以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置を備えた画像形成装置を側面から見た概略断面図である。
画像形成装置1は、原稿を読み取って用紙に画像形成する複写機能を有しており、画像読取装置C、画像読取装置Cの上側に設けられた原稿搬送装置(ADF)B、画像読取装置Cの下側に設けられた画像形成部A、給紙カセット10、及び積載トレイ15を備えている。
原稿搬送装置Bは、画像読取装置Cに対して開閉自在に支持されている。原稿搬送装置Bが開かれると、画像読取装置Cの上方が開放され、原稿を手置きで置くことができるようになっている。また、原稿搬送装置Bは、載置された原稿を画像読取装置Cの上に自動で搬送する。画像読取装置Cは、載置された原稿または原稿搬送装置Bから搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。
画像形成装置1では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成部Aには、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム(像担持体)3、ドラムクリーニング装置4、及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置6は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
感光体ドラム3の上側には、中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、矢印Dの方向へ周回移動し、ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去及び回収され、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト7の表面にカラーのトナー像が形成される。
2次転写装置11の転写ローラ11aは、中間転写ベルト7との間に転写ニップ部が形成されており、用紙搬送経路Sを通じて搬送されて来た用紙を転写ニップ部に挟み込んで搬送する。用紙は、転写ニップ部を通過する際に、中間転写ベルト7の表面のトナー像が転写されて定着装置12に搬送される。
定着装置12は、用紙を挟んで回転する定着ローラ34及び加圧ローラ36を備えている。定着装置12は、定着ローラ34及び加圧ローラ36の間の定着ニップ部にトナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像を用紙に定着させる。なお、定着装置12については、図2を参照して、後程詳細に説明する。
給紙カセット10は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置6の下側に設けられている。用紙は、ピックアップローラ16によって給紙カセット10から引き出されて、用紙搬送経路Sを通じて搬送され、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排紙ローラ17を介して積載トレイ15へと搬出される。用紙搬送経路Sには、用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト7と転写ローラ11aとの間の転写ニップ部でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙の搬送を開始するレジストローラ14、レジスト前ローラ19、用紙の搬送を促す搬送ローラ13、及び排紙ローラ17が配置されている。
また、用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙を排紙ローラ17から反転経路Srへと逆方向に搬送して、用紙の表裏を反転させ、用紙をレジストローラ14へと再度導き、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、用紙を積載トレイ15へと搬出する。
図2は、定着装置12の概略図を示している。
定着装置12は、加熱ローラ31、定着ローラ34、加圧ローラ36、定着ベルト33等で構成されている。定着ベルト33は無端ベルトからなり、加熱ローラ31と定着ローラ34とに張架されている。定着ローラ34は、図示していない弾性部材(バネ等)によって、定着ベルト33の内周面側から定着ベルト33を介して加圧ローラ36を加圧することにより、定着ニップ部が形成されている。未定着トナー像が形成された用紙を定着ニップ部に通過させることで、トナーを溶融させて用紙に押し付け、用紙に画像を定着させるものである。
加熱ローラ31は、中空の芯金の内部に、加熱源としてハロゲンランプ32を設置している。芯金は、中空のアルミニウムを使用しているが、素材はこれに限定されるものではなく、例えば鉄製等の金属からなるものであっても良い。また、芯金内部の加熱源からの熱を効率よく定着ベルト33へ伝達する為に、芯金は、できるだけ薄い肉厚のものを使用すると良い。また、定着ベルト33と加熱ローラ31の摩擦力を低減させ蛇行による寄り力を低減させる目的で芯金表層に離型層を形成してもよい。離型層の材料としては、耐熱性、耐久性に優れ、摩擦係数が低いものであればよく、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系材料を使用してもよい。加熱ローラ31の近傍には、定着ベルト33の表面温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子からなる定着部材温度検出部42が、定着ベルト33に接触して配置されている。ただし、定着部材温度検出部42は、熱電対温度センサや赤外線温度センサ等の非接触型のセンサであってもよい。定着部材温度検出部42の検出温度に基づいて、ハロゲンランプ32のON/OFF制御を行うことで、定着温度を所定の温度に制御する。
