[脂環式エポキシ化合物(A)]
本発明における脂環式エポキシ化合物(A)(以後、「成分(A)」と称する場合がある)は、例えば、下記式(a)で表される。
[式中、R
1〜R
18は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を示す。Xは単結合又は連結基を示す]
R1〜R18におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R1〜R18における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらが2以上結合した基を挙げることができる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、ドデシル基等の炭素数1〜20(=C1-20)アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、特に好ましくはC1-4アルキル基);ビニル、アリール、メタリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、特に好ましくはC2-4アルケニル基);エチニル、プロピニル基等のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、特に好ましくはC2-4アルキニル基)等を挙げることができる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロドデシル基等のC3-12シクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12シクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル、ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式炭化水素基等を挙げることができる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等のC6-14アリール基(好ましくはC6-10アリール基)等を挙げることができる。
R1〜R18における酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、上述の炭化水素基における少なくとも1つの水素原子が、酸素原子を有する基又はハロゲン原子を有する基で置換された基等を挙げることができる。上記酸素原子を有する基としては、例えば、ヒドロキシル基;ヒドロパーオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基;アリルオキシ基等のC2-10アルケニルオキシ基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシ基(例えば、トリルオキシ、ナフチルオキシ基等);ベンジルオキシ、フェネチルオキシ基等のC7-18アラルキルオキシ基;アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、(メタ)アクリロイルオキシ、ベンゾイルオキシ基等のC1-10アシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等のC1-10アルコキシカルボニル基;C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、ハロゲン原子、及びC1-10アルコキシ基から選択される置換基を有していてもよいC6-14アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、トリルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基等);ベンジルオキシカルボニル基等のC7-18アラルキルオキシカルボニル基;グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル、プロピオニル、ベンゾイル基等のC1-10アシル基;イソシアナート基;スルホ基;カルバモイル基;オキソ基;及びこれらの2以上が単結合又はC1-10アルキレン基等を介して結合した基等を挙げることができる。上記ハロゲン原子を有する基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
R1〜R18におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ基等のC1-10アルコキシ基を挙げることができる。
上記アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニルオキシ基、C6-14アリールオキシ基、C1-10アシルオキシ基、メルカプト基、C1-10アルキルチオ基、C2-10アルケニルチオ基、C6-14アリールチオ基、C7-18アラルキルチオ基、カルボキシル基、C1-10アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-18アラルキルオキシカルボニル基、アミノ基、モノ又はジC1-10アルキルアミノ基、C1-10アシルアミノ基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、C1-10アシル基、オキソ基、及びこれらの2以上が単結合又はC1-10アルキレン基等を介して結合した基等を挙げることができる。
R1〜R18としては、なかでも水素原子が好ましい。
上記式(a)におけるXは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-18アルキレン基(好ましくは直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキレン基);1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキシリデン基等のC3-12シクロアルキレン基、及びC3-12シクロアルキリデン基(好ましくはC3-6シクロアルキレン基、及びC3-6シクロアルキリデン基)等を挙げることができる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等のC2-8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等を挙げることができる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたC2-4のアルケニレン基である。
