以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」は「シート」や「フィルム」と呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、例えば、「支持板」は、「支持シート」や「支持フィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図11は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は液晶素子を概略的に示す図であり、図2は図1の液晶素子におけるII−II線に沿った断面を示す断面図である。
図1及び図2に示された液晶素子10は、電車や自動車等の車両、住宅等の建築物等の窓に設けられて、液晶素子10を介した透視性を制御したり、液晶ディスプレイのバックライトと組み合わせることによって液晶ディスプレイの視野角制御に用いることができる。
図2に示されているように、液晶素子10は、第1支持板11と、第1支持板11と対向して配置された第2支持板12と、第1支持板11と第2支持板12との間に配置された高分子分散型液晶層20とを備えている。
第1支持板11及び第2支持板12は、高分子分散型液晶層20を挟むようにして支持し、高分子分散型液晶層20に電界を印加する機能を有する。第1支持板11は、第1基材13と、第1基材13上に設けられた第1透明導電層14とを有している。また、第2支持板12は、第2基材15と、第2基材15上に設けられた第2透明導電層16とを有している。図示された例では、第1透明導電層14と第2透明導電層16とが互いに対面するようにして、第1支持板11と第2支持板12とが対向して配置されている。したがって、図示された例では、第1基材13、第1透明導電層14、高分子分散型液晶層20、第2透明導電層16及び第2基材15が、この順に積層されている。
支持板11,12の基材13,15は、透明導電層14,16を支持する支持体として機能する。基材13,15の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば可撓性を有する各種の透明なフィルム材を用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース:TAC)等のセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)樹脂などを含有するフィルム材を用いることができる。また、基材13,15の厚みとしては、例えば20μm以上300μm以下のものを用いることができ、好ましくは50μm以上150μm以下のものを用いることができる。
支持板11,12の透明導電層14,16は、通電されることにより高分子分散型液晶層20に電界を印加し、これにより高分子分散型液晶層20の後述する液晶材料22を駆動する電極として機能する。ここで、液晶材料22を「駆動」するとは、液晶材料22に含まれる液晶分子の向きを変化させることを意味する。例えば、透明導電層14,16を用いて高分子分散型液晶層20に対して電界を印加することにより、高分子分散型液晶層20の液晶材料22に含まれる液晶分子の配向方向を変化させることができる。
透明導電層14,16としては、高分子分散型液晶層20に電界を印加することが可能であって、透明と知覚される種々の構成のものを適用することができる。例えば、透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ZNO(Zinc Oxide)等の金属酸化物のほか、導電性高分子膜、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を含有する材料を用いることができる。透明導電層14,16におけるシート抵抗は、特に限定されないが、100Ω/□以上300Ω/□以下、透過率は、85%以上とすることができる。
次に、高分子分散型液晶層20について説明する。高分子分散型液晶層20は、透明導電層14,16による電界の印加状態に応じて、高分子分散型液晶層20を介した透視性を変化させる機能を有する。図2に示された例では、高分子分散型液晶層20は、高分子マトリックス21と、高分子マトリックス21中に分散された液晶材料22と、スペーサ25とを有する。
この高分子分散型液晶層20は、一例として、重合性を有するモノマー、光重合開始剤、重合基を有しない液晶材料、及び、スペーサ25を混合して液晶混合材料27aを作製し、この液晶混合材料27a中のモノマーが光重合する際に液晶材料が相分離することにより形成することができる。これにより、モノマーが重合したものが高分子分散型液晶層20の高分子マトリックス21をなすようになり、相分離した重合基を有しない液晶材料が高分子分散型液晶層20の液晶材料22をなすようになる。
