JP6781434B2 - 含フッ素重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、含フッ素重合体及びその製造方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表される含フッ素重合体は、フッ素元素の小ささ及びその電気陰性度の大きさに起因して、高い化学的安定性、高い耐熱性、非粘着性、低摩擦係数、及び撥水撥油性等のユニークな性質を有する。
また、含フッ素重合体にさらに優れた性質を付加するため、テトラフルオロエチレン(TFE)及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)の共重合体であるPFA、テトラフルオロエチレン(TFE)及びエチレンの共重合体であるETFE等の共重合体が開発されてきた。
さらに、含フッ素重合体に要求される性能は近年多様化しており、特に、本来、含フッ素重合体が持たない性質を有する含フッ素重合体が求められている。その求められる性質とは、例えば、本来含フッ素重合体が持つ撥水撥油性とは逆の性質である、水や有機溶媒に対する親和性、架橋反応性等の性質が挙げられる。
上記の性質を付加する方法としては、含フッ素重合体に付与したい特性を発現する骨格、官能基等を有する炭化水素系のビニルモノマーをフルオロオレフィン類と共重合する方法が広く知られている。
非特許文献1では、耐候性塗料の主原料として用いられる含フッ素共重合体が記載されている。具体的には、高い耐候性を有する含フッ素重合体を塗料、ハードコート材等として用いるために溶剤に対する溶解性及び架橋反応性をすべく、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等の炭化水素系モノマーを共重合している。
また、特許文献1には、主鎖の片末端もしくは両末端および/または側鎖末端にヨウ素原子または臭素原子を有する含フッ素重合体に、硫黄化合物の存在下にラジカル重合性単量体を反応させることを特徴とする含フッ素ブロック共重合体の製造方法が記載されている。
国際公開公報第2011/007862号
Chem. Rev. 2014, 114, 927−980
所望の特性を持つモノマーを含フッ素重合体に導入することにより、所望の特性を含フッ素重合体に付与することと併せて、より高い熱的安定性及びより高い化学的安定性を有する重合体は、過酷な環境下における使用によっても経時的な劣化を抑え、長期的な使用を可能とすることができるため、その技術的意義は高く、上記の先行技術においてはさらなる改善の余地があった。
本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を行い、含フッ素重合体が、特定の構造を有するブロックを分子内の主鎖末端に含むことにより、所望の特性を有するとともに、高い熱的安定性、高い化学的安定性等の高い耐久性を示すことを見出した。本発明は、上記の知見に基づいてさらなる検討を行い、完成させたものである。すなわち、本発明は、以下の含フッ素重合体に関する。
項1.式(A):
Figure 0006781434
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれその発現ごとに同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は有機基を表す。]
で表される1種以上のエチレン系単量体(A)に由来する単量体単位(a)及び
式(B):
Figure 0006781434
[式中、環Bは、その発現ごとに同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基を表す。]
で表される1種以上の含フッ素エチレン系単量体(B)に由来する単量体単位(b)
を含む含フッ素重合体であって、
その主鎖の両末端及び側鎖の末端の少なくともいずれか1つの末端に、連続した前記単量体単位(b)からなるブロックBを有する含フッ素重合体。
項2.式(1):
Figure 0006781434
[式中、
(a)は前記と同意義を表し、
(b1)、(b2)及び(b3)はそれぞれ同一又は異なって、前記(b)を表し、
nは1以上の整数を表し、
m1、m2及びm3はそれぞれ同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のうち少なくとも一個は2以上の整数を表す。]
で表される、項1に記載の含フッ素重合体。
項3.前記式(1)中、m3が0である、項2に記載の含フッ素重合体。
項4.環Bが、1個以上の置換基を有していてもよい単環式アリール基又は1個以上の置換基を有していてもよい多環式アリール基である、項1〜3のいずれかに記載の含フッ素重合体。
項5.エチレン系単量体(A)が、パーフルオロアルケンである、項1〜4のいずれかに記載の含フッ素重合体。
項6.環Bが、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を環構成原子として有する、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基である、項1〜5のいずれかに記載の含フッ素重合体。
項7.環Bが、1個の窒素原子を環構成原子として有する、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基である、項1〜6のいずれかに記載の含フッ素重合体。
項8.環Bが、置換基としてエステル基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基、-SiR(Rは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基又はヒドロキシル基)及びハロゲン元素からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する芳香環基である、項1〜7のいずれかに記載の含フッ素重合体。
本発明によれば、特定の構造を有するブロックを分子内に含むことにより、所望の特性を有するとともに、高い熱的安定性、高い化学的安定性等の高い耐久性を示す含フッ素重合体が提供される。
以下に、本発明で用いられる用語を説明する。
本明細書中、「α位」とは、R-CO−C*−CO−R又は、R-CO−C*−COH−Rで表される構造における、C*で示した位置を意味する。
本明細書中、「置換」とは、分子中の水素原子又はフッ素原子を別の原子又は基で置き換えることを意味する。
本明細書中、「置換基」とは、分子中の1個以上の水素原子又はフッ素原子と置き換わる別の原子又は基を意味する。
本明細書中、特に断りのない限り、「炭化水素基」は、「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキニル基」、「シクロアルキル基」、「シクロアルケニル基」、「シクロアルカジエニル基」、及び「アリール基」を包含する。
本明細書中、「フルオロ有機基」とは、少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基を意味し、「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換された有機基を意味する。前記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素、及び−SO2−からなる群より選択される部分構造を有していてもよい。当該パーフルオロ有機基の例としては、パーフルオロアルキル基(例、-CF3、-C2F5)、パーフルオロ(ポリ)エーテル基(例、C3F7-O-CF3)、及び-CF2CF2SO2Fが挙げられる。
パーフルオロ有機基の炭素数は、例えば、1〜10、1〜8、1〜6、又は1〜4であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「フルオロ有機基」は、「パーフルオロ有機基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「アシル基」は、「アクリロイル基」、「アルカノイル基」、及び「アロイル基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香環基」は、「アリール基」、及び「ヘテロアリール基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「複素環基」は、「非芳香族複素環基」、及び「ヘテロアリール基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びヘキシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-1-イル、イソプロペニル、2-ブテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、及び5-へキセン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、5-へキシン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシル、シクロヘプチル等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等の、炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルカジエニル基」としては、例えば、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等の、炭素数4〜10のシクロアルカジエニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルカノイル基」は、式:R-CO-(当該式中、Rはアルキル基を表す。)