式(a)で表される化合物の代表的な例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記式(a)で表される化合物は、例えば、下記式(a')で表される化合物と過酸(例えば、過酢酸等)を反応させて式(a')中の二重結合部をエポキシ化することにより製造することができる。なお、下記式(a')中のR
1〜R
18、Xは上記に同じ。
成分(A)のSP値、及び本発明の硬化性組成物が成分(A)として2種以上の化合物を含有する場合は、その90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)の化合物のSP値は9.0以上であることが好ましく、例えば9.0〜15、好ましくは9.2〜15、特に好ましくは9.5〜15、最も好ましくは9.6〜14である。上記範囲のSP値を有する成分(A)はシリコーンモールドに浸潤し難いため、上記範囲のSP値を有する成分(A)を含有する硬化性組成物を使用すると、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することができ、シリコーンモールドの耐久性を向上して耐用回数を増加させることができる。尚、本明細書におけるSP値の単位は、(cal/cm3)1/2である。
成分(A)の分子量、及び本発明の硬化性組成物が成分(A)として2種以上の化合物を含有する場合は、その90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)の化合物の分子量は、例えば150以上(例えば、150〜800)であり、分子量の上限は、好ましくは700、特に好ましくは500、最も好ましくは300である。分子量の下限は、好ましくは200、特に好ましくは230、最も好ましくは250である。分子量が上記範囲を下回る化合物は、シリコーンモールドに浸潤しやすいため、シリコーンモールドの膨潤を抑制することが困難となる傾向がある。一方、分子量が上記範囲を上回ると、シリコーンモールドへの充填性が低下する傾向がある。
本発明の硬化性組成物は硬化性化合物として成分(A)を1種又は2種以上含有する。成分(A)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に対して10重量%以上であり、含有量の上限は、例えば50重量%、より好ましくは45重量%、特に好ましくは40重量%、最も好ましくは35重量%、含有量の下限は、好ましくは15重量%、特に好ましくは20重量%である。本発明の硬化性組成物は成分(A)を上記範囲で含有するため、硬化性に優れ、透明性や耐熱性に優れた硬化物が得られる。
[オキセタン化合物(B)]
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物として、更に、オキセタン化合物(B)(以後、「成分(B)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有することが、硬化性を向上することができる点で好ましい。オキセタン化合物(B)は、例えば下記式(b)で表される。
[式中、R
aは水素原子又はエチル基を示し、R
bは1価の有機基を示す。tは0以上の整数を示す]
上記Rbにおける1価の有機基には1価の炭化水素基、1価の複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、置換カルバモイル基(N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基等)、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、及びこれらの2以上が単結合又は連結基を介して結合した1価の基が含まれる。
上記の1価の炭化水素基としては、上記式(a)中のR1〜R18と同様の例を挙げることができる。
上記の1価の炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。上記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。
上記の複素環式基を構成する複素環には芳香族性複素環と非芳香族性複素環が含まれ、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキセタン環等の4員環;フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の架橋環)、ヘテロ原子として硫黄原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等を挙げることができる。1価の複素環式基としては、上記複素環の構造式から1個の水素原子を除いた基を挙げることができる。
上記複素環式基は、上記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、C3-12シクロアルキル基、C6-14アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等の置換基を有していてもよい。
上記連結基としては、例えば、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、シリル結合(−Si−)、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。
上記tは、0以上の整数を示し、例えば0〜12、好ましくは1〜6である。
上記式(b)で表される化合物としては、例えば下記式(b-1)〜(b-5)で表される化合物等を挙げることができる。
また、成分(B)のSP値、及び本発明の硬化性組成物が成分(B)として2種以上の化合物を含有する場合は、その90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)の化合物のSP値は、9.0以上であることが好ましく、例えば9.0〜15であり、より好ましくは9.5〜15、特に好ましくは9.6〜15、最も好ましくは9.7〜14である。上記範囲のSP値を有する成分(B)はシリコーンモールドに浸潤し難いため、上記範囲のSP値を有する成分(B)を含有する硬化性組成物を使用すると、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することができ、シリコーンモールドの耐久性を向上して耐用回数を増加させることができる。
また、成分(B)の分子量、及び本発明の硬化性組成物が成分(B)として2種以上の化合物を含有する場合は、その90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)の化合物の分子量は、例えば100以上(例えば、100〜800)であり、分子量の上限は、好ましくは700、特に好ましくは500、最も好ましくは300、とりわけ好ましくは200である。分子量が上記範囲を下回る化合物は、シリコーンモールドに浸潤しやすいため、シリコーンモールドの膨潤を抑制することが困難となる傾向がある。一方、分子量が上記範囲を上回ると、シリコーンモールドへの充填性が低下する傾向がある。