定着ローラ34は、芯金上に断熱弾性層が形成されている。芯金は、中空のアルミニウムを使用しているが、素材はこれに限るものでもなく、例えば鉄製等の金属からなるものでも良い。また、中実の芯金を用いても良い。断熱弾性層は、定着ニップ部における広いニップ幅の確保とベルト内周面からの熱逃げを防止する役割が必要であり、例えば耐熱性を有するシリコンスポンジゴムを使用可能である。また、定着ローラ34は、図示は省略しているが、その両端からバネにより所定の荷重を加圧ローラ36にかけている。これにより、定着ベルト33を介して加圧ローラ36との間に定着ニップ部が形成されている。
定着ベルト33は、例えば外径50mm、厚み70μmのポリイミドの上に弾性層を例えば150μm、離型層(PTFE)を例えば10μm形成したものである。ただし、ベルトの厚みや材質は、これらに限定されるものではなく、Ni、ステンレス、鉄などの金属製のベルトを用いても良い。弾性層の材料としては、耐熱性、弾性を有しているものであれば良く、シリコンゴムを使用することができる。離型層の材料としては、耐熱性、耐久性に優れ、トナーとの離型性が優れるものであればよく、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系材料を使用することができる。
加圧ローラ36は、芯金上に弾性層と離型層とがこの順に形成されている。芯金は、中空のアルミニウムを使用しているが、素材はこれに限定されるものではなく、例えば鉄製等の金属からなるものでも良い。弾性層は、例えば厚さ1mmの耐熱性を有するシリコンゴムを使用することができる。離型層の材料としては、耐熱性、耐久性に優れ、トナーとの離型性が優れているものであればよく、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系材料を使用することができる。また、加圧ローラ36には、定着ニップ部の近傍に、加圧ローラ36の表面温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子からなる加圧部材温度検出部44が、加圧ローラ36に接触して配置されている。ただし、加圧部材温度検出部44は、熱電対温度センサや赤外線温度センサ等の非接触型のセンサであってもよい。
図3は、上記構成の画像形成装置1の電気的構成を示す機能ブロック図である。
上述したように、画像形成装置1は、給紙部(給紙カセット10)から供給された用紙を、用紙搬送部(用紙搬送経路S)を介して画像形成部A(特に、2次転写装置11や定着装置12)に搬送する構成とされている。
定着装置12は、上述した定着ローラ34、加圧ローラ36、定着部材温度検出部42、加圧部材温度検出部44に加え、搬送制御部41、定着部材温度判定部45、加圧部材温度判定部46、印字率算出部47を備える構成とされている。定着ローラ34には、図示しない駆動部が接続されており、駆動部によって回転駆動する。加圧ローラ36は、定着ローラ34に従動して回転する。ハロゲンランプ32は、定着ローラ34を加熱するランプであって、加熱ローラ31に内蔵されており、デューティ比に基づいて出力を制御する構成とされている。定着部材温度検出部42及び加圧部材温度検出部44は、それぞれ周期的に温度を検出する構成とされ、本実施の形態では、例えば0.2秒毎に温度を検出する。以下では説明のため、定着部材温度検出部42で検出した定着ローラ34(より具体的には定着ベルト33)の表面温度を定着表面温度Tfと呼び、加圧部材温度検出部44で検出した加圧ローラ36の表面温度を加圧表面温度Tpと呼ぶ場合がある。
定着装置12は、CPU40を備えている。CPU40は、搬送制御部41、定着部材温度判定部45、加圧部材温度判定部46、及び印字率算出部47を予め組み込まれたプログラムとして記憶しており、記憶したプログラムを実行することにより、後述する処理を実行する。なお、CPU40によって、画像形成装置1を制御する構成としてもよい。つまり、画像形成装置1と定着装置12とで共通のCPU40を用いてもよい。
定着部材温度判定部45は、定着部材温度検出部42によって検出された定着温度(定着表面温度Tf)を判定する。加圧部材温度判定部46は、加圧部材温度検出部44によって検出された加圧温度(加圧表面温度Tp)を判定する。印字率算出部47は、受信したジョブ情報から用紙の印字率を算出する。
搬送制御部41は、定着部材温度判定部45及び/または加圧部材温度判定部46の判定結果に基づいて、定着ニップ部への用紙の搬送を制御する。つまり、搬送制御部41は、レジストローラ14、レジスト前ローラ19、搬送ローラ13、及び排紙ローラ17の動作を制御して、用紙の搬送開始や搬送停止等の制御を行う。
