JP6767067B1 - シャワーヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】散水板の方向を一定に保持した形での組付けを容易に実施できるシャワーヘッドを提供する。【解決手段】 散水板装着部の周方向の所定位置に、吐出開口部に対する散水板の軸線回りの取付け角度位相を定めるための目印部を形成する。散水板の外周縁部に、少なくとも該散水板の第二主表面側に開口する位置決め凹部を形成し、さらにシールリングの散水板の第二主表面に臨む表面に、位置決め凹部と嵌合する位置決め凸部を形成する。シールリングはシールリング装着部に対し、位置決め凸部が目印部に位置合わせされる形で装着される。そして、該位置決め凸部に対し位置決め凹部が嵌合する形で散水板をシールリングに対し装着する。【選択図】 図23

Description

この発明は、シャワーヘッドに関するものである。
浴室等に備え付けられるシャワーヘッドとして、特許文献1には散水板に意匠図案を形成したものが開示されている。このシャワーヘッドにおいては、外周面に雄ねじ部が螺設される筒状の散水板装着部の先端面外周部にシールリングが装着され、散水板はシールリングの上面に重なるよう装着される。そして、雌ねじ部を有するリング状の散水板固定部材を散水板装着部側の雄ねじ部に螺合させることにより、散水板は散水板装着部側の吐出開口部に対し水密に保持されるようになっている。
特開2016−093468号公報 WO2013/011570号公報 特開2003−310468号公報 特開2015−066006号公報
特許文献1のシャワーヘッドに対する散水板の組付けは、散水板を散水板装着部に装着されたシールリングに重ね合わせ、散水板装着部側の雄ねじ部に散水板固定部材側の雌ねじ部を締め込むことにより実施される。このとき、作業上の不注意等により、散水板装着部の吐出開口部の中心軸線回りにおける、散水板の周方向の組付け角度位相がまちまちになっていると、組付けられる散水板の向きもまちまちとなる場合がある。また、散水板固定部材を散水板装着部にねじ込む際に、散水板がシールリング上を滑って散水板固定部材とともに連れ回ると、これも散水板の周方向の組付け角度位相が狂う要因となる。例えば、散水板表面に形成される図案やロゴなどのマーキングの位置が、上記のような回転によりばらつくことは外観の悪化につながる。
また、シャワーヘッドの場合、散水板の取付け方向のバラツキがシャワー水流の体感に影響を及ぼす場合がある。例えば、特許文献1のシャワーヘッドでは、エッチング形成された板厚調整凹部が意匠図案を形成し、その板厚調整凹部による薄肉部に散水孔が各々分散形成されている。吐出水流が板厚調整凹部のエリア別にグループ化されるから、散水板の周方向の組付け角度位相の変動により、グループ化された各エリアの吐出水流の肌等への当たり具合にも変動が生じ、使用感のバラツキにつながる問題がある。
本発明の課題は、散水板の方向を一定に保持した形での組付けを容易に実施できるシャワーヘッドを提供することにある。
本発明のシャワーヘッドは、シャワーホースに連結して使用するものであり、給水開口部及び吐出開口部と、それらの給水開口部及び吐出開口部をつなぐ給水路とを有する中空の本体部と、該本体部の吐出開口部に装着される上記本発明のシャワー用散水板とを備える。また、軸線方向先端側が開口する筒状にて本体部に対し突出形態にて一体形成され、外周面に雄ねじ部が螺設されるベース部と、ベース部の先端面外周部に段付面が形成されるよう、該ベース部の先端面からベース部よりも小径にて同軸的に突出形成され、先端側開口が吐出開口部を形成するシールリング装着部とを有する散水板装着部と、段付き面に当て止めされる形でシールリング装着部の外周面に装着されるシールリングと、両端が開放する筒状に形成され、内周面に散水板装着部の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、内周面の軸線方向先端側には散水板の外径よりも小さい内径の押さえフランジが内向きに延出形成されるとともに、吐出開口部に対し散水板を、該散水板の外周縁部がシールリングの上面に重なるよう装着した状態で、雌ねじ部を雄ねじ部に螺合させることにより散水板装着部に組付けられ、雌ねじ部の螺進力に基づき押さえフランジを介して散水板の外周縁部をシールリングに向けて圧着させることにより、散水板を吐出開口部に対し水密に保持する散水板固定部材とを備える。そして、そして、上記の課題を解決するために、吐出開口部に対する散水板の軸線回りの取付け角度位相を定めるための目印部が、散水板装着部の周方向の所定位置に形成され、散水板の外周縁部には、少なくとも該散水板の第二主表面側に開口する位置決め凹部が形成され、さらにシールリングの散水板の第二主表面に臨む表面には、位置決め凹部と嵌合する位置決め凸部が形成されてなり、シールリングがシールリング装着部に対し位置決め凸部が目印部に位置合わせされる形で装着され、該位置決め凸部に対し位置決め凹部が嵌合する形で散水板がシールリングに対し装着されてなることを特徴とする。
上記本発明のシャワーヘッドの構成によると、散水板装着部の周方向の所定位置には、吐出開口部に対する散水板の軸線回りの取付け角度位相を定めるための目印部が形成される。散水板の外周縁部には、少なくとも該散水板の第二主表面側に開口する位置決め凹部が形成され、さらにシールリングの散水板の第二主表面に臨む表面には、位置決め凹部と嵌合する位置決め凸部が形成される。シールリングはシールリング装着部に対し、位置決め凸部が目印部に位置合わせされる形で装着される。そして、該位置決め凸部に対し位置決め凹部が嵌合する形で散水板をシールリングに対し装着する。
すなわち、散水板の第二主表面と当接するシールリングの表面には位置決め凸部が設けられているので、これを散水板装着部側の目印部に位置合わせする形で組み付けることで、シールリングの位置決め凸部は散水板装着部に対し組付け角度位相を一定に維持することができる。そして、散水板には位置決め凹部が第二主表面に設けられており、これをシールリング側の位置決め凸部と嵌合させつつ散水板をシールリング上に載置し、散水板固定部材を散水板装着部に締め込むことで散水板は、その位置決め凹部がシールリング側の位置決め凸部、ひいては散水板装着部側の目印部と一定の組付け角度位相をなすように組み付けられる。よって、散水板装着部に対する散水板の向きを一定に揃えることができる。また、シールリング上の位置決め凸部と散水板側の位置決め凹部が嵌合することで、散水板がシールリング上を滑って散水板固定部材とともに連れ回る不具合も生じにくくなる。
本発明のシャワーヘッドの一実施形態を示す正面図 図1の側面断面図 図1のテールキャップ内部の構造を拡大して示す正面断面図 水処理ノズルの平面図及び正面断面図 水処理ノズルの変形例を示す正面断面図 図1のシャワーヘッドの散水板装着構造の一例を分解状態で示す側面断面図 図6の組立状態を示す側面断面図 散水板とシールリングの具体例を示す図 散水孔の内周面輪郭形状の具体例を示す断面図 図9の散水孔の内周面輪郭形状の実測例を示すプロファイル画像 図8の散水板の中央領域に形成される散水孔の内周面輪郭形状を示す断面図 図8の散水板における板厚調整凹部と外周マージン幅との関係を示す平面図 図12において、切欠き部に臨む板厚調整凹部と外周マージン幅との関係を示す平面図 散水板を湾曲形状にプレス加工する工程の説明図 板厚調整凹部を無電解エッチングにより形成する工程説明図 散水孔を無電解エッチングにより形成する工程説明図 散水孔の流出側開口の内周縁部形状を例示する断面図 散水孔を電解エッチングにより形成する工程説明図 板厚調整凹部を意匠用エッチング凹部として利用する形態を示す断面図 散水板の外周縁部の形態を複数例示して示す断面図 図1のシャワーヘッドのシャワー水流の形成形態の一例を示す側面図 本体部に形成する目印部の一例を示す説明図 目印部、位置決め凸部及び記位置決め凹部により散水板の方向を位置決めする工程の説明図
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面に基づき説明する。