式(b)で表される化合物としては、例えば、商品名「アロンオキセタンOXT−101」、「アロンオキセタンOXT−221」、「アロンオキセタンOXT−610」(以上、東亞合成(株)製)、商品名「OXBP」(宇部興産(株)製)等の市販品を使用することができる。
本発明の硬化性組成物における成分(B)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に対して、例えば10〜60重量%であり、含有量の上限は、好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%、特に好ましくは35重量%、最も好ましくは30重量%、とりわけ好ましくは25重量%含有量の下限は、好ましくは15重量%、特に好ましくは20重量%である。本発明の硬化性組成物が成分(B)を上記範囲で含有すると、硬化性を向上する硬化が得られる。
[グリシジルエーテル系エポキシ化合物(C)]
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物として、更に、グリシジルエーテル系エポキシ化合物(以後、「成分(C)」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有することが、硬化性組成物の硬化性を向上し、得られる硬化物の機械的強度を向上することができる点で好ましい。
グリシジルエーテル系エポキシ化合物には、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物、脂環式グリシジルエーテル系エポキシ化合物、脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物が含まれる。
前記芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等を挙げることができる。
前記脂環式グリシジルエーテル系エポキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパンなどのビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタンなどのビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物を水素化した化合物等を挙げることができる。
前記脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物としては、例えば、q価(q:自然数)の環状構造を有しないアルコールのグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。尚、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
また、成分(C)のSP値、及び本発明の硬化性組成物が成分(C)として2種以上の化合物を含有する場合は、その90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)の化合物のSP値は、9.0以上であることが好ましく、例えば9.0〜15であり、より好ましくは9.0〜14、特に好ましくは9.0〜13、最も好ましくは9.1〜13である。上記範囲のSP値を有する成分(C)はシリコーンモールドに浸潤し難いため、上記範囲のSP値を有する成分(C)を含有する硬化性組成物を使用すると、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することができ、シリコーンモールドの耐久性を向上して耐用回数を増加させることができる。
成分(C)の分子量、及び本発明の硬化性組成物が成分(C)として2種以上の化合物を含有する場合は、その90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)の化合物の分子量は、例えば250以上(例えば、250〜1500)であり、分子量の下限は、好ましくは300、特に好ましくは350である。分子量の上限は、好ましくは1300、特に好ましくは1000、最も好ましくは900である。分子量が上記範囲を下回る化合物は、シリコーンモールドに浸潤しやすいため、シリコーンモールドの膨潤を抑制することが困難となる傾向がある。一方、分子量が上記範囲を上回ると、シリコーンモールドへの充填性が低下する傾向がある。
本発明の硬化性組成物における成分(C)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に対して、例えば20〜80重量%であり、含有量の上限は、好ましくは75重量%、特に好ましくは70重量%、最も好ましくは65重量%、含有量の下限は、好ましくは30重量%、特に好ましくは35重量%、最も好ましくは40重量%、とりわけ好ましくは45重量%である。本発明の硬化性組成物が成分(C)を上記範囲で含有すると、硬化性組成物の硬化性を向上し、得られる硬化物の機械的強度を向上することができる。
[その他の硬化性化合物]
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分(A)〜(C)以外の硬化性化合物(以後、「その他の硬化性化合物」と称する場合がある)を含有していてもよい。その他の硬化性化合物としては、例えば、成分(A)及び成分(C)以外のエポキシ化合物、成分(B)以外のオキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、アクリル化合物、シリコーン化合物等を挙げることができる。本発明の硬化性組成物における成分(A)〜(C)の含有量の和は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)の例えば70重量%以上であることが好ましく、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。従って、その他の硬化性化合物の含有量は、硬化性化合物全量(100重量%)に対して、例えば30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。その他の硬化性化合物の含有量が上記範囲を上回ると、本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
[カチオン重合開始剤]
本発明の硬化性組成物は、カチオン重合開始剤を1種又は2種以上含む。カチオン重合開始剤には、光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤が含まれる。
