(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1を、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の実施形態1に係る制御システム1000について説明する。制御システム1000は、管理装置100が制御装置200と制御装置210とを介して機器300と機器310と機器320と機器330とを制御するシステムである。制御システム1000は、通信システムとも言える。制御システム1000は、管理装置100と制御装置200と制御装置210と機器300と機器310と機器320と機器330とを備える。制御システム1000は、例えば、照明管理システムである。この場合、例えば、管理装置100は照明管理装置であり、制御装置200と制御装置210とは照明制御装置であり、機器300と機器310と機器320と機器330とは照明機器である。
管理装置100は、伝送線410と伝送線420とを介して、制御装置200及び制御装置210と相互に通信する。制御装置200は、信号線510と信号線520とを介して、機器300及び機器310と通信する。制御装置210は、信号線530と信号線540とを介して、機器320及び機器330と通信する。基本的に制御装置200と制御装置210とは同様の構成及び機能を有し、機器300と機器310と機器320と機器330とは同様の構成及び機能を有する。本実施形態では、管理装置100が制御装置200を介して機器300を制御する例について説明する。
管理装置100は、制御装置200を介して機器300を制御する。従って、管理装置100は、制御装置200と通信する機能を有する。管理装置100は、伝送線410及び伝送線420(以下、適宜「一対の伝送線」という。)を介して、電圧信号により制御装置200にデータを送信する。また、管理装置100は、一対の伝送線を介して、電流信号により制御装置200からデータを受信する。また、管理装置100は、この一対の伝送線を介して、制御装置200に電力を供給する。
管理装置100が制御装置200に送信するデータは、例えば、機器300に対する制御に関わる制御コマンドである。この制御コマンドは、例えば、機器300の電源のオン・オフを指示するコマンドや、機器300の電源オン時における明るさを指示するコマンドである。管理装置100が制御装置200から受信するデータは、例えば、応答コマンドである。この応答コマンドは、例えば、制御コマンドを正常に受信したことを通知するコマンドや、制御コマンドを正常に受信できなかったことを通知するコマンドである。
このように、管理装置100は、送信機能と受信機能と電力供給機能とを備える。このため、管理装置100は、図2に示すように、制御回路101と電源回路102と送信回路103と受信回路104とを備える。
制御回路101は、管理装置100の全体の動作を制御する。例えば、制御回路101は、送信回路103を制御して、制御装置200にデータを送信するとともに制御装置200に電力を供給する。また、制御回路101は、受信回路104を介して制御装置200から受信したデータに応じた処理を実行する。制御回路101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、RTC(Real Time Clock)等を備えるマイコンを備える。
電源回路102は、管理装置100、制御装置200及び機器300が利用する電力を生成する。例えば、電源回路102は、商用電源から供給された50Hz又は60Hzの交流電力を直流電力に変換する。従って、電源回路102は、例えば、整流回路(図示せず)、平滑回路(図示せず)、降圧回路(図示せず)などを備える。本実施形態では、管理装置100は、+5Vの直流電圧と+12Vの直流電圧と−12Vの直流電圧とを生成するものとする。+5Vの直流電圧は、管理装置100の電源電圧として用いられる。また、+12Vの直流電圧と−12Vの直流電圧とは、制御装置200が+12Vの直流電圧と+5Vの直流電圧とを生成するのに用いられる。
送信回路103は、一対の伝送線間に±12Vの交流電圧を印加することにより、制御装置200にデータを送信するとともに、制御装置200に電力を供給する。送信回路103は、電源回路102により生成された直流電圧を利用し、制御回路101による制御に従って動作する。図3に、送信回路103により一対の伝送線間に印加される電圧(伝送線420の電圧に対する伝送線410の電圧)の例を示す。図3に示すように、一対の伝送線間には、+12V又は−12Vが印加される。
送信回路103は、例えば、+12Vに1、−12Vに0を割り当てて、1と0との組み合わせにより構成されるデジタルデータを送信する。一対の伝送線間に印加される電圧の絶対値は常に12Vである。このため、制御装置200は、簡単な回路(例えば、ダイオードブリッジ)により、+12Vの直流電圧を生成することが可能となる。データフォーマットやビットレートに関しては、説明を省略する。なお、先行技術として挙げた特許文献1には、これらの詳細が開示されている。
受信回路104は、制御装置200により送信されたデータを受信する。具体的には、受信回路104は、伝送線410(又は伝送線420)に流れる電流を監視することにより、制御装置200から送信された電流信号を検出する。なお、伝送線410に流れる電流は、負荷電流と信号電流とを合わせた電流(以下「合計電流」という。)である。なお、本実施形態では、理解を容易にするため、送信回路50は負荷に含まれないものとして説明する。負荷電流は、制御装置200が備える負荷(ただし、制御装置200が備える送信回路50を除く)に流れた電流と機器300が備える負荷に流れた電流とを合計した電流である。一方、信号電流は、送信回路50に流れた電流である。信号電流は、送信回路50がデータを送信するために伝送線410に流す電流である。つまり、送信回路50は、電流信号としての信号電流を、伝送線410に流す。
ここで、信号電流の値が負荷電流の値よりも十分に大きい場合、或いは、負荷電流の値が予測可能である場合、受信回路104は、合計電流に信号電流が含まれているか否かを判定可能である。なお、本実施形態では、信号電流の値が負荷電流の値よりも十分に大きいものとする。また、信号電流は、予め定められた期間に、伝送線410に流すことが許可されているものとする。図3において、t11からt12までの期間であるTsは、信号電流を流すことが可能な期間である。このTsは、例えば、管理装置100が制御装置200に対して制御コマンドを送信した後の期間であり、制御装置200は、管理装置100に応答するために、この期間内に信号電流を流すことが可能である。受信回路104は、例えば、電流センサ(図示せず)を備える。
