JP6812159B2 - トナー、およびトナーの製造方法 - Google Patents

トナー、およびトナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法に用いられるトナー、及びトナーの製造方法に関する
近年、電子写真法を用いた複写機やプリンターにおいて、省エネルギーの観点から、定着装置にかかる熱量を大幅に削減する、いわゆる低温定着性への取り組みがなされている。加えて、これらの装置においては、一般家庭を含めその普及が進むことに対応して、さまざまな温度や湿度の環境下で安定して高画質の画像を得ることができることも求められる。
したがって、トナーには低温定着性に加え、温度や湿度の影響を受けない環境安定性を有することが求められている。
トナーにおいては、低温定着性に加えて保存安定性も求められている。この両者を両立するため、コアとなる樹脂の表面をシェル樹脂で被覆したコアシェル構造のトナーが提案されている。
一方、トナーの環境安定性を改善させる方法として、コアシェル構造のトナーのシェル用の樹脂に温度や湿度の影響を受けにくい疎水性の材料を用いる方法がある。有機ポリシロキサンは、界面張力が低い材料として知られている。したがって、有機ポリシロキサン構造をトナーのシェル樹脂に導入することで、湿度に影響を受けない帯電性能の付与が可能になると期待される。ところが、有機ポリシロキサンは、一般にガラス転移点(Tg)が室温より低いため、シェル樹脂中に多量に存在するとトナー粒子の表面が軟化し、耐久性が低下する。そのため、有機ポリシロキサンの導入量、存在状態を制御することが重要である。
特許文献1から3には、有機ポリシロキサン構造を有する化合物を利用したコアシェル構造を有するトナーが提案されている。
特許文献1では、コア樹脂および、シェル樹脂中に有機ポリシロキサン化合物を含有するコアシェル構造のトナーが提案されている。これにより、定着ロールへの剥離性とトナーの帯電性が良好なトナーが得られることが記載されている。
特許文献2では、有機ポリシロキサン構造を有する樹脂微粒子が表面に固着、または皮膜化されてなるトナーの製造方法が提案されている。この方法では、液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を分散媒体とし、樹脂微粒子と分散安定剤としての有機ポリシロキサン構造を有する化合物を分散させた分散媒体中でトナー粒子を形成させている。
特許文献3では、前記有機ポリシロキサン構造を含む樹脂によるシェル層を形成したコアシェル構造のトナーが提案されている。特許文献3には、トナー粒子表面における有機ポリシロキサン構造を有する部位の存在量を適正化することで、環境安定性と耐久性とを両立することが記載されている。
特開2006−91283号公報 特開2010−132851号公報 特開2013−137495号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載のトナーは、低温定着性が十分ではないことが分かった。これは、コア樹脂中に前記有機ポリシロキサン化合物を多く含有しているため、定着時におけるワックスの染み出しも阻害されてしまい、コールドオフセットが発生しやすいことが原因であると考えられる。特許文献2に記載のトナーに関してトナーの帯電性を検討したところ、湿度による影響を受けやすく、環境安定性が十分とはいえるものではなかった。また、特許文献3に記載のトナーについて、過酷な温度湿度環境下に長期間放置した後、耐久性試験を行ったところ、画像不良が発生する場合があることが分かった。これは、トナー粒子に含まれるワックスや結着樹脂中の低分子量成分が表面に染み出し、帯電性の低下や部材汚染を発生させていることが原因であると考えられる。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、帯電安定性、環境安定性、に優れるとともに、低温定着性、および耐久性に優れたトナー、及びトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子の、X線光電子分光分析(ESCA)により測定されるSi原子の量(atomic%)が、4.5以上10.0以下であり、
透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面についてエネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いた分析において、
前記トナー粒子の断面の輪郭から、前記トナー粒子の粒径に対して10.0%の距離までの表層領域Rにおける、前記有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が、前記トナー粒子中に含まれるSi原子の全量に対して90.0%以上であり、
前記表層領域Rにおける前記輪郭と前記断面の中心とを結ぶ直線のライン分析において、
前記トナー粒子におけるSi原子の強度カウントが下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーに関する。
Si>Si>Si>Si≧0・・・(1)
(式(1)中、
Siは、前記直線と前記輪郭との交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
Siは、前記直線と前記表層領域Rの境界線との交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
線分Pを3等分する点を交点Pに近い方から、P、Pとしたとき、
Siは、前記交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
Siは、前記交点PにおけるSi原子の強度カウントを示す。)
また、本発明は、結着樹脂、着色剤、およびワックスを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
a)前記結着樹脂、前記着色剤、前記ワックス、有機ポリシロキサン構造を有する樹脂A、および有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程、
b)前記樹脂溶液と有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Bを含有する樹脂微粒子と二酸化炭素とを混合し、前記樹脂Bを含有する樹脂で表面を覆われた前記樹脂溶液の液滴を形成する工程、および
c)前記液滴に含まれる前記有機溶媒を除去して、前記樹脂Bを含有する表層を有するトナー粒子を得る工程、
を有し、
前記トナー粒子の、X線光電子分光分析(ESCA)により測定されるSi原子の量(atomic%)が4.5以上10.0以下であり、
透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面についてエネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いた分析における、
前記トナー粒子の断面の輪郭から、前記トナー粒子の粒径に対して10.0%の距離までの表層領域Rにおける、前記有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が、前記トナー粒子中に含まれるSi原子の全量に対して90.0%以上であり、
前記表層領域Rにおける前記輪郭と前記断面の中心とを結ぶ直線のライン分析において、
前記トナー粒子におけるSi原子の強度カウントが上記式(1)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
本発明によれば、帯電安定性、環境安定性に優れるとともに、低温定着性、および耐久性に優れたトナー、およびトナーの製造方法を提供することができる。
本発明のトナーの領域R、ライン分析の位置の一例を示す図である。 本発明のトナーの製造方法、製造装置の一例を示す図である。 ヒートサイクルのタイムチャートを示す図である。 トナーの帯電量を測定するための装置の一例を示す図である。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Aを含有するトナー粒子ある。
有機ポリシロキサン構造とは、下記式(I)に示すSi−O結合の繰返し単位を有し、各Si原子には二つのアルキル基が結合した構造を有している。
Figure 0006812159
上記式(I)において、Rはアルキル基である。また、nは重合度を示し、2以上の整数である。上述したように、有機ポリシロキサン構造を有する化合物は、界面張力が低くなる傾向を示す。
したがって、有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Aがトナー粒子の表面に存在することにより、トナーの環境安定性、特に高温高湿環境下および、低温低湿環境下における帯電量の変化が抑制しやすくなる。
上述した過酷な温度湿度環境下に長期間曝されることで発生する耐久性の課題を解決する方法の一つとして、樹脂Aの導入量を増やす方法があるが、低温定着性の低下を招くことになる。また、別の方法として、樹脂Aに含まれる有機ポリシロキサン構造を有する部位の含有比率を増やす方法もあるが、トナー粒子表面が軟化し易くなるため、耐久性のさらなる低下を招くことになる。
そこで、本発明者らは、トナー粒子表面における樹脂Aの導入形態に着目し、トナーの環境安定性、および耐久性との関係について詳細に検討を行った。検討の結果、有機ポリシロキサン構造に由来するトナー粒子表面のSi原子の量と、トナー粒子におけるSi原子の存在状態を制御することにより、上述の耐久性と環境安定性との両立が可能となることを見出し、本発明に至った。
以下に、本発明のトナーの構成について詳細を説明する。
トナー粒子の、X線光電子分光分析(ESCA)により測定されるSi原子の量(atomic%)は、4.5以上10.0以下である。このSi原子の量を上記範囲内とすることで帯電量の環境安定性を確保することが可能となる。
ESCAでは、試料の表面(深さ約10nmまでの領域)に存在する原子が検出される。また、ケミカルシフトによって、原子の結合状態も分離することが可能であり、有機ポリシロキサン構造に由来するSi−O結合の場合、101eV以上103eV以下にピークが出現する。
Si原子の量が4.5atomic%より小さいと、トナー粒子表面に有機ポリシロキサン構造が少ないことを意味しており、帯電量の環境安定性の効果が得られない。また、Si原子の量が10.0atomic%より大きいと、トナー粒子表面に有機ポリシロキサン構造が多いことを意味しており、トナー表面が軟化するため、耐久性に劣る。Si原子の量は、6.0atomic%以上9.0atomic%以下であることがより好ましい。上記トナー粒子のSi原子の量は、トナー粒子における有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Aの含有量によって制御することができる。
