JP6770953B2 - 水素化処理油の製造方法及び接触分解油の製造方法 - Google Patents

水素化処理油の製造方法及び接触分解油の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、重質炭化水素油から水素化処理油を得る製造方法、及び、重質炭化水素油から接触分解油を得る製造方法に関する。
これまで日本国内の製油所においては、ガソリン需要への対応及び重質炭化水素油の軽質化推進のため、流動接触分解(FCC)装置が、ガソリン製造における中心的な役割を担っている。また、近年では、重質炭化水素油から付加価値の高い軽質炭化水素油を生産するプロセスとしてのFCC装置の関心も高く、より高い経済性を求め、FCC用原料油として、従来の減圧軽油留分の他、常圧残渣留分等の残渣油を混合した原料油も使用されている。
常圧残渣油の中には、硫黄分や窒素分の他、バナジウムやニッケルといった重金属が含まれるため、FCC装置の前処理となる重油直接脱硫装置に触媒を設置し、高温高圧条件で反応させて、脱金属、脱硫及び脱窒素処理している。
ところで、FCC装置で使用されるFCC触媒には一般的にゼオライトが使用されており、FCC用原料油においては、ゼオライトを被毒する窒素分、とりわけ塩基性窒素分の低減が望まれていた。すなわち、FCC用原料油中の窒素分を低減することが可能となれば、FCC触媒の性能が十分に発揮され、ガソリン製造の効率が向上すると考えられている。しかし、これまでは、重質炭化水素油の直接脱硫装置において脱硫反応が進行すれば、脱窒素反応も進行すると考えられており、特段、脱窒素活性を向上させる技術は無かった。
重質炭化水素油に含まれる窒素分については、低減されることは望まれているものの、これまでは主に硫黄分の低減が目的と考えられ、また、硫黄分を除去する脱硫触媒を保護する役割である脱金属触媒の開発に注意が注がれ続けていた。
例えば、非特許文献1では、リンを含浸担持することにより、脱硫活性及び脱窒素活性の向上が見られる一方、触媒細孔容積が低下し、急速な金属被毒を引き起こして触媒寿命が短くなる傾向にあることが記載されている。
これまで、FCC用原料油の水素化処理方法については多数の報告がなされている。例えば、特許文献1及び2には、比較的高い反応温度で脱硫及び脱窒素処理を行なう第一工程と、より低い反応温度で芳香族二環以上の核水添を行なう第二工程により、減圧軽油や常圧残渣油などを水素化処理してFCC用原料油を得る水素化処理方法が提案されている。
また、特許文献3には、リンを含有する触媒を用いて、脱硫活性及び脱窒素活性を向上させる方法が提案されている。
しかし、実際の直接脱硫装置では、所望の脱硫生成油を得るために生成油の硫黄分を一定とする運転を行っており、脱窒素活性のみを向上させた触媒を使用しない限り、生成油中の窒素分が低減されることは無かった。したがって、上記のような方法で脱硫活性と脱窒素活性が向上した水素化処理触媒を用いても、実運転上、生成油中の窒素分を低減することはできなかった。
特開平8−012978号公報 特開平8−183964号公報 特開2000−351978号公報
J. Japan Petrol. Inst.,23,(2), 110(1980)
上記の事情から、脱硫活性に対して脱窒素活性が高い、いわゆる脱窒素選択性の高い触媒及びそれを用いた水素化処理方法が望まれている。
本発明は、上記従来の状況に鑑み、重質炭化水素油からFCC用原料油として好適に脱硫及び脱窒素された水素化処理油を効率良く得ることのできる、水素化処理油の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記製造方法で得られる水素化処理油をFCC用原料油として用いることで、接触分解油を効率良く得ることのできる、接触分解油の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、重質炭化水素油から、高度に脱硫及び脱窒素されたFCC用原料油を効率良く製造する方法を開発すべく鋭意研究した結果、特定の組成及び特定の平均細孔径を有する水素化処理触媒を使用することで、適切な触媒寿命を維持しつつ、FCC用原料油として好適に脱硫及び脱窒素された水素化処理油を製造できることを発見し、本発明を提案するに至った。
すなわち、本発明の一側面は、以下の水素化処理油の製造方法及び接触分解油の製造方法に関するものである。
(1)重質炭化水素油を水素化処理触媒が充填された反応器に流通させて、水素化処理油を得る工程を備え、前記水素化処理触媒が、リン、鉄族元素、及び第6族元素を含有し、前記水素化処理触媒におけるリンの含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/Cが、モル比で0.60未満であり、前記水素化処理触媒の平均細孔径が、7.5nmより大きく、9.5nmより小さい、水素化処理油の製造方法。
