JP6789016B2 - 波長変換ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、波長変換ナノ粒子及びその製造方法、波長変換ナノ粒子を含んだ溶液に関する。
従来より、励起光を吸収すると共に、励起されたエネルギーを所定のバンドギャップエネルギーで遷移させることで、そのエネルギーに相当する波長の光を発光する波長変換材料としての半導体ナノ粒子が知られている。
具体的に、特許文献1では、コアがシェルに覆われて構成された半導体ナノ粒子が提案されている。このようなコアシェル構造では、バンドギャップエネルギーがより大きい化合物で被覆されることにより半導体ナノ粒子表面のエネルギー状態が安定する。このため、半導体ナノ粒子の発光効率が向上する。
特表2008−544013号公報
しかしながら、上記従来の技術では、コアとシェルとの間の格子不整合に起因して、多数の結晶欠陥が発生したり、コアやシェルの表面に凹凸が発生する。このため、コア及びその上のシェルの結晶性が著しく低下し、表面に結晶欠陥が出来易くなるので、バンド端発光以外にも結晶欠陥による弱い発光が起き、ひいてはエネルギー利用効率が低下するという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、発光強度を高めることができる波長変換ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
請求項に記載の発明では、励起光を吸収することによって励起状態を発生させるコア部(11)と、コア部(11)を覆うと共に、励起状態のコア部(11)からのエネルギー移動に伴ってバンドギャップエネルギーに対応した波長の光を発生させる発光源としてのイオンを含んでおり、さらに最表面(15)に水溶性配位子が配置されたシェル部(12)と、を備え、発光源としてのイオンは、Mnイオンであり、コア部(11)はZnSeを主成分として構成され、シェル部(12)はZnSを主成分として構成された波長変換ナノ粒子の製造方法であって、まず、コア部(11)の原料となるイオン源(20、21)を、水溶性配位子としてN−アセチル−L−システインを含んだ水溶液中で混合する(第1混合工程)。また、第1混合工程で得られた第1混合液(22)のpHを調整する(調整工程)。そして、調整工程で得られた第1混合液(22)を加熱することで第1混合液(22)中にコア部(11)を形成する(第1加熱工程)。
次に、第1混合液(22)にシェル部(12)の原料となるイオン源(23)及び発光源としてのイオンを含んだイオン源(24)を混合し(第2混合工程)、第2混合工程で得られた第2混合液(25)を加熱することでシェル部(12)の一部を形成する(第2加熱工程)。
また、第2加熱工程後の第2混合液(25)にシェル部(12)の原料となるイオン源(23)を混合し(第3混合工程)、第3混合工程で得られた第3混合液(26)を加熱することでシェル部(12)の一部を形成する(第3加熱工程)ことを特徴とする。
以上の製造方法によると、コア部11の製造時に長時間の加熱を行っても白濁が起こらないので、コア部11の結晶性が向上する。これに伴い、シェル部12の結晶性も向上する。このため、波長変換ナノ粒子10の全体で結晶欠陥が少ない構造を得ることができる。したがって、波長変換ナノ粒子10における結晶欠陥による発光を抑制することができ、ひいては波長変換ナノ粒子10の発光強度を向上させることができる。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る波長変換ナノ粒子の断面図である。 波長変換ナノ粒子の波長変換機能を説明するための図である。 波長変換ナノ粒子の製造工程を示した図である。 波長変換ナノ粒子と比較品の発光スペクトルを示した図である。 波長変換ナノ粒子にMnをドープしたものとドープしないものの発光スペクトルを示した図である。 コア部のシェル化の回数を変化させたときの波長変換ナノ粒子の発光スペクトルを示した図である。 図6に示された波長変換ナノ粒子の発光スペクトルに対する比較例として、コアにMnイオンがドープされたものについての発光スペクトルを示した図である。 S/Se比と内部量子効率との関係を示した図である。 S/Se比を変化させたときの波長変換ナノ粒子の発光スペクトルを示した図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態に係る波長変換ナノ粒子は、例えば太陽電池を構成するガラス表面に塗布されることで入射光の波長を所定の波長に変換することにより当該太陽電池の効率を向上させる等の用途に使用される。