光カチオン重合開始剤は、光の照射によって酸を発生して、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。光カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)sB(Phf)4-s]-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0〜3の整数である)、BF4 -、[(Rf)kPF6-k]-(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、k:0〜5の整数)、AsF6 -、SbF6 -、SbF5OH-等を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、商品名「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「Irgacure250」、「Irgacure261」、「Irgacure264」(以上、BASF社製)、「CG−24−61」(チバガイギー社製)、「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマーSP−171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、「CI−2734」、「CI−2855」、「CI−2823」、「CI−2758」、「CIT−1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トルイルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI−102」、「BBI−101」、「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。熱カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウムイオン、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウムイオン等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
カチオン重合開始剤の含有量(2種以上含有する場合はその総量)としては、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量部)に対して、例えば0.1〜10.0重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部、特に好ましくは0.2〜3.0重量部、最も好ましくは0.2〜1.0重量部である。カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲を下回ると、硬化性が低下する傾向がある。一方、カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲を上回ると、硬化物が着色し易くなる傾向がある。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、硬化性化合物及びカチオン重合開始剤以外にも、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を1種又は2種以上含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面改質剤、フィラー、光増感剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、界面活性剤、難燃剤、消色剤、密着性付与剤、着色剤等を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物としては、なかでも、表面改質剤を含有することが、シリコーンモールドへの濡れ性を向上させることができ、シリコーンモールドに充填する際の硬化性組成物の濡れ広がり速度を促進して、充填速度を上昇させることができる点で好ましい。表面改質剤としては、例えば、シリコーン系、アクリル系、又はフッ素系の界面活性剤を挙げることができる。本発明においては、特に、シリコーン系界面活性剤が、充填速度を上昇させる効果に特に優れる点で好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。本発明においては、例えば、商品名「BYK−333」、「BYK−345」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3530」、「BYK−UV3570」(以上、ビッグケミー・ジャパン(株)製)等の市販品を好適に使用することができる。
表面改質剤の含有量(2種以上含有する場合はその総量)としては、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量部)に対して、例えば0.01〜3重量部、好ましくは0.03〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、上記成分(A)を少なくとも含む硬化性化合物とカチオン重合開始剤を含有する。本発明の硬化性組成物は、これらを混合することにより調製することができる。
本発明の硬化性組成物は、分子量が400以上(例えば400〜1000、好ましくは500〜900、特に好ましくは600〜900、最も好ましくは700〜900)である硬化性化合物を、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量の10〜50重量%(下限は、好ましくは15重量%、特に好ましくは20重量%)含有する。上記範囲の分子量を有する硬化性化合物はシリコーンモールドに浸潤し難いため、上記範囲の分子量を有する硬化性化合物を上記範囲で含有する硬化性組成物を使用すると、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することができ、シリコーンモールドの耐久性を向上して耐用回数を増加させることができる。
また、本発明の硬化性組成物における、分子量が200未満の硬化性化合物の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量の、例えば55重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは50重量%未満、特に好ましくは45重量%以下、最も好ましくは35重量%以下、とりわけ好ましくは30重量%以下である。分子量が200未満の硬化性化合物はシリコーンモールドに浸潤し易いため、上記範囲を超えて含有すると、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することが困難となり、シリコーンモールドの耐久性が低下する傾向がある。
