以下では、本発明の実施の形態に係る環境制御システム及び環境制御方法などについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る環境制御システムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係る環境制御システム1を適用する空間3を模式的に示す側面図である。本実施の形態に係る環境制御システム1は、ユーザ2が知的作業を行うための空間3の環境を制御するシステムである。
ユーザ2は、例えば、図1に示す作業台4において知的作業を行う。知的作業とは、仕事、勉強又は読書などの頭脳を使う作業のことである。
空間3は、ユーザ2が知的作業を行うための空間である。空間3は、例えば、オフィスビル又は学習塾、学校などの一室であり、天井3a、床3b、壁3c及び3dで囲まれた空間である。床3b上には、ユーザ2が知的作業を行うための作業台4と、ユーザ2が着座するための椅子6とが配置されている。作業台4は、例えば、作業面5を有する作業机である。作業面5の少なくとも一部が、知的作業の作業領域となる。
なお、作業台4は、学習机又はオフィス用机などの知的作業を専用に行うものでなくてもよい。例えば、作業台4は、一般家庭に設置されているダイニングテーブルなどでもよく、学校の宿題などの知的作業だけでなく、食事などの知的作業以外の作業に用いられてもよい。
また、作業面5は、ユーザ2の手元における仮想的な面でもよい。例えば、ユーザ2がソファなどに座って読書をしている場合に、作業面5は、ユーザ2が持つ本のページに相当する。
図1に示すように、空間3には、タスクライト11、天井照明12及び間接照明13などの照明設備と、エアコン21などの空調設備とが設置されている。なお、これらの照明設備及び空調設備はそれぞれ、空間3の照明状態及び空調状態を調整することができればよく、空間3内に設置されていなくてもよい。例えば、照明設備及び空調設備は、天井3a、床3b、壁3c及び3dなどに埋め込まれて設置されていてもよい。
本実施の形態では、環境制御システム1は、空間3の環境を制御することで、空間3に予め定められた1以上のシーンを形成する。1以上のシーンには、ユーザ2を知的作業に集中させる集中シーンが含まれている。集中シーンは、ユーザ2の集中度を高めることができるシーンである。
[集中度]
本明細書において、「集中」とは、ユーザ2がある知的作業に没入することを意味している。「集中度」を高めるということは、ユーザ2の知的作業への没入感を高めることに相当する。この意味で、「集中」は、ユーザ2の意識を単にはっきりさせるだけの覚醒、及び、ユーザ2の疲労を取り除く疲労回復とは異なっている。
ここで、「集中度」について説明する。集中度は、定量化して扱うことが可能であり、例えば、以下に説明する集中時間比率を指標に用いることができる。集中時間比率は、人が知的作業を行った場合における作業時間に対して集中の状態であった時間の比率である。
集中時間比率の概念は、人が知的作業を実施している期間において、認知資源を作業の対象に割り当てている状態と、認知資源を作業の対象に割り当てていない状態とを含むモデルに基づいている。このモデルにおいて、認知資源を対象に割り当てて作業が進行している状態を「作業状態」と呼ぶ。認知資源を対象に割り当てず長期間にわたって休息をとっている状態を「長期休息」と呼ぶ。認知資源を対象に割り当てているが無意識に作業の処理が短時間停止している状態を「短期休息」と呼ぶ。「短期休息」は、「作業状態」である期間に、一定の確率で生理的に発生することが知られている。
「作業状態」と「短期休息」とは、認知資源を対象に割り当てている状態であるから、集中の状態とみなされる。「長期休息」は、認知資源を対象に割り当てていない状態であるから、非集中の状態とみなされる。したがって、ユーザの状態を「作業状態」と「短期休息」と「長期休息」との3状態に、あるいは、「作業状態」及び「短期休息」と「長期休息」との2状態に分離することで、集中度を定量化できることが分かる。
ここでは、集中度の定量化の手法の一例について説明する。
例えば、集中度をリアルタイムで計測する技術ではなく、所定期間のうちで集中の状態であった期間を求める技術について説明する。この場合、例えば、集中度を計測する被験者に対して、難易度のばらつきが少ない多数の問題を提示し、被験者が問題の回答に要した時間(回答時間)を全問について計測する。次に、回答時間の区分毎に度数を求めてヒストグラム(横軸:回答時間、縦軸:度数)を生成する。上述したモデルを採用した場合、このヒストグラムは、集中の状態と非集中の状態とを重ね合わせた結果を表していると推定される。
適切な問題を与えた場合、このヒストグラムは2つ以上のピークを持つ形状になるという実験結果が得られている。すなわち、ヒストグラムには2個以上の山形領域が生じる。回答時間が最短であるピークを含む山形領域は、「作業状態」と「短期休息」とを混合した状態を表し、他のピークを含む山形領域は、「作業状態」と「短期休息」と「長期休息」とを混合した状態を表していると解釈される。これは、集中している状態であっても、問題の難易度のばらつきによっては、回答時間が長くなる可能性があるからである。
ここで、問題の難易度が一定である理想的な状態を想定すると、ヒストグラムに現れる山形領域は、回答時間tの関数として、対数正規分布の確率密度関数f(t)で近似できると推定される。ただし、現実的には問題の難易度のばらつきを完全に排除することはできない。そこで、2つの山形領域のうち回答時間が最短である山形領域について、ピークよりも回答時間の短い部位とピーク付近の部位のみが対数正規分布の確率密度関数f(x)に合致すると解釈する。そして、この部位を近似するように確率密度関数f(x)のパラメータ(期待値及び分散)を決定する。
確率密度関数f(x)のパラメータが決定されると、回答時間の期待値を求めることが可能になる。求めた期待値に全問題数を乗じた結果は、被験者が問題に着手してから終了するまでの総時間(総回答時間)のうち、集中の状態であった時間と解釈することができる。また、総回答時間から、集中の状態であった時間を減算した時間を、非集中の状態であった時間と解釈することができる。そこで、総回答時間に対する集中の状態であった時間の時間比を集中時間比率とし、この集中時間比率が大きいほど集中度が高いと判断する。
上述した集中時間比率は、集中度の指標の一例に過ぎず、上述した例と等価な集中度の指標を他の技術で計測してもよい。
本実施の形態に係る環境制御システム1では、ユーザ2の集中度を高めるための集中シーンを、照明設備群10と空調設備群20とを統合的に制御することにより、空間3に形成することができる。
[構成]
以下では、本実施の形態に係る環境制御システム1の詳細な構成について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る環境制御システム1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、環境制御システム1は、照明設備群10と、空調設備群20と、環境センサ群30と、ユーザセンサ群40と、制御装置100と、操作端末200とを備える。
[照明設備群]
照明設備群10は、空間3の照明状態を調整する1以上の照明設備を含んでいる。1以上の照明設備はそれぞれが、空間3内の所定領域を照らす照明光を出射する。本実施の形態では、照明設備群10には、タスクライト11と、天井照明12と、間接照明13とが含まれる。
なお、照明設備群10に含まれる照明設備は、これらの例に限らず、追加、交換、取り外しが適宜可能である。
タスクライト11は、ユーザ2が知的作業を行う作業領域を照らす第1照明光を出射する第1照明設備の一例である。具体的には、タスクライト11は、図1に示すように、作業面5を照らす照明光11aを出射する照明器具である。タスクライト11は、例えば、作業台4に載置されたスタンドライトであるが、これに限らない。タスクライト11は、例えば、天井3a又は壁3cなどに取り付けられたスポットライトでもよい。
天井照明12は、空間3の全体を照らす第2照明光を出射する第2照明設備の一例である。具体的には、天井照明12は、図1に示すように、作業面5を含む空間3の全体を照らす照明光12aを出射する照明器具である。天井照明12は、例えば、天井3aに取り付けられたシーリングライトであるが、これに限らない。天井照明12は、天井3aに埋込配設されたダウンライト、ベースライトなどでもよい。
間接照明13は、作業領域とは異なる領域を照らす第3照明光を出射する第3照明設備の一例である。具体的には、間接照明13は、図1に示すように、作業面5を直接照らさず、空間3の壁3c及び天井3aなどを照らす照明光13aを出射する照明器具である。間接照明13は、例えば、壁3cに取り付けられたブラケットライト又はウォールライトであるが、これに限らない。間接照明13は、床3bに載置されたフロアライトなどでもよい。
