以下、本発明の挿入物の第1の実施形態を用いた穿刺針を備えた光音響画像生成装置10について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の光音響画像生成装置10は、穿刺針の構成に特徴を有するものであるが、まずは光音響画像生成装置10全体の構成について説明する。図1は、本実施形態の光音響画像生成装置10の概略構成を示す図である。
本実施形態の光音響画像生成装置10は、図1に示すように、超音波探触子11、超音波ユニット12、レーザユニット13、および穿刺針15を備えている。穿刺針15とレーザユニット13とは、光ファイバを有する光ケーブル70によって接続されている。光ケーブル70は、後述する穿刺針15内の光ファイバ14を延長した部分を含むものであり、その端部にコネクタ72が設けられており、コネクタ72に対してレーザユニット13が接続される。穿刺針15および光ケーブル70は、ディスポーザブルに構成されたものである。なお、本実施形態では、音響波として超音波を用いるが、超音波に限定されるものでは無く、被検対象や測定条件等に応じて適切な周波数を選択してさえいれば、可聴周波数の音響波を用いても良い。なお、図1においては図示省略したが、穿刺針15には、シリンジまたは輸液チューブ等が接続され、薬液注入に利用できる。
レーザユニット13は、本発明の光源部に相当するものであり、たとえば半導体レーザ光源を備えている。レーザユニット13のレーザダイオード光源から出射されたレーザ光は、光ケーブル70によって導光され、穿刺針15に入射される。本実施形態のレーザユニット13は、近赤外波長域のパルスレーザ光を出射するものである。近赤外波長域とは、およそ700nm〜2000nmの波長域を意味する。なお、本実施形態においては、レーザダイオード光源を用いるようにしたが、固体レーザ光源、ファイバレーザ光源、気体レーザ光源などその他のレーザ光源を用いるようにしてもよいし、レーザ光源以外のたとえば発光ダイオード光源を用いるようにしてもよい。
穿刺針15は、本発明の挿入物の一実施形態であり、その少なくも一部が被検体に穿刺される針である。図2は、穿刺針15の先端部近傍の構成を示す図である。図2は、穿刺針15の長さ方向に伸びる中心軸を含む断面図を示している。図2に示すように、穿刺針15は、穿刺針本体15aと、光ファイバ14と、樹脂部材17と、光音響波発生部16とを備えている。なお、本実施形態においては、光ファイバ14と樹脂部材17が、本発明の導光部材に相当するものである。
穿刺針本体15aは、たとえば金属から形成されるものであり、先端に開口15bを有し、中空状に形成されている。穿刺針本体15aの中空部15cの直径(内径)は、後述する光ファイバ14を設けることができる大きさであればよいが、たとえば0.13mm以上2.64mm以下である。
光ファイバ14は、穿刺針本体15aの中空部15cに、穿刺針本体15aの長さ方向に沿って設けられている。穿刺針本体15aの先端側の光ファイバ14の一端(光出射端)14aには、樹脂部材17が設けられており、樹脂部材17および光ファイバ14の先端部分を覆うように光音響波発生部16が設けられている。そして、光ケーブル70内の光ファイバによって導光された光が、光ファイバ14によって導光され、樹脂部材17に入射される。
樹脂部材17は、光ファイバ14によって導光された光を透過する樹脂から形成されたものであり、本実施形態においては、光ファイバ14の光出射端14aに対して半球形状で形成されている。光ファイバ14によって導光された光に対する樹脂部材17の透過率は、80%以上であることが好ましい。樹脂部材17の材料としては、たとえばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などを用いることができる。樹脂部材17の材料としては、紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂または熱硬化樹脂であることが好ましい。そして、本実施形態においては、この材料の硬化前の液状のときに光ファイバ14の光出射端14aに一度接触させて付着させることによって、その表面張力により半球形状の樹脂部材17を形成する。半球形状の樹脂部材17の直径は、光ファイバ14の直径と同等であることが好ましい。
光ファイバ14によって導光され、樹脂部材17に入射された光は、樹脂部材17の半球形状の表面から出射される。これにより光の出射を平面でなくすることができる。
光音響波発生部16は、上述したように樹脂部材17および光ファイバ14の先端部分を覆うように設けられ、樹脂部材17から出射された光を吸収して光音響波を発生するものである。本実施形態においては、半球形状の樹脂部材17の表面全体から出射された光が光音響波発生部16に入射され半球面が断熱膨張により振動するので、図2において矢印で示すように、光音響波の放射角度を広げることができる。これにより、超音波探触子11の光音響波の検出感度を向上させることができ、かつアーチファクトの発生を抑制することができる。
光音響波発生部16は、光ファイバ14によって導光された光を吸収する光吸収体と、その光吸収体を含有する樹脂とを含む材料から形成される。光音響波発生部16を形成する材料としては、たとえば光を吸収する黒色の顔料が混合されたエポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはポリウレタン樹脂などの合成樹脂を用いることができる。また、カーボンブラックまたはTiO(酸化チタン)などのチタンブラックを上述した合成樹脂に混合するようにしてもよい。また、合成樹脂としては、熱硬化樹脂または光硬化性樹脂などを用いることができる。光音響波発生部16は、熱硬化樹脂または光硬化性樹脂の接着力によって穿刺針本体15aの内壁に固定される。
なお、図2では、光ファイバ14よりも光音響波発生部16の方が大きく描かれているが、これには限定されず、光音響波発生部16は、光ファイバ14の径と同程度の大きさであってもよい。また、図2に示す穿刺針15において、光音響波発生部16は、穿刺針15の研磨面15fから飛び出ないように、穿刺針15の内側に配置されているが、実際上の配置としては研磨面15fから飛び出ない範囲で、できるだけ穿刺針15の先端近くに配置することが好ましい。
図1に戻り、超音波探触子11は、本発明の音響波検出部に相当するものであり、たとえば一次元的に配列された複数の検出器素子(超音波振動子)を有している。超音波探触子11は、被検体に穿刺針15が穿刺された後に、光音響波発生部16から発生された光音響波を検出する。超音波探触子11は、光音響波の検出に加えて、被検体に対する音響波(超音波)の送信、及び送信した超音波に対する反射音響波(反射超音波)の受信を行う。超音波の送信と受信とは分離した位置で行ってもよい。たとえば超音波探触子11とは異なる位置から超音波の送信を行い、その送信された超音波に対する反射超音波を超音波探触子11で受信してもよい。超音波探触子11としては、リニア超音波探触子、コンベクス超音波探触子、またはセクター超音波探触子などを用いることができる。また、2次元アレイを用いても良い。
超音波ユニット12は、受信回路21、受信メモリ22、データ分離部23、光音響画像生成部24、超音波画像生成部25、画像出力部26、送信制御回路27、および制御部28を有する。超音波ユニット12は、典型的にはプロセッサ、メモリ、およびバスなどを有する。超音波ユニット12には、光音響画像生成および超音波画像生成に関するプログラムがメモリに組み込まれている。プロセッサによって構成される制御部28によってそのプログラムが動作することで、データ分離部23、光音響画像生成部24、超音波画像生成部25および画像出力部26の機能が実現する。すなわち、これらの各部は、プログラムが組み込まれたメモリとプロセッサにより構成されている。
