JP6766283B1 - 案内機構、情報表示機構、ムーブメント及び時計 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的にカレンダ機構は、日付が表示された日車と、24時間で1回転すると共に日車を1ステップ分(1日分)だけ回転させる日回し車と、日車を適切な位置に規正する日ジャンパ等の規正部材と、を備えている。日車は、地板に対して回転可能に支持されていると共に、内周縁部の全周に亘って内歯を有している。日回し車は、日車の内歯に対して係合可能な日回し爪を有し、日回し爪を介して日車を日送りすることが可能とされている。
従って、日回し車の回転によって、例えば24時に達した時点で日車を1ステップ分だけ回転させて日付の切り換えを行うことが可能とされている。
これにより、日車案内部の案内面を利用して、日車を平面方向に位置決めすることが可能であるうえ、案内面に沿って内歯を摺接させながら日車を回転案内することが可能とされている。
さらに、案内面を有する回転案内部を地板に対して単に組み合わせるだけであるので、従来の転動体等を利用する場合とは異なり、部品点数を抑制することができ、低コスト化及びメンテナンス性の向上化に繋げることができる。それに加えて、従来の転動体等とは異なり、案内面を精度良く加工することが可能であり、加工ばらつき等が生じ難い。
その一方、表示車の回転時に地板の平面方向に表示車が過度にがたつく等した場合には、内歯が案内面から離間するように表示車が意図せずに変位する可能性がある。しかしながら、補助案内部が回転案内部に対して周方向に沿って並ぶように配置されているので、補助案内面に対して内歯を接触させることができ、上述した表示車の意図しない変位を規制することができる。そのうえで、補助案内面に内歯を摺接させることができるので、表示車を適切に回転案内することが可能である。
このように、補助案内部を備えていることで、地板の平面方向に表示車が過度に動いてしまう等の挙動を抑制しつつ、表示車を適切に回転案内させることができる。さらに、表示車に対して意図しない外力が作用した場合であっても、補助案内部を利用して、地板の平面方向に表示車が過度に動いてしまうことを抑制することができる。
(10)本発明に係る時計は、前記ムーブメントを備えていることを特徴とする。
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、時計の一例として、時針、分針及び秒針がムーブメントの中心に配置された中三針の秒針ダイレクト構造とされた機械式時計を例に挙げて説明する。なお、本実施形態の各図では、図面を見易くするために、時計用部品の一部の図示を省略している場合があると共に、各時計用部品を簡略化して図示している場合がある。
なお本実施形態では、ケース裏蓋側(表側)から文字板に向かう方向を上側、その反対側を下側として説明する。従って、地板の厚さ方向が上下方向となる。
文字板4には、後述する日車90に表示された日文字91を明示させる日窓8が開口している。これにより、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
地板11の裏側(すなわち上方)には、分車40、日の裏車60及び筒車50を含む裏輪列12と、カレンダ機構(本発明に係る情報表示機構)13と、日修正機構14とが少なくとも配置されている。裏輪列12は、地板11の裏側に配置された裏物押さえ15と地板11との間に軸支されている。
なお、裏物押さえ15は、後述する日車90の内側に配置されている。さらに裏物押さえ15の裏側には、文字板4がガラス2を通じて視認可能に配置されている。
表輪列16は、地板11よりも表側に配置された輪列受18と地板11の間に配置され、図示しないぜんまいの巻き解けに伴う出力トルクによって回転し、時針5、分針6及び秒針7を運針させる役割を果たしている。この表輪列16は、上記ぜんまいを収容する香箱車、二番車、三番車20及び四番車30を主に備えている。なお、各図面では香箱車及び二番車の図示を省略している。
巻真19は、地板11に形成された図示しない巻真案内穴に回転可能に組み込まれている。巻真19には、図1に示すりゅうず19aが連結されている。これにより、りゅうず19aを介して巻真19を回転操作することが可能とされている。
