以下、複数の実施形態による高圧ポンプを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位は、同一または同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
第1実施形態による高圧ポンプを図1に示す。
本実施形態の高圧ポンプ10は、図示しない車両の内燃機関(以下、「エンジン」という)9のエンジンヘッド18に取り付けられる。
車両に搭載された燃料タンクには、燃料としてのガソリンが貯留される。図示しない燃料ポンプは、燃料タンク内の燃料を汲み上げ吐出する。図示しない供給燃料配管は、燃料ポンプと高圧ポンプ10とを接続する。これにより、燃料ポンプで汲み上げられ吐出された燃料は、供給燃料配管を経由して高圧ポンプ10に流入する。
エンジン9には高圧ポンプ10とともに燃料レールが設けられる。エンジン9は、例えば4気筒のガソリンエンジンである。燃料レールは、エンジン9のエンジンヘッド18に設けられる。図示しない燃料噴射弁は、噴孔がエンジン9の燃焼室内に露出するよう設けられる。燃料噴射弁は、エンジン9の気筒数に合わせて4つ設けられる。燃料レールには、4つの燃料噴射弁が接続される。
高圧ポンプ10と燃料レールとは、高圧燃料配管102により接続される。供給燃料配管から高圧ポンプ10に流入した燃料は、高圧ポンプ10で加圧され、高圧燃料配管102を経由して燃料レールに供給される。これにより、燃料レール内の燃料は比較的高圧に保たれる。燃料噴射弁は、図示しないECUからの指令により開閉弁し、燃料レール内の燃料をエンジン9の燃焼室内に噴射する。このように、燃料噴射弁は、所謂直噴式(DI)の燃料噴射弁である。
図1に示すように、高圧ポンプ10は、ハウジング20、プランジャ11、吸入弁部50、電磁駆動部60、コアストッパ81、吐出部17等を備えている。
ハウジング20は、上ハウジング21、下ハウジング22、シリンダ23、ホルダ支持部24、カバー30、筒部材40等を有している。
上ハウジング21、下ハウジング22、シリンダ23、ホルダ支持部24は、例えばステンレス等の金属により形成されている。
上ハウジング21は、略直方体状に形成されている。上ハウジング21は、穴部211、吸入穴部212、吐出穴部213を有している。穴部211は、上ハウジング21の中央を円筒状に貫くよう形成されている。吸入穴部212は、上ハウジング21の長手方向の一方の端面と穴部211とを接続するよう円筒状に形成されている。吐出穴部213は、上ハウジング21の長手方向の他方の端面と穴部211とを接続するよう円筒状に形成されている。
下ハウジング22は、略板状に形成されている。下ハウジング22は、穴部221、穴部222を有している。穴部221は、下ハウジング22の中央を板厚方向に円筒状に貫くよう形成されている。下ハウジング22は、穴部221が上ハウジング21の穴部211と同軸になるよう上ハウジング21に当接して設けられている。穴部222は、下ハウジング22を板厚方向に貫くよう穴部221の周囲に複数形成されている。
シリンダ23は、シリンダ穴部231を有している。シリンダ穴部231は、円柱状の部材の一方の端面から他方の端面側へ延びるよう円筒状に形成されている。すなわち、シリンダ23は、筒部、および、筒部の一端を塞ぐ底部を有する有底筒状に形成されている。
シリンダ23は、下ハウジング22の穴部221を通り、上ハウジング21の穴部211に底部側の外壁が嵌合するよう上ハウジング21および下ハウジング22と一体に設けられている。シリンダ23は、吸入開口部232、吐出開口部233を有している。吸入開口部232は、シリンダ穴部231の底部側の端部と上ハウジング21の吸入穴部212とを接続するよう形成されている。吐出開口部233は、シリンダ穴部231の底部側の端部と上ハウジング21の吐出穴部213とを接続するよう形成されている。すなわち、吸入開口部232と吐出開口部233とは、シリンダ23の軸を挟んで対向するよう形成されている。
ホルダ支持部24は、下ハウジング22の穴部222の周囲から上ハウジング21とは反対側に略円筒状に延びるようにして形成されている。本実施形態では、ホルダ支持部24は、下ハウジング22と一体に形成されている。ホルダ支持部24は、シリンダ23の一端の径方向外側においてシリンダ23と同軸になるよう形成されている。
プランジャ11は、例えばステンレス等の金属により略円柱状に形成されている。プランジャ11は、大径部111、小径部112を有している。小径部112は、外径が大径部111の外径より小さい。プランジャ11は、大径部111側がシリンダ23のシリンダ穴部231に挿入されるようにして設けられている。シリンダ穴部231のシリンダ23の内壁とプランジャ11の大径部111側の端部との間に加圧室200が形成されている。すなわち、ハウジング20は、加圧室200を有している。加圧室200は、吸入開口部232および吐出開口部233に接続している。ここで、ハウジング20のうちシリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22は、「加圧室形成部」を構成している。
プランジャ11の外径は、シリンダ23の内径、すなわち、シリンダ穴部231の径よりやや小さく形成されている。そのため、プランジャ11は、外壁がシリンダ23の内壁と摺動しつつ、シリンダ穴部231内を軸方向に往復移動可能である。プランジャ11がシリンダ穴部231内を往復移動するとき、加圧室200の容積が増減する。
本実施形態では、ホルダ支持部24の内側にシールホルダ14が設けられている。シールホルダ14は、例えばステンレス等の金属により筒状に形成されている。シールホルダ14は、外壁がホルダ支持部24の内壁に嵌合するよう設けられている。また、シールホルダ14は、内壁とプランジャ11の小径部112の外壁との間に略円筒状のクリアランスを形成するよう設けられている。シールホルダ14の内壁とプランジャ11の小径部112の外壁との間には、環状のシール141が設けられている。シール141は、径内側のフッ素樹脂製のリングと径外側のゴム製のリングとからなる。シール141により、プランジャ11の小径部112周囲の燃料油膜の厚さが調整され、エンジン9への燃料のリークが抑制される。また、シールホルダ14のシリンダ23とは反対側の端部には、オイルシール142が設けられている。オイルシール142により、プランジャ11の小径部112の周囲のオイル油膜の厚さが調整され、オイルのリークが抑制される。
なお、プランジャ11の大径部111と小径部112との間の段差面とシール141との間には、プランジャ11の往復移動時に容積が変化する可変容積室201が形成されている。
