JP6810702B2 - シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用 - Google Patents

シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP6810702B2
JP6810702B2 JP2017552154A JP2017552154A JP6810702B2 JP 6810702 B2 JP6810702 B2 JP 6810702B2 JP 2017552154 A JP2017552154 A JP 2017552154A JP 2017552154 A JP2017552154 A JP 2017552154A JP 6810702 B2 JP6810702 B2 JP 6810702B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
seq
amino acid
tgf
type
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017552154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018517664A (ja
JP2018517664A5 (ja
Inventor
ラビンドラ クマール,
ラビンドラ クマール,
アシャ グリンバーグ,
アシャ グリンバーグ,
ダイアン エス. サコ,
ダイアン エス. サコ,
Original Assignee
アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド, アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド filed Critical アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
Publication of JP2018517664A publication Critical patent/JP2018517664A/ja
Publication of JP2018517664A5 publication Critical patent/JP2018517664A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6810702B2 publication Critical patent/JP6810702B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/71Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for growth factors; for growth regulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/12Drugs for disorders of the urinary system of the kidneys
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/08Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease
    • A61P19/10Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease for osteoporosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P21/00Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/04Anorexiants; Antiobesity agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/06Antianaemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/30Non-immunoglobulin-derived peptide or protein having an immunoglobulin constant or Fc region, or a fragment thereof, attached thereto

