JP6779510B2 - フィブロイン複合体、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィブロイン複合体、及びその製造方法に関する。
タンパク質、糖類等の生物由来物質を利用して作製する多孔質体は、エステティックサロン又は個人での使用による保湿等を目的とした化粧品及びエステ分野、創傷被覆材、薬剤徐放担体、及び癒着防止材等の医療分野、紙おむつ及び生理用品等の生活日用品分野、組織工学及び再生医療工学等における細胞培養支持体(足場材料)及び組織再生支持体等、並びに微生物及び細菌等の住処になる支持体として活用しうる浄水分野など、産業上幅広い分野で利用される。
これら多孔質体を構成する生体由来物質としては、セルロース、キチン等の糖類、シルクフィブロイン等のフィブロイン、コラーゲン、ケラチンなどのタンパク質群が知られている。
これらの生体由来物質のうち、タンパク質としては、コラーゲンが最も利用されてきたが、いわゆるBSE問題が発生してから牛由来のコラーゲンを利用することが非常に難しくなってきた。また、ケラチンは、羊毛、羽毛等から得ることができるが、原料入手に問題があり、工業的に利用することは難しい。一方、シルクフィブロイン等のフィブロインは、原料入手の観点からは、安定に供給されることが期待でき、さらに価格も安定しているので、工業的に利用しやすいという特長を有している。
フィブロインの中でもシルクフィブロインは、衣類用途以外に、手術用縫合糸として長く使用されてきた実績があり、また現在では食品及び化粧品の添加物としても利用され、人体に対する適合性にも問題がないことから、上記のような多孔質体の利用分野に利用することに十分適用可能である。
フィブロインの多孔質体を作製する手法、例えば、シルクフィブロイン多孔質体を作製する手法については、いくつか報告がある。シルクフィブロイン水溶液を急速冷凍した後、結晶化溶媒に浸漬し、融解と結晶化を同時進行することによって得る方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、この方法は結晶化溶媒である有機溶媒を大量に使用する必要があり、さらに溶媒の残留の可能性も否定できないため、医療分野等の上記した応用分野での使用には問題がある。
また、シルクフィブロイン水溶液のpHを6以下に保持してゲル化、又はその水溶液に貧溶媒を添加してゲル化させて、得られたゲルを凍結乾燥するシルクフィブロイン多孔質体の製造方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法は十分な強度をもった多孔質体を得ることはできず、また溶媒を用いるため、上記特許文献1と同様の問題を招来する。
シルクフィブロイン水溶液を冷凍した後に長時間凍結状態を維持することで多孔質体を製造する手法も報告されている(特許文献3)。しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献3に開示される手法では多孔質体が得られず、再現性に問題がある。
一方、上記のシルクフィブロイン多孔質体の作製手法と比較して、確実で簡便な手法が報告されている(特許文献4、及び非特許文献1)。これらの文献には、シルクフィブロイン水溶液に対して少量の水溶性有機溶媒を添加した後に、一定時間冷凍して、その後融解することによって、高含水率を有し、かつ力学的強度に優れたハイドロゲルが得られることが記載されている。
また、特許文献5には、シルクフィブロイン水溶液に対して少量の脂肪族カルボン酸を添加した後に、一定時間凍結させて、その後融解する、上記の特許文献4、及び非特許文献1に記載される手法よりも、さらに高強度のシルクフィブロイン多孔質体を製造する方法が提案されている。
特開平8−41097号公報 特公平6−94518号公報 特開2006−249115号公報 特許第3412014号公報 国際公開第2010/116994号パンフレット
Biomacromolecules,6,3100−3106(2005)
上記の各種用途の中でも、化粧品及びエステ分野におけるフェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材、医療分野における指、肘、膝等の人体の稼動部への貼り付けが想定される創傷被覆材、組織工学及び再生医療工学等の医療分野における細胞培養支持体(足場材料)等の用途においては、シルクフィブロイン多孔質体を薄くして用いる場合が多いため、他の用途に比べて、とりわけ引張強さ、引裂き強さといった機械的強度が要求される。しかしながら、特許文献5に開示される製法によって得られるシルクフィブロイン多孔質体によっても十分に対応できない場合があった。
種々の用途に応じて厚さを薄くしながら対応しようとする場合、シルクフィブロイン多孔質体自体の機械的強度を向上させて対応する手法がある。しかし、そのような手法では該多孔質体の構造、質感の変化を伴うことがほとんどであり、人体に直接接触する用途に適さないため、機械的強度を劇的に向上させることは望めないという問題がある。
そこで、本発明は、フィブロイン多孔質体の優れた吸水性、柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、機械的強度にも優れるフィブロイン複合体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
1.繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有するフィブロイン複合体。
2.フィブロイン多孔質体がグリセリンを含む上記1に記載のフィブロイン複合体。
3.繊維支持体の厚さが1〜2000μmである上記1又は2に記載のフィブロイン複合体。
4.繊維支持体がコットン、レーヨン、及びシルクから選ばれる少なくとも一種の素材により構成されるものである上記1〜3のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
5.繊維支持体が不織布である上記1〜4のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
6.熱可塑性樹脂の融点が60〜150℃である上記1〜5のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
7.接着層の厚さが1〜2000μmである上記1〜6のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
8.スキンケア材料に用いられる上記1〜7のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
9.繊維支持体と、熱可塑性樹脂を含む材料と、フィブロイン多孔質体とを、加熱し、圧着させる、繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有するフィブロイン複合体の製造方法。