(2)前記水素化処理触媒において、第6族元素の含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/Cが、モル比で0.45未満であり、第6族元素の含有量Cに対するリンの含有量Cの比C/Cが、モル比で0.23より多い、上記(1)に記載の製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載の製造方法によって水素化処理油を得る工程と、前記水素化処理油の流動接触分解によって、接触分解油を得る工程と、を備える、接触分解油の製造方法。
本発明によれば、重質炭化水素油からFCC用原料油として好適に脱硫及び脱窒素された水素化処理油を効率良く得ることのできる、水素化処理油の製造方法が提供される。また、本発明によれば、接触分解油を効率良く得ることのできる、接触分解油の製造方法が提供される。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係る水素化処理油の製造方法は、重質炭化水素油を水素化処理触媒が充填された反応器に流通させて、水素化処理油を得る工程を備える。
本実施形態において、水素化処理触媒はリン、鉄族元素及び第6族元素を含有する。本明細書中、鉄族元素は、周期表の第4周期の第8族、第9族及び第10族の元素に属する金属元素を示し、第6族元素は、周期表の第6族元素に属する金属元素を示す。鉄族元素としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)が挙げられ、第6族元素としては、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)が挙げられる。
本実施形態において、水素化処理触媒におけるリンの含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/C(モル比)は、0.60未満である。また、水素化処理触媒の平均細孔径は、7.5nmより大きく、9.5nmより小さい。
本実施形態に係る製造方法では、重質炭化水素油からFCC用原料油として好適に脱硫及び脱窒素された水素化処理油を効率良く得ることができる。
本実施形態では、水素化処理触媒が特定の金属組成及び特定の平均細孔径を有するため、重質炭化水素の水素化処理において、良好な触媒寿命及び優れた脱窒素活性が得られる。このため、本実施形態に係る製造方法によれば、従来のように生成油硫黄分を一定とした運転においても、脱硫に加えて脱窒素が効率良く進行し、窒素分が十分に低減された水素化処理油を得ることができる。すなわち、本実施形態に係る製造方法では、従来の直接脱硫方法と比較して、FCC用原料油として好適に脱窒素された水素化処理油を、効率良く製造することができる。
<原料油>
本実施形態に係る水素化処理油の製造方法で使用される原料油は、重質炭化水素油であればよい。本明細書中、重質炭化水素油とは、常圧下での沸点が380℃以上の留分を含むものをいう。
重質炭化水素油は、例えば、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、並びにこれらを原料とした溶剤脱れき油及びビスブレーキング油、等であってよい。また、重質炭化水素油は、減圧軽油、流動接触分解装置の残渣油などを含んでいてもよい。
溶剤脱れき油は、例えば、沸点が550℃以上である留分の含有率が70質量%以上の重質炭化水素油であってよい。
溶剤脱れき油の製造方法は特に制限されないが、例えば、炭素数3〜6の鎖状飽和炭化水素を溶剤として用いた溶剤脱れきにより得ることができる。溶剤の具体例としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン及びノルマルヘキサンが挙げられる。溶剤としてはこれらの一種又は複数種を用いてよい。また、溶剤脱れきにおける溶剤としては、炭素数5又は6の鎖状飽和炭化水素を50容量%以上含む溶剤が好適に用いられ、このような溶剤によれば、60容量%以上、あるいは70容量%以上の高い抽出率で溶剤脱れき油が得られる傾向がある。なお、抽出後の残渣は、ピッチ分として分離される。