続いて、透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面についてエネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いた分析において、トナー粒子の断面の輪郭から、トナー粒子の粒径に対して10.0%の距離までの表層領域Rが以下の特徴を有する。表層領域Rにおける、有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が、トナー粒子中に含まれるSi原子の全量に対して、90.0%以上である。
表層領域Rにおける、有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が90.0%以上であると、トナー粒子の表面近傍に樹脂Aが偏在して存在しており、ワックスや結着樹脂における低分子成分の染み出しを抑制することが可能となる。表層領域Rにおける有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が90.0%より小さいと、樹脂Aがトナー粒子の内部領域に広く分散し、トナー粒子の表層近傍における有機ポリシロキサン構造が少ないことを意味している。したがって、ワックスや前記結着樹脂の低分子量成分に対する染み出し抑制の効果が得られない。上記表層領域RにおけるSi原子の含有割合は、95.0%以上であることがより好ましい。
本発明では、表層領域Rにおける輪郭と断面の中心とを結ぶ直線のライン分析において、トナー粒子におけるSi原子の強度カウントが、輪郭から中心方向に向かって減少する傾斜構造を有する。すなわち、トナー粒子におけるSi原子の強度カウントが下記式(1)を満たす。
Si>Si>Si>Si≧0・・・(1)
(式(1)中、
Siは、直線と輪郭との交点PにおけるSi原子の強度カウントを示す。
Siは、直線と表層領域Rの境界線との交点PにおけるSi原子の強度カウントを示す。
線分Pを3等分する点を交点Pに近い方から、P、Pとしたとき、Siは、交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、Siは、交点PにおけるSi原子の強度カウントを示す。)
本発明者らは、トナー粒子に含まれるワックスや結着樹脂中の低分子量成分に対する染み出しを抑制する方法について考えた。これらの染み出しの抑制には、トナー粒子の表面近傍に、染み出しの抑制効果を有する成分の濃度を増やす構造と、染み出しを抑制する成分が存在する領域を広げる構造が有効であること分かった。単純に樹脂Aの導入量や樹脂Aに含まれる有機ポリシロキサン構造を有する部位を増加させれば達成可能であるが、耐久性や低温定着性を悪化させてしまう。そこで、本発明者らは、上述した二つを満たす条件として、染み出しを抑制する成分の濃度を表層近傍では高く、表層から中心に向けて低下していく傾斜構造を考えた。そして、上記式(1)を満たすような傾斜構造を有することで、耐久性や低温定着性の悪化を抑制し、少量の樹脂Aでも十分に染み出しが抑制できると考えられる。
上記Si、Si、Si、Siは、EDSを用いたライン分析によって求められるPからPまでの4点におけるSiのカウント量の最大値を100として規格化し、その相対値である強度カウントで示す。トナー粒子におけるライン分析において、Si原子の強度カウントが上記式(1)を満たさないということは、表層領域Rにおいて、染み出しを抑制する傾斜構造が形成されていないことを意味しており、十分な効果を得ることができない。また、Si以外が0となる場合も、表層領域Rにおいて安定した傾斜構造を形成することができなくなるため、染み出しを抑制する効果を得ることができない。上記式(1)において、Siは0であってもよいが、0より大きいことがより好ましい。
さらに、Si元素の強度カウントSi、Si、Si、Siは、下記式(4)を満たすことが好ましい。隣接する2点間におけるSi強度の差が下記式(4)を満たすことにより、表層領域Rにおいてより安定した傾斜構造を形成することが可能となり、染み出しを抑制することが可能となる。
Si−Si≧Si−Si≧Si−Si・・・(4)
このような傾斜構造を形成する方法として、後述する疎水系分散媒体を使用する溶解懸濁法が挙げられる。溶解懸濁法において、樹脂Aを結着樹脂と共に有機溶媒に溶解させた液滴を疎水性分散媒体中に分散させた後、疎水性分散媒体に対する親和性の差を利用して、樹脂Aを液滴の表面近傍に偏在させることにより形成することができる。
樹脂Aは、下記式(II)で示される化合物Xを含む単量体組成物の重合物であることが好ましい。化合物Xは、有機ポリシロキサン構造を分子構造に含むビニル基を有する単量体である。この化合物Xを用いることで、樹脂Aを容易に合成できる。
Figure 0006812159
、Rはアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、Rは水素原子もくしはメチル基である。nは重合度を示し、2以上の整数である。
有機ポリシロキサン構造を有する化合物Xの合成方法としては、カルビノール変性ポリシロキサンと、アクリル酸クロライドもしくはメタクリル酸クロライドの脱塩酸反応による反応が挙げられる。
トナー粒子における樹脂Aの含有量は、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。樹脂Aの含有量を上記範囲とすることで、環境安定性と低温定着性の改善効果をより有効に発現することができる。樹脂Aの含有量が1.0質量%以上であると、表層領域RにSi原子が十分な量存在する。よって、染み出しを抑制する効果が向上し、環境安定性がより良好となる。樹脂Aの含有量が10.0質量%以下であると、表面領域Rに存在する樹脂Aが過剰ではなく、適度な量であることを意味している。これにより、低温定着性が向上する。樹脂Aの含有量は、より好ましくは、3.0質量%以上7.0質量%以下である。
トナー粒子は、有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Bを含有する樹脂微粒子に由来する表層を有することが好ましい。特に、溶解懸濁法を用いたトナーの製造では、樹脂Bを含有する樹脂微粒子を分散剤として用いることによって、粒径、および粒度分布の制御が容易になる。さらに、樹脂Bを含有する樹脂微粒子は、トナーの製造後も表面を被覆した状態を維持し続けるため、トナー粒子の表面におけるSi原子の量を前述した範囲に制御することが容易になる。
樹脂Aおよび樹脂Bは、次の特性を満足することが好ましい。すなわち、樹脂Aの溶解度パラメータ(SP値)をSP(A)、樹脂BのSP値をSP(B)、結着樹脂のSP値をSP(C)としたとき、下記式(2)および(3)を満たすことが好ましい。
SP(B)<SP(A)<SP(C)・・・(2)
1.0≦SP(C)−SP(A)≦4.0・・・(3)
樹脂A、樹脂B、および結着樹脂のSP値が上記式(2)、(3)の関係を同時に満たすことにより、ワックスや結着樹脂中における低分子成分が染み出しをより効果的に抑制することができる。SP値は、ある物質がある物質にどのくらい溶解するかを示す溶解性や親和性の指標として用いられる数値である。SP値が近いもの同士は溶解性や親和性が高く、SP値が離れているものは溶解性や親和性が低い。SP値は、溶解度パラメータ計算ソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice:HSPiP 4th Edition 4.1.03)により算出することができる。
式(2)において、SP(A)<SP(C)であると、樹脂Aがトナー表面に偏在しやすくなり、上述した染み出しを抑制するための傾斜構造を作りやすくなる。また、SP(B)<SP(A)であると、トナー粒子に良好なSi原子の傾斜構造が形成され、上述した染み出しを抑制し、環境安定性が良好となる。
さらに、樹脂Aと結着樹脂のSP値が上記式(3)を満たすことにより、樹脂Aが結着樹脂の表面近傍で前述した傾斜構造を形成し易くなる。そうすることで、より過酷な温度湿度環境下に長期間放置することによるワックスや結着樹脂中の低分子成分の染み出しを抑制することができる。SP(C)−SP(A)が1.0以上であると、樹脂Aの結着樹脂内部への相溶性が低下し、Si元素の強度の変化のある層を形成し、上述した染み出しをより抑制する。SP(C)−SP(A)が4.0以下であると、樹脂Aと結着樹脂内部との相分離を抑制し、上述した染み出しの抑制を良好に維持することができる。P(C)−SP(A)は、より好ましくは2.0以上3.5以下である。
樹脂Bは、下記式(III)で示される化合物を含む単量体組成物の重合物であることが好ましい。
Figure 0006812159
(式中、R、Rはアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、Rは水素原子もくしはメチル基である。nは重合度を示し、2以上の整数である。)
上記式(III)で示される化合物は、有機ポリシロキサン構造を分子構造に含むビニル基を有する単量体である。この化合物Xを用いることで、樹脂Bを容易に合成できる。
トナー粒子における樹脂Bの含有量は、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3.0質量%以上10.0質量%以下である。樹脂Bの含有量を上記範囲とすることで、環境安定性と耐久性の改善効果をより効果的に発現させることができる。樹脂Bの含有量が1.0質量%以上であると、環境安定性と耐久性を向上させる効果が得られる。また、樹脂Bの含有量が10.0質量%以下であると、低温定着性が良好になる。前記樹脂Bの含有量は、より好ましくは、4.0質量%以上7.0質量%以下である。
樹脂Aは、有機溶媒に対する可溶成分が90.0質量%以上であることが好ましい。上述した疎水性分散媒体を用いた溶解懸濁法においては、樹脂Aを結着樹脂と共に有機溶媒に溶解させた後、疎水性分散媒体に対する親和性の差を利用して、樹脂Aをトナー粒子表面の近傍に偏在させることにより傾斜構造を形成する。可溶成分が90.0質量%以上であると、疎水性分散媒体に対する親和性が良好となり、より傾斜構造を形成しやすくなる。樹脂Aの有機溶媒に対する可溶成分は、より好ましくは、95.0質量%以上である。
樹脂Bは、有機溶媒に対する可溶成分が30.0質量%以下であることが好ましい。上述した疎水性分散媒体を用いた溶解懸濁法においては、樹脂Bを含有する固体の樹脂微粒子を分散剤として用いることにより、粒径と粒度分布を制御する。可溶成分が30.0質量%以下であると、トナー粒子の粒径と粒度分布をシャープに制御することができる。樹脂Bの有機溶媒に対する可溶成分は、より好ましくは、15.0%以下である。