次に、制御装置200について説明する。制御装置200は、管理装置100による制御に従って、機器300を制御する。従って、制御装置200は、管理装置100と通信する機能を有する。制御装置200は、一対の伝送線を介して、電圧信号により管理装置100からデータを受信する。制御装置200が管理装置100から受信するデータは、例えば、上述した制御コマンドである。制御装置200は、一対の伝送線を介して、電流信号により管理装置100にデータを送信する。制御装置200が管理装置100に送信するデータは、例えば、上述した応答コマンドである。
制御装置200は、管理装置100から制御コマンドを受信した場合、応答コマンドを管理装置100に返信した上で、制御コマンドに従って機器300を制御する。具体的には、制御装置200は、一対の伝送線を介して、電流信号により応答コマンドを管理装置100に送信する。電流信号は、例えば、300mAから1A程度の値の電流である。
また、制御装置200は、信号線510及び信号線520(以下、適宜「一対の信号線」という。)を介して、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号により機器300を制御する。PWM制御信号は、パルス幅、つまり、Hレベルの電圧期間(又はLレベルの電圧期間)の割合であるデューティー比が変化する電圧信号である。本実施形態では、Hレベルの電圧は、+12Vであり、Lレベルの電圧は、0Vであるものとする。例えば、デューティー比(オンデューティー比)が高い程、機器300が明るく点灯する。本実施形態では、PWM制御信号により、機器300の明るさに加え、機器300のオン・オフが制御されるものとする。また、制御装置200は、一対の伝送線を介して、管理装置100から電力の供給を受ける。
図4に示すように、制御装置200は、整流回路10と、逆流抑制回路20と、電源回路30と、電源回路40と、送信回路50と、受信回路60と、スイッチング回路70と、信号出力回路80と、状態制御回路90と、電源端子110と、電源端子120と、入力端子131と、入力端子132と、接地端子140と、出力端子141と、出力端子142と、制御装置制御回路150と、機器制御回路160とを備える。
整流回路10は、一対の伝送線間に印加された交流電圧を整流し、直流電圧を生成する。本実施形態では、一対の伝送線間に印加される交流電圧は±12Vの交流電圧であるため、整流回路10は、簡単な回路により±12Vの交流電圧から+12Vの直流電圧を生成することができる。整流回路10により生成された直流電圧は、電源回路30と電源回路40とにより使用される。整流回路10は、例えば、ダイオードブリッジ11を備える。整流回路10の一方の入力端子は入力端子131に接続され、整流回路10の他方の入力端子は入力端子132に接続される。整流回路10の一方の出力端子はダイオード21のアノードに接続され、整流回路10の他方の出力端子は接地端子140に接続される。
逆流抑制回路20は、一次側(入力側)から二次側(出力側)に電流が流れることを許容し、一次側から二次側に電流が流れることを許容しない回路である。つまり、逆流抑制回路20は、逆流抑制回路20自身の二次側から一次側に電流が逆流することを抑制する回路である。本実施形態では、逆流抑制回路20は、整流回路10と電源回路30との間に設けられ、整流回路10の二次側と逆流抑制回路20の一次側とが接続され、逆流抑制回路20の二次側と電源回路30の一次側とが接続される。従って、逆流抑制回路20は、電源回路30の内部から電源回路30の一次側に電流が逆流することを抑制する回路である。逆流抑制回路20は、例えば、整流素子であるダイオード21を備える。
電源回路30は、一対の伝送線を介して他の通信装置から供給された電力に基づいて、直流電力を生成する回路である。具体的には、電源回路30は、整流回路10により生成された直流電圧から所望の直流電圧を生成する回路である。つまり、電源回路30は、DC(Direct Current)/DCコンバータである。本実施形態では、整流回路10により生成される直流電圧は+12Vであり、電源回路30が生成する直流電圧であるVcc1は、+12Vであるものとする。つまり、電源回路30は、直流電圧の値を変換させず、直流電圧を安定させる回路である。電源回路30は、電源端子110と接地端子140との間に+12Vの電圧を発生させる。電源回路30は、整流回路10により生成された直流電圧を平滑化する平滑化回路であるコンデンサ31を備える。コンデンサ31は、電源端子110に発生する高周波成分を接地端子140に流すバイパスコンデンサである。コンデンサ31は、一端が電源端子110に接続され、他端が接地端子140に接続される。
電源回路40は、電源回路30により生成された直流電圧から所望の直流電圧を生成する回路である。つまり、電源回路40は、DC/DCコンバータである。本実施形態では、電源回路30により生成される直流電圧は+12Vであり、電源回路40が生成する直流電圧はであるVcc2は、+5Vであるものとする。つまり、電源回路40は、電源回路30により生成された+12Vの直流電圧を+5Vの直流電圧に降圧する回路である。電源回路40は、電源端子120と接地端子140との間に+5Vの電圧を発生させる。
電源回路40は、抵抗42とツェナーダイオード43とを備える降圧回路41と、降圧回路41により生成された直流電圧を平滑化する平滑化回路であるコンデンサ44と、を備える。コンデンサ44は、電源端子120に発生する高周波成分を接地端子140に流すバイパスコンデンサである。抵抗42の一端は電源端子110に接続され、抵抗42の他端は電源端子120に接続される。ツェナーダイオード43のアノードは接地端子140に接続され、ツェナーダイオード43のカソードは電源端子120に接続される。コンデンサ44の一端は電源端子120に接続され、コンデンサ44の他端は接地端子140に接続される。
送信回路50は、一対の伝送線を介して、電流信号により管理装置100にデータを送信する回路である。このため、送信回路50は、負荷経路と並列な経路である信号経路に信号電流を流す。信号経路は、バイポーラトランジスタ51(バイポーラトランジスタ51の電流路)と抵抗53とが直列に接続された直列回路を通過する経路である。信号電流は、基本的に、バイポーラトランジスタ51の電流路に流れる電流である。負荷経路は、逆流抑制回路20と電源回路30とを経由する経路であり、負荷電流が流れる経路である。負荷電流は、電源回路30により生成されたVcc1を利用する負荷に流れる電流である。なお、電源回路40は、Vcc1を利用する負荷と考えることができる。従って、負荷電流には、電源回路40により生成されたVcc2を利用する負荷に流れる電流も含まれる。基本的に、制御装置200内において流れる電流のうち、送信回路50に流れる信号電流以外は、全て負荷電流と考えることができる。負荷電流は、ダイオード21に流れる電流である。