図1は、本発明のシャワーヘッドの一実施形態を示す全体正面図である。シャワーヘッド1は雄ねじ部からなるホース接続部81tを有し、該ホース接続部81tにて図示しないシャワーホースに連結して使用するものである。図2は図1の側面断面図であり、シャワーヘッド1は、給水開口部81及び吐出開口部1Lと、それらの給水開口部81及び吐出開口部1Lをつなぐ給水路21とを有する中空の本体部50と、該本体部50の吐出開口部1Lに装着されるシャワー用散水板(以下、単に「散水板」ともいう)3とを備える。給水開口部81はホース接続部81tの後端面に開口している。
本体部50は、吐出開口部1Lが形成されるヘッド主部51と、筒状の把手部52と、把手部52に着脱可能に結合されるテールキャップ8とを備える。把手部52は、ヘッド主部51に第一端側が結合されるとともに内部に給水路21の一部をなす把手流路21Aが形成されている。また、把手部52の第二端側には、把手側結合部26が形成されている。把手部52の軸断面形状は、シャワーヘッド1の持ちやすさに配慮して楕円状とされている。一方、テールキャップ8は、内部に給水路21の一部をなすキャップ流路8Aが形成されるとともに給水開口部81が第一端側に開口し、第二端側にて把手側結合部26と着脱可能かつ液密に結合される。
図3に示すように、把手部52の後端部29はテールキャップ8の内側に挿入される円筒状に形成されている。後端部29の中心軸線(O)方向における中間部にはテールキャップ8の内周面との隙間を液密に封じるためのオーリング28がはめ込まれている。把手側結合部26は、オーリング28よりも前端側にて後端部29の外周面から突出する係合凸部からなる。該係合凸部は後端部29の中心軸線回りに複数形成されている。また、テールキャップ8の内周面には、軸線方向のガイド溝27vと、ガイド溝27vの後端部に一体化される周方向の係合溝27cが形成される。把手側結合部26をなす各係合凸部がテールキャップ8側の対応するガイド溝27vにかみ合う角度位相にて、把手部52の後端部29をテールキャップ8の内側に挿入し、係合凸部がガイド溝27vの内面後端縁に当たる位置まで後端部29を押し込む。この状態で、テールキャップ8を把手部52に対し軸線回りに相対回転させると、係合凸部は係合溝27cとかみ合い、把手部52がテールキャップ8と液密に結合された状態となる。
テールキャップ8のキャップ流路8Aには、シャワー水流をキャビテーション処理するための水処理ノズル7が組み込まれている。テールキャップ8からヘッド主部51を取り外して通水を行なえば、ヘッド主部51の圧損がなくなるので、水処理ノズル7を通過したキャビテーション処理済みの水を、より高圧(高速)にてテールキャップ8から直接噴射することができる。これは、浴室内の排水溝などの洗浄に使用すると便利である。
次に、図2に示すように、把手部52の把手流路21Aには、テールキャップ8の把手側結合部26側から添加剤溶出カートリッジ6を軸線方向に挿入配置できるようになっている(添加剤溶出カートリッジ6は、テールキャップ8を取り外した状態で把手流路21Aに挿入される)。添加剤は例えばL−アスコルビン酸等の塩素除去剤、炭酸発生剤あるいは香料などである。添加剤溶出カートリッジ6を把手流路21Aに配置した状態においては、把手流路21Aの内周面と添加剤溶出カートリッジ6の外周面との隙間が水流通路として機能する。
ここで、水流通方向(把手部52の中心軸線Oの方向)にて、テールキャップ8から遠い側を前端側と定めたとき、添加剤溶出カートリッジ6の後端部外面6Rは凸球面状に形成されている。把手流路21A内には、例えばその前端側に段付き面状の位置規制部21Cが形成されている。図2は、この位置規制部21Cに、添加剤溶出カートリッジ6の前端部を当て止めしつつ、把手側結合部26にてテールキャップ8を把手部52に結合したときの状態を示している。添加剤溶出カートリッジ6の後端縁と水処理ノズル7の前端面との距離fは、該水処理ノズル7の前端面の外径よりも小さく設定されている。また、水処理ノズル7の前端面には、凸球面状をなす添加剤溶出カートリッジ6の後端部外面6Rよりも大きい曲率半径の凹球状面76が形成されている。
添加剤溶出カートリッジ6の後端部外面6Rと水処理ノズル7の前端面76とを上記のような寸法関係の球状面とすることで、把手流路21Aの内周面と添加剤溶出カートリッジ6の外周面との間に形成される水流通路に対し、水処理ノズル7からの水流を分配流通させる際の水流抵抗が減じられ、シャワーヘッド1の吐出水量を向上させることができる。また、添加剤溶出カートリッジ6の後端縁を水処理ノズル7により近づけることができ、カートリッジ6の添加剤収容量を増大できる。
図4は、水処理ノズル7の平面図及び縦断面図を示すものである。水処理ノズル7は、給水上流側に流入口を、給水下流側に流出口をそれぞれ開口する水処理通路73が貫通形態に形成された部材本体70と、水処理通路73内に配置され、該水処理通路73を通過する水流をキャビテーション処理するねじ部75とを有する。シャワーヘッド1は、後述の通りキャビテーション効果を発現する散水板3が組み込まれるので、上記のような水処理ノズル7をさらに組み込むことで、水の浸透性改善を促すキャビテーション効果がさらに顕著となり、シャワー水による毛穴等の洗浄効果や肌や髪の保湿性向上の効果をより高めることができる。
図4の水処理ノズル7の基本的な構造は、特許文献2に開示されている気泡発生エンジンとほぼ同様であるので、本実施形態に特有の部分を除き説明は簡略にとどめる。該水処理ノズル7(気泡発生エンジン)は、円柱状の部材本体70の一方の端面に流入口を、他方の端面に流出口をそれぞれ開口する水処理通路73が設けられる。ねじ部75は、スラスト方向が水処理通路73の水流通方向と直交する形態で該水処理通路73内に配置されている。水処理通路73の両端区間には、ねじ部75との接触領域における流速を高めるために、テーパ面73a及び73bがそれぞれ形成されている。また、部材本体70の外周面には、キャップ流路8Aの内周面との隙間を液密に封じるためのオーリング78が配置されている。
図4の水処理ノズル7には、部材本体70の中心軸線に沿って該部材本体70の一方の端面に流入口を、他方の端面に流出口をそれぞれ開口する調整流路72が貫通形成されている。ねじ部75を備えた水処理通路73は部材本体70に対し、調整流路72の周囲に複数個設けられている。特許文献2にも記載されているごとく、調整流路72の断面積(あるいは形成位置や形成個数)を、部材本体70の流入端に供給する水圧に応じて調整することにより、個々の衝突部付流路内の流量及び流速を容易に調整でき、ひいては液体供給圧に応じたキャビテーション処理効率の最適化を容易に図ることができる。
シャワーヘッド1においては、後述のごとく、水流が散水板3を通過する際のキャビテーション効果も加わり、水の浸透性改善に伴う肌や髪への保湿効果はより良好となる。また、洗浄効果も当然に向上するが、皮脂等に対する洗浄効果が過剰になることもありえる。よって、散水板3と水処理ノズル7が連携してもたらされるキャビテーション効果の程度については、水処理ノズル7側でキャビテーション処理の度合いを調整しやすくしておくことが有利である。
特に散水板3としてキャビテーション効果の大きいもの、具体的には散水孔35が後述のごとく0.13≦d1≦0.25を充足するように形成されたものを採用する場合、水処理ノズル7は、図4のように、ねじ部75を省略した形で調整流路72を形成しておくとよい。この構成では、流速が最大となるノズル端面の中央領域に、キャビテーション処理に寄与しない調整流路72が設けられる形となる。よって、調整流路72の周囲の水処理通路73への通水流量(ひいては流速)、ひいてはキャビテーション処理効率の減少方向への調整を、調整流路72の断面積により極めて効果的に行なうことができる。
