以下、添付図面を参照して、医用情報処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、医用情報処理装置の一例である治療計画装置を含む医用情報処理システムについて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用情報処理システム100は、X線CT(Computed Tomography)装置1と、治療計画装置2と、放射線治療装置3と、サーバ装置4と、端末装置5とを備える。X線CT装置1、治療計画装置2、放射線治療装置3、サーバ装置4、及び端末装置5は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)6により、直接的、又は間接的に相互に通信可能に接続される。例えば、医用情報処理システム100にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像データ等を相互に送受信する。
また、医用情報処理システム100においては、例えば、HIS(Hospital Information System)や、RIS(Radiology Information System)等が導入され、各種情報が管理される。例えば、端末装置5は、上記したシステムに沿って作成された検査オーダーをX線CT装置1やサーバ装置4に送信する。X線CT装置1は、端末装置5から直接受信した検査オーダー、或いは、検査オーダーを受信したサーバ装置4によって作成されたモダリティごとの患者リスト(モダリティワークリスト)から患者情報を取得して、患者ごとのX線CT画像データを収集する。そして、X線CT装置1は、収集したX線CT画像データや、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで生成した画像データをサーバ装置4に送信する。サーバ装置4は、X線CT装置1から受信したX線CT画像データ及び画像データを記憶するとともに、X線CT画像データから画像データの生成を行い、端末装置5からの取得要求に応じた画像データを端末装置5に送信する。端末装置5は、サーバ装置4から受信した画像データをモニタ等に表示する。以下、各装置について説明する。
なお、図1に示す例では、医用情報処理システム100がサーバ装置4及び端末装置5をそれぞれ1台ずつ備える場合を示したが、実際には更に複数のサーバ装置4及び端末装置5を備えていてもよい。また、医用情報処理システム100は、X線CT装置1に限らず、例えば、X線診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置等、他の医用画像診断装置を備えていてもよい。
X線CT装置1は、患者(被検体)のX線CT画像データを撮影する装置である。例えば、X線CT装置1は、患者ごとのX線CT画像データを収集して、収集したX線CT画像データや、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで生成した画像データをサーバ装置4に送信する。なお、X線CT装置1の構成については、後に詳述する。
治療計画装置2は、放射線による治療を行う計画である治療計画を生成する装置であり、例えば、ワークステーションである。例えば、治療計画装置2は、X線CT装置1により撮影されたX線CT画像データを用いて、患者の病変部に放射線を照射する治療計画を生成し、生成した治療計画を放射線治療装置3に送信する。なお、治療計画装置2の構成については、後に詳述する。
放射線治療装置3は、放射線による治療を行う装置である。例えば、放射線治療装置3は、放射線治療に先立って治療計画装置2により生成された患者の治療計画を記憶する。放射線治療が行われる際には、放射線治療装置3は、例えば、X線を用いて位置決め撮影を行って、撮影した画像データと治療計画時の画像データ(X線CT画像データ)との位置合わせを行う。そして、放射線治療装置3は、位置合わせ後の治療計画にしたがって、患者の病変部に対して放射線を照射する。なお、放射線治療装置3は、放射線を発生させる装置の一例である。
サーバ装置4は、医用画像診断装置によって収集された医用画像(例えば、X線CT装置1によって収集されたX線CT画像データ及び画像データ)を記憶したり、医用画像に対して各種画像処理を行ったりする装置であり、例えば、PACSサーバ等である。例えば、サーバ装置4は、各診療科に配置された端末装置5から複数の検査オーダーを受信して、医用画像診断装置ごとに患者リストを作成して、作成した患者リストを各医用画像診断装置に送信する。一例を挙げると、サーバ装置4は、X線CT装置1による検査を実施するための検査オーダーを各診療科の端末装置5からそれぞれ受信して患者リストを作成し、作成した患者リストをX線CT装置1に送信する。そして、サーバ装置4は、X線CT装置1によって収集されたX線CT画像データ及び画像データを記憶し、治療計画装置2又は端末装置5からの取得要求に応じて、X線CT画像データ及び画像データを治療計画装置2又は端末装置5に送信する。
端末装置5は、病院内の各診療科に配置され、各診療科に勤務する医師によって操作される装置であり、PC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話等である。例えば、端末装置5は、医師によって患者の症状や医師の所見等のカルテ情報が入力される。また、端末装置5は、X線CT装置1による検査をオーダーするための検査オーダーが入力され、入力された検査オーダーをX線CT装置1やサーバ装置4に送信する。すなわち、診療科の医師は、端末装置5を操作して、来院した患者の受付情報と電子カルテの情報とを読み出し、該当する患者の診察を行い、読み出した電子カルテにカルテ情報を入力する。そして、診療科の医師は、X線CT装置1による検査の要否に応じて、端末装置5を操作して検査オーダーを送信する。
図2を用いて、X線CT装置1の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。図2に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台10と、寝台装置20と、コンソール30とを有する。
架台10は、被検体P(患者)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール30に出力する装置であり、X線照射制御回路11と、X線発生装置12と、検出器13と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)14と、回転フレーム15と、架台駆動回路16とを有する。
回転フレーム15は、X線発生装置12と検出器13とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、後述する架台駆動回路16によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線照射制御回路11は、高電圧発生部として、X線管12aに高電圧を供給する装置であり、X線管12aは、X線照射制御回路11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路11は、後述するスキャン制御回路33の制御により、X線管12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
また、X線照射制御回路11は、ウェッジ12bの切り替えを行う。また、X線照射制御回路11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。なお、本実施形態は、複数種類のウェッジを、操作者が手動で切り替える場合であっても良い。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