また、搬送制御部41は、ジョブ開始時、加圧部材温度検出部44によって検出された加圧温度が予め設定された閾値温度以下である場合には、通紙間隔を所定の通紙間隔より増大させる制御であるCPMダウン制御を行ってジョブを実行する。このときのCPMダウン制御は、定着部材温度判定部45及び/または加圧部材温度判定部46の判定結果に基づいて、CPMダウン率の大きなCPMダウン制御からCPMダウン率の小さなCPMダウン制御まで段階的に変更しながら実行する構成とされている。なお、ウォームアップ完了直後にジョブを開始する場合に行われるCPMダウン制御については、後程詳述する。
定着装置12では、CPU40によってターゲット温度Tgが指示されており、定着部材温度検出部42で検出した定着表面温度Tfをターゲット温度Tgに近づけるように、加熱源であるハロゲンランプ32の出力を制御する。なお、ターゲット温度Tgは、画像形成装置1の動作に応じて適宜変更される構成であって、例えば、稼動を停止している待機状態では、低い温度に設定され、画像形成が指示されると、画像形成に適した定着表面温度Tfとなるように、高い温度に設定される。
次に、本発明の特徴である、ウォームアップ完了直後にジョブを開始する場合のCPMダウン制御の実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1では、CPMのダウン率として図4に示す3つのステージが用意されている。この例では、画像形成装置1はCPMが61枚/分の高速機である場合を例示している。そして、ステージ1では、CPMダウン率を60%(すなわち、CPM40%(24枚/分))に設定し、ステージ2では、CPMダウン率を40%(すなわち、CPM60%(37枚/分))に設定し、ステージ3では、CPMダウン率を20%(すなわち、CPM80%(49枚/分))に設定している。ただし、ステージ数や各ステージでのダウン率等は、例えば実験等によって最適な値に適宜設定すればよく、上記設定例は一例であってこれに限定されるものではない。また、実施例1では、ステージ1からステージ2に、ステージ2からステージ3に、ステージ3から通常のCPMに移行するための条件(規定値)として、図5に示すように、定着表面温度Tfと加圧表面温度Tpとが設定されている。すなわち、ステージ1では、規定値として、定着表面温度Tfをターゲット温度Tg−7℃に設定し、加圧表面温度Tpを100℃に設定している。また、ステージ2では、規定値として、定着表面温度Tfをターゲット温度Tg−5℃に設定し、加圧表面温度Tpを90℃に設定している。また、ステージ3では、規定値として、定着表面温度Tfをターゲット温度Tg−7℃に設定し、加圧表面温度Tpを80℃に設定している。ここで、定着表面温度Tfのターゲット温度Tgは、例えば170℃である。なお、これらの値は、実験等によって求められた、定着温度のアンダーシュートの少ない好適な値であるが、これらの値は機種等(例えば、高速機や中速機等)によっても異なることから、上記の値に限定されるものではない。
なお、実施例1では、図3に示した印字率算出部47は使用しない。すなわち、実施例1では、印字率算出部47は必須の構成要件ではない。
図6A,図6Bは、実施例1に係るCPMダウン制御の処理手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って実施例1のCPMダウン制御処理を説明する。
画像形成装置1内に読み込まれて保存されたジョブデータ若しくは図示しない通信回線を介して送信され内部に保存されたジョブデータに基づいて、当該ジョブの印刷(ジョブ開始)が指示されると、搬送制御部41は、まず、指示されたジョブの印刷がカラーモードであるか否かを判断する(ステップS1)。その結果、カラーモードでない場合(すなわち、モノクロモードである場合:ステップS1でNoと判断)には、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する(ステップS17)。すなわち、モノクロモードでは、トナーは1層のみで定着し易いため、定着ローラ34が十分に蓄熱されていない状態で印刷を開始しても、定着温度が極端に低下する(すなわち、定着温度が大きくアンダーシュートする)ことはなく、CPMダウン制御を行わなくても、印字品質が低下(すなわち、定着不良が発生)することはほとんどない。そのため、モノクロモードである場合には、従来通り、通常のCPMで印刷を開始する。
一方、印刷がカラーモードである場合(ステップS1でYesと判断された場合)、搬送制御部41は、次に加圧部材温度検出部44によって検出された加圧ローラ36の表面温度(加圧温度)が予め設定された閾値Y℃(例えば、120℃)以下であるか否かを確認する(ステップS2)。
画像形成装置1が待機状態からジョブを開始する場合、定着ローラ34や加圧ローラ36は十分加熱されて蓄熱されている。例えば、定着ローラ34はターゲット温度Tgである170℃に加熱され、加圧ローラ36は例えば120℃以上に加熱されている。従って、加圧ローラ36の温度は閾値Y℃を十分に超えている。一方、画像形成装置1が電源オフ状態から電源オンとしてウォームアップを開始する場合、検出された加圧ローラ36の表面温度は設置場所の雰囲気温度に近く、当然、閾値Y℃以下である。従って、ジョブ開始時に、加圧ローラ36の表面温度がY℃以下であるか否かを確認することで、画像形成装置1が待機状態からジョブを開始するのか、電源オフ状態でまずウォームアップを開始してからその後にジョブを開始するのかを判断することができる。なお、この判断は、加圧ローラ36の表面温度ではなく、定着ローラ34の表面温度であってもよく、また、定着ローラ34や加圧ローラ36の周辺温度(雰囲気温度)を別途設けられた温度検出センサによって検出し、その検出された雰囲気温度によって判断するようにしてもよい。
