以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、3次元のグローバル座標系を設定して各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。所定面はXY平面を含む。
第1実施形態.
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る視機能検査装置100の一例を模式的に示す斜視図である。視機能検査装置100は、被験者の視機能の異常を検査する。視機能の異常は、斜視又は弱視を含む。以下の説明においては、視機能検査装置100により被験者の斜視が検査される例について説明する。
[視機能検査装置の概要]
図1に示すように、視機能検査装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、光源103とを備える。
表示装置101は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)又は有機ELディスプレイ(OELD:organic electroluminescence display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。
本実施形態において、表示装置101の表示画面101Sは、XY平面と実質的に平行である。X軸方向は表示画面101Sの左右方向であり、Y軸方向は表示画面101Sの上下方向であり、Z軸方向は表示画面101Sと直交する奥行方向である。
ステレオカメラ装置102は、被験者を撮影して被験者の画像データを取得する。ステレオカメラ装置102は、異なる位置に配置された第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを有する。ステレオカメラ装置102は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102BとはX軸方向に配置される。第1カメラ102Aは、第2カメラ102Bよりも−X方向に配置される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bはそれぞれ、赤外線カメラを含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。
光源103は、検出光を射出する。光源103は、異なる位置に配置された第1光源103A及び第2光源103Bを含む。光源103は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1光源103Aと第2光源103BとはX軸方向に配置される。第1光源103Aは、第1カメラ102Aよりも−X方向に配置される。第2光源103Bは、第2カメラ102Bよりも+X方向に配置される。第1光源103A及び第2光源103Bはそれぞれ、LED(light emitting diode)光源を含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を射出可能である。なお、第1光源103A及び第2光源103Bは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置されてもよい。
図2は、本実施形態に係る表示装置101とステレオカメラ装置102と光源103と被験者の眼111との位置関係を模式的に示す図である。被験者の眼111は、被験者の右眼111R及び左眼111Lを含む。
光源103は、検出光である赤外光を射出して、被験者の眼111を照明する。ステレオカメラ装置102は、第1光源103Aから射出された検出光が眼111に照射されたときに第2カメラ102Bで眼111を撮影し、第2光源103Bから射出された検出光が眼111に照射されたときに第1カメラ102Aで眼111を撮影する。
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方からフレーム同期信号が出力される。第1光源103A及び第2光源103Bは、フレーム同期信号に基づいて検出光を射出する。第1カメラ102Aは、第2光源103Bから射出された検出光が眼111に照射されたときに、眼111の画像データを取得する。第2カメラ102Bは、第1光源103Aから射出された検出光が眼111に照射されたときに、眼111の画像データを取得する。
眼111に検出光が照射されると、検出光の一部は瞳孔112で反射する。瞳孔112で反射した光は、ステレオカメラ装置102に入射する。また、眼111に検出光が照射されると、角膜反射像113が眼111に形成される。角膜反射像113は、角膜表面における光源103の反射像である。角膜反射像113からの光は、ステレオカメラ装置102に入射する。
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bと第1光源103A及び第2光源103Bとの相対位置が適切に設定されることにより、瞳孔112からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は低くなり、角膜反射像113からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は高くなる。すなわち、ステレオカメラ装置102で取得される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。ステレオカメラ装置102は、取得される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置及び角膜反射像113の位置を検出することができる。
[ハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係る視機能検査装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、視機能検査装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、光源103と、コンピュータシステム20と、入出力インターフェース装置30と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60と、音声出力装置70とを備える。コンピュータシステム20は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bを含む。コンピュータプログラム20Cが記憶装置20Bに記憶されている。
コンピュータシステム20と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60と、音声出力装置70とは、入出力インターフェース装置30を介してデータ通信する。
演算処理装置20Aは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置20Bは、ROM(read only memory)のような不揮発性メモリ又はRAM(random access memory)のような揮発性メモリを含む。演算処理装置20Aは、記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cに従って演算処理を実施する。
駆動回路40は、駆動信号を生成して、表示装置101、ステレオカメラ装置102、及び光源103に出力する。また、駆動回路40は、ステレオカメラ装置102で取得された眼111の画像データを、入出力インターフェース装置30を介してコンピュータシステム20に供給する。
出力装置50は、フラットパネルディスプレイのような表示装置を含む。なお、出力装置50は、印刷装置を含んでもよい。入力装置60は、操作されることにより入力データを生成する。入力装置60は、コンピュータシステム用のキーボード又はマウスを含む。なお、入力装置60が表示装置である出力装置50の表示画面に設けられたタッチセンサを含んでもよい。音声出力装置70は、スピーカを含み、例えば被験者に注意を促すための音声を出力する。
本実施形態においては、表示装置101とコンピュータシステム20とは別々の装置である。なお、表示装置101とコンピュータシステム20とが一体でもよい。例えば視機能検査装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含む場合、タブレット型パーソナルコンピュータに、コンピュータシステム20、入出力インターフェース装置30、駆動回路40、及び表示装置101が搭載されてもよい。
図4は、本実施形態に係る視機能検査装置100の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、入出力インターフェース装置30は、入出力部302を有する。駆動回路40は、表示装置101を駆動するための駆動信号を生成して表示装置101に出力する表示装置駆動部402と、第1カメラ102Aを駆動するための駆動信号を生成して第1カメラ102Aに出力する第1カメラ入出力部404Aと、第2カメラ102Bを駆動するための駆動信号を生成して第2カメラ102Bに出力する第2カメラ入出力部404Bと、第1光源103A及び第2光源103Bを駆動するための駆動信号を生成して第1光源103A及び第2光源103Bに出力する光源駆動部406とを有する。また、第1カメラ入出力部404Aは、第1カメラ102Aで取得された眼111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。第2カメラ入出力部404Bは、第2カメラ102Bで取得された眼111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。
コンピュータシステム20は、視機能検査装置100を制御する。コンピュータシステム20は、画像データ取得部202と、入力データ取得部204と、画像処理部206と、表示制御部208と、光源制御部210と、カメラ制御部211と、位置算出部212と、曲率中心算出部214と、視線検出部216と、評価部218と、記憶部220と、出力制御部222とを有する。コンピュータシステム20の機能は、演算処理装置20A、記憶装置20B、及び記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cによって発揮される。
画像データ取得部202は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102によって取得された被験者の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。画像データは、ディジタルデータである。被験者の画像データは、被験者の眼111の画像データを含む。被験者の眼111の画像データは、被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データを含む。ステレオカメラ装置102は、光源103から射出された検出光が照射される被験者の眼111を撮影する。画像データ取得部202は、光源103から射出された検出光が照射される被験者の眼111の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。
入力データ取得部204は、入力装置60が操作されることにより生成された入力データを、入出力部302を介して入力装置60から取得する。
画像処理部206は、画像データ取得部202で取得された画像データを画像処理する。
表示制御部208は、特定の表示データを表示装置101に表示させる。本実施形態において、表示制御部208は、表示データとして、被験者に注視させるための指標130を表示装置101に表示させる。指標130は、光点でもよいし、イラストレーションでもよい。表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sにおいて静止及び移動する指標130を表示装置101に表示させることができる。また、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sの複数の位置のそれぞれに指標130を表示させることができる。
