JP6763389B2 - 含フッ素ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環構造を有する含フッ素ポリマーの製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の触媒層に含ませる電解質材料としては、膜電極接合体の発電特性に優れる点から、環構造およびイオン交換基を有する含フッ素ポリマーが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
環構造およびイオン交換基を有する含フッ素ポリマーは、環構造、および−SOF基等のイオン交換基前駆体基を有する含フッ素ポリマーの有するイオン交換基前駆体基をイオン交換基(−SO 等)に変換することによって製造される。
環構造および−SOF基を有する含フッ素ポリマーは、たとえば、環構造および−SOF基を有するペルフルオロモノマー、および環構造を有し、−SOF基を有しないペルフルオロモノマーのいずれか一方または両方と、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)と、必要に応じて−SOF基を有し、環構造を有しないペルフルオロモノマーとを共重合させることによって製造される。
モノマー成分を重合して含フッ素ポリマーを製造した場合、含フッ素ポリマー、未反応のモノマーおよび重合媒体を含む混合物が得られる。そのため、混合物から未反応モノマーおよび重合媒体を分離し、回収する必要がある。
反応後の混合液から直接、未反応モノマーおよび重合媒体を回収する場合、効率よく行うには、通常、大気圧よりも低い圧力下で、重合温度よりも充分に高い温度に混合物を加熱することが行われる(たとえば、特許文献2、3参照)。
国際公開第2014/175123号 特許第3603425号公報 特許第5569660号公報
しかし、従来の未反応モノマーの回収の技術を、未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーの回収にそのまま適用した場合、未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーを効率よく回収できない。
環構造を有するペルフルオロモノマーは高価な化合物であるため、これを効率よく回収して再利用できない場合、環構造を有する含フッ素ポリマーの製造コストの上昇につながる。
本発明は、環構造を有するペルフルオロモノマーを重合して得られた含フッ素ポリマーおよび未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーを含む混合物から未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーを効率よく回収することによって、環構造を有する含フッ素ポリマーを比較的低コストで製造できる方法を提供する。
本発明者らは、未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーの回収について鋭意検討した結果、環構造を有するペルフルオロモノマーは、混合物中の未反応の重合開始剤の存在によって分解したり重合したりしやすいこと、そして、未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーを効率よく回収するためには、回収時の温度条件および圧力条件について、未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーの反応性だけではなく、未反応の重合開始剤の特性も考慮する必要があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]下式(m11)で表される化合物、下式(m12)で表される化合物、下式(m13)で表される化合物および下式(m14)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の環構造モノマーを含むモノマー成分を、重合開始剤の存在下に所定の重合温度にて重合して含フッ素ポリマーおよび未反応の環構造モノマーを含む混合物を得た後、前記重合温度の最高到達温度+12℃以下、かつ前記重合開始剤の10時間半減期温度+12℃以下の温度条件、ならびに大気圧未満の圧力条件にて、前記混合物から前記環構造モノマーを回収する、含フッ素ポリマーの製造方法。
Figure 0006763389
ただし11 、及び は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基または炭素数2〜10のペルフルオロアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基であり、R 12 、R 13 、R 14 、及びR 16 は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基または炭素数2〜10のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基であ
[2]前記混合物に含まれる前記環構造モノマー(100質量%)のうち、前記混合物から回収された前記環構造モノマーの割合が、75質量%以上である、[1]の含フッ素ポリマーの製造方法。
[3]前記モノマー成分が、下式(m21)で表される化合物、下式(m22)で表される化合物および下式(m23)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の−SOF基含有モノマーをさらに含む、[1]または[2]の含フッ素ポリマーの製造方法。
Figure 0006763389
