JP6765360B2 - 構造体の製造方法、及び構造体 - Google Patents

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本発明は、構造体の製造方法、及び構造体に関する。
機械部品の一製造方法である鋳造では、まず、製品の模型となる木型(金属、樹脂の場合もある)を製作し、その木型を基に砂型を造り、この砂型に溶融鋳鉄を流し込むことで、砂型のキャビティ内に鋳物品を形成する。しかし、このような鋳造においては、木型や砂型の製作に多くの工数を要し、完成品を得るまでのリードタイムが長くなる。更に、少量生産の場合には、木型や砂型のコストが製品に付加されて製造コストが嵩む要因となっていた。
一方、新規な生産手段として3Dプリンタを用いた造形のニーズが高まっており、金属材料を用いた造形の実用化に向けて研究開発が進められている。金属材料を造形する3Dプリンタは、レーザや電子ビーム、さらにはアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させることで造形物を作製する。
このような溶融金属を積層して造形物を造形する技術として、溶着ビードを用いて金型を製造するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、金型の形状を表現する形状データを生成する工程と、生成された形状データに基づいて、金型を等高線に沿った積層体に分割する工程と、得られた積層体の形状データに基づいて、溶加材を供給する溶接トーチの移動経路を作成する工程と、を備える金型の製造方法が記載されている。
特許文献2には、金属積層造形法を用いて中空部を有する金属成形体を製造し、この金属成形体を鋳包んで中空部が外部と連通した鋳造品を製造する製造方法が記載されている。
特許第3784539号公報 特開2014−113610号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、機械部品を大量に生産するための金型の製造方法に関するものであり、機械部品の製造、特に、少量生産される機械部品の製造方法については記載されていない。特許文献2の技術によると、金属積層造形法によって形成された金属成形体を鋳包んで、中空部を有する鋳物品を製造するため、金属成形体を鋳包むための砂型や砂型を製作するための木型が不可欠であり、リードタイムが長くなる。また、少量生産時には、木型や砂型のコストについての課題が残る。
更に、図11Aに示すような突起部81を有する部品83を鋳造する場合、突起部81等の形状変化が激しい箇所には、鋳造欠陥(引け巣、ガス)を発生させないように、押し湯を設ける必要がある。また、この状態では突起部81が鋳型と干渉し、鋳型から模型(例えば木型)が抜けなくなるため、部品83の形状を工夫する必要がある。例えば、図11Bに示すように、突起部81Aにおける模型を抜く方向Vの前方側を、部品83に連続して接続されるように形成する。つまり、突起部81Aを、模型の抜き方向Vに沿った楔形に形成することで抜き取り可能にする。しかし、その場合には、鋳造後に余剰となる領域85を切削加工等の追加の工程で除去する必要がある。
このように、突起部81を有する部品83の場合、鋳造時に押し湯を設置する時間やコストが増加し、また、そのままの部品形状では鋳造ができない場合には、追加の工程が必要となってしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造体を製造する際のリードタイムを短縮すると共に、製造コストを低減できる構造体の製造方法、及び構造体を提供することにある。
本発明は下記構成からなる。
(1) 構造体の製造方法であって、
アークを用いて溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを、ベース上に積層し、前記構造体の外殻を積層造形する外殻造形工程と、
前記外殻の内側空間に鋳湯を流し込み、前記外殻の内側に鋳物部を形成する鋳造工程と、
を有する構造体の製造方法。
(2) 溶加材の溶融凝固体である溶着ビードが積層された外殻と、
前記外殻の内側に形成された鋳物部と、
を備える構造体。
本発明によれば、構造体を製造する際のリードタイムを短縮すると共に、製造コストを低減できる。