ここで、下ハウジング22とシリンダ23の外壁とホルダ支持部24の内壁とシールホルダ14との間に環状の空間である環状空間202が形成されている。環状空間202は、下ハウジング22の穴部222に接続している。また、環状空間202は、シールホルダ14の内壁とシリンダ23の外壁との間の円筒状の空間を経由して可変容積室201に接続している。
プランジャ11の小径部112の大径部111とは反対側の端部には、略円板状のスプリングシート12が設けられている。シールホルダ14とスプリングシート12との間には、スプリング13が設けられている。スプリング13は、例えばコイルスプリングであり、一端がスプリングシート12に当接し、他端がシールホルダ14に当接するよう設けられている。スプリング13は、スプリングシート12を経由してプランジャ11を加圧室200とは反対側に付勢している。
高圧ポンプ10は、エンジン9のエンジンヘッド18に取り付けられるとき、プランジャ11の小径部112の大径部111とは反対側の端部にリフタ5が取り付けられる。
高圧ポンプ10がエンジン9に取り付けられたとき、リフタ5は、エンジン9の駆動軸に連動して回転するカム軸のカム4に当接する。これにより、エンジン9が回転しているとき、カム4の回転により、プランジャ11が軸方向に往復移動する。このとき、加圧室200および可変容積室201の容積は、それぞれ周期的に変化する。
カバー30は、例えばステンレス等の金属により形成されている。カバー30は、カバー筒部31、カバー底部32等を有している。
カバー筒部31は、筒状に形成されている。より具体的には、カバー筒部31は、略八角筒状に形成されている。カバー底部32は、カバー筒部31の一端を塞ぐようカバー筒部31と一体に形成されている。すなわち、カバー30は、有底筒状に形成されている。なお、本実施形態では、カバー30は、例えば板状の部材をプレス加工することにより形成されている。そのため、カバー30は、肉厚が比較的小さい。
カバー30は、カバー開口部35、36を有している。
カバー開口部35、36は、それぞれ、カバー筒部31の内壁と外壁とを接続するよう円筒状に形成されている。カバー開口部35とカバー開口部36とは、カバー筒部31の軸を挟んで対向するよう形成されている。
カバー30は、内側に上ハウジング21を収容し、カバー筒部31のカバー底部32とは反対側の端部が、下ハウジング22の上ハウジング21側の面に当接するよう設けられている。カバー30は、上ハウジング21、下ハウジング22、シリンダ23との間に燃料室300を形成している。ここで、カバー筒部31の端部と下ハウジング22とは、例えば溶接により周方向の全域に亘り接合されている。これにより、カバー筒部31と下ハウジング22との間は、液密に保たれている。また、カバー30は、カバー開口部35と上ハウジング21の吸入穴部212とが対応し、カバー開口部36と上ハウジング21の吐出穴部213とが対応するよう設けられている。
このように、カバー30は、シリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22の少なくとも一部を覆い、シリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22との間に燃料室300を形成している。
カバー30には、図示しないインレットが設けられている。インレットは、カバー筒部31のカバー開口部35とカバー開口部36との間に設けられている。インレットは、筒状に形成され、一端がカバー筒部31の外壁に接続するよう設けられている。インレットは、内側の空間が燃料室300に連通するよう設けられている。インレットの他端には、供給燃料配管が接続される。これにより、燃料ポンプから吐出される燃料は、供給燃料配管、インレットを経由して燃料室300に流入する。
図1、2に示すように、吸入弁部50は、上ハウジング21の吸入穴部212に設けられている。吸入弁部50は、弁座部51、吸入弁52、弁ストッパ53、スプリング54、ニードル55、ニードル支持部56、可動コア58、スプリング57等を有している。
弁座部51は、例えばステンレス等の金属により筒状に形成され、外壁が上ハウジング21の吸入穴部212の壁面に嵌合するよう設けられている。弁座部51の加圧室200側の面において中央の穴部の外側に環状の吸入弁座511が形成されている。
吸入弁52は、例えばステンレス等の金属により略円板状に形成され、弁座部51に対し加圧室200側に設けられている。吸入弁52は、一方の端面の外縁部が吸入弁座511に当接可能に設けられている。吸入弁52は、吸入弁座511から離間したとき、開弁し、吸入穴部212における燃料の流れを許容する。一方、吸入弁52は、吸入弁座511に当接したとき、閉弁し、吸入穴部212における燃料の流れを遮断可能である。以下、適宜、吸入弁52が開弁するときに移動する方向を「開弁方向」といい、吸入弁52が閉弁するときに移動する方向を「閉弁方向」という。
弁ストッパ53は、例えばステンレス等の金属により略円板状に形成され、外縁部が上ハウジング21の吸入穴部212の壁面に嵌合するよう設けられている。弁ストッパ53は、吸入弁52に対し加圧室200側に設けられている。吸入弁52は、吸入弁座511と弁ストッパ53との間で軸方向、すなわち、開弁方向または閉弁方向に往復移動可能に設けられている。吸入弁52は、加圧室200側の面が弁ストッパ53に当接可能である。弁ストッパ53は、吸入弁52が当接したとき、吸入弁52の開弁方向の移動を規制可能である。
スプリング54は、例えばコイルスプリングであり、吸入弁52と弁ストッパ53との間に設けられている。スプリング54は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング54は、吸入弁52を吸入弁座511側に付勢している。
筒部材40は、例えば磁性材料により略円筒状に形成されている。筒部材40は、カバー30のカバー開口部35に挿通され、一端が上ハウジング21の吸入穴部212にねじ込まれるようにして設けられている。すなわち、筒部材40は、上ハウジング21に固定されている。
上ハウジング21には、吸入穴部212と燃料室300とを接続する穴部214が形成されている。燃料室300の燃料は、穴部214、弁座部51の内側、吸入弁52の周囲、吸入開口部232を経由して加圧室200に流通可能である。
筒部材40の外壁とカバー30のカバー開口部35の周囲とは、例えば溶接により筒部材40の周方向の全域に亘り接合されている。これにより、カバー開口部35と筒部材40の外壁との間は液密に保たれている。
ニードル支持部56は、例えばステンレス等の金属により形成されている。ニードル支持部56は、支持板部561、支持筒部562を有している。
支持板部561は、略円環の板状に形成されている。支持筒部562は、支持板部561の中央に設けられ、支持板部561と一体に形成されている。
ニードル支持部56は、弁座部51に対し加圧室200とは反対側において、支持板部561の外縁部が吸入穴部212の内壁および筒部材40の内周壁に嵌合するよう設けられている。
