のガスケット36が前記給油口98に当接し、これにより前記給油口98は前記キャップ本体14にて閉塞される(図8参照)。
なお、図4において、前記フィルター38は、耐油性に優れる活性炭フィルターや、ウレタン合成樹脂製のフィルター等の多孔質のフィルターで、前記大気を濾過して前記大気中のゴミなどの異物を捕集して前記燃料タンク100内に入り込むのを阻止する。該フィルター38を前記内蓋13の前記筒本体16の周囲の空間13S内に収納させた状態で、前記外蓋12内に前記内蓋13を収納して、前記外蓋12と前記内蓋13とを固定する。即ち、前記フィルター38の中央部に開設された中抜き部38Aに、前記筒本体16を挿入させるようにして、前記フィルター38を前記内蓋13内の前記空間13S内に収納させ、前記外蓋12と前記内蓋13とを固定する。
この場合、前記内蓋13の周縁部の上壁13Bにはリング状の凸部39が二重に突設され、該凸部39側から前記外蓋12内に前記内蓋13が収納され、一方前記外蓋12の上壁12Bの裏面側に溶着用リブ12Dが所定間隔毎に2条突設され、各溶着用リブ12Dと各凸部39とが超音波によって溶着固定される。
また、前記内蓋13が前記外蓋12内に収納された状態において、前記外蓋12の前記側壁12Cの前記内側面と前記内蓋13の側壁13Cの外側面との間に隙間40が形成されている(図8、図12参照)。前記隙間40の下端は開口され、前記給油口キャップ10外部の前記大気に(前記自動車101の外部に)連通する通気口となっている。
そして、図5及び図6において、前記内蓋13の上面の前記各凸部39には所定間隔を存して複数の溝41が形成されているが、前記外蓋12に設けた複数の前記溶着用リブ12Dは前記内蓋13の前記各凸部39に設けた前記溝41に対向する位置を避けて(間隔INを置いて)設けていない。これにより、前記外蓋12と前記内蓋13とが超音波によって溶着固定された際に、前記溶着用リブ12Dによって、各前記各凸部39に設けた前記溝41が塞がれないように構成されている。
従って、前記外蓋12と前記内蓋13との間には空気通路43が形成されて、外気が前記給油口キャップ10を経て前記燃料タンク100内に導入できる。また、発生した前記VOCガス又は膨張した前記燃料により前記燃料タンク100内の圧力が高まり、前記昇降部材23及び前記弁体22を下降させる圧力になったときのみ、前記フィルター38と前記外蓋12の裏面との空間44、前記空気通路43や前記隙間40を介して前記燃料タンク100外に高まった前記圧力を放出できることとなる。
なお、前記昇降部材23及び前記弁体22を下降させるに至らない圧力では、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部に点接触している状態が維持され、前記第1通路抵抗により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない。
従って、前記弁機構部は前記筒本体16と、前記昇降部材23、前記スプリング17及び前記弁体22とから構成され、安全弁としての機能を果たすこととなる。
以上の構成により、次に前記給油口キャップ10の組み立てについて、説明する。尚、前記フィルター38の前記中抜き部38Aに前記内蓋13の前記筒本体16を挿入させた状態で、前記外蓋12内に前記内蓋13を収納させ、また前記外蓋12の前記各溶着用リブ12Dと前記内蓋13の前記各凸部39とが超音波によって溶着固定され、前記内蓋13と前記外蓋12とは固定されているものとする。
先ず、例えば前記昇降部材23上に前記弁体22を載置させた状態で、前記筒本体16の空間内に前記昇降部材23を収納する。すると、前記昇降部材23の前記小径部23Bが前記弁体22を載置した状態で前記第2空間S2内に入り込むと共に、且つ前記大径部23Aが前記第1空間S1内に入り込むこととなる。
次に、前記昇降部材23の前記空間23S内に前記スプリング17を収納し、前記内蓋13の前記底壁13Aの前記固定孔13Gと前記スプリング33の前記固定孔33Aとに前記リベット34を挿入することにより、前記底壁13Aに前記スプリング33を固定する。
これにより、前記弁機構部を備えた前記給油口キャップ10の組み立てが終了する。そして、このようにして組み立てられた前記給油口キャップ10は、前記給油口98に取り付けられて、利用されることとなる。
この状態では、前記スプリング17がその付勢力により前記弁体22と前記昇降部材23とを押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記筒本体16の前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触する。このとき、前記弁部VAに設定された前記第1通路抵抗が大きいために、前記第1通路抵抗により前記点接触が解除されない。
次に、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあるときの前記給油口キャップ10の作用について説明する。先ず、前記燃料タンク100内に前記燃料を入れて、前記給油口98に前記給油口キャップ10を取り付けた直後では、前記燃料タンク100の内部と外部の圧力が均衡している。従って、前記スプリング17が前記弁体22と前記昇降部材23とを押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tと点接触して、前記第1通路抵抗により前記点接触が解除せず、前記第1空間S1と前記開口S3との間では前記流体の行き来はされない状態である。
即ち、前記隙間40、前記空気通路43、前記空間44、前記空間12S、前記開口S3を介する前記給油口キャップ10外部の外気は、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tと点接触した状態であり、前記第1通路抵抗により前記開口S3、前記第2空間S2を介して前記第1空間S1内への流入は阻止されている。
また、前記スプリング33の前記開口33B、前記筒本体16の前記第1空間S1、前記筒本体16と前記昇降部材23との前記隙間35を介する前記燃料タンク100内の前記VOCガス又は前記燃料は、前記第1通路抵抗により前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない。
次に、前記エンジン99の停止中において、外気温度が上昇すると、前記燃料タンク100内の前記燃料が蒸発して有害な前記VOCガスが発生したり、前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で前記燃料が膨張して、前記燃料タンク100内の内圧が高まる。しかし、前記燃料タンク100内の前記内圧が、例えば5kPa未満であれば、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tの前記頂部に前記スプリング17の付勢力により押圧して点接触した状態であり、前記第1通路抵抗により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない。
従って、前記燃料タンク100内の前記燃料が蒸発して前記VOCガスが発生しても、また前記燃料が膨張しても、前述したように、前記VOCガス又は前記燃料が前記自動車101外部へ放出されることが抑制される。このため、前記燃料から蒸発した有害な前記VOCガス又は前記燃料を前記自動車101外部に放出させないので、環境汚染を防止できる。
そして、前記エンジン99の停止中において、外気温度の更なる上昇に伴い、前記燃料タンク100内の前記燃料が蒸発することによる前記VOCガスの発生量が更に増大して、又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で前記燃料が膨張して、前記燃料タンク100内の圧力が更に高まって、例えば5kPaに達すると、前記第2側壁16Eの各凸部16T間に形成された前記第1空気通路15内を高圧の前記VOCガス又は膨張した前記燃料が前記弁部VAの面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗に抗して斜め上方に向けて上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tと点接触している前記弁部VAを通過する前記VOCガス又は前記燃料が円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記弁体22を押し下げるように作用する。
従って、前記VOCガス又は前記燃料により、前記スプリング17の付勢力に抗して前記弁体22及び前記昇降部材23が下降され、前記弁体22の前記横方向の外周CFと複数条の前記凸部16Tとの点接触を解除し、前記弁部VAを開放する(図10参照)。
このため、前記燃料タンク100内の圧力が、5kPaに達して、上述したように、前記弁部VAを開放すると、前記燃料タンク100内の過大な圧力(前記VOCガスや前記燃料を含む。)は、前記開口33B、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15を含む。)、前記開口S3、前記空間12S、前記空間44、前記空気通路43、前記隙間40を介して、前記給油口キャップ10の外部、即ち前記自動車101外部に放出されることとなる。
すると、この放出により前記燃料タンク100の内の圧力は直ちに5kPa未満の圧力の状態になって、図8や図9に示すような状態となり、前記弁機構部は安全弁としての機能を有する。即ち、前述したように、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23及び前記弁体22が上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触して、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
以上のように、前記燃料タンク100内の圧力が設定した圧力値まで上昇した際に、前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料が前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出させるようにしたのは、このようにしないと、前記給油口キャップ10を前記自動車101から外した際に、前記燃料タンク100内の圧力によって燃料が自動車101外部に飛び散ることとなって危険であるからであり、前記弁機構部は安全弁としての機能を果たす。
次に、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触している状態において、前記自動車101の前記エンジン99の駆動による前記燃料の消費により前記燃料タンク100内の圧力が負圧になったときについて、以下説明する。
前記燃料の消費により前記燃料タンク100内が負圧に変わると、前記スプリング33の前記開口33Bを介して前記昇降部材23内も負圧となり、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23が下降するため、前記弁体22も下降し、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触している状態が解除され、前記弁部VAが開放する。
すると、前記開口S3と前記第1空間S1との間で前記大気が移動して、前記大気が前記隙間40、前記空気通路43、前記空間44、前記空間12S、前記開口S3、前記第2空間S2(前記第1空気通路15を含む。)、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記開口33Bを介して、前記燃料タンク100内に流入し、前記エンジン99への前記燃料の供給を行う。
従って、流入された前記燃料タンク100内は大気圧状態となると、前記スプリング17の付勢力により前記弁体22及び前記昇降部材23を上昇させて、前記開口S3、前記第2空間S2を介して前記第1空間S1へと前記大気の流入はなくなり、前記燃料の消費により、再び負圧の状態となると、流入し、以下同様な動作が繰り返されることとなる。上述したような、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触している状態において、前記エンジン99の駆動による前記燃料の消費により前記燃料タンク100内の圧力が負圧になった場合の動作は、以下に説明する前記給油口キャップ10や弁機構体60に関する全ての実施形態において、同様に適用される。
なお、この前記給油口98に前記給油口キャップ10(前記キャップ本体14)を取り付ける方法又は構造は、板バネから成る前記スプリング33に限らず、ネジ式でもよく、特にその取付方法又は構造は問わず、以下前述したネジ式の実施形態について、説明する。
先ず、図12に示すように、前記内蓋13下部に取付部材としての中空の外筒状部13Dを形成し、連通路としての空間を有する前記外筒状部13Dの内側面に雌ネジ部13Eを形成して、前記給油口98に形成した雄ネジ部と螺合することにより、前記給油口98に前記給油口キャップ10(前記キャップ本体14)を取り付ける。
そして、前記外筒状部13Dの内方に内筒状部13Fを形成し、前記第1空間S1内に収納される前記昇降部材23が落下しないように、キャップ18の周縁部に形成された嵌合溝18Aに前記内筒状部13Fを嵌合させる。これにより、前記内蓋13に固定された前記キャップ18が前記昇降部材23を支持する前記スプリング17を支持し、結果として前記昇降部材23は落下しないように支持される。
そして、前記キャップ18の中央部に、前記第1空間S1に連通する空気通路18Sが形成され、該空気通路18Sの下部は前記燃料タンク100内部と連通する。即ち、前記キャップ18の下面に開設された溝18B内には前記流体の波動防止用の蓋体19が設けられるが、前記溝18Bの下面開口は前記燃料タンク100内部と連通する一部(流体吸排口)20Aを除いて前記蓋体19により塞がれ、前記蓋体19の上方には前記流体吸排口20Aに連通する流体通路20B及び前記空気通路18Sが形成される。
21は中央部が開口しているガスケットで、前記キャップ18の前記嵌合溝18Aに前記内筒状部13Fを嵌合させると、前記キャップ18の外径が前記ガスケット21の前記開口の内径より大径であるので、前記キャップ18の折返し片18Cにより抜けが防止される。そして、前記給油口98に前記給油口キャップ10を取り付ける際に、前記外筒状部13Dの内壁面に形成された前記雌ネジ部13Eに前記給油口98に形成した雄ネジ部を螺合させると前記給油口98の口金が前記ガスケット21に当接し密閉される。
(1−2)前記筒本体16の第2の実施形態(前記弁部VB、図13及び図14参照)
次に、前記筒本体16の第2の実施形態について、図13及び図14に基づいて説明するが、以後説明する全ての実施形態にも適用できるものである。前記筒本体16の第1の実施形態は、前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に上下方向に延びる数条の前記凸部16Tを突出させて、各凸部16T間に前記第1空気通路15を形成する形態であった。
しかし、この第2の実施形態は、前記開口S3と前記第2空間S2とに連通する複数の第2空気通路15Aが前記筒本体16の前記第2側壁16Eに形成される形態である。詳述すると、前記第2側壁16Eの前記内側面16E1(前記第2空間S2を形成する内側面)に、所定の間隔を存して、上下方向に延びて、横断平面が、例えば三角形状の凹部(外方へ向けて凹ませて形成する。)を複数条(例えば、8個)形成して、前記第2空気通路15Aが形成される。即ち、前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1には、前記凹部である前記第2空気通路15Aと前記弁体22が接触する前記第2側壁16Eの前記内側面16E1とが交互に形成されることとなる。