液晶材料は、長手方向を有する液晶分子を含んだ液状の材料である。液晶分子は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なっている。このような液晶材料としては、特に限られないがネマティック材料等の液晶材料を用いることができる。具体的には、例えばメルク社製のE7等のネマティック材料等を用いることができる。また、重合性を有するモノマーとしては、液晶を相分離させることが可能でかつ光透過性の高い材料であればよく、単官能、多官能いずれの重合性モノマー(重合性基)を有する樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、アクリル系以外にも、カチオン重合性モノマーとして、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等を用いることもできる。これら重合性モノマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限られることなく様々な光重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル化物、ベンジルケタール類、アセトフェノン類を用いることができる。アセトフェノン類としては、例えばヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ハロゲン化アセトフェノン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は、例えば、BASF社製のイルガキュア(登録商標)907、イルガキュア651、イルガキュア184等の商品が市販されており、これらを単独で、あるいは混合して用いることができる。
スペーサ25は、第1支持板11と第2支持板12との間隔を所定の間隔に保ち、これにより高分子分散型液晶層20の厚さ(高さ)を所定の厚さ(高さ)に保持する機能を有する。このスペーサ25としては、例えばプラスチックビーズ等の光透過性の高い樹脂製のものを用いることができる。また、図2に示された例では、スペーサ25として球状のスペーサを用いているが、スペーサ25の形状はこれに限られない。
ところで、液晶材料22が二色性色素を有するようにしてもよい。二色性色素は、液晶分子と同様に、長手方向を有するとともに、電界印加の有無に応じてその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を有するようになる。このため、液晶素子10は、低ヘイズ状態において無色透明又は無色透明に近い状態に維持され、その一方で、高ヘイズ状態においては、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら不可視状態とすることができる。ここで所定の色味を、液晶素子10の周囲の部分(液晶素子10が設けられていない部分)と同様の色にすると、液晶素子10の部分だけ周囲の部分と外観が異なることを防ぐことができる。また、低ヘイズ状態にある液晶素子10の色味が液晶素子10の周囲の部分の色味と異なるようにして、液晶素子10を含む装置に意匠性を積極的に付与してもよい。このような二色性色素としては、例えば特開2007−009120号公報や特開2011−246411号公報に開示されているような種々の公知なものを用いることができる。
なお、液晶素子10の周縁部に封止材を設けるようにしてもよい。とりわけ高分子分散型液晶層20の周縁部を覆うようにして封止材を設けることにより、高分子分散型液晶層20、とりわけ液晶材料22、が漏れ出すことを防止することができる。このため、封止材は、液晶素子10の板面への法線方向からの観察において、すなわち平面視において、高分子分散型液晶層20を取り囲む形状を有していることが好ましい。
封止材の材料としては、例えば高分子分散型液晶層20の高分子マトリックス21をなす樹脂と同様のものを用いることができる。光重合開始剤についても、例えば上述の光重合開始剤を用いることが可能である。一例として、光重合開始剤として酸素阻害を受ける光重合開始剤を用いることができる。ここで、光重合開始剤が酸素阻害を受けるとは、例えばラジカル型の光重合開始剤において、光重合開始剤に紫外線等の光が照射されることにより生じたラジカルと雰囲気中に存在する酸素とが反応し、このラジカルによるモノマーやプレポリマーの重合促進機能が阻害される現象をいう。このような酸素阻害を受ける光重合開始剤としては、例えば、BASF社製のイルガキュア651等を用いることができる。また、透明導電層14,16に対する密着性向上のため、適宜信越シリコーン社製KBM903等のシランカップリング剤、日本化薬社製KAYAMER(登録商標) PM−2等の密着補助剤を用いてもよい。
以上のように構成された液晶素子10では、液晶分子が配向されている状態において、液晶分子の屈折率と高分子マトリックス21の屈折率とが揃う。この状態において、液晶素子10へ入射した光は、進行方向を大きく曲げることなく、液晶素子10を透過することができる。すなわち、液晶分子が配向されている状態において、液晶素子10は低ヘイズ状態となる。この状態において、液晶素子10は透明な状態となり、液晶素子10を介した視認性が高くなる。
一方、この液晶素子10において、液晶分子が配向されていない状態では、液晶分子の長手方向の向きが、当該液晶分子の近傍に位置する高分子マトリックス21にも依存して、不規則的となる。この状態において、液晶素子10へ入射した光は、進行方向を大きく曲げられて拡散する。すなわち、液晶分子が配向されていない状態において、液晶素子10は高ヘイズ状態となる。このとき、液晶素子10は白濁した状態となり、液晶素子10を介した視認性が低くなる。