送信回路50は、バイポーラトランジスタ51と、抵抗52と、抵抗53と、を備える。バイポーラトランジスタ51は、NPN(Negative Positive Negative)トランジスタである。バイポーラトランジスタ51のコレクタは、ダイオード21のアノードとダイオードブリッジ11の出力端子とに接続される。バイポーラトランジスタ51のカソードは、抵抗53の一端に接続される。バイポーラトランジスタ51のベースは、抵抗52の一端に接続される。抵抗52の他端は、制御装置制御回路150のパラレル出力ポート(図示せず)に接続される。抵抗53の他端は、接地端子140に接続される。
従って、バイポーラトランジスタ51の電流路の状態は、制御装置制御回路150により制御される。例えば、制御装置制御回路150のパラレル出力ポートからHレベル(+5V)が出力された場合、バイポーラトランジスタ51がオンし、信号電流がバイポーラトランジスタ51の電流路に流れる。一方、制御装置制御回路150のパラレル出力ポートからLレベル(0V)が出力された場合、バイポーラトランジスタ51がオフし、信号電流がバイポーラトランジスタ51の電流路に流れない。
受信回路60は、一対の伝送線を介して、電圧信号により管理装置100からデータを受信する回路である。具体的には、受信回路60は、伝送線420が接続された入力端子132の電位がHレベル(+12V)であるのかLレベル(−12V)であるのかを検出する回路である。受信回路60は、入力端子132の電位がHレベル(+12V)である場合、Lレベル(0V)を制御装置制御回路150が備えるパラレル入力ポート(図示せず)に出力する。一方、受信回路60は、入力端子132の電位がLレベル(−12V)である場合、Hレベル(+5V)を制御装置制御回路150が備えるパラレル入力ポート(図示せず)に出力する。
受信回路60は、バイポーラトランジスタ61と、ダイオード62と、抵抗63と、抵抗64と、抵抗65と、を備える。バイポーラトランジスタ61は、NPNトランジスタである。バイポーラトランジスタ61のコレクタは、制御装置制御回路150が備えるパラレル入力ポートに接続される。バイポーラトランジスタ61のエミッタは、接地端子140に接続される。バイポーラトランジスタ61のベースは、ダイオード62のカソードに接続される。ダイオード62のアノードは、接地端子140に接続される。抵抗63の一端は電源端子120に接続され、抵抗63の他端はバイポーラトランジスタ61のコレクタに接続される。抵抗64の一端はバイポーラトランジスタ61のベースに接続され、抵抗64の他端は入力端子132に接続される。抵抗65の一端はバイポーラトランジスタ61のベースに接続され、抵抗65の他端は接地端子140に接続される。
入力端子132の電位がHレベル(+12V)の場合、バイポーラトランジスタ61がオンし、バイポーラトランジスタ61のコレクタからLレベル(0V)が出力される。この場合、制御装置制御回路150は、伝送線間の電圧(伝送線420の電圧に対する伝送線410の電圧)が−12V、つまり、データが0であると判定する。一方、入力端子132の電位がLレベル(−12V)の場合、バイポーラトランジスタ61がオフし、バイポーラトランジスタ61のコレクタからHレベル(+5V)が出力される。この場合、制御装置制御回路150は、伝送線間の電圧が+12Vである、つまり、データが1であると判定する。なお、受信回路60の入力インピーダンスは、十分に高く、受信回路60には余計な負荷電流が殆ど流れないものとする。
スイッチング回路70は、一次側と二次側との間の状態を、電流が殆ど制限されずに流れる状態(以下「オン状態」という。)と、電流が殆ど流れない状態(以下「オフ状態」という。)との間で切り替える回路である。ただし、スイッチング回路70は、オン状態からオフ状態に切り替えられる間、及び、オフ状態からオン状態に切り替えられる間、電流が調整されてある程度流れる状態(以下「調整状態」という。)となる。調整状態は、オン状態とオフ状態との中間状態であり、オン状態よりも小さい電流が流れる状態である。スイッチング回路70がどの状態を取るか、及び、調整状態における調整量は、状態制御回路90から出力される電圧信号により決定される。
スイッチング回路70は、逆流抑制回路20と電源回路30との間に設けられる。つまり、スイッチング回路70の一次側は逆流抑制回路20の二次側に接続され、スイッチング回路70の二次側は電源回路30の一次側に接続される。ここで、逆流抑制回路20から電源回路30に向けて流れる電流は、負荷電流である。従って、スイッチング回路70は、負荷電流の流れを遮断するオフ状態と、負荷電流の流れを遮断しないオン状態と、負荷電流を調整する調整状態と、を有する。
スイッチング回路70は、バイポーラトランジスタ71と、ダイオード72と、抵抗73と、抵抗74と、を備える。バイポーラトランジスタ71は、PNP(Positive Negative Positive)トランジスタである。バイポーラトランジスタ71のエミッタは、ダイオード21のカソードに接続される。バイポーラトランジスタ71のコレクタは、電源端子110に接続される。バイポーラトランジスタ71のベースは、抵抗74の一端に接続される。ダイオード72のアノードは電源端子110に接続され、ダイオード72のカソードはバイポーラトランジスタ71のエミッタに接続される。抵抗73の一端はバイポーラトランジスタ71のエミッタに接続され、抵抗73の他端はバイポーラトランジスタ71のベースに接続される。抵抗74の他端は、バイポーラトランジスタ91のコレクタに接続される。
抵抗74の他端の電位が十分に高い場合、バイポーラトランジスタ71の電流路には負荷電流が流れないため、スイッチング回路70はオフ状態となる。抵抗74の他端の電位が十分に低い場合、バイポーラトランジスタ71の電流路には負荷電流が制限されずに流れるため、スイッチング回路70はオン状態となる。抵抗74の他端の電位が中程度の電位である場合、バイポーラトランジスタ71の電流路には負荷電流が調整されて流れるため、スイッチング回路70は調整状態となる。なお、スイッチング回路70は、調整状態では、抵抗74の他端の電位が低い程、バイポーラトランジスタ71の電流路に流れる負荷電流が大きくなり、抵抗74の他端の電位が高い程、バイポーラトランジスタ71の電流路に流れる負荷電流が小さくなる。