10.熱可塑性樹脂の融点が60〜150℃である上記9に記載のフィブロイン複合体の製造方法。
11.繊維支持体の厚さが1〜2000μmである上記9又は10に記載のフィブロイン複合体の製造方法。
本発明によれば、フィブロイン多孔質体の優れた吸水性、柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、機械的強度にも優れるフィブロイン複合体を得ることができる。
本発明のフィブロイン複合体の構造を示す模式図である。 引裂き力の中央値の求め方を示す図である。 本発明の複合体に使用するシルクフィブロイン多孔質層の全反射赤外吸収スペクトルの一例である。 製造例1で作製したシルクフィブロイン多孔質体の凍結破砕面の走査型電子顕微鏡像である。 実施例3で作製したシルクフィブロイン複合体断面の走査型電子顕微鏡像である。 実施例6で作製したシルクフィブロイン複合体断面の走査型電子顕微鏡像である。
〔フィブロイン複合体〕
本発明のフィブロイン複合体は、繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有するものである。図1は本発明のシルクフィブロイン複合体の構造を示す模式図であり、繊維支持体11、熱可塑性樹脂を含む接着層12、及びフィブロイン多孔質体13を順に有するフィブロイン複合体10が示されている。繊維支持体11とシルクフィブロインフィブロイン多孔質体13とは、接着層12を構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融し、接着力を発現することで、接着されている。
(フィブロイン多孔質体)
フィブロイン多孔質体は、フィブロインにより構成される多孔質体であれば特に制限はなく、優れた吸水性、柔軟性、肌触り等の質感を得る観点からシルクフィブロインを用いたシルクフィブロイン多孔質体であることが好ましい。フィブロイン多孔質体の製造は、例えば、フィブロイン水溶液に水溶性有機溶媒及び脂肪族カルボン酸から選ばれる少なくとも一種の添加剤を添加したフィブロイン水溶液を凍結し、次いで溶解して得る手法を採用することが、形状安定性、強度、及び効率的に得る観点から好ましい。
フィブロインとしては、家蚕、野蚕、天蚕等の天然蚕、トランスジェニック蚕から産生されるシルクフィブロイン等が挙げられる。特に製造工程の簡便性を考慮すると、家蚕の繭から得られるシルクフィブロインが好ましい。
以下、フィブロインとして好ましいシルクフィブロインを例にとって説明する。
シルクフィブロインを水に溶解させる手法については特に制限はなく、例えば、シルクフィブロインは水への溶解性が低いため、高濃度の臭化リチウム水溶液にシルクフィブロインを溶解後、透析による脱塩を行って得る方法が好適に挙げられる。また、シルクフィブロイン水溶液中のシルクフィブロインの濃度調整の方法としては、風乾による濃縮を経る手法が簡便で好ましい。
シルクフィブロインの含有量は、添加剤を加えた場合、シルクフィブロイン水溶液中で0.5〜40wt/vol%が好ましく、1〜20wt/vol%がより好ましく、1〜10wt/vol%がさらに好ましい。フィブロインの含有量が上記の範囲内であると、より質感に優れた多孔質体が得られる。
本発明で用いられる添加剤としては、水溶性有機溶媒及び脂肪族カルボン酸から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類のほか、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、アセトン、アセトニトリルなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。人体への適合性を考慮すると、エタノール、グリセリンがより好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、少なくとも分子中に一つのカルボキシ基を有する有機酸であれば特に制限はないが、例えばモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類などが挙げられる。カルボン酸類としては、炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸がより好ましく、炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸がさらに好ましい。これらの脂肪族カルボン酸は飽和であってもよく、不飽和であってもよい。
このようなカルボン酸として、具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、アクリル酸、2−ブテン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸等のジカルボン酸などが好ましく挙げられる。これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。人体への適合性を考慮すると、酢酸、乳酸、コハク酸がより好ましい。これらの添加剤は単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
シルクフィブロイン水溶液中における前記添加剤の含有量は、0.01〜18体積%が好ましく、0.1〜5体積%がより好ましく、0.5〜3体積%がさらに好ましい。添加剤の含有量が上記範囲内であると、溶液のゲル化がより生じにくくなり、またより優れた強度を有するシルクフィブロイン多孔質体を製造できる。
シルクフィブロイン水溶液の凍結は、シルクフィブロイン水溶液に添加剤を加えた溶液を容器に流し込み、該容器を液冷式の低温恒温槽中に入れることで行うことが好ましい。
凍結温度としては、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液が凍結する温度であれば特に制限はないが、−1〜−40℃が好ましく、−5〜−40℃がより好ましく、−10〜−30℃がさらに好ましい。凍結時間としては、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液が十分に凍結し、かつ凍結状態を一定時間保持できるよう、30分以上が好ましく、2時間以上が好ましく、4時間以上がさらに好ましい。また、特に−25〜−15℃の温度条件下、30分〜100時間保持することが、多孔質体を再現良く形成する観点から好ましい。
ここで、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を一気に凍結温度まで下げて凍結してもよいが、凍結の前に過冷却状態を経ることが、均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体を得る上で好ましい。例えば、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を一旦、−2〜−10℃程度で1〜5時間程度保持して、その後、前記凍結温度まで下げて凍結することで、均一な構造のシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。