原料油として使用される重質炭化水素油は、硫黄分の含有量が5.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましい。硫黄分の含有量がこの範囲であれば、得られる水素化処理油中の硫黄分の含有量が十分に低減されるとともに、その後に得られる接触分解油中の硫黄分の含有量も好適に低減される。なお、重質炭化水素油における硫黄分の含有量の下限値は、特に制限されないが、例えば、0.6質量%以上であってよく、0.8質量%以上であってよい。本実施形態に係る製造方法によれば、このような硫黄分の含有量の重質炭化水素油を原料油として用いた場合でも、水素化処理によって十分に脱硫され、水素化処理油中の硫黄分の含有量が十分に低減される。
重質炭化水素油における窒素分の含有量は、例えば0.05質量%以上であってよく、0.07質量%以上であってよい。本実施形態に係る製造方法では、水素化処理触媒が優れた脱窒素活性を有するため、このように窒素分を含む重質炭化水素油を原料油として用いた場合でも、水素化処理によって十分に脱窒素され、水素化処理油中の窒素分の含有量が十分に低減される。また、重質炭化水素油における窒素分の含有量は、例えば0.35質量%以下であってよく、0.30質量%以下であってよい。窒素分の含有量がこの範囲であれば、得られる水素化処理油中の窒素分がより顕著に低減される傾向がある。
重質炭化水素油において、塩基性窒素分の含有量は、例えば0.02質量%以上であってよく、0.03質量%以上であってよい。本実施形態に係る製造方法では、水素化処理触媒が優れた脱窒素活性を有するため、このように塩基性窒素分を含む重質炭化水素油を原料油として用いた場合でも、水素化処理によって十分に脱窒素され、水素化処理油中の塩基性窒素分の含有量が十分に低減される。また、重質炭化水素油における塩基性窒素分の含有量は、例えば0.12質量%以下であってよく、0.10質量%以下であってよい。塩基性窒素分の含有量がこの範囲であれば、得られる水素化処理油中の塩基性窒素分がより顕著に低減される傾向がある。
重質炭化水素油は、ニッケル、バナジウム等の重金属を含んでいてもよい。重質炭化水素油の重金属の含有量は、例えば200質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましい。このような含有量であれば、金属被毒による水素化処理触媒の触媒寿命の低下を十分に抑制することができる。
また、重質炭化水素油において、重金属の含有量は、3質量ppmより多くてもよく、5質量ppm以上であってもよい。重金属を含有する重質炭化水素油を原料油として用いた場合でも、反応器の上流側に脱金属触媒を充填することで、水素化処理触媒の触媒寿命の低下を十分に抑制することができる。なお、脱金属後の重質炭化水素油中の重金属の含有量は、例えば12質量ppm以下であってよく、15質量ppm以下であってもよい。
重質炭化水素油は、アスファルテン分を含んでいてもよい。重質炭化水素油におけるアスファルテン分の含有量は、例えば0.05質量%以上であってよく、2.0質量%以上であってよい。また、重質炭化水素油におけるアスファルテン分の含有量は、例えば3.0質量%以下であってよく、4.0質量%以下であってよい。
本明細書中、重質炭化水素油における硫黄分の含有量は、JIS K2541「原油及び石油製品・硫黄分試験方法」に準拠して求めた値を示す。また、重質炭化水素油における窒素分の含有量は、JIS K2541「原油及び石油製品・窒素分試験方法」に準拠して求めた値を示す。また、重質炭化水素油における塩基性窒素分の含有量は、UOP試験法No.269−90に準拠して測定された値を示す。また、重質炭化水素油における重金属の含有量は、蛍光X線分析法で測定された値を示す。また、重質炭化水素油におけるアスファルテン分の含有量は、ヘプタン不溶解分として、IP143に準拠して測定された値を示す。
<水素化処理触媒>
水素化処理触媒は、リン、鉄族元素及び第6族元素を含有し、水素化処理触媒におけるリンの含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/C(モル比)は、0.60未満である。また、水素化処理触媒の平均細孔径は、7.5nmより大きく、9.5nmより小さい。
水素化処理触媒は、無機酸化物担体と、該無機酸化物担体に担持された活性成分とを含むものであってよい。このとき、活性成分は、リン、鉄族元素及び第6族元素を含む。
無機酸化物担体としては、耐火性無機酸化物担体が好適であり、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、酸化ホウ素、酸化亜鉛、ゼオライト(例えば、Yゼオライト、ZSM−5ゼオライト等)、及びこれらの混合物等が挙げられる。
無機酸化物担体に担持される活性成分は、リン、鉄族元素及び第6族元素以外の成分を含んでいてよく、例えば、白金等を含んでいてよい。