なお、前述したように、前記上水平壁16Fの中心を通って縦断面したときの前記空間S2の形状は台形状を呈しており、この台形の斜辺の上方への延長線同志が交わる角度は、例えば60度であるが、前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部の深さも全域に亘って同じ深さであるため、図13に示すように、前記凹部の前記最深部の上方への延長線同志が交わってできる角度も60度であるが、これに限らず、50度以上から70度以下が望ましく、前記空間S2は円錐台形状を呈していればよい。
また、この第2の実施形態における前記弁部VBは、前記弁体22の前述した前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に押圧して線接触する部位間の前記弁体22の線接触しない前記横方向の外周の部分CF2と、前記弁体22の前記中心COと前記横方向の外周CFとを結んでできた前記面CS(例えば、円錐面)を外方へ延長した前記面で前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部を形成するための面を切断した前記第2空気通路15Aの切り口である第2連通口RBとで構成される。従って、前述したように、線接触しない前記横方向の外周の部分CF2と前記第2連通口RBとで構成される面積が極小さい前記弁部VBが形成されることとなる。
以上のように、構成することにより、前記筒本体16の第2の実施形態の作用も第1の実施形態と同様であり、特に異なる作用のみ説明する。前記燃料タンク100が概ね水平状態にあって、前記エンジン99の停止中においては、前記燃料タンク100内の前記内圧が高まっても、例えば5kPa未満であれば、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に前記スプリング17の付勢力により押圧されて線接触した状態が維持され、前記弁部VBの面積の大きさにより設定された第2通路抵抗(前記弁部VBを前記流体が通過するときの抵抗)により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない。
(1−2)の実施形態における5kPaは、前記弁部VBの面積の大きさにより設定された前記第2通路抵抗と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量以上の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
従って、前記燃料タンク100内の前記燃料が蒸発して前記VOCガスが発生しても、また前記燃料が膨張しても、前述したように、前記VOCガス又は前記燃料が前記自動車101外部へ放出されることが抑制される。このため、前記燃料から蒸発した有害な前記VOCガス又は前記燃料を前記自動車101外部に放出させないので、環境汚染を防止できる。
そして、同じく前記エンジン99の停止中において、前記燃料タンク100内の圧力が、例えば5kPaに達すると、前記第2側壁16Eの前記第2空気通路15A内を高圧の前記VOCガス又は膨張した前記燃料が前記第2通路抵抗に抗して上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1と線接触している前記弁部VBを通過し、この斜め上方へ向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記弁体22を押し下げるように作用し、前記スプリング17の付勢力に抗して前記弁体22及び前記昇降部材23が下降され、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記内側面16E1と線接触を解除し、前記弁部VBを開放する。すると、前記燃料タンク100内の過大な圧力(前記VOCガスや前記燃料を含む。)は、前記開口33B、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第2空気通路15Aを含む。)、前記開口S3、前記空間12S、前記空間44、前記空気通路43、前記隙間40を介して、前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部に放出されることとなる。
すると、この放出により前記燃料タンク100の内の圧力は直ちに5kPa未満の圧力の状態になって、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
なお、前記燃料の消費により前記燃料タンク100内が負圧に変わったときの作用については、前述した前記筒本体16の第1の実施形態の作用と同様であり、ここでは説明は省略する。
なお、前記筒本体16の前記第1の実施形態及び第2の実施形態において、前記弁部VA又はVBの開放圧力を、例えば5kPaに設定した場合において、前記燃料タンク100が傾斜しても、前記燃料タンク100内の圧力が5kPa未満であれば、前記弁部VA又はVBは開放しない。
また、前記燃料タンク100が傾斜した際に、前記弁部VA又はVBに設定した開放圧力、例えば5kPa以上の圧力の前記VOCガス又は前記燃料が前記筒本体16内に流入したとき、前記筒本体16の前記第1の実施形態において説明した前記弁体22が前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部に点接触している状態から、又は前記第1の実施形態において説明した前記弁体22が前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触した状態から、前記弁体22は前記昇降部材23の下降ストローク分下方に落下し、前記燃料タンク100内の前記VOCガスや前記燃料は前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部へ放出される。
この場合、傾斜した前記筒本体16の前記第2空間S2において、前記弁体22は前記筒本体16の下方に位置する前記内側面16E1上に移動して、前記第2空間S2の縦方向の中心軸から離れてしまうこととなる。
そこで、前記弁体22が前記第2空間S2の縦方向の中心軸から離れてしまうのを最小限にするため、球状の前記弁体22から、例えば0.1mm以上〜0.4mm以下の距離(間隔)を隔てて設けられる案内用のリブ又は囲い(共に図示せず)を前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に内方に向けて設ける。前記リブ又は前記囲いは、前記弁部VA又はVBより下方の位置において、その内側端部が円錐台形状の前記第2空間S2の上下方向の中心線と平行になるように下方へと延びて形成される。
これにより、前記距離(前記間隔)の存在により、前記リブ又は前記囲いの前記内側端部に沿って、前記弁体22が案内されながら昇降する際に、その昇降を容易にし、前記弁部VA又はVBの開閉動作を安定させる。なお、前記弁体22及び前記昇降部材23の上下移動ストロークは前記弁体22の直径の半分以下とする。
(2)前記弁体22及び前記昇降部材23の第2の実施形態(弁部VC、図7(D)、図15及び図16参照)
次に、図7(D)、図15及び図16に基づいて、前記弁体22及び前記昇降部材23の第2の実施形態について説明するが、前記第1の実施形態が前記弁体22及び前記昇降部材23とを別体で構成したのに対し、前記第2の実施形態は一体にして構成したものであり、以下説明する。
前記弁体22及び前記昇降部材23の第2の実施形態は、特に図7、図9及び図10に示す前記第1空気通路15を形成する前記筒本体16に適用して説明するが、図13及び図14に示す前記第2空気通路15Aを形成する前記筒本体16に適用してもよく、その他の構成は同一である。但し、図13及び図14に示すような前記第2空気通路15Aを前記筒本体16に形成した場合には、後述する弁体部22Aの半球部分22A1の上下方向における、例えば1/2の位置における横方向の外周CP(「水平方向に切断した面の円周」であって、以下「前記半球部分22A1の前記横方向の外周CP」と略す。)が前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触することとなり、以下の説明も、前記横方向の外周CPのように理解するものとし、前記第2空気通路15Aを前記筒本体16に形成した場合の実施形態の説明は省略する。
先ず、前記昇降部材23は概ね有底中空円筒状を呈して、下部の前記大径部23Aと、上部の前記小径部23Bと、該小径部23Bの上壁23B1の上面中央部に形成された前記弁体部22Aとから構成される。前記弁体部22Aは上部の概ね半球である前記半球部分22A1と下部の円柱部分22A2とから構成され、縦断面すると、上部の半円形状の部分と下部の長方形状の部分となる(図15参照)。
そして、前記昇降部材23の前記大径部23Aと前記小径部23Bとの前記段差壁23E及び前記小径部23Bの前記側壁23Fは、前記筒本体16の前記下水平壁16D及び前記第2側壁16Eとは接触しないで、僅かの隙間を有している。
そして、前記大経部23A内に収納された前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23は上昇され、前記弁機構部を構成する前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部(前記第2空間S2内への突出方向における前記頂部)に押圧されて点接触することとなる。
詳述すると、前記弁体部22Aの前記半球部分22A1を、全球状とした場合における上半球の上下方向における、例えば1/2の位置における前記横方向の外周CPが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触することとなる。
そして、本実施形態では、前記弁部VCは前記弁体部22Aの前述した前記横方向の外周CPが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部に押圧して点接触する部位間の前記弁体部22Aの横方向の点接触しない前記横方向の外周CPの部分と、前記弁体部22Aの前記半球部分22A1を球とした場合の中心CNと前記横方向の外周CPとを結んでできた面CU(例えば、円錐面)を外方へ延長した面で前記第1空気通路15を形成する前記内側面16E1及び該内側面16E1の両隣の前記凸部16Tを切断した前記第1空気通路15の切り口である第1連通口とで構成される。
なお詳述すると、前述した前記面CUを外方へ延長した面については、半径方向の外方へ延長したり、斜め上方向へ延長して形成した面である。
このように構成することにより、前記筒本体16の第1の実施形態において述べた作用と同様な作用であり、以下簡単に説明する。前記燃料タンク100が概ね水平状態にあって、前記エンジン99の停止中においては、前記燃料タンク100内の内圧が高まっても、5kPa未満であれば、前記スプリング17の付勢力により前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した前記凸部16Tと点接触した状態を維持して、前記弁部VCに設定された第1通路抵抗(前記弁部VCを前記流体が通過するときの抵抗)により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない(図15参照)。
そして、同じく前記エンジン99の停止中において、前記燃料タンク100内の圧力が、例えば5kPaに達すると、前記第2側壁16Eの前記第1空気通路15内を、この高圧の前記VOCガス又は膨張した前記燃料が前記第1通路抵抗に抗して上昇して、前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPが前記第2側壁16Eの前記凸部16Tと点接触している前記弁部VCを通過し、この斜め上方へ向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記昇降部材23を押し下げるように作用し、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23を下降させ、前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPと前記凸部16Tとの点接触を解除し、前記弁部VCを開放する(図16参照)。すると、前記燃料タンク100内の過大な圧力(前記VOCガスや前記燃料を含む。)は、前記開口33B、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15を含む。)、前記開口S3、前記空間12S、前記空間44、前記空気通路43、前記隙間40を介して、即ち前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部に放出されることとなる。
すると、この放出により前記燃料タンク100の内の圧力は直ちに5kPa未満の圧力の状態になって、前記スプリング17の付勢力により前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPが前記第2側壁16Eの前記凸部16Tと点接触し、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
なお、前記弁体部22Aを、図13及び図14に示す前記第2空気通路15Aを形成する前記筒本体16に適用した場合には、弁部は前記昇降部材23の前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPが前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に押圧して線接触する部位間の前記弁体部22Aの線接触しない前記横方向の外周CPの部分と、前記弁体部22Aの前記半球部分22A1を球とした場合の前記中心CNと前記横方向の外周CPとを結んでできた前記面CU(例えば、円錐面)を外方へ延長した前記面で前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部を形成するための面を切断した前記第2空気通路15Aの切り口である第2連通口とで構成される。
この場合、前記スプリング17の付勢力により前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CPが前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に押圧されて線接触している状態において、前記燃料タンク100内の燃料が蒸発して発生した前記VOCガス又は膨張した前記燃料により前記燃料タンク100内の圧力が高まって、例えば5kPaに達すると、前記弁部の面積の大きさにより設定された第2通路抵抗に抗して前記内側面16E1に形成した前記第2空気通路15A内を前記VOCガス又は前記燃料が上昇して、前記弁部を通過して、斜め上方へ向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が前記スプリング17の付勢力に抗して円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記昇降部材23を押し下げて下降させ、前記弁部を開放することにより前記燃料タンク100内の過大な圧力を前記第1空間S1、前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部に放出する。
なお、以上説明した前記弁体部22Aを使用する2つの実施形態において、前記燃料の消費により前記燃料タンク100内が負圧に変わったときの作用については、前述した前記筒本体16に形成した前記第1空気通路15、前記第2空気通路15Aに適用した前記弁体22の実施形態の作用と同様であり、ここでは説明は省略する。