上記の手法でシルクフィブロイン水溶液を凍結させた後、次いで融解することによって、シルクフィブロイン多孔質体が得られる。融解の方法としては、特に制限はなく、自然融解、恒温槽での保管等が挙げられる。
上記のようにして得られたシルクフィブロイン多孔質体には添加剤が残存する。残存する添加剤は用途に応じてそのままの状態としてもよいし、除去してもよい。添加剤をシルクフィブロイン多孔質体から除去する方法としては、例えば、シルクフィブロイン多孔質体を、純水中に浸漬して除去することが最も簡便な方法として挙げられる。
また、このようにして得られたシルクフィブロイン多孔質体は吸水した状態である。本発明において、複合体を得るにあたり乾燥したシルクフィブロイン多孔質体を使用する場合には、吸水状態のシルクフィブロイン多孔質体を乾燥すればよい。
シルクフィブロイン多孔質体の乾燥の手法としては特に制限は無いが、収縮を抑えるという意味で凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥の場合、水分を完全に昇華させずに乾燥を終えると、残った水分の表面張力の影響で空孔が潰れてしまうため、水分が完全に昇華するまで乾燥することが好ましい。
乾燥したシルクフィブロイン多孔質体(乾燥シルクフィブロイン多孔質体)は、水分が実質的に含まれないものである。シルクフィブロイン多孔質体は、シルクフィブロイン水溶液を凍結し、融解して得られるので、通常、細孔部に水分等が存在した状態となっている。通常のシルクフィブロイン多孔質体と乾燥シルクフィブロイン多孔質体とは、細孔部に水等が存在する量の点で状態は異なるものとなる。
また、凍結乾燥の際、予めシルクフィブロイン多孔質体をグリセリン水溶液に浸漬する、又はシルクフィブロイン水溶液に混合する添加剤の水溶性有機溶媒としてグリセリンを採用することが、乾燥時のひび割れを防止するとともに、乾燥後にも柔軟で、より質感に優れる多孔質体を得る観点から好ましい。
この場合、シルクフィブロイン多孔質体を浸漬するグリセリン水溶液におけるグリセリンの濃度は、シルクフィブロイン多孔質体を形成する際に使用したシルクフィブロイン水溶液中のシルクフィブロインの濃度(wt/vol%)を1とした場合、0.2〜2.5が好ましく、0.25〜2がより好ましく、0.25〜1.2がさらに好ましい。グリセリン濃度を上記範囲内に設定することで、より質感に優れ、ひび割れの無い乾燥シルクフィブロイン多孔質体が得られる。従って、本発明においては、フィブロイン多孔質体はグリセリンを含有することが好ましい。
乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量は20〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。多孔質体中のグリセリンの含有量をこの範囲とすることで乾燥シルクフィブロイン多孔質体に適度な柔軟性を付与することができる。
乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量(質量%)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
シルクフィブロイン多孔質体は、添加剤を加えたシルクフィブロイン水溶液を流し込む容器を適宜選択することにより、シート状、ブロック状、管状等、目的に応じた形状とすることができるが、繊維支持体との接着が簡便に行えることから平滑な面を有する形状のものが好ましい。
また、原料として用いるシルクフィブロイン、添加剤の種類、添加剤の添加量等により、シルクフィブロイン多孔質体の内部構造、固さ等を調整することができる。このようにして、種々の固さを有するシート状、ブロック状のシルクフィブロイン多孔質体を得ることができる。
本発明で用いられるシルクフィブロイン多孔質体の平均細孔径は、1〜500μmが好ましく、5〜300μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましい。平均細孔径が上記範囲内であると、より優れた肌触りが得られる。また再生医療向けの細胞培養支持体(足場材料)としての用途を考慮した場合、細胞がより細孔内に入りやすくなる。
ここで、多孔質体の平均細孔径は、多孔質体断面の走査型電子顕微鏡写真を5枚撮影し、さらに異なる日に作製した多孔質体断面の走査型電子顕微鏡写真を5枚撮影し、それら10枚の走査型電子顕微鏡写真を、画像解析ソフトを用いて画像処理し、算出した細孔径の平均値である。
本発明で用いられるシルクフィブロイン多孔質体の空孔率は、80〜99%が好ましく、90〜99%がより好ましく、94〜98%がさらに好ましい。空孔率が上記範囲内であると、多孔質体が適度な硬さを有するため肌触りがより良好となり、また機械的強度が良好となりハンドリングが容易となる。
ここで空孔率は、得られた多孔質体を純水中に1日静置し完全に吸水させ、秤量した後(湿重量)、凍結乾燥して多孔質体中の水分を完全に除去し、再度秤量した(乾燥重量)。水の密度を1g/cm3、フィブロインの密度を1.2g/cm3、含水状態のフィブロイン多孔質体の密度を1g/cm3と仮定し、次式に従ってシルクフィブロイン多孔質体の空孔率の測定を行って得られた値である。
空孔率=(湿重量−乾燥重量/1.2)/湿重量×100
本発明の複合体の多孔質体の大きさ、厚さに特に制限は無く、用途に応じて適切な大きさ、厚さのものを使用すればよい。具体的には例えばフェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材の場合は、0.2〜1mm程度のものを使用することが好ましい。
(繊維支持体)
本発明で用いられる繊維支持体は、繊維からなる支持体であれば特に制限はなく、その形態としては、例えば、不織布、織布、フェルト、メッシュ等が好ましく挙げられる。
繊維支持体の素材も特に制限はないが、フェイスマスク、アイマスク等のスキンケア材料、創傷被覆材、再生医療用の細胞培養支持体(足場材料)などの吸水性が求められる用途への応用、及び製造上の取扱い易さの観点から、シルク、コットン、レーヨン等の素材が好ましい。本発明で用いられる繊維支持体としては、より具体的には、シルク、コットン、及びレーヨンの少なくとも1種の素材により構成される、不織布、織布、及びメッシュ等が好ましく挙げられ、中でもスパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布が好ましい。
繊維支持体の目付けには特に制限は無いく、用途に応じて適宜選択すればよいが、10〜200g/mが好ましく、10〜100g/mがより好ましく、10〜75g/mがさらに好ましい。支持体の目付けが上記範囲内であると、より優れた強度、柔軟性、及び多孔質体との良好な接着性が得られる。
