JP6783477B2 - 加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法 - Google Patents

加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法、特にクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子を製造する方法に関するものである。
カレーのスパイスであるウコンやターメリック(学名Curcuma longa)の黄色色素であるクルクミンは、ポリフェノールの一種であるクルクミノイドに分類される。そのためクルクミンは抗酸化物質として知られており、天然色素のみならず肝機能改善作用を有するドリンク剤や健康食品として用いられている。クルクミンは、また抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗免疫作用なども知られており、今後医薬品への活用も大いに期待されている。また、γ−オリザノールは、米糠等に含まれている化合物であり、血中脂質を低下させる働きや成長を促進する働き、更年期症状の緩和など多くの健康効果があり、食品、化粧品の他、医薬品にも活用されている。
クルクミン、γ−オリザノールともに難水溶性物質であり、生体内への吸収性改善の必要性が求められている。その課題に対しては、これらの物質を数μm以下に微粒子化することが有用であると考えられる(特許文献1)。
クルクミンの微粒子化の方法としては、特許文献2に示されているように、ウコン色素をガティガム含水溶液に添加した後、ウコン色素をその平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕処理をする方法が知られている。しかしその処理時間が非常に長く、また一般的に粉砕処理にはビーズミル等のメディアミルを用いる為そのメディア由来の異物発生も課題として残り、その改善が望まれている。
また、ホモジナイザー等の機械式粉砕機でクルクミンを粉砕する方法では、クルクミンを均一に微粒子化することが難しく長期安定性にも問題がある。このような問題を解決するために、クルクミンを溶解したエタノール溶液を原料水に混合して分散し、クルクミンを微粒子化して200nm以下の微細なクルクミンの分散液を得る方法が特許文献3に記載されている。具体的には、クルクミンを溶解したエタノール溶液として、特許文献3の実施例3では、98%クルクミン0.5gを95%エタノール100mlに溶解しエタノール溶液を作製している。同実施例3には、エタノール溶液作製時の温度条件の記載は無いが、エタノールに対するクルクミンの溶解度(25℃)は0.5wt%程度で有るため、ほぼ飽和状態のエタノール溶液を用いてクルクミンを微粒子化している。しかしながら、上記エタノール溶液中のクルクミン濃度が余りにも希薄であるため、その後の工程での排水処理やエタノール除去また設備の大型化など多くの問題が指摘されている。このような背景は、γ−オリザノールに関しても同様であり(特許文献4)、クルクミン、γ−オリザノールともに産業上コストのかからない効率の良い微粒子の製造方法が求められている。
特開2011−250708号公報 特開2009−263638号公報 特開2005−328839号公報 特開昭53−130412号公報
クルクミン又はγ−オリザノールを微粒子化してクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子を得るクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子の製造においては、下記の問題があった。
1)ホモジナイザー等の機械式粉砕機を用いた粉砕法では、処理時間に長時間を要し長期安定性の確保が出来ない。
2)ビーズミルなどのメディアを使用した粉砕法では、メディア由来の異物混入が起こる。
3)クルクミン又はγ−オリザノールに対して良溶媒となり得る溶媒にクルクミン又はγ−オリザノールを溶解した溶液を、上記溶液よりもクルクミン又はγ−オリザノールに対する溶解度の低い溶媒(貧溶媒)と混合することによりクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子を析出させる方法、いわゆる貧溶媒法を用いる場合においては、クルクミン又はγ−オリザノールの上記溶媒への溶解度の問題により、希薄液の作製しかできず、製造上の排水量の増加やコスト高を招く。
4)クルクミン又はγ−オリザノールを高分子などと一緒に高温で溶融させて微粒子を得る方法などもあるが、その方法ではクルクミンの溶融温度である183℃以上又はγ−オリザノールの融点温度137℃以上の温度に上昇させる必要があるため、その温度では、クルクミンやγ-オリザノールや高分子が変性したり分解したりすることが懸念される。
本発明は、原料物質であるクルクミン又はγ−オリザノールをエタノールに溶解して原料溶液を作製し、上記原料溶液を貧溶媒法での晶析操作にてクルクミン又はγ−オリザノールの微粒子を製造する方法において、より高収率で効率よく均一な微粒子を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記原料物質をエタノールに溶解させる際に気密性のある容器を用い、加温、加圧状態で上記原料物質をエタノールに溶解することにより、エタノールに対する上記原料物質の溶解度が上昇することを見出した。驚くべきことに、エタノールの標準沸点(圧力1atmのもとでの沸点)である78.3℃以上の加温、加圧状態では、常温常圧下では0.5wt%程度しかエタノールに溶解しなかった上記原料物質が、5wt%を超える濃度であっても溶解することができた。さらに驚くべきことに、一度、78.3℃以上130℃以下で、加圧状態で溶解した上記原料物質のエタノール溶液は、常温常圧下で溶解させた上記原料物質のエタノール溶液と比べ、その後温度を下げても上記原料物質の析出が起こり難くなることを知見した。言うなれば、原料溶液の作製を上記の条件で行うことによって、高溶解性の原料溶液を得ることができることを知見した。
この高溶解性の原料溶液は、エタノール溶液中の原料物質の濃度により規定されるある一定の温度以上の温度で保持することができ、エタノールの標準沸点である78.3℃未満の温度でも安定的に使用できることを見出し、本発明に至った。
本発明は、原料物質を溶媒に溶解させた原料溶液を作製し、上記原料溶液を用いて貧溶媒法での晶析操作を行うことにより上記原料物質の微粒子を得る方法において、次の手段によって上記原料溶液を作製することにより、上記の課題を解決する。
本発明にあっては、上記原料溶液を作製するに際して、上記原料物質としてクルクミンとγ−オリザノールとの少なくともいずれか一方を用い、上記溶媒としてエタノールを用いる。上記原料物質と上記溶媒を、加圧状態かつ78.3℃以上130℃以下の温度条件下で撹拌操作を行うことを特徴とするものであり、このようにして得られた原料溶液を用いて貧溶媒法での晶析操作を行うものである。
本発明者は、上記原料溶液の作製に際して、クルクミンとγ−オリザノールについては、エタノールを溶媒として、上記温度条件下で加圧状態として沸騰させずに撹拌操作を行うことにより、上記原料物質の溶解度が高められた高溶解性の原料溶液を得ることができることを知見し、この知見に基づき本発明を完成させたものである。
