<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
例えば、図1の側面図、図2の正面図に示すように、建築現場で鉄筋や電線などの(結束)対象物1を結束するのに、鉄筋結束機などの結束機2が用いられている。この結束機2は、ワイヤ3をカールさせながら(または、円弧状の曲げ癖をつけながら)送り出して対象物1の周囲を取り囲む輪4を作り、この輪4を捩り絞ることによって対象物1の結束を行い得るようにしたものである。
以下、結束機2について説明する。
上記した結束機2は、結束機本体5と、グリップ6とを有している。
なお、以下の説明では、方向については、図1の状態(結束機2を立てた状態)を基準としている。そして、結束機本体5の長手方向(図1の左右方向に相当する方向)を前後方向とし、結束機本体5の長手方向と直交する方向のうちの所定の一方向(図1の上下方向に相当する方向)を上下方向(または高さ方向)とし、前後方向および上下方向と直交する方向を左右方向(または幅方向)とする。また、結束機本体5の長手方向の一端側(対象物1へ向ける側、図1の左側)を前側または先端側、結束機本体5の長手方向の他端側(対象物1とは反対の側、図1の右側)を後側または後端側とする。更に、結束機本体5を基準として図1の上側を上、結束機本体5を基準として図1の下側(グリップ6が延びる方向)を下とする。そして、図1の紙面奥側(図2の左側)を結束機本体5の右、図1の紙面手前側(図2の右側)を結束機本体5の左とする。
グリップ6は、結束機本体5の長手方向のほぼ中間部からほぼ下方へ向けて延びるように設けられている。このグリップ6には、トリガー7とロックスイッチ8とが設けられると共に、下部に電池パック9が着脱できるようになっている。そして、電源スイッチが入った状態でロックスイッチ8を解除してトリガー7を引くことにより、結束機2が作動されて、結束動作がなされる。
そして、グリップ6の前側には、鉄筋などの対象物1の結束に使われる(結束)ワイヤ3をセットするための収容部11が設けられている。この場合、ワイヤ3は、リール12に対してコイル状に巻き取ったものを使用するようになっている。リール12は、ワイヤ3を同時に1本または複数本引き出せるようになっている。ワイヤ3を巻き付けたリール12は、収容部11に対して着脱可能にセットされる。この場合、収容部11に対するリール12の着脱方向は、リール12の軸線方向とされている。
また、図3の内部構成図に示すように、結束機本体5には、リール12に巻き付けられたワイヤ3を結束機本体5の先端側に設けられた結束部15へ向けて送るための送り部(送り手段)16が設けられている(図3においてはワイヤ3を省略して示している)。この場合、送り部16は、結束機本体5の先端側下部に設けられる。また、収容部11は、送り部16の下部に設けられている。収容部11は、結束機本体5の先端と、グリップ6の下端との間に架設状態で取付けられている。
このように、送り部16と収容部11とを結束機本体5の前側下部の位置に設けることにより、(例えば、収容部11を結束機本体5の後端側に設けた場合と比べて、)結束機2の重量バランスを良くして結束機2を取り扱い易いものにすると共に、ワイヤ3の経路がより曲線的なものとなるので、ワイヤ3の輪4を作り易くすることができる。
送り部16は、図4、図5の機構図に示すように、少なくとも、ワイヤ3を送るための送りギヤ17と、送りギヤ17を回転駆動するための送り用モータ18とを備えている。送りギヤ17は、例えば、ワイヤ3を左右から挟むように一対設けられる。左右一対の送りギヤ17は、一方が駆動輪とされ、他方が従動輪とされる。従動輪とされた送りギヤ17は、駆動輪とされた送りギヤ17に対し所要の押圧力を有して近接離反動可能なテンションローラなどとしても良い。
送りギヤ17の外周の厚み方向中央部には、ワイヤ3を受けて摩擦駆動するためのV字状の切込部19が設けられており、周方向へ延びる噛み込み用溝部を形成している。なお、送りギヤ17と送り用モータ18の出力軸に取付けられた出力ギヤとの間には、適宜、中間ギヤ21などを設けることができる。
そして、送り用モータ18によって送りギヤ17を正転させることで、ワイヤ3をほぼ上側へ移動させて結束部15へ送ることができるようになっている。また、送り用モータ18によって送りギヤ17を逆転させることで、送り出したワイヤ3をほぼ下側へ移動させて結束部15から収容部11へ引き戻すことができるようになっている。この場合、送りギヤ17の回転軸22は、図3に示すように、水平方向に対し前傾状態に傾斜配置されており、ワイヤ3をほぼ前斜め上方へ向けて送るようになっている。
ちなみに、ワイヤ3の送り量は、例えば、250mm程度、ワイヤ3の引き戻し量は、例えば、75mm〜115mm程度(送り量のほぼ1/2〜1/3程度)などとされる。但し、これらの量は、対象物1となる鉄筋の径と鉄筋の本数とによって変わるものである。
また、結束部15には、対象物1に対して当接可能な当接部25が設けられている。また、結束部15には、送り部16によって送られてきたワイヤ3を輪4にするための湾曲形成部26が設けられている。湾曲形成部26は、当接部25を挟んで(上下に)一対設けられたカールアーム27とカールガイド28とを有している。