なお、以上の(2)の実施形態における5kPaは、前記弁部VC又は前記弁部の面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗又は前記第2通路抵抗と、前記弁体部22Aを備えた前記昇降部材23の重量以上の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
(3)前記弁体22及び前記昇降部材23の第3の実施形態(弁部VD、図7(E)、図17及び図18参照)
次に、図7(E)、図17及び図18に基づいて、前記弁体22及び前記昇降部材23の第3の実施形態について説明するが、前記弁体22及び前記昇降部材23の第1の実施形態が前記弁体22及び前記昇降部材23とを別体で構成したのに対し、前記第2の実施形態と同様に、この第3の実施形態も一体にして構成したものであり、以下説明する。この第3の実施形態は、特に図7、図9及び図10に示す前記第1空気通路15を形成する前記筒本体16に適用して説明するが、図13及び図14に示す前記第2空気通路15Aを形成する前記筒本体16に適用してもよく、その他の構成は同一である。
先ず、前記昇降部材23は概ね有底中空円筒状を呈して、下部の前記大径部23Aと、上部の前記小径部23Bと、この小径部23Bの前記上壁23B1の上面中央部に形成された弁体部22Bとから構成される。前記弁体部22Bは上部の円錐台部分22B1と下部の円柱部分22B2とから構成され、縦断面すると、上部の台形形状の部分と下部の長方形状の部分となる(図17参照)。
前記昇降部材23の円錐台形状の前記弁体部22Bの側面BB1の上方への延長線同志で形成される角度は、対向する前記凸部16Tの前記頂部の上方への延長線同志が交わってできる角度と同様に、同じく60度である。
そして、前記大径部23A内に収納された前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23は上昇され、前記弁機構部を構成する前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の側面22BB1が前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部(前記第2空間S2内への突出方向における頂部)に押圧されて線接触することとなる。但し、図13及び図14に示すような前記第2空気通路15Aを前記筒本体16に形成した場合には、前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1が前記第2空気通路15Aを形成する凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に面接触することとなり、以下の説明も、このように理解するものとし、前記第2空気通路15Aを前記筒本体16に形成した場合の実施形態の説明は省略する。
そして、前記円錐台部分22B1の側面22BB1と複数条の前記凸部16Tの前記頂部との接触する部分が長いので、接触する部分の前記第1空気通路15の長さも長くなって、前記弁部VDに第1通路抵抗を設定できる範囲が拡大できる。
そして、本実施形態では、前記弁部VDは前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1が前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部と線接触する部位間の前記弁体部22Bの横方向の線接触しない前記側面22BB1と、この線接触しない前記側面22BB1に対応する前記内側面16E1及び該内側面16E1の両隣の前記凸部16Tで形成される第1連通口とで構成される。
このように構成することにより、前記筒本体16の第1の実施形態において述べた作用と同様であり、以下簡単に説明する。前記燃料タンク100が概ね水平状態にあって、前記給油口キャップ10の作用について説明する。前記エンジン99の停止中においては、前記燃料タンク100内の内圧が高まっても、5kPa未満であれば、前記スプリング17の付勢力により前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1が前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部と線接触して、前記弁部VDに設定された前記第1通路抵抗(前記弁部VDを前記流体が通過するときの抵抗)により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない(図17参照)。
そして、同じく前記エンジン99の停止中において、前記燃料タンク100内の圧力が、例えば5kPaに達すると、前記第2側壁16Eの前記第1空気通路15内を、この高圧の前記VOCガス又は膨張した前記燃料が前記第1通路抵抗に抗して上昇して、前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の側面22BB1が前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tの前記頂部と線接触している前記弁部VDを通過して斜め上方へ向けて上昇する高圧の前記VOCガス又は前記燃料が円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記昇降部材23を押し下げるように作用し、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23を下降させ、前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の側面22BB1と複数条の前記凸部16Tの前記頂部との線接触を解除し、前記弁部VDを開放する(図18参照)。すると、前記燃料タンク100内の過大な圧力(前記VOCガスや前記燃料を含む。)は、前記開口33B、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15を含む。)、前記開口S3、前記空間12S、前記空間44、前記空気通路43、前記隙間40を介して、即ち前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部に放出されることとなる。
すると、この放出により前記燃料タンク100の内の圧力は直ちに5kPa未満の圧力の状態になって、前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1が前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tの前記頂部と線接触し、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
なお、前記弁体部22Bを、図13及び図14に示す前記第2空気通路15Aを形成する前記筒本体16に適用した場合には、前記昇降部材23の前記弁体部22Bの前記側面22BB1が前記筒本体16の前記第2空気通路15Aを形成する凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に押圧して面接触する部位間の面接触しない前記側面22BB1と、この面接触しない前記側面22BB1に対応する前記内側面16E1に前記凹部を形成するための面とで形成される第2連通口とで弁部を構成する。
この場合、前記弁体部22Bの前記側面22BB1が前記筒本体16の前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に面接触している状態において、前記燃料タンク100内の燃料が蒸発した前記VOCガス又は膨張した前記燃料によりこの燃料タンク100内の圧力が高まって5kPaに達すると、前記弁部に設定された第2通路抵抗に抗して前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成された前記第2空気通路15A内を前記VOCガス又前記燃料が上昇して、前記弁部を通過して斜め上方へ向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が前記スプリング17の付勢力に抗して斜め下方へ前記昇降部材23を押し下げて下降させ、前記弁体部22Bの前記側面22BB1と前記筒本体16の前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1との面接触を解除し、前記弁部を開放することにより前記燃料タンク100内の過大な圧力を前記第1空間S1、前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部に放出する。
なお、以上説明した前記弁体部22Bを使用する2つの実施形態において、前記燃料の消費により前記燃料タンク100内が負圧に変わったときの作用については、前述した前記筒本体16に形成した前記第1空気通路15、前記第2空気通路15Aに適用した実施形態の作用と同様であり、ここでは説明は省略する。
なお、前記弁体22及び前記昇降部材23の前述した第2及び第3の実施形態において、前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に、複数条の前記凸部16Tを突出させて前記第1空気通路15を形成するか、又は複数個の凹部を形成させて前記第2空気通路15Aを形成するようにしたが、これに限らず、前記弁体部22Aの半球部分22A1の表面に、又は前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1の表面に下方向に延びる凸部を複数条突出させたり、複数個の凹部を形成して、空気通路を形成してもよい。即ち、前記弁体部22A又は22Bに前記空気通路を形成してもよい。
また、前記弁体22及び前記昇降部材23の前述した第2及び第3の実施形態において、前記弁体部22A、22Bは、前記昇降部材23と一体化したが、材料としては、燃料に対して耐溶剤性のある合成樹脂材料であるナイロン6又はナイロン66により作製し、軽量化を図ることができる。このため、ステンレス製の前記弁体22と比べて、前記スプリング17の付勢力は弱くてもよい。
以上の実施形態で説明した前記弁機構部は、前記燃料タンク100内の圧力が一定以上の圧力値になるまでは、前記有害な前記VOCガス又は膨張した前記燃料を前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部に放出せず、更に一層、前記自動車101の燃費向上が図れると共に環境汚染の防止ができる。
そして、前記燃料タンク100内の前記燃料の消費により負圧になると、前記弁部VD又は前記弁部を開き、前記大気を前記開口S3及び前記第1空気通路15又は前記第2空気通路15Aを介して前記筒本体16内へと導いて、前記燃料タンク100内に前記大気を導入し、前記弁機構部は前記燃料タンク100内を大気圧の状態にする機能を有する。
なお、前記燃料タンク100が傾斜しても、前記燃料タンク100内の圧力、言い換えると前記弁部VD又は前記弁部より下方の圧力が、設定した圧力値、例えば5kPa未満であれば、前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1が前記第2側壁16Eの複数条の前記凸部16Tの前記頂部と線接触し又は前記弁体部22Bの前記側面22BB1が前記第2空気通路15Aを形成する前記凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に面接触する状態を維持して、前記第1空気通路15又は前記第2空気通路15Aの途中にある前記弁部VD又は前記弁部に設定された前記第1通路抵抗又は前記第2通路抵抗が大きく、また気体に比べて前記燃料の粘度も高く、前記給油口キャップ10から外部へ前記燃料が漏れることを抑制できる。
なお、以上の(3)の実施形態における5kPaは、前記弁部VD又は前記弁部の断面積と長さ(体積)の大きさにより設定された前記第1通路抵抗と、前記弁体部22Bを備えた前記昇降部材23の重量以上の前記付勢体17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
(4)前記スプリングの付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量や、前記弁体部22A又は22Bを備えた前記昇降部材23の重量の1.0倍未満とした実施形態(図1乃至図18参照)
以上の図1乃至図18に示す全ての実施形態については、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22(図8及び図13参照)との合計した重量や、前記弁体部22Aを備えた前記昇降部材23(図15参照)の重量や、前記弁体部22Bを備えた前記昇降部材23(図17参照)の重量の1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下としたものであるが、1.0倍未満、例えば0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態について、説明する。
この0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態にあっては、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあれば、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、前記昇降部材23と前記弁体22、前記弁体部22Aを備えた前記昇降部材23、前記弁体部22Bを備えた前記昇降部材23は、前記スプリング17が圧縮された状態で、下降した状態にある。
従って、前記弁体22、前記弁体部22A、前記弁体部22Bは、前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記凸部16T又は前記内側面16E1には接触せずに、前記弁部VA、VB、VC、VD等(以下「前記弁部VA等」と省略する。)は開放している。
しかし、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、傾斜角度が90度になるまでは、この傾斜角度に応じて前記昇降部材23及び前記弁体22の、前記弁体部22Aを備えた前記昇降部材23の、前記弁体部22Bを備えた前記昇降部材23の前記スプリング17に掛かる重量が減少し、前記スプリング17はその伸長する長さが増すこととなる。やがて、前記スプリング17が所定の長さになると、前記弁体22、前記弁体部22A、前記弁体部22Bは、前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記凸部16T又は前記内側面16E1に接触することとなる。
このため、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、前記燃料が前記スプリング33の前記開口33Bを介して前記筒本体16と前記昇降部材23との前記隙間35内に流入したときに、前記昇降部材23内にも流入して前記昇降部材23内の圧力を高めて、前記スプリング17の付勢力と相俟って、前記昇降部材23と前記弁体22や、前記弁体部22Aを備えた前記昇降部材23や、前記弁体部22Bを備えた前記昇降部材23を押し上げて、前記弁体22の上半球、前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の上下方向における、例えば1/2の位置における前記横方向の外周CF、CPが前記凸部16Tの前記頂部に押圧されて点接触して(又は前記横方向の外周CF、CPが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触して)又は前記弁体部22Bの前記円錐台部分22B1の前記側面22BB1が前記凸部16Tの前記頂部に押圧されて線接触して(又は前記第2空気通路15Aを形成する凹部を除く前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に押圧されて面接触して)、前記弁部VA等に設定された前記第1通路抵抗又は前記第2通路抵抗により、前記第1空間S1内の前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100の外部、即ち前記給油口キャップ10の外部へと流れない。