本発明の構造体の製造システムを模式的に示す概略構成図である。 積層造形体の形状データに基づく形状モデルを示す説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。 第1構成例の構造体の斜視図である。 ベースプレート上に第1層目の移動軌跡に沿ってトーチを移動させ、第1層目の溶着ビードを形成した状態を示す工程説明図である。 積層造形法により作成された外殻、内殻、及び仕切壁を有する積層造形体の斜視図である。 図6に示す積層造形体の仕切壁のみを示す部分斜視図である。 仕切壁の連通孔に鋳湯が流れ込んで仕切壁の表裏両面で一体化された鋳物部を示す拡大断面図である。 第3構成例の構造体の斜視図である。 第4構成例の構造体の一部を示す斜視図である。 突起部を有する従来の部品を示す模式的な説明図である。 突起部を鋳型から抜けるようにした従来の部品の模式的な説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の構造体は、構造体の外側壁となる外殻を後述する積層造形により形成し、形成した外殻の内側に画成される内側空間に鋳湯を流し込み、外殻の内側に鋳物部を形成することで製造される。
図1は本発明の構造体の製造システムを模式的に示す概略構成図である。
本構成の製造システム100は、積層造形装置11と、鋳造装置13と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ15と、を備える。コントローラ15は、鋳造装置13を含めて制御するものであってもよい。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17を有する溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部23とを有する。
鋳造装置13は、不図示の加熱炉によって加熱された鋳湯25を貯留するるつぼ27を有し、不図示の注湯機構によって鋳湯25が所望の位置に供給可能となっている。これら積層造形装置11と鋳造装置13は、本構成においては、それぞれ既存の装置が用いられる。
コントローラ15は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、先端軸に設けたトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する積層造形体Wに応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合には、シールドノズルの内部にコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生させる。なお、溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により溶加材供給部23からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、ベースプレート41上に溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビード43が形成される。
CAD/CAM部31は、作製しようとする構造体の外殻となる積層造形体Wの形状データを作成した後、複数の層に分割して各層の形状を表す層形状データを生成する。軌道演算部33は、生成された層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を求める。記憶部35は、生成された層形状データやトーチ17の移動軌跡等のデータを記憶する。
制御部37は、記憶部35に記憶された層形状データやトーチ17の移動軌跡に基づく駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19を駆動する。
本構成の構造体の製造システム100は、積層造形装置11により、上記した積層造形体Wをベースプレート41上に造形する。即ち、溶加材Mを溶融及び凝固させた溶着ビード43を、ベースプレート41上において、平面視で閉じられた線状の形にする。この溶着ビード43を順次に積層することで、溶着ビード43を隙間のない連続した状態で、閉じられた線状の層にして形成し、この線状の層を上下方向に隙間なく積層して、有底筒状の積層造形体Wを造形する。なお、ベースプレート41は、鋼板等の金属板からなり、基本的には積層造形体Wの底面(最下層の面)より大きいものが使用される。なお、ベースプレート41は、板状に限らず、ブロック体や棒状等、他の形状のベースであってもよい。
そして、鋳造装置13は、造形された積層造形体Wの内側空間45に鋳湯25を流し込む。流し込んだ鋳湯25が凝固すると、積層造形体Wの内側空間45に鋳物部47が形成された構造体が得られる。
