以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図である。同図には、衛星電波腕時計1の外装(時計ケース)である胴内に配置された文字板2と、時刻を示す指針である時針2a、分針2b、秒針2cが示されている。また、胴の側面には、衛星電波腕時計1のユーザが種々の操作を行うための操作部60である竜頭60a、第1プッシュボタン60b及び第2プッシュボタン60cが配置されている。ここで、竜頭60aは3時側に配置され、第1プッシュボタン60bは2時側に配置され、第2プッシュボタン60cは4時側に配置されている。
衛星電波腕時計1には、文字板2を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が胴に取り付けられている。また、風防の反対側においては裏蓋が胴に取り付けられている。本明細書では、以降、衛星電波腕時計1の風防が配置される方向(図1における紙面手前方向)を表側、裏蓋が配置される方向(図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。
文字板2の裏側には、太陽電池43が配置され、表側から入光した光により発電がなされる。そのため、文字板2はある程度光線を透過する材質で形成される。太陽電池43と重畳しない領域には、衛星電波を受信するためのパッチアンテナが配置される。パッチアンテナは、表側の面が衛星からの電波を受信する受信面となっている。パッチアンテナの受信面、太陽電池43の受光面、文字板2は、互いに平行に設けられており、いずれも表側を向いている。なお、パッチアンテナに代えて、チップアンテナや逆Fアンテナを採用してもよい。
なお、本明細書では、衛星電波腕時計という用語を、腕時計であって、かつ、GPS(Global Positioning System)衛星などの日付や時刻に関する情報(時刻情報)を送信する衛星から当該衛星信号を受信し、それに含まれる時刻情報に基づき、腕時計内部に保持している時刻の情報である内部時刻を修正する機能を有している腕時計を指すものとして用いる。但し、本発明は衛星電波腕時計に限らず、腕時計ではない小型の時計、例えば懐中時計に適用することもできる。また、衛星電波腕時計は、衛星信号に含まれる軌道情報も併せて受信する。なお、衛星電波腕時計が受信する衛星信号を発信する衛星は、GPS衛星以外に運用され、又は将来的に運用が計画されている衛星、例えば、グロナス、ガリレオ、コンパス(北斗)等であってもよい。
GPS衛星から送信される衛星電波は、周波数約1.6GHzの搬送波(L1帯の電波)を位相偏位変調により変調した電波である。衛星電波に符号化される信号は、各GPS衛星に固有の擬似乱数(Pseudo Random Number、PRN)と、時刻情報を含む衛星信号とを重畳した信号である。衛星電波腕時計1は、複数の衛星から送信される複数の衛星電波を受信して、いずれの衛星のPRNとの相関が大きいかを判定することにより、受信された複数の衛星電波それぞれが、いずれの衛星から送信されたものであるかを判別する。本明細書では、このような衛星の判別処理を衛星電波の追尾と呼ぶ。衛星信号には時刻情報が含まれ、時刻情報は、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点とした現在時刻を示すTOW(Time Of Week)と、所定の基準時点から数えて現在が第何週かを示す週番号WNと、を含む。そのため、衛星電波腕時計1は、場合によって、TOWだけを受信することもあれば、TOWと週番号WNとを併せて受信することもある。また、GPS時刻は、協定世界時に対して閏秒に起因するずれがあるため、GPS衛星は、このずれを補正するための閏秒情報も送信している。そのため、時刻情報には、閏秒情報も含まれる。さらに、衛星信号には軌道情報が含まれる。軌道情報は、全衛星の位置情報であるアルマナックと、各衛星の位置情報であるエフェメリスと、を含む。衛星電波腕時計1は、受信した軌道情報及び時刻情報に基づいて、上空を周回する複数のGPS衛星からの距離を算出し、現在位置の緯度、経度及び高度を算出する。また、衛星電波腕時計1は、受信した軌道情報をRAM33に記憶し、記憶された軌道情報及び受信した時刻情報に基づいて現在位置の緯度、経度及び高度を算出する。
図1に示す衛星電波腕時計1の例では、文字板2の周囲に、「OK」の文字である受信成功文字3と、「NG」の文字である受信失敗文字4と、「RX−GPS」の文字である測位文字5と、「RX−TME」の文字である測時文字6とが表されている。受信成功文字3と受信失敗文字4は、秒針2cを用いて、衛星電波腕時計1による受信処理の結果の成否を指し示すためのインデックスである。また、測時文字6は、衛星電波腕時計1により内部時刻修正動作が行われる場合に、秒針2cを用いて、内部時刻修正動作表示を行うためのインデックスである。ここで、内部時刻修正動作は、衛星電波に含まれる時刻情報に基づいて、衛星電波腕時計1の内部時刻を修正する動作である。また、測位文字5は、衛星電波腕時計1により測位情報決定動作が行われる場合に、秒針2cを用いて、測位動作表示を行うためのインデックスである。ここで、測位情報決定動作は、衛星電波に含まれる時刻情報と、衛星電波に含まれる軌道情報又は後述するRAM33に予め記憶された軌道情報と、に基づいて、タイムゾーンを含む測位情報を決定する動作である。測位情報は、現在位置の緯度及び経度に関する情報、現在位置を代表する都市名並びにサマータイムといった情報を含む。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1の文字板2の周囲には、「LON 0」の文字である第1都市7a、「TYO +9」の文字である第2都市7b及び「NYC −5」の文字である第3都市7cが表されている。第1都市7aは、世界協定時のタイムゾーン(UTC+0)に属するロンドンを表している。第2都市7bは、世界協定時から9時間進んだタイムゾーン(UTC+9)に属する東京を表している。また、第3都市7cは、世界協定時から5時間遅れたタイムゾーン(UTC−5)に属するニューヨークを表している。本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、測位情報決定動作により決定された測位情報(都市名及びタイムゾーン)を秒針2cにより指し示す。なお、本実施形態では、第1都市7a等によって都市名及びタイムゾーンを表示しているが、都市名及びタイムゾーンのどちらか一方を表示することとしてもよい。