カールアーム27は、その内周側にワイヤ3をカールさせる(または、ワイヤ3に円弧状の曲げ癖を与える)ためのカール用溝部を有している。カールガイド28は、その内周側にカールアーム27でカールされたワイヤ3を受けるための受溝を有している。そして、ワイヤ3は、カールアーム27とカールガイド28との間を、図中反時計回りに通されることで輪4を作るようになっている。そして、カールアーム27とカールガイド28との間(間隙)は、当接部25へ向けて対象物1を通すための通過部となっている。
更に、図4に示すように、結束機本体5には、少なくとも、送り部16の入側および出側、ならびに、カールアーム27の少なくとも基部の位置に、ワイヤ3を案内したり位置規制したりするためのワイヤガイド31〜33がそれぞれ設けられている。このうち、送り部16の入側に配置されたワイヤガイド31は、リール12からのワイヤ3を送り部16へ案内するためのものであり、送り部16の出側に配置されたワイヤガイド32は、送り部16からのワイヤ3を切断部34へ案内するためのものである。切断部34は、ワイヤ3の輪4になった部分をその他の部分から切り離すために設けられており、固定刃と可動刃とを有している。また、少なくとも、カールアーム27の基部の位置に配置されたワイヤガイド33は、ワイヤ3をループ状にカールさせるような癖付けが可能となっている。
加えて、結束機本体5の先端側の当接部25(図1、図2参照)は、ワイヤ3の輪4の軸方向両側に位置し、所要の間隔を有して左右一対設けられている。結束機本体5の内部における、左右の当接部25間の位置には、図6の側面図や、図7の平面図、図8の平断面図に示すような、輪4にしたワイヤ3を捩り絞ることで、対象物1に対してワイヤ3を締め込むようにする捩り部35が設けられている。捩り部35は、ワイヤ3を挟んだり離したり引っ掛けたりできるようにした保持部36と、保持部36を所要数だけ回転させて捩る(捩転)ための捩転用モータ37と、保持部36をワイヤ3に対して開閉動させたり捩転させたり進退動させたりするための作動機構38とを備えている。
図8に示すように、保持部36は、センターフック36aと左右一対のフック36b,36cとを備えており、輪4にしたワイヤ3の重なり部分をそれぞれ別個に通すための左右のワイヤ通し部を構成し得るようになっている。また、保持部36を開閉操作するための作動機構38は、主に、ネジ軸38aと、このネジ軸38aの外周側に螺着されたスリーブ38bと、スリーブ38bに回転規制を掛けたり、回転規制を解除したりするための回転規制部38cとを有するネジ機構などから成っている。
作動機構38は、保持部36と捩転用モータ37との間の位置に介在されている。作動機構38は、ネジ軸38aの回転によるスリーブ38bのネジ軸38aに対する長手方向への相対変位を利用して、保持部36の開閉動作や捩転などを行わせるようになっている。また、作動機構38は、切断部34やカールアーム27の基部のワイヤガイド33などを、連動機構34a,33a(図6参照)を用いて連動して作動させ得るようになっている。
そして、作動機構38は、ワイヤ3を捩る時には、保持部36(の左右のフック36b,36c)を閉じて輪4となったワイヤ3の重なり部分を保持した後、捩転させる。そして、作動機構38は、ワイヤ3の輪4を捩り終わった後には、保持部36(の左右のフック36b,36c)を開いた状態で待機させるようになっている。
送り部16や、捩り部35などは、結束機本体5の内部に設けられた制御装置39(図3参照)によって制御される。
そして、図4に示すように、リール12は、ワイヤ3の巻芯となる筒状のハブ部41と、このハブ部41の軸方向両端部(またはその周辺)に一体に設けられた一対のフランジ部42,43とを有している。フランジ部42,43は、ハブ部41よりも径の大きいほぼ円板状のものなどとされており、ハブ部41と同心に設けられている。一対のフランジ部42,43は、同径にしても良いし、収容部11に対するリール12の着脱方向を基準として収容部11の奥側(図の左側)に位置されるフランジ部42を手前側(図の右側)に位置されるフランジ部43よりも小径となるようにしても良い。フランジ部42,43には、補強リブや肉抜き部などを適宜形成することができる(図6など参照)。なお、リール12は、ABS樹脂や、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどのような、摩耗や曲げに対して優れた耐性を有する樹脂によって形成するのが好ましい。
更に、リール12は、収容部11の内部で特に回転駆動されることなく、ワイヤ3の引き出しなどに伴って(従動)回転されるようになっている。そのために、リール12と収容部11との間には、リール12の回転を支承するための回転軸部(または回転ガイド部)などが設けられる。
