JP6779470B2 - 水電解用電極材料及びその製造方法、並びに水電解用電極及び固体高分子形水電解セル - Google Patents

水電解用電極材料及びその製造方法、並びに水電解用電極及び固体高分子形水電解セル Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子形水電解セルに好適に用いられる水電解用電極材料及びその製造方法、並びに水電解用電極に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)はすでに家庭用として市販されており、燃料電池自動車の市販も開始されている。燃料電池において性能を決める最も重要な部材は電極触媒を含む電極材料である。第一世代の燃料電池自動車にはカーボンブラックの表面に微細な白金系微粒子を担持した材料が使用されるが、カーボン担体は酸化し、担持された白金粒子が脱離して電池性能が劣化してしまうことが課題となっていた。
これまでに本発明者らは、炭素系材料の代わりに酸化スズ担体に貴金属粒子を分散させた電極材料を開発している(特許文献1)。当該電極材料はPEFCのカソードでの運転条件で熱力学的に安定であるため、当該電極材料を用いて製造したカソードは酸化腐食されることなく、燃料電池自動車の寿命に相当する6万回の電位サイクルに耐えることができる。さらに、本発明者らは、特許文献2で開示した燃料電池用電極材料の製造方法において、導電補助材である気相成長炭素繊維を含むカーボンナノチューブ系材料を高導電性パスとして使うことによって、炭素系担体材料と比較して電子を通しにくい導電性酸化物担体の欠点を改善して、電極全体の導電性を向上させ、PEFC用電極として優れた性能を得ることに成功している(特許文献2)。
一方、PEFCと同様に固体高分子膜を使用した固体高分子形水電解セル(以下、単に「水電解セル」と記載する場合がある。)が知られている。図1に示すように水電解セルでは、水の電気分解によりアノード側で酸素が発生し、カソード側で水素が発生する。水の電気分解反応には、標準状態(25℃、1気圧)で1.23V以上の電圧が理論的に必要となる。
水電解セルは燃料電池セル(0.6V〜1.0V程度)よりも更に高い電位下で使用される。水電解セルを特に再生可能エネルギーの貯蔵を目的に利用する際には高い電位(1.5V〜2.0V程度)で電位変動の激しい状況下で用いられるため、水電解セル用電極には、PEFC用電極材料より高電位における高い耐久性が求められる。例えば、PEFC用電極材料で用いられる白金系電極触媒は水電解セルにおける電位条件(1.5V以上)の高電位では触媒活性の低いPt酸化物になったり、溶解して電解質膜に析出したりするため、そのまま水電解セル用電極材料に転用しても長期間の使用はできない。
そのため、水電解用電極材料に用いられる電極触媒として、Ptの代わりにより高価なイリジウム(Ir)を酸化物で用いることが多い。酸化イリジウム(IrO2)は、1.5V〜2.0Vの高電位でも安定であり、水電解におけるアノード反応に高い触媒活性を有する。水電解用電極材料の実用化のためには、高価なイリジウム貴金属材料の使用量をできるだけ少なくする必要があるが、現在、一般的に市販・使用されている水電解用の電極触媒は、数ミクロン径の酸化イリジウム(IrO2)粉末をそのまま用いることが多い。
一方、イリジウムの使用量の低減やイリジウムの代替となる触媒の開発が行われている。例えば、特許文献3には、酸化イリジウムと、無機酸化物とを複合化した水電解用電極材料が開示されており、TiO2、SiO2、Al23等の無機酸化物を触媒の全質量に対して20質量%未満複合化することにより、酸化イリジウムだけの場合よりも高い触媒活性を示すことが開示されている。この電極材料では、電子伝導性を確保するために、無機酸化物の量を20質量%未満に抑えなければならず、無機酸化物との複合化による酸化イリジウム使用量の低減効果は限定的である。
また、特許文献4には、酸素欠陥を設けた金属酸化物触媒を、Sn、Sb、Nb、Ta及びTiから電子伝導性を有する酸化物を含む担体に担持した水電解用電極材料が開示されている。当該電極材料では、非貴金属の金属酸化物を電極触媒としているため、イリジウム等の貴金属を使用するものではないが、触媒活性の面では改善の余地がある。
特許第5322110号公報 国際公開第2015/141595号パンフレット 国際公開第2006/019128号パンフレット 特開2015−129347号公報
このようにイリジウム等の貴金属使用量をできるだけ少なくし、水電解における高電位(1.5V以上)でも安定であり、十分な触媒活性を示す水電解用電極材料の開発が求められている。
かかる状況下、本発明の目的は、Ir使用量を低減でき、かつ、水電解における電位下でも安定であり、十分な触媒活性を示すことが可能な水電解用電極材料及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 炭素系導電補助材と、前記炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物と、前記電子伝導性酸化物に分散担持された、平均粒子径10nm以下の酸化イリジウム粒子とを含む水電解用電極材料。
<2> 炭素系導電補助材が、表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材である<1>に記載の水電解用電極材料。
<3> 電子伝導性酸化物担体が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物からなる<1>または<2>に記載の水電解用電極材料。
<4> 以下の工程を有する水電解用電極材料の製造方法。
(1)表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に、電子伝導性酸化物を担持する工程
(2)電子伝導性酸化物担体を担持した前記導電補助材を、酸化イリジウム前駆体を含む溶液に浸漬し、前記電子伝導性酸化物担体の表面上に酸化イリジウム前駆体を担持する工程
(3)電子伝導性酸化物担体に担持された酸化イリジウム前駆体を、酸化雰囲気下、300℃以上500℃以下で熱処理し、酸化イリジウムに変換する工程
<5> 工程(2)における担持が、蒸発乾固法による<4>に記載の水電解用電極材料の製造方法。
<6> 電子伝導性酸化物担体が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物からなる<4>または<5>に記載の水電解用電極材料の製造方法。
<7> <1>から<3>のいずれかに記載の水電解用電極材料とプロトン伝導性電解質材料とを含む水電解用電極。
<1a> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードが、上記<7>に記載の水電解用電極である膜電極接合体。