また、本発明の硬化性組成物における、分子量が1000を超える硬化性化合物の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量の、例えば30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下、とりわけ好ましくは5重量%以下である。分子量が1000を超える硬化性化合物を上記範囲を超えて含有すると、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎ、シリコーンモールドへの充填性が低下し、泡かみを生じ易くなる傾向がある。
また、本発明の硬化性組成物に含まれる全硬化性化合物の平均分子量は、例えば260〜600であり、上限は、好ましくは550、特に好ましくは530、最も好ましくは500、とりわけ好ましくは450である。下限は、好ましくは300、特に好ましくは330、最も好ましくは350、とりわけ好ましくは380である。平均分子量が上記範囲を下回ると、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することが困難となり、シリコーンモールドの耐久性を向上することが困難となる傾向がある。一方、平均分子量が上記範囲を上回ると、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎ、シリコーンモールドへの充填性が低下し、泡かみを生じ易くなる傾向がある。
前記硬化性組成物に含まれる全硬化性化合物の平均分子量は、硬化性組成物に含まれる各硬化性化合物の分子量に前記硬化性組成物の含有率を乗じて合計した値であり、例えば、硬化性組成物がn個の硬化性化合物を含有し、前記硬化性化合物の分子量がそれぞれ、m1、m2、・・・、mnであり、それらを、w1重量%、w2重量%、・・・、wn重量%の割合(尚、w1+w2+・・・+wn=100である)で含有する場合、硬化性組成物に含まれる全硬化性化合物の平均分子量(分子量の平均値)は、以下の式から算出できる。
平均分子量=(m1×w1+m2×w2+・・・+mn×wn)/100
また、本発明の硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量の90重量%以上(好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上)は、SP値が9.0以上である化合物であることが好ましい。
従って、本発明の硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量における、SP値が9.0未満である化合物の含有量は10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
本発明の硬化性組成物は上記分子量を有する硬化性化合物を上記範囲で含有するため、より好ましくは、上記分子量を有する硬化性化合物を上記範囲で含有し、且つ上記SP値を有する硬化性化合物を上記範囲で含有するため、シリコーンモールドへの充填性、及び硬化性に優れ、且つシリコーンモールドに浸潤し難く、硬化性組成物が浸潤することによるシリコーンモールドの膨潤を抑制してシリコーンモールドの形状を保持することができ、モールドの耐久性を向上させることができる。
また、本発明の硬化性組成物の粘度(25℃、せん断速度20(1/s)における)は、例えば100〜1000mPa・sであり、粘度の上限は、好ましくは500mPa・s、特に好ましくは400mPa・s、最も好ましくは350mPa・sであり、粘度の下限は、好ましくは130mPa・s、特に好ましくは150mPa・s、最も好ましくは170mPa・sである。本発明の硬化性組成物は上記範囲の粘度を有するため、シリコーンモールドへの充填性に優れ、泡かみが生じるのを抑制して、形状転写性に優れた高精度の光学部品を製造することができる。尚、本明細書における粘度とは、レオメーター(商品名「PHYSICA UDS200」、Anton Paar社製)を用い、温度25℃、せん断速度20(1/s)の条件下で測定した値である。
本発明の硬化性組成物は、シリコーンモールドに浸潤し難く、シリコーンモールドの耐久性を向上させることができると共に、シリコーンモールドへの充填性に優れ、泡かみが生じるのを抑制して、形状転写性に優れた高精度の光学部品を製造することができる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記硬化性組成物を硬化して得られる。硬化は、例えば、硬化性組成物に光照射及び/又は加熱処理を施すことにより行われる。
前記光照射は、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線源、レーザー光源、LED光源等を使用し、積算照射量が例えば500〜5000mJ/cm2となる範囲で照射することが好ましい。光源としては、なかでも、UV−LED(波長:350〜450nm)が好ましい。
前記加熱処理は、例えば100〜200℃程度(好ましくは120〜160℃)の温度で短時間(例えば1〜10分間程度、好ましくは1〜3分)加熱することが好ましい。
また、光照射及び/又は加熱処理終了後は、更にアニール処理を施して内部歪みを除去することが好ましく、例えば100〜200℃の温度で30分〜1時間程度加熱することが好ましい。
本発明の硬化物は透明性に優れ、波長400nmの光の透過率は、例えば80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
また、本発明の硬化物は耐熱性に優れ、耐熱試験に付した後も優れた透明性を維持することができる。例えば、実施例に記載の耐熱試験に連続して3回付した後の、波長400nmの光の透過率は、耐熱試験に付す前の波長400nmの光の透過率の、例えば90%以上であり、好ましくは95%以上であり、特に好ましくは98%以上である。すなわち、耐熱試験に付すことによる波長400nmの光の透過率の低下率(若しくは、黄変率)は、例えば10%以下であり、好ましくは5%以下であり、より好ましくは1%以下である。
更に、本発明の硬化物は形状転写性に優れ、上記硬化性組成物をモールドを使用した成型に付して得られる硬化物は、モールドの凹部形状を精度良く転写した形状を有し、モールドの凹部形状と硬化物の形状の乖離度(PV値)若しくは誤差は、例えば7.0μm以下、好ましくは5.0μm以下、特に好ましくは4.0μm以下である。
更に、本発明の硬化物は耐熱性に優れ、耐熱試験に付した後も優れた形状転写性を維持することができる。例えば、実施例に記載の耐熱試験に連続して3回付した後の、モールドの凹部形状と硬化物の形状の乖離度(PV値)若しくは誤差は、例えば9.0μm以下、好ましくは7.0μm以下、特に好ましくは5.0μm以下、最も好ましくは4.0μm以下である。