ノーマルタイプの液晶素子10では、ポジ型の液晶分子が使用される。この場合、透明導電層14,16により電界が印加されていない状態において、液晶分子の向きは不規則となる。したがって、ノーマルタイプの液晶素子10は、電界が印加されていない状態において、白濁して液晶素子10を介した視認性が低くなる。一方、透明導電層14,16により電界が印加された状態において、液晶分子は配向されるようになる。したがって、ノーマルタイプの液晶素子10は、電界が印加された状態で透明となり、これにより液晶素子10を介した視認性が高くなる。
また、リバースタイプの液晶素子10では、ネガ型の液晶分子が使用される。この場合、透明導電層14,16により電界が印加された状態において、液晶分子の向きは不規則となる。したがって、ノーマルタイプの液晶素子10は、電界が印加されている状態において、白濁して液晶素子10を介した視認性が低くなる。一方、透明導電層14,16により電界が印加されていない状態において、液晶分子は配向されるようになる。したがって、リバースタイプの液晶素子10は、電界が印加されていない状態で透明となり、これにより液晶素子10を介した視認性が高くなる。
次に、図3を参照して、液晶素子10を製造するために用いられる液晶素子製造装置30の一例について説明する。図3は、液晶素子製造装置30の一部を概略的に示す斜視図である。
図3に示された液晶素子製造装置30は、第1支持板11が巻回された第1支持板ロール11aを保持する第1給送軸31、第2支持板12が巻回された第2支持板ロール12aを保持する第2給送軸32、後述の中間部材41〜44の樹脂層28をなす樹脂材料28aを塗布するための樹脂材料塗布装置33と、後述の中間部材41〜44の液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aを塗布するための液晶混合材料塗布装置34と、第1支持板11及び第2支持板12を、液晶混合材料層27及び樹脂層28を介して積層するための積層装置35と、液晶混合材料27a中のモノマーを重合(硬化)させるための硬化装置36と、を有する。
第1給送軸31は、長尺状の第1支持板11がその長手方向に沿ってロール状に巻回された第1支持板ロール11aが取り付けられる部材である。また、第2給送軸32は、長尺状の第2支持板12がその長手方向に沿ってロール状に巻回された第2支持板ロール12aが取り付けられる部材である。給送軸31,32は、支持板ロール11a,12aを保持し、支持板ロール11a,12aを回転させて支持板ロール11a,12aから支持板11,12を給送可能に構成されている。そのために、給送軸31,32は、図示しない回転機構と接続されている。回転機構は、モータ等の駆動源からの駆動力を給送軸31,32に伝える伝動機構を有している。図示された例では、給送軸31,32は、水平方向と平行且つ支持板11,12の搬送方向dcと交差する方向に延びている。とりわけ図示された例では、給送軸31,32は、水平方向と平行且つ支持板11,12の搬送方向dcと直交する方向(第1方向d1)と平行をなして延びている。
樹脂材料塗布装置33は、第1支持板11上に、中間部材41〜44の樹脂層28をなす樹脂材料28aを塗布するために用いられる。図示された例では、樹脂材料塗布装置33は、第1給送軸31に対して搬送方向dcの下流側に配置され、第1方向d1に沿って離間して設けられた一対のディスペンサを有している。各ディスペンサは、第1支持板ロール11aから給送された第1支持板11の第1方向d1における各端縁11A,11Bの内側の各端縁11A,11B近傍に位置するように配置されている。したがって、樹脂材料塗布装置33における、第1方向d1に沿った各ディスペンサの中心間の距離は、第1支持板11の第1方向d1に沿った幅よりも小さくなっている。
液晶混合材料塗布装置34は、第1支持板11上に、中間部材41〜44の液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aを塗布するために用いられる。図示された例では、液晶混合材料塗布装置34は、樹脂材料塗布装置33に対して搬送方向dcの下流側に配置されている。とりわけ図示された例では、液晶混合材料塗布装置34は、第1方向d1において、樹脂材料塗布装置33の一対のディスペンサの間に位置するように配置されている。この液晶混合材料塗布装置34としては、例えばダイコーター、メイヤーバーコーター、ロールコーター、スプレーコーター等を用いることができる。
なお、液晶混合材料塗布装置34の吐出口の第1方向dcに沿った幅は、樹脂材料塗布装置33の各ディスペンサの吐出口間の間隔よりも狭くされていることが好ましい。この場合、第1支持板11上における、液晶混合材料塗布装置34で塗布された液晶混合材料27aで形成された液晶混合材料層27の第1方向dcに沿った塗布幅を、樹脂材料塗布装置33で塗布された樹脂材料28aで形成された一対の樹脂層28の第1方向dcに沿った離間間隔よりも狭くすることが可能となる。すなわち、第1方向d1に沿って、液晶混合材料層27と各樹脂層28との間に間隙G1を設けることが可能となる。