その結果、加圧ローラ36の表面温度がY℃を超えている場合(ステップS2でYesと判断された場合)には、待機状態からのジョブ開始であるため、ステップS17へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する。
一方、加圧ローラ36の表面温度がY℃を超えていない場合(ステップS2でNoと判断された場合)には、搬送制御部41は、ウォームアップ完了直後にジョブを開始した時、CPMダウン制御を開始する(ステップS3)。
すなわち、搬送制御部41は、まずステージ1の条件でCPMダウン制御を開始する(ステップS4)。すなわち、CPMダウン率を60%(CPM率40%(24枚/分))に設定して、CPMダウン制御を開始する。
そして、ステージ1でのCPMダウン制御において、用紙が予め設定されている規定枚数通紙されたか否かを確認する(ステップS5)。ここで、規定枚数は任意に設定される枚数であり、実施例1では例えば6枚に設定されている。
そして、規定枚数通紙されると(ステップS5でYesと判断されると)、搬送制御部41は、次に、定着表面温度Tfが規定値(ターゲット温度Tg−7℃)以上であるか否か(ステップS6)、及び、加圧表面温度Tpが規定値(100℃)以上であるか否か(ステップS7)を確認する。
その結果、いずれか一方で規定値を超えていない場合(ステップS6でNo、またはステップS7でNoと判断された場合)には、ステップS4に戻って、ステージ1の処理を再度実行する。
一方、定着表面温度Tf及び加圧表面温度Tpの両方が規定値を超えている場合(ステップS6でYes、及びステップS7でYesと判断された場合)には、ステップS8へと処理を進め、搬送制御部41は、次にステージ2の条件でCPMダウン制御を開始する。すなわち、CPMダウン率を40%(CPM率60%(37枚/分))に設定して、CPMダウン制御を開始する。
そして、ステージ2でのCPMダウン制御において、用紙が予め設定されている規定枚数通紙されたか否かを確認する(ステップS9)。ここで、規定枚数は任意に設定される枚数であり、実施例1では例えば5枚に設定されている。
そして、規定枚数通紙されると(ステップS9でYesと判断されると)、搬送制御部41は、次に、定着表面温度Tfが規定値(ターゲット温度Tg−5℃)以上であるか否か(ステップS10)、及び、加圧表面温度Tpが規定値(90℃)以上であるか否か(ステップS11)を確認する。
その結果、いずれか一方で規定値を超えていない場合(ステップS10でNo、またはステップS11でNoと判断された場合)には、ステップS8に戻って、ステージ2の処理を再度実行する。
一方、定着表面温度Tf及び加圧表面温度Tpの両方が規定値を超えている場合(ステップS10でYes、及びステップS11でYesと判断された場合)には、ステップS12へと処理を進め、搬送制御部41は、次にステージ3の条件でCPMダウン制御を開始する。すなわち、CPMダウン率を20%(CPM率80%(48枚/分))に設定して、CPMダウン制御を開始する。
そして、ステージ3でのCPMダウン制御において、用紙が予め設定されている規定枚数通紙されたか否かを確認する(ステップS13)。ここで、規定枚数は任意に設定される枚数であり、実施例1では例えば6枚に設定されている。
そして、規定枚数通紙されると(ステップS13でYesと判断されると)、搬送制御部41は、次に、定着表面温度Tfが規定値(ターゲット温度Tg−7℃)以上であるか否か(ステップS14)、及び、加圧表面温度Tpが規定値(80℃)以上であるか否か(ステップS15)を確認する。
その結果、いずれか一方で規定値を超えていない場合(ステップS14でNo、またはステップS15でNoと判断された場合)には、ステップS12に戻って、ステージ3の処理を再度実行することになる。
一方、定着表面温度Tf及び加圧表面温度Tpの両方が規定値を超えている場合(ステップS14でYes、及びステップS15でYesと判断された場合)には、ステップS16へと処理を進め、搬送制御部41は、従来通り通常のCPM(すなわち、CPMダウン率0%)でその後の印刷を継続することになる。
図7及び図8は、ウォームアップ完了直後、ジョブを開始したときに、実施例1によるCPMダウン制御を行った場合と行わなかった場合との、定着ローラ34及び加圧ローラ36の温度変化(アンダーシュート)の様子を示すグラフである。図7は、CPMダウン制御を行わなかった場合、図8は、CPMダウン制御を行った場合を示している。
図7に示すように、ウォームアップ完了後の例えば35.5秒後に通常のCPMでジョブを開始した場合には、定着ローラ34の表面温度にアンダーシュート(温度低下)が生じており、これに連動して加圧ローラ36の表面温度にもアンダーシュート(温度低下)が生じている。従って、図7より、ウォームアップ開始後の比較的早い段階から通常のCPMでジョブを開始した場合には、定着不良が発生する可能性が高いことが分かる。