指針である秒針2cは、通常の計時動作の際には秒を刻む指針であるが、衛星電波の受信結果を表示したり、都市名等の地域情報を表示したりといった複数種類の情報の表示に割り当てられる。本明細書において、地域情報とは、衛星電波に含まれる時刻情報に基づいて決定された測位情報の他、ユーザが手動で設定した現在位置に関する情報を含む情報である。ここで、測位情報には、ユーザが手動で設定した現在位置に関する情報は含まれない。
衛星電波腕時計1のユーザは、第1プッシュボタン60bを数秒間長押しする操作によって、測位動作を指示する。また、第2プッシュボタン60cを数秒間長押しする操作によって内部時刻修正動作を指示する。この場合、第1プッシュボタン60b又は第2プッシュボタン60cを押下することにより、例えば秒を刻んでいた秒針2cが一時的に通常の計時動作を離れ、測位文字5又は測時文字6を指し示す。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1の文字板2の6時側には、「LOW」の文字である第1光量表示文字8a及び「HIGH」の文字である第2光量表示文字8bが表されている。一般に、衛星電波の電波強度は、屋内よりも屋外の方が強い場合が多く、屋外は屋内よりも明るい場合が多い。そのため、本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、パッチアンテナの受信面に照射される光の光量を秒針2cにより指し示すことで、ユーザが衛星電波の受信に適した環境にいるか否かを表す。
なお、衛星電波腕時計1に対して衛星信号の受信処理の実行を指示する方法は上記に限られない。例えば、第1プッシュボタン60bを連続して二度押下することによって測位動作を実行することとしてもよい。あるいは、第1プッシュボタン60b及び第2プッシュボタン60c以外を用いた操作、例えば、竜頭60aの操作によって測位動作又は内部時刻修正動作の指示を行ってもよい。また、衛星電波腕時計にタッチセンサーを設けて当該タッチセンサーの操作によって行ってもよい。その他、光又は磁気を用いた方法により衛星信号の受信処理を指示することとしてもよい。
図1に示した衛星電波腕時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭60a等の有無、数、配置は任意である。また、本実施形態では、指針を時針2a、分針2b、秒針2cの3本としているが、これに限定されず、秒針2cを省略しても、あるいは、曜日、サマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよい。
図2は、衛星電波腕時計1の内部構成を示す構成ブロック図である。同図に示されるように、衛星電波腕時計1は、アンテナ10と、受信回路20と、制御回路30と、二次電池40と、スイッチ42と、太陽電池43と、駆動機構50と、時刻表示部51と、操作部60と、を含んで構成される。
アンテナ10は、時刻情報を含んだ電波として、衛星から送信される衛星電波を受信する。特に本実施形態では、アンテナ10は、GPS衛星から送信される衛星電波を受信するパッチアンテナである。
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星電波を復号して、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21及びデコード回路22を含んで構成されている。アンテナ10及び受信回路20は、時刻情報を含む衛星電波を受信する受信部である。
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。
制御回路30は、マイクロコンピュータ等の情報処理装置であって、演算部31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、RTC(Real Time Clock)34と、モータ駆動回路35と、を含んで構成される。
演算部31は、ROM32に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。本実施形態において演算部31が実行する処理の詳細については、後述する。RAM33は、演算部31のワークメモリとして機能し、演算部31の処理対象となるデータが書き込まれる。特に本実施形態では、受信回路20によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM33内のバッファ領域に順次書き込まれる。RTC34は、衛星電波腕時計1内部での計時に使用されるクロック信号を供給する。本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、演算部31が、RTC34から供給される信号によって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された衛星信号に基づいて修正して、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。さらに、モータ駆動回路35が、この決定された表示時刻に応じて、後述する駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、制御回路30によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