図1に示されるように、波長変換ナノ粒子10は、コア部11及びシェル部12を備えて構成されている。このうちのコア部11は、励起光を吸収することによって励起状態を発生させる結晶部分である。コア部11は、半導体材料であるZnSeを主成分として構成されている。
図2に示されるように、波長変換ナノ粒子10に紫外線(UV)を含んだ励起光が入射すると、コア部11の電子がZnSeのエネルギー準位に従って励起されて励起状態となる。なお、励起された電子が元のエネルギー準位に戻る際にする発光がバンド端発光である。
図1に示されたシェル部12は、コア部11を覆う結晶部分である。シェル部12は、半導体材料であるZnSを主成分として構成されている。このように、コア部11及びシェル部12はコアシェル構造を構成し、それぞれZn原子を含んで構成されている。
また、シェル部12は、発光源としてのイオンを含んでいる。発光源としてのイオンは、Mnイオン(Mn2+)である。図2に示されるように、Mnイオンは、励起状態のコア部11からのエネルギー移動に伴ってバンドギャップエネルギーに対応した波長の光を発生させる役割を果たす。このように、シェル部12にはドーパントがドープされており、ドーパントがコア部11からのエネルギー移動によって発光する。
ここで、シェル部12は、第1シェル部13及び第2シェル部14を有している。第1シェル部13はコア部11を覆うと共に、Mnイオンを含んだ部分である。第2シェル部14は、第1シェル部13を覆うと共に、Mnイオンを含んでいない部分である。これら各シェル部13、14は、図1では図示していないが、それぞれ薄い層が複数積層されて構成されている。
さらに、シェル部12は、最表面15に水溶性配位子であるN−アセチル−L−システインが配置されている。これにより、波長変換ナノ粒子10が水に分散すなわち溶けやすくなっている。つまり、波長変換ナノ粒子10を水溶液中で保存することができる。以下では、N−アセチル−L−システインをNACという。
次に、波長変換ナノ粒子10の製造方法について説明する。まず、コア部11を形成する。具体的には、図3(a)に示す第1混合工程では、コア部11の原料となるイオン源20、21を、水溶性配位子としてN−アセチル−L−システインを含んだ水溶液中で混合する。これにより、第1混合液22を作る。
イオン源20はZnイオンを含んだZn源であり、例えばZn(ClO・6HO(過塩素酸亜鉛)である。また、イオン源20は、ZnとNACとを1:4.8のモル比で含む水溶液である。イオン源20をこの条件とすることで結晶性の良いコア部11を形成することができる。一方、イオン源21はSeイオンを含んだSeイオン源であり、例えばNaHSeである。
続いて、図3(b)に示す調整工程では、第1混合工程で得られた第1混合液22のpHが6.0となるように第1混合液22に水酸化ナトリウム(NaOH)を添加する。
そして、図3(c)に示す第1加熱工程では、pH調整された第1混合液22を加熱することで第1混合液22中にコア部11の結晶(ZnSe)を形成する。加熱は、ユラボ社のオートクレーブやオイルバスを用いることができる。加熱時間は60分であり、加熱温度は150℃〜200℃である。長時間で高温の加熱を行うことでコア部11の結晶性を良くすることができる。
また、第1加熱工程では、pH調整された第1混合液22の加熱時のpHを6〜8としている。これは、pHが6より低いと波長変換ナノ粒子10が壊れてイオン化してしまい、pHが8より高いと波長変換ナノ粒子10の発光効率が悪くなってしまうからである。本工程では、pHを6.0とした。
次に、シェル部12を形成する。まず、図3(d)に示す第2混合工程では、第1加熱工程で得られた第1混合液22にシェル部12の原料となるイオン源23及び発光源としてのイオンを含んだイオン源24を混合する。これにより、第2混合液25を作る。
