JP6813227B1 - 樹脂分散液、樹脂粒子、及び樹脂分散液の製造方法 - Google Patents

樹脂分散液、樹脂粒子、及び樹脂分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂粒子の体積に対して樹脂粒子の内部に液体を充分に内包させることが可能でありながら、内部に内包されている液体の除去や他の液体への置換を行いやすい樹脂粒子を含有する樹脂分散液を提供する。【解決手段】水性媒体と、前記水性媒体に分散している樹脂粒子とを含有する樹脂分散液であって、前記樹脂分散液は、さらにHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有し、前記樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている液体とを含み、前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する、樹脂分散液を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂分散液、樹脂粒子、及び樹脂分散液の製造方法に関する。
重合体からなる表層内に中空を有する樹脂粒子は、中空が存在することによって、内部に実質的に空隙を有しない樹脂粒子とは異なる性質を示す。中空を有する樹脂粒子は、内部に存在させる物質に応じた性質を利用して、例えば、感熱記録媒体、塗料、粘着剤、接着剤、香料、農薬、医薬、及び液晶等の様々な用途での利用が期待されている。
例えば、内部が空気で満たされた樹脂粒子は、内部が中実な樹脂粒子と比べて、断熱性を有すること、軽量であること、中空内で光が乱反射することによる隠蔽性及び光沢性を有すること等の特性を有する。断熱性を利用した一例としては、感熱記録紙や熱転写受容紙等の感熱記録媒体における記録感度を高めるための中間層に含有させる断熱材としての利用が挙げられる。軽量性を利用した一例としては、膜の軽量化を目的とした皮膜形成材料としての利用が挙げられる。隠蔽性及び光沢性等の光学的性質を利用した一例としては、塗料、インク、及び各種コーティング剤等に含有させる顔料、隠蔽剤、及び光散乱剤等としての利用が挙げられる。また、例えば、内部が液体等の物質で満たされた樹脂粒子は、当該物質に起因する特性や機能を有し、当該物質のマイクロカプセルとしての利用が挙げられる。
中空を有する樹脂粒子における上述した種々の特性を充分に発現させるためには、樹脂粒子の中空率を高めることが望まれている。その観点から、これまでにも種々の技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、所定の微細貫通孔を有するシェルに囲われた1つの中空を持つ所定の中空樹脂粒子を、多官能性モノマーと非反応性溶媒とを含む混合溶液を水溶液に分散して乳化重合を行うことにより得る方法が記載されている。
また、特許文献2には、水媒体中で、ポリマー微粒子の外殻形成用重合性モノマーと、有機溶剤とを含む混合物を乳化分散させ、重合性モノマーを懸濁重合させ、有機溶剤を内包するポリマー微粒子を形成し、当該ポリマー微粒子に内包する有機溶剤を気化させ該微粒子の外殻を通して除去し、中空ポリマー微粒子を製造する方法が記載されている。
特開2016−190980号公報 特開2013−221070号公報
特許文献1に記載の技術のように、中空を有する樹脂粒子を乳化重合で製造する場合、乳化重合によって粒子径が1μm以下のナノサイズの樹脂粒子が得られることから、樹脂粒子の中空率を高め難い。そのため、樹脂粒子に内包させうる物質(気体や液体等)の量が少なくなることから、上述した種々の特性を充分に発現させ難い。
特許文献2に記載の技術のように、中空を有する樹脂粒子を懸濁重合で製造する場合、懸濁重合では有機溶剤を用いることから、中空部分に有機溶剤を内包した樹脂粒子が得られる。中空を有する樹脂粒子の上述した用途及び利用分野、並びに作業環境及び環境負荷等の観点から考慮すると、通常、懸濁重合の際に使用した有機溶剤を内包したままの樹脂粒子が用いられることは少ない。したがって、用途等に応じて、樹脂粒子の内部に内包されている有機溶剤の除去や他の液体への置換が行われる。しかし、内包されている有機溶剤を除去する過程において、中空を有する樹脂粒子は負圧によって押し潰されやすく、球形状を留め難くなり、上述した種々の特性を充分に発現させ難くなる。
そこで本発明は、樹脂粒子の体積に対して樹脂粒子の内部に液体を充分に内包させることが可能でありながら、内部に内包されている液体の除去や他の液体への置換を行いやすい樹脂粒子を含有する樹脂分散液を提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、水性媒体と、前記水性媒体に分散している樹脂粒子とを含有する樹脂分散液であって、前記樹脂分散液は、さらにHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有し、前記樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている液体とを含み、前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する、樹脂分散液を提供する。
また、本発明は、少なくとも、水性媒体、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマー、2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマー、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤、疎水性液体、及び油溶性重合開始剤を混合分散し、懸濁重合を行うことで、前記水性媒体において、前記単官能モノマーに由来する構造単位、及び前記多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている前記疎水性液体とを含む樹脂粒子を得ることを含む、樹脂分散液の製造方法を提供する。
本発明によれば、樹脂粒子の体積に対して樹脂粒子の内部に液体を充分に内包させることが可能でありながら、内部に内包されている液体の除去や他の液体への置換を行いやすい樹脂粒子を含有する樹脂分散液を提供することができる。
実施例1で製造した樹脂分散液を乾燥させた試料の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際の画像である。 実施例4で製造した樹脂分散液を乾燥させた試料の表面をSEMで観察した際の画像である。 実施例5で製造した樹脂分散液を乾燥させた試料の表面をSEMで観察した際の画像である。 実施例6で製造した樹脂分散液を乾燥させた試料の表面をSEMで観察した際の画像である。 比較例3で製造した樹脂分散液を乾燥させた試料の表面をSEMで観察した際の画像である。 実施例1で製造した樹脂分散液を用いて作製した樹脂塗膜の断面をSEMで観察した際の画像である。 実施例1で製造した樹脂分散液を用いて作製した樹脂塗膜のプレス後の断面をSEMで観察した際の画像である。 比較例5で製造した樹脂分散液を用いて作製した樹脂塗膜のプレス後の断面をSEMで観察した際の画像である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<樹脂分散液>
本発明の一実施形態の樹脂分散液は、水性媒体と、その水性媒体に分散している樹脂粒子と、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤とを含有する。樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、その表層に囲われて内包されている液体とを含む。そして、その表層は、樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する。
後記の樹脂分散液の製造方法の説明で詳述するが、上記樹脂分散液は、水性媒体中で、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマー、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーを含むモノマー成分を懸濁重合させることで製造することができる。また、この樹脂分散液に含有されているHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤は、樹脂粒子の製造に使用されたことで、樹脂分散液に含有されているものであり、当該製造時に表層における貫通孔の形成に寄与しうる。そして、樹脂粒子の表層は、単官能モノマーに由来する構造単位、及び多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成され、かつ、樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する。そのため、本技術では、樹脂粒子の体積に対して樹脂粒子の内部に液体を充分に内包させることが可能でありながら、内部に内包されている液体の除去や他の液体への置換を行いやすい樹脂粒子を含有する樹脂分散液を提供することができる。
本明細書において、樹脂粒子の「内部」とは、樹脂粒子において、重合体から形成された表層に囲われた部分を意味する。樹脂粒子が表層と表層によって形成された内部(空間)とを有することは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等による一般的な観察方法により、確認することができる。
樹脂粒子が「表層に囲われて内包されている液体」を含むことは、樹脂粒子の上記内部に、樹脂粒子の表層を形成している重合体以外の液体が存在することを意味する。樹脂粒子の内部に少なくとも液体が存在していれば、樹脂粒子の内部に液体とともに気体及び/又は固体が混在していてもよい。
