JP6784349B1 - 高清浄鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄鋼の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6784349B1
JP6784349B1 JP2020544298A JP2020544298A JP6784349B1 JP 6784349 B1 JP6784349 B1 JP 6784349B1 JP 2020544298 A JP2020544298 A JP 2020544298A JP 2020544298 A JP2020544298 A JP 2020544298A JP 6784349 B1 JP6784349 B1 JP 6784349B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tundish
gas
inert gas
blown
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020544298A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021002130A1 (ja
Inventor
村井 剛
剛 村井
南 雄介
雄介 南
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority claimed from PCT/JP2020/021579 external-priority patent/WO2021002130A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6784349B1 publication Critical patent/JP6784349B1/ja
Publication of JPWO2021002130A1 publication Critical patent/JPWO2021002130A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

鋼を連続鋳造するに際し、タンディッシュへの溶鋼注入前にタンディッシュ内を無酸化雰囲気にして溶鋼の再酸化を防止する方法において、下記(1)および(2)式(式中、ρ:不活性ガスの密度(kg/m3)、Q:不活性ガスの総吹き込み量(Nm3/s)、μ:不活性ガス粘度(Pa・s)、PTD:ガス置換領域周長さ(m)、V:ガス吹き込み領域体積(m3)、T:タンディッシュ内雰囲気温度(K)、tmax:ガス吹き込み可能時間(s)を表す。)を満たす条件でタンディッシュ底部へ向かって、空気より重い不活性ガスを吹き込むことを特徴とする高清浄鋼の製造方法。4・ρ・Q/(μ・PTD)≦2000・・・(1)3(V/Q)/(T/298)≦tmax・・・(2)

Description

本発明は、鋼を連続鋳造するに際し、タンディッシュ内雰囲気を不活性ガスで効率よく置換して高清浄鋼を製造する方法に関するものである。
鋼を連続鋳造するに際し、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入時には取鍋の下部に取り付けられたロングノズルを用いている。そして、その先端をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬した状態とすることによって注入溶鋼を空気から遮断するとともにタンディッシュ内の溶鋼上にフラックスを添加して酸化を防止している。しかし、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入開始時にはロングノズルの先端部がタンディッシュ内の溶鋼中に浸漬されていないため、溶鋼は空気にさらされて酸化する再酸化が起こる。
このような取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入開始時での再酸化による生成酸化物、すなわち非金属介在物が連続鋳造鋳片中に捕捉されると、その鋳片から製造された鋼板で表面疵などの欠陥の原因となる。従って、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入開始時に非金属介在物を低減させることが課題になっており、従来から種々の再酸化防止策が提案されている。