この場合、図9に示すように、ワイヤ3は、リール12の下側前部の位置から、リール12の時計回りの回転によってほぼ上方へ引き出されるようになっている。また、リール12は、結束機本体5や送り部16の幅中心位置に対して、左右方向の一方(例えば、右利きの人が扱い易いように結束機本体5や送り部16の左側(図2、図4の右側)など)にオフセットした状態で配置されている。特に、リール12は、カールアーム27に対して左右方向に完全にオフセットされるようにしている。
そして、収容部11は、リール12を収容可能なほぼ円筒状の凹部として構成されるリール収容部11aと、リール12から引き出されたワイヤ3を送り部16(の入側のワイヤガイド31)まで導くためのワイヤ3の通路として構成されたワイヤ通路11bとが設けられる。ワイヤ通路11bは、リール収容部11aと一体に連なって、内部をワイヤ3が自由に通れる空間(自由空間)とされる。この場合には、ワイヤ通路11bは、リール収容部11aから送り部16へ向かって漸縮する上狭まり(または下広がり)の側面形状などとされている。
収容部11は、前壁91aと後壁91bと側壁91c(図16参照)とを有する保護ケース91などの部材によって構成されている。なお、保護ケース91は、結束機本体5と一体の樹脂製のものとされる。保護ケース91は、リール12と同様に、ABS樹脂や、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどのような、摩耗や曲げに対して優れた耐性を有する樹脂によって形成するのが好ましい。
保護ケース91は、例えば、ケース本体と、ケース本体の側面に形成された開口を開閉するカバーとによって構成される。ケース本体はマガジンなどと呼ばれるものであり、また、カバーはマガジンカバーと呼ばれるものである。ケース本体とカバーとの間には、図1に示すように、ヒンジ部61が設けられ、ケース本体にはカバーによってケース本体の開口を閉じるためのロック装置62が設けられる。
そして、以上のような、結束機に対し、この実施例では、以下のような構成を備えるようにしている。
(1)図9(〜図11)に示すように、送り部16によってリール12から引き出されたワイヤ3が送り部16へ(直線状に)導かれるときのワイヤ3の入線経路81に対して、リール12と送り部16との間に位置するワイヤ3の引き出し部分3aが、入線経路81から外れるのを規制する第1の規制手段(第1の規制部)83を収容部11内に設ける。
ここで、ワイヤ3の引き出し部分3aとは、ワイヤ3がリール12から引き出されてから送り部16へ入れられるまでのフリーとなる部分のことである。入線経路81について説明すると、入線経路81は、自由空間となっているワイヤ通路11bの内部において、リール12に巻かれたワイヤ3が最大径の時(使用開始時)に、送り部16へ向けてワイヤ3がピンと張った状態で真っ直ぐに導かれる直線状の経路(最大経路81a)と、リール12に巻かれたワイヤ3が最小径(または、ほぼハブ部41の径)となった時に、送り部16へ向けてワイヤ3がピンと張った状態で真っ直ぐに導かれる直線状の経路(最小経路81b)との間の範囲とされる。
そして、第1の規制手段83は、ワイヤ3がピンと張った状態で入線経路81内を導かれている時には、ワイヤ3を案内せず、ワイヤ3が弛んで入線経路81から外れた時に、ワイヤ3の外れを規制するものである。よって、入線経路81と第1の規制手段83との間には、所要の余裕代84が形成される。余裕代84は、ワイヤ3が入線経路81から外れても支障を生じない僅かな範囲とされる。即ち、余裕代84は、第1の規制手段83と送り部16によるワイヤ3の引き出し方向の線(後述するワイヤ3の引き戻し方向85(図11参照)へ延びる線86に同じ)とのなす角が3°〜10°程度(好ましくは5°以下)となるように構成される。
なお、リール12に対してワイヤ3を図中反時計回りの方向に巻き取っている場合には、ワイヤ3(の引き出し部分3a)は、前側へ向かって膨らむように弛んでいくことになる。よって、第1の規制手段83は、少なくとも、入線経路81の前側に対して設けられる。具体的な第1の規制手段83については、後述する。
(2)また、送り部16によってリール12側へ引き戻されたワイヤ3が、送り部16によるワイヤ3の引き戻し方向85(図11参照)へ延びる線86から外れるのを規制する第2の規制手段(第2の規制部)87を収容部11内に設ける。
ここで、送り部16からのワイヤ3の引き戻し方向85(図11参照)について説明すると、送り部16からのワイヤ3の引き戻し方向85は、送り部16の一対の送りギヤ17を相対向部(ワイヤ3に対する噛み込み部)が下方へ向かうように回動させた場合にワイヤ3が下へ向かう方向のことである。なお、送り部16からのワイヤ3の送り出し方向88(図10参照)は、送り部16の一対の送りギヤ17を相対向部(ワイヤ3に対する噛み込み部)が上方へ向かうように回動された場合にワイヤ3が上へ向かう方向のことである。
第2の規制手段87は、ワイヤ3が弛んだ状態で引き戻されるような時に、ワイヤ3の戻りによる膨らみを規制するものである。なお、上記したように、ワイヤ3は、装置前側へ向かって膨らむように弛んで行く傾向にある。よって、第2の規制手段87は、少なくとも、入線経路81の前側に対して設けられる。具体的な第2の規制手段87については、後述する。