樹脂A及び樹脂Bの有機溶媒に対する可溶成分の割合を上記の範囲に制御する有機溶媒として、以下のものが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンなどのケトン系有機溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートなどのエステル系有機溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系有機溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系有機溶媒;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系有機溶媒;2−フェニルエタノールなどの芳香族アルコール系有機溶媒。これらの中でも、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、2−フェニルエタノールが好ましい。
本発明のトナーを製造する方法は、以下の工程を有することが好ましい。
a)結着樹脂、着色剤、ワックス、有機ポリシロキサン構造を有する樹脂A、および有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程。
b)樹脂溶液と有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Bを含有する樹脂微粒子と二酸化炭素とを混合し、樹脂Bを含有する樹脂で表面を覆われた樹脂溶液の液滴を形成する工程。
c)液滴に含まれる有機溶媒を除去して、樹脂Bを含有する表層を有するトナー粒子を得る工程。
二酸化炭素は、高圧状態の二酸化炭素であることが好ましく、具体的には、圧力1.5MPa以上の二酸化炭素である。また、液体、あるいは超臨界状態の二酸化炭素を単体で分散媒体として用いてもよく、他の成分として有機溶媒が含まれていてもよい。この場合、高圧状態の二酸化炭素と有機溶媒が均一相を形成することが好ましい。
以下に、上記の工程a)〜c)ついて詳細に説明する。
まず、a)の工程では、結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機ポリシロキサン構造を有する樹脂A、および必要に応じて他の添加物を有機溶媒に加える。そして、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機などの分散機によって均一に溶解、または分散させる。これによって、上述の樹脂溶液を調製する。
次に、b)の工程では、こうして得られた樹脂溶液と高圧状態の二酸化炭素とを混合し、樹脂溶液の液滴を形成する。このとき、高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体中には、分散剤を分散させておく必要がある。分散剤としては、樹脂微粒子が好ましく、特に、樹脂Bを含有する樹脂微粒子がより好ましい。
分散剤として用いる樹脂微粒子の粒径は、個数平均粒径で30nm以上300nm以下であることが好ましい。より好ましくは、50nm以上200nm以下である。30nm以上300nm以下の範囲であると、造粒時の液滴の安定性が十分に得られ、液滴の粒径を所望の大きさに制御しやすくなる。また、樹脂微粒子の配合量は、液滴の形成に使用する樹脂溶液中の固形分量に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、液滴の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
また、液体状態の分散安定剤を添加してもよい。分散安定剤は、二酸化炭素に親和性の高い、有機ポリシロキサン構造やフッ素を含有する化合物や、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤といった各種界面活性剤が挙げられる。これらの分散安定剤は、後述する脱溶剤工程において二酸化炭素とともに系外に排出される。したがって、トナー粒子に残存する量は、極めて少量となる。
分散剤を高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体中に分散させる方法は、如何なる方法を用いてもよい。例えば、分散剤と高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体を容器内に仕込み、撹拌や超音波照射により直接分散させる方法が挙げられる。また別の方法としては、高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体を仕込んだ容器に、分散剤を有機溶媒に分散させた分散液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。
また、樹脂溶液を高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体中に分散させる方法は、如何なる方法を用いてもよい。例えば、分散剤を分散させた状態の高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体を入れた容器に、樹脂溶液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。また別の方法としては、樹脂溶液を仕込んだ容器に、分散剤を分散させた状態の高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体を導入する方法がある。
高圧状態の二酸化炭素を含有する分散媒体は、単一相であることが好ましい。樹脂溶液を高圧状態の二酸化炭素中に分散させて造粒を行う場合、液滴中の有機溶媒の一部は分散媒体中に移行する。このとき、二酸化炭素の相と有機溶媒の相が分離した状態で存在することは、液滴の安定性が損なわれる原因となり好ましくない。したがって、分散媒体の温度や圧力、高圧状態の二酸化炭素に対する樹脂溶液の量は、二酸化炭素と有機溶媒とが均一相を形成し得る範囲内に調整することが好ましい。
また、分散媒体の温度については、造粒性(液滴形成のし易さ)や樹脂溶液中の構成成分の分散媒体への溶解性などの観点から、分散媒体の温度は10℃以上40℃以下の温度範囲であることが好ましい。
また、前記分散媒体を形成する容器内の圧力は、造粒性や樹脂溶液中の構成成分の分散媒体への溶解性などの観点から、1.5MPa以上20.0MPa以下であることが好ましく、2.0MPa以上15.0MPa以下であることがより好ましい。尚、本発明における圧力とは、分散媒体中に二酸化炭素以外の成分が含まれる場合には、その全圧を示す。
こうして液滴形成が完了した後、c)の工程では、液滴中に残留している有機溶媒を、高圧状態の二酸化炭素による分散媒体を介して除去する。具体的には、液滴が分散された分散媒体にさらに高圧状態の二酸化炭素を混合して、残留する有機溶媒を二酸化炭素の相に抽出する。そして、この有機溶媒を含む二酸化炭素を、さらに高圧状態の二酸化炭素で置換することによって、有機溶剤を除去する。
分散媒体と高圧状態の二酸化炭素の混合は、分散媒体に、これよりも高圧の二酸化炭素を加えてもよく、また、分散媒体を、これよりも低圧の二酸化炭素中に加えてもよい。
そして、有機溶媒を含む二酸化炭素をさらに高圧状態の二酸化炭素で置換する方法としては、容器内の圧力を一定に保ちつつ、高圧状態の二酸化炭素を流通させる方法が挙げられる。このとき、形成されるトナー粒子は、フィルターで捕捉しながら行う。
高圧状態の二酸化炭素による置換が十分でなく、分散媒体中に有機溶媒が残留した状態であると、得られたトナー粒子を回収するために容器を減圧する際、分散媒体中に溶解した有機溶媒が凝縮する。そして、トナー粒子が再溶解したり、トナー粒子同士が合一したりするといった不具合が生じる場合がある。したがって、高圧状態の二酸化炭素による置換は、有機溶媒が完全に除去されるまで行う必要がある。流通させる高圧状態の二酸化炭素の量は、分散媒体の体積に対して1倍以上100倍以下が好ましく、さらに好ましくは1倍以上50倍以下、最も好ましくは1倍以上30倍以下である。容器を減圧し、トナー粒子が分散した高圧状態の二酸化炭素を含む分散体からトナー粒子を取り出す際は、一気に常温、常圧まで減圧してもよいが、独立に圧力制御された容器を多段に設けることによって段階的に減圧してもよい。減圧速度は、トナー粒子が発泡しない範囲で設定することが好ましい。
尚、上述した製法において使用する有機溶媒や、二酸化炭素は、リサイクルすることが可能である。
本発明のトナーに用いる材料について説明する。
本発明のトナーにおいて、樹脂A、および樹脂Bを、前記有機ポリシロキサン構造を有するビニル系単量体(化合物X)を用いて合成する場合、その他に用いる単量体は、ビニル基を有する一般的な単量体を用いることができる。以下に使用可能なものを例示するが、この限りではない。
脂肪族ビニル炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンおよび1,7−オクタジエン。
脂環式ビニル炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケンおよびアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン。
芳香族ビニル炭化水素:スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン;およびビニルナフタレン。
カルボキシル基含有ビニル系単量体およびその金属塩:炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびそのモノアルキル(炭素数1以上27以下)エステル、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸のカルボキシル基含有ビニル系単量体。
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1以上11以下のアルキル基(直鎖もしくは分岐)を有するアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル)(2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系単量体(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、エトキシ−ポリプロピレングリコールアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレートラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート)、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレートおよびポリメタクリレート:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート。ポリエチレングリコールジメタクリレート。