で表される基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、炭素数6〜18のアリール基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、2-ビフェニリルメチル、3-ビフェニリルメチル、及び4-ビフェニリルメチルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アロイル基」は、式:R-CO-(当該式中、Rはアリール基を表す。)で表される基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」としては、例えば、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例、1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例、1-アジリジニル、2-アジリジニル)、アゼチジニル(例、1-アゼチジニル、2-アゼチジニル)、ピロリジニル(例、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、アゼパニル(例、1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例、1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例、1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例、1,4-ジアゼピン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例、1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例、テトラヒドロピラン-4-イル)、モルホリニル(例、4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例、4-チオモルホリニル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、例えば、単環性、2環性、又は3環性、又は4環性、又は5環性の、5〜18員のヘテロアリール基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基である。当該「ヘテロアリール基」の炭素数は、例えば、3〜17であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、「単環性ヘテロアリール基」、及び「芳香族縮合複素環基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「単環性ヘテロアリール基」としては、例えば、ピロリル(例、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例、2-フリル、3-フリル)、チエニル(例、2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例、1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、ピラジニル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、イソインドリル(例、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例、2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例、1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例、2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例、1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例、1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例、1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例、3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例、1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例、2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「チオアルコキシ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、ペンチルチオ、及びヘキシルチオ等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜10のチオアルコキシ基が挙げられる。
以下に、本発明の含フッ素重合体を説明する。
含フッ素重合体
本発明の含フッ素重合体は、
式(A):
Figure 0006781434
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれその発現ごとに同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は有機基を表す。]
で表される1種以上のエチレン系単量体(A)(以下、本明細書において「単量体(A)」ということがある。)に由来する単量体単位(a)及び
式(B):
Figure 0006781434
[式中、環Bは、その発現ごとに同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基を表す。]
で表される1種以上の含フッ素エチレン系単量体(B)(以下、本明細書において「単量体(B)」ということがある。)に由来する単量体単位(b)を含む含フッ素重合体であって、その主鎖の両末端及び側鎖の末端の少なくともいずれか1つの末端に、連続した前記単量体単位(b)からなるブロックBを有する。
また、本発明の含フッ素重合体は、
式(1):
Figure 0006781434
[式中、
(a)は前記と同意義を表し、
(b1)、(b2)及び(b3)はそれぞれ同一又は異なって、(b)を表し、
nは1以上の整数を表し、
m1、m2及びm3はそれぞれ同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1、m2及びm3のうち少なくとも一個は2以上の整数を表す。]
で表される含フッ素重合体であることが好ましい。
前記式(1)において、(b1m1、(b2m2、(b3m3及び((a)-(b3m3nでそれぞれ表される構造は、それぞれブロックであることが好ましい。
m3が2以上の整数である場合は、前記式(1)で表される含フッ素重合体は、グラフト鎖を有する含フッ素重合体となる。
なお、単量体単位(a)及び単量体単位(b)は、それぞれ単量体(A)及び単量体(B)から形成され得る単量体単位を意味し、それぞれ実際に単量体(A)及び単量体(B)から形成されるものに限定されない。
本発明の含フッ素重合体は連続した複数の前記単量体単位(a)からなるブロックA及び連続した複数の前記単量体単位(b)からなるブロックBを含むブロック共重合体であることが好ましいが、これに限定されるものではない。本明細書はさらに、前記単量体単位(a)及び前記単量体単位(b)を含むランダム共重合体も開示する。前記単量体単位(a)及び前記単量体単位(b)を含むランダム共重合体は、前記単量体(A)及び前記単量体(B)等を用いて、公知の製造方法によって製造することができる。
また、前記ブロックA及び前記ブロックBは、それぞれ同一の単量体単位(a)及び単量体単位(b)が連続したブロックであってもよいし、それぞれ同一でない単量体単位(a)及び単量体単位(b)が連続したブロックであってもよい。
本発明の含フッ素重合体は、全単量体単位100モル%に対する単量体単位(a)の含有量が1〜99モル%であり、好ましくは、30〜99モル%であり、特に好ましくは50〜99モル%である。
また、本発明の含フッ素重合体は、全単量体単位100モル%に対する単量体単位(b)の含有量が1〜99モル%であり、好ましくは、1〜70モル%であり、特に好ましくは1〜50モル%である。
本発明の含フッ素重合体は、分子内において、前記単量体単位(a)及び前記単量体単位(b)以外の構成単位を含んでいてもよく、その割合としては、全単量体単位100モル%に対して、10モル%以下含んでいてもよい。含フッ素重合体の構造的な均一性及びこれに伴う所望の特性を効率的に付与する観点からは、3モル%以下であることが好ましく、前記単量体単位(a)及び前記単量体単位(b)のみからなることがより好ましい。
前記式(1)において、m1、m2及びm3はそれぞれ同一又は異なって、特に限定されない0以上の整数を表す。また、m1、m2及びm3はそれぞれ同一又は異なって、5以上10000以下であることが好ましく、15以上4000以下であることが特に好ましい。
式(1)において、nは特に限定されない0以上の整数を表す。また、nは、2以上20000以下であることが好ましく、10以上10000以下であることが特に好ましい。
前記式(1)で表される、本発明の含フッ素重合体としては、例えば、以下の式(2):
Figure 0006781434
で表される構造が挙げられ、式中、
m1及びm2は0以上の整数であって、いずれか一個は2以上であり、
n1〜n4は、0以上の整数であって、それらの合計は2以上であり、
a1は、-CH2CF2-を表し、
a2は、-CF2CF2-を表し、
a3は、-CF2C(CF3)- を表し、
a4は、-CF2CF(OCF3)- を表し、
前記式(2)における構成単位(b1)及び(b2)は、それぞれ同一又は異なって、以下の式(B-1):
Figure 0006781434
[式中、環Bは、その発現ごとに同一又は異なって、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、キノリル基、イソキノリル基、インドール基、ピリジル基からなる群より選択される1個の基を表す。]で表される構成単位を表す。