上記原料物質の溶解度が高められた高溶解性の原料溶液は、その溶解度が、エタノールに対する上記原料物質(クルクミン又はγ−オリザノール)の一般に知られた溶解度曲線で示される各温度条件における溶解度よりも高いものであることが望ましいが、特に、晶析操作を行う際の温度条件であって標準大気圧(1 atm = 101.325 kPa)の圧力条件下における溶解度よりも高いものであることが適当である。また晶析操作を行う際の温度条件がエタノールの沸点である78.3℃以上の場合には、上記原料溶液の溶解度は、75℃の温度条件であって標準大気圧(1 atm = 101.325 kPa)の圧力条件下における溶解度よりも高いものであることが適当である。
クルクミンとγ−オリザノールについては、エタノールを溶媒として、上記作製条件で原料溶液を作成した場合、通常よりも高濃度のクルクミン又はγ−オリザノールをエタノールに溶解することができ、そのクルクミン又はγ−オリザノールのエタノール溶液を用いて貧溶媒法にてクルクミン又はγ-オリザノールを晶析させることで、一回の晶析操作で得られるクルクミン又はγ−オリザノールの微粒子の量を多くすることができその収率を高めることができる。また、高溶解性の原料溶液は溶解状態が良好であると考えられ、より均一なクルクミン又はγ−オリザノールの微粒子を製造することができる。なお、クルクミン又はγ−オリザノールのエタノール溶液を作製する際に、気密性のある容器を用いて行うことが好ましい。
また、本発明は、上記の方法で作製したクルクミン又はγ−オリザノールのエタノール溶液は、所定温度以上とすることができ、その後の晶析操作において、安定的に使用することが可能である。この場合の所定温度以上の温度は、エタノール溶液中の原料物質の濃度に依存しており、クルクミン濃度をx(wt%)とした場合には、y≧0.0222x-2.7x+30.511x-12.833 (1)で示される温度y(℃)で定義され、γ−オリザノール濃度をx(wt%)とした場合には、y≧0.0762x3-0.9429x2+8.8095x+6×10-12 (2)で示される温度y(℃)で定義される。
上記式(1)又は式(2)で定義される温度には、クルクミン又はγ−オリザノールのエタノールへの溶解温度よりも低い温度も含まれるが、上述した方法で作製したクルクミン又はγ−オリザノールのエタノール溶液をそれぞれ式(1)又は式(2)で求めた温度y(℃)としても、クルクミン又はγ−オリザノールのエタノールへの溶解状態を安定的に保持することができる。また、上記の方法で作製したクルクミン又はγ−オリザノールのエタノール溶液を、それぞれ式(1)又は式(2)で求めた温度y(℃)で所定時間保持してもよい。
また、本発明は、機能性の面より、原料物質であるクルクミンは、ウコン、ターメリック、ウコンから抽出した天然素材抽出物及びターメリックから抽出した天然素材抽出物からなる群から選択された少なくとも1つであることが好ましく、クルクミン微粒子の平均粒子径は30nm〜1μm程度であることが好ましい。また本発明は、機能性の面より、原料物質であるγ−オリザノールは、米糠から抽出した天然素材抽出物、トウモロコシ油から抽出した天然素材抽出物、及び穀類から抽出した天然素材抽出物からなる群から選択された少なくとも1つであることが好ましく、γ−オリザノール微粒子の平均粒子径は30nm〜1μm程度であることが好ましい。
本発明は原料物質をエタノールへ溶解させて原料溶液を作製する際に、加圧状態、加温条件下で撹拌操作を行うことを特徴とするもので、これにより得られた原料溶液に対して貧溶媒法での晶析操作を行うことによって、効率よく目的とする目的の微粒子を製造するものである。本発明は、従来の方法と比べて次の点に優れている。
1)原料物質のエタノールへの溶解濃度が向上することで、エタノールの使用量を削減でき、単位時間あたりの目的のクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子の生産量が向上する。
2)原料物質のエタノールへの溶解濃度により任意に保持温度の設定を行うことが出来、また使用時は、原料溶液の温度が式(1)式又は(2)で示される温度y(℃)以上であればよいので、エタノールの沸点である78.3℃以下で使用することができ、取扱いが簡便である。ここで、使用時とは、クルクミン又はγ-オリザノールのエタノール溶液を用いた貧溶媒法での晶析操作時をいう。
3)溶融法とは違い、200℃などの高温で実施する必要がないため、クルクミンやγ−オリザノールや高分子などの変性や分解に関して考慮する必要がない。
4)粉砕法と比較して、短時間で容易に溶液の調製が可能で、装置由来の異物混入がない。
1)〜4)の結果より同量のクルクミン微粒子やγ−オリザノール微粒子を製造する場合、装置の大幅な小型化が可能となる。
クルクミン濃度x(wt%)に対するクルクミンのエタノールへの溶解温度と、作製したクルクミンのエタノール溶液の保持温度(℃)における、クルクミンの析出物の有無の関係を示すグラフである。 実施例1で作製したクルクミン微粒子のTEM写真である。 γ−オリザノール濃度x(wt%)に対するγ−オリザノールのエタノールへの溶解温度と、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液の保持温度(℃)における、γ−オリザノールの析出物の有無の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の形態は以下に記載の実施形態のみに限定されるものではない。
(原料物質)
本発明に用いる原料であるクルクミンは、ショウガ科の植物ウコンの根茎から得られるクルクミノイドに分類される。クルクミノイドとは、クルクミンとその類似物質であるデメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクルクミンを含む化合物の総称である。本発明においてクルクミンは、クルクミン単体でも良く、クルクミン単体にデメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、テトラヒドロクルクミン、又はジヒドロキシテトラヒドロクルクミン等の類似物質やその塩、エステルを含んでいても良い。
また、機能性の面より、ウコン、ターメリック、ウコンやターメリックなどから抽出した天然素材抽出物であることが好ましいが、特に限定されるものではなく、合成物であっても本発明を実施できる。ウコンを使用する場合にあっては、生のウコンであっても良いしウコンを乾燥させた乾物であっても良い。
また、本発明に用いる原料であるγ−オリザノールは、トリテルペンアルコールや各種植物ステロールのフェルラ酸エステルの総称であり、米糠に多く含まれる生理活性成分の一種である。本発明においてγ−オリザノールは、フェルラ酸にステロイド骨格を持つトリテルペンアルコールがエステル結合した物質であればよく、シクロアルテノールフェルラ酸エステル、カンペステロールフェルラ酸エステル、β−シトステロールフェルラ酸エステル、シクロブラノールフェルラ酸エステル、24−メチレンシクロアルタノールフェルラ酸エステルなど単体であっても、混合物であっても良い。
また、機能性の面より、米糠、トウモロコシ油、その他の穀類などから抽出した天然素材抽出物であることが好ましいが、特に限定されるものではなく、合成物であっても本発明を実施できる。
(撹拌装置)