前記樹脂Bの合成に用いるその他のビニル系単量体として、ポリエステルを導入したビニル系単量体を用いてもよい。ポリエステルの導入方法は特に限定されるものではないが、工業的な観点から重合性不飽和基を有するポリエステルを用いて重合時に導入することが好ましい。
重合性不飽和基を含有するポリエステルの製造方法として、以下の方法が挙げられる。
(1)ジカルボン酸とジオールとの重縮合反応時に重合性不飽和基を導入する方法。この方法としては、以下の手法が挙げられる。
(1−1)ジカルボン酸の一部に重合性不飽和基を有するジカルボン酸を使用する方法
(1−2)ジオールの一部に重合性不飽和基を有するジオールを使用する方法
(1−3)ジカルボン酸の一部とジオールの一部にそれぞれ重合性不飽和基を有するジカルボン酸と重合性不飽和基を有するジオールを使用する方法
重合性不飽和基を有するポリエステルの不飽和度は、重合性不飽和基を有するジカルボン酸またはジオールの添加量によって調整することが可能である。
重合性不飽和基を有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸及び3−オクテンジオイック酸が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル及び酸無水物も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸及びマレイン酸がより好ましい。また、重合性不飽和基を有する脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール。
重合性不飽和基を持たないジカルボン酸やジオールとしては、後述する通常のポリエステルの製造に使用するジカルボン酸やジオールを使用することができる。
(2)ジカルボン酸とジオールの重縮合により作製したポリエステルとビニル系化合物をカップリングさせる方法。カップリングでは、ポリエステルの末端官能基との反応が可能な官能基を含有するビニル系化合物を直接カップリングさせても良い。また、ポリエステルの末端を、ビニル系化合物が含有する官能基との反応が可能になるよう、結合剤を用いて修飾して、カップリングさせても良い。例えば以下の方法が挙げられる。
(2−1)末端にカルボキシル基を有するポリエステルとヒドロキシル基を含有するビニル系化合物を、縮合反応によってカップリングさせる方法。この場合、ポリエステルの調製では、ジカルボン酸とジオールのモル比(ジカルボン酸/ジオール)は、1.02以上1.20以下であることが好ましい。
(2−2)末端にヒドロキシル基を有するポリエステルと、イソシアネート基を有するビニル系化合物を、ウレタン化反応によってカップリングさせる方法
(2−3)末端にヒドロキシル基を有するポリエステルとヒドロキシル基を有するビニル系化合物を、結合剤であるジイソシアネートを用いてウレタン化反応によってカップリングさせる方法
(2−2)と(2−3)の方法で使用するポリエステルの調製ではジカルボン酸とジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸)は1.02以上1.20以下であることが好ましい。
ヒドロキシル基を有するビニル系化合物としては、ヒドロキシスチレン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテルが挙げられる。これらのうち、好ましいものはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートである。
イソシアネート基を有するビニル系化合物としては、以下のものが挙げられる。2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート。これらの中でも、特に好ましいものは2−イソシアナトエチルアクリレート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートである。
ジイソシネートとしては、以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上15以下の脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう)。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。m−及び/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。これらのうちで好ましいものはXDI、HDI及びIPDIである。
重合性不飽和基を有するポリエステルは、結晶性ポリエステル、および非晶性ポリエステルのいずれも使用可能である。結晶性とは、示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示し、融点よりも低い温度まではほとんど軟化せず、融点より高い温度になると融解が生じ急激に軟化する性質を指す。
重合性不飽和基を有するポリエステルとして、結晶性ポリエステルを用いることで、トナーとして用いた際に、低温定着性と耐熱保存性の両立が可能となるため、結晶性ポリエステルであることが好ましい。重合性不飽和基を有する結晶性ポリエステルとしては、炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジオールと、炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジカルボン酸を用いて合成することができる。炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジオール及び炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、後述の結着樹脂に用いられる結晶性ポリエステルの製造の際に用いられる炭素数2〜20の脂肪族ジオール及び炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸と同様のものが挙げられる。
樹脂Bは、さらに、架橋構造を有してもよい。架橋構造の導入は、重合性不飽和基を有する結晶性ポリエステルを用いて導入する方法や、下記に示す多官能単量体を用いて導入することが可能であり、それらを併用して行ってもよい。
多官能単量体を用いて架橋構造を導入する場合、ビニル系の多官能単量体が好ましい。多官能単量体とは、重合性官能基を2つ以上有する単量体である。ビニル系の多官能単量体としては、2官能単量体:ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、両末端アクリル変性シリコーン、及び両末端メタクリル変性シリコーン;3官能単量体:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート;4官能単量体:テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレートが挙げられる。
結着樹脂は、一般的にトナーに用いられる樹脂である非晶性樹脂、結晶性樹脂のいずれも使用可能である。
非晶性樹脂は、前述した示差走査熱量測定において、明瞭な融点ピークを示さないものである。ただし、非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上130℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがより好ましい。非晶性樹脂を含有することで、トナー粒子として利用した際に定着後におけるトナー粒子の弾性が維持されやすくなる。非晶性樹脂の具体例としては、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂、および非晶性ポリウレタン樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂は、ウレタン、ウレア又はエポキシなどにより変性されていてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能な単量体としては、従来公知の2価又は3価以上のカルボン酸と、2価又は3価以上のアルコールが挙げられる。これら単量体の具体例としては、以下のものが挙げられる。2価のカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸。また、3価以上のカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール及び1,3−プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。また、3価以上のアルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価のカルボン酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
次に、非晶性ビニル樹脂について述べる。非晶性ビニル樹脂の製造に使用可能な単量体としては、上述の樹脂Aおよび樹脂Bの合成で用いられるビニル基を有する単量体と同様のものが挙げられる。
次に、非晶性ポリウレタン樹脂について述べる。ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する化合物との反応物であり、ジオール及びジイソシアネート基を含有する化合物の調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることができる。ジイソシネート基を含有する化合物としては、前述した樹脂Bの合成に用いる重合性不飽和基を含有するポリエステルを製造する際に用いられるジイソシアネートと同様のものを採用できる。
非晶性ポリウレタン樹脂に用いることのできるジオールとしては、前述した非晶性ポリエステルに用いることのできる2価のアルコールと同様のものを採用できる。
結晶性樹脂は、結晶性ポリエステル、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン、及び結晶性ポリウレアが挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ビニル樹脂が好ましい。結晶性樹脂の融点は、50℃以上90℃以下であることが好ましい。