照明設備群10に含まれるこれらの照明設備(タスクライト11、天井照明12及び間接照明13)は、例えば、調光機能及び調色機能を有する。具体的には、これらの照明設備は、制御装置100と有線又は無線によって接続されており、制御装置100からの制御信号を受信することで点灯、消灯、調光比及び色温度などが制御される。なお、照明設備群10に含まれる全ての照明設備が、調光機能及び調色機能を有していなくてもよい。
[空調設備群]
空調設備群20は、空間3の空調状態を調整する1以上の空調設備を含んでいる。1以上の空調設備はそれぞれが、空間3の空調を行う。本実施の形態では、空調設備群20には、エアコン21と、扇風機22と、湿度調整装置23と、換気装置24と、空気清浄機25とが含まれる。なお、空調設備群20に含まれる空調設備は、これらの例に限らず、追加、交換、取り外しが適宜可能である。また、図1には、エアコン21のみを図示している。
エアコン21は、空間3の温度、湿度及び気流の少なくとも1つを調整する。具体的には、エアコン21は、制御装置100によって設定された設定温度に空間3の温度が近づくように、冷風又は温風(気流21a)を空間3に供給する。また、エアコン21は、制御装置100によって設定された設定湿度に空間3の湿度が近づくように、乾いた風又は湿気を含む風(気流21a)を空間3に供給する。あるいは、エアコン21は、空間3内の空気を取り込んで外部に排出(すなわち、換気を行う)することもできる。また、エアコン21は、空間3に気流21aを供給する場合に、気流21aの強さ及び向きを変更可能である。
エアコン21は、例えば、図1に示すように、壁3dに取り付けられているが、これに限らない。エアコン21は、天井3aなどに埋め込まれていてもよい。なお、空調設備群20には、エアコン21の代わりに、全熱交換器が含まれてもよい。
扇風機22は、空間3に気流を送るための気流生成装置の一例である。扇風機22は、気流の強さ及び向きを変更可能である。なお、空調設備群20には、扇風機22の代わりに、サーキュレータが気流生成装置の一例として含まれてもよい。
湿度調整装置23は、空間3の湿度を調整する装置であり、例えば、除湿器又は加湿器などである。
換気装置24は、空間3の換気を行う装置である。換気装置24は、空間3の空気を外部の空気と入れ換えることで、空間3の温度及び湿度を調整する。また、換気装置24は、空間3にユーザ2が存在することで空間3の二酸化炭素濃度が上昇した場合に、二酸化炭素を多く含む空気を外に排出することで、二酸化炭素濃度を低下させることができる。換気装置24は、単位時間当たりの換気量を調整可能である。
空気清浄機25は、空間3の空気に含まれる塵埃、花粉及びハウスダストなどを取り除くことで、空気を浄化する装置である。空気清浄機25は、空間3の空気を取り込んで浄化して、浄化した空気を空間3に排出する。これにより、空気清浄機25は、空間3内で気流を生成することができる。空気清浄機25は、湿度調整装置23と同様に、除湿又は加湿機能を有してもよい。
空調設備群20に含まれるこれらの空調設備(エアコン21、扇風機22、湿度調整装置23、換気装置24及び空気清浄機25)は、制御装置100と有線又は無線によって接続されており、制御装置100からの制御信号に基づいて空間3の温度、湿度及び気流の少なくとも1つを調整する。
なお、1つの空調設備が単独で空間3の空調を制御してもよく、互いに協働して空間3の空調を制御してもよい。例えば、エアコン21が単独で空間3の温度、湿度及び気流の全てを調整してもよい。あるいは、エアコン21が空間3の温度を主に調整し、湿度調整装置23及び換気装置24が空間3の湿度を主に調整し、扇風機22が空間3の気流を調整してもよい。また、例えば、複数の空調設備によって空間3内に気流を生成してもよい。
[環境センサ群]
環境センサ群30は、空間3の環境を検出する1以上のセンサを含んでいる。本実施の形態では、図2に示すように、環境センサ群30には、照度センサ31と、色温度センサ32と、温湿度センサ33と、気流センサ34と、二酸化炭素濃度センサ(CO2センサ)35と、騒音計36とが含まれる。なお、環境センサ群30に含まれるセンサは、これらの例に限らず、追加、交換、取り外しが適宜可能である。また、図1には示していないが、これらのセンサは、天井3a、床3b、壁3c若しくは3d、作業台4、椅子6、又は、照明設備若しくは空調設備に取り付けられている。
照度センサ31は、例えば、作業台4の作業面5に取り付けられており、作業面5の照度を検出する。
色温度センサ32は、例えば、作業台4に取り付けられており、タスクライト11が出射する照明光11aの色温度、及び、天井照明12が出射する照明光12aの色温度を検出する。
温湿度センサ33は、例えば、天井3a、壁3c若しくは3d又はエアコン21に取り付けられており、空間3の温度及び湿度を検出する。なお、環境センサ群30には、温湿度センサ33の代わりに、空間3の温度のみを検出する温度センサ、又は、空間3の湿度のみを検出する湿度センサが含まれてもよい。
気流センサ34は、例えば、作業台4に取り付けられており、エアコン21が空間3内に供給する気流21aの強さを検出する。
CO2センサ35は、例えば、壁3c又は3dに取り付けられており、空間3の二酸化炭素濃度を検出する。
騒音計36は、例えば、壁3c若しくは3d又はエアコン21に取り付けられており、空間3内の音の大きさを検出する。
環境センサ群30に含まれるこれらのセンサ(照度センサ31、色温度センサ32、温湿度センサ33、気流センサ34、CO2センサ35及び騒音計36)は、制御装置100と有線又は無線で接続されており、各々の検知結果を制御装置100に送信する。検知結果の送信は、常時又は定期的に自動で行われてもよく、あるいは、制御装置100からの要求を受けたときに、その応答として行われてもよい。
[ユーザセンサ群]
ユーザセンサ群40は、空間3に存在するユーザ2の状態を検出する1以上のセンサを含んでいる。本実施の形態では、図2に示すように、ユーザセンサ群40には、人感センサ41と、イメージセンサ42とが含まれる。なお、ユーザセンサ群40に含まれるセンサは、これらの例に限らず、追加、交換、取り外しが適宜可能である。また、図1には示していないが、これらのセンサは、天井3a、床3b、壁3c若しくは3d、作業台4、又は、照明設備若しくは空調設備に取り付けられている。
人感センサ41は、例えば、天井3a又は天井照明12に取り付けられており、ユーザ2の存在を検出する。人感センサ41は、例えば、赤外線センサなどである。
イメージセンサ42は、例えば、天井3a又は天井照明12に取り付けられており、ユーザ2の存在を検出する。イメージセンサ42は、例えば、空間3の内部を撮影し、監視するための監視カメラ(図示せず)などに含まれていてもよい。イメージセンサ42は、作業台4及び椅子6の近傍を撮像することで、ユーザ2が作業台4の近くに居るか否かを検出することができる。また、イメージセンサ42が撮像することで得られた映像を解析することで、ユーザ2が知的作業を行っているのか休憩しているのかを検出することもできる。
ユーザセンサ群40に含まれるこれらのセンサ(人感センサ41及びイメージセンサ42)は、制御装置100と有線又は無線で接続されており、各々の検知結果を制御装置100に送信する。検知結果の送信は、常時又は定期的に自動で行われてもよく、あるいは、制御装置100からの要求を受けたときに、その応答として行われてもよい。
ユーザセンサ群40には、椅子6に設けられた着座センサなどが含まれてもよい。
[制御装置]
制御装置100は、環境制御システム1の主な動作を行うコントローラである。制御装置100は、例えば、宅内に設けられたHEMS(Home Energy Management System)コントローラなどである。制御装置100は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで実現される。
図3は、本実施の形態に係る環境制御システム1の制御装置100と操作端末200との機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置100は、制御部110と、生成部120と、記憶部130と、通信部140とを備える。
制御部110は、照明設備群10と空調設備群20とを制御することで、予め定められた1以上のシーンを空間3に形成するためのシーン制御を行う。1以上のシーンは、空間3の照明状態と空調状態とによって形成される。1以上のシーンには、ユーザ2を知的作業に集中させる集中シーンと、ユーザの集中を緩和させる休憩シーンとが含まれる。例えば、制御部110は、空間3内の所定領域を照らす照明光の照度又は色温度と、空間3の温度、湿度及び気流の少なくとも1つとを統合的に調整することで、シーン制御を行う。なお、シーン制御の具体的な制御条件(設定値)の例については、後で図4を用いて説明する。
制御部110は、所定の条件が満たされた場合に、集中シーンを形成するためのシーン制御である集中シーン制御と、休憩シーンを形成するためのシーン制御である休憩シーン制御とを切り替える。具体的には、制御部110は、所定の条件が満たされた場合に、シーン制御の切り替えを行う。所定の条件には、例えば、スケジュール情報131に基づく条件、操作端末200を介したユーザ操作に基づく条件、及び、ユーザセンサ群40による検知結果に基づく条件などの複数の条件が含まれる。例えば、制御部110は、複数の条件の少なくとも1つが満たされた場合に、条件に合ったシーン制御への切り替えを行う。