本発明に用いる撹拌装置は、気密容器内を撹拌できるものであれば特に限定されるものではない。撹拌装置としては、マグネチックスターラーや、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)やクレアミックスディゾルバー(エム・テクニック株式会社製)などの分散・乳化機、その他撹拌機、溶解機、乳化機、分散機やホジナイザーなどを用いることができる。気密容器を用いない場合、沸点以上の温度条件下では原料物質(クルクミン又はγ−オリザノール)のエタノール溶液が沸騰して、溶媒であるエタノールが揮発するため、溶液中の同原料物質の濃度が変化してしまう恐れがある。また、エタノールは引火性の物質であり、爆発などの危険性がある。そのため、気密容器を用いて、同原料物質をエタノールに溶解することが好ましい。
(エタノール溶液)
クルクミン又はγ−オリザノールのエタノール溶液を用いてクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子を製造することは、同微粒子を食品添加物や医薬品、ドリンク剤に使用する場合において、残留溶媒の観点や安全性の面から、実用性が高い。なお、「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」(平成10年3月30日、医薬審第307号)において、クラス3に規定されている、毒性が低く、人の健康に及ぼすリスクが低いと考えられている溶媒にエタノールは記載されている。一方、エタノール以外の溶媒については、アセトンなどもクラス3に規定されているものであり、原料物質であるクルクミン又はγ−オリザノールを溶解する溶媒として用い得る可能性はある。
しかしながら、クラス3に規定されている溶媒であっても、長期毒性試験や発がん性試験が行われていないものが多く、食品として常時使用した場合の安全性を確保できているものは非常に少ない。例えば、アセトンは「医薬品の残留溶媒ガイドライン」ではクラス3に分類されているものの、食品使用時においては摂取量が多くなる可能性がある。そのため、上記クラス3に分類されているものの、食品内に含まれる残留溶媒の値は、医薬品使用時に比べて、低い値に規定されているにすぎない。
以上のことから、食品として日々の摂取量が多くしかも常時使用される場合があり、例えば年間を通じての総摂取量が多くなった場合の安全性などを考慮すると、クルクミンやγ−オリザノールを溶解する溶媒としてはエタノール用いることが最も好ましいと言える。
(添加物など)
また、原料物質(クルクミン又はγ−オリザノール)をエタノールに溶解する際に、ヒドロキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸共重合体のような高分子などをエタノールに添加することができる。
また、必要に応じて、同原料物質をエタノールに溶解する際に、酢酸やクエン酸などの有機酸や、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール系溶媒などの溶媒をエタノールに添加してもかまわない。
これらは、食品添加物として使用実績のあるものや、医薬品添加物辞典に記載されている物質を選定して用いることが好ましい。
これらの物質は、後述する貧溶媒法での晶析操作にてクルクミン微粒子やγ−オリザノール微粒子を得る際、同微粒子の成長を抑制する目的でエタノールに添加される。例えば、セルロース類や高分子、グリコール系溶媒は粒子の表面保護剤として、有機酸は成長抑制剤として用いられる。
(溶解条件)
クルクミン又はγ−オリザノールからなる原料物質のエタノールへの溶解温度については、エタノールに対する同原料物質の溶解度を上昇させる観点から、エタノールの標準沸点である78.3℃以上130℃以下で実施することが好ましく、80℃以上100℃以下で実施することがより好ましい。
同原料物質のエタノールへの溶解温度を130℃以上とするとクルクミンやγ−オリザノールが一部分解する可能性がある。また、同原料物質のエタノールへの溶解温度を130℃以上とした場合、エタノールの蒸気圧との兼ね合いで、装置が重厚化してしまい、現実的ではない。
同原料物質のエタノール溶液作製時のエタノール溶液の撹拌時間は、特に限定されないが、高温で長時間の撹拌操作を行うことにより同原料物質が一部分解する恐れがあることから、好ましくは3時間以内であり、より好ましくは1時間以内である。
同原料物質のエタノールへの溶解は、エタノールの標準沸点以上かつ加圧下での沸点よりも低い温度で行うことが好ましい。加圧下で同原料物質のエタノールへの溶解を行うことによって、同原料物質のエタノール溶液の標準沸点よりも高い温度となっても、沸騰を起こすこと無く標準沸点以上の温度で同原料物質のエタノールへの溶解を安定的に行うことができ、同原料物質、エタノール、同原料物質のエタノール溶液に溶解に必要な熱等の多大なエネルギーを与えることが出来る。
なお、本発明において、沸点とは、一定圧力のもとでの飽和蒸気とその液相とが平衡に共存している時の温度を意味し、標準沸点とは、圧力1atmのもとでの沸点を意味する。
同原料物質のエタノールへの溶解を、加圧状態かつエタノールの標準沸点である78.3℃以上130℃以下の温度条件で行うことにより、同原料物質は5wt%を超える濃度であってもエタノールに溶解する。25℃でのエタノールへの同原料物質の溶解度が0.5wt%程度であることからすれば、この結果は大変驚くべきことであった。
また、上述した方法で作製したクルクミンのエタノール溶液やγ−オリザノールのエタノール溶液は、その後の晶析操作において、所定温度以上で安定的に使用することが可能である。所定温度以上の温度y(℃)は、クルクミンのエタノール溶液中やγ−オリザノールのエタノール溶液中の原料物質(クルクミン濃度やγ−オリザノール濃度)に依存しており、上記クルクミン濃度をx(wt%)とした場合は、
y≧0.0222x-2.7x+30.511x-12.833 (1)
で定義される。
また、γ−オリザノールの濃度をx(wt%)とした場合は、
y≧0.0762x3-0.9429x2+8.8095x+6×10-12 (2)
で定義される。
上記式(1)、式(2)で定義される温度には、クルクミンやγ−オリザノールのエタノールへの溶解温度よりも低い温度も含まれるが、上述した方法で作製したクルクミンやγ−オリザノールのエタノール溶液をそれぞれ上記式(1)、式(2)で定義された温度としても、エタノール溶液中のクルクミンやγ−オリザノールが析出することなく、クルクミンやγ−オリザノールのエタノールへの溶解状態を安定的に保持することができる。また、上述した方法で作製したクルクミンやγ−オリザノールのエタノール溶液をそれぞれ上記式(1)、式(2)で定義される温度y(℃)で所定時間保持してもよい。この温度y(℃)未満になると一部析出物が生じるが、濾過等の操作によりその後の晶析操作に使用することができる。また、クルクミンやγ−オリザノールをエタノールに溶解後、その溶解条件である加温かつ加圧状態のまま貧溶媒法での晶析操作に使用することで、生産効率を大幅に向上させることができる。上記の所定時間としては、特に限定されないが、長時間クルクミンやγ−オリザノールをエタノールへ溶解した状態で置いておくことで紫外線や可視光によりクルクミンやγ−オリザノールの一部が分解する可能性があることを考慮して、8時間以内が好ましく、3時間以内がより好ましい。
また、クルクミンやγ−オリザノールをエタノールに溶解後、その溶解条件である加温かつ加圧状態を維持したまま、特開2011−189348号公報に記載されものと同じ原理に基づく流体処理装置に送液することによって、貧溶媒法での晶析操作に使用することも可能である。本方法を用いることで、原料溶液の調製と流体処理装置での晶析とを連続的に行うことが可能となり、生産効率を大幅に向上させることができる。
(クルクミンの溶解について)