なお、本実施形態においては、プログラムをプロセッサによって実行することによって各部を機能させるようにしたが、これに限らず、一部または全部の機能をハードウェアによって実現するようにしてもよい。ハードウェアの構成としては、特に限定されるものではなく、複数のIC(Integrated Circuit)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)、メモリおよびでディスクリート部品からなる回路などを適宜組み合わせることによって実現することができる。
受信回路21は、超音波探触子11が出力する検出信号を受信し、受信した検出信号を受信メモリ22に格納する。受信回路21は、典型的には、低ノイズアンプ、可変ゲインアンプ、ローパスフィルタ、およびAD変換器(Analog to Digital convertor)を含む。超音波探触子11の検出信号は、低ノイズアンプで増幅された後に、可変ゲインアンプで深度に応じたゲイン調整がなされ、ローパスフィルタで高周波成分がカットされた後にAD変換器でデジタル信号に変換され、受信メモリ22に格納される。受信回路21は、例えば1つのIC(Integral Circuit)で構成される。
超音波探触子11は、光音響波の検出信号と反射超音波の検出信号とを出力し、受信メモリ22には、AD変換された光音響波および反射超音波の検出信号(サンプリングデータ)が格納される。データ分離部23は、受信メモリ22から光音響波の検出信号のサンプリングデータを読み出し、光音響画像生成部24に送信する。また、受信メモリ22から反射超音波のサンプリングデータを読み出し、超音波画像生成部25に送信する。
光音響画像生成部24は、超音波探触子11で検出された光音響波の検出信号に基づいて光音響画像を生成する。光音響画像の生成は、たとえば整相加算などの画像再構成、検波および対数変換などを含む。超音波画像生成部25は、超音波探触子11で検出された反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像(反射音響波画像)を生成する。超音波画像の生成も、整相加算などの画像再構成、検波および対数変換などを含む。画像出力部26は、光音響画像と超音波画像とをディスプレイ装置などの画像表示部30に出力する。
制御部28は、超音波ユニット12内の各部を制御する。制御部28は、光音響画像を取得する場合は、レーザユニット13にトリガ信号を送信し、レーザユニット13からレーザ光を出射させる。また、レーザ光の出射に合わせて、受信回路21にサンプリングトリガ信号を送信し、光音響波のサンプリング開始タイミングなどを制御する。
制御部28は、超音波画像を取得する場合は、送信制御回路27に超音波送信を指示する旨の超音波送信トリガ信号を送信する。送信制御回路27は、超音波送信トリガ信号を受けると、超音波探触子11から超音波を送信させる。超音波探触子11は、たとえば音響ラインを一ラインずつずらしながら走査して反射超音波の検出を行う。制御部28は、超音波送信のタイミングに合わせて受信回路21にサンプリングトリガ信号を送信し、反射超音波のサンプリングを開始させる。
次に、本実施形態の光音響画像生成装置10の作用について説明する。まず、光音響画像生成処理について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
光音響画像生成処理において、フレームレート、1フレームあたりのレーザ発光数、1フレームあたりの反射音響波信号と光音響画像信号のフレーム数バランスなどの画像取得条件は、超音波ユニット12の不図示のメモリに予め記憶されている。また、この画像取得条件に対応するように、制御部28により、レーザ発光タイミング、レーザパルス数および電流などの光源駆動条件が決定されて、レーザユニット13の駆動に用いられる。
光音響画像生成処理は、穿刺針15が接続された光ケーブル70のコネクタ72がレーザユニット13に接続された状態で開始する。超音波ユニット12の制御部28は、レーザユニット13にトリガ信号を送る。レーザユニット13は、トリガ信号を受けると、レーザ発振を開始し、パルスレーザ光を出射する(S10)。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、光ケーブル70によって導光され、穿刺針15の光ファイバ14に入射される。そして、パルスレーザ光は、穿刺針15内の光ファイバ14によって穿刺針15の先端の近傍まで導光され、樹脂部材17から光音響波発生部16に照射される。光音響波発生部16はパルスレーザ光を吸収して光音響波を発生する(S12)。なお、光音響画像生成処理においては、医師などのユーザにより、レーザユニット13の駆動の前後等の任意のタイミングで穿刺針15が被検体に穿刺される。
超音波探触子11は、レーザ光の照射により光音響波発生部16から発生した光音響波を検出する(S14)。超音波探触子11から出力された光音響波の検出信号は、受信回路21で受信され、そのサンプリングデータが受信メモリ22に格納される。光音響画像生成部24は、データ分離部23を介して光音響波の検出信号のサンプリングデータを受信し、光音響画像を生成する(S16)。光音響画像生成部24は、カラーマップを適用し、光音響画像における信号強度を色に変換してもよい。光音響画像生成部24が生成した光音響画像は、画像出力部26に入力され、画像出力部26によって画像表示部30に光音響画像が表示される(S18)。
次に、超音波画像生成処理について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、制御部28が、送信制御回路27に超音波送信トリガ信号を送り、送信制御回路27は、それに応答して超音波探触子11から超音波を送信させる(S30)。超音波探触子11は、超音波の送信後、反射超音波を検出する(S32)。そして、その検出信号は、受信回路21で受信され、そのサンプリングデータが受信メモリ22に格納される。超音波画像生成部25は、データ分離部23を介して超音波の検出信号のサンプリングデータを受信し、超音波画像を生成する(S34)。超音波画像生成部25は、カラーマップを適用し、超音波画像における信号強度を色に変換してもよい。超音波画像生成部25が生成した超音波画像は、画像出力部26に入力され、画像出力部26によって画像表示部30に超音波画像が表示される(S36)。
なお、画像表示部30においては、光音響画像と超音波画像とを合成して表示するようにしてもよい。このようにすることで、穿刺針15の先端が生体内のどこにあるかを確認することができるようになるため、正確で安全な穿刺が可能になる。また、本実施形態においては、上述したように半球形状の樹脂部材17から光を出射し、これにより光音響波の出射方向を広げることができるので、穿刺針15の先端の視認性を向上させることができる。
次に、本発明の挿入物のその他の実施形態を用いた穿刺針15について説明する。