このように、バイポーラトランジスタ71は、オン状態からオフ状態になるまでの間、活性領域で動作し、通過する電流の大きさを調整する。そして、バイポーラトランジスタ71が活性領域で動作する間、スイッチング回路70が調整状態となる。本実施形態では、スイッチング回路70は、電流供給回路を構成する。電流供給回路は、スイッチング回路70がオフ状態の間に低下した電源回路30の電源電圧を、スイッチング回路70がオン状態になる前に回復させるための回路である。具体的には、電流供給回路は、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路70がオン状態になるまでの間に、逆流抑制回路20から電源回路30に向けて負荷電流を流す回路である。
信号出力回路80は、送信回路50が信号電流を流しているか否かを示す信号を出力する。信号出力回路80は、送信回路50が信号電流を流しているか否かの論理とは逆の論理の電圧信号を出力する。つまり、信号出力回路80は、送信回路50が信号電流を流している間にLレベル(0V)を出力し、送信回路50が信号電流を流していない間にHレベル(+5V)を出力する。
信号出力回路80は、バイポーラトランジスタ81と、抵抗82と、抵抗83と、抵抗84と、を備える。バイポーラトランジスタ81は、NPNトランジスタである。バイポーラトランジスタ81のコレクタは、抵抗82の一端に接続される。バイポーラトランジスタ81のエミッタは、接地端子140に接続される。バイポーラトランジスタ81のベースは、抵抗83の一端に接続される。抵抗82の他端は、電源端子120に接続される。抵抗83の他端は、制御装置制御回路150が備えるパラレル出力ポート(図示せず)、つまり、抵抗52の他端に接続される。抵抗84の一端はバイポーラトランジスタ81のエミッタに接続され、抵抗84の他端は接地端子140に接続される。信号出力回路80は、制御装置制御回路150が備えるパラレル出力ポートがHレベル(+5V)を出力している間はLレベル(0V)を出力し、制御装置制御回路150が備えるパラレル出力ポートがLレベル(0V)を出力している間はHレベル(+5V)を出力する。
状態制御回路90は、信号出力回路80から出力された電圧信号に従って、スイッチング回路70の状態を制御する。状態制御回路90は、信号電流が流れ終えた後に発生する突入電流の振幅があまり大きくならないように、スイッチング回路70の状態を制御する。具体的には、まず、状態制御回路90は、信号電流が流れなくなった直後に突入電流が発生しないように、信号電流が流れ始めてから信号電流が流れ終わる前に、スイッチング回路70をオフ状態にする。ここで、状態制御回路90は、信号電流が流れ終えてから予め定められた時間(以下、適宜「遅延時間」という。)が経過した後、スイッチング回路70をオン状態にする。つまり、状態制御回路90は、信号出力回路80から出力された電圧信号を、遅延時間だけ遅延させた上で、スイッチング回路70に伝達する遅延回路である。
また、状態制御回路90は、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路70がオン状態になるまでの間に、スイッチング回路70を調整状態にして、スイッチング回路70を流れる負荷電流を徐々に増加させる。すると、スイッチング回路70が調整状態である間に、ダイオード21とバイポーラトランジスタ71とを介して、整流回路10から電源回路30が備えるコンデンサ31に負荷電流が流れる。すると、電源回路30が備えるコンデンサ31に電荷が供給され、スイッチング回路70がオフ状態の間に低下した電源回路30の電源電圧が回復する。このように、逆流抑制回路20の二次側電圧である電源回路30の電源電圧が回復すると、逆流抑制回路20の両端間の電位差が小さくなる。すると、スイッチング回路70がオン状態になった時点において発生する突入電流の振幅が小さくなる。なお、スイッチング回路70がオフ状態の間、電源回路30から電源回路30に接続された負荷(例えば、機器300)に負荷電流が供給されるが、整流回路10から電源回路30には負荷電流が供給されない。このため、スイッチング回路70がオフ状態の間、電源回路30が備えるコンデンサ31が蓄える電荷が減少し、コンデンサ31の両端間の電位差、つまり、電源回路30の電源電圧が低下する。
状態制御回路90は、バイポーラトランジスタ91と、ダイオード92と、コンデンサ93と、抵抗94と、抵抗95と、抵抗96と、を備える。バイポーラトランジスタ91のコレクタは、抵抗74の他端に接続される。バイポーラトランジスタ91のエミッタは、接地端子140に接続される。バイポーラトランジスタ91のベースは、抵抗95の一端に接続される。ダイオード92のアノードは抵抗96の一端に接続され、ダイオード92のカソードは抵抗96の他端に接続される。コンデンサ93の一端はダイオード92のアノードに接続され、コンデンサ93の他端は接地端子140に接続される。抵抗94の一端はバイポーラトランジスタ91のエミッタに接続され、抵抗94の他端はバイポーラトランジスタ91のベースに接続される。抵抗95の他端は、ダイオード92のアノードに接続される。抵抗96の他端は、バイポーラトランジスタ81のコレクタに接続される。
コンデンサ93と抵抗96とは、遅延回路を構成する。この遅延回路の時定数は、コンデンサ93の容量と抵抗96の抵抗値とにより決定される。抵抗96の他端に入力された電圧は、上記時定数に対応する時間だけ遅延して、抵抗96の一端に出力される。例えば、抵抗96の他端の電圧がLレベル(0V)からHレベル(+5V)に変化すると、遅延時間経過後に、バイポーラトランジスタ91の電流路がオフ状態からオン状態になる。同様に、抵抗96の他端の電圧がHレベル(+5V)からLレベル(0V)に変化すると、遅延時間経過後に、バイポーラトランジスタ91の電流路がオン状態からオフ状態になる。
ここで、バイポーラトランジスタ91の電流路がオフ状態である間、バイポーラトランジスタ71の電流路がオフ状態となる。一方、バイポーラトランジスタ91の電流路がオン状態である間、バイポーラトランジスタ71の電流路がオン状態となる。従って、信号電流が流れない状態から信号電流が流れる状態に切り替わると、遅延時間だけ遅延して、スイッチング回路70がオン状態からオフ状態に切り替わる。また、信号電流が流れる状態から信号電流が流れない状態に切り替わると、遅延時間だけ遅延して、スイッチング回路70がオフ状態からオン状態に切り替わる。なお、バイポーラトランジスタ91は、オン状態からオフ状態になるまでの間、活性領域で動作し、通過する電流を調整する調整状態となる。バイポーラトランジスタ91が、活性領域で動作する間、基本的に、バイポーラトランジスタ71も活性領域で動作する。