取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入開始時の再酸化防止策としては、例えば、特許文献1には、注入する前にタンディッシュ内の酸素濃度を下げるべく、タンディッシュと蓋の間を完全に密閉するとともに、タンディッシュ内にArガスを導入する方法が開示されている。また、特許文献2には、タンディッシュ内に不活性ガスを吹き込むノズルの内径を40mm以上とし、且つノズルのタンディッシュ内への進入深さをタンディッシュ深さの1/4以上確保することで、吹き込み時のガス流速を低減して、空気の巻き込みを防止する方法が開示されている。
特開昭63−188460号報 特開平 9−168846号報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、タンディッシュ内に溶鋼を注入するために、タンディッシュ蓋に溶鋼注入用ノズルを挿入できる空間を必要とする問題があった。さらにタンディッシュ蓋およびタンディッシュ本体の熱変形まで考慮するとタンディッシュを完全に密閉することが難しいという問題があった。タンディッシュが密閉できない状況で特許文献1に記載の方法を用いてタンディッシュ内へ不活性ガスを吹き込むと、注入点やタンディッシュ蓋の隙間から空気を巻き込み、不活性ガスの置換が不十分となるといった問題が生じる。また、特許文献2に記載の方法では、吹き込むガスの流量が変われば流速も変わるため、タンディッシュの容量やガス吹き込みの可能な時間によっては不活性ガスによる置換が十分に行われないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、タンディッシュ内への溶鋼注入開始時に溶鋼の清浄性を低下させる主原因となっているタンディッシュ内溶鋼の空気による再酸化を防止するために、タンディッシュの容量等の条件に依らずタンディッシュ内雰囲気の酸素濃度を迅速に、かつ効率的に低減して高清浄鋼を製造する方法を提案することを目的とする。
発明者らは、吹き込む不活性ガスの流速と吹き込む深さ、さらにはタンディッシュ内でのガスの流れを制御することで効率的にタンディッシュ内雰囲気が置換できることを見出し、本発明を開発した。上記課題を有利に解決する本発明の高清浄鋼の製造方法は、鋼を連続鋳造するに際し、タンディッシュへの溶鋼注入前にタンディッシュ内を無酸化雰囲気にして溶鋼の再酸化を防止する方法において、下記(1)および(2)式を満たす条件でタンディッシュ底部へ向かって、空気より重い不活性ガスを吹き込むことを特徴とする。
4・ρ・Q/(μ・PTD)≦2000 ・・・(1)
3(V/Q)/(T/298)≦tmax ・・・(2)
ここで、ρ:不活性ガス密度(kg/m)、
Q:不活性ガス総吹き込み量(Nm/s)、
μ:不活性ガス粘度(Pa・s)、
TD:ガス置換領域周長さ(m)、
V:ガス吹き込み領域体積(m)、
T:タンディッシュ内雰囲気温度(K)、
max:ガス吹き込み可能時間(s)、
を表す。
なお、本発明にかかる高清浄鋼の製造方法は、
前記不活性ガスをタンディッシュ内に1または2以上のノズルから吹き込む際に、該ノズル各々について下記(3)式を満たす条件で前記不活性ガスを吹き込むこと、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
5≦Q・T/{74.5π(2Htan(12°)+d}≦20 ・・・(3)
+Q+・・・・+Q=Q ・・・(4)
ここで、Q:n番目のノズルからのガス吹き込み量(Nm/s)、
:n番目のノズルのタンディッシュ底部からガス吹き込みノズル下端までの高さ(m)、
:n番目のノズルのガス吹き込みノズル内径(m)、
n :1以上の整数
を表す。
また、本発明にかかる高清浄鋼の製造方法は、
前記タンディッシュは、溶鋼の流動を制御するための堰を有しており、堰で分割されたタンディッシュ領域それぞれを別々のガス吹込み領域として、それぞれの領域に1つ以上のガス吹込みノズルを設け、それぞれの領域ごとに前記(1)および(2)式、または、前記(1)〜(3)式を満たす条件で不活性ガスを吹き込むこと、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。ここで、「分割されたタンディッシュ領域」の境界は、堰の上端の位置とする。