ただし、qは、0または1であり、Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基であり、Qは、エーテル性の酸素原子を有してもよいペルフルオロアルキレン基であり、Qは、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有してもよいペルフルオロアルキレン基であり、mは、0または1であって、pが0のときmは0であり、pは、0または1であり、nは、1〜12の整数であり、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、rは、1〜3の整数であり、tは、0または1であり、sは、1〜12の整数である。
[4]前記モノマー成分が、テトラフルオロエチレンをさらに含む、[1]〜[3]のいずれかの含フッ素ポリマーの製造方法。
[5]前記環構造モノマーの少なくとも1種が、下式(m12−1)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかの含フッ素ポリマーの製造方法。
Figure 0006763389
[6]前記環構造モノマーの少なくとも1種が、下式(m13−1)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかの含フッ素ポリマーの製造方法。
Figure 0006763389
[7]前記混合物から回収された前記環構造モノマーを、前記モノマー成分の少なくとも一部として再使用する、[1]〜[6]のいずれかの含フッ素ポリマーの製造方法。
[8]前記モノマー成分を重合媒体中で重合して含フッ素ポリマー、未反応の環構造モノマーおよび前記重合媒体を含む混合物を得た後、前記混合物から前記環構造モノマーおよび前記重合媒体を含むモノマー溶液を回収し、前記モノマー溶液を、前記モノマー成分の少なくとも一部および前記重合媒体の少なくとも一部として再使用する、[7]の含フッ素ポリマーの製造方法。
本発明の含フッ素ポリマーの製造方法によれば、環構造を有するペルフルオロモノマーを重合して得られた含フッ素ポリマーおよび未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーを含む混合物から未反応の環構造を有するペルフルオロモノマーを効率よく回収することによって、環構造を有する含フッ素ポリマーを比較的低コストで製造できる。
以下の用語の定義および記載の仕方等は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
本明細書においては、式(m11)で表される化合物を、化合物(m11)と記す。他の式で表される化合物もこれに準じて記す。
本明細書においては、式(u11)で表される構成単位を、単位(u11)と記す。他の式で表される構成単位もこれに準じて記す。
「ポリマー」とは、複数の構成単位から構成された構造を有する化合物を意味する。
「構成単位」とは、モノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する単位を意味する。構成単位は、モノマーの重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「モノマー」とは、重合反応性の炭素−炭素二重結合を有する化合物を意味する。
「イオン交換基」とは、H、一価の金属カチオン、アンモニウムイオン等を有する基を意味する。イオン交換基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基、カルボン酸基等が挙げられる。
「スルホン酸基」は、−SO および−SO (ただし、Mは、一価の金属イオン、または1以上の水素原子が炭化水素基と置換されていてもよいアンモニウムイオンである。)を包含する。
<含フッ素ポリマー>
本発明の製造方法によって得られる含フッ素ポリマーは、後述する特定の環構造を有する構成単位を有する。
含フッ素ポリマーは、必要に応じて後述する−SOF基を有する構成単位(ただし、環構造を有する構成単位を除く。)をさらに有していてもよい。
含フッ素ポリマーは、必要に応じて特定の環構造を有する構成単位および−SOF基を有する構成単位以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。
含フッ素ポリマーは、膜電極接合体の触媒層に含ませる電解質材料の前駆体として用いる点からは、環構造および−SOF基を有する構成単位、ならびに−SOF基を有し、環構造を有しない構成単位のいずれか一方の構成単位または両方の構成単位を有することが好ましい。
(環構造を有する構成単位)
特定の環構造を有する構成単位は、化合物(m11)に由来する単位(u11)、化合物(m12)に由来する単位(u12)、化合物(m13)に由来する単位(u13)および化合物(m14)に由来する単位(u14)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である。
Figure 0006763389
上記の式(m11)、式(m12)、式(m13)および式(m14)において、R11 、及び は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基または炭素数2〜10のペルフルオロアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基であり、R 12 、R 13 、R 14 、及びR 16 は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基または炭素数2〜10のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基であ
11は、なかでも、炭素数2〜4のペルフルオロアルキレン基または炭素数3〜4のペルフルオロアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基が好ましい。ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