二次電池40は、リチウムイオン電池等であって、太陽電池43によって発電された電力を蓄積する。そして、蓄積された電力を、受信回路20や制御回路30に対して供給する。二次電池40から受信回路20への電力供給路の途中にはスイッチ42が設けられており、このスイッチ42のオン/オフは制御回路30が出力する制御信号によって切り替えられる。制御回路30がスイッチ42のオン/オフを切り替えることで、受信回路20の動作タイミングが制御される。受信回路20は、スイッチ42を介して二次電池40から電力が供給されている間だけ動作し、その間にアンテナ10が受信した衛星電波の復号を行う。
太陽電池43は、文字板2の裏側に配置されており、衛星電波腕時計1に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池40に供給する。
駆動機構50は、前述したモータ駆動回路35から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、秒針2c等の指針を回転させる。時刻表示部51は、指針及び文字板2によって構成される。指針は、時針2a、分針2b及び秒針2cからなり、これらの指針が文字板2上を回転することによって、現在時刻が表示される。後述するように、指針は、複数種類の情報の表示に割り当てられる。
操作部60は、竜頭60a、第1プッシュボタン60b及び第2プッシュボタン60cであって、衛星電波腕時計1のユーザによる操作を受け付けて、その操作内容を制御回路30に対して出力する。制御回路30は、操作部60が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。特に本実施形態では、制御回路30は、ユーザによる操作部60に対する操作入力に応じて、衛星信号の受信処理を行う。
以下、本実施形態において制御回路30の演算部31が実行する処理の具体例について説明する。図3に示すように、演算部31は、ROM32に格納されたプログラムを実行することにより、機能的に、動作指示部310と、測位情報表示制限部311と、動作表示部312と、測位情報決定部313と、測位情報表示部314と、内部時刻修正部315と、受信結果表示部316と、過去表示情報表示部317とを実現する。
動作指示部310は、時刻情報に基づいて、内部時刻を修正する内部時刻修正動作と、時刻情報に基づいて、測位情報を決定する測位情報決定動作と、の少なくともいずれかを指示する。動作指示部310は、時刻修正指示部材である第2プッシュボタン60c及び測位指示部材である第1プッシュボタン60bを含む操作部60により、ユーザから指示を受け付ける。動作指示部310は、操作部60のうち第1プッシュボタン60bが長押しされる場合に、測位情報決定動作を指示し、第2プッシュボタン60cが長押しされる場合に、内部時刻修正動作を指示する。
測位情報表示制限部311は、受信回路20による衛星電波の受信が、衛星電波腕時計1のユーザの指示に基づかないものである場合に、測位情報表示部314による測位情報の表示を制限する。測位情報表示制限部311は、併せて、動作表示部312による動作表示、受信結果表示部316による受信結果の表示、過去表示情報表示部317による過去表示情報の表示を制限してもよい。
動作表示部312は、指針である秒針2cにより、動作指示部310からの内部時刻修正動作の指示に基づいて、時刻修正動作表示を行わせる。時刻修正動作表示は、動作表示部312に含まれる時刻修正動作表示部312aにより、指針である秒針2cが測時文字6を指し示すことで行われる。また、動作表示部312は、指針である秒針2cにより、動作指示部310からの測位情報決定動作の指示に基づいて、測位動作表示を行わせる。測位動作表示は、動作表示部312に含まれる測位動作表示部312bにより、指針である秒針2cが測位文字5を指し示すことで行われる。
測位情報決定部313は、受信回路20により受信された時刻情報及び軌道情報に基づいて、タイムゾーンを含む測位情報を決定する。測位情報表示部314は、衛星電波の受信後に、測位情報決定部313により決定された測位情報を指針である秒針2cにより指し示す。
内部時刻修正部315は、受信回路20により受信された時刻情報に基づいて、内部時刻を修正する。受信結果表示部316は、受信回路20により時刻情報が正しく受信されたか否かを表す受信結果を表示する。受信結果表示部316は、秒針2cにより、受信成功文字3又は受信失敗文字4を指し示すことで、受信結果を表示する。
過去表示情報表示部317は、少なくとも測位情報表示部314による測位情報の表示の前に、過去表示情報を指針である秒針2cにより表示させる。ここで、過去表示情報とは、衛星電波腕時計1の状態に関して過去に表示された情報である。過去表示情報として、例えば、現在設定されているタイムゾーンや当該タイムゾーンを代表する都市名等の地域情報、過去の受信結果等を挙げることができる。
過去表示情報表示部317は、前回受信結果表示部317aと、追加情報表示部317bと、地域情報表示部317dとを含む。前回受信結果表示部317aは、内部時刻修正動作が行われる場合に、秒針2cにより受信成功文字3又は受信失敗文字4を指し示すことにより、前回受信結果を表示する。また、追加情報表示部317bは、地域情報と異なる追加情報を表示する。ここで、追加情報とは、過去表示情報に含まれる情報であって、地域情報と異なる情報である。本実施形態に係る衛星電波腕時計1において、追加情報は、受信部(パッチアンテナ)の受信面に照射される光の光量を表す情報を含む。光量は、光量表示部317cにより表示される。地域情報表示部317dは、少なくとも、過去表示情報として地域情報を表示する。
動作表示部312と、測位情報表示部314と、受信結果表示部316と、過去表示情報表示部317とは、モータ駆動回路35を制御することで、指針である秒針2cにより情報を表示させる。