水素化処理触媒は、鉄族元素としてコバルト及び/又はニッケルを含有することが好ましく、ニッケルを含有することがより好ましい。
水素化処理触媒は、第6族金属としてモリブデン及び/又はタングステンを含有することが好ましく、モリブデンを含有することがより好ましい。
水素化処理触媒におけるリンの含有量は、例えば0.1質量%以上であってよく、1.0質量%以上であることが好ましい。また、リンの含有量は、例えば4.0質量%以下であってよく、3.0質量%以下であることが好ましい。
水素化処理触媒における鉄族元素の含有量は、例えば1.0質量%以上であってよく、1.5質量%以上であることが好ましい。また、鉄族元素の含有量は、例えば3.5質量%以下であってよく、3.0質量%以下であることが好ましい。
水素化処理触媒における第6族元素の含有量は、例えば5.0質量%以上であってよく、6.0質量%以上であることが好ましい。また、第6族元素の含有量は、例えば12.0質量%以下であってよく、11.0質量%以下であることが好ましい。
なお、本明細書中、リン、鉄族元素及び第6族元素の含有量は、ICP発光分光法で測定された値を示す。
水素化処理触媒において、リンの含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/C(モル比)は、0.60未満であり、好ましくは0.55未満であり、さらに好ましくは0.53未満である。このような水素化処理触媒は、脱窒素活性が一層向上する傾向がある。また、比C/Cは、好ましくは0.20以上であり、より好ましくは0.25以上である。このような比C/Cを有する水素化処理触媒によれば、脱硫活性が一層向上する傾向がある。
水素化処理触媒において、第6族元素の含有量Cに対するリンの含有量Cの比C/C(モル比)は、0.23より多いことが好ましく、0.40より多いことがより好ましく、0.50より多いことがさらに好ましい。このような水素化処理触媒は、脱窒素活性が一層向上する傾向がある。また、比C/Cは、好ましくは1.5未満であり、より好ましくは1.0未満である。このような水素化処理触媒は、耐金属性が一層向上する傾向がある。
水素化処理触媒において、第6族元素の含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/C(モル比)は、0.45未満であることが好ましく、0.44未満であることがより好ましく、0.42未満であることがさらに好ましい。このような水素化処理触媒では、脱硫活性に対する脱窒素活性の比率(脱窒素選択性)が一層高くなり、高度に脱窒素された水素化処理油がより得られやすくなる傾向がある。
水素化処理触媒の平均細孔径は、7.5nmより大きく、7.6nmより大きいことが好ましく、7.8nmより大きいことがより好ましい。このような水素化処理触媒では、耐金属性能の向上によって、触媒寿命が顕著に向上する傾向がある。
また、水素化処理触媒の平均細孔径は、9.5nm未満であり、好ましくは9.2nm未満であり、さらに好ましくは9.0nm未満である。このような水素化処理触媒では、脱窒素選択性が一層向上して、高度に脱窒素された水素化処理油がより得られやすくなる傾向がある。
なお、本明細書中、水素化処理触媒の平均細孔径は、窒素吸着法で測定された値を示す。
水素化処理触媒の比表面積は、好ましくは150m/g以上、より好ましくは200m/g以上であり、好ましくは350m/g以下、より好ましくは320m/g以下である。このような水素化処理触媒では、十分な脱硫性能と併せて、一層優れた脱窒素活性が得られる傾向にある。
水素化処理触媒としては、新触媒、再生触媒等を特に制限なく使用できる。
<脱金属触媒>
本実施形態に係る水素化処理油の製造方法において、反応器には、上記水素化処理触媒以外の触媒がさらに充填されていてもよい。例えば、原料油として使用される重質炭化水素油が重金属を含有する場合、反応器には、水素化処理触媒より上流側に、脱金属触媒が充填されていてよい。すなわち、反応器は、前段に脱金属触媒が充填され、後段に水素化処理触媒が充填されたものであってよい。
脱金属触媒は、重質炭化水素油中の重金属の少なくとも一部を除去できるものであればよく、特に限定されるものではない。
脱金属触媒の好適な一例としては、無機酸化物担体と、該無機酸化物担体に担持された活性成分とを含むものが挙げられる。無機酸化物担体としては、耐火性無機酸化物担体が好ましく、例えば、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、酸化ホウ素、酸化亜鉛及びこれらの混合物が挙げられる。また、活性成分としては、例えば、モリブデン、タングステン等の第6族元素、コバルト、ニッケル等の鉄族元素などが挙げられる。また、無機酸化物担体は、リンを更に含有していてもよい。