[光学部品]
本発明の光学部品は上記硬化物からなる。本発明の光学部品には、携帯型電子機器(スマートホン、タブレット端末等)、車載用電子機器、各種センサ(赤外線センサ等)等に使用される光学部品[フラッシュレンズ、光拡散レンズ、撮像レンズ、又はセンサー用レンズ等のレンズ(特にフレネルレンズ)、プリズム等]等が含まれる。
本発明の光学部品のサイズは、平面視における最大幅(真上から見た平面図における最大幅)が、例えば1.0〜10mm程度、好ましくは1.0〜8.0mm、特に好ましくは1.0〜6.0mmである。最薄部厚みは、例えば0.05〜0.5mm程度、好ましくは0.05〜0.3mm、特に好ましくは0.1〜0.3mmである。最厚部厚みは、例えば0.1〜3.0mm程度、好ましくは0.1〜2.0mm、特に好ましくは0.2〜2.0mmである。
本発明の光学部品は、高温熱処理(例えば、リフロー半田付け等の260℃以上の高温処理)により基板実装するのに十分な耐熱性を有する。そのため、本発明の光学部品を備えた光学装置は、光学部品を別工程で実装する必要がなく、高温熱処理(例えば、リフロー半田付け)により光学部品を他の部品と一括して基板実装することが可能であり、効率よく、且つ低コストで製造することができる。すなわち、本発明の光学部品は、リフロー実装用光学部品として好適に使用することができる。また、耐熱性に優れるため、車載用電子機器における光学部品としても使用することができる。
また、本発明の光学部品は光学特性に優れるため、高温熱処理(例えば、リフロー半田付け)により、他の部品と一括して基板実装しても優れた光学特性を維持することができる。
[光学部品の製造方法]
本発明の光学部品の製造方法は、下記工程を含む。
工程1:底部と蓋部からなるモールドの底部に上記硬化性組成物を充填する
工程2:硬化性組成物が充填されたモールドの底部にモールドの蓋部を合体させる
工程3:光照射及び/又は加熱処理を施して硬化性組成物を硬化させて、硬化物を得る
工程4:硬化物を離型する
工程1においてモールドとして、フレネルレンズ成型用モールドを使用した場合は、硬化物としてフレネルレンズが得られる。
また、前記底部と蓋部における硬化性組成物と接触する面に凹凸形状を有するモールドを使用した場合は、表面に凹凸形状を有する硬化物が得られる。例えば、硬化物がフレネルレンズである場合、表面に凹凸形状を有するフレネルレンズは、品質が悪い半導体光源を使用した場合であっても、中心照度を低下させることなく、むらのない高品質な光に変えて拡散する効果が得られる点で好ましい。
モールド(底部と蓋部)の材質としては、例えば金属、ガラス、プラスチック、シリコーン等を挙げることができる。モールドの底部の材質としては、なかでも、透明性を有するため、光硬化性組成物の成型に使用することができ、形状転写性、及び離型性に優れる点でシリコーンモールド(例えば、ポリジメチルシロキサンを原料とするシリコーンモールド)が好ましい。また、本発明では上記硬化性組成物を使用するため、硬化性組成物によるシリコーンモールドの膨潤を抑制することができるので、シリコーンモールドを繰り返し使用することができ、低コストで光学部品を製造することができる。シリコーンモールドは、例えば所望する光学部品の形状を有する金型にシリコーン樹脂を流し込んで硬化させることにより作製することができる。
更にまた、底部と蓋部からなるモールドは、底部及び蓋部がそれぞれ透明支持体に固定されていることが、精度の良い光学部品を安定的に製造することができる点で好ましい。前記透明支持体の素材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ガラス等を挙げることができる。
工程1の硬化性組成物をモールドの底部に充填する方法としては、ディスペンス装置を使用する方法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレー法等が挙げられる。
工程1において硬化性組成物を充填した後は、充填された硬化性組成物の脱泡を行うことが、充填時に泡かみが生じた場合にも気泡を除去することができ、光学特性に優れた光学部品が得られる点で好ましい。脱泡は、例えば、減圧処理に付すことにより行うことができる。
工程3における光照射、加熱処理は、上記[硬化物]の項に記載の光照射、加熱処理と同様の方法で行うことができる。
また、光照射後に更にアニール処理を施してもよい。アニール処理も上記[硬化物]の項に記載のアニール処理と同様の方法で行うことができる。アニール処理は、硬化物を離型する前に実施してもよく、離型した後で実施してもよい。本発明の硬化物は上述の通り耐熱性及び形状保持性に優れるため、離型した後にアニール処理を施しても形状を精度良く保持することができる。
工程1において光学部品の型を2個以上有するモールドを使用すると(同時成型法)、工程4において離型することにより2個以上の光学部品が連接した硬化物が得られる。その場合は、離型後に硬化物を連接部において切断し個片化することが好ましい。個片化は、例えば、ダイシング等により行われる。同時成型法によれば、光学部品を量産することができる。
また、工程4における離型は、まず、硬化物からモールドの底部又は蓋部のうち一方を外して硬化物の一部を露出させ、その後、硬化物の露出部を支持体(例えば、粘着フィルム等)に固定し、その後、もう一方のモールドを外す方法を採用することが、例えば非常に薄膜化した硬化物であっても、破損することなく離型することができ、非常に小さい硬化物であっても簡便且つ速やかに離型することができる点で好ましい。
本発明の光学部品の製造方法の一例を図1に示す。図1中の(1)〜(8)の工程を以下に説明する。
(1)モールドの底部及び蓋部を、それぞれ透明支持体に固定する
(2)モールドの底部に、ディスペンス装置を使用して硬化性組成物を充填する
(3)モールドの底部にモールドの蓋部を合体させる
(4)光照射を施して硬化性組成物を硬化させる
(5)モールドの蓋部を外す
(6)硬化物を粘着フィルムに固定して、モールドの底部を外す
(7)硬化物を個片化する
(8)個片化された硬化物を粘着フィルムからピックアップする
本発明の光学部品の製造方法によれば、精度の良い光学部品を効率よく製造することができる。
[光学装置]
本発明の光学装置は、上記光学部品を備えた装置である。光学装置としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等の携帯型電子機器や、赤外センサ、近赤外センサ、ミリ波レーダー、LEDスポット照明装置、近赤外LED照明装置、ミラーモニター、メーターパネル、ヘッドマウントディスプレイ(投影型)用コンバイナ、ヘッドアップディスプレイ用コンバイナ等の車載用電子機器等を挙げることができる。