X線管12aは、図示しない高電圧発生部により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを照射する真空管であり、回転フレーム15の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。X線管12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線ビームを発生する。例えば、X線照射制御回路11の制御により、X線管12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御回路11の制御により、X線管12aは、予め設定された位置(管球位置)でX線(パルスX線)を間欠曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御回路11は、X線管12aから曝射されるX線の強度を変調させることも可能である。例えば、X線照射制御回路11は、特定の管球位置では、X線管12aから曝射されるX線の強度を強くし、特定の管球位置以外の範囲では、X線管12aから曝射されるX線の強度を弱くする。
ウェッジ12bは、X線管12aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ12bは、X線管12aから被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管12aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ12bは、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジ12bは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ12cは、後述するX線照射制御回路11の制御により、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
架台駆動回路16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12と検出器13とを旋回させる。
検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図2に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、第1の実施形態における検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列等多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲等、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
データ収集回路14は、DASであり、検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、データ収集回路14は、検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール30に送信する。例えば、回転フレーム15の回転中に、X線管12aからX線が連続曝射されている場合、データ収集回路14は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、データ収集回路14は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、後述するコンソール30に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。なお、チャンネル間の感度補正処理は、後述する前処理回路34が行なっても良い。
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、図2に示すように、寝台駆動装置21と、天板22とを有する。寝台駆動装置21は、天板22をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム15内に移動させる。天板22は、被検体Pが載置される板である。
なお、架台10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台装置10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。または、架台装置10は、天板22の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行うステップアンドシュート方式を実行する。
コンソール30は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台10によって収集された投影データを用いてX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール30は、図2に示すように、入力回路31と、ディスプレイ32と、スキャン制御回路33と、前処理回路34と、記憶回路35と、画像再構成回路36と、処理回路37とを有する。入力回路31、ディスプレイ32、スキャン制御回路33、前処理回路34、記憶回路35、画像再構成回路36、及び処理回路37は、相互に通信可能に接続される。
入力回路31は、X線CT装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路37に転送する。例えば、入力回路31は、操作者から、X線CT画像データの撮影条件や、X線CT画像データを再構成する際の再構成条件、X線CT画像データに対する画像処理条件等を受け付ける。また、入力回路31は、被検体に対する検査を選択するための操作を受け付ける。また、入力回路31は、画像上の部位を指定するための指定操作を受け付ける。
ディスプレイ32は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路37による制御のもと、X線CT画像データから生成された画像データを表示したり、入力回路31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。また、ディスプレイ32は、スキャン計画の計画画面や、スキャン中の画面等を表示する。また、ディスプレイ32は、被曝情報を含む仮想患者画像や画像データ等を表示する。なお、ディスプレイ32によって表示される仮想患者画像については、後に詳述する。
スキャン制御回路33は、処理回路37による制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、データ収集回路14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台10における投影データの収集処理を制御する。具体的には、スキャン制御回路33は、位置決め画像(スキャノ画像)を収集する位置決め撮影及び診断に用いる画像を収集する本撮影(本スキャン)における投影データの収集処理をそれぞれ制御する。ここで、第1の実施形態に係るX線CT装置1においては、2次元のスキャノ画像及び3次元のスキャノ画像を撮影することができる。