本発明によれば、鋼を連続鋳造するに際し、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注入する前にタンディッシュ内雰囲気を不活性ガスで迅速に、かつ効率的に置換することで、タンディッシュ内雰囲気の酸素濃度を低減し、注入された溶鋼の空気による再酸化が抑制される。よって、非金属介在物の生成量を抑制することが可能となり、高清浄鋼を製造することができる。
本発明の一実施形態に用いるタンディッシュの模式図であり、(a)断面図および(b)斜視図を示す。 本発明の他の実施形態に用いるタンディッシュの模式図であり、(a)断面図および(b)斜視図を示す。 実施例1に用いるタンディッシュの断面を示す模式図である。 実施例2に用いるタンディッシュの断面を示す模式図である。 実施例3に用いるタンディッシュの断面を示す模式図である。
発明者らは、課題を解決するに当たり、以下のように考えた。
鋼を連続鋳造するに際し、タンディッシュへの溶鋼注入前にタンディッシュ内を無酸化雰囲気にして溶鋼の再酸化を防止することが有効である。ここで、無酸化雰囲気とは、酸素濃度が2.0vol%以下が好ましく、1.0vol%以下がさらに好ましい。タンディッシュ内を無酸化雰囲気にするには、タンディッシュ内の空気を不活性ガスで置換することが有効である。そこで、タンディッシュ内の空気の不活性ガスでの置換を効率的に行うためには、吹き込む不活性ガスの流速と吹き込む深さ、さらにはタンディッシュ内でのガスの流れを制御する必要があると考えた。まず、不活性ガスは空気より重いものとし、ガスを吹き込む方向については、タンディッシュの底部に向かう方向とした。これは、タンディッシュの底部から徐々に不活性ガスで置換していくためである。また、タンディッシュ内のガスの流動が乱流になってしまうと、タンディッシュ内雰囲気と外気の混合が促進してしまうと考え、乱流にならない条件を選ぶこととした。なお、空気より重い不活性ガスは、例えば、Arガスや二酸化炭素ガス、その混合ガスや、さらには一部窒素を混合したガスが挙げられる。
ここで、タンディッシュ内のガスの流動を評価するため、Re数(レイノルズ数)を用いることとした。Re数は下記(5)式で表される。
Re=4・ρ・Q/(μ・P) ・・・(5)
ここで、ρ:不活性ガス密度(kg/m)、
Q:不活性ガス吹き込み量(Nm/s)、
μ:不活性ガス粘度(Pa・s)、
P:代表長さ(m)、
を表す。
一般的に、流動が層流から乱流に変わるのはRe数が2000〜4000の時と言われている。発明者らは、不活性ガスの吹き込み量を変えて、タンディッシュ内の酸素濃度を測定したところ、代表長さPをガス置換領域の周長さPTD(m)、すなわちタンディッシュの上面部周囲長としたときのRe数が2000を超えると2000以下の場合に比較して、酸素濃度が低下しにくくなることを見出した。これにより、下記(1)式を得た。
4・ρ・Q/(μ・PTD)≦2000 ・・・(1)
次に、鋳造開始前にタンディッシュ内を不活性ガスで置換できる時間には、操業上限りがあるため、その時間内に置換が完了するガス量を吹き込む必要があると考えた。完全混合モデルでは、容積の3倍のガス量が必要である。また、タンディッシュは予熱しているため、その内部で吹き込んだガスは膨張することから、完全置換に必要なガス流量Q(Nm/s)は下記(2)式で表される。
3(V/Q)/(T/298)≦tmax ・・・(2)
ここで、V:ガス吹き込み領域の体積(m)、
T:タンディッシュ内の雰囲気温度(K)、
max:ガス吹き込み可能時間(s)、
を表す。
さらに、吹き込むガスの流速について、ガスがタンディッシュの底部に衝突する際の流速の影響を検討した。底部に衝突する際のガスの流速が大きすぎると、底部に衝突して反転流となり、タンディッシュ上部へ抜けていく流れとなる。そのため、滞留部ができたり、タンディッシュと蓋の隙間から空気の吸い込みが発生したりして、タンディッシュ全体を効率よく置換できないおそれがある。一方で、ガスの流速が小さすぎると、タンディッシュ底部隅々に不活性ガスが行き渡らず、置換しきれなくなるとおそれがある。そこで、底部に衝突する際の流速には適正値があると考えた。しかしながら、底部に衝突する際のガス流速の測定は困難なため、ガス流量とガス吹き込みノズルの内径、タンディッシュ底部からの距離により、タンディッシュ底部に到達するガス流速を算出することとした。
タンディッシュ底部にガスが衝突する領域の面積A(m)は下記(6)式で表される。
A=(π/4)×(2Htan(θ)+d) ・・・(6)
ここで、H:タンディッシュ底部からガス吹き込みノズル下端までの高さ(m)、
θ:吹き込みガスの広がり角度(°)、
d:ガス吹き込みノズル内径(m)、
を表す。