[測位情報決定動作]
図4は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1に対して測位情報決定動作を指示する場合における、第1プッシュボタン60b(PB1)、受信回路20及び指針(秒針2c)の動作を時間に沿って示す図である。
時刻t0に第1プッシュボタン60bが押下され、時刻t1まで長押しが継続されると、過去表示情報表示部317の地域情報表示部317dは、秒針2cにより、例えば第1都市7aを指し示す等して、過去表示情報として地域情報である現在設定都市の表示を行う。現在設定都市は、過去に測位情報決定部313により決定された測位情報に含まれる都市であるか、又は過去にユーザにより設定された都市である。現在設定都市の表示は、地域情報の表示であって、受信回路20が起動される前に行われる。このような構成を採用することで、ユーザは、現在設定都市を確認した後、第1プッシュボタン60bの押下を解除することで、受信回路20の起動に伴う電力消費を発生させずに現在設定都市を確認することができる。そのため、ユーザは、消費電力を抑えつつ、過去に行われた操作や設定の履歴を知ることができる。なお、地域情報表示部317dによる地域情報の表示(現在設定都市の表示)は、第1プッシュボタン60bが押下された時刻t0から始めてもよい。その場合、衛星電波腕時計1のユーザは、現在設定されているタイムゾーンを待ち時間無く確認することができる。
第1プッシュボタン60bが時刻t2まで長押しされると、受信回路20が起動して衛星電波の追尾を行う準備が始まる。この際、動作指示部310は、測位情報決定部313に対して、測位情報決定動作を指示する。また、動作指示部310は、測位動作表示部312bに対して、測位動作の表示を指示する。
受信回路20が起動した後、時刻t3から受信回路20による衛星電波の受信が始まる。ここで、測位動作表示部312bは、秒針2cを動かし、測位文字5を指し示すことで測位動作が行われていることを表示する。ここで、測位文字5は、測位指示部材(第1プッシュボタン60b)と同じ方向に配置されているため、秒針2cは、第1プッシュボタン60bを向くことになる。図1に示す本実施形態に係る衛星電波腕時計1の場合、測位文字5及び第1プッシュボタン60bは、2時の方向に配置されており、測位動作表示部312bは、測位動作表示の際に、秒針2cを2時方向に向かせる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1の測位動作表示を示す平面図である。同図では、第1プッシュボタン60bの中心線と、秒針2cの中心線と、第2プッシュボタン60cの中心線とを一点鎖線で表している。測位動作表示部312bによる測位動作の表示の際、秒針2cは、測位文字5を指し示す。ここで、秒針2cの中心線は、必ずしも第1プッシュボタン60bの中心線に一致しなくてもよい。秒針2cが第1プッシュボタン60bを向くとは、秒針2cの中心線と第1プッシュボタン60bの中心線との間の角度θ1が、秒針2cの中心線と第2プッシュボタン60cの中心線との間の角度θ2よりも小さいことを意味する。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、測位文字5と測位情報決定動作を指示する測位指示部材(第1プッシュボタン60b)とが同じ方向に配置されて一対一に対応しており、操作方法が直感的に把握できる。また、測位動作の際に、秒針2cが測位文字5及び測位指示部材(第1プッシュボタン60b)の方向を向くことで、測位動作が行われていることを視覚的に把握できる。また、後述する内部時刻修正動作を指示する場合には、秒針2cにより測時文字6が指し示され、内部時刻修正動作及び測位情報決定動作のいずれを指示したかが、視覚的に把握できる。
なお、本実施形態では、測位文字5及び第1プッシュボタン60bを2時の方向に配置し、測時文字6及び第2プッシュボタン60cを4時の方向に配置することで、操作内容と指示部材とが一対一に対応するようにしているが、これ以外の構成を採用することとしてもよい。図6は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る衛星電波腕時計1の外観を示す平面図である。変形例では、測位文字5及び第1プッシュボタン60bを2時の方向に配置し、第2プッシュボタン60cを4時の方向に配置し、測時文字6を10時の方向に配置している。同図では、第2プッシュボタン60cの中心線を一点鎖線で表している。本変形例において、測時文字6は、第2プッシュボタン60cの中心線の延長線上に配置される。このような構成を採用する場合であっても、測時文字6と第2プッシュボタン60cとが、第2プッシュボタン60cの中心線の延長線上に配置されることで、操作内容と指示部材とが一対一に対応することとなり、操作方法が直感的に把握できる。
すなわち、指針である秒針2cは、時刻修正動作表示の際に、指針の軸に関して時刻修正指示部材(第2プッシュボタン60c)と反対を向き、測位動作表示の際に、測位指示部材(第1プッシュボタン60b)を向いてもよい。当然ながら、指針は、時刻修正動作表示の際に、時刻修正指示部材を向き、測位動作表示の際に、指針の軸に関して測位指示部材と反対を向いてもよい。また、指針は、時刻修正動作表示の際に、指針の軸に関して時刻修正指示部材と反対を向き、測位動作表示の際に、指針の軸に関して測位指示部材と反対を向いてもよい。