例えば、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置(被検体に対して正面方向の位置)に固定して、天板を定速移動させながら連続的に撮影を行うことで2次元のスキャノ画像を撮影する。或いは、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置に固定して、天板を断続的に移動させながら、天板移動に同期して断続的に撮影を繰り返すことで2次元のスキャノ画像を撮影する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体に対して正面方向だけでなく、任意の方向(例えば、側面方向等)から位置決め画像を撮影することができる。
また、スキャン制御回路33は、スキャノ画像の撮影において、被検体に対する全周分の投影データを収集することで、3次元のスキャノ画像を撮影する。図3は、第1の実施形態に係るスキャン制御回路33による3次元のスキャノ画像撮影を説明するための図である。例えば、スキャン制御回路33は、図3に示すように、ヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンによって被検体に対する全周分の投影データを収集する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体の胸部全体、腹部全体、上半身全体、全身等の広範囲に対して本撮影よりも低線量でヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンを実行する。ノンヘリカルスキャンとしては、例えば、上述のステップアンドシュート方式のスキャンが実行される。
このように、スキャン制御回路33が被検体に対する全周分の投影データを収集することで、後述する画像再構成回路36が、3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成することができ、図3に示すように、再構成したボリュームデータを用いて任意の方向から位置決め画像を生成することが可能になる。ここで、位置決め画像を2次元で撮影するか、或いは、3次元で撮影するかは、操作者によって任意に設定する場合でもよく、或いは、検査内容に応じて予め設定される場合でもよい。
図2に戻って、前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。具体的には、前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された位置決め画像の投影データ及び本撮影によって収集された投影データのそれぞれについて、補正済みの投影データを生成して、記憶回路35に格納する。
記憶回路35は、前処理回路34により生成された投影データを記憶する。具体的には、記憶回路35は、前処理回路34によって生成された、位置決め画像の投影データ及び本撮影によって収集される診断用の投影データを記憶する。また、記憶回路35は、後述する画像再構成回路36によって生成された画像データや仮想患者画像を記憶する。また、記憶回路35は、後述する処理回路37による処理結果を適宜記憶する。なお、仮想患者画像及び処理回路37による処理結果については、後述する。
画像再構成回路36は、記憶回路35が記憶する投影データを用いてX線CT画像データを再構成する。具体的には、画像再構成回路36は、位置決め画像の投影データ及び診断に用いられる画像の投影データから、X線CT画像データをそれぞれ再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成回路36は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成することもできる。なお、画像再構成回路36は、画像再構成部の一例である。
また、画像再構成回路36は、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで、画像データを生成する。そして、画像再構成回路36は、再構成したX線CT画像データや、各種画像処理により生成した画像データを記憶回路35に格納する。
処理回路37は、架台10、寝台装置20及びコンソール30の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。具体的には、処理回路37は、スキャン制御回路33を制御することで、架台10で行なわれるCTスキャンを制御する。また、処理回路37は、画像再構成回路36を制御することで、コンソール30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路37は、記憶回路35が記憶する各種画像データを、ディスプレイ32に表示するように制御する。
図4を用いて、治療計画装置2の構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る治療計画装置2の構成の一例を示す図である。なお、治療計画装置2は、医用情報処理装置の一例である。また、治療計画装置2によって生成される治療計画は、放射線治療装置3を制御する制御計画の一例である。
図4に示すように、第1の実施形態に係る治療計画装置2は、入力回路41と、ディスプレイ42と、記憶回路50と、処理回路60とを有する。入力回路41、ディスプレイ42、記憶回路50、及び処理回路60は、相互に通信可能に接続される。
入力回路41は、治療計画装置2の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路60に転送する。例えば、入力回路41は、操作者から、X線CT画像データの取得要求や、治療計画を生成する際の生成条件等を受け付ける。また、入力回路41は、画像上の部位を指定するための操作を受け付ける。
ディスプレイ42は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路60による制御のもと、X線CT画像データから生成された画像データを表示したり、入力回路41を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUIを表示したりする。また、ディスプレイ42は、生成途中若しくは生成済みの治療計画や、ボリュームデータ51に基づく画像、仮想患者画像等を表示する。なお、仮想患者画像については、後に詳述する。
記憶回路50は、治療計画の作成に用いられる各種の情報を記憶する。例えば、記憶回路50は、治療計画を生成するための各種のプログラムや、当該プログラムによって用いられる情報を記憶する。
また、記憶回路50は、ボリュームデータ51と、リスク臓器リスト52とを記憶する。ボリュームデータ51は、3次元の医用画像データであり、例えば、X線CT装置1により撮影されたX線CT画像データである。例えば、ボリュームデータ51は、治療計画装置2の操作者によりサーバ装置4へ送信された取得要求に応じて、サーバ装置4から取得されたX線CT画像データである。なお、ボリュームデータ51は、X線CT装置1から直接的に取得されたX線CT画像データであってもよい。また、リスク臓器リスト52については、後に詳述する。
なお、記憶回路50に記憶され、治療計画装置2における処理にて利用されるボリュームデータ51は、X線CT装置1の本撮影(本スキャン)によって撮影された診断画像のボリュームデータであることが好ましいが、位置決め画像(スキャノ画像)のボリュームデータであっても以下に説明する同様の処理を適用することができる。以下、ボリュームデータ51が診断画像のボリュームデータである場合を説明する。
処理回路60は、治療計画装置2の全体制御を行う。例えば、処理回路60は、操作者により入力されたX線CT画像データの取得要求を、サーバ装置4やX線CT装置1に送信させるように制御する。また、処理回路60は、記憶回路50が記憶する各種の画像データを、ディスプレイ42に表示させるように制御する。