また、第1の規制手段83と、第2の規制手段87とは、それぞれ異なる考え方に基いて別個に設定されるものであるが、構造を工夫することによって共通化することができる。
(3)より具体的には、リール12から送り出されるワイヤ3と対向する面を構成する収容部11の前壁91aを、第1の規制手段83、または、第2の規制手段87となる位置に設置するようにしても良い。
本実施例では前壁91aは、入線経路81の前側に余裕代84を有して設置されている。この際、余裕代84を調整して、第1の規制手段83を第2の規制手段87と一致させることで、前壁91aに両方の機能を兼備させた構成にしている。
(4)上記において、収容部11の前壁91aに、ワイヤ3の接触による前壁91aの摩耗を防止可能な摩耗防止手段92を設けても良い。
(5)摩耗防止手段92は、収容部11の少なくとも一部を構成する金属製の部材としても良い。
ここで、金属製の部材は保護ケース91とすることができる。収容部11の少なくとも一部は、保護ケース91の前壁91aとすることができる。摩耗防止手段92は、前壁91aの全部または少なくとも一部に対して設けることができる。
(6)摩耗防止手段92は、収容部11全体を構成する金属製の部材としても良い。
ここで、金属製の部材は保護ケース91とすることができる。収容部11全体は、保護ケース91の全部(前壁91aと後壁91bと側壁91c)とすることができる。
(7)また、摩耗防止手段92は、前壁91aの少なくとも一部を覆うようにして取付けられた金属板とすることができる。
ここで、金属板は、保護ケース91の内面に貼り付けたり埋め込んだりすることで設けることができる。この場合、金属板は、保護ケース91の内面全域か、または、少なくとも、前壁91aの部分に対して部分的に設けるようにする。
(8)更に、摩耗防止手段92は、収容部11の内側へ突出するように設けられた金属製の部材とすることができる。
(9)或いは、他の実施例として、図12(〜図14)に示すように、第1の規制手段83(の少なくとも一部)は、ワイヤ3の引き出し部分3aに当接可能な単数または複数の当接体94としても良い。なお、当接体94は、ワイヤ3の引き出し部分3aが常時当接している必要はなく、少なくとも、ワイヤ3の引き出し部分3aが弛んだ場合に当接できれば良い。
(10)また、他の実施例として、図12(〜図14)に示すように、第2の規制手段87(の少なくとも一部)は、リール12と送り部16との間に位置する引き戻されたワイヤ3に当接可能な単数または複数の当接体94としても良い。なお、当接体94は、引き戻されたワイヤ3が必ず当接される必要はなく、少なくとも、引き戻されたワイヤ3の弛みが必要以上に大きくなった場合に当接できれば良い。
ここで、当接体94は、収容部11(保護ケース91)に対し内側へ突出するように設けられた凸形状部材、例えば、ピン、特に金属製のピンなどとすることができる。金属製のピンなどの凸形状部材は、第1の規制手段83や第2の規制手段87としての機能の他に、上記した(前壁91aに対する)摩耗防止手段92と同様の(当接体94に対する)摩耗防止機能も有するものとなる。金属製のピンは、例えば、円形断面のものとすることができる。また、金属製のピンは、半円形や、D字断面などのような、保護ケース91の内側へ突出する凸形状の部分を有する非円形断面のものとすることができる。
当接体94を金属製のピンとした場合、金属製のピンは、リール12の軸線方向(図の紙面と直交する方向)へ延びるものとする。金属製のピンは、収容部11の左右の側壁91c(図16参照)の少なくとも一方に設けたピン穴に(片持状態で)植設(挿入または圧入)することなどによって、保護ケース91よりも内側(前壁91aの後方側)の位置に設置される。この場合、当接体94としての金属製のピンは、入線経路81よりも前側の位置に1本のみ設けられている。
なお、当接体94を設けた場合には、当接体94が、主に規制手段(第1の規制手段83または第2の規制手段87)としての機能を担うため、収容部11の前壁91aは、必ずしも第1の規制手段83または第2の規制手段87にする必要はない。但し、当接体94と前壁91aとを組み合わせて、両者を共に第1の規制手段83または第2の規制手段87としても良い。
また、当接体94は、摩耗したときに交換可能なように収容部11に対して着脱自在に構成しても良い。また、当接体94は、例えば、前壁91aに対する摩耗防止手段92の一部を、金属製のピンと同様の凸形状となるように収容部11の内方へ部分的に張り出すようにして設けても良い。
(11)また、図14Bに示すように、当接体94Aは、金属製のピンなどのような固定型当接体に替えて、ワイヤ3との当接部分が動き得る可動体(可動型当接体)などとすることができる。
(12)上記可動体は、例えば、転動可能なローラーとすることができる。ローラーは、図14Cに示すように、回転軸94aと、回転軸94aに外嵌された筒状のローラー本体94bとを備えたものとされる。ローラー本体94bは、独自の摩耗防止手段92を備えることが望ましく、そのために、例えば、ローラー本体94b全体を金属製のものとすることができる。または、ローラー本体94bの表面に、摩耗防止手段92として、金属製のスリーブや金属製のベルト(スチールベルト)などを取付けるようにしても良い。金属製のスリーブや金属製のベルトは、ローラー本体94bに対して着脱交換可能に取付けても良い。また、回転軸94aの先端部にEリング94cなどの係止部材を着脱可能に取付けることによって、ローラー本体94b自体を着脱交換可能に保持することもできる。