前記結晶性ポリエステルとしては脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を反応させて得られるものであることが好ましい。より好ましくは、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオールと炭素数2以上20以下の脂肪族ジカルボン酸を反応して得られるものである。また、脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸は直鎖型であることが好ましい。直鎖型であることで、より結晶性の高いポリエステルが得られる。
炭素数2以上20以下の直鎖型脂肪族ジオールとしては、以下の化合物が挙げられる。1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−イコサンジオール。これらの中でも、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、及び1,10−デカンジオールがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオール。
炭素数2以上20以下の直鎖型脂肪族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸及び1,18−オクタデカンジカルボン酸。これら脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物も使用できる。これらのうち、セバシン酸、アジピン酸及び1,10−デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、芳香族カルボン酸を用いることもできる。芳香族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸。これらの中でも、テレフタル酸が入手の容易性や低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる一般的なポリエステルの重合法によって製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を用い、単量体の種類によって使い分けて製造することができる。結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。
結晶性ポリエステルの製造時に使用可能な触媒としては、以下の化合物を挙げることができる。チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラブトキシドのようなチタン触媒、又は、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド及びジフェニルスズオキシドのようなスズ触媒。
結晶性ビニル樹脂としては直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニル単量体を重合することによって得られる樹脂が挙げられる。
直鎖型アルキル基を分子構造に含むビニル系単量体としては、アルキル基の炭素数が12以上であるアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートが好ましい。具体的には、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルアクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレートが挙げられる。
結晶性ビニル樹脂の製造方法は40℃以上、一般的には50℃以上90℃以下の温度で重合することが好ましい。
トナー粒子には、ワックスを含有する。ワックスとしては、特に限定はないが、例えば、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。トナー粒子に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステルワックスである。エステルワックスは、3価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル、又は3価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステルが好ましい。3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、ジトリメチロールプロパン、トリストリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのうち、分岐構造をもつ構造が好ましく、ペンタエルスリトール、又はジペンタエリスリトールがより好ましい。3価以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましい。脂肪族モノアルコールとしては、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。ワックスの融点の面からミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
トナー中におけるワックスの添加量は、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは1.0質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以上15.0質量部である。この範囲であると、トナーの離型性が十分に得られ、耐熱保存性も良好となる。
ワックスは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、60℃以上120℃以下に最大吸熱ピークを有することが好ましい。より好ましくは60℃以上90℃以下である。
トナー粒子には、着色剤を含有する。好ましく使用される着色剤として、有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粒子が挙げられ、そのほかに従来トナーに用いられている着色剤を用いることができる。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
これらの着色剤は、単体または混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。トナー粒子に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
着色剤は、好ましくはトナー粒子100質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下添加して用いられる。黒色用着色剤としてカーボンブラックを用いる場合も同様に、その添加量はトナー粒子100質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子には、必要に応じて荷電制御剤を含有させてもよい。また、荷電制御剤をトナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の好ましい配合量は、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
トナー粒子には、流動性向上剤として、無機微粒子を添加することが好ましい。トナー粒子に添加する無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子またはそれらの複酸化物微粒子などの微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。なかでも、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であっても良い。
無機微粒子は、トナーの流動性改良及びトナーの帯電均一化のためにトナー粒子に外添されることが好ましい。また、無機微粒子を疎水化処理することによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるため、疎水化処理された無機微粒子を用いることがより好ましい。トナーに添加された無機微粒子が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性又は各種変性のシリコーンワニス、未変性又は各種変性のシリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物及び有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をシランカップリング剤で疎水化処理すると同時又は処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粒子である。
無機微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上3.5質量部以下である。
トナーの重量平均粒径(D4)は、3.0μm以上8.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上7.0μm以下である。このような重量平均粒径(D4)のトナーを用いることは、トナーのハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足する上で好ましい。得られたトナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は、1.30未満であることが好ましい。
以下に、本発明で規定する各物性値の測定方法を記載する。
<X線光電子分光分析(ESCA)による有機ポリシロキサン構造に由来するSi量の測定方法>
トナー粒子のX線光電子分光分析(ESCA)により測定されるSi原子の量(atomic%)は、次のように測定する。ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック−ファイ社製 Quantum 2000
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μ25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
測定範囲:直径100μm
以上の条件により測定を行い、炭素1s軌道のC−C結合に由来するピークを285eVに補正する。その後、100eV以上103eV以下にピークトップが検出されるケイ素2p軌道のSiO結合のピーク面積から、アルバック−ファイ社提供の相対感度因子を用いることで、構成元素の総量に対するSi原子量を算出する。なお、Si2p軌道の他ピーク(SiO:103eVより大きく、105eV以下)が検出される場合は、SiO結合のピークに対し波形分離を行うことで、SiO結合のピーク面積を算出する。
<表層領域Rにおける、有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合の算出>
トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、薄片状サンプルを作製する。切り出したサンプルを、透過型電子顕微鏡(JEM2800、日本電子社製)によりトナーの断面を観察し、EDS(NORAN SYSTEM7、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)により、Si原子をマッピングする。マッピング条件は、下記の通りである。
加速電圧:200kV
電子線照射サイズ:1.5nm
Si原子の特定方法:スペクトラムの自動定性機能を用いたSi−K線の自動検出
ライブタイムリミット:600sec
デッドタイム:20〜30
マッピング分解能:256×256
これにより、1つのトナー粒子の断面におけるSi原子の専有面積Atを求める。
次に、図1に示すように、トナー断面における最短径(M)と最長径(M)からトナーの粒径M(μm)を求め、以下のようにして、表面領域Rのトナー粒子の粒径に対して10.0%となる距離m(μm)を求める。
トナー粒径M=(M+M)×1/2
表面領域Rのトナー粒子の粒径に対して10.0%となる距離m=M(トナー粒径)×1/10
トナー粒子の断面における、断面の輪郭から上記距離m(μm)までの表層領域Rを残して、それ以外の領域についてマスキングを行う。そして、表面領域RにおけるSi原子の専有面積Amを求める。Si原子の専有面積At及びAmの算出は、画像処理ソフト(Photoshop 5.0、Adobe製)を用いる。表面領域Rの有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合は、以下のようにして求める。
表面領域Rの有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合(%)=Am/At×100
これを、任意に選択したトナー50個について測定し、50個のSi原子の含有割合の算術平均値を、表面領域Rの有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合とする。
<表面領域Rにおける輪郭と断面の中心とを結ぶ直線のライン分析によるSi強度の算出>
図1に示すように、表面領域Rにおける輪郭と断面の中心とを結ぶ直線のライン分析によるSi強度(Si、Si、Si、Si)は、以下のように求める。
トナーの中心は、トナー断面における最短径(MS)と最長径(ML)の交点とする。
直線と断面の輪郭との交点をP、直線と表面領域Rの境界線との交点をPとし、この線分Pを3等分する点を交点Pに近い方から、P、Pとする。そして、P、P、P、PにおけるSi原子の強度を、前記EDSを用い、カウント量として算出する。その際、Si原子におけるカウント量の最大値を100と規格化し、その相対値である強度カウントを用いる。これを、任意に選択したトナー50個についてそれぞれ測定し、その算術平均値をSi、Si、Si、Siの値とする。
<樹脂A、および樹脂Bにおける可溶成分量の算出>
樹脂A、および樹脂Bにおける可溶成分量は、以下の通りにして算出する。樹脂Aと樹脂Bで同じ方法を用いた。
(1)50mlの蓋付き遠心管に樹脂サンプル100mgを量り取り、質量を正確に記録した後、前記遠心管にアセトン30gを投入する。
(2)蓋付き遠心管を恒温水槽で、40℃の温度条件で30分間維持することにより、樹脂サンプルをアセトンに溶解させる。
(3)蓋付き遠心管中の不溶成分と、可溶成分を含むアセトンを遠心分離機により以下の遠心条件で分離する。
・遠心分離機:H−9R(KOKUSAN社製)
・ローター:BN1ロ―タ(KOKUSAN社製)
・装置内設定温度:30℃
・回転数:18000rpm
・時間:1.5時間
その後、上澄みを除去することで、可溶成分を除去し、不溶成分である樹脂サンプルを得る。そして、樹脂サンプルにおける可溶成分量は、以下のようにして求める。
樹脂サンプルの可溶成分量(%)=(樹脂サンプルの質量−不溶成分である樹脂サンプルの質量)/樹脂サンプルの質量×100
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して測定する。なお、測定開始温度は20℃、測定終了温度は180℃である。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いる。測定は、20℃から200℃まで昇温速度10℃/minにて昇温させ、続いて20℃まで降温速度10℃/minにて降温し、その後に再度、180℃まで昇温速度10℃/minにて昇温を行う。DSC測定によって得られた2回目の昇温時のリバーシングヒートフロー曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、リバーシングヒートフロー曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(℃)をガラス転移温度とする。
<数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)の測定方法>
各種樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分の分子量(Mn、Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をTHFに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作製した分子量校正曲線を使用する。
<ワックス微粒子及び着色剤微粒子、樹脂微粒子の粒子径の測定方法>
ワックス微粒子、着色剤微粒子及び樹脂微粒子の粒子径といった各微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒子径として測定する。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の配合における部数及び%は特に断りがない場合全て質量基準である。
<ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物X1>
市販の片末端型ビニル変性有機ポリシロキサンを用意し、ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物として使用した。ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物の構造は、下記式(II)で表され、R〜Rの置換基および重合度nの値は、表1に示す。
Figure 0006812159
Figure 0006812159
<ビニル基を有するエーテル化合物1>
市販の片末端型ビニル変性エーテル化合物を用意し、ビニル基を有するエーテル化合物として使用した。ビニル基を有するエーテル化合物の構造は、下記式(IV)で表され、R乃至Rの詳細及び重合度nの値は、表2に示す。なお、エーテルモノマーの構造はカタログ値を採用した。
Figure 0006812159
Figure 0006812159
<樹脂A1の調製>
密閉容器に、以下の原料とトルエン160.0部を仕込み、70℃に加熱して完全に溶解し、単量体溶液A1を調製した。
・ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物X1 30.0部
・ビニル基を有するエーテル化合物1 25.0部
・スチレン 35.0部
・メタクリル酸 10.0部
上記の単量体溶液A1を25℃まで降温し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.16部混合した後、攪拌装置および温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら仕込んだ。65℃まで加熱した後、5時間かけて重合を行った。室温まで冷却した後、溶媒であるトルエンを留去し、樹脂A1を得た。得られた樹脂A1の重量平均分子量(Mw)、および計算から求めたSP値を表3に示す。
<樹脂A2乃至A10の調製>
樹脂A1の調製において、ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物、およびビニル基を有するエーテル化合物の添加量を表3に示すように変更し、樹脂A2〜A10を得た。得られた樹脂A2〜A10の重量平均分子量(Mw)、および計算から求めたSP値を表3に示す。
Figure 0006812159
<樹脂溶液A1〜A10の調製>
10.0部の樹脂A1〜A10をそれぞれアセトン90.0部に溶解させることで、固形分濃度10.0質量%の樹脂溶液A1〜A10を調製した。
<重合性不飽和基を有するポリエステル1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 128.0部
・フマル酸 2.6部
・1,6−ヘキサンジオール 78.5部
・酸化ジブチルスズ 0.1部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、重合性不飽和基を有するポリエステルを合成した。重合性不飽和基を有するポリエステルの融点は56℃、Mnは19,000、Mwは44,000であった。
<多官能単量体1の準備>
市販の多官能単量体を用意して使用した。多官能単量体の構造は、下記式(V)で表され、重合度m、nの合計は、表4に示す。
Figure 0006812159
Figure 0006812159
<樹脂微粒子分散液B1の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、ドデシル硫酸ナトリウム2.0部と、イオン交換水1600.0部を投入し、25℃にて完全に溶解するまで撹拌を続け、水系媒体1を調製した。次いで、密閉容器に、以下の原料とトルエン160.0部を仕込み、70℃に加熱して完全に溶解し、単量体溶液B1を調製した。
・ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物X1 45.0部
・重合性不飽和基を有するポリエステル1 40.0部
・スチレン 5.0部
・メタクリル酸 10.0部
・多官能単量体1 4.0部
上記の単量体溶液B1を25℃まで降温した後、重合開始剤としてターシャリーブチルパーオキシピバレートを6.0部混合し、上記の水系媒体1に投入する。そして、高出力超音波ホモジナイザー(VCX−750)で超音波を13分間照射(1秒間欠、25℃保持)することで、上記の単量体溶液B1の乳化液を調製した。
加熱乾燥した四口フラスコに、前記乳化液を投入し、乳化液を200rpmで撹拌しながら30分間窒素をバブリングした後、75℃にて6時間攪拌を行った。その後、乳化液を撹拌させた状態で空冷し、反応を停止させ、粗粒子状の樹脂B1の分散体を得た。
