JP6808289B2 - 品質状態測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定物の品質状態を測定する品質状態測定装置に関する。
従来、魚の鮮度や食肉の熟成度等の品質状態を測定するための方法が知られている。例えば、下記の特許文献1では、畜肉試料に異なる周波数の交流電圧を印加して、インピーダンス比または差を測定し、当該測定の結果等に基づいて、畜肉試料の熟成度を判定する熟成度判定方法が記載されている。
また、下記の特許文献2では、魚や食肉等の動物組織において、細胞膜の存在が影響する周波数での複素反射率(インピーダンス)と、細胞膜の存在が影響しない周波数での複素反射率を複数回測定し、当該測定の結果等に基づいて、動物組織の鮮度を計測する鮮度計測方法が記載されている。
特開2009−79966号公報 特公平6−90165号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熟成度判定方法では、例えば、インピーダンス比と評価基準(熟成度指標)との相関関係データを畜肉試料の種類ごとにデータ処理部に事前に記録しておく必要がある。
また、特許文献2に記載の鮮度計測方法では、締められた後から鮮度が急速に低下する魚においても、複素反射率の測定を複数回行わなければならない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被測定物の品質状態を、被測定物の種類または個体差によらず、容易に測定することができる品質状態測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る品質状態測定装置は、魚肉および食肉を含む被測定物のインピーダンスを得るための電圧を測定するインピーダンス測定部と、前記インピーダンスに基づいて前記被測定物の品質を示す品質指標の値を演算する演算部と、を備え、前記インピーダンス測定部は、所定の周波数および所定の定電流値を有する定電流信号を出力する定電流回路と、前記定電流回路から出力される定電流信号を測定対象に流し、当該定電流信号に基づいて前記被測定物に印加される電圧を検出するために、当該被測定物の表面に接触させる少なくとも1つの陽極側電極および少なくとも1つの陰極側電極と、を備え、前記インピーダンス測定部は、前記定電流回路から前記陽極側電極と前記陰極側電極との間に、所定の定電流値を有し、互いに異なる周波数を有する少なくとも3つの定電流を流すことにより、各定電流に応じて前記陽極側電極と前記陰極側電極との間に印加される少なくとも3つの電圧値を検出し、前記演算部は、前記少なくとも3つの電圧値のうちの2つの電圧値である第1の電圧組み合わせから当該2つの電圧値の差である第1の差を算出し、前記少なくとも3つの電圧値のうちの前記第1の電圧組み合わせとは異なる2つの電圧値である第2の電圧組み合わせから当該2つの電圧値の差である第2の差を算出し、前記第2の差に対する前記第1の差の比である第1の比を算出し、前記第1の比を前記品質指標の値として出力するものである。
本発明の発明者らは、鋭意研究の末、品質指標として、異なる周波数によるインピーダンス変化を2種類用いて、これらの比を取ることにより、当該比を、インピーダンスが品質状態変化に応じて変化する特性を変えることなく有し、被測定物の種類や個体差によらない品質指標とすることができるという知見を得た。このような知見に基づいて、本発明の発明者らは、上記構成の品質状態測定装置を想到するに至った。
上記構成によれば、測定時の周波数が互いに異なる少なくとも3つの電圧値から2種類の電圧値の差が算出され、これらの比である第1の比が品質指標の値として出力される。したがって、食品の品質状態を、時間経過を伴うことなく、被測定物の種類または個体差によらず高精度に測定することができる。
前記第1の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値は、前記第2の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値と共通の値であってもよい。これによれば、時間経過によるインピーダンス変化の比較的小さい、高い周波数に基づく電圧値を基準として、時間経過によるインピーダンス変化の比較的大きい、より低い周波数に基づく電圧値との差を比べることができる。したがって、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
前記第1の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流は、前記第2の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流より低い周波数を有してもよい。これによれば、第1の比の分子となる第1の差における周波数差が第1の比の分母となる第2の差における周波数差よりも小さくなる。したがって、インピーダンス変化に基づく第1の比を、第2の差に基づく周波数範囲における第1の差に基づく周波数範囲が占める割合として求めることができる。これにより、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
前記品質状態測定装置は、前記品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部を備えてもよい。これにより、品質状態を高精度に表す品質指標を用いて被測定物の品質判定を高精度に行うことができる。
前記演算部は、前記第1の比を算出するための前記第1の電圧組み合わせおよび前記第2の電圧組み合わせのうちの少なくとも何れか一方の組み合わせが異なる第2の比を算出し、前記第1の比および前記第2の比に基づいた前記品質指標の値を算出してもよい。周波数範囲が異なる2つの比を用いて品質指標の値を算出することにより、ノイズ等の影響を低減することができ、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