例えば、制御部110は、スケジュール情報131が示す切り替えタイミングになったことを条件として、集中シーン制御と休憩シーン制御とを切り替える。あるいは、制御部110は、曜日及び時間帯に基づいて予め定められた切り替えタイミングになったことを条件として、集中シーン制御と休憩シーン制御とを切り替えてもよい。また、制御部110は、空間3内におけるユーザの存在又は不在が検知されたことを条件として集中シーン制御と休憩シーン制御とを切り替えてもよい。具体的な切り替えの態様については、後で説明する。
本実施の形態では、図3に示すように、制御部110は、照明設備群10及び空調設備群20を制御する設備制御部111と、切り替え条件を判定する条件判定部112とを含んでいる。
設備制御部111は、照明設備群10に含まれる1以上の照明設備と、空調設備群20に含まれる1以上の空調設備とを制御する。本実施の形態では、設備制御部111は、タスクライト11、天井照明12及び間接照明13と、エアコン21、扇風機22、湿度調整装置23、換気装置24及び空気清浄機25とを制御する。
設備制御部111は、タスクライト11、天井照明12及び間接照明13の各々の点灯(オン)及び消灯(オフ)を制御する。例えば、設備制御部111は、無線又は有線を介して、タスクライト11、天井照明12及び間接照明13の各々に、点灯又は消灯するための制御信号を送信する。各照明設備は、受信した制御信号に基づいて、点灯又は消灯する。
また、設備制御部111は、調光機能及び調色機能を有する照明設備を制御することで、当該照明設備が出射する照明光の調光比(光出力)又は色温度を調整する。本実施の形態では、少なくとも天井照明12は、調光機能及び調色機能を有する。なお、タスクライト11及び間接照明13は、調光機能及び調色機能のいずれも有していなくてもよく、あるいは、少なくとも一方又は両方を有していてもよい。
例えば、設備制御部111は、天井照明12を制御することで、天井照明12が発する照明光12aの照度又は色温度を調整する。具体的には、天井照明12は、無線又は有線を介して、天井照明12に照明光12aの光出力又は色温度などを設定するための制御信号を送信する。制御信号には、例えば、光出力又は色温度などの設定値が含まれている。天井照明12は、受信した制御信号に含まれる設定値で照明光12aを出射する。天井照明12が出射する照明光12aの照度は、作業台4の作業面5における照度である。
また、設備制御部111は、エアコン21、扇風機22、湿度調整装置23、換気装置24及び空気清浄機25の各々の動作開始(オン)及び停止(オフ)、並びに、各空調設備が有する機能を制御する。例えば、設備制御部111は、無線又は有線を介して、エアコン21、扇風機22、湿度調整装置23、換気装置24及び空気清浄機25の各々に制御信号を送信する。制御信号には、対応する機器をオン又はオフさせるための指示、又は、各機能の設定値などが含まれている。
空調設備群20に含まれる複数の空調設備のいずれを設備制御部111が制御するかは、任意に変更可能であり、結果として、求めるシーンが空間3に形成されればよい。例えば、本実施の形態では、設備制御部111は、空間3の温度、湿度及び気流の調整を、エアコン21のみを制御することで行ってもよい。あるいは、設備制御部111は、エアコン21だけでなく、扇風機22及び湿度調整装置23などと組み合わせて制御することで、空間3の温度、湿度及び気流を調整してもよい。以下では、説明を簡単にするため、設備制御部111がエアコン21のみを制御することで、空間3の温度、湿度及び気流を調整する場合について説明する。
例えば、設備制御部111は、無線又は有線を介してエアコン21に、空間3の温度、湿度及び気流21aを調整するための制御信号を送信する。制御信号には、例えば、設定温度、設定湿度、並びに、気流21aの強弱及び方向などの設定値が含まれている。エアコン21は、制御信号に含まれる設定温度及び設定湿度に空間3の温度及び湿度が近づくように、空間3に気流21aを供給する。このとき、エアコン21は、制御信号に含まれる気流21aの強弱及び方向の設定値に基づいて、空間3に供給する気流21aの強弱及び方向を調整する。
条件判定部112は、所定の条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、条件判定部112は、複数の条件の少なくとも1つが満たされたか否かを判定する。
例えば、条件判定部112は、タイマ機能を有する。具体的には、条件判定部112は、生成部120が生成したスケジュール情報131が示す切り替えタイミングになったか否かを判定する。スケジュール情報131は、集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替えタイミングを示す情報である。条件判定部112は、タイマが示す時刻(現在時刻)がシーン制御の切り替え時刻になったときに、当該シーン制御への切り替え条件が満たされたと判定する。これにより、制御部110は、当該シーン制御の対象となる照明設備及び空調設備を制御することで、当該シーン制御を行う。
スケジュール情報131は、集中シーン制御及び休憩シーン制御の実行履歴に基づいて生成された情報である。例えば、制御部110がスケジュール情報131に基づいてシーン制御を行うことで、ユーザ2による知的作業を習慣付けることができる。例えば、ユーザ2である子供などに、「いつも勉強する時間になったから勉強する」という促しを、親などから言われることなく、空間3の環境によって行うことができる。
また、条件判定部112は、操作端末200から通信部140を介して受信した操作信号が所定のシーン制御への切り替え指示を含むか否かを判定する。操作信号は、ユーザ2が操作端末200を用いて、所定のシーンのシーン制御への切り替えを操作したときに操作端末200が送信する信号である。条件判定部112は、操作信号にシーン制御の切り替え指示が含まれているときに、当該シーン制御への切り替え条件が満たされたと判定する。これにより、制御部110は、当該シーン制御の対象となる照明設備及び空調設備を制御することで、当該シーン制御を行う。このように、制御装置100は、ユーザ2からの指示に基づいて空間3の環境を制御することができる。
また、条件判定部112は、空間3内におけるユーザ2の存在又は不在が検知されたか否かを判定する。例えば、条件判定部112は、空間3内の作業台4の近傍(例えば、椅子6)にユーザ2が存在している場合に、集中シーン制御への切り替え条件が満たされたと判定する。ユーザ2の存在の検知は、例えば、人感センサ41又はイメージセンサ42によって行われる。これにより、制御部110は、空間3内にユーザ2が存在している場合に、集中シーン制御を行う。
この場合において、例えば、条件判定部112は、予め定められた時間帯において空間3の所定の場所にユーザ2の存在が検知された場合に、集中シーン制御への切り替え条件が満たされたと判定する。例えば、条件判定部112は、平日の夕方の時間帯(例えば、4時〜6時)を、集中シーン制御を行うことができる時間帯として予め定めておく。これにより、例えば、条件判定部112は、子供などのユーザ2が平日に帰宅した後、椅子6に着いた場合に、集中シーン制御への切り替え条件が満たされたと判定することができる。これにより、照明状態及び空調状態によって、子供などに勉強を自然と促すことができる。
あるいは、条件判定部112は、集中シーン制御を行わない特定の時間帯を予め定めておいてもよい。言い換えると、条件判定部112は、特定の時間帯以外の時間帯を、集中シーン制御を行うことができる時間帯として予め定めておいてもよい。例えば、作業台4がダイニングテーブルなどである場合に、食事の時間帯などの知的作業を行う予定にない時間帯を予め除外しておいてもよい。これにより、食事の時間帯などに集中シーン制御が行われることを抑制することができ、シーン制御をユーザ2の生活リズムに合わせることができ、利便性を高めることができる。
また、例えば、条件判定部112は、空間3内にユーザ2の存在が検知されなくなった場合に、休憩シーン制御(又は、集中シーン制御以外のシーン制御)への切り替え条件が満たされたと判定する。具体的には、条件判定部112は、所定期間(例えば、10分以上)、ユーザ2の存在が検知されなくなった場合に、休憩シーン制御への切り替え条件が満たされたと判定する。これにより、制御部110は、空間3内にユーザ2が存在していない場合に、集中シーン制御から休憩シーン制御への切り替えを行う。例えば、ユーザ2が作業台4から長時間離席した場合などに、集中シーン制御を終了させることができるので、照明設備群10及び空調設備群20での消費電力を削減することができる。
生成部120は、シーン制御の実行履歴を取得し、取得した実行履歴に基づいてスケジュール情報131を生成する。生成されたスケジュール情報131は、記憶部130に保存される。本実施の形態では、生成部120は、集中シーン制御及び休憩シーン制御の実行履歴を取得するが、他のシーン制御の実行履歴を取得してもよい。