イオン源23は、Znイオン及びSイオンを含んだZn源及びS源であり、例えばZn(ClO・6HO及びNaSである。イオン源23は水溶液である。一方、イオン源24は、Mnイオンを含んだMn源であり、例えばMn(ClO・6HOである。また、イオン源24は、MnとNACとを1:1のモル比で含む水溶液である。イオン源24をこの条件とすることで結晶性の良いシェル部12を形成することができる。
ここで、Mnのモル比がZnに対して10%となるように、イオン源24のモル比を調整する。これは、この後の工程でイオン源23、24を第2混合液25に何度も追加していくためである。
続いて、図3(e)に示す第2加熱工程では、第2混合液25をマイクロ波加熱する。マイクロ波加熱は、CEM社のDiscover SPを用いることができる。加熱時間は5分であり、加熱温度は80℃〜100℃である。この温度範囲とすることで良好な結晶が得られる。これにより、コア部11の表面にMnイオンを含んだZnSの層を一層形成する。第2加熱工程においても、加熱時の第2混合液25のpHは6〜8になっている。
Mnイオンを含んでいない第1混合液22に対して、Mnイオンを含んだ第2混合液25に対する加熱時間を短くしているのは、第2混合液25の白濁を抑制するためである。すなわち、シェル部12のNACの配位が無くなって複数の粒子が凝集して結晶欠陥が発生してしまうことを抑制するためである。
そして、SとSeとのモル比がS/Se=2.0になるまで、図3(d)の第2混合工程と図3(e)の第2加熱工程とを繰り返す。例えば、第2混合液25に対して0.25モルのSを含んだイオン源23を混合して加熱することを6回繰り返す。これにより、シェル部12の一部であるMnイオンを含んだ複数のZnSの層、すなわち第1シェル部13を形成する。
この後、図3(f)に示す第3混合工程では、第2混合液25にシェル部12の原料となるイオン源23を混合する。これにより、第3混合液26を作る。そして、図3(g)に示す第3加熱工程では、第3混合液26をマイクロ波加熱する。加熱時間は2分であり、加熱温度は100℃〜140℃である。この温度範囲とすることで良好な結晶が得られる。これにより、シェル部12の一部であるZnSの層を形成する。第3加熱工程においても、加熱時の第3混合液26のpHは6〜8になっている。
そして、上記と同様に、SとSeとのモル比がS/Se=15になるまで、図3(f)の第3混合工程と図3(g)の第3加熱工程とを繰り返す。これにより、複数のZnSの層、すなわち第2シェル部14を形成する。こうして、コア部11がシェル部12で被覆された波長変換ナノ粒子10(ZnSe/Mn/ZnS)が完成する。ここで、シェル部12の最表面15にはNACが配位しており、波長変換ナノ粒子10が水溶液中に分散した状態になっている。このようにして、波長変換ナノ粒子10が完成する。
発明者らは、上記のように製造した波長変換ナノ粒子10に対して325nmの励起光を照射して発光スペクトルを測定した。比較例として、コアであるZnSeSにMnイオンをドープしたナノ粒子(ZnSeS:Mn)の発光スペクトルも測定した。比較品はシェル部12が無い構成である。測定には日本分光株式会社の分光蛍光光度計FP8600を用いた。その結果を図4に示す。
図4に示されるように、本実施形態に係る波長変換ナノ粒子10では400nm付近と600nm付近に発光強度のピークが現れた。一方、比較品では600nm付近に発光強度のピークが現れた。400nm付近のピークはZnSeのバンド端発光によるピークである。また、600nm付近のピークはMnの発光によるピークであり、可視光の発光である。波長変換ナノ粒子10は、可視光について、比較品に対して約4倍高い発光強度が得られた。なお、480nm付近のピークは結晶欠陥によるピークであると考えられる。
また、発明者らは、図4に示された蛍光波長の範囲で波長変換ナノ粒子10が吸収した光に対してどれだけ発光したかを示す全内部量子効率を調べた。その結果、波長変換ナノ粒子10の全内部量子効率は58.7%であった。これは、吸収した光の6割程度を発光に変換したことを意味する。Mnの発光ピーク付近である500nm〜700nmの範囲では、波長変換ナノ粒子10の全内部量子効率は51.9%であった。