光源制御部210は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bの作動状態を制御する。光源制御部210は、第1光源103Aと第2光源103Bとが異なるタイミングで検出光を射出するように第1光源103A及び第2光源103Bを制御する。また、光源制御部210は、第1光源103Aから射出される検出光の光量、及び第2光源103Bから射出される検出光の光量を制御する。
カメラ制御部211は、第1カメラ入出力部404A及び第2カメラ入出力部404Bを制御して、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102の作動状態を制御する。
位置算出部212は、画像データ取得部202で取得された眼111の画像データに基づいて、瞳孔112の位置データを算出する。また、位置算出部212は、画像データ取得部202で取得された眼111の画像データに基づいて、角膜反射像113の位置データを算出する。位置算出部212は、表示装置101に表示された指標130を被験者に見せたときの眼111の画像データに基づいて、瞳孔112の位置データ及び角膜反射像113の位置データを算出する。
位置算出部212は、被験者の右眼111R及び左眼111Lのそれぞれについて、瞳孔112の位置データ及び角膜反射像113の位置データを算出する。位置算出部212は、右眼111Rの画像データに基づいて、右眼111Rの瞳孔112Rと右眼111Rの角膜反射像113Rとの相対位置を示す第1相対位置データを算出する。また、位置算出部212は、左眼111Lの画像データに基づいて、左眼111Lの瞳孔112Lと左眼111Lの角膜反射像113Lとの相対位置を示す第2相対位置データを算出する。
本実施形態において、位置算出部212は、瞳孔112の位置データとして、XY平面内における瞳孔中心112Cの位置データを算出する。また、位置算出部212は、角膜反射像113の位置データとして、XY平面内における角膜反射中心113Cの位置データを算出する。瞳孔中心112Cとは、瞳孔112の中心をいう。角膜反射中心113Cとは、角膜反射像113の中心をいう。
曲率中心算出部214は、画像データ取得部202で取得された眼111の画像データに基づいて、眼111の角膜曲率中心110の位置データを算出する。
視線検出部216は、画像データ取得部202で取得された眼111の画像データに基づいて、被験者の視線を検出する。被験者の視線は、被験者が見ている視線方向を示す視線ベクトルを含む。視線検出部216は、表示装置101に表示された指標130を被験者に見せたときの眼111の画像データに基づいて、被験者の視線を検出する。視線検出部216は、眼111の画像データから取得された瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜曲率中心110の位置データに基づいて、被験者の右眼111Rの視線ベクトル及び左眼111Lの視線ベクトルのそれぞれを検出する。
また、視線検出部216は、検出した視線ベクトルに基づいて、被験者の注視点の位置データを検出する。本実施形態において、被験者の注視点は、被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点を含む。本実施形態において、注視点の位置データとは、グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データをいう。
評価部218は、位置算出部212で算出された位置データに基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する。被験者の視機能の評価データは、被験者の斜視の評価データを含む。斜視の評価データは、被験者が斜視であるか否かを示す評価データ、及び斜視の角度を示す評価データを含む。
記憶部220は、コンピュータプログラム20C及び各種のデータを記憶する。
出力制御部222は、表示装置101、出力装置50、及び音声出力装置70の少なくとも一つにデータを出力する。本実施形態において、出力制御部222は、少なくとも被験者の視機能の評価データを表示装置101又は出力装置50に表示させる。
[視線検出の原理]
次に、本実施形態に係る視線検出の原理について説明する。以下の説明では、主に曲率中心算出部214の処理の概要について説明する。曲率中心算出部214は、眼111の画像データに基づいて、眼111の角膜曲率中心110の位置データを算出する。
図5及び図6は、本実施形態に係る角膜曲率中心110の位置データの算出方法を説明するための模式図である。図5は、1つの光源103Cで眼111が照明される例を示す。図6は、第1光源103A及び第2光源103Bで眼111が照明される例を示す。
まず、図5に示す例について説明する。光源103Cは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置される。図5において、瞳孔中心112Cは、眼111が1つの光源103Cで照明されたときの瞳孔中心を示す。角膜反射中心113Cは、眼111が1つの光源103Cで照明されたときの角膜反射中心を示す。
角膜反射中心113Cは、光源103Cと角膜曲率中心110とを結ぶ直線上に存在する。角膜反射中心113Cは、角膜表面と角膜曲率中心110との中間点に位置付けられる。角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。
角膜反射中心113Cの位置データは、ステレオカメラ装置102によって検出される。角膜曲率中心110は、光源103Cと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線上に存在する。曲率中心算出部214は、その直線上において角膜反射中心113Cからの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部220に記憶されている。
次に、図6に示す例について説明する。本実施形態においては、第1カメラ102A及び第2光源103Bと、第2カメラ102B及び第1光源103Aとは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置を通る直線に対して左右対称の位置に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置に仮想光源103Vが存在するとみなすことができる。
角膜反射中心121は、第2カメラ102Bで眼111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心122は、第1カメラ102Aで眼111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心124は、仮想光源103Vに対応する角膜反射中心を示す。
角膜反射中心124の位置データは、ステレオカメラ装置102で取得された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて算出される。ステレオカメラ装置102は、ステレオカメラ装置102に規定されるローカル座標系において角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを検出する。ステレオカメラ装置102について、事前にステレオ較正法によるカメラ較正が実施され、ステレオカメラ装置102の3次元のローカル座標系を3次元のグローバル座標系に変換する変換パラメータが算出される。その変換パラメータは、記憶部220に記憶されている。
曲率中心算出部214は、ステレオカメラ装置102で取得された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを、変換パラメータを使って、グローバル座標系における位置データに変換する。曲率中心算出部214は、グローバル座標系で規定される角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて、グローバル座標系における角膜反射中心124の位置データを算出する。
角膜曲率中心110は、仮想光源103Vと角膜反射中心124とを結ぶ直線123上に存在する。曲率中心算出部214は、直線123上において角膜反射中心124からの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部220に記憶されている。
図6を参照して説明したように、光源が2つある場合でも、光源が1つである場合の方法と同様の方法で、角膜曲率中心110が算出される。
角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。したがって、角膜表面の位置データ及び角膜曲率中心110の位置データが算出されることにより、角膜曲率半径109が算出される。
このように、本実施形態においては、グローバル座標系における角膜曲率中心110の位置データ、瞳孔中心112Cの位置データ、及び角膜反射中心113Cの位置データが算出される。
視線検出部216は、瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜曲率中心110の位置データに基づいて、被験者の視線ベクトルを検出することができる。
[視機能検査方法]
次に、本実施形態に係る視機能検査方法の一例について説明する。図7は、本実施形態に係る視機能検査方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、被験者の斜視を検査する斜視検査処理(ステップS100)と、角膜曲率中心110の位置データの算出処理及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離データの算出処理を含むキャリブレーション処理(ステップS200)と、視線検出処理(ステップS300)が実施される。
(斜視検査処理)
斜視検査処理について説明する。本実施形態において、視機能検査装置100は、光源103から射出された検出光を被験者に照射し、検出光が照射された被験者の眼111をステレオカメラ装置102で撮影し、角膜表面における光源103の反射像である角膜反射像113の位置データに基づいて、被験者の斜視の状態を検査する。
図8は、本実施形態に係る斜視検査処理(ステップS100)の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、斜視検査処理(ステップS100)は、被験者に注視させる指標130を表示装置101に表示させる工程(ステップS101)と、光源103から検出光を射出して被験者に照射する工程(ステップS102)と、光源103から射出された検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データを取得する工程(ステップS103)と、右眼111Rの画像データに基づいて右眼111Rの瞳孔112Rと右眼111Rの角膜反射像113Rとの相対位置を示す第1相対位置データを算出し、左眼111Lの画像データに基づいて左眼111Lの瞳孔112Lと左眼111Lの角膜反射像113Lとの相対位置を示す第2相対位置データを算出する工程(ステップS104)と、第1相対位置データと第2相対位置データとに基づいて、被験者の視機能を評価して評価データを出力する工程(ステップS105,ステップS106,ステップS107)とを含む。
表示制御部208は、被験者に注視させるための指標130を表示装置101に表示させる(ステップS101)。表示装置208は、例えば表示画面101Sの中心に指標130を表示させる。本実施形態において、表示制御部208は、表示画面101Sにおいて静止する指標130を表示装置101に表示させる。被験者に対して、表示装置101に表示された指標130を見つめるように指示がなされる。
光源103から検出光が射出される(ステップS102)。検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データがステレオカメラ装置102によって取得される。被験者の眼111の画像データは、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方によって取得される。本実施形態においては、被験者の眼111の画像データが第1カメラ102Aによって取得される。なお、被験者の眼111の画像データが第2カメラ102Bによって取得されてもよい。なお、第1カメラ102Aで取得された画像データ及び第2カメラ102Bで取得された画像データの両方が使用されてもよい。