得られた粗粒子状の樹脂B1の分散体を、温度調節可能な撹拌タンクに投入し、ポンプを用いてクレアSS5(エム・テクニック社製)に35g/minの流量で移送して処理することにより、微粒子状の樹脂B1の分散体を得た。クレアSS5による分散体の処理条件は、クレアSS5の回転するリング状ディスクの最外周部の周速を15.7m/sとし、回転するリング状ディスクと固定されたリング状ディスクの間隙を1.6μmとした。また、撹拌タンクの温度は、クレアSS5で処理後の液温が40℃以下となるように調節した。分散体中の微粒子状の樹脂B1とトルエンを16500rpmで2.5時間遠心分離機により分離し、上澄みを除去することで、濃縮された樹脂微粒子の分散体を得た。
その後、撹拌装置のついたビーカーに、濃縮された樹脂微粒子の分散体を、高出力超音波ホモジナイザー(VCX−750)を用いて、アセトンに分散させることで、固形分濃度10.0質量%の樹脂微粒子分散液B1を調製した。樹脂微粒子の体積平均径を測定したところ、0.09μmであった。
<樹脂微粒子分散液B2〜B8の調製>
樹脂微粒子分散液B1の調製において、重合性不飽和基を有するポリエステル、ビニル基を有する有機ポリシロキサン化合物、および多官能単量体の添加量を表5に示すように変更して、樹脂微粒子分散液B2〜B8を得た。得られた樹脂微粒子分散液B2〜B8中に含まれる樹脂微粒子の重量平均分子量(Mw)、および計算から求めたSP値を表5に示す。
Figure 0006812159
<非晶性ポリエステル1の調製>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
59.0部
・エチレングリコール 7.0部
・テレフタル酸 31.0部
・無水トリメリット酸 3.0部
・酸化ジブチルスズ 0.3部
減圧操作により系内を窒素置換した後、215℃にて5時間撹拌を行った。その後、撹拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、更に2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、非晶性ポリエステル1を得た。非晶性ポリエステル1のMnが2,600、Mwが9,500、Tgは69℃であった。
<非晶性ポリエステル溶解液1の調製>
撹拌装置のついたビーカーに、有機溶媒としてのアセトンを128.0部、非晶性ポリエステル1を72.0部投入し、50℃に加熱して完全に溶解するまで撹拌を続け、固形分量36.0質量%の非晶性ポリエステル溶解液1を調製した。
<着色剤分散液1の調製>
・C.I.Pigment Blue15:3 100.0部
・アセトン 150.0部
・ガラスビーズ(1mm) 300.0部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が200nm、固形分量が40.0質量%の着色剤分散液1を得た。
<ワックス分散液1の調製>
・ジペンタエリスリトールパルチミン酸エステルワックス 16.0部
・ワックス分散剤 8.0部
(ポリエチレン15.0部の存在下、スチレン50.0部、n−ブチルアクリレート25.0部、アクリロニトリル10.0部をグラフト共重合させた、ピーク分子量8,500の共重合体)
・アセトン 76.0部
上記を撹拌羽根突きのガラスビーカーに投入し、系内を50℃に加熱することによりワックスをアセトンに溶解させた。次いで、系内を50rpmの条件にて緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃にまで冷却させ乳白色の液体を得た。この溶液を1mmのガラスビーズ20.0部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて3時間の分散を行った後、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、体積平均粒径が270nm、固形分量24.0質量%のワックス分散液1を得た。
(トナー粒子の製造)
<トナー粒子1の製造>
図2に示す装置において、まず、バルブV1、V2、および圧力調整バルブV3を閉じる。そして、トナー粒子を捕捉するためのフィルターと撹拌機構とを備えた耐圧の造粒タンクT1に14.4部の樹脂微粒子分散液B1を仕込み、内部温度を40℃に調整した。次に、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベD1からポンプP1を用いて二酸化炭素(純度99.99%)を造粒タンクT1に導入し、内部圧力が2.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。
一方、樹脂溶液タンクT2に非晶性ポリエステル溶解液1、樹脂溶液A1、着色剤分散液1、ワックス分散液1を下記の量で仕込んで樹脂溶液を調製した後、内部温度を40℃に調整した。バルブV2を開き、造粒タンクT1の内部を2000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて樹脂溶液タンクT2の樹脂溶液を造粒タンクT1内に導入した。そして、樹脂溶液をすべて導入し終えたところでバルブV2を閉じた。導入後の、造粒タンクT1の内部圧力は3.0MPaとなった。導入した全二酸化炭素の質量は、質量流量計を用いて測定し、280.0部であった。
樹脂溶解液タンクT2への材料仕込み量(質量比)は、次の通りである。
・非晶性ポリエステル溶解液1 100.0部
・樹脂A溶解液1 18.0部
・ワックス分散液1 10.0部
・着色剤分散液1 6.0部
樹脂溶液タンクT2の内容物の造粒タンクT1への導入を終えた後、さらに、2000rpmで3分間撹拌して前記樹脂溶液の液滴による分散体の形成を行った。
次に、バルブV1を開き、二酸化炭素ボンベD1からポンプP1を用いて二酸化炭素を造粒タンクT1内に導入し、内部圧力が10.0MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。こうして前記分散体中の液滴に含まれるアセトンの分散媒体への抽出を行った。
その後、バルブV1及び圧力調整バルブV3を開き、造粒タンクT1の内部圧力を10.0MPaに保持しながら、さらにポンプP1を用いて二酸化炭素を流通させた。この操作により、抽出された有機溶媒としてのアセトンを含む二酸化炭素を、溶媒回収タンクT3に排出し、アセトンと二酸化炭素を分離した。
また、二酸化炭素を有機溶媒回収タンクT3へ排出し始めてから5分ごとに有機溶媒回収タンクT3内のアセトンを取りだした。この作業をアセトンが有機溶媒回収タンクT3に溜まらなくなり、取り出せなくなるまで続けた。アセトンが取り出されなくなった時点で脱溶媒終了とし、バルブV1及び圧力調整バルブV3を閉じて、二酸化炭素の流通を終了した。
さらに、圧力調整バルブV3を開き、造粒タンクT1の内部圧力を大気圧まで脱圧することで、フィルターに捕捉されているトナー粒子1を回収した。得られたトナー粒子の物性を表6、7に示す。
<トナー粒子2〜25の製造>
トナー粒子1の製造において、樹脂溶液の種類及び添加量、樹脂微粒子分散液の種類及び添加量を表6に示すように変更した以外は、トナー粒子1の製造と同様にしてトナー粒子2〜25を得た。得られたトナー粒子2〜25の物性を表6、7に示す。
Figure 0006812159
Figure 0006812159
<トナー1〜25の調製>
トナー粒子1の100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで処理された疎水性シリカ微粉体1.8部(個数平均一次粒子径:7nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.15部(個数平均一次粒子径:30nm)を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)にて5分間乾式混合して、トナー1を得た。トナー粒子2〜25についても上記トナー粒子1と同様の操作を行い、トナー2〜25を得た。
<実施例1〜15、比較例1〜10>
得られたトナー1〜25を用い、以下の評価を行った。
<過酷環境の長期放置>
得られたトナー1〜25、それぞれ約100gを1000mlの樹脂製カップに入れ、低温低湿の環境下(15℃、10%RH)に12時間放置した後、12時間かけて高温高湿の環境下(55℃、95%RH)に変化させた。高温高湿の環境下に12時間放置した後、12時間かけて再び低温低湿の環境(15℃、10%RH)に変化させた。以上の操作を3サイクル繰り返したトナーを取り出し、環境安定性、および耐久性の評価に用いた。ヒートサイクルのタイムチャートを図3に示す。
<環境安定性>
上記の過酷環境の長期放置したトナーに関して、低温低湿(LL)環境、および高温高湿(HH)環境における帯電量の差を、以下の方法により評価した。
(サンプル準備)
トナーおよび所定のキャリア(日本画像学会標準キャリア:フェライトコアを表面処理した球形キャリアN−01)をふた付きのプラスチックボトルにそれぞれ、1.0g、19.0g入れ、温度15℃、相対湿度10%のLL環境、および、温度32.0℃、相対湿度85%のHH環境に5日放置する。
(帯電量測定)
上記キャリア、上記トナーを入れたプラスチックボトルのふたを閉め、振とう機(YS−LD、(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうし、トナーとキャリアからなる現像剤を帯電させる。次に、図4に示す摩擦帯電量を測定する装置において摩擦帯電量を測定する。図4において、底に目開き20μmのスクリーン3のある金属製の測定容器2に、現像剤0.5g以上1.5g以下を入れ、金属製のフタ4をする。この時の測定容器2全体の質量を精秤し、W1(g)とする。次に吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を2.5kPaとする。この状態で2分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。この時の電位計9の電位をV(V)とする。ここで、8はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の質量を精秤し、W2(g)とする。この試料の摩擦帯電量Q(mC/kg)を下記式から算出する。
試料の摩擦帯電量Q(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
LL環境に放置して、振とうした直後の試料の摩擦帯電量をQl(mC/kg)、HH環境に放置して、振とうした直後の試料の摩擦帯電量をQh(mC/kg)とした時、Qh/Qlを初期の環境安定性の指標とした。さらに、後述する耐久性の評価で使用したプリンターLBP9200Cにて画像を20,000枚出力した後、カートリッジから抜き取ったトナーにおいても、同様の評価を行い、20000枚通紙時の環境安定性を評価した。評価結果を表8に示す。尚、本発明においてはCランクまでを良好な環境安定性と判断した。