積層装置35は、一対の積層ローラを有し、第1支持板11上に液晶混合材料層27及び一対の樹脂層28が形成された後述の第1中間部材41と、第2支持板ロール12aから給送された第2支持板12とを、当該一対の積層ローラ間に挟み込んで、第1中間部材41と第2支持板12とを積層し、後述の第2中間部材42を作製する。図3に示された例では、一対の積層ローラは、それぞれ第1方向dcと平行をなして延びている。
硬化装置36は、第2中間部材42の液晶混合材料層27中の重合性を有するモノマーを重合(硬化)させ、後述の第3中間部材43を作製する。例えば、液晶混合材料層27が紫外線によって活性化される光重合開始剤を含有する場合、硬化装置36は紫外線照射装置を含んで構成され得る。図3に示された例では、硬化装置36内を第2中間部材42が通過する間に、第2中間部材42に紫外線が照射され、これにより第2中間部材42の液晶混合材料層27中のモノマーが重合(硬化)する。
また、図3に示された例では、液晶素子製造装置30は、第2支持板ロール12aから給送された第2支持板12を積層装置35へ向けてガイドするガイドローラ37を有している。その他にも、液晶素子製造装置30は、中間部材を切断する切断装置、切断された中間部材の周縁部を封止材で封止する封止装置、中間部材を搬送する搬送装置等が適宜設けられてもよい。
次に、図4〜図11を参照して、液晶素子用中間部材41〜44の製造方法及びこの液晶素子用中間部材41〜44を用いた液晶素子10の製造方法について説明する。ここでは、いわゆるロールトゥシート法を用いて中間部材を作製し、これを用いて液晶素子10を製造する例について説明するが、これに限られず、例えばロールトゥロール法を用いて中間部材を作製し、これを用いて液晶素子10を製造するようにしてもよい。
まず、支持板11,12を準備する。そのために、支持板11,12の基材13,15を準備する。基材13,15としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース:TAC)等のセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)樹脂などを含有するフィルム材を用いることができる。
この基材13,15上に透明導電層14,16を形成する。これにより第1基材13上に第1透明導電層14が設けられた第1支持板11、及び、第2基材15上に第2透明導電層16が設けられた第2支持板12が作製される。例えば、長尺状の基材13,15をロール状に巻き取っておき、ここから基材13,15を連続的に給送する。給送された基材13,15上に透明導電層14,16を形成し、作製された支持板11,12をそれぞれロール状に巻き取り、支持板ロール11a,12aを作製する。支持板ロール11a,12aは、給送軸31,32により保持される。
透明導電層14,16は、例えば透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ZNO(Zinc Oxide)等の金属酸化物を含有する層を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を用いて形成することができる。また、透明導電層14,16を導電性高分子材料を含有する層として形成する場合は、例えば導電性高分子材料を種々の塗布法又は印刷法等を用いて基材13,15上に形成することで、透明導電層14,16を形成することができる。さらに、透明導電層14,16を銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を含有する層として形成する場合は、例えば銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を水等の溶剤に分散させた分散液を基材13,15上に塗布した後に乾燥させることで、透明導電層14,16を形成することができる。
次に、第1給送軸31に保持された第1支持板ロール11aから第1支持板11を給送し、第1支持板11上に、樹脂材料塗布装置33を用いて樹脂材料28aを塗布する。とりわけ、第1支持板11の第1透明導電層14上に、樹脂材料塗布装置33を用いて樹脂材料28aを塗布する。例えば、第1支持板11を搬送方向dcに移動させながら、樹脂材料塗布装置33の一対のディスペンサから樹脂材料28aを第1支持板11の第1透明導電層14上に吐出する。これにより、塗布された樹脂材料28aから、第1支持板11の一対の端縁11A,11Bに沿って延びる一対の樹脂層28を形成することができる。
なお、このとき、樹脂材料28aを、第1支持板11の各端縁11A,11Bから離間して塗布するようにすることが好ましい。この場合、各樹脂層28を、第1支持板11の各端縁11A,11Bから離間して形成することができる。すなわち、第1方向d1に沿って、第1支持板11の各端縁11A,11Bと各樹脂層28との間には、間隙G2が形成されている。したがって、各樹脂層28をなす樹脂材料28aが第1支持板11の各端縁11A,11Bを超えてはみ出すことを抑制し、これにより、はみ出た樹脂材料28aにより液晶素子製造装置30が汚染されることを抑制することができる。
