JP6788172B2 - β−Sialon焼結体の製造方法 - Google Patents

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シリコン酸窒化物セラミックスのRIP技術とその製品に関する
鉄鋼に代替可能な構造用セラミックスとして、窒化ケイ素が古くから検討されてきている。ムーンライト計画等の複数の国家プロジェクトでその実用化が種々の切り口から研究されてきたが極めて限られた用途に限られている。構造用用途として実用化されている窒化ケイ素は高々400トン/年と云われている。
窒化ケイ素は人工的に合成される無機化合物で、天然には存在しない。1857年にドイツDevilleとWohlerによって合成され、CollinsとGerbyによる工業材料としての応用の報告からであった。また、1999年にはα型、β型以外に、立方晶スピネル構造を有する第三の窒化ケイ 素がドイツの研究チームによって発見され、工業用材料として注目を浴びていた。
従来の技術的見解では、共有結合のセラミックスとイオン結合の金属系材料での大きな相違は前者は塑性変形しないが、後者では塑性変形する事である。本発明者は両者の抜本的相違を取り除く事に発明の主旨を置いている。
総セラミックス製自動車エンジン開発開始以来、国家プロジェクトとして窒化ケイ素に関する壮大な研究開発が進められていたが、構造用セラミックスとして、窒化ケイ素の実用化成果は微々たる状況にある。その原因は窒化ケイ素の成形コストが鉄鋼製品に対比して極めて高価であり事である。成形コストが高価な原因は、窒化ケイ素を一次粒子として微細化する工程において、水中における微細化の際に、加水分解してしまう事である。加水分解を回避する目的で、大気中でに石臼による微細粉化も一部では行われているが生産性が極めて低い。
ビーズミルによる粉砕工程とスラリー(泥漿)攪拌工程との連携により、微細化する水中ビーズミル微細化方式で、微細化するのが最も効果的な微細化方式と考えられる。この様にして得られた一次微細粒子を含むスラリーを、スプレードライアーで乾燥して造粒二次粒子化する方式が最も効率的である。
しかし、窒化ケイ素では、加水分解現象があり、水中ビーズミル方式による微細化で窒化ケイ素が分解、脆化する事を発明者等は認めている。加水分解で分解、脆化した窒化ケイ素は成型加工が不可能である。たとえ、大きな予肉を付与しても成型コストが大幅増大してしまう。ここに窒化ケイ素製の構造用セラミックスとして広く活用されない原因がある。
最近になりβサイアロンが注目されて来ている。βサイアロンは固相法で合成した窒化ケイ素を種結晶として反応焼結による方法、または燃焼合成法によって合成されている。
特にある種のβ-Sialonは加水分解しない特徴がある事を発明者は掴んでいる。この特性を最大に生かす事により、従来、窒化ケイ素で認められている加水分解による脆化現象を解消できる確信を得た。詳細は後述する。
窒化ケイ素は非特許文献(1)によると加水分解する事が報告されている。
1)窒化ケイ素は加水分解現象を生ずる可能性がある。窒化ケイ素が加水分解する。反応式を[化1]に示す。
Figure 0006788172
全てのセラミックスは一次粒子を細かくする事が必須であるとともに夫々の粒子に凹凸をつけて、いわゆる比表面積を大きくする事が製品の焼結性の確保には必須である。この目的でセラミックスを水中に懸濁させた泥漿(スラリー)をビーズミルにより更に細かく粉砕する事が一般的に行われている。このビーズミルを用いた水中処理工程は(微細化工程)はすべてのセラミックスに共通して行われる必須行程である。
水中ビーズミルを用いた微細化が進むと窒化ケイ素の表面積がさらに大となり、窒化ケイ素の加水分解がさらに進む事になる。この意味では水中ビーズによる微細化は窒化ケイ素に不適当な工程であると云える。従って、窒化ケイ素の特殊な機能的用途に対しては石臼による乾式工程も併用されている。しかし生産性が低く、窒化ケイ素を構造用用途に適用する際の致命的欠陥と云える。