これに対し、比較品の全内部量子効率は31.0%であった。また、500nm〜700nmの範囲では、比較品の全内部量子効率は28.3%であった。すなわち、波長変換ナノ粒子10は比較品に対して約2倍の発光効率を持った素子であると言える。
さらに、発明者らは、本実施形態に係る波長変換ナノ粒子10と、当該波長変換ナノ粒子10のシェル部12にMnイオンをドープしないものと、の発光スペクトルをそれぞれ測定した。その結果を図5に示す。
図5に示されるように、Mnイオンをドープした波長変換ナノ粒子10は図4に示された発光スペクトルと同じになる。一方、Mnイオンをドープしていない波長変換ナノ粒子10の発光スペクトルは、400nm付近のバンド端発光のピークが大きく現れるが、600nm付近ではほとんど発光のピークが現れない。なお、Mnイオンをドープしていない波長変換ナノ粒子10の全内部量子効率は52.8%であった。このように、シェル部12にドーパントをドープすることによって、入射光から所望の波長の光を選択的に取り出すことができる。
また、発明者らは、波長変換ナノ粒子10のシェル部12の被覆層数を変化させたときの波長変換ナノ粒子10(ZnSe/ZnS:Mn)の発光スペクトルを測定した。その結果を図6に示す。なお、測定装置及び測定条件は上記と同じである。また、横軸は光子エネルギーを示し、縦軸は発光強度を示している。
図6に示されるように、ZnSeで構成されたコア部11のみでは、3.0eV〜3.5eVにピークが現れた。そして、コア部11にシェル化を1回行ったものは、コア部11のピークだけではなく、2.09eVにもピークが現れた。この2.09eVのピークはシェル部12にドープされたMnイオンによるものである。
そして、コア部11に対するシェル化を4回行ったものは1回行ったものよりも発光強度のピーク値が大きくなった。なお、シェル化とは、図3(f)の第3混合工程と図3(g)の第3加熱工程とを繰り返すことである。
さらに、コア部11のシェル化を5回行ったものは4回のものよりも発光強度のピーク値が大きくなった。このように、コア部11に対してシェル部12の層を厚くすることでMnイオンによる発光のピークが大きくなることがわかった。これは、シェル部12に含まれるMnイオンの量が増加したことに対応していると考えられる。
これに対する比較例として、発明者らは、コアであるZnSeにMnイオンをドープしたものをZnSeでシェル化したナノ粒子(ZnSe:Mn/ZnS)の発光スペクトルも測定した。その結果を図7に示す。
図7に示されるように、Mnイオンを含むZnSeのコアのみでは、2.13eVにピークが現れた。そして、コアがZnSでシェル化された場合、1回のシェル化によって3.0eV付近にZnSのピークが現れた。Mnイオンはコアに含まれるだけであるので、シェル化の回数が4回や5回に増加しても2.13eVのピーク値の増加は僅かだった。また、ピーク値の最大値は、波長変換ナノ粒子10よりも低い値であり、図6に示されたシェル化1回目と同程度であった。
上記の結果によると、シェル部12に発光源であるMnイオンが含まれる波長変換ナノ粒子10の場合、Mnイオンの発光スペクトルのピークが2.12eVよりも低エネルギー側に現れている。さらに詳細には、ピークが2.10eVよりも低エネルギー側に現れている。また、Mnイオンの発光スペクトルのピークは2.06eVよりも高エネルギー側に現れている。
したがって、2.06eV〜2.12eVの範囲、より詳細には2.06eV〜2.10eVの範囲に発光スペクトルのピークが現れた場合、そのピークはコア部11にMnイオンがドープされた波長変換ナノ粒子10のピークであると言える。
ここで、波長と発光エネルギーとの関係は一義的に決まる。したがって、2.12eVを波長変換(=1240/2.12)すると、585nmとなる。したがって、波長の観点では、波長変換ナノ粒子10のMnイオンの発光スペクトルのピークは585nmよりも長波長側に現れる。