樹脂材料28aとしては、例えば、モノマーに光重合開始剤を混合させたものを用いることができる。一例として、樹脂材料28aは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等の重合性基を有する樹脂を、塗布特性等に応じて単独又は2種類以上を混合して用いることができる。光重合開始剤は特に限られず、各種の光重合開始剤を使用することができる。例えば、光重合開始剤として、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル化物、ベンジルケタール類、アセトフェノン類を用いることができる。アセトフェノン類としては、例えばヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ハロゲン化アセトフェノン等を使用することができる。これらの光重合開始剤は、例えば、BASF社製のイルガキュア907、イルガキュア651、イルガキュア184等の商品が市販されており、これらを単独で、あるいは混合して用いることができる。また、樹脂材料28aには、作製されるべき高分子分散型液晶層20の膜厚に応じて、所定の大きさのスペーサ(例えばビーズスペーサ)を混合しておくことが好ましい。なお、樹脂材料28aにおいて光重合開始剤は必須の成分ではなく、省略することも可能である。
また、このような樹脂材料28aの粘度η28aは、一例として600mPa・s以上10000mPa・s以下とすることができる。このような粘度η28aを有する樹脂材料28aによれば、樹脂材料塗布装置33による樹脂材料28aの良好な塗布性を確保しつつ、液晶混合材料27aの塞止め効果を適切に発揮することができる。
次に、第1支持板11上の、一対の樹脂層28の間となる領域に液晶混合材料27aを塗布して、液晶混合材料27aから液晶混合材料層27を形成する。これにより第1中間部材(中間部材)41が作製される。図4は、第1中間部材41を示す平面図であり、図5は、図4の第1中間部材41のV−V線に対応する断面図である。
液晶混合材料27aは、例えば、重合性を有するモノマー、光重合開始剤、重合基を有しない液晶材料、及び、スペーサ25を混合したものである。液晶材料としては、特に限られないがネマティック材料等の液晶材料を用いることができる。具体的には、例えばメルク社製のE7等のネマティック材料等を用いることができる。
重合性を有するモノマーとしては、液晶を相分離させることが可能でかつ光透過性の高い材料であればよく、単官能、多官能いずれの重合性モノマー(重合性基)を有する樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、アクリル系以外にも、カチオン重合性モノマーとして、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等を用いることもできる。これら重合性モノマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限られることなく様々な光重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル化物、ベンジルケタール類、アセトフェノン類を用いることができる。アセトフェノン類としては、例えばヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ハロゲン化アセトフェノン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は、例えば、BASF社製のイルガキュア907、イルガキュア651、イルガキュア184(いずれも登録商標)等の商品が市販されており、これらを単独で、あるいは混合して用いることができる。
スペーサ25としては、例えばプラスチックビーズ等の光透過性の高い樹脂製のものを用いることができる。
また、このような液晶混合材料27aの粘度η27aは、一例として10mPa・s以上200mPa・s以下とすることができる。このような粘度η27aを有する液晶混合材料27aによれば、液晶混合材料塗布装置34による液晶混合材料27aの良好な塗布性を確保しつつ、液晶混合材料27aが支持板11,12と樹脂層28との隙間等から漏れ出すことを適切に防止することができる。
図4及び図5に示した第1中間部材41は、第1支持板11と、第1支持板11の第1方向d1における両端縁11A,11Bから離間して第1支持板11上に設けられた液晶混合材料層27と、を有している。また、第1支持板11は、第1基材13と第1基材13上に設けられた第1透明導電層14とを有し、第1支持板11の第1方向d1における各端縁11A,11Bと液晶混合材料層27との間の第1支持板11上にそれぞれ設けられた一対の樹脂層28を有している。このような第1中間部材41によれば、液晶混合材料層27と第1支持板11の第1方向d1における両端縁11A,11Bとの間に、それぞれ樹脂層28が形成されているので、この樹脂層28により、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aが第1支持板11の第1方向d1に沿って第1支持板11上からはみ出して流れ出ることを防止することができる。これにより、第1支持板11上から流れ出た液晶混合材料27aにより液晶素子製造装置30が汚染されることが効果的に防止され得る。また、液晶混合材料27aを第1支持板11の各端縁11A,11B付近まで塗布することができ、これにより高価な透明導電層を含む支持板を有効に利用することができる。