なお、遅延回路の時定数は、突入電流を十分に減らすことが可能な時間に設定されることが好適である。また、遅延回路の遅延時間は、厳密には、スイッチング回路70をオン状態からオフ状態にするときと、スイッチング回路70をオフ状態からオン状態にするときとで異なる。本実施形態では、理解を容易にするため、両遅延時間は、同じであるものとする。また、本実施形態では、遅延回路の時定数は、信号電流が流れる時間(信号電流のパルス幅)よりも短い時間であるものとする。
電源端子110は、電源回路30の出力電圧であるVcc1(+12V)の電源電圧が印加される端子である。Vcc1を電源電圧として使用する負荷は、電源端子110と接地端子140とに接続されて使用される。電源端子120は、電源回路40の出力電圧であるVcc2(+5V)の電源電圧が印加される端子である。Vcc2を電源電圧として使用する負荷は、電源端子120と接地端子140とに接続されて使用される。
入力端子131は、伝送線410が接続される端子である。入力端子131は、伝送線410が接続される端子である。従って、入力端子131と入力端子132との間には、±12Vの交流電圧が印加される。出力端子141は、信号線510が接続される端子である。出力端子142は、信号線520が接続される端子である。また、出力端子141と出力端子142とは、機器制御回路160に接続される。そして、出力端子141と出力端子142とからは、機器300を制御するためのPWM制御信号が出力される。なお、PWM制御信号は、0Vと+12Vとが交互に切り替わる電圧信号である。
制御装置制御回路150は、制御装置200全体の動作を制御する。制御装置制御回路150は、電源電圧としてVcc2を用いる回路である。制御装置制御回路150は、送信回路50にデジタルデータを送信するパラレル出力ポート(図示せず)、受信回路60からデジタルデータを受信するパラレル入力ポート(図示せず)、機器制御回路160を制御するためのインターフェース(図示せず)を備える。パラレル出力ポートから出力されるレベルは、Hレベル(+5V)又はLレベル(0V)である。パラレル入力ポートに供給されるレベルは、Hレベル(+5V)又はLレベル(0V)である。インターフェースから機器制御回路160には、機器制御回路160から所望のPWM制御信号を送信させるためのコマンドやデータが供給される。
制御装置制御回路150は、パラレル出力ポートと送信回路50とを介して、デジタルデータを管理装置100に送信する。制御装置制御回路150は、パラレル入力ポートと受信回路60とを介して、デジタルデータを管理装置100から受信する。制御装置制御回路150は、インターフェースと機器制御回路160とを介して、機器300を制御する。制御装置制御回路150は、例えば、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、RTC等を備えるマイコンである。
機器制御回路160は、制御装置制御回路150による制御に従って、PWM制御信号により機器300を制御する。機器制御回路160は、電源電圧としてVcc1を用いる回路である。機器制御回路160は、出力端子141と出力端子142とに接続され、出力端子141と出力端子142とからPWM制御信号を機器300に送信する。
機器300は、制御装置200によって制御される。機器300は、例えば、制御装置200が備える機器制御回路160から供給されたPWM制御信号により、電源のオン・オフや光量が制御される照明装置である。機器300は、電源回路30から供給された電力で動作する負荷である。整流回路10から電源回路30に流れた負荷電流の多くは、機器300に流れる。
制御装置210は、制御対象の機器が制御装置200と異なるが、基本的に、制御装置200と同様の構成及び機能を有する。また、機器310は、基本的に、機器300と同様の構成及び機能を有する。更に、機器320と機器330とは、制御元の制御装置が機器300と異なるが、基本的に、機器300と同様の構成及び機能を有する。従って、制御装置210、機器310、機器320及び機器330の説明は省略する。
次に、制御信号を流し終えた後に発生する突入電流を減らす手法について説明する。まず、比較例に係る制御装置250を用いた場合に発生する突入電流について説明する。図5に、比較例に係る制御装置250の回路図を示す。図5に示すように、比較例に係る制御装置250は、スイッチング回路70と、信号電流が流れているか否かを示す信号を出力する信号出力回路80と、スイッチング回路70の状態を制御するための状態制御回路90と、を備えていない。
図6は、制御装置250が備える逆流抑制回路20の一次側電圧及び二次側電圧を示す図である。逆流抑制回路20の一次側電圧(以下、適宜、単に「一次側電圧」という。)は、逆流抑制回路20が備えるダイオード21のアノードの電圧である。逆流抑制回路20の二次側電圧(以下、適宜、単に「二次側電圧」という。)は、逆流抑制回路20が備えるダイオード21のカソードの電圧である。図6において、一次側電圧を実線で示し、二次側電圧を破線で示す。
図7は、制御装置250が信号電流を流したときの合計電流を示す図である。合計電流は、信号電流と負荷電流とを合計した電流である。合計電流は、伝送線410に流れる電流であり、管理装置100が直接検出することが可能な電流である。信号電流は、予め定められたパルス幅(例えば、100μs)を有し、電流閾値(例えば、480mA)以上の振幅(電流値)を有する。負荷電流は、電源回路30に接続された負荷に流れる電流である。負荷電流は、定常的に電源回路30に流れる電流であり、定常電流とも言える。
負荷電流は、信号電流に比べて小さく、電流閾値以下の電流値を有する。従って、管理装置100は、電流閾値以上の合計電流が流れている期間を、信号電流が流れている期間であると判別する。つまり、管理装置100は、合計電流が、100μsの期間に亘って、480mA以上であれば、電流信号を受信したとみなす。
図7において、合計電流を太い実線で示し、信号電流を太い破線で示し、負荷電流を細い破線で示す。t20は、信号電流が流れ始める前の時刻である。t21は、信号電流が流れ始めた時刻である。t22は、信号電流が流れ終わった時刻である。t23は、突入電流が十分に小さくなった時刻である。t24は、合計電流が電流閾値(480mA)まで減少した時刻である。