Description

関連出願への相互参照
この出願は、2015年4月6日に出願された米国仮出願第62/143,579号および2015年11月24日に出願された同第62/259,422号に対する優先権の利益を主張する。上記出願の開示は、それらの全体が本明細書に援用される。
トランスフォーミング増殖因子−β(TGFβ)スーパーファミリーは、共通の配列エレメントおよび構造モチーフを共有する種々の増殖因子を含有する。これらのタンパク質は、脊椎動物および無脊椎動物の両方における多種多様な細胞型において生物学的効果を発揮することが公知である。このスーパーファミリーのメンバーは、胚発生の際にパターン形成および組織特異化において重要な機能を果たし、脂肪生成、筋形成、軟骨形成、心臓発生、造血発生、神経発生および上皮細胞分化を含む種々の分化過程に影響を与えることができる。このスーパーファミリーは、2つの一般的な系統発生クレード:スーパーファミリーのうちのより最近進化したメンバーであって、TGF−β、アクチビン、およびNodalを含むメンバーと、スーパーファミリーのうちのより遠縁のタンパク質のクレードであって、多数のBMPおよびGDFを含むクレードとに分けられる。Hinck(2012年)、FEBS Letters、586巻:1860〜1870頁。TGFβスーパーファミリーメンバーは、多様な、多くの場合補完的な効果を有する。TGFβスーパーファミリーのメンバーの活性を操作することにより、生物に有意な生理的変化を引き起こすことが可能になることが多い。例えば、畜牛のピエモンテ種およびベルジャンブルー種は、GDF8(また、ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子における機能喪失変異であって、筋量の顕著な増大を引き起こす変異を保有する。Grobetら(1997年)、Nat Genet、17巻(1号):71〜4頁。さらに、ヒトでも、GDF8の不活性の対立遺伝子は、筋量の増大と関連し、報告では、例外的な筋力と関連する。Schuelkeら(2004年)、N Engl J Med、350巻:2682〜8頁。
筋肉、骨、脂肪、赤血球、および他の組織の変化は、TGF−βスーパーファミリーのリガンドにより媒介されるシグナル伝達(例えば、SMAD1、2、3、5、および/または8)を増強または阻害することにより達成することができる。したがって、TGF−βスーパーファミリーの多様なリガンドの活性を調節する作用因子が必要とされている。
Hinck(2012年)、FEBS Letters、586巻:1860〜1870頁 Grobetら(1997年)、Nat Genet、17巻(1号):71〜4頁 Schuelkeら(2004年)、N Engl J Med、350巻:2682〜8頁
部分的に、本開示は、シングルTGF−βスーパーファミリーI型またはII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、ALK7、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、またはMISRIIポリペプチド)を含むヘテロ多量体の複合体を、そのフラグメントおよび改変体を含め、提供する。これらの構築物は、本明細書において「シングルアーム」ポリペプチド複合体と称され得る。任意選択で、本明細書に開示のシングルアームポリペプチド複合体(例えば、シングルアームActRIIBポリペプチド複合体、例えばActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体)は、対応するホモ二量体の複合体(例えば、ActRIIBホモ二量体、例えばActRIIB−Fc:ActRIIB−Fc)と比較してを異なるリガンド結合特異性/プロファイル有する。新規の特性が、本明細書の実施例に示されるように、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型セリン/スレオニンキナーゼ受容体ポリペプチドのシングルドメインを含むヘテロ多量体のポリペプチド複合体によって呈示される。
ヘテロ多量体の構造として、例えば、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体およびより高次の複合体が挙げられる。好ましくは、本明細書に記載されるようなTGF−βスーパーファミリーI型およびII型受容体ポリペプチドは、受容体のリガンド結合ドメイン、例えば、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体の細胞外ドメインを含む。したがって、ある特定の態様では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、およびMISRIIから選択されるII型TGF−βスーパーファミリー受容体の細胞外ドメイン、ならびにその短縮体および改変体、またはALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、およびALK7から選択されるI型TGF−βスーパーファミリー受容体の細胞外ドメイン、ならびにその短縮体および改変体を含む。好ましくは、本明細書に記載されるようなTGF−βスーパーファミリーI型およびII型ポリペプチド、ならびにこれを含むタンパク質複合体は可溶性である。ある特定の態様では、本開示のヘテロ多量体複合体は、1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、Nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、ミュラー管阻害性物質(MIS)、およびLefty)に結合する。任意選択で、本開示のタンパク質複合体は、これらのリガンドの1つまたは複数に、10−8、10−9、10−10、10−11、または10−12未満またはこれと等しいKで結合する。概して、本開示のヘテロ多量体複合体は、少なくとも1つのTGF−βスーパーファミリーリガンドの1つまたは複数の活性を阻害(アンタゴナイズ)し、そのような活性の変更は、例えば、本明細書に記載されるような細胞ベースのアッセイを含む当技術分野で公知の種々のアッセイを使用して測定され得る。好ましくは、本開示のタンパク質複合体は、哺乳動物(例えば、マウスまたはヒト)において少なくとも4、6、12、24、36、48、または72時間の血清半減期を提示する。任意選択で、本開示のタンパク質複合体は、哺乳動物(例えば、マウスまたはヒト)において少なくとも6、8、10、12、14、20、25、または30日の血清半減期を提示し得る。
ある特定の態様では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、第2のポリペプチドに共有結合的または非共有結合的に会合した第1のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、相互作用ペアの第2のメンバーを含み、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドのアミノ酸配列を含まない。任意選択で、第2のポリペプチドは、相互作用ペアの第2のメンバーに加えて、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドではなく、任意選択で5、10、15、20、30、40、50、100、200、300、400または500以下のアミノ酸を含み得る、さらなるポリペプチド配列を含む。任意選択で、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、相互作用ペアの第1のメンバー、あるいはTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドのアミノ酸配列と、相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列との間に位置付けられ得る介在配列、例えばリンカー、に直接連結される。リンカーの例として、これらに限定されないが、配列TGGG、TGGGG、SGGGG、GGGGS、およびGGGが挙げられる。
本明細書で記載される相互作用ペアは、二量体化を促進するか、または高次の多量体を形成するように設計されている。一部の実施形態では、相互作用ペアは、相互作用して複合体、特に、ヘテロ二量体の複合体を形成する任意の2つのポリペプチド配列の場合もあるが、実効性のある実施形態は、ホモ二量体の複合体を形成する相互作用ペアを用いることもできる。相互作用ペアの第1および第2のメンバーは、非対称ペアとなることができ、これは、ペアのメンバーが、自己会合するよりもむしろ、互いと優先的に会合することを意味する。したがって、非対称相互作用ペアの第1および第2のメンバーは、会合して、ヘテロ二量体の複合体を形成することができる。代替的に、相互作用ペアは、非誘導型であってもよく、これは、ペアのメンバーが、実質的な優先度なしで、互いと会合しても自己会合してもよく、よって、同じまたは異なるアミノ酸配列を有することができることを意味する。したがって、非誘導型相互作用ペアの第1および第2のメンバーは、会合して、ホモ二量体の複合体またはヘテロ二量体の複合体を形成することができる。任意選択で、相互作用ペア(例えば、非対称ペアまたは非誘導型相互作用ペア)の第1のメンバーは、相互作用ペアの第2のメンバーと共有結合により会合する。任意選択で、相互作用ペア(例えば、非対称ペアまたは非誘導型相互作用ペア)の第1のメンバーは、相互作用ペアの第2のメンバーと非共有結合により会合する。
伝統的なFc融合タンパク質および抗体は、非誘導型相互作用ペアの例である一方で、種々の操作されたFcドメインが、非対称相互作用ペアとして設計された。したがって、本明細書で記載される相互作用ペアの第1のメンバーおよび/または第2のメンバーは、例えば、免疫グロブリンのFc部分を含む、免疫グロブリンの定常ドメインを含み得る。任意選択で、相互作用ペアの第1のメンバーは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4免疫グロブリンのFcドメインに由来するアミノ酸配列を含み得る。例えば、相互作用ペアの第1のメンバーは、配列番号200〜214のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、相互作用ペアの第2のメンバーは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFcドメインに由来するアミノ酸配列を含み得る。例えば、相互作用ペアの第2のメンバーは、配列番号200〜214のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。一部の実施形態では、相互作用ペアの第1のメンバーおよび第2のメンバーは、免疫グロブリンクラスおよびサブタイプに由来するFcドメインを含む。別の実施形態では、相互作用ペアの第1のメンバーおよび第2のメンバーは、異なる免疫グロブリンクラスまたはサブタイプに由来するFcドメインを含む。任意選択で、相互作用ペア(例えば、非対称ペアまたは非誘導型相互作用ペア)の第1のメンバーおよび/または第2のメンバーは、例えば、免疫グロブリンの修飾されたFc部分を含む、免疫グロブリンの修飾された定常ドメインを含む。例えば、本開示のタンパク質複合体は、群:配列番号200〜214から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含むIgGの第1のFc部分と、群:配列番号200〜214から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含むIgGの第1の修飾されたFc部分のアミノ酸配列と同じであっても異なっていてもよいIgGの第2のFc部分とを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがActRIIA受容体に由来するシングルI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ActRIIAポリペプチドは、本明細書に開示のActRIIA配列(例えば、配列番号9、10、11、101、103、401、および402)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ActRIIAポリペプチドは、a)配列番号9の21〜30のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)で始まり、b)配列番号9のアミノ酸110〜135のいずれか1つ(例えば、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のActRIIAポリペプチドは、ActRIIAに対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ActRIIAポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがActRIIAポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号101、103、401、および402)との間に位置付けられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含む。ActRIIAポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがActRIIB受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ActRIIBポリペプチドは、本明細書に開示のActRIIB配列(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、104、106、403、および404)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ActRIIBポリペプチドは、a)配列番号1の20〜29のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29)で始まり、b)配列番号1のアミノ酸109〜134のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のActRIIBポリペプチドは、ActRIIBに対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ActRIIBポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがActRIIBポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号104、106、403、および404)との間に位置付けられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含む。ActRIIBポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがTGFBRII受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、TGFBRIIポリペプチドは、本明細書に開示のTGFBRII配列(例えば、配列番号42、43、67、68、113、115、409、および410)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、TGFBRIIポリペプチドは、a)配列番号42のアミノ酸23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50または51のいずれか1つで始まり、b)配列番号42のアミノ酸143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165または166のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、TGFBRIIポリペプチドは、a)配列番号67、のアミノ酸23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43または44のいずれか1つで始まり、b)配列番号67のアミノ酸163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190または191のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のTGFBRIIポリペプチドは、TGFBRIIに対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、TGFBRIIポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがTGFBRIIポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号113、115、409、および410)との間に位置付けられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含む。TGFBRIIポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがBMPRII受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、BMPRIIポリペプチドは、本明細書に開示のBMPRII配列(例えば、配列番号46、47、71、72、107、109、405、および406)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、BMPRIIポリペプチドは、a)配列番号46または71の27〜34のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基27、28、29、30、31、32、33、および34)で始まり、b)配列番号46または71のアミノ酸123〜150のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、および150)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のBMPRIIポリペプチドは、BMPRIIに対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、BMPRIIポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがBMPRIIポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号107、109、405、および406)との間に位置付けられる。BMPRIIポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがMISRII受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、MISRIIポリペプチドは、本明細書に開示のMISRII配列(例えば、配列番号50、51、75、76、79、80、110、112、407、および408)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、MISRIIポリペプチドは、a)配列番号50、75、または79の17〜24のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基17、18、19、20、21、22、23、および24)で始まり、b)配列番号50、75、または79のアミノ酸116〜149のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基116、117、118、119、120、121、122123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、および149)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のMISRIIポリペプチドは、MISRIIに対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、MISRIIポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがMISRIIポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号110、112、407、および408)との間に位置付けられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含む。MISRIIポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK1受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK1ポリペプチドは、本明細書に開示のALK1配列(例えば、配列番号14、15、116、118、411、および412)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK1ポリペプチドは、a)配列番号14の22〜34のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、および34)で始まり、b)配列番号14のアミノ酸95〜118のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、および118)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK1ポリペプチドは、ALK1に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK1ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK1ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号116、118、411、および412)との間に位置付けられる。ALK1ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK2受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK2ポリペプチドは、本明細書に開示のALK2配列(例えば、配列番号18、19、119、121、413、および414)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK2ポリペプチドは、a)配列番号18の21〜35のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35)で始まり、b)配列番号18のアミノ酸99〜123のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、および123)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK2ポリペプチドは、ALK2に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK2ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK2ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号119、121、413、および414)との間に位置付けられる。ALK2ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK3受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK3ポリペプチドは、本明細書に開示のALK3配列(例えば、配列番号22、23、122、124、415、および416)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK3ポリペプチドは、a)配列番号22の24〜61のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、および61)で始まり、b)配列番号22のアミノ酸130〜152のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、および152)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK3ポリペプチドは、ALK3に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK3ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK3ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号122、124、415、および416)との間に位置付けられる。ALK3ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK4受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK4ポリペプチドは、本明細書に開示のALK4配列(例えば、配列番号26、27、83、84、125、127、417、および418)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK4ポリペプチドは、a)配列番号26または83の23〜34のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34)で始まり、b)配列番号26または83のアミノ酸101〜126のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、および126)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK4ポリペプチドは、ALK4に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK4ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK4ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号125、127、417、および418)との間に位置付けられる。ALK4ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK5受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK5ポリペプチドは、本明細書に開示のALK5配列(例えば、配列番号30、31、87、88、128、130、419、および420)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK5ポリペプチドは、a)配列番号30または87の25〜36のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、および36)で始まり、b)配列番号30または87のアミノ酸106〜126のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、および126)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK5ポリペプチドは、ALK5に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK5ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK5ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号128、130、419、および420)との間に位置付けられる。ALK5ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK6受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK6ポリペプチドは、本明細書に開示のALK6配列(例えば、配列番号34、35、91、92、131、133、421、および422)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK6ポリペプチドは、a)配列番号34、の14〜32のアミノ酸のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、および32)で始まり、b)配列番号34のアミノ酸102〜126のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、および126)で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK6ポリペプチドは、a)配列番号91、の26〜62のアミノ酸のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、および62)で始まり、b)配列番号91のアミノ酸132〜156のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、および156)で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK6ポリペプチドは、ALK6に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK6ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK6ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号131、133、421、および422)との間に位置付けられる。ALK6ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドがALK7受容体に由来するI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含む異種ポリペプチド複合体を提供する。例えば、ALK7ポリペプチドは、本明細書に開示のALK7配列(例えば、配列番号38、39、134、136、301、302、305、306、309、310、313、423、および424)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、ALK7ポリペプチドは、a)配列番号38の21〜28のいずれか1つ(例えば、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、または28)で始まり、b)配列番号38のアミノ酸92〜113のいずれか1つ(例えば、配列番号38のアミノ酸残基92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、または113)のアミノ酸で終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含んでもよいし、から本質的になってもよいし、からなってもよい。任意選択で、本開示のALK7ポリペプチドは、ALK7に対して異種である1つまたは複数の部分(ドメイン)をさらに含む融合タンパク質であり得る。例えば、ALK7ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む異種ポリペプチドに融合されてもよく、任意選択でリンカードメインがALK7ポリペプチドと異種ポリペプチド(例えば、配列番号134、136、423、および424)との間に位置付けられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含む。ALK7ポリペプチドを含む異種複合体は、別のI型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含まないが、I型またはII型TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドではない追加のポリペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるTGF−ベータスーパーファミリーI型および/またはII型受容体ポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチニル化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートされたアミノ酸から選択される、1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、本明細書で記載されるTGF−ベータスーパーファミリーI型および/またはII型ポリペプチドは、グリコシル化されており、例えば、CHO細胞を含む哺乳動物細胞におけるポリペプチドの発現から得ることができるグリコシル化パターンを有する。
ある特定の態様では、本開示は、相互作用ペアのメンバーを含む任意の融合タンパク質を含む本明細書で記載されるTGF−ベータスーパーファミリーI型および/またはII型ポリペプチドの任意のものをコードする核酸を提供する。本明細書で開示される核酸は、発現のためにプロモーターに作動可能に連結することができ、本開示はさらに、このような組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞も提供する。細胞は、COS細胞またはCHO細胞などの哺乳動物細胞であることが好ましい。
ある特定の態様では、本開示は、本明細書で記載されるTGF−ベータスーパーファミリーI型および/またはII型ポリペプチドの任意のもの、ならびにこのようなポリペプチドを含むタンパク質複合体を作製するための方法を提供する。このような方法は、任意の本明細書で開示される核酸を、適切な細胞(例えば、CHO細胞またはCOS細胞)内で発現させる工程を含み得る。このような方法は、a)細胞を、本明細書で記載されるTGF−ベータスーパーファミリーI型またはII型ポリペプチドの発現に適する条件下で培養する工程であって、前記細胞が、I型またはII型ポリペプチド発現構築物で形質転換されている工程と;b)このようにして発現させたI型またはII型ポリペプチドを回収する工程とを含み得る。本明細書に記載のTGF−ベータスーパーファミリーI型および/またはII型ポリペプチド、ならびにそのタンパク質複合体は、タンパク質を細胞培養物から取得する周知の技法のいずれかを使用して粗精製、部分精製または高度精製された分画として回収することができる。
任意の本明細書に記載のタンパク質複合体が医薬調製物に組み込まれ得る。任意選択で、そのような医薬調製物は、他のポリペプチド構成成分に照らして少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%純粋である。任意選択で、本明細書に開示の医薬調製物は、1つまたは複数の追加の活性剤を含み得る。
本開示はさらに、本明細書で記載されるタンパク質複合体および医薬調製物を、これらに限定されないが、例えば、がん、筋肉、骨、脂肪、赤血球、代謝、線維症、および1つまたは複数のTGF−ベータスーパーファミリーのリガンドの影響を受ける他の組織と関連する疾患および障害を含む、多様なTGF−ベータ関連状態の処置または予防に使用するための方法も提供する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
第2のポリペプチドと共有結合的または非共有結合的に会合した第1のポリペプチドを含むタンパク質複合体であって、
a.前記第1のポリペプチドは、相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列と、TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドのアミノ酸配列とを含み、ここで、前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、ALK7、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、およびMISRIIポリペプチドから選択され;
b.前記第2のポリペプチドは、相互作用ペアの第2のメンバーのアミノ酸配列を含み、ここで、前記第2のポリペプチドは、TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを含まない、
タンパク質複合体。
(項目2)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ActRIIAポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目3)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ActRIIBポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目4)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、BMPRIIポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目5)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、TGFBRIIポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目6)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、MISRIIポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目7)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK1ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目8)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK2ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目9)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK3ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目10)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK4ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目11)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK5ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目12)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK6ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目13)
前記TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドが、ALK7ポリペプチドである、項目1に記載のタンパク質複合体。
(項目14)
前記ActRIIAポリペプチドが、
a.配列番号9、10、および11のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号9のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のいずれか1つで始まり、配列番号9のアミノ酸110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134または135のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目2に記載のタンパク質複合体。
(項目15)
前記ActRIIBポリペプチドが、
a.配列番号1、2、3、4、5、および6のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目3に記載のタンパク質複合体。
(項目16)
前記BMPRIIポリペプチドが、
a.配列番号46、47、71、および72のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号46または71のいずれかのアミノ酸27、28、29、30、31、32、33、および34のいずれか1つで始まり、配列番号46または71のいずれかのアミノ酸123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、および150のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目4に記載のタンパク質複合体。
(項目17)
前記TGFBRIIポリペプチドが、
a.配列番号42、43、67、および68のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号42のアミノ酸23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50または51のいずれか1つで始まり、配列番号42のアミノ酸143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165または166のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
c.配列番号67のアミノ酸23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43または44のいずれか1つで始まり、配列番号67のアミノ酸163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190または191のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一、
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目5に記載のタンパク質複合体。
(項目18)
前記MISRIIポリペプチドが、
a.配列番号50、51、75、76、79、および80のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.a)配列番号50、75、または79のいずれかのアミノ酸17、18、19、20、21、22、23、および24のいずれか1つで始まり、配列番号50、75、または79のいずれかのアミノ酸116、117、118、119、120、121、122123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、および149のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目6に記載のタンパク質複合体。
(項目19)
前記ALK1ポリペプチドが、
a.配列番号14および15のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号14のアミノ酸22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、および34のいずれかで始まり、配列番号14のアミノ酸95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、および118のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目7に記載のタンパク質複合体。
(項目20)
前記ALK2ポリペプチドが、
a.配列番号18および19のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号18のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35のいずれか1つで始まり、配列番号18のアミノ酸99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、および123のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目8に記載のタンパク質複合体。
(項目21)
前記ALK3ポリペプチドが、
a.配列番号22および23のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号22のアミノ酸24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、および61のいずれか1つで始まり、配列番号22のアミノ酸130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、および152のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目9に記載のタンパク質複合体。
(項目22)
前記ALK4ポリペプチドが、
a.配列番号26、27、83、および84のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号26または83のいずれかのアミノ酸23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34のいずれか1つで始まり、配列番号26または83のいずれかのアミノ酸101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、および126のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目10に記載のタンパク質複合体。
(項目23)
前記ALK5ポリペプチドが、
a.配列番号30、31、87、および88のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号30または87のいずれかのアミノ酸25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、および36のいずれか1つで始まり、配列番号30または87いずれかのアミノ酸106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、および126のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目11に記載のタンパク質複合体。
(項目24)
前記ALK6ポリペプチドが、
a.配列番号34、35、91、および92のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号34のアミノ酸14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、および32のいずれか1つで始まり、配列番号34のアミノ酸102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、および126のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
c.配列番号91のアミノ酸26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、および62のいずれか1つで始まり、配列番号91のアミノ酸132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、および156のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目12に記載のタンパク質複合体。
(項目25)
前記ALK7ポリペプチドが、
a.配列番号38、39、301、302、305、306、309、310、および313のいずれかの配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一;または
b.配列番号38のアミノ酸21、22、23、24、25、26、27、または28のいずれか1つで始まり、配列番号38のアミノ酸92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、または113のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、からなる、またはから本質的になる、項目13に記載のタンパク質複合体。
(項目26)
前記タンパク質複合体が、組み換えヘテロ二量体である、項目1〜25のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
(項目27)
前記相互作用ペアの第1のメンバーがIgG重鎖由来の第1の定常領域を含む、項目1〜26のいずれかに記載のタンパク質複合体。
(項目28)
前記相互作用ペアの第2のメンバーがIgG重鎖由来の第2の定常領域を含む、項目1〜27のいずれかに記載のタンパク質複合体。
(項目29)
前記IgG重鎖由来の第1の定常領域が、第1の免疫グロブリンFcドメインである、項目27に記載のタンパク質複合体。
(項目30)
前記IgG重鎖由来の第2の定常領域が、第1の免疫グロブリンFcドメインである、項目28に記載のタンパク質複合体。
(項目31)
前記IgG重鎖由来の第1の定常領域が、配列番号200〜214のいずれか1つから選択される配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目27に記載のタンパク質複合体。
(項目32)
前記IgG重鎖由来の第2の定常領域が、配列番号200〜214のいずれか1つから選択される配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目28に記載のタンパク質複合体。
(項目33)
前記第1のポリペプチドが、配列番号101、103、104、106、107、109、110、112、113、115、116、118、119、121、122、124、125、127、128、130、131、133、134、136、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、および424のいずれか1つから選択される配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1〜32のいずれかに記載のタンパク質複合体。
(項目34)
前記第2のポリペプチドが、配列番号137、139、140、142、425、426、427、および428のいずれか1つから選択される配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1〜33のいずれかに記載のタンパク質複合体。
(項目35)
前記第1のポリペプチドおよび/または第2のポリペプチドが、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチニル化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートされたアミノ酸から選択される1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む、項目1〜34のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
(項目36)
前記第1のポリペプチドおよび/または第2のポリペプチドが、グリコシル化されており、CHO細胞における前記I型受容体ポリペプチドの発現から得ることができるグリコシル化パターンを有する、項目1〜35のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
(項目37)
前記タンパク質複合体が、以下の特徴:i)10 −7 、10 −8 、10 −9 、または10 −10 M未満またはこれと等しいK でTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合する;およびii)細胞へのTGF−βスーパーファミリーI型および/またはII型受容体媒介性シグナル伝達を阻害する、のうちの1つまたは複数を有する、項目1〜36のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
(項目38)
前記タンパク質複合体が、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、Nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLeftyの1つまたは複数に結合する、項目1〜37のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
(項目39)
前記タンパク質複合体が、細胞ベースのアッセイにおいて1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドの活性を阻害する、項目1〜38のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
(項目40)
前記TGF−βスーパーファミリーリガンドが、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、Nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLeftyから選択される、項目1〜39のいずれかに記載のタンパク質複合体。
(項目41)
項目1〜40のいずれか1項に記載のタンパク質複合体および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬調製物。
(項目42)
TGFβスーパーファミリー関連状態を有する患者を処置するための方法。
(項目43)
前記TGFβスーパーファミリー関連状態が、筋肉障害、赤血球障害、貧血、骨障害、骨量の減少、線維性障害、慢性腎疾患、代謝性疾患、II型糖尿病、肥満症、および心血管障害からなる群から選択される、項目42に記載の方法。
図1は、I型受容体ポリペプチドまたはII型受容体ポリペプチドを含むシングルアーム異種タンパク質複合体の概略例を示す。そのような複合体は、各ポリペプチド鎖内に含まれる多量体化ドメインを介して共有結合的または非共有結合的にアセンブリすることができる。2つのアセンブリされた多量体化ドメインが相互作用ペアを構成し、これは誘導型であっても非誘導型であってもよい。
図2は、I型受容体ポリペプチド(「I」と示す)(例えば、ヒトまたは他の種由来のALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6またはALK7タンパク質の細胞外ドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるペプチド)またはII型受容体ポリペプチド(「II」と表示される)(例えば、ヒトまたは他の種由来のActRIIA、ActRIIB、MISRII、BMPRIIまたはTGFBRIIタンパク質の細胞外ドメインと少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるペプチド)を含むシングルアーム異種タンパク質複合体の概略例を示す。例示された実施形態では、I型またはII型受容体ポリペプチドは、相互作用ペアの第1のメンバー(「B」)を含む融合ポリペプチドの部分であり、相互作用ペアの第2のメンバー(「C」)と会合する。融合ポリペプチドにおいて、リンカーは、I型またはII型受容体ポリペプチドと、相互作用ペアの対応するメンバーとの間に位置付けられ得る。相互作用ペアの第1および第2のメンバー(B、C)は誘導型(非対称)であってよく、これは、ペアのメンバーが、自己会合するよりむしろ、優先的に互いと会合することを意味し、あるいは相互作用ペアは非誘導型であってよく、これは、ペアのメンバーが、実質的な優先性なしで互いと会合する、または自己会合することができ、同じまたは異なるアミノ酸配列を有し得ることを意味する。伝統的なFc融合タンパク質および抗体は非誘導型相互作用ペアの例であり、他方、操作されたFcドメインの種類は誘導型(非対称)相互作用ペアとしてデザインされている。
図3は、複数のActRIIBおよびActRIIAの結晶構造の合成解析に基づき、ボックスで指し示されるリガンドに直接接触することが本明細書で推定される残基を伴う、ヒトActRIIAの細胞外ドメイン(配列番号500)およびヒトActRIIBの細胞外ドメイン(配列番号2)のアラインメントを示す。
図4は、種々の脊椎動物の細胞内ドメインのないActRIIB前駆体タンパク質(それぞれ、配列番号501、502、503、504、505および506)、細胞内ドメインのないヒトActRIIA前駆体タンパク質(配列番号507)、およびコンセンサスActRII前駆体タンパク質(配列番号508)の多重配列アライメントを示す。
図5は、Clustal 2.1を使用した、ヒトIgGアイソタイプに由来するFcドメインの多重配列アラインメントを示す。ヒンジ領域は、点線の下線によって指し示されている。二重の下線は、非対称鎖ペア形成を促進するようにIgG1 Fcにおいて操作された位置と、他のアイソタイプIgG2、IgG3およびIgG4に関する対応する位置の例を指し示す。
図6は、シングルアームActRIIB:Fcヘテロ二量体タンパク質複合体についての、ActRIIB−Fcホモ二量体と比較した、リガンド結合データを示す。各タンパク質複合体について、リガンドを、リガンドによるシグナル伝達の阻害と良好に相関する反応速度定数であるオフ速度(koffまたはk)によりランク付けし、結合アフィニティの降順に列挙する(最も緊密に結合したリガンドを、一番上に列挙する)。左側において、黄線、赤線、緑線、および青線は、オフ速度定数の大きさを指し示す。特に関心のあるリガンドを太字で強調するが、他はグレーで表し、黒実線は、ヘテロ二量体への結合がホモ二量体と比較して増強されるかまたは不変であるリガンドを指し示すのに対し、破線は、ホモ二量体と比較して実質的に低減した結合を指し示す。示される通り、ActRIIB−Fcホモ二量体が、5つの高アフィニティーリガンドの各々に、同様の高アフィニティーで結合するのに対し、シングルアームのActRIIB−Fcは、これらのリガンド間をよりたやすく識別する。したがって、シングルアームのActRIIB−Fcは、アクチビンBおよびGDF11に強く結合し、GDF8およびアクチビンAに中程度の強度で結合する。ActRIIB−Fcホモ二量体とさらに対照的に、シングルアームのActRIIB−Fcは、BMP10には弱い結合を提示するに過ぎず、BMP9には結合しない。これらのデータは、シングルアームのActRIIB−Fcが、ホモ二量体のActRIIB−Fcより優れたリガンド選択性を有することを指し示す。
図7は、シングルアームのALK3−Fc:Fcヘテロ二量体タンパク質複合体についてのリガンド結合データを、ALK3−Fcホモ二量体と比較して示す。フォーマットは、図6の場合と同じである。示される通り、シングルアームのALK3−Fcヘテロ二量体は、ALK3−Fcホモ二量体について観察されるBMP4への例外的に緊密な結合を保持する一方で、BMP2への結合強度の低減を呈示するので、ALK3−Fcホモ二量体よりBMP4と、BMP2との間を良好に識別する。シングルアームのALK3−Fcはまた、BMP5(中程度の結合)、GDF7(弱い結合)、およびGDF6(結合なし)の間を、これら3つのリガンドにほぼ同様の強度(全て中程度)で結合するALK3−Fcホモ二量体と比較して、良好に識別する。これらのデータは、シングルアームのALK3−Fcが、ホモ二量体のALK3−Fcより優れたリガンド選択性を有することを指し示す。
図8は、シングルアームのActRIIA−Fc:Fcヘテロ二量体タンパク質複合体についてのリガンド結合データを、ActRIIA−Fcホモ二量体と比較して示す。フォーマットは、図6の場合と同じである。示される通り、ActRIIA−Fcホモ二量体が、アクチビンBへの優先的な結合を、アクチビンAおよびGDF11への強い結合と合わせて呈示するのに対し、シングルアームのActRIIA−Fcは、アクチビンBを上回るアクチビンAに対する逆転した優先性を、GDF11(弱い結合剤)を上回るアクチビンAに対する大幅に増強された選択性と合わせて有する。これらのデータは、シングルアームのActRIIA−Fcが、ホモ二量体のActRIIA−Fcとは実質的に異なるリガンド選択性を有することを指し示す。
1.概観
部分的に、本開示は、TGFβスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドの細胞外ドメインまたはTGFβスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドの細胞外ドメインを含むシングルアームヘテロ多量体複合体、そのようなシングルアームヘテロ多量体複合体を作製する方法、およびその使用に関連する。本明細書に記載されるように、シングルアームヘテロ多量体複合体は、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、およびALK7から選択されるTGFβスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドの細胞外ドメイン、またはActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、およびMISRIIから選択されるTGFβスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドの細胞外ドメインを含み得る。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のヘテロ多量体複合体は、対応するホモ多量体複合体と比較してTGFβスーパーファミリーリガンドに対する結合の変更されたプロファイルを有する(例えば、ActRIIB−Fc:ActRIIB−Fcホモ二量体複合体と比較したActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体)。
TGF−βスーパーファミリーは、TGF−β、アクチビン、Nodal、骨形成遺伝子タンパク質(BMP)、増殖分化因子(GDF)、および抗ミュラー管ホルモン(AMH)を含む、30を超える分泌因子から構成される。例えば、Weissら(2013年)、Developmental Biology、2巻(1号):47〜63頁を参照。スーパーファミリーのメンバーであって、脊椎動物および非脊椎動物のいずれにおいても見出されるメンバーは、多様な組織内で遍在的に発現し、動物の寿命を通して発生の最早期に機能する。実際、TGF−βスーパーファミリータンパク質は、幹細胞の自己再生、原腸形成、分化、器官の形態形成、および成体組織のホメオスタシスの鍵となるメディエーターである。TGF−βスーパーファミリーによるシグナル伝達の異常が、例えば、自己免疫疾患、心血管疾患、線維性疾患、およびがんを含む広範にわたるヒト病態と関連することは、この活性の遍在性と符合する。
TGF−βスーパーファミリーのリガンドは、1つの単量体の中央3−1/2ターンヘリックスが、他の単量体のベータ−ストランドにより形成される凹部表面に対してパッキングされる、同じ二量体構造を共有する。TGF−βファミリーメンバーの大半は、分子間ジスルフィド結合によりさらに安定化される。このジスルフィド結合は、「システインノット」モチーフと称されるモチーフを生成する他の2つのジスルフィド結合により形成されるリングを横切る。例えば、Linら(2006年)、Reproduction、132巻:179〜190頁;およびHinck(2012年)、FEBS Letters、586巻:1860〜1870頁を参照。
TGF−βスーパーファミリーのシグナル伝達は、I型およびII型のセリン/スレオニンキナーゼ受容体の異種複合体(heteromeric complex)によって媒介され、これらは、リガンド刺激の際に、下流のSMADタンパク質(例えば、SMADタンパク質1、2、3、5、および8)をリン酸化および活性化する[Massague、2000年、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.1巻:169〜178頁]。これらのI型およびII型受容体は、システインリッチな領域を持つリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および、予測セリン/スレオニンキナーゼ特異性を持つ細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。概して、I型受容体は、細胞内シグナル伝達を媒介する一方、II型受容体は、TGF−βスーパーファミリーリガンドの結合に必要とされる。I型およびII型の受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を形成し、II型受容体によるI型受容体のリン酸化をもたらす。
TGF−βファミリーは、結合するI型受容体と、活性化させるSmadタンパク質とに基づき、系統発生上の2つの分枝に分けることができる。1つは、近年進化した分枝であり、例えば、TGF−β、アクチビン、GDF8、GDF9、GDF11、BMP3およびNodalを含む。他の分枝は、スーパーファミリーのより遠い関連タンパク質を含み、例えば、BMP2、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF1、GDF5、GDF6、およびGDF7を含む。例えば、Hinck、(2012) FEBS Letters 586:1860−1870を参照。
TGF−βアイソフォームは、TGF−βスーパーファミリーの基礎となるメンバーであり、そのうち、哺乳動物では、TGF−β1、TGF−β2、およびTGF−β3と表示される3つのアイソフォームが公知である。生物活性な成熟TGF−βリガンドは、ホモ二量体として機能し、主に、I型受容体であるALK5を介してシグナル伝達するが、内皮細胞内のALK1を介してもシグナル伝達することが見出されている。例えば、Goumansら(2003年)、Mol Cell、12巻(4号):817〜828頁を参照。TGF−β1は、最も夥多であり、かつ、遍在的に発現するアイソフォームである。TGF−β1は、創傷治癒において重要な役割を果たすことが公知であり、恒常的に活性なTGF−β1トランス遺伝子を発現するマウスは、線維症を発症する。例えば、Clouthierら(1997年)、J Clin. Invest.、100巻(11号):2697〜2713頁を参照。TGF−β1はまた、T細胞の活性化および調節性T細胞の維持にも関与する。例えば、Liら(2006年)、Immunity、25巻(3号):455〜471頁を参照。TGF−β2の発現は、また、ヒト神経膠芽腫細胞において最初に説明されたが、胚神経系のニューロン内および星状膠細胞内で生じる。TGF−β2は、Tリンパ球のインターロイキン2依存性増殖を抑制することが公知である。TGF−β3は当初、ヒト横紋筋肉腫細胞系から単離され、以来、肺腺癌および腎癌細胞系において見出されている。TGF−β3は、口蓋および肺の形態形成に重要であることが公知である。例えば、Kubiczkovaら(2012年)、Journal of Translational Medicine、10巻:183頁を参照。
アクチビンは、当初、濾胞刺激ホルモン分泌の調節因子として発見されたTGF−βスーパーファミリーのメンバーであり、その後、多様な生殖的および非生殖的役割が特徴付けられている。主要なアクチビン形態A、B、およびABは、2つの近縁のβサブユニットのホモ/ヘテロ二量体(それぞれ、ββ、ββ、およびββ)である。ヒトゲノムはまた、主に肝臓内で発現する、アクチビンCおよびアクチビンEもコードし、βまたはβを含有するヘテロ二量体形態もまた公知である。TGF−βスーパーファミリーにおいて、アクチビンは、卵巣および胎盤の細胞におけるホルモン生成を刺激し得、神経細胞の生存を支援し得、細胞周期の進行に対して細胞型に依存して正もしくは負に影響を及ぼし得、そして、少なくとも両生類の胚において中胚葉分化を誘導し得る、独特かつ多機能の作用因子である。例えば、DePaoloら(1991年)、Proc Soc Ep Biol Med.198巻:500〜512頁;Dysonら(1997年)、Curr Biol.7巻:81〜84頁;およびWoodruff(1998年)、Biochem Pharmacol.55巻:953〜963頁を参照。いくつかの組織では、アクチビンのシグナル伝達は、その関連するヘテロ二量体であるインヒビンによってアンタゴナイズされる。例えば、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌の制御において、アクチビンは、FSHの合成および分泌を促進するが、インヒビンは、FSHの合成および分泌を低減する。アクチビンの生活性を調節し得、そして/または、アクチビンに結合し得る他のタンパク質としては、フォリスタチン(FS)、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP、FLRGまたはFSTL3としても公知)およびα−マクログロブリンが挙げられる。
本明細書で記載される通り、「アクチビンA」に結合する作用因子は、単離βサブユニットの文脈であれ、二量体の複合体(例えば、ββホモ二量体またはββヘテロ二量体)としてであれ、βサブユニットに特異的に結合する作用因子である。ヘテロ二量体の複合体(例えば、ββヘテロ二量体)の場合、「アクチビンA」に結合する作用因子は、βサブユニット内に存在するエピトープには特異的であるが、複合体のβ以外のサブユニット(例えば、複合体のβサブユニット)内に存在するエピトープには結合しない。同様に、「アクチビンA」にアンタゴナイズする(これを阻害する)本明細書で開示される作用因子は、単離βサブユニットの文脈であれ、二量体の複合体(例えば、ββホモ二量体またはββヘテロ二量体)としてあれ、βサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性を阻害する作用因子である。ββヘテロ二量体の場合、「アクチビンA」を阻害する作用因子は、βサブユニットの1つまたは複数の活性を特異的に阻害するが、複合体のβ以外のサブユニット(例えば、複合体のβサブユニット)の活性は阻害しない作用因子である。この原則はまた、「アクチビンB」、「アクチビンC」、および「アクチビンE」に結合し、かつ/またはこれらを阻害する作用因子にも当てはまる。「アクチビンAB」にアンタゴナイズする本明細書で開示される作用因子は、βサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性と、βサブユニットにより媒介される1つまたは複数の活性とを阻害する作用因子である。
BMPおよびGDFは、併せて、TGF−βスーパーファミリーの特徴的折り畳みを共有するシステインノットサイトカインのファミリーを形成する。例えば、Riderら(2010年)、Biochem J.、429巻(1号):1〜12頁を参照。このファミリーは、例えば、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、BMP2a、BMP3、BMP3b(GDF10としても公知)、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8、BMP8a、BMP8b、BMP9(GDF2としても公知)、BMP10、BMP11(GDF11としても公知)、BMP12(GDF7としても公知)、BMP13(GDF6)、BMP14(GDF5としても公知)、BMP15、GDF1、GDF3(VGR2としても公知)、GDF8(ミオスタチンとしても公知)、GDF9、GDF15およびdecapentaplegicを含む。骨形成を誘導する能力であって、BMPにそれらの名称を与えた能力のほか、BMP/GDFは、広範にわたる組織の発達における形態形成活性も提示する。BMP/GDFホモおよびヘテロ二量体は、I型およびII型受容体の二量体の組合せと相互作用して、複数の可能なシグナル伝達複合体をもたらし、SMAD転写因子の2つの競合するセットのうちの1つを活性化させる。BMP/GDFは、高度に特異的で、局在化された機能を有する。これらは、BMP/GDF発現の発達上の制限を含む多数の形で調節されており、高アフィニティである特定のTGF−βスーパーファミリーのリガンドに結合し、それによってリガンド活性を阻害するいくつかタンパク質の分泌を介して調節されている。興味深いことに、これらの内因性アンタゴニストのいくつかは、それ自体TGF−βスーパーファミリーのリガンドに相似している。
増殖および分化因子8(GDF8)は、ミオスタチンとしても公知であり、骨格筋量の負の調節因子である。GDF8は、発生中および成体中の骨格筋において高度に発現する。遺伝子導入マウスにおけるGDF8欠失変異は、骨格筋の顕著な肥大および過形成を特徴とする。例えば、McPherronら、Nature(1997年)、387巻:83〜90頁を参照。骨格筋量の同様の増加は、ウシおよび、驚くべきことに、ヒトにおけるGDF8の天然に存在する変異において明らかである。例えば、Ashmoreら(1974年)、Growth、38巻:501〜507頁;SwatlandおよびKieffer、J. Anim. Sci.、(1994年)38巻:752〜757頁;McPherronおよびLee、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、(1997年)94巻:12457〜12461頁;Kambadurら、Genome Res.、(1997年)7巻:910〜915頁;およびSchuelkeら(2004年)、N Engl J Med、350巻:2682〜8頁を参照。研究は、ヒトにおけるHIV感染に関連する筋肉消耗には、GDF8タンパク質の発現の増加が随伴することも示している。例えば、Gonzalez−Cadavidら、PNAS、(1998年)95巻:14938〜43頁を参照。加えて、GDF8は、筋肉特異的酵素(例えば、クレアチンキナーゼ)の生成を調節することが可能であり、筋芽細胞の増殖を調節し得る。例えば、国際特許出願公開第WO00/43781号頁を参照。GDF8プロペプチドは、成熟GDF8ドメイン二量体に非共有結合的に結合し、その生物活性を不活性化することができる。例えば、Miyazonoら(1988年)、J. Biol. Chem.、263巻:6407〜6415頁;Wakefieldら(1988年)、J. Biol. Chem.、263巻:7646〜7654頁;およびBrownら(1990年)、Growth Factors、3巻:35〜43頁を参照。GDF8または構造的に関連するタンパク質に結合し、それらの生物活性を阻害する他のタンパク質として、フォリスタチン、および、潜在的に、フォリスタチン関連タンパク質が挙げられる。例えば、Gamerら(1999年)、Dev. Biol.、208巻:222〜232頁を参照。
BMP11としても公知のGDF11は、マウス発生時に尾芽、肢芽、上顎弓および下顎弓、ならびに後根神経節において発現する分泌タンパク質である。例えば、McPherronら(1999年)、Nat. Genet.、22巻:260〜264頁;およびNakashimaら(1999年)、Mech. Dev.、80巻:185〜189頁を参照。GDF11は、中胚葉組織および神経組織の両方のパターン形成において、固有の役割を果たす。例えば、Gamerら(1999年)、Dev Biol.、208巻:222〜32頁を参照。GDF11は、発生中のニワトリの肢における軟骨形成および筋発生の負の調節因子であることが示された。例えば、Gamerら(2001年)、Dev Biol.、229巻:407〜20頁を参照。筋内のGDF11の発現はまた、GDF8と同様の方式での筋肉の増殖の調節におけるその役割も示唆する。加えて、脳内のGDF11の発現は、GDF11はまた、神経系の機能に関連する活性を有し得ることを示唆する。興味深いことに、GDF11は、嗅上皮における神経発生を阻害することも見出された。例えば、Wuら(2003年)、Neuron、37巻:197〜207頁を参照。よって、GDF11は、筋疾患および神経変性疾患(例えば、筋委縮性側索硬化症)などの疾患を処置するのに、インビトロおよびインビボにおいて適用することができる。
骨形成性タンパク質1(OP−1)とも呼ばれるBMP7は、軟骨および骨の形成を誘導することが周知である。加えて、BMP7は、広範にわたる生理プロセスも調節する。例えば、BMP7は、上皮骨形成現象の一因となる、骨誘導因子であり得る。また、BMP7がカルシウムの調節および骨のホメオスタシスにおいても役割を果たすことも見出されている。アクチビンと同様に、BMP7も、II型受容体であるActRIIAおよびActRIIBに結合する。しかし、BMP7とアクチビンとは、異なるI型受容体を動員して、ヘテロマーの受容体複合体となる。観察されるBMP7の主要なI型受容体が、ALK2であったのに対し、アクチビンはもっぱらALK4(ActRIIB)に結合した。BMP7とアクチビンとは、顕著に異なる生体応答を誘発し、異なるSMAD経路を活性化させた。例えば、Macias−Silvaら(1998年)、J Biol Chem.、273巻:25628〜36頁を参照。
ミュラー管阻害性物質(MIS)としてもまた公知の抗ミュラー管ホルモン(AMH)は、TGF−ベータファミリーの糖タンパク質である。1つのAMH関連II型受容体が同定されており、AMHRII、または代替的にMISRIIと命名されている。AMHは、ヒト男性の胚におけるミュラー管の退縮を誘導する。AMHは、生殖年齢の女性において発現し、周期または妊娠に伴っては変動しないが、卵母細胞の数量および質の両方が減少するにつれて徐々に減少することが見出されたことから、AMHが、卵巣生理についてのバイオマーカーとして用いられ得ることが示唆される。例えば、Zecら、(2011年)、Biochemia Medica、21巻(3号):219〜30頁を参照されたい。
代替的にACVRLK1としても公知の、ACVRL1遺伝子の産物であるアクチビン受容体様キナーゼ1(ALK1)は、その発現が主に内皮細胞に制約されるI型受容体である。例えば、OMIM登録番号:601284を参照されたい。ALK1は、BMP9およびBMP10などのTGF−ベータファミリーのリガンドの結合により活性化し、ALK1によるシグナル伝達は、発達上の血管形成および病理学的血管形成のいずれの調節においても、極めて重要である。ALK1の発現は、早期のマウス発生における脈管形成および血管新生の部位と重なり合い、ALK1ノックアウトマウスは、重度の血管異常のために、胎生約11.5日で死ぬ(例えば、CunhaおよびPietras(2011年)、Blood、117巻(26号):6999〜7006頁を参照されたい)。ALK1の発現についてはまた、肝星細胞および軟骨細胞などの他の細胞型においても記載されている。加えて、ALK1は、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)と共に、間葉系幹細胞内のBMP9誘導性骨形成シグナル伝達に重要であることが見出されている。例えば、CunhaおよびPietras(2011年)、Blood、117巻(26号):6999〜7006頁を参照されたい。
代替的にActRIAまたはACVRLK2としても公知の、ACVR1遺伝子の産物であるALK2は、アクチビンおよびBMPに結合することが示されているI型受容体である。ALK2ノックアウトマウスは、原腸形成の直後に死ぬので、ALK2は、胚発生に極めて重要である。例えば、Mishinaら(1999年)、Dev Biol.、213巻:314〜326頁;およびOMIM登録番号:102576を参照されたい。ALK2における恒常的活性変異は、筋肉、腱、および靭帯を含む線維性組織を、自発的に、または損傷したときに骨化させる稀な遺伝性障害である進行性骨化性線維異形成症(FOP)と関連する。ALK2の206位におけるアルギニンからヒスチジンへの変異は、ヒトでは、FOPと関連する天然に生じる変異である。この変異は、リガンドの結合を伴わないALK2を介するBMP特異的シグナル伝達を誘導する。例えば、Fukudaら、(2009年)、J Biol Chem.、284巻(11号):7149〜7156頁;およびKaplanら、(2011年)、Ann N.Y. Acad Sci.、1237巻:5〜10頁を参照されたい。
代替的にACVRLK3としても公知の、BMPR1A遺伝子の産物であるアクチビン受容体様キナーゼ3(ALK3)は、BMPファミリー内の複数のリガンドの効果を媒介するI型受容体である。遍在的な組織発現を伴ういくつかのI型受容体と異なり、ALK3は、より特化した機能性と符合する制約された発現パターンを提示する。例えば、ten Dijke(1993年)、Oncogene、8巻:2879〜2887頁;およびOMIM登録番号:601299を参照されたい。ALK3は一般に、BMP2、BMP4、BMP7、およびBMPファミリーの他のメンバーに対する高アフィニティーの受容体として認識されている。BMP2およびBMP7は、造骨性分化の強力な刺激因子であり、現在、脊椎固定術およびある特定の非癒合骨折において骨形成を誘導するのに臨床で使用されている。ALK3は、骨芽細胞においてBMP2およびBMP4によるシグナル伝達の媒介の鍵となる受容体と考えられている。例えば、Laveryら(2008年)、J. Biol. Chem.、283巻:20948〜20958頁を参照されたい。ホモ接合性のALK3ノックアウトマウスは、胎生早期(約9.5日)に死ぬが、骨芽細胞にALK3の条件的破壊を保有する成体マウスは、新たに形成された骨は組織化不良の証拠を示したものの、骨量の増大を呈示することが最近報告されている。例えば、Kamiya(2008年)、J. Bone Miner. Res.、23巻:2007〜2017頁;およびKamiya(2008年)、Development、135巻:3801〜3811頁を参照されたい。この知見は、BMP2およびBMP7(ALK3のリガンド)の、臨床使用における造骨剤としての有効性と、驚くべき対照をなしている。
ACVRLK4としても代替的に公知の、ACVR1B遺伝子の産物であるアクチビン受容体様キナーゼ4(ALK4)は、TGF−ベータファミリーの多数のリガンドであって、アクチビン、Nodal、およびGDFを含むリガンドのシグナルを伝達するI型受容体である。ALK4の変異は、膵臓がんと関連し、ヒト下垂体腫瘍では、ドミナントネガティブの切断型ALK4アイソフォームが、高度に発現する。例えば、Tsuchidaら、(2008年)、Endocrine Journal、55巻(1号):11〜21頁;およびOMIM登録番号:601300を参照されたい。
TGFBR1遺伝子の産物であるアクチビン受容体様キナーゼ5(ALK5)は、大半の細胞型において広く発現する。TGF−ベータスーパーファミリーのいくつかのリガンドであって、TGF−ベータ、アクチビン、およびGDF−8を含むリガンドは、ALK5を介してシグナル伝達し、下流のSmad 2およびSmad 3を活性化させる。ALK5を欠損するマウスは、卵黄嚢および胎盤の血管発生において重度の欠損を呈示し、循環赤血球を欠き、妊娠中期で死ぬ。これらの胚は、正常な造血能を有するが、内皮細胞の増殖および不適正な遊走が増強されていることが見出された。したがって、ALK5依存性シグナル伝達は、血管新生には重要であるが、造血前駆細胞の発達、および機能的な造血には重要でない。例えば、Larssonら、(2001年)、The EMBO Journal、20巻(7号):1663〜1673頁;およびOMIM登録番号:190181を参照されたい。内皮細胞では、ALK5は、ALK1によるシグナル伝達と協同的かつ反対に作用する。ALK5は、細胞の遊走および増殖を阻害するが、これは、ALK1の反対の効果であることが注目される。例えば、Goumansら(2003年)、Mol Cell、12巻(4号):817〜828頁を参照されたい。加えて、ALK5は、筋成長を負に調節すると考えられる。筋ジストロフィーについてのマウスモデルの筋内におけるALK5のノックダウンは、線維症を減少させ、筋成長と関連する遺伝子の発現を増大させることが見出された。例えば、Kemaladewiら、(2014年)、Mol Ther Nucleic Acids、3巻、e156頁を参照されたい。
アクチビン受容体様キナーゼ6(ALK6)は、BMPR1B遺伝子の産物であり、その欠損は、ヒトおよびマウスの両方における軟骨異形成および四肢欠損と関連する。例えば、Demirhanら、(2005年)、J Med Genet.、42巻:314〜317頁を参照されたい。ALK6は、骨格の発達を通して広く発現し、マウスでは、軟骨形成に要請される。例えば、Yiら、(2000年)、Development、127巻:621〜630頁;およびOMIM登録番号:603248を参照されたい。
アクチビン受容体様キナーゼ7(ALK7)は、ACVR1C遺伝子の産物である。ALK7ヌルマウスは、生存可能であり、生殖可能であり、骨格奇形も四肢奇形も示さない。ALK7を介するGDF3シグナル伝達は、インスリン感受性および肥満症において役割を果たすと考えられる。これは、ALK7ヌルマウスが、脂肪蓄積の低減および食餌誘導性肥満症に対する抵抗性を示すという結果により裏付けられる。例えば、Anderssonら、(2008年)、PNAS、105巻(20号):7252〜7256頁を参照されたい。ALK7に媒介されるNodalシグナル伝達は、様々な異なるがん細胞系において腫瘍促進効果および腫瘍抑制効果の両方を有することが示されている。例えば、De Silvaら、(2012年)、Frontiers in Endocrinology、3巻:59頁;およびOMIM登録番号:608981を参照されたい。