本発明者は、加圧状態かつ、エタノールの標準沸点である78.3℃以上の温度で原料のクルクミンとエタノールとを混合してクルクミンをエタノールに溶解することにより、高温かつ加圧下のエタノール分子の運動エネルギーが、常温常圧下のエタノール分子の運動エネルギーに比べ大きくなり、大きな運動エネルギーを持つエタノール分子がクルクミン分子に作用して、クルクミン分子にエネルギーを与え、さらに撹拌操作を行うことによりクルクミン分子とエタノール分子とが均一に撹拌されることで、クルクミン分子がエタノール分子へ溶解しやすい状態となると考えている。また、エタノールの標準沸点以上の高温かつ加圧下で原料のクルクミンとエタノールとが混合されることにより、クルクミン分子のOH基とエタノールのOH基の相互作用が高まり、クルクミンのエタノールへの溶解時の安定性が高まっていると考えられる。これは、クルクミンにはケト型とエノール型の2つの互変異性体が存在し、絶えずケト型とエノール型とが変化しているが、温度を高くするに従ってエノール型が増加し、エノール型とエタノールとの相互作用が大きくなることによるものと考えられる。このような状態においては、クルクミンのエタノールへの溶解状態を安定化させることができるため、後述する貧溶媒法での晶析操作にて得られたクルクミン微粒子の粒子径の分布の幅が小さくなることが確認された。
さらに、作製したクルクミンのエタノール溶液を式(1)で定義された温度y(℃)で保持することにより、エタノール同士の相互作用よりもクルクミンとエタノールとの相互作用(水素結合)が強くなると考えられることから、クルクミンのエタノールへの溶解状態を安定的に保持することができる。クルクミンにはケト型とエノール型の2つの互変異性体が存在し、温度を高くするに従ってエノール型が増加し、エノール型とエタノールとの相互作用が大きくなるため、その後の溶解状態を安定に保持できると考えられる。明確な理由は分からないが、高温時に生じた上記相互作用(水素結合)は、温度を下げても暫時維持され、クルクミンのエタノールへの溶解状態が安定化出来ることで、クルクミンの析出が起こり難い状態となっていると考えられる。
(γ−オリザノールの溶解について)
本発明者は、加圧状態かつ、エタノールの標準沸点である78.3℃以上の温度で原料のγ−オリザノールとエタノールとを混合してγ−オリザノールをエタノールに溶解することにより、高温かつ加圧下のエタノール分子の運動エネルギーが、常温常圧下のエタノール分子の運動エネルギーに比べ大きくなり、大きな運動エネルギーを持つエタノール分子がγ−オリザノール分子に作用して、γ−オリザノール分子にエネルギーを与え、さらに撹拌操作を行うことによりγ−オリザノール分子とエタノール分子とが均一に撹拌されることで、γ−オリザノール分子がエタノール分子へ溶解しやすい状態となると考えている。γ−オリザノールが固体の状態においては、γ−オリザノール分子が規則正しく配列しているよう構造をとっており、加圧状態で加熱することにより構造間にエタノール分子が入り込み、γ−オリザノール分子とエタノール間に生じる水素結合などの相互作用によりエタノールへの溶解時の安定性が高まっていると考えられる。このような状態においては、γ−オリザノールのエタノールへの溶解状態を安定化させることができるため、後述する貧溶媒法での晶析操作にて得られたγ−オリザノール微粒子の粒子径の分布の幅が小さくなることが確認された。
さらに、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液は、エタノール同士の相互作用よりもγ−オリザノールとエタノールとの相互作用(水素結合)が強くなっていると考えられる。そのため、式(2)で定義された温度y(℃)で保持されている限り、γ−オリザノールのエタノールへの溶解状態を安定的に保持することができる。明確な理由は分からないが、高温時に生じた上記相互作用(水素結合)は、温度を下げても暫時維持され、γ−オリザノールのエタノールへの溶解状態が安定化出来ることで、γ−オリザノールの析出が起こり難い状態となっていると考えられる。
(晶析操作)
原料物質(クルクミン又はγ−オリザノール)をエタノールに溶解させた原料溶液を用いて、貧溶媒法での晶析操作にて目的の微粒子(クルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子)を得る方法としては、特に限定はなく、種々の方法を採用することができる。原料溶液と貧溶媒との混合をバッチ式の混合容器内で行う方法やマイクロリアクターの様な反応装置を用いて原料溶液と貧溶媒とを混合する方法などを用いることが出来る。粒子径の均一性や制御の観点から、本願出願人によって提案された、特開2011−189348号公報に記載されたような流体処理装置と同様の原理の装置を用いて目的の微粒子を作製することが好ましい。具体的には、相対的に回転する少なくとも2つの処理用面を備えた装置であって、上記少なくとも2つの処理用面同士が上記回転の軸方向において相対的に接近し又は離反することができるように配置された流体処理装置を用いる。この場合、上記少なくとも2つの処理用面の間を微小間隔に維持し、この微小間隔に維持された上記少なくとも2つの処理用面間に、貧溶媒と原料溶液を導入する。導入に際しては、貧溶媒及び原料溶液を、独立した別々の導入路から、上記少なくとも2つの処理用面間に導入することが好ましいが、導入直前に貧溶媒と原料溶液とを混合した混合溶液を上記少なくとも2つの処理用面間に導入して上記少なくとも2つの処理用面の間における強制薄膜中にて混合作用を受けても構わない。また、2つの導入路を備えた装置を用いる場合には、一方の導入路は、上記2つの処理用面のうちの少なくとも一方の中央に設け、他方の導入路は、径方向において、上記一方の導入路と上記少なくとも2つの処理用面の外周との間に設けるものとして実施することが好ましい。これによって、貧溶媒と原料溶液とを混合した混合液による強制薄膜を上記少なくとも2つの処理用面間で形成し、この強制薄膜中において目的の微粒子の晶析を行うものである。その際、原料溶液の温度を、式(1)又は式(2)で求めた温度y(℃)で上記少なくとも2つの処理用面間に導入することにより、均一な目的の微粒子を安定して得ることができる。また、原料溶液を式(1)又は式(2)で求めた温度y(℃)で所定時間保持後、原料溶液を保持温度y(℃)よりも高くすることによって、より均一な状態で上記少なくとも2つの処理用面間に導入することができる。
(貧溶媒)
貧溶媒としては、原料溶液、即ち原料物質(クルクミンやγ−オリザノール)のエタノール溶液に比べて、原料物質(クルクミンやγ−オリザノール)に対する溶解度の低い溶媒であれば、特に限定されない。得られた目的の微粒子(クルクミン微粒子やγ−オリザノール微粒子)の残留溶媒の観点や安全性の面から、貧溶媒として水を用いることが好ましい。水としては、天然水や水道水、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水などが挙げられる。その他、ヘキサン、へプタン、オクタンなどの直鎖アルカンや、シクロヘキサンなどの環状アルカンを貧溶媒として用いることができる。
また、ヒドロキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのような高分子、酢酸やクエン酸などの有機酸、アラビアゴム、マルトース、D−マンニトール、グルコース、フルクトースなどの糖類、変性でんぷん、塩化ナトリウム、L−アスコルビン酸、ビタミンAなどを貧溶媒に添加することができる。食品添加物として使用実績のあるものや、医薬品添加物辞典に記載のある物質を選定して用いることが好ましい。