図4に戻り、受信回路20により衛星電波の受信が開始された後の処理について説明する。衛星電波の受信が行われている間、秒針2cは測位文字5を指し示したまま動かず、時刻t4に受信が終了すると、秒針2cは、測位都市表示を行う。測位都市は、測位情報決定部313により決定された測位情報である。測位情報表示部314は、測位都市を秒針2cにより指し示す。例えば、測位情報決定部313により決定された現在位置の緯度及び経度がUTC−5のタイムゾーンに属する位置を表す場合、測位情報表示部314は、第3都市7cを指し示して、現在位置のタイムゾーンを表示すると共に、当該タイムゾーンの代表都市がニューヨークであることを表示する。なお、測位情報表示部314は、併せてサマータイムの情報を表示してもよい。その後、時刻t5に、秒針2cは通常の時刻表示に復帰する。
仮に、受信回路20により衛星電波の受信を一定時間試みたものの、衛星電波の受信に失敗した場合、秒針2cによって受信失敗文字4を指し示すこととしてもよい。受信失敗文字4の表示を確認することで、衛星電波の受信に失敗したこと、ひいては測位情報の決定が行われなかったことを容易に確認することができる。
また、時刻t1から時刻t3の間に行われる現在設定都市表示の時間t3−t1と、時刻t4から時刻t5の間に行われる測位都市表示の時間t5−t4とは、(t3−t1)>(t5−t4)の関係にあることが望ましい。このような構成を採用することで、衛星電波腕時計1のユーザは、余裕をもって現在設定都市の確認が行え、衛星電波の受信後すぐに現在時刻を確認することができる。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1によれば、衛星電波の受信後にタイムゾーンや都市を含む測位情報が表示され、ユーザは、タイムゾーンが修正されたことや、修正後のタイムゾーンが正しく設定されたことを確認できる。また、ユーザは、測位動作によってタイムゾーンが変化したか否かを視覚的に把握することができる。また、測位情報の表示に秒針2c等の複数種類の情報の表示に割り当てられる指針を用いることで、測位動作表示専用の副針を設けることなく、ユーザに測位情報を示すことができる。
衛星電波腕時計1では、ユーザにより第1プッシュボタン60bが長押しされることにより測位情報決定動作が指示される他、所定時刻になると受信を開始する、いわゆる定時受信等の自動受信によって測位情報決定動作が行われてもよい。その場合、ユーザは必ずしも文字板2を視認するとは限らないため、測位情報表示制限部311は、測位情報表示部314による測位情報の表示を制限する。また、測位情報表示部314は、併せて、動作表示部312による動作表示、受信結果表示部316による受信結果の表示、過去表示情報表示部317による過去表示情報の表示を制限してもよい。このような構成を採用することにより、衛星電波の自動受信が行われる場合に、消費電力が低減される。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1における測位情報決定動作を示すフロー図である。はじめに、第1プッシュボタン60b(PB1)が押下されたか否かが判定される(S1)。第1プッシュボタン60bが押下されなければ測位情報決定動作は指示されず、処理は終了する。
第1プッシュボタン60bが押下された場合であって、押下状態が一定時間維持され、時刻t0を基準として時間t1経過した場合(S2)、過去表示情報表示部317の地域情報表示部317dは、秒針2cにより第1都市7a等を指し示すことによって、地域情報である現在設定都市を表示する(S3)。なお、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t1だけ維持されなかった場合(S2)、第1プッシュボタン60bが押下されているか否かの判定が行われ(S1)、押下されていなければ処理が終了し、通常の計時動作に復帰する。
その後、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持された場合(S4)、受信回路20が起動し、衛星電波の追尾の準備が行われる(S5)。また、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持されなかった場合(S4)、第1プッシュボタン60bが押下されているか否かの判定が行われ(S1)、押下されていなければ処理が終了し、通常の計時動作に復帰する。なお、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持されず(S4)、第1プッシュボタン60bが押下されていない場合であっても(S1)、一定時間経過するまで現在都市表示を維持してユーザに現在設定都市を確認する時間的余裕を与え、その後通常の計時動作に復帰することとしてもよい。この場合、現在都市表示が維持される一定時間を、測位都市表示が行われる時間(t5−t4)よりも長くすることで、余裕をもって現在設定都市の確認が行え、衛星電波の受信後すぐに現在時刻が確認できるようにすることができる。また、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持されず(S4)、第1プッシュボタン60bの押下が解除され(S1)、現在設定都市表示を維持する場合であっても、操作部60の操作(例えば第1プッシュボタン60bの再度の押下)によって、一定時間の経過を待たずに通常の計時動作に復帰することとしてもよい。
受信回路20が起動し、時間t3だけ経過した時に、測位動作表示部312bは、秒針2cにより測位文字5を指し示すことによって、測位動作表示を行う(S6)。そして、受信回路20によって衛星電波の受信が行われる(S7)。
時間t4だけ経過し、衛星電波の受信が終了した場合、測位情報表示部314は、秒針2cにより第1都市7a等を指し示して、測位情報決定部313により決定された測位情報に含まれるタイムゾーン及び都市を表示する(S8)。その後、時間t5だけ経過した場合に、秒針2cは通常の計時動作に復帰して、時刻表示が行われる(S9)。なお、タイムゾーン及び都市の表示がされている間(S8)、操作部60の操作(例えば第1プッシュボタン60bの再度の押下)によって、一定時間の経過を待たずに通常の計時動作に復帰することとしてもよい。