本発明の第2の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図1に示す第1の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第2の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。第2の実施形態の穿刺針15によれば、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いるようにしたので、樹脂部材17における光拡散によって、樹脂部材17からより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。
次に、本発明の第3の実施形態の穿刺針15について説明する。上述した第1の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aの端面に半球形状の樹脂部材17を設けるようにしたが、第3の実施形態の穿刺針15は、光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17を設けるようにしたものである。
図5は、第3の実施形態の穿刺針15の断面図である。図5に示すように、第3の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17が設けられている。その他の構成については、第1の実施形態の穿刺針15と同様である。第3の実施形態の樹脂部材17も、樹脂部材17の材料の硬化前の液状のときに光ファイバ14の光出射端14aを浸して引き抜くことによって形成することができる。第2の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の先端近傍の側面14bまで樹脂部材17を設けるようにしたので、樹脂部材17の接着面積を広げることができ、接着力を強くすることができる。また、光ファイバ14の先端の角部を樹脂部材17によって保護することができる。
次に、本発明の第4の実施形態の穿刺針15について説明する。第4の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図5に示す第3の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第4の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として、第2の実施形態の穿刺針15と同様に、光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
次に、本発明の第5の実施形態の穿刺針15について説明する。図6は、第5の実施形態の穿刺針15の断面図である。第5の実施形態の穿刺針15は、光ファイバ14の光出射端14aの端面の研磨処理を粗い研磨処理としたものである。具体的には、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものである。光ファイバ14の光入射端は、光ファイバ14の光出射端14aとは反対側の一端である。なお、第5の実施形態の穿刺針15は、図6に示すように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さ以外の構成については、第1の実施形態の穿刺針15と同様である。研磨面が粗いことによるアンカー効果も樹脂部材17と光ファイバ14の接着力に寄与する。
光ファイバ14の光出射端14aと光入射端は、それぞれ異なる粒度の研磨粉を用いて研磨処理が施されることによって、異なる表面粗さに処理される。具体的には、光ファイバ14の光出射端14aは、たとえば3.0μm、12.0μmまたは30.0μmの粒度の研磨粉を仕上げに用いて研磨処理が行われる。また、光ファイバ14の光入射端は、光ファイバ14の光出射端14aよりも細かい粒度の研磨粉が用いられ、たとえば0.3μmや1.0μmの粒度の研磨粉が用いられて研磨処理が行われる。
第5の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の光出射端14aの端面を粗い研磨面としたので、その粗い研磨面による光拡散によって、樹脂部材17からより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。
次に、本発明の第6の実施形態の穿刺針15について説明する。第6の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図6に示す第5の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第6の実施形態の穿刺針15においては、第2の実施形態の穿刺針15と同様に、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
第6の実施形態の穿刺針15によれば、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いるようにしたので、樹脂部材17における光拡散によって、樹脂部材17からより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。
次に、本発明の第7の実施形態の穿刺針15について説明する。図7は、第7の実施形態の穿刺針15の断面図である。第7の実施形態の穿刺針15は、第5の実施形態の穿刺針15のように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものであるが、樹脂部材17を設ける範囲が異なる。第7の実施形態の穿刺針15は、第3の実施形態の穿刺針15と同様に、光ファイバ14の光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17を設けるようにしたものである。その他の構成については、第5の実施形態の穿刺針15と同様である。第7の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の先端近傍の側面14bまで樹脂部材17を設けるようにしたので、樹脂部材17の接着面積を広げることができ、接着力を強くすることができる。また、光ファイバ14の先端の角部を樹脂部材17によって保護することができる。また、研磨面が粗いことによるアンカー効果も接着力に寄与する。
次に、本発明の第8の実施形態の穿刺針15について説明する。第8の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図7に示す第7の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第8の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として、第6の実施形態の穿刺針15と同様に、光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
次に、本発明の第9の実施形態の穿刺針15について説明する。第1の実施形態の穿刺針15においては、光音響波発生部16を形成する材料を光ファイバ14の光出射端14aに供給して光音響波発生部16を形成しながら、その材料の接着力によって、光音響波発生部16および光ファイバ14の先端部分を穿刺針本体15aの内壁に固定するようにしたが、第9の実施形態の穿刺針15は、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、接着剤である合成樹脂によって穿刺針本体15aの内壁に固定するようにしたものである。