ニードル55は、ニードル本体551、鍔部552を有している。
ニードル本体551は、例えばステンレス等の金属により棒状に形成され、外壁がニードル支持部56の支持筒部562の内周壁に摺動可能に設けられている。支持筒部562は、ニードル本体551を軸方向に往復移動可能に支持している。ニードル本体551の一端は、吸入弁52の加圧室200とは反対側の端面の中央に当接可能である。ここで、ニードル本体551は、一端がハウジング20のカバー30の内側に位置し、他端がハウジング20のカバー30の外側に位置している。なお、ニードル本体551は、軸がシリンダ23およびプランジャ11の軸Ax1に略直交するよう設けられている。また、筒部材40は、軸がニードル本体551の軸に沿うようニードル55の径方向外側に設けられている。
鍔部552は、ニードル本体551の他端側の外周壁から径方向外側へ環状に延びるよう形成されている。鍔部552の吸入弁52側の端面には、鍔部当接面553が形成されている。鍔部当接面553は、略円環状に形成されている。
可動コア58は、例えば磁性材料により略円柱状に形成されている。可動コア58は、凹部581、582、軸穴部583、連通孔584を有している。
凹部581は、可動コア58の一方の端面の中央から他方の端面側へ円形に凹むよう形成されている。凹部582は、可動コア58の他方の端面の中央から一方の端面側へ円形に凹むよう形成されている。ここで、凹部581の直径は、凹部582の直径より大きい。
軸穴部583は、可動コア58の中央において凹部581の底面と凹部582の底面とを接続するよう形成されている。軸穴部583は、可動コア58の軸に沿って延びるようにして形成されている。
連通孔584は、凹部581の底面と可動コア58の他方の端面とを接続するよう軸穴部583の周囲に複数形成されている。本実施形態では、連通孔584は、可動コア58の周方向に等間隔で4つ形成されている。
可動コア58の軸穴部583には、凹部582の底面が鍔部当接面553に当接可能なようニードル本体551が挿通されている。ここで、可動コア58は、鍔部552とニードル支持部56の支持筒部562との間においてニードル55に対し相対移動可能に設けられている。そのため、可動コア58は、凹部582の底面が鍔部当接面553に当接可能、および、凹部582の底面が鍔部当接面553から離間可能である。
なお、可動コア58の軸穴部583は、ニードル本体551の外周壁に摺動可能である。そのため、可動コア58は、ニードル支持部56およびニードル本体551により、軸方向に往復移動可能なよう支持されている。
スプリング57は、例えばコイルスプリングであり、ニードル支持部56と可動コア58との間に設けられている。スプリング57は、一端がニードル支持部56の支持板部561に当接し、他端が可動コア58の凹部581の底面に当接している。スプリング57は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング57は、可動コア58を吸入弁52とは反対側、すなわち、閉弁方向へ付勢している。ここで、ニードル55は、鍔部当接面553が可動コア58の凹部582の底面に当接可能なため、スプリング57により可動コア58とともに閉弁方向へ付勢される。
電磁駆動部60は、ニードル55および筒部材40の他端側に設けられている。電磁駆動部60は、筒部材40の他端側に接続している。すなわち、筒部材40は、ハウジング20と電磁駆動部60とを接続している。
電磁駆動部60は、磁気絞り部61、固定コア62、コイル63、ヨーク64、コネクタ65、スプリング66等を有している。
磁気絞り部61は、例えば磁性部材により略円筒状に形成されている。磁気絞り部61は、筒部材40と同軸となるよう筒部材40に対し上ハウジング21とは反対側に設けられ、筒部材40と一体に形成されている。磁気絞り部61は、内径が筒部材40の内径と同じで、外径が筒部材40の外径より小さい。すなわち、磁気絞り部61は、径方向の肉厚が筒部材40の肉厚より小さい。ここで、可動コア58の吸入弁52とは反対側の端面は、磁気絞り部61の内側に位置している。
固定コア62は、例えば磁性材料により略円柱状に形成されている。固定コア62は、一方の端部の外周壁が磁気絞り部61の内周壁に嵌合するよう設けられている。固定コア62には、一方の端面から他方の端面側へ略円筒状に凹む凹部621が形成されている。
吸入弁52が弁ストッパ53に当接し、ニードル本体551が吸入弁52に当接し、可動コア58が鍔部当接面553に当接した状態では、固定コア62と可動コア58との間に隙間が形成されている。
コイル63は、導線631を有している。導線631は、例えば銅等の電気伝導材により線状に形成されている。コイル63は、導線631を巻くことにより略円筒状に形成されている。コイル63は、固定コア62と同軸となるよう、磁気絞り部61および固定コア62の径方向外側に設けられている。すなわち、コイル63は、軸がニードル55の軸に沿うよう設けられている。
ヨーク64は、ヨーク641、642を有している(図1参照)。ヨーク641は、例えば磁性材料により有底筒状に形成されている。ヨーク641は、コイル63を覆うようコイル63と同軸に設けられている。ヨーク641の底部は、固定コア62に当接している。
ヨーク642は、例えば磁性材料により板状かつ環状に形成されている。ヨーク642は、ヨーク641の開口端を塞ぐとともに、内縁部が筒部材40の他端の外周壁に嵌合するよう設けられている。
コネクタ65は、ヨーク641の周方向の一部に形成された切欠きから径方向外側へ突出するよう形成されている(図1参照)。コネクタ65は、端子651を有している。端子651は、コイル63の導線631に電気的に接続されている。コネクタ65には、ハーネス6が接続される。これにより、ハーネス6および端子651を経由してコイル63に電力が供給される。
スプリング66は、例えばコイルスプリングであり、ニードル55の鍔部552と固定コア62との間に設けられている。スプリング66は、一端が鍔部552の鍔部当接面553とは反対側の面に当接し、他端が固定コア62の凹部621の底面に当接している。スプリング66は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング66は、ニードル55を吸入弁52側、すなわち、開弁方向へ付勢している。ここで、可動コア58は、凹部582の底面が鍔部当接面553に当接可能なため、スプリング66によりニードル55とともに開弁方向へ付勢される。
ここで、スプリング66の付勢力は、スプリング54およびスプリング57の付勢力より大きく設定されている。そのため、ニードル55に対しスプリング54、スプリング57およびスプリング66以外からの外力が作用していない状態では、吸入弁52は、スプリング66およびニードル55により加圧室200側に付勢された状態となる。このとき、吸入弁52は、吸入弁座511から離間し弁ストッパ53に当接し、開弁した状態である。