前記第2の比を算出するための少なくとも3つの電圧値のうちの最も周波数が高い定電流に基づく電圧値は、前記第1の比を算出するための少なくとも3つの電圧値には含まれず、前記第1の比を算出するための少なくとも3つの電圧値のうちの最も周波数が低い定電流に基づく電圧値は、前記第2の比を算出するための少なくとも3つの電圧値には含まれないようにしてもよい。2つの比を、周波数範囲が異なるように設定しつつ、幅広い範囲とすることができ、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
前記品質状態測定装置は、前記品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部を備え、前記品質判定部は、前記第1の比および前記第2の比の和が複数の判定範囲の何れに属するかに応じて前記品質判定を行ってもよい。周波数範囲が異なる2つの比を用いて品質指標の値を算出することにより、ノイズ等の影響を低減することができ、品質判定を、より高精度に行うことができる。
前記品質判定部は、前記第1の比および前記第2の比のそれぞれの値の組み合わせが所定の条件を満たす場合、前記和が属する前記複数の判定範囲に拘わらず、異常が生じたと判定してもよい。2つの比が同じ傾向を示していない場合に、異常が生じたと判定することができ、品質判定においてノイズ等の影響を低減し、誤判定を防止することができる。
本発明によれば、被測定物の品質状態を、被測定物の種類または個体差によらず、容易に測定することができる。
図1は、本発明の一実施の形態における品質状態測定装置の外観を示す斜視図である。 図2は、図1に示す品質状態測定装置の内部構成例を示すブロック図である。 図3は、図1に示す品質状態測定装置における品質判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態における品質状態測定装置の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する場合がある。
また、以下の具体的な説明は、本発明における品質状態測定装置の特徴を例示しているに過ぎない。例えば、上記品質状態測定装置を特定した用語と同じ用語または相当する用語に適宜の参照符号を付して以下の具体例を説明する場合、当該具体的な構成要素は、これに対応する上記品質状態測定装置の構成要素の一例である。したがって、上記品質状態測定装置の特徴は、以下の具体的な説明によって限定されない。
図1に示すように、品質状態測定装置1は、電極部3、把持部4、幅広部6、表示部7を備えている。
電極部3は、少なくとも1つの陽極側電極3pおよび少なくとも1つの陰極側電極3nが下方に突出するように構成されている。
具体的には、電極部3は、2つの陽極側電極3p1,3p2および2つの陰極側電極3n1,3n2を有している。また、電極部3は、被測定物に対向する所定の対向面Pを有し、陽極側電極3pおよび陰極側電極3nは、当該対向面Pから外方に向けて突出するようにそれぞれ取り付けられている。
把持部4は、電極部3の対向面Pと反対側に延出するように構成されている。また、把持部4は、操作入力部8を備えている。
操作入力部8は、電源ボタン10、設定変更ボタン11、決定ボタン12から構成されている。電源ボタン10は、品質状態測定装置1の電源を入り切り等する際に操作される。設定変更ボタン11は、品質状態測定装置1における各種設定等を変更する際に操作される。決定ボタン12は、設定変更ボタン11で設定変更した内容を決定等する際に操作される。
幅広部6は、把持部4を挟んで電極部3の反対側に設けられている。また、幅広部6は、表示部7を備えている。
表示部7は、測定結果を表示する表示面S7と、測定を開始するための測定開始ボタン9とを備えている。測定開始ボタン9は、表示面S7の下方(操作入力部8側)に設けられている。ここで、表示部7は、把持部4を挟んで電極部3の反対側に位置する幅広部6に設けられているため、電極部3を被測定物に接触させた状態における表示面S7の視認がし易い構成となっている。
品質状態測定装置1における魚の品質指標測定方法について説明する。まず、ユーザーが電源ボタン10を押し、電源投入後、設定変更ボタン11を適宜押圧操作して、所望の設定内容を選択し、当該選択状態で決定ボタン12を押すことにより、選択した設定内容を決定する。
そして、ユーザーが把持部4を把持し、被測定物である魚に電極3p,3nを接触させた状態で測定開始ボタン9を押すと、品質状態測定装置1は、一方の陽極側電極3p(陽極側電極3p1)と一方の陰極側電極3n(陰極側電極3n1)との間(電流極間)に所定の定電流を流し、他方の陽極側電極3p(陽極側電極3p2)と他方の陰極側電極3n(陰極側電極3n2)との間(電圧極間)に印加される電圧を検出する。なお、電流極間(陽極側電極3p1と陰極側電極3n1の間)に流れる定電流は、決定された設定内容に応じて設定され得る。
図2に示すように、品質状態測定装置1の内部には、例えば、インピーダンス測定部40、演算部41、記憶部42、通信部43、および電源部44等が収納されている。
演算部41は、マイクロコントローラなどのCPUを含み、各種の演算を行い、各回路への命令信号を出力するように構成されている。
記憶部42は、EEPROMなどにより構成されている。記憶部42には、例えば、品質状態測定装置1における各種設定内容などが記憶されている。また、記憶部42には、演算部41による演算結果等が記憶される。
通信部43は、例えば、無線通信機能を有する。このため、通信部43は、演算部41による演算結果を外部の機器(パーソナルコンピュータやサーバ装置など)に送信することも可能である。なお、通信部43は、USB接続などの有線による通信機能を有していてもよい。