12は、なかでも、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基または炭素数2〜4のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
13は、なかでも、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
14は、なかでも、トリフルオロメチル基が特に好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
15は、なかでも、炭素数2〜4のペルフルオロアルキレン基または炭素数3〜4のペルフルオロアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基が好ましい。ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
16は、なかでも、トリフルオロメチル基が特に好ましい。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
単位(u11)としては、たとえば、単位(u11−1)〜(u11−3)が挙げられる。
Figure 0006763389
単位(u12)としては、たとえば、単位(u12−1)〜(u12−2)が挙げられ、分子量が小さいことによる高イオン交換容量化、沸点が低いことによるモノマー回収性の点から、単位(u12−1)が特に好ましい。
Figure 0006763389
単位(u13)としては、たとえば、単位(u13−1)〜(u13−3)が挙げられ、分子量が小さいことによる高イオン交換容量化、沸点が低いことによるモノマー回収性の点から、単位(u13−1)が特に好ましい。
Figure 0006763389
単位(u14)としては、たとえば、単位(u14−1)〜(u14−2)が挙げられる。
Figure 0006763389
(−SOF基を有する構成単位)
−SOF基を有する構成単位(ただし、環構造を有する構成単位を除く。)は、化合物(m21)に由来する単位(u21)、化合物(m22)に由来する単位(u22)および化合物(m23)に由来する単位(u23)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である。
Figure 0006763389
qは、0または1である。
Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基である。
Yは、フッ素原子、またはエーテル性の酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
は、エーテル性の酸素原子を有してもよいペルフルオロアルキレン基である。
は、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有してもよいペルフルオロアルキレン基である。
、Qのペルフルオロアルキレン基がエーテル性の酸素原子を有する場合、該酸素原子は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。また、該酸素原子は、ペルフルオロアルキレン基の炭素原子−炭素原子結合間に挿入されていてもよく、炭素原子結合末端に挿入されていてもよい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。炭素数が6以下であれば、原料の化合物の沸点が低くなり、蒸留精製が容易となる。また、炭素数が6以下であれば、含フッ素ポリマーのイオン交換容量の低下が抑えられ、プロトン伝導性の低下が抑えられる。
は、エーテル性の酸素原子を有してもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。Qがエーテル性の酸素原子を有してもよい炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であれば、Qが単結合である場合に比べ、長期にわたって固体高分子形燃料電池を運転した際に、発電性能の安定性に優れる。
、Qの少なくとも一方は、エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。エーテル性の酸素原子を有する炭素数1〜6のペルフルオロアルキレン基を有する単量体は、フッ素ガスによるフッ素化反応を経ずに合成できるため、収率が良好で、製造が容易である。
mは、0または1であって、pが0のときmは0である。
pは、0または1である。
nは、1〜12の整数である。
Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基である。
rは、1〜3の整数である。
tは、0または1である。
sは、1〜12の整数である。
単位(u21)としては、含フッ素ポリマーの製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、単位(u21−1)〜(u21−3)が好ましく、単位(u21−1)が特に好ましい。
Figure 0006763389
単位(u22)としては、単位(u22−1)〜(u22−2)が好ましい。
Figure 0006763389
単位(u23)としては、単位(u23−1)が好ましい。
Figure 0006763389
(他の構成単位)
他の構成単位は、後述する他のモノマーに由来する構成単位である。
他の構成単位としては、含フッ素ポリマーの含水率を低減できる点から、TFEに由来する構成単位が特に好ましい。
(含フッ素ポリマーのイオン交換容量)
−SOF基をイオン交換基に変換した後の含フッ素ポリマーのイオン交換容量は、0.5〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂が好ましく、1.0〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂がより好ましい。イオン交換容量が前記範囲の下限値以上であれば、−SOF基をイオン交換基に変換した後の含フッ素ポリマーの導電性が高くなるため、膜電極接合体の触媒層に用いた場合、充分な電池出力を得ることできる。イオン交換容量が前記範囲の上限値以下であれば、含フッ素ポリマーの製造が容易である。