シーン制御の実行履歴には、例えば、ユーザ2が操作端末200を操作することでシーン制御を実行した場合と、人感センサ41などによって環境制御システム1が自動的にシーン制御を実行した場合とが含まれる。実行履歴は、所定の期間(1日、1週間、1ヶ月、1年など)において、シーン制御の実行に関する情報を収集することで生成される。実行履歴は、具体的には、シーン制御の切り替え日時(又は、開始日時及び終了日時)を示す情報である。日時には、例えば、曜日及び日付、並びに、時間、分、秒が含まれる。
生成部120は、例えば、実行履歴から集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替え時刻を抽出し、抽出した切り替え時刻を、毎日の集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替え時刻とするスケジュール情報131を生成する。あるいは、生成部120は、平日と週末とで異なるスケジュール情報131を生成してもよい。例えば、生成部120は、月曜から金曜までの実行履歴から切り替え時刻を抽出し、抽出した切り替え時刻を平日の切り替え時刻としてもよい。なお、月曜から金曜までの各曜日において切り替え時刻が略同じ(例えば、切り替え時刻の差が30分以内)である場合、各曜日の切り替え時刻の平均時刻を平日の切り替え時刻としてもよい。スケジュール情報131は、曜日毎に生成されてもよい。
記憶部130は、スケジュール情報131を記憶するためのメモリである。記憶部130は、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの不揮発性メモリから構成される。記憶部130には、シーン制御の実行履歴を示す履歴情報が記憶されてもよい。
スケジュール情報131は、集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替えタイミングを示す情報である。なお、スケジュール情報131は、集中シーン制御及び休憩シーン制御の各々の開始時刻及び終了時刻、又は、シーン制御の継続期間などを示してもよい。本実施の形態では、スケジュール情報131は、集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替えを行うタイミングを示すが、その他のシーン制御への切り替えを行うタイミングを示してもよい。
スケジュール情報131は、例えば、1日、1週間、1ヶ月、1年などの所定の期間におけるシーン制御の切り替え時刻などを示している。スケジュール情報131が1日分の情報である場合、制御部110は、スケジュール情報131に基づいて毎日決まった時刻に、集中シーン制御から休憩シーン制御への切り替え、又は、休憩シーン制御から集中シーン制御への切り替えを行うことができる。
なお、スケジュール情報131は、シーン制御の実行履歴に基づいて生成されるのではなく、ユーザ2が予め曜日及び時間帯に基づいて定めた情報であってもよい。例えば、スケジュール情報131は、例えば、ユーザ2が操作端末200を介して、シーン制御を行う時間帯などを指示することにより生成されてもよい。
例えば、ユーザ2は、自身の生活リズムなどに合わせて、シーン制御の切り替えタイミングを定める。例えば、仕事又は学校などが有り、時間的な余裕が少ない平日には、1時間の集中シーン制御と10分の休憩シーン制御とを交互に繰り返す。時間的な余裕があり、集中しやすい環境にある休日には、2時間の集中シーン制御と10分の休憩シーン制御とを交互に繰り返す。このように、平日と休日とで異なるタイミング及び期間でシーン制御を行うことができるように、ユーザ2は、スケジュール情報131を予め定めておいてもよい。
また、例えば、親が子供の勉強時間を指定することができ、指定した時間になると自動的に集中シーンが空間3に形成される。これにより、指定した時間になると、親が子供に言わなくても、空間3の環境によって子供を学習するように促すことができる。また、集中シーンから休憩シーンへの切り替えのタイミングなども予め指定しておくことで、空間3の環境の変化によって、理想的な学習習慣又は仕事習慣をユーザ2に習慣付けることができる。
通信部140は、操作端末200の通信部240と有線又は無線で接続された通信インタフェースである。また、通信部140は、照明設備群10及び空調設備群20の各々とも有線又は無線で接続されている。通信部140は、例えば、アンテナ及び送受信回路で構成される。
通信部140と、操作端末200の通信部240、照明設備群10の各照明設備、及び、空調設備群20の各空調設備との接続は、それぞれ異なる通信規格に基づいていてもよい。各接続は、例えば、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などの無線通信規格に基づく無線通信、又は、LAN(Local Area Network)ケーブル、電力線などを用いた有線通信によって行われる。
本実施の形態では、通信部140は、操作端末200が受け付けたユーザ操作に基づく操作信号を通信部240から受信する。通信部140は、制御部110が生成する制御信号を照明設備群10及び空調設備群20の各々に送信する。通信部140は、環境センサ群30及びユーザセンサ群40の各々から検知結果を受信する。
[操作端末]
操作端末200は、ユーザ2からの操作を受け付ける端末装置である。操作端末200は、例えば、ユーザ2が所有するスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどの携帯機器である。あるいは、操作端末200は、専用のリモコン端末、又は、据置のコンピュータ機器などでもよい。
図3に示すように、操作端末200は、操作受付部210と、制御部220と、表示部230と、通信部240とを備える。
操作受付部210は、ユーザ2からの操作を受け付ける。具体的には、操作受付部210は、空間3に形成するシーンの選択をユーザ2から受け付ける。
操作受付部210は、例えば、タッチセンサ、マウスなどのポインティングデバイス、物理的な操作ボタン、キーボードなどの各種入力デバイスである。操作受付部210及び表示部230は、例えば、タッチパネルディスプレイで構成される。
制御部220は、操作受付部210が受け付けた操作に基づいて、操作信号を生成する。操作信号には、ユーザ2が選択したシーンと、当該シーンを形成するためのシーン制御への切り替え指示(又は切り替え時刻)などを示す情報が含まれる。制御部220は、通信部240を介して、生成した操作信号を送信する。
制御部220は、例えば、本実施の形態に係る環境制御システムの動作を行うアプリケーションプログラムを実行する。制御部220は、当該プログラムに基づいて、シーンの選択画面、照明設備群10又は空調設備群20の操作画面などを生成し、表示部230に表示させる。例えば、ユーザ2は、表示部230に表示される選択画面を操作することで、所望のシーンを選択することができる。ユーザ2による選択を操作受付部210が受け付け、受け付けた操作を制御部220が操作信号として、通信部240を介して制御装置100に送信する。これにより、ユーザ2が望むタイミングでシーン制御の実行及び停止を行うことができる。
表示部230は、シーンの選択画面又は操作画面などを表示するためのディスプレイである。表示部230は、例えば、液晶表示装置又は有機EL(Electroluminescence)表示装置などである。
通信部240は、制御装置100の通信部140と有線又は無線で接続された通信インタフェースである。通信部240は、例えば、アンテナ及び送受信回路で構成される。通信部240は、例えば、制御部220が生成した操作信号を制御装置100の通信部140に送信する。
[シーン制御]
ここで、本実施の形態に係る環境制御システム1が行う、1以上のシーンを形成するためのシーン制御の具体例について説明する。
図4は、本実施の形態に係る環境制御システム1が行うシーン制御の制御条件を示す図である。図4に示すように、本実施の形態では、1以上のシーンには、ユーザ2を知的作業に集中させる集中シーンと、ユーザ2の集中を緩和させる休憩シーンとが含まれる。1以上のシーンには、さらに、ユーザ2の集中度に関連しない通常シーンが含まれてもよい。
[集中シーン制御]
図5Aは、本実施の形態に係る環境制御システム1が行う集中シーン制御の照明状態及び空調状態を模式的に示す側面図である。
集中シーンを形成するための集中シーン制御では、図4及び図5Aに示すように、設備制御部111は、タスクライト11と天井照明12とを点灯させ、間接照明13を消灯する。この場合において、設備制御部111は、タスクライト11が出射する照明光11aの色温度が、天井照明12が出射する照明光12aの色温度と同じ、又は、照明光12aの色温度より大きくなるように、タスクライト11及び天井照明12を制御する。照明光11aの色温度と照明光12aの色温度との差は、例えば、1500K以下である。これにより、色温度の差が大き過ぎず、作業領域と周囲との照明による色合いの違いを抑えることができ、ユーザ2に違和感を与えないようにすることができる。