一方、図8に示すように、ウォームアップ完了後の例えば31.7秒後に実施例1によるCPMダウン制御を行ってジョブを開始した場合には、定着ローラ34の表面温度はアンダーシュート(温度低下)することなく160℃前後の温度を保っており、これに連動して加圧ローラ36の表面温度もアンダーシュート(温度低下)することなく、70〜80℃前後の温度を保っている。従って、図8より、ウォームアップ完了後の比較的早い段階から実施例1のCPMダウン制御を行ってジョブを開始した場合には、定着不良が発生しないことが分かる。なお、図8の「ステージ4」とは、CPMダウン率0%、すなわち通常のCPMでの通紙のことである。
このように、実施例1によれば、ウォームアップ後にCPMダウン制御でJOBを開始し、通紙による温度低下(アンダーシュート)の影響を確認しながら段階的にCPMダウン率を小さくしていく(すなわち、通常のCPMに上げていく)ことで、定着部材が十分蓄熱されて高速通紙が可能になるのを待つ必要がないので、ウォームアップ開始からJOB開始までの待ち時間を短縮することができる。また、定着部材の温度低下による定着不良の発生も防止することができる。さらに、段階的にCPMを上げていくことで、CPMダウンによる影響、すなわち印刷効率の低下を必要最小限に抑えることができる。
(実施例2)
実施例1では、ステージ1からステージ2に、ステージ2からステージ3に、ステージ3からステージ4(通常のCPM)に移行するための条件(規定値)として、図5に示す定着表面温度Tfと加圧表面温度Tpとを設定しているが、実施例2では、定着部材温度判定部45の判定結果に基づいて、ステージ1からステージ2に、ステージ2からステージ3に、ステージ3からステージ4(通常のCPM)に順次移行する構成としている。なお、実施例2では、図3に示した印字率算出部47は使用しない。すなわち、実施例2では、印字率算出部47は必須の構成要件ではない。
図9A,図9Bは、実施例2に係るCPMダウン制御の処理手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って実施例2のCPMダウン制御処理を説明する。
画像形成装置1内に読み込まれて保存されたジョブデータ若しくは図示しない通信回線を介して送信され内部に保存されたジョブデータに基づいて、当該ジョブの印刷(ジョブ開始)が指示されると、搬送制御部41は、まず、指示されたジョブの印刷がカラーモードであるか否かを判断する(ステップS21)。その結果、カラーモードでない場合(すなわち、モノクロモードである場合:ステップS21でNoと判断)には、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する(ステップS37)。
一方、印刷がカラーモードである場合(ステップS21でYesと判断された場合)、搬送制御部41は、次に加圧部材温度検出部44によって検出された加圧ローラ36の表面温度(加圧温度)が予め設定された閾値Y℃(例えば、120℃)以下であるか否かを確認する(ステップS22)。
その結果、加圧ローラ36の表面温度がY℃を超えている場合(ステップS22でYesと判断された場合)には、待機状態からのジョブ開始であるため、ステップS37へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する。
一方、加圧ローラ36の表面温度がY℃を超えていない場合(ステップS22でNoと判断された場合)には、搬送制御部41は、ウォームアップ完了直後にジョブを開始した時、CPMダウン制御を開始する(ステップS23)。
すなわち、搬送制御部41は、まずステージ1の条件でCPMダウン制御を開始する(ステップS24)。すなわち、CPMダウン率を60%(CPM率40%(24枚/分))に設定して、CPMダウン制御を開始する。
そして、ステージ1でのCPMダウン制御において、用紙が予め設定されている規定枚数(例えば6枚等)通紙されたか否かを確認する(ステップS25)。
その結果、規定枚数通紙されると(ステップS25でYesと判断されると)、搬送制御部41は、次に、定着表面温度Tfがターゲット温度Tg(例えば、170℃)に達しているか否か(ステップS26)を確認する。すなわち、定着部材温度検出部42によって検出された現在の定着表面温度Tf0とターゲット温度Tgとを比較する。
その結果、[Tg−Tf0≦0]である場合(ステップS26でYesと判断された場合)には、定着ローラ34の表面温度がターゲット温度Tgに達しているので、この場合にはステップS36へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)に戻してジョブを継続する。
一方、[Tg−Tf0>0]である場合(ステップS26でNoと判断された場合)には、定着表面温度Tfがターゲット温度Tgに達していないので、この場合には、次に、定着部材温度判定部45によって定着温度(定着表面温度)が上昇中であるか否かの判定を行う(ステップS27)。
この判定は、定着部材温度検出部42によって検出された定着ローラ34の現在の定着表面温度Tf0と前回の定着表面温度(例えば1秒前の温度)Tf1とを用いて判定される。
その判定の結果、Tf0−Tf1≦0の場合(ステップS27でNoと判断された場合)には、定着ローラ34がまだ十分に加熱され蓄熱されていないと判定し、ステップS24に戻って、ステージ1の処理を再度実行する。