(含フッ素ポリマーのTQ値)
含フッ素ポリマーのTQ値は、150℃以上が好ましく、170〜340℃がより好ましく、170〜300℃がさらに好ましい。
TQ値(単位:℃)は、含フッ素ポリマーの分子量および軟化温度の指標であり、長さ1mm、内径1mmのノズルを用い、2.94MPaの押出し圧力の条件で含フッ素ポリマーの溶融押出しを行った際の押出し量が100mm/秒となる温度である。TQ値が高いほど含フッ素ポリマーが高分子量であることを示す。
本発明では、フローテスタ(島津製作所社製、CFT−500D)を用い、温度を変えて含フッ素ポリマーの押出し量を測定し、押出し量が100mm/秒となるTQ値を求めた。
<含フッ素ポリマーの製造方法>
本発明の含フッ素ポリマーの製造方法は、下記の工程(I)〜(III)を有する方法である。
(I)環構造モノマーを含むモノマー成分を、重合開始剤の存在下に所定の重合温度にて重合して含フッ素ポリマーおよび未反応の環構造モノマーを含む混合物を得る工程。
(II)前記工程(I)の後、特定の温度条件ならびに特定の圧力条件にて、混合物から環構造モノマーを回収するとともに、含フッ素ポリマーを得る工程。
(III)必要に応じて前記工程(II)で得られた含フッ素ポリマーを洗浄媒体にて洗浄する工程。
(モノマー成分)
モノマー成分は、後述する特定の環構造モノマーを含む。
モノマー成分は、必要に応じて後述する−SOF基含有モノマー(ただし、環構造モノマーを除く。)をさらに含んでいてもよい。
モノマー成分は、必要に応じて特定の環構造モノマーおよび−SOF基含有モノマー以外の他のモノマーをさらに含んでいてもよい。
モノマー成分は、得られる含フッ素ポリマーを膜電極接合体の触媒層に含ませる電解質材料の前駆体として用いる点からは、環構造および−SOF基を有するモノマー、ならびに−SOF基を有し、環構造を有しないモノマーのいずれか一方のモノマーまたは両方のモノマーを含むことが好ましい。
(環構造モノマー)
環構造モノマーは、化合物(m11)、化合物(m12)、化合物(m13)および化合物(m14)からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーである。
Figure 0006763389
11〜R16は、単位(u11)〜(u14)において説明した通りである。
化合物(m11)としては、たとえば、化合物(m11−1)〜(m11−3)が挙げられる。
Figure 0006763389
化合物(m12)としては、たとえば、化合物(m12−1)〜(m12−2)が挙げられ、分子量が小さいことによる高イオン交換容量化、沸点が低いことによるモノマー回収性の点から、化合物(m12−1)が特に好ましい。
Figure 0006763389
化合物(m13)としては、たとえば、化合物(m13−1)〜(m13−3)が挙げられ、分子量が小さいことによる高イオン交換容量化、沸点が低いことによるモノマー回収性の点から、単位(m13−1)が特に好ましい。
Figure 0006763389
化合物(m14)としては、たとえば、化合物(m14−1)〜(m14−2)が挙げられる。
Figure 0006763389
化合物(m11)は、国際公開第2003/037885号、特開2005−314388号公報、特開2009−040909号公報等に記載された方法により合成できる。
化合物(m12)は、国際公開第2000/056694号;Izvestiya Akademii Nauk SSSR,Seriya Khimicheskaya,1989年,第4巻,p.938−42等に記載された方法により合成できる。
化合物(m13)は、Macromolecule,第26巻,第22号,1993年,p.5829−5834;特開平6−92957号公報等に記載された方法により合成できる。
化合物(m14)は、特開2006−152249号公報等に記載された方法により合成できる。
(−SOF基含有モノマー)
−SOF基含有モノマー(ただし、環構造モノマーを除く。)は、化合物(m21)、化合物(m22)および化合物(m23)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 0006763389
q、Y、Q、Qは、単位(u21)において説明した通りである。
m、p、nは、単位(u22)において説明した通りである。
X、r、t、sは、単位(u23)において説明した通りである。
化合物(m21)としては、含フッ素ポリマーの製造が容易であり、工業的実施が容易である点から、化合物(m21−1)〜(m21−3)が好ましく、化合物(m21−1)が特に好ましい。
Figure 0006763389
化合物(m22)としては、CF=CF−CF−O−CFCF−SOF(m22−1)またはCF=CF−O−CFCF−SOF(m22−2)が好ましい。
化合物(m23)としては、CF=CF−OCFCF(CF)−O−CFCF−SOF(m23−1)が好ましい。
化合物(m21)は、国際公開第2007/013533号、特開2008−202039号公報等に記載された方法により合成できる。
(他のモノマー)
他のモノマーとしては、TFE、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ペルフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)、ペルフルオロα−オレフィン(ヘキサフルオロプロピレン等)、(ペルフルオロアルキル)エチレン((ペルフルオロブチル)エチレン等)、(ペルフルオロアルキル)プロペン(3−ペルフルオロオクチル−1−プロペン等)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。他のモノマーとしては、TFEが特に好ましい。TFEは高い結晶性を有するため、含フッ素ポリマーが含水した際の膨潤を抑える効果があり、含フッ素ポリマーの含水率を低減できる。