[内部時刻修正動作]
図8は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1に対して内部時刻修正動作を指示する場合における、第2プッシュボタン60c(PB2)、受信回路20及び指針(秒針2c)の動作を時間に沿って示す図である。内部時刻修正動作では、タイムゾーンの修正を伴わない内部時刻の修正が行われる。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、時刻t0に第2プッシュボタン60cが押下され、時刻t1まで長押しされると、過去表示情報表示部317に含まれる前回受信結果表示部317aにより、前回受信結果が表示される。具体的には、秒針2cにより受信成功文字3又は受信失敗文字4を指し示すことで、前回受信結果が表示される。これにより、衛星電波腕時計1のユーザは、衛星電波の受信に先立って前回受信の成否を知ることができ、衛星電波の受信を行う必要があるか否かを判断するための判断材料とすることができる。なお、前回受信結果表示部317aによる前回受信結果の表示は、第2プッシュボタン60cが押下された時刻t0から始めてもよい。その場合、衛星電波腕時計1のユーザは、前回受信結果を待ち時間無く確認することができる。
ここで、内部時刻修正動作において秒針2cにより受信失敗文字4を指し示す場合、「NG」の文字の一方の文字(例えば「G」の文字)を指し示すこととしてもよい。一方、測位情報決定動作において秒針2cにより受信失敗文字4を指し示す場合、「NG」の文字の他方の文字(この場合「N」の文字)を指し示すこととしてもよい。このように、測位情報決定動作と内部時刻修正動作とで、受信失敗文字4を指し示す態様を変えることで、衛星電波腕時計1のユーザは、いずれの動作における受信失敗を表示しているのかを容易に確認することができる。
第2プッシュボタン60cが時刻t2まで長押しされると、受信回路20が起動して衛星電波の追尾を行う準備が始まる。この際、動作指示部310は、内部時刻修正部315に対して、内部時刻修正動作を指示する。また、動作指示部310は、時刻修正動作表示部312aに対して、時刻修正動作表示を指示する。
受信回路20が起動した後、時刻t3から受信回路20による衛星電波の受信が始まる。ここで、時刻修正動作表示部312aは、受信に先立ち、秒針2cを動かし、測時文字6を指し示すことで内部時刻修正動作が行われていることを表示する。ここで、測時文字6は、時刻修正指示部材(第2プッシュボタン60c)と同じ方向に配置されているため、秒針2cは、第2プッシュボタン60cを向くことになる。図1に示す衛星電波腕時計1の場合、測時文字6及び第2プッシュボタン60cは、4時の方向に配置されており、時刻修正動作表示部312aは、時刻修正動作表示の際に、秒針2cを4時方向に向かせる。
時刻修正動作表示部312aによる時刻修正動作表示の際、秒針2cの中心線は、必ずしも第2プッシュボタン60cの中心線に一致しなくてもよい。秒針2cが第2プッシュボタン60cを向くとは、秒針2cの中心線と第2プッシュボタン60cの中心線との間の角度が、秒針2cの中心線と第1プッシュボタン60bの中心線との間の角度よりも小さいことを意味する。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、測時文字6と内部時刻修正動作を指示する時刻修正指示部材(第2プッシュボタン60c)とが同じ方向に配置されており、操作方法が直感的に把握できる。また、内部時刻修正動作の際に、秒針2cが測時文字6及び時刻修正指示部材(第2プッシュボタン60c)の方向を向くことで、内部時刻修正動作が行われていることを視覚的に把握できる。また、内部時刻修正動作及び測位情報決定動作のいずれを指示したかが、視覚的に把握できる。
衛星電波の受信が行われている間、秒針2cは測時文字6を指し示したまま動かず、時刻t4に受信が終了すると、受信結果表示部316は、受信成功文字3又は受信失敗文字4を秒針2cにより指し示すことで、受信結果表示を行う。その後、時刻t5に、秒針2cは内部時刻修正部315により修正された内部時刻に従い、時刻表示に復帰する。
ここで、時刻t1から時刻t3の間に行われる前回受信結果表示の時間t3−t1と、時刻t4から時刻t5の間に行われる受信結果表示の時間t5−t4とは、(t3−t1)>(t5−t4)の関係にあることが望ましい。このような構成を採用することで、衛星電波腕時計1のユーザは、余裕をもって前回受信結果の確認が行え、衛星電波の受信後すぐに現在時刻を確認することができる。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1によれば、内部時刻修正動作において表示される過去表示情報が測位情報決定動作において表示される情報と異なり、内部時刻修正動作及び測位情報決定動作のいずれを指示したかを視覚的に把握することができる。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1における内部時刻修正動作を示すフロー図である。はじめに、第2プッシュボタン60c(PB2)が押下されたか否かが判定される(S40)。第2プッシュボタン60cが押下されなければ内部時刻修正動作は指示されず、処理は終了する。
第2プッシュボタン60cが押下された場合であって、押下状態が一定時間維持され、時刻t0を基準として時間t1経過した場合(S41)、過去表示情報表示部317は、秒針2cにより受信成功文字3等を指し示すことによって、前回受信結果を表示する(S42)。なお、第2プッシュボタン60cの押下状態が時間t1だけ維持されなかった場合(S41)、第2プッシュボタン60cが押下されているか否かの判定が行われ(S40)、押下されていなければ処理が終了し、通常の計時動作に復帰する。