一方、判定の結果、Tf0−Tf1>0の場合(ステップS27でYesと判断された場合)には、ステージ1での処理を終了後も定着ローラ34は温度上昇中であると判定できる。そして、この場合には、ステップS28へと処理を進め、搬送制御部41は、次にステージ2の条件でCPMダウン制御を開始する。すなわち、CPMダウン率を40%(CPM率60%(37枚/分))に設定して、CPMダウン制御を開始する。
そして、ステージ2でのCPMダウン制御において、用紙が予め設定されている規定枚数(例えば5枚等)通紙されたか否かを確認する(ステップS29)。
その結果、規定枚数通紙されると(ステップS29でYesと判断されると)、搬送制御部41は、次に、定着表面温度Tfがターゲット温度Tg(例えば、170℃)に達しているか否か(ステップS30)を確認する。すなわち、定着部材温度検出部42によって検出された現在の定着表面温度Tf0とターゲット温度Tgとを比較する。
その結果、[Tg−Tf0≦0]である場合(ステップS30でYesと判断された場合)には、定着ローラ34の表面温度がターゲット温度Tgに達しているので、この場合にはステップS36へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)に戻してジョブを継続する。
一方、[Tg−Tf0>0]である場合(ステップS30でNoと判断された場合)には、定着表面温度Tfがターゲット温度Tgに達していないので、この場合には、次に、定着部材温度判定部45によって定着温度(定着表面温度)が上昇中であるか否かの判定を行う(ステップS31)。この判定は、上記ステップS27の判定と同じである。
その判定の結果、Tf0−Tf1≦0の場合(ステップS31でNoと判断された場合)には、定着ローラ34がまだ十分に加熱され蓄熱されていないと判定し、ステップS28に戻って、ステージ2の処理を再度実行する。
一方、判定の結果、Tf0−Tf1>0の場合(ステップS31でYesと判断された場合)には、ステージ2での処理を終了後も定着ローラ34は温度上昇中であると判定できる。そして、この場合には、ステップS32へと処理を進め、搬送制御部41は、次にステージ3の条件でCPMダウン制御を開始する。すなわち、CPMダウン率を20%(CPM率80%(49枚/分))に設定して、CPMダウン制御を開始する。
そして、ステージ3でのCPMダウン制御において、用紙が予め設定されている規定枚数(例えば6枚等)通紙されたか否かを確認する(ステップS33)。
その結果、規定枚数通紙されると(ステップS33でYesと判断されると)、搬送制御部41は、次に、定着表面温度Tfがターゲット温度Tg(例えば、170℃)に達しているか否か(ステップS34)を確認する。すなわち、定着部材温度検出部42によって検出された現在の定着表面温度Tf0とターゲット温度Tgとを比較する。
その結果、[Tg−Tf0≦0]である場合(ステップS34でYesと判断された場合)には、定着ローラ34の表面温度がターゲット温度Tgに達しているので、この場合にはステップS36へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)に戻してジョブを継続する。
一方、[Tg−Tf0>0]である場合(ステップS34でNoと判断された場合)には、定着表面温度Tfがターゲット温度Tgに達していないので、この場合には、次に、定着部材温度判定部45によって定着温度(定着表面温度)が上昇中であるか否かの判定を行う(ステップS35)。この判定は、上記ステップS27,ステップS31の判定と同じである。
その判定の結果、Tf0−Tf1≦0の場合(ステップS35でNoと判断された場合)には、定着ローラ34がまだ十分に加熱され蓄熱されていないと判定し、ステップS32に戻って、ステージ3の処理を再度実行する。
一方、判定の結果、Tf0−Tf1>0の場合(ステップS35でYesと判断された場合)には、ステージ3での処理を終了後も定着ローラ34は温度上昇中であると判定する。そして、この場合には、ステップS36へと処理を進め、搬送制御部41は、従来通り通常のCPM(すなわち、CPMダウン率0%)でその後の搬送制御を行う。
このように、実施例2によれば、ウォームアップ後にCPMダウン制御でJOBを開始し、通紙による温度低下(アンダーシュート)の影響を確認しながら段階的にCPMダウン率を小さくしていく(すなわち、通常のCPMに上げていく)ことで、定着部材が十分蓄熱されて高速通紙が可能になるのを待つ必要がないので、ウォームアップ開始からJOB開始までの待ち時間を短縮することができる。また、定着部材の温度低下による定着不良の発生も防止することができる。さらに、段階的にCPMを上げていくことで、CPMダウンによる影響、すなわち印刷効率の低下を必要最小限に抑えることができる。
(実施例3)
実施例1では、ステージ1からステージ2に、ステージ2からステージ3に、ステージ3からステージ4(通常のCPM)に移行するための条件(規定値)として、図5に示す定着表面温度Tfと加圧表面温度Tpとを設定している。実施例3においても各ステージでの処理は実施例1と同じであるが、実施例3では、ウォームアップの開始後に、印字率算出部47により算出した印字率に基づいて、ステージ1、ステージ2、ステージ3の中から印字率に対応するステージを選択して、そのステージからCPMダウン制御を開始しジョブを実行する構成としている。すなわち、実施例3では、図3に示した印字率算出部47は必須の構成要件である。