図4において水処理ノズル7は、円柱状の部材本体70の水流入側となる端面に、複数の水処理通路73の流入口と調整流路72の流入口とのすべてを包含する凹湾曲面状の包括絞り部77を、調整流路72の流入口を凹部底に位置させるように形成されている。これにより、包括絞り部77の底面に開口する調整流路72に水流を効果的に導くことができる。該構成では、調整流路72の断面積を縮小すれば、包括絞り部77による絞り効果により水処理通路73への通水流速をより大きく確保できる一方、調整流路72の断面積を拡大すれば、包括絞り部77により流れは調整流路72により集中し、水処理通路73でのキャビテーション効率をより大きく減少させることができる。よって、調整流路72の断面積による水処理通路73でのキャビテーション効率の調整幅を拡大することができる。なお、図5に示すように、包括絞り部77は省略してもよい。
シャワーヘッド1の本体部50においては、図6(分解状態)及び図7(組立状態)に示すように、散水板装着部56が次のような形態で形成されている。すなわち、軸線(O)方向先端側が開口する筒状にて、外周面に雄ねじ部54が螺設されるベース部53が、本体部50に対し突出形態にて一体形成されている。このベース部53の先端面外周部には、段付面55が形成されるよう、該ベース部53の先端面からベース部53よりも小径のシールリング装着部22が同軸的に突出形成されている。シールリング装着部22の先端側開口は吐出開口部1Lを形成する。また、シールリング装着部22の外周面には、段付面55に当て止めされる形でシールリング5が装着されている。
また、散水板装着部56は、以下の構成の散水板固定部材9を有する。該散水板固定部材9は、両端が開放する筒状(あるいは、リング状)に形成され、内周面に散水板装着部56の雄ねじ部54と螺合する雌ねじ部93を有する。散水板固定部材9の内周面の軸線方向先端側には、散水板3の外径よりも小さい内径の押さえフランジ92が内向きに延出形成される。吐出開口部1Lに対し散水板3は、該散水板3の外周縁部がシールリング5の上面に重なるよう装着される。散水板装着部56は、その雌ねじ部93を雄ねじ部54に螺合させることにより散水板装着部56に組付けられる。散水板固定部材9の雌ねじ部93の螺進力に基づき、散水板3の外周縁部は押さえフランジ92を介してシールリング5に向けて圧着され、散水板3が吐出開口部1Lに対し水密に保持される。
図8は、散水板3の詳細をシールリング5とともに示すものである(シールリングの詳細については後述)。散水板3は、板材本体部31の厚さが0.25mm以上のステンレス鋼板からなる。散水板3の一方の板面には、底面が電気化学的エッチング面とされた板厚調整凹部33が形成される。当該板厚調整凹部33の底面を形成する板材部分は、該板厚調整凹部33の周囲をなす板材本体部31よりも薄肉化されることにより、厚さ0.10mm以上0.23mm以下の薄肉部33Kとされている。
薄肉部33Kには、これを厚さ方向に貫通するとともに、内周面が電気化学的エッチング面とされた散水孔35が複数分散形成されている。図9は、散水孔35の縦断面を拡大して示すものである。薄肉部33Kの厚さをt(mm)、板材本体部31の厚さをta(mm)とし、散水板3の水流流出側となる主表面を第一主表面、これと反対側の主表面を第二主表面と定めている。該散水孔35は、薄肉部33Kの第一主表面に形成される流出側開口101の内径をd1(mm)、薄肉部33Kの第二主表面に形成される流入側開口102の内径をd2(mm)、孔深さ方向にて流出側開口101から内径最小位置までの距離をt0(mm)、当該内径最小位置における散水孔35の内径をd(mm)として、例えば、
0.80≦d1/t≦2.0
0.13≦d1≦0.30、
0.45≦d1/d2≦0.9
t0/t≦0.30
0.8≦d/d1≦1.0
を充足するように、各部の寸法が定められている。
また、散水孔35は、流入側開口102と流出側開口101とを板厚方向に接続する仮想的なテーパ面よりも外向きに膨出する湾曲形態に形成されている。図9には各部の具体的な寸法設定例を合わせて示している。板材本体部31(図8)の厚さtaは0.30mm、流出側開口101の内径d1は0.22mm、流入側開口102の内径d2は0.30mm、内径最小位置での内径dは0.22mm、流出側開口101から内径最小位置までの距離t0は0.01mm未満である。また、d1/d2=0.73、t0/t=0、d/d1=1.0である。
図8及び図19に示すように、散水板3は、水吐出側となる第一主表面に板厚調整凹部33が形成されている。板厚調整凹部33の深さ(すなわち、エッチング深さ)は、0.05mm以上0.23mm以下である。また、本実施形態において薄肉部33Kの第一主表面は、算術平均粗さRaが1.4μm以下、十点平均粗さRzが5μm以下の電気化学的エッチング面である。
板厚調整凹部33の底面、すなわち薄肉部33Kの第一主表面は電気化学的エッチング面であり、その周囲の非エッチング面をなす板材本体部31よりも表面粗さが大きいので平面形状を容易に視認でき、散水板3の吐出面側の意匠性を高めるための、意匠用エッチング凹部として利用される。板材本体部31の表面は、薄肉部33Kよりも平滑な研磨面(例えばバフ研磨面)として形成され、散水板3の吐出面側の意匠性がより高められている。
図8に示すように、板厚調整凹部33は散水板3に対し、板面の中央領域を取り囲む形で周方向に複数断続形成されている(複数の第一板厚調整凹部)。各(第一)板厚調整凹部33の各底部をなす(第一)薄肉部33Kには(第一)散水孔35が各々複数分散形成されている。また、板面の中央領域には、(第一)散水孔35よりも径大の(第二)散水孔34が複数形成されている。これにより、散水板3の中央領域からの水流噴射量及び圧力が高められるので、シャワーヘッド1の水量感が向上する。
また、板面の中央領域には、円状の(第二)板厚調整凹部32(直径:例えば8mm)が形成されている。そして、その底部をなす薄肉部32Kに(第二)散水孔34が複数分散形成されている。さらに、板材本体部31の(第二)板厚調整凹部32と(第一)板厚調整凹部33との間には、(第二)板厚調整凹部32を取り囲む形態で複数の(第三)散水孔36が形成されている。
図8において、散水板3は円板状であり、外径は例えば5cm以上10cm以下、本実施形態では6cmである。板厚調整凹部33は板面上の複数個所に形成され、具体的には散水板3の中心回りに同一平面形状のものが複数個(例えば2〜8)、図8では楕円状の板厚調整凹部33が所定の角度間隔で5個配列している。各板厚調整凹部33は楕円長軸方向が散水板3の半径方向と一致する向きに形成され、長軸寸法が19mm、短軸寸法が12mmである。また、各(第一)板厚調整凹部33に形成される(第一)散水孔35の形成数は106個であり、5つの(第一)板厚調整凹部33による合計形成数は530個である。また、これら散水孔35による合計吐出面積(流出側開口の合計面積)A1は20.1mmである。
また、(第二)板厚調整凹部32に形成される(第二)散水孔34の形成数は9個であり、図11に示す如く、流出側開口の内径d1は0.40mm(中心位置のもののみ、それより小さい0.30mm)である。また、(第三)散水孔36は、その形成数は36個であり、流出側開口の内径d1は0.40mmである。また、これら散水孔34,36による合計吐出面積A2は、約5.6mmである。散水板3の全吐出面積A=A1+A2は25.7mmである。
外径5cm〜10cmの散水板3の場合、シャワー水量確保の観点から、散水孔35の総形成数は500個以上2000個以下とするのがよく、供給水圧が0.05MPa〜0.2MPa確保できる場合は、総吐出流量は5L/分以上15L/分以下となっているのがよい。また、上記の全吐出面積Aは例えば20mm以上40mm以下となっているのがよい。
散水孔34,35,36のうち、キャビテーション効果発現への貢献が特に大きいのは、流出側開口の内径d1が0.30mm未満となる(第一)散水孔35である。よって、散水板3からのキャビテーション効果をより顕著に得たい場合、d1<0.30mmの散水孔35の合計吐出面積A1の全吐出面積Aに対する比率は0.7以上(図8の構成では0.78)に確保されているのがよい。他方、散水板3の中央領域での水量感増大のため、d1≧0.30mmの散水孔34,36の合計吐出面積A2の全吐出面積Aに対する比率を、0.15を超えて増加させる場合(図8の構成では0.22)は、キャビテーション効果を補うために水処理ノズル7を本体部50に組み込むことが特に推奨される。