コイル63は、ECUからの指令によりハーネス6および端子651を経由して通電されると、電磁力を生じる。これにより、磁気絞り部61を避けて、ヨーク641、642、筒部材40、可動コア58、固定コア62に磁気回路が形成される。これにより、可動コア58は、鍔部当接面553に当接した状態で、ニードル55とともに固定コア62側に吸引される。そのため、吸入弁52は、スプリング54の付勢力により吸入弁座511側に移動する。その結果、吸入弁52は、吸入弁座511に当接し、閉弁する。このように、電磁駆動部60は、コイル63に通電されると電磁力を生じ、ニードル55を吸入弁52の閉弁方向へ駆動し、吸入弁52を閉弁可能である。
コイル63に通電されていないとき、吸入弁52は開弁しており、燃料室300は、加圧室200に連通した状態である。このとき、プランジャ11がカム4側に移動すると、加圧室200の容積が増大し、燃料室300内の燃料は、吸入穴部212に流れ、燃料が吸入開口部232を経由して加圧室200に吸入される。
さらに、吸入弁52が開弁した状態で、プランジャ11がカム4とは反対側に移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、吸入開口部232を経由して吸入弁52側に流れる。
プランジャ11がカム4とは反対側に移動しているとき、コイル63に通電されると、吸入弁52が閉弁し、燃料室300と加圧室200との間の燃料の流れが遮断される。
吸入弁52が閉弁した状態で、プランジャ11がカム4とは反対側にさらに移動すると、加圧室200の容積がさらに減少し、加圧室200内の燃料が加圧される。
このように、プランジャ11がカム4とは反対側に移動しているとき、電磁駆動部60により吸入弁52を閉弁することにより、加圧室200で加圧する燃料の量が調整される。
このように、本実施形態では、吸入弁部50と電磁駆動部60とは、ノーマリーオープンタイプの弁装置を構成している。
コアストッパ81は、例えばステンレス等の金属により略円環状に形成されている。コアストッパ81は、可動コア58の凹部581の底面とニードル支持部56の支持筒部562との間においてニードル本体551の径方向外側に設けられている。コアストッパ81は、ニードル55に対し相対移動不能なよう、例えば内縁部がニードル本体551の外周壁に溶接されることによりニードル本体551に固定されている。
吸入弁52が弁ストッパ53に当接し、ニードル本体551が吸入弁52に当接した状態では、コアストッパ81と支持筒部562との間に環状の隙間が形成されている。
また、可動コア58が鍔部当接面553に当接した状態では、コアストッパ81と可動コア58の凹部581の底面との間に環状の隙間が形成されている。
可動コア58は、鍔部552とコアストッパ81との間において軸方向に往復移動可能である。可動コア58は、凹部581の底面がコアストッパ81に当接可能、および、コアストッパ81から離間可能である。
可動コア58は、コアストッパ81に当接したとき、ニードル55に対し開弁方向への相対移動が規制される。すなわち、コアストッパ81は、可動コア58に当接したとき、吸入弁52側、すなわち、電磁駆動部60とは反対側への可動コア58の移動を規制可能である。
なお、本実施形態では、製造工程において、例えば、可動コア58にニードル本体551を挿通した後、コアストッパ81をニードル本体551に固定することにより、可動コア58、ニードル55、コアストッパ81をサブアッシー化することができる。
吐出部17は、カバー30のカバー開口部36および上ハウジング21の吐出穴部213に挿入された状態で設けられている。吐出部17は、吐出部本体171を有している。
吐出部本体171は、例えばステンレス等の金属により略円筒状に形成されている。吐出部本体171は、一端が上ハウジング21の吐出穴部213にねじ込まれた状態で設けられている。吐出部本体171の外壁とカバー30のカバー開口部36の周囲とは、例えば溶接により吐出部本体171の周方向の全域に亘り接合されている。これにより、カバー開口部36と吐出部本体171の外壁との間は液密に保たれている。
吐出部本体171の他端は、高圧燃料配管102に接続される。これにより、供給燃料配管から高圧ポンプ10のインレットを経由して燃料室300に流入した燃料は、加圧室200で加圧され、吐出部本体171の内側を経由して高圧燃料配管102に吐出される。高圧燃料配管102に吐出された高圧の燃料は、高圧燃料配管102を経由して燃料レールに供給される。
吐出部本体171の内側には、弁座部71、吐出弁72、スプリング73、リリーフ弁75、スプリング76等が設けられている。
弁座部71は、例えばステンレス等の金属により略円柱状に形成されている。弁座部71は、外壁が吐出部本体171の内壁に嵌合するよう設けられている。弁座部71は、吐出弁通路711、吐出弁座712、リリーフ弁通路713、リリーフ弁座714を有している。
吐出弁通路711は、弁座部71の加圧室200側の面と加圧室200とは反対側の面とを接続するよう形成されている。吐出弁座712は、弁座部71の加圧室200とは反対側の面の中央に開口する吐出弁通路711の周囲に環状に形成されている。
リリーフ弁通路713は、弁座部71の加圧室200側の面と加圧室200とは反対側の面とを接続するよう形成されている。ここで、リリーフ弁通路713は、吐出弁通路711と連通していない。すなわち、リリーフ弁通路713と吐出弁通路711とは、非連通となるよう形成されている。リリーフ弁座714は、弁座部71の加圧室200側の面の中央に開口するリリーフ弁通路713の周囲に環状に形成されている。
吐出弁72は、略円板状に形成され、一方の端面の外縁部が吐出弁座712に当接可能に設けられている。スプリング73は、例えばコイルスプリングであり、吐出弁72を吐出弁座712側に付勢している。
加圧室200内の燃料の圧力が所定値以上に高まると、吐出弁72は、スプリング73の付勢力および吐出弁72の高圧燃料配管102側の燃料の圧力に抗して、高圧燃料配管102側に移動する。これにより、吐出弁72が吐出弁座712から離間し、開弁する。そのため、弁座部71に対し加圧室200側の燃料は、吐出弁通路711、吐出弁座712を経由して高圧燃料配管102側に吐出される。
リリーフ弁75は、略円板状に形成され、一方の端面の外縁部がリリーフ弁座714に当接可能に設けられている。スプリング76は、例えばコイルスプリングであり、リリーフ弁75をリリーフ弁座714側に付勢している。