なお、図4及び図5に示すように、液晶混合材料27aは、第1方向d1に沿って各樹脂層28から離間して塗布され、これにより、第1方向d1に沿った液晶混合材料層27と各樹脂層28との間に間隙G1が形成されている。したがって、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aが第1支持板11の第1方向d1に沿って第1支持板11上から流れ出ることを、より効果的に防止することができる。
また、図4及び図5に示された第1中間部材41における各樹脂層28は、第1支持板11の各端縁11A,11Bから離間している。すなわち、第1方向d1に沿って、第1支持板11の各端縁11A,11Bと各樹脂層28との間には、間隙G2が形成されている。このような第1中間部材41によれば、各樹脂層28をなす樹脂材料28aが第1支持板11の各端縁11A,11Bを超えてはみ出して流れ出ることが抑制される。したがって、流れ出た樹脂材料28aにより液晶素子製造装置30が汚染されることが効果的に抑制され得る。
次に、第2給送軸32に保持された第2支持板ロール12aから第2支持板12を給送し、積層装置35を用いて第2支持板12を第1中間部材41に積層する。第2支持板12は、第2基材15と第2基材15上に設けられた第2透明導電層16とを有している。第2支持板ロール12aから繰り出された第2支持板12を、ガイドローラ37で積層装置35へ向けてガイドする。第1中間部材41の液晶混合材料層27及び一対の樹脂層28の第1支持板11と反対側から、第2支持板12をその第2透明導電層16が第1中間部材41と対面するようにして積層する。その後、積層装置35の一対の積層ローラ間に、第1中間部材41と、スペーサ25が散布された第2支持板12とを挟み込んで、第2支持板12と第1中間部材41とを積層し、第2中間部材(中間部材)42を作製する。
なお上記では、液晶混合材料27a内にスペーサ25を混合し、スペーサ25を、モノマー、光重合開始剤及び液晶材料と一緒に第1支持板11上に供給するものを示したが、これに限られず、スペーサ25を液晶混合材料27aとは別に用意し、例えば第2支持板12の第2透明導電層16上にスペーサ散布装置を用いてスペーサ25を散布するようにしてもよい。この場合、積層装置35の一対の積層ローラにより、第1中間部材41の第1支持板11と、第2支持板12とが互いに向けて押圧されるようにすることにより、スペーサ25が液晶混合材料27a中に埋め込まれる。また、第1支持板11の第1透明導電層14上にスペーサ25を散布し、第2支持板12の第2透明導電層16上に液晶混合材料27aを塗布するようにしてもよい。
図6は、第2中間部材42を示す平面図であり、図7は、図6の第2中間部材42のVII−VII線に対応する断面図である。
図6及び図7に示された例では、第2中間部材42は、第1支持板11と、第1支持板11の第1方向d1における両端縁11A,11Bから離間して第1支持板11上に設けられた液晶混合材料層27と、を有している。また、第1支持板11は、第1基材13と第1基材13上に設けられた第1透明導電層14とを有し、第1支持板11の第1方向d1における各端縁11A,11Bと液晶混合材料層27との間の第1支持板11上にそれぞれ設けられた一対の樹脂層28を有している。このような第2中間部材42によれば、液晶混合材料層27と第1支持板11の第1方向d1における両端縁11A,11Bとの間に、それぞれ樹脂層28が形成されているので、この樹脂層28により、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aが第1支持板11の第1方向d1に沿って第1支持板11上からはみ出して流れ出ることを防止することができる。
とりわけ、図6及び図7に示された例では、第2中間部材42は、液晶混合材料層27及び一対の樹脂層28の第1支持板11と反対側に設けられた第2支持板12をさらに有している。この場合、積層装置35の一対の積層ローラにより、第1中間部材41の第1支持板11と、第2支持板12とが互いに向けて押圧されたとしても、一対の樹脂層28により、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aが支持板11,12の第1方向d1に沿って支持板11,12間からはみ出して流れ出ることを防止することができる。
したがって、第1支持板11上から流れ出た液晶混合材料27aにより液晶素子製造装置30が汚染されることが効果的に防止され得る。また、液晶混合材料27aを第1支持板11の各端縁11A,11B付近まで塗布することができ、これにより高価な透明導電層を含む支持板を有効に利用することができる。