図8は、第9の実施形態の穿刺針15の断面図である。第9の実施形態の穿刺針15の製造方法としては、まず、光ファイバ14の光出射端14aに光音響波発生部16を形成する。そして、その後、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針本体15aの中空部15c内に挿入して、光音響波発生部16を所望の位置に配置する。そして、光音響波発生部16に対して接着剤樹脂18を供給し、硬化させる。接着剤樹脂18としては、熱硬化樹脂および光硬化樹脂を用いることができるが、処理工程がより簡略な光硬化樹脂を用いることが好ましい。光硬化樹脂としては、たとえば可視光の照射によって硬化する樹脂または紫外光の照射によって硬化する樹脂を用いることができる。
このように光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針本体15aの中空部15c内に挿入して、光音響波発生部16を接着剤樹脂18によって固定するようにすれば、光ファイバ14を穿刺針本体15aの中空部15cに挿入する際、光ファイバ14の光出射端14aが光音響波発生部16によって保護されているので、光ファイバ14の光出射端14aが、穿刺針本体15aにおける光ファイバ14の挿入口または内壁に衝突することによって欠けるのを防止することができる。
なお、第9の実施形態の穿刺針15の樹脂部材17などのその他の構成については、第1の実施形態の穿刺針15と同様である。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次、本発明の第10の実施形態の穿刺針15について説明する。第10の実施形態の穿刺針は、その構成については、図8に示す第9の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第10の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第11の実施形態の穿刺針15について説明する。第11の実施形態の穿刺針15は、第9の実施形態の穿刺針15とは樹脂部材17を設ける範囲が異なる。第11の実施形態の穿刺針15は、光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17を設けるようにしたものである。
図9は、第11の実施形態の穿刺針15の断面図である。図9に示すように、第11の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17が設けられている。その他の構成については、第9の実施形態の穿刺針15と同様である。第11の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の先端近傍の側面14bまで樹脂部材17を設けるようにしたので、樹脂部材17の接着面積を広げることができ、接着力を強くすることができる。また、光ファイバ14の先端の角部を樹脂部材17によって保護することができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第12の実施形態の穿刺針15について説明する。第12の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図9に示す第11の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第12の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として、第10の実施形態の穿刺針15と同様に、光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第13の実施形態の穿刺針15について説明する。図10は、第13の実施形態の穿刺針15の断面図である。第13の実施形態の穿刺針15は、図8に示す第9の実施形態の穿刺針15において、光ファイバ14の光出射端14aの端面の研磨処理を粗い研磨処理としたものである。具体的には、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものである。光ファイバ14の光入射端は、光ファイバ14の光出射端14aとは反対側の一端である。なお、第13の実施形態の穿刺針15は、図10に示すように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さ以外の構成については、第9の実施形態の穿刺針15と同様である。
光ファイバ14の光出射端14aと光入射端の研磨処理の方法については、第5の実施形態の穿刺針15と同様である。
第13の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の光出射端14aの端面を粗い研磨面としたので、その粗い研磨面による光拡散によって、樹脂部材17からより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第14の実施形態の穿刺針15について説明する。第14の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図10に示す第13の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第14の実施形態の穿刺針15においては、第2の実施形態の穿刺針15と同様に、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。第14の実施形態の穿刺針15によれば、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いるようにしたので、樹脂部材17における光拡散によって、樹脂部材17からより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第15の実施形態の穿刺針15について説明する。図11は、第15の実施形態の穿刺針15の断面図である。第15の実施形態の穿刺針15は、光ファイバ14の光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17を設けるようにしたものである。その他の構成については、第13の実施形態の穿刺針15と同様である。第15の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の先端近傍の側面14bまで樹脂部材17を設けるようにしたので、樹脂部材17の接着面積を広げることができ、接着力を強くすることができる。また、光ファイバ14の先端の角部を樹脂部材17によって保護することができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第16の実施形態の穿刺針15について説明する。第16の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図11に示す第15の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第16の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として、第14の実施形態の穿刺針15と同様に、光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第17の実施形態の穿刺針15について説明する。図12は、第17の実施形態の穿刺針15の断面図である。第17の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図1に示す第1の実施形態の穿刺針15と同様であるが、光音響波発生部16の材料が異なる。その他の構成は、第1の実施形態の穿刺針15と同様である。