<2a> <1a>に記載の膜電極接合体を備えてなることを特徴とする固体高分子形水電解セル。
本発明によれば、酸化イリジウム微粒子が電子伝導性酸化物の上に高分散担持されて、水電解における電位下でも安定であり、十分な触媒活性を示すことが可能な水電解用電極材料が提供される。
固体高分子形水電解セルの代表的な構成を示す概念図である。 本発明の水電解用電極材料の模式図である。 本発明の膜電極接合体の断面模式図である。 実施例1の電極材料のXRDプロファイルである。 参考例1の電極材料のXRDプロファイルである。 電極材料のFE−SEM像であり、(a)は実施例1、(b)は参考例1の電極材料である。 実施例1の電極材料のSTEM像及びEDSマッピングである。 実施例1の電極材料のSTEM像(高倍率)である。 参考例1の電極材料のSTEM像及びEDSマッピングである。 XPSによる電極材料のIr(4f)スペクトルであり、(a)は実施例1、(b)は参考例1の電極材料である。 比較例1の電極のFE−SEM像である。 実施例1、及び比較例1の水電解用電極のクロノアンペロメトリー(CA)による評価結果である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
<1.水電解用電極材料>
本発明は、炭素系導電補助材と、前記炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物と、前記電子伝導性酸化物に分散担持された、平均粒子径10nm以下の酸化イリジウム粒子とを含む水電解用電極材料(以下、「本発明の電極材料」と記載する場合がある。)に関する。
本発明の電極材料では、電子伝導性酸化物に担持された電極触媒粒子(酸化イリジウム微粒子)は炭素系材料である導電補助材とほとんど接触しないため、従来の炭素系担体に電極触媒粒子を担持した際に生じる電気化学的酸化による炭素系担体の腐食に起因する電極性能の低下を回避できる。そして、本発明の電極材料を構成する導電補助材は相互接触性がよく、優れた電子伝導性を有する炭素系導電補助材であるため、当該電極材料を用いて、燃料電池用電極を構成した際に、前記導電補助材が互いに接触して低抵抗の導電パスが形成され、電子伝導性に優れた電極となる。
このように、本発明の電極材料は、電子伝導性酸化物に起因する電気化学的酸化への優れた耐久性と、炭素系導電補助材に起因する優れた電子伝導性を併せ持つ。そのため、当該電極材料で形成された水電解用電極は、優れた電極性能を示すと共に、耐久性が高く、水電解反応を長期間継続することができる。
また、本願発明の水電解用電極材料では、電極の骨格としての役割を、炭素系導電補助材が担うため、電極触媒粒子(酸化イリジウム微粒子)が担持される電子伝導性酸化物担体の粒径(薄膜の場合は厚み)を小さくすることができる。そのため、本願発明の水電解用電極材料を用いて形成した水電解用電極では、電子伝導性酸化物に起因する電気抵抗を低減できる。
また、電子伝導性酸化物に起因する電気抵抗を低減できるため、耐久性が高いが電子伝導性に乏しく、従来の水電解用電極材料では実用が困難であった電子伝導性酸化物(例えば、酸化チタン等)についても、本発明の電極材料として使用できる。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図2は本発明の電極材料の代表的な構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明に係る水電解用電極材料1は、(炭素系)導電補助材2と、導電補助材2に担持された粒子状の電子伝導性酸化物3aと、電子伝導性酸化物3aに分散担持された電極触媒粒子3bによって構成される。
導電補助材2は、好適には表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる炭素系導電補助材である。なお、本明細書において、「導電補助材」とは、水電解用電極材料に含まれ、水電解用電極を形成した際に電子伝導性を向上させる役割を有するものを意味する。導電補助材2は、炭素系材料由来の優れた電子伝導性を有し、電子伝導性酸化物3aを担持できる。水電解用電極材料1は、このような導電補助材2を用いているため、水電解用電極を形成した際に、隣接する導電補助材2が連続的に接触でき、かつ水電解用電極内の水素や酸素などのガス拡散及び水(蒸気)の排出がスムーズに行える程度の空間を形成できる。
炭素系導電補助材として、表面がグラファイト構造である繊維状炭素は相互接触性がよく、電子伝導性に優れるため、水電解用電極材料1を用いて水電解用電極を形成した際に導電パスが形成される
繊維状炭素は、中空状あるいは繊維状の炭素材料であり、具体的にはカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバーが挙げられる。なお、本発明において、「カーボンナノチューブ」とは、単層CNT、2層CNT、複層CNT及びこれらの混合物を含む。
ここで、水電解用電極を形成した際の電極内の電気伝導性とガス拡散性を両立させるためには、繊維状炭素は直径2nm〜10μm、全長0.03〜500μmであることが好適である。
なお、中空状あるいは繊維状の炭素材料のうち、カーボンナノチューブに代表されるように、直径が100nm以下のもの、または、気相成長炭素繊維(Vaper Grown Carbon Fiber,VGCF)のような直径が100〜1000nm程度のもの、炭素繊維のような直径が1μm〜20μmのものを指すことが多いが、これらの炭素材料の長さと呼称についての明確な規定はないため、本明細書内ではこれらを合わせて繊維状炭素と称する。
また、表面がグラファイト構造である繊維状炭素であれば、化学的に安定で、表面積も小さいために電極触媒粒子が担持されにくく、大部分の電極触媒粒子が電子伝導性酸化物に選択的に担持される。そのため、全ての電極触媒粒子のうち、繊維状炭素と直接的に接触する電極触媒粒子の割合が小さくなり、水電解用電極として使用する際に繊維状炭素が電気化学的酸化腐食することが抑制される。表面がグラファイト構造である繊維状炭素としては、カーボンナノチューブ(単層CNT、2層CNT、複層CNTの何れも含む)、気相成長炭素繊維(VGCF)が挙げられ、高結晶性、高純度のものが好ましい。
(電子伝導性酸化物)
電子伝導性酸化物3aを構成する電子伝導性酸化物としては、固体高分子形水分解セルのアノード条件で十分な耐久性と電子伝導性を併せ持つものであればよい。
なお、アノード条件とは、固体高分子形水分解セルの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温〜150℃、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)であって、アノード-カソード間の電圧が1.5V以上2.0V以下を意味する。