インピーダンス測定部40は、電極部3に接触した被測定物のインピーダンスを得るための電圧を測定するように構成されている。具体的には、インピーダンス測定部40は、定電流回路45、正弦波形生成回路46、電圧検出回路13、基準抵抗回路35、スイッチ回路36等から構成されている。
定電流回路45は、所定の周波数および所定の定電流値を有する定電流信号を出力する。正弦波形生成回路46は、演算部41からのトリガ信号に基づいて、定電流信号の基準となり、所定の周波数を有する正弦波形から成る信号を生成する。
具体的には、定電流回路45には、演算部41から設定された定電流値を示す電流値信号が入力される。また、定電流回路45は、正弦波形生成回路46から出力された正弦波形信号の有する周波数で、かつ、演算部41で設定された定電流値となるような定電流信号を電流極間(陽極側電極3p1と陰極側電極3n1の間)に流すように構成されている。
また、定電流回路45は、フィードバック抵抗が被測定物のインピーダンスRfおよび電流極(陽極側電極3p1,陰極側電極3n1)の接触抵抗の合計値となる反転増幅回路として構成されている。具体的には、定電流回路45は、正弦波形生成回路46の出力が一端に入力される可変抵抗素子17と、可変抵抗素子17の他端と反転入力端子とが接続されるオペアンプ18とを備えている。
オペアンプ18の非反転入力端子は、接地電圧となっている。オペアンプ18の出力端子は、陽極側電流極3p1に接続されている。また、オペアンプ18の反転入力端子には、陰極側電流極3n1も接続されている。
定電流回路45は、正弦波形生成回路46から出力され、所定の周波数で可変抵抗素子17に入力される電圧Vinに基づいて、可変抵抗素子17を流れる電流Iinとオペアンプ18の出力電流Ioutが等しくなるようにオペアンプ18の出力電圧Voutを調整する。したがって、測定インピーダンス値が大きいほど(被測定物のインピーダンスが大きいほど)出力電圧Voutが大きくなる。
このようにして、定電流回路45から出力された所定の周波数を有する定電流は、電流極(陽極側電極3p1,陰極側電極3n1)を介して被測定物に流れる。こうして被測定物に流れる定電流によって被測定物に印加される電圧を検出することで、被測定物のインピーダンスを測定することができる。
電圧検出回路13は、上記定電流信号に基づいて被測定物である魚に印加される電圧、つまり、電圧極間(陽極側電極3p2と陰極側電極3n2の間)の電圧を検出するように構成されている。具体的には、電圧検出回路13は、AC/DC変換部19、ゲイン設定回路31、A/D変換器20を備えている。
AC/DC変換部19は、陽極側電極3p2と陰極側電極3n2との間に印加される電圧の差を直流電圧に変換する。ゲイン設定回路31は、AC/DC変換部19の出力を設定されたゲインに基づいて増幅する。ゲイン設定回路31のゲインは、演算部41からの制御信号に基づいて設定可能に構成されている。A/D変換器20は、ゲイン設定回路31の出力電圧をΔΣ変調によりデジタル化する。
なお、本実施の形態においては、上記のように電圧極3p2,3n2間の電圧の差を求めているが、電圧極3p2,3n2間の電圧の比を求めることとしてもよい。
また、本実施の形態におけるAC/DC変換部19は、図示しないが、電圧極3p2,3n2間の差分電圧を出力する差動増幅器と、差動増幅器の出力を整流する整流回路と、整流回路の出力電圧を平滑化する平滑回路と、を備える。平滑回路の出力電圧は、AC/DC変換部19の出力電圧となり、ゲイン設定回路31に入力される。
基準抵抗回路35は、陽極側電極3p2と陰極側電極3n2との間に、抵抗値が既知である複数の基準抵抗のそれぞれ接続可能となるように構成されている。
スイッチ回路36は、電極部3に被測定物を接触させた際に、定電流回路45および電圧検出回路13に接続する抵抗を、電圧極間(陽極側電極3p2と陰極側電極3n2の間)のインピーダンスRfと基準抵抗回路35における基準抵抗との間で切り替えるように構成されている。なお、スイッチ回路36における切り替えは、演算部41からの制御信号に基づいて行われる。
このようにして電圧検出回路13で検出され、デジタル化された検出電圧は、演算部41に入力される。演算部41は、設定された定電流値と検出電圧とから被測定物のインピーダンスを算出する。この際、演算部41は、検出電圧と、電極間に基準抵抗回路35の複数の基準抵抗をそれぞれ接続した際に得られる複数の基準電圧とを相関することにより被測定物のインピーダンスを算出する。
例えば、基準抵抗回路35は、被測定物のための複数の基準抵抗(第1の基準抵抗群)として、30Ω、200Ω、900Ωの3つの基準抵抗を有している。このような複数の基準抵抗およびこれらを電極間に接続した場合の電圧に基づいて、検出電圧に対するインピーダンスの相関関係を決定している。なお、直線性を有する相関関係を得るために、基準抵抗回路35は、第1の基準抵抗群として例えば3つ以上の基準抵抗を備える。
被測定物のインピーダンス測定に際し、インピーダンス測定部40は、陽極側電極3p2(電圧極)と陰極側電極3n2(電圧極)との間に被測定物を接続した際に、定電流回路45から陽極側電極3p1(電流極)と陰極側電極3n1(電流極)との間に所定の周波数(例えば5kHz)および所定の定電流値を有する第1の定電流を流すことにより、第1の定電流に応じて陽極側電極3p2(電圧極)および陰極側電極3n2(電圧極)との間に印加される第1電圧V1を検出する。
また、インピーダンス測定部40は、定電流回路45から陽極側電極3p1(電流極)および陰極側電極3n1(電流極)との間に第1の定電流と同じ定電流値で第1の定電流より高い周波数(例えば、20kHz)を有する第2の定電流を流すことにより、第2の定電流に応じて陽極側電極3p2(電圧極)および陰極側電極3n2(電圧極)との間に印加される第2電圧V2を検出する。