次に、本構成の製造システム100により積層造形体Wを造形し、更に鋳物部47を形成して構造体を得るまでの具体的な手順について詳述する。
図2は積層造形体Wの形状データに基づく形状モデルWaを示す説明図である。
まず、コントローラ15は、溶接ロボット19により積層造形体Wを造形させる駆動プログラムを作成する。
CAD/CAM部31には、作製しようとする構造体の形状データが入力される。CAD/CAM部31は、構造体の形状データから、構造体の外殻となる積層造形体Wの形状モデルWaを生成する。そして、積層造形装置11による1回の溶着ビード形成によって得られる1層分の高さをHとし、形状モデルWaの高さH毎の層形状データ49を生成する。
つまり、ベースプレート41から高さHの層P(1)における形状モデルWaの断面形状を表す層形状データ49を、形状モデルWaの形状データから解析的に求めて生成する。同様に、高さ2Hの層P(2)、高さ3Hの層P(3)、そして、高さnHの層P(n)から層形状データ49を生成する。生成された層P(1)〜P(n)の層形状データ49は、図1に示す軌道演算部33に送られる。
軌道演算部33は、入力された層形状データ49に基づいてトーチ17の移動軌跡T(1)〜T(n)を演算する。移動軌跡T(1)〜T(n)は、例えば、始端点、終端点、及び始端点から終端点までの移動経路を含む座標データやベクトルデータとして求められる。軌道演算部33は、各層形状データ49から求めた移動軌跡に沿ってトーチ17を移動させる溶接ロボット19の駆動プログラムを生成する。生成された駆動プログラムは、記憶部35に保存される。
つまり、軌道演算部33は、互いに平行で等間隔な複数の層P(1)〜P(n)の層形状データ49から移動軌跡T(1)〜T(n)を求める。そして、軌道演算部33は、各移動軌跡T(1)〜T(n)に沿ってトーチ17を移動させる溶接ロボット19の駆動プログラムを生成する。
次に、制御部37は、生成された駆動プログラムに基づいて溶接ロボット19を駆動する。
図3A〜図3Dは構造体を積層造形する手順を段階的に示す工程説明図である。
図1に示す溶接ロボット19により、図3Aに示すトーチ17を図2に示す移動軌跡T(1)に沿って移動させて、ベースプレート41上に第1層目の溶着ビード43を形成する。続いて、溶接ロボット19がトーチ17を移動軌跡T(2)に沿って移動させ、第2層目の溶着ビード43を形成し、最終的に図3Bに示すように、第n層目の溶着ビード43を形成する。これにより、積層造形体Wが造形される(外殻造形工程)。
次に、図1に示するつぼ27を、不図示の注湯機構により積層造形体Wの位置まで移動させて、鋳湯25を積層造形体Wの内側空間45に流し込む。この工程は、コントローラ15によらずに、人手を介して行うものであってもよい。
そして、図3Cに示すように、積層造形体Wの内側空間45に流し込んだ鋳湯を凝固させて、鋳物部47を形成する(鋳造工程)。その後、必要に応じて、図3Dに示すようにベースプレート41を切り離す(ベースプレート切断工程)。以上の工程により、線状の溶着ビード層が積層された外殻と、この外殻の内側空間に設けられた鋳物部47と、を備える構造体51が得られる。
なお、ベースプレート41として、第1層目の移動軌跡T(1)の形状と同じ外縁形状を有する板材を用い、第1層目の溶着ビード43をベースプレート外縁に沿って形成してもよい。その場合、構造体51からベースプレート41が殆ど突出しないため、ベースプレート41を切り離す工程を省略することができる。
積層造形体Wからのベースプレート41の切り離し工程は、ベースプレート41との界面ではなく、ベースプレート41の近傍となる2,3層の溶着ビード43を含めて切り離す工程としてもよい。ベースプレート41の近傍では、ベースプレート41からの抜熱効果が高いため、残留応力が大きくなる傾向がある。一方、3層目以降の溶着ビード43では、次層の積層により焼鈍されて残留応力が緩和される。そのため、ベースプレート41の近傍の数層の溶着ビード43を含めて切り離すことで、残留応力の影響を意識しなくて済む。
また、上記の図3A〜図3Dに示す積層造形体Wは、溶着ビード43を円形状に積層する例であるが、螺旋状に連続積層してもよい。即ち、前層の溶着ビード43の終端点と次層の溶着ビード43の始端点とを連続させて造形することで、トーチを停止させることなく、連続して溶着ビード43を形成できる。これによれば、タクト時間を短縮でき、均質な溶着ビード43で積層造形体Wを造形できる。