脱金属触媒において、窒素吸着法で測定される平均細孔直径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは12nm以上である。このような脱金属触媒では、より優れた脱金属活性が得られる傾向がある。また、脱金属触媒の平均細孔直径は、好ましくは25nm以下、より好ましくは23nm以下である。このような脱金属触媒では、より優れた水素化処理活性及び触媒強度が得られる傾向がある。
脱金属触媒の細孔容積は、好ましくは0.6mL/g以上、より好ましくは0.65mL/g以上であり、好ましくは1.0mL/g以下、より好ましくは0.9mL/g以下である。このような脱金属触媒では、十分な触媒寿命及び触媒強度が得られ、より安定して運転が可能となる傾向がある。
脱金属触媒としては、新触媒、再生触媒等を特に制限なく使用できる。また、反応器における脱金属触媒の充填割合は、その運転条件及び原料油組成に応じて適宜変更することができる。
反応器には、脱金属触媒及び水素化処理触媒以外の触媒がさらに充填されていてよく、例えば、脱金属活性と脱硫活性とを兼ね備えた中段触媒がさらに充填されていてよい。このような触媒としては公知の種々の触媒を用いることができる。
<反応条件>
本実施形態に係る水素化処理油の製造方法では、重質炭化水素油を水素化処理触媒が充填された反応器に流通させて、重質炭化水素油の水素化処理を行うことにより、水素化処理油が得られる。
水素化処理の反応条件は、目標とする生成油組成(例えば硫黄分の含有量)と反応器に充填した触媒の触媒活性に応じて適宜調整してよい。
例えば、水素化処理の反応温度は300℃以上であってよく、350℃以上であってよい。このような反応温度とすることで、反応器に充填された水素化処理触媒の活性がより顕著に発揮される傾向がある。また、水素化処理の反応温度は、例えば500℃以下であってよく、450℃以下であってよい。このような反応温度とすることで、重質炭化水素油の熱分解が進行しすぎることがなく、水素化処理装置の運転を円滑に行うことができ、また水素化処理触媒の活性劣化を抑制できる。
水素化処理における水素分圧は、例えば3MPa以上であってよく、5MPa以上であってよい。このような水素分圧とすることで、水素化反応が十分に進行し、より高度に脱硫及び脱窒素された水素化処理油が得られる傾向がある。また、水素化処理における水素分圧は、例えば25MPa以下であってよく、20Mpa以下であってよい。このような水素分圧では、装置建設費用及び運転費用の増大が避けられ、経済的に有利となる傾向がある。
水素化処理における水素/油比は、例えば400L/Lであってよく、500L/Lであってよい。このような水素/油比であると、水素化処理触媒の水素化活性がより顕著に発揮される傾向がある。また、水素化処理における水素/油比は、例えば3000L/Lであってよく、1800L/Lであってよい。このような水素/油比とすることで、優れた経済性を確保することができる。
水素化処理における液空間速度(LHSV)は、例えば0.1h−1以上であってよく、0.2h−1以上であってよい。このような液空間速度とすることで、優れた経済性を確保することができる。また、水素化処理における液空間速度は、例えば3.0h−1であってよく、2.0h−1であってよい。このような液空間速度とすることで、より高度に脱硫及び脱窒素された水素化処理油が得られる傾向がある。
<水素化処理油>
本実施形態に係る水素化処理油の製造方法で得られる水素化処理油は、高度に脱硫及び脱窒素されており、FCC用原料油として好適に用いることができる。
水素化処理油中の硫黄分の含有量は、0.15質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることがさらに好ましい。
水素化処理油中の窒素分の含有量は、0.15質量%以下であることが好ましく、0.13質量%以下であることがより好ましい。また、塩基性窒素分の含有量は、0.05質量%以下であることが好ましく、0.04質量%以下であることがより好ましい。
水素化処理油中のニッケル及びバナジウムの含有量は、それぞれ10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。このような水素化処理油であれば、FCCプロセスで用いられる触媒の金属被毒を十分に抑制することができる。
本実施形態に係る製造方法によれば、FCCプロセスに好適な水素化処理油を、効率良く、経済性に優れた方法で、安定して製造することができる。
<FCCプロセス>