また、処理回路60は、図4に示すように、検出機能61、位置照合機能62、設定機能63、及び生成機能64を実行する。ここで、例えば、図4に示す処理回路60の構成要素である検出機能61、位置照合機能62、設定機能63、及び生成機能64が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路50に記録されている。処理回路60は、各プログラムを記憶回路50から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路60は、図4の処理回路60内に示された各機能を有することとなる。なお、検出機能61は、検出部の一例である。
検出機能61は、3次元画像データに含まれる被検体における複数の部位をそれぞれ検出する。具体的には、検出機能61は、X線CT装置1によって撮影された3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)に含まれる臓器等の部位を検出する。例えば、検出機能61は、診断に用いられる診断画像のボリュームデータについて、解剖学的な特徴点(Anatomical Landmark)に基づいて臓器等の部位を検出する。ここで、解剖学的な特徴点とは、特定の骨や臓器、血管、神経、内腔等の部位の特徴を示す点である。すなわち、検出機能61は、特定の臓器や骨等の解剖学的な特徴点を検出することによって、ボリュームデータに含まれる骨や臓器、血管、神経、内腔等を検出する。また、検出機能61は、人体の特徴的な特徴点を検出することで、ボリュームデータに含まれる頭部、首、胸部、腹部、足等の位置を検出することもできる。なお、本実施形態で説明する部位は、骨や臓器、血管、神経、内腔等にこれらの位置も含めたものを意味する。以下、検出機能61による部位の検出の一例について説明する。
例えば、検出機能61は、位置決め画像のボリュームデータ、或いは、診断に用いられる画像のボリュームデータにおいて、ボリュームデータに含まれるボクセルの値から解剖学的な特徴点を抽出する。そして、検出機能61は、教科書などの情報における解剖学的な特徴点の3次元的な位置と、ボリュームデータから抽出した特徴点の位置とを比較することによって、ボリュームデータから抽出した特徴点の中から不正確な特徴点を除去して、ボリュームデータから抽出した特徴点の位置を最適化する。これにより、検出機能61は、ボリュームデータに含まれる被検体の各部位を検出する。一例を挙げると、検出機能61は、まず、教師あり機械学習アルゴリズムを用いて、ボリュームデータに含まれる解剖学的な特徴点を抽出する。ここで、上記した教師あり機械学習アルゴリズムは、正しい解剖学的な特徴点が手動で配置された複数の教師画像を用いて構築されたものであり、例えば、ディシジョンフォレスト(decision forest)等が利用される。
そして、検出機能61は、身体における解剖学的な特徴点の3次元的な位置関係を示すモデルと、抽出した特徴点とを比較することで、抽出した特徴点を最適化する。ここで、上記したモデルは、上述した教師画像を用いて構築されたものであり、例えば、点分布モデル等が利用される。すなわち、検出機能61は、正しい解剖学的な特徴点が手動で配置された複数の教師画像に基づいて部位の形状や位置関係、部位に固有な点等が定義されたモデルと、抽出した特徴点とを比較することで、不正確な特徴点を除去して、特徴点を最適化する。
以下、図5A,5B,6,7を用いて、検出機能61による部位の検出処理の一例を説明する。図5A,5B,6,7は、第1の実施形態に係る検出機能61による部位の検出処理の一例を説明するための図である。なお、図5A,5Bにおいては、2次元上に特徴点を配置しているが、実際には、特徴点は3次元的に配置される。例えば、検出機能61は、ボリュームデータに対して教師あり機械学習アルゴリズムを適用することで、図5Aに示すように、解剖学的な特徴点とみなすボクセルを抽出する(図中の黒点)。そして、検出機能61は、抽出したボクセルの位置を、部位の形状や位置関係、部位に固有な点等が定義されたモデルにフィッティングさせることで、図5Bに示すように、抽出したボクセルのうち不正確な特徴点を除去して、より正確な特徴点に対応するボクセルのみを抽出する。
ここで、検出機能61は、抽出した特徴点(ボクセル)に対して、各部位の特徴を示す特徴点を識別するための識別コードを付与し、識別コードと各特徴点の位置(座標)情報とを対応づけた情報を画像データに付帯させて記憶回路35に格納する。例えば、検出機能61は、図5Bに示すように、抽出した特徴点(ボクセル)に対して、C1、C2、C3等の識別コードを付与する。ここで、検出機能61は、検出処理を行ったデータごとにそれぞれ識別コードを付帯させて、記憶回路35に格納する。具体的には、検出機能61は、位置決め画像の投影データ、非造影下で収集された投影データ、及び、造影剤によって造影された状態で収集された投影データのうち、少なくとも1つの投影データから再構成されたボリュームデータに含まれる被検体の部位を検出する。
例えば、検出機能61は、図6に示すように、位置決め画像のボリュームデータ(図中、位置決め)から検出した各ボクセルの座標に識別コードを対応付けた情報をボリュームデータに付帯させて記憶回路35に格納する。一例を挙げると、検出機能61は、位置決め画像のボリュームデータから標識点の座標を抽出して、図6に示すように、「識別コード:C1、座標(x1, y1, z1)」、「識別コード:C2、座標(x2, y2, z2)」等をボリュームデータに対応付けて格納する。これにより、検出機能61は、位置決め画像のボリュームデータにおけるどの位置にどのような特徴点があるかを識別することができ、これらの情報に基づいて臓器等の各部位を検出することができる。
また、検出機能61は、例えば、図6に示すように、診断用の画像のボリュームデータ(図中、スキャン)から検出した各ボクセルの座標に識別コードを対応付けた情報をボリュームデータに付帯させて記憶回路35に格納する。ここで、検出機能61は、スキャンにおいて、造影剤によって造影されたボリュームデータ(図中、造影Phase)と、造影剤によって造影されていないボリュームデータ(図中、非造影Phase)とから、それぞれ標識点の座標を抽出して、抽出した座標に識別コードを対応付けることができる。
一例を挙げると、検出機能61は、診断用の画像のボリュームデータのうち、非造影Phaseのボリュームデータから標識点の座標を抽出して、図6に示すように、「識別コード:C1、座標(x’1, y’1, z’1)」、「識別コード:C2、座標(x’2, y’2, z’2)」などをボリュームデータに対応付けて格納する。また、検出機能61は、診断用の画像のボリュームデータのうち、造影Phaseのボリュームデータから標識点の座標を抽出して、図6に示すように、「識別コード:C1、座標(x’1, y’1, z’1)」、「識別コード:C2、座標(x’2, y’2, z’2)」などをボリュームデータに対応付けて格納する。ここで、造影Phaseのボリュームデータから標識点を抽出する場合、造影されることで抽出可能となる標識点が含まれる。例えば、検出機能61は、造影Phaseのボリュームデータから標識点を抽出する場合、造影剤によって造影された血管などを抽出することができる。従って、造影Phaseのボリュームデータの場合、検出機能61は、図6に示すように、造影することで抽出された血管などの標識点の座標(x’31, y’31, z’31)〜座標(x’34, y’34, z’34)などに、それぞれの血管を識別するための識別コードC31、C32、C33及びC34などを対応付ける。