その後、第2プッシュボタン60cの押下状態が時間t2だけ維持された場合(S43)、受信回路20が起動し、衛星電波の追尾の準備が行われる(S44)。また、第2プッシュボタン60cの押下状態が時間t2だけ維持されなかった場合(S43)、第2プッシュボタン60cが押下されているか否かの判定が行われ(S40)、押下されていなければ処理が終了し、通常の計時動作に復帰する。なお、第2プッシュボタン60cの押下状態が時間t2だけ維持されず(S43)、第2プッシュボタン60cが押下されていない場合であっても(S40)、一定時間経過するまで前回受信結果表示を維持してユーザに前回受信結果を確認する時間的余裕を与え、その後通常の計時動作に復帰することとしてもよい。この場合、前回受信結果表示が維持される一定時間を、受信結果表示が行われる時間(t5−t4)よりも長くすることで、余裕をもって前回受信結果の確認が行え、衛星電波の受信後すぐに現在時刻が確認できるようにすることができる。また、第2プッシュボタン60cの押下状態が時間t2だけ維持されず(S43)、第2プッシュボタン60cの押下が解除され(S40)、前回受信結果表示を維持する場合であっても、操作部60の操作(例えば第2プッシュボタン60cの再度の押下)によって、一定時間の経過を待たずに通常の計時動作に復帰することとしてもよい。
受信回路20が起動し、時間t3だけ経過した時に、時刻修正動作表示部312aは、秒針2cにより測時文字6を指し示すことによって、時刻修正動作表示を行う(S45)。そして、受信回路20によって衛星電波の受信が行われる(S46)。
時間t4だけ経過し、衛星電波の受信が終了した場合、受信結果表示部316は、秒針2cにより受信成功文字3等を指し示して、受信結果を表示する(S47)。その後、時間t5だけ経過した場合に、秒針2cは通常の計時動作に復帰して、内部時刻修正部315により修正された内部時刻に従って、時刻表示が行われる(S48)。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1は、測位情報決定動作について第1の実施形態に係る衛星電波腕時計と異なり、内部時刻修正動作については第1の実施形態に係る衛星電波腕時計と同様の動作を行う。そのため、以下では、測位情報決定動作について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1に対して測位情報決定動作を指示する場合における、第1プッシュボタン60b(PB1)、受信回路20及び指針(秒針2c)の動作を時間に沿って示す図である。第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1における測位情報決定動作は、衛星電波の受信前の動作において、追加情報として、受信部(パッチアンテナ)の受信面に照射される光の光量を表示する点で第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1における測位情報決定動作と異なる。一方、衛星電波の受信後の動作については、第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1と同様の動作が行われる。また、第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1の物理的構成は、第1の実施形態に係る衛星電波腕時計1と同様である。
本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、時刻t0に第1プッシュボタン60bが押下され、時刻t1まで長押しされると、過去表示情報表示部317の追加情報表示部317bに含まれる光量表示部317cにより、受信部(パッチアンテナ)の受信面に照射される光の光量を表す情報が表示される。なお、この光量の検出は、太陽電池43の発電量に基づいて行ってもよい。具体的には、光量が十分に多く、衛星電波の受信が良好な環境で行えると判定される場合、秒針2cにより「HIGH」と表された第2光量表示文字8bを指し示し、光量が不足しており、衛星電波の受信が困難であると判定される場合、秒針2cにより「LOW」と表された第1光量表示文字8aを指し示す。中間的な光量である場合、秒針2cにより、第1光量表示文字8aと第2光量表示文字8bの間を指し示す。これにより、衛星電波腕時計1のユーザに対して、衛星電波の電波強度が強い環境に居るか否かを判断するための指標を示すことができ、より電波強度の強い環境に移動するよう促すことができる。なお、光量表示部317cによる光量を表す情報の表示は、第1プッシュボタン60bが押下された時刻t0から始めてもよい。その場合、衛星電波腕時計1のユーザは、電波強度が強い環境に居るか否かを判断するための指標を待ち時間無く確認することができる。
第1プッシュボタン60bの長押しが時刻t2まで維持されると、動作指示部310は、測位情報決定動作を指示し、受信回路20が起動される。その後、時刻t3に、過去表示情報表示部317の地域情報表示部317dは、秒針2cにより第1都市7a等を指し示すことで、地域情報である現在設定都市を表示する。現在設定都市の表示は時刻t4まで維持されるため、ユーザは、測位動作が行われる前に設定されている都市を確実に視認できる。
その後、時刻t4に、測位動作表示部312bは、秒針2cを測位文字5に向けることで、測位動作表示を行い、受信回路20による衛星電波の受信が行われる。時刻t5に衛星電波の受信が終了すると、測位情報表示部314は、測位情報決定部313により決定された測位情報、すなわち現在位置のタイムゾーンと都市名を、秒針2cを第1都市7a等に向けることで表示する。測位都市表示は時刻t6まで維持され、その後、秒針2cは通常の計時動作に復帰し、時刻表示が行われる。