電子伝導性酸化物として具体的には、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン及び酸化タングステンから選択される1種を主体とする電子伝導性酸化物が挙げられる。ここで、本発明において「主体とする電子伝導性酸化物」とは、(A)母体酸化物のみからなるもの、及び(B)他元素をドープされた酸化物であって、母体酸化物が50mol%以上含まれるもの、を意味する。
ドープされる元素として、具体的には、Sn,Ti,Sb,Nb,Ta,W,Co,V,Cr,Mn,Moなどが挙げられる(但し、母体酸化物と異なる元素である。)。ドープされる元素は、母体酸化物より価数が高い元素であり、例えば、母体酸化物が酸化チタンの場合で例示すると、上記ドープ種元素のうち、Ti以外の元素(例えば、Nb)が選択される。
この中でも、電子伝導性酸化物3aが、酸化スズを主体とする酸化物であることが好ましい。ここで、「主体とする酸化物」とは、対象となる酸化物を50mol%以上含む酸化物をいう。
また、電子伝導性酸化物3aとして、SrTiO3等高い導電率を有する電子伝導性酸化物をコアとし、その表面に水電解セルのアノード条件での優れた耐久性を有する酸化物(TiO2等)からなるスキン層(層厚:数原子層〜数十原子層)で被覆したコアシェル構造を有する担体を使用することもできる。
本発明の水電解用電極材料1において、水電解用電極の骨格としての役割は導電補助材2が担うことから、電子伝導性が炭素系材料と比較して小さい電子伝導性酸化物3aは、電極触媒粒子3bが分散担持することができる範囲内で、粒径が小さい方が好ましい。電子伝導性酸化物3aは、一次粒子、二次粒子のいずれでもよい。但し、電子伝導性酸化物3aが一次粒子であることが好ましい。これは、電子伝導性酸化物3aが二次粒子の場合には二次粒子を構成する一次粒子間の粒界抵抗により電気抵抗が大きくなるためである。
電子伝導性酸化物3aは、好適には平均粒径1〜200nmの粒子状電子伝導性酸化物であり、より好適には実質的に一次粒子となる平均粒径1〜40nmの粒子状電子伝導性酸化物である。そして、水電解用電極材料1の導電性の観点からは、粒子状の電子伝導性酸化物3aが密集せずに、導電補助材2の一部が露出され、導電補助材2と他の導電補助材2との直接的な接触を阻害しない程度に電子伝導性酸化物3aが分散して担持されていることが好ましい。
すなわち、本発明の水電解用電極材料における電子伝導性酸化物の好適な態様の一つは、前記導電補助材2の表面の一部が露出するように、粒子状電子伝導性酸化物が前記導電補助材2に担持されている態様である。導電補助材の露出部分は、当該露出部分のそれぞれが互いに接触できる程度であればよい。そして、粒子状電子伝導性酸化物の平均粒径が、1〜200nmが好適であり、平均粒径1〜40nmがより好適である。
なお、「粒子状電子伝導性酸化物の平均粒径」は、電子顕微鏡像より調べられる任意の粒子状電子伝導性酸化物(20個)の粒子径の平均値により得ることができる。
なお、図2では、電子伝導性酸化物3aは、導電補助材2に分散担持された粒子状電子伝導性酸化物であるがこれに限定されず、電子伝導性酸化物3aは導電補助材2に担持されていればよい。例えば、導電補助材2を薄膜状の電子伝導性酸化物が被覆する形態であってもよい。薄膜状電子伝導性酸化物は、例えば、蒸着などの乾式法で導電補助材に対し、電子伝導性酸化物を被覆することで形成できる。
水電解用電極材料1の導電性の観点からは、薄膜状電子伝導性酸化物の膜厚は、形成できる範囲でできるだけ薄い方が好ましい。すなわち、本発明の水電解用電極材料における電子伝導性酸化物の好適な態様の一つは、電子伝導性酸化物が平均膜厚1〜50nmの薄膜状電子伝導性酸化物であって、当該薄膜状電子伝導性酸化物の一部又は全部が前記導電補助材を被覆するように担持されてなる態様である。電子伝導性酸化物が平均膜厚1〜50nmであれば、電子伝導性酸化物に起因する電気抵抗が実質的に問題にならないため、導電補助材の露出部分が互いに接触する必要がない。なお、「薄膜状電子伝導性酸化物の平均膜厚」は、薄膜状電子伝導性酸化物の厚み方向の断面電子顕微鏡像より調べられる任意位置の厚み(5点)の平均値により得ることができる。
電子伝導性酸化物は、電極触媒の担持量を高めるために、機械的強度が保てる範囲で、表面積が大きい方が好ましい。
また、電子伝導性酸化物の担持量は、粒径(薄膜状の場合は膜厚)や表面積等の電子伝導性酸化物の物性、電子伝導性酸化物の製造方法によっても最適値がかわるため、十分な量の電極触媒粒子が担持できる範囲で適宜決定される。
酸化スズの場合を例示すると、導電補助材と電子伝導性酸化物の合計を100重量%としたときに、通常、5〜95重量%であり、好ましくは45〜95重量%である。電子伝導性酸化物の担持量が少なすぎると、水電解用電極材料として十分な量の電極触媒粒子が担持できなくなる。電子伝導性酸化物の担持量が多すぎると電子伝導性酸化物の粒径(薄膜状の場合は膜厚)が大きくなりすぎて水電解用電極材料の電気抵抗が高くなる場合がある。
ここで、電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする酸化物である場合には、本発明の水電解用電極をアノードとして使用することが好ましい。
元素としてスズ(Sn)は、水電解セルのアノード条件で、酸化物であるSnO2が熱力学的に安定であり酸化分解が起こらない。また、酸化スズは、十分な電子伝導性を有し、電極触媒粒子(IrO2微粒子)を高分散で担持が可能な担体となる。
酸化スズを主体とする酸化物の中でも、より優れた電極性能を有する水電解用電極が形成できる点で、ニオブ(Nb)を0.1〜20mol%ドープしたニオブドープ酸化スズが特に好ましい。
(電極触媒粒子)
電極触媒粒子3bは、酸化イリジウムからなり、電子伝導性酸化物3aに分散担持されている。電極触媒粒子3bは、電子伝導性酸化物に選択的に分散担持されていることが好ましい。ここで「電子伝導性酸化物に選択的に分散担持」とは、全ての電極触媒粒子(個数)のうち、80%以上、好適には90%以上、より好適には95%以上(100%を含む)が、電子伝導性酸化物に担持されていることを意味する。電子伝導性酸化物に担持された電極触媒粒子の割合は、評価対象となる水電解用電極材料を電磁顕微鏡で観察した任意の電極触媒粒子(100個以上)を選出し、そのうち、電子伝導性酸化物に担持された個数と、炭素系導電補助材に担持された個数とをカウントすることにより、評価することができる。
電極触媒粒子3bを構成する酸化イリジウムは、水の電気分解反応(H2O→2H++1/2O2+2e-)に対する優れた電気化学的触媒活性を有する。なお、電極触媒粒子3bは、その性能を損なわない範囲でIr以外の他の金属元素を含んでいてもよい。また、金属Ir粒子の表面を酸化して表面層が酸化イリジウム層である粒子でもよい。