ここで、吹き込みガスの広がり角度θを一般的に言われている12°とした。また、雰囲気温度T(K)の領域Aに流量q(Nm/s)のガスが衝突した場合の平均ガス流速v(m/s)は、上記(6)式を考慮して、下記(7)式で表される。
v=q・(T/298)/A
=q・T/{74.5π(2Htan(12°)+d)} ・・・(7)
ここで、種々の条件を変えて、容器内のガス置換の測定を行ったところ、平均ガス流速vが5〜20m/sの範囲であれば、効率的にガス置換を行えることが分かった。そのため、ガス吹き込みのためのノズル径、高さ条件は下記(8)式で表すことができる。ここで、平均ガス流速vが5m/s未満では、ガス流量が少なすぎて、タンディッシュ内のガス置換に時間がかかりすぎるおそれがある。一方、20m/s超えでは、乱流となるおそれがある。
5≦q・T/{74.5π(2Htan(12°)+d)}≦20 ・・・(8)
ガス吹き込み位置が1または2以上の場合はそれぞれの位置で上記(8)式を満たす必要があり、そのガス吹込み個所からのガス吹き込み流量の合計が、ガス総吹き込み流量Q(Nm/s)となるため、(8)式は、下記(3)および(4)式で表せる。
5≦Q×T/{74.5π(2Htan(12°)+d}≦20 ・・・(3)
+Q+・・・・+Q=Q ・・・(4)
ここで、Q:n番目のノズルからのガス吹き込み量(Nm/s)、
:n番目のノズルのタンディッシュ底部からガス吹き込みノズル下端までの高さ(m)、
:n番目のノズルのガス吹き込みノズル内径(m)、
n :1以上の整数
を表す。
したがって、タンディッシュ内を無酸化雰囲気にして溶鋼の再酸化を防止するにあたっては、タンディッシュ内へ吹き込む空気より重い不活性ガスの吹き込み量Qを、上記(1)式を満足するようにガス置換する領域の周長さPTDに応じて調整することで高清浄鋼を製造できる。また、上記(2)式を満足するように、ガス吹き込み可能な時間tmaxに応じて、ガス吹き込み量Qを調整する必要がある。また、1または2以上のノズルを用いてガスを吹き込む場合には、上記(3)式を満足するように、それぞれのノズルごとにガスを吹き込むノズル高さHとノズル内径d、ガス吹き込み量Qを調整することがより好ましい。さらに、タンディッシュが流動調整用の堰を有している場合は、堰の上端の位置を境界として分割されたタンディッシュ領域それぞれにガスを吹き込むことで、タンディッシュ内雰囲気のガス置換がより均等に行われるので好ましい。その際、それぞれのタンディッシュ領域ごとに、上記(1)式および上記(2)式、または、上記(1)〜(3)式を満足するようにすることが好ましい。
以下、本発明を、添付図面を参照して説明する。図1および2は、本発明を実施する方法(以下、本方法という)に用いる装置の模式図であり、それぞれ(a)断面模式図および(b)斜視図である。
図1において、1はタンディッシュ本体であり、連続鋳造鋳型(図示せず)2台への溶鋼供給用ノズル2が配置されており、その下部にはスライディングノズル3を介して浸漬ノズル4が取り付けてある。また、タンディッシュ本体1には蓋5がかぶせてあり、この蓋5の中央部にはロングノズル用の開口部6が設置されている。また、図1上で開口部6を挟んで蓋5の両側にタンディッシュ本体1を予熱するためのバーナー用開口部7が設置されている。なお、図1はバーナー用開口部7からバーナー(図示せず)を挿入してタンディッシュ本体1を予熱した後の状態を示している。図1(b)の破線は、タンディッシュ上面の内法を示しており、Lはその長さ、Wはその幅を表す。上述のガス置換領域の周長さPTDは、2L+2Wで計算できる。
また、タンディッシュ本体1にはタンディッシュ蓋5の開口部6、7を介して、ガス吹き込みノズル8が挿入されている。このガス吹き込みノズル8の本数、内径、設置高さについては、上記(1)および(2)式、好ましくは(3)式を満たしていれば特に制限は無いし、複数のノズル8を用いて吹き込むに際しては、ノズルごとに吹き込む条件が同じである必要もない。
また、図2に示すように、タンディッシュ本体1に堰9を設置している場合は、堰9で分割された領域それぞれにガス吹き込みノズル8を設置することが好ましい。この堰9については、その高さ、開孔部の形状、数等の形状、設置位置については特に制限は無い。図2(b)の破線は、タンディッシュ上面の内法を示しており、図2(a)の2点鎖線は、堰の上端の位置を境界として分割された領域の境界を示す、L、Lは領域1および領域2それぞれの長さを表し、Wはその幅を表す。上述のガス置換領域1の周長さPTD1は、2L+2Wで計算でき、ガス置換領域2の周長さPTD2は、2L+2Wで計算できる。この場合には、それぞれの領域で、上記(1)および(2)式、好ましくは(3)式を満たしている必要がある。