本発明の光学装置は上記光学部品を備えるため、光学特性に優れる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[調製例1:(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル(a−1)の合成]
95重量%硫酸70g(0.68モル)と1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)55g(0.36モル)を撹拌混合して脱水触媒を調製した。
撹拌機、温度計、および脱水剤が充填され且つ保温された留出配管を具備した3Lのフラスコに、水添ビフェノール(4,4’−ジヒドロキシビシクロヘキシル)1000g(5.05モル)、上記で調製した脱水触媒125g(硫酸として0.68モル)、プソイドクメン1500gを入れ、フラスコを加熱した。内温が115℃を超えたあたりから水の生成が確認された。さらに昇温を続けてプソイドクメンの沸点まで温度を上げ(内温162〜170℃)、常圧で脱水反応を行った。副生した水は留出させ、脱水管により系外に排出した。脱水触媒は反応条件下において液体であり反応液中に微分散していた。3時間経過後、ほぼ理論量の水(180g)が留出したため反応終了とした。
反応終了液を10段のオールダーショウ型の蒸留塔を用い、プソイドクメンを留去した後、内部圧力10Torr(1.33kPa)、内温137〜140℃にて蒸留し、731gのビシクロヘキシル−3,3’−ジエンを得た。
得られたビシクロヘキシル−3,3’−ジエン243g、酢酸エチル730gを反応器に仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、かつ、反応系内の温度を37.5℃になるようにコントロールしながら約3時間かけて30重量%過酢酸の酢酸エチル溶液(水分率:0.41重量%)274gを滴下した。
滴下終了後、40℃で1時間熟成し反応を終了した。さらに30℃で反応終了時の粗液を水洗し、70℃/20mmHgで低沸点化合物の除去を行い、反応生成物270gを得た。反応生成物のオキシラン酸素濃度は15.0重量%であった。
また1H−NMRの測定では、δ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認されたため、反応生成物は(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルであることが確認された。
[調製例2:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル(a−2)の合成]
5L反応器に水酸化ナトリウム(顆粒状)499g(12.48モル)、及びトルエン727mLを加え、窒素置換した後に、テトラヒドロベンジルアルコール420g(3.74モル)のトルエン484mL溶液を添加し、70℃で1.5時間熟成した。次いで、メタンスルホン酸テトラヒドロベンジル419g(2.20モル)を添加し、3時間還流下で熟成させた後、室温まで冷却し、水1248gを加えて反応を停止し、分液した。
分液した有機層を濃縮後、減圧蒸留を行うことにより、ジテトラヒドロベンジルエーテルを無色透明液体として得た(収率:85%)。得られたジテトラヒドロベンジルエーテルの1H−NMRスペクトルを測定した。
1H-NMR(CDCl3):δ1.23-1.33(m、2H)、1.68-1.94(m、6H)、2.02-2.15(m、6H)、3.26-3.34(m、4H)、5.63-7.70(m、4H)
得られたジテトラヒドロベンジルエーテル200g(0.97モル)、20%SP−D(酢酸溶液)0.39g、及び酢酸エチル669mLを反応器に加え、40℃に昇温した。次いで、29.1%過酢酸608gを5時間かけて滴下し、3時間熟成した。その後、アルカリ水溶液で3回、イオン交換水で2回有機層を洗浄し、その後、減圧蒸留を行うことにより、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテルを無色透明液体として得た(収率:77%)。
実施例1〜5、及び比較例1〜2
下記表1に示す処方(単位:重量部)に従って各成分を混合して硬化性組成物を得た。
[平均分子量の算出方法]
硬化性組成物がn個の硬化性化合物を含有し、前記硬化性化合物の分子量がそれぞれ、m1、m2、・・・、mnであり、それらを、w1重量%、w2重量%、・・・、wn重量%の割合(尚、w1+w2+・・・+wn=100である)で含有する場合の硬化性組成物に含まれる全硬化性化合物の分子量の平均値を、下記式から算出した。
平均分子量=(m1×w1+m2×w2+・・・+mn×wn)/100
[粘度]
得られた硬化性組成物について、レオメーター(商品名「PHYSICA UDS200」、Anton Paar社製)を用い、温度25℃、せん断速度20(1/s)の条件下で粘度(mPa・s)を測定した。
[シリコーンモールドの膨潤率]
得られた硬化性組成物について、シリコーンモールドの膨潤率を下記方法で測定した。
シリコーン系樹脂(商品名「KE−1606」、信越化学工業(株)製)を硬化剤(商品名「CAT−RG」、信越化学工業(株)製)と混合した後、60℃で24時間、150℃で1時間保持して硬化させ、シリコーンモールド(20mm×20mm×0.5mm)を作製した。
得られたシリコーンモールドの重量(浸漬前モールド重量)を測定した後、実施例及び比較例で得られた硬化性組成物に完全に浸漬させ、その状態で、25℃で3時間静置した。
その後、シリコーンモールドを取り出し、表面に付着した硬化性組成物を払拭した後、重量を測定した(浸漬後モールド重量)。
シリコーンモールドの膨潤率は下記式から算出した。
シリコーンモールドの膨潤率(%)={(浸漬後モールド重量−浸漬前モールド重量)/浸漬前モールド重量}×100
[充填性(濡れ広がり時間)]
シリコーン系樹脂(商品名「KE−1606」、信越化学工業(株)製)を硬化剤(商品名「CAT−RG」、信越化学工業(株)製)と混合した後、60℃で24時間、150℃で1時間保持して硬化させ、平面を有するシリコーンモールド(直径50mm)を作製した。
得られたシリコーンモールドの平面上に、得られた硬化性組成物を3g滴下し、シリコーンモールドの平面上における濡れ広がりが停止するまでの時間(秒)を測定して充填性を評価した。
[外観]
得られた硬化性組成物を後述のシリコーンモールド(底部)にディスペンス装置を使用して充填し、シリコーンモールド(底部)をデシケーターの中に入れ、真空ポンプで減圧を行った。5分間減圧を実施したあと、泡かみがないことを確認し、開圧を行った。厚みが0.5mmになるように外周部にスペーサーをはさみこみ、後述のシリコーンモールド(蓋部)を上から押し当てて型閉じを行った。