図12に示すように、薄肉部33Kに形成される複数の散水孔35は、最近接の散水孔35までの外周縁間距離のうち最小となるものを最小外周円間距離(図12では散水板の半径方向にて最も内側に位置する散水孔列の、周方向に隣接する1対のもの)として、該最小外周円間距離cnが0.2mm以上0.7mm以下(本実施形態では0.36mm)に設定されている。本発明の採用により、流出側開口101の内径d1が0.30以下に縮小されているにもかかわらず、吐出水流の直線性と角度安定性は良好なため、散水孔35の最小外周円間距離cnを0.7mm以下に縮小しても吐出水流の合体等を極めて生じにくい。なお、流出側開口101の内径d1の下限値が0.13mmに設定される点に鑑みれば、上記最小外周円間距離cnは0.2mm程度まで縮小するのが限界である。なお、散水孔35の外周縁間距離は、最小外縁間距離は上記のごとく定めるのがよいが、残余のものについては当然、その上限値(0.7mm)以上となっていてもよい。
図12において、薄肉部33Kに形成される複数の散水孔35は、散水板3の中心に向かうほど、散水板3半径方向における孔形成間隔xが小さく設定されている。また、散水板3の中心に向かうほど、散水板周方向における孔形成間隔yが小さく設定されている。これにより、散水板3の中央領域の散水孔35の形成密度が増大し、散水板3中央領域からの水流噴射量及び圧力が高められるので、シャワーヘッド1の水量感が向上する。また、散水孔35はd1<0.30mmのキャビテーション効果が顕著な散水孔であり、上記構成によりキャビテーション効果を損ねることなく中央領域の水量を増加させることにも寄与する。これは、キャビテーション効果に劣るd1≧0.30mmの散水孔の中央領域への形成比率を最小限にとどめる上でも有利となる。
次に、図8に示す如く、散水板3は、中央部が第一主表面側に膨出する凸球面状のプレス加工部材として構成されている。吐出側となる散水板3の第一主表面側を凸球面状となすことで個々の吐出水流は散水板3の半径方向外向きに拡がり、散水板3全体としてのシャワー水流の噴射面積の増大を図ることができる。また、散水孔35を特に高密度に形成する場合、個々の散水孔35からの吐出水流の合体がより生じにくくなる。凸球面の膨出高さは例えば1mm以上3mm以下(図8では2mm)の範囲で設定するのがよい。
なお、散水板3は、板厚調整凹部33により薄肉部33Kが形成され、そこに多数の散水孔35が分散形成される関係上、薄肉部33Kの機械的強度は板材本体部31よりも相対的に低くなる。図14に示すように、散水板3をプレスダイ301中にて、球面状の先端面形状を有する上下のパンチ302,303により挟み付けてプレス加工する場合、散水板3に生ずる面内加工変位は半径方向の外周縁にて最も大きくなる。その結果、薄肉部33Kの外周縁が散水板3の外周縁に極度に近づきすぎ、厚肉の板材本体部31が散水板外周部に形成する外周マージン幅wが不足していると、薄肉部33Kに損傷が生じて散水板3の製造の歩留まり低下が懸念される。特に、図13に示すように、散水板3の外周部に後述の位置決め凹部38が、外周縁に開放する切欠き状に形成されている場合は、該位置決め凹部38の位置では外周マージン幅wがより小さくなっていること、および凹部底への応力集中が大きくなることにより、位置決め凹部38を起点としたクラックCKが発生しやすくなる。また、薄肉部33Kには散水孔35が分散形成されているから、これら散水孔35がミシン目のごとく作用し、クラックCKが複数の散水孔35を経由して伝搬しやすくなる背景もある。
この場合、図12及び図13に示す如く、板厚調整凹部33の形成側にてシャワー用散水板3を平面視したときの、板厚調整凹部33の外周縁からシャワー用散水板3の外周縁までの最近接距離を板材本体部31の外周マージン幅w(mm)とし、当該板厚調整凹部33の底部をなす薄肉部33Kの厚さをt(mm)として、t×wの値が0.43以上となるように外周マージン幅wを確保することが有効である。マージン幅wを上記寸法以上に確保することで、上記のようなプレス加工を行なった場合も内側の薄肉部33Kにクラック等の損傷が生じることが効果的に抑制され、散水板3の製造歩留まりを向上できる。このとき、図20の上に示すように、湾曲面の半径方向終端が板材本体部31の外周側末端まで及んでいることが望ましい。図20下のように、板材本体部31の外周縁部が水平部をなすように曲げ返す形態にプレス加工することは、曲げ変形による薄肉部33Kの外周縁付近にて局所的な曲げ応力が付加され、上記クラックCKが発生しやすくなるため好ましくない。
次に、上記のように意匠図案が形成された散水板3を本体部50に組み付ける際に発生する問題点と、その解決方法について説明する。図8に示すように、散水板3の第一主表面には、板厚調整凹部33が花弁部をなす意匠エッチング部を形成しており、全体として花柄の意匠図案が視認できるようになっている。シャワーヘッド1に対する散水板3の組付けは、意匠図案が形成された散水板3を散水板装着部56に装着されたシールリング5に重ね合わせ、散水板装着部56側の雄ねじ部54に散水板固定部材9側の雌ねじ部93を締め込むことにより実施される。このとき、作業上の不注意等により、散水板装着部56の吐出開口部1Lの中心軸線回りにおける、散水板3の周方向の組付け角度位相がまちまちになっていると、組付けられた散水板3の向きもまちまちとなる。また、散水板固定部材9を散水板装着部56にねじ込む際に、散水板3がシールリング5上を滑って散水板固定部材9とともに連れ回ると、これも散水板3の周方向の組付け角度位相が狂う要因となる。
図8に示すように、散水板3の第一主表面には製品名を示すロゴマーク31Aも刻設されている。例えば、図1に示すようにシャワーヘッド1を、把手部52が下となるように保持し、散水板を正面から目視したとき、散水板3の取付け方向がばらつけば、複数の花弁状の板厚調整凹部33やロゴマークが視認される方向がばらついていることは一目瞭然となる。例えば、販売等のためにシャワーヘッドの製品ロットを取り扱う業者や、同じシャワーヘッドを複数個購入したユーザー等にとっては、シャワーヘッドごとに散水板3の位置がばらついていることは、製品間の外観上のばらつきとしてクローズアップされ、返品理由やクレームの要因にもなりかねない。特に、カタログ等に表示する散水板の正規の組付け方向(例えば、図8の場合は、花弁をなす板厚調整凹部33の1つが真上に位置する方向)に対し、シャワーヘッド実製品の散水板3の向きは極力一致していることが望ましいのである。
また、本実施形態のごとく、板厚調整凹部33による薄肉部33Kに散水孔35が各々分散形成されている場合は、図21に示すように、吐出水流435が板厚調整凹部33のエリア別にグループ化されるから、散水板3の周方向の組付け角度位相の変動により、グループ化された各エリアの吐出水流の肌等への当たり具合にも変動が生じ、使用感のバラツキにもつながる。特に、本実施形態では、エッチング形成された板厚調整凹部33が意匠図案をも形成しており、散水板3の方向のばらつきは、シャワー水流の体感と散水板を視認したときの外観との双方に変動を与えるため、特に好ましくない。
この問題を解決するために、図22に示すように、散水板装着部56の周方向の所定位置には、吐出開口部1Lに対する散水板3の軸線回りの取付け角度位相を定めるための目印部57が形成されている。一方、図8に示すように、散水板3の外周縁部には、少なくとも該散水板3の第二主表面側に開口する位置決め凹部38が形成されている。また、シールリング5の散水板3の第二主表面に臨む表面には、位置決め凹部38と嵌合する位置決め凸部58が形成されている。図22の構成では、目印部57は、把把手部52の中心軸線方向にて、散水板装着部56の開口直径両端位置に各々形成され、図8に示すように、これに対応して散水板3の位置決め凹部38及びシールリング5の位置決め凸部58も、各々直径方向両端に形成されている。