(評価基準)
A:Qh/Qlが、0.95以上
B:Qh/Qlが、0.90以上0.95未満
C:Qh/Qlが、0.85以上0.90未満
D:Qh/Qlが、0.85未満
(耐久性)
市販のキヤノン製プリンターLBP9200Cを使用し、耐久性の評価を行った。LBP9200Cは、一成分接触現像を採用しており、トナー規制部材によって現像剤担持体上のトナー量を規制している。評価用カートリッジは、市販のカートリッジ中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、上記トナー1〜25を260g充填したものを使用した。上記カートリッジを、シアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着することで評価を実施した。
温度15℃、湿度10%RHの低温低湿環境下にて、印字率が1%の画像を連続して出力した。100枚出力する毎にべた画像、ハーフトーン画像を出力し、トナー規制部材へのトナー融着に起因する現像スジ発生の有無を目視で確認した。最終的に20,000枚の画像出力を行った。評価結果を表8に示す。尚、本発明においてはCランクまでを良好な耐久性と判断した。
(評価基準)
A:20,000枚でも現像スジの発生なし
B:18,500枚より大きく20,000枚以下で現像スジが発生
C:17,000枚より大きく18,500枚以下で現像スジが発生
D:15,000枚より大きく17,000枚以下で現像スジが発生
E:15,000枚以下で現像スジが発生
<低温定着性の評価>
低温定着性の評価には、上記の過酷環境の長期放置を行わずに、トナー1〜25を用いた。上記トナー1〜25を8.0部と上記キャリア92.0部を混合してなる二成分現像剤1〜25を調製した。評価には上記二成分現像剤1〜25、カラーレーザー複写機CLC5000(キヤノン社製)を改良した評価機を用いた。CLC5000紙上のトナー載り量を1.2mg/cmになるように上記複写機の現像コントラストを調整し、単色モードで、先端余白5mm、幅100mm、長さ280mmの、「べた」の未定着画像を常温常湿度環境下(23℃、60%RH)で作成した。紙は、厚紙A4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。
次に、LBP5900(キヤノン社製)の定着器を手動で定着温度設定が可能となるように改造し、定着器の回転速度を270mm/s、ニップ内圧力:120kPaに変更した。該改造定着器を用い、常温常湿度環境下(23℃、60%RH)で、80℃から180℃の範囲で10℃ずつ定着温度を上昇させながら、上記「べた」の未定着画像の各温度における定着画像を得た。
得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)を被せ、該薄紙の上から4.9kPaの荷重をかけつつ5往復、該画像領域を摺擦した。摺擦前と摺擦後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出した。このΔD(%)が10%未満のときの温度を定着開始温度とし、以下のような評価基準で低温定着性を評価した。
(式):ΔD(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度×100
尚、画像濃度はカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A:製造元 X−Rite社製)で測定した。本発明においてはCランクまでを良好な低温定着性と判断した。
(評価基準)
A:定着開始温度が100℃以下
B:定着開始温度が110℃
C:定着開始温度が120℃
D:定着開始温度が130℃以上
Figure 0006812159
T1 造粒タンク
T2 樹脂溶液タンク
T3 溶媒回収タンク
D1 二酸化炭素ボンベ
P1、P2 ポンプ
V1、V2 バルブ
V3 圧力調整バルブ

Claims (9)

  1. 結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記トナー粒子の、X線光電子分光分析(ESCA)により測定されるSi原子の量(atomic%)が4.5以上10.0以下であり、
    透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面についてエネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いた分析において、
    前記トナー粒子の断面の輪郭から、前記トナー粒子の粒径に対して10.0%の距離までの表層領域Rにおける、前記有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が、前記トナー粒子中に含まれるSi原子の全量に対して90.0%以上であり、
    前記表層領域Rにおける前記輪郭と前記断面の中心とを結ぶ直線のライン分析において、
    前記トナー粒子におけるSi原子の強度カウントが下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
    Si>Si>Si>Si≧0 (1)
    (式(1)中、
    Siは、前記直線と前記輪郭との交点P0におけるSi原子の強度カウントを示し、
    Siは、前記直線と前記表層領域Rの境界線との交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
    線分P0Pを3等分する点を交点P0に近い方から、P、Pとしたとき、
    Siは、前記交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
    Siは、前記交点PにおけるSi原子の強度カウントを示す。)
  2. 前記樹脂Aが下記式(II)で示される化合物Xを含む単量体組成物の重合物である請
    求項1に記載のトナー。
    Figure 0006812159

    (式中、R、Rはアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、Rは水素原子もくしはメチル基である。nは重合度を示し、2以上の整数である。)
  3. 前記トナー粒子における前記樹脂Aの含有量が1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子は、有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Bを含有する樹脂微粒子に由来する表層を有し、
    前記樹脂Aの溶解度パラメータ(SP値)をSP(A)、前記樹脂BのSP値をSP(B)、前記結着樹脂のSP値をSP(C)としたとき、
    SP(A)、SP(B)、SP(C)が下記式(2)および(3)を満たす請求項13のいずれか1項に記載のトナー。
    SP(B)<SP(A)<SP(C)・・・(2)
    1.0≦SP(C)−SP(A)≦4.0・・・(3)
  5. 前記樹脂Bが下記式(III)で示される化合物を含む単量体組成物の重合物である請求項4に記載のトナー。
    Figure 0006812159

    (式中、R、Rはアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、Rは水素原子もくしはメチル基である。nは重合度を示し、2以上の整数である。)
  6. 前記トナー粒子における前記樹脂Bの含有量が、1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項4または5に記載のトナー。
  7. 結着樹脂、着色剤、ワックス、および有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Aを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    a)前記結着樹脂、前記着色剤、前記ワックス、前記有機ポリシロキサン構造を有する樹脂A、および有機溶媒を含有する樹脂溶液を調製する工程、
    b)前記樹脂溶液と有機ポリシロキサン構造を有する樹脂Bを含有する樹脂微粒子と二酸化炭素とを混合し、前記樹脂Bを含有する樹脂で表面を覆われた前記樹脂溶液の液滴を形成する工程、および
    c)前記液滴に含まれる前記有機溶媒を除去して、前記樹脂Bを含有する表層を有するトナー粒子を得る工程、
    を有し、
    前記トナー粒子の、X線光電子分光分析(ESCA)により測定されるSi原子の量(atomic%)が4.5以上10.0以下であり、
    透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面についてエネルギー分散型X線分光器
    (EDS)を用いた分析において、
    前記トナー粒子の断面の輪郭から、前記トナー粒子の粒径に対して10.0%の距離までの表層領域Rにおける、前記有機ポリシロキサン構造に由来するSi原子の含有割合が、前記トナー粒子中に含まれるSi原子の全量に対して90.0%以上であり、
    前記表層領域Rにおける前記輪郭と前記断面の中心とを結ぶ直線のライン分析において、
    前記トナー粒子におけるSi原子の強度カウントが下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
    Si>Si>Si>Si≧0 (1)
    (式(1)中、
    Siは、前記直線と前記輪郭との交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
    Siは、前記直線と前記表層領域Rの境界線との交点PにおけるSi原子の強度カウ
    ントを示し、
    線分Pを3等分する点を交点Pに近い方から、P、Pとしたとき、
    Siは、前記交点PにおけるSi原子の強度カウントを示し、
    Siは、前記交点PにおけるSi原子の強度カウントを示す。)
  8. 前記樹脂Aは、前記工程a)における前記有機溶媒に対する可溶成分が90.0質量%以上であり、
    前記樹脂Bは、前記工程a)における前記有機溶媒に対する可溶成分が30.0質量%以下である
    請求項7に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記工程a)における前記有機溶媒が、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトンおよび2−フェニルエタノールからなる群より選択される請求項7または8に記載のトナーの製造方法。
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