図9は、本実施形態に係る検出光が照射された被験者の一例を模式的に示す図である。図9に示すように、被験者の右眼111R及び左眼111Lのそれぞれに検出光が形成されることにより、右眼111Rに角膜反射像113Rが形成され、左眼111Lに角膜反射像113Lが形成される。
画像データ取得部202は、検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データをステレオカメラ装置102から取得する(ステップS103)。
図10は、本実施形態に係る画像データ取得部202に取得された画像データの一例を模式的に示す図である。図10に示すように、画像データは、右眼111Rの瞳孔112Rの画像データ、右眼111Rの角膜反射像113Rの画像データ、左眼111Lの瞳孔112Lの画像データ、及び左眼111Lの角膜反射像113Lの画像データを含む。
位置算出部212は、右眼111Rの画像データに基づいて、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置データ及び右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データを算出する。また、位置算出部212は、左眼111Lの画像データに基づいて、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置データ及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データを算出する。
位置算出部212は、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置データ及び右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データに基づいて、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの相対位置を示す第1相対位置データを算出する。また、位置算出部212は、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置データ及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データに基づいて、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの相対位置を示す第2相対位置データを算出する(ステップS104)。
図10に示すように、本実施形態において、第1相対位置データは、X軸方向における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの距離Rxと、Y軸方向における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの距離Ryとを含む。第2相対位置データは、X軸方向における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Lxと、Y軸方向における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Lyとを含む。
評価部218は、距離Rxと距離Lxとの差Δxと、距離Ryと距離Lyとの差Δyとを算出する。
評価部218は、距離Rxと距離Lxとの差Δxが閾値SHx以上か否かを判定する。また、評価部218は、距離Ryと距離Lyとの差Δyが閾値SHy以上か否かを判定する(ステップS105)。すなわち、評価部218は、(1A)式及び(1B)式が成立するか否かを判定する。
図10は、斜視の傾向がない被験者の眼111の画像データの一例を模式的に示す図である。図11は、斜視の傾向がない被験者が表示装置101の表示画面101Sの中心に表示されている指標130を見つめているときの視線を模式的に示す図である。図12は、斜視の傾向がある被験者の眼111の画像データの一例を模式的に示す図である。図13は、斜視の傾向がある被験者が表示装置101の表示画面101Sの中心に表示されている指標130を見つめているときの視線を模式的に示す図である。
図11に示すように、被験者に斜視の傾向がない場合、右眼111Rの視線及び左眼111Lの視線は、指標130に向かう。一方、図13に示すように、被験者に斜視の傾向がある場合、右眼111Rの視線及び左眼111Lの少なくとも一方の視線は、指標130から外れる。図13は、被験者の左眼111Lに斜視の傾向がある状態を示す。図10に示すように、被験者に斜視の傾向がない場合、距離Rxと距離Lxとの差Δx及び距離Ryと距離Lyとの差Δyは小さい。一方、図12に示すように、被験者に斜視の傾向がある場合、距離Rxと距離Lxとの差Δx及び距離Ryと距離Lyとの差Δyの少なくとも一方は大きい。
ステップS105において、差Δxが閾値SHx以上である又は差Δyが閾値SHy以上であると判定されたとき(ステップS105:Yes)、評価部218は、被験者の視機能が異常であることを示す評価データを出力する(ステップS106)。すなわち、(1A)式及び(1B)式の少なくとも一方が成立しないとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向があると判定し、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。
ステップS105において、差Δxが閾値SHx以上でない及び差Δyが閾値SHy以上でないと判定されたとき(ステップS105:No)、評価部218は、被験者の視機能が異常でないことを示す評価データを出力する(ステップS107)。すなわち、(1A)式及び(1B)式の両方が成立するとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないと判定し、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力する。
なお、閾値SHx及び閾値SHyは、斜視の傾向がある複数の被験者から取得したデータに基づいて統計的又は経験的に導出され、記憶部220に記憶されている。本実施形態において、閾値SHx及び閾値SHyは、瞳孔112の直径の3[%]以上7[%]以下の値に定められる。閾値SHx及び閾値SHyは、例えば、0.07[mm]以上0.13[mm]以下の値に定められてもよい。
本実施形態においては、差Δxが閾値SHx以上である場合、被験者に内斜視又は外斜視の傾向があると評価される。差Δyが閾値SHy以上である場合、被験者に上斜視又は下斜視の傾向があると評価される。
出力制御部222は、斜視の傾向があることを示す評価データ又は斜視の傾向がないことを示す評価データを、表示装置101又は出力装置50に出力させる。
以上により、斜視検査処理が終了する。
(キャリブレーション処理)
次に、キャリブレーション処理について説明する。本実施形態においては、斜視検査処理(ステップS100)が実施された後、角膜曲率中心110の位置データの算出処理、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離データの算出処理を含むキャリブレーション処理(ステップS200)が実施される。
図14は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。キャリブレーション処理は、角膜曲率中心110の位置データを算出すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離126を算出することを含む。
表示制御部208は、被験者に注視させるための指標130を表示装置101に表示させる。指標130は、グローバル座標系において規定される。本実施形態において、指標130は、例えば表示装置101の表示画面101Sの中心に表示される。なお、指標130は、表示画面101Sの端部に表示されてもよい。
直線131は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。直線132は、指標130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、直線131と直線132との交点である。曲率中心算出部214は、仮想光源103Vの位置データと、指標130の位置データと、瞳孔中心112Cの位置データと、角膜反射中心113Cの位置データとに基づいて、角膜曲率中心110の位置データを算出することができる。
図15は、本実施形態に係るキャリブレーション処理(ステップS200)の一例を示すフローチャートである。出力制御部222は、表示装置101の表示画面101Sに指標130を表示させる(ステップS201)。被験者は、指標130を注視することができる。
次に、光源制御部210は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bのうち一方の光源から検出光を射出させる(ステップS202)。ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bのうち検出光を射出した光源からの距離が長い方のカメラで被験者の眼111を撮影する(ステップS203)。
次に、光源制御部210は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bのうち他方の光源から検出光を射出させる(ステップS204)。ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bのうち検出光を射出した光源からの距離が長い方のカメラで被験者の眼111を撮影する(ステップS205)。
瞳孔112は、暗い部分としてステレオカメラ装置102に検出され、角膜反射像113は、明るい部分としてステレオカメラ装置102に検出される。すなわち、ステレオカメラ装置102で取得される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。位置算出部212は、取得される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置データ及び角膜反射像113の位置データを検出することができる。また、位置算出部212は、瞳孔112の画像データに基づいて、瞳孔中心112Cの位置データを算出する。また、位置算出部212は、角膜反射像113の画像データに基づいて、角膜反射中心113Cの位置データを算出する(ステップS206)。
ステレオカメラ装置102によって検出された位置データは、ローカル座標系で規定される位置データである。位置算出部212は、記憶部220に記憶されている変換パラメータを使用して、ステレオカメラ装置102で検出された瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜反射中心113Cの位置データを座標変換して、グローバル座標系で規定される瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜反射中心113Cの位置データを算出する(ステップS207)。
曲率中心算出部214は、グローバル座標系で規定される角膜反射中心113Cと仮想光源103Vとを結ぶ直線131を算出する(ステップS208)。
次に、曲率中心算出部214は、表示装置101の表示画面101Sに表示される指標130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線132を算出する(ステップS209)。曲率中心算出部214は、ステップS208で算出した直線131とステップS209で算出した直線132との交点を求め、この交点を角膜曲率中心110とする(ステップS210)。
曲率中心算出部214は、瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離126を算出して、記憶部220に記憶する(ステップS211)。記憶された距離は、ステップS300の視線検出処理において、角膜曲率中心110を算出するために使用される。
(視線検出処理)
次に、視線検出処理について説明する。視線検出処理は、キャリブレーション処理の後に実施される。視線検出部216は、眼111の画像データに基づいて、被験者の視線ベクトル及び注視点の位置データを算出する。