上述したように、検出機能61は、位置決め用画像、或いは、診断用の画像のボリュームデータにおけるどの位置にどのような標識点があるかを識別することができ、これらの情報に基づいて臓器などの各部位を検出することができる。例えば、検出機能61は、検出の対象となる対象部位と、対象部位の周辺の部位との解剖学的な位置関係の情報を用いて、対象部位の位置を検出する。一例を挙げると、検出機能61は、対象部位を「肺」とした場合、肺の特徴を示す識別コードに対応付けられた座標情報を取得するとともに、「肋骨」や「鎖骨」、「心臓」、「横隔膜」等、「肺」の周囲の部位を示す識別コードに対応付けられた座標情報を取得する。そして、検出機能61は、「肺」と周囲の部位との解剖学的な位置関係の情報と、取得した座標情報とを用いて、ボリュームデータにおける「肺」の領域を抽出する。
例えば、検出機能61は、「肺尖:鎖骨の2〜3cm上方」や、「肺の下端:第7肋骨の高さ」等の位置関係の情報と、各部位の座標情報とから、図7に示すように、ボリュームデータにおいて「肺」に相当する領域R1を抽出する。すなわち、検出機能61は、ボリュームデータにおける領域R1のボクセルの座標情報を抽出する。検出機能61は、抽出した座標情報を部位情報と対応付けてボリュームデータに付帯させて記憶回路35に格納する。同様に、検出機能61は、図7に示すように、ボリュームデータにおいて「心臓」に相当する領域R2等を抽出することができる。
また、検出機能61は、人体における頭部や胸部等の位置を定義する特徴点に基づいて、ボリュームデータに含まれる位置を検出する。ここで、人体における頭部や胸部等の位置は任意に定義することができる。例えば、第7頸椎から肺の下端までを胸部と定義すると、検出機能61は、第7頸椎に対応する特徴点から肺の下端に対応する特徴点までを胸部として検出する。なお、検出機能61は、上述した解剖学的な特徴点を用いた方法以外にも種々の方法により部位を検出することができる。例えば、検出機能61は、ボクセル値に基づく領域拡張法等によりボリュームデータに含まれる部位を検出することができる。
位置照合機能62は、3次元画像データに含まれる被検体における複数の部位それぞれの位置と、仮想患者画像に含まれる人体における複数の部位それぞれの位置とを照合する。ここで、仮想患者画像とは、人体における複数の部位それぞれの標準的な位置を表す情報である。すなわち、位置照合機能62は、被検体の部位と標準的な部位の位置とを照合して、照合結果を記憶回路50に格納する。例えば、位置照合機能62は、人体の部位が標準的な位置に配置された仮想患者画像と、被検体のボリュームデータとをマッチングする。
ここで、まず、仮想患者画像について説明する。仮想患者画像は、年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長等の体格等に関わるパラメータに関する複数の組み合わせに応じた標準的な体格等を有する人体について実際にX線で撮影した画像として予め生成されて、記憶回路50に格納される。すなわち、記憶回路50は、上述したパラメータの組み合わせに応じた複数の仮想患者画像のデータを記憶する。ここで、記憶回路50によって記憶される仮想患者画像には、解剖学的な特徴点(特徴点)が対応づけて記憶される。例えば、人体には、パターン認識等の画像処理により比較的容易にその形態的特徴等に基づいて画像から抽出できる多数の解剖学的な特徴点がある。これら多数の解剖学的な特徴点の身体におけるその位置や配置は年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長等の体格等に従っておおよそ決まっている。
記憶回路50によって記憶される仮想患者画像は、これら多数の解剖学的な特徴点が予め検出され、検出された特徴点の位置データがそれぞれの特徴点の識別コードとともに仮想患者画像のデータに付帯又は関連付けされて記憶される。図8は、第1の実施形態に係る記憶回路50によって記憶される仮想患者画像の一例を示す図である。例えば、記憶回路50は、図8に示すように、臓器等の部位を含む3次元の人体に、解剖学的な特徴点と特徴点を識別するための識別コード「V1」、「V2」及び「V3」等とが関連付けられた仮想患者画像を記憶する。
すなわち、記憶回路50は、3次元の人体画像のおける座標空間における特徴点の座標と対応する識別コードとを関連付けて記憶する。一例を挙げると、記憶回路50は、図8に示す識別コード「V1」に対応づけて、対応する特徴点の座標を記憶する。同様に、記憶回路50は、識別コードと特徴点の座標とを対応づけて記憶する。なお、図8においては、臓器として肺、心臓、肝臓、胃、腎臓等のみが示されているが、実際には、仮想患者画像は、さらに多数の臓器、骨、血管、神経等が含まれる。また、図8においては、識別コード「V1」、「V2」及び「V3」に対応する特徴点についてのみ示されているが、実際にはさらに多数の特徴点が含まれる。
位置照合機能62は、検出機能61によって検出された被検体のボリュームデータ中の特徴点と、上述した仮想患者画像中の特徴点とを識別コードを用いてマッチングして、ボリュームデータの座標空間と仮想患者画像の座標空間とを関連付ける。図9は、第1の実施形態に係る位置照合機能62による照合処理の一例を説明するための図である。ここで、図9においては、診断画像から検出した特徴点と仮想患者画像から検出された特徴点との間で同一の特徴点を示す識別コードが割り当てられた3組の特徴点を用いてマッチングを行う場合について示すが、実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の組の特徴点を用いてマッチングを行うことができる。
例えば、位置照合機能62は、図9に示すように、仮想患者画像において識別コード「V1」、「V2」及び「V3」で示される特徴点と、診断画像において識別コード「C1」、「C2」及び「C3」で示される特徴点とをマッチングする場合、同一の特徴点間の位置ずれが最小となるように座標変換することにより、画像間の座標空間を関連付ける。例えば、位置照合機能62は、図9に示すように、解剖学的に同じ特徴点「V1(x1,y1,z1)、C1(X1,Y1,Z1)」、「V2(x2,y2,z2)、C2(X2,Y2,Z2)」、「V3(x3,y3,z3)、C3(X3,Y3,Z3)」の間の位置ズレの合計「LS」を最小化するように、以下の座標変換行列「H」を求める。
LS = ((X1,Y1,Z1)-H(x1,y1,z1))
+((X2,Y2,Z2)-H(x2,y2,z2))
+((X3,Y3,Z3)-H(x3,y3,z3))
位置照合機能62は、求めた座標変換行列「H」により、仮想患者画像上に指定されたスキャン範囲を診断画像上のスキャン範囲に変換することができる。例えば、位置照合機能62は、座標変換行列「H」を用いることで、図9に示すように、仮想患者画像上に指定されたスキャン範囲「SRV」を位置決め画像上のスキャン範囲「SRC」に変換することができる。図10は、第1の実施形態に係る座標変換によるスキャン範囲の変換例を示す図である。例えば、図10の仮想患者画像上に示すように、操作者が仮想患者画像上でスキャン範囲「SRV」を設定すると、位置照合機能62は、上述した座標変換行列を用いて、設定されたスキャン範囲「SRV」を診断画像上のスキャン範囲「SRC」に変換する。
これにより、例えば、仮想患者画像上で識別コード「Vn」に対応する特徴点を含むように設定されたスキャン範囲「SRV」は、診断画像上で同一の特徴点に対応する識別コード「Cn」が含まれるスキャン範囲「SRC」に変換されて設定される。なお、上述した座標変換行列「H」は、被検体ごとに記憶回路50に記憶されて、適宜読み出されて使用される場合であってもよく、或いは、診断画像が収集されるごとに算出される場合であってもよい。このように第1の実施形態によれば、プリセット時の範囲指定のために仮想患者画像を表示し、その上で位置・範囲を計画しておくことで、診断画像の撮影後に、計画された位置・範囲に対応する位置決め画像上の位置・範囲を自動で数値設定することが可能である。