まず、t20からt21までの期間は、信号電流が流れないため、伝送線410に流れる合計電流は、負荷電流と一致する。ここで、負荷電流は、信号電流と比較すると、小さい電流である。従って、信号線410による電圧降下は小さく、一次側電圧はほぼ+12Vに維持され、二次側電圧もほぼ+12Vに維持される。また、t20からt21までの期間は、比較的小さな値の合計電流が流れる。
t21において、信号電流が流れ始めると、伝送線410に流れる合計電流は、信号電流を含むことになり非常に大きな値になる。従って、伝送線410のインピーダンスにより伝送線410における電圧降下が大きくなり、一次側電圧が+12Vから大きく低下する。従って、t21からt22までの期間は、一次側電圧は、+12Vよりもずっと小さくなる。また、t21からt22までの期間、コンデンサ31に蓄積された電荷が徐々に減少し、二次側電圧が徐々に低下する。つまり、t22の時点では、二次側電圧は、+12Vよりもある程度小さい値となる。また、t21からt22までの期間は、一次側電圧の方が二次側電圧よりも小さくなるため負荷電流は殆ど流れないが、信号電流が流れるため、合計電流の値は大きい。
そして、t22において、信号電流が流れ終わると、一次側電圧が+12Vに戻ろうとする。ここで、t22の時点では、一次側電圧は、+12Vよりもかなり小さな値である。このため、一次側電圧は、t22の直後、一時的に、+12Vよりも大きな値に達する。また、二次側電圧は、t22の直後、+12Vよりも小さな値である。従って、t22の直後、一次側電圧と二次側電圧との電位差が非常に大きくなり、振幅の大きい突入電流が発生する。つまり、t22からt23までの期間において、逆流抑制回路20の一次側から逆流抑制回路20の二次側に向けて、大きな振幅の突入電流が流れる。なお、突入電流は、負荷電流である。そして、t23以降、突入電流は、ほぼなくなり、一次側電圧と二次側電圧とは、ほぼ、+12Vに落ち着く。
このように、比較例に係る制御装置250を用いた場合、t22からt23までの期間、比較的大きな振幅の突入電流が流れ、t24に至るまで合計電流の値が480mAまで低下しない。ここで、t22からt24までの時間が20μsであるものとすると、合計電流は、120μsの期間に亘って、480mA以上の値を維持することになる。このため、管理装置100は、20μs遅延して電流信号を受信し、或いは、電流信号を正常に受信できない可能性がある。つまり、比較例に係る制御装置250を用いた場合、通信が不安定になる。
一方、本実施形態に係る制御装置200を用いた場合、信号電流が流れ終えた後に発生する突入電流の振幅を低下させることができるため、安定した通信を実現することが可能となる。以下、具体的に説明する。
図8は、制御装置200が備える逆流抑制回路20の一次側電圧及び二次側電圧を示す図である。図9は、制御装置200が信号電流を流したときの合計電流を示す図である。t25は、スイッチング回路70がオフ状態になる時刻である。t26は、スイッチング回路70がオン状態になる時刻である。t27は、突入電流が十分に小さくなった時刻である。
t21において、信号出力回路80がLレベル(0V)を出力すると、t25において、スイッチング回路70がオフ状態となる。このため、二次側電圧は、t21からt25までの期間、徐々に低下するが、t25からt22までの期間、ほぼ維持される。一方、一次側電圧は、t21からt22までの期間、+12Vよりもずっと小さい値となる。また、t21からt22までの期間は、一次側電圧の方が二次側電圧よりも小さくなるため負荷電流は殆ど流れないが、信号電流が流れるため、合計電流の値は大きい。
ここで、t22において、信号電流が流れ終わると、t22の直後、一次側電圧は、+12Vよりも大きな値に達する。また、t22の直後、二次側電圧は、+12Vよりもやや小さい。従って、t22の直後、一次側電圧と二次側電圧との電位差は大きい。しかしながら、t22の直後、スイッチング回路70がオフ状態である。このため、t22の直後は、突入電流は流れず、負荷電流も殆ど流れない。
また、t22において、信号出力回路80がHレベル(5V)を出力する。すると、t22からt26までの期間、スイッチング回路70が調整状態となり、スイッチング回路70を介して流れる負荷電流が徐々に増加する。このため、t22からt26までの期間、コンデンサ31に蓄積される電荷が徐々に増加し、一次側電圧が徐々に低下するとともに、二次側電圧が徐々に上昇する。
ここで、t26において、スイッチング回路70がオン状態になると、突入電流が流れる。しかしながら、t26の時点では、一次側電圧と二次側電圧との差は、ある程度小さくなっている。このため、t26の直後に発生する突入電流の振幅は、それ程大きくはならず(例えば、470mA程度)、電流閾値である480mA以下となることが期待される。つまり、制御装置200を用いた場合、管理装置100が、信号電流に続く突入電流を電流信号の一部とみなすことにより電流信号を遅延して受信することや、突入電流を誤って電流信号とみなすことを抑制することができる。
本実施形態では、逆流抑制回路20と電源回路30との間に設けられたスイッチング回路70は信号電流が流れ終わる前にオフ状態になり、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路70がオン状態になるまでの間に、スイッチング回路70を介して逆流抑制回路20から電源回路30に向けて負荷電流が流される。このため、本実施形態では、スイッチング回路70がオン状態にされる時点における逆流抑制回路20の両端間の電位差が小さくなり、突入電流の振幅が小さくなる。従って、本実施形態によれば、管理装置100が突入電流を誤って信号電流とみなすことにより生じる通信遅延や誤検出を減らすことができる。つまり、本実施形態によれば、他の通信装置(管理装置100)から電力の供給を受けるとともに他の通信装置に信号電流を流す通信装置(制御装置200)において、安定した通信を実現することができる。