ビーズミルを用いて微細化した微細粉末を含む泥漿(スラーリ)は、スプレイドライアーにより乾燥される。一次粒子を包含し、その乾燥条件により、最適な二次粒子に造粒される。しかし、窒化ケイ素の場合には加水分解が先行しており、窒化ケイ素の一次粒子は
脆弱化されている。
加水分解で脆弱化した窒化ケイ素粉末は成形加工性が悪く、成形加工に多大な工夫を要している。過大なバリ(予肉)を生成させて成型加工すると共に、焼結後にこの過大な加工代を取り除き正寸に仕上げる為に、仕上げ加工に長時間を要するという悪循環を招いている。(例えば特許文献4)ここに、窒化ケイ素製の構造用セラミックスの高価な原因が潜んでいる。
特許 4339332 特許 5768270 特許 4444362 特開2001-163673
OHSHIMA etal Jounal of the Ceramic Society of Japan 101[4]416-421,(1993) 革新的省エネセラミックス製造技術開発中間報告書 平成24年3月 (産業構造審議会) K.H.JACK, Trans.J.Brit.Ceram.Soc.,72(1973)376-
■窒化ケイ素が加水分解する事が最大の課題
前掲の化1に示すように、窒化ケイ素が加水分解する事が大きな課題である。この課題を解消する事により現存される諸般の課題(特に高コスト)解消される事が明確になってきた。
最近の国家プロジェクト(非特許資料2)の報告では、窒化ケイ素と同等な性能を有するβ-Sialonに関する詳細な解説がなされている。窒化ケイ素を主体原料として固相法により合成から始った。最近では燃焼合成法により、窒化ケイ素を用いずに、目標とするβ-Sialon成分組成通りに合成されている。(特許文献1-3)
β-Sialon 燃焼合成の反応式を[化2]に示す。
式中、Zは一般式の係数で正数である。0<Z≦4.2と表記され、Z値の幅広い領域でSi、Al、O、Nの固溶体を構成している。発明者の一人は燃焼合成法によりこれを確認している(特許文献1-3)。
しかし、この領域での、加水分解の可否については未検討であり、さらに、加水分解の可否の検討を行う必要がある。
Figure 0006788172
Z=0の場合β-Sialon合成の反応式は窒化ケイ素(Si3N4)合成の反応式と同一となる。しかし0<Z≦4.2と定義されており(非特許文献3)窒化ケイ素はβ-SialonのZ=0の組成を有する化合物ではないと云える。一般式Si6-zAlzOzN8-zで表されるβ-Sialonは結晶構造も全率固溶体で構成されている。云いかえると窒化ケイ素はβ-Sialon全率固溶体に含まれない事になる。すなわち、β-Sialonと窒化ケイ素とは化学的特性が全く異なるセラミックスである。
β-Sialonの一般式組成で定義されているのは、0<Z≦4.2である。このZ領域を詳細検討する事により、加水分解性の生じないβ-Sialonの領域を見出す事により、加水分解しないβ-Sialon領域を明確できる事になる。云いかえると、ビーズミルによる結晶の水中粉砕微細化の可能な、加水分解しないβ-Sialonを見出す事ができることになる。水中ビーズミル粉砕で加水分解せずに微細化が可能な構造用セラミックスとしてβ-Sialonが位置ずけできると考える。
焼結体の特性の多くは、一次結晶の粒径および比表面積に影響される事はよく知られている。これらの特性は化学成分とは別に形態学に影響を及ぼす。すなわち、粒径および比表面積等はβ-Sialon合成の際には種々に変化させる事により、云いかえれば、シリコン系酸窒化物系セラミックスの形態学的特性の制御により、β-Sialonの焼結体の諸特性を制御できる可能性もある。
β-Sialonの特性に関する一般解を0≦Z≦4.2の領域で種々検討する事により解を得ることの可能性がある。β-Sialonの合成の際に、Z値を制御するとともに、初晶析出する一次結晶に焦点を置いた検討により良好な加水分解しない焼結体が得られる可能性が大きい。
Z値が大きくなるにつれて、ヤング率が低下する事が予測されている。特にベアリングボール用途には特に貴重な特性である事から検討したいと考えている。
■一次結晶粒の制御およびZ値の最適化が加水分解の解消に寄与する。