図4の説明に戻り、処理回路60は、設定機能63と、生成機能64とを実行し、治療計画を容易に作成するための制御を行う。なお、かかる制御については、後に詳述する。
なお、図4においては単一の処理回路60にて検出機能61、位置照合機能62、設定機能63、及び生成機能64にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路50に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路50にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図4における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
ところで、従来、治療計画の作成には手間がかかっていた。例えば、治療計画を作成する場合、操作者は、3次元の画像データであるボリュームデータ51に対して、病変部や正常組織の位置を指定し、放射線の照射経路(角度)、照射野の形状、照射線量等の情報を求める作業を手作業で行っていた。このため、治療計画の作成には手間がかかっていた。そこで、第1の実施形態に係る治療計画装置2は、治療計画を容易に作成することを可能にするために、以下に説明する機能を備える。
第1の実施形態に係る記憶回路50は、リスク臓器リスト52を記憶する。リスク臓器リスト52は、例えば、放射線に対する感受性が高く、放射線の照射により悪影響(副作用)を受けやすい臓器をリスク臓器として記憶するためのリストである。例えば、リスク臓器リスト52には、背骨、眼球、生殖器、消化管(直腸等)等、臓器の名称が登録される。記憶回路50に記憶されるリスク臓器リスト52は、予め操作者により設定される。
なお、リスク臓器リスト52は、臓器の名称のみならず、例えば、リスク臓器ごとの耐用線量(放射線による悪影響が発現し難いと考えられる線量の許容量)が登録されてもよい。また、記憶回路50は、記憶部の一例である。
第1の実施形態に係る処理回路60は、上述したように、設定機能63、及び生成機能64を実行する。このうち、設定機能63は、処理回路60が設定機能63に対応するプログラムを記憶回路50から読み出し実行することで、実現される機能である。生成機能64は、処理回路60が生成機能64に対応するプログラムを記憶回路50から読み出し実行することで、実現される機能である。以下、これらの各機能について、詳細に説明する。
設定機能63は、被検体に含まれる領域を設定する。例えば、設定機能63は、ディスプレイ42に表示された仮想患者画像において、病変部の領域を設定する。また、設定機能63は、ボリュームデータ51に基づく画像において、設定した病変部の領域を調整する。
図11、及び、図12A〜12Cは、第1の実施形態に係る設定機能63の処理を説明するための図である。図11は、ディスプレイ42に表示される表示画面の一例である。また、図12A〜12Cは、被検体Pのボリュームデータ51のアキシャル断面画像、サジタル断面画像、及びコロナル断面画像にそれぞれ対応する。
図11に示すように、例えば、設定機能63は、操作者が治療計画の作成を開始すると、表示領域70,71,72を含む表示画面をディスプレイ42に表示させる。ここで、表示領域70は、仮想患者画像上の各臓器に対応するボタンを表示する領域である。例えば、表示領域70には、頭、胸部、腹部、肺、心臓、肝臓、胃、前立腺、骨盤・・・等の文字がそれぞれ表示されたボタンが含まれる。また、表示領域71は、仮想患者画像を表示する領域である。また、表示領域72は、ボリュームデータ51の断面画像を表示する領域である。なお、放射線の照射対象となる病変部が未指定の場合には、図示のように、表示領域72には何も表示されない。
例えば、設定機能63は、表示領域71の仮想患者画像上で、病変部の臓器の指定を受け付ける。一例として、操作者により仮想患者画像上の前立腺の領域が指定されると、設定機能63は、前立腺の領域に含まれるボクセルを病変部領域73として設定する。すなわち、操作者は、仮想患者画像上で前立腺の領域を指定するだけで、複数のボクセルを病変部領域73として設定することができる。
また、前立腺が病変部として設定されると、設定機能63は、図示のように、前立腺の領域を強調表示(黒塗り)するとともに、表示領域70に表示された前立腺のボタンも強調表示(網掛け)する。そして、設定機能63は、前立腺の中心を通るアキシャル断面画像(図12A)、サジタル断面画像(図12B)、及びコロナル断面画像(図12C)を、表示領域72に表示させる。なお、仮想患者画像における部位の位置と、ボリュームデータ51における部位の位置とは、位置照合機能62によってマッチングされているので、仮想患者画像で設定された病変部領域73が各断面画像にも表示される。
そして、設定機能63は、表示領域72の各断面画像において、設定した病変部領域73を調整する。例えば、操作者は、各断面画像を閲覧し、病変部が前立腺の一部に過ぎないと判断すると、病変部領域73を縮小する操作を行う。一例としては、操作者は、アキシャル断面画像上で病変部領域73の輪郭を選択し、選択した輪郭を縮小させる操作を行う。これにより、設定機能63は、病変部領域73を縮小させ、サジタル断面画像及びコロナル断面画像における病変部領域73の輪郭も縮小させる。なお、病変部が前立腺の周辺組織にまで拡大している場合には、操作者は、病変部領域73を拡大する操作を行うが、この操作は縮小する操作と同様であるので詳細な説明を省略する。これにより、操作者は、実際の病変部の様子を各断面画像上で閲覧しながら、病変部領域73の位置や大きさを調整することができる。なお、各断面画像上で調整された病変部領域73の位置や大きさは、表示領域71の仮想患者画像にも反映される。
このように、設定機能63は、病変部領域73を仮想患者画像上で設定し、設定した病変部領域73を各断面画像上で調整する。なお、上記の例では、断面画像として、アキシャル断面画像、サジタル断面画像、及びコロナル断面画像が表示される場合を説明したが、任意のMPR(Multi Planar Reconstructions)断面画像であってもよい。また、断面画像に限らず、例えば、ボリュームデータ51が立体視画像として3次元ディスプレイに表示される場合であってもよい。すなわち、被検体Pのボリュームデータ51に基づく画像(つまり、実画像)であればよい。
また、X線CT画像データであるボリュームデータ51のみならず、他の医用画像診断装置によって撮影された画像データを用いて、病変部領域73を調整してもよい。例えば、MRI装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等、他の医用画像診断装置により撮影されたボリュームデータを、ボリュームデータ51と位置合わせしておく。これにより、他の医用画像診断装置の画像上、若しくは他の医用画像診断装置の画像をボリュームデータ51の画像上に重畳させた重畳画像上で、病変部領域73の調整を行うことができる。例えば、乳腺の病変については、MRI装置の画像やPET装置の画像を用いることで、より正確に病変部領域73を捉えることができる。
また、上記の説明では、操作者が病変部領域73を設定する場合を説明したが、例えば、病変部をX線CT画像から抽出するCAD(Computer Aided Diagnosis)を用いて設定してもよい。
生成機能64は、ボリュームデータ51において病変部領域73に対応する位置を特定し、特定した位置と、検出された複数の部位それぞれの位置とに基づいて、治療計画を生成する。