この場合、当接体94Aとしてのローラー(可動体)は、入線経路81よりも前側の位置に1本のみ設けられている。但し、図14Dに示すように、当接体94,94A(としての金属製のピンやローラー(可動体))は、入線経路81よりも前側の位置に沿い、所要の間隔を有して複数本(図では3本となっている)設けるようにしても良い。金属製のピンとローラーとは、混在させて使用しても良い。また、当接体94,94A(としての金属製のピンやローラー(可動体))を複数本設けた場合には、これらの間に、更に、金属製のベルト(スチールベルト)などを掛け渡してコンベヤ状の可動体としても良い。
(13)当接体94は、収容部11の内側へ突出するように設けられた凸形状部材としても良い。
(14)上記において、送り部16によるワイヤ3の送り出し方向88または引き戻し方向85を、リール12の最大径部分またはその近傍に設定した仮想円95に対する接線の方向へ向ける。
そして、少なくとも1つの当接体94を、接線と上記仮想円95との接点の位置またはその近傍に設置する。
ここで、リール12では、フランジ部42,43が最大径部分となっている。よって、リール12の最大径部分に設定した仮想円95は、フランジ部42,43の外周縁のことである。また、最大径部分の近傍に設定した仮想円95は、例えば、リール収容部11aの内周壁に沿った円などとすることができる。リール収容部11aの内周壁は、リール12が入るように、少なくとも、奥側のフランジ部42よりも僅かに大径とされている。
接線は、ワイヤ3の引き戻し方向85へ延びる線86(図11参照)に相当する。当接体94は、接線よりも若干、装置前側で上側の位置に設けられる。
(15)そして、図15(図16)に示すように、収容部11内のリール12から引き出したワイヤ3が送り部16へ導かれる時のワイヤ3の入線経路81(図9参照)の後方側(図15の右側)に、ワイヤ3を規制する第3の規制手段(第3の規制部)96を設けるようにしても良い。
ここで、第3の規制手段96は、後方へ向かうワイヤ3の変形(蛇行による変形など)を規制するものである。後方へ向かうワイヤ3の変形は、ワイヤ3(の引き出し部分3a)が、先ず、前方へ向かって膨らむように変形した後に、前方への逃げ場がなくなることなどによって発生される。
(16)第3の規制手段96は、例えば、収容部11(保護ケース91)の側壁91cから延びる押えリブなどとすることができる。
ここで、この押えリブ(第3の規制手段96)は、ワイヤ3の最小経路81bよりも後側の位置に、最小経路81bに対して若干の余裕代64aを有して設置される。この場合、押えリブは、保護ケース91の上方の送り部16に近い位置に、ほぼリール12の軸線方向へ向けて片持梁状態で延びるように設けられる。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
図1、図3に示すように、結束機2は、ワイヤ3が巻き付けられたリール12を収容部11に装着し、リール12の下側前部の位置からリール12を時計回りに回転させるようにワイヤ3を上へ引き出して送り部16や湾曲形成部26のカールアーム27などへ通すことで使用可能な状態となる。
そして、結束機本体5の電源スイッチを入れ、ロックスイッチ8を解除して、結束機本体5の先端(の結束部15)の当接部25に鉄筋などの対象物1を当接させ、トリガー7を引くことによって結束機2が作動されて、鉄筋などの対象物1の結束が行われる。
この際、トリガー7を引くと、先ず、図17に示すように、送り部16の送りギヤ17によってワイヤ3が上方のカールアーム27へ向けて規定量送られ、カールアーム27(のカール用溝部)によってワイヤ3がカールアーム27の位置で且つ下方へ向くようカールされる。カールされたワイヤ3の先端は反時計回りに回ってカールガイド28へ飛び込み、カールガイド28で案内されて捩り部35の保持部36内を通過し、対象物1の周囲を取り囲む輪4となってカールアーム27の基部に突き当たる(ワイヤ送り工程)。
次に、捩り部35が作動して、連動機構33a(図6参照)などを介してカールアーム27の基部のワイヤガイド33が輪4になったワイヤ3の先端の位置を規制すると共に、保持部36でワイヤ3の先端部分を保持する(ワイヤ掴み工程)。
更に、図18に示すように、送り部16の送りギヤ17が逆転してワイヤ3を下方へ所定量引き戻す(ワイヤ戻し工程)。このワイヤ3の引き戻しによって、1回の結束に使用するワイヤ3の量を最小限に抑えて、結束可能回数を増やすことができる。また、対象物1を結束するワイヤ3の巻姿が小さくて整ったものとなる。しかし、ワイヤ3を引き戻すと、収容部11の内部にワイヤ3の弛みが発生するおそれがある。また、ワイヤ3の弛みは、上記の他に、例えば、ワイヤ3の引き出し時などに回転慣性でリール12が多く回転し過ぎてしまったような場合や、結束時に結束機2に発生する振動などによってリール12が少しずつ過剰に回転されてしまったような場合などにも生じ得る。