上記構成における散水板3の散水板装着部56への組付けは以下のようにする。すなわち、図23上に示すように、シールリング5をシールリング装着部22に対し、位置決め凸部58が目印部57に位置合わせされる形で装着する。そして、該位置決め凸部58に対し位置決め凹部38が嵌合する形で散水板3をシールリング5に対し装着する。シールリング5の散水板3の第二主表面と当接する表面には位置決め凸部58が設けられているので、これを散水板装着部56側の目印部57に位置合わせする形で組み付けることで、シールリング5の位置決め凸部58は散水板装着部56に対し組付け角度位相を一定に維持することができる。
次に、散水板3には位置決め凹部38が第二主表面に設けられており、これをシールリング5側の位置決め凸部58と嵌合させつつ散水板3をシールリング5上に載置して図23下の状態とする。そして、図7に示すように、散水板固定部材9を散水板装着部56に締め込むことで散水板3は、図23下の状態、すなわち位置決め凹部38がシールリング5側の位置決め凸部58、ひいては散水板装着部56側の目印部57と一定の組付け角度位相をなすように組み付けられる。よって、散水板3上の意匠図案と位置決め凹部38との位置関係が一定であれば、散水板装着部56に対する散水板3の意匠図案の向きを一定に揃えることができる。また、シールリング5上の位置決め凸部58と散水板3側の位置決め凹部38が嵌合することで、散水板3がシールリング5上を滑って散水板固定部材9とともに連れ回る不具合も生じにくくなる。
なお、図22に示すように、本体部50は樹脂材料の射出成型体として形成されており、本体部50の成型に使用される分割金型により散水板装着部56に形成されるパーティングラインが目印部57に流用されている。これにより、本体部50の表面にパーティングラインとは別の目印部をわざわざ形成する必要はなくなる(ただし、突起やノッチなど、そのような目印部を別途設けることももちろん可能である)。また、散水板3の外周縁部に形成される位置決め凹部38は、有底の凹部としてもよいが、本実施形態では、散水板3を貫通するように形成されている。位置決め凹部38が散水板3を貫通して形成されることで、シールリング5側の位置決め凸部58を、散水板3の第二主表面側にて位置決め凹部38に嵌合させる際に、位置決め凸部58が本当に嵌合したかどうかを散水板3の第一主表面側から確認できるので、散水板3の組付け作業の効率化を図ることができる。位置決め凹部38は、具体的には散水板3の外周縁側に開放する切欠き部として形成されている。位置決め凹部38が切欠き部の形態をなすことで、散水板3の外周縁側開口からシールリング5側の位置決め凸部58を挿入する形で容易に嵌合でき、散水板3の組付け作業のさらなる効率化を図ることができる。
以下、本実施形態が採用する散水孔35の形態について、さらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図9に示すように、個々の散水孔35から特に微細な吐出水流を得るために、散水孔35の流出側開口101の内径d1を0.30mm以下に縮小するとともに、流入側開口102の内径d2を流出側開口101の内径d1よりも大きく設定することで、吐出水流の直線性の向上及び角度安定性(複数の散水孔35を電気化学的エッチングにより同時形成した際の、散水孔35間での水流吐出角度のバラツキ度合い)の改善を図ることができる。また、d1≦0.30mmの条件下では、d1<d2とすること以外に、次のような点についての考慮も有効である。
(1)散水孔35形成位置における板厚tが十分に薄肉化されていること。これに対応して、流出側開口101の内径d1は板厚tよりも大きいか、小さい場合も板厚tに比較的近い寸法に調整されていること。
(2)深さ方向にて内径が最小化する位置(内径最小位置)が流出側開口101と一致するか、孔深さの30%以内の距離にて近接し、内径最小位置を通過した水流が速やかに流出側開口101から吐出される構造となっていること。
(3)流出側開口101に近づくほど内周面が湾曲し、流出側開口101の縁部先端が先鋭に突き出た形態となっていること。
上記のような構成を考慮することで、散水孔35の流出側開口101が0.30mm以下に縮小しているにもかかわらず、対応する寸法の微細水流を直線性及び角度安定性を十分に確保した状態で形成でき、心地良い刺激を伴いつつも絹のように柔らかいシャワー水体感を実現できる。また、流出側開口101の縁部TEが孔内側に向け先鋭に突き出ていることで、ここを迂回しつつ通過する水流の速度が局所的に非常に大きくなる結果、水の浸透性改善を促すキャビテーション効果が顕著となり、毛穴等の洗浄効果や、シャワー水を浴びた後の肌や髪の保湿性向上がもたらされる。図10は、図9の散水孔35の内面形状を市販の三次元レーザー形状測定機で測定したときの、断面プロファイルの例である(測定の都合上、図9とは上下関係が反転している)。縦軸及び横軸の数値は各々垂直方向及び水平方向の距離を示し、単位はμmである。散水孔内周面の湾曲形態と、縁部TEが先鋭化している状況が明確に把握できる。
図9に戻り、散水孔35は、ステンレス鋼板への効率的な孔設を可能とするため、内面を電気化学的エッチング面(エッチング液による無電解エッチング面又は電解エッチング面)とされる。電気化学的エッチングを受けたステンレス鋼板表面は、結晶粒マトリックス領域と結晶粒界領域との間で腐食除去の程度が異なるため、鋼板表面は結晶組織を反映した微細構造を呈するものとなり、機械研磨等による除去面とは構造的に明確に区別が可能である。
ここで、流出側開口101の内径d1が0.30mm以下の散水孔35を、吐出水流の直線性と角度安定性を良好に確保しつつ形成するには、散水孔35形成位置におけるステンレス鋼板の板厚(すなわち薄肉部33Kの厚さ)tを0.23mm以下に薄くすることが有効である。この厚さtは、散水孔35の形成深さに直接的に対応するものであり、その値が0.23mmを超えると吐出水流の直線性と角度安定性が損なわれる場合がある。しかし、散水板3全体の板厚を0.23mm以下にすることは強度が不足することにつながり、例えばシャワーヘッド1等に組み付ける際のハンドリング時の変形などが大きな問題となる。よって、本実施形態の散水板3は、板材本体部31の厚さが0.25mm以上のステンレス鋼板を用い、その一方の板面に、底面が電気化学的エッチング面とされた板厚調整凹部33を形成し、その底面をなす板材部分を、散水孔35を形成するための厚さ0.23mm以下の薄肉部33Kとしている。薄肉部33K(板厚調整凹部33)の周囲は、板材本体部31として板厚が0.25mm以上に確保されるので、散水板3の全体としての強度低下を防ぐことができる。
板材本体部31の厚さの上限値は特に制限はないが、材料コストや板厚調整凹部33の形成効率を考慮して例えば0.60mm以下の範囲で調整される。板材本体部31の厚さは、より望ましくは0.28mm以上0.40mm以下であるのがよい。また、薄肉部33Kの厚さtが0.10mm未満になると、薄肉部33Kの強度が極度に不足し、シャワーヘッド1等に組み付ける際のハンドリング時や、散水板3を後述の湾曲形状に加工する際に損傷を受けやすくなる。薄肉部33Kの厚さtは、より望ましくは0.13mm以上0.2mm以下に調整するのがよい。
散水孔35の流出側開口101の内径d1は、通水抵抗の過度の上昇を防止するために、その下限値は0.13mmに定める。流出側開口101の内径d1は、シャワー水流のさらなる微細化と、例えば前述のキャビテーション効果をより顕著化する等の観点から、望ましくは0.25mm以下、より望ましくは0.20mm以下とするのがよい。
また、吐出水流の直線性及び角度安定性のさらなる向上を図るには、流出側開口101の内径d1は板厚tよりも大きいか、小さい場合も板厚tに比較的近い寸法に調整されていることが望ましい。また、d1とtとの比d1/tは、0.80≦d1/t≦2.0に設定するのがよい。
散水孔35の流入側開口102及び流出側開口101の各内径d1,d2(mm)は、d1<d2、具体的には0.45≦d1/d2≦0.9とするのがよい。これにより、散水孔35内の水流は流入側開口102から流出側開口101に向け絞られて高流速化するので、吐出水流の直線性及び角度安定性の向上により有利に作用する。より望ましくは、0.50≦d1/d2≦0.8であるのがよい。