これらの物質のうちのいくつかの物質は、貧溶媒法での晶析操作にて目的の微粒子を得る際、目的の微粒子の成長を抑制する目的で貧溶媒に添加される。例えば、セルロース類や高分子、グリコール系溶媒は晶析操作にて得られる目的の微粒子の表面保護剤として、有機酸や塩化ナトリウムは成長抑制剤として用いられる。
有機酸を原料溶液及び/又は貧溶媒に添加することにより、上述の貧溶媒法での晶析操作において、上記混合溶液のpHを酸性側にして、上記混合溶液中の上記原料物質の溶解濃度を低下させることで、晶析させた上記目的の微粒子の成長を抑制する。塩化ナトリウムを貧溶媒に添加することによっても、上記混合溶液中の上記原料物質の溶解濃度を低下させることで、晶析させた上記目的の微粒子の成長を抑制する。
上記目的の微粒子の平均粒子径は、nm単位であることが好ましいが、μm単位のものであってもかまわない。上記目的の微粒子の平均粒子径が、30nmから1μmであることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例において、原料物質であるクルクミンのエタノール溶液又はγ−オリザノールのエタノール溶液の作製には、クレアミックス(エム・テクニック製)、クレアミックスディゾルバー、又はマグネチックスターラーを用いた。また、クルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子の作製には、特開2011-189348号公報に記載の流体処理装置を用いた。但し、本発明のクルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子の製造については上記装置を使用することに限定されるものではない。
TEM観察には、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。観察条件としては、加速電圧を80kVとし、倍率を10000倍以上とした。
クルクミン微粒子又はγ−オリザノール微粒子の平均粒子径は、倍率25000倍のTEM写真で認められる粒子50個の平均値を採用した。クルクミン微粒子の平均粒子径を、表1の「粒子径」の項目に記載し、γ−オリザノール微粒子の平均粒子径を、表2の「粒子径」の項目に記載した。
(クルクミンのエタノール溶液の調製)
まず、クルクミンのエタノール溶液の作製方法と、作製したクルクミンのエタノール溶液の所定温度での保持方法について説明する。以下、所定温度で保持したクルクミンのエタノール溶液を、調製後のクルクミンのエタノール溶液という。なお、所定温度とは、上述の式(1)で求められる温度y(℃)である。
実施例において、クルクミンは和光純薬工業製のクルクミン(和光特級)を用い、エタノールは和光純薬工業製のエタノール(試薬特級)を用いた。
以下、「缶内」とは気密容器内を意味し、「缶内圧力」は気密容器内の圧力であり、「缶内温度」は気密容器内の温度である。
(実施例1)
実施例1では、作製したクルクミンのエタノール溶液が5wt%クルクミン/95wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpmで撹拌し、このときの、溶解温度を90℃とし、溶解時の缶内圧力(アタッチメント内の圧力)0.09MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が90℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、76℃まで冷却した。その後、5wt%クルクミン/95wt%エタノール溶液をアタッチメントから取り出し、目視にてクルクミンがエタノールに溶解されていることを確認した。その後、作製したクルクミンのエタノール溶液を硝子容器に移した。75℃のウォーターバスで硝子容器内のクルクミンのエタノール溶液を1時間保持し、目視にて析出物がないことを確認した。75℃のウォーターバスで1時間保持したクルクミンのエタノール溶液(調製後のクルクミンのエタノール溶液)の温度は75℃であった。
(実施例2)
実施例2では、作製したクルクミンのエタノール溶液が3.7wt%クルクミン/96.3wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpmで撹拌し、このときの、溶解温度を85℃とし、溶解時の缶内圧力(アタッチメント内の圧力)0.09MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が85℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、70℃まで冷却した。その後、3.7wt%クルクミン/96.3wt%エタノール溶液をアタッチメントから取り出し、目視にてクルクミンがエタノールに溶解されていることを確認した。その後、作製したクルクミンのエタノール溶液を硝子容器に移した。65℃のウォーターバスで硝子容器内のクルクミンのエタノール溶液を1時間保持し、目視にて析出物がないことを確認した。65℃のウォーターバスで1時間保持したクルクミンのエタノール溶液(調製後のクルクミンのエタノール溶液)の温度は65℃であった。
(実施例3−1)
実施例3−1では、作製したクルクミンのエタノール溶液が3wt%クルクミン/97wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器に入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、5cmの撹拌子を用いてマグネチックスターラーにて1000rpmで撹拌し、溶解温度80℃、溶解時の缶内圧力0.06MPaGにて、2時間撹拌を行った。作製したクルクミンのエタノール溶液を60℃まで冷却後、析出物がないことを確認した。55℃のウォーターバスで1時間保持し、析出物がないことを確認した。55℃で1時間保持したクルクミンのエタノール溶液(調製後のクルクミンのエタノール溶液)の温度は55℃であった。
(実施例3−2)
実施例3−2では、実施例3−1と同条件でクルクミンのエタノール溶液を作製し、作製したクルクミンのエタノール溶液を70℃まで冷却後、析出物がないことを確認した。その後、作製したクルクミンのエタノール溶液の所定温度での保持は行わず、後述する晶析操作を行った。
(実施例4)
実施例4では、作製したクルクミンのエタノール溶液が3wt%クルクミン/97wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器に入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックスディゾルバー(装置CLM−2.2SD、エム・テクニック製)を用い、溶解温度は80℃とし、缶内圧力は0.06MPaGにてローター回転数10000rpmでクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。缶内温度が80℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、70℃まで冷却した。その後、3wt%クルクミン/97wt%エタノール溶液を硝子容器に移し、析出物がないことを確認した。60℃のウォーターバスで硝子容器内のクルクミンのエタノール溶液を1時間保持し、析出物がないことを確認した。60℃のウォーターバスで1時間保持したクルクミンのエタノール溶液の温度は60℃であった。
(実施例5)