前記式(B-1)における、部分構造式:
Figure 0006781434
で表される基としては、例えば、式(B-2):
Figure 0006781434
で表される基、式(B-3):
Figure 0006781434
で表される基、式(B-4):
Figure 0006781434
で表される基、式(B-5):
Figure 0006781434
で表される基、式(B-6):
Figure 0006781434
で表される基、式(B-7):
Figure 0006781434
で表される基等が挙げられる。
前記式(2)で表される含フッ素重合体としては、より具体的には、式(2-1):
Figure 0006781434
[式中、
n1及びn3は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-2):
Figure 0006781434
[式中、
n2及びn4は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-3):
Figure 0006781434
[式中、
n2は、2以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-4):
Figure 0006781434
[式中、
n2及びn3は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-5):
Figure 0006781434
[式中、
n2及びn4は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-6):
Figure 0006781434
[式中、
n1及びn3は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-7):
Figure 0006781434
[式中、
n1及びn3は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-8):
Figure 0006781434
[式中、
n1及びn3は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造、式(2-9):
Figure 0006781434
[式中、
n1及びn4は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のいずれかは2以上の整数を表す。]
で表される構造等が挙げられる。
また、本発明の含フッ素重合体は、グラフト鎖を有する場合がある。グラフト鎖を有する本発明の含フッ素重合体としては、式(1-1):
Figure 0006781434
[式中、
n1、n2及びn5は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のうち少なくとも一個は2以上の整数を表し、
m3は、2以上の整数を表す。]
で表される構造、及び式(1-2):
Figure 0006781434
[式中、
Rfは、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表し、
n1、n6及びn7は同一又は異なって、1以上の整数を表し、
m1及びm2は同一又は異なって、0以上の整数を表し、
m1及びm2のうち少なくとも一個は2以上の整数を表し、
m3は、2以上の整数を表す。]
で表される構造の含フッ素重合体等が挙げられる。
グラフト鎖は、前記式(A)のR1〜R4の少なくともいずれか、又は、R1〜R4の少なくともいずれかの基の末端が塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である場合に、該塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が結合した原子を開始点として伸長され得る。本発明の含フッ素重合体は、前記開始点となり得る原子の少なくとも一部に該塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が結合したままである場合がある。
なお、上記の含フッ素重合体の具体例を表す式(2-1)〜(2−9)、式(1-1)及び(1-2)において、それぞれm1、m2及びm3を付した部分構造は、それぞれm1、m2及びm3が付された括弧内の単量体単位が連続したブロックであることが好ましい。また、それぞれn1、n2、n3、n4、n5、n6及びn7を付した部分構造は、それぞれn1、n2、n3、n4、n5、n6及びn7が付された括弧内の単量体単位が互いにランダムに結合していてもよい。
エチレン系単量体(A)
本発明の含フッ素重合体の単量体単位(a)を与えるエチレン系単量体(A)は、以下の式(A):
Figure 0006781434
[式中、
R1、R2、R3及びR4は前記と同意義を表す。]
で表される。
前記式(A)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれその発現ごとに同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は有機基を表す。含フッ素重合体の耐熱性及び化学的安定性の向上のために、R1、R2、R3及びR4は、それぞれフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメチルエーテル基であることが好ましく、いずれか2個、3個又はすべてがフッ素原子であることがより好ましい。いずれか3個がフッ素原子である場合の残りの1個としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルキル基、-ORf基(Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)等が好ましい。
前記有機基としては、特に限定されず、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のフルオロアルキル基、前記単量体単位(a)、前記単量体単位(b)、ブロックA、ブロックB、並びに、前記単量体単位(a)及び(b)を含む重合体等が好ましい。
前記1個以上の置換基としては、特に限定されず、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシ基、アルカノイル基、カルボニル基、チオアルコキシ基、エステル基、シアノ基、シリル基、シロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、スルホ基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、リン酸基、リン酸エステル基、ブロックA、ブロックB、パーフルオロアルキル基、-ORf基(Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)等が好ましい。
前記有機基が前記単量体(a)、前記単量体単位(b)、ブロックA、ブロックB、前記単量体単位(a)及び(b)を含む重合体である場合は、その末端が水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、パーフルオロアルキル基、-ORf基(Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)等であることが好ましい。
R1、R2、R3及びR4のいずれか2個がフッ素原子である単量体(A)としては、例えば、以下の式(A-1):
Figure 0006781434
[式中、R3及びR4は前記と同意義を表す。]
で表される化合物が好ましい。
また、R1、R2、R3及びR4のいずれか3個がフッ素原子である単量体(A)としては、より具体的には以下の式(A-2):
Figure 0006781434
[式中、R4は前記と同意義を表す。]
で表される化合物等が好ましい。
単量体(A)として、より具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、3,3,3-トリフルオロプロピレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロピレン、1,3,3,3-テトラフルオロプロピレン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、ヘキサフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニル等の含フッ素エチレン系単量体;フッ化ビニリデン(VdF)、CH2=CHF(VF)、CH2=CFCF3等のフルオロオレフィン系単量体;パーフルオロメチルビニルエーテル等のフルオロビニルエーテル系単量体等からなる群より選択される少なくとも1種の単量体であることが好ましい。
単量体(A)は、さらに、(1)フルオロオレフィン、(2)スルホン酸含有トリフルオロビルモノマー、(3)α-フルオロオレフィン、(4)シアノ基含有トリフルオロビニルモノマー等の単量体であってもよい。
(1)フルオロオレフィンとしては、例えば、式(A-3):
CH2=CH-Rf (A-3)
[式中Rfはパーフルオロアルキル基を表す。]
で表される化合物が挙げられ、より具体的には例えば、CH2=CH-C6F13、CH2=CH-C4F9、CH2=CH-C2F5、CH2=CH-C8F17等が挙げられる。
(2)スルホン酸含有トリフルオロビルモノマーとしては、例えば、式(A-4):
CF2-CF(-O-(CF2-CF(CF2X3))b-Oc-(CFR)d-(CFR)e-(CF2)f-SO3H (A-4)
[式中、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素数1以上10以下のパーフルオロアルキル基を表し、
X3はハロゲン原子又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表し、