この様にして得た0.5μm以下の粒形に微細化し、かつ比表面積の大きくした一次粒子を包含する顆粒とした流動性に優れた二次粒子を、ゴム型を用いたゴム成型によりかつての過剰のバリだしを防げる可能性が併せて高くなり、加水分解を防ぐ組成検討にあいまって極端な歩留まりの向上が期待される。
■成形加工法と一次粒子制御とは密接な相互関係を有する。
成型法として、RIP(Rubber Isostatic Press)が最適である事を我々は掴んでいる。従って、一次粒子製造に関する技術は、次工程のRIP加工技術と密接な関連がある。RIP技術には一次粒子組成を支配する合成法、一次粒子の水中加工技術と極めて緊密な相互関係が存在している。
■RIP技術には一次粒子の製造技術の詳細とRIP成形技術の詳細が包含されている。
上記を総称してRIP技術と定義している。
■粉末の成型加工方式の最適化が重要である。
最大荷重下での極限状態でのゴム型成型において、極力脱気を行うとともに、β-Sialonの固有振動に同期する振動付加におよび適度な昇温により格子欠陥をβ-Sialonに導入できる可能性がある。
この様にして得られる、生成型体には、結合剤としての界面活性剤添加が不要となるとともに、あわせて界面活性剤の加熱飛散工程も不要となる。なお、一次粒子の微細化効果はファンデルバース力の形でも寄与するので、圧砕強度の優れた(生)成型体の得られる事が予想される。
焼結のステージにおいて、β-Sialonの生材の成形加工の際に、予め導入されていた格子欠陥が拡散する事が予測される。格子欠陥の固相拡散によるβ-Sialonの再結晶が生ずる事が予測される。云いかえると、焼結助剤不要の再結晶焼結の可能性が予測される。
■目的を達成する為の全体のプロセスの互換性の明確化
セラミックスの再結晶焼結と云う前代未聞のプロセスを具体化する為には、原料⇒基本組成を有するシリコン系酸窒化物(β-Siaon)を適した組成を含めた形態的に適した合成を行う必要がある。これらの内容の因果関係を課題と手段に分類して表1に示した。原料製造から最終製品製造に至るまでの工程を熟知・制御する事が必須である。
Figure 0006788172
■Z値の最適化
β-Sialonの化学式は前出したが、係数Zは0<Z≦4.2である。Z=0を代入するとSi3N4(窒化ケイ素)と表現される。窒化ケイ素はβ-Sialonの同素体であると云える。窒化ケイ素に微量のアルミニウム(Al)および酸素(O)が固溶されると加水分解しなくなる事が想定される。その限界値をZ値で表現する事が重要となる。この目的で、表2に示す組成について加水分解試験を実施する。
Figure 0006788172
先の化2に示した反応式を用いた燃焼合成法によりβ-Sialonの合成を行う。表1に示す化学成分組成から、加水分解しないZ値を求める。ゴム型プレスを用いた成形の工程において、一次粒子の破断を避けて、内部に欠陥をを効率的に導入するには、β-Sialonの一次粒子径を0.5μm以下を確保が必須である。
併せて、水中ビーズミルによる粉砕工程に於いて、一次粒子が加水分解しない事も必須である。その為のZの下限の管理が本特許に於ける最大の管理ポイントである。
ラバー金型を用いた静水圧プレスは、Ruber Isostachic PressからRIPと呼ばれている。しかし大量生産には適していないので、錠剤を製造する打錠機のシステムを活用して大量を達成している。
一次粒子を破断させずに、塑性変形させれには、RIP成形において、急激な衝撃的な荷重付与が必須である。その下限値を把握している。
β-Sialonで認められた再結晶焼結は、形態制御を加味して、初めて達成されたセラミックスの焼結法である。焼結助剤の無添加と云う長年の夢が実現できた。
金属系の粉末にも適用可能であるのでこの効果は計り知れない。
[加水分解特性]
可能な限りの微細な一次粉末を製造プロセスは、イオン交換蒸留水中で、スラリー(泥漿)を構成しつつ、ビズーズミルによって、長時間の粉砕を行う。少なくとも、15時間以上のビースによる粉砕を行う。