(工程(I))
重合法は、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、バルク重合法等の重合法から選択される。重合法としては、生体蓄積性が懸念される炭素数7以上のペルフルオロアルキル基を有するフッ素系乳化剤を用いないことから、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法の場合、反応器内において、重合媒体中で重合開始剤の存在下に所定の重合温度にてモノマー成分を重合して含フッ素ポリマー、未反応の環構造モノマーおよび重合媒体を含む混合物を得る。
重合媒体としては、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等の溶媒が好ましく、オゾン層に影響のないハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルがより好ましい。
重合開始剤としては、ジアシルペルオキシド類(ジコハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ペルフルオロ−ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ビス(ペンタフルオロプロピオニル)ペルオキシド等)、アゾ化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸類、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル等)、ペルオキシエステル類(t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート等)、ペルオキシジカーボネート類(ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート等)、ハイドロペルオキシド類(ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、t−ブチルハイドロペルオキシド等)、ジアルキルペルオキシド(ジ−t−ブチルペルオキシド、ペルフルオロ−ジ−t−ブチルペルオキシド)等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、モノマー成分の100質量部に対して、0.0001〜3質量部が好ましく、0.0001〜2質量部がより好ましい。重合開始剤の添加量を下げることによって、含フッ素ポリマーの分子量を高めることができる。重合開始剤の他に、通常の溶液重合において用いられる分子量調節剤等を添加してもよい。
分子量調節剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール等)、ハイドロカーボン類(n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハイドロフルオロカーボン類(CF等)、ケトン類(アセトン等)、メルカプタン類(メチルメルカプタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等)が好ましく、アルコール類がより好ましい。
分子量調節剤の量は、モノマー成分の100質量部に対して、0.0001〜50質量部が好ましく、0.001〜10質量部がより好ましい。
モノマー成分における各モノマーの仕込み割合は、得られる含フッ素ポリマーにおける構成単位が所望の割合となるように選定される。
環構造モノマーの仕込み割合は、含フッ素ポリマーにおける環構造を有する構成単位の割合が30〜100質量%となる割合が好ましい。
−SOF基含有モノマーの仕込み割合は、含フッ素ポリマーにおける−SOF基を有する構成単位の割合が20〜90質量%となる割合が好ましい。
TFEの仕込み割合は、含フッ素ポリマーにおけるTFEに由来する構成単位の割合が0〜80質量%となる割合が好ましい。
他のモノマー(ただし、TFEを除く。)の仕込み割合は、含フッ素ポリマーにおける他のモノマーに由来する構成単位の割合が0〜30質量%となる割合が好ましい。
各モノマーは、一括で仕込んでもよく、連続的または断続的に仕込んでもよい。
重合温度は、モノマーの種類、仕込み割合等により最適値が選定され得るが、工業的実施に好適であることから、10〜150℃が好ましく、20〜130℃がより好ましい。重合圧力(ゲージ圧)は、0.1〜5.0MPa[gage]が好ましく、0.5〜3.0MPa[gage]がより好ましい。
(工程(II))
溶液重合法の場合、混合物から環構造モノマーおよび重合媒体を含むモノマー溶液を回収する。
モノマー溶液の回収は、反応器内で実施してもよく、混合物を反応器から蒸発容器に移送して蒸発容器内で実施してもよい。
未反応の環構造モノマーは、酸素や水分によって分解する可能性があるため、反応器または蒸発容器は、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気下、もしくは真空または減圧雰囲気下で混合物を撹拌できるものが好ましい。
撹拌回転数は、撹拌翼の形状、反応器または蒸発容器の大きさ等によって最適な回転数は異なるが、1〜500rpmが好ましい。
反応器または蒸発容器内の温度条件は、重合温度の最高到達温度+12℃以下、かつ重合開始剤の10時間半減期温度+12℃以下である。
なかでも、反応器または蒸発容器内の温度条件は、重合温度の最高到達温度+10℃以下が好ましく、重合温度の最高到達温度+8℃以下がより好ましい。なかでも、反応器または蒸発容器内の温度条件は、重合開始剤の10時間半減期温度+10℃以下が好ましく、重合開始剤の10時間半減期温度+8℃以下がより好ましい。