bは0〜8の整数であり、cは0又は1であり、
d、e及びfはそれぞれ独立して0〜6の整数(但し、d+e+f>0)である。]
で表される化合物が挙げられ、より具体的には例えば、CF2=CF-OCF2CF(CF3)OCF2CF2-SO2H、CF2=CF-OCF2CF2SO3H等が挙げられる。
(3)α-フルオロオレフィンとしては、例えば、CH2=CF-CF2CF2CF2H、CH2=CF-CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)-CO2Me、CH2=CF-CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)-CH2OH等が挙げられる。
(4)シアノ基含有トリフルオロビニルモノマーとしては、例えば、式(A-5):
CF2=CF-O-(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n-CN (A-5)
[式中、mは0〜5の整数であり、nは1〜3の整数である。]
で表される化合物が挙げられ、より具体的には例えば、CF2=CF-OCF2CF(CF3)OCF2CF2CN等が挙げられる。
上記の単量体の中でも、本発明の含フッ素重合体の熱的安定性及び化学的安定性の観点から、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等の含フッ素エチレン系単量体が好ましく、テトラフルオロエチレン(TFE)が特に好ましい。
また、本発明の含フッ素重合体がグラフト鎖を有する場合は、単量体(A)としては、前記式(A)中のR1〜R4の少なくともいずれかが塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である場合が好ましく、該塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が結合した原子を開始点としてグラフト鎖が伸長され得る。前記グラフト鎖の開始点である原子に結合する塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のうち、塩素原子及びヨウ素原子が好ましく、ヨウ素原子がより好ましい。上記の単量体の中でもグラフト鎖を形成しやすいヨードトリフルオロエチレンが特に好ましい。これは、sp2混成炭素原子に結合したフッ素原子に対してより置換されやすいヨウ素原子を含むことで、グラフト鎖の形成が容易となるとともに、該ヨウ素原子以外の置換基がすべてフッ素原子であることから、含フッ素重合体としての主鎖がフッ素原子をより多く含むこととなり、熱的安定性及び化学的安定性をより高く保つことができるためである。
さらに、単量体(A)としては、以下の式(A-6):
CX2=CX-Rf-CH2RI (A-6)
[式中、
Xは水素原子、フッ素原子又はCH3を表し、
Rfはフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基を表し、
Rは水素原子又はCH3を表す。]
で表されるヨウ素含有単量体、下記式(A-7):
CF2=CFO(CF2CF(CF3))m-O-(CF2)n-Br (A-7)
[式中、
mは0〜5の整数であり、nは1〜3の整数である。]
で表される単量体等が挙げられる。
これらの単量体は、それぞれ単独で、又は本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
単量体(A)としては、非フッ素系の単量体が含まれていてもよい。そうした非フッ素系単量体としては、例えば、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエステル類、ビニルラクトン類、ビニルアミド類、ビニルラクタム類、ビニルエーテル類等が挙げられる。なお、本発明において得られる含フッ素重合体の熱的安定性及び化学的安定性をより高く保つためには、単量体(A)としては、含フッ素系の単量体のみであることが好ましい。
含フッ素エチレン系単量体(B)
本発明の含フッ素重合体の単量体単位(b)を与える含フッ素エチレン系単量体(B)は、以下の式(B):
Figure 0006781434
[式中、環Bは、前記と同意義を表す。]
で表される。
前記環Bとしては、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基であれば特に限定されず、例えば、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、より具体的には、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチル基、インドール基、ピリジル基、クロメニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾール基、ベンゾイミダゾール基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラジル基、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタセン環、クリセン環、テトラセン環、ピセン環、ペンタフェン環、ペリレン環等が挙げられる。これらのうち、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基、キノリル基、ナフチル基等が好ましい。
前記環Bにおける「1個以上の置換基」としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、パーフルオロ有機基、アシル基、アルコキシ基、アルカノイル基、カルボニル基、チオアルコキシ基、エステル基、シアノ基、シリル基、シロキシ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミド基、スルホ基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。この中でも、含フッ素重合体に付与したい特性に合わせて適宜選択することができる。親水性を付与する観点からはヒドロキシル基、カルボキシル基等が好ましい。また、親油性(有機溶剤に対する親和性)を付与する観点からは、炭化水素基、アルコキシ基、アリール基が好ましい。さらに架橋性を付与する場合、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、求核性官能基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基等)を有するアルキル基またはアルコキシ基、求核的な反応を受ける基(例えば、エポキシ基、イソシアナート基、エステル基等)を有するアルキル基又はアルコキシ基等が好ましい。
前記環Bは、2個又は3個以上の置換基を有する芳香環基であることができる。それらの置換基は同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。2個又は3個以上の置換基を有する芳香環基の好適な例として、含フッ素共重合体を適用する材料に付与したい親水性又は親油性等の性質に合わせて、親水性又は親油性を発現させる基を2個以上持つ芳香環基が挙げられる。すなわち、親水性を付与したい場合には、親水性を発現させる基(例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基等)を2個以上有する芳香環基とすることができ、親油性を付与したい場合には、親油性を発現させる基(例えば、アルキル基、アルコキシ基等)を2個以上有する芳香環基とすることができる。かかる芳香環基とすることで、含フッ素共重合体を適用する材料に効率的に親水性又は親油性等を付与することができる。
前記環Bとしては、ラジカル重合性基を有する芳香環基であることができる。その置換基はトリフルオロビニル基であってもよく、別種のラジカル重合性基であってもよい。別種のラジカル重合性基としては特に限定されず、不飽和結合を有する有機基等が挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクロイル基、ビニロキシ基等が挙げられる。また、本発明が提供する含フッ素重合体を製造する工程において、これらのラジカル重合性基は完全に、又は一部反応してもよく、反応しなくともよい。これらは製造条件及び選択するラジカル重合性基の種類によって制御できる。製造工程においてラジカル重合性基が良好な効率で反応した場合、本発明の含フッ素重合体は、星形重合体や三次元網目構造状の重合体となり得る。また、未反応のラジカル重合性基が残存する場合、目的に応じて、別の工程で積極的に反応させることが可能であり、例えば、成形工程、塗装工程等において架橋(硬化)反応させることが可能である。