四番車30は、車軸31と、三番歯車22が噛み合う四番かな32と、四番歯車33とを有している。車軸31は、円筒部25内に設けられた軸受によって回転可能に支持されている。図示の例では、車軸31は上下方向に間隔をあけて配置された2箇所の軸受によって回転可能に支持されている。車軸31の下ほぞ部は、輪列受18に保持された穴石等の軸受によって軸支されている。
これにより、四番車30は、三番車20の回転に伴って中心軸線C回りを回転可能とされている。
従って、時針5は、分車40に取り付けられる分針6よりも文字板4側に位置している。これにより、筒車50の回転によって時針5を直接的に運針させることが可能とされている。なお、時針5は、脱進機17及び調速機によって調速された回転速度、すなわち12時間で1回転する。
図5に示すように、脱進機17は、四番車30の回転に伴って第4軸線O4回りを回転するがんぎ車80と、がんぎ車80を脱進させて規則正しく回転させる図示しないアンクルとを備え、図示しないてんぷからの規則正しい振動で表輪列16を制御する。
なお、本実施形態では、がんぎ車80と四番車30との間に、第3軸線O3回りを回転するがんぎ中間車70を配置し、四番車30の回転力を、がんぎ中間車70を介してがんぎ車80に伝える場合を例にしている。
図3及び図6に示すように、カレンダ機構13は、地板11の裏側(上方)に配置されている。
カレンダ機構13は、日車(本発明に係る表示車)90と、第5軸線O5回りに回転可能に配置され、所定の周期で日車90を中心軸線C回りに回転(日送り)させる日回し車(本発明に係る回し車)100と、筒車50の回転に伴って日回し車100を回転させるための日回し輪列110と、日車90の回転位置を規正する日ジャンパ(規正部材)120と、日車90を中心軸線C回りに回転案内する案内機構130と、を備えている。
ただし、日車90の回転方向は上述した場合に限定されるものではなく、例えば日車90が時計方向に回転することで、日送りを行うように構成しても構わない。
ただし、内歯92の数は31歯に限定されるものではなく、例えば62歯にする等、適宜変更して構わない。この場合には、内歯92の数に対応して、日付1日分における日車90の回転量を適宜変更すれば良い。
また、各内歯92は、日車90の回転方向である反時計方向を向いた第1傾斜面92aと、時計方向を向いた第2傾斜面92bとを備え、径方向の内側に向けて突出した三角形状の歯部とされている。
なお、以下の説明では、ムーブメント10の通常運針時に日回し車100が回転する方向、すなわち反時計方向を正転方向と称する場合がある。
なお、図10及び図11では、日回し車100を下方(ケース裏蓋側)から見ているため、日回し車100の正転方向が図8及び図9等とは逆になっている。
なお、フランジ部208は、歯車本体201の下面との間に間隔をあけた状態で、下面よりも下方に位置していると共に、後述する日回し作動ばね220との干渉を回避するように配置されている。
中心パイプ231は、歯車本体201の貫通孔に第5軸線O5回りに相対回転可能に挿通されていると共に、歯車本体201に対して上下両側に突出している。爪座232は、歯車本体201の上面に重なるように配置されている。爪座232は、中心パイプ231から径方向外側に突出すると共に周方向に沿って全周に延びる円環状に形成されている。
日回し爪240は、上記支軸の回動中心から正転方向(反時計方向)に延びる爪本体241と、回動中心から正転方向とは反対方向(時計方向)に延びるアーム242と、を備えている。
なお、爪本体241は、日回し爪ユニット210が正転方向とは反対方向(時計方向)に回転した際に、日車90における内歯92の第1傾斜面92aに接触することで、上記支軸の回動中心を中心として径方向内側に向かって変位可能とされている。
基部251は、爪座232から上方に突出した支軸に支持されている。ばね体252は、日回し爪240のアーム242に径方向外側から接触しており、弾性復元力によってアーム242を径方向内側に押圧している。これにより、日回し爪240は、アーム242が日回し真230の中心パイプ231の外周面に接触する方向に付勢されている。すなわち、日回し爪240は、爪本体241の先端部が平面視で爪座232から径方向外側に突出する方向に付勢されている。
爪押さえ260の中心には、日回し真230の中心パイプ231の上端部が嵌合される貫通孔が形成されている。これにより、爪押さえ260は、日回し真230に対して一体的に組み合わされている。