重合温度の最高到達温度とは、重合を行ったときの重合温度で最高温度を意味する。なお、重合を一定の重合温度で行った場合は、重合温度の最高到達温度は一定の重合温度に一致する。
反応器または蒸発容器内の温度条件が前記範囲内であれば、未反応の環構造モノマーが、混合物中の未反応の重合開始剤の存在によって分解したり重合したりしにくい。その結果、未反応の環構造モノマーを効率よく回収できる。
反応器または蒸発容器内の温度条件は、未反応の環構造モノマーをさらに効率よく回収する点から、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。
反応器または蒸発容器の圧力(絶対圧)は、未反応の環構造モノマーを効率よく回収する点から、大気圧未満であり、0.1〜500kPa[abs]が好ましく、0.1〜300kPa[abs]がより好ましい。
反応器または蒸発容器内の混合物の粘度は、低い方が効率よく未反応モノマーを回収できる。そのため、回収性を優先する場合、反応率を抑制してポリマー濃度を下げることや、反応終了後の回収前に溶媒を添加して混合物の粘度を下げることが好ましい。
添加する溶媒としては、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等の溶媒が好ましく、オゾン層に影響のないハイドロフルオロカーボン、またはハイドロフルオロエーテルがより好ましい。好ましい具体例としては、C、C13CHCH、C17、C13H、HC12H、HCH、C14、C16、CFCFHCFHCFCF、(CFCFCFHCFHCF、CFCHOCFCFH、COCH、COC、CFCFCFOCH、(CFCFOCH、が挙げられる。
反応器または蒸発容器から蒸発した未反応の環構造モノマーおよび重合媒体を回収する方法としては、冷却トラップまたは熱交換器を介して反応器または蒸発容器内を真空引きし、未反応の環構造モノマーおよび重合媒体を回収する方法等が挙げられる。
混合物に含まれる未反応の環構造モノマー(100質量%)のうち、混合物から回収された未反応の環構造モノマーの割合、すなわち環構造モノマーの回収率は、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。環構造モノマーの回収率が前記範囲内であれば、回収された未反応の環構造モノマーを、工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部として有効に再使用することができ、その結果、含フッ素ポリマーをさらに低コストで製造できる。
回収された未反応の環構造モノマーは、蒸留、精留等によって精製することなくそのまま工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部として再使用してもよく;蒸留、精留等によって精製した後に、工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部として再利用してもよい。工程が少なくなり、含フッ素ポリマーを比較的低コストで製造できる点から、蒸留、精留等によって精製することなくそのまま工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部として再使用することが好ましい。
未反応の環構造モノマーおよび重合媒体を含むモノマー溶液として回収された場合は、モノマー溶液は、蒸留、精留等によって精製することなくそのまま工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部および重合媒体の少なくとも一部として再使用してもよく;蒸留、精留等によって精製し、環構造モノマーと重合媒体との分離した後に、それぞれを工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部および重合媒体の少なくとも一部として再使用してもよい。工程が少なくなり、含フッ素ポリマーを比較的低コストで製造できる点から、蒸留、精留等によって精製することなくそのまま工程(I)のモノマー成分の少なくとも一部および重合媒体の少なくとも一部として再使用することが好ましい。
(工程(III))
溶液重合法の場合、工程(II)で得られた含フッ素ポリマー溶液を凝集媒体と混合して粒子状の含フッ素ポリマーを得る。ついで、粒子状の含フッ素ポリマーを洗浄媒体にて洗浄する。
洗浄は、洗浄媒体と含フッ素ポリマーとを混合し、撹拌することによって行ってもよく、含フッ素ポリマーを良溶媒に溶解した後、貧溶媒を加えて含フッ素ポリマーを凝集させることによって行ってもよい。
凝集媒体および洗浄媒体としては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロカーボン、アルコール類等が挙げられる。好ましい具体例としては、CHFCHCF、CFCHCFCH、FC−C(F)=CH、CFCHOCFCFH、COCH、COC、CFCFCFOCH、(CFCFOCH、CFCFCHOH、CFCHOH、H(CFCHOH、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノ−ル、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、アセトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが挙げられる。
凝集媒体、洗浄媒体の量は、含フッ素ポリマーに対して3〜20倍質量が好ましく、3〜15倍質量がより好ましい。洗浄媒体の量が少ないと1回で充分に洗浄できず、繰り返し洗浄が必要になる。洗浄媒体の量が多いと、回収蒸留等の洗浄後の処理に時間が掛かってしまう。また、洗浄回数は洗浄媒体の量と関係があり、洗浄媒体の量が多ければ洗浄回数は1回でよく、洗浄媒体の量が少ないと洗浄回数が多くなる。