また、設備制御部111は、作業面5における照度が750lxになるように、タスクライト11及び天井照明12の光出力を制御する。このとき、設備制御部111は、天井照明12が出射する照明光12aの照度が、タスクライト11が出射する照明光11aの照度より低くなるように、タスクライト11及び天井照明12を制御する。つまり、集中シーン制御において、照明光12aは、作業領域における照度が照明光11aより低くなる。
例えば、図4に示すように、設備制御部111は、タスクライト11が出射する照明光11aの色温度を6200Kとし、作業面5における照度が450lxになるように照明光11aの光出力を調整する。設備制御部111は、天井照明12が出射する照明光12aの色温度を5000Kとし、作業面5における照度が300lxになるように照明光12aの光出力を調整する。
このとき、作業面5内におけるタスクライト11が照らす領域(照射範囲)は、例えば、ユーザ2による作業領域を中心として、縦300mm×横420mm程度の大きさ(A3サイズ)〜縦420mm×横600mm程度の大きさ(A2サイズ)であるが、これに限らない。なお、作業面5での作業ではなく、作業面5に載置されたモニタなどを用いて作業(パソコンによる作業)を行う場合には、設備制御部111は、タスクライト11がモニタに影響しないように、タスクライト11からの照射範囲を調整してもよい。
これにより、作業領域を明るくし、その周囲を適度に暗くすることで、周囲からの視覚ノイズ情報が低減されて、知的作業に没入しやすくなる。つまり、ユーザ2の集中度(知的作業への没入感)を高めることができる。また、タスクライト11が出射する照明光11aの色温度を高くすることで、文字の読みやすさ及びユーザ2の覚醒度を高めることができる。
なお、設備制御部111は、照度センサ31及び色温度センサ32の少なくとも一方に基づいて、照明設備が出射する照明光の照度又は色温度を調整してもよい。例えば、作業面5には、タスクライト11からの照明光11aと天井照明12からの照明光12aとの両方が照射されるために、照度及び色温度の所望値から外れる恐れがある。照度センサ31及び色温度センサ32による検知結果を用いることで、照明光11a又は照明光12aの照度又は色温度を微調整することが可能になり、ユーザ2の集中度を高めることができる。
また、集中シーン制御では、図4に示すように、設備制御部111は、エアコン21を制御することで、空間3の温度、湿度及び気流の少なくとも1つを調整する。具体的には、設備制御部111は、集中シーン制御を行わない場合よりも空間3の温度及び湿度の少なくとも一方が低くなるように、エアコン21を制御する。例えば、設備制御部111は、集中シーン制御を行う場合、休憩シーン制御を行う場合の空間3の温度及び湿度よりも低くなるように、エアコン21を制御する。
設備制御部111は、温湿度センサ33によって検出された空間3の温度及び湿度を取得し、取得した温度及び湿度に基づいてエアコン21を制御する。例えば、設備制御部111は、温湿度センサ33から取得した温度が設定温度より高い場合には、エアコン21に冷風を空間3に供給させる。設備制御部111は、温湿度センサ33から取得した温度が設定温度より低い場合には、エアコン21に温風を空間3に供給させる。湿度の場合も同様である。設定温度及び設定湿度は、例えば、集中シーンの制御条件として予め定められている。
また、図5Aに示すように、設備制御部111は、集中シーン制御を行う場合に、強度が揺らぐ第1気流21bがユーザ2に直接当たらないように、エアコン21を制御する。第1気流21bは、いわゆる1/f揺らぎのある微風である。
このとき、設備制御部111は、ユーザ2の位置を、人感センサ41又はイメージセンサ42による検出結果に基づいて判別し、ユーザ2に第1気流21bが当たらないように第1気流21bの供給方向を調整してもよい。あるいは、知的作業を行うユーザ2は、椅子6に着座することが想定されるので、設備制御部111は、人感センサ41又はイメージセンサ42の検出結果に依らずに、作業台4及び椅子6に第1気流21bが当たらないようにエアコン21を制御してもよい。
また、設備制御部111は、予め定められた第1期間が経過する度に、第1期間より短い第2期間において、第1気流21bより強い第2気流21cがユーザ2に当たるように、エアコン21を制御する。具体的には、設備制御部111は、10分〜20分程度の一定の時間間隔毎に、数秒〜数十秒間程度の短い期間、強めの第2気流21cがユーザ2に当たるように、エアコン21に第2気流21cを供給(生成)させる。第2気流21cの強さの最大値(最大速度)は、例えば、0.4m/秒〜0.7m/秒である。第2気流21cは、例えば、ユーザ2の頭部付近に後方から当たるように生成される。これにより、集中により疲労したユーザ2をリフレッシュさせることができ、知的作業に集中するユーザ2の集中をさらに高めることができる。
このとき、設備制御部111は、ユーザ2を覚醒させる(眠気を解消する)ことを目的として、より強い気流(覚醒刺激気流)をエアコン21に供給(生成)させてもよい。例えば、覚醒刺激気流の強さの最大値(最大速度)は、例えば、1.5m/秒〜3m/秒である。覚醒刺激気流は、例えば、リフレッシュ用の気流と同じタイミングで供給されてもよく、異なるタイミングで供給されてもよい。
なお、上述したように、エアコン21単独で気流を供給(生成)するのではなく、エアコン21と扇風機22などとの組み合わせ、又は、扇風機22単独など、第1気流21b及び第2気流21cの生成手段は特に限定されない。
設備制御部111は、気流センサ34によって検出された空間3内の気流の強さを取得し、取得した気流の強さに基づいてエアコン21を制御してもよい。例えば、空間3内において家具などの障害物によって、エアコン21から供給された気流21aが狙った方向に流れない恐れがある。気流センサ34による検出結果を用いることで、設備制御部111は、気流21aの方向及び強さを適切に調整することができる。
また、設備制御部111は、空間3の二酸化炭素濃度が所定の閾値を超えた場合に、二酸化炭素濃度が当該閾値を下回るように、換気装置24を制御してもよい。例えば、設備制御部111は、二酸化炭素濃度が閾値を超えた場合に、換気装置24の動作を開始し、空間3の二酸化炭素濃度が高い空気と外部の二酸化炭素濃度の低い空気との入れ換えを行う。これにより、空間3の二酸化炭素濃度を低下させることができる。
設備制御部111は、CO2センサ35によって検出された二酸化炭素濃度を取得し、取得した二酸化炭素濃度が閾値を超えたか否かを判定する。閾値は、例えば、1000ppmであるが、これに限らない。例えば、閾値は、800ppmでもよい。
設備制御部111は、換気装置24を動作させたときの騒音レベルが所定値以下になるように、換気装置24の動作レベル(単位時間当たりの換気量)を制御してもよい。例えば、設備制御部111は、騒音計36によって検出された騒音レベルを取得し、取得した騒音レベルが所定値を超えるか否かを判定してもよい。騒音レベルが所定値を超えた場合、設備制御部111は、換気装置24(又は、その他の音を出す設備)の動作レベルを低くすることで、騒音レベルを小さくすることができる。
一般的には、換気装置24による換気量が多い程、換気装置24の動作音が大きくなる。ユーザ2の集中度が低下する要因には、騒音と二酸化炭素濃度とが考えられる。このため、例えば、騒音と二酸化炭素濃度とのいずれを優先的に抑制するかを予め定めておいてもよい。
ここで、本実施の形態に係る環境制御システム1が行う集中シーン制御の具体例について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る環境制御システム1が行う集中シーン制御を示すフローチャートである。
まず、設備制御部111が集中シーンの照明環境を形成し、かつ、揺らぎ微風である第1気流21bの供給を行う(S10)。集中シーンの照明環境は、例えば、図4に示す制御条件に基づいて照明設備群10を制御することで形成される。以降、集中シーン制御を行っている期間、設備制御部111は、形成した照明環境を維持するように照明設備群10を制御する。
集中シーンの開始から第1期間が経過した場合(S12でYes)、設備制御部111は、第2期間、強風である第2気流21cをユーザ2に当てるように供給させる(S14)。例えば、集中シーンの開始から15分が経過したときに、設備制御部111は、エアコン21を制御することで、ユーザ2をリフレッシュさせるための強い風を第2気流21cとして、10秒程度、ユーザ2に当てる。
次に、設備制御部111は、空間3の二酸化炭素濃度が閾値を超えたか否かを判定する(S16)。具体的には、設備制御部111は、CO2センサ35が検出した二酸化炭素濃度を取得し、取得した二酸化炭素濃度が1000ppmを超えたか否かを判定する。
空間3の二酸化炭素濃度が閾値を超えていない場合(S16でNo)、ステップS12に戻り、再び第1期間が経過するのを待機する。これにより、常時、第1気流21bをユーザ2に当てないように供給しながら、一定期間が経過する度に、第2気流21cをユーザ2に当てることができる。なお、第2気流21cの繰り返し周期である第1期間は、常に同じでもよく、あるいは、繰り返し毎に異なっていてもよい。また、第2気流21cの供給期間である第2期間は、常に同じでもよく、あるいは、繰り返し毎に異なっていてもよい。