以上のように、前記燃料タンク100が傾斜した状態において、前記所定値である、例えば5kPaに達するまでは、前述したような点接触、線接触、面接触している状態が維持されるため、前記燃料は前記給油口キャップ10外部へと流出しない。
従って、前記燃料の前記燃料タンク100外部への放出を抑制し、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また同じく前記燃料タンク100が傾斜した状態で、前記燃料タンク100からの前記燃料の圧力(流体圧力)が、例えば5kPaに達した場合には、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23と前記弁体22を下降させて、前述したような点接触、線接触、面接触している状態を解除して前記弁部を開放する。
なお、前記燃料タンク100が水平状態(「概ね水平状態」含む。)に復帰した場合には、前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量や前記弁体部22A又は22Bを備えた前記昇降部材23の重量によって、これらが下降して、前記弁部VA等は、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、開放される。
なお、以上の(4)の実施形態における5kPaは、前記弁部VA等の面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗又は前記第2通路抵抗と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
(5)第2の実施形態の前記給油口キャップ10(図19乃至図22参照)
以下の(5−1)及び(5−2)の説明は、前記弁部VAを使用した前記給油口キャップ10についてのものであるが、前記弁部VBを使用する前記給油口キャップ10にも適用できる。
(5−1)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上の実施形態(図19乃至図21参照)
次に、前述した図7に示す前記筒本体16や前記内蓋13内に収納される各部品とは一部異なる部品を使用する他の実施形態の前記給油口キャップ10について、図19乃至図22に基づいて説明する。先ず、前記筒本体16の前記第1側壁16Cの下端部には、外方へと広がる前記内蓋13の前記底壁13Aとの段差部16Gを形成する。従って、前記第1空間S1より大径で該第1空間S1に連通する空間S4が、前記内蓋13の前記底壁13Aに形成される。
50は概ね中空円筒状を呈する吹上部材で、該吹上部材50は前記昇降部材23の前記空間23S内に収納される前記スプリング17内に遊挿(「前記スプリング17内に該スプリング17の内側と隙間を存して挿入されて配置する意」、以下同じ。)される小径部50Aと、該小径部50Aより大径でその上面上に前記スプリング17の下部を支承する段差部50Bと、該段差部50Bより大径であって前記段差部16Gの下面にその上面が当接する大径部50Cとを備えている。前記小径部50Aと前記大径部50Cとを接続する前記段差部50Bにより、前記吹上部材50には小径空間50S1及び該小径空間50S1下部に連通する大径空間50S2が形成される。
51は第1抵抗部材で、平面視円形状を呈する下部51Aと、該下部51Aの上面中央部に立設した円柱状の上部51Bとを備えている。前記第1抵抗部材51の前記下部51Aの上面周縁部は前記段差部50Bの下面に当接した状態で、前記下部51Aは前記吹上部材50の前記大径空間50S2内に収納(配置)される。このとき、前記上部51Bは前記小径空間50S1を形成する内側面と離れた状態で前記小径空間50S1内に収納されることなる。従って、前記小径空間50S1の横断平面積は、前記上部51Bが前記小径空間50S1内に収納された状態では、その分だけ横断平面積が小さくなり、通路抵抗が増加して前記小径空間50S1内に流入する前記VOCガス又は前記燃料の圧力を減少させる。
なお、前記第1抵抗部材51の前記下部51Aの上面及び下面には外径が周端部に至らない位置まで延びた、平面視円形状の溝51C、51Dが形成されると共に、前記溝51Cと51Dとを連通させる連通口51Eが2個形成される。この連通口51Eは横断平面積が小さくて通路抵抗が大きく、前記VOCガス又は前記燃料が通過する通路抵抗を大きくして前記小径空間50S1内に流入する前記VOCガス又は前記燃料の圧力を減少させる。なお、前記溝51Cの深さは、例えば0.2mmで、前記溝51Dの深さは、例えば0.3mmである。
52は平面視円形状を呈する第2抵抗部材で、前記第1抵抗部材51の前記下部51Aの上面周縁部は前記段差部50Bの下面に当接した状態で前記吹上部材50の前記大径空間50S2内に収納される。該第2抵抗部材52の上面及び下面には外径が周端部に至らない位置まで延びた、平面視円形状の溝52A、52Bが形成されると共に、前記溝52Aと前記溝52Bとを連通させる連通口52Cが2個形成される。この連通口52Cは横断平面積が小さくて通路抵抗が大きく、前記VOCガス又は前記燃料が通過する通路抵抗を大きくして前記第1抵抗部材51の前記連通口51Eを介して前記小径空間50S1内に流入する前記VOCガス又は前記燃料の圧力を減少させる。なお、前記溝52Aの深さは、例えば0.2mmで、前記溝52Bの深さは、例えば0.3mmである。そして、前記溝52A及び52Bの横断平面積と、前記連通口52Cの横断平面積及び長さとにより設定された通路抵抗が形成され、通過する前記流体の圧力を減圧できる。
なお、特に前記燃料は気体に比べ粘性があり、前記燃料タンク100が傾斜した際に、前記燃料タンク100からの前記燃料が前記第1抵抗部材51の前記連通口51Eを介して前記吹上部材50の前記小径空間50S1に流入したとき、外気温の上昇により前記燃料の圧力が上昇していても、前記吹上部材50、前記第2抵抗部材52、前記第1抵抗部材51に形成される通路抵抗により、前記燃料の圧力を減少することができ、前記弁部VA(又は前記弁部VB)にかかる圧力が小さくなり、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を介して前記給油口キャップ10外部への前記燃料の流出を抑制することができる。また、(5)の実施形態においては、前記第1抵抗部材51を使用するが、前記第2抵抗部材52は必ずしも使用しなくともよい。
なお、以上の図19乃至図22に示す実施形態における前記弁機構部は、前記筒本体16、前記昇降部材23、前記弁体22、前記スプリング17、前記吹上部材50、前記第1抵抗部材51及び前記第2抵抗部材52などで構成される。
以上の構成により、次に前述した図7に示す前記筒本体16や前記内蓋13内に収納される各部品とは一部異なる部品を使用する他の実施形態の前記給油口キャップ10の組み立てについて、説明する。尚、前記フィルター38の前記中抜き部38Aに前記内蓋13の前記筒本体16を挿入させた状態で前記外蓋12内に前記内蓋13を収納させ、前記内蓋13と前記外蓋12とは固定されているものとする。
先ず、例えば前記昇降部材23上に前記弁体22を載置させた状態で、前記筒本体16の空間内に前記昇降部材23を収納する。すると、前記昇降部材23の前記小径部23Bが前記弁体22を載置した状態で前記第2空間S2内に入り込むと共に、且つ前記大径部23Aが前記第1空間S1内に入り込むこととなる。
次に、前記昇降部材23の前記空間23S内に前記スプリング17を収納し、前記吹上部材50の前記大径空間50S2内に前記第1抵抗部材51の前記下部51Aを収納させながら前記第2抵抗部材52の上面を前記吹上部材50の前記大径部50Cの下面及び前記第1抵抗部材51の下面に当接させて、前記大径部50Cの上面の周縁部が前記段差部16Gの下面に当接するようにして、前記昇降部材23の前記空間23S内に収納された前記スプリング17内に前記吹上部材50の前記小径部50Aが納まるように且つ前記内蓋13の前記底壁13Aに形成された前記空間S4内に前記大径部50C及び前記第2抵抗部材52を収納させた状態で、前記内蓋13の前記底壁13Aの前記固定孔13Gと前記スプリング33の前記固定孔33Aとに前記リベット34を挿入することにより、前記底壁13Aに前記スプリング33を固定する。
これにより、前記弁機構部を備えた前記給油口キャップ10の組み立てが終了する。そして、このようにして組み立てられた前記給油口キャップ10は、前記給油口98に取り付けられて、利用されることとなる。
以下、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下とした実施形態について、前記給油口キャップ10の作用について説明する。
先ず、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあって、前記エンジン99の停止中において、外気温度が上昇して、前記燃料タンク100内の内圧が高まっても、前記燃料タンク100内の前記内圧が、例えば5kPa未満であれば、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tの前記頂部に前記スプリング17の付勢力により押圧されて点接触して(又は前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触して)、前記弁部VAに設定された前記第1通路抵抗(又は前記弁部VBに設定された前記第2通路抵抗)により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない。
なお、(5−1)の実施形態における5kPaは、前記弁部VA(又は前記弁部VB)の面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗又は前記第2通路抵抗と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量以上の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。なお、以下に説明する(6−2)、(7−1)の実施形態における5kPaも、(5−1)と同様の圧力値である。
このとき、前記第2抵抗部材52に前記連通口52C及び前記第1抵抗部材51に前記連通口51Eが形成され、更に前記吹上部材50の前記小径空間50S1内には前記第1抵抗部材51の円柱状の前記上部51Bが存在して、通路抵抗が増加されるので、前記筒本体16内に流入する前記VOCガス又は前記燃料の圧力を減少させるので、前記VOCガス又は前記燃料の前記燃料タンク100外部の放出を抑制する。
このため、前記燃料から蒸発した有害な前記VOCガス又は前記燃料を前記自動車101外部に放出させないので、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
そして、同じく前記エンジン99の停止中において、外気温度の更なる上昇に伴って、前記VOCガスの発生量が更に増大して、又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で前記燃料が膨張して、前記燃料タンク100内の圧力が更に高まって、例えば5kPaに達すると、前記燃料タンク100からの前記VOCガス又は前記燃料は、前記開口33B、前記第2抵抗部材52の前記溝52B、前記連通口52C及び前記溝52A、前記第1抵抗部材51の前記溝51D、前記連通口51E及び前記溝51C、前記吹上部材50の前記大径空間50S2及び前記上部51Bの周囲の前記小径空間50S1を経て前記昇降部材23の前記空間23Sに入り込む。このとき、前記第1抵抗部材51の前記連通口51Eで前記VOCガス又は前記燃料の圧力は減少されると共に前記第1抵抗部材51の前記上部51Bにより前記上部51Bの周囲の前記小径空間50S1を通過する前記VOCガス又は前記燃料の圧力も減少されて流速が早められた前記VOCガス又は前記燃料は、前記昇降部材23の前記空間23S内に噴出する。このため、前記VOCガス又は前記燃料は、前記昇降部材23の前記大径部23Aの側壁下部と前記吹上部材50の前記大径部50Cとの隙間、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15又は前記第2空気通路15Aを含む。)、前記開口S3、前記空間12S、前記空間44、前記空気通路43、前記隙間40を介して、前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部に放出されることとなる。
即ち、前記第2側壁16Eの各凸部16T間に形成された前記第1空気通路15内(前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成された前記第2空気通路15A内)を高圧の前記VOCガス又は膨張した前記燃料が前記弁部VAに設定された前記第1通路抵抗(又は前記弁部VBに設定された前記第2通路抵抗)に抗して斜め上方に向けて上昇して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を通過する。このため、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を通過して斜め上方に向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記弁体22を押し下げるように作用する。
従って、前記VOCガス又は前記燃料により、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23の前記大径部23Aの前記側壁下部が前記吹上部材50の前記大径部50Cの上面に当接するまで、前記弁体22及び前記昇降部材23が下降され、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放する(図21参照)。
このため、前記燃料タンク100内の圧力が、5kPa以上となって、上述したように、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記凸部16Tの前記頂部との点接触(又は前記横方向の外周CFと前記内側面16E1との線接触)を解除して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放すると、前記燃料タンク100内の過大な圧力(前記VOCガスや前記燃料を含む。)は、前記給油口キャップ10の外部、即ち前記自動車101外部に放出されることとなる。
すると、この放出により前記燃料タンク100の内の圧力は直ちに5kPa未満の圧力の状態になり、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23及び前記弁体22が上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触して(又は前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記内側面16E1に線接触して)、図20に示すような状態となる。従って、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