さらに、インピーダンス測定部40は、定電流回路45から陽極側電極3p1(電流極)および陰極側電極3n1(電流極)との間に第2の定電流と同じ定電流値で第2の定電流より高い周波数(例えば、50kHz)を有する第3の定電流を流すことにより、第3の定電流に応じて陽極側電極3p2(電圧極)および陰極側電極3n2(電圧極)との間に印加される第3電圧V3を検出する。
具体的には、電圧検出回路13のAC/DC変換部19の出力が第1電圧V1〜第3電圧V3となる。第1電圧V1〜第3電圧V3は、それぞれ、ゲイン設定回路31において設定されたゲインで増幅される。上述のように、演算部41は、ゲイン設定回路31によって増幅された第1電圧V1〜第3電圧V3から第1インピーダンス〜第3インピーダンスを算出することも可能であるが、下記品質指標を得るためには必ずしもインピーダンスの値自体は必要ではない。
ここで、演算部41は、第1電圧V1から第3電圧V3を差し引いた第1の差D1(=V1−V3)を算出するとともに、第2電圧V2から第3電圧V3を差し引いた第2の差D2(=V2−V3)を算出する。すなわち、演算部41は、インピーダンス測定部40で検出された3つの電圧値V1〜V3のうちの2つの電圧値から第1の差D1および第2の差D2を算出する。
以下では、第1の差D1を算出するための2つの電圧値V1,V3を「第1の電圧組み合わせ」と称し、第2の差D2を算出するための2つの電圧値V2,V3を「第2の電圧組み合わせ」と称する。なお、第1の差D1と第2の差D2とは、組み合わせられる2つの電圧値の何れか一方が互いに異なる電圧値となっている。
さらに、演算部41は、第1の差D1に対する第2の差D2の比である第1の比R1(=D2/D1=(V2−V3)/(V1−V3))を算出する。この第1の比R1が被測定物の品質指標の1つとして採用される。
上記のように、例えば魚肉等の被測定物に交流電流を流すとインピーダンスを測定することができる。被測定物内を流れる電流経路において、水分が多いと電流が流れ易くインピーダンスが低くなる。一方、被測定物内を流れる電流経路において、水分が少ない(脂肪が多い)と電流が流れ難くインピーダンスが高くなる。
また、同じ電流値でも周波数が変わると測定されるインピーダンスの値が変化する。これは、周波数が低い場合には、被測定物の細胞の外(細胞と細胞との間)を電流が流れ、周波数が高いほど被測定物の細胞内にも電流が流れるためである。この結果、周波数が低いほど、水分の多い細胞の外を電流が流れるため、インピーダンスが低くなり、周波数が高いほど、細胞内に電流が流れるため、インピーダンスが高くなる。
魚肉等の被測定物の細胞膜は、リン脂質を主成分とする脂質二重層の絶縁体であるが、親水性のある細胞表面に電解液が付着していることから、細胞は、電気的にはコンデンサとして機能し、交流電流が流れた場合に、極性の変化に合わせて充放電を繰り返す。コンデンサとして機能する細胞の容量リアクタンス成分は、周波数が低いほど大きくなる。したがって、被測定物に流れる電流の周波数が高いほどインピーダンスが高くなる。
また、被測定物の鮮度が低下すると、細胞の静電容量が低下し、容量リアクタンス成分が大きくなる。したがって、被測定物の鮮度が低下すると、被測定物の肉質の軟化に伴って細胞内外を流れる電流に対するインピーダンスが低下すると言える。
被測定物の死後、時間の経過に従って、被測定物の肉質が軟化するのは、複数の筋細胞同士を結合している筋内膜が時間の経過にしたがって崩壊し、筋細胞間に隙間が生じるからであることを示す報告がある(安藤正史「魚類筋肉の死後における軟化機構に関する研究」、日本水産学会誌、62−4、pp.555−558(1996))。また、被測定物を冷凍することによっても、筋細胞から結合組織がはがれて細胞間の隙間が大きくなることも報告されている(橋本加奈子、川島時英、吉野暢之、白井隆明、瀧口明秀「冷凍前の鮮度がゴマサバ冷凍品のドリップと氷結晶生成に及ぼす影響について」、日本水産学会誌、81(1)、pp.124−129(2015))。
このため、時間経過によって細胞間の隙間が大きくなると細胞外を流れる電流によって測定されるインピーダンスは低下すると言える。また、筋内膜の崩壊により筋肉構造自体が脆弱化し、および/または保水性が低下することにより、細胞内を流れる電流によって測定されるインピーダンスも時間経過とともに低下すると言える。
しかし、被測定物の個体差または魚種等の相違により、インピーダンス値は依存するため、経時的な変化を見ることなく一回測定されるインピーダンスそのものだけでは画一化した鮮度評価を行うことができない。
そこで、本発明の発明者らは被測定物の個体差等に影響されない品質指標を確立するために鋭意研究を行った。まず、本発明の発明者らは、複数の周波数で測定されたインピーダンスの差に着目した。例えば、5kHz、20kHz、50kHz、および100kHzの4つの異なる周波数を有する定電流を用いて同じ被測定物のインピーダンスを測定した場合、5kHzと20kHzとの間、20kHzと50kHzとの間、50kHzと100kHzとの間はそれぞれインピーダンスの変化の傾向が類似することが分かった。これは、被測定物内を流れる電流経路が互いに近いためと推察される。
さらに、本発明の発明者らは、この近接する周波数におけるインピーダンス差が時間経過とともに小さくなるという知見を得た。ただし、近接する周波数におけるインピーダンス差を鮮度の指標とすることは、インピーダンスそのものを指標とする場合に比べて固体間または魚種間の差を小さくすることはできるが、その差は依然として存在してしまう。
そこで、本発明の発明者らは、さらに鋭意研究を行った結果、品質指標として、異なる周波数によるインピーダンス変化を2種類用いて、これらの比を取ることにより、当該比を、インピーダンスが品質状態変化に応じて変化する特性を変えることなく有し、被測定物の種類や個体差によらない品質指標とすることができるという知見を得た。