なお、爪押さえ260には、日回し爪240及び日回し爪ばね250を支持するそれぞれの支軸との干渉を回避する貫通孔が形成されている。
ピン案内孔271には、日回し歯車200における規制解除ピン203の軸部207の下端部が挿入されている。ピン案内孔271は、規制解除ピン203の第5軸線O5回りの変位を許容するように、第5軸線O5を中心とする円弧状に延びている。ピン案内孔271は、正転方向に設けられた第1周端271aと、日回し車100の正転方向とは反対方向に設けられた第2周端271bと、を備えている。ピン案内孔271の第2周端271bには、規制解除ピン203の軸部207の下端部が位置している。
日回し作動ばね220は、例えば鉄やニッケル等の金属、又はシリコン等の非金属からなる渦巻ばねである。日回し作動ばね220は、外端部及び内端部を相対回転させ、縮径するように巻き締めることによって巻き上げられる。巻き上げられた日回し作動ばね220は、弾性変形することで、外端部と内端部との間にトルクを発生させる。
さらにばね係合部223は、日回し歯車200における第1ばねピン202A及び第2ばねピン202Bに対して係合している。これにより、ばね係合部223は、日回し歯車200に対して正転方向とは反対方向への変位が規制されている。
幅狭部224aの径方向の幅は、ばねピン202の円柱部205の外径と同径とされ、円柱部205を保持することが可能とされている。幅広部224bは、平面視でばねピン202よりも大きく形成され、ばねピン202の鍔部206が上下方向に通過することを許容している。
さらに地板11には、図8に示すように、日回し車100に対して隣接するように、日回し規制ばね290が取り付けられている。なお、図8以外の各図では、日回し規制ばね290の図示を適宜省略している。
さらに日回し規制ばね290は、先端部292が規制ばね係合部272に係合した際、日回し歯車200の規制解除ピン203のフランジ部208が、先端部292に接触可能となるように配置されている。
これにより、筒車50の回転に伴って第1日回し中間車111及び第2中間日回し中間車をそれぞれ回転させることができ、先に述べたように日回し車100を反時計方向に第5軸線O5回りに回転させることが可能とされている。
日ジャンパ120は、支軸を挿通させる挿通孔が形成されたベース部121と、ベース部121に接続されると共に、先端部が自由端とされた日アーム部122と、ベース部121に接続された日ジャンパばね部124と、を備えている。
躍制部123は、日車90の回転方向である反時計方向側を向いた第1係合面123aと、時計方向を向いた第2係合面123bと、を備え、径方向の外側に向けて突出した三角形状に形成されている。そのため、躍制部123は、該躍制部123よりも時計方向側に位置する内歯92に対して、第2係合面123bが該内歯92の第1傾斜面92aに係合すると共に、該躍制部123よりも反時計方向側に位置する内歯92に対して、第1係合面123aが該内歯92の第2傾斜面92b或いは頂点に係合するように、内歯92同士の間に入り込むことが可能とされている。
このように構成された日ジャンパ120によって、日車90は回転位置が規正されている。
図3、図4及び図6に示すように、案内機構130は、所定の周期で中心軸線C回りに回転する日車90を回転案内する役割を担っている。
案内機構130は、地板11とは別体に形成されると共に、日車90の内歯92よりも径方向の内側に配置された状態で地板11に組み合わされた日車案内板(本発明に係る回転案内部)140と、日車案内板140に対して日車90の周方向に沿って並ぶように配置された状態で地板11に設けられた日車補助案内部(本発明に係る補助案内部)150と、を備えている。
本実施形態の日車案内板140は、図3に示すように、中心軸線Cを中心とした略180度の角度範囲に亘って周方向に延びると共に、径方向に沿って所定の幅を有する円弧状に形成された薄板の帯状プレートとされている。
日車案内板140は、日回し車100、日回し輪列110及び日ジャンパ120等に対して、中心軸線C方向から見て、中心軸線Cを挟んで径方向の反対側に位置するように地板11に組み合わされている。この際、図6及び図13に示すように、日車案内板140は、地板11に形成された収容凹部160内に収容された状態で地板11に組み合わされている。