次に本方法の操作について説明する。
予熱完了後のタンディッシュ本体1に蓋5の開口部より、ガス吹き込みノズル8を挿入する。その際、スライディングノズル3は閉止しておく。また、浸漬ノズル4の装着の有無は問わない。
ガス吹き込みを行うにあたっては、吹き込み開始から終了まで一定の流量で吹き込んでも良いし、上記(1)および(2)式、好ましくは(3)式を満たすのであれば、例えば、雰囲気の置換開始から終了まで段階的あるいは連続的に流量を変えても良い。
所定のガス流量が吹き込み終わったら、ガス吹き込みノズル8を排し、浸漬ノズル4が装着されていなければ装着し、精錬処理を施された溶鋼の収納された取鍋よりタンディッシュ本体1内にロングノズルを介して溶鋼を注入する。それとともに、スライディングノズル3を開けて、連続鋳造を開始する。
以上の方法を用いタンディッシュ内を無酸化雰囲気に制御することで、再酸化による介在物の生成を抑制し、清浄度の高い鋼を得ることができる。
<実施例1>
図3に示すように、容量30tの1ストランド連続鋳造機用タンディッシュ1(内部体積V=5.8m、周囲長さPTD=10.5m、雰囲気温度T=873K)に蓋5をした上で、タンディッシュ蓋5のロングノズル用の開口部6に設置したガス吹き込みノズル8からArガスを吹き込んだ。Arガスは空気より密度の大きい不活性ガスである。ノズル8の本数、内径、設置高さ、Arガス吹き込み量、吹き込み時間を表1に示す。(1)および(2)式を満たす条件(表1中処理No.1〜3および6)ではタンディッシュ1内酸素濃度を2.0vol%以下にすることができ、(1)〜(3)式を満たす条件(表1中処理No.1〜3)ではタンディッシュ1内酸素濃度を1.0vol%以下にすることができた。対して、(1)および(2)式のどちらかでも満たしていない条件(表1中処理No.4、5および7)ではタンディッシュ1内酸素濃度は2.0vol%超えであった。上記の条件で、C=0.03%の低炭素鋼の鋳造を行った。鋳造開始位置からスラブ2m位置までの鋼中酸化物個数を測定し、目標とする酸化物個数を1.0として、それとスラブ中酸化物の個数の比をボトム鋳片清浄度の指数で表1に示した。その結果、本発明例では比較例に対して酸化物個数を低位にできた。以上、本方法によりタンディッシュ内ガス置換が有効に行なえていることがわかった。
Figure 0006784349
<実施例2>
図4に示すように、容量70tの2ストランド連続鋳造機用タンディッシュ1(内部体積V=12.3m、周囲長さPTD=19.3m、雰囲気温度T=923K)に堰9を設置し、取鍋からの注入側と非注入側の領域に分割した。鋳型溶鋼供給ノズル2を含む非注入側の領域をタンディッシュ領域1(Zone1)とし、取鍋からの注入側の領域をタンディッシュ領域2(Zone2)とした。図4上で左右の領域1は、面対称で、同一体積、同一周囲長さを有する。各領域それぞれの体積V、V、周囲長さPTD1、PTD2を表2−1および2に示す。このタンディッシュ1に蓋5をした上で、タンディッシュ蓋5のロングノズル用の開口部6とバーナー用開口部7に設置したガス吹き込みノズル8からArガスを吹き込んだ。ノズル8の本数、内径、設置高さ、Arガス吹き込み量、吹き込み時間を表2−1および2に示す。表2−3にガス置換後のタンディッシュ内の雰囲気酸素濃度とボトム鋳片の清浄度の評価結果を示す。すべての領域で(1)〜(3)式を満たす条件(表2−1〜3中処理No.8および9)ではタンディッシュ1内酸素濃度を1.0vol%以下にできた。また、すべての領域で(1)および(2)式を満たす条件(表2−1〜3中処理No.8〜11)ではタンディッシュ1内酸素濃度を2.0vol%以下にすることができた。対して、(1)および(2)式のどちらかでも満たしていない条件の領域がある場合(表2−1〜3中処理No.12〜14)では、その領域のタンディッシュ1内酸素濃度は2.0vol%超えであった。上記の条件で、C=0.002%の極低炭素鋼の鋳造を行った。鋳造開始位置からスラブ2m位置の鋼中酸化物個数を測定し、目標とする酸化物個数を1.0として、それとスラブ中酸化物の個数の比をボトム鋳片清浄度の指数で表2−3に示した。その結果、本発明例では比較例に対して酸化物個数を低位にできた。本方法によりタンディッシュ内ガス置換が有効に行なえていることがわかった。