繊維支持体の大きさ、厚さには特に制限は無く、用途に応じて適切な大きさ、厚さのものを使用すればよい。繊維支持体の厚さとしては、機械的強度に優れ、複合体の質量が用途に応じた適切な範囲内となり、かつ曲げにくくならない等のより優れた使用感を得る観点から、1〜2000μmが好ましく、10〜1000μmがより好ましく、50〜700μmがさらに好ましい。
(接着層)
接着層は、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とを接着する層であり、熱可塑性樹脂を含む層である。接着層は、例えば、熱可塑性樹脂単体、もしくは熱可塑性樹脂を含む組成物、又はこれらにより形成される層状の材料等の熱可塑性樹脂を含む材料を用いて形成することができる。
接着層に用いられる熱可塑性樹脂には特に制限はなく、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール(ブチラール樹脂);ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、用途のことを考慮すると水溶性を有しないものが好ましく、また形態安定性をも考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂等が好ましく、また生体親和性を考慮するとポリ乳酸も好ましい。
熱可塑性樹脂の融点には特に制限はないが、60〜250℃が好ましく、70〜200℃がより好ましく、80〜150℃がさらに好ましい。熱可塑性樹脂の融点が上記範囲内であると、本発明のフィブロイン複合体の製造方法において、加熱し、圧着させる際に、フィブロイン多孔質体の変色、フィブロインの分解等をより抑制できる。
接着層の形成に、熱可塑性樹脂を含む材料として、熱可塑性樹脂単体又は熱可塑性樹脂を含む組成物を用いる場合は、樹脂単体又は樹脂組成物を、繊維支持体、フィブロイン多孔質体の少なくとも一方の全面にわたって塗布してもよいし、一部に塗布してもよいし、また、スパンボンド法、メルトブロー法等によって不織布状に塗布してもよい。
接着層の形成に、熱可塑性樹脂を含む材料として、熱可塑性樹脂単体又は熱可塑性樹脂により形成される層状の材料を用いる場合、層状の材料としては、例えば、樹脂単体又は樹脂組成物により形成されるフィルム状の材料、不織布状の材料、織布状の材料、フェルト状の材料、メッシュ状の材料等の、繊維部分が少なくとも一部に存在する構成を有する繊維状材料などが挙げられる。また、上記の層状の材料であって、素材の特性に起因しない穴が開いた材料等も挙げられる。
接着層の形成に、層状の材料を用いる場合、該材料を加熱し、溶融状態として接着力を発現させて、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とを接着させることになるため、上記のうち何を採用するかにより、接着層の形態が異なり、得られるフィブロイン複合体の特性に相違が生じる。
例えば、フィルム状の材料を用いる場合、例えば、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とを、加熱、圧着して接着した後もそのままフィルム状となる。樹脂単体又は樹脂組成物を全面にわたって塗布して接着層を形成する場合は、このフィルム状の接着層となる。
フィルム状の材料であって、穴が開いた材料を用いる場合、接着層は該穴に対応した穴を有するフィルム状となる。樹脂単体又は樹脂組成物を一部に塗布して接着層を形成する場合は、この穴を有するフィルム状の接着層となる。
一方、不織布状、織布状、メッシュ状、及びフェルト状等の繊維状材料を用いると、該材料の繊維密度の高低により接着層の形態は異なる。繊維密度が低いものを用いた場合は、接着層は穴のあいたフィルム状となる。また、繊維密度が高い繊維状材料を用いる場合、穴の無いフィルム状となる。組成物をスパンボンド法、メルトブロー法等によって不織布状に塗布する場合は、不織布状、織布状、メッシュ状、及びフェルト状等の繊維状材料を用いた場合と同じである。
また、繊維状材料の加熱圧着の条件(例えば、加熱温度、加圧条件)の調整により、接着層を、不織布状、織布状、メッシュ状、フェルト状等の繊維部分が一部残った層とすることもできる。
接着層が、穴のあいたフィルム状となる場合、穴の無いフィルム状となる場合と比較して、引張強さには劣るものの、通水性及び通気性には優れるという利点を有する。また、繊維状材料を用いた場合、接着層の厚さは通常薄くなる。
本発明においては、種々の形態の接着層の特徴を考慮し、所望の用途に求められる特性に応じて、接着層の形態、材料、及び加熱圧着の条件を選択することができる。
繊維状材料を構成する熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径としては、特に制限はないが、より優れた質感を得る観点から、1〜50μmが好ましく、1〜30μmがより好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径は、電子顕微鏡(300倍)を用いて、熱可塑性樹脂不織布の任意の箇所に存在する熱可塑性樹脂繊維30本の繊維の幅(直径)を測定し、得られた各測定結果の値を平均することで測定することができる。
上記の平均繊維径を有する熱可塑性樹脂繊維は、例えば、メルトブロー法で不織布を形成することで簡便に得ることができる。
接着層を形成する熱可塑性樹脂を含む層状の材料の大きさ、及びその厚さには特に制限はなく、用途に応じて適切な大きさ、厚さを選定すればよい。
該層状の材料の厚さとしては、機械的強度に優れ、複合体の質量が用途に応じた適切な範囲内となり、曲げにくくならない等の良好な使用感、かつ優れた接着力を得る観点から、接着層の厚さが1〜1000μmとなるような厚さが好ましく、10〜500μmとなるような厚さがより好ましく、20〜200μmとなるような厚さがさらに好ましい。すなわち、接着層の厚さは、1〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
本発明において、接着層は繊維支持体とフィブロイン多孔質体との間に少なくとも1層設けられていればよく、2層以上であってもよい。この場合、接着層を形成する熱可塑性樹脂は同じであってもよいし、異なっていてもよく、フィブロイン複合体の用途に応じて適宜選択すればよい。ただし、フィブロイン多孔質体の優れた吸水性、柔軟性、肌触り等の質感の長所をできるだけ損なわないようにすることを考慮すると、接着層は、最低限の厚さで、かつ1層だけで構成されることが好ましい。
(接着層による支持体と多孔質体との接着)
本発明のシルクフィブロイン複合体において、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とは少なくとも接着層に含まれる熱可塑性樹脂により接着されていればよく、この熱可塑性樹脂は、繊維支持体とフィブロイン多孔質体との間に存在することで接着力を発現する。