例えば、生成機能64は、まず、ボリュームデータ51の各ボクセルのCT値を電子密度に変換する電子密度変換処理を行う。ここで、この電子密度変換処理は、例えば、予め電子密度ファントムが撮影された電子密度ファントム測定結果に基づいて行われる。そして、生成機能64は、電子密度変換処理によって得られる被検体Pの電子密度空間分布を用いて、以下に説明する治療計画の生成を行う。なお、ここでは電子密度変換処理により電子密度空間分布を生成する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、デュアルエナジー(Dual Energy)撮影の場合には、生成機能64は、電子密度変換処理を行わずに、直接、電子密度空間分布(電子密度画像)を生成することができる。
生成機能64は、放射線治療装置3の放射線源から発生される放射線について、照射線量、照射経路、照射野の形状、及び照射時間を含む治療計画を生成する。ここで、放射線源は、放射線を発生させる線源であり、寝台に載置された被検体Pに対して移動可能に設置される。そして、放射線源は、例えば、病変部領域73を中心として被検体Pの周囲を回転しながら、病変部領域73に対して放射線を照射することで、病変部領域73に対して集中的に照射し、その周辺にある正常組織への悪影響を低減している。
治療計画において、照射線量は、放射線治療装置3の放射線源から発生される放射線の線量を示す。また、照射経路は、放射線源から病変部(ターゲット)に向かって照射される放射線の経路(パス)を示し、放射線源の位置(角度)に対応する。また、照射野の形状は、ある照射経路において放射線が照射される範囲を示す。また、照射時間は、ある照射経路において放射線が照射される時間を示す。
図13は、第1の実施形態に係る生成機能64の処理について説明するための図である。図13には、治療計画により規定される各種の条件を模式的に示す。
図13に示す例では、生成機能64は、まず、照射線量を決定する。例えば、生成機能64は、臓器ごとの照射線量の標準値を用いて、被検体Pに適用する照射線量を決定する。この標準値は、例えば、操作者により予め登録されている。このため、生成機能64は、例えば、設定機能63において設定された病変部領域73の臓器に対応する標準値を特定する。そして、生成機能64は、例えば、被検体Pのボリュームデータ51から被検体Pの体型(体表面からの病変部領域73の深さ等)を求め、求めた体型に応じて照射線量の標準値を補正することで、被検体Pに適用する照射線量を決定する。
続いて、生成機能64は、照射経路を決定する。例えば、生成機能64は、リスク臓器リスト52を参照し、リスク臓器の情報を取得する。そして、生成機能64は、例えば、放射線源80と病変部領域73の中心とを結ぶ軸81上にリスク臓器が存在しない角度を、照射経路として決定する。生成機能64は、放射線源80の位置を変えながら同様の処理を行うことで、様々な角度を照射経路として決定する。
そして、生成機能64は、照射野82の形状を決定する。例えば、生成機能64は、病変部領域73の形状に基づいて、照射野82の形状を照射経路ごとに決定する。具体的には、生成機能64は、照射経路として決定された角度ごとに、軸81の直交断面83における照射野82の形状を決定する。この照射野82の形状は、複数の絞り羽根(マルチリーフ)が個別に可動するマルチリーフコリメータ84によって制御される。生成機能64は、例えば、リスク臓器を避けつつ病変部領域73を含むように、照射野82の形状を決定する。
そして、生成機能64は、照射時間を決定する。例えば、生成機能64は、それぞれの照射経路において、十分な線量の放射線が病変部領域73に照射されるように、照射時間を決定する。
このように、生成機能64は、照射線量、照射経路、照射野の形状、及び照射時間を決定する。なお、ここで決定された照射線量、照射経路、照射野の形状、及び照射時間の組み合わせは、治療計画の候補となる。生成機能64は、通常、数パターンの治療計画の候補を生成する。そして、生成機能64は、生成した治療計画の候補ごとに、線量分布を求めることで、最適な治療計画の候補を治療計画として生成する。
例えば、生成機能64は、電子密度空間分布における電子の振る舞いを確率的にシミュレーションするモンテカルロ法を用いることで、各治療計画の候補に則って放射線が照射された際の線量分布をシミュレーションする。操作者は、シミュレーションにより得られた各治療計画の候補ごとの線量分布を比較して、最適と思われる候補を選択する。これにより、生成機能64は、選択された治療計画の候補を、被検体Pの治療計画として生成する。
このように、生成機能64は、被検体Pの治療計画を生成する。そして、生成機能64は、生成した被検体Pの治療計画を放射線治療装置3へ出力し、放射線治療装置3の記憶回路に格納する。なお、上記の例では、リスク臓器を避けるように照射経路及び照射野の形状が決定される場合を説明したが、必ずしもリスク臓器の全てを避けなくてもよい。例えば、リスク臓器に放射線が照射されたとしても、耐用線量の範囲内であれば治療計画として適用され得る。すなわち、生成機能64は、リスク臓器に照射される放射線の線量が所定値以下となるように、治療計画を生成してもよい。また、上記の例では、複数パターンの治療計画の候補の中から最適な治療計画が操作者により選択される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各治療計画の候補ごとの線量分布を比較するための評価値を設定しておくことで、生成機能64が自動的に適切な(評価値に則した)治療計画の候補を選択する場合であってもよい。また、生成機能64は、1パターンの治療計画の候補のみを生成し、これを被検体Pの治療計画とする場合であってもよい。
図14は、第1の実施形態に係る治療計画装置2による処理手順を示すフローチャートである。図14に示す処理手順は、例えば、治療計画の作成を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
ステップS101において、処理回路60は、治療計画の作成を開始するか否かを判定する。例えば、処理回路60は、治療計画の作成を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、治療計画の作成を開始する。なお、ステップS101が否定される場合には、処理回路60は、治療計画の作成を開始せず、待機状態である。
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、検出機能61は、被検体Pのボリュームデータ51を記憶回路50から取得する。
ステップS103において、検出機能61は、ボリュームデータ51から部位を検出する。例えば、検出機能61は、被検体Pのボリュームデータ51から、複数の部位それぞれの位置を検出する。
ステップS104において、設定機能63は、仮想患者画像をディスプレイ42に表示させる。例えば、設定機能63は、ボリュームデータ51とのマッチングがされている仮想患者画像を、ディスプレイ42に表示させる。
ステップS105において、設定機能63は、仮想患者画像上で、病変部領域を設定する。例えば、設定機能63は、操作者により仮想患者画像上の領域が指定されると、指定された領域に含まれるボクセルを病変部領域73として設定する。
ステップS106において、設定機能63は、被検体の病変部領域73を含む画像を表示させる。例えば、設定機能63は、病変部領域73の中心を通るアキシャル断面画像、サジタル断面画像、及びコロナル断面画像を、ディスプレイ42に表示させる。
ステップS107において、設定機能63は、病変部領域73の形状を設定する操作を受け付ける。例えば、設定機能63は、病変部領域73の中心を通るアキシャル断面画像、サジタル断面画像、及びコロナル断面画像において、設定した病変部領域73を調整する。
ステップS108において、生成機能64は、電子密度変換処理を行う。例えば、生成機能64は、ボリュームデータ51の各ボクセルのCT値を電子密度に変換して、被検体Pの電子密度空間分布を得る。