実施例5では、作製したクルクミンのエタノール溶液が5.5wt%クルクミン/94.5wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数20000rpm、溶解温度は130℃、缶内圧力は0.55MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が130℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、78℃まで冷却した。その後、5.5wt%クルクミン/94.5wt%エタノール溶解溶液を硝子容器に移し、析出物がないことを確認した。77℃のウォーターバスで硝子容器内のクルクミンのエタノール溶液を1時間保持し、析出物がないことを確認した。77℃のウォーターバスで1時間保持したクルクミンのエタノール溶液(調製後のクルクミンのエタノール溶液)の温度は77℃であった。
(実施例6)
実施例6では、作製したクルクミンのエタノール溶液が1.0wt%クルクミン/99.0wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpm、溶解温度は79℃、缶内圧力は0.06MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が79℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、20℃まで冷却した。その後、1.0wt%クルクミン/99.0wt%エタノール溶液を硝子容器に移し、析出物がないことを確認した。15.1℃で硝子容器内のクルクミンのエタノール溶液を1時間保持し、析出物がないことを確認した。15.1℃で1時間保持したクルクミンのエタノール溶液(調製後のクルクミンのエタノール溶液)の温度は15.1℃であった。
比較例1として、作製したクルクミンのエタノール溶液が3wt%クルクミン/97wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを1000ccアタッチメントに入れた。クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpm、溶解温度は75℃、缶内圧力は0.06MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。75℃で30分間撹拌した後に、クルクミンの溶解を目視にて確認したところ溶け切らなかったクルクミンがエタノール溶液中に存在することを確認した。クルクミンのエタノール溶液中に溶け切らなかったクルクミンが確認されたことから、以降の操作は実施しなかった。
比較例2として、作製したクルクミンのエタノール溶液が1.0wt%クルクミン/99.0wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを1000ccアタッチメントに入れた。クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpm、溶解温度は25℃、缶内圧力は0.00MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。25℃で30分間撹拌した後に、クルクミンの溶解を目視にて確認したところ溶け切らなかったクルクミンがエタノール溶液中に存在することを確認した。クルクミンのエタノール溶液中に溶け切らなかったクルクミンが確認されたことから、以降の操作は実施しなかった。
比較例3として、作製したクルクミンのエタノール溶液が1.0wt%クルクミン/99.0wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを1000ccアタッチメントに入れた。クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpm、溶解温度は50℃、缶内圧力は0.00MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。50℃で30分間撹拌した後に、クルクミンの溶解を目視にて確認したところ溶け切らなかったクルクミンがエタノール溶液中に存在することを確認した。クルクミンのエタノール溶液中に溶け切らなかったクルクミンが確認されたことから、以降の操作は実施しなかった。
比較例4として、作製したクルクミンのエタノール溶液が0.5wt%クルクミン/99.5wt%エタノール溶液となるようにクルクミンとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを1000ccアタッチメントに入れた。クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpm、溶解温度は25℃、缶内圧力は0.00MPaGにてクルクミンのエタノールへの溶解処理を行った。25℃で30分間撹拌した後に、クルクミンがエタノールに溶解されていることを目視にて確認した。
(貧溶媒法での晶析操作)
次に、各実施例において、調製後のクルクミンのエタノール溶液(実施例3−2にあっては作製したクルクミンのエタノール溶液)と表1に記載の貧溶媒とを用いて、貧溶媒法にてクルクミン微粒子を作製した。貧溶媒の調製には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用いた。ローター回転数15000rpm、室温かつ標準気圧(即ち1atm=0.101325MPa)下にて30分間撹拌した。なお、表1に記載のHPMCは水溶性高分子の1種であるヒドロキシプロピルメチルセルロースの略語であり、信越化学工業製の商品名メトローズを用いた。また、表1に記載の酢酸は、和光純薬工業製の酢酸(試薬特級)を用いた。
上記調製後のクルクミンのエタノール溶液と調製後の貧溶媒とを、特開2011-189348号公報に記載の流体処理装置を用いて混合した。ここで特開2011-189348号公報に記載の流体処理装置とは、同公報の図25に記載の装置であって、第2導入部の開口部d20がリング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であるものである。具体的には、調製後の貧溶媒を第1導入部d1から処理用面1、2間に、約0.1〜0.2MPaG、450mL/min、20℃で導入し、処理用部10を表1に記載の各実施例の回転数で運転しながら、調製後のクルクミンのエタノール溶液を第2導入部d2から処理用面1、2間に、約0.1〜0.2MPaG、150mL/min、実施例1については75℃、実施例2〜6については70℃、比較例4については25℃で導入して、両者を強制薄膜中で混合し、処理用面1、2間においてクルクミン微粒子を晶析させた。処理用面1、2間おいて晶析させたクルクミン微粒子を含む流体(以下、クルクミン微粒子分散液)を流体処理装置の処理用面1、2間から吐出させた。吐出させたクルクミン微粒子分散液を捕集するためのベッセルを介してクルクミン微粒子分散液をビーカーに回収した。
上記装置を用いて製造したクルクミン微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。実施例1のTEM観察結果を図2に示す。
クルクミンのエタノール溶液の作製条件、クルクミンのエタノール溶液の保持温度、貧溶媒の処方、クルクミン微粒子の晶析条件および得られたクルクミン微粒子の粒子径の結果を表1に示す。
表1に記載の「溶解」の項目については、目視にてクルクミンがエタノールに溶解しているかについて確認を行った。クルクミンのエタノール溶液中で析出物や溶け切らなかったクルクミンが目視にて確認された場合は「×」とし、クルクミンがエタノール溶液中で目視にて確認されない場合は「○」とした。