また、本実施形態では、電源回路30の電源電圧を回復させるための電流供給回路が、スイッチング回路70により構成される。このため、本実施形態によれば、簡単な構成により、安定した通信を実現することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、スイッチング回路70により電流供給回路が構成される例について説明した。ここで、スイッチング回路70により電流供給回路を構成した場合、スイッチング回路70が備えるバイポーラトランジスタ71を活性領域で動作させる期間に、電源回路30に負荷電流を流す構成となる。しかしながら、かかる構成では、バイポーラトランジスタ71を活性領域で動作させる期間を十分に確保することは容易ではなく、電源回路30に負荷電流を十分に流すことができない可能性がある。そこで、本実施形態では、スイッチング回路70がオン状態になる前に電源回路30に十分に負荷電流を供給することができるように、スイッチング回路70と並列に接続された抵抗75により電流供給回路を構成する例について説明する。図10に、本発明の実施形態2に係る制御装置220の回路図を示す。制御装置220は、スイッチング回路70と並列に抵抗75が接続される点を除き、制御装置200と同様の構成である。
抵抗75は、スイッチング回路70に並列に接続される。つまり、抵抗75の一端はダイオード21のカソードに接続され、抵抗75の他端は電源端子110に接続される。抵抗75は、スイッチング回路70がオン状態に復帰したときに発生する突入電流の振幅を抑える機能を有する。具体的には、抵抗75は、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路70がオン状態に戻る前に、電源回路30に負荷電流を供給する機能を有する。
ここで、抵抗75の抵抗値が小さいほど、電源回路30に大きな負荷電流を流すことができる。しかしながら、抵抗75の抵抗値が小さすぎると、スイッチング回路70の機能が働かなくなり、結果として、突入電流の振幅を抑制することができなくなる。そこで、抵抗75の抵抗値は、適切に突入電流の振幅を抑制することが可能な範囲に設定される。抵抗75は、例えば、数Ωから数十Ωの抵抗値を有する。抵抗75は、スイッチング回路70に対するバイパス抵抗として機能する。本実施形態では、スイッチング回路70に加え、抵抗75が、電流供給回路として機能する。
図11は、制御装置220が備える逆流抑制回路20の一次側電圧及び二次側電圧を示す図である。図12は、制御装置220が信号電流を流したときの合計電流を示す図である。図12において、細い実線は、抵抗75に流れる電流(以下「バイパス電流」という。)を示している。t28は、突入電流が十分に小さくなった時刻である。
t21において、信号出力回路80がLレベル(0V)を出力すると、t25において、スイッチング回路70がオフ状態となる。ここで、逆流抑制回路20が備えるダイオード21のカソードと電源回路30が備えるコンデンサ31とは、抵抗75を介して接続されている。従って、スイッチング回路70がオフ状態であっても、ダイオード21のカソードとコンデンサ31との間で電荷の移動が生じる。このため、t25からt22までの期間、コンデンサ31に蓄積された電荷が徐々に減少するのに伴って、二次側電圧が徐々に低下する。一方、一次側電圧は、t21からt22までの期間、+12Vよりもずっと小さい値となる。また、t21からt22までの期間は、一次側電圧の方が二次側電圧よりも小さくなるため負荷電流は殆ど流れないが、信号電流が流れるため、合計電流の値は大きい。
ここで、t22において、信号電流が流れ終わると、t22の直後、一次側電圧は、+12Vよりも大きな値に達する。また、t22の直後、二次側電圧は、+12Vよりも小さい。従って、t22の直後、一次側電圧と二次側電圧との電位差は大きい。しかしながら、t22の直後、スイッチング回路70はオフ状態である。このため、t22の直後、突入電流が発生したとしても、抵抗75にわずかに流れるだけである。
ここで、t22からt26までの期間、二次側電圧よりも一次側電圧の方が高いため、抵抗75を介して、整流回路10から電源回路30にバイパス電流が流れる。なお、バイパス電流は、負荷電流である。また、t22において、信号出力回路80がHレベル(5V)を出力する。すると、t22からt26までの期間に、スイッチング回路70が調整状態となり、スイッチング回路70を介して流れる負荷電流が徐々に増加する。このため、t22からt26までの期間、コンデンサ31に蓄積される電荷が徐々に増加し、一次側電圧が徐々に低下するとともに、二次側電圧が徐々に上昇する。なお、t22からt26までの期間において電源回路30に流れる負荷電流は、殆どが抵抗75を介して流れるバイパス電流であるが、スイッチング回路70を介して流れる負荷電流の割合は時間の経過とともに増加する。
ここで、t26において、スイッチング回路70がオン状態になると、突入電流が流れる。しかしながら、t26の時点では、一次側電圧と二次側電圧との差は、かなり小さくなっている。このため、t26の直後に発生する突入電流の振幅は、それ程大きくはならず(例えば、450mA程度)、電流閾値である480mA以下となることが期待される。なお、実施形態2は実施形態1よりも、一次側電圧と二次側電圧との差が小さく、突入電流の振幅も小さくなることが期待できる。つまり、制御装置220を用いた場合、管理装置100が、電流信号を遅延して受信したり、突入電流を誤って電流信号とみなしたりすることが更に抑制される。
本実施形態では、スイッチング回路70と並列に抵抗75が接続され、逆流抑制回路20と電源回路30との間に設けられたスイッチング回路70は信号電流が流れ終わる前にオフ状態になり、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路70がオン状態になるまでの間に、スイッチング回路70のみならず抵抗75を介して逆流抑制回路20から電源回路30に向けて負荷電流が流される。このため、本実施形態では、スイッチング回路70がオン状態にされる時点における逆流抑制回路20の両端間の電位差が更に小さくなり、突入電流の振幅が更に小さくなる。従って、本実施形態によれば、管理装置100が突入電流を誤って信号電流とみなすことにより生じる通信遅延や誤検出を更に減らすことができる。
(実施形態3)
実施形態1では、スイッチング回路70がバイポーラトランジスタを備える例について説明した。本発明において、スイッチング回路が、バイポーラトランジスタに代えて電界効果トランジスタを備えていてもよい。本実施形態3に係る制御装置230は、図13に示すように、スイッチング回路70に代えてスイッチング回路76を備える。スイッチング回路76は、スイッチング回路70において、バイポーラトランジスタ71を電界効果トランジスタ77に置換したものである。