空間3の二酸化炭素濃度が閾値を超えた場合(S16でYes)、設備制御部111は、換気装置24を制御することで、空間3の換気を行う(S18)。空間3の二酸化炭素濃度が高い空気を、外部の二酸化炭素濃度が低い空気と入れ換えることで、空間3の二酸化炭素濃度を低くすることができる。換気を行った後、又は、換気中に、第1期間が経過した場合(S12でYes)、設備制御部111は、エアコン21を制御することで、第2気流21cの供給を行う。
なお、二酸化炭素濃度の判定(S16)をステップS14の後で行う例について示しているが、これに限らない。二酸化炭素濃度の判定は、定期的に繰り返し行われてもよい。また、換気と第2気流21cの供給とは同時に行われてもよい。
また、換気を換気装置24が行う例について示したが、これに限らない。エアコン21などの別の空調設備が換気を行ってもよい。また、設備制御部111は、壁3c又は3dなどに設けられたドア又は窓を開けることで、換気を行ってもよい。
[休憩シーン制御]
図5Bは、本実施の形態に係る環境制御システム1が行う休憩シーン制御の照明状態及び空調状態を模式的に示す側面図である。
休憩シーンを形成するための休憩シーン制御では、図4及び図5Bに示すように、設備制御部111は、タスクライト11を消灯し、天井照明12と間接照明13とを点灯させる。この場合において、設備制御部111は、天井照明12が出射する照明光12aの色温度及び照度を、集中シーン制御における照明光12aの色温度及び照度より低くする。
例えば、図4に示すように、設備制御部111は、天井照明12が出射する照明光12aの色温度を3000K〜4000Kの範囲に調整し、作業面5における照度が300lx以下になるように照明光12aの光出力を調整する。これにより、ユーザ2を低覚醒状態にすることができ、集中シーンとの心理的な切り替えとリラックスとを誘発させることができる。
また、設備制御部111は、間接照明13を点灯させることで、空間の広がり感を演出する。例えば、設備制御部111は、図4に示すように、間接照明13が出射する照明光13aの色温度を2700K〜3000Kの範囲に調整する。間接照明13の光出力は特に限定されないが、例えば、天井照明12より小さくてもよい。具体的には、間接照明13の明るさは、壁3c及び天井3aなどの壁面が照らされていることが認識できる程度の明るさでもよい。間接照明13からの照明光13aの照射範囲についても特に限定されず、休憩中のユーザ2の視界に入る程度でよい。つまり、間接照明13からの照明光13aは、作業面5を照らさなくてもよい。
また、休憩シーン制御では、図4に示すように、設備制御部111は、エアコン21を制御することで、空間3の温度、湿度及び気流を調整する。具体的には、設備制御部111は、集中シーン制御を行う場合よりも空間3の温度及び湿度の少なくとも一方が高くなるように、エアコン21を制御する。例えば、設備制御部111は、休憩シーン制御を行う場合、集中シーン制御を行う場合の空間3の温度及び湿度よりも高くなるように、エアコン21を制御する。
例えば、設備制御部111は、休憩シーン制御を行う場合に、集中シーン制御を行う場合よりもエアコン21の設定温度及び設定湿度の少なくとも一方を高くする。このとき、設備制御部111は、空間3の温度の上昇率が所定値より低くなるように設定温度を調整する。ここでの所定値は、例えば、2℃/分とすることができる。具体的には、設備制御部111は、集中シーン制御の第1設定温度から、休憩シーン制御の第2設定温度まで段階的に設定温度を上昇させる。
例えば、設備制御部111は、休憩シーン制御に切り替えた直後では、第1設定温度に所定の上昇値(例えば、1℃)を加えた設定温度に調整する。休憩シーン制御に切り替えた時点から所定期間(例えば、10分)経過後に、設定温度に、さらに所定の上昇値を加える。これを設定温度が第2設定温度になるまで繰り返すことで、設備制御部111は、段階的に空間3の温度を上昇させることができる。
また、図5Bに示すように、設備制御部111は、気流21dを空間3に供給する。例えば、設備制御部111は、気流21dをユーザ2に当たらないようにエアコン21に供給させる。ここで、気流21dの強さなどは特に限定されない。例えば、気流21dは、第1気流21bと同様の1/f揺らぎのある微風でもよい。
なお、集中シーン及び休憩シーンの空調状態は、例えば、温熱環境評価指数の1つであるPMV(Predicted Mean Vote:予測温冷感申告)を用いて表すこともできる。例えば、集中シーンは、PMVが0〜−1の範囲になる環境であり、休憩シーンは、PMVが0〜+1の範囲になる環境である。また、通常シーンは、PMVが略0に一致する環境である。設備制御部111は、各シーン制御を行う場合において、PMVが、対応するシーン制御についての範囲を満たすように、温度、湿度及び気流を調整してもよい。
[動作(環境制御方法)]
続いて、本実施の形態に係る環境制御システム1の動作(環境制御方法)について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る環境制御システム1の動作(環境制御方法)を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、制御装置100の条件判定部112は、集中シーン制御への切り替え条件を満たすか否かを判定する(S20)。本実施の形態では、集中シーン制御への切り替え条件には、複数の条件が含まれる。
具体的には、集中シーン制御への複数の切り替え条件には、(i)スケジュール情報131が示す、集中シーン制御への切り替えタイミングになったこと、(ii)空間3内におけるユーザ2の存在が検知されたこと、及び、(iii)操作信号に集中シーン制御への切り替え指示が含まれることなどが含まれる。条件判定部112は、これらの複数の条件の少なくとも1つが満たされた場合に、切り替え条件を満たすと判定する。
切り替え条件が満たされた場合(S20でYes)、制御部110は、集中シーン制御への切り替えを行い、かつ、切り替え日時を記録する(S22)。
具体的には、設備制御部111は、集中シーンを空間3に形成するように、照明設備群10及び空調設備群20を統合的に制御する。例えば、設備制御部111は、図4で示した集中シーン制御の制御条件に基づいて、照明設備群10及び空調設備群20のオンオフ及び各機能を調整する。集中シーン制御の具体的な動作については、図5A及び図6を用いて説明した通りである。
このとき、生成部120は、切り替え日時を示す履歴情報を記憶部130に記憶する。あるいは、生成部120は、履歴情報を記憶部130に記憶する代わりに、切り替え日時に基づいて、記憶部130に記憶されたスケジュール情報131を更新してもよい。
切り替え条件が満たされない場合(S20でNo)、制御部110は、切り替え条件が満たされるまで待機する。なお、待機中は、制御部110は、休憩シーン制御などの他のシーン制御を行ってもよく、あるいは、いかなるシーン制御を行わなくてもよい。例えば、設備制御部111は、照明設備群10及び空調設備群20に含まれる各設備の動作を停止させてもよい。
条件判定部112は、集中シーン制御を行っている期間中に、集中シーン制御から休憩シーン制御への切り替え条件を満たすか否かを判定する(S24)。本実施の形態では、休憩シーン制御への切り替え条件には、複数の条件が含まれる。
具体的には、休憩シーン制御への複数の切り替え条件には、(i)スケジュール情報131が示す、休憩シーン制御への切り替えタイミングになったこと、(ii)空間3内にユーザ2の存在が検知されなくなったこと、及び、(iii)操作信号に休憩シーン制御への切り替え指示が含まれることなどが含まれる。条件判定部112は、これらの複数の条件の少なくとも1つが満たされた場合に、切り替え条件を満たすと判定する。
集中シーン制御から休憩シーン制御への切り替え条件が満たされた場合(S24でYes)、制御部110は、休憩シーン制御への切り替えを行い、かつ、切り替え日時を記録する(S26)。切り替え日時の記録の具体的な処理は、ステップS22と同様である。
具体的には、設備制御部111は、集中シーン制御を停止し、休憩シーンを空間3に形成するように、照明設備群10及び空調設備群20を統合的に制御する。例えば、設備制御部111は、図4で示した休憩シーン制御の制御条件に基づいて、照明設備群10及び空調設備群20のオンオフ及び各機能を調整する。
休憩シーン制御への切り替え後、ステップS20に戻り、条件判定部112は、休憩シーン制御を行っている期間中に、集中シーン制御への切り替え条件を満たすか否かを判定する。以降の処理は、上述した通りである。
切り替え条件が満たされない場合(S24でNo)、制御部110は、切り替え条件が満たされるまで待機する。待機中は、制御部110は、休憩シーン制御を継続する。