燃焼合成したβ-Sialonの種々のZ値に対応する加水分解性(水中粉砕時間に伴うPH値の変化)を示す図。Z=0(窒化ケイ素相当)では極短時間に加水分解している様子が認めらる。 燃焼合成の反応温度と及び圧力との相関関係から熱プラズマが発生する。熱プラズマ発生が、β-Sialonの加水分解を妨げる事を現象論として認めている。 ラバープレス加工のままの生球体の圧砕強度を示す。 Z値とヤング率との関係を示す図。ヤング率が鉄(210GPa)より低い事は極めて鵜応用範囲が広い。 β-Sialonのゴム型成形(RIP)の於ける、工程毎における結晶状況の特徴を半価幅の変化を示す。 ゴム型成形(RIP)後に、1700℃X5時間焼結後のミクロ組織(X5000)を示す。 全図のモクロ素組織を低倍率X500で撮影したミクロ組織を示す。 ゴム型成型後に1700℃X5時間の焼結処理を行ったβ-Sialon焼結体のK1C、比重およびHV硬さの多数のロットについての数値についてのワイブル解析を行った結果を示す。 窒化ケイ素粉末の成形の際のブランクの形状を示す図。
構造用セラミックス製造での共通課題は高コストである事である。卑近な例として窒化ケイ素製ベアリングボールのコスト構成を例に説明する。併せて加水分解しないβ-Sialonによる原価低減効果について定性的に説明する。
窒化ケイ素からベアリングボールを製造する際に、窒化ケイ素ベアリングボール成型体(図8)をプレス成形する。
図中aは成形加工時の圧縮応力を逃がして割れを防ぐ目的で付与するバリ出し部,bは成型時の外形であり、(b-c)は高精度外形寸法形成の目的で付与された予肉。cは製品外形である。
微細窒化ケイ素原料粉末に原料粉末結合を目的に、界面活性剤(例えばポリビニールアルコール)を添加している。この様に調整された窒化ケイ素粉末をベアリングボール金型に挿入し、縦型プレスにより成形する。成形品に含まれる界面活性剤を加熱除去してベアリングボール生素球が成形される。
生球は極めて脆いので、厳重な注意の元、焼結処理を行う。焼結の為の焼結助剤(Y2O3、Al2O3等)の適量を予め添加しておく。
焼結温度は約1700℃である。焼結処理によって、セラミックス本来の強度が付与される。最近では、HIP処理を施しているケースもある。HIP処理はアルゴンガス充填雰囲気、2000気圧で行う処理である。
焼結処理の後に、約300-400時間に及ぶ研削および研磨処理を行い規定の品質グレードに収めて製品化する工程が汎用子工程となっている。
以上を纏めると以下になる。
1)RIP技術を全面活用する事により、β-Sialon (0.05≦Z≦4.2)の性能は窒化ケイ素を十分に凌駕する。
2)RIP技術を全面活用する事により、β-Sialon (0.05≦Z≦4.2)製ベアリングボールの製造コストは窒化ケイ素ベアリングボールの 製造コストを大幅に削減される。
3)RIP技術を全面活用する事によるβ-Sialon製ベアリング研磨加工時間が窒化ケイ素ベアリングボールの研磨加工時間の約1/5以 下に出来る事に起因している。
4)RIP技術の全面適用により、水中微細化処理において、β-Sialonは加水分解しない事に起因している。
本発明の全体的な相互関係を有する。一連のプロセスの中で、どのプロセスを除いても、本発明は達成できない。先ず必須の個々のプロセスを表3に記載する。それぞれのプロセスは他のプロセスに相互的に影響を及ぼし、製品の焼結性に影響をおよぼす。以下に個々のプロセスを取り上げて詳細説明をする。その説明が実施例の説明となる。
金属シリコンと気体N2の目標組成に対して、Al およびOを、AlおよびAl2O3およびSiO2の形で目標値となる様に添加して、Z値として0からZ値=4.2となる様に成分調整したβ-Sialonのが本発明の全ての実施例供試材である。燃焼合成の後に行う工程もまとめて表3に示した。
燃焼合成後に行う水中ビーズミルの粉砕工程で目標値0.5μmの大きさのβ-Sialonの一次粒子を加水分解させずに安定に製造する事である。その為には先ず、加水分解しないβ-SialonのZ値を求める必要がある。非特許文献3には0<Z≦4.2でβSialonの固溶体が合成されると解析されているが、加水分解特性については何らの記述されていない。