本明細書で使用される場合、「ActRII」という用語は、II型アクチビン受容体のファミリーを指す。このファミリーは、ACVR2A遺伝子によりコードされるアクチビン受容体IIA型(ActRIIA)と、ACVR2B遺伝子によりコードされるアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)との両方を含む。ActRII受容体は、アクチビン、GDF8(ミオスタチン)、GDF11、ならびにBMPのサブセット、とりわけ、BMP6およびBMP7を含むTGF−ベータスーパーファミリーの様々なリガンドに結合する、TGF−ベータスーパーファミリーII型受容体である。ActRII受容体は、筋障害および神経筋障害(例えば、筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症(ALS)、および筋委縮症)、所望されない骨/軟骨成長、脂肪組織障害(例えば、肥満症)、代謝性障害(例えば、2型糖尿病)、および神経変性障害を含む、様々な生物学的障害に関与している。例えば、Tsuchidaら、(2008年)、Endocrine Journal、55巻(1号):11〜21頁、Knopfら、U.S.8,252,900、ならびにOMIM登録番号:102581および602730を参照されたい。
TGFBR2遺伝子によりコードされる形質転換増殖因子ベータ受容体II(TGFBRII)は、TGF−ベータリガンドに結合し、下流のSmad 2およびSmad 3エフェクターを活性化させることが公知のII型受容体である。例えば、Hinck(2012年)、FEBS Letters、586巻:1860〜1870頁;およびOMIM登録番号:190182を参照されたい。TGFBRIIを介するTGF−ベータシグナル伝達は、T細胞の増殖、調節性T細胞の維持、および前軟骨性幹細胞の増殖において極めて重要である。例えば、Liら、(2006年)、Immunity、25巻(3号):455〜471頁;およびChengら、Int. J. Mol. Sci.、2014年、15巻、12665〜12676頁を参照されたい。
BMPR2遺伝子によりコードされる骨形成タンパク質受容体II(BMPRII)は、BMP7およびBMP4を含むBMPリガンドに結合することが公知のII型受容体である。BMPRIIへの効率的なリガンド結合は、適切なTGFBRのI型受容体の存在に依存する。例えば、Rosenzweigら、(1995年)、PNAS、92巻:7632〜7636頁を参照されたい。BMPRIIにおける変異は、ヒトでは、肺高血圧症と関連する。OMIM登録番号:600799を参照されたい。
代替的に抗ミュラー管ホルモンII型受容体としても公知の、AMHR2遺伝子の産物であるミュラー管阻害性物質受容体II(MISRII)は、II型TGF−ベータスーパーファミリー受容体である。MISRIIは、MISリガンドに結合するが、シグナル伝達には、ALK3またはALK6などの適切なI型受容体の存在を要請する。例えば、Hinck(2012年)、FEBS Letters、586巻:1860〜1870頁;およびOMIM登録番号:600956を参照されたい。MISRIIは、ヒトでは性分化に関与し、ヒトの男性では、ミュラー管の退縮に要請される。AMHは、生殖年齢の女性において発現し、周期または妊娠に伴っては変動しないが、卵母細胞の数量および質の両方が減少するにつれて、徐々に減少することが見出されたことから、AMHが、卵巣生理のバイオマーカーとして用いられ得ることが示唆される。例えば、Zecら、(2011年)、Biochemia Medica、21巻(3号):219〜30頁;およびOMIM登録番号:600956を参照されたい。
ある特定の態様では、本開示は、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンド(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、Nodal、GDF8、GDF11、BMP6および/またはBMP7)によって開始される細胞内シグナル伝達(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達)をアンタゴナイズするためのTGFβスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、およびALK7)の細胞外ドメインまたはTGFβスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、およびMISRII)の細胞外ドメインを含むシングルアームヘテロ多量体複合体、好ましくは可溶性ヘテロ多量体複合体の使用に関連する。本明細書に記載されるように、そのようなアンタゴニストシングルアームヘテロ多量体複合体は、これらに限定されないが、例えば、がん、筋肉、骨、脂肪、赤血球、代謝、線維症およびTGF−βスーパーファミリーの1つまたは複数のリガンドによって影響を受ける他の組織に関連した疾患および障害を含む、種々のTGF−β関連状態の処置または予防に有用であり得る。
特に、本開示のデータは、TGFβスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドの細胞外ドメインまたはTGFβスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドの細胞外ドメインを含むシングルアームヘテロ多量体複合体が、対応するホモ多量体複合体との比較において異なるリガンド選択性プロファイルを有することを実証する。
本明細書中で使用される用語は、一般に、本開示の文脈の範囲内で、かつ、各々の用語が使用される特定の文脈において、当該分野におけるその通常の意味を有する。本開示の組成物および方法、ならびに、これらの作製方法および使用方法の記載において、専門家にさらなる案内を提供するために、特定の用語が以下または本明細書中の他の場所で論じられている。用語の任意の使用の範囲および意味は、それが使用される特定の文脈から明らかである。
「へテロマー」または「ヘテロ多量体」という用語は、少なくとも第1のポリペプチドと、第2のポリペプチドとを含む複合体であって、第2のポリペプチドのアミノ酸配列が、第1のポリペプチドと、少なくとも1つのアミノ酸残基だけ異なる複合体を指す。へテロマーは、第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチドにより形成される「ヘテロ二量体」を含む場合もあり、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドに加えて、ポリペプチドが存在するより高次の構造を形成する場合もある。ヘテロ多量体の例示的な構造として、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、およびさらなるオリゴマー構造が挙げられる。本明細書では、ヘテロ二量体を、X:Yまたは、これと同義に、X−Yと表示する[表示中、Xは第1のポリペプチド鎖を表し、Yは第2のポリペプチド鎖を表す]。本明細書では、より高次のへテロマーおよびオリゴマー構造を対応する形式で表示する。ある特定の実施形態では、ヘテロ多量体は、組換え(例えば、1つまたは複数のポリペプチド構成要素が、組換えタンパク質であり得る)であり、単離されており、かつ/または精製されている。
「相同」は、そのあらゆる文法的な形態および語の綴りのバリエーションにおいて「共通する進化的起源」を有する2つのタンパク質間の関係を指し、同じ生物種のスーパーファミリーからのタンパク質ならびに異なる生物種からの相同タンパク質を含む。このようなタンパク質(およびこれをコードする核酸)は、%同一性の観点であれ、特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によるものであれ、その配列類似性によって反映されるように、配列の相同性を有する。しかし、一般的な用法およびこの出願において、用語「相同」は、「高度に」のような副詞で修飾されるとき、配列の類似性を指す場合があり、そして、共通する進化の起源に関連していてもしていなくてもよい。
用語「配列類似性」は、そのあらゆる文法的な形態において、共通する進化の起源を共有している場合も共有していない場合もある、核酸もしくはアミノ酸配列間の同一性もしくは対応性の程度をいう。
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に照らした「配列同一性パーセント(%)」とは、配列を決定し、必要な場合、最大の配列同一性パーセントを達成するようにギャップを導入した後における、保存的置換は配列同一性の一部と考えない場合の、候補配列内のアミノ酸残基(または核酸)の百分率であって、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列内のアミノ酸残基(または核酸)と同一であるアミノ酸残基(または核酸)の百分率と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定することを目的とするアラインメントは、当該分野の技術の範囲内にある種々の方式で、例えば、BLASTソフトウェア、BLAST−2ソフトウェア、ALIGNソフトウェア、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど、一般に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、配列を決定するのに適切なパラメータであって、比較される配列の全長にわたり最大のアラインメントを達成するのに必要とされる、任意のアルゴリズムを含むパラメータを決定することができる。しかし、本明細書の目的では、アミノ酸(核酸)配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムである、ALIGN−2を使用して生成する。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.により作成され、ソースコードは、使用説明書と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、ここで、米国著作権登録第TXU510087号として登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Calif.から一般に利用可能であるが、ソースコードからコンパイルすることもできる。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含む、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム上の使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムにより設定され、変化しない。
本明細書で使用される場合、「Xに実質的に結合しない」とは、「X」に対する作用因子のKが、約10−7より大きい、10−6より大きい、10−5より大きい、10−4より大きい、またはそれより大きい(例えば、Kを決定するのに使用されるアッセイにより検出可能でない結合)を意味することが意図され。
2.シングルアームTGFβスーパーファミリー受容体ポリペプチドを含むヘテロ多量体複合体
ある特定の態様では、本開示は、1つまたは複数のシングルアームTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを含むヘテロ多量体タンパク質複合体に関する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドは、第2のポリペプチドに共有結合的または非共有結合的に会合した第1のポリペプチドを含むタンパク質複合体を形成することができ、ここで、第1のポリペプチドは、I型またはII型受容体ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列を含み;第2のポリペプチドは、相互作用ペアの第2のメンバーのアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、I型またはII型受容体ポリペプチドを含まない。相互作用ペアは、相互作用して、複合体、特にヘテロ二量体の複合体を形成する任意の2つのポリペプチド配列であってよいが、実効的な実施形態はホモ二量体の配列を形成する相互作用ペアも利用してよい。本明細書に記載されるように、相互作用ペアの1つのメンバーは、I型またはII型受容体ポリペプチド、例えば、配列番号1、2、3、4、5、6、9、10、11、14、15、18、19、22、23、26、27、30、31、34、35、38、39、42、43、46、47、50、51、67、68、71、72、75、76、79、80、83、84、87、88、91、92、301、302、305、306、309、310、および313のいずれかの配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドに融合されていてもよい。好ましくは、相互作用ペアは、改善された血清半減期を付与するか、またはポリエチレングリコール部分(moiety)などの別の部分が結合されたアダプターとして作用して、I型またはII型受容体ポリペプチドの単量体形態と比較して改善された血清半減期を提供するように選択される。
本明細書で示される通り、TGF−ベータスーパーファミリーのI型受容体またはII型受容体の単量体(シングルアーム)形態は、それらの対応ホモ二量体の形態と比較して実質的に変更されたリガンド結合選択性を呈示し得るが、単量体形態は、血清貯留時間(半減期)が短い傾向があり、これは、治療状況では所望されない。血清半減期を改善する共通の機構は、ポリペプチドを、IgGの定常ドメイン部分(例えば、Fc部分)を有するホモ二量体の融合タンパク質として発現させることである。しかし、ホモ二量体のタンパク質(例えば、Fc融合構築物で)として発現させたTGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドは、単量体形態と同じ活性プロファイルを呈示しないかもしれない。本明細書において実証されるように、問題は、単量体形態を半減期延長部分と融合させることによって解決することができ、驚くべきことに、これは、相互作用ペアの1つのメンバーがTGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドに融合されており、相互作用ペアの別のメンバーが部分に融合されていないか、または異種部分に融合されているタンパク質として、そのような非対称ヘテロ二量体の融合タンパク質を発現させることによって容易に達成することができ、相互作用ペアによって付与される血清半減期の改善と合わさった新規のリガンド結合プロファイルをもたらす。
ある特定の態様では、本開示は、少なくとも1つのTGF−βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、およびALK7ならびに配列番号14、15、18、19、22、23、26、27、30、31、34、35、38、39、83、84、87、88、91、92、301、302、305、306、309、310、313)または少なくとも1つのTGF−βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、およびMISRII、ならびに配列番号1、2、3、4、5、6、9、10、11、42、43、46、47、50、51、67、68、71、72、75、76、79、および80)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連し、これは、本明細書において一般に、「本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体」または「TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体」と称され得る。好ましくは、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は可溶性であり、例えば、シングルアームヘテロ多量体複合体は、少なくとも1つのTGFβスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドの可溶性部分または少なくとも1つのTGFβスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドの可溶性部分含む。概して、TGFβスーパーファミリーI型およびII型受容体の細胞外ドメインは、I型またはII型受容体の可溶性部分に対応する。したがって、一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、TGFβスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、1つまたは複数のALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、および/またはALK7受容体細胞外ドメイン)の細胞外ドメインまたはTGFβスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、1つまたは複数のActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、および/またはMISRII受容体細胞外ドメイン)の細胞外ドメインを含む。ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、ALK7、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRII、およびMISRIIの例示的な細胞外ドメインは、本明細書に開示されており、そのような配列、ならびにそのフラグメント、機能的改変体および改変形態を、本開示の発明に従って使用することができる(例えば、シングルアームヘテロ多量体複合体組成物およびその使用)。
例えば、3フィンガーの毒素フォールドとして公知の構造モチーフを規定することは、I型受容体およびII型受容体によるリガンド結合に重要であり、各単量体の受容体の細胞外ドメイン内の様々な位置に配置された10、12、または14の保存されたシステイン残基により形成される。例えば、Greenwaldら、(1999) Nat Struct Biol 6:18−22;Hinck(2012) FEBS Lett 586:1860−1870を参照のこと。任意の本明細書に記載の異種複合体は、TGF−βスーパーファミリーのI型またはII型受容体のそのようなドメインを含み得る。これらの保存されたシステインの最外殻により画されるようなTGFβスーパーファミリー受容体のコアとなるリガンド結合性ドメインは、配列番号1(ActRIIB前駆体)の29〜109位;配列番号9(ActRIIA前駆体)の30〜110位;配列番号14(ALK1前駆体)の34〜95位;配列番号18(ALK2前駆体)の35〜99位;配列番号22(ALK3前駆体)の61〜130位;配列番号26および83(ALK4前駆体)の34〜101位;配列番号30および87(ALK5前駆体)の36〜106位;配列番号34(ALK6アイソフォームB前駆体)の32〜102位;配列番号38、305、および309(ALK7前駆体)の28〜92位;配列番号42(TGFBRIIアイソフォームB前駆体)の51〜143位;配列番号46および71(BMPRII前駆体)の34〜123位;配列番号50、75、および79(MISRII前駆体)の24〜116位;配列番号67(TGFBRIIアイソフォームA前駆体)の44〜168位;および配列番号91(ALK6アイソフォームA前駆体)の62〜132位に対応する。これらのシステインによって画されるコア配列に隣接する構造的に秩序のより乏しいアミノ酸は、必ずしもリガンド結合性を変更することなく、いずれかの末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、または37残基だけ短縮することができる。N末端および/またはC末端短縮型についての例示的な細胞外ドメインとして、配列番号2、3、5、6、10、1115、19、23、27、31、35、39、43、47、51、68、72、76、80、84、88、92、302、306、310、および313が挙げられる。
別の好ましい実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、Nodal、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLeftyを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、その活性を阻害(アンタゴナイズ)する。特に、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体を使用して、1つまたは複数のTGFβスーパーファミリーリガンドによって媒介される細胞内シグナル伝達(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達)をアンタゴナイズすることができる。本明細書に記載されるように、そのようなアンタゴニストヘテロ多量体複合体は、これらに限定されないが、例えば、がん、筋肉、骨、脂肪、赤血球、代謝、線維症およびTGF−βスーパーファミリーの1つまたは複数のリガンドによって影響を受ける他の組織に関連した疾患および障害を含む、種々のTGF−β関連状態の処置または予防のためのものであり得る。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、対応するホモ多量体複合体との比較して異なるリガンド結合プロファイルを有する(例えば、ActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体に対して対応するActRIIB−Fc:ActRIIB−FcまたはFc:Fcホモ二量体)。本明細書に記載されるように、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体として、例えば、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体およびシングルアームの単一となった複合体に基づくさらなるオリゴマー構造が挙げられる。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、ヘテロ二量体である。
本明細書で使用する場合、用語「ActRIIB」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなActRIIBタンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるActRIIBに対する言及は、現在同定されている形態のうちの任意の1つに対する言及であるものと理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび予測セリン/スレオニンキナーゼ活性を持つ細胞質ドメインから構成される、膜貫通タンパク質である。
用語「ActRIIBポリペプチド」は、ActRIIBファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチド、ならびに、有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、フラグメント、融合体およびペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを包含する。このような改変体ActRIIBポリペプチドの例は、本開示を通して提供されるほか、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2006/012627号においても提供されている。本明細書で記載される、全てのActRIIB関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記で提供される、ヒトActRIIB前駆体のタンパク質配列(配列番号1)の番号付けに基づく。
ヒトActRIIB前駆体のタンパク質配列は、以下の通りである。
シグナルペプチドは、一重下線で指し示し、細胞外ドメインは、太字フォントで指し示し、潜在的な、内因性N−連結グリコシル化部位は、二重下線で指し示す。
プロセシング後の細胞外ActRIIBポリペプチド配列は、以下の通りである。
一部の実施形態では、タンパク質は、N末端における「SGR・・・」配列により生成することができる。細胞外ドメインのC末端「テール」は、一重下線で指し示す。「テール」を欠失させた配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
配列番号1の64位においてアラニン(A64)を有するActRIIBの形態についてはまた、文献、例えば、Hildenら(1994年)、Blood、83巻(8号):2163〜2170頁を参照されたい、においても報告されている。本出願人らは、A64置換を有するActRIIBの細胞外ドメインを含むActRIIB−Fc融合タンパク質は、アクチビンおよびGDF11に対するアフィニティが比較的低いことを確認した。これに対し、64位においてアルギニン(R64)を有する、同じActRIIB−Fc融合タンパク質は、アクチビンおよびGDF11に対するアフィニティが、低nM〜高pMの範囲である。したがって、R64を有する配列を、本開示におけるヒトActRIIBのための「野生型」参照配列として使用する。
64位においてアラニンを有するActRIIBの形態は、以下の通りである。
シグナルペプチドは、一重下線で指し示し、細胞外ドメインは、太字フォントで指し示す。
代替的なA64形態の、プロセシング後の細胞外ActRIIBポリペプチド配列は、以下の通りである。
一部の実施形態では、タンパク質は、N末端における「SGR・・・」配列により生成することができる。細胞外ドメインのC末端「テール」は、一重下線で指し示す。「テール」を欠失させた配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
ヒトActRIIB前駆体タンパク質をコードする核酸配列であって、ActRIIB前駆体のアミノ酸1〜513をコードする、Genbank参照配列NM_001106.3のヌクレオチド25〜1560からなる核酸配列を、下記(配列番号7)に示す。示される配列は、64位においてアルギニンを提示するが、代わりに、アラニンを提示するように改変することができる。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後のヒト細胞外ActRIIBポリペプチドをコードする核酸配列は、以下(配列番号8)の通りである。示される配列は、64位においてアルギニンを提示するが、代わりに、アラニンを提示するように改変することができる。
ヒトActRIIB可溶性細胞外ドメインおよびヒトActRIIA可溶性細胞外ドメインのアミノ酸配列のアラインメントを、図3に例示する。このアラインメントは、両方の受容体内のアミノ酸残基であって、ActRIIリガンドに直接接触すると考えられるアミノ酸残基を指し示す。図4は、種々の脊椎動物ActRIIBタンパク質およびヒトActRIIAの多重配列アラインメントを描示する。これらのアラインメントからは、リガンド結合性ドメイン内の鍵となるアミノ酸位置であって、通常のActRII−リガンドの結合活性に重要なアミノ酸位置を予測することが可能であるほか、通常のActRII−リガンドの結合活性を顕著に変更させずに、置換に対して許容性を有する可能性が高いアミノ酸位置を予測することも可能である。例えば、Attisanoら(1992)Cell 68(1):97−108;Greenwaldら(1999)Nature Structural Biology 6(1):18−22;Allendorphら(2006)PNAS 103(20:7643−7648;Thompsonら(2003)The EMBO Journal 22(7):1555−1566;ならびに米国特許第7,709,605号、同第7,612,041号および同第7,842,663号を参照。
例えば、Attisanoらは、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端におけるプロリンノットの欠失により、受容体のアクチビンに対するアフィニティーが低減されることを示した。本願配列番号1のアミノ酸20〜119を含有するActRIIB−Fc融合タンパク質、「ActRIIB(20〜119)−Fc」は、プロリンノット領域および完全な膜近傍ドメインを含むActRIIB(20〜134)−Fcと比較してGDF−11およびアクチビンへの結合が減少している(例えば、米国特許第7,842,663号を参照のこと)。しかし、ActRIIB(20〜129)−Fcタンパク質は、プロリンノット領域が破壊されているにもかかわらず、野生型と比較して同様だがいくらか減少した活性を保持する。したがって、アミノ酸134、133、132、131、130および129(配列番号1に照らして)で終止するActRIIB細胞外ドメインは全て活性であると予想されるが、134または133で終止する構築物が最も活性であり得る。同様に、残基129〜134(配列番号1に照らして)のいずれかにおける変異によってリガンドの結合親和性が大幅に変更されるとは予想されない。この裏付けとして、P129およびP130(配列番号1に照らして)の変異によってリガンドの結合は実質的に低下しないことは当該技術分野において公知である。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、早ければアミノ酸109(最後のシステイン)で終了し得るが、109〜119(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118または119)で終わる形態は、リガンドの結合が減少していると予想される。アミノ酸119(配列番号1に照らして)は、不完全に保存されているので、容易に変更または切断される。128以後(本願配列番号1に照らして)で終わるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBベースのGDFトラップはリガンドの結合活性を保持しているはずである。119〜127(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126または127)(配列番号1に照らして)で終わるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBベースのGDFトラップは、中間の結合能を有する。これらの形態はいずれも、臨床的または実験的な設定に応じて使用することが望ましい場合がある。
ActRIIBのN末端では、アミノ酸29またはその手前(配列番号1に照らして)で始まるタンパク質が、リガンド結合活性を保持することが予想される。アミノ酸29は、開始システインを表す。24位(配列番号1に照らして)における、アラニンからアスパラギンへの変異は、リガンド結合に実質的に影響を及ぼさずに、N−連結グリコシル化配列を導入する。例えば、米国特許第7,842,663号を参照されたい。これにより、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域との間の領域であって、アミノ酸20〜29に対応する領域内の変異は、十分に許容されることが確認される。特に、20、21、22、23、および24位(配列番号1に照らして)で始まるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBベースのGDFトラップは、一般的なリガンド結合活性を保持し、25、26、27、28、および29位(配列番号1に照らして)で始まるActRIIBポリペプチドおよびActRIIBベースのGDFトラップもまた、リガンド結合活性を保持するはずである。例えば、米国特許第7,842,663号において示されているデータは、驚くべきことに、22、23、24、または25で始まるActRIIB構築物は、最大の活性を有することを実証する。
まとめると、ActRIIBの活性部分(例えば、リガンド結合部分)は、配列番号1のアミノ酸29〜109を含む。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドは、例えば、ActRIIBの一部であって、配列番号1のアミノ酸20〜29に対応する残基で始まり(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29で始まり)、配列番号1のアミノ酸109〜134に対応する位置で終わる(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134で終わる)一部に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。他の例は、配列番号1の20〜29位(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29位)、または21〜29位(例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、または29位)で始まり、119〜134位(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位)、119〜133位(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、または133位)、129〜134位(例えば、129、130、131、132、133、または134位)、または129〜133位(例えば、129、130、131、132、または133位)で終わる、ポリペプチドを含む。他の例は、配列番号1の20〜24位(例えば、20、21、22、23、または24位)、21〜24位(例えば、21、22、23、または24位)、または22〜25位(例えば、22、22、23、または25位)で始まり、109〜134位(例えば、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位)、119〜134位(例えば、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134位)、または129〜134位(例えば、129、130、131、132、133、または134位)で終わる構築物を含む。これらの範囲内の改変体、特に、配列番号1の対応する部分に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する改変体もまた、企図される。
本開示は、図3に示されるように、合成ActRIIB構造の分析結果を含み、これは、一部において、リガンド結合ポケットが残基Y31、N33、N35、L38〜T41、E47、E50、Q53〜K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78〜N83、Y85、R87、A92、およびE94〜F101によって規定されることを実証している。これらの位置において、保存的変異は許容されると予想される。R40はツメガエルにおいてKであり、この位置の塩基性アミノ酸が許容されることを示している。Q53は、ウシのActRIIBではRであり、ツメガエルのActRIIBではKであり、したがって、R、K、Q、NおよびHを含めたアミノ酸がこの位置で許容される。したがって、本開示のActRIIBポリペプチドについての一般式は、配列番号1のアミノ酸29〜109に、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列であって、任意選択で、20〜24位(例えば、20、21、22、23、または24位)または22〜25位(例えば、22、23、24、または25位)の範囲の位置で始まり、129〜134位(例えば、129、130、131、132、133、または134位)の範囲の位置で終わり、リガンド結合ポケット内に、1つ、2つ、5つ、10、または15以下の保存的アミノ酸変化を含み、リガンド結合ポケット内の40、53、55、74、79、および/または82位に、0、1つ、または複数の非保存的変更を含むアミノ酸配列である。可変性が特に良好に許容され得る結合ポケットの外側の部位は、細胞外ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端(上述のように)、および42〜46位および65〜73位(配列番号1に照らして)を含む。65位におけるアスパラギンからアラニンへの変更(N65A)は、A64バックグラウンドにおけるリガンドの結合を実際に改善し、したがって、R64バックグラウンドにおいてリガンドの結合に対する好ましくない影響を有さないと予想される。例えば、米国特許第7,842,663号を参照のこと。この変化により、A64バックグラウンドにおけるN65のグリコシル化が排除される可能性があり、したがって、この領域における著しい変化が許容される可能性があることが実証されている。R64A変化は許容性が乏しいが、R64Kは良好に許容され、したがって、Hなどの別の塩基性残基が64位において許容され得る。例えば、米国特許第7,842,663号を参照のこと。
ActRIIBは、完全に保存された細胞外ドメインの大きなストレッチ(stretch)を持ち、ほぼ全ての脊椎動物にわたって良好に保存されている。ActRIIBに結合するリガンドの多くも高度に保存されている。したがって、種々の脊椎動物の生物体からのActRIIB配列を比較することにより、変更され得る残基への洞察がもたらされる。したがって、活性な、本開示の方法に従う有用なヒトActRIIB改変体ポリペプチドは、別の脊椎動物のActRIIBの配列からの対応する位置の1つまたは複数のアミノ酸を含み得、または、ヒトまたは他の脊椎動物の配列中の残基と同様の残基を含み得る。以下の例は、活性なActRIIB改変体を定義するためのこのアプローチを例示している。L46は、ツメガエルのActRIIBではバリンであるので、この位置は変更され得、任意選択で、V、IまたはFなどの別の疎水性残基、またはAなどの非極性残基に変更され得る。E52は、ツメガエルではKであり、これは、この部位で、E、D、K、R、H、S、T、P、G、YおよびおそらくAなどの極性残基を含めた多種多様の変化が許容され得ることを示している。T93は、ツメガエルではKであり、これは、この位置において幅広い構造的差異が許容されることを示しており、S、K、R、E、D、H、G、P、GおよびYなどの極性残基が好ましい。F108は、ツメガエルではYであり、したがって、Yまたは他の疎水性群、例えばI、VまたはLが許容されるはずである。E111は、ツメガエルではKであり、これは、この位置において、D、R、KおよびH、ならびにQおよびNを含めた、荷電残基が許容されることを示している。R112は、ツメガエルではKであり、これは、この位置において、RおよびHを含めた塩基性残基が許容されることを示している。119位のAは比較的不完全に保存されており、げっ歯類ではPとして、ツメガエルではVとして現れ、したがって、この位置では本質的にいかなるアミノ酸も許容されるはずである。
本明細書に記載されるバリエーションは、種々の方法で組み合わせられ得る。さらに、本明細書中に記載される変異誘発プログラムの結果は、保存が多くの場合有益であるアミノ酸位がActRIIBにあることを示す。配列番号1に照らして、これらとしては、64位(塩基性アミノ酸)、80位(酸性または疎水性アミノ酸)、78位(疎水性、そして特にトリプトファン)、37位(酸性、そして特にアスパラギン酸またはグルタミン酸)、56位(塩基性アミノ酸)、60位(疎水性アミノ酸、特にフェニルアラニンまたはチロシン)が挙げられる。したがって、本明細書中に開示されるActRIIBポリペプチドにおいて、本開示は保存され得るアミノ酸のフレームワークを提供する。保存が望ましいと考えられる他の位置は以下の通りである:52位(酸性アミノ酸)、55位(塩基性アミノ酸)、81位(酸性)、98位(極性または荷電、特にE、D、RまたはK)、全て配列番号1に照らして。
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのActRIIBポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのActRIIBポリペプチド(例えば、ActRIIBポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ActRIIBの細胞外ドメイン)。
別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのActRIIBポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1のアミノ酸20〜29(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29で始まる)に対応する残基で始まり、配列番号1のアミノ酸109〜134(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134で終わる)に対応する位置で終わるActRIIBの部分と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1のアミノ酸20〜29(例えば、アミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29で始まる)に対応する残基で始まり、配列番号1のアミノ酸109〜134(例えば、アミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134で終わる)に対応する位置で終わるActRIIBの部分と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含み、ここで、配列番号1のL79に対応する位置は酸性アミノ酸である(すなわち、DまたはEアミノ酸残基)。ある特定の好ましい実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。別の好ましい実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、またはからなる少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含み、ここで、配列番号1のL79に対応する位置は酸性アミノ酸である(すなわち、DまたはEアミノ酸残基)。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1、2、3、4、5、6、104、106、403、または404のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1、2、3、4、5、6、104、106、403、または404のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含み、ここで、配列番号1のL79に対応する位置は酸性アミノ酸である(すなわち、DまたはEアミノ酸残基)。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1、2、3、4、5、6、104、106、403、または404のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含むか、から本質的になるか、またはからなる。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号1、2、3、4、5、6、104、106、403、または404のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのActRIIBポリペプチドを含むか、から本質的になるか、またはからなり、ここで配列番号1のL79に対応する位置は酸性アミノ酸である(すなわち、DまたはEアミノ酸残基)。
ある特定の実施形態では、本開示は、ActRIIAポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ActRIIA」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体IIA型(ActRIIA)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなActRIIAタンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるActRIIAへの言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ActRIIAファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ActRIIAポリペプチド」は、ActRIIAファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。このような改変体ActRIIAポリペプチドの例は、本開示を通して提供されるほか、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2006/012627号においても提供されている。本明細書で記載される、全てのActRIIA関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記で提供される、ヒトActRIIA前駆体のタンパク質配列(配列番号9)の番号付けに基づく。
ヒトActRIIA前駆体タンパク質配列は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で指し示し;細胞外ドメインを太字のフォントで示し;潜在的な内因性N連結グリコシル化部位を二重下線で示す。
プロセシング後の細胞外ヒトActRIIAポリペプチド配列は以下の通りである:
細胞外ドメインのC末端「テール」を一重下線で指し示す。「テール」が削除された配列(Δ15配列)は以下の通りである:
ヒトActRIIA前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号12)、Genbank参照配列NM_001616.4のヌクレオチド159〜1700に対応する。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後の細胞外ActRIIAポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
活性な(例えば、リガンド結合)ActRIIAポリペプチドの一般式は、配列番号9のアミノ酸30で始まり、アミノ酸110で終わるポリペプチドを含むものである。したがって、本開示のActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸30〜110と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチドを含み得る。任意選択で、本開示のActRIIAポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸12〜82と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、任意選択で、配列番号9に照らして、それぞれ、1〜5(例えば、1、2、3、4、または5)または3〜5(例えば、3、4、または5)の範囲の位置で始まり、110〜116(例えば、110、111、112、113、114、115、または116)または110〜115(例えば、110、111、112、113、114、または115)の範囲の位置で終わり、リガンド結合ポケット内の1、2、5、10または15以下の保存的アミノ酸変化、およびリガンド結合ポケット内の40位、53位、55位、74位、79位および/または82位における0、1または複数の非保存的変更を含むポリペプチドを含む。
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのActRIIAポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのActRIIAポリペプチド(例えば、ActRIIAポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ActRIIAの細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのActRIIAポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号9、10、11、101、103、401、または402のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのActRIIAポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号9、10、11、101、103、401、または402のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのActRIIAポリペプチドを含むか、からなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、TGFBRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「TGFBRII」とは、任意の種に由来するトランスフォーミング増殖因子β受容体II型(TGFBRII)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなタンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるTGFBRIIへの言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。TGFBRIIファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「TGFBRIIポリペプチド」は、TGFBRIIファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのTGFBRII関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトTGFBRII前駆体のタンパク質配列(配列番号42)の番号付けに基づく。
基準のヒトTGFBRII前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列 NP_003233.4)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外TGFBRIIポリペプチド配列は以下の通りである:
TGFBRII前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号44)、Genbank参照配列NM_003242.5のヌクレオチド383〜2083に対応する。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後の細胞外TGFBRIIポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
TGFBRIIの代替的アイソフォームであるアイソフォームA(NP_001020018.1)、は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外TGFBRIIポリペプチド配列(アイソフォームA)は以下の通りである:
TGFBRII前駆体タンパク質(アイソフォームA)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号69)、Genbank参照配列NM_001024847.2のヌクレオチド383〜2158に対応する。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後の細胞外TGFBRIIポリペプチド(アイソフォームA)をコードする核酸配列は以下の通りである:
前述のTGFβRIIアイソフォーム(配列番号42、43、67、および68)のいずれも、TGFβRIIアイソフォームCにおいて天然に生じるように、TGFβRIIECDのC末端付近に位置付けられるグルタメート残基のペア(配列番号42の151位および152位;配列番号43の129位および130位;配列番号67の176位および177位;または配列番号68の154位および155位)の間に36アミノ酸(配列番号95)の挿入を組み込むことができる(Konradら、、BMC Genomics 8:318、2007)。
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのTGFBRIIポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのTGFBRIIポリペプチド(例えば、TGFBRIIポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、TGFBRIIの細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのTGFBRIIポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号42、43、67、68、113、115、409、または410のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのTGFBRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号42、43、67、68、113、115、409、または410のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一であり、配列番号95が上記されるようなペア形成したグルタメート残基の間に挿入された、少なくとも1つのTGFBRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号42、43、67、68、113、115、409または410のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのTGFBRIIポリペプチドを含むか、からなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、BMPRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「BMPRII」とは、任意の種に由来する骨形成タンパク質受容体II型(BMPRII)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなタンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるBMPRIIへの言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。BMPRIIファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「BMPRIIポリペプチド」は、BMPRIIファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのBMPRII関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトBMPRII前駆体のタンパク質配列(配列番号46)の番号付けに基づく。
基準のヒトBMPRII前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_001195.2)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外BMPRIIポリペプチド配列は以下の通りである:
BMPRII前駆体タンパク質をコードする核酸配列を以下に示し(配列番号48)、Genbank参照配列NM_001204.6のヌクレオチド1149〜4262に従う。シグナル配列に下線を付す。
細胞外BMPRIIポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
BMPRIIの代替的アイソフォームであるアイソフォーム2(GenBank:AAA86519.1)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外BMPRIIポリペプチド配列(アイソフォーム2)は以下の通りである:
ヒトBMPRII前駆体タンパク質(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号73)、Genbank参照配列U25110.1のヌクレオチド163〜1752に対応する。シグナル配列に下線を付す。
細胞外BMPRIIポリペプチド(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのBMPRIIポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのBMPRIIポリペプチド(例えば、BMPRIIポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、BMPRIIの細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのBMPRIIポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号46、47、71、72、107、109、405、または406のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのBMPRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号46、47、71、72、107、109、405、または406のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのBMPRIIポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、MISRIIポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「MISRII」とは、任意の種に由来するミュラー管阻害性物質受容体II型(MISRII)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなタンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるMISRIIへの言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。MISRIIファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「MISRIIポリペプチド」は、MISRIIファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのMISRII関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトMISRII前駆体のタンパク質配列(配列番号50)の番号付けに基づく。
基準のヒトMISRII前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_065434.1)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外MISRIIポリペプチド配列は以下の通りである:
MISRII前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号52)、Genbank参照配列NM_020547.2のヌクレオチド81〜1799に対応する。シグナル配列に下線を付す。
細胞外ヒトMISRIIポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ヒトMISRII前駆体タンパク質配列の代替的アイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列NP_001158162.1)、は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム2)は以下の通りである:
MISRII前駆体タンパク質(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号77)、Genbank参照配列NM_001164690.1のヌクレオチド81−1514に対応する。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後の可溶性(細胞外)ヒトMISRIIポリペプチド(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下の通りである:
ヒトMISRII前駆体タンパク質配列の代替的アイソフォームであるアイソフォーム3(NCBI参照配列NP_001158163.1)、は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外MISRIIポリペプチド配列(アイソフォーム3)は以下の通りである:
ヒトMISRII前駆体タンパク質(アイソフォーム3)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号81)、Genbank参照配列NM_001164691.1のヌクレオチド81−1514に対応する。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後の可溶性(細胞外)ヒトMISRIIポリペプチド(アイソフォーム3)をコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのMISRIIポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのMISRIIポリペプチド(例えば、MISRIIポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、MISRIIの細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのMISRIIポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号50、51、75、76、79、80、110、112、407、または408のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのMISRIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号50、51、75、76、79、80、110、112、407、または408のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのMISRIIポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK1ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK1」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー1タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK1タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK1への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK1ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK1ポリペプチド」は、ALK1ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK1関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK1前駆体のタンパク質配列(配列番号14)の番号付けに基づく。
ヒトALK1前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_000011.2)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK1ポリペプチド配列は以下の通りである:
ヒトALK1前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号16)、Genbank参照配列NM_000020.2のヌクレオチド284−1792に対応する。シグナル配列に下線を付す。
プロセシング後の細胞外ALK1ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK1ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK1ポリペプチド(例えば、ALK1ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK1の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK1ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号14、15、116、118、411、または412のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK1ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号14、15、116、118、411、または412のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK1ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK2ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK2」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー2(ALK2)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK2タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK2への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK2ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK2ポリペプチド」は、ALK2ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK2関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK2前駆体のタンパク質配列(配列番号18)の番号付けに基づく。
ヒトALK2前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_001096.1)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK2ポリペプチド配列は以下の通りである:
ヒトALK2前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号20)、Genbank参照配列NM_001105.4のヌクレオチド431−1957に対応する。シグナル配列に下線を付す。
細胞外ALK2ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK2ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK2ポリペプチド(例えば、ALK2ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK2の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK2ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号18,19、119、121、413、または414のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK2ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号18,19、119、121、413、または414のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK2ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK3ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK3」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー3(ALK3)タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK3タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK3への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK3ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK3ポリペプチド」は、ALK3ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK3関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK3前駆体のタンパク質配列(配列番号22)の番号付けに基づく。
ヒトALK3前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_004320.2)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK3ポリペプチド配列は以下の通りである:
ヒトALK3前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号24)、Genbank参照配列NM_004329.2のヌクレオチド549−2144に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
細胞外ヒトALK3ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
活性な(例えば、リガンド結合)ALK3ポリペプチドの一般式は、任意のアミノ酸位置25−31(すなわち、f配列番号22の25位、26位、27位、28位、29位、30位、または31位)で始まり、任意のアミノ酸位置140−152of配列番号22(すなわち、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、または152)で終わるポリペプチドを含むものである。その教示の全体が参考として本明細書に援用される米国特許第8,338,377号を参照のこと。
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK3ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK3ポリペプチド(例えば、ALK3ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK3の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK3ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号22のアミノ酸位置25−31(すなわち、25位、26位、27位、28位、29位、30位、または31位)で始まり、配列番号22のアミノ酸位置140−153(すなわち、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、または152)で終わるアミノ酸を含むか、からなるか、またはから本質的になる。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号22、23、122、124、415、または416のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK3ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号22、23、122、124、415、または416のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK3ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK4ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK4」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー4タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK4タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK4への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK4ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK4ポリペプチド」は、ALK4ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK4関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK4前駆体のタンパク質配列(配列番号26)の番号付けに基づく。
標準的なヒトALK4前駆体のタンパク質配列(アイソフォームA、NCBI参照配列NP_004293)は、以下の通りである。
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ヒトALK4ポリペプチド配列は以下の通りである:
ALK4前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号28)、Genbank参照配列NM_004302.4のヌクレオチド78〜1592に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
細胞外ALK4ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ヒトALK4前駆体の代替的アイソフォームであるアイソフォームB(NCBI参照配列NP_064732.3)、は以下の通りである:
細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
細胞外ALK4ポリペプチド配列(アイソフォームB)は以下の通りである:
アイソフォームBのALK4前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号85)、Genbank参照配列NM_020327.3のヌクレオチド186〜1547に対応する。細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
ALK4ポリペプチド(アイソフォームB)の細胞外ドメインをコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK4ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK4ポリペプチド(例えば、ALK4ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK4の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK4ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号26、27、83、84、125、127、417、または418のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号26、27、83、84、125、127、417、または418のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK4ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK5ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK5」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー5タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK4タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK5への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK5ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK5ポリペプチド」は、ALK5ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK5関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK5前駆体のタンパク質配列(配列番号30)の番号付けに基づく。
基準のヒトALK5前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_004603.1)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK5ポリペプチド配列は以下の通りである:
ALK5前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号32)、Genbank参照配列NM_004612.2のヌクレオチド77〜1585に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
細胞外ヒトALK5ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ヒトALK5前駆体タンパク質配列の代替的アイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列XP_005252207.1)、は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK5ポリペプチド配列(アイソフォーム2)は以下の通りである:
ヒトALK5前駆体タンパク質(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号89)、Genbank参照配列XM_005252150.1のヌクレオチド77〜1597に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK5ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK5ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK5ポリペプチド(例えば、ALK5ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK5の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK5ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号30、31、87、88、128、130、419、または420のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK5ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号30、31、87、88、128、130、419、または420のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK5ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK6ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK6」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー6タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK6タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK6への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK6ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK6ポリペプチド」は、ALK6ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK6関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK6前駆体のタンパク質配列(配列番号34)の番号付けに基づく。
基準のヒトALK6前駆体タンパク質配列(NCBI参照配列NP_001194.1)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK6ポリペプチド配列は以下の通りである:
ALK6前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号36)、Genbank参照配列NM_001203.2のヌクレオチド275〜1780に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK6ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ヒトALK6前駆体タンパク質配列の代替的アイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列NP_001243722.1)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK6ポリペプチド配列(アイソフォーム2)は以下の通りである:
ヒトALK6前駆体タンパク質(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下に示され、Genbank参照配列NM_001256793.1のヌクレオチド22〜1617に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK6ポリペプチドをコードする核酸配列は以下の通りである:
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK6ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK6ポリペプチド(例えば、ALK6ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK6の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK6ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号34、35、91、92、131、133、421、または422のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK6ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号34、35、91、92、131、133、421、または422のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK6ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
ある特定の態様では、本開示は、ALK7ポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。本明細書で使用する場合、用語「ALK7」とは、任意の種に由来するアクチビン受容体様キナーゼー7タンパク質のファミリーと、変異誘発または他の改変によるこのようなALK7タンパク質に由来する改変体とを指す。本明細書におけるALK7への言及は、現在同定されている形態のいずれか1つに対する言及であると理解される。ALK7ファミリーのメンバーは一般に、システインリッチな領域を含むリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を含む細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。
用語「ALK7ポリペプチド」は、ALK7ファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドのほか、有用な活性を保持する任意のその改変体(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物形態を含む)を含むポリペプチドを含む。本明細書で記載される、全てのALK7関連ポリペプチドのアミノ酸の番号付けは、そうでないことが具体的に指示されない限りにおいて、下記のヒトALK7前駆体のタンパク質配列(配列番号38)の番号付けに基づく。
ヒトALK7のいくつかの天然に生じるアイソフォームが記載されている。基準のヒトALK7アイソフォーム1前駆体タンパク質の配列(NCBI参照配列NP_660302.2)は以下の通りである:
シグナルペプチドを一重下線で示し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK7アイソフォーム1ポリペプチド配列は以下の通りである:
ヒトALK7アイソフォーム1前駆体タンパク質をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号40)、Genbank参照配列NM_145259.2のヌクレオチド244〜1722に対応する。シグナル配列に下線を付し、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
プロセシング後の細胞外ALK7ポリペプチド(アイソフォーム1)をコードする核酸配列は以下の通りである:
ヒトALK7の代替的アイソフォームであるアイソフォーム2(NCBI参照配列NP_001104501.1)のアミノ酸配列は、以下のようにそのプロセシング後の形態において示される(配列番号301)、ここで、細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
細胞外ALK7ポリペプチド(アイソフォーム2)のアミノ酸配列は以下の通りである:
プロセシング後のALK7ポリペプチド(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号303)、NCBI参照配列NM_001111031.1のヌクレオチド279〜1607に対応する。細胞外ドメインを太字のフォントで示す。
細胞外ALK7ポリペプチド(アイソフォーム2)をコードする核酸配列は、以下の通りである(配列番号304):
代替的なヒトALK7前駆体タンパク質であるアイソフォーム3(NCBI参照配列NP_001104502.1)、のアミノ酸配列を以下の通りに示し(配列番号305)、ここで、シグナルペプチドを一重下線で指し示す。
プロセシング後のALK7ポリペプチド(アイソフォーム3)のアミノ酸配列は、以下の通りである(配列番号306).このアイソフォームは膜貫通ドメインを欠き、したがってその全体が可溶性であると提唱されている(Robertsら、、2003、Biol Reprod 68:1719−1726)。配列番号306のN末端改変体は以下に説明されるように予測される。
プロセッシングされていないALK7ポリペプチド前駆体タンパク質(アイソフォーム3)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号307)、NCBI参照配列NM_001111032.1のヌクレオチド244〜1482に対応する。シグナル配列は、実線の下線で示される。
プロセシング後のALK7ポリペプチド(アイソフォーム3)をコードする核酸配列は、以下の通りである(配列番号308):
代替的なヒトALK7前駆体タンパク質であるアイソフォーム4(NCBI参照配列NP_001104503.1)、のアミノ酸配列を以下の通りに示し(配列番号309)、ここで、シグナルペプチドを一重下線で指し示す。
プロセシング後のALK7ポリペプチド(アイソフォーム4)のアミノ酸配列は、以下の通りである(配列番号310)。ALK7アイソフォーム3同様に、アイソフォーム4は膜貫通ドメインを欠き、そのため、その全体は可溶性であることが提唱されている(Robertsら、2003、Biol Reprod 68:1719−1726)。配列番号310のN末端改変体は以下で説明するように予測される。
プロセッシングされていないALK7ポリペプチド前駆体タンパク質(アイソフォーム4)をコードする核酸配列は以下に示され(配列番号311)、NCBI参照配列NM_001111033.1のヌクレオチド244〜1244に対応する。シグナル配列は、実線の下線で示される。
プロセシング後のALK7ポリペプチド(アイソフォーム4)をコードする核酸配列は、以下の通りである(配列番号312):
ラットの完全長ALK7(アイソフォーム1)(NCBI参照配列NP_620790.1を参照のこと)のシグナル配列およびヒトとラットALK7との間の高度な配列同一性に基づいて、ヒトALK7アイソフォーム1のプロセシング後の形態は、以下の通りである(配列番号313)ことが予測される。
プロセシング後のALK7アイソフォーム1の活性改変体は、配列番号39がN末端で1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸だけ短縮され、配列番号313がN末端で1または2アミノ酸だけ短縮されていると予測される。配列番号313と符合して、ヒトALK7アイソフォーム3(配列番号306)およびヒトALK7アイソフォーム4(配列番号310)のプロセシング後の形態においてロイシンがN末端アミノ酸であることが予測される。
ある特定の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのALK7ポリペプチド(フラグメント、機能的改変体、およびその改変形態を含む)を含むシングルアームヘテロ多量体複合体に関連する。好ましくは、本開示の発明に従って使用するためのALK7ポリペプチド(例えば、ALK7ポリペプチドを含むシングルアームヘテロ多量体複合体及びその使用)は可溶性である(例えば、ALK7の細胞外ドメイン)。別の好ましい実施形態では、本開示の発明に従う使用のためのALK7ポリペプチドは1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し、かつ/またはその活性(例えば、Smad2/3および/またはSmad1/5/8シグナル伝達の誘導)を阻害(アンタゴナイズ)する。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号38、39、134、136、301、302、305、306、309、310、313、423、または424のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK7ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体は、配列番号38、39、134、136、301、302、305、306、309、310、313、423、または424のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%同一である少なくとも1つのALK7ポリペプチドからなるか、またはから本質的になる。
一部の実施形態では、本開示は、治療効力または安定性(例えば、保管寿命およびインビボのタンパク質分解に対する抵抗性)を増強することなどを目的として、TGF−βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6およびALK7)またはTGF−βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRIIおよびMISRII)の構造を改変することにより機能的改変体を作製することを企図する。改変体は、アミノ酸の置換、欠失、付加またはそれらの組み合わせによっても生成することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンでの単発的な置換、アスパラギン酸のグルタミン酸での単発的な置換、スレオニンのセリンでの単発的な置換、または、あるアミノ酸の、構造的に関連したアミノ酸での同様の置換(例えば、保存的変異)は、結果として生じる分子の生物学的活性に対して大きな影響を及ぼさないと予想するのは理にかなっている。保存的置換は、その側鎖が関連しているアミノ酸のファミリー内で行われる置換である。本開示のポリペプチドのアミノ酸配列の変化の結果として、機能的相同体がもたらされるのかどうかは、非改変もしくは野生型ポリペプチドと比較した場合に、野生型ポリペプチドと同様の様式で細胞内の応答を生成するか、または、1つまたは複数のTGF−βリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、Nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLeftyを含む)に結合する、改変体ポリペプチドの能力を評価することにより、たやすく決定することができる。
ある特定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変更させるような本開示のTGF−βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6およびALK7)またはTGF−βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRIIおよびMISRII)の特異的変異を企図する。このような変異は、1または複数のグリコシル化部位(例えば、O−連結もしくはN−連結のグリコシル化部位)を導入もしくは排除するように選択され得る。アスパラギン連結グリコシル化認識部位は、一般に、トリペプチド配列、アスパラギン−X−スレオニンまたはアスパラギン−X−セリン(ここで、「X」は任意のアミノ酸である)を含み、この配列は、適切な細胞のグリコシル化酵素によって特異的に認識される。変化はまた、(O−連結グリコシル化部位については)ポリペプチドの配列への、1または複数のセリンもしくはスレオニン残基の付加、または、1または複数のセリンもしくはスレオニン残基による置換によってなされ得る。グリコシル化認識部位の第1位もしくは第3位のアミノ酸の一方もしくは両方における種々のアミノ酸置換もしくは欠失(および/または、第2位におけるアミノ酸の欠失)は、改変されたトリペプチド配列において非グリコシル化をもたらす。ポリペプチドにおける糖質部分の数を増加させる別の手段は、ポリペプチドへのグリコシドの化学的もしくは酵素的なカップリングによるものである。使用されるカップリング様式に依存して、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)フリーのカルボキシル基;(c)フリーのスルフヒドリル基(例えば、システインのもの);(d)フリーのヒドロキシル基(例えば、セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンのもの);(e)芳香族残基(例えば、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのもの);または(f)グルタミンのアミド基に付加され得る。ポリペプチド上に存在する1または複数の糖質部分の除去は、化学的および/または酵素的に達成され得る。化学的な脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物へのポリペプチドの曝露を含み得る。この処理は、アミノ酸配列をインタクトなままにしつつ、連結糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除くほとんどもしくは全ての糖の切断を生じる。ポリペプチドにおける、炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら[Meth. Enzymol.(1987年)、138巻:350頁]により記載されているように、様々なエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。ポリペプチドの配列は、適切なように、使用される発現系のタイプに応じて調節され得る。というのも、哺乳動物、酵母、昆虫および植物の細胞は全て、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入し得る。一般に、ヒトにおいて使用するための本開示のTGF−βスーパーファミリーI型およびII型受容体シングルアーム複合体は、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株(例えば、HEK293細胞株またはCHO細胞株)において発現され得るが、他の哺乳動物発現細胞株も同様に有用であることと期待される。
本開示はさらに、変異体、特に、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチド(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6およびALK7)またはTGF−βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチド(例えば、ActRIIA、ActRIIB、TGFBRII、BMPRIIおよびMISRII)のコンビナトリアル変異体のセットを生成する方法のほか、短縮型変異体も生成する方法も企図する。コンビナトリアル変異体のプールは、TGF−βスーパーファミリーI型またはTGF−βスーパーファミリーII型受容体配列を同定するためにとりわけ有用である。このようなコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、薬物動態の変更またはリガンドへの結合の変更など、特性を変更させたポリペプチド改変体を生成することであり得る。種々のスクリーニングアッセイが以下に提供され、そして、このようなアッセイは、改変体を評価するために使用され得る。TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドバリアントは、TGF−βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MISおよびLefty)に結合して、TGF−βスーパーファミリーリガンドのTGF−βスーパーファミリー受容体への結合を妨害する能力、および/または、TGF−βスーパーファミリーリガンドにより引き起こされるシグナル伝達に干渉する能力についてスクリーニングされ得る。
本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の活性は、細胞ベースのアッセイまたはインビボアッセイで調べることができる。例えば、シングルアームヘテロ多量体複合体の、マウス細胞における筋生成に関与する遺伝子の発現に対する効果を評価することができる。これは、必要に応じて、1つまたは複数の組換えTGF−βスーパーファミリーリガンドタンパク質(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF,ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MISおよびLefty)の存在下で実施することができ、細胞に、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体シングルアーム複合体と、任意選択で、TGF−βスーパーファミリーリガンドとを生成するように、トランスフェクトすることができる。同様に、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体を、マウスまたは他の動物に投与することができ、当技術分野で認識されている方法を使用して筋形成または筋強度など、1つまたは複数の計測値を評価することができる。同様に、TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドまたはそのバリアントの活性を、本明細書に記載されるようなアッセイおよび当技術分野において通常の知識のものによって、例えば、骨芽細胞、脂肪細胞および/またはニューロン細胞において、これらの細胞の成長に対するいずれかの効果について試験することができる。SMAD応答性のレポーター遺伝子を、このような細胞株内で使用して、下流のシグナル伝達に対する効果をモニタリングすることができる。
コンビナトリアル由来の改変体を、参照TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体と比べて増大した選択性を有するか、または一般に効力を増大させて生成することができる。このような改変体は、組換えDNA構築物から発現されたとき、遺伝子治療のプロトコルにおいて使用され得る。同様に、変異誘発は、対応する非改変TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体とは劇的に異なる細胞外半減期を有する改変体を生じ得る。例えば、変更されたタンパク質は、タンパク質分解、または、非改変ポリペプチドの崩壊もしくは他の方法で不活性化をもたらす他の細胞プロセスに対してより安定性であるかもしくは安定性が低いかのいずれかにされ得る。このような改変体およびこれをコードする遺伝子は、そのポリペプチドの半減期を調節することによってポリペプチド複合体レベルを変更するのに利用され得る。例えば、短い半減期は、より一過性の生物学的作用を生じ得、そして、誘導性の発現系の一部である場合、細胞外での組換えポリペプチド複合体レベルのより厳しい制御を可能にし得る。Fc融合タンパク質では、変異は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の半減期を変更するために、リンカー(存在する場合)および/またはFc部分において作製され得る。
コンビナトリアルライブラリーは、各々が潜在的なTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって生成することができる。例えば、潜在的なTGF−βスーパーファミリーI型およびII型受容体をコードするヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、または代替的に、大型の融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイのための)として発現可能であるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、遺伝子配列に酵素的にライゲーションすることができる。
潜在的な相同体のライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から生成し得る、多くの方式が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動式DNA合成器で実行することができ、次いで、合成遺伝子は、発現に適切なベクターにライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該分野で周知である。例えば、Narang, SA(1983年)、Tetrahedron、39巻:3頁;Itakuraら(1981年)、Recombinant DNA、Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Walton編、Amsterdam、Elsevier、273〜289頁;Itakuraら(1984年)、Annu. Rev. Biochem.、53巻:323頁;Itakuraら(1984年)、Science、198巻:1056頁;Ikeら(1983年)、Nucleic Acid Res.、11巻:477頁を参照。このような技法は、他のタンパク質の指向進化で利用されている。例えば、Scottら、(1990年)、Science、249巻:386〜390頁;Robertsら(1992年)、PNAS USA、89巻:2429〜2433頁;Devlinら(1990年)、Science、249巻:404〜406頁;Cwirlaら、(1990年)、PNAS USA、87巻:6378〜6382頁のほか、米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号を参照。
代替的に、変異誘発の他の形態も、コンビナトリアルライブラリーを生成するのに活用することができる。例えば、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、例えば、アラニン走査変異誘発[例えば、Rufら(1994年)、Biochemistry、33巻:1565〜1572頁;Wangら(1994年)、J. Biol. Chem.、269巻:3095〜3099頁;Balintら(1993年)、Gene、137巻:109〜118頁;Grodbergら(1993年)、Eur. J. Biochem.、218巻:597〜601頁;Nagashimaら(1993年)、J. Biol. Chem.、268巻:2888〜2892頁;Lowmanら(1991年)、Biochemistry、30巻:10832〜10838頁;およびCunninghamら(1989年)、Science、244巻:1081〜1085頁を参照]を使用して、リンカー走査変異誘発[例えば、Gustinら(1993年)、Virology、193巻:653〜660頁;およびBrownら(1992年)、Mol. Cell Biol.、12巻:2644〜2652頁;McKnightら(1982年)、Science、232巻:316頁を参照]によって、飽和変異誘発[例えば、Meyersら、(1986年)、Science、232巻:613頁を参照]によって、PCR変異誘発[例えば、Leungら(1989年)、Method Cell Mol Biol、1巻:11〜19頁を参照]によって、または化学的変異誘発[例えば、Millerら(1992年)、A Short Course in Bacterial Genetics、CSHL Press、Cold Spring Harbor、NY;およびGreenerら(1994年)、Strategies in Mol Biol、7巻:32〜34頁を参照]を含むランダム変異誘発によって、スクリーニングすることにより、ライブラリーから生成および単離することができる。特に、コンビナトリアルの状況におけるリンカー走査変異誘発は、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの短縮型(生体活性)形態を同定するための魅力的な方法である。
当該分野では、広範にわたる技法であって、点変異および短縮により作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための技法、および、このために、ある特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための技法が公知である。このような技法は一般に、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体のコンビナトリアル変異誘発により生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適合可能である。大規模な遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用される技法は典型的に、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングする工程と、適切な細胞を結果として得られるベクターのライブラリーで形質転換する工程と、所望の活性の検出により、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を促進する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させる工程とを含む。好ましいアッセイは、TGF−βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)についての結合アッセイならびに/または細胞シグナル伝達についてのアッセイを含む。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型およびII型受容体シングルアームヘテロ多量体複合体はさらに、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチド内に天然に存在する任意の翻訳後修飾に加えて翻訳後修飾を含み得る。このような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が挙げられるがこれらに限定されない。結果として、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、ポリエチレングリコール、脂質、多糖類もしくは単糖類およびホスフェイトのような非アミノ酸成分を含み得る。このような非アミノ酸成分の、シングルアームヘテロ多量体複合体の機能に対する影響は、他のシングルアームヘテロ多量体複合体改変体について本明細書中に記載されるようにして試験され得る。本開示のポリペプチドの新生形態を切断することによってポリペプチドが細胞内で生成される場合、翻訳後プロセシングもまた、このタンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能にとって重要となり得る。様々な細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH−3T3またはHEK293)が、このような翻訳後の活性のための特定の細胞機構および特徴的なメカニズムを有し、そして、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを保証するように選択され得る。
ある特定の態様では、本明細書に記載のポリペプチドは、相互作用ペアの相補的メンバーを含む少なくとも1つのポリペプチドに共有結合的または非共有結合的に会合した少なくとも1つのTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを含むタンパク質複合体を形成し得る。好ましくは、本明細書に開示のポリペプチドはシングルアームヘテロ二量体の複合体を形成するが、より高次のヘテロ多量体の複合体(ヘテロ多量体)もまた含まれ、これらに限定されないが、例えば、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体およびさらなるオリゴマー構造である(例えば、図1を参照のこと)。一部の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、少なくとも1つの多量体化ドメインを含む。本明細書に開示される場合、用語「多量体化ドメイン」は、少なくとも第1のポリペプチドと少なくとも第2のポリペプチドとの間の共有結合的または非共有結合的な相互作用を促進するアミノ酸またはアミノ酸の配列を指す。本明細書に開示のポリペプチドは、多量体化ドメインに共有結合的または非共有結合的に連結し得る。好ましくは、多量体化ドメインは、シングルアームポリペプチド(例えば、TGF−βスーパーファミリーI型受容体ポリペプチドおよびTGF−βスーパーファミリーII型受容体ポリペプチドを含む融合ポリペプチド)と、相互作用ペアの相補的メンバーとの間の相互作用を促進して、ヘテロ多量体形成(例えば、ヘテロ二量体形成)を促進し、任意選択でホモ多量体形成(例えば、ホモ二量体形成)を妨げるかまたはそれ以外の様式で不利にさせ、それによって所望のヘテロ多量体の収率を上昇させる(例えば、図2を参照のこと)。
当該分野で公知の多くの方法を使用して、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を生成することができる。例えば、天然には生じないジスルフィド結合は、フリーのチオールが第2のポリペプチド(例えば、相互作用ペアの相補的メンバー)上の別のフリーのチオール含有残基と相互作用して、ジスルフィド結合が第1のポリペプチドと、第2のポリペプチドとの間で形成されるように、第1のポリペプチド(例えば、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを含む融合ポリペプチド)上で、天然に生じるアミノ酸をシステインなどのフリーのチオール含有残基で置きかえることにより構築することができる。ヘテロ多量体の形成を促進する相互作用の追加の例は、Kjaergaardら、WO2007147901などに記載されているイオン性相互作用;Kannanら、U.S.8,592,562などに記載されている静電ステアリング効果;Christensenら、U.S.20120302737などに記載されているコイルドコイル相互作用;PackおよびPlueckthun、(1992年)、Biochemistry、31巻:1579〜1584頁などに記載されているロイシンジッパー;およびPackら、(1993年)、Bio/Technology、11巻:1271〜1277頁などに記載されているヘリックスターンヘリックスモチーフを含むが、これらに限定されない。多様なセグメントの連結は、例えば、化学的架橋、ペプチドリンカー、ジスルフィド架橋などによる共有結合、またはアビジン−ビオチンなどによるアフィニティ相互作用、またはロイシンジッパー技術を介して得ることができる。
ある特定の態様では、多量体化ドメインは、相互作用ペアの1つの構成成分を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に開示のポリペプチドは、第2のポリペプチドに共有結合的または非共有結合的に会合した第1のポリペプチドを含むタンパク質複合体を形成することができ、ここで、第1のポリペプチドは、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドのアミノ酸配列および相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチドは、相互作用ペアの第2のメンバーのアミノ酸配列を含む。相互作用ペアは、相互作用して、複合体、特にヘテロ二量体の複合体を形成する任意の2つのポリペプチド配列であり得るが、実効的な実施形態はホモ二量体の複合体を形成することができる相互作用ペアもまた利用し得る。相互作用ペアの1つのメンバーは、例えば、配列番号2、3、5、6、10、11、15、19、23、27、31、35、39、43、47、51、68、72、76、80、84、88、92、302、306、310および313のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列の配列を含むか、から本質的になるか、またはからなるポリペプチド配列を含む本明細書に記載されるようなTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドに融合されてもよい。血清半減期の延長などの特性/活性の改善を付与するように相互作用ペアを選択することもでき、特性/活性の改善をもたらすように別の部分をその上に結合させるアダプターとして作用するように相互作用ペアを選択することもできる。例えば、ポリエチレングリコール部分を、相互作用ペアの構成要素の一方または両方へと結合させて、血清半減期の改善などの特性/活性の改善をもたらすことができる。
相互作用ペアの第1および第2のメンバーは非対称ペアであってもよく、これは、ペアのメンバーが、自己会合よりも優先的に互いに会合することを意味する。したがって、非対称相互作用ペアの第1および第2のメンバーは会合して、ヘテロ二量体の相互作用ペア複合体を形成することができる(例えば、図2を参照)。代替的に、相互作用ペア非誘導型であってもよく、これは、ペアのメンバーが、実質的な優先性なく互いに会合することも自己会合することもでき、そのため、同じまたは異なるアミノ酸配列を有し得ることを意味する。したがって、非誘導相互作用ペアの第1および第2のメンバーは会合して、ホモ二量体相互作用ペア複合体またはヘテロ二量体の作用ペア複合体を形成してもよい。任意選択で、相互作用ペアの第1のメンバー(例えば、非対称ペアまたは非誘導相互作用ペア)は、共有結合的に相互作用ペアの第2のメンバーに会合する。任意選択で、相互作用ペアの第1のメンバー(例えば、非対称ペアまたは非誘導相互作用ペア)は、非有結合的に相互作用ペアの第2のメンバーに会合する。
具体例としては、本開示は、免疫グロブリンのCH1ドメイン、CH2ドメイン、もしくはCH3ドメインなど、免疫グロブリンの定常ドメインまたは、Fcドメインを含むポリペプチドに融合させた少なくともTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを含むタンパク質複合体を提供する。ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に由来するFcドメインを本明細書に提示する。CDC活性またはADCC活性を減殺する、他の変異も公知であり、本開示には、集合的に、これらの改変体のいずれかが含まれ、本開示のシングルアーム多量体複合体の有利な構成要素として使用することができる。任意選択で、配列番号208のIgG1 Fcドメインは、Asp−265、Lys−322およびAsn−434(対応する全長IgG1に従った番号付け)などの残基に1つまたは複数の変異を有する。ある場合において、これらの変異のうち1つまたは複数(例えば、Asp−265変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べてFcγ受容体に結合する能力が低減する。他の場合において、これらの変異のうち1つまたは複数(例えば、Asn−434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比べてMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に結合する能力が増加する。
ヒトIgG1のFc部分(G1Fc)に使用することができる天然のアミノ酸配列の例を下記に示す(配列番号208)。点線の下線は、ヒンジ領域を指し示し、実線の下線は、天然に存在する改変体を有する位置を指し示す。部分的に、本開示は、配列番号208に対し80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。G1Fcにおける天然に存在する改変体は、配列番号208において使用される番号付け方式に従ったE134DおよびM136Lを含むであろう(Uniprot P01857を参照)。
ヒトIgG2のFc部分(G2Fc)に使用することができる天然のアミノ酸配列の例を下記に示す(配列番号209)。点線の下線は、ヒンジ領域を指し示し、二重の下線は、配列データの矛盾が存在する位置を指し示す(UniProt P01859に従う)。部分的に、本開示は、配列番号209に対し70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
ヒトIgG3のFc部分(G3Fc)に使用することができるアミノ酸配列の2つの例を下記に示す。G3Fcにおけるヒンジ領域は、他のFc鎖におけるものの最大4倍の長さとなることができ、同様の17残基セグメントに先行される3つの同一15残基セグメントを含有する。下記に示される第1のG3Fc配列(配列番号210)は、単一15残基セグメントからなる短いヒンジ領域を含有する一方、第2のG3Fc配列(配列番号211)は、全長ヒンジ領域を含有する。いずれの場合でも、点線の下線は、ヒンジ領域を指し示し、実線の下線は、UniProt P01859に従った天然に存在する改変体を有する位置を指し示す。部分的に、本開示は、配列番号210および211に対し80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
G3Fcにおける天然に存在する改変体(例えば、Uniprot P01860を参照)は、配列番号210において使用される番号付け方式に変換された場合、E68Q、P76L、E79Q、Y81F、D97N、N100D、T124A、S169N、S169del、F221Yを含み、本開示は、これらの変種のうち1つまたは複数を含有するG3Fcドメインを含む融合タンパク質を提供する。加えて、ヒト免疫グロブリンIgG3遺伝子(IGHG3)は、異なるヒンジ長を特徴とする構造的多型を示す[Uniprot P01859を参照]。特に、改変体WISは、V領域の大部分およびCH1領域の全てを欠いている。これは、ヒンジ領域に通常存在する11個に加えて、7位に余分な鎖間ジスルフィド結合を有する。改変体ZUCは、V領域の大部分、CH1領域の全ておよびヒンジの一部を欠く。改変体OMMは、対立遺伝子型または別のガンマ鎖サブクラスを表すことができる。本開示は、これらの改変体のうち1つまたは複数を含有するG3Fcドメインを含む追加的な融合タンパク質を提供する。
ヒトIgG4のFc部分(G4Fc)に使用することができる天然のアミノ酸配列の例を下記に示す(配列番号212)。点線の下線は、ヒンジ領域を指し示す。部分的に、本開示は、配列番号212に対し80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するアミノ酸配列を含む、から本質的になるまたはからなるポリペプチドを提供する。
Fcドメインにおける種々の操作された変異が、G1Fc配列(配列番号208)に関して本明細書に提示されており、G2Fc、G3FcおよびG4Fcにおける類似の変異は、図5におけるG1Fcとそれらのアラインメントに由来することができる。不等なヒンジ長のため、アイソタイプアラインメント(図5)に基づく類似のFc位置は、配列番号208、209、210および212において異なるアミノ酸番号を保持する。また、Uniprotデータベースにおける通り、番号付けが、全IgG1重鎖定常ドメイン(C1領域、ヒンジ領域、C2領域、およびC3領域からなる)を包摂する場合、ヒンジ領域、C2領域、およびC3領域(例えば、配列番号208、209、210、211または212)からなる免疫グロブリン配列内の所与のアミノ酸位置は、同じ位置とは異なる番号により特定されることも理解することができる。例えば、ヒトG1Fc配列(配列番号208)、ヒトIgG1重鎖定常ドメイン(Uniprot:P01857)、およびヒトIgG1重鎖内で選択されるC3位置の間の対応関係は、以下の通りである。
単一細胞株からの非対称の免疫グロブリンに基づくタンパク質の大規模産生において生じる問題は、「鎖会合課題」として公知である。二重特異性抗体の産生において顕著に直面するように、鎖会合課題は、単一細胞株において異なる重鎖および/または軽鎖が産生される場合に、固有に生じる複数の組合せの中から所望の多重鎖タンパク質を効率的に産生するという難題に関係する[例えば、Kleinら(2012年)mAbs 4巻:653〜663頁を参照]。この問題は、同じ細胞内で2種の異なる重鎖および2種の異なる軽鎖が産生される場合に最も喫緊となり、この場合、1種のみが典型的に望まれるときに、総計16通りの可能な鎖組合せ(これらのいくつかは同一であるが)が存在する。にもかかわらず、同じ原理が、2種の異なる(非対称)重鎖のみを取り込む所望の多重鎖融合タンパク質の収量縮小の原因である。
単一細胞株においてFc含有融合ポリペプチド鎖の所望のペア形成を増加させて、許容される収量で好ましい非対称融合タンパク質を産生する様々な方法が、当該分野で公知である[例えば、Kleinら(2012年)mAbs 4巻:653〜663頁を参照]。Fc含有鎖の所望のペア形成を得るための方法として、電荷に基づくペア形成(静電ステアリング(electrostatic steering))、「ノブ・ホール型(knobs−into−holes)」立体ペア形成およびSEEDbodyペア形成およびロイシンジッパーベースのペア形成が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、Ridgwayら(1996年)Protein Eng 9巻:617〜621頁;Merchantら(1998年)Nat Biotech 16巻:677〜681頁;Davisら(2010年)Protein Eng Des Sel 23巻:195〜202頁;Gunasekaranら(2010);285:19637−19646;Wranikら(2012) J Biol Chem 287:43331−43339;US5932448;WO1993/011162;WO2009/089004およびWO2011/034605を参照。
例えば、特異的ポリペプチドの間の相互作用を促進し得る1つの手段は、Arathoonら、U.S.7,183,076およびCarterら、U.S.5,731,168などにおいて記載されている、凸部対凹部(ノブ・ホール)(protuberance−into−cavity(knob−into−hole))相補領域を操作することによる手段である。「凸部」は、第1のポリペプチド(例えば、第1の相互作用ペア)の界面に由来する小型のアミノ酸側鎖を、より大型の側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えることにより構築する。任意選択で、大型のアミノ酸側鎖をより小型のアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)で置き換えることにより、第2のポリペプチド(例えば、第2の相互作用ペア)の界面上に、凸部と同一または同様なサイズの相補的「凹部」を創出する。第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドの界面に位置および寸法が適切な凸部または凹部が存在する場合は、隣接する界面において、それぞれ、対応する凹部または凸部を操作することが必要とされるだけである。
中性のpH(7.0)では、アスパラギン酸およびグルタミン酸は、負に帯電し、リシン、アルギニン、およびヒスチジンは、正に帯電している。これらの帯電残基を使用して、ヘテロ二量体の形成を促進し、同時に、ホモ二量体の形成を妨げることができる。反対の電荷の間では、誘引性の相互作用が生じ、同じ電荷の間では、排斥性の相互作用が生じる。部分的に、本明細書で開示されるタンパク質複合体は、帯電界面残基の部位指向変異誘発を実行することにより、ヘテロ多量体の形成(例えば、ヘテロ二量体の形成)を促進するための誘引性の相互作用、および任意選択で、ホモ二量体の形成(例えば、ホモ二量体の形成)を妨げるための排斥性の相互作用を使用する。
例えば、IgG1のCH3ドメインの界面は、ドメイン間相互作用に関与する4つの固有の電荷残基ペア:Asp356−Lys439’、Glu357−Lys370’、Lys392−Asp399’、およびAsp399−Lys409’[第2の鎖内の残基の番号付けは(’)で指し示している]を含む。ここで、IgG1のCH3ドメイン内の残基を表示するのに使用される番号付けスキームは、KabatによるEU番号付けスキームに準拠することに留意されたい。CH3ドメイン間相互作用に存在する2回転対称に起因して、構造内では、各固有の相互作用が2回現れる(例えば、Asp399−Lys409’およびLys409−Asp399’)。野生型配列では、K409−D399’は、ヘテロ二量体の形成およびホモ二量体の形成のいずれにも好都合である。第1の鎖内の電荷極性を切り換える単一の変異(例えば、K409E;陽性電荷から、陰性電荷への切換え)は、第1の鎖のホモ二量体の形成に不都合な相互作用をもたらす。この不都合な相互作用は、同じ電荷間(陰性間;K409E−D399’およびD399−K409E’)で生じる排斥性の相互作用のために発生する。第2の鎖内の電荷極性を切り換える同様の変異(D399K’;陰性電荷から、陽性電荷への切換え)は、第2の鎖のホモ二量体の形成に不都合な相互作用(K409’−D399K’およびD399K−K409’)をもたらす。しかし、同時に、これらの2つの変異(K409EおよびD399K’)は、ヘテロ二量体の形成には好都合な相互作用(K409E−D399K’およびD399−K409’)をもたらす。
ヘテロ二量体の形成およびホモ二量体の阻止における静電ステアリング効果は、追加の帯電残基の変異によりさらに増強することができ、これは、第2の鎖内の反対に帯電した残基とペア形成する場合もしない場合もあり、例えばArg355およびLys360が挙げられる。下記の表は、電荷を変化させる可能な変異であって、本明細書に記載のポリペプチド複合体のヘテロ多量体の形成を増強するのに単独または組合せで使用し得る変異を列挙する。
一部の実施形態では、相互作用が静電的に不都合となるように、本出願の融合タンパク質内のCH3間の界面を構成する1つまたは複数の残基を、帯電アミノ酸で置き換える。例えば、界面内の正に帯電したアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、またはヒスチジン)を、負に帯電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)で置き換える。代替的に、または前出の置換と組み合わせて、界面内の負に帯電したアミノ酸を、正に帯電したアミノ酸で置き換える。ある特定の実施形態では、アミノ酸を、所望の電荷特徴を有する天然に生じないアミノ酸で置き換える。負に帯電した残基(AspまたはGlu)をHisへと変異させることは、立体的問題を引き起こし得る側鎖体積の増大をもたらすことに留意されたい。さらに、Hisのプロトンドナー形態およびプロトンアクセプター形態は、局在化環境に依存する。デザイン戦略とともにこれらの問題を考慮に入れるべきである。ヒトIgGサブクラスおよびマウスIgGサブクラスでは、界面残基が高度に保存されるため、本明細書で開示される静電ステアリング効果は、ヒトおよびマウスのIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に適用することができる。この戦略はまた、CH3ドメインの界面における非帯電残基の帯電残基への改変にも拡張することができる。
部分的に、本開示は、電荷ペア形成(静電ステアリング)に基づいて相補的となるように操作されたFc配列を使用した、非対称Fc含有ポリペプチド鎖の所望のペア形成を提供する。静電相補性を有するFc配列のペアの一方は、任意選択のリンカーありまたはなしで、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドに任意に融合して、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドを生成することができる。この単鎖は、第1のFcと相補的なFc配列と共に最適な細胞において共発現(coexpress)させて、所望の多重鎖構築物(例えば、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体)の生成に有利に働くことができる。静電ステアリングに基づくこの例において、配列番号200[ヒトG1Fc(E134K/D177K)]および配列番号201[ヒトG1Fc(K170D/K187D)]は、操作されたアミノ酸置換に二重の下線が引かれた相補的Fc配列の例であり、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、配列番号200または配列番号201のいずれかに融合することができるが、これらの両方には融合できない。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcにおける対応する位置のアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号200および201)の代わりに使用することができる相補的Fcペアを生成するであろうと認めることができる。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcにおける対応する位置のアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号200および201)の代わりに使用することができる相補的Fcペアを生成するであろうと認めることができる。
部分的に、本開示は、立体相補性が操作されたFc配列を使用した、非対称Fc含有ポリペプチド鎖の所望のペア形成を提供する。部分的に、本開示は、立体相補性の例としてノブ・ホールペア形成を提供する。立体相補性を有するFc配列のペアの一方は、任意選択のリンカーありまたはなしで、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドに任意に融合して、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドを生成することができる。この単鎖は、第1のFcと相補的なFc配列と共に最適な細胞において共発現(coexpress)させて、所望の多重鎖構築物(例えば、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体)の生成に有利に働くことができる。ノブ・ホールに基づくこの例において、配列番号202[ヒトG1Fc(T144Y)]および配列番号203[ヒトG1Fc(Y185T)]は、操作されたアミノ酸置換に二重の下線が引かれた相補的Fc配列の例であり、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型ポリペプチドは、配列番号202または配列番号203のいずれかに融合することができるが、これらの両方には融合できない。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcにおける対応する位置のアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号202および203)の代わりに使用することができる相補的Fcペアを生成するであろうと認めることができる。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcにおける対応する位置のアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号202および203)の代わりに使用することができる相補的Fcペアを生成するであろうと認めることができる。
ジスルフィド結合と組み合わせたノブ・ホールペア形成に基づくFc相補性の例が、配列番号204[hG1Fc(S132C/T144W)]および配列番号205[hG1Fc(Y127C/T144S/L146A/Y185V)]に開示される。これらの配列における操作されたアミノ酸置換に二重の下線を引き、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型ポリペプチドは、配列番号204または配列番号205のいずれかに融合することができるが、これらの両方には融合できない。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcにおける対応する位置のアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号204および205)の代わりに使用することができる相補的Fcペアを生成するであろうと認めることができる。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcにおける対応する位置のアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的hG1Fcペア(配列番号204および205)の代わりに使用することができる相補的Fcペアを生成するであろうと認めることができる。
部分的に、本開示は、ヒトIgGおよびIgA C3ドメインの指状嵌合型(interdigitating)β−ストランドセグメントを生成するように操作されたFc配列を使用した、非対称Fc含有ポリペプチド鎖の所望のペア形成を提供する。このような方法は、SEEDbody融合タンパク質の形成を可能にするストランド交換操作ドメイン(strand−exchange engineered domain)(SEED)C3ヘテロ二量体の使用を含む[例えば、Davisら(2010年)Protein Eng Design Sel 23巻:195〜202頁を参照]。SEEDbody相補性を有するFc配列のペアの一方は、任意選択のリンカーありまたはなしで、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドに任意に融合して、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドを生成することができる。この単鎖は、第1のFcと相補的なFc配列と共に最適な細胞において共発現されて、所望の多重鎖構築物の生成に有利に働くことができる。SEEDbody(Sb)ペア形成に基づくこの例において、配列番号206[hG1Fc(SbAG)]および配列番号207[hG1Fc(SbGA)]は、IgA Fcに由来する操作されたアミノ酸置換に二重の下線が引かれた相補的IgG Fc配列の例であり、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、配列番号206または配列番号207のいずれかに融合することができるが、これらの両方には融合できない。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fcおよび天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を考慮すると、hG1Fc、hG2Fc、hG3FcまたはhG4Fcの対応する位置におけるアミノ酸置換(図5を参照)が、下記の相補的IgG−IgAペア(配列番号206および207)において使用することができるFc単量体を生成するであろうと認めることができる。
部分的に、本開示は、切断可能なロイシンジッパードメインであって、Fc C3ドメインのC末端に結合させたロイシンジッパードメインを伴う非対称のFc含有ポリペプチド鎖の所望のペア形成を提供する。ロイシンジッパーの結合は、ヘテロ二量体の抗体重鎖の優先的なアセンブリーを引き起こすのに十分である。例えば、Wranikら(2012年)、J Biol Chem、287巻:43331〜43339頁を参照。本明細書で開示される通り、ロイシンジッパー形成鎖に結合させたFc配列のペアの一方を、任意選択のリンカーを伴うかまたは伴わずに、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドへと任意に融合させて、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドを生成することができる。この単鎖を、選択した細胞内で相補的なロイシンジッパー形成鎖に結合させたFc配列と共に共発現させて、所望の多重鎖構築物の生成を優先することができる。精製後における、構築物の、細菌性エンドプロテイナーゼであるLys−Cによるタンパク質分解性消化により、ロイシンジッパードメインを放出することができ、構造が天然Fcと同一のFc構築物をもたらす。ロイシンジッパーのペア形成に基づくこの例では、配列番号213[hG1Fc−Ap1(酸性)]および配列番号214[hG1Fc−Bp1(塩基性)]が、相補的なIgG Fc配列[配列中、操作された相補的ロイシンジッパー配列に下線を付す]の例であり、構築物のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、配列番号213または配列番号214のいずれかに融合させてよいが、これらの両方には融合させない。天然のhG1Fc、天然のhG2Fc、天然のhG3Fc、および天然のhG4Fcの間の高度なアミノ酸配列同一性を踏まえると、任意選択のリンカーを伴うかまたは伴わずに、hG1Fc、hG2Fc、hG3Fc、またはhG4Fc(図5を参照されたい)に結合させたロイシンジッパー形成配列により、下記(配列番号213および214)の相補的なロイシンジッパー形成ペアにおいて使用され得るFc単量体が生成されることが理解され得る。
融合タンパク質(例えば、免疫グロブリンFc融合タンパク質)の異なるエレメントは、所望の機能性と符合する任意の様式で配列し得ることが理解される。例えば、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドメインを、異種ドメインに対してC末端に配置することもでき、代替的に、異種ドメインを、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドドメインに対してC末端に配置することもできる。TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドドメインと、異種ドメインとは、融合タンパク質内で隣接する必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列を、いずれかのドメインに対してC末端またはN末端に含めることもでき、ドメインの間に含めることもできる。
例えば、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドは、式A−B−Cで示されるようなアミノ酸配列を含み得る。B部分はTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドメインに対応する。AおよびC部分は、独立に、0、1または1より多くのアミノ酸であり得、AおよびC部分の両方は、存在する場合、Bに対して異種である。Aおよび/またはC部分は、リンカー配列を介してB部分に結合されていてもよい。リンカーは、グリシン(例えば、2〜10、2〜5、2〜4、2〜3グリシン残基)またはグリシンおよびプロリン残基が豊富であってもよいし、スレオニン/セリンおよびグリシンの単一配列またはスレオニン/セリンおよび/またはグリシンの反復配列、例えば、GGG(配列番号58)、GGGG(配列番号59)、TG(配列番号60)、SG(配列番号61)、TG(配列番号62)またはSG(配列番号63)の単回または反復、を含んでもよい。ある特定の実施形態では、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドは、式A−B−Cで示されるようなアミノ酸配列を含み、ここで、Aはリーダー(シグナル)配列、BはTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドドメインからなり、Cは、インビボ安定性、インビボ半減期、摂取/投与、組織局在化または分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製の1つまたは複数を増強するポリペプチド部分である。ある特定の実施形態では、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体融合ポリペプチドは、式A−B−Cで示されるようなアミノ酸配列を含み、ここで、AはTPAリーダー配列であり、BはTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドメインからなり、Cは免疫グロブリンFcドメインである。好ましい融合タンパク質は、配列番号101、103、104、106、107、109、110、112、113、115、116、118、119、121、122、124、125、127、128、130、131、133、134、136および401〜424のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、所望の特性を付与するために1つまたは複数の異種部分(ドメイン)をさらに含む。例えば、いくつかの融合ドメインが、アフィニティクロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。このような融合ドメインの周知の例としては、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられるがこれらに限定されない。アフィニティ精製の目的では、グルタチオン−、アミラーゼ−、およびニッケル−もしくはコバルト−結合化樹脂のような、アフィニティクロマトグラフィーのための適切なマトリクスが使用される。このようなマトリクスの多くは、Pharmacia GST精製システムおよび(HIS)融合パートナーと共に有用なQIAexpressTMシステム(Qiagen)のような「キット」の形態で利用可能である。別の例としては、融合ドメインは、リガンドトラップポリペプチドの検出を容易にするように選択され得る。このような検出ドメインの例としては、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびに、「エピトープタグ」(これは、特定の抗体に利用可能な、通常は短いペプチド配列である)が挙げられる。特定のモノクローナル抗体に容易に利用可能な周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)およびc−mycタグが挙げられる。いくつかの場合、融合ドメインは、関連のプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それによって、そこから組換えタンパク質を解放することを可能にする、第Xa因子またはトロンビンのようなプロテアーゼ切断部位を有する。解放されたタンパク質は、次いで、その後のクロマトグラフィーによる分離によって、融合ドメインから単離され得る。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型および/またはII型受容体ポリペプチドは、ポリペプチドを安定化させ得る1または複数の修飾を含み得る。例えば、このような修飾は、ポリペプチドのインビトロ半減期を増強させるか、ポリペプチドの循環半減期を増強させる、かつ/または、ポリペプチドのタンパク質分解を減少させる。このような安定化修飾としては、融合ポリペプチド(例えば、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドドメインと安定化ドメインとを含む融合ポリペプチドが挙げられる)、グリコシル化部位の修飾(例えば、本開示のポリペプチドへのグリコシル化部位の付加が挙げられる)、および糖質部分の修飾(例えば、本開示のポリペプチドからの炭水化物部分の除去が挙げられる)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「安定化ドメイン」は、融合ポリペプチドの場合のように融合ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)を指すだけでなく、炭水化物部分のような非タンパク質性修飾、または、ポリエチレングリコールのような非タンパク質性部分も含む。
好ましい実施形態では、本明細書で記載される方法に従い使用されるTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、単離ポリペプチド複合体である。本明細書で使用する場合、単離タンパク質(またはタンパク質複合体)または単離ポリペプチド(またはポリペプチド複合体)とは、その天然環境の成分から分離されたタンパク質またはポリペプチドである。一部の実施形態では、本開示のシングルアームヘテロ多量体複合体を、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)、またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換HPLCまたは逆相HPLC)により決定した場合に、95%、96%、97%、98%、または99%より高い純度まで精製する。当該分野では、抗体純度を評価するための方法が周知である[例えば、Flatmanら、(2007年)、J. Chromatogr.、B848巻:79〜87頁を参照]。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドならびにそのシングルアームヘテロ多量体複合体は、当該分野で公知の様々な技法により生成することができる。例えば、ポリペプチドは、Bodansky, M.、Principles of Peptide Synthesis、Springer Verlag、Berlin(1993年);およびGrant G. A.(編)、Synthetic Peptides: A User’s Guide、W. H. Freeman and Company、New York(1992年)において記載されているものなどの標準的なタンパク質化学技術を使用して合成することができる。加えて、自動式ペプチド合成器も、市販されている(例えば、Advanced ChemTech 396型;Milligen/Biosearch9600を参照)。代替的に、それらのフラグメントまたは改変体を含む、本開示のポリペプチドおよび複合体は、当該分野で周知の、種々の発現系[例えば、E.coli、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、バキュロウイルス]を使用して、組換えにより生成することもできる。さらなる実施形態では、改変ポリペプチドまたは非改変ポリペプチドは、例えば、プロテアーゼ、例えば、トリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、またはPACE(paired basic amino acid converting enzyme)の使用を介する、組換えにより生成された全長TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの消化により生成することができる。(市販のソフトウェア、例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation,Inc.を使用する)コンピュータ解析を使用して、タンパク質分解性切断部位を同定することができる。
3.TGF−βスーパーファミリー受容体ポリペプチドをコードする核酸
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体(そのフラグメント、機能的改変体、および融合タンパク質を含む)をコードする、単離核酸および/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号12は、天然に存在するヒトActRIIA前駆体のポリペプチドをコードするが、配列番号13は、ActRIIAのプロセシング後の細胞外ドメインをコードする。対象核酸は、一本鎖でもよく、二本鎖でもよい。このような核酸は、DNA分子でもよく、RNA分子でもよい。これらの核酸は、例えば、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を作製するための方法において使用することができる。
本明細書で使用する場合、単離核酸とは、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離核酸は、その核酸分子を通常含有するが、その核酸分子が染色体外またはその天然の染色***置と異なる染色***置に存在する細胞内に含有される核酸分子を含む。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドをコードする核酸は、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312の任意の1つの改変体である核酸を含むことが理解される。改変体ヌクレオチド配列は、1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加、または欠失により異なる配列であって、対立遺伝子改変体を含む配列を含み、したがって、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312の任意の1つに表示されるヌクレオチド配列と異なるコード配列を含む。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一である単離または組み換えの核酸配列にコードされる。当業者は、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312に相補的な配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一である核酸配列も本開示の範囲内であることを理解する。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離されていてもよく、組み換えであってもよく、かつ/または異種ヌクレオチド配列と融合されていてもよく、DNAライブラリにおけるものでもよい。
他の実施形態では、本開示の核酸はまた、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312に指定されるヌクレオチド配列、配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312の相補配列、またはこれらのフラグメントに対して高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列も含む。当業者は、DNAのハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件が変更され得ることを容易に理解する。例えば、約45℃における6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーションの後に、50℃における2.0×SSCの洗浄を行い得る。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃における約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから、50℃における約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまで選択され得る。さらに、洗浄工程における温度は、室温(約22℃)の低ストリンジェンシー条件から、約65℃の高ストリンジェンシー条件まで上昇され得る。温度と塩の両方が変更されても、温度または塩濃度が一定に保たれ、他の変数が変更されてもよい。一実施形態では、本開示は、室温における6×SSCとその後の室温で2×SSCでの洗浄の低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸を提供する。
遺伝子コードにおける縮重に起因して配列番号7、8、12、13、16、17、20、21、24、25、28、29、32、33、36、37、40、41、44、45、48、49、52、53、69、70、73、74、77、78、81、82、85、86、89、90、93、94、102、105、108、114、117、120、123、126、129、132、135、303、304、307、308、311および312に示される核酸と異なる単離された核酸もまた、本開示の範囲内である。例えば、多数のアミノ酸が1より多いトリプレットによって示される。同じアミノ酸を特定するコドンまたは同義語(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンに対する同義語である)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異を生じ得る。しかしながら、哺乳動物細胞の中には、本主題のタンパク質のアミノ酸配列に変化をもたらすDNA配列の多型が存在することが予想される。当業者は、天然の対立遺伝子改変に起因して、所与の種の個体間に、特定のタンパク質をコードする核酸の1または複数のヌクレオチド(約3〜5%までのヌクレオチド)におけるこれらの改変が存在し得ることを理解する。任意およびあらゆるこのようなヌクレオチドの改変と、結果として生じるアミノ酸の多型とは、本開示の範囲内である。
特定の実施形態では、本開示の組換え核酸は、発現構築物において1または複数の調節性ヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。調節性のヌクレオチド配列は、一般に、発現のために使用される宿主細胞に対して適切なものである。種々の宿主細胞について、多数のタイプの適切な発現ベクターおよび適切な調節性配列が当該分野で公知である。代表的には、上記1または複数の調節性ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リーダー配列もしくはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびに、エンハンサー配列もしくはアクチベーター配列が挙げられ得るがこれらに限定されない。当該分野で公知の構成的もしくは誘導性のプロモーターが、本開示によって企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、または、1つより多くのプロモーターの要素を組み合わせたハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドのようにエピソーム上で細胞中に存在し得るか、または、発現構築物は、染色体中に挿入され得る。一部の実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択可能なマーカー遺伝子は、当該分野で周知であり、そして、使用される宿主細胞により変化する。
本開示の特定の態様では、本主題の核酸は、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドをコードし、そして、少なくとも1つの調節性配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクターにおいて提供される。調節性配列は当該分野で認識され、そして、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの発現を誘導するように選択される。したがって、用語、調節性配列は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントを含む。例示的な調節性配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990年)に記載される。例えば、作動可能に連結されたときにDNA配列の発現を制御する広範な種々の発現制御配列のいずれかが、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドをコードするDNA配列を発現させるためにこれらのベクターにおいて使用され得る。このような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスもしくはサイトメガロウイルスの前初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACもしくはTRCシステム、T7 RNAポリメラーゼによってその発現が誘導されるT7プロモーター、ファージλの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼもしくは他の糖分解酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター(例えば、Pho5)、酵母α−接合因子(mating factor)のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーター、ならびに、原核生物もしくは真核生物の細胞、または、そのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知である他の配列、ならびにこれらの種々の組み合わせが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが所望されるタンパク質のタイプのような要因に依存し得ることが理解されるべきである。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を制御する能力およびベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(例えば、抗生物質マーカー)の発現もまた考慮されるべきである。
本開示の組換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部を、原核生物細胞、真核生物細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)のいずれか、または両方において発現させるために適切なベクター中に連結することによって生成され得る。組換えTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの生成のための発現ビヒクルとしては、プラスミドおよび他のベクターが挙げられる。例えば、適切なベクターとしては、以下のタイプのプラスミドが挙げられる:原核生物細胞(例えば、E.coli)における発現のための、pBR322由来のプラスミド、pEMBL由来のプラスミド、pEX由来のプラスミド、pBTac由来のプラスミドおよびpUC由来のプラスミド。
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を促進するための原核生物の配列と、真核生物細胞において発現される1または複数の真核生物の転写単位との両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neoおよびpHyg由来のベクターは、真核生物細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかは、原核生物細胞および真核生物細胞の両方における複製および薬物耐性選択を容易にするために、細菌プラスミド(例えば、pBR322)からの配列を用いて改変される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV−1)またはエプスタイン−バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの誘導体が、真核生物細胞におけるタンパク質の一過的な発現のために使用され得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、遺伝子治療送達系の説明において以下に見出され得る。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において用いられる種々の方法は、当該分野で周知である。原核生物細胞および真核生物細胞の両方についての他の適切な発現系、ならびに、一般的な組換え手順、例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual、3rd Ed.、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年)を参照。いくつかの場合において、バキュロウイルス発現系を用いて組換えポリペプチドを発現させることが望ましくあり得る。このようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来のベクター(例えば、pVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来のベクター(例えば、pAcUWl)およびpBlueBac由来のベクター(例えば、β−galを含むpBlueBac III)が挙げられる。
好ましい実施形態では、ベクターは、CHO細胞における本主題のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの生成のために設計される(例えば、Pcmv−Scriptベクター(Stratagene,La Jolla,Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)およびpCI−neoベクター(Promega,Madison,Wisc))。明らかであるように、本主題の遺伝子構築物は、例えば、タンパク質(融合タンパク質または改変体タンパク質を含む)を生成するため、精製のために、培養物において増殖させた細胞において本主題のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの発現を引き起こすために使用され得る。
本開示はまた、1または複数の本主題のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドのコード配列を含む組換え遺伝子をトランスフェクトされた宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、本開示のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞[例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株]において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
したがって、本開示はさらに、本主題のTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを生成する方法に関する。例えば、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの発現を起こすことが可能な適切な条件下で培養され得る。ポリペプチドは、ポリペプチドを含む細胞および培地の混合物から分泌および単離され得る。あるいは、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、細胞質または膜画分から単離されてもよいし、回収し、溶解された細胞から得られてもよい。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。本主題のポリペプチドは、タンパク質を精製するための当該分野で公知の技法であって、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体による免疫アフィニティ精製、およびTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドに融合させたドメインに結合する作用因子によるアフィニティ精製(例えば、プロテインAカラムを使用して、TGF−βスーパーファミリーI型受容体−FcまたはII型受容体−Fc融合ポリペプチドまたはタンパク質複合体を精製することができる)を含む技法を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはこれらの両方から単離することができる。一部の実施形態では、TGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドは、その精製を容易とするドメインを含有する融合ポリペプチドまたはタンパク質複合体である。
一部の実施形態では、精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程であって、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィー、およびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多く、任意の順序で含む工程により達成する。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換により完了し得る。TGF−βスーパーファミリーI型受容体−FcまたはII型受容体−Fc融合ポリペプチドまたはタンパク質複合体は、サイズ除外クロマトグラフィーにより決定した場合に、>90%、>95%、>96%、>98%、または>99%の純度まで精製することができ、SDS PAGEにより決定した場合に、>90%、>95%、>96%、>98%、または>99%の純度まで精製することができる。純度の標的レベルは、哺乳動物系、特に、非ヒト霊長動物、齧歯動物(マウス)、およびヒトにおいて、望ましい結果を達成するのに十分なレベルであるべきである。
別の実施形態では、精製用リーダー配列(例えば、組換えTGF−βスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドの所望の部分のN末端に位置するポリ−(His)/エンテロキナーゼ切断部位の配列)をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いる親和性クロマトグラフィーによる、発現された融合タンパク質の精製を可能にし得る。その後、精製用リーダー配列は、引き続いて、エンテロキナーゼでの処理によって除去され、精製TGF−βスーパーファミリーIまたはII型受容体融合ポリペプチドまたはタンパク質複合体を提供し得る。例えば、Hochuliら、(1987年)J.Chromatography 411巻:177頁;およびJanknechtら、(1991年)PNAS USA 88巻:8972頁を参照。
融合遺伝子を作製するための技術は周知である。本質的には、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの接合は、ライゲーションのための平滑末端もしくは突出(staggered)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた粘着末端のフィルイン(filling−in)、所望されない接合を回避するためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および酵素によるライゲーション、を用いる従来の技術に従って行われる。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、2つの連続した遺伝子フラグメント間の相補的なオーバーハング(overhang)を生じるアンカープライマーを用いて行われ得、これらのフラグメントは、その後、キメラ遺伝子配列を生じるようにアニーリングされ得る。例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992年を参照のこと。
(4.スクリーニングアッセイ)
ある特定の態様では、本開示は、TGF−βスーパーファミリーI型およびII型受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の使用であって、TGF−βスーパーファミリー受容体のアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(作用因子)を同定するための使用に関する。このスクリーニングを介して同定される化合物を、インビボまたはインビトロにおける組織成長を調節する能力を評価するために、試験して、骨、軟骨、筋肉、脂肪および/またはニューロンなどの組織を調節するそれらの能力を評価することができる。これらの化合物は、例えば、動物モデルにおいて試験することができる。
TGF−βスーパーファミリーリガンドのシグナル伝達(例えば、SMAD2/3および/またはSMAD1/5/8シグナル伝達)を標的化することによって組織成長を調節するための治療剤についてスクリーニングするための多数のアプローチが存在する。特定の実施形態では、選択された細胞株においてTGF−βスーパーファミリー受容体媒介性の作用を混乱させる作用因子を同定するために、化合物のハイスループットスクリーニングが行われ得る。特定の実施形態では、アッセイは、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の、その結合パートナー、例えばTGF−βスーパーファミリーリガンドなど(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)への結合を特異的に阻害または減少させる化合物をスクリーニングおよび同定するために行われ得る。あるいは、アッセイは、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の、その結合パートナー、例えばTGF−βスーパーファミリーリガンドなどへの結合を増強しない化合物を同定するために使用され得る。さらなる実施形態では、化合物は、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体と相互作用するその能力によって同定され得る。