電極触媒粒子3bの形状は、特に制限されず公知の電極触媒粒子と同様の形状のものが使用できる。具体的な形状として球形、楕円形、多面体、コアシェル構造等が挙げられる。また、電極触媒粒子3bの構造は、結晶に限定されず、非晶質であってよく、結晶と非晶質の混合体であってもよい。
電極触媒粒子3bの大きさは、小さいほど電気化学反応が進行する有効表面積が増加するため、電気化学的触媒活性が高くなる傾向がある。しかし、その大きさが小さすぎると、電気化学的反応活性が低下する。従って、電極触媒粒子3bの大きさは、平均粒子径として10nm以下であり、好ましくは0.5nm〜5nmである。
なお、本発明における「電極触媒粒子の平均粒径」は、電子顕微鏡像より調べられる電極触媒粒子(20個)の粒子径の平均値により得ることができる。電子顕微鏡像による平均粒径算出時は、微粒子の形状が、球形以外の場合は、粒子における最大長を示す方向の長さをその粒径とする。
電極触媒粒子の担持量は、触媒の種類、担体である電子伝導性酸化物の大きさ(厚み)等の条件を考慮して適宜決定される。触媒担持量が少なすぎると電極性能が不十分となり、多すぎると電極触媒粒子が凝集して性能が低下する場合がある。
電極触媒粒子の担持量は、水電解用電極材料の全重量に対して、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%とすると、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の電極反応活性を得ることができる。
電極材料単位重量当たりの電極触媒粒子の担持量を増やすことによって、電極における電極触媒層の厚みを低減することができるため、電極全体としての水素や酸素などのガス拡散性や及び水(蒸気)の拡散性が向上する。
また、電極触媒粒子の担持量は、電子伝導性酸化物に対して、好ましくは10〜50質量%である。このような範囲であれば、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の電気化学的触媒活性を得ることができる。前記担持量が少なすぎる場合は、電極反応活性が不十分であり、多すぎる場合は電極触媒粒子の凝集が起こりやすく、有効表面積が低下するという問題がある。なお、電極触媒粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって調べることができる。
<2.水電解用電極材料の製造方法>
上述した本発明の水電解用電極材料は、以下に説明する製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称す。)によって好適に製造することができる。
すなわち、本発明の水電解用電極材料の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に、電子伝導性酸化物を担持する工程
(2)電子伝導性酸化物担体を担持した前記導電補助材を、酸化イリジウム前駆体を含む溶液に浸漬し、前記電子伝導性酸化物担体の表面上に酸化イリジウム前駆体を担持する工程
(3)電子伝導性酸化物担体に担持された酸化イリジウム前駆体を、酸化雰囲気下、300℃以上500℃以下で熱処理し、酸化イリジウムに変換する工程
以下、本発明の製造方法における各工程を詳細に説明する。
「工程(1)」
工程(1)は、表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に、電子伝導性酸化物を担持する工程である。
導電補助材および電子伝導性酸化物は、<1.本発明の燃料電池用電極材料>で上述した通りであり、ここでは詳しい説明を省略する。本発明の製造方法の工程(1)は、電子伝導性酸化物として、特に酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物を、表面がグラファイト構造である繊維状炭素に担持するのに適した方法である。酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物については上述の通りであるため、説明を省略する。
導電補助材としては、表面がグラファイト構造である繊維状炭素が好ましい。導電補助材は、表面改質により表面の一部を酸化してもよい。このようにすることにより、電子伝導性酸化物の担持性が向上する可能性がある。導電補助材の表面改質の方法は特に制限はないが、0.5〜30%水(水蒸気)を含む不活性ガス(例えば、N2)で200〜400℃の温度で処理する方法が挙げられる。
本発明の製造方法では、表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に電子伝導性酸化物を担持したのちに、酸化イリジウム前駆体(IrO2前駆体)を担持させる。
すなわち、表面がグラファイト構造である繊維状炭素は、電子伝導性酸化物を担持することができるが、IrO2前駆体が担持されにくいという性質を有する。
導電補助材に電子伝導性酸化物を担持した後に、電極触媒前駆体(IrO2前駆体)を含む溶液に浸漬すると、電極触媒前駆体(IrO2前駆体)が選択的に電子伝導性酸化物に担持され、これを所定の条件で熱処理することによりIrO2微粒子に変換される。そのため、本発明の製造方法によれば、大部分の電極触媒粒子(IrO2微粒子)が選択的に電子伝導性酸化物に分散担持された水電解用電極材料を得ることができる。
電子伝導性酸化物を担持する方法としては、導電補助材に電子伝導性酸化物を担持できる方法であればいかなる方法も採用できる。その中でも以下に説明する電子伝導性酸化物の前駆体にアンモニアを直接反応させる「アンモニア沈殿法」や、尿素等のアンモニア発生化合物を分解して発生するアンモニアを反応させる「均一沈殿法」が好適である。
なお、均一沈殿法は詳しくは後述するように、アンモニア発生化合物の分解生成物としてのアンモニアを利用する点で、アンモニア沈殿法の一種でもあるが、本明細書においてはアンモニアそのものを直接利用する方法のみを「アンモニア沈殿法」と称し、アンモニア発生化合物を分解してアンモニアを生成する方法は除外して、両者を区別するものとする。
アンモニア沈殿法は、溶媒中で電子伝導性酸化物の前駆体とアンモニアとを直接反応させて生成する電子伝導性酸化物を導電補助材に担持する方法である。
この方法の利点として、アンモニア溶液を滴下しながら順次反応させ、アンモニア溶液の濃度や滴下スピードを変えることによって反応速度を制御できることが挙げられる。なお、アンモニア沈殿法における電子伝導性酸化物の前駆体としては、特に制限はなく、電子伝導性酸化物の構成金属元素(例えば、スズ)の硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、酢酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩などを使用することができる。電子伝導性酸化物が酸化スズの場合の好適な前駆体として、塩化スズ(水和物含む)が挙げられる。