なお、図19乃至図21に基づいた説明は、前記燃料タンク100が概ね水平状態にある場合の作用についての説明であったが、前記燃料タンク100が傾斜した場合の作用についても同様である。
即ち、前記弁部VA(又は前記弁部VB)の開放圧力を、例えば5kPaに設定した場合において、前記燃料タンク100が傾斜しても、前記燃料タンク100内の圧力が5kPa未満であれば、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は開放しない。従って、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また、前記燃料タンク100が傾斜した際に、例えば5kPa以上の圧力の前記VOCガス又は前記燃料が前記筒本体16内に流入したとき、前記弁体22が前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部に点接触している状態(又は前記弁体22が前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触している状態)から前記弁体22は前記昇降部材23の下降ストローク分下方に下降し、前記燃料タンク100内の前記VOCガスや前記燃料は前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部へ放出される。
(5−2)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満の実施形態(図19、図21及び図22参照)
以上の図19乃至図21に示す実施形態については、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22(図8及び図13参照)との合計した重量の1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下としたものであるが、1.0倍未満、例えば0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態について、説明する。
この0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態にあっては、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあれば、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、図21に示すように、前記昇降部材23と前記弁体22は、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の付勢力で前記スプリング17が圧縮された状態で、下降している。
従って、前記弁体22は前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1の前記凸部16Tには点接触せずに(又は前記弁体22は前記内側面16E1に線接触せずに)、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は開放している。
しかし、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、傾斜角度が90度になるまではこの傾斜角度に応じて前記昇降部材23と前記弁体22との前記スプリング17に掛かる重量が減少し、前記スプリング17はその伸長する長さが増すこととなる。従って、前記スプリング17に掛かる重量が減少するに伴って、前記スプリング17の付勢力により前記弁体22は押し上げられ、やがて前記スプリング17の長さが所定の長さになると、前記弁体22の前記横方向の外周CFは前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記凸部16Tの前記頂部(又は前記弁体22は前記内側面16E1)に押圧されて接触することとなる。
即ち、図22に示すように、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、前記燃料が前記スプリング33の前記開口33Bを介して、前記第2抵抗部材52の前記溝52B、前記連通口52C及び前記溝52A、前記第1抵抗部材51の前記溝51D、前記連通口51E及び前記溝51C、前記上部51Bの周囲の前記小径空間50S1を経て前記昇降部材23の前記空間23Sに入り込む。このとき、前記第1抵抗部材51の前記連通口51Eで前記燃料の圧力は減少されると共に前記第1抵抗部材51の前記上部51Bにより前記上部51Bの周囲の前記小径空間50S1を通過する前記燃料の圧力も減少されて流速が早められた前記燃料は前記昇降部材23の前記空間23S内に噴出する。このため、前記スプリング17の付勢力と相俟って、前記昇降部材23と前記弁体22を素早く押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFは前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記凸部16Tの前記頂部に又は前記弁体22は前記内側面16E1に押圧されて点接触又は線接触することとなる。
なお、(5−2)の実施形態における5kPaは、前記弁部VA(又は前記弁部VB)の面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。なお、以下に説明する(6−1)、(7−2)の実施形態における5kPaも、(5−2)と同様の圧力値である。
以上のように、前記燃料タンク100が傾斜した状態において、前記所定値である、例えば5kPaに達するまでは前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記凸部16Tの前記頂部に点接触する状態又は前記内側面16E1に線接触する状態を維持しているため、前記弁部VA(又は前記弁部VB)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により、前記第1空間S1内の前記燃料は、前記昇降部材23の前記大径部23Aの前記側壁下部と前記吹上部材50との隙間、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15を含む。)、前記開口S3を介して前記燃料タンク100の外部、即ち前記給油口キャップ10の外部へと流出しない。
従って、前記燃料タンク100が傾斜して前記燃料タンク100から燃料が流入した場合に、前記燃料の前記燃料タンク100外部への放出を抑制し、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また同じく前記燃料タンク100が傾斜した状態で、前記燃料タンク100からの前記燃料の圧力(流体圧力)が、例えば5kPaに達した場合には、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23と前記弁体22を下降させて、前記弁体22の前記横方向の外周CFと複数条の前記凸部16Tの前記頂部との点接触又は前記内側面16E1との線接触を解除し、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放する。このため、設定した圧力に到達して前記燃料タンク内の圧力が高くなり過ぎた場合の安全弁としての機能を果たすことができる。
なお、前記燃料タンク100が水平状態(「概ね水平状態」含む。)に復帰した場合には、前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量によって、これらが下降して、前記弁体22は前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成された前記凸部16T(又は前記第2側壁16Eの前記内側面16E1)には接触せずに、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、開放される。
(6)前記給油口キャップ10の第3の実施形態
以下の(6−1)及び(6−2)の説明は、前記弁部VAを使用した前記給油口キャップ10についてのものであるが、前記弁部VBを使用する前記給油口キャップ10にも適用できる。
(6−1)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満の実施形態(図23及び図24参照)
次に、前記給油口キャップ10の他の実施形態について、図23及び図24に基づいて説明するが、特に図19乃至図22に基づく実施形態と異なる構成による作用を中心に説明する。
先ず、前記フィルター38の前記中抜き部38Aに前記内蓋13の前記筒本体16を挿入させた状態で前記外蓋12内に前記内蓋13を収納させ、前記内蓋13と前記外蓋12とは固定されているものとし、例えば前記昇降部材23上に前記弁体22を載置させた状態で、前記筒本体16の空間内に前記昇降部材23を収納する。すると、前記昇降部材23の前記小径部23Bが前記弁体22を載置した状態で前記第2空間S2内に入り込むと共に、且つ前記大径部23Aが前記第1空間S1内に入り込むこととなる。
次に、前記昇降部材23の前記空間23S内に前記スプリング17を収納し、前記第2抵抗部材52の上面を前記吹上部材50の前記大径部50Cの下面に当接するようにして、前記段差部16Gの下部の前記内蓋13の前記底壁13Aから垂下した中空円筒状の筒13J内に前記大径部50C及び前記第2抵抗部材52を収納する。
そして、小径空間53A及びこの小径空間53Aの下部に連通する大径空間53Bを中央部に備えた円板状の蓋体53の上面が前記第2抵抗部材52の下面に当接するように、該蓋体53の上面に形成された平面視リング状の嵌合溝53Cを前記筒13Jと嵌合させて、前記内蓋13に前記蓋体53を取り付ける。
また、前記蓋体53の前記小径空間53A内に前記第1抵抗部材51の前記上部51Bが入り込むように、且つ前記大径空間53B内に前記下部51Aが収納されるように、前記蓋体53に前記第1抵抗部材51が取り付けられる。
なお、図12に示す構造と同様に、前記内蓋13下部に形成された前記外筒状部13Dの内側面に形成された前記雌ネジ部13Eと、前記給油口98に形成した前記雄ネジ部とを螺合させることにより、前記給油口98に前記給油口キャップ10を取り付ける。
なお、以上の図23及び図24に示す実施形態における前記弁機構部は、前記筒本体16、前記昇降部材23、前記弁体22、前記スプリング17、前記吹上部材50、前記第1抵抗部材51及び前記第2抵抗部材52などで構成される。
以上の図23及び図24に示す実施形態については、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満、例えば0.8倍以上〜0.93倍以下とし、以下作用について説明する。
この0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態にあっては、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあれば、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、図23に示すように、前記昇降部材23と前記弁体22は、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の付勢力で前記スプリング17が圧縮された状態で、下降している。
従って、前記弁体22は前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成された前記凸部16T(又は前記第2側壁16Eの前記内側面16E1)には接触せずに、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は開放している。
しかし、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、傾斜角度が90度になるまでは、この傾斜角度に応じて前記昇降部材23と前記弁体22との前記スプリング17に掛かる重量が減少し、前記スプリング17はその伸長する長さが増すこととなる。従って、前記スプリング17に掛かる重量が減少するに伴って、前記スプリング17の付勢力により前記弁体22は押し上げられ、やがて前記スプリング17の長さが所定の長さになると、前記弁体22は前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記凸部16T(又は前記第2側壁16Eの前記内側面16E1)に接触することとなる。
このため、図24に示すように、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、前記第1抵抗部材51の前記溝51Dを介する前記燃料は前記連通口51Eで減圧された後、前記溝51Cを経て前記蓋体53の前記小径空間53A内に入り込むが、前記第1抵抗部材51の前記上部51Bにより前記上部51Bの周囲の前記小径空間53Aを通過する前記燃料の圧力も減少され、更に前記溝52Bを介する前記燃料は前記連通口52Cで減圧された後、前記溝52A、前記吹上部材50の前記大径空間50S2を経て、前記小径空間50S1から前記昇降部材23の前記空間23S内に噴出する。このため、前記スプリング17の付勢力と相俟って、前記昇降部材23と前記弁体22を素早く押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tの前記頂部に押圧されて点接触する(又は前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触する)。
以上のように、前記燃料タンク100が傾斜した状態において、例えば5kPaに達するまでは、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tの前記頂部に押圧されて点接触する(又は前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触する)ため、前記弁部VA(又は前記弁部VB)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により、前記第1空間S1内の前記燃料は、前記昇降部材23の前記大径部23Aの前記側壁下部と前記吹上部材50との隙間、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15又は第2空気通路15Aを含む。)、前記開口S3を介して前記燃料タンク100の外部、即ち前記給油口キャップ10の外部へと流出しない。
従って、前記燃料の前記燃料タンク100外部への放出を抑制し、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また同じく前記燃料タンク100が傾斜した状態で、前記燃料タンク100からの前記燃料の圧力(流体圧力)が、例えば5kPaに達した場合には、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23と前記弁体22を下降させて、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記凸部16Tの前記頂部との点接触(又は前記横方向の外周CFと前記第2側壁16Eの前記内側面16E1との線接触)を解除して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放する。
なお、前記燃料タンク100が水平状態(「概ね水平状態」含む。)に復帰した場合には、前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量によって、これらが下降して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、前記弁体22の前記横方向の外周CFは前記凸部16Tの前記頂部に点接触(又は前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触)せずに、開放される。