本発明の単量体(B)としては、芳香環にトリフルオロビニル基が結合した化合物であれば特に限定されないが、例えば、トリフルオロスチレン(TFSt)、4-トリフルオロビニル安息香酸アルキル、4-トリフルオロビニル安息香酸、4-ヒドロキシトリフルオロビニルベンゼン、4-アルコキシトリフルオロビニルベンゼン、4-シアノトリフルオロビニルベンゼン、4-パーフルオロアルキルトリフルオロビニルベンゼン、4-フルオロトリフルオロビニルベンゼン、4-クロロトリフルオロビニルベンゼン、4-ブロモトリフルオロビニルベンゼン、4-ヨードトリフルオロビニルベンゼン、4-アミノトリフルオロビニルベンゼン、4-アセトアミドトリフルオロビニルベンゼン、4-トリフルオロビニルベンゼンスルホンアミド、4-トリフルオロビニルベンゼンスルホン酸、4-トリフルオロビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、4-トリフルオロビニルベンゼンスルホン酸カリウム、4-トリフルオロビニルフェニルリン酸、4-トリフルオロビニルフェニルリン酸ジメチル、2-(4-トリフルオロビニル-フェノキシメチル)-オキシラン、1-(2-イソシアナートエトキシ)-4-トリフルオロビニルベンゼン、1,4-ビス(トリフルオロビニル)ベンゼン、1-トリフルオロビニル-4-ビニルベンゼン、トリフルオロビニル-2-キノリン、トリフルオロビニル-2-ピリジン、トリフルオロビニル-2-ピロール、トリフルオロビニル-2-イソキノリン、トリフルオロビニル-2-フラン、トリフルオロビニル-2-チオフェン、トリフルオロビニル-2-イミダゾール、トリフルオロビニル-2-ベンゾイミダゾール、トリフルオロビニル-3-ピラゾリン、トリフルオロビニル-2-オキサゾリン、トリフルオロビニル-2-チアゾリン、トリフルオロビニル-2-ピラジン、1,5-ビス(トリフルオロビニル)ナフタレン、1-トリフルオロビニル-5-ビニルナフタレン、1-フルオロ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-クロロ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-ブロモ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-ヨード-5-トリフルオロビニルナフタレン、4-トリフルオロビニル安息香酸、1-アルキルカルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-カルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-アルコキシ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-パーフルオロアルキル-5-トリフルオロビニルナフタレントリフルオロビニル-2-キノリン、1-ブロモ-5-トリフルオロビニルナフタレン、1-メチルカルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレン、9-トリフルオロビニルアントラセン、9-トリフルオロビニルフェナントレン、1-トリフルオロビニルピレン、2-トリフルオロビニルトリフェニレン、トリフルオロビニルフェナントレン、トリフルオロビニルペンタセン、トリフルオロビニルクリセン、トリフルオロビニルテトラセン、トリフルオロビニルピセン、トリフルオロビニルペンタフェン、トリフルオロビニルペリレン等が挙げられ、TFSt、4-トリフルオロビニル安息香酸エチル、4-ヒドロキシトリフルオロビニルベンゼン、4-メトキシトリフルオロビニルベンゼン、4-ターシャリーブトキシトリフルオロビニルベンゼン、4-シアノトリフルオロビニルベンゼン、4-トリフルオロメチルトリフルオロビニルベンゼン、4-パーフルオロヘキシルトリフルオロビニルベンゼン、4-フルオロトリフルオロビニルベンゼン、4-ブロモトリフルオロビニルベンゼン、トリフルオロビニル-2-キノリン、トリフルオロビニル-2-イミダゾール、トリフルオロビニル-2-ベンゾイミダゾール、トリフルオロビニル-2-チオフェン、1-ブロモ-5-トリフルオロビニルナフタレン、4-トリフルオロビニル安息香酸、1-メチルカルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレン等が好ましい。また、上記に列記した化合物の位置異性体を用いても良く、例えば、4-トリフルオロビニル安息香酸の代わりに3-トリフルオロビニル安息香酸を用いてもよく、トリフルオロビニル-2-キノリンに代えてトリフルオロビニル-4-キノリンを用いてもよい。
含フッ素重合体の製造方法
本発明の含フッ素重合体は、例えば、以下に説明する方法又はこれに準じる方法によって製造できる。
製造方法1
本発明の含フッ素重合体は、前記単量体単位(a)の繰り返しを含む主鎖の両末端及び側鎖の末端の少なくともいずれか1つの末端にハロゲン原子、チオカルボニル基を有する基、官能基が結合したテルル原子を有する単量体単位(a)の繰り返しを含む重合体Zaに、必要に応じてpHを調整した状態で、(1)一電子還元剤、公知のラジカル開始剤、遷移金属触媒、及び有機触媒からなる群より選択される1種以上の存在下、並びに/又は(2)光照射下に、前記単量体(B)を反応させることによって製造することができる。
ハロゲン原子としては、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子等が用いられ、好ましくはヨウ素原子及び臭素原子が用いられ、特に好ましくはヨウ素原子が用いられる。
チオカルボニル基を有する基としては、下記に限定されるものではないが、例えばジチオベンゾアート骨格(-S-C(Ar)=S)、トリチオカルボナート骨格(-S-C(-S-Z1)=S)、ジチオカルバマート(-S-C(-NZ1Z2)=S)、キサンタート骨格(-S-C(-OZ1)=S)等が挙げられる。上記式中、Z1及びZ2は特に限定されるものではないが、アルキル基、アリール基、アルキレングリコール基等が挙げられ、これらは置換されていてもよい。また、上述の基と重合体の主鎖との間にエステル基等のスペーサー骨格を有していてもよい。Arは、置換基を有していてよいフェニル基が好ましく、より好ましくはフェニル基である。
官能基を有するテルル原子における官能基としては、特に限定されず、アルキル基、アリール基等が挙げられ、メチル基、ブチル基、フェニル基等が好ましく、メチル基及びブチル基がより好ましい。
一電子還元剤としては、例えば、式(3):
(Y1nH2-nS2O4 (3)
[式中、
Y1は1価もしくは2価の金属イオン(例:Na)又はアンモニウムイオンを表し、
nは0〜2の整数である。]
で表される硫黄化合物、二価の鉄塩、及びアミン化合物[例:ポリアミン]が挙げられる。
公知の重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のAzo開始剤が挙げられる。
遷移金属触媒の金属種としては、通常、Cu、Ru、Fe、Ni、Ti、Co、Mn等が用いられ、Cu、Ru及びFeが好ましい。
上記の遷移金属触媒は、好ましくは配位子を共存させて使用することが好ましい。用いる遷移金属触媒に対して十分に配位する能力があれば特に限定されないが、通常、窒素原子を2〜6個持つ低分子化合物が用いられ、2〜4個持つものが好ましい。例えば、アルキル基で置換されていてよい2,2-ビピリジル(ビピリジン)、N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(2-ピリジルメチル)アミン、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン等が用いられる。
有機触媒としては、通常、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、及び多環式化合物[例:ペリレン]等が用いられる。その中でも好ましくは、テトラアルキルアンモニウムヨージド、テトラアルキルホスホニウムヨージド及びトリブチルメチルアンモニウムヨージドが用いられ、特に好ましくはテトラブチルアンモニウムヨージド及びトリブチルメチルアンモニウムヨージドが用いられる。
当該反応の反応温度としては、当該反応が適当に進行する温度を適宜選択すればよいが、当該温度は、例えば、0〜120℃であることができる。
当該反応の反応時間としては、当該反応が適当に進行するために十分な時間を適宜設定すればよいが、当該時間は、例えば、0.5〜50時間であることができる。
当該反応は、不活性ガス(例:ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス)の存在下で実施されてもよい。
このようにして得られた本発明の含フッ素重合体は、所望により、水、及びヘキサン等を用いた再沈殿及び遠心分離等の慣用の方法で精製することができる。
製造方法2
本発明の含フッ素重合体のうち、単量体単位(a)がテトラフルオロエチレンに由来する単量体単位である含フッ素重合体は、エチレン系単量体(A)としてのテトラフルオロエチレン、及び含フッ素エチレン系単量体(B)を重合させることを含む製造方法により、製造できる。
当該製造方法は、例えば、
重合開始剤の存在下、及び溶媒中で、テトラフルオロエチレンを重合させる第1重合反応を反応させて活性ポリテトラフルオロエチレン重合中間体を得る段階A、及び
段階Aで得られた活性ポリテトラフルオロエチレン重合中間体の存在下で、含フッ素エチレン系単量体(B)を重合させて、単量体単位(a)がテトラフルオロエチレンに由来する単量体単位である含フッ素重合体を得る段階B
を含む製造方法であることができる。
段階Aの反応条件、及び段階Bの反応条件は、例えば、所望するテトラフルオロエチレンの重合度、及び所望する含フッ素エチレン系単量体(B)に応じて、適宜設定すればよいが、例えば、下記の条件を採用することができる。
段階Aの反応は、耐圧反応性容器内で、テトラフルオロエチレンによる0.1MPaG〜2.0MPaGの範囲内の加圧下で、好適に実施できる。
前記重合開始剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヴァレロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを包含する。
前記重合開始剤は、例えば、テトラフルオロエチレンの100gに対し、0.001g〜5gの量で好適に用いることができる。
前記溶媒の例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、市販の石油系溶剤(例:EXXSOL D40、及びISOPER E[いずれも、商品名、エクソンモービル社])、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸t−ブチル、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、p−クロロベンゾトリフルオライド、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、1,3-bis(トリフルオロメチル) ベンゼン、HFE7000、HFE7100、HFE7200、HFE7300、パーフルオロヘキサン及びAK−225などのCFC溶媒を包含する。