以下、樹脂分散液中の樹脂粒子等の成分に関し、目的とする樹脂分散液が得られやすい観点等からの好ましい構成等を説明する。
(樹脂粒子)
樹脂粒子は、重合体から形成された表層と、表層に囲われて内包されている液体とを含む。すなわち、樹脂粒子は、表層が樹脂(重合体)で形成されたものであるが、この表層(重合体)に囲われていることで重合体(樹脂)が内包している液体も含めて樹脂粒子ということとする。樹脂粒子における表層に囲われて内包されている液体については後で具体的に述べるが、樹脂分散液を製造する際に使用されうる疎水性液体や、その他の液体(例えば水及びその他の物質)を挙げることができる。
樹脂粒子の形状は球状であり、真球状に近いことが好ましい。樹脂粒子の個数平均粒子径は、0.5〜30μmであることが好ましく、0.8〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。樹脂粒子の個数平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、樹脂分散液について測定される個数基準の粒度分布における、球相当径の個数基準の累積頻度50%となる粒子径を採る。
樹脂粒子における表層は、樹脂粒子1個当たり、平均して複数の貫通孔を有する。すなわち、表層は、樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する。本明細書において、表層における樹脂粒子1個当たりの平均の貫通孔の数のことを単に「平均貫通孔数」と記載することがある。表層における貫通孔は、後述する通り、樹脂分散液を製造する際にHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を用いることによって形成されうることから、貫通孔の形状は、特に制限されず、不定形であってよい。
表層における貫通孔のサイズは、貫通孔の形状が不定形でありうることから、1つの貫通孔の孔内における最長部の長さで表すことができる。貫通孔内の最長部の長さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.15μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることがさらに好ましい。また、樹脂粒子における表層の強度を確保し、球状を留めやすいように貫通孔内の最長部の長さは、30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。
樹脂粒子は、平均貫通孔数が2以上であるため、内部に液体を内包していながら、その液体の除去や他の液体への置換を行いやすく、また、樹脂粒子の内部が負圧になり難いことで潰れ難いことや、内包している液体の徐放機能の発現も期待できる。これらの観点から、平均貫通孔数は、3以上であることが好ましく、3.5以上であることがより好ましい。一方、樹脂粒子が内部に液体を内包しやすい観点や、表層の強度を確保しやすい観点から、平均貫通孔数は、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、表層に設けられている貫通孔の最長部の長さ、及び平均貫通孔数は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際の画像(以下、「SEM画像」と記載することがある。)に基づき、求められる。具体的には、樹脂分散液中の樹脂粒子の内部に存在する液体を除去した後、樹脂分散液を乾燥させて得られた乾燥樹脂粒子試料のSEM画像を取得する。そのSEM画像における粒子の表面にある貫通孔の孔内において、最も長く引くことができる直線の部分の長さを、その貫通孔の最長部の長さとすることができる。また、上記SEM画像から無作為に10個の粒子を選択し、選択された粒子の表面にある貫通孔の数をカウントし、そのカウント数を2倍にして貫通孔の総数とし、その貫通孔の総数を粒子数(10個)で割った値を平均貫通孔数とすることができる。なお、上記のカウント数を2倍にするのは、SEM画像が平面画像であることから観察されていない部分にも同様の貫通孔があるとみなしたことによるものである。また、貫通孔が小さすぎる場合には、SEM観察が困難となる場合があることから、上記SEM画像における貫通孔は、貫通孔内の最長部の長さが0.1μm以上の貫通孔を対象とすることができる。
樹脂粒子において、表層によって液体が内包されている内部容積の割合は、樹脂粒子の体積に対して、60〜95%であることが好ましい。この樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合は、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、また、90%以下であることがより好ましい。樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合は、次のようにして求めることができる。
樹脂粒子の形状は球状であることから、樹脂粒子の体積は、球の体積、4/3×π×r(rは樹脂粒子の半径)とみなすことができる。樹脂粒子における内部容積は、表層の厚さをtとすると、4/3×π×(r−t)とみなすことができる。そのため、本明細書において、樹脂分散液に含有されている樹脂粒子の体積(平均体積)は、上記の個数平均粒子径(これを「D」と標記する。)を用いて、4/3×π×(D/2)により求められる値を採ることができる。また、樹脂分散液に含有されている樹脂粒子における内部容積(平均内部容積)は、4/3×π×(D/2−t)により求められる値を採ることができる。したがって、樹脂分散液に含有されている樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合は、[(D/2−t)/(D/2)]×100(%)により求めることができる。
上記の表層の厚さは、上述した貫通孔の最長部の長さ及び平均貫通孔数を求める場合と同じように、SEM画像に基づき、求められる。具体的には、樹脂分散液を含む塗工液を塗工し、乾燥させることで樹脂塗膜を得た後、その樹脂塗膜の断面についてSEM画像を取得する。上記SEM画像から無作為に10個の粒子を選択した後、選択された粒子1個につき表層の厚さを上下左右1点ずつ計4点測定してその平均を求め、10個の粒子における表層の厚さの平均値を採ることができる。
樹脂粒子の表層は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体(共重合体)から形成されている。本明細書において、「1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマー」を単に「単官能モノマー」と記載することがあり、「2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマー」を単に「多官能モノマー」と記載することがある。
表層を形成している重合体は、その重合体を構成する重合性モノマーに由来する構造単位としては、単官能モノマーに由来する構造単位と多官能モノマーに由来する構造単位とからなることが好ましい。樹脂粒子(表層)における単官能モノマーに由来する構造単位及び多官能モノマーに由来する構造単位の合計の含有量(質量%)に対する多官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の割合は、30〜90%であることが好ましい。これにより、複数の貫通孔を有していながら、また、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合が高くても、良好な強度(耐圧力)を有する表層を形成することが可能であり、潰れ難く、球形状を維持しやすい樹脂粒子を得ることが可能である。それにより、内部に液体が存在することによる特性を充分に生かすことが可能な樹脂粒子を得ることが可能となる。これらの観点から、多官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の上記割合は、30〜85%であることがより好ましく、40〜80%であることがさらに好ましい。
樹脂粒子(表層)における単官能モノマーに由来する構造単位及び多官能モノマーに由来する構造単位の合計の含有量(質量%)に対する単官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の割合は、10〜70%であることが好ましい。単官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の上記割合は、15〜70%であることがより好ましく、20〜60%であることがさらに好ましい。
単官能モノマーとしては、モノビニルモノマー及び親水性モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。モノビニルモノマーとは、重合可能なビニル官能基を1つ有するモノマーであり、かつ、親水性モノマー以外のモノマーを意味する。親水性モノマーとは、重合可能な1つのビニル官能基と、親水性基を有するモノマーを意味する。親水性基とは、水との間に親和性を示す基をいい、水中で電離してイオンになる基、及び水素結合で水和する基を含む。親水性基としては、例えば、酸基、ヒドロキシ基、アミド基、及びポリオキシエチレン基等を挙げることができる。
モノビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル;スチレン系単量体;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のモノオレフィン単量体;ブタジエン及びイソプレン等のジエン系単量体;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;メチルビニルエーテル及びエチルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;ビニルアルコール及びアリルアルコール等の不飽和アルコール単量体;塩化ビニル及びフッ化ビニル等のハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン単量体;N−ビニルモルホリン、4−アクリロイルモルホリン、4−メタクリロイルモルホリン、4−ビニルピリジン、及び1−ビニルイミダゾール等の窒素原子含有ビニル単量体;等を挙げることができる。これらのモノビニルモノマーの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸エステル、及びスチレン系単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル」との文言には、「アクリル」及び「メタクリル」の両方の文言が含まれることを意味する。また、同様に、「(メタ)アクリレート」との文言には、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方の文言が含まれることを意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、及び(メタ)アクリル酸アリールエステル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;並びにシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、炭素原子数が1〜18(より好ましくは1〜12)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、及びナフチルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、及びナフチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、o−,m−,p−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、o−,m−,p−メトキシスチレン、o−,m−,p−エトキシスチレン、o−,m−,p−クロロスチレン、o−,m−,p−ブロモスチレン、o−,m−,p−フルオロスチレン、及びo−,m−,p−クロロメチルスチレン等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、スチレンが好ましい。
親水性モノマーとしては、例えば、酸基含有単量体、ヒドロキシ基含有単量体、アミド基含有単量体、及びポリオキシエチレン基含有単量体等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びシトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体;イタコン酸モノエチル、フマル酸モノブチル、及びマレイン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル等のカルボキシ基含有単量体;スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体;等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでも、エチレン性不飽和カルボン酸単量体が好ましい。
ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アリールエステル;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;o−,m−,p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基を有するスチレン系単量体;等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アミド基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、及びN−ビニル−2−ピロリドン等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ポリオキシエチレン基含有単量体としては、例えば、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記に挙げた単官能モノマーの具体例のなかでも、単官能モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。さらには、単官能モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
多官能モノマーは、1分子中に2以上の重合性不飽和結合を有していればよく、重合性不飽和結合の数の上限は特に制限されないが、入手の容易さ等の観点から、2〜6つの重合性不飽和結合を有する多官能モノマーを用いることが好ましい。
多官能モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を2つ以上有する多官能モノマー(以下、「(メタ)アクリロイルオキシ基含有多官能モノマー」と記載することがある。)、ビニル基を2つ以上有する多官能モノマー(以下、「ビニル基含有多官能モノマー」と記載することがある。)、及びアリル基を2つ以上有する多官能モノマー(以下、「アリル基含有多官能モノマー」と記載することがある。)等を挙げることができる。また、多官能モノマーとしては、ビニル基、アリル基、及び(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合を有する基のうちの2種以上の基を有する多官能モノマー(以下、「その他の多官能モノマー」と記載することがある。)を挙げることができる。上記の多官能モノマーの1種又は2種以上を用いることができる。それらのなかでも、(メタ)アクリロイルオキシ基含有多官能モノマーが好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」との文言には、「アクリロイルオキシ基」及び「メタクリロイルオキシ基」の両方の文言が含まれることを意味する。
(メタ)アクリロイルオキシ基含有多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有二官能モノマーを挙げることができる。
また、(メタ)アクリロイルオキシ基含有多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有三官能モノマー;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有四官能モノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有五官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有六官能モノマー;等を挙げることができる。(メタ)アクリロイルオキシ基含有多官能モノマーの1種又は2種以上を用いることができる。
ビニル基含有多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、及びジビニルナフタレン等を挙げることができる。アリル基含有多官能モノマーとしては、例えば、ジアリルフタレート、及びトリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。その他の多官能モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。ビニル基含有多官能モノマー、アリル基含有多官能モノマー、及びその他の多官能モノマーは、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記に挙げた多官能モノマーの具体例のなかでも、多官能モノマーは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
樹脂分散液中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、樹脂分散液の全質量を基準として、樹脂(表層)分として、1〜40質量%であることが好ましく、2〜35質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
樹脂粒子の表層に囲われて内包されている液体としては、前述したように、樹脂分散液を製造する際に使用されうる疎水性液体、水、及びその他の液体を挙げることができる。これらのなかでも、疎水性液体、及び水が好ましく、液体は水を含むことがより好ましい。
疎水性液体としては、後記の樹脂分散液の製造方法の説明で述べる疎水性液体を挙げることができる。その他の液体としては、液体そのものであってもよいし、水や疎水性液体等の液体に固体状の物質を含有させたものであってもよい。その他の液体としては、例えば、香料、抗菌剤、除菌剤、消臭剤、洗浄剤、医薬、農薬、蓄熱材、紫外線吸収剤、染料、又は顔料等を含有する液状組成物を挙げることができる。また、例えば、香料、抗菌剤、除菌剤、消臭剤、洗浄剤、医薬、又は農薬等のような物質を徐放性用の物質として、樹脂粒子の内部に存在させうる。樹脂粒子は、表層に複数の貫通孔を有するため、上記の徐放性用の物質の徐放性を示すことが期待できる。
(水性媒体)