同様に、2.10eVを波長変換すると590nmであるので、Mnイオンの発光スペクトルのピークは590nmよりも長波長側に現れる。波長の上限値についても同様に、2.06eVを波長変換すると601nmであるので、Mnイオンの発光スペクトルのピークは601nmよりも低波長側に現れる。
したがって、585nm〜601nmの範囲、より詳細には590nm〜601nmの範囲に発光スペクトルのピークが現れた場合、そのピークはコア部11にMnイオンがドープされた波長変換ナノ粒子10のピークであると言える。
また、発明者らは、コア部11を構成するSeに対してシェル部12を構成するSの比を変化させたときの内部量子効率及び発光スペクトルについて調べた。発光スペクトルの測定装置及び測定条件は上記と同じである。
ここでは、2個の試料を用意し、各試料に対してS/Se比を大きくしていくと共に、S/Se比が16、46、69、92の場合の4点で測定を行った。測定値の平均値±3σを算出した。その結果を図8に示す。図8の横軸はS/Se比を示しており、S/Se比が大きいほどシェル部12の層が何層も重ねられて厚くなっていることを意味する。
図8に示されるように、S/Se比と内部量子効率との関係は、比16の場合は59.5±1.3%になり、比46の場合は64.2±5.2%になり、比69の場合は66.9±7.0%になり、比92の場合のは57.9±9.9%になった。
そして、上記の4点から、S/Se比が16以上86以下の場合、内部量子効率が確実に60%以上になった。したがって、S/Se比が16以上86以下の範囲となるように波長変換ナノ粒子10を構成することで、高い波長変換効率が得られる。また、S/Se比を46以上76以下の範囲に限定することで、さらに高波長変換効率を持つ波長変換ナノ粒子10が得られる。
図9に示されるように、S/Se比が16、46、69、92の場合の発光スペクトルのピークは、2.07eVに現れた。もちろん、上述の2.06eV〜2.10eVの範囲に含まれている。さらに、S/Se比が小さくなるほど、発光強度が高くなる結果となった。なお、図9では、横軸を蛍光波長で示している。2.07eVを波長変換すると599nmに対応する。
以上説明したように、本実施形態に係る波長変換ナノ粒子10では、コア部11にドーパントがドープされているのではなく、コア部11を覆うシェル部12にドープされた構成が特徴となっている。これによると、コア部11の製造時に長時間の加熱が可能になり、コア部11の結晶性が向上するので、コア部11の上に形成されるシェル部12の結晶性も向上する。このため、波長変換ナノ粒子10の全体で結晶欠陥が少なくなり、ひいては結晶欠陥による発光を抑制することができる。すなわち、入射光を効率的に所望の波長の光に変換することができる。したがって、波長変換ナノ粒子10のエネルギー利用効率を向上させることができる。言い換えると、波長変換ナノ粒子10の発光強度を向上させることができる。
また、波長変換ナノ粒子10の最表面15には水溶性配位子が配置されているので、波長変換ナノ粒子10が水に溶けやすくなっている。このため、波長変換ナノ粒子10を利用する際の取扱いを容易にすることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で示された波長変換ナノ粒子10が液体に分散・拡散した状態になっている。このように、本実施形態では、波長変換ナノ粒子10は溶液として取り扱われる。液体が水の場合、波長変換ナノ粒子10は水溶液の状態で取り扱われる。
本実施形態に係る発光源としてのイオンはMnイオンである。したがって、溶液の状態において、第1実施形態と同様に、発光スペクトルのピークが2.12eVあるいは2.10eVよりも低エネルギー側に現れる。一方、発光スペクトルのピークが2.06eVよりも高エネルギー側に現れる。以上のように、溶液の状態で波長変換ナノ粒子10を取り扱うことができる。
なお、波長変換ナノ粒子10を分散・拡散させる液体は水に限られず、他の液体を採用しても構わない。
(他の実施形態)
上記の実施形態で示された波長変換ナノ粒子10の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、上記で示した波長変換ナノ粒子10の製造条件は一例であり、他の条件で製造しても構わない。