第17の実施形態の穿刺針15の光音響波発生部16の材料としては、たとえば光ファイバ14によって導光されるレーザ光として近赤外光を用いる場合には、近赤外光を吸収し、紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料を含む紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を用いる。
近赤外光を吸収し、かつ紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料としては、たとえばCWO(セシウム酸化タングステン)、LaB6(六ホウ化ランタン)、ATO(アンチモン酸化スズ)およびITO(スズ酸化インジウム)などを用いることができる。図13は、CWO、LaB6、ATOおよびITOの光の透過特性を示す図である。また、その他に、TiO(酸化チタン)などのチタンブラックを用いるようにしてもよい。図14は、TiOの光の透過特性を示す図である。なお、図15においては、比較のため、カーボンブラックの光の透過特性も示している。また、紫外から青色までの波長の光の透過率が高いとは、紫外から青色までの波長帯域のうちの少なくとも一部の波長帯域に対して10%以上の透過率であればよい。なお、光の透過率は、上記顔料の樹脂への混合濃度を変えることで制御可能であり、光ファイバ14に塗布する厚みと同等の厚みをスライドガラスに塗布し、分光光度計などで透過率を測定し、決定することができる。また、硬化条件として紫外から青色までの波長の光の入射光量や入射時間を変えられるため、上記のような材料であれば近赤外における吸収率と硬化する波長における透過率のバランスを取れば良い。
このように、光音響波発生部16を形成する材料として、上述したような材料を用いることによって、光音響波発生部16の形成過程において、紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を効率的に硬化させることができる。
次に、本発明の第18の実施形態の穿刺針15について説明する。第18の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図12に示す第17の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第18の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
次に、本発明の第19の実施形態の穿刺針15について説明する。第19の実施形態の穿刺針15は、第17の実施形態の穿刺針15とは樹脂部材17を設ける範囲が異なる。第19の実施形態の穿刺針15は、光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17を設けるようにしたものである。
図15は、第19の実施形態の穿刺針15の断面図である。図15に示すように、第19の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17が設けられている。その他の構成については、第17の実施形態の穿刺針15と同様である。第19の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の先端近傍の側面14bまで樹脂部材17を設けるようにしたので、樹脂部材17の接着面積を広げることができ、接着力を強くすることができる。また、光ファイバ14の先端の角部を樹脂部材17によって保護することができる。
次に、本発明の第20の実施形態の穿刺針15について説明する。第20の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図15に示す第19の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第20の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として、第18の実施形態の穿刺針15と同様に、光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
次に、本発明の第21の実施形態の穿刺針15について説明する。図16は、第21の実施形態の穿刺針15の断面図である。第21の実施形態の穿刺針15は、光ファイバ14の光出射端14aの端面の研磨処理を粗い研磨処理としたものである。具体的には、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものである。光ファイバ14の光入射端は、光ファイバ14の光出射端14aとは反対側の一端である。なお、第21の実施形態の穿刺針15は、図16に示すように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さ以外の構成については、図12に示す第17の実施形態の穿刺針15と同様である。
光ファイバ14の光出射端14aと光入射端の研磨処理の方法については、第5の実施形態の穿刺針15と同様である。
第21の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の光出射端14aの端面を粗い研磨面としたので、その粗い研磨面による光拡散によって、樹脂部材17からより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。
次に、本発明の第22の実施形態の穿刺針15について説明する。第22の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図16に示す第21の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第22の実施形態の穿刺針15においては、第20の実施形態の穿刺針15と同様に、樹脂部材17の材料として光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
次に、本発明の第23の実施形態の穿刺針15について説明する。図17は、第23の実施形態の穿刺針15の断面図である。第23の実施形態の穿刺針15は、第21の実施形態の穿刺針15のように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものであるが、樹脂部材17を設ける範囲が異なる。第23の実施形態の穿刺針15は、光ファイバ14の光出射端14aの端面だけでなく、光ファイバ14の先端近傍の側面14bにも樹脂部材17を設けるようにしたものである。その他の構成については、第21の実施形態の穿刺針15と同様である。第23の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の先端近傍の側面14bまで樹脂部材17を設けるようにしたので、樹脂部材17の接着面積を広げることができ、接着力を強くすることができる。また、光ファイバ14の先端の角部を樹脂部材17によって保護することができる。また、研磨面が粗いことによるアンカー効果も接着力に寄与する。