Figure 0006784349
Figure 0006784349
Figure 0006784349
<実施例3>
図5に示すように、容量20tの4ストランド連続鋳造機用タンディッシュ1(内部体積4.4m、周囲長さ16.6m、雰囲気温度T=873K)に堰9を設置し、取鍋からの注入側と非注入側の領域に分割した。鋳型溶鋼供給ノズル2を含む非注入側の領域をタンディッシュ領域1(Zone1)とし、取鍋からの注入側の領域をタンディッシュ領域2(Zone2)とした。図5上で左右の領域1は、面対称で、同一体積、同一周囲長さを有する。各領域それぞれの体積V、V、周囲長さPTD1、PTD2を表3−1および2に示す。表3−3にガス置換後のタンディッシュ内の雰囲気酸素濃度とボトム鋳片の清浄度の評価結果を示す。このタンディッシュ1に蓋5をした上で、タンディッシュ蓋5のロングノズル用の開口部6とバーナー用開口部7に設置したガス吹き込みノズル8からArガスを吹き込んだ。ノズル8の本数、内径、設置高さ、Arガス吹き込み量、吹き込み時間は表3−1および2に示す。すべての領域で(1)および(2)式を満たす条件(表3−1〜3中処理No.15〜18)ではタンディッシュ1内酸素濃度を全領域で2.0vol%以下にすることができた。また、すべての領域で(1)〜(3)式を満たす条件(表3−1〜3中処理No.15および16)ではタンディッシュ1内酸素濃度を全領域で1.0%以下にすることができた。対して、式(1)を満たしていない条件の領域がある場合(表3−1〜3中処理No.19および20)ではその領域のタンディッシュ1内酸素濃度は2.0vol%超えであった。上記の条件で、C=1.0%の高炭素鋼の鋳造を行った。鋳造開始位置からブルーム2m位置の鋼中酸化物個数を測定し、目標とする酸化物個数を1.0として、それとブルーム中酸化物の個数の比をボトム鋳片清浄度の指数で表3に示した。その結果、本発明例では比較例に対して酸化物個数を低位にできた。本方法によりタンディッシュ内ガス置換が有効に行なえていることがわかった。
Figure 0006784349
Figure 0006784349
Figure 0006784349
本発明は、上記例示の実施例に限られず、鋼を連続鋳造する際に、タンディッシュ内に溶鋼を注入開始する前に雰囲気を不活性ガスで迅速に、かつ効率よく置換できるので高清浄鋼の製造に適用して好適である。本方法は、タンディッシュ以外にも雰囲気をガス置換する必要のある装置または方法にも適用可能である。
1 タンディッシュ
2 溶鋼供給用ノズル
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 蓋
6 ロングノズル用開口部
7 バーナー用開口部
8 ガス吹き込みノズル
9 堰
Zone1 タンディッシュ領域1
Zone2 タンディッシュ領域2

Claims (4)

  1. 鋼を連続鋳造するに際し、タンディッシュへの溶鋼注入前にタンディッシュ内を無酸化雰囲気にして溶鋼の再酸化を防止する方法において、下記(1)および(2)式を満たす条件でタンディッシュ底部へ向かって、空気より重い不活性ガスを吹き込むことを特徴とする高清浄鋼の製造方法。
    4・ρ・Q/(μ・PTD)≦2000 ・・・(1)
    3(V/Q)/(T/298)≦tmax ・・・(2)
    ここで、ρ:不活性ガスの密度(kg/m)、
    Q:不活性ガスの総吹き込み量(Nm/s)、
    μ:不活性ガス粘度(Pa・s)、
    TD:ガス置換領域周長さ(m)、
    V:ガス吹き込み領域体積(m)、
    T:タンディッシュ内雰囲気温度(K)、
    max:ガス吹き込み可能時間(s)、
    を表す。
  2. 前記不活性ガスをタンディッシュ内に1または2以上のノズルから吹き込む際に、該ノズル各々について下記(3)式を満たす条件で前記不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の高清浄鋼の製造方法。
    5≦Q・T/{74.5π(2Htan(12°)+d}≦20 ・・・(3)
    +Q+・・・・+Q=Q ・・・(4)
    ここで、Q:n番目のノズルからのガス吹き込み量(Nm/s)、
    :n番目のノズルのタンディッシュ底部からガス吹き込みノズル下端までの高さ(m)、
    :n番目のノズルのガス吹き込みノズル内径(m)、
    n :1以上の整数
    を表す。