上記各実施形態ではドーパントとしてMnイオンが用いられたが、これは一例である。例えば、ドーパントとしてCu2+、Eu3+、Yb3+等の他のイオンを採用しても良い。これにより、ドーパントに対応した波長を取り出すことが可能となる。
また、コア部11及びシェル部12を他の半導体材料で構成しても良い。さらに、水溶性配位子としては、NACの他、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトこはく酸等を採用しても良い。
11 コア部
12 シェル部
15 最表面
20、21、23、24 イオン源
22、25、26 混合液

Claims (5)

  1. 励起光を吸収することによって励起状態を発生させるコア部(11)と、
    前記コア部(11)を覆うと共に、前記励起状態のコア部(11)からのエネルギー移動に伴ってバンドギャップエネルギーに対応した波長の光を発生させる発光源としてのイオンを含んでおり、さらに最表面(15)に水溶性配位子が配置されたシェル部(12)と、
    を備え
    前記発光源としてのイオンは、Mnイオンであり、
    前記コア部(11)はZnSeを主成分として構成され、前記シェル部(12)はZnSを主成分として構成された波長変換ナノ粒子の製造方法であって、
    前記コア部(11)の原料となるイオン源(20、21)を、前記水溶性配位子としてN−アセチル−L−システインを含んだ水溶液中で混合する第1混合工程と、
    前記第1混合工程で得られた第1混合液(22)のpHを調整する調整工程と、
    前記調整工程で得られた前記第1混合液(22)を加熱することで前記第1混合液(22)中に前記コア部(11)を形成する第1加熱工程と、
    前記第1混合液(22)に前記シェル部(12)の原料となるイオン源(23)及び前記発光源としてのイオンを含んだイオン源(24)を混合する第2混合工程と、
    前記第2混合工程で得られた第2混合液(25)を加熱することで前記シェル部(12)の一部を形成する第2加熱工程と、
    前記第2加熱工程後の前記第2混合液(25)に前記シェル部(12)の原料となるイオン源(23)を混合する第3混合工程と、
    前記第3混合工程で得られた第3混合液(26)を加熱することで前記シェル部(12)の一部を形成する第3加熱工程と、
    を含んでいることを特徴とする波長変換ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記第1混合工程では、前記コア部(11)の原料となるイオン源(20、21)として、Znと前記N−アセチル−L−システインとを1:4.8のモル比で含む水溶液を用い、
    前記第2混合工程では、前記発光源としてのイオンを含んだイオン源(24)として、Mnと前記N−アセチル−L−システインとを1:1のモル比で含む水溶液を用いることを特徴とする請求項に記載の波長変換ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記第2加熱工程及び前記第3加熱工程では、前記加熱としてマイクロ波加熱を行うことを特徴とする請求項またはに記載の波長変換ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記第1加熱工程では、加熱温度が150℃〜200℃であり、
    前記第2加熱工程及び前記第3加熱工程では、加熱温度が80℃〜140℃であることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の波長変換ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記第1加熱工程、前記第2加熱工程、及び前記第3加熱工程では、加熱時のpHが6〜8であることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の波長変換ナノ粒子の製造方法。
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