種々のアッセイ形式が十分であり、そして、本開示を考慮すれば、本明細書中に明示的に記載されない形式は、本明細書中に記載されていないにもかかわらず、当業者によって理解される。本明細書中に記載されるように、本発明の試験化合物(作用因子)は、任意の組み合わせ化学の方法によって作製され得る。あるいは、本主題の化合物は、インビボまたはインビトロで合成された天然に存在する生体分子であり得る。組織増殖の調節因子として作用するその能力について試験される化合物(作用因子)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物によって生成されても(例えば、天然の生成物)、化学的に生成されても(例えば、ペプチド模倣物を含む低分子)、組換えにより生成されてもよい。本発明によって企図される試験化合物としては、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモンおよび核酸分子が挙げられる。ある特定の実施形態では、試験作用因子は、約2000ダルトン未満の分子量を持つ小さな有機分子である。
本開示の試験化合物は、単一の別個の実体として提供され得るか、または、組み合わせ化学によって作製されたような、より複雑度の高いライブラリーにおいて提供され得る。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび有機化合物の他の分類を含み得る。試験システムに対する試験化合物の提示は、特に、最初のスクリーニング段階において、単離された形態または化合物の混合物としてのいずれかであり得る。任意選択で、化合物は、任意選択で他の化合物で誘導体化され得、そして、化合物の単離を容易にする誘導体化基を有し得る。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化クロスリンカー、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、所与の期間に調査される化合物の数を最大にするためには、ハイスループットアッセイが望ましい。精製もしくは半精製(semi−purified)されたタンパク質で誘導され得るような、無細胞のシステムにおいて行われるアッセイは、試験化合物によって媒介される分子標的における変更の迅速な発生と比較的容易な検出とを可能にするように作られ得るという点で、しばしば、「一次」スクリーニングとして好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性またはバイオアベイラビリティの作用は、一般に、インビトロのシステムでは無視され得るが、その代わりに、このアッセイは主として、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体とその結合パートナー(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)との間の結合親和性の変更において明らかになり得るような、分子標的に対する薬物の作用に焦点を当てている。
単なる例示として、本開示の例示的なスクリーニングアッセイでは、関心のある化合物は、アッセイの意図に応じて適宜、通常TGF−βスーパーファミリーリガンドに結合し得る単離および精製されたTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体と接触させられる。その後、化合物とTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体との混合物は、適当なTGF−βスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MIS、およびLefty)に加えられる。TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体およびスーパーファミリーリガンドの検出および定量は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体とその結合タンパク質との間の複合体の形成の阻害(または助長)における化合物の効力を決定するための手段を提供する。化合物の効力は、種々の濃度の試験化合物を用いて得られたデータから用量応答曲線を生成することによって評価され得る。さらに、比較のためのベースラインを提供するためのコントロールアッセイもまた行われ得る。例えば、コントロールアッセイでは、単離および精製されたTGF−βスーパーファミリーリガンドは、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を含む組成物に加えられ、そして、ヘテロ多量体リガンド複合体の形成は、試験化合物の非存在下で定量される。一般に、反応物が混合され得る順序は変化し得、そして、同時に混合され得ることが理解される。さらに、適切な無細胞アッセイ系を与えるように、精製したタンパク質の代わりに、細胞の抽出物および溶解物が使用され得る。
TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の他のタンパク質への結合は、種々の技術によって検出され得る。例えば、複合体の形成の調節は、例えば、検出可能に標識されたタンパク質、例えば、放射標識(例えば、32P、35S、14CまたはH)、蛍光標識(例えば、FITC)、または、酵素標識されたTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体およびその結合タンパク質を用いて、イムノアッセイによって、あるいは、クロマトグラフィーによる検出によって定量され得る。
特定の実施形態では、本開示は、直接的または間接的のいずれかで、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体とその結合タンパク質との間の相互作用の程度を測定する、蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー遷移(FRET)アッセイの使用を企図する。さらに、光導波管(waveguide)(例えば、PCT公開WO96/26432および米国特許第5,677,196号を参照)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサ、および表面力センサに基づくもののような、他の検出様式が、本開示の多くの実施形態と適合性がある。
さらに、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体とその結合パートナーとの間の相互作用を妨害または助長する作用因子を同定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知である相互作用トラップアッセイの使用を企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993年)Cell 72巻:223〜232頁;Maduraら(1993年)J Biol Chem 268巻:12046〜12054頁;Bartelら(1993年)Biotechniques 14巻:920〜924頁;およびIwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693〜1696頁を参照のこと。特定の実施形態では、本開示は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体とその結合タンパク質との間の相互作用を解離させる化合物(例えば、低分子またはペプチド)を同定するための、逆ツーハイブリッドシステムの使用を企図する[例えば、VidalおよびLegrain(1999年)Nucleic Acids Res 27巻:919〜29頁;VidalおよびLegrain(1999年)Trends Biotechnol 17巻:374〜81頁;ならびに米国特許第5,525,490号;同第5,955,280号;および同第5,965,368号を参照]。
特定の実施形態では、本主題の化合物は、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体と相互作用するその能力によって同定される。化合物と、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体との間の相互作用は、共有結合性であっても非共有結合性であってもよい。例えば、このような相互作用は、光架橋、放射性標識リガンド結合、およびアフィニティクロマトグラフィーを含むインビトロの生化学的な方法を用いて、タンパク質レベルで同定され得る。例えば、Jakoby WBら(1974年)、Methods in Enzymology 46巻:1頁を参照。特定の場合には、化合物は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体に結合する化合物を検出するためのアッセイのような、機構ベースのアッセイにおいてスクリーニングされ得る。これは、固相もしくは流体相の結合事象を含み得る。あるいは、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体をコードする遺伝子は、レポーターシステム(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質)と共に細胞中にトランスフェクトされ、そして、好ましくは、ハイスループットスクリーニングによって、ライブラリーに対して、または、ライブラリーの個々のメンバーを用いてスクリーニングされ得る。他の機構ベースの結合アッセイ(例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイ)が使用され得る。結合アッセイは、ウェル、ビーズもしくはチップに固定されているか、または、固定された抗体によって捕捉されている標的を用いて行われ得るか、あるいは、キャピラリー電気泳動によって分離され得る。結合した化合物は通常、比色エンドポイントあるいは蛍光または表面プラズモン共鳴を用いて検出され得る。
5.例示的な治療的使用
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せを使用して、TGFβスーパーファミリー受容体(例えば、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、ALK5、ALK6、ALK7、ActRIIA、ActRIIB、BMPRII、TGFBRIIおよびMISRII)および/またはスーパーファミリーリガンド(例えば、BMP2、BMP2/7、BMP3、BMP4、BMP4/7、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP9、BMP10、GDF3、GDF5、GDF6/BMP13、GDF7、GDF8、GDF9b/BMP15、GDF11/BMP11、GDF15/MIC1、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、アクチビンE、アクチビンAB、アクチビンAC、アクチビンAE、アクチビンBC、アクチビンBE、nodal、GDNF、ニュールツリン、アルテミン、パーセフィン、MISおよびLefty)の異常活性と関連する疾患または状態を処置または予防することができる。本明細書では一般に、これらの疾患、障害、または状態を、「TGFβスーパーファミリー関連状態」と称する。ある特定の実施形態では、本発明は、個体に、本明細書で記載されるようなTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せの治療有効量を投与することにより、それを必要とする個体を処置または予防する方法を提供する。「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、本明細書を通して互換的である。本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体のいずれも潜在的に、本明細書で開示される治療的使用のために、個別にまたは組合せで利用することができる。これらの方法は特に、例えば、齧歯動物、霊長動物、およびヒトを含む哺乳動物の治療的処置および予防的処置を目的とする。
本明細書中で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計的試料において、無処置の対照試料に対して、処置試料における障害もしくは状態の出現を低下させるか、あるいは、無処置の対照試料に対して、障害もしくは状態の1または複数の症状の発症を遅延させるか、または、重篤度を低下させるような化合物を指す。用語「処置する」は、本明細書中で使用される場合、一度確立された状態の改善もしくは除去を含む。いずれの場合にも、予防または処置は、医師または他の医療提供者によって提供される診断、および、治療剤の投与の意図される結果において認識され得る。
天然のTGFβスーパーファミリー受容体−リガンド複合体は、組織成長のほか、種々の構造の適正な形成などの早期発生プロセスにおいて、または、性的発育、下垂体ホルモンの生成、ならびに骨および軟骨の創出を含む、1つもしくは複数の発生後能において不可欠の役割を果たす。したがって、TGFβスーパーファミリー関連状態/障害は、組織成長の異常および発生の欠損を含むが、これらに限定されない。加えて、TGFβスーパーファミリー関連状態は、炎症、アレルギー、自己免疫疾患、感染性疾患および腫瘍など、細胞の増殖および分化の障害を含むがこれらに限定されない。
例示的なTGFβスーパーファミリー関連状態は、神経筋障害(例えば、筋ジストロフィーおよび筋萎縮)、うっ血性閉塞性肺疾患(およびCOPDに関連する筋消耗)、筋消耗症候群、サルコペニアおよび悪液質、脂肪組織障害(例えば、肥満)、2型糖尿病(NIDDM、成人発症型糖尿病)ならびに骨変性疾患(例えば、骨粗鬆症)を含む。他の例示的なTGFβスーパーファミリー関連状態は、筋肉変性障害(musculodegenerative disorder)および神経筋障害、組織修復(例えば、創傷治癒)、神経変性疾患(例えば、筋委縮性側索硬化症)ならびに免疫学的障害(例えば、リンパ球の異常な増殖または機能に関連する障害)を含む。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせが、筋ジストロフィーのための処置の一部として使用される。用語「筋ジストロフィー」とは、骨格筋、ならびに、ある場合には、心臓および呼吸筋の段階的な筋力低下および劣化を特徴とする、変性性筋疾患の群を指す。筋ジストロフィーは、筋肉の微視的変化と共に始まる、進行性の筋消耗および筋力低下を特徴とする遺伝性障害である。筋肉が経時的に変性するにつれて、個人の筋強度は減衰する。本主題のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を含むレジメンで処置され得る、例示的な筋ジストロフィーとして、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、エメリー−ドレイフス型筋ジストロフィー(EDMD)、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHまたはFSHD)(ランドゥジー−デジェリン型としてもまた公知である)、筋強直性ジストロフィー(MMD;スタイナート病としてもまた公知である)、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)、遠位型筋ジストロフィー(DD)、先天性筋ジストロフィー(CMD)が挙げられる。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、フランスの神経学者である、Guillaume Benjamin Amand Duchenneにより、1860年代において、最初に記載された。ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)は、DMDのこの変化形について1950年代に最初に記載したドイツの医師であるPeter Emil Beckerに因んで名付けられた。DMDは、男性において最も高頻度の遺伝性疾患の1つであり、3,500人中1人の少年に影響を及ぼす。DMDは、X染色体の短腕部に位置するジストロフィン遺伝子が欠失すると生じる。男性が保有するX染色体のコピーは、1つだけであるので、男性が有するジストロフィン遺伝子のコピーも1つだけである。ジストロフィンタンパク質を伴わないと、筋肉は、収縮および弛緩の周期において容易に損傷する。疾患の早期では、筋肉は、再生により代償されるが、後に、筋前駆細胞は、進行する損傷に追いつけなくなり、健常筋肉は、非機能的な線維脂肪性組織で置きかえられる。
BMDは、ジストロフィン遺伝子における異なる変異から生じる。BMD患者は、いくらかのジストロフィンを有するが、量が不十分であるか、または質が不良である。いくらかのジストロフィンの存在で、BMDを有する患者の筋肉は、DMDを有する患者の筋肉と同等の重篤または迅速な変性からは保護される。
動物における研究は、GDF8シグナル伝達経路の阻害が、DMDおよびBMD患者において疾患の種々の側面を有効に処置することができることを指し示す(Bogdanovichら、2002, Nature 420:418−421; Pistilliら、2011, Am J Pathol 178:1287−1297)。したがって、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体はGDF8阻害剤(アンタゴニスト)として作用することができ、DMDおよびBMD患者において、インビボで、GDF8および/または関連するTGFβスーパーファミリーリガンドによるシグナル伝達を遮断する代替的な手段を構成する。
同様に、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、筋成長を必要とする他の疾患状態において、筋量を増大させる有効な手段をもたらし得る。例えば、筋委縮性側索硬化症(ALS)(ルーゲーリック病または運動ニューロン疾患ともまた呼ばれる)は、慢性で、進行性で、治癒不能なCNS障害であって、骨格筋収縮の開始に要求される中枢神経性の構成要素である運動ニューロンを攻撃するCNS障害である。ALSでは、運動ニューロンは、劣化し、最終的に死滅し、個人の脳は、完全な機能および呼びかけ(alert)を正常に保つが、筋肉収縮の開始は脊髄レベルで遮断される。ALSを発症した個体は、典型的には、40〜70歳の間であり、変性する最初の運動ニューロンは、腕部または脚部を支配する運動ニューロンである。ALSを有する患者は、歩行が困難な場合があり、物を落とし、倒れ、呂律が回らなくなり、制御不能に笑ったり泣いたりする場合がある。疾患が進行すると、四肢における筋肉は、不使用のために萎縮し始める。筋力低下は、消耗性となり、患者は最終的に車椅子を必要とするか、またはベットに伏したままになる。大半のALS患者は、疾患発病から3〜5年で、呼吸不全、または肺炎のような換気装置支援による合併症で死ぬ。
TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体による筋量増加の促進は、筋消耗疾患を患う患者の利益になることもできる。Gonzalez−Cadavidら(上記)は、GDF8発現は、ヒトにおける除脂肪体重と逆相関し、このようなGDF8遺伝子の発現増加は、AIDS消耗性症候群の男性における体重減少と関連すると報告する。AIDS患者におけるGDF8の機能を阻害することにより、AIDSの少なくともある特定の症状を、完全に消失させないにせよ、緩和することができ、こうして、AIDS患者における生活の質を著明に改善することができる。
GDF8機能の喪失はまた、栄養摂取の減退を伴わない脂肪の減少とも関連する(Zimmersら、前出;McPherronおよびLee、前出)ので、対象のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体はさらに、肥満症および2型糖尿病の発症を緩徐化または予防するための治療剤としても使用することができる。
がん食欲不振−悪液質症候群は、がんの最も衰弱性かつ生命にかかわる側面にある。この症候群は、死亡時にがん患者のおよそ80%に存在する、多くの種類のがんに共通の特色であり、不十分な生活の質および化学療法に対する不十分な応答のみならず、匹敵する腫瘍を有するが体重減少していない患者よりも短い生存時間の原因にもなる。発病前体重の5パーセントを超える不随意性の体重減少が、6ヶ月間の期間内に起こる場合、悪液質が典型的にがん患者において疑われる。食欲不振、脂肪および筋肉組織の消耗ならびに心理的窮迫に伴い、悪液質が、がんおよび宿主の間の複雑な相互作用から生じる。がん悪液質は、サイトカイン産生、脂質動員およびタンパク質分解誘導因子の放出、ならびに中間代謝の変更に影響を与える。食欲不振が一般的であるが、食物摂取減少単独では、がん患者に観察される体組成の変化を説明することができず、栄養摂取の増加は、消耗性症候群を反転することができない。現在、悪液質過程(cachexic process)を制御または反転するための処置は存在しない。成体マウスにおけるGDF8の全身性過剰発現は、ヒト悪液質症候群に観察されるものと類似の著明な筋肉および脂肪損失を誘導することが判明したため(Zimmersら、上記参照)、対象のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体医薬組成物は、筋肉成長が望まれる悪液質症候群の症状の予防、処置または軽減に有益に使用することができる。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せを、骨形成および/もしくは軟骨形成を誘導する、骨量の減少を予防する、骨の石灰化を増大させる、骨の脱灰を予防する、ならびに/または骨密度を増大させる方法において使用することができる。TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、無症状性の低骨密度を有すると診断された患者において、骨粗鬆症の発症に対する保護的措置として有用であり得る。
一部の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せは、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨欠損の治癒において医療的に有用であり得る。対象の方法および組成物はまた、閉鎖骨折ならびに開放骨折の低減において予防的に使用することができ、また、人工関節の固定を改善するのにも使用することができる。骨形成作用因子により誘導されるデノボの骨形成は、先天性であるか、外傷誘導性であるか、またはがん治療における切除により引き起こされる頭蓋顔面欠損の修復に有用であり、また、美容整形手術においても有用である。さらに、本発明の方法および組成物は、歯周病の処置、および他の歯牙修復プロセスにおいても使用することができる。ある特定の場合には、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せは、骨形成細胞を誘引する環境をもたらす、骨形成細胞の増殖を刺激する、または骨形成細胞の前駆細胞の分化を誘導することが可能である。本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体はまた、骨粗鬆症の処置においても有用であり得る。さらに、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、軟骨欠損の修復および骨関節炎の予防/転導においても使用することができる。
Rosenら(編)、Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism、7版、American Society for Bone and Mineral Research、Washington D.C.(参照により本明細書に援用される)は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せによる処置に供され得る骨障害についての広範な考察を提供する。本明細書では、部分的な列挙を提供する。本発明の方法および組成物は、骨粗鬆症(続発性骨粗鬆症を含む)、副甲状腺機能亢進症、慢性腎疾患/骨ミネラル障害、性ホルモン(例えば、アンドロゲンおよび/またはエストロゲン)の枯渇もしくは除去、グルココルチコイド処置、関節リウマチ、重度の火傷、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、低カルシウム血症、低リン血症、骨軟化症(腫瘍誘導性骨軟化症を含む)、高リン血症、ビタミンD欠損症、副甲状腺機能亢進症(家族性副甲状腺機能亢進症を含む)および偽性副甲状腺機能低下症、腫瘍の骨転移、腫瘍もしくは化学療法の帰結としての骨量の減少、骨および骨髄の腫瘍(例えば、多発性骨髄腫)、虚血性骨障害、歯周病および口腔内骨量の減少、クッシング病、ページェット病、甲状腺中毒症、慢性下痢状態もしくは吸収不良、腎臓尿細管アシドーシス、または神経性無食欲症などの、骨量の減少を特徴とするか、またはこれを引き起こす状態に適用することができる。本発明の方法および組成物はまた、骨形成または骨治癒の不全を特徴とする状態であって、非癒合骨折、そうでなければ治癒が遅い骨折、胎児および新生児の骨異形成(例えば、低カルシウム血症、高カルシウム血症、カルシウム受容体欠損、およびビタミンD欠損症)、骨壊死(顎部の骨壊死を含む)、ならびに骨形成不全症を含む状態にも適用することができる。加えて、同化効果によって、このようなアンタゴニストは、骨損傷または骨糜爛と関連する骨疼痛を減殺させる。抗骨吸収効果の帰結として、このようなアンタゴニストは、造骨性腫瘍転移(例えば、原発性前立腺がんまたは乳がんと関連する)、造骨性骨肉腫、大理石骨病、進行性骨幹異形成、骨内膜性骨化過剰症、骨斑紋症、および流蝋骨症などの、骨形成異常障害を処置するのに有用であり得る。処置され得る他の障害として、線維性異形成および軟骨異形成が挙げられる。
別の具体的実施形態では、本開示は、軟骨および/もしくは骨の欠損または歯周病と関連する、骨折および他の状態を修復するための治療方法および組成物を提供する。本発明はさらに、創傷治癒および組織修復のための治療方法および組成物も提供する。創傷の種類として、火傷、切創、および潰瘍が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、PCT公開第WO84/01106号を参照されたい。このような組成物は、薬学的に許容されるビヒクル、担体、またはマトリックスと混合した、本開示の少なくとも1つのTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の治療有効量を含む。
一部の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せは、骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症、クッシング病、甲状腺中毒症、慢性下痢状態もしくは吸収不良、腎臓尿細管アシドーシス、または神経性無食欲症などの、骨量の減少を引き起こす状態に適用することができる。女性であること、体重が小さいこと、および座りがちな生活様式をとることは、骨粗鬆症(骨折リスクをもたらす、骨ミネラル密度の喪失)のリスク要因であることが一般に理解されている。しかし、骨粗鬆症はまた、ある特定の医薬の長期にわたる使用からも生じ得る。薬物または別の医学的状態から生じる骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症として公知である。クッシング病では、体内で産生されたコルチゾールの過剰量が、骨粗鬆症および骨折を結果としてもたらす。続発性骨粗鬆症と関連する最も一般的な医薬は、天然で副腎により産生されるホルモンであるコルチゾール様に作用する薬物のクラスであるコルチコステロイドである。骨格の発達には、甲状腺ホルモンの適切なレベルが必要とされるが、過剰な甲状腺ホルモンは、時間経過と共に骨量を減少させ得る。アルミニウムを含有する制酸剤は、腎の問題を有する人、特に、透析を受けている人が高用量を服用する場合、骨量の減少をもたらし得る。続発性骨粗鬆症を引き起こし得る他の医薬として、発作を予防するのに使用されるフェニトイン(Dilantin)およびバルビツール酸;関節炎、がん、および免疫障害の一部の形態のための薬物であるメトトレキサート(Rheumatrex、Immunex、Folex PFS);一部の自己免疫疾患を処置し、臓器移植患者における免疫系を抑制するのに使用される薬物であるシクロスポリン(Sandimmune、Neoral);前立腺がんおよび子宮内膜症を処置するのに使用される黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(Lupron、Zoladex);抗凝固薬であるヘパリン(Calciparine、Liquaemin);ならびに高コレステロールを処置するのに使用されるコレスチラミン(Questran)およびコレスチポール(Colestid)が挙げられる。がん治療から生じる骨量の減少は、広く認識されており、がん治療誘導性骨量減少(CTIBL)と称されている。骨転移は、骨中の空隙を創出し得るが、これは、TGF−βスーパーファミリー受容体ヘテロ多量体複合体で処置することにより是正することができる。骨量の減少はまた、歯肉の陥凹部に棲息する細菌が毒素および有害な酵素を産生する慢性感染症である歯肉疾患によっても引き起こされ得る。
さらなる実施形態では、本開示は、異常なまたは望ましくない骨成長と関連する疾患または障害を処置するための方法および治療剤を提供する。例えば、先天性障害である進行性骨化性線維異形成症(FOP)を有する患者は、自発的なまたは組織外傷に応答した軟組織内の進行性異所性骨成長に苦しみ、生活の質に多大な影響が及ぶ。加えて、異常な骨成長が、股関節置換術の後で生じる場合もあり、そのため、手術転帰が損なわれ得る。これは、対象の方法および組成物が治療的に有用であり得る病理学的な骨成長および状況のより一般的な例である。この方法および組成物はまた、異常な骨成長の他の形態(例えば、外傷、火傷、または脊髄傷害後の骨の病理学的成長)を処置し、転移性前立腺がんまたは骨肉腫と関連して見られる異常な骨成長と関連する所望されない状態を処置または予防するためにも有用であり得る。
ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せを使用して、がんを有する患者における骨形成を促進することができる。ある特定の腫瘍(例えば、前立腺がん、乳がん、多発性骨髄腫、または副甲状腺機能亢進症を引き起こす任意の腫瘍)を有する患者は、腫瘍誘導性の骨量の減少、骨転移、および治療剤に起因して骨量の減少のリスクが高い。このような患者は、骨量の減少または骨転移の証拠の非存在下であっても、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、または複合体の組合せで処置することができる。患者はまた、骨量の減少または骨転移の証拠についてモニタリングされてもよく、指標がリスクの増大を示す場合は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体で処置することができる。一般に、DEXAスキャンを利用して骨密度の変化を評価する一方で、骨リモデリングの指標を使用して骨転移の可能性を評価することができる。血清マーカーをモニタリングすることができる。骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)は、骨芽細胞内に存在する酵素である。BSAPの血中レベルは、骨リモデリングの増大を結果としてもたらす骨転移および他の状態を有する患者において上昇する。オステオカルシンおよびプロコラーゲンペプチドもまた、骨形成および骨転移と関連する。BSAPの増大は、前立腺がんにより引き起こされた骨転移を有する患者において検出されており、より低度で、乳がんに由来する骨転移においても検出されている。BMP7レベルは、骨へと転移した前立腺がんでは高度であるが、膀胱がん、皮膚がん、肝臓がん、または肺がんに起因する骨転移では高度でない。I型カルボキシ末端テロペプチド(ICTP)とは、骨吸収時に形成されるコラーゲン内で見出される架橋である。骨は恒常的に分解および再形成されているので、ICTPは全身で見出される。しかし、骨転移の部位では、このレベルは正常な骨の領域より著明に高くなる。ICTPは、前立腺がん、肺がん、および乳がんに起因する骨転移において高レベルで見出されている。別のコラーゲン架橋である、I型N末端のテロペプチド(NTx)は、骨代謝回転時にICTPと共に産生される。NTxの量は、多くの異なる種類のがんであって、肺がん、前立腺がん、および乳がんを含むがんにより引き起こされる骨転移において増大する。NTxのレベルはまた、骨転移の進行に伴っても上昇する。したがって、このマーカーを使用して、転移を検出し、かつ、疾患の程度を測定することができる。吸収の他のマーカーは、ピリジノリンおよびデオキシピリジノリンを含む。吸収マーカーまたは骨転移のマーカーの任意の増大は、患者におけるTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せによる治療の必要を指し示す。
別の実施形態では、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せは、腎疾患から発生する、相互に関連した骨格、心血管、およびミネラル代謝障害の広範にわたる症候群である、慢性腎疾患/骨ミネラル障害(CKD−MBD)を有する患者において使用することができる。CKD−MBDは、腎性骨形成異常症(ROD)としばしば称される多様な骨格病態を包摂し、これは、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはこのようなTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せによる処置のための好ましい実施形態である。異なる病原性要因の相対的な寄与に応じて、RODは、骨リモデリングの多様な病理学的パターンとして顕在化される(Hruskaら、2008年、Chronic kidney disease mineral bone disorder (CKD−MBD)、Rosenら(編)、Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism、7版、American Society for Bone and Mineral Research、Washington D.C.、343〜349頁)。スペクトルの一終端では、RODは、***性骨ジストロフィーおよび低骨代謝回転を伴い、活性リモデリング部位の数の減少、骨形成の深刻な抑制、および低骨吸収を特徴とする。他の極では、RODは、副甲状腺機能亢進症、高骨代謝回転、および線維性骨炎を伴う。TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せが、同化効果および抗骨吸収効果の両方を及ぼし得ることを踏まえると、これらの作用因子は、RODの病態スペクトルにわたる患者において有用であり得る。
本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せは、他の骨活性医薬剤と共に併用投与することができる。併用投与は、単一の共製剤の投与により達することもでき、同時的な投与により達することもでき、別個の時点における投与により達することもできる。TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、他の骨活性作用因子と共に投与する場合に、特に有利であり得る。患者は、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を施されると共に、カルシウムサプリメント、ビタミンDを服用し、適切な身体運動を行い、かつ/または、場合によって、他の医薬を服用することから利益を得ることができる。他の医薬の例は、ビスホスホネート(アレンドロネート、イバンドロネート、およびリセドロネート)、カルシトニン、エストロゲン、副甲状腺ホルモン、およびラロキシフェンを含む。ビスホスホネート(アレンドロネート、イバンドロネート、およびリセドロネート)、カルシトニン、エストロゲン、およびラロキシフェンは、骨リモデリングサイクルに影響を及ぼし、抗骨吸収医薬として分類される。骨リモデリングは、2つの異なる段階:骨吸収および骨形成からなる。抗骨吸収医薬は、骨リモデリングサイクルのうちの骨吸収部分は、緩徐化するか、または停止させるが、サイクルのうちの骨形成部分は、緩徐化しない。結果として、新たな形成は、骨吸収より大きな速度で持続し、骨密度は、時間経過と共に増大し得る。副甲状腺ホルモンの形態であるテリパラチドは、骨リモデリングサイクルにおける骨形成速度を増大させる。アレンドロネートは、閉経後骨粗鬆症の予防(毎日5mgまたは毎週1回35mg)および処置(毎日10mgまたは毎週1回70mg)の両方について承認されている。アレンドロネートは、骨量の減少を軽減し、骨密度を増大させ、脊椎、手首、および股関節の骨折のリスクを低減する。アレンドロネートはまた、男性および女性におけるグルココルチコイド誘導性骨粗鬆症であって、これらの医薬(すなわち、プレドニゾンおよびコルチゾン)の長期にわたる使用の結果としての骨粗鬆症の処置と、男性における骨粗鬆症の処置とについて承認されている。ビタミンDを加えたアレンドロネートは、閉経後女性における骨粗鬆症の処置(ビタミンDを加えた、毎週1回70mg)と、骨粗鬆症を有する男性における骨量を改善する処置とについて承認されている。イバンドロネートは、閉経後骨粗鬆症の予防および処置について承認されている。毎月1回の丸剤(150mg)として服用されるイバンドロネートは、各月同じ日に服用するべきである。イバンドロネートは、骨量の減少を軽減し、骨密度を増大させ、脊椎骨折のリスクを低減する。リセドロネートは、閉経後骨粗鬆症の予防および処置について承認されている。毎日(5mgの用量)または毎週(35mgの用量、またはカルシウムを伴う35mgの用量)服用されるリセドロネートは、骨量の減少を緩徐化し、骨密度を増大させ、脊椎骨折および非脊椎骨折のリスクを低減する。リセドロネートはまた、男性および女性による使用であって、これらの医薬(すなわち、プレドニゾンおよびコルチゾン)の長期にわたる使用から生じるグルココルチコイド誘導性骨粗鬆症を予防および/または処置する使用が承認されている。カルシトニンとは、カルシウム調節および骨代謝に関与する天然に生じるホルモンである。閉経後5年を超える女性において、カルシトニンは、骨量の減少を緩徐化し、脊椎の骨密度を増大させ、骨折と関連する疼痛を緩和し得る。カルシトニンは、脊椎骨折のリスクを低減する。カルシトニンは、注射(毎日50〜100IU)または経鼻スプレー(毎日200IU)として利用可能である。
患者はまた、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せと、追加の骨活性医薬とを、共に施されることからも利益を得ることができる。エストロゲン療法(ET)/ホルモン療法(HT)は、骨粗鬆症の予防について承認されている。ETは、閉経後女性において、骨量の減少を軽減し、脊椎および股関節のいずれでも骨密度を増大させ、股関節および脊椎の骨折のリスクを低減することが示されている。ETは、最も一般には、毎日およそ0.3mgの低用量または毎日およそ0.625mgの標準用量を送達する丸剤または皮膚パッチの形態で投与され、70歳を過ぎて開始しても有効である。単独で服用する場合、エストロゲンは、女性が子宮内膜のがん(子宮内膜がん)を発症するリスクを増大させ得る。このリスクを消失させるために、医療ケア提供者は、無傷の子宮を有する女性のために、ホルモンであるプロゲスチンをエストロゲンと組み合わせて(ホルモン補充療法またはHT)処方する。ET/HTは、閉経症状を緩和し、骨健康に対して有益な効果を及ぼすことが示されている。副作用として、膣出血、***圧痛、気分障害、および胆嚢疾患が挙げれ得る。毎日60mgのラロキシフェンは、閉経後骨粗鬆症の予防および処置について承認されている。ラロキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)と呼ばれる薬物であって、エストロゲンの有益な効果を、それらの潜在的な欠点を伴わずにもたらすように開発された薬物のクラスに由来する。ラロキシフェンは、骨量を増大させ、脊椎骨折のリスクを低減する。ラロキシフェンが、股関節の骨折および他の非脊椎骨折のリスクを低減し得ることを実証するデータは、まだ利用可能ではない。副甲状腺ホルモンの形態であるテリパラチドは、閉経後女性および骨折のリスクが高い男性における骨粗鬆症の処置について承認されている。この医薬は、新たな骨形成を刺激し、骨ミネラル密度を著明に増大させる。閉経後女性では、脊椎、股関節、脚部、肋骨、および手首における骨折の低減が見られた。男性では、脊椎における骨折の低減が見られたが、他の部位における骨折の低減を評価するには、データが不十分であった。テリパラチドは、最長で24カ月間にわたり、毎日の注射として、自己投与される。
他の実施形態では、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせは、動物における体脂肪含量の調節に、およびそれに関係する状態、特に、それに関係する健康を損なう状態の処置または予防に使用することができる。本発明にしたがって、体重を調節(制御)するということは、体重の低減もしくは増加、体重増加の速度の低減もしくは増加、または体重減少の速度の増加もしくは低減を指すことができ、体重を能動的に維持すること、または有意に変化させないこと(例えば、何もしなければ体重を増加または減少させ得る、外部または内部の影響に対して)も含む。本開示の一実施形態は、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せを、それを必要とする動物(例えば、ヒト)に投与することによる、体重の調節に関する。
一部の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せは、動物における体重の低減および/または体重増加の低減に、より具体的には、肥満のリスクがあるまたはこれを患う患者における肥満の処置または好転に使用することができる。別の特異的な実施形態では、本発明は、体重を増加または保持することができない動物(例えば、消耗性症候群の動物)を処置するための方法および化合物を対象にする。このような方法は、体重および/または質量の増加に、または体重および/または質量減少の低減に、または望ましくなく低い(例えば、不健康な)体重および/または質量に関連するもしくはこれに起因する状態の改善に有効である。加えて、高コレステロールの障害(例えば、高コレステロール血症または脂質異常症(dislipidemia))は、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組合せにより処置することができる。
ある特定の態様では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせを使用して、それを必要とする対象において、赤血球レベルを上昇させ、貧血を処置または予防し、および/または無効赤血球生成を処置または予防することができる。ある特定の態様では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせを、赤血球レベルを上昇させるための従来の治療アプローチ、特に多因子性の起源の貧血を処置するために使用されるもの、と組み合わせて使用できる。赤血球レベルを上昇させるための従来の治療アプローチとして、例えば、赤血球輸血、1つまたは複数のEPO受容体活性化因子の投与、造血幹細胞移植、免疫抑制性生物材料(biologic)および薬物(例えば、コルチコステロイド)が挙げられる。ある特定の実施形態では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせを使用して、それを必要とする対象において、無効赤血球生成および/または無効赤血球生成に関連した障害を処置または予防することができる。ある特定の態様では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせは、貧血または無効赤血球生成障害を処置または予防するための従来の治療アプローチ、特に多因子性の起源の貧血を処置するために使用されるもの、と組み合わせて使用できる。
一般に、本開示で記載されている疾患または状態の処置または予防は、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせを、「有効量」で投与することにより達成する。作用因子の有効量とは、必要な投与量で、かつ、必要な期間にわたり、所望の治療結果または予防結果を達成するのに効果的な量を指す。本開示の作用因子の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する作用因子の能力などの要因に従い変化し得る。「予防有効量」とは、必要な投与量で、かつ、必要な期間にわたり、所望の予防結果を達成するのに効果的な量を指す。
ある特定の実施形態では、TGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせは、任意選択で、EPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用して、健常個体および選択された患者集団において赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、または網状赤血球レベルを高めることができる。適切な患者集団の例としては、貧血を有する患者のような望ましくない低い赤血球またはヘモグロビンレベルを有する患者、および、大きな外科手術またはかなりの血液喪失を生じ得る他の処置を受ける予定の患者のような、望ましくない低赤血球またはヘモグロビンレベルを生じる危険性のある患者、が挙げられる。一実施形態では、適切な赤血球レベルを有する患者は、赤血球レベルを増加させるためにTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体またはTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の組み合わせで処置され、その後、血液が採血され、そして、後に輸血に使用するために保存される。
本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、任意選択で、EPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用して、貧血を有する患者において赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、および/またはヘマトクリットレベルを高めることができる。ヒトにおけるヘモグロビンレベルおよび/またはヘマトクリットレベルを観察する場合、個体の変動は考慮されるが、適切な年齢および性別の範疇に応じた正常なレベル未満のレベルは、貧血を示し得る。例えば、10〜12.5g/dlであり、典型的に、約11.0g/dlのヘモグロビンレベルは、健常な成人において、正常な範囲内にあると考えられるが、治療の点では、標的レベルが低ければ、心血管副作用を引き起こす可能性は小さい[例えば、Jacobsら(2000年)、Nephrol Dial Transplant、15巻、15〜19頁を参照されたい]。代替的に、ヘマトクリットレベル(細胞により占有される血液試料の容量百分率)を、貧血の尺度として使用することができる。健常個体のヘマトクリットレベルは、成人男性では、約41〜51%の範囲にあり、成人女性では、35〜45%の範囲にある。ある特定の実施形態では、患者は、患者を、赤血球、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットの標的レベルに戻すことが意図される投与レジメンで処置することができる。ヘモグロビンレベルおよびヘマトクリットレベルは、個々人で変化するので、最適には、標的ヘモグロビンレベルおよび/または標的ヘマトクリットレベルは、各患者のために個別化することができる。
貧血は、組織傷害、感染、および/または慢性疾患、特に、がんを有する患者において高頻度で観察される。対象によっては、貧血は、低エリスロポエチンレベルおよび/または骨髄中のエリスロポエチンに対する不適切な応答により識別される[例えば、Adamson、2008年、Harrison’s Principles of Internal Medicine、17版、McGraw Hill、New York、628〜634頁を参照されたい]。貧血の潜在的な原因としては、例えば、血液喪失、栄養不良(例えば、たんぱく質の食餌性摂取の低減)、薬物療法反応、骨髄に関連する種々の問題および多くの疾患が挙げられる。より具体的には、貧血は、例えば、骨髄移植、固形腫瘍(例えば、乳がん、肺がんおよび結腸がん);リンパ系の腫瘍(例えば、慢性リンパ球性白血病、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫);造血系の腫瘍(例えば、白血病、骨髄異形成症候群および多発性骨髄腫);放射線治療;化学療法(例えば、白金を含むレジメン);炎症および自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、他の炎症性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性もしくは慢性の皮膚疾患(例えば、乾癬)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)が挙げられるがこれらに限定されない);急性もしくは慢性の腎疾患もしくは腎不全(特発性もしくは先天性の状態を含む);急性もしくは慢性の肝臓病;急性もしくは慢性の出血;患者の同種もしくは自己抗体および/または宗教上の理由(例えば、いくつかのエホバの証人(Jehovah’s Witness))に起因する赤血球の輸血が可能ではない状況;感染(例えば、マラリアおよび骨髄炎);異常ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球病(貧血)、サラセミアを含む);薬物の使用または乱用(例えば、アルコールの誤用);輸血を回避するためのあらゆる要因から貧血を有する小児患者;ならびに老齢の患者または循環過負荷に関する問題に起因して輸血を受けることができない貧血とともに基礎心肺疾患を有する患者を含む種々の障害および状態に関連している[例えば、Adamson(2008年)、Harrison’s Principles of Internal Medicine、17版、McGraw Hill、New York、628〜634頁を参照されたい]。
多くの因子が、がん関連の貧血に寄与し得る。いくつかは、疾患過程自体、および炎症性サイトカイン、例えばインターロイキン1、インターフェロンγおよび腫瘍壊死因子の生成に関連する[Bronら(2001年)、Semin Oncol 28巻(補遺8号):1〜6頁]。その影響の中で、炎症は重要な鉄調節ペプチドヘプシジンを誘導し、それによってマクロファージからの鉄のエクスポートを阻害し、一般に赤血球生成のための鉄の利用可能性を制限する[例えば、Ganz(2007年)、J Am Soc Nephrol 18巻:394〜400頁を参照のこと]。様々な経路を通しての血液喪失も、がん関連の貧血に寄与することができる。がん進行による貧血の有病率は、前立腺がんでの5%から多発性骨髄腫での90%まで、がん型によって変動する。がん関連の貧血は、倦怠および生活の質の低下、処置効力の低下および死亡率の増加を含む、重大な結果を患者にもたらす。一部の実施形態において、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用してがん関連の貧血を処置することができた。
低増殖性貧血は、原発性骨髄機能障害または原発性骨髄不全から生じ得る。低増殖性貧血として、慢性疾患による貧血、腎疾患による貧血、低代謝状態に関連する貧血、およびがんに関連する貧血が挙げられる。これらの種類の各々では、内因性エリスロポエチンレベルは、観察される貧血の程度に対して不適切に低い。他の低増殖性貧血として、初期鉄欠損性貧血、および骨髄への損傷により引き起こされる貧血が挙げられる。これらの種類では、内因性エリスロポエチンレベルは、観察される貧血の程度に対して適切に増加している。顕著な例は、がんおよび/もしくは化学療法薬またはがんの放射線療法により引き起こされる骨髄抑制である。広範にわたる臨床試験の再検討により、軽度の貧血が、化学療法後の患者の100%で生じ得るのに対し、より重度の貧血は、このような患者の最大80%で生じ得ることが見出された[例えば、Groopmanら(1999年)、J Natl Cancer Inst、91巻:1616〜1634頁を参照されたい]。骨髄抑制薬には、例えば以下のものが含まれる:1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メルファラン)およびニトロソウレア(例えば、ストレプトゾシン)などのアルキル化剤;2)葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキセート)、プリン類似体(例えば、チオグアニン)およびピリミジン類似体(例えば、ゲムシタビン)などの代謝拮抗物質;3)アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)などの細胞傷害抗生物質;4)キナーゼインヒビター(例えば、ゲフィチニブ);5)タキサン(例えば、パクリタキセル)およびビンカアルカロイド(例えば、ビノレルビン)などの***抑制剤;6)モノクローナル抗体(例えば、リツキシマブ);ならびに7)トポイソメラーゼインヒビター(例えば、トポテカンおよびエトポシド)。さらに、低代謝速度をもたらす多くの状態は、軽度から中等度の低増殖性貧血をもたらし得る。内分泌欠乏状態は、そのような状態の1つである。例えば、貧血は、アジソン病、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、または去勢されたかもしくはエストロゲンで処置された男性で起こることがある。一部の実施形態において、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用して高増殖性貧血を処置することができた。
慢性腎疾患は、場合によって、低増殖性貧血と関連し、貧血の重症度は、腎機能障害のレベルに応じて変化する。そのような貧血は、主に、エリスロポイエチンの不十分な生成および赤血球の生存の低下による。慢性腎臓疾患は、透析または腎移植が患者生存のために必要とされる末期(5期)疾患まで、数年または数十年にわたって徐々に通常進行する。貧血はしばしばこの過程の初期に発生し、疾患の進行に伴い悪化する。腎臓疾患の貧血の臨床上の結果は十分に記載されており、その例には、左心室肥大の発達、認知機能障害、生活の質の低下、および免疫機能の変化が含まれる[例えば、Levinら(1999年)、Am J Kidney Dis 27巻:347〜354頁;Nissenson(1992年)、Am J Kidney Dis 20巻(補遺1号):21〜24頁;Revickiら(1995年)、Am J Kidney Dis 25巻:548〜554頁;Gafterら(1994年)、Kidney Int 45巻:224〜231頁を参照のこと]。一部の実施形態において、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用して急性腎臓疾患もしくは慢性腎臓疾患または急性腎不全もしくは慢性腎不全に関連する貧血を処置することができた。
外傷または分娩後出血からなど、十分な量の急性失血によって生じる貧血は、急性出血後貧血として公知である。急性失血は、他の血液成分と共に比例的なRBC枯渇があるので、貧血を伴わない血液量減少を最初に引き起こす。しかし、血液量減少は、血管外から血管区画へ流体を移動させる生理学的機構を急速に引き起こし、血液希釈および貧血をもたらす。慢性であれば、失血により体内に貯蔵されている鉄が徐々に枯渇し、最終的に鉄欠乏症につながる。一部の実施形態において、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用して急性失血によって生じる貧血を処置することができた。
鉄欠乏性貧血は、中間段階として負の鉄均衡および鉄欠乏赤血球生成を含む、鉄欠乏増加の段階的進行の最終段階である。妊娠、不十分な食事、腸の吸収不良、急性または慢性の炎症および急性または慢性の血液喪失などの状態で例示されるように、鉄欠乏は、鉄要求の増加、鉄摂取の減少または鉄損失の増加から起こることがある。この型の軽度から中等度の貧血では、骨髄は低増殖性のままであり、RBC形態はほとんど正常である。しかし、軽度の貧血でさえ、多少の小球性淡色性RBCを生じることがあり、重度の鉄欠乏貧血への移行には、骨髄の過剰増殖およびますます増加する小球性および淡色性のRBCが付随する[例えば、Adamson(2008年)、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第17版;McGraw Hill、New York、628〜634頁を参照のこと]。鉄欠乏性貧血のための適当な療法は、その原因および重症度によって決まり、経口用鉄製剤、非経口鉄製剤およびRBC輸血が主要な従来の選択肢である。一部の実施形態において、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせて、使用して慢性鉄欠乏を処置することができた。
骨髄異形成症候群(MDS)とは、骨髄性血球生成の無効および急性骨髄性白血病への転換の危険性を特徴とする血液学的状態の多様な集合である。MDS患者では、血液幹細胞が、健常な赤血球、白血球、または血小板に成熟しない。MDS障害として、例えば、不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、過剰な芽球を有する不応性貧血、変形した過剰な芽球を有する不応性貧血、多系列異形成を有する不応性血球減少症、および孤発性5q染色体異常と関連する骨髄異形成症候群を含む。これらの障害は、造血細胞の量および質の両方における不可逆性の欠失として顕在化するので、MDS患者の大半は慢性貧血に罹患している。したがって、MDS患者は、赤血球レベルを高めるための、輸血および/または増殖因子(例えば、エリスロポエチンまたはG−CSF)による処置を最終的に必要とする。しかし、多くのMDS患者は、このような治療の頻度に起因する副作用を発症する。例えば、高頻度の赤血球輸血を施される患者は、余剰鉄の蓄積に由来する組織損傷および臓器損傷を呈し得る。したがって、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を使用して、MDSを有する患者を処置することができる。ある特定の実施形態では、MDSを患う患者は、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択で、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用して処置することができる。他の実施形態では、MDSを患う患者は、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体と、MDSを処置するための1つまたは複数の追加の治療剤であって、例えば、サリドマイド、レナリドミド、アザシチジン(azacitadine)、デシタビン、エリスロポエチン、デフェロキサミン、抗胸腺細胞グロブリン、およびフィルグラスチム(filgrastrim)(G−CSF)を含む治療剤との組み合わせを使用して処置することができる。
鉄動態研究に基づき、再生不良性貧血、出血、または末梢溶血とは元来識別される[例えば、Rickettsら(1978年)、Clin Nucl Med、3巻:159〜164頁を参照されたい]無効赤血球生成は、成熟RBCの生成が、骨髄中に存在する赤芽球系前駆体(赤芽球)の数が与えられたときに予測されるより少ない、多様な貧血群を説明している[Tannoら(2010年)、Adv Hematol、2010巻:358283頁]。このような貧血では、エリスロポエチンレベルの上昇にもかかわらず、成熟RBC生成の無効に起因して、組織低酸素症が遷延する。最終的には、エリスロポエチンレベルの上昇が赤芽球の大規模な増殖を駆動する悪循環が発生し、これは、髄外赤血球生成に起因する脾腫(脾臓の腫大)[例えば、Aizawaら(2003年)、Am J Hematol、74巻:68〜72頁を参照されたい]、赤芽球誘導性骨病態[例えば、Di Matteoら(2008年)、J Biol Regul Homeost Agents、22巻:211〜216頁を参照されたい]を潜在的にもたらし、治療的RBC輸血の非存在下においてもなお、組織鉄過負荷[例えば、Pippardら(1979年)、Lancet、2巻:819〜821頁を参照されたい]を潜在的にもたらす。したがって、赤血球生成の有効性を促進することにより、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、前述の悪循環を打破し、したがって、根底にある貧血だけでなく、エリスロポエチンレベルの上昇、脾腫、骨病態、および組織鉄過負荷といった関連する合併症も緩和することができる。一部の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を使用して、貧血およびEPOレベルの上昇のほか、脾腫、赤芽球誘導性骨病態、鉄過負荷、およびそれらの付随する病態などの合併症を含む、無効赤血球生成を処置または予防することができる。脾腫に関して、このような病態は、胸痛または腹痛および網内系過形成を含む。髄外造血は、脾臓内だけでなく、潜在的には他の組織内でも、髄外造血性偽腫瘍の形態で生じる場合がある[例えば、Musallamら(2012年)、Cold Spring Harb Perspect Med、2巻:a013482頁を参照されたい]。赤芽球誘導性骨病態に関して、付随する病態は、低骨塩密度、骨粗鬆症、および骨疼痛を含む[例えば、Haidarら(2011年)、Bone、48巻:425〜432頁を参照されたい]。鉄過負荷に関して、付随する病態は、ヘプシジン抑制および食餌中の鉄の過剰吸収[例えば、Musallamら(2012年)、Blood Rev、26巻(補遺1号):S16〜S19頁を参照されたい]、複数の内分泌障害および肝線維症/肝硬変[例えば、Galanelloら(2010年)、Orphanet J Rare Dis、5巻:11頁を参照されたい]、ならびに鉄過剰性心筋症[Lekawanvijitら、2009年、Can J Cardiol、25巻:213〜218頁]を含む。
無効赤血球生成の最も一般的な原因は、完全アルファヘモグロビン鎖の生成と完全ベータヘモグロビン鎖の生成との不均衡が赤芽球の成熟時におけるアポトーシスの増大をもたらす遺伝性異常ヘモグロビン症である、サラセミア症候群である[例えば、Schrier (2002年)、Curr Opin Hematol、9巻:123〜126頁を参照されたい]。サラセミアは総体として、世界中で最も高頻度の遺伝子障害であり、疫学的パターンを変化させながら、米国および全世界のいずれにおいても増大しつつある公衆衛生問題に寄与することが予測されている[Vichinsky(2005年)、Ann NY Acad Sci、1054巻:18〜24頁]。サラセミア症候群は、それらの重症度に応じて命名される。したがって、αサラセミアは、軽症型αサラセミア(αサラセミア形質としてもまた公知であり、2つのα−グロビン遺伝子が影響を受ける)、ヘモグロビンH症(3つのα−グロビン遺伝子が影響を受ける)、および重症型αサラセミア(胎児水腫としてもまた公知であり、4つのα−グロビン遺伝子が影響を受ける)を含む。βサラセミアは、軽症型βサラセミア(βサラセミア形質としてもまた公知であり、1つのβ−グロビン遺伝子が影響を受ける)、中間型βサラセミア(2つのβ−グロビン遺伝子が影響を受ける)、ヘモグロビンEサラセミア(2つのβ−グロビン遺伝子が影響を受ける)、および重症型βサラセミア(クーリー貧血としてもまた公知であり、2つのβ−グロビン遺伝子が影響を受ける結果として、β−グロビンタンパク質の完全な非存在がもたらされる)を含む。βサラセミアは、複数の機関に影響を及ぼし、無視できない罹患率および死亡率と関連し、現在のところ一生にわたるケアを必要とする。近年では、鉄のキレート化と組み合わせた定期的な輸血の使用に起因して、βサラセミアを有する患者の平均余命が延長されているが、輸血および消化管による鉄の吸収過剰の両方から生じる鉄過負荷は、心疾患、血栓症、性腺機能低下症、甲状腺機能低下症、糖尿病、骨粗鬆症、および骨減少症など、重篤な合併症を引き起こし得る[例えば、Rundら(2005年)、N Engl J Med、353巻:1135〜1146頁を参照されたい]。ある特定の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択で、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用して、サラセミア症候群を処置または予防することができる。
一部の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、任意選択で、EPO受容体活性化因子と組み合わせて、サラセミア症候群に加えて、無効赤血球生成による障害を処置するために使用することができる。このような障害は、鉄芽球性貧血(siderblastic anemia)(遺伝性または後天性);赤血球生成異常性貧血(I型およびII型);鎌状赤血球貧血;遺伝性球状赤血球症;ピルビン酸キナーゼ欠損症;葉酸欠損症(先天性疾患、摂取の減少、または要求量の増加に起因する)、コバラミン欠損症(先天性疾患、悪性貧血、吸収障害、膵臓機能不全、または摂取の減少に起因する)、ある特定の薬物、または説明されていない原因(先天性赤血球生成異常性貧血、不応性巨赤芽球性貧血、または赤白血病)などの状態により潜在的に引き起こされる巨赤芽球性貧血;例えば、骨髄線維症(骨髄化生)および骨髄ろうを含む骨髄ろう性貧血;先天性赤芽球性ポルフィリン症;ならびに鉛中毒を含む。
ある特定の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、無効赤血球生成のための支持療法と組み合わせて使用することができる。このような療法は、貧血を処置するための、赤血球または全血液による輸血を含む。慢性貧血または遺伝性貧血では、鉄ホメオスタシスのための正常な機構が輸血の反復で圧倒され、最終的には、心臓、肝臓、および内分泌腺などの主要組織において、毒性であり、潜在的に致死性である鉄の蓄積がもたらされる。したがって、無効赤血球生成に慢性的に罹患する患者のための支持療法はまた、尿および/または糞便への鉄の排出を促進し、これにより、組織鉄過負荷を予防するかまたは転導する、1つまたは複数の鉄キレート化分子による処置も含む[例えば、Hershko(2006年)、Haematologica、91巻:1307〜1312頁;Caoら(2011年)、Pediatr Rep、3巻(2号):e17頁を参照されたい]。有効な鉄キレート化剤は、触媒による、ヒドロキシルラジカルおよび酸化生成物の生成を介して、大半の鉄毒性の主因となる可能性が高い、非トランスフェリン結合鉄の酸化形態である第二鉄に選択的に結合し、これを中和することが可能であるべきである[例えば、Espositoら(2003年)、Blood、102巻:2670〜2677頁を参照されたい]。これらの作用因子は構造的に多様であるが、全てが、八面体の中和配位錯体を形成することが可能な酸素供与体原子または窒素供与体原子を保有し、個々の鉄原子は1:1(六座キレート化剤)、2:1(三座)、または3:1(二座)の当量比である[Kalinowskiら(2005年)、Pharmacol Rev、57巻:547〜583頁]。一般に、効果的な鉄キレート化剤はまた、比較的低分子量(例えば、700ダルトン未満)であり、水中および脂質中のいずれにおいても、罹患組織への接触を可能とする可溶性を有する。鉄キレート化分子の具体例は、毎日の非経口投与を必要とする、細菌起源の六座キレート化剤であるデフェロキサミン、ならびに経***性合成剤であるデフェリプロン(二座)およびデフェラシロクス(三座)を含む。2つの鉄キレート化剤の同日投与からなる組合せ療法は、キレート化単剤療法に対して不応性の患者において有望であり、また、デフェロキサミン(dereroxamine)単剤に対する患者の服薬遵守不良の問題の克服においても有望である[Caoら(2011年)、Pediatr Rep、3巻(2号):e17頁;Galanelloら(2010年)、Ann NY Acad Sci、1202巻:79〜86頁]。
本明細書で使用する場合、「〜と組み合わせて」または「併用投与」とは、追加的治療(例えば、第2、第3、第4など)が、体内でなおも効果的である(例えば、複数の化合物は、患者において同時に効果的であり、これは、これらの化合物の相乗効果を含み得る)ような、任意の投与形態を指す。有効性は、血中、血清中、または血漿中の作用因子の測定可能な濃度と相関しない場合もある。例えば、異なる治療用化合物は、同じ製剤において投与することもでき、別個の製剤において、共時的または逐次的に投与することもでき、異なるスケジュールで投与することもできる。したがって、このような処置を施される個体は、異なる治療の組み合わせ効果から利益を得ることができる。本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、1つまたは複数の他の追加の作用因子または支持療法と共時的に、これらの前に、またはこれらの後に投与され得る。一般に、各治療剤は、その特定の作用因子について決定された用量および/または時間スケジュールで投与される。レジメンにおいて利用する特定の組み合わせは、本開示のアンタゴニストの、治療および/または達成される所望の治療効果に対する適合性を考慮に入れる。
ある特定の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、無効赤血球生成のために、ヘプシジンまたはヘプシジンアゴニストと組み合わせて使用することができる。主に肝臓で生成される循環ポリペプチドであるヘプシジンは、吸収腸細胞、肝細胞、およびマクロファージに局在化する鉄排出タンパク質であるフェロポーチンの分解を誘導するその能力のために、鉄代謝の主要な調節因子であると考えられている。大まかに述べると、ヘプシジンは、細胞外における鉄の利用可能性を低減するので、ヘプシジンアゴニストは、無効赤血球生成の処置において有益であり得る[例えば、Nemeth(2010年)、Adv Hematol、2010巻:750643頁を参照されたい]。この視点は、βサラセミアのマウスモデルにおけるヘプシジン発現増大の有益な効果により裏付けられている[Gardenghiら(2010年)、J Clin Invest、120巻:4466〜4477頁]。
本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体はまた、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせて、小型(小球性)、特大(大赤血球性)、奇形または異常な色(淡色性)のRBCを部分的に特徴とする、無秩序なRBC成熟の貧血の処置にも適当である。
ある特定の実施形態では、本開示は、貧血を処置または予防することを必要とする個体において、個体に、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体、ならびにEPO受容体活性化因子の治療有効量を投与することにより、貧血を処置または予防する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用して、EPOの有害作用に感受性である患者において、これらの活性化因子の必要とされる用量を低減することができる。これらの方法は、患者の治療処理および予防処置のために使用することができる。
本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用して、特により低用量範囲のEPO受容体活性化因子で、赤血球の増加を達成することができる。これは、高用量のEPO受容体活性化因子と関連する、公知のオフターゲット効果および危険性を低減するのに有益であり得る。EPOの主要な有害作用は、例えば、ヘマトクリットレベルまたはヘモグロビンレベルの過剰な上昇および多血症を含む。ヘマトクリットレベルの上昇は、高血圧症(より特定すれば、高血圧症の悪化)および血管内血栓症をもたらし得る。報告されている他のEPOの有害作用であって、それらの一部が高血圧症と関連する有害作用は、頭痛、インフルエンザ様症候群、シャントの閉塞、心筋梗塞、および血栓症に起因する脳痙攣、高血圧性脳症、および赤血球無形成である。例えば、Singibarti(1994年)、J. Clin Investig、72巻(補遺6号):S36〜S43頁;Horlら(2000年)、Nephrol Dial Transplant、15巻(補遺4号):51〜56頁;Delantyら(1997年)、Neurology、49巻、686〜689頁;およびBunn(2002年)、N Engl J Med、346巻(7号)、522〜523頁を参照されたい。
本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体が、EPOとは異なる機構で作用するという条件で、これらのアンタゴニストは、EPOに十分に応答しない患者における赤血球レベルおよびヘモグロビンレベルを高めるために有用であり得る。例えば、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、通常用量〜増量用量(>300IU/kg/週)のEPOの投与が標的レベルまでのヘモグロビンレベルの増加をもたらさない患者に有益であり得る。不適切なEPO応答を有する患者は、全てのタイプの貧血において見られるが、より多い数の不応者が、がんを有する患者および末期の腎疾患を有する患者において特に頻繁に観察されている。EPOに対する不適切な応答は、構成的(EPOでの最初の処置の際に観察される)、または後天的(EPOでの反復処置の際に観察される)のいずれかであり得る。
特定の実施形態では、本開示は、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いて処置されているか、または処置される候補の患者を、その患者における1つまたは複数の血液学的パラメータを測定することによって管理するための方法を提供する。血液学的パラメータは、本開示のアンタゴニストを用いた処置の候補である患者に対する適切な投薬を評価するため、処置中に血液学的パラメータをモニタリングするため、本開示の1つまたは複数のアンタゴニストを用いた処置中に投薬量を調節するかどうかを評価するため、および/または本開示の1つまたは複数のアンタゴニストの適切な維持用量を評価するために使用され得る。1つまたは複数の血液学的パラメータが正常レベルの外側である場合、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた投薬は減少、延期または終了され得る。
本明細書中で提供される方法に従って測定され得る血液学的パラメータとしては、例えば、赤血球レベル、血圧、貯蔵鉄、および、当該分野で認識されている方法を使用する、赤血球レベルの増加と相関する体液中に見出される他の作用因子が挙げられる。そのようなパラメータは、患者からの血液試料を使用して決定され得る。赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、および/またはヘマトクリットレベルの増加により、血圧の上昇が引き起こされ得る。
一実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いて処置される候補である患者において、1つまたは複数の血液学的パラメータが正常範囲の外側、または正常の高値側である場合、そのときは、血液学的パラメータが自然にまたは治療介入によってのいずれかで正常または許容されるレベルに戻るまで、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投与の開始が延期され得る。例えば、候補の患者が高血圧または前高血圧である場合、そのときは、患者は、患者の血圧を低下させるために血圧降下剤を用いて処置され得る。個々の患者の状態に適した任意の血圧降下剤が使用され得、例えば、利尿薬、アドレナリンインヒビター(アルファ遮断薬およびベータ遮断薬を含む)、血管拡張薬、カルシウムチャネル遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、またはアンジオテンシンII受容体遮断薬が挙げられる。血圧は、食事および運動レジメンを使用して代替的に処置され得る。同様に、候補の患者が正常よりも低いか、または正常の低値側の貯蔵鉄を有する場合、そのときは、患者は、患者の貯蔵鉄が正常または許容されるレベルに戻るまで、適切な食事および/または鉄サプリメントのレジメンを用いて処置され得る。正常よりも高い赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルを有する患者に対して、そのときは、そのレベルが正常または許容されるレベルに戻るまで本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投与が延期され得る。
特定の実施形態では、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いて処置される候補である患者において、1つまたは複数の血液学的パラメータが正常範囲の外側、または正常の高値側である場合、そのときは、投与の開始が延期されないことがある。しかし、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投薬量または投薬の頻度は、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体が投与されると上昇する血液学的パラメータの許容されない増加リスクを低下させる量に設定され得る。あるいは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体と、望ましくないレベルの血液学的パラメータに対処する治療剤を組み合わせた治療レジメンが患者のために開発され得る。例えば、患者の血圧が上昇している場合、治療レジメンは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体および血圧降下剤の投与を含めて設計され得る。所望より低い貯蔵鉄を有する患者について、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体および鉄の補給の治療レジメンが開発され得る。
一実施形態では、1つまたは複数の血液学的パラメータについてのベースラインパラメータは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いて処置される候補である患者に対して確立され得、適切な投薬レジメンが、ベースライン値に基づいて患者に対して確立される。あるいは、患者の病歴に基づいて確立されたベースラインパラメータが、患者に対して適切な投薬レジメンを通知するために使用され得る。例えば、健康な患者が、規定の正常範囲を超える確立された血圧のベースライン数値を有する場合、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーヘテロ多量体複合体を用いた処置の前に、その患者の血圧を一般集団について正常だとみなされる範囲に至らせる必要がないことがあり得る。患者の、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた処置前の1つまたは複数の血液学的パラメータのベースライン値は、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた処置中の、血液学的パラメータの任意の変化をモニタリングするための関連性のある比較値としても使用され得る。
特定の実施形態では、1つまたは複数の血液学的パラメータは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いて処置されている患者において測定される。血液学的パラメータは、処置中の患者をモニタリングし、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた投薬または別の治療剤を用いた追加の投薬の調節または終了を可能にするために使用され得る。例えば、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投与によって血圧、赤血球レベル、またはヘモグロビンレベルが上昇したか、または貯蔵鉄が減少した場合、そのときは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の用量は、1つまたは複数の血液学的パラメータに対する本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の作用を減少させるために、その量または頻度が減少され得る。本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投与によって、患者にとって不都合な1つまたは複数の血液学的パラメータの変化が生じた場合、そのときは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投薬は、一時的に、血液学的パラメータが許容されるレベルに戻るまでか、または永久に、のいずれかで終了され得る。同様に、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の投与の用量または頻度を減らした後、1つまたは複数の血液学的パラメータが許容される範囲内に至らない場合、そのときは、投薬は終了され得る。本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた投薬を減らすかまたは終了する代わりに、またはそれに加えて、患者は、血液学的パラメータの望ましくないレベルに対処する追加の治療剤、例えば、血圧降下剤または鉄のサプリメントなどが投薬され得る。例えば、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いて処置されている患者の血圧が上昇している場合、そのときは、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた投薬は同じレベルで継続され得、および処置レジメンに血圧降下剤が追加されるか、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた投薬は減らされ得(例えば、量および/または頻度について)、および処置レジメンに血液降下剤が追加されるか、または、本開示の1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を用いた投薬は終了され得、および患者は血圧降下剤を用いて処置され得る。
6.薬学的組成物
ある特定の態様では、本開示のTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体は、単独で投与することもでき、医薬製剤(治療用組成物または薬学的組成物とも称される)の成分として投与することもできる。医薬製剤とは、その中に含有される活性成分(例えば、本開示の作用因子)の生物活性が効果的であることを可能とするような形態にあり、製剤が投与される対象に対して許容不可能に毒性である、さらなる成分を含有しない調製物を指す。本主題の化合物は、ヒト医療または獣医療における使用のために好都合な任意の方式における投与のために製剤化され得る。例えば、本開示の1つまたは複数の作用因子は、薬学的に許容されるキャリアと共に製剤化することができる。薬学的に許容されるキャリアとは、医薬製剤中の、活性成分以外の成分であって、対象に対して一般に非毒性である成分を指す。薬学的に許容されるキャリアは、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、および/または保存剤を含むがこれらに限定されない。一般に、本開示における使用のための医薬製剤は、対象に投与されるとき、発熱物質非含有であり、生理学的に許容される形態にある。本明細書に記載のもの以外の治療的に有用な作用因子であって、任意選択で、上記の製剤中に含まれ得る作用因子を、本開示の方法における主題の作用因子と組み合わせて投与することができる。
ある特定の実施形態では、組成物は、非経口投与される[例えば、静脈内(I.V.)注射、動脈内注射、骨内注射、筋内注射、髄腔内注射、皮下注射、または皮内注射により]。非経口投与に適する薬学的組成物は、本開示の1つまたは複数の作用因子を、1つまたは複数の薬学的に許容される無菌かつ等張の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルジョン、または使用直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散液へと再構成され得る無菌粉末と組み合わせて含み得る。注射可能な溶液または分散液は、抗酸化物質、緩衝剤、静菌剤、懸濁剤、増粘剤、または製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る。本開示の医薬製剤において利用され得る、適切な水性および非水性のキャリアの例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば、オリーブ油)、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、およびこれらの適切な混合物を含む。適正な流動性は、例えば、コーティング材料(例えば、レシチン)の使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒子径の維持によって、および、界面活性剤の使用によって維持することができる。