  3. 前記タンディッシュは、溶鋼の流動を制御するための堰を有しており、堰で分割されたタンディッシュ領域それぞれを別々のガス吹込み領域として、それぞれの領域に1つ以上のガス吹込みノズルを設け、それぞれの領域ごとに前記(1)および(2)式を満たす条件で不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の高清浄鋼の製造方法。
  4. 前記タンディッシュは、溶鋼の流動を制御するための堰を有しており、堰で分割されたタンディッシュ領域それぞれを別々のガス吹込み領域として、それぞれの領域に1つ以上のガス吹込みノズルを設け、それぞれの領域ごとに前記(1)〜(3)式を満たす条件で不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項2に記載の高清浄鋼の製造方法。
JP2020544298A 2019-07-01 2020-06-01 高清浄鋼の製造方法 Active JP6784349B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019122805 2019-07-01
JP2019122805 2019-07-01
PCT/JP2020/021579 WO2021002130A1 (ja) 2019-07-01 2020-06-01 高清浄鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6784349B1 true JP6784349B1 (ja) 2020-11-11
JPWO2021002130A1 JPWO2021002130A1 (ja) 2021-09-13

Family

ID=73043590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020544298A Active JP6784349B1 (ja) 2019-07-01 2020-06-01 高清浄鋼の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6784349B1 (ja)
CN (1) CN114025897B (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113828764A (zh) * 2021-09-24 2021-12-24 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 一种连铸中间包包盖及其吹气保护浇铸方法
CN113941692A (zh) * 2021-09-14 2022-01-18 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种利用二氧化碳预制中间包保护性气氛的方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58112639A (ja) * 1981-12-28 1983-07-05 Nippon Steel Corp 連続鋳造における溶湯注入方法
JPH09300050A (ja) * 1996-05-16 1997-11-25 Nippon Steel Corp タンディッシュ内溶鋼の清浄化方法
WO2013190799A1 (ja) * 2012-06-18 2013-12-27 Jfeスチール株式会社 高清浄度鋼鋳片の製造方法及びタンディッシュ
JP2016182612A (ja) * 2015-03-25 2016-10-20 株式会社神戸製鋼所 上ポーラス耐火物及び下ポーラス耐火物から不活性ガスを吹き込む連続鋳造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100370036C (zh) * 2005-12-13 2008-02-20 东北大学 狭缝式钢包底吹喷粉工艺及装置
CN105682825A (zh) * 2013-08-26 2016-06-15 日新制钢株式会社 连续铸造方法
CN103949628B (zh) * 2014-04-30 2016-01-20 北京科技大学 一种连铸过程杜绝中间包二次氧化的装置及其方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58112639A (ja) * 1981-12-28 1983-07-05 Nippon Steel Corp 連続鋳造における溶湯注入方法