続けて、図19に示すように、切断部34が作動してワイヤ3を切断する(ワイヤ切断工程)。
その後、図20に示すように、捩り部35の保持部36が捩転してワイヤ3を捩ると共に、保持部36が前進することで、輪4を小さくすると共にワイヤ3の捩り部分を鉄筋などの対象物1に近付けて、締め付けによる結束がなされる(ワイヤ捩り工程)。
最後に、図21に示すように、保持部36が鉄筋などの対象物1から後退されると共に、ワイヤ3の捩り部分を離すことで結束が終了される(ワイヤ離し工程)。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)リール12と送り部16との間に位置するワイヤ3の引き出し部分3aが、送り部16へ導かれるワイヤ3の入線経路81から外れるのを規制する第1の規制手段83を収容部11内に設けた。これにより、ワイヤ3の引き出し部分3aが、入線経路81から大きく外れないように第1の規制手段83で規制することができる。つまり、ワイヤ3の引き戻し時のワイヤ3の弛みや、ワイヤ3の引き出し時などに回転慣性でリール12が多く回転し過ぎてしまったような場合や、結束時に結束機2に発生する振動などによってリール12が少しずつ過剰に回転されてしまったような場合などに生じたワイヤ3の弛みを規制できる。
また、上記により、ワイヤ3の引き出し部分3aが、入線経路81から大きく外れないように規制されるので、ワイヤ3の引き出し部分3aを、耐変形荷重が高い状態(即ち、引き出し部分3aに曲がりがなくほぼ直線に近い状態)に保つことができるようになり、引き出し部分3aの曲げが大きくなることで、引き出し部分3aの耐変形荷重が低下して座屈などを起こし易い状態になるのを防止することができる。
これに対し、第1の規制手段83を全く設けない場合には、図22(〜図25)に示すように、収容部11を必要以上に大きく設定して、ワイヤ3の弛みを最大限に許容できるようにすることが考えられる(過大余裕代84a)。
しかし、収容部11を無用に大きくすると、一見良いようにも思えるが、例えば、図23に示すワイヤ3の送り出しと、図24に示すワイヤ3の引き戻しとを繰り返しているうちに、収容部11の内部で弛んだワイヤ3が徐々に大きく膨らんで行き、ワイヤ通路11bの前壁91aに接触して、前壁91aに貼り付くようになる。すると、ワイヤ通路11bの前壁91aに貼り付いたワイヤ3は、大きく膨らんだ分だけ前側への逃げ場がなくなった時の曲がりが大きくなって耐変形荷重の低下が著しくなってしまうので、容易に後側へ曲がって、図25に示すように、後方へ向かうワイヤ3の変形(蛇行など)を起こすことになる。よって、余裕代84を必要以上に大きく取ることは、ワイヤ3の暴れなどを促進してしまうことになるので、却って不具合を生じる原因となり易い。
これに対し、この実施例のように収容部11の内部に第1の規制手段83を設けて入線経路81に対するワイヤ3の外れを適正に規制することで、収容部11内での上記したワイヤ3の座屈や蛇行などの変形を有効に防止することが可能となる。
(効果2)また、送り部16(の逆転)によって送り出したワイヤ3を強制的に引き戻す際に、ワイヤ3が送り部16によるワイヤ3の引き戻し方向85へ延びる線86から外れると、ワイヤ3の引き出し部分3aが曲がった状態になり易い。そして、ワイヤ3の引き出し部分3aの曲がりが一定曲率以上に大きくなると、上記したようにワイヤ3の耐変形荷重が(ワイヤ3が真っ直ぐな状態の時と比べて)低下するため、送り部16がワイヤ3を強制的に引き戻す力によってワイヤ3の引き出し部分3aが容易に折れるようになってしまう(即ち、ワイヤ3の引き出し部分3aが座屈し易くなってしまう)。
このように、ワイヤ3の引き出し部分3aが折れると、例えば、次の結束時にワイヤ3が送れなくなったり、または、ワイヤ3が収容部11から飛び出したりするなどの不具合が生じる。
そこで、送り部16によってリール12側へ引き戻されたワイヤ3(の引き出し部分3a)が、送り部16によるワイヤ3の引き戻し方向85(図11参照)へ延びる線86から外れないように規制する第2の規制手段87を収容部11内に設けた。
これにより、ワイヤ3の引き出し部分3aに曲がりが起こり難くなるので、ワイヤ3の引き出し部分3aの耐変形荷重が低下せず、送り部16がワイヤ3を強制的に引き戻す力でワイヤ3の引き出し部分3aが容易に折れてしまうことを防止できる。よって、例えば、次の結束時にワイヤ3が送れなくなったり、ワイヤ3が収容部11から飛び出したりするなどの不具合を、有効に防ぐことができる。
しかも、湾曲形成部26で輪4を作り易くするために、ワイヤ3を送る際に送り部16でワイヤ3に或る程度の曲げを与える(カールさせる)ようにしている場合がある。このような場合に、送り部16を逆転させてワイヤ3を引き戻すと、送り部16によってカールされたワイヤ3の一部が、曲げ癖が付いた状態のままリール12側へ戻されることになる。このようなカールによって、ワイヤ3の引き出し部分3aは、送り部16の引き戻し方向85へ延びる線86に対してズレ易くなる傾向にある。しかし、このような、カールされたワイヤ3を引き戻すことによるワイヤ3の引き出し部分3aの(引き戻し方向85へ延びる線86からの)ズレについても、規制手段87を設けることによって有効に防止することができる。