繊維支持体とフィブロイン多孔質体との間に存在する、接着力を発現する熱可塑性樹脂は、本発明のフィブロイン複合体の製造工程のいずれかの段階において、少なくとも該支持体及び該多孔質体との界面及びその近傍に存在する熱可塑性樹脂を溶融状態とすることで、該支持体及び該多孔質体との接着力を発現する。そして、該接着面の熱可塑性樹脂を溶融状態のまま、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とを圧着させる、すなわち、繊維支持体、接着層、フィブロイン多孔質体の順で積層し、圧着させることにより、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とは接着され、フィブロイン複合体を形成する。
接着層を構成する熱可塑性樹脂は、その少なくとも一部が繊維支持体とフィブロイン多孔質体との間に存在して接着力を発現していれば、その残りが、例えばフィブロイン多孔質体の一部又は全体にわたって、その細孔内に存在していてもよい。また、繊維支持体の一部又は全体にわたって、その繊維間の隙間等に存在していてもよい。接着層とシルクフィブロイン多孔質体及び繊維支持体との界面、並びに界面近傍の状態については直接確認することは困難であるが、接着層のフィブロイン多孔質体及び繊維支持体と接着する接着面が溶融した状態のまま、該多孔質体及び該支持体と圧着することで、溶融した熱可塑性樹脂は該多孔質体の細孔内、該支持体の繊維間の隙間に入り込んだ形で固化することにより、接着力が得られているものと推察される。いずれにしても、接着層とフィブロイン多孔質体、接着層と繊維支持体との接着力は、少なくとも接着層を形成する熱可塑性樹脂により得られている。
本発明のフィブロイン複合体は、繊維支持体、接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有する構成を備えるものであれば、層構成に制限はなく、各々1の繊維支持体、接着層、及びフィブロイン多孔質体を備えるものでもよいし、複数の繊維支持体、接着層、及びフィブロイン多孔質体を備えるものであってもよい。本発明のフィブロイン複合体の最も単純な層構成は、繊維支持体/接着層/フィブロイン多孔質体であり、本発明のフィブロイン多孔質体は、例えば、フィブロイン多孔質体/接着層/繊維支持体/接着層/フィブロイン多孔質体からなる構成、繊維支持体/接着層/フィブロイン多孔質体/接着層/繊維支持体/接着層/フィブロイン多孔質体からなる構成、繊維支持体/接着層/繊維支持体/接着層/フィブロイン多孔質体といった変則的な層構成をとってもよく、上記の層構成に限らず、用途に応じて種々の層構成を取り得る。
また、フィブロイン複合体中に複数の繊維支持体及びフィブロイン多孔質体を有する場合、これらの繊維支持体及びフィブロイン多孔質体は同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよく、これも用途に応じて適宜選択することができる。
本発明のフィブロイン複合体は、繊維支持体とフィブロイン多孔質体という異素材のものを、熱可塑性樹脂を含む接着層を介してなる複合体であり、接着力を発現する材料として熱可塑性樹脂を用いている。本発明のフィブロイン複合体は、合成樹脂系接着剤を用いることなく、熱可塑性樹脂により接着されているため、耐水性、接着力に優れ、有害成分の溶出等の懸念もない。すなわち、接着層は熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物により形成されてもよいが、該組成物は樹脂組成物に通常含まれる添加剤を含んでいても、有害成分を含むものではない。一方、天然成分をできる限り多く用いることで、人体に親和性の高いフィブロイン複合体を得る観点から、接着層は熱可塑性樹脂単体で形成されることが好ましい。
(フィブロイン複合体の機械的特性)
本発明のフィブロイン複合体の引張強さは、用途に応じたハンドリング性、及び耐久性を有していれば特に制限はないが、70〜2000kPaが好ましく、80〜1500kPaがより好ましく100〜1500kPaがさらに好ましい。
また、スパンレース不織布、織布等の繊維に配向が見られる繊維支持体を使用する場合には、繊維配向方向の引張強さは400〜2000kPaが好ましく、500〜1500kPaがより好ましく、600〜900kPaがさらに好ましい。繊維配向方向に対して垂直方向の引張強さは70〜300kPaが好ましく、80〜280kPaがより好ましい。引張強さが上記範囲内であると、より優れた肌触りが、曲げやすいといった使用感が得られ、様々な用途において好適に用いることができる。
ここで、引張強さは、50mm×5mmの大きさに切削したシルクフィブロイン複合体の試験片について、万能試験機(「EZ−(N)S(型番)」,株式会社島津製作所製)を用い、ロードセルは50N、つかみ具は引張試験用の冶具を用い、引張速度5mm/min、初期つかみ具間距離30mm、室温22℃の条件下で、破断した時点でのロード(N)を測定し、以下の式により算出した値である。
引張強さ(kPa)=破断時ロード(N)÷複合体厚さ(mm)÷5×1000
本発明のフィブロイン複合体の引裂き強さは、用途に応じたハンドリング性、及び耐久性を有していれば特に制限はないが、250〜5000N/mが好ましく、300〜2500N/mがより好ましく、400〜2000N/mがさらに好ましい。
また、スパンレース不織布、織布等の繊維に配向が見られる繊維支持体を使用する場合には、繊維配向方向の引裂き強さは250〜1500N/mが好ましく、300〜1250N/mがより好ましく、400〜1000N/mがさらに好ましい。繊維配向方向に対して垂直方向の引裂き強さは、250〜5000N/mが好ましく、300〜2500N/mがより好ましく、400〜2000N/mがさらに好ましい。引裂き強さが上記範囲内であると、より優れた肌触りが、曲げやすいといった使用感が得られ、様々な用途において好適に用いることができる。
ここで、引裂き強さは、複合体の引裂き力の中央値を該複合体の厚さ(m)で割って得られた値である。より具体的には、100mm×15mmの大きさに切削し、かつ長さ40mmの切込みを入れた、トラウザ形に打ち抜いたシルクフィブロイン複合体の試験片について、万能試験機(「EZ−(N)S(型番)」,株式会社島津製作所製)を用い、ロードセルは5N、つかみ具は引張試験用の冶具を用い、引裂き速度200mm/min、初期つかみ具間距離40mm、室温22℃の条件下で、垂直方向(TD方向)及び流れ方向(MD方向)について引裂く力の中央値を測定し、以下の式により算出した値である。引裂く力の中央値は図2に示した方法で算出した。
引裂き強さ=引裂く力の中央値(N)/試験片の厚さ(m)
(複合体の用途)