また、クルクミンのエタノール溶液中の析出物の有無については、作製したクルクミンのエタノール溶液を所定温度で1時間保持後に目視にて確認を行い、表1に記載の「析出物の有無」の項目に記載した。
以上の結果、クルクミンをエタノールに溶解してクルクミンのエタノール溶液を作製する際、加圧状態かつ78.3℃以上130℃以下の温度条件下で撹拌操作を行った場合は、作製したクルクミンのエタノール溶液中に析出物は確認されなかった。また、作製したクルクミンのエタノール溶液を用いて、貧溶媒法での晶析操作をおこなったところ、得られたクルクミン微粒子の平均粒子径が1μm以下であった。
特に、作製したクルクミンのエタノール溶液を式(1)に示した温度y(℃)で所定時間保持することによって、クルクミンのエタノールへの溶解状態を安定的に保持できることから、その後の貧溶媒法での晶析操作においても、均一なクルクミン微粒子を作製することができることを確認した。
これに対し、クルクミンをエタノールに溶解してクルクミンのエタノール溶液を作製する際、78.3℃未満の温度条件下で撹拌操作を行った場合は、クルクミンのエタノール溶液中に溶け切らなかったクルクミンが確認された。
比較例4では、25℃で撹拌操作を行ってクルクミンを溶解させたクルクミンのエタノール溶液を用いて、貧溶媒での晶析操作を行った。比較例4で得られたクルクミン微粒子の平均粒子径は110nm程度であったが、粒子径分布の幅が大きく広がった。実施例1、2で得られたクルクミン微粒子の粒子径分布は90〜210nm程度であるのに対し、比較例4で得られたクルクミン微粒子の粒子径分布は50〜290nm程度であり、実施例1、2で得られたクルクミン微粒子の粒子径分布に比べて比較例4で得られたクルクミン微粒子の粒子径分布の幅が大きく広がったことが確認された。この結果は、クルクミンのエタノール溶液の作製条件の違いにより、比較例4と比べて、実施例においてはクルクミンのエタノールへの溶解状態が安定化していることによるものと考えられる。
(γ−オリザノールのエタノール溶液の調製)
まず、γ−オリザノールのエタノール溶液の作製方法と、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液の所定温度での保持方法について説明する。以下、所定温度で保持したγ−オリザノールのエタノール溶液を、調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液という。なお、所定温度とは、上述の式(2)で求められる温度y(℃)である。
実施例において、γ−オリザノールは和光純薬工業製のγ−オリザノール(和光特級)を用い、エタノールは和光純薬工業製のエタノール(試薬特級)を用いた。
(実施例7−1)
実施例7−1では、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液が10wt%γ−オリザノール/90wt%エタノール溶液となるようにγ−オリザノールとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpmで撹拌し、このときの、溶解温度を80℃とし、溶解時の缶内圧力(アタッチメント内の圧力)0.06MPaGにてγ−オリザノールのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が80℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、76℃まで冷却した。その後、10wt%γ−オリザノール/90wt%エタノール溶液をアタッチメントから取り出し、目視にてγ−オリザノールがエタノールに溶解されていることを確認した。その後、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を硝子容器に移した。70℃のウォーターバスで硝子容器内のγ−オリザノールのエタノール溶液を1時間保持し、目視にて析出物がないことを確認した。70℃のウォーターバスで1時間保持したγ−オリザノールのエタノール溶液(調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液)の温度は70℃であった。
(実施例7−2)
実施例7−2では、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液が5.0wt%γ−オリザノール/95wt%エタノール溶液となるようにγ−オリザノールとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpmで撹拌し、このときの、溶解温度を80℃とし、溶解時の缶内圧力(アタッチメント内の圧力)0.06MPaGにてγ−オリザノールのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が80℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、30℃まで冷却した。その後、5.0wt%γ−オリザノール/95.0wt%エタノール溶液をアタッチメントから取り出し、目視にてγ−オリザノールがエタノールに溶解されていることを確認した。その後、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を硝子容器に移した。30℃のウォーターバスで硝子容器内のγ−オリザノールのエタノール溶液を1時間保持し、目視にて析出物がないことを確認した。30℃のウォーターバスで1時間保持したγ−オリザノールのエタノール溶液(調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液)の温度は30℃であった。
(実施例7−3)
実施例7−3では、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液が3wt%γ−オリザノール/97wt%エタノール溶液となるようにγ−オリザノールとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを気密容器である1000ccアタッチメントに入れた。加温かつ加圧状態での撹拌操作には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpmで撹拌し、このときの、溶解温度を80℃とし、溶解時の缶内圧力(アタッチメント内の圧力)0.06MPaGにてγ−オリザノールのエタノールへの溶解処理を行った。
缶内温度が80℃に到達してから30分後に、ローターの回転数を4500rpmとし、20℃まで冷却した。その後、3wt%γ−オリザノール/97wt%エタノール溶液をアタッチメントから取り出し、目視にてγ−オリザノールがエタノールに溶解されていることを確認した。その後、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を硝子容器に移した。20℃のウォーターバスで硝子容器内のγ−オリザノールのエタノール溶液を1時間保持し、目視にて析出物がないことを確認した。20℃のウォーターバスで1時間保持したγ−オリザノールのエタノール溶液(調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液)の温度は20℃であった。