弁座部71に対し高圧燃料配管102側の燃料の圧力が異常な値にまで上昇すると、リリーフ弁75は、スプリング76の付勢力およびリリーフ弁75の加圧室200側の燃料の圧力に抗して、加圧室200側に移動する。これにより、リリーフ弁75がリリーフ弁座714から離間し、開弁する。そのため、弁座部71に対し高圧燃料配管102側の燃料は、リリーフ弁通路713、リリーフ弁座714を経由して加圧室200側に戻される。このようなリリーフ弁75の作動により、高圧燃料配管102側の燃料の圧力が異常な値になるのを抑制することができる。
本実施形態では、高圧ポンプ10は、パルセーションダンパ15、支持部材16をさらに備えている。
パルセーションダンパ15は、例えば円形皿状の金属薄板を2枚合わせ、外縁部を溶接により接合することによって形成されている。パルセーションダンパ15の内側には、窒素またはアルゴン等、所定圧の気体が封入されている。
パルセーションダンパ15は、燃料室300内の上ハウジング21とカバー底部32との間に設けられている。
支持部材16は、環状に形成され、外壁がカバー30のカバー筒部31の内壁に嵌合するよう設けられている。支持部材16は、燃料室300内においてパルセーションダンパ15を支持している。
なお、本実施形態では、加圧室200を形成するシリンダ23と上ハウジング21との接合部、上ハウジング21と筒部材40との接合部、および、上ハウジング21と吐出部本体171との接合部が燃料室300内に位置するよう、カバー30が各接合部を覆っているため、加圧室200から高圧の燃料が漏れたとしても燃料室300に留めておくことができる。
本実施形態では、高圧ポンプ10は、ホルダ支持部24がエンジンヘッド18の取付穴部180に嵌合するようにしてエンジン9に取り付けられる(図1参照)。高圧ポンプ10は、下ハウジング22がボルト等によりエンジンヘッド18に固定されることにより、エンジン9に固定される。ここで、高圧ポンプ10は、プランジャ11の軸Ax1が鉛直方向に沿うような姿勢でエンジン9に取り付けられる。
次に、本実施形態の高圧ポンプ10の作動について、図1〜4に基づき説明する。
「吸入工程」
電磁駆動部60のコイル63への電力の供給が停止されているとき、吸入弁52は、スプリング66およびニードル55により加圧室200側へ付勢されている。よって、吸入弁52は、吸入弁座511から離間、すなわち、開弁している(図2参照)。この状態で、プランジャ11がカム4側に移動すると、加圧室200の容積が増大し、吸入弁座511に対し加圧室200とは反対側すなわち燃料室300側の燃料は、加圧室200側に吸入される。
「調量工程」
吸入弁52が開弁した状態で、プランジャ11がカム4とは反対側に移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、吸入弁座511に対し燃料室300側に戻される。調量工程の途中、コイル63に電力を供給すると、可動コア58がニードル55とともに固定コア62側に吸引され、吸入弁52が吸入弁座511に当接し閉弁する(図3参照)。プランジャ11がカム4とは反対側に移動するとき、吸入弁52を閉弁することにより、加圧室200から燃料室300側に戻される燃料の量が調整される。その結果、加圧室200で加圧される燃料の量が決定される。吸入弁52が閉弁することにより、燃料を加圧室200から燃料室300側に戻す調量工程は終了する。
「加圧工程」
吸入弁52が閉弁した状態でプランジャ11がカム4とは反対側にさらに移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、圧縮され加圧される。加圧室200内の燃料の圧力が吐出弁72の開弁圧以上になると、吐出弁72が開弁し、燃料が加圧室200から高圧燃料配管102側、すなわち、燃料レール側に吐出される。
コイル63への電力の供給が停止され、プランジャ11がカム4側に移動すると、ニードル55、可動コア58および吸入弁52は、スプリング66の付勢力により付勢され開弁方向に移動する。これにより、吸入弁52が開弁する(図4参照)。これにより、燃料を加圧する加圧工程が終了し、燃料室300側から加圧室200側に燃料が吸入される吸入工程が再開する。
上記の「吸入工程」、「調量工程」、「加圧工程」を繰り返すことにより、高圧ポンプ10は、吸入した燃料室300内の燃料を加圧、吐出し、燃料レールに供給する。高圧ポンプ10から燃料レールへの燃料の供給量は、電磁駆動部60のコイル63への電力の供給タイミング等を制御することにより調節される。
なお、上述の「吸入工程」、「調量工程」等、吸入弁52が開弁しているときにプランジャ11が往復移動すると、燃料室300内の燃料に、加圧室200の容積の増減に起因する圧力脈動が生じることがある。燃料室300に設けられたパルセーションダンパ15は、燃料室300内の燃圧の変化に応じて弾性変形することで、燃料室300内の燃料の圧力脈動を低減可能である。
また、プランジャ11が往復移動しているとき、可変容積室201の容積の増減に起因する圧力脈動が生じることがある。この場合も、パルセーションダンパ15は、燃料室300内の燃圧の変化に応じて弾性変形することで、燃料室300内の燃料の圧力脈動を低減可能である。
また、プランジャ11が往復移動すると可変容積室201の容積が増減するため、燃料室300と穴部222、環状空間202、可変容積室201との間で燃料が行き来する。これにより、プランジャ11とシリンダ23との摺動による熱、および、加圧室200での燃料の加圧による熱で高温になったシリンダ23およびプランジャ11を、低温の燃料により冷却することができる。これにより、プランジャ11およびシリンダ23の焼き付きを抑制することができる。
また、加圧室200で高圧となった燃料の一部は、プランジャ11とシリンダ23とのクリアランスを経由して可変容積室201に流入する。これにより、プランジャ11とシリンダ23との間に油膜が形成され、プランジャ11およびシリンダ23の焼き付きを効果的に抑制することができる。なお、加圧室200から可変容積室201に流入した燃料は、環状空間202、穴部222を経由して燃料室300に戻る。
上述のように、本実施形態では、可動コア58が固定コア62に吸引された後(図3参照)、コイル63への通電を停止すると、ニードル55、可動コア58および吸入弁52は、スプリング66の付勢力により付勢され開弁方向に移動する。これにより、吸入弁52は、開弁し、弁ストッパ53に当接し、開弁方向への移動が規制される。このとき、ニードル55は、吸入弁52の加圧室200とは反対側の面に当接し、開弁方向への移動が規制される。一方、ニードル55に対し相対移動可能な可動コア58は、ニードル55の開弁方向への移動が規制された後も、慣性により開弁方向に移動する。その後、可動コア58は、凹部581の底面がコアストッパ81の鍔部552側の面に当接する(図4参照)。これにより、可動コア58は、開弁方向への移動が規制される。そのため、可動コア58が開弁方向にオーバーシュートするのを抑制することができる。したがって、電磁駆動部60の次の通電時において、電磁駆動部60の固定コア62と可動コア58との距離が過剰に大きくなるのを抑制し、可動コア58に作用する吸引力の低下を抑制することができる。