上記工程によれば、構造体51の外殻のみが溶着ビード43で積層造形され、外殻の内側空間45が鋳物部47で充填される。そのため、構造体51の全体を積層造形する場合と比較して、積層造形に必要となる工程を大幅に軽減できる。また、外殻を積層造形することにより、鋳造の型製作工程やそのための費用を不要にできる。このため、鋳造工程を簡略化でき、構造体を製造するリードタイムを短縮できる。
また、溶着ビード43の積層によって外殻を任意形状に造形できるため、構造体51の形状の設計自由度が向上する。よって、鋳造により構造体を作製する場合に、型の製作が煩雑となる複雑形状の構造体であっても、簡単に構造体を作製できる。例えば、積層造形体Wが高さ方向に形状が異なる中空形状やオーバーハング等を有する複雑な形状であっても、簡単に造形できる。また、積層造形体Wの内側空間に、狭細な部位が存在しても、鋳湯が流動可能であれば内側空間45に鋳湯を隙間なく充填でき、確実に意図通りの鋳物部47を形成できる。
更に、溶着ビード43により造形される外殻の表面には、層単位の凹凸形状が形成されるため、鋳物部47と外殻との接合強度が向上し、構造体51自体の機械的強度が高められる。
そして、積層造形体Wの内側空間45に積層材料(溶加材M)より安価な材料を鋳込むことで、比較的高価な積層材料の使用が積層造形体Wのみで済む。そのため、構造体51の全てを積層材料で製作する場合と比較して、材料費を抑え、製造コストを低減できる。
次に、上記した構造体の製造方法により作製される構造体の具体例を説明する。
<第1構成例>
図4は第1構成例の構造体の斜視図である。
本構成の構造体51Aは、ギヤポンプの外筒として使用される中空のケーシングである。この構造体51Aは、積層造形体Wと、積層造形体Wの内側空間45に鋳湯を流し込んで凝固させた鋳物部47Aとを有する。
積層造形体Wは、ギヤポンプの外筒の骨格を形成する断面略楕円形の外殻55と、外殻55の内側に形成された内殻57とを有する。内殻57は、2つの円筒体が互いの半径距離よりも近くに配置されて一つの内壁部として繋がった形状を有する。一対の部分円筒状の内壁部に画成された中空空間には、それぞれポンプのロータが挿入され、内壁部の内側面がロータの対向面となる。
更に積層造形体Wは、外殻55と内殻57との間の空間を複数のブロックに分割する仕切壁59を有する。仕切壁59は、図4に示す上下方向(高さ方向)に連続していてもよく、複数に分断されていてもよい。仕切壁59は、外殻55と内殻57とを連結して、積層造形体Wの強度を高めている。
上記構成の構造体51Aは、前述の図3A〜図3Dに示す手順によって作製される。即ち、図1に示すCAD/CAM部31が、構造体51Aの形状データを有し、この形状データに基づいて、図2に示す互いに平行に分割された各層P(1),P(2),…,P(n)の層形状データを生成する。そして、軌道演算部33が、各層形状データに基づいて、各層P(1),P(2),…,P(n)におけるトーチ17(図1参照)の移動軌跡T(1),T(2),…,T(n)を生成し、溶接ロボット19の駆動プログラムを生成する。そして、制御部37は、生成された駆動プログラムに基づいて溶接ロボット19を駆動する。
図5はベースプレート41上に第1層目の移動軌跡T(1)に沿ってトーチ17を移動させ、第1層目の溶着ビード43を形成した状態を示す工程説明図である。
この場合、溶加材Mとベースプレート41がアークにより溶融して、溶加材Mがベースプレート41上に***して盛り付けられる。ベースプレート41上の外殻55、内殻57、仕切壁59となる第1層目は、軌道演算部33により求めた適宜な順序で形成される。
移動軌跡としては、溶着ビード43を形成する経路を連続させることが、溶着ビード43が均質になりやすく、且つ1層当たりの形成時間を短縮できるため、生産効率の観点から好ましい。本例の場合、第1層目における外殻55を形成するパスと、内殻57を形成するパスと、複数の仕切壁59を形成するパスとの組み合わせで、第1層目の溶着ビード43の形成が行える。上記順の他、極力少ないパス数となるように溶着ビード43を形成する方式を採用してもよい。
以降、同様にして、移動軌跡T(2),…,T(n)に沿ってトーチ17を移動させ、複数の層P(1),P(2),…,P(n)の溶着ビード43を順次積層する。これにより、図6に示す外殻55と、外殻55の内側に配置された内殻57と、外殻55と内殻57との間に配置される仕切壁59と、が上記した積層方法による外殻造形工程、内殻造形工程、仕切壁造形工程によって積層造形体Wが得られる。