特に、線径が細い(例えば、線径が0.5mm〜1.5mm程度)ワイヤ3を使用した場合には、ワイヤ3自体が曲がり易いため、送り部16による引き戻しによってワイヤ3の線86からのズレやワイヤ3の座屈などが起こり易くなるが、このような場合であっても、第2の規制手段87を設けることにより、ワイヤ3のズレや座屈などを防止して、ワイヤ3の送り出しと引き戻しが繰り返し行われる結線作業を安定して継続させることが可能となる。
(効果3)リール12から送り出されるワイヤ3と対向する面を構成する収容部11の前壁91aを、第1の規制手段83、または、第2の規制手段87となる位置に設置しても良い。これにより、保護ケース91の前壁91aを有効利用して規制手段83,87を設けることが可能になると共に、保護ケース91とは別に専用の規制手段83,87を設ける必要をなくすことができる。また、保護ケース91を規制手段83,87として利用することにより、結束機2や収容部11の小型化などを図ることも可能となる。
(効果4)収容部11の前壁91aに、ワイヤ3の接触による前壁91aの摩耗を防止可能な摩耗防止手段92を設けた。これにより、ワイヤ3(の引き出し部分3a)が弛んで入線経路81から外れ、規制手段83,87となっている保護ケース91の前壁91aに接触したような場合でも、接触したワイヤ3との擦れによる保護ケース91の摩耗を金属製の摩耗防止手段92によって防止することができる。また、金属製の摩耗防止手段92が、ワイヤ3との間の摩擦抵抗を減らすので、入線経路81から外れて保護ケース91に接触したワイヤ3が保護ケース91に貼り付いて動かなくなるような不具合を防止することができる。よって、金属製の摩耗防止手段92を設けることで、仮に、ワイヤ3が保護ケース91と接触したり、保護ケース91に貼り付いたりしても、ワイヤ3の座屈などを防止しつつワイヤ3の引き出しや引き戻しをスムーズに行わせることができるようになる。
(効果5)摩耗防止手段92は、収容部11の少なくとも一部を構成する金属製の部材とすることができる。例えば、摩耗防止手段92は、収容部11を構成する保護ケース91の前壁91aの少なくとも一部または全部に対して設けることができる。これにより、保護ケース91の少なくとも一部または全部の摩耗を防止することができる。
(効果6)具体的には、摩耗防止手段92は、収容部11全体を構成する金属製の部材(例えば、保護ケース91)とすることができる。これによって、保護ケース91の全部を摩耗防止手段92とすることができる。
(効果7)また、摩耗防止手段92は、前壁91aの少なくとも一部を覆うようにして取付けられた金属板とすることができる。これによって、金属板で収容部11の摩耗防止を効果的に行わせることができる。この場合、金属板は、保護ケース91の内面全域か、または、少なくとも、前壁91aの部分に対して貼り付けたり埋め込んだりして設けることができる。
(効果8)更に、摩耗防止手段92は、収容部11の内側へ突出するように設けられた金属製の部材とすることができる。これによって、金属製の部材で収容部11の摩耗防止を効果的に行わせることができる。
(効果9)第1の規制手段83(の少なくとも一部)は、ワイヤ3の引き出し部分3aに当接可能な単数または複数の当接体94としても良い。この単数または複数の当接体94によって、ワイヤ3の引き出しの際のワイヤ3の弛みを有効に規制させることができる。
(効果10)第2の規制手段87(の少なくとも一部)は、リール12と送り部16との間に位置する引き戻されたワイヤ3に当接可能な単数または複数の当接体94としても良い。この単数または複数の当接体94によって、ワイヤ3の引き戻しの際のワイヤ3の弛みを有効に規制させることができる。
(効果11)当接体94Aは、ワイヤ3との当接部分が動き得る可動体(可動型当接体)としても良い。このように、当接体94Aを、可動体とすることで、(当接体94をピンなどの固定型当接体とした場合と比べて)より摩耗に強いものとすることができる。これにより、粉塵などが生じ易いような悪環境下で結束機2を使用した場合であっても、当接体94Aがより摩耗し難いものとなっているため、ワイヤ3の送りや引き戻しに対する性能を長期間に亘って維持し続けることができる。
(効果12)具体的には、可動体は、ローラーとしても良い。このように、当接体94A(可動体)を、ローラーとすることで、実際に、摩耗に強くすることができる。そして、ローラー本体94b自体を金属製としたり、金属製のスリーブやベルトなどの金属製の表面を持つものとしたりすることで、当接体94Aをより摩耗に強くすることができる。さらにローラー本体94bを着脱交換可能とすることで、ローラーなどの可動体が摩耗した場合でも交換によって機能回復が図れるので、当接体94Aの長期間に亘る機能維持を図ることができる。