散水孔35内の水流は、散水孔35内径が最小化する位置、すなわち内径最小位置で最も高速となる。孔深さ方向にて流出側開口101から内径最小位置までの距離をt0(mm)として、t0/t≦0.30となるようt0を小さく設定するのがよい。t0/tが0.30を超えると、内径最小位置で高速化して孔軸線方向に流束が揃った水流も、流出側開口101までの区間で再び孔内壁面からの摩擦の影響で再び乱れ、吐出水流の直線性及び角度安定性の確保に支障をきたす場合がある。t0/tの下限値はゼロであり、これは、内径最小位置が流出側開口101の位置と一致していることを意味する。より望ましくはt0/t≦0.20であるのがよい。
また、内径最小位置における散水孔35の内径をd(mm)として、d/d1については0.8≦d/d1≦1.0となるように調整するのがよい。d/d1が0.8未満となることは、内径最小位置から流出側開口101に向けて散水孔35が相当に拡径していることを意味し、その区間にて水流は、拡径による流速低下を生じつつ孔内壁面からの摩擦抵抗の影響を大きく受けるため、内径最小位置にて孔軸線方向に揃った流束が流出側開口101に到達するまでの間に再び乱れ、吐出水流の直線性及び角度安定性に影響する場合がある。d/d1の上限値は、d=d1となる場合に相当する1.0であり、この場合は、内径最小位置が流出側開口101位置と一致しているか(図17左)、または内径最小位置から流出側開口101位置に至る散水孔35内面形状が略円筒面状となる(図17右)。なお、より望ましくは0.9≦d/d1であるのがよい。
なお、孔深さ方向にて流出側開口101から内径最小位置までの距離t0が非常に小さくなった場合、内径最小位置での内径dに対し流出側開口101の内径d1が多少大きく設定されていても、この区間での孔内周面の、周囲の薄肉部33K主表面領域に対する傾斜は非常に小さくなり、該区間での孔内壁面からの摩擦抵抗の影響はほとんど無視できる。また、流出側開口101縁の特定自体も非常に困難となる。よって、本明細書では、t0が0.02mm以下のとき、内径最小位置での内径dと流出側開口101の内径d1とは実質的に等しくなっているものとみなす。
図9に戻り、散水板3は、縦断面形状(散水孔35の中心軸線を含む断面における該散水孔35の内周面輪郭形状)が、流入側開口102と流出側開口101とを板厚方向に接続する仮想的なテーパ面SPよりも外向きに膨出する湾曲形態を呈するものとされている。これにより、散水孔35の内周面は、流出側開口101に近づくほど曲率が増大し、内周縁部TEが孔内向きに先鋭に張り出す形となる。水流は流出側開口101に接近してから急激に絞られるとともに、絞られて高速化した水流は、流出側開口101から速やかに吐出されるので、吐出水流の直線性及び角度安定性の向上に、さらに貢献する。
他方、散水孔35において上記湾曲形態の縦断面形状を採用することにより、吐出水流の直線性及び角度安定性の向上とは全く別の効果として、水の浸透性改善を促すキャビテーション効果が達成されることが重要である。該効果は、d1が0.3mm以下に縮小されて吐出水流が高速化する場合に顕著に発現するもので、流出側開口101部の内周縁部TEが上記湾曲形態により内側に大きくかつ先鋭化して張り出していることで、ここを迂回する際の水流速度が局所的に非常に大きくなる結果、ベルヌーイの原理に由来する負圧発生ポイント、いわゆるキャビテーションポイントとして機能する。特許文献1及び特許文献2に例示されるように、このようなキャビテーション処理を受けた水は、皮膚や肌を構成するたんぱく質基質への浸透性が向上し、シャワー水による洗浄効果や肌や髪の保湿性向上がもたらされることが判明している。その物理学的なメカニズムの詳細は十分解明されているとはいえないが、水流中の溶存空気が微細な気泡核となって大量に析出し、この気泡核が水分子間に介在することで、極性分子である水分子のクーロン相互作用に由来した統計的な集団化が抑制されるためではないかと考えている。
キャビテーションが生じるのは、散水孔35の流出側開口101周縁の限られた領域であり、その幅は水流速に応じて定まる。孔の中心に近い領域ではキャビテーションはほとんど起こらないので、流出側開口101の内径d1が0.3mmよりも大きくなった場合は、孔の軸断面内にてキャビテーション処理の効果が及ぶ領域の体積比率が減じられ、洗浄性や保湿性の向上は十分に期待できなくなる。キャビテーションによる該効果をより顕著なものとするには、流出側開口101の内径d1が望ましくは0.25mm以下、より望ましくは0.2mm以下となっているのがよい。
また、散水孔35の、キャビテーションポイントとなる流出側開口101部の内周縁部は、例えば図10に示すように、薄肉部33Kの厚さをtとして、流出側開口101から散水孔35の深さ方向に0.3t離間した位置における散水孔35の内周輪郭線位置を、該散水孔35を流出側開口101側から平面視したときの基準位置LSとして定め、散水孔35の内周壁部のうち、散水孔35の深さ方向に流出側開口101から0.3tまでの区間をなす部分Kとして規定することができる。上記のように定義される部分の、散水孔35の半径方向への基準位置LSから延出長が15μm以上である場合に、キャビテーション効果ひいては水の浸透性改善は一層顕著なものとなる。
図15及び図16を用い、散水板3の製造方法の具体例について説明する。
まず、図15の工程1にて、ステンレス鋼板2’の一方の板面に板厚調整凹部33に対応する形状の窓部202Aを有する第一エッチングレジスト層201Aを形成する。続いて、工程2にて、ステンレス鋼板の第一エッチングレジスト層201Aを形成した板面にエッチング液を接触させ、板面の窓部202Aに露出する部分を、エッチング深さが0.05mm以上0.23mm以下となるようにエッチング除去して板厚調整凹部33を形成する。これらの工程は、本実施形態では無電解エッチングにより実施しているが、電解エッチングを用いてもよい。ステンレス鋼の電気化学的エッチングに使用するエッチング液は周知であるが、例えば塩化第二鉄やリン酸/硫酸を主剤とするものを用いるのが一般的である。
図16では、板厚調整凹部33の底部をなす薄肉部33Kの第一主表面に、散水孔35の流出側開口101に対応する形状の窓部202Bを有する第二エッチングレジスト層201Bを形成する(工程3)。また、薄肉部33Kの厚さをt(mm)として、薄肉部33Kの第二エッチングレジスト層201Bを形成した第一主表面にエッチング液を接触させ、第一主表面の窓部202Bに露出する部分を、0.05t≦T1≦0.3tとなる第一の深さT1にてエッチング除去することにより流出側エッチング孔35aを形成する(工程4及び工程5)。
さらに、薄肉部33Kの第二主表面に、散水孔35の流入側開口102に対応する形状の窓部202Cを有する第三エッチングレジスト層201Cを形成する(工程3)。また、第三エッチングレジスト層201Cを形成した第二主表面にエッチング液を接触させ、第二主表面の窓部202Cに露出する部分を、薄肉部33Kの厚さをtとして、t−T1<T2<tを満たす第二の深さT2にてエッチング除去することにより流入側エッチング孔35bを形成する(工程4及び工程5)。そして、該流入側エッチング孔35bを流出側エッチング孔35aと連通一体化させることにより散水孔35となす(工程6)。
なお、各エッチングレジスト層に形成する窓部は周知のフォトリソグラフィー工程により形成可能であり、各窓部の寸法は、それらによって形成するべき板厚調整凹部33、流出側開口101及び流入側開口102の形状および寸法に合わせて適宜決定される。
次に、t0/t≦0.30を充足する散水板3を得るようにしたい場合、流出側開口101から内径最小位置までの距離t0の区間は、流出側エッチング孔35aにより形成される。この流出側エッチング孔35aの形成深さを、0.05t≦T1≦0.3tとなる第一の深さT1にて形成する。つまり、流出側開口101側からのエッチング深さである第一の深さT1を、0.3tまでの浅い値に設定する。他方、これと反対側の板面から形成する流入側エッチング孔35bは、t−T1<T2<tを満たす第二の深さT2にて形成する。