発明者はβ-Sialonの加水分解特性に焦点を定めてZ値とβ-Sialonの加水分解特性について詳細に調査した。
Figure 0006788172
β-Sialonの一般式はSi6-ZAlZOZN8-Z(0<Z≦4.2)で表示されている。この式は非特許文献(3)に詳しいが、固相法によって求められたものである。本特許では、燃焼合成法により合成を行い、Z〜0でのβ-Sialonの特性の特性、特に加水分解特性について注目した。特に、加水分解しない限界の燃焼合成β-SialonのZ値を明確にする事に本発明の主旨がある。
Z〜0でのβ-Sialonの詳細目標配合値サンプルについての詳細データを求めた。併せて、Z≦2についてはヤング率に対する影響を詳細に評価する目的で同様に、詳細データを求めた。
[実施例1]
加水分解しない微細粉末の製造条件。
一次粒子で、D50≦0.5μmの超微細粉が必要である。不純物含有量が極小なイオン交換蒸留水等に、燃焼合成で合成したβ-Sialonの数mm程度の大きさの粉砕バルクをを重量%で〜50%を投入する。水中攪拌扇で攪拌しつつ、攪拌装置に連結したビーズミル粉砕機に循環して、微細一次粒子を製造する。目標とする粒径を確保するには、スラリーは大凡15時間以上の長時間にわたるビーズミルによる水中粉砕が実用的には必須条件となる。
しかし、微細粉の比表面積が大きく、非特許文献2にも記載されている様に加水分解が懸念されている。特に、窒化ケイ素はβ-SialonのZ=0のβ-Sialonと同一であると考えられる。
表3に示した種々のZの異なる(Z=0も含む)β-Sialonについて表3に記載する条件を加味して加水分解特性を調査した。結果を図1に示した。
AlおよびOを極微量添加したZ=0.05のβ-Sialonで加水分解しない事が判明した。窒化ケイ素(Z=0)とZ=0.05のβ-SIALONとでは結合方式の大幅な相違が生じた事による効果であると考える。 特に、β-Sialonでは全率固溶体が構成されている事による効果であると考察される。
[実施例2]
燃焼合成条件が加水分解および一次粒子径に及ぼす影響
燃焼合成条件が一次粒子の形態に及ぼす影響を纏めると以下になる。
1)熱プラズマの影響
燃焼合成着火後、約5分以内に約1700℃に達すると共に、この時点で、熱プラズマに伴う断続的な閃光が発せられる。0.05≦Z≦4.2の範囲では同様な熱プラズマ認められた。Z=0に相当する窒化ケイ素組成材料にはプラズマの発生は認められない。熱プラズマの発生が、冷却の際に生ずる凝華現象の際に、β-Sialonでは、元素の結合状態がイオン結合に移行したものと推察される。現象のメカニズムについてはさらなる検討を進めて追及していきたい。
図2に本発明と密接な関係を有する燃焼合成反応時に発生する熱プラズマの発生状況を図2に示した。

2)凝華時の冷却速度の影響
プラズマ状態から直接結晶(個体)が晶出する凝華反応の際の冷却速度が、晶出する結晶の形態に及ぼす可能性については、表3に見られる様に、水中ビーズミル粉砕速度が極端に高速化される。これは極めて特異な現象である。凝華時に発生する結晶が微細化している事が予測される。併せて、比表面積が極端に大となっている。

3)ビーズミルによる最適な水中粉砕時間
表3から、D50での一次粒子径が目標値、0.5μmを得るには先行実験から水中ビーズミル(イオン交換蒸留水)による実用的最適粉砕時間は15時間であるが、凝華時の冷却を急冷とする事により粉砕時間の短時間化ができる事が分かる。
[実施例3]
ラバープレス(RIP)性について
ア)窒化ケイ素のラバープレス性について
表3にラバープレス性に対する粉末条件との関係を示している。窒化ケイ素(表3のZ=0で表示)では15時間の蒸留水による水中粉砕では加水分解が進んでしまい、窒化ケイ素の表面部分の固形状態が崩れており、一次粒子径の大きさおよび一次粒子の表面積は測定ができない。スプレードライアーにより、かろうじて形成された、二次粒子を用いてRIP成形を行った。β-Sialonと条件を同一にする目的で、界面活性剤を使わずに、かつ、完全脱気(密閉状態での真空処理)を行い、総圧力2tonでのRIP成形を行った。結果は見るも無残であった。全く成型されていなかった。