(効果13)また、当接体94は、収容部11の内側へ突出するように設けられた凸形状部材としても良い。このように、当接体94を凸形状部材とすることで、上記した作用効果を得ることができる。
(効果14)送り部16によるワイヤ3の送り出し方向88または引き戻し方向85を、ワイヤ3の弛みが生じた状態において、リール12の最大径部分またはその近傍に設定した仮想円95に対する接線の方向へ向けるようにした。これにより、送り部16によるワイヤ3の送り出し方向88や引き戻し方向85を、無理のない範囲で、リール12から送り部16へのワイヤ3の入線経路81の方向に近付けることができるようになる。その結果、規制手段83,87の両方にとって有効な位置に当接体94を設置することが容易となる。
また、少なくとも1つの当接体94を、上記した接線と仮想円95との接点の位置またはその近傍に設置した。
送り部16によってワイヤ3を引き戻す際には、引き戻されたワイヤ3(の引き出し部分3a)は、リール収容部11aの内部(図1の部分131を参照)でリール12に対するワイヤ3の巻きを拡げるように膨らんだ後に、ワイヤ通路11bの内部でリール12に近い側から送り部16へ向けて膨らみが伝わって行くように弛んで行く傾向にある。
よって、当接体94を、ワイヤ3の弛みが生じた状態において、送り部16の送り出し方向88と仮想円95との接点の位置またはその近傍に設置することにより、ワイヤ通路11bの内部でのワイヤ3の弛みを早い段階で規制することができて効果的である。しかも、設置する当接体94の数も少なくて済む。
更に、当接体94を、送り部16の送り出し方向88と仮想円95との接点の位置またはその近傍に設置することにより、送り部16によってリール12側へ引き戻されたワイヤ3が、前方へ膨らむように弛んだ時に、ワイヤ3が保護ケース91の前壁91aなどに密着してしまわないように、ワイヤ3を保護ケース91の前壁91aから離すことができる。
(効果15)送り部16を逆転させてワイヤ3を引き戻すようにすると、リール12側へ引き戻されたワイヤ3(の引き出し部分3a)は、上記したように、入線経路81の前方側へ大きく膨らんで行き、前壁91aに当接して膨らむ余地がなくなると、今度は入線経路81の後方側へ向かって蛇行するように曲がって行き、最終的に、ワイヤ3の座屈や収容部11からの飛び出しなどのような不具合を生じることになる。
そこで、ワイヤ3が送り部16へ導かれる時のワイヤ3の入線経路81の後方側の位置に第3の規制手段96を設けるようにした。これにより、入線経路81の後方側でワイヤ3を規制して、ワイヤ3の後方へ向かう変形を、第3の規制手段96によって直接押えることができる。よって、ワイヤ3の後方への曲がりや、この曲がりによるワイヤ3の座屈や、収容部11からの飛び出しなどを第3の規制手段96によって確実に防ぐことが可能となる。
(効果16)第3の規制手段96を、収容部11(保護ケース91)の側壁91cから延びる押えリブとした。これにより、収容部11に第3の規制手段96を設けて、第3の規制手段96により確実に上記作用効果を得ることができる。
以上、実施例を図面により詳述してきたが、実施例は例示にしか過ぎないものである。よって、本発明は、実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記の如く記載され得る。
(付記1)
収容部に装着されたリールからワイヤを引き出して送る送り部を備えた結束機において、
前記収容部内に設けられ、前記リールと前記送り部との間に位置するワイヤの引き出し部分が、前記リールから引き出されたワイヤが前記送り部へ導かれるときのワイヤの入線経路から外れるのを規制する第1の規制部を備える結束機。
(付記2)
前記送り部は、前記送り出したワイヤを前記リール側へ引き戻すことが可能であり、
前記収容部内に設けられ、前記送り部によって前記リール側へ引き戻されたワイヤがワイヤの引き戻し方向へ延びる線から外れるのを規制する第2の規制部を備える付記1に記載の結束機。
(付記3)
前記第1の規制部または前記第2の規制部は、前記リールから送り出されるワイヤと対向する面を構成する前記収容部の前壁の少なくとも一部である付記1または付記2に記載の結束機。
(付記4)
前記第1の規制部または前記第2の規制部は、前記リールから送り出されるワイヤと対向する面を構成する前記収容部の前壁から突出する当接体である付記1または付記2に記載の結束機。
(付記5)
前記第1の規制部または前記第2の規制部は、一部が金属製の部材からなる付記3または付記4に記載の結束機。
(付記6)
前記第1の規制部または前記第2の規制部は、全部が金属製の部材からなる付記3または付記4に記載の結束機。
(付記7)
前記当接体は、ワイヤとの当接部分が動き得る可動体である付記4から付記6のいずれかに記載の結束機。
(付記8)
前記可動体は、ローラーである付記7に記載の結束機。
(付記9)
ワイヤの前記入線経路または前記引き戻し方向へ延びる線の後方側に、ワイヤの動きを規制する第3の規制部を備える付記1から付記8のいずれかに記載の結束機。
(付記10)
前記第3の規制部は、前記収容部の側壁から突設する突部である付記9に記載の結束機。