一部の実施形態では、本開示の治療法は、インプラントもしくはデバイスから薬学的組成物を全身投与または局所投与する工程を包含する。さらに、薬学的組成物は、カプセル化され得、または、標的組織部位(例えば、骨髄または筋肉)へと送達するための形態で注射され得る。特定の実施形態では、本開示の組成物は、標的組織部位(例えば、骨髄または筋肉)に本開示の1つまたは複数の作用因子を送達し得、成長中の組織のための構造を提供し得、そして、最適には身体内へと再吸収され得るマトリクスを含み得る。例えば、マトリクスは、本開示の1つまたは複数の作用因子の遅速放出を提供し得る。このようなマトリクスは、他の移植医療用途に現在使用される材料から形成され得る。
マトリクス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、見かけ上の様相および界面の特性のうちの1つまたは複数に基づいてもよい。本主題の組成物の特定の用途が、適切な製剤を画定する。組成物のための可能性のあるマトリクスは、生分解性でかつ化学的に画定された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ無水物であり得る。他の可能性のある材料は、生分解性でかつ生物学的に十分に画定されたもの(例えば、骨または皮膚のコラーゲンが挙げられる)である。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクスの成分から構成される。他の可能性のあるマトリクスは、非生分解性でかつ化学的に規定されたもの(例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオグラス、アルミン酸塩、または他のセラミクスが挙げられる)である。マトリクスは、上述のタイプの材料のいずれかの組み合わせ(例えば、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイト、または、コラーゲンおよびリン酸三カルシウム)を含み得る。バイオセラミクスは、組成物(例えば、カルシウム−アルミン酸−リン酸)中で変化され得、孔径、粒子径、粒子の形状および生分解性のうちの1つまたは複数を変更するように加工され得る。
ある特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、局所投与することができる。「局所適用」または「局所」とは、医薬組成物の体表面(例えば、皮膚、創傷部位、および粘膜)との接触を意味する。局所用医薬組成物は、多様な適用形態を有することが可能であり、典型的には、組成物の局所投与時に組織に近接または直接接触して配置されるように適応される薬物含有層を含む。局所投与に適する医薬組成物は、本開示の、液体、ゲル、クリーム、ローション、軟膏、フォーム、ペースト、パテ、半固形、または固形として組み合わせて製剤化されたTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体を含み得る。液体形態、ゲル形態、クリーム形態、ローション形態、軟膏形態、フォーム形態、ペースト形態、またはパテ形態の組成物は、組成物を、標的組織上に塗り伸ばすか、スプレーするか、スミアリングするか、ダビングするか、またはローリングすることにより適用することができる。組成物はまた、滅菌包帯、経皮パッチ、プラスター、およびバンデージへと含浸させることもできる。パテ形態、半固形形態または固形形態の組成物は、可塑性であり得る。それらは、伸縮性または非伸縮性(例えば、可撓性または剛性)であり得る。ある特定の態様では、組成物は、複合物の一部を形成し、組成が同じであるか、または異なる繊維、微粒子、または多重層を含み得る。
液体形態の局所用組成物は、薬学的に許容される溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、および懸濁液を含み得る。有効成分に加えて、液体剤形は、当該分野において一般に使用される不活性の希釈剤であって、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および/もしくは乳化剤[例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、または1,3−ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物]を含む希釈剤を含有し得る。
局所用のゲル、クリーム、ローション、軟膏、半固形または固形組成物は、多糖、合成ポリマーまたはタンパク質ベースのポリマーなどの1つまたは複数の増粘剤を含み得る。本発明の一実施形態では、本明細書のゲル化剤は、適切に非毒性であり、所望の粘性をもたらすゲル化剤である。増粘剤として、ビニルピロリドン、メタクリルアミド、アクリルアミドN−ビニルイミダゾール、カルボキシビニル、ビニルエステル、ビニルエーテル、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ビニルアルコール、アクリル酸ナトリウム、アクリレート、マレイン酸、NN−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、Pluronic、コラーゲン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニレン、ポリビニルシリケート、糖(例えば、スクロース、グルコース、グルコサミン、ガラクトース、トレハロース、マンノース、またはラクトース)で置換されたポリアクリレート、アシルアミドプロパンスルホン酸、テトラメトキシオルトシリケート、メチルトリメトキシオルトシリケート、テトラアルコキシオルトシリケート、トリアルコキシオルトシリケート、グリコール、プロピレングリコール、グリセリン、多糖、アルギネート、デキストラン、シクロデキストリン、セルロース、修飾セルロース、酸化セルロース、キトサン、キチン、グアーガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、イヌリン、デンプン、修飾デンプン、アガロース、メチルセルロース、植物ガム、ヒアルロナン(hylaronans)、ハイドロゲル、ゼラチン、グリコサミノグリカン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、低メトキシペクチン、架橋デキストラン、デンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムデンプン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニレン、ポリエチルビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアルカノエート、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、スルホン化ハイドロゲル、AMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、SEM(スルホエチルメタクリレート)、SPM(スルホプロピルメタクリレート)、SPA(スルホプロピルアクリレート)、N,N−ジメチル−N−メタクリロキシエチル−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、メタクリル酸アミドプロピル−ジメチルアンモニウムスルホベタイン、SPI(イタコン酸−ビス(1−プロピルスルホン酸(sulfonizacid)−3)エステル二カリウム塩)、イタコン酸、AMBC(3−アクリルアミド−3−メチルブタン酸)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート(アクリル酸二量体)、およびマレイン酸無水物−メチルビニルエーテルポリマー、これらの誘導体、これらの塩、これらの酸、ならびにこれらの組合せによる、ポリマー、コポリマー、および単量体が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、本開示の薬学的組成物は、例えば、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、ロゼンジ(スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの矯味矯臭基材を使用する)、散剤、顆粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、水中油もしくは油中水の液体エマルジョン、またはエリキシルもしくはシロップ、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基材を使用する)、かつ/またはマウスウォッシュの形態で経口投与することもでき、各々が、所定量の、本開示の化合物と、任意選択で、1つまたは複数の他の活性成分とを含有する。本開示の化合物と、任意選択で、1つまたは複数の他の活性成分とはまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとしても投与することができる。
経口投与のための固体投薬形態(例えば、カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤および顆粒剤)において、本開示の1または複数の化合物は、1または複数の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア)、湿潤剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、アガー−アガー、炭酸カルシウム、ポテトもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶液抑制因子(solution retarding agent)(例えば、パラフィン)、吸収加速剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、加湿剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸着剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ)、潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤およびこれらの混合物を含む)と共に混合され得る。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、医薬製剤(組成物)はまた、緩衝剤も含み得る。また、同様の種類の固形組成物も、例えば、ラクトースまたは乳糖のほか、高分子量ポリエチレングリコールを含む、1つまたは複数の賦形剤を使用して、軟充填ゼラチンカプセル中および硬充填ゼラチンカプセル中の充填剤として利用することができる。
薬学的組成物の経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性成分に加え、液体投薬形態は、当該分野で一般に用いられる不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒が挙げられる)、可溶化剤および/または乳化剤[例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物]を含み得る。不活性な希釈剤に加え、経口用組成物はまた、例えば、加湿剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、芳香剤、保存剤およびこれらの組み合わせを含む佐剤を含み得る。
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー−アガー、トラガント、およびこれらの組み合わせを含む懸濁剤を含有し得る。
微生物の作用および/または増殖の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、およびソルビン酸フェノールを含む、種々の抗細菌剤および抗真菌剤を組み入れることにより確保することができる。
ある特定の実施形態では、例えば、糖、または塩化ナトリウムを含む等張化剤を組成物中に組み入れることも望ましいと考えられる。加えて、注射可能な医薬形態の吸収の遅延も、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含む、吸収を遅延させる作用因子を組み入れることにより、もたらすことができる。
投薬レジメンは、本開示の1つまたは複数の作用因子の作用を修飾する種々の要因を考慮して主治医によって決定されることが理解される。赤血球の形成を促進するTGF−βスーパーファミリー受容体シングルアームヘテロ多量体複合体の場合では、種々の要因として、患者の赤血球数、ヘモグロビンレベル、所望の標的赤血球数、患者の年齢、患者の性別、および患者の食餌、赤血球レベルの低下に寄与し得る任意の疾患の重症度、投与時間、ならびに他の臨床的要因が挙げられ得るがこれらに限定されない。他の公知の活性の作用因子の、最終組成物への添加もまた、投与量に影響を及ぼし得る。進行は、赤血球レベル、ヘモグロビンレベル、網状赤血球レベル、および造血プロセスの他の指標のうちの1つまたは複数の定期的な評価によりモニタリングすることができる。
特定の実施形態では、本開示はまた、本開示の1つまたは複数の作用因子のインビボ産生のための遺伝子治療を提供する。このような治療は、上に列挙したような障害のうち1つまたは複数を有する細胞または組織中に作用因子配列を導入することによってその治療作用を達成する。作用因子配列の送達は、例えば、キメラウイルスのような組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を用いることによって達成され得る。本開示の1つまたは複数の作用因子配列の好ましい治療的送達は、標的化されたリポソームの使用である。
本明細書中で教示されるような遺伝子治療に利用され得る種々のウイルスベクターとしては、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、RNAウイルス(例えば、レトロウイルス)が挙げられる。レトロウイルスベクターは、マウスもしくはトリのレトロウイルスの誘導体であり得る。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルスベクターの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベーマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。多数のさらなるレトロウイルスベクターが多数の遺伝子を組み込み得る。これらのベクターは全て、形質導入された細胞が同定および生成され得るように、選択マーカーについての遺伝子を移送または組み込み得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を付着させることによって、標的特異的とされ得る。好ましい標的化は、抗体を用いて達成される。当業者は、本開示の1つまたは複数の作用因子を含むレトロウイルスベクターの標的特異的な送達を可能にするために、特定のポリヌクレオチド配列がレトロウイルスゲノム中に挿入され得るか、または、ウイルスエンベロープに付着され得ることを認識する。
あるいは、組織培養細胞は、従来のリン酸カルシウムトランスフェクション法によって、レトロウイルスの構造遺伝子(gag、polおよびenv)をコードするプラスミドを用いて直接トランスフェクトされ得る。これらの細胞は、次いで、関心のある遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトされる。得られた細胞は、培養培地中にレトロウイルスベクターを放出する。
本開示の1つまたは複数の作用因子のための別の標的化送達システムは、コロイド分散系である。コロイド分散系としては、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズおよび脂質ベースの系(水中油エマルジョン、ミセル、混合型ミセルおよびリポソームを含む)が挙げられる。特定の実施形態において、本開示の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボで送達ビヒクルとして有用な人工の膜小胞である。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンが、水性の内部に封入され得、そして、生物学的に活性な形態で細胞へと送達され得る。例えば、Fraleyら(1981年)、Trends Biochem. Sci.、6巻:77頁を参照。リポソームビヒクルを用いた効率的な遺伝子移入のための方法は当該分野で公知である。例えば、Manninoら(1988年)、Biotechniques、6巻:682頁、1988を参照。
リポソームの組成は通常、リン脂質の組み合わせであり、ステロイド(例えば、コレステロール)を含み得る。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。また、他のリン脂質または他の脂質であって、例えば、ホスファチジル化合物(例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシド)、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンを含むリン脂質または脂質も使用することができる。例えば、器官特異性、細胞特異性および細胞小器官特異性に基づいたリポソームの標的化もまた可能であり、当該分野で公知である。
本発明は、ここで、一般的に記載されるが、単に特定の実施形態および本発明の実施形態を例示する目的のために含められ、本発明を限定することは意図されない以下の実施例を参照するとより容易に理解される。
実施例1.シングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体の生成および特徴付け
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームActRIIB−Fc異種複合体であって、ヒトActRIIBの細胞外ドメインが、リンカーが細胞外ドメインと別個のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインに融合された複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびActRIIB−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。
ActRIIB−Fc:ActRIIB−FcまたはFc:Fcホモ二量体の複合体よりむしろActRIIB:Fc異種複合体の形成を促進するための方法は、非対称異種複合体の形成を誘導するためにFcドメインのアミノ酸配列に変更を導入する。Fcドメインを使用して非対称相互作用ペアを作製するための多くの異なるアプローチが、本開示において記載される。
1つのアプローチでは、それぞれ配列番号104〜106および137〜139のActRIIB−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。ActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドは、それぞれ、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー:
MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号100)
を利用する。
ActRIIB−Fcポリペプチド配列(配列番号104)は以下に示される:
リーダー(シグナル)配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ActRIIB−Fc:ActRIIB−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(酸性アミノ酸をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるようにActRIIB融合タンパク質のFcドメインに導入され得る。配列番号104のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端リジン(K)が除去されて提供されてもよい。
このActRIIB−Fc融合ポリペプチドは以下の核酸配列(配列番号105)にコードされる:
成熟ActRIIB−Fc融合ポリペプチド(配列番号106)は、以下の通りであり、任意選択で、リジン(K)がC末端に付加されて提供されてもよい。
相補的ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号137)は、TPAリーダーを利用し、以下の通りである:
リーダー配列に下線を付し、Fcポリペプチドの任意選択のN末端伸長は、二重下線によって示される。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性残基で置き換える)が、上の二重下線で示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号137のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
この相補的Fcポリペプチドは、以下の核酸(配列番号138)にコードされる。
成熟単量体Fcポリペプチドの配列は、以下の通りであり(配列番号139)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号106および配列番号139のActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ActRIIB−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用してヘテロ多量体複合体の形成を促進する別のアプローチでは、Fcドメインは、それぞれ、配列番号403−404および425−426のActRIIB−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合、を導入するように変更されている。
ActRIIB−Fcポリペプチド配列(配列番号403)は、TPAリーダーを利用し、以下に示される:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合タンパク質のFcドメインに導入され得る。アミノ酸配列of配列番号403は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ActRIIB−Fc融合ポリペプチドは以下の通りである:
単量体Fcポリペプチド(配列番号425)の相補的形態はTPAリーダーを使用し、以下の通りである。
リーダー配列に下線を付し、Fcポリペプチドの任意選択のN末端伸長は、二重下線によって示される。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろActRIIB−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号425のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟単量体Fcポリペプチド配列(配列番号426)は、以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号404および配列番号426のActRIIB−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ActRIIB−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のActRIIB−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
BiacoreTMベースの結合アッセイを使用して、上で記載したシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体の複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIB−Fcホモ二量体の複合体のリガンド結合選択性と比較した。シングルアームActRIIB−Fcおよびホモ二量体のActRIIB−Fcは、独立に、抗Fc抗体を使用してシステムに捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表にまとめ、ここで、典型的には最も有効なリガンドトラップと関連するリガンドのオフ速度(k)を、グレーの影で表示する。
これらの比較結合データは、シングルアームActRIIB−Fcが、ホモ二量体のActRIIB−Fcより優れたリガンド選択性を有することを実証するActRIIB−Fcホモ二量体は5つの重要なリガンド(図6のアクチビンA、アクチビンB、BMP10、GDF8、およびGDF11のクラスターを参照のこと)に強く結合するが、シングルアームActRIIB−Fcはこれらのリガンド間をよりたやすく識別する。したがって、シングルアームActRIIB−Fcは、アクチビンBおよびGDF11に強く結合し、GDF8およびアクチビンAに中程度の強度で結合する。ActRIIB−Fcホモ二量体とさらに対照的に、シングルアームActRIIB−Fcは、BMP10には弱い結合を提示するに過ぎず、BMP9には結合しない。図6を参照のこと。
したがって、これらの結果は、シングルアームActRIIB−Fcが、ActRIIB−Fcホモ二量体より選択的なアンタゴニストであることを実証する。したがって、シングルアームActRIIB−Fcは、そのような選択的アンタゴニズムが有利であるある特定の適用において、ActRIIB−Fcホモ二量体より有用である。例として、1つまたは複数のアクチビンA、アクチビンB、GDF8、およびGDF11のアンタゴニズムを保持するが、BMP9、BMP10、BMP6、およびGDF3の1つまたは複数のアンタゴニズムは最小化することが所望される治療適用が挙げられる。前者の群のリガンドの選択的阻害は、後者の群およびその関連する臨床状態のセットと機能的に異なる傾向があるサブファミリーを構成するため、治療上特に有利である。
実施例2.シングルアームALK3−Fcヘテロ二量体の生成および特徴付け
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK3の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK3−Fcヘテロ二量体の複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK3−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。
シングルアームALK3−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号122−124および140−142のALK3−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK3−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK3−Fc:ALK3−FcまたはFc:FcのいずれかよりむしろALK3−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合タンパク質のFcドメインに導入され得る。配列番号122のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK3−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号123)にコードされる。
成熟ALK3−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号124)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
相補的ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)はTPAリーダーを利用し、以下の通りである:
リーダー配列に下線を付し、Fcポリペプチドの任意選択のN末端伸長は、二重下線によって示される。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK3−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
この相補的Fcポリペプチドは、以下の核酸(配列番号141)にコードされる。
成熟単量体Fcポリペプチドの配列は、以下の通りであり(配列番号142)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号124および配列番号142のALK3−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK3−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号415〜416および427〜428のALK3−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK3−Fc融合ポリペプチド(配列番号415)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK3−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK3融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号415のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK3−Fc融合ポリペプチド(配列番号416)は、以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダー配列に下線を付し、Fcポリペプチドの任意選択のN末端伸長は、二重下線によって示される。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK3−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟単量体Fcポリペプチドの配列は、以下の通りであり(配列番号428)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号416および配列番号428のALK3−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK3−Fc:Fcを含むシングルアーム異種複合体が得られ得る。
種々のALK3−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
BiacoreTMベースの結合アッセイを使用して、上で記載したシングルアームALK3−Fcヘテロ二量体の複合体のリガンド結合選択性を、ALK3−Fcホモ二量体の複合体のリガンド結合選択性と比較した。シングルアームALK3−Fcおよびホモ二量体のALK3−Fcは、独立に、抗Fc抗体を使用してシステムに捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表にまとめ、ここで、典型的には最も有効なリガンドトラップと関連するリガンドのオフ速度(k)を、グレーの影で表示する。
これらの比較結合データは、シングルアームALK3−Fcが、ホモ二量体のALK3−Fcより優れたリガンド選択性を有することを指し示す。シングルアームのALK3−Fcヘテロ二量体は、ALK3−Fcホモ二量体について観察されるBMP4への例外的に緊密な結合を保持する一方で、BMP2への結合強度の低減を呈示するので、ALK3−Fcホモ二量体よりBMP4と、BMP2との間を良好に識別する(依然として強い結合剤であるが)。シングルアームのALK3−Fcはまた、BMP5(中程度の結合)、GDF7(弱い結合)、およびGDF6(結合なし)の間を、これら3つのリガンドにほぼ同様の強度(全て中程度)で結合するALK3−Fcホモ二量体と比較して、良好に識別する。図7を参照のこと。実施例1に記載された構築物と異なり、シングルアームALK3−Fcもホモ二量体のALK3−Fcも、アクチビン、GDF8、GDF11、またはBMP10に結合しない。
したがって、これらの結果は、シングルアームALK3−Fcが、ALK3−Fcホモ二量体より選択的なBMP4のアンタゴニストであることを指し示す。シングルアームALK3−Fcは、ALK3−Fcホモ二量体と比較して、よりターゲッティングされた様式で(BMP2またはBMP5、特にGDF6またはGDF7の共時的なアンタゴニズム由来の効果を低減して)BMP4をアンタゴナイズすると予測することができる。したがって、シングルアームALK3−Fcは、そのような選択的アンタゴニズムが有利であるある特定の適用において、ALK3−Fcホモ二量体より有用である。例として、BMP4、BMP2および潜在的にBMP5の1つまたは複数のアンタゴニズムを保持するが、BMP6、GDF6、およびGDF7の1つまたは複数のアンタゴニズムは最小化することが所望される治療適用が挙げられる。
実施例3.シングルアームActRIIA−Fcヘテロ二量体の生成および特徴付け
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトActRIIAの細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームActRIIA−Fcヘテロ二量体の複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびActRIIA−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。
シングルアームActRIIA−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号101〜103および137〜139のActRIIA−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ActRIIA−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ActRIIA−Fc:ActRIIA−FcまたはFc−Fc)のいずれかよりむしろActRIIA−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号101のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
このActRIIA−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号102)にコードされる。
成熟ActRIIA−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号103)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号137)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろActRIIA−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性残基で置き換える)を、単量体Fcポリペプチドに導入することができる。配列番号137のアミノ酸配列は、任意選択で、C末端リジンなしで提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号138の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号139)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号103および配列番号139のActRIIA−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ActRIIA−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号401〜402および425〜426のActRIIA−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ActRIIA−Fc融合ポリペプチド(配列番号401)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろActRIIA−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるようにActRIIA融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号401のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ActRIIA−Fc融合ポリペプチド(配列番号402)は、以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号425)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろActRIIA−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号425および成熟G1Fcポリペプチド(配列番号426)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号402および配列番号426のActRIIA−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ActRIIA−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のActRIIA−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
BiacoreTMベースの結合アッセイを使用して、上で記載したシングルアームActRIIA−Fcヘテロ二量体の複合体のリガンド結合選択性を、ActRIIA−Fcホモ二量体の複合体のリガンド結合選択性と比較した。シングルアームActRIIA−Fcおよびホモ二量体のActRIIA−Fcは、独立に、抗Fc抗体を使用してシステムに捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表にまとめ、ここで、典型的には最も有効なリガンドトラップと関連するリガンドのオフ速度(k)を、グレーの影で表示する。
これらの比較結合データは、シングルアームActRIIA−Fcが、ホモ二量体のActRIIA−Fcとは異なるリガンド選択性(シングルアームActRIIB−FcまたはホモマーActRIIB−Fcとも異なる-実施例1を参照)を有することを指し示す。ActRIIA−Fcホモ二量体が、アクチビンBへの優先的な結合を、アクチビンAおよびGDF11への強い結合と合わせて呈示するのに対し、シングルアームのActRIIA−Fcは、アクチビンBを上回るアクチビンAに対する逆転した優先性を、GDF11(弱い結合剤)を上回るアクチビンAに対する大幅に増強された選択性と合わせて有する。図8を参照のこと。加えて、シングルアームActRIIA−Fcは、ActRIIA−Fcホモ二量体で観察されるGDF8およびBMP10に対する中程度の結合を大部分保持する。
これらの結果は、シングルアームActRIIA−Fcヘテロ二量体が、ActRIIA−Fcホモ二量体と比較して実質的に変更されたリガンド選択性を有するアンタゴニストであることを指し示す。したがって、シングルアームActRIIA−Fcは、そのようなアンタゴニズムが有利であるある特定の適用において、ActRIIA−Fcホモ二量体より有用である。例として、アクチビンBより優先的にアクチビンAをアンタゴナイズする一方、GDF11のアンタゴニズムは最小化することが所望される治療適用が挙げられる。
まとめると、前記実施例は、I型またはII型受容体ポリペプチドは、シングルアーム異種タンパク質複合体の文脈に置かれると、ホモマータンパク質複合体のいずれの種類と比較しても変更された選択性を呈する新規の結合ポケットを形成し、治療剤として使用可能な新規のタンパク質作用因子の形成を可能とすることを実証する。
実施例4.シングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体の生成および特徴付け
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトBMPRIIの細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体の複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびBMPRII−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、BMPRIIアイソフォームA(配列番号72)の細胞外ドメインを含む追加のシングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体の複合体も構想する。
シングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号107−109および137−139のBMPRII−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
BMPRII−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(BMPRII−Fc:BMPRII−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろBMPRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号107のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
このBMPRII−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号108)にコードされる。
成熟BMPRII−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号109)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号137)の相補的形態はTPAリーダーを使用し、任意選択のN末端伸長を組み込む。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろBMPRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性残基で置き換える)を、単量体Fcポリペプチドに導入することができる。配列番号137のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチド配列番号138の核酸にコードされる)および成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号139)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号103および配列番号139のBMPRII−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、BMPRII−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号405〜406および425〜426のBMPRII−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
BMPRII−Fc融合ポリペプチド(配列番号405)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろBMPRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるようにBMPRII融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号405のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟BMPRII−Fc融合ポリペプチド(配列番号406)は、以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号425)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろBMPRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号425および成熟Fcポリペプチド(配列番号426)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号406および配列番号426のBMPRII−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、BMPRII−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のBMPRII−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
BiacoreTMベースの結合アッセイを使用して、上で記載したシングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体の複合体のリガンド結合選択性を、BMPRII−Fcホモ二量体の複合体のリガンド結合選択性と比較した。シングルアームBMPRII−Fcおよびホモ二量体のBMPRII−Fcは、独立に、抗Fc抗体を使用してシステムに捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表にまとめる。
これらの比較結合データは、シングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体が、BMPRII−Fcホモ二量体によって結合されるリガンドのサブセットに対する結合のみ保持することを指し示す。特に、シングルアームBMPRII−Fcヘテロ二量体は、BMP10およびBMP15への結合を保持する一方、BMP9への結合は本質的に排除される。
実施例5.シングルアームMISRII−Fcヘテロ二量体の生成
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトMISRIIの細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームMISRII−Fcヘテロ二量体の複合体の構築を構想する。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびMISRII−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、MISRIIアイソフォーム2または3(配列番号76、80)の細胞外ドメインを含む追加のシングルアームMISRII−Fcヘテロ二量体の複合体も構想する。
シングルアームMISRII−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号110〜112および137〜139のMISRII−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
MISRII−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(MISRII−Fc:MISRII−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろMISRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号110のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟MISRII−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号112)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号137)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろMISRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性残基で置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号137のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号138の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号139)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号112および配列番号139のMISRII−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、MISRII−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号407〜408および425〜426のMISRII−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
MISRII−Fc融合ポリペプチド(配列番号407)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろMISRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるようにMISRII融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号407のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟MISRII−Fc融合ポリペプチド(配列番号408)は、以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号425)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろMISRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号425および成熟Fcポリペプチド(配列番号426)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号408および配列番号426のMISRII−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、MISRII−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のMISRII−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
実施例6.シングルアームTGFβRII−Fcヘテロ二量体の生成および特徴付け
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトTGFβRII(短いアイソフォーム、配列番号43)の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームTGFβRII−Fcヘテロ二量体の複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびTGFβRII−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、TGFβRIIアイソフォームA(配列番号68)の細胞外ドメインを含む追加のシングルアームTGFβRII−Fc複合体、ならびに基準のTGFβRII(短いアイソフォーム、配列番号43)またはTGFβRIIアイソフォームA(配列番号68)の細胞外ドメインが、本明細書に記載されるようなTGFβRIIアイソフォームCに由来する36アミノ酸挿入(配列番号95)を含むシングルアームTGFβRII−Fc複合体も構想する。
シングルアームTGFβRII−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号113〜115および137〜139のTGFβRII−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
TGFβRII−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(TGFβRII−Fc:TGFβRII−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろTGFβRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号113のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
このTGFβRII−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号114)にコードされる。
成熟TGFβRII−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号115)、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号137)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろTGFβRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性残基で置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号137のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号138の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号139)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号115および配列番号139のTGFβRII−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、TGFβRII−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号409−410および425−426のTGFβRII−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
TGFβRII−Fc融合ポリペプチド(配列番号409)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろTGFβRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、上の二重下線で示されるようにTGFβRII融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号409のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟TGFβRII−Fc融合ポリペプチド(配列番号410)は以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例1で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号425)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろTGFβRII−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号425および成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号426)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号410および配列番号426のTGFβRII−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、TGFβRII−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のTGFβRII−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
BiacoreTMベースの結合アッセイを使用して、上で記載したシングルアームTGFβRII−Fcヘテロ二量体の複合体のリガンド結合選択性を、TGFβRII−Fcホモ二量体の複合体のリガンド結合選択性と比較した。シングルアームTGFβRII−Fcおよびホモ二量体のTGFβRII−Fcは、独立に、抗Fc抗体を使用してシステムに捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表にまとめる。
実施例7.シングルアームALK1−Fcヘテロ二量体の生成および特徴付け
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK1の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK1−Fcヘテロ二量体の複合体を構築した。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK1−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。
シングルアームALK1−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号116〜118および140〜142のALK1−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK1−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK1−Fc:ALK1−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろALK1−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号116のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK1−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号117)にコードされる。
成熟ALK1−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号118)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK1−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号141の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号142)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号118および配列番号142のALK1−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK1−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合タンパク質を使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号411−412および427−428のALK1−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK1−Fc融合ポリペプチド(配列番号411)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK1−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK1融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号411のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK1−Fc融合ポリペプチド(配列番号412)は以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK1−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427および成熟Fcポリペプチド(配列番号428)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号412および配列番号428のALK1−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK1−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のALK1−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
BiacoreTMベースの結合アッセイを使用して、上で記載したシングルアームALK1−Fcヘテロ二量体の複合体のリガンド結合選択性を、ALK1−Fcホモ二量体の複合体のリガンド結合選択性と比較した。シングルアームALK1−Fcおよびホモ二量体のALK1−Fcは、独立に、抗Fc抗体を使用してシステムに捕捉させた。リガンドを注入し、捕捉された受容体タンパク質上に流した。結果を以下の表にまとめ、ここで、典型的には最も有効なリガンドトラップと関連するリガンドのオフ速度(k)を、グレーの影で表示する。
これらの比較結合データは、シングルアームALK1−Fcは、ホモ二量体のALK1−Fcと比較して変更されたリガンド選択性を有することを指し示す。シングルアームALK1−FRcは、ホモ二量体のALK1−Fcで観察されるBMP10に対する強い結合を保持する一方、シングルアームALK1−Fcに対するBMP9のオフ速度は、ホモ二量体のAK1−Fcに対する結合のオフ速度よりおよそ10倍速いため、ALK1−Fcホモ二量体ほどBMP9に緊密に結合しない。これらの結果は、シングルアームALK1−Fcが、ActRIIB−Fcホモ二量体より選択的なアンタゴニストであることを指し示す。したがって、シングルアームALK1−Fcは、そのような選択的アンタゴニズムが有利であるある特定の適用において、ホモ二量体のALK1−Fcより有用である。例として、BMP10のアンタゴニズムを保持するが、BMP9のアンタゴニズムは低減することが所望される治療適用が挙げられる。
実施例8.シングルアームALK2−Fcヘテロ二量体の生成
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK2の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK2−Fcヘテロ二量体の複合体の構築を構想する。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK2−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。
シングルアームALK2−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号119〜121および140−142のALK2−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK2−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK2−Fc:ALK2−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろALK2−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号119のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK2−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号120)にコードされる。
成熟ALK2−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号121)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK2−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号141の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号142)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号121および配列番号142のALK2−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK2−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号413−414および427−428のALK2−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK2−Fc融合ポリペプチド(配列番号413)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK2−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK2融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号413のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK2−Fc融合ポリペプチド(配列番号414)は以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK2−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427および成熟Fcポリペプチド(配列番号428)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号414および配列番号428のALK2−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK2−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のALK2−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
実施例9.シングルアームALK4−Fcヘテロ二量体の生成
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK4の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK4−Fcヘテロ二量体の複合体の構築を構想する。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK4−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、ALK4アイソフォームB(配列番号84)の細胞外ドメインを含む追加のシングルアームALK4−Fcヘテロ二量体の複合体も構想する。
シングルアームALK4−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号125〜127および140−142のALK4−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK4−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK4−Fc:ALK4−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろALK4−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号125のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK4−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号126)にコードされる。
成熟ALK4−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号127)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK4−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号141の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号142)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号127および配列番号142のALK4−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK4−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号417〜418および427〜428のALK4−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK4−Fc融合ポリペプチド(配列番号417)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK4−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK4融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号417のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK4−Fc融合ポリペプチド(配列番号418)は以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK4−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427および成熟Fcポリペプチド(配列番号428)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号418および配列番号428のALK4−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK4−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のALK4−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
実施例10.シングルアームALK5−Fcヘテロ二量体の生成
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK5の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK5−Fcヘテロ二量体の複合体の構築を構想する。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK5−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、ALK5アイソフォーム2(配列番号88)の細胞外ドメインを含む追加のシングルアームALK5−Fcヘテロ二量体の複合体も構想する。
シングルアームALK5−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号128−130および140−142のALK5−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK5−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK5−Fc:ALK5−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろALK5−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号128のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK5−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号129)にコードされる。
成熟ALK5−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号130)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK5−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号141の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号142)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号130および配列番号142のALK5−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK5−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号419−420および427−428のALK5−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK5−Fc融合ポリペプチド(配列番号419)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK5−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK5融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号419のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK5−Fc融合ポリペプチド(配列番号420)は以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK5−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427および成熟単量体G1Fcポリペプチド(配列番号428)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号420および配列番号428のALK5−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK5−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のALK5−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
実施例11.シングルアームALK6−Fcヘテロ二量体の生成
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK6の細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK6−Fcヘテロ二量体の複合体の構築を構想する。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK6−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、ALK6アイソフォーム2(配列番号92)の細胞外ドメインを含む追加のシングルアームALK6−Fcヘテロ二量体の複合体も構想する。
シングルアームALK6−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号131〜133および140−142のALK6−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK6−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK6−Fc:ALK6−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろALK6−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号131のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK6−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号132)にコードされる。
成熟ALK6−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであり(配列番号133)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK6−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号141の核酸にコードされ、成熟単量体Fcタンパク質(配列番号142)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号133および配列番号142のALK6−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK6−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号421〜422および427〜428のALK6−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK6−Fc融合ポリペプチド(配列番号421)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK6−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK6融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号421のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK6−Fc融合ポリペプチド(配列番号422)は以下の通りであり、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK6−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427および成熟単量体G1Fcポリペプチド(配列番号428)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号422および配列番号428のALK6−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK6−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のALK6−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
実施例12.シングルアームALK7−Fcヘテロ二量体の生成
出願人は、短いN末端伸長を有する単量体Fcポリペプチド、ならびにリンカーが細胞外ドメインとこの第2のFcドメインとの間に位置付けられた別個のFcドメインにヒトALK7のN末端短縮(NΔ4)細胞外ドメインが融合された第2のポリペプチドを含む可溶性シングルアームALK7−Fcヘテロ二量体の複合体の構築を構想する。個々の構築物を、それぞれ単量体FcポリペプチドおよびALK7−Fc融合ポリペプチドと称し、各々の配列は以下に提供される。出願人は、ALK7アイソフォーム1(配列番号313)の他のN末端短縮型改変体(例えば、NΔ5改変体)、ALK7アイソフォーム2(配列番号302)の細胞外ドメイン、またはALK7アイソフォーム3および4(配列番号306、310)の天然のプロセシング後の配列を含む追加のシングルアームALK7−Fcヘテロ二量体の複合体も構想する。
シングルアームALK7−Fcヘテロ二量体の形成は、実施例1でシングルアームActRIIB−Fcヘテロ二量体について記載されたものと同様のアプローチによって誘導され得る。第1のアプローチでは、それぞれ配列番号134−136および140−142のALK7−Fcおよび単量体Fcポリペプチド配列において、1つのFcドメインは、相互作用面にカチオン性アミノ酸を導入するように変更され、他方、他のFcドメインは、相互作用面にアニオン性アミノ酸を導入するように変更されていることが示されている。
ALK7−Fc融合ポリペプチドは、TPAリーダーを利用し、以下のとおりである:
リーダーおよびリンカー配列に下線を付す。可能なホモ二量体の複合体(ALK7−Fc:ALK7−FcまたはFc:Fc)のいずれかよりむしろALK7−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(リジンをアニオン性アミノ酸で置き換える)が、上の二重下線で示されるように融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号134のアミノ酸配列は、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
このALK7−Fc融合ポリペプチドは、以下の核酸(配列番号135)にコードされる。
成熟ALK7−Fc融合ポリペプチド配列は、以下の通りであることが予測され(配列番号136)、任意選択でC末端にリジンが付加されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体ヒトG1Fcポリペプチド(配列番号140)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK7−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(アニオン性残基をリジンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号140のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。この相補的Fcポリペプチドは、配列番号141の核酸にコードされ、成熟単量体Fcポリペプチド(配列番号142)は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号136および配列番号142のALK7−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK7−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
非対称Fc融合ポリペプチドを使用したヘテロ多量体複合体の形成を促進するための別のアプローチにおいて、Fcドメインは、それぞれ、配列番号423〜424および427〜428のALK7−FcおよびFcポリペプチド配列に示されるように相補的な疎水性相互作用および追加の分子内ジスルフィド結合を導入するように変更されている。
ALK7−Fc融合ポリペプチド(配列番号423)はTPAリーダーを使用し、以下の通りである:
リーダー配列およびリンカーに下線を付す。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK7−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、4つのアミノ酸置換が、上の二重下線で示されるようにALK7融合ポリペプチドのFcドメインに導入され得る。配列番号423のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
成熟ALK7−Fc融合ポリペプチド(配列番号424)は、以下の通りであることが予測され、任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
実施例2で説明するように、単量体G1Fcポリペプチド(配列番号427)の相補的形態は、TPAリーダーを利用し、任意選択のN末端伸長を組み込んでいる。可能なホモ二量体の複合体のいずれかよりむしろALK7−Fc:Fcヘテロ二量体の形成を促進するために、2つのアミノ酸置換(セリンをシステインで置き換え、スレオニンをトリプトファンで置き換える)が、示されるように単量体Fcポリペプチドに導入され得る。配列番号427および成熟単量体G1Fcポリペプチド(配列番号428)のアミノ酸配列は任意選択でC末端リジンが除去されて提供されてもよい。
それぞれ、配列番号424および配列番号428のALK7−Fc融合ポリペプチドおよび単量体Fcポリペプチドを、CHO細胞系から共発現させ、精製して、ALK7−Fc:Fcを含むシングルアーム異種タンパク質複合体が得られ得る。
種々のALK7−Fc:Fc複合体の精製は、一連のカラムクロマトグラフィー工程、例えば、以下:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つまたはこれより多くを、任意の順序で含む工程により達成することができた。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換で完了することができた。
まとめると、これらの実施例は、I型またはII型受容体ポリペプチドは、シングルアーム異種タンパク質複合体の文脈に置かれると、同じ受容体ポリペプチドのホモ二量体の複合体と比較して変更された選択性を呈する新規の結合ポケットを形成し、治療剤として使用可能な新規のタンパク質作用因子の形成を可能とすることを実証する。