(6−2)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上の実施形態(図23参照)
次に、図23に示すような構造であるが、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下とした実施形態について、前記給油口キャップ10の作用について説明する。
先ず、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあって、前記エンジン99の停止中において、外気温度が上昇して、前記燃料タンク100内の内圧が高まっても、前記燃料タンク100内の前記内圧が、例えば5kPa未満であれば、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tの前記頂部に前記スプリング17の付勢力により押圧されて点接触して(又は前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触して)、前記弁部VA(又は前記弁部VB)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により、前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記給油口キャップ10外部へ放出されない。
このとき、前記第1抵抗部材51には前記連通口51Eが形成され、前記蓋体53の前記小径空間53A内の前記第1抵抗部材51の円柱状の前記上部51Bが存在し、前記第2抵抗部材52には前記連通口52Cが形成されて、通路抵抗が増加されるので、前記筒本体16内に流入する前記VOCガス又は前記燃料の圧力を減少させるので、前記VOCガス又は前記燃料の前記燃料タンク100外部の放出を抑制する。
このため、前記燃料から蒸発した有害な前記VOCガス又は前記燃料を前記自動車101外部に放出させないので、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
そして、同じく前記エンジン99の停止中において、外気温度の更なる上昇に伴って、前記VOCガスの発生量が更に増大して、又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で前記燃料が膨張して、前記燃料タンク100内の圧力が更に高まって、例えば5kPaに達すると、前記燃料タンク100からの前記VOCガス又は前記燃料は、前記第1抵抗部材51の前記溝51D、前記連通口51E及び前記溝51C、前記上部51Bの周囲の前記小径空間53A、前記第2抵抗部材52の前記溝52B、前記連通口52C及び前記溝52A、前記吹上部材50の前記大径空間50S2及び前記小径空間50S1を経て前記昇降部材23の前記空間23Sに入り込んで、更に前記昇降部材23の前記大径部23Aの前記側壁下部と前記吹上部材50との隙間、前記第1空間S1(前記隙間35)、前記第2空間S2(前記第1空気通路15又は前記第2空気通路15Aを含む。)、前記開口S3、前記空間12S、前記空間44、前記空気通路43、前記隙間40を介して、前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部に放出されることとなる。
即ち、前記第2側壁16Eに形成された前記第1空気通路15(又は前記第2空気通路15A)内を高圧の前記VOCガス又は膨張した前記燃料が前記弁部VA(又は前記弁部VB)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)に抗して上昇して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を通過する。このため、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を通過して斜め上方に向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ前記弁体22を押し下げるように作用する。
従って、前記VOCガス又は前記燃料により、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23の前記大径部23Aの前記側壁下部が前記吹上部材50の前記大径部50Cの上面に当接するまで、前記弁体22及び前記昇降部材23が下降して、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記凸部16Tの前記頂部との点接触(又は前記横方向の外周CFと前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触)が解除され、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放する(図23参照)。
このため、前記燃料タンク100内の圧力が、5kPaに達して、上述したように、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放すると、前記燃料タンク100内の過大な圧力(前記VOCガスや前記燃料を含む。)は、前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部に放出されることとなる。
すると、この放出により前記燃料タンク100の内の圧力は直ちに5kPa未満の圧力の状態になり、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23及び前記弁体22が上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触する(又は同じく前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触する。)。従って、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
即ち、前記弁部VA(又は前記弁部VB)の開放圧力を、例えば5kPaに設定した場合において、前記燃料タンク100が傾斜しても、前記燃料タンク100内の圧力が5kPa未満であれば、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部16Tの前記頂部と点接触した状態(又は同じく前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触した状態)を維持する。従って、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また、前記燃料タンク100が傾斜した際に、例えば5kPa以上の圧力の前記VOCガス又は前記燃料が前記筒本体16内に流入したとき、前記弁体22が前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に突出した複数条の前記凸部16Tの前記頂部に点接触している状態(又は前記内側面16E1に線接触している状態)から前記弁体22は前記昇降部材23の下降ストローク分下方に落下し、前記燃料タンク100内の前記VOCガスや前記燃料は前記給油口キャップ10を介して前記自動車101外部へ放出される。
なお、(6)の実施形態においては、前記第2抵抗部材52を使用するが、前記第1抵抗部材51は必ずしも使用しなくともよい。
(7)弁機構体60の第1の実施形態(図1乃至図25参照)
以下の(7−1)及び(7−2)の説明は、前記弁部VAを使用した前記弁機構体60についてのものであるが、前記弁部VBを使用する前記弁機構体60にも適用できる。
(7−1)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上とした実施形態(図1乃至図25参照)
以上の図1乃至図24に示す全ての実施形態は、前記自動車101の概略図を示す図1に示す前記給油口キャップ10についてのものであるが、この給油口キャップ10と同一の構造のものを前記弁機構体60として使用することもでき(図25参照)、以下説明する。
先ず、図25に示すように、前記給油口キャップ10とは異なる給油口キャップ61は、前記燃料タンク100に燃料としてのガソリンGを注入する際に、前記燃料タンク100の上面に設けられた給油口を開閉するものである。
即ち、前記給油口を介して前記燃料タンク100内部と大気とは連通し、前記給油口キャップ61を開いて前記燃料タンク100内にガソリンGを注入でき、前記給油口キャップ61を閉めると、前記給油口を介する大気との前記連通は遮断される。
また、図1乃至図24に基づいて説明した前記給油口キャップ10と同一の構造の前記弁機構体60を、前記燃料タンク100の上面に設ける。そして、前述した給油口キャップ61と前記弁機構体60とで、前記燃料タンク100の弁体装置を構成する。62はポンプで、前記燃料タンク100内の前記ガソリンGを配管63を介して前記エンジン99に供給する。
以上のように、構成することにより、先ず前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下とした場合について、前記弁機構体60の作用について説明する。
初めに、前記燃料タンク100が概ね水平状態又は傾斜した状態において、前記エンジン99の停止中において、外気温度が上昇して、前記燃料タンク100内の内圧が高まっても、前記燃料タンク100内の前記内圧が、例えば5kPa未満であれば、前述したように、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記凸部16Tの前記頂部に前記スプリング17の付勢力により押圧されて点接触して(又は同じく前記横方向の外周CFが前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に線接触して)、前記弁部VA(又は前記弁部VB)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により前記第1空間S1内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100外部、即ち前記弁機構体60外部へ放出されない。
同じく前記燃料タンク100が概ね水平状態又は傾斜した状態において、前記エンジン99の停止中において、外気温度の更なる上昇に伴って、前記VOCガスの発生量が更に増大して、又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で前記燃料が膨張して、前記燃料タンク100内の圧力が更に高まって、例えば5kPaに達すると、前記燃料タンク100からの前記VOCガス又は前記燃料は、前記筒本体16の前記第2側壁16Eに形成された前記第1空気通路15(又は前記第2空気通路15A)内を前記VOCガス又は前記燃料が上昇して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を通過し、この斜め上方に向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が前記弁体22を円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ押し下げ、前記燃料タンク100外部に過大な圧力を放出する。
(7−2)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満とした実施形態(図1乃至図25参照)
次に、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満、例えば0.8倍以上〜0.93倍以下とした場合について、前記弁機構体60の作用について説明する。
この0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態にあっては、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあれば、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、前記昇降部材23と前記弁体22は、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の付勢力で前記スプリング17が圧縮された状態で、下降している。従って、前記弁体22は前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成した前記凸部16T(又は前記内側面16E1)には接触せずに、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は開放している。
しかし、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、傾斜角度が90度になるまでは、傾斜角度に応じて前記昇降部材23及び前記弁体22との前記スプリング17に掛かる重量が減少し、前記燃料タンク100の水平時に圧縮していた前記スプリング17は前記傾斜角度が大きくなるに従い伸長する長さが増すこととなる。従って、前記スプリング17に掛かる重量が減少するに伴って、前記スプリング17の付勢力により前記弁体22は押し上げられ、やがて前記スプリング17の長さが所定の長さになると、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成した前記凸部16Tの前記頂部に押圧されて点接触(又は前記内側面16E1に線接触)することとなる。
このため、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、前述したように、例えば5kPaに達するまでは、前記燃料が前記昇降部材23内に流入して前記昇降部材23内の圧力を高めて、前記スプリング17の付勢力と相俟って、前記昇降部材23と前記弁体22を押し上げて、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記筒本体16の前記第2側壁16Eの前記内側面16E1に形成した前記凸部16Tの前記頂部に押圧されて点接触し(又は前記内側面16E1に線接触し)、前記弁部VA(又は前記弁部VB)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により、前記第1空間S1内の前記燃料は前記第2空間S2及び前記開口S3を介して前記燃料タンク100の外部、即ち前記弁機構体60の外部へと流れない。
従って、前記燃料の前記燃料タンク100外部への放出を抑制し、前記弁機構体60の前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また同じく前記燃料タンク100が傾斜した状態で、前記燃料タンク100からの前記燃料の圧力(流体圧力)が、例えば5kPaに達した場合には、前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23と前記弁体22を円錐台形状の前記第2空間S2内で斜め上方から下方へ下降させて、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記筒本体16の前記凸部16Tの前記頂部との点接触(又は前記内側面16E1との線接触)を解除し、前記弁部VA(又は前記弁部VB)を開放する。