上記したように、ウォームアップ完了直後の定着ローラ34がまだ十分に蓄熱されていない状態でジョブを開始すると、定着温度の温度低下(アンダーシュート)が発生するが、その温度低下の影響は、印字率の情報によってある程度予測することが可能である。すなわち、定着トナーが多い場合(印字率が高い場合)には必然的に定着温度は大きく低下し、定着トナーが少ない場合(印字率が低い場合)には、定着温度の低下は比較的少ない。従って、印字率が低い場合には、通常のCPMでそのままジョブを実施してもほとんど影響がない。そこで、実施例3では、この点を考慮してウォームアップ完了直後にジョブを開始する場合のCPMダウン制御を行っている。
図10A,図10Bは、実施例3に係るCPMダウン制御の処理手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って実施例3のCPMダウン制御処理を説明する。
画像形成装置1内に読み込まれて保存されたジョブデータ若しくは図示しない通信回線を介して送信され内部に保存されたジョブデータに基づいて、当該ジョブの印刷(ジョブ開始)が指示されると、搬送制御部41は、まず、指示されたジョブの印刷がカラーモードであるか否かを判断する(ステップS41)。その結果、カラーモードでない場合(すなわち、モノクロモードである場合:ステップS41でNoと判断)には、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する(ステップS48)。
一方、印刷がカラーモードである場合(ステップS41でYesと判断された場合)、搬送制御部41は、次に加圧部材温度検出部44によって検出された加圧ローラ36の表面温度(加圧温度)が予め設定された閾値Y℃(例えば、120℃)以下であるか否かを確認する(ステップS42)。
その結果、加圧ローラ36の表面温度がY℃を超えている場合(ステップS42でYesと判断された場合)には、待機状態からのジョブ開始であるため、ステップS48へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する。
一方、加圧ローラ36の表面温度がY℃を超えていない場合(ステップS42でNoと判断された場合)には、搬送制御部41は、ウォームアップ完了直後にジョブを開始した時、CPMダウン制御を開始する(ステップS43)。
すなわち、搬送制御部41は、内部に保存しているジョブデータに基づいて、用紙の印字率を算出する(ステップS44)。印字率は、トナーの印字面積(すなわち、全頁の印字面積をその頁数で割った1頁当たりの平均印字面積、または、1頁毎に印字率を算出する場合は、1頁中にトナーが付着している面積)Bを印刷に使用する用紙の面積Aで割ることによって求めることができる。
ただし、1頁毎に印字率を計算する場合は、複数枚ジョブを実行する中で一定の枚数ごとに印字率の高い画像があれば、その最大印字率を各ステージに割り当てる。例えば、1ステージで判定する枚数が5枚の場合に、1枚目の印字率が20%、2枚目と3枚目の印字率が80%、4枚目と5枚目の印字率が40%であった場合には、最も高い印字率80%を印字率として適用する。
ここで、実施例3では、各ステージ1,2,3に対応させた3つの印字率(印字率1、印字率2、印字率3)が予め設定されている。具体的には、印字率1は、印字率が70%以上の高い値に設定されており、印字率2は、印字率が40〜69%の範囲に設定されており、印字率3は、印字率が20〜39%の範囲に設定されている。従って、搬送制御部41は、算出した印字率と、予め設定されている印字率1,2,3とを比較する。
その結果、算出された印字率が印字率1(すなわち、70%以上)である場合(ステップS45でYesと判断された場合)には、搬送制御部41は、ステージ1の条件でCPMダウン制御を開始する(ステップS4)。すなわち、印字率が70%以上である場合には、定着動作による定着ローラ34の温度低下が大きいと考えられるので、この場合には、CPMダウン率の一番大きなステージ1からCPMダウン制御を開始してジョブを実行する。
なお、ステージ1以降の処理は、実施例1のステップS4〜ステップS16の処理と同じであるので、ここでは同じステップに同じステップ番号を付すこととし、詳細な説明を省略する。
一方、算出された印字率が印字率2(すなわち、40〜69%の範囲内の値)であった場合(ステップS45でNo、ステップS46でYesと判断された場合)には、搬送制御部41は、ステップS8へと処理を進め、ステージ2の条件でCPMダウン制御を開始する。すなわち、この場合には、定着動作による定着ローラ34の温度低下は、印字率1の場合より小さいので、ステージ1を飛ばしても定着不良は発生しないと判断し、ステージ2からCPMダウン制御を開始してジョブを実行する。
一方、算出された印字率が印字率3(すなわち、20〜39%の範囲内の値)であった場合(ステップS45でNo、ステップS46でNo、ステップS47でYesと判断された場合)には、搬送制御部41は、ステップS12へと処理を進め、ステージ3の条件でCPMダウン制御を開始する。すなわち、この場合には、定着動作による定着ローラ34の温度低下は、印字率2の場合よりさらに小さいので、ステージ1及びステージ2を飛ばしても定着不良は発生しないと判断し、ステージ3からCPMダウン制御を開始してジョブを実行する。