なお、1以上のシーンに集中シーン及び休憩シーン以外の他のシーンが含まれる場合、他のシーンを形成するためのシーン制御への切り替え条件が満たされた場合に、制御部110は、当該シーン制御への切り替えを行ってもよい。つまり、制御部110は、複数のシーン制御のいずれかへの切り替え条件が満たされた場合に、実行中のシーン制御から切り替え条件を満たしたシーン制御へ切り替えてもよい。
本実施の形態では、制御部110は、ステップS22及びS26において、集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替え日時を記録する。これにより、制御部110は、集中シーン制御の実行履歴、及び、休憩シーン制御の実行履歴を残しておくことができる。これらの実行履歴は、スケジュール情報131の生成に用いられる。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る環境制御システム1は、ユーザ2が知的作業を行うための空間3の環境を制御する環境制御システムであって、空間3内の所定領域を照らす照明光を出射する1以上の照明設備(照明設備群10)と、空間3の空調を行う1以上の空調設備(空調設備群20)とを制御することで、予め定められた1以上のシーンを空間3に形成するためのシーン制御を行う制御部110を備え、1以上のシーンには、ユーザ2を知的作業に集中させる集中シーンと、ユーザ2の集中を緩和させる休憩シーンとが含まれ、制御部110は、所定の条件が満たされた場合に、集中シーンを形成するためのシーン制御である集中シーン制御と、休憩シーンを形成するためのシーン制御である休憩シーン制御とを切り替える。
これにより、ユーザ2が知的作業を行うための空間3に、ユーザ2が集中しやすいシーンを、適切なタイミングで容易に形成することができる。例えば、集中シーンを空間3に形成することで、ユーザ2の集中度を高めることができる。照明状態だけではなく、空調状態も調整するので、ユーザ2の集中度をより高めることができる。
また、集中シーン制御と休憩シーン制御とを所定の条件が満たされた場合に切り替えるので、例えば、ユーザ2が知的作業を行っていない場合には、休憩シーン制御を実行させることができる。このように、例えば、ユーザ2の状態に応じてシーン制御を切り替えることができるので、ユーザ2にとって利便性の高いシステムとなる。例えば、ユーザ2が切り替え条件を予め定めておいた場合には、ユーザ2が望むタイミングでシーンの切り替えを行うことができる。
また、例えば、照明設備群10には、ユーザ2が知的作業を行う作業領域を照らす第1照明光を出射する第1照明設備(例えば、タスクライト11)と、空間3の全体を照らす第2照明光を出射する第2照明設備(例えば、天井照明12)とが含まれ、制御部110は、集中シーン制御を行う場合に、タスクライト11に照明光11aを出射させ、かつ、天井照明12に照明光12aを出射させ、休憩シーン制御を行う場合に、タスクライト11に照明光11aを出射させず、かつ、天井照明12に照明光12aを出射させる。
また、例えば、集中シーン制御において、照明光12aは、作業領域における照度が照明光11aより低い。
これにより、例えば、集中シーンでは、作業領域を明るくし、その周囲を適度に暗くすることで、周囲からの視覚ノイズ情報が低減されて、知的作業に没入しやすくなる。つまり、ユーザ2の集中度(知的作業への没入感)を高めることができる。一方、休憩シーンでは、天井照明12からの照明光12aの色温度が集中シーンより低くなるので、空間3の広がり感を出し、ユーザ2に心理的開放感を与えることができる。
また、例えば、照明設備群10には、さらに、作業領域とは異なる領域を照らす第3照明光を出射する第3照明設備(例えば、間接照明13)が含まれ、制御部110は、休憩シーンを行う場合に、さらに、間接照明13に照明光13aを出射させる。
これにより、休憩シーンでは、間接照明13によって空間3の広がり感をより大きくすることができる。
また、例えば、制御部110は、休憩シーン制御を行う場合に、集中シーン制御を行う場合よりも照明光の色温度を低くする。
これにより、休憩シーンでは、ユーザ2の覚醒度を低くすることができ、リラックス感を高めることができる。
また、例えば、空調設備群20には、空間3の温度を調整する空調設備(例えば、エアコン21)が含まれ、制御部110は、休憩シーン制御を行う場合に、集中シーン制御を行う場合よりも、エアコン21の設定温度を高くする。
これにより、休憩シーンでは、ユーザ2の集中を緩め、リラックス感を高めることができる。
また、例えば、制御部110は、休憩シーン制御を行う場合に、空間3の温度の上昇率が所定値より低くなるように設定温度を調整する。
これにより、集中シーンから休憩シーンに切り替わった場合に、空間3の温度が急激に増加するのを抑制することができる。したがって、環境の変化にユーザ2をゆっくりと慣らすことができるので、自然に、ユーザ2の覚醒度を低くし、リラックス感を高めることができる。
また、例えば、空調設備群20には、空間3の湿度を調整する空調設備(例えば、エアコン21)が含まれ、制御部110は、休憩シーン制御を行う場合に、集中シーン制御を行う場合よりも、エアコン21の設定湿度を高くする。
これにより、休憩シーンでは、ユーザ2の集中を緩め、リラックス感を高めることができる。
また、例えば、空調設備群20には、空間3内に気流を生成する空調設備(例えば、エアコン21)が含まれ、制御部110は、休憩シーン制御を行う場合に、気流がユーザ2に直接当たらないように、エアコン21を制御する。
これにより、休憩シーンでは、ユーザ2の集中を緩め、リラックス感を高めることができる。
また、例えば、環境制御システム1は、集中シーン制御及び休憩シーン制御の実行履歴を取得し、取得した実行履歴に基づいて、集中シーン制御と休憩シーン制御との切り替えタイミングを示すスケジュール情報131を生成する生成部120を備え、制御部110は、スケジュール情報131が示す切り替えタイミングになったことを条件として、集中シーン制御と休憩シーン制御とを切り替える。
これにより、ユーザ2に知的作業を行う習慣付けを行うことができる。
また、例えば、制御部110は、曜日及び時間帯に基づいて予め定められた切り替えタイミングになったことを条件として、集中シーン制御と休憩シーン制御とを切り替えてもよい。
これにより、ユーザ2に知的作業を行う習慣付けを行うことができる。また、例えば、平日と休日とで異なる条件でシーン制御を切り替えることができるので、ユーザ2の生活リズムに合ったシーン制御を行うことができる。
また、例えば、制御部110は、空間3内におけるユーザ2の存在又は不在が検知されたことを条件として、集中シーン制御と休憩シーン制御とを切り替えてもよい。
これにより、例えば、ユーザ2の存在が検知された場合に集中シーン制御を行うことができるので、ユーザ2が存在するときに確実に集中シーン制御を行うことができる。
また、例えば、本実施の形態に係る環境制御方法は、ユーザ2が知的作業を行うための空間3の環境を制御する環境制御方法であって、空間3内の所定領域を照らす照明光を出射する1以上の照明設備(照明設備群10)と、空間3の空調を行う1以上の空調設備(空調設備群20)とを制御することで、予め定められた1以上のシーンを空間3に形成するためのシーン制御を行う制御ステップを含み、1以上のシーンには、ユーザ2を知的作業に集中させる集中シーンと、ユーザ2の集中を緩和させる休憩シーンとが含まれ、制御ステップでは、所定の条件が満たされた場合に、集中シーンを形成するためのシーン制御である集中シーン制御と、休憩シーンを形成するためのシーン制御である休憩シーン制御とを切り替える。
これにより、ユーザ2が集中しやすいシーンをユーザ2が知的作業を行うための空間3に容易に形成することができる。例えば、集中シーンを空間3に形成することで、ユーザ2の集中度を高めることができる。照明状態だけではなく、空調状態も調整するので、ユーザ2の集中度をより高めることができる。
また、集中シーン制御と休憩シーン制御とを所定の条件が満たされた場合に切り替えるので、例えば、ユーザ2が知的作業を行っていない場合には、休憩シーン制御を実行させることができる。
(変形例)
以下では、上記の実施の形態の変形例について説明する。
上記の実施の形態では、空間3が1つの部屋である例について説明したが、本変形例では、1つの部屋の中に複数の空間3が形成されている場合について説明する。なお、本変形例では、上記の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点についての説明を省略又は簡略化する場合がある。
図8は、本変形例に係る環境制御システム1を適用する空間303a〜303fを模式的に示す斜視図である。
環境制御システム1は、図8に示すように、6つの空間303a〜303fの各々の環境を制御する。空間303a〜303fはそれぞれ、大きな空間301(具体的には、1つの部屋)を仕切り壁(パーティション)306によって分割された空間である。具体的には、空間303a〜303fは、学習室又は図書室などに設けられた個別ブースである。なお、環境制御システム1が環境を制御する対象となる空間の個数は、6つに限らず、複数であればよい。