そして、図6に示すように、日車案内板140は、位置決め孔142内に位置決めピン161を挿通させた状態で収容凹部160内に収容され、挿通孔143を通じた連結ねじ162の締付けによって地板11に一体的に組み合わされている。
この点、日車案内板140は、先に述べたように、日ジャンパ120に対して中心軸線Cを挟んで径方向の反対側に案内面141が位置するように組み合わされているので、案内面141に対して日ジャンパ120とは径方向の反対側に位置する内歯92を確実に接触させることができる。
従って、本実施形態の日車90は、この2つの内歯92と案内面141との2箇所の接触位置(P1、P2)と、日ジャンパ120における躍制部123と内歯92との2箇所の係合位置、すなわち躍制部123の第1係合面123aと内歯92との係合位置(P3)及び躍制部123の第2係合面123bと内歯92との係合位置(P4)と、の4点によって、地板11の平面方向に対して位置決めされている。なお、上記4点による日車90の位置決めは、日車90が静止状態にある限り、継続される。
具体的に補助案内面151は、中心軸線Cを中心として日車案内板140における案内面141の半径R2よりも小さい半径R3で形成された曲面とされ、且つ内歯92に対して径方向の内側から向かい合うように形成されている。
本実施形態の日車補助案内部150は、切削加工等によって地板11に一体に形成され、周方向に沿った長さが内歯92の2歯分に相当する長さとなるように形成されている。これにより、補助案内面151は、2つの内歯92に対して径方向の内側から向かい合っている。日車補助案内部150は、日回し車100と日車案内板140との間に位置し、且つ日回し輪列110に対して径方向の外側に位置するように、地板11に形成されている。
図3及び図6に示すように、日修正機構14は、地板11の上方に配置され、日車案内板140及び日の裏輪列12の間の領域に配置されている。
日修正機構14は、巻真19の軸方向の移動に伴って揺動軸線S回りを揺動可能とされた揺動プレート170と、揺動プレート170に回転可能に支持された第1日の裏中間車171と、揺動プレート170に回転可能に支持されると共に第1日の裏中間車171に噛合する第2日の裏中間車172と、地板11と裏物押さえ15との間に回転可能に支持されると共に、第2日の裏中間車172に噛合する日修正中間車173と、地板11と裏物押さえ15との間に回転可能に支持されると共に、日修正中間車173に噛み合う日修正車174と、を備えている。
なお、図3及び図6では、第1日の裏中間車171と日の裏歯車62との噛み合いが解除されている場合を図示している。
従って、巻真19を2段位置に引き出した状態で回転操作することで、つづみ車、小鉄車及び第2日の裏中間車172を介して第1日の裏中間車171を回転させることができ、これにより日の裏歯車62を回転させることが可能とされている。その結果、日の裏歯車62に噛み合っている分車40及び筒車50を回転させて、時刻修正を行うことが可能とされている。
次に、上述のように構成された時計1の作用について説明する。
本実施形態の時計1によれば、ぜんまいからの動力を利用して、表輪列16及び裏輪列12が規則正しく回転制御されながら、二番車、三番車20を順に回転させることができる。そのため、三番車20の回転に伴って、四番車30及び分車40を回転させることができると共に、日の裏車60を介して筒車50を回転させることができる。これにより、秒針7、分針6及び時針5をそれぞれ運針させることができる。
従って、日車90はがたつき少なく安定した状態で保持され、例えば日窓8から日文字91が位置ずれすることなく、日文字91を明瞭に視認することができる。
その結果、日回し作動ばね220は、日回し爪ユニット210を反時計方向に付勢するトルクを増大しながら巻き上げられる。
これにより、日回し規制ばね290と規制ばね係合部272との係合を解除することができる。なお、例えば午前0時前後に達した時点で、日回し規制ばね290と規制ばね係合部272との係合が解除するように、日回し車100が設計されている。
さらに、2つの内歯92と日車案内板140における案内面141との2箇所の接触位置(P1、P2)、及び日ジャンパ120における躍制部123と内歯92との2箇所の係合位置(P3、P4)の4点接触によって、日車90を地板11の平面方向に対して位置決めした状態で静止させることができる。