樹脂分散液は、上述の樹脂粒子のほか、水性媒体を含有する。水性媒体は、少なくとも水を含む液体であり、樹脂分散液における分散媒体である。水性媒体としては、水のみを使用してもよいし、水と水溶性有機溶剤との混合媒体を使用してもよい。水性媒体中の水の含有量は、水性媒体の全質量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤には、例えば、20℃において、水と混和性を示す液体や水に対する溶解度が10g/100g−HO以上の液体を好適に用い得る。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びN−メチルピロリドン等を挙げることができるが、これらに限定されず、また、水溶性有機溶剤の1種又は2種以上を使用してもよい。
樹脂分散液中の水の含有量(質量%)は、樹脂分散液の全質量を基準として、40〜98質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、60〜92質量%であることがさらに好ましい。
(HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤)
樹脂分散液は、上述の樹脂粒子及び水性媒体のほか、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有する。HLB値は、乳化剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であり、親水親油バランスとも称されている。本明細書においては、グリフィン法によるHLB値を採る。グリフィン法によるHLB値は、乳化剤における親水部の式量の総和/乳化剤の分子量で求められる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、エーテル型ノニオン性乳化剤、エステル型ノニオン性乳化剤、エステル・エーテル型ノニオン性乳化剤、及びアルカノールアミド型ノニオン性乳化剤等を挙げることができる。これらのうちのHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の1種又は2種以上を用いることができ、HLB値が6〜14であればノニオン性乳化剤の種類は特に制限されない。
エーテル型ノニオン性乳化剤には、例えば、高級アルコール又はアルキルフェノール等の水酸基を有する原料に、主として酸化エチレンを付加させて得られるノニオン性乳化剤を用いることができる。エーテル型ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンp−クミルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、及びポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等を挙げることができる。
エステル型ノニオン性乳化剤には、例えば、グリセリン又はソルビトール等の多価アルコールと、脂肪酸とがエステル結合した構造を有するノニオン性乳化剤を用いることができる。エステル型ノニオン性乳化剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノカプリレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、及びポリグリセリンオレイン酸エステル等を挙げることができる。
エステル・エーテル型ノニオン性乳化剤には、例えば、グリセリン又はソルビトール等の多価アルコールと脂肪酸とからなるエステルに酸化エチレンを付加させて得られるノニオン性乳化剤を用いることができる。エステル・エーテル型ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等を挙げることができる。
アルカノールアミド型ノニオン性乳化剤には、例えば、脂肪酸とジエタノールアミン等を反応させて得られるノニオン性乳化剤を用いることができる。アルカノールアミド型ノニオン性乳化剤としては、例えば、アルカノール脂肪酸アミド、アルカノールアミド、アルカノールアルカンアミド、及びアルキロールアミド等を挙げることができる。
HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の含有量は、前述の単官能モノマー及び多官能モノマーの合計100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。このノニオン性乳化剤の含有量は、0.5質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることがさらに好ましく、2質量部以上であることが特に好ましい。また、このノニオン性乳化剤の含有量は、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましく、6質量部以下であることが特に好ましい。
樹脂分散液は、上述した樹脂粒子、水性媒体、及びHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤のほか、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤以外の乳化剤、分散剤、染料、顔料、金属化合物、消泡剤、発泡剤、滑剤、ゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤、殺菌剤、防錆剤、難燃剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上が樹脂分散液に含有されていてもよい。
<樹脂粒子>
前述の樹脂分散液から前述の樹脂粒子を得ることも可能である。すなわち、本技術では、前述の樹脂分散液から得られた、液体内包型の樹脂粒子を提供することも可能である。この液体内包型の樹脂粒子は、例えば、前述の樹脂分散液を固液分離することにより、得ることができる。固液分離の手法としては、例えば、ろ過及び遠心分離等を挙げることができる。液体内包型の樹脂粒子の形態としては、前述の樹脂分散液において分散媒体をなしていた水性媒体がほとんど除去されたような、粉体状の形態であってもよいし、分散媒体をなしていた水性媒体が残留しているような、湿潤状やスラリー状等であってもよい。
この液体内包型の樹脂粒子は、複数(多数)集合したもの(樹脂粒子群)である。この液体内包型の樹脂粒子は、前述の通り、単官能モノマーに由来する構造単位、及び多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、表層に囲われて内包されている液体とを含む。また、液体内包型の樹脂粒子における表層は、樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する。
液体内包型の樹脂粒子は、内部に液体を内包しているため、内部が中空である(気体で満たされている)中空樹脂粒子に比べて、比重が高いことから浮きが生じ難く分散しやすいという利点や、取り扱い時に樹脂粒子の飛散を抑えやすいという利点がある。したがって、例えば、この樹脂粒子を、塗料、インク、粘着剤、接着剤、及び各種コーティング剤等に使用されるような液媒体を含む材料に混合してそれらの調製を行う場合等において、液媒体に樹脂粒子を分散させやすく、上記調製が容易となる。例えば、内部に水が内包されている樹脂粒子を用いれば、水系用途での混合分散が容易となり、より多くの用途に利用し得る。
なお、液体内包型の樹脂粒子を乾燥させることによって、内部が中空である(気体で満たされている)乾燥粉末状態の中空樹脂粒子を得ることも可能である。
<樹脂分散液の製造方法>
前述の樹脂分散液は、例えば、以下に述べる本発明の一実施形態の樹脂分散液の製造方法を利用することによって、得ることが可能である。すなわち、本発明の一実施形態の樹脂分散液の製造方法は、少なくとも、水性媒体、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマー、2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマー、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤、疎水性液体、及び油溶性重合開始剤を混合分散し、懸濁重合を行うことを含む。この樹脂分散液の製造方法は、上記懸濁重合を行うことで、水性媒体において、単官能モノマーに由来する構造単位、及び多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、その表層に囲われて内包されている疎水性液体とを含む樹脂粒子を得ることを含む。
この樹脂分散液の製造方法では、重合開始剤として油溶性重合開始剤を用いることから、油相中でラジカルが発生することによる懸濁重合を行うことができる。この懸濁重合では、単官能モノマー、多官能モノマー、及び疎水性液体を含む油相中に油溶性重合開始剤が溶解し、水性媒体中に油相を液滴として撹拌及び分散させながら、懸濁重合を行うことができる。懸濁重合によれば、乳化重合によって樹脂粒子を得る場合に比べて、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合が高い樹脂粒子を得ることが可能となる。
上記の懸濁重合では、油相中に油溶性重合開始剤が溶解してラジカルが発生することから、上記の混合分散は、油相と水相とに分けて行うことを要せず、一括で混合分散することも可能である。懸濁重合の操作を行いやすい観点から、上記の混合分散は、油相混合液を得ること;水相混合液を得ること;及び油相混合液と水相混合液とを混合分散することを含むことが好ましい。油相混合液には、単官能モノマー、多官能モノマー、疎水性液体、及び油溶性重合開始剤を混合して得られるものを用いることができる。また、水相混合液には、水性媒体及びHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を混合して得られるものを用いることができる。