ステップS109において、生成機能64は、治療計画を生成する。例えば、生成機能64は、照射線量、照射経路、照射野の形状、及び照射時間を含む治療計画の候補を生成する。そして、生成機能64は、治療計画の候補の中から、被検体Pの治療計画を生成する。
ステップS110において、生成機能64は、生成した被検体Pの治療計画を放射線治療装置3へ出力し、放射線治療装置3の記憶回路に格納する。
なお、上記の説明は一例に過ぎず、例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、上記のステップS101〜S110の各処理は、処理内容が矛盾しない範囲で、適宜順序を変えて実行されてもよい。例えば、ステップS108の電子密度変換処理は、ステップS102の処理の後に実行されてもよい。また、例えば、デュアルエナジー(Dual Energy)撮影の場合には、生成機能64は、ステップS108の電子密度変換処理を行わずに、直接、電子密度空間分布を生成してもよい。
上述したように、第1の実施形態に係る治療計画装置2において、検出機能61は、ボリュームデータ51から、被検体Pにおける複数の部位それぞれの位置を検出する。そして、設定機能63は、被検体Pに含まれる領域を病変部領域73として設定する。そして、生成機能64は、ボリュームデータ51において病変部領域73に対応する位置を特定し、特定した位置と、検出機能61により検出された複数の部位それぞれの位置とに基づいて、治療計画を生成する。これによれば、第1の実施形態に係る治療計画装置2は、治療計画を容易に作成することができる。
例えば、設定機能63は、仮想患者画像上で、病変部領域73を設定する。これによれば、操作者は、仮想患者画像上で病変部領域を指定するだけで、病変部領域に含まれる複数のボクセルを病変部領域73として設定することができる。
また、例えば、生成機能64は、予め設定されたリスク臓器に照射される放射線の線量が所定値以下となるように、治療計画を生成する。これによれば、操作者は、簡易な操作でリスク臓器を考慮した治療計画を作成することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る治療計画装置2は、治療計画を更に容易に作成するために、標準的な治療計画である標準治療計画を予め記憶する(プリセット)。以下、第2の実施形態に係る治療計画装置2について説明する。
図15を用いて、第2の実施形態に係る治療計画装置2の構成について説明する。図15は、第2の実施形態に係る治療計画装置2の構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る治療計画装置2は、図4に示した治療計画装置2と同様の構成を備え、記憶回路50が標準治療計画53を更に記憶する点と、生成機能64における処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、図4と同一の符号を付し、説明を省略する。
第2の実施形態に係る記憶回路50は、標準治療計画53を記憶する。この標準治療計画53は、臓器ごとの標準的な治療計画であり、例えば、仮想患者画像上で生成された治療計画である。すなわち、標準治療計画53の照射線量は、ある臓器に照射される放射線の標準的な照射線量である。また、標準治療計画53の照射経路は、ある臓器に放射線が照射される標準的な照射経路である。また、標準治療計画53の照射野の形状は、それぞれの照射経路において、ある臓器に照射される放射線の標準的な照射野の形状である。また、標準治療計画53の照射時間は、それぞれの照射経路において、ある臓器に放射線が照射される標準的な照射時間である。なお、標準治療計画53は、放射線を発生させる装置を制御する標準的な計画である標準制御計画の一例である。
第2の実施形態に係る生成機能64は、設定された病変部領域73に対応する臓器の標準治療計画53を記憶回路50から取得する。そして、生成機能64は、取得した標準治療計画53を、ボリュームデータ51から検出された被検体Pの複数の部位それぞれの位置に応じて変更することで、治療計画を生成する。
例えば、生成機能64は、病変部領域73として前立腺が設定されると、前立腺の標準治療計画53を記憶回路50から取得する。そして、生成機能64は、取得した標準治療計画53を、被検体Pのボリュームデータ51に基づいて変更する。
例えば、生成機能64は、仮想患者画像における各部位の位置と、被検体Pのボリュームデータ51における各部位の位置との位置関係に基づいて、標準治療計画53を変更する。具体的には、生成機能64は、仮想患者画像とボリュームデータ51との間における病変部領域73の違いや、仮想患者画像とボリュームデータ51との間におけるリスク臓器の違いに応じて、標準治療計画53の照射経路や照射野の形状を変更する。これにより、生成機能64は、治療計画を生成する。
このように、第2の実施形態に係る治療計画装置2は、標準治療計画53を予め記憶することで、治療計画を更に容易に作成することができる。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
例えば、上記の実施形態では、治療計画として、照射線量、照射経路、照射野の形状、及び照射時間が決定される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、生成機能64は、上記の条件に加えて、被検体Pに装着される水バックの厚みを決定してもよい。例えば、放射線として陽子線又は重粒子線が用いられる場合には、被検体Pの体表面には水バックが装着(ビルトアップ)される。これは、陽子線又は重粒子線が、飛行過程にある電子や原子核との衝突によってエネルギーを放出し、粒子が停止する付近でエネルギーを急激に放出するという性質(ブラッグピーク)を有するからである。この場合、病変部付近で最大エネルギーを放出させるように、生成機能64は、ビルトアップに用いる水バックの厚みを決定する。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
例えば、上記の実施形態では、治療計画装置2の処理回路60が、検出機能61及び位置照合機能62を実行する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、検出機能61及び位置照合機能62は、X線CT装置1の処理回路37が実行してもよい。この場合、治療計画装置2の処理回路60は、処理回路37によって検出処理及び位置照合処理が行われた後のボリュームデータを処理回路37から取得し、取得した情報を用いて設定機能63及び生成機能64を実行することができる。
また、例えば、上記の実施形態では、治療計画を生成する処理が治療計画装置2にて実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上記の治療計画を生成する処理は、設定機能63及び生成機能64を備えていれば、X線CT装置1、MRI装置、超音波診断装置等、他の医用画像診断装置で実行されてもよいし、パーソナルコンピュータやワークステーション等、他の医用情報処理装置で実行されてもよい。
また、上記の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上記の実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意された医用情報処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用情報処理方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、放射線を発生させる制御計画を容易に作成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。