その後、シリコーンモールドにUV−LED(365nm)を用いて光照射(100mW/cm2×30秒照射)を行って円形状の硬化物を作製した。
シリコーンモールド(蓋部)を外し、シリコーンモールド(底部)に貼りついた円形状の硬化物に粘着フィルム(商品名「No.51825」、スリーエム・ジャパン(株)製)を貼り付けて固定してから、シリコーンモールド(底部)を外した。
得られた円形状の硬化物をダイシング装置(ディスコ(株)製)にセットして、5.0mm×5.0mmになるようにダイシングを行い、評価用硬化物を得た。
評価用硬化物の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。
○:泡かみ、汚れ、クラック、成型不良の何れの異常も見られなかった
×:泡かみ、汚れ、クラック、成型不良の一つ以上の異常が見られた
[転写性(形状精度)]
得られた硬化性組成物を後述のシリコーンモールド(底部)にディスペンシングし、厚みが0.5mmになるようにスペーサーをはさみこみ、後述のシリコーンモールド(蓋部)を上から押し当てて型閉じを行った。
その後、UV−LED(365nm)を用いて光照射(100mW/cm2×30秒照射)を行って硬化物を得た。
得られた硬化物の中心にある半球状の部分について、超高精度三次元測定機(商品名「UA−3P」、パナソニック(株)製)を使用して、設計値からのズレ(μm)を測定して、転写性を評価した。
尚、前記シリコーンモールドは以下の方法で作製したものを使用した。
シリコーンモールド(底部)を作製するための金型として、円柱形状(直径10.0mm)を有する金属表面の中心部に、半球状(曲率半径0.2mm、直径0.4mm)の加工が施され、その半球状の外周部に0.2mmの平坦部を設けた後、円柱形状の外周部に向かって凸形状(高さ0.2mm)がピッチ幅0.2mmで8回繰り返しされた形状を有する金型(図2参照)を準備した。
シリコーン系樹脂(商品名「KE−1606」、信越化学工業(株)製)を硬化剤(商品名「CAT−RG」、信越化学工業(株)製)と混合した後、上記金型をセットした型枠に流し込み、60℃で24時間、150℃で1時間保持して硬化させ、シリコーンモールド(底部)を作製した。続いて、支持体(10mm×10mmのガラス基板)を用意し、接着剤(商品名「セメダイン8000」、セメダイン(株)製)を支持体の上に1.0mm厚に塗布し、得られたシリコーンモールド(底部)を貼り合わせ、80℃で、2時間加熱して接着剤を硬化させて、支持体に固定されたシリコーンモールド(底部)を作製した。
また、シリコーンモールド(蓋部)も、表面が平坦な金型を使用した以外は底部と同様の方法により、支持体に固定されたシリコーンモールド(蓋部)を作製した。
[連続転写性:転写回数]
[転写性(形状精度)]評価と同様の方法で成型を繰り返し行い、硬化物がモールドから離型しなくなるまでの成型回数を転写回数とした。
[連続転写性:形状精度]
[連続転写性:転写回数]と同様の方法で成型を繰り返し、硬化物がモールドから離型しなくなるまで行い、離型できたもののうち最後に得られた硬化物について、[転写性(形状精度)]と同様の方法で設計値からのズレ(μm)を測定して、連続転写による形状精度を評価した。
[耐熱性(リフロー後の形状精度)]
[転写性(形状精度)]評価と同様の方法で得られた硬化物について、卓上リフロー炉(シンアペック社製)を使用して、JEDEC規格記載のリフロー温度プロファイル(最高温度270℃)に基づく耐熱試験を連続して3回行った後、[転写性(形状精度)]と同様の方法で設計値からのズレ(μm)を測定して、耐熱性を評価した。
[耐熱黄変性(リフロー後の透明性維持率)]
[転写性(形状精度)]評価と同様の方法で得られた硬化物について分光光度計を用いて、400nmの光の透過率を測定した後、硬化物に、卓上リフロー炉(シンアペック社製)を使用して、JEDEC規格記載のリフロー温度プロファイル(最高温度270℃)に基づく耐熱試験を連続して3回行った。試験終了後の硬化物について、前記と同様に400nmの光の透過率を測定し、下記式から透明性維持率を算出して耐熱黄変性を評価した。
透明性維持率(%)=(リフロー後の400nm透過率/リフロー前の400nm透過率)×100
上記表1における略称は、以下の通りである。
<硬化性化合物>
CELLOXIDE2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、SP値10.26、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
(a−1):調製例1で得られた化合物、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、SP値9.69
(a−2):調製例2で得られた化合物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、SP値9.64
OXT101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、SP値11.6、商品名「アロンオキセタンOXT−101」、東亞合成(株)製
ZX−1658GS:1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、SP値9.45、商品名「ZX−1658GS」、新日鐵化学(株)製
YX8000:水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、SP値9.19、商品名「YX8000」、三菱化学(株)製
GT401:ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε−カプロラクトン、SP値10.6、商品名「エポリードGT401」、(株)ダイセル製
EP−4000S:ビスフェノールA プロピレンオキシド付加物ジグリシジルエーテル、SP値10.09、商品名「ADEKA EP−4000S」、(株)ADEKA製
<カチオン重合開始剤>
CPI−101A:ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム] ヘキサフルオロアンチモネート、商品名「CPI−101A」、サンアプロ(株)製
(d−1):4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
<表面改質剤>
BYK−333:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、商品名「BYK−333」、ビッグケミー・ジャパン(株)製
BYK−UV3510:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、商品名「BYK−UV3510」、ビッグケミー・ジャパン(株)製