次に、本発明の第24の実施形態の穿刺針15について説明する。第24の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図17に示す第23の実施形態の穿刺針15と同様であるが、樹脂部材17の材料が異なる。第24の実施形態の穿刺針15においては、樹脂部材17の材料として、第22の実施形態の穿刺針15と同様に、光拡散性を有する樹脂を用いる。光拡散性を有する樹脂としては、たとえば光拡散性を付与する分子を含む樹脂を用いることができる。具体的には、分子構造の不均一性により白濁した樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、紫外線硬化樹脂であるOG198−55(Epoxy Technology, Inc.製)を用いることができる。また、白色酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどの顔料を混合した熱硬化エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
なお、第17〜第24の実施形態の穿刺針15においては、光音響波発生部16の材料としては、近赤外光を吸収し、紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料を含む紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を用いるようにしたが、これに限らず、たとえば近赤外光を吸収し、可視光を透過する顔料を含む熱硬化樹脂を用いるようにしてもよい。可視光を透過するとは、可視光の波長帯域のうちの少なくとも一部の波長帯域に対して10%以上の透過率であればよい。近赤外光を吸収し、可視光を透過する顔料としては、たとえばCWO(セシウム酸化タングステン)、LaB6(六ホウ化ランタン)、ATO(アンチモン酸化スズ)、ITO(スズ酸化インジウム)およびTiO(酸化チタン)などのチタンブラックなどを用いることができる。
また、第1〜第24の実施形態の穿刺針15において、樹脂部材17の形状は、半球形状に限らず、その他の曲率を有する形状で形成するようにしてもよい。たとえば球形状に形成したり、楕円形状に形成するようにしてもよいし、先端部分に曲率を有する円錐形状に形成するようにしてもよい。
次に、本発明の第25の実施形態の穿刺針15について説明する。上記第1〜第24の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aに、曲率を有する形状の樹脂部材17を設けるようにしたが、これに限らず、光ファイバ14の光出射端14aを、曲率を有する形状に研磨するようにしてもよい。図18は、第25の実施形態の穿刺針15の断面図である。
第25の実施形態の穿刺針15においては、図18に示すように、光ファイバ14の光出射端14aが半球形状に研磨されている。そして、この半球形状に研磨された光出射端14aおよび光ファイバ14の先端近傍を覆うように光音響波発生部16が形成されている。その他の構成については、第1の実施形態の穿刺針15と同様である。
光ファイバ14によって導光された光は、半球形状の表面を有する光出射端14a全体から出射される。そして、半球形状の光出射端14aの表面全体から出射された光が光音響波発生部16に入射されるので、図18において矢印で示すように、光音響波の放射角度を広げることができる。これにより、超音波探触子11の光音響波の検出感度を向上させることができ、かつアーチファクトの発生を抑制することができる。
次に、本発明の第26の実施形態の穿刺針15について説明する。図19は、第26の実施形態の穿刺針15の断面図である。
第26の実施形態の穿刺針15は、光ファイバ14の光出射端14aの端面の研磨処理を粗い研磨処理としたものである。具体的には、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものである。光ファイバ14の光入射端は、光ファイバ14の光出射端14aとは反対側の一端である。なお、第26の実施形態の穿刺針15は、図19に示すように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さ以外の構成については、第25の実施形態の穿刺針15と同様である。すなわち、光ファイバ14の光出射端14aが半球形状を有する。
光ファイバ14の光出射端14aと光入射端の研磨処理の方法については、第5の実施形態の穿刺針15と同様である。
第26の実施形態の穿刺針15によれば、光ファイバ14の光出射端14aの端面を粗い研磨面としたので、その粗い研磨面による光拡散によって、光出射端14aからより広い角度で均一に光を出射させることができる。これにより光音響波発生部16において発生する光音響波の放射角度を広げることができる。
次に、本発明の第27の実施形態の穿刺針15について説明する。図20は、第27の実施形態の穿刺針15の断面図である。
上述した第25の実施形態の穿刺針15においては、光音響波発生部16を形成する材料を光ファイバ14の光出射端14aに供給して光音響波発生部16を形成しながら、その材料の接着力によって、光音響波発生部16および光ファイバ14の先端部分を穿刺針本体15aの内壁に固定する。これに対し、第27の実施形態の穿刺針15は、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、接着剤である合成樹脂によって穿刺針本体15aの内壁に固定するようにしたものである。
第27の実施形態の穿刺針15の製造方法としては、まず、光ファイバ14の光出射端14aに光音響波発生部16を形成する。そして、その後、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針本体15aの中空部15c内に挿入して、光音響波発生部16を所望の位置に配置する。そして、光音響波発生部16に対して接着剤樹脂18を供給し、硬化させる。接着剤樹脂18としては、熱硬化樹脂および光硬化樹脂を用いることができるが、処理工程がより簡略な光硬化樹脂を用いることが好ましい。光硬化樹脂としては、たとえば可視光の照射によって硬化する樹脂または紫外光の照射によって硬化する樹脂を用いることができる。
このように光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針本体15aの中空部15c内に挿入して、光音響波発生部16を接着剤樹脂18によって固定するようにすれば、光ファイバ14を穿刺針本体15aの中空部15cに挿入する際、光ファイバ14の光出射端14aが光音響波発生部16によって保護されているので、光ファイバ14の光出射端14aが、穿刺針本体15aにおける光ファイバ14の挿入口または内壁に衝突することによって欠けるのを防止することができる。
なお、第27の実施形態の穿刺針15のその他の構成については、第25の実施形態の穿刺針15と同様である。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第28の実施形態の穿刺針15について説明する。図21は、第28の実施形態の穿刺針15の断面図である。
第28の実施形態の穿刺針15は、第26の実施形態の穿刺針15と同様に、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものである。さらに、第27の実施形態の穿刺針15と同様に、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、接着剤樹脂18によって穿刺針本体15aの内壁に固定するようにしたものである。その他の構成については、第25の実施形態の穿刺針15と同様である。なお、接着剤樹脂18を使用せず、光音響波発生部16が設けられた光ファイバ14を、穿刺針15の開口15b近傍に配置したものでもよい。