そして、図4に示すように、積層造形体Wの外殻55と内殻57と仕切壁59とによって画成される内側空間45に、鋳湯25を流し込んで凝固させ、鋳物部47Aを形成する。また、図6に示すベースプレート41は、ワイヤーソーやダイヤモンドカッター等による切断機で切断される。これにより、所望の形状の構造体51Aが得られる。
本構成の構造体51Aによれば、積層造形体Wが溶着ビード43の積層によって成形されるので、鋳造のための型作製が不要となり、鋳造工数や型材料のコストを低減できると共に、構造体51Aを製造するリードタイムが短縮される。また、比較的高価な積層材料の使用が外殻55、内殻57、仕切壁59だけで済み、材料費を抑えて製造コストを低減できる。
<第2構成例>
図7は図6に示す積層造形体の仕切壁のみを示す部分斜視図である。
本構成の積層造形体の仕切壁59Aは、複数の連通孔61を有する。その他の構成は第1構成例と同様である。連通孔61は、仕切壁59Aの長手方向に沿って等間隔に配置されることが好ましい。このように仕切壁59Aに連通孔61を形成することで、鋳湯を積層造形体の内側空間に流し込んだ際、図8に示すように、鋳湯が連通孔61に流れ込み、仕切壁59Aの表裏両面を一体化した鋳物部47Aが形成される。これによれば、外殻55及び内殻57に接続された仕切壁59Aと、鋳物部47Aとの接合強度がより向上し、構造体の強度向上が図れる。
連通孔61は、積層造形体の造形と同時に形成することが好ましい。また、これに限らず、ドリル等のツールが挿入可能であれば、造形後に機械加工によって形成してもよい。また、予め連通孔が設けられた板材を外殻55と内殻57とに接合することであってもよい。その場合、移動軌跡の演算やトーチ移動の煩雑化が軽減される。
また、仕切壁59Aに連通孔61が形成されることで、鋳湯を外殻55と内殻57との間に流し込む際に、仕切壁59Aの連通孔61を通じて、仕切壁59Aによって分割された複数の内側空間に、順次に鋳湯が流れ込む。そのため、給湯位置を固定しても、鋳湯を外殻55と内殻57と仕切壁59Aで画成された各内側空間へ均等に供給でき、鋳造装置13の構成を簡単化できる。
<第3構成例>
図9は第3構成例の構造体の斜視図である。
本構成の構造体51Bは、第1構成例に示すケーシングを、冷却用の空洞部が形成された冷却ジャケットとした構成例である。
この構造体51Bは、積層造形体Wとして、前述した外殻55と、内殻57と、仕切壁59とを備え、更に、外殻55と内殻57との間の空間内に形成され、冷却媒体を流動させる冷却管路65を備える。冷却管路65は、連続する一対の仕切壁59A,59Bにより構成され、外殻55、内殻57、及び仕切壁59と同様に、溶接ビードを積層して造形される。
そして、積層造形体Wの外殻55と内殻57と仕切壁59と冷却管路65とによって画成される内側空間45のうち、冷却管路65内以外の内側空間に、鋳湯25を流し込んで凝固させる。これにより、外殻55と内殻57との間に、冷却管路65を残して鋳物部47Bが形成される。
本構成の構造体51Bのように、画成された内側空間45に、鋳湯25を流し込む箇所と、流し込まない箇所を設けることで、簡単に空洞部(冷却管路65内部)を形成できる。
<第4構成例>
図10は第4構成例の構造体の一部を示す斜視図である。
本構成の構造体51Cは、第1〜第3構成例に示す構造体のケーシングの壁部71の一部に、溶着ビードの積層方向に交差する方向へ突出する突起部73、及び鍔部75が設けられている。
構造体51Cに突起部73が存在すると、これを通常の鋳造で作製する場合、鋳型から模型(木型等)が抜けなくなる(図示例では上下方向を抜き方向とする)。このような通常の鋳造が不可能な構造であっても、上記した構造体の製造方法によれば、未充填防止のための無駄な押し湯を省略でき、鋳造後の追加加工が不良となるため、構造体51Cを容易に作製できる。
突起部73は、図示した円筒形状に限らず、任意の形状が選択できる。突起部73の配置は、構造体51Cにおける前述した外殻、内殻、仕切壁等、いずれの部位であってもよく、複数の突起部73を配置した構成であってもよい。
また、鍔部75は、構造体51Cの頂部に設けた構成の他、壁部71の底部や他の部位に設けた構成であってもよい。
なお、構造体51Cは、壁部71に突起部73のみが設けられた構成であっても通常の鋳造が困難になるが、その場合でも、上記した構造体の製造方法によって容易に作製可能となる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