図16は、本実施形態に係る視線検出処理の一例を説明するための模式図である。視線検出処理は、キャリブレーション処理(ステップS200)で求めた瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離126を用いて、角膜曲率中心110の位置を補正すること、及び補正された角膜曲率中心110の位置データを使って注視点を算出することを含む。
図16において、注視点165は、一般的な曲率半径値を用いて算出された角膜曲率中心110から求めた注視点を示す。注視点166は、キャリブレーション処理で求められた距離126を用いて算出された角膜曲率中心110から求めた注視点を示す。
瞳孔中心112Cは、キャリブレーション処理において算出された瞳孔中心を示し、角膜反射中心113Cは、キャリブレーション処理において算出された角膜反射中心を示す。
直線173は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、一般的な曲率半径値から算出した角膜曲率中心の位置である。
距離126は、キャリブレーション処理により算出した瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離である。
角膜曲率中心110Hは、距離126を用いて角膜曲率中心110を補正した補正後の角膜曲率中心の位置を示す。
角膜曲率中心110Hは、角膜曲率中心110が直線173上に存在すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離が距離126であることから求められる。これにより、一般的な曲率半径値を用いる場合に算出される視線177は、視線178に補正される。また、表示装置101の表示画面101S上の注視点は、注視点165から注視点166に補正される。
図17は、本実施形態に係る視線検出処理(ステップS300)の一例を示すフローチャートである。なお、図17に示すステップS301からステップS307までの処理は、図15に示したステップS202からステップS208までの処理と同様であるため説明を省略する。
曲率中心算出部214は、ステップS307で算出した直線173上であって、瞳孔中心112Cからの距離がキャリブレーション処理によって求めた距離126と等しい位置を角膜曲率中心110Hとして算出する(ステップS308)。
視線検出部216は、瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110Hとを結ぶ視線ベクトルを算出する(ステップS309)。視線ベクトルは、被験者が見ている視線方向を示す。視線検出部216は、視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データを算出する(ステップS310)。視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データが、グローバル座標系で規定される表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データである。
視線検出部216は、グローバル座標系で規定される注視点の位置データを、二次元座標系で規定される表示装置101の表示画面101Sにおける位置データに変換する(ステップS311)。これにより、被験者が見つめる表示装置101の表示画面101S上の注視点の位置データが算出される。
[作用及び効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データが取得され、右眼111Rの画像データに基づいて、右眼111Rの瞳孔中心112Crと角膜反射中心113Crとの相対位置を示す第1相対位置データが算出され、左眼111Lの画像データに基づいて、左眼111Lの瞳孔中心112Clと角膜反射中心113Clとの相対位置を示す第2相対位置データが算出される。第1相対位置データ及び第2相対位置データが算出された後、第1相対位置データと第2相対位置データとに基づいて、被験者の視機能の評価データが出力される。右眼111Rについての第1相対位置データ及び左眼111Lについての第2相対位置データに基づいて、被験者の斜視の状態が評価されるため、斜視の検査において、光源103と被験者との相対位置が変動しても、検査精度の低下が抑制される。すなわち、斜視の検査において、被験者の頭部が動いても、右眼111Rと左眼111Lとは相対位置を維持したまま移動する。被験者の頭部が動いても、右眼111Rと左眼111Lとの相対位置が維持されるため、それら右眼111Rについての第1相対位置データ及び左眼111Lについての第2相対位置データに基づいて、被験者の斜視の状態を精度良く検査することができる。
また、本実施形態においては、第1相対位置データとして、距離Rx及び距離Ryが算出され、第2相対位置データとして、距離Lx及び距離Lyが算出される。評価部218は、距離Rxと距離Lxとの差Δx及び距離Ryと距離Lyとの差Δyに基づいて、評価データを出力する。これにより、被験者に内斜視又は外斜視の傾向があるか否か、及び被験者に上斜視又は下斜視の傾向があるか否かを評価することができる。例えば、差Δxが閾値SHx以上である場合、被験者に内斜視又は外斜視の傾向があると評価することができる。差Δyが閾値SHy以上である場合、被験者に上斜視又は下斜視の傾向があると評価することができる。
第2実施形態.
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、斜視検出処理(ステップS100)において、第1相対位置データ及び第2相対位置データに基づいて、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とを一致させたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Dが算出される例について説明する。
図18は、本実施形態における右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとを画像処理した結果の一例を模式的に示す図である。画像処理部206は、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とが一致するように、画像データ取得部202で取得された右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとを合成する。
位置算出部212は、画像処理部206で合成された画像データにおいて、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置データ及び右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データを算出する。また、位置算出部212は、画像処理部206で合成された画像データにおいて、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置データ及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データを算出する。
また、位置算出部212は、X軸方向における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの距離Rxと、Y軸方向における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの距離Ryとを算出する。また、位置算出部212は、X軸方向における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Lxと、Y軸方向における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Lyとを算出する。
図18に示すように、位置算出部212は、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とを一致させたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Dを算出する。すなわち、位置算出部212は、(2)式の演算を実施する。
評価部218は、距離Dに基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する。
図18は、斜視の傾向がない被験者の右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとを合成した画像データの一例を模式的に示す図である。図19は、斜視の傾向がある被験者の右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとを合成した画像データの一例を模式的に示す図である。図18に示すように、被験者に斜視の傾向がない場合、距離Dは小さい。一方、図19に示すように、被験者に斜視の傾向がある場合、距離Dは大きい。
本実施形態において、評価部218は、距離Dが閾値SH以上であるとき、被験者の視機能が異常であることを示す評価データを出力する。すなわち、距離Dが閾値SH以上であるとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向があると判定し、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。
一方、評価部218は、距離Dが閾値SH以上でないとき、被験者の視機能が正常であることを示す評価データを出力する。すなわち、距離Dが閾値SH未満であるとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないと判定し、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力する。
なお、閾値SHは、斜視の傾向がある複数の被験者から取得したデータに基づいて統計的又は経験的に導出され、記憶部220に記憶されている。本実施形態において、閾値SHは、瞳孔112の直径の5[%]以上10[%]以下の値に定められる。閾値SHは、例えば、0.07[mm]以上0.13[mm]以下の値に定められてもよい。
出力制御部222は、斜視の傾向があることを示す評価データ又は斜視の傾向がないことを示す評価データを、表示装置101又は出力装置50に出力させる。
以上説明したように、本実施形態によれば、右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとが合成され、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とを一致させたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Dが算出される。スカラー値である距離Dに基づいて、被験者の斜視の状態が評価されるため、演算処理の負担を軽減することができる。
本実施形態においては、被験者に注視させるための指標130は、表示画面101Sの中心に表示されてもよいし、表示画面101Sの端部に表示されてもよい。表示画面101Sにおける指標130の位置が距離Dの算出に及ぼす影響は小さい。
第3実施形態.
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図20は、本実施形態における右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとを画像処理した結果の一例を模式的に示す図である。本実施形態は、上述の第2実施形態の応用例である。
図20に示すように、本実施形態において、位置算出部212は、距離DのX軸方向の成分である距離Dxと、距離DのY軸方向の成分である距離Dyとを算出する。距離Dxは、X軸方向における右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離である。距離Dyは、Y軸方向における右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離である。
評価部218は、距離Dxに基づいて、被験者に内斜視又は外斜視の傾向があるか否かを評価することができる。また、評価部218は、距離Dyに基づいて、被験者に上斜視又は下斜視の傾向があるか否かを評価することができる。
例えば、距離Dxが予め定められている閾値以上である場合、被験者に内斜視又は外斜視の傾向があると評価される。距離Dyが予め定められている閾値以上である場合、被験者に上斜視又は下斜視の傾向があると評価される。
第4実施形態.