次に、本発明の第29の実施形態の穿刺針15について説明する。図22は、第29の実施形態の穿刺針15の断面図である。第29の実施形態の穿刺針15は、その構成については、図18に示す第25の実施形態の穿刺針15と同様であるが、光音響波発生部16の材料が異なる。その他の構成は、第25の実施形態の穿刺針15と同様である。
第29の実施形態の穿刺針15の光音響波発生部16の材料としては、たとえば光ファイバ14によって導光されるレーザ光として近赤外光を用いる場合には、近赤外光を吸収し、紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料を含む紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を用いる。
近赤外光を吸収し、かつ紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料としては、たとえばCWO(セシウム酸化タングステン)、LaB6(六ホウ化ランタン)、ATO(アンチモン酸化スズ)、ITO(スズ酸化インジウム)およびTiO(酸化チタン)などのチタンブラックなどを用いることができる。
このように、光音響波発生部16を形成する材料として、上述したような材料を用いることによって、光音響波発生部16の形成過程において、紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を効率的に硬化させることができる。
なお、第29の実施形態の穿刺針15においては、光音響波発生部16の材料としては、近赤外光を吸収し、紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料を含む紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を用いるようにしたが、これに限らず、たとえば近赤外光を吸収し、可視光を透過する顔料を含む熱硬化樹脂を用いるようにしてもよい。可視光を透過するとは、可視光の波長帯域のうちの少なくとも一部の波長帯域に対して10%以上の透過率であればよい。近赤外光を吸収し、可視光を透過する顔料としては、たとえばCWO(セシウム酸化タングステン)、LaB6(六ホウ化ランタン)、ATO(アンチモン酸化スズ)、ITO(スズ酸化インジウム)およびTiO(酸化チタン)などのチタンブラックなどを用いることができる。
次に、本発明の第30の実施形態の穿刺針15について説明する。図23は、第30の実施形態の穿刺針15の断面図である。
第30の実施形態の穿刺針15は、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さが、光ファイバ14の光入射端の表面粗さよりも粗くなるように研磨処理を施したものである。光ファイバ14の光入射端は、光ファイバ14の光出射端14aとは反対側の一端である。なお、第30の実施形態の穿刺針15は、図23に示すように、光ファイバ14の光出射端14aの表面粗さ以外の構成については、第29の実施形態の穿刺針15と同様である。すなわち、光ファイバ14の光出射端14aが半球形状を有し、光音響波発生部16の材料として、近赤外光を吸収し、紫外から青色までの波長の光の透過率が高い顔料を含む紫外線硬化樹脂または光硬化樹脂を用いる。
また、第25〜第30の実施形態の穿刺針15において、光ファイバ14の光出射端14aは、半球形状に限らず、その他の曲率を有する形状で形成するようにしてもよい。たとえば先端部分に曲率を有する円錐形状に形成するようにしてもよい。
次に、本発明の第31の実施形態の穿刺針15について説明する。図24は、第31の実施形態の穿刺針15の穿刺針本体15aの先端部近傍の構成を示す図である。図24Iは、穿刺針本体15aの長さ方向に伸びる中心軸を含む断面図を示しており、図24IIは、穿刺針本体15aの開口15b側を上側とした場合における上面図である。図24Iおよび図24IIに示すように、第31の実施形態の穿刺針本体15aの中空部15cを形成する壁部15dには貫通孔15eが形成されている。
貫通孔15eは、穿刺針本体15aの中空部15cから穿刺針本体15aの外側まで貫通する孔であり、高精度なレーザ加工によって形成されることが望ましい。本実施形態においては、貫通孔15eは円形で形成されている。貫通孔15eの径は、光音響波の伝搬効率、光音響波発生部16の固定および穿刺針本体15aの強度の観点から、光ファイバの径よりも大きい方が好ましく、80μm以上、かつ穿刺針15の中空部15cの直径の30%〜60%程度であることが望ましい。
また、貫通孔15eの中心Cは、穿刺針本体15aの先端近傍であることが好ましい。穿刺針本体15aの先端近傍とは、光音響波発生部16が貫通孔15eの位置に配置された場合に、穿刺作業に必要な精度で穿刺針15の先端の位置を画像化できる光音響波を発生可能な位置である。貫通孔15eの中心Cは、開口15b内にあり、かつたとえば穿刺針本体15aの先端から0.2mm〜2mmの範囲内となるであることが好ましい。
また、貫通孔15eは、穿刺針本体15aの中空部15cを形成する壁部15dのうち、穿刺針本体15aの最先端の位置Pを通り、穿刺針本体15aの長さ方向に伸びる直線L上に形成することが望ましい。さらに、上記直線L上に貫通孔15eの中心Cが位置することがより好ましい。
なお、本実施形態においては、貫通孔15eを円形としたが、これに限らず、穿刺針15の長さ方向に延びる楕円形としてもよい。また、貫通孔15eの形状は、正方形、穿刺針15の長さ方向に延びる長方形、円形と正方形との間の形状、または楕円形と長方形との間の形状などとしてもよい。また、貫通孔15eは、テーパ状に形成するようにしてもよい。すなわち、貫通孔15eの穿刺針本体15aの内壁側の開口よりも外壁側の開口の方が大きくなるようにしてもよい。
図25は、図24に示す穿刺針本体15aに対して、第1の実施形態の穿刺針15と同様に、樹脂部材17を有する光ファイバ14および光音響波発生部16を設けた穿刺針15の構成を示す図である。図25Iは、穿刺針15の長さ方向に伸びる中心軸を含む断面図を示しており、図25IIは、穿刺針15の開口15b側を上側とした場合における上面図である。
図25Iおよび図25IIに示すように、第31の実施形態の穿刺針15においては、穿刺針本体15aの貫通孔15eの上方に光ファイバ14の光出射端14aおよび樹脂部材17が配置され、樹脂部材17および光ファイバ14の先端近傍を覆うように、光音響波発生部16が設けられている。
図25に示す穿刺針15において、貫通孔15e、光音響波発生部16および樹脂部材17の位置は、図25Iに示すように、光音響波発生部16が穿刺針15の研磨面15fから飛び出ないように、穿刺針15の内側に配置されているが、実際上の配置としては研磨面15fから飛び出ない範囲で、できるだけ穿刺針15の先端近くに配置することが好ましい。
なお、第31の実施形態の穿刺針15は、その他の構成については、第1の実施形態の穿刺針15と同様である。
第31の実施形態の穿刺針15の製造方法としては、まず、穿刺針本体15aの中空部15c内に光ファイバ14を挿入して、光ファイバ14の光出射端14aに設けられた樹脂部材17を貫通孔15e上に配置する。その後、樹脂部材17に対して光音響波発生部16を形成する材料を供給しながら、かつ貫通孔15eを上記材料によって充填し、充填後に上記材料を硬化させる。