凝集、洗浄後の固液分離は、凝集、洗浄後そのままろ過を行ってもよく、貧溶媒を加えて沈殿させてからろ過を行ってもよい。凝集、洗浄後そのままろ過を行い、途中でろ過を止めて、貧溶媒を追加して撹拌混合してから、再度ろ過を行ってもよい。また、ろ過以外にもデカンテーション、遠心分離等、他の方法を用いてもよい。
(環構造およびイオン交換基を有する含フッ素ポリマー)
環構造およびイオン交換基を有する含フッ素ポリマーは、環構造および−SOF基を有する含フッ素ポリマーの−SOF基をイオン交換基(−SO 等)に変換することによって製造される。
−SOF基をイオン交換基に変換する方法としては、国際公開第2011/013578号に記載の方法が挙げられる。たとえば、−SOF基をスルホン酸基(−SO 基)に変換する方法としては、含フッ素ポリマーの−SOF基を加水分解してスルホン酸塩とし、スルホン酸塩を酸型化してスルホン酸基に変換する方法が挙げられる。
(環構造およびイオン交換基を有する含フッ素ポリマーの用途)
環構造およびイオン交換基を有する含フッ素ポリマーは、膜電極接合体における触媒層や固体高分子電解質膜の形成に好適に用いられる。また、他の膜(水電解、過酸化水素製造、オゾン製造、廃酸回収等に用いるプロトン選択透過膜、食塩電解用陽イオン交換膜、レドックスフロー電池の隔膜、脱塩または製塩に用いる電気透析用陽イオン交換膜等)の形成にも用いることができる。
以上説明した本発明の含フッ素ポリマーの製造方法にあっては、重合温度の最高到達温度+12℃以下、かつ重合開始剤の10時間半減期温度+12℃以下の温度条件、ならびに大気圧未満の圧力条件にて、含フッ素ポリマーおよび未反応の環構造モノマーを含む混合物から環構造モノマーを回収しているため、未反応の環構造モノマーが、混合物中の未反応の重合開始剤の存在によって分解したり重合したりしにくい。その結果、未反応の環構造モノマーを効率よく回収できる。本発明は、未反応の環構造モノマーを効率よく回収するためには、回収時の温度条件について、未反応の環構造モノマーの反応性だけではなく、未反応の重合開始剤の10時間半減期温度も考慮していることに特徴がある。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例1〜4は、実施例であり、例5、6は、比較例である。
(化合物(m13))
化合物(m13)として、化合物(m13−1)を用意した。
Figure 0006763389
(化合物(m21))
化合物(m21)として、化合物(m21−1)を用意した。
Figure 0006763389
(重合開始剤)
化合物(i−1):(CCOO)(日油社製、PFB、10時間半減期温度:21℃)。
化合物(i−2):ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、V−601、10時間半減期温度:66℃)。
化合物(i−3):((CHCHOCOO)(日油社製、パーロイル(登録商標)IPP、10時間半減期温度:41℃)。
(溶媒)
化合物(s−1):CFCFCFCFCFCFH(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC−2000)、
化合物(s−2):CClFCFCHClF。
(例1)
工程(I):
ジャケットおよび撹拌装置を備えた、2575mL(ミリリットル)のステンレス製オートクレーブに、オートクレーブを氷水で冷却しながら減圧下で化合物(21−1)の1098.64gを仕込み、オートクレーブ内を脱気した。次いで、オートクレーブに化合物(m13−1)の305.1を仕込んだ。オートクレーブ内を24℃に昇温した後、オートクレーブに0.1MPa[gage]の窒素ガスを導入した。圧力が変化しないことを確認した後、オートクレーブにTFEの48.69gを仕込み、全圧を0.22MPa[gage]とした。化合物(s−2)の18.23gに溶解した2.26質量%の化合物(i−1)溶液の0.421gをオートクレーブに窒素ガスで加圧添加した後、化合物(s−1)の3gで添加ラインを洗浄した。オートクレーブの内温(重合温度)が24℃で、ジャケットと内温との温度差が最少になるように、重合中の撹拌の回転数を100rpmから50rpm、次いで15rpmと下げた。重合開始から24時間後に、系内のガスをパージして、窒素置換を実施した。
工程(II):
ジャケットの設定温度を24℃、撹拌回転数を5rpmにし、オートクレーブ内を200kPa[abs]までゆっくり減圧にして、オートクレーブ内の混合液から未反応の化合物(m13−1)、溶媒等の留出を開始した。徐々にジャケットの設定温度を28℃まで上げて、留出物を化合物(s−2)およびドライアイスの混合液の冷却トラップに通し、4時間後に留出物の83.52gを得た。その間、オートクレーブ内の圧力も徐々に低下した。ガスクロマトグラフ分析による留出物中の化合物(m13−1)の割合は、75質量%であった。
仕込んだ化合物(m13−1)の量と、得られた含フッ素ポリマーの各構成単位の割合から算出される反応で消費された化合物(m13−1)の量とから、未反応の化合物(m13−1)の理論量を算出した。未反応の化合物(m13−1)の理論量に対する回収された未反応の化合物(m13−1)の量の割合、すなわち化合物(m13−1)の回収率は、96.8質量%であった。
工程(III):
化合物(s−1)の1600gでオートクレーブ内の残渣物を希釈して、回転数20rpmで16時間撹拌し、ポリマー溶液を得た。
化合物(s−1)の5004gおよびメタノールの1250gの凝集媒体(20℃)に、オートクレーブからの抜き出した25℃のポリマー溶液を加え、粒子状の含フッ素ポリマーを形成し、分散液を得た。30分間撹拌した後、分散液の3403gを抜き出し、メタノールの1055gをポリマー粒子分散液に加えた。30分撹拌した後、ろ過して粒子状の含フッ素ポリマーを得た。
粒子状の含フッ素ポリマーを、化合物(s−1)の1005gおよびメタノールの428gの洗浄媒体に加えた後、撹拌およびろ過を行う洗浄を3回繰り返した。