溶媒としては電子伝導性酸化物の前駆体を溶解できる溶媒であればよく、例えば、水、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
詳細な理由は現時点では完全に明らかではないが、溶媒として無水エタノールを使用すると、導電補助材に対する電子伝導性酸化物の担持量が増加するため好ましい。
アンモニア沈殿法によって、導電補助材に担持された電子伝導性酸化物は、非晶質状態であるものを含むため、これを乾燥、焼成することで結晶性が高い電子伝導性酸化物を得ることができる。
乾燥方法は、特に制限がなく、加熱・減圧・自然乾燥などの方法で上述の水、エタノールなどの溶媒を蒸発させればよい。また、乾燥時の雰囲気は特に限定されるものではなく、酸素を含有する酸化性雰囲気中や大気雰囲気、窒素やアルゴンなどを含有する不活性雰囲気、水素を含有する還元性雰囲気などの雰囲気条件を任意に選ぶことができるが、通常、大気雰囲気である。
導電補助材の上にアンモニア沈殿法で形成して担持した電子伝導性酸化物を、酸素を含有する酸化性雰囲気(例えば、大気雰囲気下)で、300〜800℃、好適には、400〜700℃、特に好適には450〜650℃で熱処理することで、結晶性及び電子伝導性の高い電子伝導性酸化物を得ることができる。熱処理温度が低すぎる場合には、結晶性が低くなり、十分な電子伝導性が得られない場合があり、800℃を超える場合には、電子伝導性酸化物が凝集し、表面積が小さくなりすぎる場合や、導電補助材から電子伝導性酸化物が脱離する場合がある。
なお、炭素材料は、酸化雰囲気において高温(例えば、500℃)を超えると酸化(燃焼)するおそれがあるが、本発明で導電補助材として使用される、表面がグラファイト構造である繊維状炭素は高温耐久性が高い。そのため、上記温度範囲の中で実質的に燃焼せず、電子伝導性酸化物が脱離しない範囲で熱処理温度を決定すればよい。
また、均一沈殿法は、電子伝導性酸化物の前駆体と、アンモニア発生化合物を分解して発生するアンモニアとを反応させて生成する電子伝導性酸化物を導電補助材に担持する方法である。均一沈殿法では、溶液中において、分子レベルでアンモニア発生化合物からアンモニアが生成されることで一様に反応が起こるために、均質な電子伝導性酸化物の沈殿物が生成し、導電補助材に担持される。
アンモニア発生化合物としては均一沈殿法を行う温度において分解し、アンモニアを発生する化合物であればよく、溶媒が水の場合には、100℃以下で分解する尿素や尿素誘導体が用いられる。
なお、均一沈殿法における電子伝導性酸化物の前駆体や溶媒は、アンモニア沈殿法と同様であるため、説明を省略する。なお、電子伝導性酸化物が酸化スズの場合の好適な前駆体として、塩化スズ(水和物含む)が挙げられる。
均一沈殿法におけるアンモニア発生化合物を分解する方法としては、アンモニア発生化合物を含む溶液を、熱伝導を利用して直接加熱する方法(以下、均一沈殿法(加熱式)と記載する場合がある)でもよいが、より比表面積が大きい沈殿物(電子伝導性酸化物)を導電補助材に担持させることができる点で、以下に説明するマイクロ波加熱均一沈殿法が好適である。
マイクロ波加熱均一沈殿法は、電子伝導性酸化物の前駆体と、アンモニア発生化合物を分解して発生するアンモニアとを反応させて生成する電子伝導性酸化物を導電補助材に担持する均一沈殿法において、マイクロ波照射によって加熱を行って、当該溶液中のアンモニア発生化合物を分解する方法である。電子伝導性酸化物が酸化スズを主体とする場合、マイクロ波加熱均一沈殿法では、粒径10nm以下(特には5nm以下)の粒状電子伝導性酸化物を製造することができる。また、製造条件によっては生成する電子伝導性酸化物を薄膜状とすることができ、薄膜状の電子伝導性酸化物が導電補助材の一部または全部を被覆するように担持された構造を製造することができる。
マイクロ波加熱均一沈殿法では、アンモニア沈殿法よりも表面積が大きく、粒径(薄膜の場合は膜厚)の小さい電子伝導性酸化物を得ることができることに利点の一つがある。そのため、表面積が大きいため、多量の電極触媒粒子を担持でき、かつ、粒径(薄膜の場合は膜厚)の小さいため、電子伝導性酸化物に起因する電気抵抗を低減できる。
マイクロ波加熱均一沈殿法においても、電子伝導性酸化物を導電補助材に担持したのちに熱処理を行うこともできる。熱処理を行う場合の条件はアンモニア沈殿法と同様の条件である。
また、マイクロ波加熱均一沈殿法は、マイクロ波照射によって、溶液中での導電補助材の分散性を高めることができる点でも好適である。
溶媒としては電子伝導性酸化物の前駆体を溶解できる溶媒であればよく、例えば、水、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
マイクロ波加熱均一沈殿法の例を、電子伝導性酸化物が酸化スズである場合で具体的に説明すると、例えば、塩化スズ(SnCl4・5H2O)等の酸化スズ前駆体と、アンモニア発生化合物である尿素を含む溶液に導電補助材を添加し、マイクロ波照射した状態で目的の温度まで加熱し、その後所定の時間保持することによって、溶液中で尿素が分解されて発生するアンモニアによって酸化スズ前駆体から酸化スズ粒子が生成し、導電補助材に均一に分散担持される。
マイクロ波照射の強度は、溶液の量、アンモニア発生化合物の分解性や導電補助材の分散性等を考慮して適宜決定される。反応温度は、電子伝導性酸化物の種類、アンモニア発生化合物の分解性等の諸条件を考慮して決定されるが、均一な品質の電子伝導性酸化物が形成される点で90〜100℃が好ましい。
「工程(2)」
工程(2)は、電子伝導性酸化物担体を担持した前記導電補助材を、酸化イリジウム前駆体を含む溶液に浸漬し、前記電子伝導性酸化物担体の表面上に酸化イリジウム前駆体を担持する工程である。
酸化イリジウム粒子は、高活性を保ったまま高分散担持することが技術的に難しく、これまでに有効に10nm以下(特には5nm以下)の微粒子を担持することができなかった。
本発明の製造方法の特徴のひとつは、工程(2)において、表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に担持された電子伝導性酸化物担体に対し、酸化イリジウム前駆体を選択的に担持するに当たり、酸化イリジウム前駆体を含む溶液に浸漬し、溶媒を留去する、いわゆる蒸発乾固法が適していることを見出したことにある。
また、本発明者が特許文献2で報告した、Pt系貴金属触媒前駆体の担持方法である、貴金属アセチルアセトナート法も、酸化イリジウム前駆体の電子伝導性酸化物担体の表面上への担持方法に成り得る。
以下、蒸発乾固法の場合について説明する。