このような知見に基づいて、本発明の発明者らは、上記構成の品質状態品質状態測定装置1を想到するに至った。上記構成によれば、測定時の周波数が互いに異なる少なくとも3つの電圧値V1〜V3から2種類の電圧値の差D1,D2が算出され、これらの比である第1の比R1が品質指標の値として出力される。したがって、食品の品質状態を、時間経過を伴うことなく、被測定物の種類または個体差によらず高精度に測定することができる。
例えば、本実施の形態において、互いに異なる周波数を有する3つの定電流として、5kHz、20kHzおよび50kHzの周波数を有する3つの定電流が用いられる。すなわち、第1電圧V1が5kHzの周波数を有する第1の定電流から得られた電圧であり、第2電圧V2が20kHzの周波数を有する第2の定電流から得られた電圧であり、第3電圧V3が50kHzの周波数を有する第3の定電流から得られた電圧である。
上記例において、第1の差D1(=V1−V3)を算出するための第1の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値は、第2の差D2(=V2−V3)を算出するための第2の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値と共通の値(50kHzの周波数を有する第3の定電流に基づく第3電圧V3)である。
これによれば、時間経過によるインピーダンス変化の比較的小さい、高い周波数に基づく電圧値を基準として、時間経過によるインピーダンス変化の比較的大きい、より低い周波数に基づく電圧値との差を比べることができる。したがって、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
さらに、第1の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流(第1電圧V1を得るための周波数5kHzを有する第1の定電流)は、第2の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流(第2電圧V2を得るための周波数20kHzを有する第2の定電流)より低い周波数を有している。
これによれば、第1の比R1の分子となる第2の差D2における周波数差が第1の比R1の分母となる第1の差D1における周波数差よりも小さくなる。したがって、インピーダンス変化に基づく第1の比R1を、第1の差D1に基づく周波数範囲(5kHz−50kHz)における第2の差D2に基づく周波数範囲(20kHz−50kHz)が占める割合として求めることができる。これにより、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
以下に、被測定物として3種の魚について第1の比R1を求めた例を示す。以下の表は、ゴマサバ、ニジマス、ブリの致死当日、1日後、および2日後における、第1の差D1、第2の差D2、第1の比D1を示している。なお、これらは、それぞれ複数(ゴマサバ10尾、ニジマス20尾、ブリ6尾)の個体の平均値を取ったものである。
Figure 0006808289
上記表に示すように、鮮度が高い状態であると思われる致死当日を比較すると、3つの魚種で第1の差D1同士、第2の差D2同士は、かなり差が生じるが、第1の比R1は、何れの魚種も概ね0.35前後となり、魚種による差が小さくなっていることが分かる。また、鮮度の低下速度が速いゴマサバでは、時間が経過すると急速に第1の比R1が増加している一方、鮮度低下速度の遅いブリでは、2日程度の時間経過では第1の比R1の変化はほとんどなく鮮度が維持されていることが分かる。
このように、第1の比R1を品質指標とすることで、魚種によらず同じ基準で品質状態の判定を行うことができる。より具体的には、第1の比R1が小さいほど鮮度が高く、大きいほど鮮度が低い指標とすることができる。
このため、本実施の形態において、品質状態測定装置1は、品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部47を備えている。
本実施の形態において、品質判定部47は、演算部41の機能ブロックとして構成される。これにより、品質状態を高精度に表す第1の比R1を含む品質指標を用いて被測定物の品質判定を高精度に行うことができる。
なお、品質判定部47は、品質状態測定装置1内において演算部41に接続された演算部41とは別のマイクロコントローラ等により構成されてもよい。また、品質判定部47は、演算部41により算出された品質指標の値が入力される、品質状態測定装置1の外部のコンピュータにより構成されてもよい。
なお、上記の表において、例えばブリは、致死当日に比べて1日後の第1の比R1が低くなっているが、これは死後硬直の影響でインピーダンスが高くなっていることが原因と思われる。死後硬直前後の鮮度は、鮮度を判定する上では、問題とならない(新鮮であると判定できる)ため、致死当日直後において第1の比R1が小さくなることは第1の比R1を用いて鮮度を判定することに影響はない。なお、本実施の形態によれば、第1の比R1を用いて被測定物が死後硬直の状態にあるか否かを判定することも可能である。
以下に、品質判定の一例を示す。本実施の形態において、演算部41は、第1の比R1を算出するための第1の電圧組み合わせおよび第2の電圧組み合わせのうちの少なくとも何れか一方の組み合わせが異なる第2の比R2を算出し、第1の比R1および第2の比R2に基づいた品質指標の値を算出する。
さらに、本実施の形態において、第2の比R2を算出するための少なくとも3つの電圧値(V2〜V4)のうちの最も周波数が高い定電流に基づく電圧値(第4電圧V4)は、第1の比R1を算出するための少なくとも3つの電圧値(V1〜V3)には含まれず、第1の比R1を算出するための少なくとも3つの電圧値(V1〜V3)のうちの最も周波数が低い定電流に基づく電圧値(第1電圧V1)は、第2の比R2を算出するための少なくとも3つの電圧値(V2〜V4)には含まれない。