本発明のフィブロイン複合体は、フィブロイン多孔質体の優れた吸水性及び柔軟性、肌触り等の質感の長所を損なうことなく、引張強さ、引裂き強さといった機械的強度にも優れている。また、人体への適合性も高いことから、エステティックサロン又は個人での使用による保湿等を目的とした化粧品及びエステ分野、創傷被覆材、薬剤徐放担体、及び癒着防止材等の医療分野、紙おむつ及び生理用品等の生活日用品分野、組織工学及び再生医療工学等における細胞培養支持体(足場材料)及び組織再生支持体及び組織再生支持体等、並びに微生物及び細菌等の住処になる支持体として活用しうる浄水分野など、産業上幅広い分野で利用される。特に、化粧品及びエステ分野において、保湿等を目的としたフェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材として極めて有用である。
〔シルクフィブロイン複合体の製造方法〕
本発明のフィブロイン複合体の製造方法は、繊維支持体と、熱可塑性樹脂を含む材料と、フィブロイン多孔質体とを、加熱し、圧着させることを特徴とし、フィブロイン多孔質体、熱可塑性樹脂を含む接着層、及び繊維支持体を順に有するフィブロイン複合体が得られる。そして、本発明のフィブロイン複合体は、本発明のフィブロイン複合体の製造方法により好ましく得られる。
ここで、繊維支持体、シルクフィブロイン多孔質体、熱可塑性樹脂を含む材料、繊維支持体、及び接着層は上記のフィブロイン多孔質体の製造において説明したものと同じである。
繊維支持体と、熱可塑性樹脂を含む材料と、フィブロイン多孔質体とを、加熱し、圧着させる方法としては、特に制限はなく、加熱したアルミ板等を用いたホットプレスのほか、ホットラミネーター、真空ラミネーター、カレンダーロール等の熱圧着装置を用いて行うことができる。
加熱は、例えば繊維支持体、フィブロイン孔質体の少なくともいずれか一方の、熱可塑性樹脂を含む材料と接する面を加熱してもよいし、フィブロイン多孔質体、熱可塑性樹脂を含む材料、繊維支持体を重ねた後、全体的に加熱してもよい。
本発明のフィブロイン複合体の製造方法について、幾つか具体例を挙げて説明する。例えば、熱可塑性樹脂を含む材料として熱可塑性樹脂単体又は熱可塑性樹脂組成物を用いる場合、繊維支持体及びフィブロイン多孔質体の少なくとも一方に、これらの熱可塑性樹脂を含む材料を、常用の塗布方法により塗布して接着層を形成し、該接着層を挟むように、フィブロイン多孔質体と繊維支持体とを重ねて、上記の熱圧着装置により、加熱し、圧着させることで、繊維支持体、接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有するフィブロイン複合体を得ることができる。ここで、熱可塑性樹脂を含む材料の塗布を全面にわたって行ってもよいし、一部に行ってよいのは、上記のとおりである。
また、熱可塑性樹脂を含む材料を塗布する代わりに、スパンボンド法、メルトブロー法等によって不織布状に塗布して接着層を形成してもよい。
また、熱可塑性樹脂を含む材料として熱可塑性樹脂を含む層状の材料を用いる場合、繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む材料(熱可塑性樹脂を含む層状の材料)、及びフィブロイン多孔質体を重ねた後、上記の熱圧着装置を用いて全体的に加熱し、圧着させることで、繊維支持体、接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有するフィブロイン複合体を得ることができる。
また、繊維支持体、及びフィブロイン孔質体の少なくとも一方の、熱可塑性樹脂を含む材料と接する面を加熱してから、繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む材料(熱可塑性樹脂を含む層状の材料)、及びフィブロイン多孔質体を重ねて、圧着することによっても、フィブロイン複合体を得ることができる。この場合、圧着の際に必要に応じて加熱してもよい。
本発明のフィブロイン複合体の製造方法の諸条件について、さらに詳細に説明する。
加熱温度としては、熱可塑性樹脂が溶融する温度であれば特に制限はないが、熱可塑性樹脂が溶融し接着させるための最低限の温度であることが好ましい。このような加熱温度とすることで、フィブロイン多孔質体を必要以上に高温に晒すことがなく、該多孔質体の着色、フィブロインの分解を抑えることができる。また、繊維支持体側から加熱する場合、加熱の際に熱可塑性樹脂に熱を伝わりやすくする観点から、繊維支持体の厚さは0.2〜1mmが好ましく、0.2〜0.8mmがより好ましく、0.2〜0.6mmがさらに好ましい。
加熱温度は上記のように熱可塑性樹脂、繊維支持体の厚さ、及び繊維支持体の種類等により異なるが、通常80〜300℃が好ましく、100〜250℃がより好ましく、140〜220℃がさらに好ましい。
加熱は、上記のように、繊維支持体、フィブロイン孔質体の少なくともいずれか一方の、熱可塑性樹脂を含む材料と接する面に加熱してもよいし、繊維支持体、フィブロイン孔質体を全体的に加熱してもよい。
フィブロイン多孔質体の着色、該多孔質体を構成するフィブロインの分解を抑える観点から、フィブロイン多孔質体は加熱しないようにすることが好ましい。また、加熱に方向性がある場合、例えば熱したアルミ板等の金属板を一方向からあてて圧着させる場合、加熱の方向には特に制限は無いが、繊維支持体側から行うことが好ましい。繊維支持体側から加熱を行うことで、フィブロイン多孔質体の変色、分解、変質等を抑えることができる。
また、部分的に加熱温度を調整できる場合は、フィブロイン多孔質体への加熱温度を低くすることが好ましく、またそのような調整ができない場合は、フィブロイン多孔質体を設置する部分に断熱材を敷く等の方法により、多孔質体への加熱を低減することができる。
繊維支持体とフィブロイン多孔質体とを、熱可塑性樹脂を介して加熱圧着して接着するため、フィブロイン多孔質体は乾燥したもの、例えば、上記の乾燥シルクフィブロイン多孔質体を用いることが好ましい。水分を実質含まない乾燥したフィブロイン多孔質体を用いることで、より優れた繊維支持体との接着力が得られる。
圧着する際には、フィブロイン多孔質体が潰れない程度、又は潰れても回復する程度に圧力をかけることが好ましい。そのような圧力で圧着することで、フィブロイン複合体の質感はより優れたものとなる。
本発明のフィブロイン複合体の製造方法において、加熱し、圧着する際に、熱圧着装置のプレス板、ロール等といった部材に、熱可塑性樹脂が融着してしまう場合がある。このような融着を防止する観点から、繊維支持体とフィブロイン多孔質体との間に配する熱可塑性樹脂を含む材料として、層状の材料を用いる場合は、繊維支持体及びシルクフィブロイン多孔質体からはみ出さない程度に小さいものを使用することが好ましく、また、熱可塑性樹脂単体又は樹脂組成物を用いる場合は、繊維支持体及びシルクフィブロイン多孔質体からはみ出さない程度に塗布することが好ましい。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)接着力の評価
実施例及び比較例で得られたフィブロイン複合体について、繊維支持体の端部のフィブロイン多孔質体が無い部分を指でつまんで30秒間持ち上げて、繊維支持体とフィブロイン多孔質体とが剥離しないか目視し、下記の基準で評価した。
A :全く剥離することがなかった。