本変形例に係る環境制御システム1の構成は、上記の実施の形態で説明した通りである(図2及び図3を参照)。本変形例では、環境制御システム1は、1つの空間3の環境ではなく、複数の空間303a〜303fの環境を制御する。具体的には、環境制御システム1は、空間303a〜303fの各々においてシーン制御を行う。すなわち、本変形例では、空間毎に異なるシーン制御を行うことができる。
空間303a〜303fは、個別ブースであるため、ユーザ2が知的作業を開始する時刻が異なることが多い。このため、空間303a〜303fでは、互いに独立して、集中シーン制御と休憩シーン制御とが行われる。具体的には、各空間での集中シーン制御の開始時刻は異なる。
なお、空間303a〜303fは、互いに完全には分離された空間ではなく、一部(上方など)で互いに繋がった空間である。このため、空間303a〜303fの各々の環境は、隣の空間の影響を受ける場合がある。
本変形例では、空間303a〜303fの各々には、作業面305を有する作業台304と、作業面305を照らす照明光を出射するタスクライト11と、仕切り壁306の壁面を照らす照明光を出射する間接照明13とが設けられている。これにより、空間303a〜303fの各々では、タスクライト11と間接照明13とによって個別に照明状態を調節することができる。
一方で、天井照明12は、空間303a〜303fをまとめて照らす照明光を出射するように、天井に設けられている。つまり、本変形例では、天井照明12が出射する照明光12aは、空間303a〜303fの各々の作業面305を略均一に照らす光である。このため、各空間における作業面305での照度、及び、色温度は、互いに略同じになる。なお、天井照明12は、空間303a〜303fの各々を個別に照明してもよい。
また、エアコン21は、空間303a〜303fの温度及び湿度をまとめて調整するように、部屋の壁に設置されている。エアコン21は、供給する気流の向きを変更可能であるので、空間303a〜303fの各々に個別に気流を供給してもよい。
また、図示しないが、空間303a〜303fの各々には、それぞれに対応した個別の空調設備(例えば、卓上扇風機など)が設けられていてもよい。個別の空調設備とは、他の空間の空調状態にはほとんど影響を与えず、設置された空間の空調状態の調整を行うための設備である。
[シーン制御]
以下では、1つの空間に対するシーン制御の具体例について説明する。
<集中シーン制御>
図9A及び図9Bはそれぞれ、本変形例に係る環境制御システム1が行う集中シーン制御の照明状態を模式的に示す上面図及び正面図である。図9A及び図9Bはそれぞれ、空間303a〜303fのうちの1つの空間について示している。
本変形例における集中シーン制御は、例えば、イメージセンサ42などの検知結果に基づいて開始される。例えば、ユーザ2が空間303aに存在するのが検知された場合に、空間303aに対して集中シーン制御が開始される。ユーザ2が存在しない空間303b〜303fに対しては、休憩シーン制御などの他のシーン制御が行われてもよく、あるいは、シーン制御は行われなくてもよい。
集中シーン制御では、設備制御部111は、図9A及び図9Bに示すように、タスクライト11と天井照明12とを点灯させ、間接照明13を消灯する。タスクライト11の照明条件は、例えば、図4で示した通りであり、実施の形態と同様である。
このとき、他の空間では、集中シーン制御が行われている場合もある。このため、設備制御部111は、空間303a〜空間303fをまとめて照明する天井照明12に、例えば、図4に示す休憩シーン制御の制御条件で照明光12aを出射させる。あるいは、設備制御部111は、天井照明12に、集中シーン制御の制御条件と休憩シーン制御の制御条件との中間的な値の照明光12aを出射させてもよい。例えば、設備制御部111は、天井照明12が出射する照明光12aの色温度を4000K〜5000Kとし、作業面305における照度が300lxになるように照明光12aの光出力を調整する。
また、集中シーン制御では、設備制御部111は、実施の形態1と同様に、例えば、エアコン21を制御することで、強度が揺らぐ第1気流21bを供給(生成)させる。設備制御部111は、空間303a〜303fの全てにユーザ2が存在すると想定した場合にその全てのユーザ2に当たらないような方向に向けて、第1気流21bをエアコン21に供給させる。あるいは、空間301の中でのユーザ2の位置をイメージセンサ42などによって検知し、設備制御部111は、検知結果が示すユーザ2の位置を避けるようにエアコン21に第1気流21bを供給させてもよい。これにより、空間301に複数のユーザ2が存在する場合でも、複数のユーザ2の全員に当たらないように第1気流21bを供給することができる。
また、設備制御部111は、例えば、エアコン21、又は、空間303a〜303fの各々に設けられた卓上扇風機(図示せず)などを制御することで、第1期間が経過する度に、第2期間、第2気流21cをユーザ2に当てるように供給させる。設備制御部111は、空間303a〜303fの個々のシーン制御の開始タイミングに応じて、エアコン21に個別に第2気流21cを供給させる。
なお、本変形例では、空間303a〜303fが完全には分離されていないので、各空間の温度及び湿度を個々に調整することが難しい。このため、設備制御部111は、例えば、図4に示す集中シーン制御の制御条件と休憩シーン制御の制御条件との中間的な値になるように、空間303a〜303fの温度及び湿度を調整する。あるいは、空間303a〜303fの各々に湿度調整装置23(例えば、卓上の加湿器)などが設置されている場合など、温度及び湿度を個別に制御できる場合には、設備制御部111は、空間毎に空調を行ってもよい。
<休憩シーン制御>
図10A及び図10Bはそれぞれ、本変形例に係る環境制御システム1が行う休憩シーン制御の照明状態を模式的に示す上面図及び正面図である。図10A及び図10Bはそれぞれ、空間303a〜303fのうちの1つの空間について示している。
休憩シーン制御では、設備制御部111は、図10A及び図10Bに示すように、タスクライト11を消灯し、天井照明12と間接照明13とを点灯させる。間接照明13の照明条件は、例えば、図4で示した通りであり、実施の形態と同様である。あるいは、本変形例では、間接照明13が空間毎の仕切り壁306に設けられており、作業面305に近い位置に位置している。このため、間接照明13は、作業台304の近くで休憩中のユーザ2に近い位置に位置しているので、間接照明13の照射範囲及び照度は、実施の形態の場合に比べて小さくてもよい。
また、本変形例では、天井照明12が空間303a〜303fを個々に照明することができないので、設備制御部111は、天井照明12を制御することで、集中シーン制御の制御条件と休憩シーン制御の制御条件との中間的な値の照明光12aを出射してもよい。具体的には、本変形例では、天井照明12からの照明光12aの照度及び色温度は、集中シーン制御と休憩シーン制御とで同じでもよい。
(その他)
以上、本発明に係る環境制御システム及び環境制御方法などについて、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態では、環境制御システム1の主な動作を制御装置100が行う例について示したが、制御装置100が行う動作は、複数のコンピュータなどを用いて分散して行うこともできる。例えば、制御装置100は、ネットワークを介して接続された複数のコンピュータ(クラウドサーバ)で構成されていてもよい。
また、例えば、制御装置100と操作端末200は、宅内の壁面などに取り付けられたコントローラ(例えば、HEMSコントローラ)などの一体化された1つの装置でもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、制御部110が照明設備群10と空調設備群20とを制御する例について示したが、空間3の環境を変更することができる他の設備を制御してもよい。例えば、制御部110は、電動ブラインドなどの採光設備を制御してもよい。
具体的には、制御部110は、時刻に応じて電動ブラインドの開け閉めを制御し、外部から取り入れる光(外光)の量を調整する。取り入れた外光によって、照明設備群10による照明光を補うことができる。これにより、照明設備群10の光出力を少なくすることができるので、消費電力を削減することができる。
また、上記の各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
なお、本発明は、環境制御システム又は制御装置などとして実現できるだけでなく、環境制御システム又は制御装置の各構成要素が行う処理をステップとして含むプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なDVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体として実現することもできる。
つまり、上述した包括的又は具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。