イ)β-Sialonのラバープレス性について
表3のZ値0.05〜のβ-Sialonの粉末について、上記と同様に、界面活性剤を使わずに、かつ、完全脱気(密閉状態での真空処理)を行い、総圧力2tonでのRIP成形を行った。表3に記載する粉末は何れも加水分解されていなので、スプレードライアーにより良好な一次粒子は造粒されて16μm以上の造粒粉末となっている。
8tonまでの種々の総圧力を加えた成型を行った。ワイブル分散解析(図示せず)の結果、総荷重2tonで良好な結果を得たので、総荷重2tonの結果について表示している。界面活性剤を使わずに成形できる事が判明した。成型後の型崩れは皆無であり、Hs硬さ測定ができた。ファンデルバース引力の効果であると考えている。生材の成形材の硬さは、焼結材のほぼ1/3に相当している。界面活性剤不使用の効果は、従来のセラミックス成形後に行われている、界面活性剤を除去する為の加熱が不要となる。
表3のZ=1のサンプルで、凝華時の冷却を急冷としたサンプルでは、一次粒子径が0.01μmが極めて小となるとともに、比表面積が数倍となっている。さらに高強度の成形体が期待される。
図3にラバープレスままの生球体の圧砕強度を示した。強度高く型崩れしない特徴がある。この状態の生球体に、砥石による研削加工が容易にできる。この生球体の圧砕強度は少なくとも3MPaであり、生球体に任意の種々な加工を施す事ができる。
[実施例4]
ヤング率の低減効果について追記しておきたい。鉄のヤング率は約210GPaである。材料が弾性変形する際に必要な負荷の基準になる物性値である。本発明について云えば、RIP加工で粉末を成形加工する際に、応力値に相当する事がら、より低い荷重で成形が可能となる利点がある。図4に詳細を示す。
鉄よりヤング率の低い材料が広く求められている。例えば、ベアリングの組立工程において、アウターレースとインナーレースとの間に鋼球(ベアリングボール)を挿入する際に、直径が微小に異なるボールを準備して対応している。ベアリングボールのヤング率が鉄鋼より低ければこの様な対応が不要となる。
[実施例5]
ゴム型成形(RIP)による結晶構造の変化
β-Sialonの結晶状況の変遷を調査した。β-Sialonの結晶構造はHCPで、X線回析の高強度回折面、(101),(120)(200)(321)および(301)から回折線について、それぞれの回折線の状況を調査した。結果を図4に示した。

半価幅に焦点を置いて、現象を観察すると従来では認められていない現象に行き当たる。即ち、粉末状態⇒ゴム型成形すると半価幅が著しく低下する。その後の1700℃焼結を行うと半価幅は粉末状態の半価幅に戻る現象が観察される。数値的には0.255→0.099⇒0.256となる。従来の材料的な知見によれば、多少乱れ状態の粉末の結晶構造が、ゴム型成形(RIP)後に結晶が極めて整然と配列する。この後の焼結で結晶状態は粉末状態に戻ると表現される。
いいかえると、ゴム型成形(RIP)の成形によって、少なくとも、β-Sialonの結晶が応力によりRIP加工の際に、さらに整然と配列したものと推測される。ゴム型成形(RIP)際の静水圧応力により結晶の整然配列したものと考えらあれる。その後の焼結処理の際に、β-Sialon 本来の安定化された結晶配列に戻ったものと推察される。この再配列エネルギーはRIP成形の際に付加されたものと推察される。
[実施例6]
ゴム型成型後に焼結処理(1700℃X5時間)を行った際のミクロ組織。
X5000およびX500の倍率を図5および図6に示した。図中に示す縮尺からも想定されるが、初期の粒径0.5μmに対して、3〜5倍程度に粒成長している事が観察される。窒化ケイ素の場合には焼結助剤Y2O3がSiO2と反応して窒化ケイ素粒子の最表層に形成された低融点化したY-Sialonにより、個々の窒化ケイ素粒子が融着結合する。その際、HIP(High Temperature Isostatic Press)による高温・高圧成形が必須とされている。