疎水性液体は、上述の通り、油相中で、単官能モノマー及び多官能モノマーを、油溶性重合開始剤の存在下で懸濁重合させるために用いられることから、疎水性の液体であればよい。疎水性液体には、非反応性の疎水性液体を好適に用いることができ、20℃において、水と混和しない液体や水に対する溶解度が低い液体を用いることが好ましい。疎水性液体における20℃の水に対する溶解度は、1g/100g−HO未満であることが好ましく、0.5g/100g−HO以下であることがより好ましい。
好適な疎水性液体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、各種パラフィン、及び各種オレフィン等の脂肪族炭化水素;カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、及びベヘニルアルコール等の炭素数8以上(より好ましくは8〜22)の高級アルコール;カルボン酸とアルコールとの脱水縮合で得られるカルボン酸エステル、及びカルボン酸以外のオキソ酸(例えば、炭酸、リン酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、スルホン酸等)とアルコールとの脱水縮合で得られるエステル、並びにそれらエステルの重合体等の(ポリ)エステル類;鉱油;大豆油、オリーブ油、アマニ油、綿実油、菜種油、及びヒマシ油等の植物油;等を挙げることができる。疎水性液体の1種又は2種以上を用いることができる。上記の疎水性液体のなかでも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び高級アルコールが好ましく、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素がより好ましい。
疎水性液体の使用量は、前述の単官能モノマー及び多官能モノマーの合計100質量部に対して、150〜2000質量部であることが好ましい。樹脂粒子の内部容積を確保する観点から、疎水性液体の上記使用量は、150質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましく、300質量部以上であることがさらに好ましい。一方、樹脂粒子の表層の強度を確保する観点から、疎水性液体の上記使用量は、2000質量部以下であることが好ましく、1500質量部以下であることがより好ましく、1000質量部以下であることがさらに好ましい。
油溶性重合開始剤には、油溶性であり、かつ、油相中でラジカルを発生させる重合開始剤を使用することができる。油溶性重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、及びアゾ化合物等を挙げることができる。有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、及びジ−t−ブチルパーオキサイド等を挙げることができる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、及び2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。油溶性重合開始剤の1種又は2種以上を用いることができる。
油溶性重合開始剤の使用量は、前述の単官能モノマー及び多官能モノマーの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜8質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましい。
樹脂分散液の製造方法では、前述の水性媒体を用いることができる。水性媒体としては、少なくとも水を用いることができ、イオン交換水を用いることが好ましい。混合分散時における水の使用量は、前述の単官能モノマー及び多官能モノマーの合計100質量部に対して、400〜2000質量部であることが好ましく、500〜1500質量部であることがより好ましく、600〜1200質量部であることがさらに好ましい。
樹脂分散液の製造方法では、混合分散を行う際に使用する乳化剤として、少なくとも前述したHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を用いる。これにより、懸濁重合の工程後に、平均貫通孔数が2以上である表層を含む樹脂粒子を得ることが可能となる。これは、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を用いることにより、樹脂粒子の表層に一種の成膜阻害のような状況が起こることによるものと考えられる。
HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の使用量は、前述の単官能モノマー及び多官能モノマーの合計100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の使用量を上記範囲内で調整することにより、平均貫通孔数や、貫通孔のサイズを調整することが可能であり、また、それにより、樹脂粒子の内部に内包された疎水性液体の除去に要する時間の調整も可能となる。HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の使用量は、0.5質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることがさらに好ましく、2質量部以上であることが特に好ましい。また、このノニオン性乳化剤の使用量は、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましく、6質量部以下であることが特に好ましい。
樹脂分散液の製造方法では、混合分散を行う際に、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤のほか、さらに分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤、及びHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤以外の乳化剤(以下、「他の乳化剤」と記載することがある。)等を挙げることができる。これらの分散剤の1種又は2種以上を用いることができる。分散剤の使用量は、前述の単官能モノマー及び多官能モノマーの合計100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
高分子分散剤としては、ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸等のポリカルボン酸;ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース類;等を挙げることができる。
他の乳化剤としては、前述のノニオン性乳化剤の具体例のうち、HLB値が6〜14の範囲外にあるもの、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、及び両性イオン性乳化剤等を挙げることができる。これらのなかでも、アニオン性乳化剤が好ましい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム;並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、及びポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等の反応性アニオン性乳化剤等を挙げることができる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルトリエチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルキルジエチルアンモニウム塩、及びN−ポリオキシアルキレン−N,N,N−トリアルキルアンモニウム塩等を挙げることができる。両性イオン性乳化剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキサイド、及びアルキルカルボキシベタイン等を挙げることができる。
混合分散を行うことにより、水性媒体(水相)中で、単官能モノマー及び多官能モノマーを含むモノマー液滴(油相液滴)を形成し、プレエマルションを得ることができる。混合分散には、各種の乳化分散機を用いることができる。乳化分散機としては、例えば、プロペラミキサー、ホモミキサー、及びホモディスパー等の回転撹拌型乳化機、超音波ホモジナイザー、並びに加圧式ホモジナイザー等を挙げることができる。
上記のプレエマルションを用いて懸濁重合を行うことにより、単官能モノマー及び多官能モノマーにそれぞれ由来する構造単位を含む表層と、表層に囲われて内包されている疎水性液体とを含む樹脂粒子を水性媒体中に得ることができる。懸濁重合を行う際の重合温度は、20〜100℃であることが好ましく、40〜90℃であることがより好ましい。また、重合時間は、1〜15時間であることが好ましい。
上述のようにして樹脂粒子を製造するに当たり、混合分散を行う際の混合液には、疎水性液体とともに、前述した徐放性用の物質等の他の物質(例えば、香料、抗菌剤、除菌剤、消臭剤、洗浄剤、医薬、農薬、蓄熱材、紫外線吸収剤、染料、又は顔料等)を混合しておいてもよい。それにより、疎水性液体及び他の物質を含む液状組成物が樹脂粒子の内部に内包されているマイクロカプセル型樹脂粒子を得ることも可能である。
樹脂分散液の製造方法においては、上記のようにして樹脂粒子を得た後、表層に囲われて内包されている疎水性液体を他の液体に置換することを行ってもよい。これにより、表層と、表層に囲われて内包されている他の液体とを含む樹脂粒子を得ることができる。この場合、樹脂粒子の内部に内包されていた疎水性液体のほぼ全てが他の液体に置換されていることが好ましいが、疎水性液体の一部が他の液体に置換されていてもよく、当該置換後に、樹脂粒子の内部に他の液体とともに疎水性液体の一部が残っていてもよい。