流出側開口101及び流入側開口102の内径比d1/d2は0.45≦d1/d2≦0.9の範囲であるのに対し、流出側エッチング孔35aと流入側エッチング孔35bの深さ比T1/T2は、最大でもT1が最大値0.3tとなり、T2が最小値0.7tとなる場合の0.43である。つまり、流出側エッチング孔35aと流入側エッチング孔35bは、深さ比T1/T2が流出側開口101及び流入側開口102の内径比d1/d2よりも小さくなるように形成される。これにより、t0/t≦0.30となるように内径最小位置が流出側開口101に接近した構造の散水板3を合理的に製造することが可能となる。
流出側エッチング孔35aは流出側開口101の内径を規制する働きを担うので、その形成深さである第一の深さT1が0.05t未満では流出側エッチング孔35aが浅くなりすぎ、流入側エッチング孔35bを接続させたときの、流出側開口101の内径規制効果がほとんど得られなくなる。その結果、流出側開口101の寸法のバラツキが著しく増大することにつながる。また、流入側エッチング孔35bの形成深さである第二の深さT2が目標値を過度にオーバーシュートした場合は、流出側開口101を含めて流出側エッチング孔35aはほぼ完全に食いつぶされ、シャワー用散水板3の特徴部である、キャビテーションポイントとなるような流出側開口101の先鋭な内周縁部形状が得られなくなる。
一方、第一の深さT1が0.3tを超えると、流入側エッチング孔35bを流出側エッチング孔35aに接続する位置が、最短でも0.7t未満となる。よって、貫通直後に流入側エッチング孔35bの形成を停止するとt0/t≦0.30を満たす散水孔35が得られなくなるから、流入側エッチング孔35bの形成時間は、t0/t≦0.30を充足させるために、貫通後も相当長時間延長せざるを得ない。すると、貫通後にあっては、流入側エッチング孔35bを形成するためのエッチング液が流出側エッチング孔35a側にも流れ込むので、流出側エッチング孔35aにより内径規制されていた流出側開口101の拡張が著しくなり、流出側開口101寸法のバラツキが著しく増大することにつながる。第一の深さT1はより望ましくはt0/t≦0.20を充足しているのがよい。
次に、第二の深さT2については、流入側エッチング孔35bを流出側エッチング孔35aに接続・貫通させるために、最低でもt−T1に設定する必要がある。一方、第二の深さT2の上限値は、前述のごとく流出側開口101の位置と内径最小位置が孔深さ方向に一致していてもよいから、薄肉部33Kの厚さtに可及的に近く設定されることを妨げない。この場合、図17の左に示すように、流出側開口101の内周縁部TEは、孔深さ方向の幅が非常に小さい、特に先鋭なものとなる。
一方、流入側エッチング孔35bによる流出側開口101の内径規制効果を高める観点から、望ましくはT2≦0.98t、より望ましくはT2≦0.95tに定めるのがよい。この場合は、流出側エッチング孔35aの内周面は、流出側開口101側の端部が残留するので、図17右に示すように、流出側開口101の内周縁部TEはやや平坦化し、孔深さ方向に幅が生じた形状となる。
図16の工程4〜工程6においては、流入側エッチング孔35bと流出側エッチング孔35aは、いずれも無電解エッチングにより形成されている。無電解エッチングでは電気化学反応による腐食速度は、ステンレス鋼の場合はほぼ等方的であり、腐食面の曲率が大きいほど腐食速度は増大する。その結果、エッチングレジスト層の窓部を経由した無電解エッチングの場合、エッチング開始直後は深さ方向への浸食が優位となるが、深さ方向のエッチングが進行すると、凹部底の曲率が大きくなる周縁位置に腐食電位が集中し、最終的には特許文献3及び特許文献4に開示されているごとく、窓部の内径よりも大きい(例えば略2倍程度の)半球面に収束する。
図9の散水板3のごとく、t0/t≦0.3とするには、上記t0の絶対値を縮小するために、流出側開口101の内径に対する相対的なエッチング深さを、特許文献3よりも小さく設定する必要がある。具体的には、無電解エッチングを採用する場合、流出側エッチング孔35aが半球面化する前にエッチングを停止することで、流出側エッチング孔35aの形成深さを開口半径よりも小さくすることが有効である。この場合、流出側エッチング孔35aの形成深さは、開口半径の1/2以下であるのがよい。
例えば、無電解エッチングを採用する場合、エッチング加工時間を流出側エッチング孔35a側にて流入側エッチング孔35b側よりも短く設定する方式を例示できる。ただし、この方式では流出側エッチング孔35aと流入側エッチング孔35bとを、特許文献3のように同時にではなく別々に形成すること、具体的には、流出側エッチング孔35aのみを第一のエッチング時間によりまず形成した後に、流入側エッチング孔35bを第一のエッチング時間よりも長い第二のエッチング時間にて形成する必要が生じする。
図16においては、第二エッチングレジスト層201Bと第三エッチングレジスト層201Cとにそれぞれ形成された窓部202B,202Cに向け、エッチング液FDを同時に噴射することにより上記の無電解エッチングを実施するようにしている。具体的には、工程3において、薄肉部33Kの両面に第二エッチングレジスト層201Bと第三エッチングレジスト層201Cを形成し、工程4及び5にて窓部202B,202Cに向け、噴霧ノズルNZよりエッチング液FDを同時に噴射する工程が採用されている。これにより、散水孔35の穿設に要する工程の大幅な簡略化が実現している。この場合のエッチング時間は、流出側エッチング孔35a側と流入側エッチング孔35b側とで等しくなる。
本実施形態において、エッチング液FDの噴射速度は、第二エッチングレジスト層201B側において第三エッチングレジスト層201C側よりも小さく設定している。エッチング液と接触するエッチング孔の内面には、下地のステンレス鋼からの溶出成分が高濃度化する拡散層が形成され、この拡散層の厚さが大きくなるほどエッチング速度は低下する。よって、エッチング液を噴射流動させながらエッチング孔に噴射することで拡散層の形成が抑制され、エッチング効率が向上する。拡散層の厚さは、腐食面上でのエッチング液の流動速度の平方根に逆比例して小さくなる傾向にあり、第二エッチングレジスト層201B側においてエッチング液FDの噴射速度を小さくすることで、流出側エッチング孔35a側の浸食速度が抑制され、得られる散水孔35においてよく上記t0/tの値を縮小する上で効果的となる。
第二エッチングレジスト層201Bに形成する窓部202B及び第三エッチングレジスト層201Cに形成する窓部202Cの内径は、流出側開口101及び流入側開口102の内径d1及びd2の50%倍以上90%以下程度に設定することが望ましい。このとき、流出側エッチング孔35a及び流入側エッチング孔35bは、いずれも形状が球面に収束する前にエッチングが終了する形となる。結果的に、薄肉部33Kにおける流入側エッチング孔35bひいては散水孔3の内周面の、第二主表面からの立ち上がり角度は球面よりも急峻となり、流出側開口101に近づくにつれて曲率が小さくなる傾向のものが形成されやすくなる。これは、流出側開口101の内周縁部をより先鋭化する上で有利となる。
次に、図18は、流出側エッチング孔35aと流入側エッチング孔35bとを電解エッチングにより形成する例である。図15と同様の工程により板厚調整凹部33を形成し、続いて図18の工程51に進む。ここでは、薄肉部33Kの第一主表面に、散水孔35の流出側開口101に対応する形状の窓部202Bを有する第二エッチングレジスト層201Bを形成する。次の工程52では、第一主表面の窓部202Bに露出する部分を、0.05t≦T1≦0.3tとなる第一の深さT1にて電解エッチングにより除去して流出側エッチング孔35aを形成する。次いで、工程53にて、薄肉部33Kの第二主表面に、散水孔35の流入側開口102に対応する形状の窓部202Cを有する第三エッチングレジスト層201Cを形成する。工程54では、第三エッチングレジスト層201Cを形成した第二主表面にエッチング液を接触させ、第二主表面の窓部202Cに露出する部分を、t−T1<T2<tを満たす第二の深さT2にてエッチング除去することにより流入側エッチング孔35bを形成する。そして、該流入側エッチング孔35bを流出側エッチング孔35aと連通一体化させることにより散水孔が得られる。