スイッチング回路76は、ダイオード72と、抵抗73と、抵抗74と、電界効果トランジスタ77と、を備える。電界効果トランジスタ77は、P(Positive)チャネル型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の電界効果トランジスタである。電界効果トランジスタ77のソース(S)は、ダイオード21のカソードに接続される。電界効果トランジスタ77のドレイン(D)は、電源端子110に接続される。電界効果トランジスタ77のゲート(G)は、抵抗74の一端に接続される。
電界効果トランジスタ77は、ゲート(G)に印加された電圧により、ソース(S)からドレイン(D)を結ぶ電流路の状態が制御されるが、基本的に、バイポーラトランジスタ71と同様に動作する。つまり、バイポーラトランジスタ91の電流路がオフ状態である間、電界効果トランジスタ77の電流路がオフ状態となる。また、バイポーラトランジスタ91の電流路が調整状態である間、基本的に、電界効果トランジスタ77の電流路が調整状態となる。そして、バイポーラトランジスタ91の電流路がオン状態である間、電界効果トランジスタ77の電流路がオン状態となる。つまり、本実施形態では、スイッチング回路76が、電流供給回路を構成する。
本実施形態では、逆流抑制回路20と電源回路30との間に設けられたスイッチング回路76は信号電流が流れ終わる前にオフ状態になり、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路76がオン状態になるまでの間に、スイッチング回路76を介して逆流抑制回路20から電源回路30に向けて負荷電流が流される。このため、本実施形態では、スイッチング回路76がオン状態にされる時点における逆流抑制回路20の両端間の電位差が小さくなり、突入電流の振幅が小さくなる。従って、本実施形態によれば、管理装置100が突入電流を誤って信号電流とみなすことにより生じる通信遅延や誤検出を減らすことができる。
(実施形態4)
実施形態2では、+12Vの電源電圧であるVcc1を生成する電源回路30の後段に、+5Vの電源電圧であるVcc2を生成する電源回路40が接続される例について説明した。本発明において、+12Vの電源電圧であるVcc1を生成する電源回路30と並列に、+5Vの電源電圧であるVcc2を生成する電源回路45が接続されてもよい。
図14に示すように、本実施形態に係る制御装置240が備える電源回路45は、降圧回路46により生成された直流電圧を平滑化する平滑化回路であるコンデンサ44と、抵抗42とツェナーダイオード43とバイポーラトランジスタ47とダイオード48とコンデンサ49とを備える降圧回路46と、を備える。コンデンサ44の一端は電源端子120に接続され、コンデンサ44の他端は接地端子140に接続される。
降圧回路46は、降圧回路として機能する他、安定化回路として機能する。抵抗42の一端はダイオード21のアノードに接続され、抵抗42の他端はコンデンサ49の一端に接続される。ツェナーダイオード43のアノードは接地端子140に接続され、ツェナーダイオード43のカソードはコンデンサ49の一端に接続される。バイポーラトランジスタ47は、NPNトランジスタである。バイポーラトランジスタ47のエミッタは、電源端子120に接続される。バイポーラトランジスタ47のコレクタは、ダイオード21のアノードに接続される。バイポーラトランジスタ47のベースはツェナーダイオード43のカソードに接続される。ダイオード48のアノードはバイポーラトランジスタ47のエミッタに接続され、ダイオード48のカソードはバイポーラトランジスタ47のコレクタに接続される。コンデンサ49の他端は、接地端子140に接続される。
降圧回路46の機能は、基本的に、電源電圧が安定する他は、降圧回路41と同様の機能である。なお、本実施形態では、電源回路45の前段には、逆流抑制回路20に相当する回路が設けられていない。このため、電源回路45には、突入電流を低減されるための構成、つまり、スイッチング回路70と、抵抗75と、信号出力回路80と、状態制御回路90とに相当する構成が設けられていない。
本実施形態では、逆流抑制回路20と電源回路30との間に設けられたスイッチング回路70は信号電流が流れ終わる前にオフ状態になり、信号電流が流れ終えてからスイッチング回路70がオン状態になるまでの間に、スイッチング回路70に加え抵抗75を介して逆流抑制回路20から電源回路30に向けて負荷電流が流される。このため、本実施形態では、スイッチング回路70がオン状態にされる時点における逆流抑制回路20の両端間の電位差が小さくなり、突入電流の振幅が小さくなる。従って、本実施形態によれば、管理装置100が突入電流を誤って信号電流とみなすことにより生じる通信遅延や誤検出を減らすことができる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上述した機能は、どの装置が有していても良く、上述した機能がシステム全体として実行されればよい。
例えば、上記実施形態において、電源回路30に、逆流抑制回路20とスイッチング回路70と信号出力回路80と状態制御回路90とが含まれていてもよい。また、上記実施形態では、制御装置200と機器300とが別の装置である例について説明した。本発明において、機器300に制御装置200が内蔵されたものであってもよい。この場合、制御装置200が備える各種の回路が機器300に内蔵される。
上記実施形態では、管理装置100が制御装置200に電圧信号によりデータを送信する機能を有し、制御装置200が管理装置100から電圧信号によりデータを受信する機能を有する例について説明した。本発明において、管理装置100が制御装置200にデータを送信する機能を有さず、制御装置200が管理装置100から電圧信号によりデータを受信する機能を有さなくてもよい。この場合、管理装置100により直流電圧が一対の伝送線間に印加される構成となり、制御装置200が整流回路10を備える必要がなくなる。
また、信号電流が流れ始めてから信号電流が流れ終わる前にスイッチング回路70がオフ状態となり、信号電流が流れ終えてから予め定められた時間が経過した後にスイッチング回路70がオン状態になる構成であれば、スイッチング回路70、信号出力回路80及び状態制御回路90における入力及び出力の論理は任意である。
実施形態2では、スイッチング回路70が、調整状態を有し、電流供給回路として機能する例について説明した。本発明において、スイッチング回路70が、調整状態を有さず、電流供給回路として機能しなくてもよい。かかる場合でも、抵抗75が電流供給回路として機能すれば、突入電流の振幅を小さくする効果が得られる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。