酸化イリジウム前駆体として、Irを含む無機化合物、有機化合物が選択できるが、好適な一例は、塩化イリジウム酸(H2IrCl6・nH2O)である。
工程(2)における蒸発乾固法による、酸化イリジウム前駆体を例示すると、まず、酸化イリジウム前駆体を含む溶液を、溶媒の蒸発後に、目的とする酸化イリジウム担持量となる濃度に調整する。
次いで、この溶液に、工程(1)で得た所定量の電子伝導性酸化物を担持した導電補助材を、撹拌及び溶媒の留去を行うことにより、電極触媒前駆体(IrO2前駆体)の担持が行う。
この方法であれば、複雑な化学反応を伴わずとも、酸化イリジウム前駆体を、電子伝導性酸化物に高分散に担持することができる。また、溶液中に強い酸化剤や還元剤を用いることがないため、電子伝導性酸化物や炭素系の導電補助材が劣化することを回避できるという利点がある。
また、蒸発乾固法では、水溶媒を使用することができることも利点の一つである。溶媒に水を使用しているため、酸化イリジウム前駆体が、疎水性である表面がグラファイトの炭素材料へは特に担持されづらいため、電子伝導性酸化物の表面に選択的に担持されやすい。
なお、水溶媒には、蒸発速度を制御するなどの目的で、他の溶媒(エタノール等)を含んでいてもよい。
「工程(3)」
工程(3)は、工程(2)において、電子伝導性酸化物担体に担持された酸化イリジウム前駆体を、酸化雰囲気下、300℃以上500℃以下で熱処理し、酸化イリジウムに変換する工程である。工程(2)において、電子伝導性酸化物に担持された酸化イリジウム前駆体は、そのままでは活性が低いため、酸化雰囲気下で熱処理することで酸化イリジウムに変換して活性化する。
本発明の製造方法の特徴のひとつは、工程(3)において、熱処理条件を、酸化雰囲気下、300℃以上500℃以下の温度範囲と規定することで、導電補助材や電子伝導性酸化物担体を劣化させることなく、酸化イリジウム本来の優れた電気化学的触媒活性を有する酸化イリジウム微粒子とすることができることにある。このような特定の担持方法、活性化方法を経る製造方法により、IrO2微粒子は、平均粒子径10nm以下の微粒子となり、高い触媒活性を有するため、担持量が少なくとも、優れた電極触媒となる。
熱処理条件は、電子伝導性酸化物や、前駆体の種類にもよっても変わり得るが、高活性なIrO2微粒子が得られ、かつ、電子伝導性酸化物や炭素系導電補助材への影響がない条件として、酸化雰囲気下、300℃以上500℃以下(好適には400℃以上450℃以下)の温度範囲である。温度が低すぎると高活性なIrO2微粒子が得られず、高すぎるとIrO2微粒子が凝集し、有効反応表面積が小さかったり、炭素系導電補助材が酸化(燃焼)分解するおそれがある。
なお、酸化雰囲気は、通常、大気雰囲気であるが、酸素のみ、酸素と不活性ガスの混合ガスを用いてもよい。雰囲気には必要に応じて水蒸気を加えてもよく、また、不活性ガスと水蒸気の混合ガスも酸化雰囲気となる。
<3.水電解用電極>
本発明の水電解用電極は、上述の水電解用電極材料とプロトン伝導性電解質材料とを含むことを特徴とする。当該水電解用電極では、前記炭素系導電補助材が互いに接触して導電パスを形成する。
このような構成であれば、上述した本発明の電極材料を構成する導電補助材が、長径で優れた電子伝導性を有する繊維状炭素であるため、水電解用電極全体として、電子伝導性に優れる。さらに、長径の導電補助材の隙間は、少なくとも通気性を発現する程度に空隙を作ることができるため、水素、酸素、水蒸気等の電極反応に関与するガスの拡散性に優れると共に、プロトン伝導性電解質材料を十分に保持できる。そのため、当該電極材料で形成された水電解用電極は、優れた電極性能を示すと共に、耐久性が高く、長期間水の電気分解を行うことができる。
以下に、本発明の水電解用電極材料を用いて形成した水電解用電極について説明する。
本発明の水電解用電極は、上述の水電解用電極材料のみから構成されていてもよいが、通常、水電解の電解質に使用されるプロトン伝導性電解質材料(以下、「プロトン伝導性電解質材料」、または単に「電解質材料」と記載する場合がある。)を含む。水電解用電極材料と共に電極に含まれる電解質材料は、水電解用電解質膜に使用される電解質材料と同じであってもよく、異なってもよい。水電解用電極と電解質膜の密着性を向上させる観点から、同じものを用いることが好ましい。
水電解用電極と電解質膜とに使用される電解質材料としては、プロトン伝導性電解質材料が挙げられる。このプロトン伝導性電解質材料は、ポリマー骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質材料と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質材料に大別され、この両者を電解質材料として使用することができる。
フッ素系電解質材料としては、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適な一例として挙げられる。
炭化水素系電解質材料としては、具体的には、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールスルホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリイミドスルホン酸等のポリマーや、これらにアルキル基等の側鎖を有するポリマーが好適な一例として挙げられる。
上記水電解用電極材料と水電解用電極材料と混合する電解質材料との質量比は、これらの材料を用いて形成される電極内の良好なプロトン伝導性を付与し、かつ電極内のガス拡散及び水蒸気の排出をスムーズに行えるように適宜決定すればよい。ただし、水電解用電極材料に混合する電解質材料の量が多すぎるとプロトン伝導性はよくなるが、ガスの拡散性は低下する。逆に混合する電解質材料の量が少なすぎるとガス拡散性はよくなるが、プロトン伝導性は低下する。そのため、上記水電解用電極材料に対する電解質材料の質量比率は、10〜50質量%が好適な範囲である。この質量比率が10質量%より小さい場合は、プロトン伝導性を有する材料の連続性が悪くなり、水電解用電極として十分なプロトン伝導性が確保できない。逆に50質量%より大きい場合は水電解用電極材料の連続性が悪くなり、水電解用電極として十分な電子伝導性を有することができなくなる場合がある。さらには電極内部でのガス(酸素、水素、水蒸気)や水の拡散性が低下する場合がある。
本発明の水電解用電極は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述の水電解用電極材料やプロトン伝導性材料以外の成分を含んでいてもよい。
<4.膜電極接合体(MEA)>
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードが、上記本発明の水電解用電極であることを特徴とする。