比較例5として、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液が3wt%γ−オリザノール/97wt%エタノール溶液となるようにγ−オリザノールとエタノールとをそれぞれ量りとり、合計重量700gを1000ccアタッチメントに入れた。クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用い、ローター回転数10000rpm、溶解温度は50℃、缶内圧力は0.00MPaGにてγ−オリザノールのエタノールへの溶解処理を行った。50℃で30分間撹拌した後に、γ−オリザノールの溶解を目視にて確認した。作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を20℃まで冷却すると析出物が確認されたことから、以降の操作は実施しなかった。
(貧溶媒法での晶析操作)
次に、各実施例において、調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液と表2に記載の貧溶媒とを用いて、貧溶媒法にてγ−オリザノール微粒子を作製した。貧溶媒の調製には、クレアミックス(装置名:CLM-2.2S、エム・テクニック製)を用いた。ローター回転数15000rpm、室温かつ標準気圧(即ち1atm=0.101325MPa)下にて30分間撹拌した。なお、表2に記載のHPCは水溶性高分子の1種であるヒドロキシプロピルセルロースの略語であり、日本曹達製HPC-SSLを用いた。
上記調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液と調製後の貧溶媒とを、特開2011-189348号公報に記載の流体処理装置を用いて混合した。ここで特開2011-189348号公報に記載の流体処理装置とは、同公報の図25に記載の装置であって、第2導入部の開口部d20がリング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であるものである。具体的には、調製後の貧溶媒を第1導入部d1から処理用面1、2間に、約0.1〜0.2MPaG、450mL/min、20℃で導入し、処理用部10を表2に記載の各実施例の回転数で運転しながら、調製後のγ−オリザノールのエタノール溶液を第2導入部d2から処理用面1、2間に、約0.1〜0.2MPaG、150mL/min、実施例7-1については70℃、実施例7−2〜7-3については30℃で導入して、両者を強制薄膜中で混合し、処理用面1、2間においてγ−オリザノール微粒子を晶析させた。処理用面1、2間おいて晶析させたγ−オリザノール微粒子を含む流体(以下、γ−オリザノール微粒子分散液)を流体処理装置の処理用面1、2間から吐出させた。吐出させたγ−オリザノール微粒子分散液を捕集するためのベッセルを介してγ−オリザノール微粒子分散液をビーカーに回収した。
γ−オリザノールのエタノール溶液の作製条件、γ−オリザノールのエタノール溶液の保持温度、貧溶媒の処方、γ−オリザノール微粒子の晶析条件および得られたγ−オリザノール微粒子の粒子径の結果を表2に示す。
表2に記載の「溶解」の項目については、目視にてエタノールに溶解しているかについて確認を行った。γ−オリザノールのエタノール溶液中で析出物や溶け切らなかったγ−オリザノールが目視にて確認された場合は「×」とし、γ−オリザノールがエタノール溶液中で目視にて確認されない場合は「○」とした。
また、γ−オリザノールのエタノール溶液中の析出物の有無については、実施例7−1〜7−3においては、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を所定温度で1時間保持後に目視にて確認を行い、表2に記載の「析出物の有無」の項目に記載した。また、比較例5においては、上述のとおり、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を所定温度である20℃まで冷却すると析出物が確認された。
以上の結果、γ−オリザノールをエタノールに溶解してγ−オリザノールのエタノール溶液を作製する際、加圧状態かつ78.3℃以上130℃以下の温度条件下で撹拌操作を行った場合は、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液中に析出物は確認されなかった。また、作製したγ−オリザノールのエタノール溶液を用いて、貧溶媒法での晶析操作をおこなったところ、得られたγ−オリザノール微粒子の平均粒子径が1μm以下であった。また、得られたγ−オリザノール微粒子の粒子径分布は80〜200nm程度と分布幅も狭い状態で得ることができた。

Claims (6)

  1. 原料物質を溶媒に溶解させた原料溶液を作製し、
    上記原料溶液を用いて貧溶媒法での晶析操作を行うことにより上記原料物質の微粒子を得る方法において、
    上記原料溶液の作製に際して、
    上記原料物質としてクルクミンとγ−オリザノールとの少なくともいずれか一方を用い、
    上記溶媒としてエタノールを用い、
    加圧状態かつ78.3℃以上130℃以下の温度条件下で撹拌操作を行うことを特徴とする加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法。
  2. 上記原料溶液の作製に際して、
    上記原料物質と上記溶媒とを、上記温度条件下で加圧状態として沸騰させずに撹拌操作を行うことにより上記原料物質の溶解度が高められた高溶解性の原料溶液を得て、
    上記高溶解性の原料溶液を用いて貧溶媒法での晶析操作を行うことにより上記原料物質の微粒子を得ることを特徴とする請求項1記載の加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法。
  3. 上記原料溶液の中のクルクミンの濃度をx(wt%)とした場合に、上記貧溶媒法での上記晶析操作に用いるクルクミンのエタノール溶液の温度を、式(1)で示される温度y(℃)として、クルクミン微粒子を製造することを特徴とする、請求項1又は2に記載の加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法。
    y≧0.0222x-2.7x+30.511x-12.833 (1)
  4. 上記原料溶液のγ−オリザノールの濃度をx(wt%)とした場合に、上記貧溶媒法での晶析操作に用いるγ−オリザノールのエタノール溶液の温度を、式(2)で示される温度y(℃)として、γ−オリザノール微粒子を製造することを特徴とする、請求項1又は2に記載の加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法。
    y≧0.0762x3-0.9429x2+8.8095x+6×10-12 (2)
  5. 上記微粒子の平均粒子径が30nmから1μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法。
  6. 上記原料物質であるクルクミンが、ウコン、ターメリック、ウコンから抽出した天然素材抽出物及びターメリックから抽出した天然素材抽出物からなる群から選択された少なくとも1つであり
    上記原料物質であるγ−オリザノールが、米糠から抽出した天然素材抽出物、トウモロコシ油から抽出した天然素材抽出物、及び穀類から抽出した天然素材抽出物からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の加圧加温原料溶液による微粒子の製造方法。
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