JPH09300050A (ja) * 1996-05-16 1997-11-25 Nippon Steel Corp タンディッシュ内溶鋼の清浄化方法
WO2013190799A1 (ja) * 2012-06-18 2013-12-27 Jfeスチール株式会社 高清浄度鋼鋳片の製造方法及びタンディッシュ
JP2016182612A (ja) * 2015-03-25 2016-10-20 株式会社神戸製鋼所 上ポーラス耐火物及び下ポーラス耐火物から不活性ガスを吹き込む連続鋳造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113941692A (zh) * 2021-09-14 2022-01-18 包头钢铁(集团)有限责任公司 一种利用二氧化碳预制中间包保护性气氛的方法
CN113828764A (zh) * 2021-09-24 2021-12-24 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 一种连铸中间包包盖及其吹气保护浇铸方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN114025897B (zh) 2022-12-02
JPWO2021002130A1 (ja) 2021-09-13
CN114025897A (zh) 2022-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6784349B1 (ja) 高清浄鋼の製造方法
TWI451923B (zh) Immersion nozzle
JP4681399B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
WO2021002130A1 (ja) 高清浄鋼の製造方法
JP6154708B2 (ja) 連続鋳造方法
JP5965186B2 (ja) 連続鋳造方法
WO2015029107A1 (ja) 連続鋳造方法
JP6323973B2 (ja) 連続鋳造方法
WO2015029106A1 (ja) 連続鋳造方法
JP6841386B2 (ja) 鋼の連続鋳造開始方法
KR20130099331A (ko) 래들용 콜렉터노즐
JPH0422538A (ja) ビームブランクの連続鋳造方法
JP6152834B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
KR20130013739A (ko) 연주공정에서의 핀홀결함 저감 방법
JP4553639B2 (ja) 連続鋳造方法
JP4932985B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP7171533B2 (ja) タンディッシュ内溶鋼のシール方法
JP4422086B2 (ja) 取鍋開孔方法とそれに用いる充填材
JP3817209B2 (ja) 表面及び内部欠陥の発生を防止するステンレス鋳片の連続鋳造方法
JP3460687B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2018069324A (ja) 鋼の連続鋳造用鋳型装置及びそれを用いた表層改質鋳片の製造方法
JP4474948B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2004098082A (ja) 電磁攪拌を行うステンレス溶鋼の鋳造方法
JP2020078810A (ja) 連続鋳造用タンディッシュ、連続鋳造装置及び連続鋳造方法
JPH0596351A (ja) 進行磁場と静磁場による鋼スラブの連続鋳造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200820

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200820

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200923

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6784349

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250