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、第1相対位置データが、規定時間PTにおける右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの相対位置の時系列データを含み、第2相対位置データが、規定時間PTにおける左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの相対位置の時系列データを含む例について説明する。
図21は、本実施形態に係る斜視検査方法の一例を示すフローチャートである。表示制御部208は、被験者に注視させるための指標130を表示装置101に表示させる(ステップS111)。表示制御部208は、指標130を表示装置101の表示画面101Sの中心に表示させてもよいし表示画面101Sの端部に表示させてもよい。また、表示制御部208は、表示画面101Sにおいて静止する指標130を表示装置101に表示させてもよいし、表示画面101Sにおいて移動する指標130を表示装置101に表示させてもよい。
本実施形態において、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sにおいて静止及び移動する指標130を表示装置101に表示させる。被験者に対して、表示装置101に表示された指標130を見つめるように指示がなされる。
光源103から検出光が射出される(ステップS112)。検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データがステレオカメラ装置102によって取得される。
画像データ取得部202は、検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データをステレオカメラ装置102から取得する(ステップS113)。
位置算出部212は、右眼111Rの画像データに基づいて、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置データ及び右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データを算出する。また、位置算出部212は、左眼111Lの画像データに基づいて、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置データ及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データを算出する。
位置算出部212は、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置データ及び右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データに基づいて、XY平面内における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの相対位置を示す第1相対位置データを算出する。また、位置算出部212は、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置データ及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データに基づいて、XY平面内における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの相対位置を示す第2相対位置データを算出する(ステップS114)。
上述の実施形態と同様、位置算出部212は、第1相対位置データとして、X軸方向における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの距離Rxと、Y軸方向における右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの距離Ryを算出する。また、位置算出部212は、第2相対位置データとして、X軸方向における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Lxと、Y軸方向における左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Lyと算出する。
また、上述の実施形態と同様、画像処理部206は、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とが一致するように、右眼111Rの画像データと左眼111Lの画像データとを合成する。位置算出部212は、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とを一致させたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Dを算出する(ステップS115)。
記憶部220は、ステップS115で算出された距離Dを記憶する(ステップS116)。
視機能検査装置100は、ステップS111からステップS116までの処理を規定の周期で実施する。本実施形態において、ステップS111からステップS116までの処理は、1秒間に50回実施される。ステップS111からステップS116までの処理は、予め定められた規定時間PTだけ実施される。本実施形態において、規定時間PTは30秒である。なお、規定時間PTは任意に定められる。
すなわち、本実施形態において、位置算出部212は、規定時間PTにおける第1相対位置データ及び第2相対位置データに基づいて、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とを一致させたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの距離Dの時系列データを規定の周期で算出する。算出された距離Dの時系列データは、記憶部220に順次記憶される。
評価部218は、ステップS111からステップS116までの処理が開始されてからの経過時間が規定時間PTを超えたか否かを判定する(ステップS117)。
ステップS117において、経過時間が規定時間PTを超えていないと判定されたとき(ステップS117:No)、ステップS111に戻り、ステップS111からステップS116までの処理が実施される。
ステップS117において、経過時間が規定時間PTを超えたと判定されたとき(ステップS117:Yes)、評価部218は、記憶部220に記憶されている複数の距離Dを示すデータに基づいて、規定時間PTにおける距離Dの平均値を算出する。本実施形態においては、距離Dが1秒間に50回算出され、規定時間PTは30秒である。したがって、記憶部220には、1500のサンプル数の距離Dを示すデータが記憶されている。評価部218は、1500のサンプル数の距離Dの平均値を算出する。
評価部218は、規定時間PTにおける距離Dの平均値に基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する。本実施形態において、評価部218は、規定時間PTにおける距離Dの平均値が予め定められている閾値SK以上か否かを判定する(ステップS118)。
ステップS118において、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SK以上であると判定されたとき(ステップS118:Yes)、評価部218は、被験者の視機能が異常であることを示す評価データを出力する(ステップS119)。すなわち、評価部218は、被験者に斜視の傾向があると判定し、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。
ステップS118において、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SK以上でないと判定されたとき(ステップS118:No)、評価部218は、記憶部220に記憶されている複数の距離Dを示すデータに基づいて、規定時間PTを複数に分割した分割時間DTのそれぞれにおける距離Dの平均値を算出する。分割時間DTは、規定時間PTよりも短い。規定時間PTが30秒である場合、分割時間DTは、例えば1秒以上10秒以下に定められる。
評価部218は、複数の分割時間DTのそれぞれにおける距離Dの平均値に基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する。本実施形態において、評価部218は、分割時間DTにおける距離Dの平均値が予め定められている閾値SK以上か否かを判定する(ステップS120)。
ステップS120において、分割時間DTにおける距離Dの平均値が閾値SK以上であると判定されたとき(ステップS120:Yes)、評価部218は、被験者の視機能が異常であることを示す評価データを出力する(ステップS121)。本実施形態において、評価部218は、被験者に間欠性斜視の傾向があると判定し、被験者に間欠性斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。
間欠性斜視とは、斜視が出現するとき及び出現しないときの2つの状態を併せ持つ斜視をいう。
ステップS120において、分割時間DTにおける距離Dの平均値が閾値SK以上でないと判定されたとき(ステップS120:No)、評価部218は、被験者の視機能が異常でないことを示す評価データを出力する(ステップS122)。すなわち、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないと判定し、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力する。
図22、図23、及び図24は、本実施形態に係る表示装置101に表示される指標130の一例を模式的に示す図である。上述したように、本実施形態において、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sにおいて静止及び移動する指標130を表示装置101に表示させる。
図22に示すように、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sの第1位置PJ1において静止する指標130を表示装置101に表示させる。本実施形態において、第1位置PJ1は、表示画面101Sの+X方向及び+Y方向の端部に規定される。なお、第1位置PJ1は、表示画面101Sの任意の位置に定めることができる。
本実施形態において、表示制御部208は、表示画面101Sの第1位置PJ1において指標130を11秒間静止させる。
第1位置PJ1において指標130を11秒間静止させた後、表示制御部208は、表示画面101Sにおいて指標130を移動させる。図23に示すように、表示制御部208は、表示画面101Sの第1位置PJ1から第2位置PJ2まで指標130を移動させる。本実施形態において、第2位置PJ2は、表示画面101Sの−X方向及び−Y方向の端部に規定される。なお、第2位置PJ2は、表示画面101Sの任意の位置に定めることができる。
第1位置PJ1から第2位置PJ2までの指標130の移動軌跡は、直線状でもよいし、曲線状でもよいし、複数の曲折部を含むジグザグ(zigzag)状でもよい。
本実施形態において、表示制御部208は、指標130を第1位置PJ1から第2位置PJ2まで6秒間で移動させる。
図24に示すように、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sの第2位置PJ2において静止する指標130を表示装置101に表示させる。
本実施形態において、表示制御部208は、表示画面101Sの第2位置PJ2において指標130を13秒間静止させる。
分割時間DTは、表示画面101Sにおける指標130の移動条件に基づいて決定される。分割時間DTは、表示画面101Sにおいて指標130が静止している静止時間に基づいて決定される。また、分割時間DTは、表示画面101Sにおいて指標130が移動している移動時間に基づいて決定される。
本実施形態においては、表示画面101Sの第1位置PJ1において指標130が静止している静止時間に基づいて、第1分割時間DT1が決定される。表示画面101Sの第1位置PJ1から第2位置PJ2まで指標130が移動する移動時間に基づいて、第2分割時間DT2が決定される。表示画面101Sの第2位置PJ2において指標130が静止している静止時間に基づいて、第3分割時間DT3が決定される。