樹脂粒子の内部に内包されている疎水性液体を水性媒体に置換する方法としては、例えば、得られた樹脂分散液を減圧し、樹脂粒子の内部に内包されている疎水性液体を気化する方法(減圧処理方法)や、内包されている疎水性液体を加熱により気化させる方法(蒸留処理方法)等を採ることが好ましい。これらの方法のように、樹脂分散液中で樹脂粒子の内部に内包されている疎水性液体を除去することにより、樹脂粒子の内部に内包されていた疎水性液体を水性媒体に置換することができ、内部に水性媒体が内包されている樹脂粒子を得ることができる。この方法をとり得る観点から、疎水性液体から置換される他の液体は水性媒体を含むことが好ましく、水を含むことがより好ましい。
樹脂粒子の内部に内包されている疎水性液体を水性媒体以外の他の液体に置換する場合には、例えば、次のような方法を採ることができる。まず、後述するように、樹脂分散液を固液分離して、水性媒体から分離された樹脂粒子を得た後、樹脂粒子の内部に内包されている疎水性液体を上述した減圧処理方法や蒸留処理方法により除去することができる。これにより、内部に気体(空気)が内包されている樹脂粒子(中空樹脂粒子)を得ることができる。次いで、この樹脂粒子を他の液体に添加することにより、樹脂粒子の内部に他の液体を内包させることが可能である。他の液体として、水や、前述した徐放性用の物質等の他の物質を含有する液状組成物を用いることができる。他の液体として、他の物質を含有する液状組成物を用いる場合、当該物質が樹脂粒子の内部に入り込みやすいように、撹拌、超音波、又は振動を付加した条件下において、当該物質と樹脂粒子とを接触させることが好ましい。樹脂粒子の内部に他の液体を内包させた後、その樹脂粒子を再度水性媒体に戻すことで、樹脂分散液を得ることができる。
樹脂分散液を得た後、樹脂分散液に中和剤を添加して、樹脂分散液を中和することが好ましい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、及びジエチレントリアミン等の有機アミン類等を挙げることができる。これらの中和剤の1種又は2種以上を用いてもよい。中和剤は水溶液の形態で用いることが好ましい。
樹脂分散液のpHは、6.0〜10.0であることが好ましく、6.5〜9.5であることがより好ましく、7.0〜9.0であることがさらに好ましい。本明細書において、樹脂分散液のpHは、JIS K6833−1:2008の規定に準拠して測定される値をとることができ、25℃での値である。
上述のようにして、疎水性液体が内包されている樹脂粒子;又は他の液体が内包されている樹脂粒子;を含有する樹脂分散液を得ることができる。また、これらの樹脂分散液をろ過又は遠心分離等の手法で固液分離することにより、粉体状、湿潤状、又はスラリー状等の状態にある液体内包型の樹脂粒子を得ることができる。さらに、液体内包型の樹脂粒子を乾燥させることにより、内部の液体が除去された乾燥粉末状態にある気体(空気)内包型の樹脂粒子を得ることも可能である。
以上詳述した通り、本発明の一実施形態の樹脂分散液は、水性媒体中で、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の存在下、単官能モノマー及び多官能モノマーを懸濁重合させることによって、得ることができる。そして、樹脂分散液に含有されている樹脂粒子は、表層と表層に囲われて内包されている液体とを含み、表層は、単官能モノマー及び多官能モノマーのそれぞれに由来する構造単位を含む重合体から形成され、かつ、平均貫通孔数が2以上である。したがって、この樹脂分散液によれば、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合が高く、樹脂粒子の内部に液体を充分に内包させることが可能でありながら、内部に内包されている液体の除去や他の液体への置換を行いやすい。そのため、この樹脂分散液は、例えば、感熱記録媒体、塗料、インキ、コーティング剤、粘着剤、及び接着剤等の種々の用途への利用が期待できる。
また、上記の樹脂分散液に含有されている樹脂粒子は、表層における平均貫通孔数が2以上であるため、樹脂粒子の内部が負圧になり難いことで潰れ難いことや、内包している液体の徐放機能の発現も期待できる。例えば、香料、抗菌剤、除菌剤、消臭剤、洗浄剤、医薬、又は農薬等のような徐放性用の物質を樹脂粒子の内部に内包させることにより、当該物質の徐放性を示すことが期待できる。そのため、上記樹脂粒子は、例えば、上記に挙げたような各種の徐放性用の物質を内包した徐放性マイクロカプセルとしての利用が期待できる。
以上の通り、本技術は、例えば以下のような構成をとることが可能である。
[1]水性媒体と、前記水性媒体に分散している樹脂粒子とを含有する樹脂分散液であって、前記樹脂分散液は、さらにHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有し、前記樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている液体とを含み、前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有する、樹脂分散液。
[2]前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で3以上の貫通孔を有する上記[1]に記載の樹脂分散液。
[3]前記貫通孔は、前記貫通孔内の最長部の長さが0.1μm以上の貫通孔である上記[1]又は[2]に記載の樹脂分散液。
[4]前記樹脂粒子の個数平均粒子径は0.5〜30μmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[5]前記樹脂粒子の体積に対する、前記表層によって前記液体が内包されている内部容積の割合は60〜95%である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[6]前記ノニオン性乳化剤の含有量は、前記単官能モノマー及び前記多官能モノマーの合計100質量部に対して、0.1〜20質量部である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[7]前記樹脂粒子における前記単官能モノマーに由来する構造単位及び前記多官能モノマーに由来する構造単位の合計の含有量(質量%)に対する前記多官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の割合は30〜90%である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[8]前記単官能モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む上記[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[9]前記多官能モノマーは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む上記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[10]前記液体は、水を含む上記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂分散液。
[11]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂分散液から得られた、液体内包型の樹脂粒子。
[12]少なくとも、水性媒体、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマー、2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマー、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤、疎水性液体、及び油溶性重合開始剤を混合分散し、懸濁重合を行うことで、前記水性媒体において、前記単官能モノマーに由来する構造単位、及び前記多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている前記疎水性液体とを含む樹脂粒子を得ることを含む、樹脂分散液の製造方法。
[13]前記樹脂粒子を得た後、前記疎水性液体を他の液体に置換し、前記表層と、前記表層に囲われて内包されている前記他の液体とを含む樹脂粒子を得ることを含む、上記[12]に記載の樹脂分散液の製造方法。
[14]前記他の液体は、水を含む上記[13]に記載の樹脂分散液の製造方法。
[15]前記混合分散は、前記単官能モノマー、前記多官能モノマー、前記疎水性液体、及び前記油溶性重合開始剤を混合し、油相混合液を得ること;前記水性媒体及び前記ノニオン性乳化剤を混合し、水相混合液を得ること;並びに前記油相混合液と前記水相混合液とを混合分散すること;を含む上記[12]〜[14]のいずれか1項に記載の樹脂分散液の製造方法。
[16]前記単官能モノマー及び前記多官能モノマーの合計100質量部に対して、前記ノニオン性乳化剤を0.1〜20質量部使用する上記[12]〜[15]のいずれかに記載の樹脂分散液の製造方法。
以下、実施例及び比較例を挙げて、前述の一実施形態のさらなる具体例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<樹脂分散液の製造>
(実施例1)