例えば、第2の比R2の算出には、第1の比R1を得るためにも使用した第2の電流値(20kHz)および第3の電流値(50kHz)と、それより高い周波数を有する第4の電流値(100kHz)が用いられる。すなわち、本実施の形態において、インピーダンス測定部40は、第1電圧V1〜第3電圧V3に加えて、第4の電流値に基づく第4電圧V4をも測定する。
このため、図3に示すように、本実施の形態において、インピーダンス測定部40は、上記4つの電流値を被測定体に流し、それらに応じた4つの電圧値(V1〜V4)を検出する。演算部41は、当該4つの電圧値(V1〜V4)を取得する(ステップS1)。演算部41は、第1電圧V1〜第3電圧V3から第1の比R1=(V2−V3)/(V1−V3)を算出する(ステップS2)。
さらに、演算部41は、上記第2の電流値から第4の電流値に基づく3つの電圧値(V2〜V4)のうちの第3の電圧組み合わせ(第2電圧V2および第4電圧V4)から第3の差(V2−V4)を演算する。さらに、演算部41は、3つの電圧値(V2〜V4)のうちの第4の電圧組み合わせ(第3電圧V3および第4電圧V4)から第4の差(V3−V4)を演算する。そして、演算部41は、第2の比R2(=D4/D3=(V3−V4)/(V2−V4))を演算する(ステップS3)。
第2の比R2においても、第3の差D3(=V2−V4)を算出するための第3の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値は、第4の差D4(=V3−V4)を算出するための第4の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値と共通の値(100kHzの周波数を有する第4の定電流に基づく第4電圧V4)である。
また、第3の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流(第2電圧V2を得るための周波数20kHzを有する第2の定電流)は、第4の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流(第3電圧V3を得るための周波数50kHzを有する第3の定電流)より低い周波数を有している。
演算部41は、品質指標の値として例えば第1の比R1および第2の比R2の和C(=R1+R2)を算出する(ステップS4)。
このように、周波数範囲が異なる2つの比R1,R2を用いて品質指標の値Cを算出することにより、ノイズ等の影響を低減しつつ分解能を上げることができ、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
また、2つの比R1,R2において、一方の比R1を得るための最小の周波数を有する定電流に基づく電圧値を他方の比R2には用いず、他方の比R2を得るための最大の周波数を有する定電流に基づく電圧値を一方の比R1には用いないこととすることにより、2つの比R1,R2を、周波数範囲が異なるように設定しつつ、幅広い範囲とすることができ、被測定物の品質状態をより高精度に反映した値として、品質指標を被測定物の品質状態測定に採用することができる。
品質判定部47は、第1の比R1および第2の比R2の和である品質指標の値Cが複数の判定範囲(例えば3つの範囲J1〜J3)の何れに属するかに応じて品質判定を行う(ステップS6)。
例えば、第1の範囲J1として品質指標の値Cが第1基準値(例えば0.85)未満である範囲が設定され、第2の範囲J2として品質指標の値Cが第1基準値以上第2基準値(例えば0.95)未満である範囲が設定され、第3の範囲J3として品質指標の値Cが第2基準値以上である範囲が設定される。
前述の通り、第1の比R1は、値が低いほど鮮度が高く、第2の比R2も同様の傾向を示す。したがって、品質指標の値Cが第1の範囲J1にある場合(C<0.85)、被測定物(魚肉)は、致死後すぐの身が締まった新鮮な状態にあり、品質指標の値Cが第2の範囲J2にある場合(0.85≦C<0.95)、被測定物は、死後硬直が解け食べやすい状態にあり、品質指標の値Cが第3の範囲J3にある場合(0.95≦C)、被測定物は身が軟化した状態にある等と判定することができる。
上記の例では何れの範囲も食用に適する状態として判定したが、第3の範囲J3を第3基準値以上第4基準値未満である範囲とし、第4基準値以上の第4の範囲J4を食用に適さない状態として設定してもよい。
品質判定部47は、判定結果を表示部7に表示する(ステップS7)。この際、表示部7に表示される判定結果は、品質指標の値Cが属する範囲J1〜J3が表示されるのみでもよいし、これに加えて、好適な料理(刺身、てんぷら、煮物等)が表示されてもよい。また、演算部41が、測定された電圧値(インピーダンス値)から被測定物の脂肪率等を算出し、当該脂肪率等が判定結果に合わせて表示部7に表示されてもよい。
以下に、被測定物として複数種の魚について品質指標の値を求めた例を示す。以下の表は、各魚種の致死当日、1日後、および2日後における、第1の比R1、第2の比R2、品質指標の値Cおよびそれに基づく判定結果(品質指標の値Cが属する範囲)を示している。なお、これらは、それぞれ複数の個体の平均値を取ったものである。
Figure 0006808289
このように、複数の魚種についても同じ基準で品質状態の判定を行うことができる。また、周波数範囲が異なる2つの比R1,R2を用いて品質指標の値Cを算出することにより、ノイズ等の影響を低減することができ、品質判定を、より高精度に行うことができる。
なお、品質判定部47は、第1の比R1および第2の比R2のそれぞれの値の組み合わせが所定の条件を満たす場合、品質指標の値Cが属する複数の判定範囲J1〜J3に拘わらず、異常が生じたと判定する。図3に示すように、本実施の形態において、品質判定部47は、判定範囲J1〜J3に基づく品質判定を行う前(ステップS6の前)に、第1の比R1および第2の比R2のそれぞれの値から第1の比R1と第2の比R2との組み合わせが正常な組み合わせであるか(言い換えると所定の条件を満たすかどうか)を判定する(ステップS5)。