図25、図26、及び図27は、本実施形態に係る記憶部220に記憶されている距離Dの時系列データの一例を模式的に示す図である。
図25に示すように、規定時間PTの全期間において距離Dが閾値SK未満であるとき、被験者に斜視の傾向はない可能性が高い。規定時間PTの全期間において距離Dが閾値SK未満であるとき、規定時間PTにおける距離Dの平均値は閾値SK未満となる。図25に示すような距離Dの時系列データが取得された場合、ステップS122で説明したように、評価部218は、規定時間PTにおける距離Dの平均値に基づいて、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力する。
図26に示すように、規定時間PTの全期間において距離Dが閾値SK以上であるとき、被験者に斜視の傾向がある可能性が高い。規定時間PTの全期間において距離Dが閾値SK以上であるとき、規定時間PTにおける距離Dの平均値は閾値SK以上となる。図26に示すような距離Dの時系列データが取得された場合、ステップS119で説明したように、評価部218は、規定時間PTにおける距離Dの平均値に基づいて、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。
図27に示すように、規定時間PTの一部の期間において距離Dが閾値SK以上となり、規定時間PTの一部の期間において距離Dが閾値SK未満となる場合、被験者に間欠性斜視の傾向がある可能性が高い。規定時間PTの一部の期間において距離Dが閾値SK以上となり、規定時間PTの一部の期間において距離Dが閾値SK未満となる場合、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SK未満になる可能性がある。すなわち、規定時間PTの一部の期間において距離Dが閾値SK以上となり、規定時間PTの一部の期間において距離Dが閾値SK未満となる場合、被験者に間欠性斜視の傾向があるにもかかわらず、規定時間PTにおける距離Dの平均値は閾値SK未満になる可能性がある。被験者に間欠性斜視の傾向があるにもかかわらず、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SK未満になると、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないことを示す誤った評価データを出力してしまう可能性がある。
本実施形態においては、ステップS118及びステップS120で説明したように、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SK以上でないと判定されたとき、評価部218は、規定時間PTを複数に分割した分割時間DTのそれぞれにおける距離Dの平均値を算出する。図27に示すように、本実施形態において、規定時間PTは、第1分割時間DT1、第2分割時間DT2、及び第3分割時間DT3に分割される。複数の分割時間DTのそれぞれにおける距離Dの平均値が算出されることにより、評価部218は、規定時間DTにおいて距離Dが閾値SK以上になる期間があるか否かを判定することができる。これにより、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SK未満である場合において、被験者に間欠性斜視の傾向がある場合、被験者に斜視の傾向がないことを示す誤った評価データが出力されてしまうことが抑制される。
上述のように、本実施形態において、第1分割時間DT1、第2分割時間DT2、及び第3分割時間DT3を含む分割時間DTは、表示画面101Sにおける指標130の移動条件に基づいて決定される。本実施形態において、第1分割時間DT1は、表示画面101Sの第1位置PJ1において指標130が静止している静止時間(本実施形態においては11秒間)に設定される。第2分割時間DT2は、表示画面101Sの第1位置PJ1から第2位置PJ2まで指標130が移動する移動時間(本実施形態においては6秒間)に設定される。第3分割時間DT3は、表示画面101Sの第2位置PJ2において指標130が静止している静止時間(本実施形態においては13秒間)に設定される。
位置算出部212は、表示画面101Sにおいて静止及び移動する指標130を被験者に見せたときの右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データに基づいて、規定時間PTにおける距離Dの時系列データを算出する。評価部218は、表示画面101Sにおいて静止及び移動する指標130を被験者に見せたときの距離Dの時系列データに基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する。本実施形態において、評価部218は、表示画面101Sにおいて静止及び移動する指標130を被験者に見せたときの被験者の視線の移動状態と、被験者の斜視の状態との関係を示す評価データを出力する。
表示画面101Sにおいて静止している指標130を間欠性斜視の傾向がある被験者に見せたとき、間欠性斜視は出現しない可能性がある。一方、表示画面101Sにおいて移動する指標130を間欠性斜視の傾向がある被験者に見せたとき、間欠性斜視が顕著に出現する可能性が高い。
本実施形態においては、第2分割時間DT2は、表示画面101Sにおいて指標130が移動する移動期間に設定されている。したがって、第2分割時間DT2における距離Dの平均値が算出されることにより、被験者に間欠性斜視の傾向があるか否かを精度良く検査することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、評価部218は、規定時間PTにおける距離Dの変化量に基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する。図25に示したように、規定時間PTにおける距離Dの変化量が小さく、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SKよりも小さい場合、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力することができる。図26に示したように、規定時間PTにおける距離Dの変化量が小さく、規定時間PTにおける距離Dの平均値が閾値SKよりも大きい場合、評価部218は、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力することができる。図27に示したように、規定時間PTにおける距離Dの変化量が大きい場合、評価部218は、被験者に間欠性斜視の傾向があることを示す評価データを出力することができる。
なお、本実施形態においては、距離Dの平均値に基づいて評価データが出力されることとした。距離Dの平均値に限らず、中央値、最頻値、及び四分位数等、複数の距離Dを代表する他の統計値(代表値)を用いてもよい。
なお、本実施形態において、規定時間PTにおける距離Rxと距離Lxとの差Δxの時系列データ、及び規定時間PTにおける距離Ryと距離Lyとの差Δyの時系列データが算出されてもよい。評価部218は、規定時間PTにおける差Δxの変化量及び規定時間PTにおける差Δyの変化量の少なくとも一方に基づいて、被験者の視機能の評価データを出力することができる。すなわち、本実施形態において、評価部218は、規定時間PTにおける右眼111Rの瞳孔中心112Crと右眼111Rの角膜反射中心113Crとの相対位置の変化量、及び左眼111Lの瞳孔中心112Clと左眼111Lの角膜反射中心113Clとの相対位置の変化量の少なくとも一方に基づいて、被験者の視機能の評価データを出力することができる。
第5実施形態.
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
上述の第4実施形態においては、分割時間DTが表示画面101Sにおける指標130の移動条件に基づいて決定されることとした。分割時間DTは、指標130の移動条件に基づかずに任意に決定されてもよい。取得された距離Dの時系列データにおける距離Dの変化量に基づいて、分割時間DTが決定されてもよい。
図28は、本実施形態に係る分割時間DTを決定する方法の一例を模式的に示す図である。図28のラインLaで示すような、距離Dの時系列データ(生データ)が取得された場合、例えば画像処理部206は、距離Dの時系列データについてローパスフィルタ処理を実施する。これにより、図28のラインLbで示すように、ノイズの影響が低減された距離Dの時系列データが生成される。ローパスフィルタ処理における時定数は、第2分割時間DT2に基づいて定めることが好ましい。
また、画像処理部206は、ラインLbで示す距離Dの時系列データを1次微分して、図28のラインLcで示すような1次微分値を抽出する。これにより、距離Dが急激に変化する時点が抽出される。距離Dが急激に増加する時点と距離Dが急激に低下する時点との間が分割時間DTに決定される。
第6実施形態.
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、表示装置101の表示画面101Sの複数の位置のそれぞれに指標130を表示させ、複数の指標130のそれぞれを被験者に見せたときの被験者の眼111の画像データに基づいて角膜反射像113の位置データを算出し、複数の指標130の相対位置と複数の角膜反射像113の相対位置とに基づいて、被験者の視機能の評価データを出力する例について説明する。
図29は、本実施形態に係る斜視検査方法の一例を示すフローチャートである。表示制御部208は、被験者に注視させるための指標130を表示装置101に表示させる(ステップS131)。
本実施形態において、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sの複数の位置のそれぞれに指標130を表示させる。被験者に対して、表示装置101に表示された指標130を見つめるように指示がなされる。
光源103から検出光が射出される(ステップS132)。検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データがステレオカメラ装置102によって取得される。
画像データ取得部202は、検出光が照射された被験者の右眼111Rの画像データ及び左眼111Lの画像データをステレオカメラ装置102から取得する(ステップS133)。
位置算出部212は、右眼111Rの画像データに基づいて、表示画面101Sに表示された指標130を見せたときのXY平面内における右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データを算出する。また、位置算出部212は、左眼111Lの画像データに基づいて、表示画面101Sに表示された指標130を見せたときのXY平面内における左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データを算出する(ステップS134)。
視機能検査装置100は、ステップS131からステップS134までの処理を規定の周期で実施する。ステップS131からステップS134までの処理は、表示画面101Sの複数の位置のそれぞれに指標130が表示されることが終了するまで実施される。
すなわち、本実施形態において、位置算出部212は、右眼111Rの画像データに基づいて、表示画面101Sの複数の位置に表示された複数の指標130のそれぞれを見せたときのXY平面内における右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データを算出する。また、位置算出部212は、左眼111Lの画像データに基づいて、表示画面101Sの複数の位置に表示された複数の指標130のそれぞれを見せたときのXY平面内における左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データを算出する。
評価部218は、表示画面101Sの複数の位置のそれぞれに指標130が表示されることが終了したか否かを判定する(ステップS135)。
ステップS135において、指標130が表示されることが終了していないと判定されたとき(ステップS135:No)、ステップS131に戻り、ステップS131からステップS134までの処理が実施される。