本発明の好適な実施形態として、電子伝導性酸化物に酸化スズを主体とする酸化物を用いた電極材料を含む水電解用電極を本発明の水電解用電極をアノードに使用した膜電極接合体について説明する。
図3は本発明の実施形態に係る膜電極接合体の断面構造を模式的に示したものである。図3に示すように膜電極接合体10は、カソード4及びアノード5が固体高分子電解質膜6に対面して配置された構造を有する。
カソード4は、電極触媒層4aとガス拡散層4bで構成され、その構成に特に制限はなく、それぞれ水電解用セルのカソードとして従来公知の電極触媒層、ガス拡散層を使用することができる。
アノード5は、電極触媒層5aとガス拡散層5bで構成され、電極触媒層5aは、上述の通り、本発明の水電解用電極(電子伝導性酸化物:酸化スズを主体とする酸化物)を用いているため、詳細な説明は省略する。
アノード5のガス拡散層5bは、カソード4で説明したガス拡散層4bと同様に、水電解用セルの従来公知のガス拡散層が使用できる。
固体高分子電解質膜6としては、プロトン伝導性を有し、化学的安定性及び熱的安定性を有するものであれば公知の固体高分子形水電解セル用電解質膜を用いればよい。なお、図3では厚みを強調して図示しているが、電気抵抗を低くするため固体高分子電解質膜6の厚みは破損が発生しない程度で薄膜であることが好ましい。
固体高分子電解質膜6を構成する電解質材料としては、水電解用セルの運転条件で分解が起こらないものを使用すればよく、水電解用セルの電解質材料として従来公知の材料が使用され、例えば、フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料が挙げられる。特にフッ素系電解質材料で形成されている電解質膜が、耐熱性、化学的安定性などに優れているため好ましい。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適例として挙げられる。
炭化水素系高分子電解質材料としては、例えば、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールスルホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリイミドスルホン酸等のポリマーや、これらにアルキル基等の側鎖を有するポリマー等が挙げられる。また、電解質膜として、無機系プロトン伝導体であるリン酸塩、硫酸塩などからなる電解質膜を使用することもできる。
以上、図面を参照して本発明のMEAの実施形態について述べたが、これらは本発明のMEAの例示であり、アノードとして本発明の水電解用電極を採用する限り、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
使用した原料化合物、導電補助材は以下の通りである。
(Sn前駆体)
塩化スズ水和物(SnCl2・2H2O)(キシダ化学株式会社)
(Nb前駆体)
塩化ニオブ(NbCl5)(三津和化学薬品株式会社)
(Ir前駆体)
塩化イリジウム酸(H2IrCl6・nH2O)(和光純薬工業株式会社)
(導電補助材)
以下の物性を有する繊維状炭素(昭和電工株式会社製、気相法炭素繊維、VGCF−H(登録商標))を使用した。
繊維径:150nm
真密度:2.1g/cm3
比表面積:11.4m2/g
熱伝導率:1200W/(m・K)
導電率:1×10-4Ωcm
1.電極触媒材料の製造
<実施例1>
工程(1)
工程(1−1):ニオブドープ酸化スズ担持繊維状炭素の製造
実施例1においては、アンモニア沈殿法でニオブドープ酸化スズ(Nb-SnO2)粒子を担持した繊維状炭素を製造した。
まず、上記繊維状炭素(0.2519g)に超純水を加え、超音波ホモジナイザーで攪拌し、繊維状炭素の分散液を得た。この分散液に塩化スズ水和物(SnCl2・2H2O)(0.7698g)を入れ、さらに塩化ニオブ(NbCl5)を、Sn:Nb=98:2(mol比)の割合で添加し、ホットスターラーで50℃に保持して、攪拌しながらアンモニア水(NH328重量%)をビュレットで滴下した(5cc/分)。アンモニア水の滴下後、1時間攪拌を続けたのちに、分散液の濾過、洗浄を行い、100℃で10時間乾燥させた。乾燥後大気雰囲気下、600℃で2時間の熱処理を行い、実施例1の酸化スズ粒子を担持した繊維状炭素を得た。
また、熱分析装置(株式会社リガク製、ThermoPlus TG8120)を用いて、酸化スズ粒子を担持した繊維状炭素を、大気雰囲気下で800℃まで昇温し、昇温前後の質量差を重量減少分を燃焼した繊維状炭素の重量として、酸化スズ粒子の担持率を求めたところ、75重量%であった。
工程(1−2):蒸発乾固法によるIrO2前駆体の担持
工程(1)で得られた、酸化スズ粒子を担持した繊維状炭素(以下、「担体粉末」と記載する場合がある)に、蒸発乾固法により、電極触媒粒子であるIrO2前駆体を担持した。蒸発乾固法は、蒸発皿に所定量の担体粉末、純水、IrO2前駆体(H2IrCl6・nH2O)を加え、それを撹拌しながら液体が蒸発するまで加熱することにより、担体粉末にIrO2前駆体を担持した。
工程(2)
工程(1−2)で得られた粉末を、Air雰囲気中で440℃、1時間保持(昇温速度:2℃/分)の条件で熱処理を施すことで、実施例1の電極材料(IrO2/Nb-SnO2/VGCF)を得た。なお、実施例1の電極材料のIrO2担持量は23wt%であった。IrO2担持量は、TG−DTAから求めた繊維状炭素の燃焼前後の重量変化、及びニオブドープ酸化スズと繊維状炭素の重量比(仕込み)から算出した値である。
<参考例1>
工程(2)において、熱処理条件を、5%H2-N2雰囲気中で150℃、1時間とした以外は、実施例1と同様にして、参考例1の電極材料(Ir/Nb-SnO2/VGCF)を得た。
2.評価
2−1:XRDによる評価
実施例1及び参考例1の電極触媒材料をX線回折法にて評価した。
図4に示すように実施例1の電極触媒材料では、SnやSnOのシグナルは確認されず、SnO2のシグナルのみが確認された。また、実施例1におけるSnO2は、純粋なSnO2と比較してシグナルがシフトしていることから、Nbがドープされていることが確認された。一方、IrO2についてはXRDでは明確なシグナルは確認されなかった。
一方、図5に示すように参考例1の電極触媒材料では、SnO2と共にSnOのシグナルが確認された。また、Irについては、Irのシグナルのみが確認された。
2−2:電子顕微鏡による評価
(1)走査型電子顕微鏡(FE−SEM)による評価
実施例1及び参考例1の電極触媒材料の微細構造観察を行った。図6(a)に実施例1の電極触媒材料、図6(b)に参考例1の電極触媒材料のFE−SEM像をそれぞれ示す。図6(a)に示す実施例1の電極触媒材料のFE−SEM像では、導電補助材である繊維状炭素の表面上にSnO2が担持されていることが確認されるが、IrO2微粒子単独では確認されなかった。一方、図6(b)から参考例1の電極触媒材料では、繊維状炭素の表面上にSnO2(SnO)が担持されていることが確認され、Ir粒子も単独では確認された。