例えば、品質判定部47は、第1の比R1と第2の比R2との差が0.1以上ある場合に、異常が生じたと判定する。例えば、所定の条件は、R1≦0.35かつ0.45≦R2、R1≦0.40かつ0.50≦R2、0.45≦R1かつR2≦0.30、または、0.50≦R1かつR2≦0.35の何れかを満たすことに設定される。
品質判定部47は、第1の比R1と第2の比R2との組み合わせが上記所定の条件を満たす(正常な組み合わせではない)と判定した場合(ステップS5でNo)、異常が生じたと判定し、表示部7にその旨表示する(ステップS8)。品質判定部47は、上記所定の条件を満たさない(正常な組み合わせである)と判定した場合(ステップS5でYes)、上述した判定範囲J1〜J3に基づく品質判定を行う(ステップS6)。
このように、2つの比R1,R2が同じ傾向を示していない場合に、異常が生じたと判定することができ、品質判定においてノイズ等の影響を低減し、誤判定を防止することができる。
なお、このような場合は、異常が生じた場合以外にも被測定物が解凍品であることが原因である可能性もあるため、品質判定部47は、このような場合において解凍品であるとの判定または再測定を促す判定としてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、品質状態測定装置1の外観形状および内部構成は、上記測定、演算および判定が行える限り限定されない。例えば、電極部を2つの電極で構成し、当該2つの電極が電流極と電圧極とを兼ねるように構成してもよいし、4つの電流極と4つの電圧極との組み合わせ等、電流極および電圧極をそれぞれ3つ以上備え、測定時に使用する電極を適宜選択してもよい。
上記実施の形態において、インピーダンス(電圧値)の測定に用いた定電流の周波数として、5kHz、20kHz、50kHz、100kHzを採用したが、これに限られない。定電流の周波数は、例えば100Hzから1MHzまでの間、好ましくは2kHzから500kHzまでの間の所定の周波数を選択可能である。
また、第1の比R1を得るための周波数の最小値(第1の定電流の周波数)は、被測定物の細胞の容量性を確認可能な2kHzから5kHzまでの間が好ましく、第2の比R2を得るための周波数の最大値(第4の定電流の周波数)は、被測定物の細胞膜を調べるために好適な100kHzから500kHzまでの間が好ましい範囲として例示できる。
また、上記実施の形態において、第1の比R1および第2の比R2をそれぞれ3つの定電流から得られた3つの電圧値から算出する例を示したが、これに限られない。例えば、第1の比R1および/または第2の比R2をそれぞれ4つの定電流から得られた4つの電圧値から算出してもよい。例えば、第1の比R1をR1=(V2−V3)/(V1−V4)として算出し、第2の比R2をR2=(V3−V4)/(V2−V5)として算出してもよい。ここで、V5は、第4の定電流が有する周波数より高い周波数を有する第5の定電流から得られた第5電圧である。
また、第1の比R1の算出に用いられる電圧値と第2の比R2の算出に用いられる電圧値との間で重複する電圧値がなくてもよい(すべて異なる電圧値から各比R1,R2が算出されてもよい)。
また、品質状態測定装置1が品質判定部47を備える場合、判定に用いる品質指標は、第1の比R1および第2の比R2の和Cに限られない。例えば、品質指標として第1の比R1および第2の比R2の何れか一方のみを用いてもよいし、第1の比R1および/または第2の比R2をパラメータとして含む所定の算定式を用いてもよい。
また、上記実施の形態において、主に被測定物として魚肉を例示したが、他の動物の食肉およびそれらの加工品等を被測定物としてもよい。被測定物の種類(魚肉、鶏肉、牛肉、豚肉等の異同)に応じて使用する定電流(電流値および周波数)、判定基準等を変えてもよい。
<付記>
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(A)
少なくとも1つの陽極側電極および少なくとも1つの陰極側電極と、
前記少なくとも1つの陽極側電極と前記少なくとも1つの陰極側電極との間に印加される電圧に基づいて各種演算を行う演算部と、
を有し、
前記少なくとも1つの陽極側電極と前記少なくとも1つの陰極側電極とを動物組織に接触させて、互いに異なる周波数を有する少なくとも3つの定電流を当該少なくとも1つの陽極側電極と当該少なくとも1つの陰極側電極との間に流すことにより、前記少なくとも3つの定電流の各々に応じて前記少なくとも1つの陽極側電極と前記少なくとも1つの陰極側電極との間に印加される少なくとも3つの電圧値を検出し、
前記少なくとも3つの電圧値のうちの2つの電圧値である第1の電圧組み合わせから当該2つの電圧値の差である第1の差と、前記少なくとも3つの電圧値のうちの前記第1の電圧組み合わせとは異なる2つの電圧値である第2の電圧組み合わせから当該2つの電圧値の差である第2の差と、前記第1の差に対する前記第2の差の比である第1の比とを前記演算部により算出し、
前記第1の比を前記品質指標の値として出力することを特徴とする品質状態測定装置。
(B)
前記第1の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値は、前記第2の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値と共通の値である、(A)に記載の品質状態測定装置。
(C)
前記第1の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流は、前記第2の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流より低い周波数を有することを特徴とする(A)または(B)に記載の品質状態測定装置。