Claims (21)

  1. 第2のポリペプチドと共有結合的または非共有結合的に会合した第1のポリペプチドを含む可溶性タンパク質複合体であって、
    a.前記第1のポリペプチドは、相互作用ペアの第1のメンバーのアミノ酸配列と、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも90%同一なActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列とを含み、ここで、前記ActRIIBポリペプチドが、配列番号1の79位に対応するアミノ酸位置にロイシンを含み;
    b.前記第2のポリペプチドは、相互作用ペアの第2のメンバーのアミノ酸配列を含み、ここで、前記第2のポリペプチドは、TGFβスーパーファミリーI型またはII型受容体ポリペプチドを含ま
    前記相互作用ペアの第1のメンバーがFcドメインを含み、前記相互作用ペアの第2のメンバーがFcドメインを含み、前記タンパク質複合体が前記Fcドメインを介してアセンブリされる、
    タンパク質複合体。
  2. 前記ActRIIBポリペプチドが、
    a.配列番号1、2、3、4、5、および6のいずれかの配列と少なくと95%同一;または
    b.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくと95%同
    であるアミノ酸配列を含む、請求項に記載のタンパク質複合体。
  3. 前記ActRIIBポリペプチドが、
    a.配列番号1、2、3、4、5、および6のいずれかの配列と少なくとも97%同一;または
    b.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも97%同一
    であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のタンパク質複合体。
  4. 前記ActRIIBポリペプチドが、
    a.配列番号1、2、3、4、5、および6のいずれかの配列と少なくとも98%同一;または
    b.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも98%同一
    であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のタンパク質複合体。
  5. 前記ActRIIBポリペプチドが、
    a.配列番号1、2、3、4、5、および6のいずれかの配列と少なくとも99%同一;または
    b.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わるポリペプチドと少なくとも99%同一
    であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のタンパク質複合体。
  6. 前記ActRIIBポリペプチドが、
    a.配列番号1、2、3、4、5、および6のいずれかの配列と100%同一;または
    b.配列番号1のアミノ酸20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29のいずれか1つで始まり、配列番号1のアミノ酸109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、または134のいずれか1つで終わるポリペプチドと100%同一
    であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のタンパク質複合体。
  7. 前記タンパク質複合体が、組み換えヘテロ二量体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  8. 前記相互作用ペアの第1のメンバーがIgG重鎖由来の第1の定常領域を含む、かつ/または前記相互作用ペアの第2のメンバーがIgG重鎖由来の第2の定常領域を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のタンパク質複合体。
  9. 前記IgG重鎖由来の第1の定常領域が、第1の免疫グロブリンFcドメインである、かつ/または前記IgG重鎖由来の第2の定常領域が、第1の免疫グロブリンFcドメインである、請求項8に記載のタンパク質複合体。
  10. 前記第1のポリペプチドおよび/または第2のポリペプチドが、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチニル化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートされたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートされたアミノ酸から選択される1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  11. 前記タンパク質複合体が、以下の特徴:i)10−7、10−8、10−9、または10−10M未満またはこれと等しいKでTGF−βスーパーファミリーリガンドに結合する;およびii)細胞へのTGF−βスーパーファミリーI型および/またはII型受容体媒介性シグナル伝達を阻害する、のうちの1つまたは複数を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  12. 前記タンパク質複合体が、BMP10、GDF8、GDF11/BMP11、アクチビンA、またはアクチビンBの1つまたは複数に結合する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  13. 前記タンパク質複合体が、細胞ベースのアッセイにおいて1つまたは複数のTGF−βスーパーファミリーリガンドの活性を阻害する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のタンパク質複合体であって、前記TGF−βスーパーファミリーリガンドが、BMP10、GDF8、GDF11/BMP11、アクチビンA、またはアクチビンBから選択される、タンパク質複合体。
  14. 前記ActRIIBポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸29〜109と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  15. 前記ActRIIBポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸29〜109を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  16. 前記第1のポリペプチドが、配列番号404と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、前記第2のポリペプチドが配列番号426と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  17. 前記第1のポリペプチドが、配列番号404のアミノ酸配列を含み、前記第2のポリペプチドが配列番号426のアミノ酸配列を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のタンパク質複合体。
  18. 前記免疫グロブリンFcドメインが、IgG1のFc免疫グロブリンドメインである、請求項9に記載のタンパク質複合体。
  19. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のタンパク質複合体および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬調製物。
  20. TGFβスーパーファミリー関連状態を有する患者の処置における使用のための組成物であって、請求項1〜1のいずれか1項に記載のタンパク質複合体または請求項1に記載の医薬調製物を含む、組成物。
  21. 前記TGFβスーパーファミリー関連状態が、筋肉障害、赤血球障害、貧血、骨障害、骨量の減少、線維性障害、慢性腎疾患、代謝性疾患、II型糖尿病、肥満症、および心血管障害からなる群から選択される、請求項20に記載の使用のための組成物。
JP2017552154A 2015-04-06 2016-04-06 シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用 Active JP6810702B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201562143579P 2015-04-06 2015-04-06
US62/143,579 2015-04-06
US201562259422P 2015-11-24 2015-11-24
US62/259,422 2015-11-24
PCT/US2016/026275 WO2016164501A1 (en) 2015-04-06 2016-04-06 Single-arm type i and type ii receptor fusion proteins and uses thereof