一方、算出された印字率が印字率1〜3のいずれにも該当しない(すなわち、印字率が20%以下)である場合(ステップS47でNoと判断された場合)には、定着動作による定着ローラ34の温度低下は、定着不良が発生するほどではないと考えられるので、この場合には、ステップS48へと処理を進め、従来通り通常のCPM(すなわち、61枚/分の通紙間隔)でジョブを実行する。
このように、実施例3によれば、ウォームアップが完了していなくても、ウォームアップ後にCPMダウン制御でJOBを開始し、通紙による温度低下(アンダーシュート)の影響を確認しながら段階的にCPMダウン率を小さくしていく(すなわち、通常のCPMに上げていく)ことで、定着部材が十分蓄熱されて高速通紙が可能になるのを待つ必要がないので、ウォームアップ開始からJOB開始までの待ち時間を短縮することができる。また、定着部材の温度低下による定着不良の発生も防止することができる。さらに、CPMダウン制御時、印字率に応じて開始するCPMダウン率のステージを選択することで、定着温度のアンダーシュートを防止しつつ、より早い段階で通常のCPMでの印字動作に移行することができるため、CPMダウンによる影響、すなわち印字効率の低下を必要最小限に抑えることができる。
本実施の形態の定着装置は、定着部材と加圧部材との間に設けられたニップ部で挟持した用紙を加熱して、用紙に形成されたトナー像を定着させる定着装置であって、前記定着部材の温度を検出する定着部材温度検出部と、前記加圧部材の温度を検出する加圧部材温度検出部と、前記定着部材温度検出部によって検出された定着温度を判定する定着部材温度判定部と、前記加圧部材温度検出部によって検出された加圧温度を判定する加圧部材温度判定部と、前記定着部材温度判定部及び/または前記加圧部材温度判定部の判定結果に基づいて、前記ニップ部への用紙の搬送を制御する搬送制御部と、を備え、ジョブ開始時、前記搬送制御部は、通紙間隔を所定の通紙間隔より増大させる制御であるCPMダウン制御を行ってジョブを実行するとともに、前記CPMダウン制御は、前記定着部材温度判定部及び/または前記加圧部材温度判定部の判定結果に基づいて、CPMダウン率の大きなCPMダウン制御からCPMダウン率の小さなCPMダウン制御まで段階的に変更しながら実行する構成としている。
また、本実施の形態の定着装置によれば、前記搬送制御部は、所定のCPMダウン率で規定枚数の通紙を行った後、前記定着部材温度判定部及び前記加圧部材温度判定部の判定結果が予め設定された定着部材規定温度または加圧部材規定温度の少なくとも一方の規定温度を超えていない場合には、前記所定のCPMダウン率でのCPMダウン制御を再度実行する構成としてもよい。
また、本実施の形態の定着装置によれば、前記搬送制御部は、所定のCPMダウン率で規定枚数の通紙を行った後、前記定着部材温度判定部及び前記加圧部材温度判定部の判定結果が定着部材規定温度及び加圧部材規定温度を超えている場合には、CPMダウン率の小さい次の段階のCPMダウン制御に移行する構成としてもよい。
また、本実施の形態の定着装置は、定着部材と加圧部材との間に設けられたニップ部で挟持した用紙を加熱して、用紙に形成されたトナー像を定着させる定着装置であって、前記定着部材の温度を検出する定着部材温度検出部と、前記加圧部材の温度を検出する加圧部材温度検出部と、前記定着部材温度検出部によって検出された定着温度を判定する定着部材温度判定部と、前記加圧部材温度検出部によって検出された加圧温度を判定する加圧部材温度判定部と、受信したジョブ情報から用紙の印字率を算出する印字率算出部と、前記定着部材温度判定部の判定結果に基づいて、前記ニップ部への用紙の搬送を制御する搬送制御部と、を備え、ジョブ開始時、前記搬送制御部は、通紙間隔を所定の通紙間隔より増大させる制御であるCPMダウン制御を行ってジョブを実行するとともに、前記CPMダウン制御は、前記定着部材温度判定部の判定結果に基づいて、CPMダウン率の大きなCPMダウン制御からCPMダウン率の小さなCPMダウン制御まで複数段階に変更しながら実行する場合に、前記印字率算出部により算出した印字率に基づいて、前記複数段階のCPMダウン制御の中から前記印字率に対応するCPMダウン率のCPMダウン制御からジョブを実行する構成としている。
また、本実施の形態の定着装置によれば、前記搬送制御部は、所定のCPMダウン率で規定枚数の通紙を行った後、前記定着部材温度判定部及び前記加圧部材温度判定部の判定結果が予め設定された定着部材規定温度または加圧部材規定温度の少なくとも一方の規定温度を超えていない場合には、前記所定のCPMダウン率でのCPMダウン制御を再度実行する構成としてもよい。
また、本実施の形態の定着装置によれば、前記搬送制御部は、所定のCPMダウン率で規定枚数の通紙を行った後、前記定着部材温度判定部及び前記加圧部材温度判定部の判定結果が定着部材規定温度及び加圧部材規定温度を超えている場合には、CPMダウン率の小さい次の段階のCPMダウン制御に移行する構成としてもよい。
また、本実施の形態の定着装置によれば、前記定着温度は、前記定着部材の表面温度であり、前記加圧温度は、前記加圧部材の表面温度である。
なお、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。