B :ほとんど剥離することがなかった。
C :剥離が生じた。
(2)引裂き強さの測定
100mm×15mmの大きさに切削し、かつ長さ40mmの切込みを入れた、トラウザ形に打ち抜いたフィブロイン複合体の試験片について、万能試験機(「EZ−(N)S(型番)」,株式会社島津製作所製)を用い、ロードセルは50N、つかみ具は引張試験用の冶具を用い、引裂き速度200mm/min、初期つかみ具間距離40mm、室温22℃の条件下で、引裂き力の中央値を測定し、以下の式により算出した値である。
引裂き強さ=引裂き力の中央値(N)/試験片の厚さ(m)
また、スパンレース不織布、織布等の繊維に配向が見られる繊維支持体を使用する場合には、繊維配向方向及び、繊維配向方向に対して垂直方向についてそれぞれ測定を行った。
(3)繊維支持体の黄変の評価
実施例及び比較例で得られたフィブロイン複合体の繊維支持体部分の黄変の有無を肉眼で観察した。加熱前後で黄色味が強くなった場合を黄変あり、変化がない場合を黄変なしの基準に基づき評価した。
(4)フィブロイン複合体の断面の観察
実施例及び比較例で得られたフィブロイン複合体の断面を、走査型電子顕微鏡(「Neo Scope JCM−5000、日本電子株式会社製)を使用して、高真空Pt蒸着モード、加速電圧10kVで観察した。
製造例1:シルクフィブロイン多孔質体の製造
(シルクフィブロイン水溶液の調製)
シルクフィブロイン水溶液は、高圧精練済み切繭(ながすな繭株式会社製)40gを9M臭化リチウム水溶液400mLに溶解し、常温で24時間攪拌して溶解した。次いで、遠心分離(回転速度:12,000rpm−1、5分間)して、デカンテーションで沈殿物を除去した後、透析チューブ(Spectra/Por1 Dialysis Membrane、MWCO6,000−8,000、Spectrum Laboratories, Inc.製)に注入し、超純水製造装置(「PRO−0500(型番)」及び「FPC−0500(型番)」、いずれもオルガノ株式会社製)から採水した超純水5Lに対して12時間の透析を5回繰り返し、シルクフィブロイン水溶液を得た。
得られたシルクフィブロイン水溶液2mLをポリスチレン製容器に分取し、秤量した後、庫内温度をあらかじめ−20℃程度に調整しておいたノンフロン冷蔵冷凍庫(「R−Y370(型番)」、株式会社日立製作所製)の冷凍室で12時間かけて凍結し、凍結乾燥機(「FDU−1200(型番)」、東京理化器械株式会社製)中で7時間凍結乾燥した。得られた乾燥物を凍結乾燥機から取り出して30秒以内に秤量し、重量減少からシルクフィブロイン水溶液中のシルクフィブロイン濃度(wt/vol%)を定量した。
(シルクフィブロイン多孔質体の製造)
濃度を測定したシルクフィブロイン水溶液に、酢酸及び超純水を加え、シルクフィブロイン濃度4wt/vol%、酢酸濃度2体積%のシルクフィブロイン水溶液を調製した。このシルクフィブロイン水溶液を内面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを貼り付けたアルミ製容器(内側サイズ:80mm×110mm×0.6mm)に流し込んで封入し、−5℃の低温恒温槽(「NCB−3300(型番)、東京理化器械株式会社社製)に入れて2時間保持し、その後、低温恒温槽の温度を5時間かけて−20℃まで下げて、−20℃で5時間保持した。凍結した試料を室温で自然解凍してから、容器から取り出し、シルクフィブロイン多孔質体を得た。
容器から取り出したシルクフィブロイン多孔質体を10Lの超純水中で12hごとに水を換えて5日間静置し、酢酸を除去した。酢酸除去後のシルクフィブロイン多孔質体を3体積%のグリセリン水溶液10Lに3日間浸漬した後、−25℃に維持した冷凍庫中で6時間かけて凍結した。得られた凍結物を凍結乾燥機(「FD−550P(型番)」、東京理化器械株式会社製)に入れて3日間かけて凍結乾燥した。得られた乾燥物を以下の実施例中でシルクフィブロイン多孔質体として使用した。このようにして得られたシルクフィブロイン多孔質体は、柔軟で肌触りがよく、質感に優れるものであった。
得られたシルクフィブロイン多孔質体について平均細孔径を求めたところ、68.3μmであることが分かった。ここで、平均細孔径は、多孔質体の走査型電子顕微鏡写真を5枚撮影し、さらに異なる日に作製した多孔質体の走査型電子顕微鏡写真を5枚撮影し、それら10枚の走査型電子顕微鏡写真を画像解析ソフト(「ImageJ(商品名)」、アメリカ国立衛生研究所製)を用いて画像処理し、算出した細孔径の平均値である。
得られたシルクフィブロイン多孔質体について空孔率を求めたところ、96.2%であることが分かった。ここで、空孔率は、得られた多孔質体を純水中に1日静置し完全に吸水させ、秤量した後(湿重量)、凍結乾燥して多孔質体中の水分を完全に除去し、再度秤量した(乾燥重量)。水の密度を1g/cm3、フィブロインの密度を1.2g/cm3、含水状態のフィブロイン多孔質体の密度を1g/cm3と仮定し、次式に従ってシルクフィブロイン多孔質体の空孔率の測定を行って得られた値である。
空孔率=(湿重量−乾燥重量/1.2)/湿重量×100
得られた乾燥シルクフィブロイン多孔質体にグリセリンが含まれているか否かを、全反射の赤外分光法で評価した。赤外分光装置として、「FTS 6000 SPECTROMETER」(Bio−Rad社製)を用いた。この結果、図3に示されるように、精錬済み絹糸よりも、C−O、O−Hの吸収が増大していることから、乾燥シルクフィブロイン多孔質体内にはグリセリンが含まれていることが分かった。
また、乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量(質量%)を求めたところ、43.0質量%であった。グリセリンの含有量は、以下の方法により測定した値である。
乾燥シルクフィブロイン多孔質体中のグリセリンの含有量C(質量%)は、グリセリンを導入した乾燥シルクフィブロイン多孔質体の質量(Wa1)と、グリセリンの未導入の乾燥シルクフィブロイン多孔質体の質量(Wa0)とから、乾燥シルクフィブロイン多孔質体に導入されたグリセリンの質量(Wa1−Wa0)を算出した後、グリセリンを導入した乾燥シルクフィブロイン多孔質体の質量(Wa1)で割ったものとし、以下の式で算出した。
(質量%)=〔(Wa1−Wa0)/Wa1〕×100
実施例1
製造例1で得られたシルクフィブロイン多孔質体(厚さ:0.6mm)の上に、熱可塑性樹脂を含む材料として層状の材料を、その上に繊維支持体を積層し、繊維支持体上に180℃に加熱した厚さ5mmのアルミ板をのせて、30秒間静置して、シルクフィブロイン多孔質体と繊維支持体とを熱可塑性樹脂を介して加熱圧着した。次いで、アルミ板を外し、シルクフィブロイン複合体を得た。ここで、層状の材料として、ポリウレタン樹脂不織布(「エスパンシオーネFF(商品名)」、サイズ:70mm×90mm、目付け:50g/m、厚さ:260μm、KBセーレン株式会社製)を用い、繊維支持体としてスパンレースコットン不織布(サイズ:70mm×90mm、目付け:30g/m、厚さ:260μm、丸三産業株式会社製)を用いた。得られたシルクフィブロイン複合体について、接着性の評価、及び黄変の確認を行った。評価の結果を第1表に示す。なお、実施例で使用した不織布の厚さは、厚さ測定器(「シックネスゲージ(商品名)」、株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した。