本実施形態では、上述の製造方法で得られた水素化処理油をFCC用原料油として用いることで、効率良く接触分解油を得ることができる。すなわち、本実施形態に係る接触分解油の製造方法は、上述の方法で水素化処理油を得る工程と、水素化処理油の流動接触分解によって接触分解油を得る工程と、を備えるものであってよい。
本実施形態に係る接触分解油の製造方法では、上述の製造方法で得られた水素化処理油がFCC用原料油として好適に脱窒素されたものであるため、流動接触分解における触媒劣化が十分に抑制され、効率良く接触分解油を得ることができる。
本実施形態において、流動接触分解の態様は特に制限されず、公知の方法で実施することができる。
本実施形態に係る製造方法で得られた接触分解油は、ガソリン留分、軽油留分、コークス原料、プロピレンやブタジエン等の化学品原料の用途などに好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
次に、本発明について実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<原料油の調製>
以下の実施例及び比較例では、下記組成の常圧残渣油A及び溶剤脱れき油を等容量混合したものを原料油として使用した。
(常圧残渣油A)
常圧残渣油中の硫黄分の含有率:2.9質量%
常圧残渣油中のバナジウムの含有率:40質量ppm
常圧残渣油中のニッケルの含有率:15質量ppm
常圧残渣油中のアスファルテンの含有率:3.0質量%
15℃における常圧残渣油の密度:0.9619g/cm
100℃における常圧残渣油の動粘度:30.5mm/s
常圧残渣油中の残炭分(carbon residue)の含有率:9.0質量%
常圧残渣油中の窒素分の含有率:0.154質量%
常圧残渣油中の塩基性窒素分の含有率:0.052質量%
(溶剤脱れき油)
溶剤脱れき油としては、下記減圧残渣油に対して、炭素数5及び6の炭化水素を90%以上含む炭化水素溶剤を使用して抽出率70%で溶剤脱れきしたものを用いた。溶剤脱れき油の性状は以下のとおりであった。
減圧残渣油中の硫黄分の含有率:4.4質量%
減圧残渣油中のバナジウムの含有率:98質量ppm
減圧残渣油中のニッケルの含有率:30質量ppm
減圧残渣油中のアスファルテンの含有率:10.4質量%
15℃における減圧残渣油の密度:1.0400g/cm
100℃における減圧残渣油の動粘度:461mm/s
減圧残渣油中の残炭分の含有率:24.7質量%
減圧残渣油中の窒素分の含有率:0.38質量%
減圧残渣油中の塩基性窒素分の含有率:0.13質量%
溶剤脱れき油中の硫黄分の含有率:4.2質量%
溶剤脱れき油中のバナジウムの含有率:29質量ppm
溶剤脱れき油中のニッケルの含有率:9質量ppm
溶剤脱れき油中のアスファルテンの含有率:0.2質量%
15℃における溶剤脱れき油の密度:1.0037g/cm
100℃における溶剤脱れき油の動粘度:419mm/s
溶剤脱れき油中の残炭分の含有率:15.5質量%
溶剤脱れき油中の窒素分の含有率:0.182質量%
溶剤脱れき油中の塩基性窒素分の含有率:0.062質量%
<実施例1>
実施例1では、脱金属触媒として、アルミナ担体にモリブデンを2.7質量%(モリブデン元素換算)担持した触媒(脱金属触媒X)(平均細孔直径:18nm、細孔容積:0.87mL/g)を用いた。また、水素化処理触媒として、表1に記載の組成の触媒Aを用いた。なお、表1中、C/Cは、第6族元素の含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比を示し、C/Cは、第6族元素の含有量Cに対するリンの含有量Cの比を示し、C/Cは、リンの含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比を示す。
水素化処理装置のリアクター入口側に脱金属触媒Xを充填し、その後段側に等容量の触媒Aを充填した。この水素化処理装置を用いて、以下の条件で水素化処理を実施した。
水素分圧:14.4Mpa
水素/油比:1000L/L
LHSV:0.44h−1
反応温度を360℃、380℃及び400℃に変化させ、それぞれの条件で得られた水素化処理油について硫黄分、窒素分及び重金属の分析を行い、分析結果に基づいて、脱硫活性(kHDS)、脱窒素活性(kHDN)、及び脱金属活性(kHDM)を求めた。なお、各活性は、反応次数を、脱硫反応は2次、脱窒素反応は1次、脱金属反応は1次として、各反応温度における反応速度定数を算出し、後述の比較例4に対する相対比の平均値として算出した。