ここで、時刻t1から時刻t3の間に行われる光量表示の時間t3−t1と、時刻t5から時刻t6の間に行われる測位都市表示の時間t6−t5とは、(t3−t1)>(t6−t5)の関係にあることが望ましい。このような構成を採用することで、衛星電波腕時計1のユーザは、余裕をもって電波強度が強い環境に居るか否かを判断でき、衛星電波の受信後すぐに現在時刻を確認することができる。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る衛星電波腕時計1における測位情報決定動作を示すフロー図である。はじめに、第1プッシュボタン60b(PB1)が押下されたか否かが判定される(S20)。第1プッシュボタン60bが押下されなければ測位情報決定動作は指示されず、処理は終了する。
第1プッシュボタン60bが押下された場合であって、押下状態が一定時間維持され、時刻t0を基準として時間t1経過した場合(S21)、過去表示情報表示部317に含まれる光量表示部317cは、秒針2cにより第2光量表示文字8b等を指し示すことによって、受信部の受信面に照射される光の光量を表示する(S22)。なお、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t1だけ維持されなかった場合(S21)、第1プッシュボタン60bが押下されているか否かの判定が行われ(S20)、押下されていなければ処理が終了し、通常の計時動作に復帰する。
その後、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持された場合(S23)、受信回路20が起動し、衛星電波の追尾の準備が行われる(S24)。また、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持されなかった場合(S23)、第1プッシュボタン60bが押下されているか否かの判定が行われ(S20)、押下されていなければ処理が終了し、通常の計時動作に復帰する。なお、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持されず(S23)、第1プッシュボタン60bが押下されていない場合であっても(S20)、一定時間経過するまで光量表示を維持してユーザに光量を確認する時間的余裕を与え、その後通常の計時動作に復帰することとしてもよい。この場合、光量表示が維持される一定時間を、測位都市表示が行われる時間(t6−t5)よりも長くすることで、余裕をもって電波強度が強い環境に居るか否かを判断することができ、衛星電波の受信後すぐに現在時刻が確認できるようにすることができる。また、第1プッシュボタン60bの押下状態が時間t2だけ維持されず(S23)、第1プッシュボタン60bの押下が解除され(S20)、光量表示を維持する場合であっても、操作部60の操作(例えば第1プッシュボタン60bの再度の押下)によって、一定時間の経過を待たずに通常の計時動作に復帰することとしてもよい。
受信回路20が起動し、時間t3だけ経過した時に、過去表示情報表示部317の地域情報表示部317dは、秒針2cにより第1都市7a等を指し示すことによって、地域情報である現在設定都市を表示する(S25)。その後、時間t4だけ経過した時に、測位動作表示部312bは、秒針2cにより測位文字5を指し示すことによって、測位動作表示を行う(S26)。そして、受信回路20によって衛星電波の受信が行われる(S27)。
時間t5だけ経過し、衛星電波の受信が終了した場合、測位情報表示部314は、秒針2cにより第1都市7a等を指し示すことで、測位情報決定部313により決定された測位情報に含まれるタイムゾーン及び都市を表示する(S28)。その後、時間t6だけ経過した場合に、秒針2cは通常の計時動作に復帰して、時刻表示が行われる(S29)。
なお、本発明の実施形態は、以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では、秒針2cにより測位情報を指し示すこととしたが、秒針以外の指針により測位情報を指し示すこととしてもよい。ここで、測位情報を指し示す指針は、衛星電波腕時計の通常動作時には他の情報の表示に割り当てられ、測位情報決定動作の際には測位情報を指し示す。また、内部時刻修正動作と測位情報決定動作とで、情報の表示に用いる指針を変えてもよい。
また、以上の説明では、GPS衛星からの衛星電波を受信することとしたが、GPS衛星の衛星電波に加えて、他の衛星の衛星電波、例えばグロナスの衛星電波を併せて受信することとしてもよい。その場合、GPS衛星による測位動作と、GPS衛星及びグロナス衛星による測位動作とを、区別して指示できるようにしてもよい。例えば、第1プッシュボタン60bを数秒間長押しする操作によってGPS衛星による測位動作を指示し、受信回路20が起動して秒針2cにより測位文字5が指し示されている間に再度第1プッシュボタン60bを押下すると、GPS衛星及びグロナス衛星による測位動作を指示できるようにしてもよい。
ここで、「RX−TME」の文字である測時文字6を2時の方向に配置して、「RX−GPS」という文字である測位文字5をGPS衛星による測位動作を示す文字として4時の方向に配置し、さらに、「RX−GPS+GLONASS」の文字であるGPS衛星及びグロナス衛星による測位動作を示す文字を8時の方向に配置することとしてもよい。その場合、秒針2cにより「RX−GPS」という文字である測位文字5が指し示されている間に再度第1プッシュボタン60bを押下すると、秒針2cにより「RX−GPS+GLONASS」の文字であるGPS衛星及びグロナス衛星による測位動作を示す文字が指し示され、GPS衛星及びグロナス衛星による測位動作が行われていることが視認できるようになる。この場合、2時の方向に配置された測時文字6から、2機程度のGPS衛星から衛星電波を受信していることが直感的に把握され、4時の方向に配置された測位文字5から、4機程度のGPS衛星から衛星電波を受信していることが直感的に把握される。また、8時の方向に配置されたGPS衛星及びグロナス衛星による測位動作を示す文字から、8機程度の衛星から衛星電波を受信していることが直感的に把握される。