以上説明したように、(1)本実施形態の高圧ポンプ10は、ハウジング20とプランジャ11と吸入弁52とニードル55と可動コア58と電磁駆動部60とコアストッパ81とを備えている。
ハウジング20は、燃料室300、および、燃料室300に連通する加圧室200を有している。
プランジャ11は、加圧室200内の燃料を加圧可能である。
吸入弁52は、開弁したとき燃料室300と加圧室200との間の燃料の流れを許容し、閉弁したとき燃料室300と加圧室200との間の燃料の流れを遮断可能である。
ニードル55は、一端が吸入弁52に当接可能なよう吸入弁52と別体に形成されている。
可動コア58は、ニードル55の他端側においてニードル55に対し相対移動可能に設けられている。
電磁駆動部60は、通電されると、可動コア58を吸引し、ニードル55を吸入弁52とは反対側へ移動させることが可能である。
コアストッパ81は、可動コア58に対し吸入弁52側に設けられ、可動コア58が当接したとき、吸入弁52側への可動コア58の移動を規制可能である。そのため、可動コア58が吸入弁52側、すなわち、開弁方向にオーバーシュートするのを抑制することができる。これにより、電磁駆動部60の次の通電時において、電磁駆動部60と可動コア58との距離が過剰に大きくなるのを抑制し、可動コア58に作用する吸引力の低下を抑制することができる。よって、吸入弁52の応答性を高めることができる。
なお、上述の特許文献1の高圧ポンプでは、電磁駆動部の次の通電時において、吸入弁の応答性を確保しつつ、電磁駆動部との距離が過剰に大きい可動コアを吸引する場合、電磁駆動部の消費電力が大きくなるおそれがある。一方、本実施形態では、電磁駆動部60の次の通電時において、電磁駆動部60と可動コア58との距離が過剰に大きくなるのを抑制できるため、電磁駆動部60の消費電力が小さくても可動コア58を吸引可能である。そのため、吸入弁52の応答性を確保しつつ、消費電力を小さくすることができる。
また、(2)本実施形態では、コアストッパ81は、ニードル55に設けられている。そのため、可動コア58、ニードル55およびコアストッパ81をサブアッシー化することができる。これにより、可動コア58とコアストッパ81との距離を精密に調整することができる。したがって、可動コア58のオーバーシュートをより精密に抑制することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態による高圧ポンプの一部を図5に示す。第2実施形態は、コアストッパ81の配置等が第1実施形態と異なる。
第2実施形態では、コアストッパ81は、ニードル支持部56の支持筒部562の固定コア62側の端面に固定されている。本実施形態では、コアストッパ81は、支持筒部562およびハウジング20に対し相対移動不能なよう、例えば外縁部が支持筒部562に溶接されることにより支持筒部562に固定されている。
ここで、コアストッパ81は、ニードル本体551に対し相対移動可能である。
第2実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、可動コア58が慣性で開弁方向へ移動するとき、コアストッパ81は、可動コア58に当接し可動コア58の開弁方向へ移動を規制可能である。これにより、可動コア58の開弁方向へのオーバーシュートを抑制可能である。
以上説明したように、(3)本実施形態は、ニードル支持部56をさらに備えている。
ニードル支持部56は、コアストッパ81に対し可動コア58とは反対側に設けられ、ニードル55を軸方向に往復移動可能に支持する。コアストッパ81は、ニードル支持部56に設けられている。
本実施形態では、可動コア58の開弁方向の移動を、ニードル支持部56に設けられたコアストッパ81で規制する構成のため、可動コア58が開弁方向に移動しコアストッパ81に衝突しても、可動コア58の質量はニードル55および吸入弁52に伝わらない。そのため、吸入弁52が弁ストッパ53に当接するときの音を小さくすることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態による高圧ポンプの一部を図6に示す。第3実施形態は、コアストッパの構成等が第1実施形態と異なる。
第3実施形態は、コアストッパ82を備えている。コアストッパ82は、例えばステンレス等の金属により、略円環状に形成されている。
コアストッパ82は、外縁部が筒部材40の内周壁に嵌合するよう設けられている。すなわち、コアストッパ82は、ハウジング20の筒部材40に固定されている。コアストッパ82は、加圧室200側の端面の外縁部がニードル支持部56の支持板部561の固定コア62側の面に当接している。これにより、コアストッパ82は、開弁方向への移動が規制されている。このように、コアストッパ82は、上ハウジング21に固定されたニードル支持部56対し相対移動不能に設けられている。
コアストッパ82の内径は、スプリング57の外径より大きく、可動コア58の凹部581の内径より小さい。
コアストッパ82は、固定コア62側の端面が可動コア58の加圧室200側の端面の外縁部に当接したとき、吸入弁52側への可動コア58の移動を規制可能である。
第3実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、(4)本実施形態では、コアストッパ82は、ハウジング20に設けられている。
本実施形態では、可動コア58の開弁方向の移動を、ハウジング20に設けられたコアストッパ82で規制する構成のため、可動コア58が開弁方向に移動しコアストッパ82に衝突しても、可動コア58の質量はニードル55および吸入弁52に伝わらない。そのため、吸入弁52が弁ストッパ53に当接するときの音を小さくすることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態による高圧ポンプの一部を図7に示す。第4実施形態は、コアストッパ81の構成等が第2実施形態と異なる。
第4実施形態では、コアストッパ81は、ストッパ凹部800を有している。ストッパ凹部800は、コアストッパ81の可動コア58に当接可能な面の中央から可動コア58とは反対側へ略円形に凹むよう形成されている。
第4実施形態は、上述した点以外の構成は、第2実施形態と同様である。