ステップS135において、指標130が表示されることが終了したと判定されたとき(ステップS135:Yes)、評価部218は、複数の指標130の相対位置によって規定される第1図形CA1と、複数の角膜反射中心113Cの相対位置によって規定される第2図形CA2とのそれぞれを算出する(ステップS136)。
図30は、本実施形態に係る表示装置101に表示される指標130の一例を模式的に示す図である。図30に示すように、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sの複数の位置PD1,PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに指標130を表示させる。本実施形態において、表示装置208は、表示画面101Sの位置PD1、位置PD2、位置PD3、位置PD4、及び位置PD5のそれぞれに指標130を順次表示させる。
位置PD2に表示される指標130と位置PD3に表示される指標130とは、隣接する。位置PD3に表示される指標130と位置PD4に表示される指標130とは隣接する。位置PD4に表示される指標130と位置PD5に表示される指標130とは隣接する。位置PD5に表示される指標130と位置PD2に表示される指標130とは隣接する。
本実施形態においては、位置PD2に表示される指標130と、位置PD3に表示される指標130と、位置PD4に表示される指標130と、位置PD5に表示される指標130との相対位置によって、第1図形CA1として正方形が規定される。位置PD2と位置PD3との距離Vaと、位置PD3と位置PD4との距離Vbと、位置PD4と位置PD5との距離Vcと、位置PD5と位置PD2との距離Vdとは、等しい。
本実施形態において、表示制御部208は、指標130を位置PD1に表示させた後、位置PD1から位置PD2まで移動させ、位置PD2に移動させた指標130を位置PD3まで移動させ、位置PD3に移動させた指標130を位置PD4まで移動させ、位置PD4に移動させた指標130を位置PD5まで移動させる。すなわち、本実施形態において、表示制御部208は、位置PD1の指標130が位置PD2、位置PD3、及び位置PD4を順次通過して位置PD5まで移動するように、表示画面101Sに指標130を表示させる。
本実施形態においては、表示制御部208は、表示画面101Sにおいて指標130が静止及び移動するように、指標130を表示装置101に表示させる。本実施形態において、表示制御部208は、指標130を位置PD1において2秒間静止させ、位置PD1から位置PD2まで1秒間で指標130を移動させる。同様に、表示制御部208は、指標130を位置PD2,PD3,PD4のそれぞれにおいて2秒間ずつ静止させ、位置PD2から位置PD3まで1秒間で指標130を移動させ、位置PD3から位置PD4まで1秒間で指標130を移動させ、位置PD4から位置PD5まで1秒間で指標130を移動させる。表示制御部208は、指標130を位置PD5において2秒間静止させた後、指標130の表示を停止する。
本実施形態においては、指標130は、位置PD1から移動を開始し、位置PD2、位置PD3、及び位置PD4を経由して位置PD5に到達するまで、表示装置101に連続的に表示される。なお、指標130は、表示装置101に間欠的に表示されてもよい。例えば、位置PD1から位置PD2までの移動区間、位置PD2から位置PD3までの移動区間、位置PD3から位置PD4までの移動区間、及び位置PD4から位置PD5までの移動区間の少なくとも一部において、指標130は表示装置101に表示されなくてもよい。指標130は、表示画面101Sの複数の位置PD1、位置PD2、位置PD3、位置PD4、及び位置PD5のそれぞれにおいて順次表示されればよい。
図31は、本実施形態に係る画像データ取得部202に取得された画像データの一例を模式的に示す図である。図31は、表示画面101Sの複数の位置PD1,PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに表示された指標130を被験者に見せたときの角膜反射像113の画像データを模式的に示す。
位置算出部212は、右眼111Rの画像データに基づいて、表示画面101Sの複数の位置PD1,PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに表示された指標130を被験者に見せたときのXY平面内における右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置データを算出する。また、位置算出部212は、左眼111Lの画像データに基づいて、表示画面101Sの複数の位置PD1,PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに表示された指標130を被験者に見せたときのXY平面内における左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置データを算出する。
図31に示すように、被験者が表示画面101Sの位置PD1に表示された指標130を見たとき、角膜反射像113は、位置PE1に形成される。被験者が表示画面101Sの位置PD2に表示された指標130を見たとき、角膜反射像113は、位置PE2に形成される。被験者が表示画面101Sの位置PD3に表示された指標130を見たとき、角膜反射像113は、位置PE3に形成される。被験者が表示画面101Sの位置PD4に表示された指標130を見たとき、角膜反射像113は、位置PE4に形成される。被験者が表示画面101Sの位置PD5に表示された指標130を見たとき、角膜反射像113は、位置PE5に形成される。
位置PE2に形成される角膜反射像113と位置PE3に形成される角膜反射像113とは、隣接する。位置PE3に形成される角膜反射像113と位置PE4に形成される角膜反射像113とは隣接する。位置PE4に形成される角膜反射像113と位置PE5に形成される角膜反射像113とは隣接する。位置PE5に形成される角膜反射像113と位置PE2に形成される角膜反射像113とは隣接する。
本実施形態においては、位置PE2に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE3に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE4に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE5に形成される角膜反射中心113Cとの相対位置によって、第2図形CA2として四角形が規定される。位置PE2と位置PE3とは距離Waだけ離れている。位置PE3と位置PE4とは距離Wbだけ離れている。位置PE4と位置PE5とは距離Wcだけ離れている。位置PE5と位置PE2とは距離Wdだけ離れている。
評価部218は、第1図形CA1と第2図形CA2とが類似しているか否かを判定する(ステップS137)。
本実施形態において、評価部218は、隣接する角膜反射像113の距離と閾値SQとを比較して、第1図形CA1と第2図形CA2との類似度を判定する。本実施形態において、評価部218は、(3A)式及び(3B)式が成立するか否かを判定する。
図31は、斜視の傾向がない被験者の眼111の画像データの一例を模式的に示す図である。図32は、左眼111Lに斜視の傾向がある被験者の眼111の画像データの一例を模式的に示す図である。
図31に示すように、被験者に斜視の傾向がない場合、位置PE2に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE3に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE4に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE5に形成される角膜反射中心113Cとによって規定される第2図形CA2は、実質的に正方形となる。すなわち、被験者に斜視の傾向がない場合、第1図形CA1と第2図形CA2とは相似する。この場合、(3A)式及び(3B)式が成立する。
一方、図32に示すように、被験者の左眼111Lに斜視の傾向がある場合、位置PE2に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE3に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE4に形成される角膜反射中心113Cと、位置PE5に形成される角膜反射中心113Cとによって規定される第2図形CA2は、正方形にならない。すなわち、被験者に斜視の傾向がある場合、第1図形CA1と第2図形CA2とは相似しない。この場合、(3A)式及び(3B)式の少なくとも一方が成立しない。
このように、本実施形態においては、(3A)式及び(3B)式が成立するとき、評価部218は、第1図形CA1と第2図形CA2とは類似すると判定する。(3A)式及び(3B)式の少なくとも一方が成立しないとき、評価部218は、第1図形CA1と第2図形CA2とは類似しないと判定する。
ステップS137において、第1図形CA1と第2図形CA2とが類似しないと判定されたとき(ステップS137:No)、評価部218は、被験者の視機能が異常であることを示す評価データを出力する(ステップS138)。すなわち、(3A)式及び(3B)式の少なくとも一方が成立しないとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向があると判定し、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。
ステップS137において、第1図形CA1と第2図形CA2とが類似すると判定されたとき(ステップS137:Yes)、評価部218は、被験者の視機能が異常でないことを示す評価データを出力する(ステップS139)。すなわち、(3A)式及び(3B)式の両方が成立するとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないと判定し、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力する。
なお、閾値SQは、斜視の傾向がある複数の被験者から取得したデータに基づいて統計的又は経験的に導出され、記憶部220に記憶されている。
本実施形態においては、第1図形CA1と右眼111Rについての第2図形CA2とが比較される。また、第1図形CA1と左眼111Lについての第2図形CA2とが比較される。本実施形態においては、右眼111Rに斜視の傾向があるか否か、及び左眼111Lに斜視の傾向があるか否かについて、それぞれ評価することができる。
出力制御部222は、斜視の傾向があることを示す評価データ又は斜視の傾向がないことを示す評価データを、表示装置101又は出力装置50に出力させる。
以上により、斜視検査処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の指標130の相対位置と、それら複数の指標を見せたときの複数の角膜反射像113の相対位置とに基づいて、被験者の視機能の評価データが出力される。本実施形態においても、斜視の検査において、光源103と被験者との相対位置が変動しても、検査精度の低下が抑制される。
また、本実施形態によれば、複数の指標130の相対位置によって規定される第1図形CA1と複数の角膜反射像113の相対位置によって規定される第2図形CA2との類似度に基づいて、評価データが出力される。これにより、斜視の検査における演算処理の負荷が低減され、検査精度は向上する。
また、本実施形態においては、第1図形CA1と右眼111Rについての第2図形CA2とが比較される。また、第1図形CA1と左眼111Lについての第2図形CA2とが比較される。そのため、右眼111R及び左眼111Lのどちらに斜視の傾向があるか否かを精度良く検査することができる。
また、右眼111R及び左眼111Lのどちらに斜視の傾向があるか否かを精度良く検査することができるため、視線検出処理(ステップS300)の検出精度の低下を抑制することができる。例えば、本実施形態に係る斜視検査処理(ステップS100)において、左眼111Lに斜視の傾向があり、右眼111Rには斜視の傾向がないと判定されたとき、視線検出処理(ステップS300)においては、右眼111Rについての視線検出処理を実施することにより、視線検出処理の検出精度の低下を抑制することができる。
第7実施形態.