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020205943A Division JP7203807B2 (ja) 2015-04-06 2020-12-11 シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018517664A JP2018517664A (ja) 2018-07-05
JP2018517664A5 JP2018517664A5 (ja) 2019-05-16
JP6810702B2 true JP6810702B2 (ja) 2021-01-06

Family

ID=57015654

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017552154A Active JP6810702B2 (ja) 2015-04-06 2016-04-06 シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用
JP2020205943A Active JP7203807B2 (ja) 2015-04-06 2020-12-11 シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020205943A Active JP7203807B2 (ja) 2015-04-06 2020-12-11 シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用

Country Status (21)

Country Link
US (3) US10358476B2 (ja)
EP (2) EP3865505A1 (ja)
JP (2) JP6810702B2 (ja)
KR (1) KR20170141215A (ja)
CN (3) CN113683709A (ja)
AU (2) AU2016246602B2 (ja)
CA (1) CA2981793A1 (ja)
CY (1) CY1124247T1 (ja)
DK (1) DK3280727T3 (ja)
ES (1) ES2864850T3 (ja)
HK (1) HK1252958A1 (ja)
HR (1) HRP20210411T1 (ja)
HU (1) HUE054180T2 (ja)
LT (1) LT3280727T (ja)
MA (1) MA53883A (ja)
MD (1) MD3280727T2 (ja)
PL (1) PL3280727T3 (ja)
PT (1) PT3280727T (ja)
RS (1) RS61728B1 (ja)
SI (1) SI3280727T1 (ja)
WO (1) WO2016164501A1 (ja)

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10588980B2 (en) 2014-06-23 2020-03-17 Novartis Ag Fatty acids and their use in conjugation to biomolecules
CA2981793A1 (en) 2015-04-06 2016-10-13 Acceleron Pharma Inc. Single-arm type i and type ii receptor fusion proteins and uses thereof
EP3828199A1 (en) 2015-04-06 2021-06-02 Acceleron Pharma Inc. Alk7: actriib heteromultimers and uses thereof
MA41919A (fr) 2015-04-06 2018-02-13 Acceleron Pharma Inc Hétéromultimères alk4:actriib et leurs utilisations
JP7320350B2 (ja) 2015-08-04 2023-08-03 アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド 骨髄増殖性障害を処置するための方法
EP3439686A4 (en) * 2016-04-06 2019-10-09 Acceleron Pharma Inc. BMPRII POLYPEPTIDES AND USES THEREOF
CA3039573A1 (en) 2016-10-05 2018-04-12 Acceleron Pharma Inc. Alk4:actriib heteromultimers and uses thereof
AU2017338915A1 (en) 2016-10-05 2019-04-18 Acceleron Pharma Inc. TGF-beta superfamily type I and type II receptor heteromultimers and uses thereof
BR112019006918A2 (pt) 2016-10-05 2019-06-25 Acceleron Pharma Inc proteínas actriib variantes e usos das mesmas
CA3043184A1 (en) 2016-11-10 2018-05-17 Keros Therapeutics, Inc. Activin receptor type iia variants and methods of use thereof
AU2018214979A1 (en) * 2017-02-01 2019-08-15 Acceleron Pharma Inc. TGFβ and actrii antagonists for use in increasing immune activity
EP3628049B1 (en) * 2017-05-04 2023-05-10 Acceleron Pharma Inc. Tgf-beta receptor type ii fusion proteins and uses thereof
CN111801112A (zh) 2017-11-09 2020-10-20 科乐斯疗法公司 激活素受体iia型变体及其使用方法
EP3735418A4 (en) * 2018-01-03 2021-11-10 Acceleron Pharma Inc. ONE-ARMED CO-RECEPTOR FUSION PROTEINS AND USES THEREOF
CN112292144A (zh) 2018-01-12 2021-01-29 科乐斯疗法公司 激活素受体iib型变体及其使用方法
WO2019157342A1 (en) * 2018-02-09 2019-08-15 Acceleron Pharma Inc. Methods for treating heterotopic ossification
AU2019231791B2 (en) 2018-03-09 2022-08-11 Agenus Inc. Anti-CD73 antibodies and methods of use thereof
EP3788066A4 (en) * 2018-05-03 2022-01-26 Acceleron Pharma Inc. MULTISPECIFIC BINDERS OF TGF?ETA SUPERFAMILY LIGANDS AND THEIR USES
CA3147621A1 (en) * 2019-07-18 2021-01-21 Memorial Sloan Kettering Cancer Center Methods and compositions for targeting tgf-.beta. signaling in cd4+ helper t cells for cancer immunotherapy
WO2021119136A1 (en) * 2019-12-10 2021-06-17 Acceleron Pharma Inc. Single-arm actriia and actriib heteromultimers and methods for treating pulmonary hypertension
CN115515618A (zh) * 2020-03-13 2022-12-23 阿塞勒隆制药公司 用于治疗肾脏疾病或病症的单臂ActRIIA和ActRIIB异多聚体和方法
CN112190694B (zh) * 2020-09-17 2023-11-10 南通大学 细胞因子活化素c在治疗神经病理性疼痛方面的应用

Family Cites Families (56)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0105014B1 (en) 1982-09-24 1992-05-20 THE UNITED STATES OF AMERICA as represented by the Secretary United States Department of Commerce Repair of tissue in animals
US5080891A (en) 1987-08-03 1992-01-14 Ddi Pharmaceuticals, Inc. Conjugates of superoxide dismutase coupled to high molecular weight polyalkylene glycols
US5223409A (en) 1988-09-02 1993-06-29 Protein Engineering Corp. Directed evolution of novel binding proteins
US5096815A (en) 1989-01-06 1992-03-17 Protein Engineering Corporation Generation and selection of novel dna-binding proteins and polypeptides
US5198346A (en) 1989-01-06 1993-03-30 Protein Engineering Corp. Generation and selection of novel DNA-binding proteins and polypeptides
US5932448A (en) 1991-11-29 1999-08-03 Protein Design Labs., Inc. Bispecific antibody heterodimers
US7592428B1 (en) 1992-11-17 2009-09-22 Ludwig Institute For Cancer Research Antibodies which bind specifically to activin receptor like kinases
US5677196A (en) 1993-05-18 1997-10-14 University Of Utah Research Foundation Apparatus and methods for multi-analyte homogeneous fluoro-immunoassays
US5525490A (en) 1994-03-29 1996-06-11 Onyx Pharmaceuticals, Inc. Reverse two-hybrid method
US5814565A (en) 1995-02-23 1998-09-29 University Of Utah Research Foundation Integrated optic waveguide immunosensor
US5731168A (en) 1995-03-01 1998-03-24 Genentech, Inc. Method for making heteromultimeric polypeptides
EP0830459B1 (en) 1995-04-11 2007-01-24 The General Hospital Corporation Reverse two-hybrid systems
US20020062010A1 (en) 1997-05-02 2002-05-23 Genentech, Inc. Method for making multispecific antibodies having heteromultimeric and common components
WO2000043781A2 (en) 1999-01-21 2000-07-27 Metamorphix, Inc. Growth differentiation factor inhibitors and uses therefor
US20040223966A1 (en) 2002-10-25 2004-11-11 Wolfman Neil M. ActRIIB fusion polypeptides and uses therefor
US20070184052A1 (en) * 2003-05-09 2007-08-09 Lin Herbert Y Soluble tgf-b type III receptor fusion proteins
EP2135952A3 (en) 2003-09-15 2010-09-29 Research Development Foundation Cripto antagonism of activin and TGF-beta signaling
PL2256134T3 (pl) * 2003-11-13 2014-06-30 Hanmi Science Co Ltd Fragment Fc Ig do nośnika leku i sposób jego wytwarzania
ES2710048T3 (es) 2004-07-23 2019-04-22 Acceleron Pharma Inc Anticuerpos antagonistas del receptor ActRII
US7612041B2 (en) 2005-11-23 2009-11-03 Acceleron Pharma Inc. Isolated activin-binding ActRIIa polypeptide comprising the SEQ ID NO: 7 and uses for promoting bone growth
US20090182127A1 (en) 2006-06-22 2009-07-16 Novo Nordisk A/S Production of Bispecific Antibodies
BRPI0717964A2 (pt) 2006-11-02 2013-12-17 Acceleron Pharma Inc Receptor e antagonistas de ligante da alk1 e usos dos mesmos.
EP2599495A1 (en) * 2007-02-01 2013-06-05 Acceleron Pharma, Inc. Activin-ActRIIa Antagonists and Uses for Treating or Preventing Breast Cancer
TW202021980A (zh) 2007-02-02 2020-06-16 美商艾瑟勒朗法瑪公司 衍生自ActRIIB的變體與其用途
TW201718635A (zh) 2007-03-06 2017-06-01 安美基公司 變異之活動素受體多肽及其用途
EP2140005B1 (en) 2007-03-19 2013-12-11 National Research Council of Canada Fusion proteins comprising two tgf-beta binding domains
EP2235064B1 (en) 2008-01-07 2015-11-25 Amgen Inc. Method for making antibody fc-heterodimeric molecules using electrostatic steering effects
US8658135B2 (en) 2008-03-19 2014-02-25 National Research Council Of Canada Antagonists of ligands and uses thereof
JP5719766B2 (ja) * 2008-05-02 2015-05-20 アクセルロン ファーマ, インコーポレイテッド 血管新生および周皮細胞組成物を調節するための方法および組成物
KR20210047374A (ko) * 2008-06-26 2021-04-29 악셀레론 파마 인코포레이티드 액티빈-actriia의 길항물질 및 적혈구 수준을 증가시키기 위한 이들의 용도
TWI617316B (zh) 2008-08-14 2018-03-11 艾瑟勒朗法瑪公司 使用gdf阱以增加紅血球水平
US8216997B2 (en) 2008-08-14 2012-07-10 Acceleron Pharma, Inc. Methods for increasing red blood cell levels and treating anemia using a combination of GDF traps and erythropoietin receptor activators
PL2370463T3 (pl) 2008-11-26 2017-03-31 Amgen Inc. Stabilizowany wariant receptora aktywiny iib
EP3702001A1 (en) 2009-03-30 2020-09-02 Acceleron Pharma Inc. Bmp-alk3 antagonists and uses for promoting bone growth
MX2011013364A (es) 2009-06-12 2012-03-16 Acceleron Pharma Inc Proteinas de fusion actriib-fc truncadas.
MX2012003396A (es) 2009-09-16 2012-04-10 Genentech Inc Complejos de proteina conteniendo helice super-enrollada y/o enlazador tether y usos de los mismos.
FR2951408B1 (fr) 2009-10-15 2012-01-13 Renault Sa Cadre moteur pour moteur electrique de vehicule automobile
WO2011056497A1 (en) 2009-10-26 2011-05-12 Genentech, Inc. Activin receptor type iib compositions and methods of use
EP2496247B1 (en) * 2009-11-03 2017-08-23 Acceleron Pharma, Inc. Methods for treating fatty liver disease
TWI426920B (zh) * 2010-03-26 2014-02-21 Hoffmann La Roche 雙專一性、雙價抗-vegf/抗-ang-2抗體
CN102850458B (zh) 2011-06-28 2014-10-01 华博生物医药技术(上海)有限公司 新型重组双功能融合蛋白及其制法和用途
ES2648492T3 (es) 2012-03-28 2018-01-03 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Fusiones de receptores TGF tipo II y tipo III
EP3036262A4 (en) * 2013-08-22 2017-03-01 Acceleron Pharma Inc. Tgf-beta receptor type ii variants and uses thereof
WO2016090035A2 (en) 2014-12-02 2016-06-09 La Jolla Institute For Allergy And Immunology Modulators of activin and methods for modulating immune responses and t follicular helper cells
WO2016154601A1 (en) 2015-03-26 2016-09-29 Acceleron Pharma Inc. Follistatin-related fusion proteins and uses thereof
MA41919A (fr) 2015-04-06 2018-02-13 Acceleron Pharma Inc Hétéromultimères alk4:actriib et leurs utilisations
EP3828199A1 (en) 2015-04-06 2021-06-02 Acceleron Pharma Inc. Alk7: actriib heteromultimers and uses thereof
CA2981793A1 (en) 2015-04-06 2016-10-13 Acceleron Pharma Inc. Single-arm type i and type ii receptor fusion proteins and uses thereof
AU2016251640B2 (en) 2015-04-22 2020-07-16 Alivegen Inc. Novel hybrid ActRIIB ligand trap proteins for treating muscle wasting diseases
WO2016205370A1 (en) 2015-06-15 2016-12-22 Santa Maria Biotherapeutics, Inc. Methods of using activin receptor iib-based proteins
CA2996996A1 (en) 2015-08-31 2017-03-09 National Research Council Of Canada Tgf-.beta.-receptor ectodomain fusion molecules and uses thereof
WO2017177013A1 (en) 2016-04-06 2017-10-12 Acceleron Pharma Inc. Alk7 antagonists and uses thereof
US20200071382A1 (en) 2016-07-07 2020-03-05 Acceleron Pharma Inc. Tgf-beta superfamily heteromultimers and uses thereof
US20180008672A1 (en) 2016-07-08 2018-01-11 Regeneron Pharmaceuticals, Inc. Anti-activin a antibodies and methods of use thereof for treating pulmonary arterial hypertension
CA3039573A1 (en) 2016-10-05 2018-04-12 Acceleron Pharma Inc. Alk4:actriib heteromultimers and uses thereof
JOP20190085A1 (ar) 2016-10-20 2019-04-17 Biogen Ma Inc طرق علاج الضمور العضلي ومرض العظام باستخدام بروتينات احتجاز مركب ترابطي actriib هجين حديثة

Also Published As

Publication number Publication date
CN107849114B (zh) 2021-08-20
EP3865505A1 (en) 2021-08-18
EP3280727B1 (en) 2021-02-17
JP2021054839A (ja) 2021-04-08
WO2016164501A1 (en) 2016-10-13
AU2021200906B2 (en) 2023-04-06
PL3280727T3 (pl) 2021-07-19
SI3280727T1 (sl) 2021-07-30
EP3280727A4 (en) 2019-02-13
US10358476B2 (en) 2019-07-23
CY1124247T1 (el) 2022-07-22
HUE054180T2 (hu) 2021-08-30
JP2018517664A (ja) 2018-07-05
CA2981793A1 (en) 2016-10-13
KR20170141215A (ko) 2017-12-22
US20220315642A1 (en) 2022-10-06
AU2016246602A1 (en) 2017-10-26
AU2016246602B2 (en) 2020-11-19
CN107849114A (zh) 2018-03-27
DK3280727T3 (da) 2021-03-15
AU2021200906A1 (en) 2021-03-04
CN113683708A (zh) 2021-11-23
LT3280727T (lt) 2021-04-12
ES2864850T3 (es) 2021-10-14
MA53883A (fr) 2021-08-18
US20160289298A1 (en) 2016-10-06
HRP20210411T1 (hr) 2021-04-30
MD3280727T2 (ro) 2021-06-30
PT3280727T (pt) 2021-04-23
US11208460B2 (en) 2021-12-28
RS61728B1 (sr) 2021-05-31
HK1252958A1 (zh) 2019-06-06
JP7203807B2 (ja) 2023-01-13
EP3280727A1 (en) 2018-02-14
US20200055920A1 (en) 2020-02-20
CN113683709A (zh) 2021-11-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6810702B2 (ja) シングルアームi型およびii型受容体融合タンパク質およびその使用
JP7037363B2 (ja) Tgfベータスーパーファミリーi型およびii型受容体ヘテロ多量体およびその使用
JP7280182B2 (ja) バリアントActRIIBタンパク質およびその使用
JP7055637B2 (ja) ALK4:ActRIIBヘテロ多量体およびその使用
JP7219705B2 (ja) ALK4:ActRIIBヘテロ多量体およびその使用
JP7159148B2 (ja) Tgfベータスーパーファミリーホモ多量体およびその使用
JP7097354B2 (ja) Tgf-ベータスーパーファミリーi型およびii型受容体ヘテロ多量体ならびにその使用
JP2021097697A (ja) フォリスタチン関連融合タンパク質およびその使用
JPWO2018009624A5 (ja)
JP2023528709A (ja) バリアントactriibタンパク質およびその使用
WO2019136043A1 (en) Single-arm co-receptor fusion proteins and uses thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190405

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200630

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6810702

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250