また、原料油中の塩基性窒素濃度と、反応温度380℃における水素化処理油中の塩基性窒素濃度とから、塩基性窒素除去率を算出した。また、脱硫活性に対する脱窒素活性の割合(kHDN/kHDS)を、HDN選択性とした。また、水素化処理触媒の触媒寿命の指標として、初期脱硫活性に対して活性が20%に低下するまでの時間を測定し、後述の比較例4に対する相対値を求め、これを相対耐金属性とした。
上記の方法で求めた脱硫活性(kHDS)、脱窒素活性(kHDN)、脱金属活性(kHDM)、塩基性窒素除去率、HDN選択性、及び相対耐金属性を表2に示す。
<実施例2〜4>
水素化処理触媒として触媒Aにかえて表1に記載の触媒B〜Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水素化処理及び得られた水素化処理油の分析を行った。分析結果は表2に示すとおりであった。
<比較例1〜4>
水素化処理触媒として触媒Aにかえて表1に記載の触媒E〜Hを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水素化処理及び得られた水素化処理油の分析を行った。分析結果は表2に示すとおりであった。
Figure 0006770953
Figure 0006770953
実施例と比較例を比較すると、実施例では触媒寿命(相対耐金属性)の大幅な低下を抑制しながら、高い脱窒素選択性及び塩基性窒素除去率が得られた。
<実施例5>
複数の触媒を用いた水素化処理システムを実施して生成油を得た。また、得られた生成油の接触分解反応の反応性を確認するため、生成油についてMAT(Micro Activity Test)試験を実施した。以下に詳細について説明する。
まず、上記脱金属触媒X、アルミナ担体にモリブデン6質量%(モリブデン元素換算)及びニッケル1.5質量%(ニッケル元素換算)を担持した脱金属触媒Y(平均細孔直径18nm、細孔容積:0.80mL/g)、上記脱硫触媒E、上記脱硫触媒H、並びに上記脱硫触媒Aを準備した。また、水素化処理用の原料油として、上記溶剤脱れき油と下記に示す常圧残渣油Bとを54:46(容量比)で混合したものを準備した。
(常圧残渣油B)
常圧残渣油中の硫黄分の含有率:0.92質量%
常圧残渣油中のバナジウムの含有率:11質量ppm
常圧残渣油中のニッケルの含有率:11質量ppm
常圧残渣油中のアスファルテンの含有率:0.2質量%
15℃における常圧残渣油の密度:0.9187g/cm
100℃における常圧残渣油の動粘度:25.2mm/s
常圧残渣油中の残炭分(carbon residue)の含有率:5.1質量%
常圧残渣油中の窒素分の含有率:0.170質量%
常圧残渣油中の塩基性窒素分の含有率:0.057質量%
2塔の反応器を連結した反応装置を準備し、1塔目には入口側から脱金属触媒X及び脱金属触媒Yをこの順に充填し、2塔目には入口側から脱硫触媒E、脱硫触媒H及び脱硫触媒Aをこの順に充填した。触媒の使用量は、X:Y:E:H:A=3:41:11:12:33(容量比)とした。この反応装置を用いて、以下の条件で水素化処理を実施した。なお、反応開始から30日間は、1塔目入口温度は350℃とした。
水素分圧:14.4Mpa
水素/油比:1000L/L
LHSV:0.44h−1
1塔目出口温度=1塔目入口温度+8℃
2塔目入口温度=1塔目入口温度−2℃
2塔目出口温度=2塔目入口温度+20℃
反応開始から30日後、生成油のボトム分(蒸留分離における残渣分、沸点390℃以上の留分)の硫黄分が0.6質量%となるように反応温度を調整したところ、反応温度の平均は364℃であった。生成油の沸点390℃未満の留分をカットし、脱硫油5Aを得た。脱硫油5Aの組成は、表3に示すとおりであった。この脱硫油5Aを、MAT試験に用いた。
MAT試験では、表3に組成を示した減圧軽油と上記脱硫油5Aとを、57:43(質量比)で混合したFCC原料油Aを、原料油として用いた。MAT試験は、以下の条件で実施した。なお、触媒には市販のFCC触媒を用いた。試験結果は表4に示した。
反応温度:530℃
触媒/油比:8.5(重量比)
触媒重量:12g
<比較例5>
反応装置の1塔目に入口側から脱金属触媒X及び脱金属触媒Yをこの順に充填し、2塔目に入口側から脱硫触媒E及び脱硫触媒Hをこの順に充填し、触媒の使用量をX:Y:E:H=22:22:23:33(容量比)としたこと以外は、実施例5と同様にして、水素化処理を実施した。
反応開始から30日後、生成油のボトム分(蒸留分離における残渣分、沸点390℃以上の留分)の硫黄分が0.6質量%となるように反応温度を調整したところ、反応温度の平均は377℃であった。生成油の沸点390℃未満の留分をカットし、脱硫油5Bを得た。脱硫油5Bの組成は、表3に示すとおりであった。この脱硫油5Bを、MAT試験に用いた。