なお、前記燃料タンク100が水平状態(「概ね水平状態」含む。)に復帰した場合には、前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量によって、これらが下降して、前記弁部VA(又は前記弁部VB)は、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記筒本体16の前記凸部16Tの前記頂部との点接触せずに(又は前記内側面16E1に線接触せずに)、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、開放される。
(8)弁機構体60の第2の実施形態(図26乃至図29参照)
次に、図26乃至図29に基づいて、給油口キャップ61と前記弁機構体60とで前記燃料タンク100の弁体装置を構成する場合(図25参照)の、前記弁機構体60の第2の実施形態について、以下説明する。但し、図19で示した前記弁体22、前記昇降部材23、前記スプリング17、前記吹上部材50及び前記第1抵抗部材51は、図26においては省略してあるが、前記弁機構体60には使用する。
(8−1)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満とした実施形態(図26乃至図28参照)
以下の図26乃至図28に示す実施形態については、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量が、1.0倍未満、例えば0.8倍以上〜0.93倍以下であり、以下説明する。
70は筒本体で、前記弁体22や前記昇降部材23を収納する内筒本体部71と、上端部には前記流体が通過できるように全周に亘って外側を切除して薄肉とした切除部72Aを形成すると共に4か所切除されて開口72Bが形成された中空円筒状の外筒本体部72と、前記内筒本体部71と前記外筒本体部72とを連結する連結部73と、前記外筒本体部72の下端部に該連結部73とは下方へと段差を有して外方へと延びた取付部74とを備えている。従って、前記内筒本体部71は、前記外筒本体部72の略中心位置に前記外筒本体部72の下部と前記連結部73を介して連結する。
前記内筒本体部71は円筒状の第1側壁71Cと、該第1側壁71Cの上部において内側に設けられる下水平壁71Dと、該下水平壁71Dの上部に設けられる第2側壁71Eと、該第2側壁71Eの上部に設けられると共に前記内筒本体部71内の空間と前記燃料タンク100外部(大気)とを連通させる開口71Sがその中央部に形成された上水平壁71Fとから構成される。そして、前記第1側壁71C、前記下水平壁71D及び前記第2側壁71Eとで、後述するが漏れた前記燃料の貯留部71Aが形成される。前記第2側壁71Eは、上方に向かうに従って内径が小さくなるような内側面71E1を有する。
なお、前記内筒本体部71の前記第2側壁71Eの前記内側面71E1(前記内側面71E1は、後述する第2空間S32を形成する。)には、上下方向に長くて且つ所定の間隔を存して内方へ突出した複数条の凸部71Tを形成し、各凸部71T間に第1空気通路を形成する。
前記連結部73の内側端部、即ち前記内筒本体部71の前記第1側壁71Cの下端部は切除されて第3空間S33が形成され、この第3空間S33は前記内筒本体部71内の円柱状の第1空間S31を介して円錐台形状の第2空間S32に連通する。前記取付部74の下面にリング状の収納溝74Aが下方から切除される。そして、取付部材82の中央部の平面視円形状の厚肉部82Tを前記連結部73と前記取付部74との段差により形成されて前記第3空間S33に下方から連通する第4空間S34内に嵌合させた状態で、ボルト80とナット81を使用して前記取付部材82に前記筒本体70を固定する場合には、更に前記取付部74の周端部との中間位置に前記ボルト80を挿通させるための取付孔74Bが複数開設される。
即ち、前記ボルト80と前記ナット81を使用して前記取付部材82に前記筒本体70を固定する場合には、Oリング86を前記収納溝74Aに収納した状態で、前記取付孔74Bと前記取付部材82に開設した取付孔82Bとを合致させて、両孔に前記ボルト80を挿通させて前記ナット81を締めて固定する(図26の最下段に示す前記取付部材82の左半分、図27及び図28の左半分参照)。また、超音波溶着により固定する場合には、前記取付部材82の上面に突設された平面視円形状の溶着用リブ82Aを前記収納溝74Aに嵌合した状態で前記収納溝74Aの形成面に超音波溶着して、前記取付部材82に前記筒本体70を固定する(図26の最下段に示す前記取付部材82の右半分、図27及び図28の右半分参照)。
前記取付部材82下部に設けられ前記取付部材82の前記厚肉部82Tに形成した連通口82S2に連通する空間(連通路)82S1を備える中空円筒状の筒状部82Cを形成し、該筒状部82Cの内側面に雌ネジ部82Dを形成して、前記燃料タンク100の上面に開設された開口に連通する空間を備えた中空状の取付筒部100Bが前記燃料タンク100の上面に設けられる。そして、前記取付筒部100Bの外側面に雄ネジ部を形成し、該雄ネジ部と前記筒状部82Cに形成された前記雌ネジ部82Dとを螺合させることにより、前記燃料タンク100に前記弁機構体60を取り付けることができる。
そして、前記外筒本体部72内の空間には、該外筒本体部72の側壁とは隙間を存した状態で、耐油性に優れる活性炭フィルターや、ウレタン合成樹脂製のフィルター等の多孔質のフィルター79を内部に収納する収納部材75が配設され、前記エンジン99が駆動して前記大気を前記燃料タンク100内に導入する際に、前記フィルター79は前記大気を濾過して前記大気中のゴミなどの異物を捕集して前記燃料タンク100内に入り込むのを阻止する。前記収納部材75の下部は、前記内筒本体部71の前記第1側壁71Cの上部に嵌合して取付けられる。しかし、前記収納部材75と前記筒本体70とは、別体のものを一体化させる場合に限らず、当初より一体化して作製してもよい。
詳述すると、前記収納部材75は中空円筒状を呈して、大径空間76Sが形成されると共に上端部には前記流体が通過できるように所定間隔を存して4か所切除されて開口76Aが形成された大径部76と、小径空間78Sが形成される小径部78と、前記大径部76と前記小径部78とを連結するもので前記小径空間78Sより小径の開口77Sが開成された連結部77とから構成される。そして、前記連結部77は外方から内方に向けて徐々に薄肉となるように上面が下方へと傾斜している。また、前記連結部77上面には所定間隔を存して4個のリブ77Aが所定間隔を存して形成され、該リブ77Aは前記大径部76の内側面から前記連結部77の前記開口77Sの内端部には至らない長さまで延びており、該リブ77Aの上面は前記フィルター79を水平に支持できるように水平に形成されている。
そして、前記内筒本体部71の前記第1側壁71Cの上部が前記小径部78の内側面と前記連結部77下面に当接した状態で、前記内筒本体部71が前記収納部材75に嵌合して、前記内筒本体部71に前記収納部材75が取り付けられる。
上蓋88は有底円筒状を呈して平面視円形状を呈すると共に縦断面が円弧状の上壁88Aと、該上壁88Aの周端部から垂れ下がった側壁88Bとを備えている。該上蓋88が前記筒本体70の前記外筒本体部72の上部に取り付けられた状態では、前記収納部材75内の空間は前記収納部材75の前記開口76A及び前記筒本体70の前記外筒本体部72の前記開口72Bと前記切除部72A、前記上蓋88の凹部88Dを介して大気と連通させる構成である。
前記上蓋88の対向する2か所において、前記上壁88A裏面にネジ90の軸部の外径より大径で且つ頭部の外径より小径の挿通孔89Aが開設された案内部材89が前記上壁88Aの周端部から内方へ延びるように形成され、また前記上蓋88には前記挿通孔89Aと同心円で且つ前記挿通孔89Aより大径の挿通孔88C(前記ネジ90の頭部より大径)が開設される。また、前記上蓋88の前記側壁88Bの内側面には、45度毎に前記凹部88Dが形成される。
前記フィルター79は対向する2か所に上下方向に延びた平面視半円状の凹部79Aが形成され、また前記収納部材75の前記大径部76には収納する前記フィルター79の形状に合わせて対向する2か所に上下方向に延びた平面視半円状の凹部76Bが形成される。そして、前記外筒本体部72の上部には、収納する前記収納部材75の前記大径部76の形状に合わせて対向する2か所に上下方向に延びた平面視半円状の膨出部72Cが形成される。また、前記膨出部72Cには前記ネジ90が螺合するネジ溝72Dが形成されている。
なお、前記昇降部材23の前記空間23S内に配設される前記スプリング17の長さは、前記昇降部材23の前記段差壁23E下面と前記吹上部材50の前記段差部50Bの上面との間(図19乃至図29の実施形態は同様である。図7乃至図11の実施形態では前記段差壁23E下面と前記スプリング33の上面との間、図12の実施形態では前記段差壁23E下面と前記キャップ18の上面との間である。)の寸法に前記昇降部材23の可動ストロークの、例えば1.0倍以上〜3.0倍以下の長さを加えた長さとすると共に、前記スプリング17に掛かる前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量によって前記燃料タンク100の水平時に圧縮される長さが定まる。この場合、圧縮量が多ければ前記スプリング17の反発力(「戻ろうとする付勢力」で、以下同じ。)は増大するので、前記スプリング17の圧縮度合による反発力の大小によって、また弁部VEの面積の大小によって設定された第1通路抵抗とによって、前記弁部VEを通過する圧力を設定する。
ここで、前述した弁部VAと同様な構造である前記弁部VEは、前記弁体22の前述した前記横方向の外周CFが前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に突出した複数条の前記凸部71Tの前記頂部に押圧して点接触する部位間の前記弁体22の点接触しない前記横方向の外周の部分CF1と、前記弁体22の前記中心COと前記横方向の外周CFとを結んでできた前記面CS(例えば、円錐面)を外方へ延長した前記面で前記第1空気通路を形成する前記内側面71E1及び該内側面71E1の両隣の前記凸部71Tを切断した前記第1空気通路の切り口である第1連通口とで構成される。
なお、(8)の実施形態における前記弁部VEに代えて前記弁部VBと同様な構造とした場合の弁部は、前記弁体22の前述した前記横方向の外周CFが前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に押圧して線接触する部位間の前記弁体22の線接触しない前記横方向の外周の部分CF2と、前記弁体22の前記中心COと前記横方向の外周CFとを結んでできた前記面CS(例えば、縁数面)を外方へ延長した前記面で第2空気通路を形成する前記凹部を形成するための面を切断した前記第2空気通路の切り口である第2連通口とで構成される。
従って、前記燃料タンク100の傾斜時において、前記弁体22及び前記昇降部材23は前記スプリング17の反発力と流入する前記燃料の圧力により押し上げられて、前記弁体22の上半球の上下方向における、例えば1/2の位置における前記横方向の外周CFは前記内筒本体部71の前記第2側壁71Eの前記凸部71Tの前記頂部に押圧して点接触(又は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に押圧して線接触)する。また、設定された圧力値に達すると、前記弁体22の前記横方向の外周CFと前記凸部71Tの前記頂部との点接触(又は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1との線接触)を解除し、流入した前記燃料の圧力により前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)を開放する。
以下、前記燃料タンク100への前記弁機構体60(図26乃至図28参照)の取り付け順序について、説明する。先ず、図19に示す実施形態と同様に、例えば前記昇降部材23上に前記弁体22を載置させた状態で、前記内筒本体部71の空間内に前記昇降部材23を収納する。
すると、前記昇降部材23の前記小径部23Bが前記弁体22を載置した状態で前記第2空間S32内に入り込むと共に、且つ前記大径部23Aが前記第1空間S31内に入り込むこととなる。
次に、前記昇降部材23の前記空間23S内に前記スプリング17を収納し、前記吹上部材50の前記大径空間50S2内に前記第1抵抗部材51の前記下部51Aを収納させると共に前記上部51Bを前記小径空間50S1内に収納(配置)させる。前記吹上部材50の前記大径部50Cの上面の周縁部が前記段差部16Gの下面に当接するようにして、前記昇降部材23の前記空間23S内に収納された前記スプリング17内に前記吹上部材50の前記小径部50Aを配置させて遊挿させる。従って、前記第1抵抗部材51の前記連通口51Eは、前記吹上部材50の前記小径空間50S1と前記燃料タンク100とに連通する。
そして、前記取付部材82に前記筒本体70を固定する。この場合、前記ボルト80と前記ナット81を使用して前記取付部材82に前記筒本体70を固定する場合には、前記Oリング86を前記収納溝74Aに収納した状態で、前記取付部74の前記取付孔74Bと前記取付部材82の前記取付孔82Bとを合致させて、両孔に前記ボルト80を挿通させて前記ナット81を締めて固定する。また、超音波溶着により固定する場合には、前記取付部材82の上面の前記溶着用リブ82Aを前記収納溝74Aに嵌合させた状態で前記収納溝74Aの形成面に超音波溶着して、固定する。
また、前記フィルター79を前記収納部材75の前記大径空間76S内に収納させ、前記上蓋88を前記収納部材75の上部及び前記筒本体70の前記外筒本体部72の前記上部を上方から覆うようにして、前記ネジ90を前記挿通孔88C、89Aに挿入して前記フィルター79の前記凹部79Aに沿って前記外筒本体部72の前記膨出部72Cに形成した前記ネジ溝72Dに螺合させて、前記上蓋88を前記筒本体70の前記外筒本体部72に取り付けて固定する。
これにより、前記弁機構体60の組み立てが終了する。そして、このようにして組み立てられた前記弁機構体60を前記燃料タンク100の上面に設けられた前記取付筒部100Bの前記雄ネジ部と前記取付部材82の前記筒状部82Cに形成された前記雌ネジ部82Dとを螺合させることにより、前記燃料タンク100に前記弁機構体60を取り付けることができる。
前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量が、1.0倍未満、例えば0.8倍以上〜0.93倍以下とした実施形態にあっては、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあれば、前記燃料タンク100内の圧力値に関係なく、図27に示すように、前記昇降部材23と前記弁体22は、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の付勢力で前記スプリング17が圧縮された状態で、下降している。
従って、前記弁体22は前記内筒本体部71の前記第2側壁71Eの前記内側面71E1の前記凸部71T(又は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1)に接触せずに、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)は開放している。
しかし、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、傾斜角度が90度になるまでは、この傾斜角度に応じて前記昇降部材23と前記弁体22との前記スプリング17に掛かる重量が減少し、前記燃料タンク100の水平時に圧縮していた前記スプリング17は前記傾斜角度が大きくなるに従い伸長する長さが増すこととなる。従って、前記スプリング17に掛かる重量が減少するに伴って、前記スプリング17の付勢力により前記弁体22は押し上げられ、やがて前記スプリング17の長さが所定の長さになると、前記弁体22は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1の前記凸部71T(又は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1)に接触することとなる。