(D)
前記品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部を備えた、(A)から(C)の何れかに記載の品質状態判定装置。
(E)
前記演算部は、前記第1の比を算出するための前記第1の電圧組み合わせおよび前記第2の電圧組み合わせのうちの少なくとも何れか一方の組み合わせが異なる第2の比を算出し、前記第1の比および前記第2の比に基づいた前記品質指標の値を算出することを特徴とする(A)〜(D)のいずれか1つに記載の品質状態測定装置。
(F)
前記第2の比を算出するための少なくとも3つの電圧値のうちの最も周波数が高い定電流に基づく電圧値は、前記第1の比を算出するための少なくとも3つの電圧値には含まれず、前記第1の比を算出するための少なくとも3つの電圧値のうちの最も周波数が低い定電流に基づく電圧値は、前記第2の比を算出するための少なくとも3つの電圧値には含まれないことを特徴とする(E)に記載の品質状態測定装置。
(G)
前記品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部を備え、前記品質判定部は、前記第1の比および前記第2の比の和が複数の判定範囲の何れに属するかに応じて前記品質判定を行うことを特徴とする(E)または(F)に記載の品質状態測定装置。
(H)
前記品質判定部は、前記第1の比および前記第2の比のそれぞれの値の組み合わせが所定の条件を満たす場合、前記和が属する前記複数の判定範囲に拘わらず、異常が生じたと判定することを特徴とする(G)に記載の品質状態測定装置。
本発明は、被測定物の品質状態を、時間経過を伴うことなく、被測定物の種類または個体差によらず高精度に測定することができる品質状態測定装置を提供するために有用である。
1 品質状態測定装置
3p,3p1,3p2 陽極側電極
3n,3n1,3n2 陰極側電極
40 インピーダンス測定部
41 演算部
45 定電流回路
47 品質判定部

Claims (8)

  1. 魚肉および食肉を含む被測定物のインピーダンスを得るための電圧を測定するインピーダンス測定部と、
    前記インピーダンスに基づいて前記被測定物の品質を示す品質指標の値を演算する演算部と、を備え、
    前記インピーダンス測定部は、
    所定の周波数および所定の定電流値を有する定電流信号を出力する定電流回路と、
    前記定電流回路から出力される定電流信号を測定対象に流し、当該定電流信号に基づいて前記被測定物に印加される電圧を検出するために、当該被測定物の表面に接触させる少なくとも1つの陽極側電極および少なくとも1つの陰極側電極と、を備え、
    前記インピーダンス測定部は、
    前記定電流回路から前記陽極側電極と前記陰極側電極との間に、所定の定電流値を有し、互いに異なる周波数を有する少なくとも3つの定電流を流すことにより、各定電流に応じて前記陽極側電極と前記陰極側電極との間に印加される少なくとも3つの電圧値を検出し、
    前記演算部は、
    前記少なくとも3つの電圧値のうちの2つの電圧値である第1の電圧組み合わせから当該2つの電圧値の差である第1の差を算出し、
    前記少なくとも3つの電圧値のうちの前記第1の電圧組み合わせとは異なる2つの電圧値である第2の電圧組み合わせから当該2つの電圧値の差である第2の差を算出し、
    前記第1の差に対する前記第2の差の比である第1の比を算出し、
    前記第1の比を前記品質指標の値として出力する、品質状態測定装置。
  2. 前記第1の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値は、前記第2の電圧組み合わせのうちのより周波数が高い定電流に基づく電圧値と共通の値である、請求項1に記載の品質状態測定装置。
  3. 前記第1の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流は、前記第2の電圧組み合わせを得るための2つの電流値のうちのより周波数が低い定電流より低い周波数を有する、請求項1または2に記載の品質状態測定装置。
  4. 前記品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部を備えた、請求項1から3の何れか一項に記載の品質状態測定装置。
  5. 前記演算部は、
    前記第1の比を算出するための前記第1の電圧組み合わせおよび前記第2の電圧組み合わせのうちの少なくとも何れか一方の組み合わせが異なる第2の比を算出し、
    前記第1の比および前記第2の比に基づいた前記品質指標の値を算出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の品質状態測定装置。
  6. 前記第2の比を算出するための少なくとも3つの電圧値のうちの最も周波数が高い定電流に基づく電圧値は、前記第1の比を算出するための少なくとも3つの電圧値には含まれず、
    前記第1の比を算出するための少なくとも3つの電圧値のうちの最も周波数が低い定電流に基づく電圧値は、前記第2の比を算出するための少なくとも3つの電圧値には含まれない、請求項5に記載の品質状態測定装置。
  7. 前記品質指標の値に基づいて被測定物の品質判定を行う品質判定部を備え、
    前記品質判定部は、前記第1の比および前記第2の比の和が複数の判定範囲の何れに属するかに応じて前記品質判定を行う、請求項5または6に記載の品質状態測定装置。
  8. 前記品質判定部は、前記第1の比および前記第2の比のそれぞれの値の組み合わせが所定の条件を満たす場合、前記和が属する前記複数の判定範囲に拘わらず、異常が生じたと判定する、請求項7に記載の品質状態測定装置。
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