本発明では、ゴム型成形の際に導入された与圧量による蓄積されたエネルギーが焼結の際に放出され再結晶が進み併せて、焼結が焼結助剤(Y2O3およびAL2O3)無用で、かつ、HIP処理無用で進行するものと考えられる。
[実施例7]
ゴム型成形後に焼結処理を行ったβ-Sialon(焼結助剤無添加)の主な機械的性質
図7に繰り返し数10回の実験に基づく、β-Sialonの主な機械的特性を破壊靭性値(K!C)、比重およびHV硬さのワイブル統計分布解析の結果を図7に示した。
1)セラミックスに共通した懸念事項の靭性値は、K1Cとして評価したところ、極めて良好な形状母数値を示した。安定したK1Cが得ら れる。
2)累積確率50%での比重は3.22を示した。
3)HVかたさの累積確率50%での値は1388.80ある。
4)これら機械的性質は焼結助剤としてY2O3を主体に添加した際のβ-Sialon と同等であると評価される。
■焼結助剤無添加での焼結
以上の結果は、セラミックスの従来の常識を覆すものである。云いかえると、RIP成形時にβ-Sialon 結晶に整然と導入された転位等の格子欠陥エネルギーが、続く焼結処理の際に解放される際に、原子の拡販を促し拡散焼結に繋がったものと推測される。
いわば「再結晶焼結」云われるセラミックスとしては新しい現象が現出したものと推察される。云いかえると、金属系材料では卑近に認められる現象ではある。
構造用セラミックスの汎用化のきっかけになると考えている。その理由を小径ベアリングボールの製造コストを従来の窒化ケイ素のケースとRIP技術を全面活用したケースとで比較して以下に詳細に説明する。
図8に窒化ケイ素の生素球の形状(ブランク材とも呼ばれる)を示した。図中aは金型はみ出す様に設計されたバリ部であり、土星リングと呼ばれている。bは外形の仕上げ代を含む生素球の外形を示す。cは製品の外形を示す。窒化ケイ素の場合は焼結の硬化した状態で、a部,b部を研削および研磨で仕上げるので極めて長時間を要する。5/32in ベアリングボールでは300時時間を要している。
ベアアリング総コストの60%を占めている。
β-Sialonの場合には、バリ部aは不要である。併せて、b部は仕上げ球の直径cプラス50μmで寸法精度が得られる事を確認している。なお、β-Sialonの砥石による研削性および研磨性は約2倍良好である。いいかえると、β-Sialonの場合には、生素球に付与すべき予肉はたかだか50μmで十分であると云える。
小径ベアリングボールの年間の世界需要は1000億個/年以上と云われている。いずれも鉄鋼製ベアリングボールである。電通時に
電流の30%が鉄損量として発熱放熱している。電気自動車にはセラミックベアリングボールが最適である事は云うまでもない。本発明によりコストパフォーマンスが適合する事を期待している。
図8において、aは窒化ケイ素ベアリングボール成形におけるバリ出し形状を示している。bはベアリングボール成形時の外形を示している。cは完成品の外形を示している。

Claims (4)

  1. 熱プラズマ環境で、3(6-z)Si + zAl + zAl2O3 + 3/2(8-z)N2 = 3Si6-zAlzOzN8-z のat%で示される反応で生成すると共に、0.05≦Z≦4.2であるβ-Sialonを燃焼合成し、
    凝華時冷却し、
    微細一次粒子に粉砕し、
    前記微細一次粒子を造粒して該微細一次粒子よりも径が大きい造粒粉末とし、
    前記造粒粉末に対し、完全脱気で、バインダーを添加しないラバープレスによって総荷重2ton以上を与えて生球体とし、
    前記生球体に対し、窒素雰囲気で、HIP処理をせずに、且つ、焼結助剤を添加しないで焼結処理を行う、
    β-Sialon焼結体の製造方法。
  2. 前記凝華時冷却が急冷である、請求項1のβ-Sialon焼結体の製造方法。
  3. 前記焼結処理の前に、前記生球体に対し、研削加工を行う、請求項1又は2のβ-Sialon焼結体の製造方法。
  4. 前記β-Sialonが2≦Z≦4で生成されている、請求項1から3のいずれかのβ-Sialon焼結体の製造方法。
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