単官能モノマーとしてメチルメタクリレート10質量部及びメタクリル酸20質量部;多官能モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート70質量部;油溶性重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.5質量部;疎水性液体としてシクロヘキサン400質量部を混合し、油相混合液を調製した。
イオン交換水900質量部に、HLB値が9.2のノニオン性乳化剤としてのポリオキシエチレン多環フェニルエーテル5質量部(商品名「ニューコール704」5質量部、日本乳化剤株式会社製;有効成分100質量%)、及び分散剤としてアニオン性乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム2質量部(商品名「ラテムルWX」7.7質量部、花王株式会社製;有効成分26.0質量%)を混合し、水相混合液を調製した。
調製した油相混合液と水相混合液を混合し、ホモディスパーを用いて混合分散させ、乳化したプレエマルションを作製した。撹拌機、温度計、冷却器、及び滴下ロートを備えた四ツ口セパラブルフラスコに、上記のプレエマルションを全量仕込み、撹拌しながら内温を65℃まで昇温させ、3時間、懸濁重合を行った。この重合反応により、シクロヘキサンを粒子内部に内包する疎水性液体内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を得た。
その後、内温を65℃に維持したまま、フラスコ内を−0.05MPaまで減圧し、その状態を維持することで粒子内部のシクロへキサンを気化、留去させ、同時に樹脂粒子内部に水を置換させた。この操作をシクロヘキサンの留去が止まるまで続けた。
得られた樹脂分散液を冷却後、25質量%濃度のアンモニア水6質量部を添加して、樹脂分散液を中和した。樹脂分散液のpHを調整後、120メッシュのろ布を用いてろ過し、水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を得た。
(実施例1で得られた樹脂分散液の性状)
なお、上記の実施例1で得られた樹脂分散液について、25℃において、JIS K6833−1:2008の規定に準じて測定したところ、pHは8.5、不揮発分(固形分)は10.0質量%、粘度は300mPa・sであった。
(実施例2〜7)
実施例1で使用した単官能モノマー、多官能モノマー、油溶性重合開始剤、疎水性液体、ノニオン性乳化剤、及び分散剤のそれぞれの種類及び使用量を表1−1に示す通りに変更したこと、並びに疎水性液体としてトルエンを用いた実施例については懸濁重合時の温度及び減圧時の温度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を得た。疎水性液体として、実施例1で使用したシクロヘキサンの代わりにトルエンを使用した実施例2、5及び6については、懸濁重合時の温度を80℃とし、重合後、減圧して粒子内部のトルエンを除去する際の温度を85℃とした。なお、トルエンの沸点は約110℃であるが、上記温度条件でも水と共沸するため、留去可能であった。
(比較例1及び2)
実施例1で使用した単官能モノマー、多官能モノマー、及び油溶性重合開始剤のそれぞれの種類及び/又は使用量を表1−2に示す通りに変更したこと、油相混合液にさらに油脂としてヒマシ油(商品名「ヒマシ油」、林純薬工業株式会社製)を用いたこと、イオン交換水の使用量を1100質量部としたこと、水相混合液にノニオン性乳化剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を得た。
(比較例3〜5)
実施例1で使用した単官能モノマー、多官能モノマー、油溶性重合開始剤、疎水性液体、及び分散剤のそれぞれの種類及び/又は使用量を表1−2に示す通りに変更したこと、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤の代わりに他の乳化剤を用いたこと、並びに比較例3では懸濁重合時の温度及び減圧時の温度を上述の実施例2、5及び6と同様としたこと以外は、実施例1と同様にして、水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を得た。
以上の実施例及び比較例で使用した材料において、後記表1−1及び表1−2(以下、これらをまとめて「表1」と記載する。)に示したものは以下の通りである。
(ノニオン性乳化剤)
・HLB値が3.4のノニオン性乳化剤:ソルビタントリオレエート(商品名「ニューコール3−80」、日本乳化剤株式会社製;有効成分100質量%)
・HLB値が6.4のノニオン性乳化剤:ソルビタンモノオレエート(商品名「ニューコール80」、日本乳化剤株式会社製;有効成分100質量%)
・HLB値が9.2のノニオン性乳化剤:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(商品名「ニューコール704」、日本乳化剤株式会社製;有効成分100質量%)
・HLB値が12.3のノニオン性乳化剤:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(商品名「ニューコール707」、日本乳化剤株式会社製;有効成分100質量%)
・HLB値が16.6のノニオン性乳化剤:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(商品名「ニューコール723」、日本乳化剤株式会社製;有効成分100質量%)
(分散剤)
・アニオン性乳化剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名「ラテムルWX」、花王株式会社製;有効成分26.0質量%)
・ポリビニルアルコール(銘柄名「PVA−22−88」、株式会社クラレ製)
<評価>
上記の各実施例及び比較例で得られた樹脂分散液について、以下に述べる方法により、疎水性液体の留去時間、疎水性液体の留去後の液比重、個数平均粒子径、樹脂粒子の形状、平均貫通孔数、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合、及び樹脂粒子(表層)の強度の評価を行った。
(疎水性液体の留去時間)
各実施例及び比較例で作製した水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液における樹脂粒子内部を水に置換する前段階の疎水性液体内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液について行った疎水性液体(シクロヘキサン又はトルエン)の気化による留去に要した時間(分)を記録した。なお、気化した疎水性液体は、樹脂分散液の製造に使用した四ツ口セパラブルフラスコに設けられている冷却器で冷やされ、冷却器下部に溜まっていく仕様となっていることから、それを観察することにより、疎水性液体の留去(その進行及び停止)を確認した。また、樹脂粒子に内包されていた疎水性液体が完全に留去したか否かの確認方法は、以下に述べる液比重を測定することにより行った。
(疎水性液体の留去後の液比重)
樹脂粒子に内包されていた疎水性液体を留去した後の樹脂分散液について、液比重を測定した。水と樹脂粒子からなる、固形分10質量%の樹脂分散液であれば、その液比重は1.02程度となる。一方、樹脂粒子の内部に疎水性液体が残留していることで、樹脂分散液中に疎水性液体が残留している場合、その液比重は1.01未満となる。そのため、液比重の測定値が1.01以上であった場合、疎水性液体が完全に留去したと評価することができる。
(個数平均粒子径)
各実施例及び比較例で作製した水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液について、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名「SALD−7100」、株式会社島津製作所製)を用いて、個数基準の粒度分布における、球相当径の個数基準の累積頻度50%となる粒子径を個数平均粒子径として測定した。
(樹脂粒子の形状及び平均貫通孔数)
各実施例及び比較例で作製した水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液について、樹脂粒子の形状、及び平均貫通孔数を確認した。具体的には、水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を乾燥させ、乾燥樹脂粒子試料を作製した後、この乾燥樹脂粒子試料の表面を走査型電子顕微鏡(SEM;商品名「JSM−IT500HR」、日本電子株式会社製)で観察することにより、樹脂粒子の形状を確認した。また、得られたSEM画像から無作為に10個の粒子を選択し、選択された粒子の表面にある貫通孔の数をカウントし、SEM画像に現れていない部分にも同数の貫通孔があるとみなしてカウント数を2倍にした値を貫通孔の総数とし、その貫通孔の総数を粒子数(10個)で割った値を平均貫通孔数とした。貫通孔のカウントは、貫通孔内の最長部の長さが0.1μm以上である貫通孔を対象とした。上記で得られた各SEM画像のうち、実施例1及び4〜6で得られたSEM画像をそれぞれ図1A〜Dに、比較例3で得られたSEM画像を図1Eに示す。
(樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合)