このため、図28に示すように、前記燃料タンク100が傾斜した場合には、前記燃料が前記燃料タンク100の前記取付筒部100B内の前記空間を介して前記取付部材82の前記空間82S1及び前記連通口82S2、前記第1抵抗部材51の前記溝51D、前記連通口51E及び前記溝51C、前記上部51Bの周囲の前記小径空間50S1を経て前記昇降部材23の前記空間23Sに入り込む。このとき、前記第1抵抗部材51の前記連通口51Eで前記燃料の前記圧力は減少されると共に前記第1抵抗部材51の前記上部51Bにより前記上部51Bの周囲の前記小径空間50S1を通過する前記燃料の圧力も減少されて、流速が早められた前記燃料は前記昇降部材23の前記空間23S内に噴出する。このため、前記スプリング17の付勢力と相俟って、前記昇降部材23と前記弁体22を素早く押し上げて、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)において、前記弁体22は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1の前記凸部71T(又は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1)に接触する。
なお、(8−1)の実施形態における後述する所定値である5kPaは、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)の面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗(又は第2通路抵抗)と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量未満の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
以上のように、前記燃料タンク100が傾斜した状態において、前記所定値である、例えば5kPaに達するまでは、前記弁体22は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1の前記凸部71T(又は前記第2側壁71Eの前記内側面71E1)に接触している状態が維持されるため、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)に設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により、前記内筒本体部71内の前記第1空間S31内の前記燃料は、前記上水平壁71Fの前記開口71Sを介して前記収納部材75の前記大径空間76S内へ流入しない。このため、前記燃料タンク100の外部、即ち前記弁機構体60の外部へと流出しない。
従って、前記燃料の前記燃料タンク100外部への放出を抑制し、前記弁機構体60の前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
また同じく前記燃料タンク100が傾斜した状態で、前記燃料タンク100からの前記燃料の圧力(流体圧力)が、例えば5kPaに達した場合には、前記燃料が前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)を通過し、この斜め上方へ向けて上昇する前記燃料が前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23と前記弁体22を円錐台形状の前記第2空間S32内で斜め上方から下方へ下降させて、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)を開放する。このため、前記内筒本体部71の前記開口71Sを介して前記内筒本体部71の前記貯留部71A、前記収納部材75の前記小径空間78S及び前記大径空間76S内へと前記燃料は流入することとなる。
このため、前記大径空間76S内の前記フィルター79は前記燃料をその内部の空間内に吸収する(取り込む)が、吸収できる量を超えた前記燃料は前記収納部材75の前記開口76A及び前記筒本体70の前記外筒本体部72の前記開口72Bと前記切除部72A、前記上蓋88の前記凹部88Dを介して前記弁機構体60の外部へと流出する。
そして、前記燃料タンク100が水平状態(「概ね水平状態」を含む。)に復帰した場合には、前記弁体22及び前記昇降部材23の重量により前記スプリング17が圧縮されて前記弁体22及び前記昇降部材23が下降して前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)は開放する。そして、前記フィルター79に吸収された前記燃料は自重により直接垂れ落ちるか上面が内方に向けて傾斜している前記連結部77を介して前記貯留部71Aへと導かれる。また、前記エンジン99の駆動による前記燃料の消費により前記燃料タンク100内の圧力が負圧になる際に、前記上蓋88の前記凹部88D、前記外筒本体部72の前記切除部72A、前記開口72B及び前記収納部材75の前記開口76Aを介して大気を流入させながら前記フィルター79に吸収された前記燃料は前記貯留部71Aへと導かれる。そして、前述したように、前記燃料の自重によってか、又は前記燃料の消費によって前記貯留部71Aに貯留された前記燃料は、前記エンジン99の駆動による前記燃料の消費により前記燃料タンク100内の圧力が負圧になる際に、前記大気と共に前記燃料タンク100に戻され、前記フィルター79は前記燃料の吸収前の状態に再生される。
なお、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍未満とした場合の前記弁機構体60において、前記燃料タンク100が概ね水平状態にあって、振動によって前記燃料タンク100内の前記燃料の波動が生じて前記燃料による圧力が上昇しても、前記第1抵抗部材51の前記連通口51E及び前記第1抵抗部材51の前記上部51Bが収納される前記吹上部材50の前記小径空間50S1により前記燃料の圧力は減圧されるので、更には前記開口71Sから前記燃料が上方へ流出しても前記フィルター79に吸収されるので、前記燃料は前記弁機構体60外部に流出することが抑制される。このことは、(7−2)で前述したような実施形態においても、前記第1抵抗部材51や前記第2抵抗部材52により、減圧されるので、同様に前記燃料は前記弁機構体60外部に流出することが抑制される。
(8−2)前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量の1.0倍以上とした実施形態(図26、図29参照)
以下の図29に示す実施形態については、前記スプリング17の付勢力が前記昇降部材23と前記弁体22との合計した重量が、1.0倍以上、例えば1.1以上〜2.0倍以下であり、以下説明する。
初めに、前記燃料タンク100が概ね水平状態又は傾斜した状態において、前記エンジン99の停止中において、外気温度が上昇して、前記燃料タンク100内の内圧が高まっても、前記燃料タンク100内の前記内圧が、例えば5kPa未満であれば、前述したように、前記弁体22の前記横方向の外周CFが前記内筒本体部71の前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に形成した前記凸部71Tの前記頂部に前記スプリング17の付勢力により押圧されて点接触して(又は同じく前記横方向の外周CFが前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に線接触して)、前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)により前記第1空間S31内の前記VOCガス又は前記燃料は前記第2空間S32及び前記開口71Sを介して前記燃料タンク100外部、即ち前記弁機構体60外部へ放出されない(図29参照)。
なお、(8−2)の実施形態における後述する所定値である5kPaは、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)の面積の大きさにより設定された前記第1通路抵抗(又は前記第2通路抵抗)と、前記弁体22と前記昇降部材23との合計重量以上の前記スプリング17の付勢力の大きさとにより設定された圧力値である。
同じく前記燃料タンク100が概ね水平状態又は傾斜した状態において、前記エンジン99の停止中において、外気温度の更なる上昇に伴って、前記VOCガスの発生量が更に増大して、又は前記燃料タンク100内が前記燃料の満タン状態かこれに近い状態下で前記燃料が膨張して、前記燃料タンク100内の圧力が更に高まって、例えば5kPaに達すると、前記燃料タンク100からの前記VOCガス又は前記燃料は、前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に形成された前記第1空気通路(又は前記第2空気通路)内を前記VOCガス又は前記燃料が上昇して、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)を通過し、この斜め上方へ向けて上昇する前記VOCガス又は前記燃料が前記スプリング17の付勢力に抗して前記昇降部材23と前記弁体22を円錐台形状の前記第2空間S32内で斜め上方から下方へ下降させて、前記弁部VE(又は前記弁部VBと同様な構造の前記弁部)を開放する。このため、前記内筒本体部71の前記開口71Sを介して前記内筒本体部71の前記貯留部71A、前記収納部材75の前記小径空間78S及び前記大径空間76S内へと前記VOCガス又は前記燃料は流入することとなる。
このため、前記VOCガスは、前記大径空間76S内の前記フィルタ−79を通過して、前記収納部材75の前記開口76A及び前記筒本体70の前記外筒本体部72の前記開口72Bと前記切除部72A、前記上蓋88の前記凹部88Dを介して前記弁機構体60の外部へと放出される。また、前記燃料は前記大径空間76S内の前記フィルター79の内部の空間内に吸収されるが、吸収できる量を超えた前記燃料は前記収納部材75の前記開口76A及び前記筒本体70の前記外筒本体部72の前記開口72Bと前記切除部72A、前記上蓋88の前記凹部88Dを介して前記弁機構体60の外部へと放出される。即ち、前記燃料タンク100内からの過大な前記流体(前記VOCガスや前記燃料)の圧力は、前記弁機構体60の外部へと放出される。
そして、前記VOCガス又は前記燃料が放出されて、前記燃料タンク100内の圧力が5kPa未満になると、前記スプリング17の付勢力により前記昇降部材23及び前記弁体22が上昇して、前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部71Tと点接触する(又は同じく前記横方向の外周CFが前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に線接触する)。従って、前記弁機構部は安全弁としての機能を有し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができる。
前記弁体22の前記横方向の外周CFが複数条の前記凸部71Tと点接触する(又は同じく前記横方向の外周CFが前記第2側壁71Eの前記内側面71E1に線接触する)と、前記燃料タンク100が概ね水平状態であれば、前記フィルター79に吸収された前記燃料は自重により直接垂れ落ちるか上面が内方に向けて傾斜している前記連結部77を介して前記貯留部71Aへと導かれる。また、前記エンジン99の駆動による前記燃料の消費により前記燃料タンク100内の圧力が負圧になる際に、前記上蓋88の前記凹部88D、前記外筒本体部72の前記切除部72A、前記開口72B及び前記収納部材75の前記開口76Aを介して大気を流入させながら前記フィルター79に吸収された前記燃料は前記貯留部71Aへと導かれる。そして、前述したように、前記燃料の自重によってか、又は前記燃料の消費によって前記貯留部71Aに貯留された前記燃料は、前記エンジン99の駆動による前記燃料の消費により前記燃料タンク100内の圧力が負圧になる際に、前記大気と共に前記燃料タンク100に戻され、前記フィルター79は前記燃料の吸収前の状態に再生される。
なお、(8−1)及び(8−2)の前記弁機構体60を前述した前記給油口キャップ10として使用することもできる。
(9)その他
以上説明した全ての実施形態において、前記給油口キャップ10又は前記弁機構体60の前記燃料タンク100への取付方法又は構造は、ネジ式又は前記スプリング33を使用して説明したが、これらに限らず、その取付方法又は構造は問わない。また、前記弁機構体60は前記燃料タンク100へ直接取り付けても、ホース等の連結部材を介して間接的に取り付けてもよく、特に取付方法又は構造も問わない。
なお、上述した全ての実施形態において、前記弁部VA、VB、VC、VEは前記弁体22又は前記半球部分22A1の前記弁体部22Aの前記横方向の外周と、前記筒本体16Eの前記内側面16E1(前記凸部又は前記凹部を含む。)又は前記内筒本体部71の前記内側面71E1(前記凸部又は前記凹部を含む。)との間で形成される開口のうち最も狭い開口である。
即ち、上述した全ての実施形態において、前記弁部VA、VB、VC、VEは、
(a−1)前記昇降部材23上の前記弁体22の前記横方向の外周CF(又は前記弁体部22Aの前記半球部分22A1の前記横方向の外周CP)が複数条の前記凸部16T、71Tに点接触する部位間の前記弁体22の点接触しない前記横方向の外周CFの部分(又は前記半球部分22A1の点接触しない前記横方向の外周CPの部分)、
(a−2)又は前記弁体22の前記横方向の外周CF(又は前記半球部分22A1の前記横方向の外周CP)が前記内側面16E1、71E1に線接触する部位間の前記弁体22の線接触しない前記横方向の外周CFの部分(又は前記半球部分22A1の線接触しない前記横方向の外周CPの部分)と、
(b−1)前記弁体22の点接触しない前記横方向の外周CFの部分(又は前記半球部分22A1の点接触しない前記横方向の外周CPの部分)と前記内側面16E1、71E1及び該内側面16E1、71E1の両隣の前記凸部16T、71Tとの間で形成される開口のうち最も狭い開口を形成するように前記第1空気通路を形成する前記内側面16E1、71E1及び該内側面16E1、71E1の両隣の前記凸部16T、71Tを切断した前記第1空気通路の切り口である第1連通口、
(b−2)又は前記弁体22の線接触しない前記横方向の外周CFの部分(又は前記半球部分22A1の線接触しない前記横方向の外周CPの部分)と前記第2空気通路を形成する前記凹部との間で形成される開口のうち最も狭い開口を形成するように前記凹部を形成するための面を切断した前記第2空気通路の切り口である第2連通口とで構成される。
なお、以上説明した全ての実施形態において、前記燃料タンク100に断熱処理を施すことにより、前記燃料タンク100内の圧力の上昇を抑制することができるので、以上説明した前記給油口キャップ10又は前記弁機構体60との組み合わせにより、前記VOCガス又は前記燃料の前記燃料タンク100外部への放出を更に抑制し、燃費の向上を図ることができると共に環境の汚染を防止することができ、また米国のカリフォルニア州の試験法にも対応可能となるものである。
以上説明した実施形態によれば、前述した特許文献1、2に開示された技術に比べて、更に一層、前記燃料から蒸発した前記有害な前記VOCガス又は前記燃料を外部に放出させることなく環境汚染を防止でき、燃費の向上も図ることができる燃料タンクの前記給油口キャップ10又は前記弁機構体60を提供することができる。
以上のように、本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。