(2)走査型透過電子顕微鏡(STEM)及びEDSマッピングによる評価
実施例1及び参考例1の電極触媒材料の走査型透過電子顕微鏡(STEM) 及びEDSマッピングを用いてさらに詳細に微細構造の評価を行った。実施例1の電極触媒材料について図7にSTEM像及びEDSマッピング、図8にSTEM像(高倍率)、図8に参考例1の電極触媒材料のSTEM像及びEDSマッピングをそれぞれ示す。
図7から実施例1の電極触媒材料では、EDSマッピングにおけるIr原子の分布は担体粉末(SnO2を担持した繊維状炭素)のSnO2部分に広がっており、図8に示すSTEM像(高倍率)から、約10〜数十nm径のSnO2粒子表面上に直径10nm以下のIrO2が担持されていることが確認された。そのため、IrO2はSnO2に表面担持した状態で存在すると考えられる。
また、図9に示すように、参考例1の電極触媒材料では、SnO2(SnO)表面上に直径10nm以下のIr粒子が存在することが確認された。
2−3:XPSによる評価
試料表面の成分構成を確認するため、XPSによる評価を行った。図10(a)に実施例1の電極触媒材料、図10(b)に参考例1の電極触媒材料のIr(4f)スペクトルをそれぞれ示す。
図10(a)と図10(b)を対比すると、62eV付近のピークと65eV付近のピークの比が異なっており、実施例1の電極触媒材料における表面成分から、IrO2であるといえる。すなわち、実施例1の電極触媒材料の表面にはIrO2微粒子が存在していることがXPSによる評価で確認された。
2−4.電気化学的評価(ハーフセル)
以下の電極触媒材料を用いて評価用電極を作製し、電位ステップ法(クロノアンペロメトリー(CA))により、それぞれの性能を比較した。
実施例1の電極触媒材料(IrO2/Nb-SnO2/VGCF)
比較例1の電極触媒材料(市販のIrO2粉末、株式会社徳力本店製)
評価用の電極として、直径5mmのGC(グラッシーカーボン、北斗電工(株)、HR2−D1−GC5)上に、電極触媒材料と2−プロパノール、5%ナフィオン分散液をFCCJの評価プロトコル(固体高分子形燃料電池の目標・研究開発課題と評価方法の提案、平成23年1月発行)に則った割合で混合したものを、IrO2担持量が17.3μg/cm2になるように塗布し電極を使用した。
図11に比較例1の電極触媒材料(μmオーダーのIrO2粉末)を用いた電極のFE−SEM像を示す。
CAの測定条件は以下の通りである。
測定:三電極式セル(作用極:電極触媒材料/GC,対極:Pt,参照極:Ag/AgCl)
電解液:0.1M HClO4(pH:約1)
印加電圧:1.6V
回転数:1600rpm
電圧保持時間:30min
測定は、測定開始(0min時)に0Vから1.6Vまでステップ的に電圧変化させてその後30min保持することによって行った。
図12に実施例1、比較例1のCAの結果を示す。なお、図12において、縦軸は電流密度であり、数値が大きいほど水電解反応が進むことを意味する。
図12からわかるように、IrO2粉末を用いた比較例1の電極に比べて、IrO2微粒子が担持された実施例1の電極の方が、一定電圧値(1.6V)における電流密度が高いことが確認された。この結果より、本発明の電極触媒材料からなる電極は、少ないIrO2量でも高性能の電極を与えることができることが示唆される。
本発明によれば、Ir使用量を低減でき、かつ、水電解における電位下でも安定であり、十分な触媒活性を示すことが可能な水電解用電極材料の低コストでの生産が可能となり、余剰が電力を水素にして蓄えるシステムの中核となる水電解システムの高コストの問題を、根本的に解決できるブレイクスルーとなり得るため、産業的に有望である。
1 水分解用電極材料
2 導電補助材
3a (粒子状の)電子伝導性酸化物
3b 電極触媒粒子
4 水分解セル用電極(カソード)
4a カソード電極層
4b ガス拡散層
5 水分解セル用電極(アノード)
5a カソード電極層
5b ガス拡散層
6 固体高分子電解質膜
10 膜電極接合体(MEA)

Claims (7)

  1. 表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる炭素系導電補助材と、
    前記炭素系導電補助材に担持された酸化スズを主体とする粒子状電子伝導性酸化物からなる電子伝導性酸化物担体と、
    前記電子伝導性酸化物担体に分散担持された、平均粒子径10nm以下の酸化イリジウム粒子とを含み、前記炭素系導電補助材の上に酸化イリジウム粒子を有さないことを特徴とする水電解用電極材料。
  2. 前記電子伝導性酸化物担体に分散担持された酸化イリジウム粒子の粒径が0.5nm以上5nm以下である請求項1に記載の水電解用電極材料
  3. 前記酸化スズを主体とする粒子状電子伝導性酸化物の平均粒径が1nm以上40nm以下である請求項1または2に記載の水電解用電極材料
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の水電解用電極材料の製造方法であって、以下の工程を有することを特徴とする水電解用電極材料の製造方法。
    (1)表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に、酸化スズを主体とする粒子状電子伝導性酸化物からなる電子伝導性酸化物担体を担持する工程
    (2)電子伝導性酸化物担体を担持した前記導電補助材を、水を溶媒とした酸化イリジウム前駆体を含む溶液に浸漬し、蒸発乾固法によって前記電子伝導性酸化物の表面上に酸化イリジウム前駆体を担持する工程
    (3)電子伝導性酸化物担体に担持された酸化イリジウム前駆体を、酸化雰囲気下、300℃以上500℃以下で熱処理し、酸化イリジウムに変換する工程
  5. 工程(1)において、酸化スズを主体とする粒子状電子伝導性酸化物からなる電子伝導性酸化物担体を担持する方法が、マイクロ波加熱均一沈殿法である請求項4に記載の水電解用電極材料の製造方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の水電解用電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含み、前記導電補助材が互いに接触して導電パスを形成している水電解用電極。
  7. 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードが、請求項6に記載の水電解用電極である膜電極接合体を備えてなることを特徴とする固体高分子形水電解セル。
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