当該溶媒は、1種、又は2種以上の組み合わせであることができる。
前記溶媒は、例えば、テトラフルオロエチレンの100gに対し、100g〜500kgの量で好適に用いることができる。
段階Aの反応温度は、好適に−50〜150℃の範囲内であることができる。
段階Aの反応時間は、好適に0.1〜48時間の範囲内であることができる。
段階Aの反応は、好適に、撹拌しながら実施できる。
段階Aにより、活性ポリテトラフルオロエチレン重合中間体が得られる。
段階Bは、段階Aの反応の後、すなわち活性ポリテトラフルオロエチレン重合中間体の存在下で実施される。
段階Bの実施において、所望により、前記反応容器内の気相部分に残ったテトラフルオロエチレンを除去してもよい。
段階Bにおいては、含フッ素エチレン系単量体(B)を、テトラフルオロエチレンの100gに対し、含フッ素エチレン系単量体(B)を0.01g〜100gの量で好適に用いることができる。
段階Bの反応温度は、好適に−50〜100℃の範囲内であることができる。
段階Bの反応時間は、好適に0.1〜48時間の範囲内であることができる。
段階Bの反応は、好適に、撹拌しながら実施できる。
このようにして得られた本発明の含フッ素重合体は、所望により、クロロホルム洗浄等の慣用の方法で精製することができる。
なお、段階Aを行わず、別途調製したポリテトラフルオロエチレン粉末(通常、一般に知られている様に、活性末端が残っている)を用いて段階Bを行っても本発明の含フッ素重合体を得ることができる。この場合は、上記溶媒を用いてもよいが、無溶媒中で好適に重合が進行する。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
本発明で使用した各種の分析、測定は以下の方法で行った。
測定方法
(1)NMR:
1H−NMR測定条件:400 MHz(テトラメチルシラン=0 ppm)
19F−NMR測定条件:376 MHz(トリクロロフルオロメタン=0 ppm)
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速1 ml/分で流して測定したデータよりポリスチレン換算して算出する。なお、このGPC測定でのポリスチレン換算の分子量の測定誤差は約±300である。
製造例1(主鎖両末端に−CH 2 Iを有するVdF/HFP共重合体エラストマーの製造)
3Lオートクレーブに、純水(1500 g)、20重量%のパーフルオロオクタン酸アンモニウム水溶液(22 g)を供給した。系内を不活性ガスで置換し、減圧状態にした後、内温を80℃にし、内圧が0.73 MPaになるまでHFPを供給し、さらに内圧が1.5 MPaになるまでVdFを供給した。その後、撹拌下、1,4-ジヨードオクタフルオロブタン(12.6 g、27.8 mmol)、水(8 g)に溶解させた過硫酸アンモニウム(APS)40 mgを加え、重合を開始させた。VdF/HFP混合モノマー(VdF/HFP=78/22(モル%),417 g)を連続的に供給した。途中、重合開始2時間後にAPS 66 mg、4時間後にAPS 80 mg、7時間後にAPS 96 mgを水8 gに溶解させた水溶液を系内に仕込んだ。反応時間は10時間であった。得られた乳濁液の重量は1900 g、ポリマー濃度が20重量%であった。
この乳濁液から主鎖両末端に−CH2Iを有するVdF/HFP共重合体を単離精製した。得られたVdF/HFP共重合体の共重合組成比は19F-NMRの測定によりVdF/HFP=78/22(モル%)であった。また、GPC測定でのポリスチレン換算の数平均分子量は、19400であった。
実施例1(無置換トリフルオロスチレンとのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=4.2×104、Mw/Mn=1.6、3.08g)及びDMSO(35.0 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(268 mg)及び炭酸水素ナトリウム(47.9 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、トリフルオロスチレン(6.00 g)を加え、50℃で8時間加熱攪拌した後、精製した。
GPC測定を行ったところ、単峰性のピークが観測されたことから、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=5.8×104、Mw/Mn=1.5であり、トリフルオロスチレン由来の骨格が28重量%含まれたポリマーであることが分かった。また、1H NMR測定及び19F NMR測定からも、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることが確認され、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.8-6.8 ppm)にブロードなピークが観測され、トリフルオロスチレンモノマーが重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。
比較例1(スチレン(炭化水素骨格)とのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=4.2×104、Mw/Mn=1.6、90.0 mg)及びDMSO(5.0 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(9.50 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、スチレン(100 mg)を加え、50℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿及び遠心分離を行い精製した。
GPC測定を行ったところ単峰性のピークが観測され、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=5.5×104、Mw/Mn=1.4であり、スチレン由来の骨格が24重量%含まれたポリマーであることが分かった。1H NMR測定及び19F NMR測定から、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることを確認し、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.3-6.3 ppm)にブロードなピークが観測され、スチレンモノマーが重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。
実施例2(4-トリフルオロビニル安息香酸エチルとのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=2.0×104、Mw/Mn=1.4、95.0 mg)及びDMSO(1.5 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(18.5 mg)及び炭酸水素ナトリウム(47.9 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、4-トリフルオロビニル安息香酸エチル(800 mg)を加え、50℃で8時間、遮光下で加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿及び遠心分離を行い精製した。
GPC測定を行ったところ単峰性のピークが観測され、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=2.5×104、Mw/Mn=1.4であった。また、1H NMR測定及び19F NMR測定から、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることが確認され、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.8-6.8 ppm)にブロードなピークが観測され、4-トリフルオロビニル安息香酸エチルが重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。
実施例3(4-トリフルオロビニル安息香酸とのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=4.2×104、Mw/Mn=1.6、538 mg)及びDMSO(15.0 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(46.7 mg)及び炭酸水素ナトリウム(8.40 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、4-トリフルオロビニル安息香酸(483 mg)を加え、50℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿、遠心分離を行い精製した。
GPC測定を行ったところ単峰性のピークが観測され、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=5.8×104、Mw/Mn=1.5であった。また、1H NMR測定及び19F NMR測定から、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることが確認され、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.8-6.8 ppm)にブロードなピークが観測され、4-トリフルオロビニル安息香酸が重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。また、元素分析の結果から、フッ素元素が57.9 wt%含まれており、4-トリフルオロビニル安息香酸由来の骨格が10モル%含まれたポリマーであることが分かった。