また、図4〜図7に示された中間部材41,42の一対の樹脂層28をなす樹脂材料28aの粘度η28aは、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aの粘度η27aよりも高くなっている。例えば、樹脂材料28aの粘度η28aは、一例として、液晶混合材料27aの粘度η27aの60倍以上1000倍以下とすることができる。このような樹脂層28は、例えば、上述の第1支持板11上に樹脂材料塗布装置33を用いて樹脂材料28aを塗布する工程において、液晶混合材料27aの粘度よりも高い粘度を有するように調製された樹脂材料28aを第1支持板11上に塗布することで形成することができる。
このように、液晶混合材料27aの粘度η27aよりも高い粘度η28aを有する樹脂材料28aによれば、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aが第1支持板11の第1方向d1に沿って第1支持板11上からはみ出して流れ出ることをより効果的に防止することができる。これにより、第1支持板11上から流れ出た液晶混合材料27aにより液晶素子製造装置30が汚染されることがさらに効果的に防止され得る。
図示された例では、積層装置35の一対の積層ローラにより、第1中間部材41の第1支持板11と、第2支持板12とが互いに向けて押圧されることにより、液晶混合材料層27をなす液晶混合材料27aが間隙G1へ広がり、これにより、第2中間部材42の各樹脂層28と液晶混合材料層27とが、第1方向d1で互いに接触している。
また、図6及び図7に示された第2中間部材42における各樹脂層28は、第1支持板11の各端縁11A,11Bから離間している。すなわち、第1方向d1に沿って、第1支持板11の各端縁11A,11Bと各樹脂層28との間には、間隙G2が形成されている。このような第2中間部材42によれば、各樹脂層28をなす樹脂材料28aが第1支持板11の各端縁11A,11Bを超えてはみ出して流れ出ることが抑制される。したがって、流れ出た樹脂材料28aにより液晶素子製造装置30が汚染されることが効果的に抑制され得る。
次に、硬化装置36を用いて、第2中間部材42の液晶混合材料層27に含まれる重合性を有するモノマーを重合させて液晶混合材料層27を硬化させ、第3中間部材(中間部材)43を作製する。例えば、液晶混合材料層27が紫外線によって活性化される光重合開始剤を含有する場合、第2中間部材42を硬化装置36内に搬入し、硬化装置36の紫外線照射装置で第2中間部材42に紫外線を照射する。硬化した液晶混合材料層27は、後に液晶素子10の高分子分散型液晶層20をなすようになる。ここで、液晶混合材料27aとして、例えば、重合性を有するモノマー、光重合開始剤及び重合基を有しない液晶材料を混合したものを用いた場合、重合性を有するモノマーが活性化した光重合開始剤の作用により光重合する際に、重合基を有しない液晶材料が相分離して液滴状となる。これにより、モノマーが重合したものが高分子分散型液晶層20の高分子マトリックス21をなすようになり、相分離した重合基を有しない液晶材料が高分子分散型液晶層20の液晶材料22をなすようになる。なお、このとき重合性を有するモノマーが完全に重合し、高分子マトリックス21が完全に硬化した状態としてもよいし、重合性を有するモノマーが完全には重合せず、高分子マトリックス21が半硬化(仮硬化)した状態としてもよい。なお、ここで高分子マトリックス21が半硬化(仮硬化)した状態である場合、後に高分子マトリックス21を本硬化(完全硬化)させる工程を設けることが好ましい。ここで、一対の樹脂層28をなす樹脂材料28aが光重合開始剤を含有する場合、液晶混合材料層27が硬化するのにともなって樹脂層28も硬化する。一方、樹脂材料28aにおいて光重合開始剤を省略した場合には、液晶混合材料層27が硬化しても樹脂層28は硬化しない。
図8は、第3中間部材43を示す平面図であり、図9は、図8の第3中間部材43のIX−IX線に対応する断面図である。
図8及び図9に示された例では、第3中間部材43は、第1支持板11と、第1支持板11の第1方向d1における両端縁11A,11Bから離間して第1支持板11上に設けられた液晶混合材料層27と、を有している。また、第1支持板11は、第1基材13と第1基材13上に設けられた第1透明導電層14とを有し、第1支持板11の第1方向d1における各端縁11A,11Bと液晶混合材料層27との間の第1支持板11上にそれぞれ設けられた一対の樹脂層28を有している。とりわけ、図示された例では、第3中間部材43は、液晶混合材料層27及び一対の樹脂層28の第1支持板11と反対側に設けられた第2支持板12をさらに有している。また、図示された第3中間部材43における各樹脂層28は、第1支持板11の各端縁11A,11Bから離間している。すなわち、第1方向d1に沿って、第1支持板11の各端縁11A,11Bと各樹脂層28との間には、間隙G2が形成されている。また、第3中間部材43の各樹脂層28と液晶混合材料層27とは、第1方向d1で互いに接触している。