電解エッチングはワーク(=散水板3)と対向電極との間の電界勾配に依存してエッチング速度が定まる関係上、凹部内周面の立ち上がり角度が無電解エッチングよりも急峻となる特徴がある。よって、得られる散水孔35の流出側開口101と流入側開口102の内径寸法のバラツキをより小さくすることができる。なお、エッチング深さの小さい流出側エッチング孔35aのみ無電解エッチングにより形成し、流入側エッチング孔35bを電解エッチングで形成することも可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、キャビテーション効果をやや抑制したい場合は、図2において、水処理ノズル7を省略するとよい。
1 シャワーヘッド
1L 吐出開口部
3 シャワー用散水板
5 シールリング
6 添加剤溶出カートリッジ
6R 後端部外面
7 水処理ノズル
8 テールキャップ
8A キャップ流路
9 散水板固定部材
21 給水路
21A 把手流路
21C 位置規制部
22 シールリング装着部
26 把手側結合部
27c 係合溝
27v ガイド溝
28 オーリング
29 後端部
31 板材本体部
32 板厚調整凹部
32K 薄肉部
33 板厚調整凹部
33K 薄肉部
34〜36 散水孔
35a 流出側エッチング孔
35b 流入側エッチング孔
38 位置決め凹部
50 本体部
51 ヘッド主部
52 把手部
53 ベース部
54 雄ねじ部
55 段付面
56 散水板装着部
57 目印部
58 凸部
70 部材本体
72 調整流路
73 水処理通路
73a,73b テーパ面
75 ねじ部
76 凹球状面
77 包括絞り部
78 オーリング
81 給水開口部
81t ホース接続部
92 押さえフランジ
93 雌ねじ部
101 流出側開口
102 流入側開口
201A 第一エッチングレジスト層
201B 第二エッチングレジスト層
201C 第三エッチングレジスト層
202A〜202C 窓部
301 プレスダイ
302,303 パンチ
401 基準枠線
435 吐出水流


Claims (8)

  1. シャワーホースに連結して使用するシャワーヘッドであって、
    給水開口部及び吐出開口部と、該給水開口部及び吐出開口部をつなぐ給水路とを有する中空の本体部と、該本体部の前記吐出開口部に装着されるシャワー用散水板とを備え、
    軸線方向先端側が開口する筒状にて前記本体部に対し突出形態にて一体形成され、外周面に雄ねじ部が螺設されるベース部と、前記ベース部の先端面外周部に段付面が形成されるよう、該ベース部の先端面から前記ベース部よりも小径にて同軸的に突出形成され、先端側開口が前記吐出開口部を形成するシールリング装着部とを有する散水板装着部と、
    前記段付面に当て止めされる形で前記シールリング装着部の外周面に装着されるシールリングと、
    両端が開放する筒状に形成され、内周面に前記散水板装着部の前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、前記内周面の軸線方向先端側には前記散水板の外径よりも小さい内径の押さえフランジが内向きに延出形成されるとともに、前記吐出開口部に対し前記散水板を、該散水板の外周縁部が前記シールリングの上面に重なるよう装着した状態で、前記雌ねじ部を前記雄ねじ部に螺合させることにより前記散水板装着部に組付けられ、前記雌ねじ部の螺進力に基づき前記押さえフランジを介して前記散水板の前記外周縁部を前記シールリングに向けて圧着させることにより、前記散水板を前記吐出開口部に対し水密に保持する散水板固定部材と、を備え、
    前記吐出開口部に対する前記散水板の軸線回りの取付け角度位相を定めるための目印部が、前記散水板装着部の周方向の所定位置に形成され、前記散水板の外周縁部には、少なくとも該散水板の第二主表面側に開口する位置決め凹部が形成され、さらに前記シールリングの前記散水板の第二主表面に臨む表面には、前記位置決め凹部と嵌合する位置決め凸部が形成されてなり、
    前記シールリングが前記シールリング装着部に対し前記位置決め凸部が前記目印部に位置合わせされる形で装着され、該位置決め凸部に対し前記位置決め凹部が嵌合する形で前記散水板が前記シールリングに対し装着されてなることを特徴とするシャワーヘッド。
  2. 前記本体部が樹脂材料の射出成型体として形成され、前記本体部の成型に使用される分割金型により前記散水板装着部に形成されるパーティングラインが前記目印部に流用されてなる請求項1記載のシャワーヘッド。
  3. 前記散水板の外周縁部に形成される前記位置決め凹部は、前記散水板を貫通するように形成されている請求項1又は請求項2に記載のシャワーヘッド。
  4. 前記位置決め凹部は、前記散水板の外周縁側に開放する切欠き部である請求項3記載のシャワーヘッド。
  5. 前記散水板は、エッチング形成された複数の板厚調整凹部が意匠図案を形成し、前記板厚調整凹部の底部をなす薄肉部に前記散水孔が各々分散形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシャワーヘッド。
  6. 給水上流側に流入口を、給水下流側に流出口をそれぞれ開口する水処理通路が貫通形態に形成された部材本体と、前記水処理通路内に配置され、該水処理通路を通過する水流をキャビテーション処理するねじ部とを有し前記給水路に組み込まれる水処理ノズルとを備え、
    前記水処理ノズルは、前記部材本体の中心軸線に沿って該部材本体の一方の端面に流入口を、他方の端面に流出口をそれぞれ開口する調整流路が貫通形成されるとともに、前記ねじ部を備えた前記水処理通路が前記部材本体に対し、前記調整流路の周囲に複数個設けられ、
    前記水処理ノズルは、前記調整流路が前記ねじ部を省略した形で形成されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のシャワーヘッド。
  7. 前記水処理ノズルは、円柱状の前記部材本体の水流入側となる端面に、複数の前記水処理通路の流入口と前記調整流路の流入口とのすべてを包含する凹湾曲面状の包括絞り部が、前記調整流路の流入口を凹部底に位置させるように形成されている請求項6記載のシャワーヘッド。
  8. 前記本体部は、前記吐出開口部が形成されるヘッド主部と、該ヘッド主部に第一端側が結合されるとともに内部に前記給水路の一部をなす把手流路が形成され、第二端側に把手側結合部が形成される筒状の把手部と、内部に前記給水路の一部をなすキャップ流路が形成されるとともに前記給水開口部が第一端側に開口し、第二端側にて前記把手側結合部と着脱可能かつ液密に結合されるテールキャップとを備え、前記水処理ノズルが前記テールキャップの前記キャップ流路に組み込まれるとともに、
    前記把手部の前記把手流路には、前記テールキャップを取り外した状態で前記把手側結合部側から添加剤溶出カートリッジが軸線方向に挿入配置可能とされ、
    前記添加剤溶出カートリッジは前記把手流路に配置した状態で前記把手流路の内周面と前記添加剤溶出カートリッジの外周面との隙間が水流通路として機能するとともに、水流通方向にて前記テールキャップから遠い側を前端側と定めたとき、前記添加剤溶出カートリッジの後端部外面が凸球面状に形成されるとともに、前記把手流路内に形成された位置規制部に前記添加剤溶出カートリッジの前端部を当て止めした状態で前記テールキャップを前記把手部に結合したとき、前記添加剤溶出カートリッジの後端縁と前記水処理ノズルの前端面との距離が、該水処理ノズルの前端面の外径よりも小さく設定され、
    さらに、前記水処理ノズルの前端面には、凸球面状をなす前記添加剤溶出カートリッジの後端部外面よりも大きい曲率半径の凹球状面が形成されている請求項6又は請求項7に記載のシャワーヘッド。
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