実施例4(1-メチルカルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレンとのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=2.0×104、Mw/Mn=1.4、59.0 mg)及びDMSO(1.5 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(11.6 mg)及び炭酸水素ナトリウム(4.66 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、1-メチルカルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレン(39.0 mg)を加え、80℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿及び遠心分離を行い精製した。
GPC測定を行ったところ単峰性のピークが観測され、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=2.8×104、Mw/Mn=1.5であった。また、1H NMR測定及び19F NMR測定から、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることが確認され、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.8-6.8 ppm)にブロードなピークが観測され、1-メチルカルボキシ-5-トリフルオロビニルナフタレンが重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。
実施例5(1-ブロモ-5-トリフルオロビニルナフタレンとのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=2.0×104、Mw/Mn=1.4、50.0 mg)及びDMSO(1.5 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(10.0 mg)及び炭酸水素ナトリウム(5.83 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、1-ブロモ-5-トリフルオロビニルナフタレン(51.0 mg)を加え、50℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿及び遠心分離を行い精製した。
GPC測定を行ったところ単峰性のピークが観測され、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=2.7×104、Mw/Mn=1.5であった。また、1H NMR測定及び19F NMR測定から、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることが確認され、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.8-6.8 ppm)にブロードなピークが観測され、1-ブロモ-5-トリフルオロビニルナフタレンが重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。
実施例6(トリフルオロビニル-2-キノリンとのブロック化)
Figure 0006781434
製造例1で合成した原料ポリマー(フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、Mn=2.0×104、Mw/Mn=1.4、67.0 mg)及びDMSO(1.5 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。亜ジチオン酸ナトリウム(12.9 mg)及び炭酸水素ナトリウム(7.44 mg)を加え、系内を十分に脱気し不活性ガスで置換した。不活性ガス雰囲気下を保ちながら、トリフルオロビニル-2-キノリン(31.0 mg)を加え、50℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿及び遠心分離を行い精製した。
GPC測定を行ったところ単峰性のピークが観測され、原料ポリマーの末端から重合が進行し、目的のブロックポリマーが得られたことが示唆された。また分子量は、Mn=2.8×104、Mw/Mn=1.5であった。また、1H NMR測定及び19F NMR測定から、原料ポリマーのヨウ素末端由来のピーク(-CF2CH2-I:δ =-108 ppm、-CF2CH2-I:δ =4.0-3.8 ppm)が消失していることが確認され、原料ポリマーの末端から重合が進行していることが示唆された。さらに、1H NMR測定チャートからは、芳香族領域(7.8-6.8 ppm)にブロードなピークが観測され、トリフルオロビニル-2-キノリンが重合していることが確認された。これらのことから、目的のブロックポリマーが得られたことを確認できた。
製造例2(主鎖片末端に−CF 2 Iを有するTFE/パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体エラストマーの製造
6Lオートクレーブに、純水(3000 g)、パーフルオロオクタン酸アンモニウム(30 g)、炭酸アンモニウム(0.276 g)を供給した。系内を不活性ガスで置換し、減圧状態にした後、内圧が0.55 MPaG(50℃下)になるまでパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)を供給した。続いて、CF4を0.63MPaGとなるまで、さらにTFEを0.83MPaGとなるまで供給した。その後、水(5 g)に溶解させた過硫酸アンモニウム(APS)1.975 gを加え、重合を開始させた。TFEとPMVEを重量比1:1の比で連続供給することで、重合圧力を一定に保って重合を行った。TFEとPMVEを合計30 g添加した時点で、2-ヨードヘプタフルオロプロパン(5.40 g)を添加した。反応開始から12時間後、水(2 g)に溶解させた過硫酸アンモニウム(APS)0.411 gを追加添加した。反応開始から19時間後、重合を終了した。得られた乳濁液(1290 g)から主鎖片末端に−CF2Iを有するTFE/PMVE共重合体(168 g)を単離精製した。得られたTFE/PMVE共重合体の共重合組成比は19F-NMRの測定によりTFE/PMVE=62.5/37.5(モル%)であった。また、ムーニー粘度測定より平均分子量は75000であった。
実施例7(無置換トリフルオロスチレンとのブロック化)
Figure 0006781434
製造例2で合成した原料ポリマー(テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルの共重合体、3.16 g)及び含フッ素溶媒(ClCF2-CFCl-C2F5、25.0 mL)を反応容器に入れ、原料ポリマーが溶解するまで撹拌した。反応混合物の脱気を行い、容器内を窒素置換した後、Azo開始剤[2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)](8.00 mg)、トリフルオロスチレン(2.00 g)及びトルエン(2.0 mL)を加えた。さらに容器内を十分に窒素置換した。50℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿を行い精製した後、クロロホルム及びアセトンを用いて十分に洗浄することにより、トリフルオロスチレンホモポリマーを除去して、目的のブロックポリマーを得た。1H NMR測定により、芳香族領域にブロードなピークを観測し、トリフルオロスチレンが重合して生じる骨格の存在を確認した。また、元素分析の結果から、フッ素元素が67.7 wt%含まれており、トリフルオロスチレン由来の骨格が10モル%含まれたポリマーであることが分かった。
比較例2(スチレン(炭化水素骨格)とのブロック化)
Figure 0006781434
製造例2で合成した原料ポリマー(テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルの共重合体、1.48 g)、含フッ素溶媒(ClCF2-CFCl-C2F5、12.0 mL)を反応容器に入れ、ポリマーが溶解するまで撹拌した。反応混合物の脱気を行い、容器内を窒素置換した後、Azo開始剤[2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)](5.50 mg)、スチレン(1.00 g)及びトルエン(1.0 mL)を加えた。さらに容器内を十分に窒素置換した。50℃で8時間加熱攪拌した。水及びヘキサンを用いて再沈殿を行い精製した後、クロロホルム及びアセトンで十分に洗浄することにより、トリフルオロスチレンホモポリマーを除去して、目的のブロックポリマーを得た。1H NMR測定により、芳香族領域にブロードなピークを観測し、トリフルオロスチレンが重合して生じる骨格の存在を確認した。また、元素分析の結果から、フッ素元素が60.3 wt%含まれており、当該ポリマーは、スチレン由来の骨格を19モル%含有するポリマーであることが分かった。
実施例8(ポリマーの耐熱性試験)
製造例1、及び2、実施例1、及び7、並びに比較例1、及び2で、それぞれ合成したブロックポリマーについてTG/DTA測定を行い、主鎖中にポリトリフルオロスチレンブロックを含む場合、及びポリスチレンブロックを含む場合について、それぞれ熱的安定性を評価した。当該TG/DTA測定の結果(分解開始温度)を下記表1、及び表2に示す。これらの表に示した結果から、重合後に生じる主鎖がパーフルオロアルキル骨格となるトリフルオロスチレン骨格を活用することで、高い耐熱性を有するポリマーが得られていること、が確認された。
TFSt-b-(VDF/HFP共重合体)-b-TFStブロックポリマー、及びSt-(VDF/HFP共重合体)-StブロックポリマーのTG/DTA測定結果
Figure 0006781434