また、上記の製造方法では、アーク放電により溶接ワイヤを溶解して溶着ビードを形成しており、低コストで構造体を作製できる。なお、溶着ビードは、アーク放電とレーザとを併用した加熱方式を採用してもよい。その場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶着ビードの状態をより適正に維持して、積層造形体の更なる品質向上に寄与できる。
更に、上記の説明では、溶着ビードを一つの閉じられた線状にした層を形成した構成を示しているが、溶着ビードによる閉じられた線は、複数箇所に存在してもよい。また、閉じられた線状の層において、溶着ビードによる線の外側や内側に更に延出する溶着ビード部分が存在してもよい。いずれの場合でも、閉じられた領域内にそれぞれ鋳湯を流し込むことで、より複雑な形状の構造体を作製できる。この場合の閉じられた領域とは、円形や楕円形に限らず、正方形、長方形、多角形等の任意の形状とすることができる。
また、上記の説明では、一本の線状の溶着ビードにより積層造形体を造形しているが、ウィービング動作のようにトーチを揺動させながら溶着ビードを形成したり、溶接ロボット19の駆動により、円や三角等の軌跡を描かせながらトーチを移動させたりしてもよい。その場合、溶着ビード幅を増加させて、外殻、内殻、仕切壁の厚さを任意に調整できる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 構造体の製造方法であって、
アークを用いて溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを、ベース上に積層し、前記構造体の外殻を積層造形する外殻造形工程と、
前記外殻の内側空間に鋳湯を流し込み、前記外殻の内側に鋳物部を形成する鋳造工程と、
を有する構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、構造体の外殻を形成するための木型等の製作が不要となり、型製作の工程及び費用を削減できる。また、構造体を製造するリードタイムを大幅に短縮し、製造コストを低減できる。
(2) 前記構造体は、前記外殻の内側に形成された内殻を備え、
前記ベース上に、前記内殻の形状に沿って前記溶着ビードを積層して、前記内殻を積層造形する内殻造形工程を有し、
前記鋳造工程は、前記外殻と前記内殻との間の前記内側空間に前記鋳湯を流し込む(1)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、外殻と内殻とを有する中空形状の構造体の製造が可能となる。
(3) 前記外殻と前記内殻とは、前記溶着ビードを前記ベース上でそれぞれ閉じられた線状にして形成される(2)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、外殻と内殻とが、溶着ビードが閉じられた線状の層として形成され、これにより、任意の形状の外殻と内殻を形成できる。
(4) 前記外殻と前記内殻との間に配置され前記内側空間を複数の空間に分割する仕切壁を、前記溶着ビードを積層して造形する仕切壁造形工程を有する(2)又は(3)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、仕切壁の配置によって強度の高い中空形状の構造体を製造できる。
(5) 前記仕切壁は、前記鋳湯を連通させる連通孔を有する(4)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、鋳湯が連通孔に流れ込み、仕切壁と鋳物部とが強固に結合して、構造体の強度が向上する。
(6) 前記連通孔を、前記溶着ビードの形成途中で空隙を設けて形成する(5)に記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、連通孔を溶着ビードの積層と同時に形成することで、連通孔を簡単に形成できる。
(7) 前記外殻、前記内殻、前記仕切壁の少なくともいずれかに、前記溶着ビードの積層方向に交差する方向へ突出する突起部を形成する(4)〜(6)のいずれか一つに記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、通常の鋳造では、突起部が鋳型と干渉して模型(木型等)が抜けなくなる構造であっても、これを容易に形成すすることができる。
(8) 前記鋳造工程の後に前記ベースを切断するベース除去工程を有する(1)〜(7)のいずれか一つに記載の構造体の製造方法。
この構造体の製造方法によれば、ベースを除去することで、溶着ビードの積層構造体と鋳物部のみからなる構造体が得られる。