実施例2〜15
実施例1において、多孔質体の厚さ、熱可塑性樹脂を含む材料の種類、繊維支持体の種類、アルミ板の温度を第1表に記載にかえた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜15のシルクフィブロイン複合体を作製した。得られたシルクフィブロイン複合体について、接着性の評価、及び黄変の確認を行った。評価の結果を第1表に示す。

*1,以下の繊維支持体を使用した。
A:スパンレースコットン不織布(目付け:30g/m、サイズ:70mm×90mm、厚さ:260μm、丸三産業株式会社社製)
B:スパンレースシルク不織布(目付け:30g/m、サイズ:70mm×90mm、厚さ:350μm、株式会社ユウホウ社製)
*2,以下の熱可塑性樹脂を含む材料を用いた。
A:メルトブローポリウレタン樹脂不織布(「エスパンシオーネFF(商品名)」、サイズ:70mm×90mm、厚さ:150μm、目付け:25g/m、KBセーレン株式会社製)
B:メルトブローポリウレタン樹脂不織布(「エスパンシオーネFF(商品名)」、サイズ:70mm×90mm、厚さ:260μm、目付け:50g/m、KBセーレン株式会社製)
C:スパンボンドポリプロピレン不織布(サイズ:70mm×90mm、厚さ:230μm、目付け:30g/m、前田工繊株式会社製)
D:低密度ポリエチレン不織布(サイズ:70mm×90mm、目付け:20g/m、融点:115℃、出光ユニテック株式会社製)
実施例3、実施例6で作製したシルクフィブロイン複合体について、上記の方法に従い、引裂き強さを測定した。また、製造例1で得られたシルクフィブロイン多孔質体単体の引裂き強さを測定した。その結果を第2表に示す。
以上の結果から、本発明のフィブロイン複合体は、優れた接着力を有しており、また黄変が発見されず、外観にも優れていることが確認された。
また、実施例で作製したフィブロイン複合体は、製造例のシルクフィブロイン多孔質体単体と比較して、引裂き強さが20倍超〜80倍超と大幅に向上していることが分かった。
製造例1で得られたシルクフィブロイン多孔質体単体の内部構造、実施例3及び6で得られたシルクフィブロイン複合体の断面構造を走査型電子顕微鏡で観察した。具体的には、製造例1で得られたシルクフィブロイン多孔質体を液体窒素中で凍結破砕して、その内部構造を観察した。また、実施例3及び6で得られたシルクフィブロイン複合体は、手術用メスで接着層(熱可塑性樹脂を含む層状の材料部分)からシルクフィブロイン多孔質体に刃が通るように切断して得られた断面を観察した。観察には走査型電子顕微鏡「Neo Scope JCM−5000」(日本電子株式会社製)を使用し、高真空Pt蒸着モード、加速電圧10kVで観察した。製造例1で得られたシルクフィブロイン多孔質体単体の内部構造を図4に、実施例3で得られたシルクフィブロイン複合体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図5に、実施例6で得られたシルクフィブロイン複合体の断面の走査型電子顕微鏡写真を図6に示す。
図4から、製造例1のシルクフィブロイン多孔質体単体の内部は、多孔質体の構造を有するのみであるが、図5の実施例3で得られたシルクフィブロイン複合体の断面の写真画像によれば、繊維状にみえる繊維支持体11と、スポンジ状にみえる多孔質体13との間に、フィルム状(層状)の接着層12が存在することが確認された。また、図6の実施例6のシルクフィブロイン複合体の断面の写真画像によれば、実施例3の複合体と同じ構造を有していることが確認された。
本発明のフィブロイン複合体は、エステティックサロン又は個人での使用による保湿等を目的とした化粧品及びエステ分野、創傷被覆材、薬剤徐放担体、及び癒着防止材等の医療分野、紙おむつ及び生理用品等の生活日用品分野、組織工学及び再生医療工学等における細胞培養支持体(足場材料)及び組織再生支持体及び組織再生支持体等、並びに微生物及び細菌等の住処になる支持体として活用しうる浄水分野など、産業上幅広い分野で利用される。特に、化粧品及びエステ分野において、保湿等を目的としたフェイスマスク、アイマスク等のスキンケア部材として極めて有用である。
10 フィブロイン複合体
11 繊維支持体
12 接着層
13 フィブロイン多孔質体

Claims (12)

  1. 繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む接着層、及びフィブロイン多孔質体を順に有するフィブロイン複合体であって、前記フィブロイン多孔質体の厚さが0.2〜1mmである、フィブロイン複合体
  2. フィブロイン多孔質体がグリセリンを含む請求項1に記載のフィブロイン複合体。
  3. 繊維支持体の厚さが1〜2000μmである請求項1又は2に記載のフィブロイン複合体。
  4. 繊維支持体がコットン、レーヨン、及びシルクから選ばれる少なくとも一種の素材により構成されるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
  5. 繊維支持体が不織布である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
  6. 熱可塑性樹脂の融点が60〜150℃である請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
  7. 接着層の厚さが1〜2000μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
  8. 前記フィブロイン多孔質体の空孔率が80〜99%である請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
  9. スキンケア材料に用いられる請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィブロイン複合体。
  10. 繊維支持体と、熱可塑性樹脂を含む材料と、フィブロイン多孔質体とを、加熱し、圧着させる、繊維支持体、熱可塑性樹脂を含む接着層、及び厚さ0.2〜1mmのフィブロイン多孔質体を順に有するフィブロイン複合体の製造方法。
  11. 熱可塑性樹脂の融点が60〜150℃である請求項10に記載のフィブロイン複合体の製造方法。
  12. 繊維支持体の厚さが1〜2000μmである請求項10又は11に記載のフィブロイン複合体の製造方法。
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