各実施例及び比較例で作製した水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液を用いて、樹脂塗膜を作製した後、その樹脂塗膜の断面についてSEM観察を行うことにより、樹脂粒子の内部及び表層の存在を確認し、また、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合を求めた。具体的には、次の通りである。樹脂分散液と、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)ラテックス(商品名「SBラテックス L−7063」、旭化成株式会社製;固形分48質量%)とを、固形分質量比が2(樹脂分散液):1(SBRラテックス)となる組成で混合し、塗工液を調製した。この塗工液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに乾燥膜厚が50μmとなるように塗工し、乾燥することで樹脂粒子が分散した樹脂塗膜を作製した。この塗膜をカミソリで切断し、その断面を上記SEMで観察した。得られたSEM画像から無作為に10個の粒子を選択した後、選択された粒子1個につき表層の厚さを上下左右1点ずつ計4点測定してその平均を求め、10個の粒子における平均値を表層の厚さとした。この表層の厚さtと、上記の個数平均粒子径の測定値Dとから、[(D/2−t)/(D/2)]×100(%)により、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合)を求めた。上記で得られた各SEM画像のうち、実施例1で得られたSEM画像を図2に示す。
(表層の強度)
上記の「樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合」の評価で述べた樹脂塗膜と同様に、PETフィルム上に樹脂塗膜を作製した。この樹脂塗膜の表面の上から、プレス機(機器名「MP-WNL」、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、100MPaの圧力を付加した。プレス後の樹脂塗膜をカミソリで切断し、その断面をSEMで観察した。得られたSEM画像における樹脂粒子の状態を確認することにより、以下の評価基準にしたがって、樹脂粒子(表層)の強度を評価した。上記で得られた各SEM画像のうち、実施例1で得られたSEM画像を図3Aに、比較例5で得られたSEM画像を図3Bに示す。
A:観察された樹脂粒子のほぼ全てが球形状を維持している。
B:観察された樹脂粒子の一部は球形状が潰れ、半数以上は球形状を維持している。
C:観察された樹脂粒子の半数以上は球形状が潰れている。
D:観察された樹脂粒子のほぼ全てにおいて球形状が潰れている。
以上の各実施例及び比較例の樹脂分散液の製造に使用した材料及びその使用量、並びに各樹脂分散液の評価結果を表1に示す。
以上の結果より、各実施例で得られた水内包型の樹脂粒子を含有する樹脂分散液は、単官能モノマー及び多官能モノマーが重合した表層と、表層に囲われて内包されている水とを含む樹脂粒子を含有する樹脂分散液であることが認められた。また、各実施例で得られた樹脂分散液における樹脂粒子は、その表層において、樹脂粒子1個当たりの平均で3以上の貫通孔を有することが確認された。さらに、各実施例で得られた樹脂分散液における樹脂粒子は、真球に近い球形状であり、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合が高く、水に置換される前に内部に内包されていた疎水性液体を除去しやすいことが確認された。
一方、比較例1〜5で得られた樹脂分散液は、樹脂粒子の製造に、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を用いなかったことから、樹脂粒子の平均貫通孔数が2未満であった。そのため、樹脂粒子の内部に内包されていた疎水性液体を減圧処理により除去し、水に置換した際に、樹脂粒子が負圧により潰れた形状となったと考えられる。これら比較例における樹脂粒子は、球形状を維持できなかったために、球の体積を前提として算出される、樹脂粒子の体積に対する内部容積の割合を求めることはできないという結果となった。また、比較例1〜5で得られた樹脂分散液は、疎水性液体の留去後の液比重が1.01未満であったことから、樹脂粒子の内部に疎水性液体が残留していたと認められる。これら比較例の樹脂分散液における樹脂粒子の平均貫通孔数は2未満であったことから、樹脂粒子の内部に内包されていた疎水性液体を除去し難いことが確認された。

Claims (17)

  1. 水性媒体と、前記水性媒体に分散している樹脂粒子とを含有する樹脂分散液であって、
    前記樹脂分散液は、さらにHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有し、
    前記樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている液体とを含み、
    前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有し、
    前記樹脂粒子の体積に対する、前記表層によって前記液体が内包されている内部容積の割合は60〜95%である、樹脂分散液。
  2. 前記樹脂粒子の個数平均粒子径は0.5〜30μmである請求項1に記載の樹脂分散液。
  3. 水性媒体と、前記水性媒体に分散している樹脂粒子とを含有する樹脂分散液であって、
    前記樹脂分散液は、さらにHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有し、
    前記樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている液体とを含み、
    前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有し、
    前記樹脂粒子の個数平均粒子径は0.5〜30μmである、樹脂分散液。
  4. 前記樹脂粒子における前記単官能モノマーに由来する構造単位及び前記多官能モノマーに由来する構造単位の合計の含有量(質量%)に対する前記多官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の割合は30〜90%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  5. 水性媒体と、前記水性媒体に分散している樹脂粒子とを含有する樹脂分散液であって、
    前記樹脂分散液は、さらにHLB値が6〜14のノニオン性乳化剤を含有し、
    前記樹脂粒子は、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマーに由来する構造単位、及び2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている液体とを含み、
    前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で2以上の貫通孔を有し、
    前記樹脂粒子における前記単官能モノマーに由来する構造単位及び前記多官能モノマーに由来する構造単位の合計の含有量(質量%)に対する前記多官能モノマーに由来する構造単位の含有量(質量%)の割合は30〜90%である、樹脂分散液。
  6. 前記表層は、前記樹脂粒子1個当たりの平均で3以上の貫通孔を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  7. 前記貫通孔は、前記貫通孔内の最長部の長さが0.1μm以上の貫通孔である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  8. 前記ノニオン性乳化剤の含有量は、前記単官能モノマー及び前記多官能モノマーの合計100質量部に対して、0.1〜20質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  9. 前記単官能モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  10. 前記多官能モノマーは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  11. 前記液体は、水を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂分散液。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂分散液から得られた、液体内包型の樹脂粒子。
  13. 少なくとも、水性媒体、1つの重合性不飽和結合を有する単官能モノマー、2つ以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマー、HLB値が6〜14のノニオン性乳化剤、疎水性液体、及び油溶性重合開始剤を混合分散し、懸濁重合を行うことで、前記水性媒体において、前記単官能モノマーに由来する構造単位、及び前記多官能モノマーに由来する構造単位を含む重合体から形成された表層と、前記表層に囲われて内包されている前記疎水性液体とを含む樹脂粒子を得ることを含む、樹脂分散液の製造方法。
  14. 前記樹脂粒子を得た後、前記疎水性液体を他の液体に置換し、前記表層と、前記表層に囲われて内包されている前記他の液体とを含む樹脂粒子を得ることを含む、請求項13に記載の樹脂分散液の製造方法。
  15. 前記他の液体は、水を含む請求項14に記載の樹脂分散液の製造方法。
  16. 前記混合分散は、前記単官能モノマー、前記多官能モノマー、前記疎水性液体、及び前記油溶性重合開始剤を混合し、油相混合液を得ること;
    前記水性媒体及び前記ノニオン性乳化剤を混合し、水相混合液を得ること;並びに
    前記油相混合液と前記水相混合液とを混合分散すること;
    を含む請求項1315のいずれか1項に記載の樹脂分散液の製造方法。
  17. 前記単官能モノマー及び前記多官能モノマーの合計100質量部に対して、前記ノニオン性乳化剤を0.1〜20質量部使用する請求項1316のいずれか1項に記載の樹脂分散液の製造方法。
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