なお、日車90を日送りする場合であっても、図16に示すように、日ジャンパ120における躍制部123と内歯92とが接触しているので、該接触位置(P5)と、2つの内歯92と日車案内板140における案内面141との2箇所の接触位置(P1、P2)との3点接触によって日車90を地板11の平面方向に位置決めすることができる。
また、本実施形態のカレンダ機構13によれば、上記案内機構130によって日車90を長期に亘って安定且つ精度良く回転案内することができるので、日文字91を例えば文字板4の日窓8からずれることなく精度良く表示することができる。従って、カレンダ機構13を備えているムーブメント10及び時計1によれば、高品質且つ高性能なムーブメント及び時計とすることができる。
さらに日ジャンパ120の位置を考慮しながら、機能上必要な範囲に案内面141を的確に位置させているので、地板11の他の領域(スペース)に各種の時計用部品を無駄なく配置することができ、ムーブメント10の小型化及び薄型化に貢献することもできる。
例えば日車90の回転時に、地板11の平面方向に日車90が過度にがたつく等した場合には、内歯92が日車案内板140の案内面141から離間するように日車90が意図せずに変位する可能性がある。しかしながらこの場合には、補助案内面151に対して内歯92を接触させることが可能であり、日車90の意図しない変位を規制することができる。そのうえで、補助案内面151に内歯92を摺接させることができるので、日車90を適切に回転案内することが可能である。
ただし、日車補助案内部150は地板11に一体に形成されている必要はなく、例えば地板11とは別体に日車補助案内部150を形成したうえで、地板11に一体に組み合わせても構わない。
上記第1実施形態において、日車案内板140を地板11よりも硬度が高い高硬度材料で形成することが好ましい。
例えば、地板11を一般的に用いられる真鍮等の銅系の金属材料で形成し、日車案内板140を例えば炭素鋼、ステンレス、セラミックス等の高硬度材料で形成することが好ましい。このようにすることで、案内面141を含めて日車案内板140の全体を硬く形成することができ、摩擦力に対する耐性が高めることができる。そのため、内歯92との接触、衝突、摺接等によって案内面141に傷や変形等が生じてしまい難く、案内面141を含む日車案内板140の劣化をさらに抑制することができる。
具体的には、例えばフッ素樹脂コーティング等の表面潤滑処理を行って、フッ素樹脂(テフロン(登録商標)樹脂等)によって被覆層180を形成しても構わないし、テフロン(登録商標)メッキ処理等の表面潤滑処理を行って被覆層180を形成しても構わない。
なお、先に述べたように日車案内板140自体を炭素鋼等の高硬度材料で形成したうえで、日車案内板140の全体にテフロン(登録商標)メッキ処理を施すことが、より好ましい。
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、周方向に沿って延びる1枚の日車案内板140を地板11に組み合わせたが、第2実施形態では複数の日車案内板を地板11に組み合わせている。
なお、図18では、第1日車案内板191、第2日車案内板192、第3日車案内板193、日車90、日ジャンパ120を主に図示し、それ以外の時計用部品について図示を省略している。
第1日車案内板191及び第2日車案内板192は、日ジャンパ120に対して、中心軸線C方向から見て、中心軸線Cを挟んで径方向の反対側に位置すると共に、周方向に間隔をあけて配置されている。第3日車案内板193は、第2日車案内板192よりも時計方向側に位置している。
同様に、第2日車案内板192及び第3日車案内板193の外周面は、それぞれ、中心軸線Cを中心として内歯92における歯先の回転軌跡Mの半径R1以下の半径R2で形成され、少なくとも2歯以上の内歯92に対して径方向の内側から向かい合う案内面195とされている。
特に、第1日車案内板191及び第2日車案内板192が、日ジャンパ120に対して中心軸線Cを挟んで径方向の反対側に案内面195が少なくとも位置するように配置されている。従って、日車90は、日ジャンパ120によって付勢されている静止状態において、第1日車案内板191に向かい合っている内歯92の1つが案内面195に対して確実に接触し、且つ第2日車案内板192に向かい合っている内歯92の1つが案内面195に対して確実に接触している。