上述したように貫通孔15eに対して光音響波発生部16を固定することによって、光音響波発生部16において発生した光音響波を、開口15bからだけでなく、貫通孔15eから穿刺針15の外側に向けて出射させることができ、穿刺針15の開口15b側とは反対の面側において効率良く光音響波を伝搬させることができる。したがって、超音波探触子11に対して開口15bが反対向きであっても貫通孔15eからの光音響波を検出できるため穿刺針15の先端を感度良く検出することができる。
また、光音響波発生部16において発生した光音響波が、中空部15cを形成する壁部15dの内壁によって反射されることなく貫通孔15eから出射されるので、上述した穿刺針15内部の金属面(内壁)によって反射された光音響波に起因するアーチファクトの発生を抑制することができる。
また、光音響波発生部16を形成する材料を貫通孔15eまで充填させて硬化させることによってアンカー効果を得ることができ、光音響波発生部16の固定を強化させることができる。
また、上記第31の実施形態の穿刺針15においては、穿刺針本体15aに1つの貫通孔15eを設けるようにしたが、これに限らず、複数の貫通孔を設けるようにしてもよい。図26は、2つの貫通孔を穿刺針本体に設けた穿刺針の一実施形態を示したものである。図26Iは、2つの貫通孔15eを有する穿刺針15の長さ方向に伸びる中心軸を含む断面図を示しており、図26IIは、図26Iに示す穿刺針15を矢印Y方向から見た図である。
図26に示す穿刺針15においては、貫通孔15eは、穿刺針本体15aの対向する位置に設けられている。そして、2つの貫通孔15eのうちの一方の貫通孔15eに対して、光音響波発生部16および樹脂部材17が配置されている。
図26に示す穿刺針15の製造方法としては、穿刺針本体15a内に光ファイバ14を挿入し、光音響波発生部16が設けられる側の貫通孔15e(以下、第1の貫通孔15eという)とは反対側の貫通孔15e(以下、第2の貫通孔15eという)から樹脂部材17の位置を確認しながら、第1の貫通孔15e上に樹脂部材17が配置される。そして、第2の貫通孔15eから樹脂部材17に対して光音響波発生部16を形成する材料を供給しながら、かつ第1の貫通孔15eを上記材料によって充填し、充填後に上記材料を硬化させる。
図26に示す穿刺針15のように、2つの貫通孔15eを設けることによって、2つの貫通孔15eから光音響波を伝搬させることができる。したがって、第1の貫通孔15eまたは第2の貫通孔15eのどちらが超音波探触子11側に位置していてもいずれかの貫通孔15eからの光音響波を検出できるため穿刺針15の先端を感度良く検出することができる。
なお、図26に示す穿刺針15においては、2つの貫通孔15eを設けるようにしたが、2つに限らず、直交する方向について4つの貫通孔を設けるようにしてもよい。
なお、第31の実施形態の穿刺針15は、第1の実施形態の穿刺針15の穿刺針本体15aに貫通孔15eを設けた例であるが、第2〜第30の実施形態の穿刺針15においても、第31の実施形態の穿刺針15と同様に、穿刺針本体15aに貫通孔15eを形成し、その貫通孔15eの上方に樹脂部材17または研磨された光ファイバの光出射端14aを配置し、樹脂部材17または研磨された光ファイバの光出射端14aを覆うように光音響波発生部16を形成するようにしてもよい。また、第2〜第30の実施形態の穿刺針15においても、複数の貫通孔15eを形成するようにしてもよい。
また、上記第5の実施形態の穿刺針15のように、光ファイバ14の光出射端14aを粗く研磨した穿刺針15においては、図27に示すように、光ファイバ14の光出射端14aと樹脂部材17との間に、プライマ層19を形成することが好ましい。プライマ層19は、光ファイバ14の光出射端14aと樹脂部材17とを接着し易くする接着層であり、光ファイバ14の光出射端14aと樹脂部材17との両方に接着性を有する材料から形成される層である。このようにプライマ層19を形成することによって、光ファイバ14と樹脂部材17との接着性を向上させることができる。
また、上記第5の実施形態の穿刺針15と同様に光ファイバ14の光出射端14aを粗く研磨した第6〜第8、第13〜第16、第21〜第24の実施形態の穿刺針15においても、光ファイバ14の光出射端14aと樹脂部材17との間に、プライマ層19を形成することが好ましい。
また、第5〜第8、第13〜第16、第21〜第24の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aに粗い研磨処理を施した直後に、樹脂部材17またはプライマ層19を形成することが好ましい。
また、上記第26の実施形態の穿刺針15のように、光ファイバ14の光出射端14aを半球形状に研磨し、かつその表面を粗く研磨した穿刺針15において、図28に示すように、光ファイバ14の光出射端14aと光音響波発生部16との間に、プライマ層20を形成することが好ましい。プライマ層20は、光ファイバ14の光出射端14aと光音響波発生部16とを接着し易くする接着層であり、光ファイバ14の光出射端14aと光音響波発生部16との両方に接着性を有する材料から形成される層である。このようにプライマ層20を形成することによって、光ファイバ14と光音響波発生部16との接着性を向上させることができる。
また、上記第26の実施形態の穿刺針15と同様に光ファイバ14の光出射端14aを粗く研磨した第28および第30の実施形態の穿刺針15においても、光ファイバ14の光出射端14aと光音響波発生部16との間に、プライマ層20を形成することが好ましい。
また、第26、第28および第30の実施形態の穿刺針15においては、光ファイバ14の光出射端14aに粗い研磨処理を施した直後に、光音響波発生部16またはプライマ層20を形成することが好ましい。
なお、上記実施形態では、挿入物として穿刺針15を考えたが、これには限定されない。挿入物は、内部にラジオ波焼灼術に用いられる電極を収容するラジオ波焼灼用針であってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルであってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルのガイドワイヤであってもよい。特に、カテーテルにおいては管の先端部は鋭利である必要はなく、先端部は樹脂部材が出ない程度の位置で直角にカットされていればよい。また、カテーテルの先端部が光音響波を発生する樹脂で埋められている代わりに側方部に液注入用の穴あるいは弁の役割を兼ねるスリットが追加されていてもよい。
また、本発明の挿入物は、注射針のような針には限定されず、生体検査に用いられる生検針であってもよい。すなわち、生体の検査対象物に穿刺して検査対象物中の生検部位の組織を採取可能な生検針であってもよい。その場合には、生検部位の組織を吸引して採取するための採取部(吸入口)において光音響波を発生させればよい。また、針は、皮下および腹腔内臓器など、深部までの穿刺を目的とするガイディングニードルとして使用されてもよい。また、内視鏡内を経て、鉗子口から出る針に用いてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の挿入物および光音響計測装置は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。