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態は、上述の第6実施形態の応用例である。図33、図34、図35、及び図36はそれぞれ、本実施形態に係る被験者の眼111の画像データの一例を示す図である。図33、図34、図35、及び図36は、上述の第6実施形態で説明した、表示画面101Sの複数の位置PD1,PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに表示された指標130を被験者に見せたときの角膜反射中心113Cの位置を示す画像データである。
図33は、斜視の傾向がない被験者に表示画面101Sを見せたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置を示す画像データである。角膜反射中心113Cの位置データは、例えば1秒間に50回取得される。
被験者が表示画面101Sの位置PD1に表示された指標130を見たときの右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置PE1rは、角膜反射中心113Crの密度に基づいて決定される。同様に、被験者が表示画面101Sの位置PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに表示された指標130を見たときの右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置PE2r,PE3r,PE4r,PE5rは、角膜反射中心113Crの密度に基づいて決定される。
被験者が表示画面101Sの位置PD1に表示された指標130を見たときの左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置PE1lは、角膜反射中心113Clの密度に基づいて決定される。同様に、被験者が表示画面101Sの位置PD2,PD3,PD4,PD5のそれぞれに表示された指標130を見たときの左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置PE2l,PE3l,PE4l,PE5lは、角膜反射中心113Clの密度に基づいて決定される。
図34は、斜視の傾向がない被験者の右眼111Rについての位置PE1r,PE2r,PE3r,PE4r,PE5rと、左眼111Lについての位置PE1l,PE2l,PE3l,PE4l,PE5lとを合成した画像データである。図34は、XY平面内において右眼111Rの瞳孔中心112Crの位置と左眼111Lの瞳孔中心112Clの位置とを一致させたときの画像データである。
図34において、斜視の傾向がない被験者については、位置PE1rと位置PE1lとは実質的に一致する。同様に、斜視の傾向がない被験者については、位置PE2rと位置PE2lとが実質的に一致し、位置PE3rと位置PE3lとが実質的に一致し、位置PE4rと位置PE4lとが実質的に一致し、位置PE5rと位置PE5lとが実質的に一致する。
図35は、斜視の傾向がある被験者に表示画面101Sを見せたときの右眼111Rの角膜反射中心113Crの位置及び左眼111Lの角膜反射中心113Clの位置を示す画像データである。図36は、斜視の傾向がある被験者の右眼111Rについての位置PE1r,PE2r,PE3r,PE4r,PE5rと、左眼111Lについての位置PE1l,PE2l,PE3l,PE4l,PE5lとを合成した画像データである。図36に示すように、斜視の傾向がある被験者については、例えば位置PE5rと位置PE5lとがずれる。
以上説明したように、右眼111Rについての位置PE1r,PE2r,PE3r,PE4r,PE5rと、左眼111Lについての位置PE1l,PE2l,PE3l,PE4l,PE5lとを合成した画像データに基づいて、斜視の傾向を評価することができる。
第8実施形態.
第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態は、上述の第6実施形態又は第7実施形態の応用例である。本実施形態においては、表示画面101Sにおいて隣接する指標130の一方から他方へ向かう第1ベクトルYdと、それら指標130を見たときに形成される隣接する角膜反射像113の一方から他方へ向かう第2ベクトルYeとを比較して、第1図形CA1と第2図形CA2との類似度を判定する例について説明する。
図37、図38、及び図39は、本実施形態に係る斜視検査方法の一例を説明するための模式図である。図37は、表示画面101Sにおいて隣接する指標130の一方から他方へ向かう第1ベクトルYdを示す。図38は、斜視の傾向がない被験者が図37に示す指標130を見たときに形成される隣接する角膜反射中心113Cの一方から他方へ向かう第2ベクトルYeを示す。図39は、斜視の傾向がある被験者が図37に示す指標130を見たときに形成される隣接する角膜反射中心113Cの一方から他方へ向かう第2ベクトルYeを示す。
図37において、指標130は、表示画面101Sの位置PDa及び位置PDbに順次表示される。位置PDaに表示される指標130と位置PDbに表示される指標130とは隣接する。位置PDaに表示される指標130から位置PDbに表示される指標130に向かう第1ベクトルYdが規定される。
図38に示すように、斜視の傾向がない被験者が位置PDaに表示される指標130を見たとき、角膜反射中心113Cは位置PEaに形成される。斜視の傾向がない被験者が位置PDbに表示される指標130を見たとき、角膜反射中心113Cは位置PEbに形成される。位置PEaに形成される角膜反射中心113Cと位置PEbに形成される角膜反射中心113Cとは隣接する。位置PEaに形成される角膜反射中心113Cから位置PEbに形成される角膜反射中心113Cに向かう第2ベクトルYeが規定される。
図38に示すように、斜視の傾向がない被験者についての第2ベクトルYeは、第1ベクトルYdと実質的に平行となる。
図39に示すように、斜視の傾向がある被験者が位置PDaに表示される指標130を見たとき、角膜反射中心113Cは位置PEcに形成される。斜視の傾向がある被験者が位置PDbに表示される指標130を見たとき、角膜反射中心113Cは位置PEdに形成される。位置PEcに形成される角膜反射中心113Cと位置PEdに形成される角膜反射中心113Cとは隣接する。位置PEcに形成される角膜反射中心113Cから位置PEdに形成される角膜反射中心113Cに向かう第2ベクトルYeが規定される。
図39に示すように、斜視の傾向がある被験者についての第2ベクトルYeは、第1ベクトルYdと非平行になる可能性が高い。
このように、第1ベクトルYdの向きを基準としたとき、斜視の傾向がない被験者についての第2ベクトルYeの向きと、斜視の傾向がある被験者についての第2ベクトルYeの向きとが異なる可能性が高い。そのため、評価部218は、第1ベクトルYdと第2ベクトルYeとを比較することにより、第1図形CA1と第2図形CA2との類似度を判定することができる。
本実施形態において、評価部218は、第1ベクトルYdと第2ベクトルYeとがなす角度θが閾値以上か否かを判定する。角度θが閾値以上であると判定されたとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向があると判定し、被験者に斜視の傾向があることを示す評価データを出力する。一方、角度θが閾値以上でないと判定されたとき、評価部218は、被験者に斜視の傾向がないと判定し、被験者に斜視の傾向がないことを示す評価データを出力する。
なお、角度θについての閾値は、斜視の傾向がある複数の被験者から取得したデータに基づいて統計的又は経験的に導出され、記憶部220に記憶されている。角度θについての閾値は、例えば15[°]以上45[°]以下に定められる。本実施形態において、角度θについての閾値は、20[°]に定められる。
以上説明したように、第1ベクトルYd及び第2ベクトルYeに基づいて、被験者の視機能が評価されてもよい。本実施形態によれば、斜視の検査についての演算処理の負荷を抑制することができる。
なお、上述の第6実施形態、第7実施形態、及び第8実施形態において、第1図形CA1は、正方形でなくてもよく、長方形でもよいし、平行四辺形でもよいし、台形でもよい。また、第1図形CA1は、四角形でなくてもよく、三角形でもよいし、五角形以上の多角形でもよいし、円でもよいし、楕円でもよい。