MAT試験では、表3に示した減圧軽油と上記脱硫油5Bとを57:43(質量比)で混合したFCC原料油Bを、原料油として用いた。原料油としてFCC原料油Bを用いたこと以外は、実施例5と同様にして、MAT試験を実施した。試験結果は表4に示した。
<実施例6>
触媒/油比を9.5(従量比)に変更したこと以外は、実施例5と同様にしてMAT試験を実施した。試験結果は表4に示した。
Figure 0006770953
なお、表3中、「密度(15℃)」は15℃における密度を示し、「LCO留分」は沸点221℃以上343℃未満の留分の含有率を示し、「VR留分」は沸点538℃以上の留分の含有率を示す。また、「残留炭素分」、「窒素分」、「塩基性窒素」、「硫黄分」、「Ni」及び「V」はそれぞれ、残留炭素分、窒素分、塩基性窒素、硫黄分、ニッケル及びバナジウムの含有率を示す。また、「平均分子量」は、GPC装置により測定される、炭化水素の分子量数平均値を表す。
Figure 0006770953
なお、表4中、「ドライガス」、「LPG」、「WCCG」、「LCO」、「CLO」及び「COKE」はそれぞれ、炭素数1又は2の炭化水素、炭素数3又は4の炭化水素、炭素数5以上沸点221℃未満の炭化水素、沸点221℃以上343℃未満の炭化水素、沸点343℃以上の液状炭化水素、及び、固体生成物を示す。また、「分解率」は、全生成物からLCO、CLO及びコーク(COKE)を除いた量の割合を示す。
表3に示すとおり、実施例5の水素化処理では、硫黄分が0.6質量%となる反応温度(364℃)が比較例5(377℃)より低かったにも関わらず、塩基性窒素の量が比較例5より低減されている。また、表4に示すとおり、実施例5の接触分解反応では、比較例5と比較してコーク生成量が抑制されている。また、表4に示すとおり、コーク生成量が比較例5と同程度となるよう触媒/原料油比を調整した実施例6では、比較例5と比較して高い分解率が得られている。

Claims (6)

  1. 常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、並びにこれらを原料とした溶剤脱れき油及びビスブレーキング油からなる群より選択される少なくとも一種を含む重質炭化水素油を水素化処理触媒が充填された反応器に流通させて、水素化処理油を得る工程を備え、
    前記水素化処理触媒が、リン、鉄族元素、及び第6族元素を含有し、
    前記水素化処理触媒において、
    リンの含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/Cが、モル比で0.60未満であり、
    第6族元素の含有量Cに対する鉄族元素の含有量Cの比C/Cが、モル比で0.45未満であり、
    第6族元素の含有量Cに対するリンの含有量Cの比C/Cが、モル比で0.78以上であり、
    前記水素化処理触媒の平均細孔径が、7.5nmより大きく、9.5nmより小さい、
    水素化処理油の製造方法。
  2. 前記比C/Cが、モル比で1.5未満である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記比C/Cが、モル比で0.20以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記比C/Cが、モル比で0.53未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 重質炭化水素油を水素化処理触媒が充填された反応器に流通させて、水素化処理油を得る工程を備え、
    前記重質炭化水素油における重金属の含有量が、3質量ppmより多く、200質量ppm以下であり、
    前記水素化処理触媒が、リン、鉄族元素、及び第6族元素を含有し、
    前記水素化処理触媒において、
    リンの含有量C に対する鉄族元素の含有量C の比C /C が、モル比で0.60未満であり、
    第6族元素の含有量C に対する鉄族元素の含有量C の比C /C が、モル比で0.45未満であり、
    第6族元素の含有量C に対するリンの含有量C の比C /C が、モル比で0.78以上であり、
    前記水素化処理触媒の平均細孔径が、7.5nmより大きく、9.5nmより小さい、
    水素化処理油の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法によって水素化処理油を得る工程と、
    前記水素化処理油の流動接触分解によって、接触分解油を得る工程と、
    を備える、接触分解油の製造方法。
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