以上説明したように、(6)本実施形態では、コアストッパ81は、可動コア58に当接可能な面から可動コア58とは反対側へ凹むストッパ凹部800を有している。そのため、可動コア58が開弁方向に移動しコアストッパ81に衝突するとき、可動コア58に押された燃料をストッパ凹部800で受けることができる。これにより、コアストッパ81と可動コア58との間にダンパ効果を生じさせることができる。したがって、可動コア58がコアストッパ81に衝突するときの音を小さくすることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態による高圧ポンプの一部を図8に示す。第5実施形態は、可動コア58の構成等が第2実施形態と異なる。
第5実施形態では、可動コア58は、コア凹部580を有している。コア凹部580は、コアストッパ81に当接可能な面、すなわち、凹部581の底面の中央からコアストッパ81とは反対側へ略円形に凹むよう形成されている。
第5実施形態は、上述した点以外の構成は、第2実施形態と同様である。
以上説明したように、(7)本実施形態では、可動コア58は、コアストッパ81に当接可能な面からコアストッパ81とは反対側へ凹むコア凹部580を有している。そのため、可動コア58が開弁方向に移動しコアストッパ81に衝突するとき、可動コア58に押された燃料をコア凹部580で受けることができる。これにより、可動コア58とコアストッパ81との間にダンパ効果を生じさせることができる。したがって、可動コア58がコアストッパ81に衝突するときの音を小さくすることができる。
(第6実施形態)
第6実施形態による高圧ポンプの一部を図9に示す。第6実施形態は、固定コア62と可動コア58との間の構成等が第4実施形態と異なる。
第6実施形態では、固定コア62は、凹部622をさらに有している。凹部622は、固定コア62の可動コア58側の端面の中央から可動コア58とは反対側へ略円形に凹むよう形成されている。ここで、凹部622は、内径が凹部621の内径より大きい。
また、第6実施形態では、鍔部552は、固定コア62側の端面がニードル本体551の固定コア62側の端面と同一平面上に位置するようニードル本体551と一体に形成されている。
第6実施形態は、隙間形成部材90をさらに備えている。
隙間形成部材90は、例えばステンレス等の金属により形成されている。隙間形成部材90は、筒部91、底部92を有している。筒部91は、略円筒状に形成されている。底部92は、筒部91の一方の端部を塞ぐよう筒部91と一体に形成されている。すなわち、隙間形成部材90は、有底筒状に形成されている。
隙間形成部材90は、可動コア58に対し加圧室200とは反対側に設けられている。隙間形成部材90は、筒部91の底部92とは反対側の端部が可動コア58の固定コア62側の端面に当接可能である。また、隙間形成部材90は、底部92の筒部91側の面がニードル本体551および鍔部552の固定コア62側の端面に当接可能である。
筒部91の内径は、鍔部552の外径よりやや大きく設定されている。また、筒部91の外径は、固定コア62の凹部622の内径より小さく設定されている。
スプリング66は、隙間形成部材90と固定コア62との間に設けられている。スプリング66は、一端が隙間形成部材90の底部92に当接し、他端が固定コア62の凹部621の底面に当接している。これにより、スプリング66は、隙間形成部材90、ニードル55および吸入弁52を開弁方向に付勢している。
隙間形成部材90の筒部91が可動コア58に当接し、底部92がニードル本体551および鍔部552に当接しているとき、鍔部当接面553と可動コア58の凹部582の底面との間には、環状の隙間S1が形成される。
本実施形態では、電磁駆動部60に通電されていないとき、隙間形成部材90の筒部91は可動コア58に当接し、底部92はニードル本体551および鍔部552に当接し、ニードル本体551は吸入弁52に当接し、吸入弁52は弁ストッパ53に当接している(図9参照)。すなわち、隙間形成部材90は、電磁駆動部60に通電されていないとき、鍔部当接面553と可動コア58との間に隙間S1を形成可能である。
電磁駆動部60に通電されると、可動コア58は、固定コア62側へ吸引され、隙間S1において加速し、凹部582の底面が鍔部当接面553に衝突する(図10参照)。可動コア58が鍔部当接面553に衝突することにより、ニードル55は閉弁方向に移動する。
可動コア58が固定コア62側にさらに移動すると、ニードル55が可動コア58とともに閉弁方向へ移動し、可動コア58の固定コア62側の端面が固定コア62の可動コア58側の端面に当接する(図11参照)。このとき、吸入弁52が吸入弁座511に当接し閉弁する。
第6実施形態は、上述した点以外の構成は、第4実施形態と同様である。
以上説明したように、(8)本実施形態では、ニードル55は、棒状のニードル本体551、および、可動コア58に当接可能な鍔部当接面553が形成された鍔部552を有している。また、本実施形態は、隙間形成部材90をさらに備えている。隙間形成部材90は、少なくとも電磁駆動部60に通電されていないとき、鍔部当接面553と可動コア58との間に隙間S1を形成可能である。
本実施形態では、電磁駆動部60に通電されると、可動コア58は、固定コア62側へ吸引され、隙間S1において加速し、凹部582の底面が鍔部当接面553に衝突する(図10参照)。可動コア58が隙間S1で加速して鍔部当接面553に衝突することにより、可動コア58に作用する吸引力が小さくても、ニードル55を閉弁方向に移動させることができる。そのため、電磁駆動部60の消費電力を低減することができる。
本実施形態では、吸入弁52の応答性を向上しつつ電磁駆動部60の消費電力を低減可能なコアストッパ81と隙間形成部材90とを組み合わせることにより、電磁駆動部60の消費電力をより一層効果的に低減することができる。
以下、第6実施形態の「背景技術」、「解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」について説明する。
「背景技術」
従来、電磁駆動部への非通電時においてニードルの鍔部と可動コアとの間に隙間を形成する高圧ポンプが知られている。例えば特許第5724661号公報には、電磁駆動部への通電時、可動コアを前記隙間で加速させ鍔部に衝突させ、ニードルを閉弁方向へ移動させることにより、消費電力を低減可能な高圧ポンプが開示されている。
「解決しようとする課題」
特許第5724661号公報の高圧ポンプでは、可動コアを開弁方向に付勢する付勢部材の端部は、ニードルの鍔部の径方向外側において可動コアに当接しており、鍔部の外周壁および角部に接触し得る位置にある。そのため、電磁駆動部の作動時、すなわち、ニードルおよび可動コアが往復移動するとき、付勢部材の端部が鍔部に接触し、可動コアに作用する付勢力が不安定になるおそれがある。これにより、可動コアの姿勢が不安定になり、吸入弁の応答性が低下するおそれがある。
第6実施形態の目的は、吸入弁の応答性が高く消費電力が小さい高圧ポンプを提供することにある。
「課題を解決するための手段」
第6実施形態による高圧ポンプ(10)は、