(9) 溶加材の溶融凝固体である溶着ビードが積層された外殻と、
前記外殻の内側に形成された鋳物部と、
を備える構造体。
この構造体によれば、外殻の内側に鋳物部が形成された構成のため、全体を溶着ビードにより形成された場合と比較して、工数と材料コストを削減できる。また、全体を鋳物で形成する場合と比較して、型製作に要する工数と材料コストを削減できる。
(10) 前記外殻の内側に、前記溶着ビードが積層された内殻を更に備え、
前記鋳物部が、前記外殻と前記内殻との間に形成された(9)に記載の構造体。
この構造体によれば、外殻と内殻との間に鋳物部を有する中空形状の構造体を低コストで簡単に提供できる。
(11) 前記外殻と前記内殻との間に配置され、前記外殻と前記内殻とを連結する仕切壁を備える(10)に記載の構造体。
この構造体によれば、仕切壁によって構造体の強度が高められる。
(12) 前記外殻、前記内殻、前記仕切壁のいずれかの部位に、前記溶着ビードの積層方向に交差する方向へ突出する突起部を有する(11)に記載の構造体。
この構造体によれば、通常の鋳造では、突起部が鋳型と干渉して模型(木型等)が抜けなくなる構造であっても、これを容易に形成することができる。
(13) 前記外殻と前記内殻は、前記溶着ビードによる閉じられた線状の層が積層されてなる(10)〜(12)のいずれか一つに記載の構造体。
この構造体によれば、溶着ビードが閉じられた線状の層として形成され、これにより、任意の形状の外殻と内殻を形成できる。
25 鋳湯
41 ベースプレート(ベース)
43 溶着ビード
45 内側空間
47,47A,47B 鋳物部
51,51A 構造体
55 外殻
57 内殻
59,59A,59B 仕切壁
61 連通孔
73 突起部
M 溶加材
W,W、W 積層造形体

Claims (13)

  1. 構造体の製造方法であって、
    アークを用いて溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを、ベース上に積層し、前記構造体の外殻を積層造形する外殻造形工程と、
    前記外殻の内側空間に鋳湯を流し込み、前記外殻の内側に鋳物部を形成する鋳造工程と、
    を有する構造体の製造方法。
  2. 前記構造体は、前記外殻の内側に形成された内殻を備え、
    前記ベース上に、前記内殻の形状に沿って前記溶着ビードを積層して、前記内殻を積層造形する内殻造形工程を有し、
    前記鋳造工程は、前記外殻と前記内殻との間の前記内側空間に前記鋳湯を流し込む請求項1に記載の構造体の製造方法。
  3. 前記外殻と前記内殻とは、前記溶着ビードを前記ベース上でそれぞれ閉じられた線状にして形成される請求項2に記載の構造体の製造方法。
  4. 前記外殻と前記内殻との間に配置され前記内側空間を複数の空間に分割する仕切壁を、前記溶着ビードを積層して造形する仕切壁造形工程を有する請求項2又は請求項3に記載の構造体の製造方法。
  5. 前記仕切壁は、前記鋳湯を連通させる連通孔を有する請求項4に記載の構造体の製造方法。
  6. 前記連通孔を、前記溶着ビードの形成途中で空隙を設けて形成する請求項5に記載の構造体の製造方法。
  7. 前記外殻、前記内殻、前記仕切壁の少なくともいずれかに、前記溶着ビードの積層方向に交差する方向へ突出する突起部を形成する請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
  8. 前記鋳造工程の後に前記ベースを切断するベース除去工程を有する請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
  9. 溶加材の溶融凝固体である溶着ビードが積層された外殻と、
    前記外殻の内側に形成された鋳物部と、
    を備える構造体。
  10. 前記外殻の内側に、前記溶着ビードが積層された内殻を更に備え、
    前記鋳物部が、前記外殻と前記内殻との間に形成された請求項9に記載の構造体。
  11. 前記外殻と前記内殻との間に配置され、前記外殻と前記内殻とを連結する仕切壁を備える請求項10に記載の構造体。
  12. 前記外殻、前記内殻、前記仕切壁のいずれかの部位に、前記溶着ビードの積層方向に交差する方向へ突出する突起部を有する請求項11に記載の構造体。
  13. 前記外殻と前記内殻は、前記溶着ビードによる閉じられた線状の層が積層されてなる請求項10〜請求項12のいずれか一項に記載の構造体。
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