それに加え、日車90を、2つの内歯92と案内面195との2箇所の接触位置(P1、P2)、及び日ジャンパ120における躍制部123と内歯92との2箇所の係合位置(P3、P4)の4点接触によって、地板11の平面方向に対して位置決めすることができる。
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
突出片300は、日車案内板140の外周縁部に沿って形成されていると共に、案内面141よりも上方に位置するように、径方向の外側に向けて鍔状に突出している。これにより、突出片300は、内歯92の上方に位置すると共に、内歯92における少なくとも歯先側を上方から覆うように配置されている。
M…回転軌跡
1…時計
10…ムーブメント
11…地板
13…カレンダ機構(情報表示機構)
90…日車(表示車)
92…内歯
100…日回し車(回し車)
120…日ジャンパ(規正部材)
130、190…案内機構
140…日車案内板(回転案内部)
141、195…案内面
150…日車補助案内部(補助案内部)
151…補助案内面
180…被覆層
240…日回し爪(回し爪)
300…突出片
Claims (10)
- 複数の内歯を有し、且つ情報が表示された環状の表示車を、所定の周期で軸線回りに回転案内する案内機構であって、
地板とは別体に形成されると共に、前記内歯よりも前記表示車の径方向の内側に配置された状態で前記地板に組み合わされた回転案内部を備え、
前記回転案内部は、前記地板の厚さ方向において前記内歯と同一高さに位置する案内面を有し、
前記案内面は、前記軸線を中心として、前記内歯における歯先の回転軌跡の半径以下の半径で形成された曲面とされると共に、少なくとも2歯以上の前記内歯に対して前記径方向の内側から向かい合い、
前記回転案内部は、前記地板よりも硬度が高い高硬度材料で形成されていることを特徴とする案内機構。 - 請求項1に記載の案内機構において、
前記回転案内部には、少なくとも前記案内面に前記地板よりも摩擦係数が小さい被覆層が形成されている、案内機構。 - 請求項1又は2に記載の案内機構において、
前記回転案内部に対して前記表示車の周方向に沿って並ぶように配置された状態で、前記地板に設けられた補助案内部を備え、
前記補助案内部は、前記地板の厚さ方向において前記内歯と同一高さに位置する補助案内面を有し、
前記補助案内面は、前記軸線を中心として、前記案内面の半径よりも小さい半径で形成された曲面とされると共に、前記内歯に対して前記径方向の内側から向かい合っている、案内機構。 - 請求項3に記載の案内機構において、
前記補助案内部は、前記地板に一体に形成されている、案内機構。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の案内機構において、
前記回転案内部は、前記内歯に対して前記地板の厚さ方向に重なるように前記径方向の外側に向けて突出し、前記厚さ方向への前記表示車の位置規正を行う突出片を備えている、案内機構。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の案内機構と、
前記表示車と、
前記内歯に対して噛合可能な回し爪を有し、所定の周期で前記表示車を前記軸線回りに回転させる回し車と、
前記表示車に対して前記径方向の外側に向けた規正力を付勢して、前記表示車の回転位置を規正する規正部材と、を備えていることを特徴とする情報表示機構。 - 請求項6に記載の情報表示機構において、
前記回転案内部は、前記規正部材に対して前記軸線を挟んで前記径方向の反対側に前記案内面が少なくとも位置するように配置されている、情報表示機構。 - 請求項6又は7に記載の情報表示機構において、
前記表示車は、前記情報として日文字を表示する日車とされていることを特徴とする情報表示機構。 - 請求項6から8のいずれか1項に記載の情報表示機構を備えていることを特徴とするムーブメント。
- 請求項9に記載のムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
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