粒子状の含フッ素ポリマーを80℃で16時間真空乾燥した後、240℃で16時間真空熱処理し、含フッ素ポリマーの426.9gを得た。
19F−NMRによる含フッ素ポリマーの各構成単位の割合は、化合物(m21−1)/化合物(m13−1)/TFE=18.0/67.3/14.7(モル比)であり、該割合から算出した含フッ素ポリマーのイオン交換容量は、1.23ミリ当量/g乾燥樹脂であった。TQ値は、272℃であった。
結果を表1および表2にまとめる。
(例2〜6)
各化合物の量、製造条件等を表1〜表4に示すように変更した以外は、例1と同様にして含フッ素ポリマーを得た。結果を表1〜表4にまとめる。
Figure 0006763389
Figure 0006763389
Figure 0006763389
Figure 0006763389
例1〜4は、重合温度+12℃以下、かつ重合開始剤の10時間半減期温度+12℃以下の温度条件、ならびに大気圧未満の圧力条件にて、混合物から環構造モノマーを回収しているため、環構造モノマーの回収率が高かった。
例5、6は、混合物から環構造モノマーを回収する際の温度が、重合温度+12℃超、かつ重合開始剤の10時間半減期温度+12℃超であるため、環構造モノマーの回収率が低かった。
本発明の製造方法で得られた含フッ素ポリマーは、膜電極接合体における触媒層や固体高分子電解質膜、食塩電解用陽イオン交換膜等に用いられる電解質材料の前駆体として有用である。
なお、2015年8月21日に出願された日本特許出願2015−163725号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (8)

  1. 下式(m11)で表される化合物、下式(m12)で表される化合物、下式(m13)で表される化合物および下式(m14)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の環構造モノマーを含むモノマー成分を、重合開始剤の存在下に所定の重合温度にて重合して含フッ素ポリマーおよび未反応の環構造モノマーを含む混合物を得た後、
    前記重合温度の最高到達温度+12℃以下、かつ前記重合開始剤の10時間半減期温度+12℃以下の温度条件、ならびに大気圧未満の圧力条件にて、前記混合物から前記環構造モノマーを回収する、含フッ素ポリマーの製造方法。
    Figure 0006763389
    だし、R11 、及び は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基または炭素数2〜10のペルフルオロアルキレン基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基であり、R 12 、R 13 、R 14 、及びR 16 は、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基または炭素数2〜10のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を有する基であ
  2. 前記混合物に含まれる前記環構造モノマー(100質量%)のうち、前記混合物から回収された前記環構造モノマーの割合が、75質量%以上である、請求項1に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
  3. 前記モノマー成分が、下式(m21)で表される化合物、下式(m22)で表される化合物および下式(m23)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の−SOF基含有モノマーをさらに含む、請求項1または2に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
    Figure 0006763389
    だし、qは、0または1であり、Yは、フッ素原子または1価のペルフルオロ有機基であり、Qは、エーテル性の酸素原子を有してもよいペルフルオロアルキレン基であり、Qは、単結合、またはエーテル性の酸素原子を有してもよいペルフルオロアルキレン基であり、mは、0または1であって、pが0のときmは0であり、pは、0または1であり、nは、1〜12の整数であり、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、rは、1〜3の整数であり、tは、0または1であり、sは、1〜12の整数である
  4. 前記モノマー成分が、テトラフルオロエチレンをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
  5. 前記環構造モノマーの少なくとも1種が、下式(m12−1)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
    Figure 0006763389
  6. 前記環構造モノマーの少なくとも1種が、下式(m13−1)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
    Figure 0006763389
  7. 前記混合物から回収された前記環構造モノマーを、前記モノマー成分の少なくとも一部として再使用する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
  8. 前記モノマー成分を重合媒体中で重合して含フッ素ポリマー、未反応の環構造モノマーおよび前記重合媒体を含む混合物を得た後、
    前記混合物から前記環構造モノマーおよび前記重合媒体を含むモノマー溶液を回収し、該モノマー溶液を、前記モノマー成分の少なくとも一部および前記重合媒体の少なくとも一部として再使用する、請求項7に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
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