次に、図示しない切断装置を用いて第3中間部材43を第1方向dcに沿って切断し、第4中間部材(中間部材)44を作製する。図10は、第4中間部材44を示す平面図であり、図11は、図10の第4中間部材44のXI−XI線に対応する断面図である。
図10及び図11に示された例では、第4中間部材44は、第1支持板11と、第1支持板11の第1方向d1における両端縁11A,11Bから離間して第1支持板11上に設けられた液晶混合材料層27と、を有している。また、第1支持板11は、第1基材13と第1基材13上に設けられた第1透明導電層14とを有し、第1支持板11の第1方向d1における各端縁11A,11Bと液晶混合材料層27との間の第1支持板11上にそれぞれ設けられた一対の樹脂層28を有している。とりわけ、図示された例では、第4中間部材44は、液晶混合材料層27及び一対の樹脂層28の第1支持板11と反対側に設けられた第2支持板12をさらに有している。また、図示された第4中間部材44における各樹脂層28は、第1支持板11の各端縁11A,11Bから離間している。すなわち、第1方向d1に沿って、第1支持板11の各端縁11A,11Bと各樹脂層28との間には、間隙G2が形成されている。また、第4中間部材44の各樹脂層28と液晶混合材料層27とは、第1方向d1で互いに接触している。
その後、第4中間部材44を、図示しない切断装置を用いて、例えば図10の一点鎖線の箇所で切断し、図1及び図2に示す液晶素子10を製造する。
なお、図示しない封止装置を用いて、液晶素子10の周縁部を封止材で封止するようにしてもよい。とりわけ液晶素子10の高分子分散型液晶層20の周縁部を覆うようにして封止材を設けることにより、高分子分散型液晶層20、とりわけ液晶材料22、が漏れ出すことを防止することができる。このため、封止材は、液晶素子10の板面への法線方向からの観察において、すなわち平面視において、高分子分散型液晶層20を取り囲む形状を有していることが好ましい。
封止材の材料としては、例えば高分子分散型液晶層20の高分子マトリックス21をなす樹脂と同様のものを用いることができる。光重合開始剤についても、例えば上述の光重合開始剤を用いることが可能である。一例として、光重合開始剤として酸素阻害を受ける光重合開始剤を用いることができる。酸素阻害を受ける光重合開始剤としては、例えば、BASF社製のイルガキュア651等を用いることができる。また、透明導電層14,16に対する密着性向上のため、適宜信越シリコーン社製KBM903等のシランカップリング剤、日本化薬社製KAYAMER(登録商標) PM−2等の密着補助剤を用いてもよい。
なお、上記では、第4中間部材44を切断して液晶素子10を製造する例について説明したが、これに限られず、第4中間部材44を切断せずにそのまま液晶素子10としてもよい。この場合、硬化した各樹脂層28は封止材としても機能し得る。
以下、本発明の実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<液晶混合材料の作製>
重合性基を有しないネマティック液晶材料79質量部、イソボルニルアクリレートを19質量部、光重合開始剤としてBASF社製イルガキュア651を1質量部、及び、スペーサ剤として直径16μmの積水化学株式会社製ミクロパールSP216を1質量部混合し、液晶混合材料を作製した。
<樹脂材料の作製>
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを47質量部、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレートを47質量部、光重合開始剤としてBASF社製イルガキュア651を5質量部、及び、スペーサ剤として直径16μmの積水化学株式会社製ミクロパールSP216を1質量部混合し、樹脂材料を作製した。
<高分子分散型液晶素子の作製>
100μm厚のPETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/□のITO膜(透明導電層)が成膜されたものをロール状に巻回した支持板ロールを2本準備し、一方の支持板(第1支持板)を連続的に1m/minの速度で巻き出すとともに、第1支持板の透明導電層上における第1方向の両端縁から内側へ10mmの位置に、樹脂材料を80mm3/minの吐出速度で連続的に塗布し一対の樹脂層を形成した。次に、ダイコーターを用いて第1支持板の透明導電層上における一対の樹脂層間に液晶混合材料を塗布して液晶混合材料層を形成し、第1中間部材を作製した。次に、第1支持板と同様の速度で巻き出されたもう一方の支持板(第2支持板)とラミネーターロール(積層装置)を用いて貼合して、第2中間部材を作製した。次に、紫外線照射部(硬化装置)で第2中間部材に紫外線を1.0mW/cm2の強度で2分間にわたって照射し、液晶混合材料層及び樹脂層を硬化させて第3中間部材を作製した。紫外線照射部から搬出された第3中間部材を長さ2mおきに切断し、シート状の第4中間部材を作製した。本実施例では、この第4中間部材をそのまま液晶素子とした。
得られた液晶素子の外観を確認したところ、各樹脂層まで高分子分散型液晶層が形成されていることが確認された。また、製造装置を確認したところ、液晶混合材料の流出は確認されなかった。