(TFE/PMVE共重合体)-b-TFStブロックポリマー、及び(TFE/PMVE共重合体)-StブロックポリマーのTG/DTA測定結果
Figure 0006781434
実施例9(ポリマーの親油性評価)
後記の試料調製方法、及び測定方法により、製造例2及び実施例7でそれぞれ合成したポリマーについてヘキサンデカンに対する接触角測定を行い、主鎖中にポリトリフルオロスチレンブロックが導入された場合とそうでない場合について、それぞれ親油性を評価した。当該接触角測定の結果(親油性)を後記表3に示す。この表に示した結果から、重合後の主鎖にポリトリフルオロスチレン骨格が導入されている場合、そうでない場合に比べて、同程度の耐熱性を持ちながらもより親油性が高いことが確認された。
・試料調製方法:供試するポリマーを、0.1wt%の濃度となる様に、ClCF2-CFCl-C2F5に溶解させてポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液をカバーガラス上に滴下し、及びドラフト内で風乾した後、100℃で2時間送風乾燥させることで、ポリマーの膜を調製した。
・測定方法:前記試料調製方法で得られたポリマーの膜に、ヘキサデカン(2μL)を滴下して21時間静置した後の接触角を測定した。
TFE/PMVE共重合体)-b-TFStブロックポリマー、及び(TFE/PMVE共重合体)の接触角測定結果
Figure 0006781434
実施例10(無置換トリフルオロスチレンとのブロック化)[含フッ素ユニットはPTFE]
Figure 0006781434
耐圧性反応容器に、1,3-bis(トリフルオロメチル) ベンゼン / HFE7300混合溶媒をそれぞれ5 mL加えた。容器を密閉した後、容器内を十分に不活性ガスで置換した後、TFE を少量加えて微加圧状態にした。70℃まで昇温した後、TFE 0.7MPaGになるまでTFEを加圧添加した。続いて tert-ブチルパーオキシピバレート(0.14g)を添加して30分間加熱攪拌した。容器内の圧力値が低下していることを確認した上で、気相部分に存在するTFEを除去してトリフルオロスチレン(4.0g)を添加し、12時間加熱攪拌を継続した。得られた反応混合物を、再沈殿、及びクロロホルム洗浄により、トリフルオロスチレンの単独重合体を除去した。
得られた精製ポリマーについてIR測定を行ったところ、ポリテトラフルオロエチレンユニットに由来するピーク(1207, 1151 cm-1)、及びポリトリフルオロスチレンユニットに由来するピーク(1453, 1061, 966 cm-1)がそれぞれ観測され、目的のブロックポリマーが主成分であるポリマー組成物が得られていることを確認した。
固体19F−NMR:δF −60, −75, −87, −110〜113, −115, ‐119, ‐125〜137ppm
製造例3(側鎖にヨウ素基を有するフッ素樹脂の合成)
Figure 0006781434
耐圧性反応容器にClCF2−CFCl−C25(20.9g)、CF2=CF−OC24CH2I(3.38g)及びAIBN(65.7mg)を加えて密閉して十分に窒素置換した後、テトラフルオロエチレンを0.52MPaG加圧した。60℃で24時間、さらに70℃で16時間加熱攪拌した。得られた反応混合物を、再沈殿、及び溶剤洗浄により精製し、側鎖にヨウ素基を有する目的のフッ素樹脂(1.03g)を得た。
固体19F NMR測定により、得られたフッ素樹脂中のCF2=CF−OC24CH2I由来骨格は9.3モル%であることが分かった。
固体19F−NMR:δF −57, −80, −107, −112, −119, −135ppm
実施例11(無置換トリフルオロスチレンとのグラフト化)
Figure 0006781434
反応容器中に製造例3で製造した原料ポリマー(250mg)、ジメチルスルホキシド(1.50mL)、ClCF2-CFCl-C2F5(1.50mL)及びトリフルオロスチレン(3.00g)を加えて、反応容器内を十分に窒素置換した。この状態で亜ジチオン酸ナトリウム(49.6mg)を加え、50℃で19時間加熱攪拌した。得られた反応混合物を、各種媒体を用いた洗浄操作によって精製し、目的のグラフト重合体(535mg)を得た。
得られたグラフト重合体を重クロロホルム中に分散させて1H NMRおよび19F NMR測定を行った。1H NMRチャート上では芳香族領域(8.4-5.0 ppm)にブロードなピークが観測され、及び19F NMRチャート上で原料ポリマー由来の構造が確認された。これらにより、トリフルオロスチレンがグラフト重合していることが確認された。
固体19F NMR測定により、得られた重合体中のポリトリフルオロスチレン骨格の割合は60mоl%であった。
19F NMR(CDCl):
δ −53,−55,−81,−82,−85,−90,−92,−94〜−118(br),−122,−126,−131,−160〜−188(br)ppm
固体19F NMR:δ −78,−107,−119,−171ppm
実施例12(無置換トリフルオロスチレンとのグラフト化)
反応容器中に製造例3で製造した原料ポリマー(250mg)、ジメチルスルホキシド(0.150mL)、ClCF−CFCl−C(2.85mL)、15−クラウン−5−エーテル(67mg)及びトリフルオロスチレン(3.00g)を加えて、反応容器内を十分に窒素置換した。この状態で亜ジチオン酸ナトリウム(49.6mg)を加え、50℃で19時間加熱攪拌した。得られた反応混合物を、各種媒体を用いた洗浄操作によって精製し、目的のグラフト重合体(464mg)を得た。
得られたグラフト重合体を重クロロホルム中に分散させて1H NMRおよび19F NMR測定を行った。1H NMRチャート上では芳香族領域にブロードなピークが観測され、及び19F NMRチャート上では原料ポリマー由来の構造が確認された。これらにより、トリフルオロスチレンがグラフト重合していることが確認された。また、元素分析の結果からヨウ素元素が2.5wt%含まれており、当該グラフト重合体において、側鎖にヨウ素原子を持つユニットが3.9mol%残っていることが分かった。
固体19F NMR測定により、得られた重合体中のポリトリフルオロスチレン骨格の割合は46mоl%であることが分かった。
固体19F NMR:δ −79,−108,−119,−171ppm
実施例13(ポリマーの耐熱性試験)
製造例3及び実施例12で、それぞれ合成したブロックポリマーについてTG/DTA測定を行い、グラフト鎖中にポリトリフルオロスチレンブロックを含む場合について、熱的安定性を評価した。当該TG/DTA測定の結果(0.1%及び1%重量減少温度)を下記表4に示す。この結果から、重合後に生じるグラフト鎖中の主鎖骨格がパーフルオロアルキル骨格となるトリフルオロスチレン骨格を活用することで、原料として用いたパーフルオロポリマーと同程度の耐熱性を有するポリマーが得られていること、が確認された。
(TFE−co−CF2=CFOC2F4CH2I共重合体)−g−TFStグラフトポリマーのTG/DTA測定結果
Figure 0006781434

Claims (6)

  1. 式(A):
    Figure 0006781434
    [式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれその発現ごとに同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又は有機基を表す。]で表される
    1種以上のエチレン系単量体(A)に由来する単量体単位(a)及び
    式(B):
    Figure 0006781434
    [式中、環Bは、その発現ごとに同一又は異なって、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基を表す。]で表される
    1種以上の含フッ素エチレン系単量体(B)に由来する単量体単位(b)
    を含む含フッ素重合体であって、
    その主鎖の両末端及び側鎖の末端の少なくともいずれか1つの末端に、連続した複数の前記単量体単位(b)からなるブロックB、及び
    連続した複数の前記単量体単位(a)からなるブロックA
    を有する含フッ素重合体。
  2. 環Bが、1個以上の置換基を有していてもよい単環式アリール基又は1個以上の置換基を有していてもよい多環式アリール基である、請求項1に記載の含フッ素重合体。
  3. エチレン系単量体(A)が、パーフルオロアルケンである、請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素重合体。
  4. 環Bが、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を環構成原子として有する、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基である、請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素重合体。
  5. 環Bが、1個の窒素原子を環構成原子として有する、1個以上の置換基を有していてもよい芳香環基である、請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素重合体。
  6. 環Bが、置換基としてエステル基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシ基、フェニル基、ヒドロキシル基、-SiR(Rは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアルコキシ基、1個以上の置換基を有していてもよいフェニル基又はヒドロキシル基)及びハロゲン元素からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する芳香環基である、請求項1〜のいずれかに記載の含フッ素重合体。
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