燃料室(300)、および、前記燃料室に連通する加圧室(200)を有するハウジング(20)と、
前記加圧室内の燃料を加圧可能なプランジャ(11)と、
開弁したとき前記燃料室と前記加圧室との間の燃料の流れを許容し、閉弁したとき前記燃料室と前記加圧室との間の燃料の流れを遮断可能な吸入弁(52)と、
棒状のニードル本体(551)、および、鍔部当接面(553)が形成された鍔部(552)を有し、前記ニードル本体の一端が前記吸入弁に当接可能なよう前記吸入弁と別体に、または、前記ニードル本体の一端が前記吸入弁に接続するよう前記吸入弁と別体または一体に形成されたニードル(55)と、
前記鍔部の前記吸入弁側において前記ニードルに対し相対移動可能に設けられ、前記吸入弁とは反対側の面が前記鍔部当接面に当接可能な可動コア(58)と、
通電されると、前記可動コアを吸引し、前記ニードルを前記吸入弁とは反対側へ移動させることが可能な電磁駆動部(60)と、
前記可動コアに対し前記吸入弁とは反対側に設けられ、少なくとも前記電磁駆動部に通電されていないとき、前記鍔部当接面と前記可動コアとの間に隙間(S1)を形成可能な隙間形成部材(90)と、
前記隙間形成部材に対し前記可動コアとは反対側に設けられ、前記隙間形成部材を介して前記可動コアを前記吸入弁側へ付勢する付勢部材(66)と、
を備えている。
第6実施形態では、電磁駆動部(60)に通電されると、可動コア(58)は、電磁駆動部(60)側へ吸引され、隙間(S1)において加速し、可動コア(58)が鍔部当接面(553)に衝突する。可動コア(58)が隙間(S1)で加速して鍔部当接面(553)に衝突することにより、可動コア(58)に作用する吸引力が小さくても、ニードル(55)を閉弁方向に移動させることができる。そのため、電磁駆動部(60)の消費電力を低減することができる。
また、第6実施形態では、付勢部材(66)は、隙間形成部材(90)を介して可動コア(58)を吸入弁(52)側へ付勢する。そのため、電磁駆動部(60)の作動時、すなわち、ニードル(55)および可動コア(58)が往復移動するとき、付勢部材(66)の端部がニードル(55)に接触することはなく、可動コア(58)に作用する付勢力が安定する。これにより、可動コア(58)の姿勢が安定し、吸入弁(52)の応答性を向上することができる。
また、第6実施形態による高圧ポンプ(10)では、
前記隙間形成部材は、前記付勢部材の端部が当接する底部(92)、および、前記底部から前記可動コア側へ筒状に延び前記可動コアに当接可能な筒部(91)を有する有底筒状に形成されている。
そのため、隙間形成部材(90)を単純な形状かつ高精度に形成することができる。また、隙間形成部材(90)の筒部(91)と可動コア(58)との当接面の形状を環状にすることができる。そのため、付勢部材(66)が可動コア(58)を付勢するとき、可動コア(58)の姿勢がより安定する。これにより、吸入弁(52)の応答性をより向上することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態による高圧ポンプについて説明する。第7実施形態は、コアストッパ81の配置等が第2実施形態と異なる。
第7実施形態では、コアストッパ81は、支持筒部562に固定されておらず、ニードル本体551の径方向外側の支持筒部562と可動コア58との間においてニードル本体551、可動コア58およびハウジング20に対し相対移動可能なよう設けられている。
第7実施形態は、上述した点以外の構成は、第2実施形態(図5参照)と同様である。
以上説明したように、(5)本実施形態は、ニードル支持部56をさらに備えている。
ニードル支持部56は、コアストッパ81に対し可動コア58とは反対側に設けられ、ニードル55を軸方向に往復移動可能に支持する。コアストッパ81は、ニードル55、可動コア58およびニードル支持部56に対し相対移動可能なよう可動コア58とニードル支持部56との間に設けられている。
第7実施形態では、コアストッパ81により可動コア58の開弁方向の移動を規制しつつ、コアストッパ81と可動コア58との間、および、コアストッパ81と支持筒部562との間に、燃料によるダンパ効果を生じさせることができる。これにより、可動コア58がコアストッパ81に当接し、コアストッパ81が支持筒部562に当接するときの音を小さくすることができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、ニードル55は、一端が吸入弁52に当接または離間可能なよう吸入弁52と別体に形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ニードル55は、一端が吸入弁52に接続するよう吸入弁52と別体または一体に形成されていてもよい。
また、上述の第6実施形態では、筒部91および底部92を有する有底筒状の隙間形成部材90を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、隙間形成部材90は、少なくとも電磁駆動部60に通電されていないとき、鍔部当接面553と可動コア58との間に隙間を形成可能であれば、有底筒状に限らず、どのような形状に形成されていてもよい。
また、上述の複数の実施形態は、構成上の阻害要因がない限り、どのように組み合わせてもよい。例えば、第4実施形態と第5実施形態とを組み合わせ、コアストッパ81にストッパ凹部800を形成しつつ、可動コア58にコア凹部580を形成するといった具合である。この場合、コアストッパ81と可動コア58との間に生じるダンパ効果をより大きくすることができる。
また、上述の実施形態では、ハウジング20が、加圧室200を形成するシリンダ23、加圧室200が内側に位置するようシリンダ23の一部を覆いシリンダ23、上ハウジング21、下ハウジング22との間に燃料室300を形成するカバー30、および、カバー30の内壁と外壁とを接続するカバー開口部35を有し、筒部材40の一端がカバー開口部35を経由して上ハウジング21に接続する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、カバー30にカバー開口部35を形成せず、カバー30が上ハウジング21およびシリンダ23の上面を覆うよう設けられることとしてもよい。この場合、加圧室200はカバー30の外側に位置し、カバー30と上ハウジング21およびシリンダ23の上面との間に燃料室300が形成され、筒部材40はカバー30の外側において上ハウジング21に接続することとなる。
また、本発明の他の実施形態では、高圧ポンプを、ディーゼルエンジン等、ガソリンエンジン以外の内燃機関に適用してもよい。また、高圧ポンプを、車両のエンジン以外の装置等へ向けて燃料を吐出する燃料ポンプとして用いてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。