JP6760097B2 - リチウム二次電池用正極およびその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池用正極材料、リチウム二次電池用正極およびそれらの製造方法に関するものである。
二次電池はリチウムイオンを用いたものが主流で、少なくともリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な活物質を有する正極と、負極、さらに正極と負極を隔絶するセパレータを容器内に配置し、非水電解液を充填して構成されている。
一般的に、リチウム二次電池の正極は、アルミニウム等の金属箔集電体にリチウム電池用正極活物質(以下、「正極活物質」あるいは単に「活物質」という場合がある。)、導電助剤および結着剤を含有する電極剤を塗布し加圧成形したものである。現行の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、あるいは、コバルトをニッケル・マンガンで一部置換した三元系(LiMnNiCo1−x−y)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)などのリチウムと遷移金属の複合酸化物の粒状の活物質がよく用いられている。また負極は銅などの金属箔集電体に、正極同様に活物質や導電助剤および結着剤を含有する電極剤を塗布し加圧成形したものであり、一般に負極の活物質としては、金属リチウムやLi−Al合金、Li−Sn等のリチウム合金、SiOやSiC、SiOC等を基本構成元素とするケイ素化合物、ポリアセチレンやポリピロール等のリチウムをドープした導電性高分子、リチウムイオンを結晶中に取り込んだ層間化合物や天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボンなどの炭素材料等が用いられている。
現在実用化されている活物質は、負極の理論容量と比較して正極の理論容量が遥かに低い。また、正極活物質は負極活物質と比較して導電性が低いものが多く、リチウムイオン電池の構成の中でも正極の抵抗が電池の出力に大きく影響する。従って、リチウム二次電池の高容量化・高出力化を実現するためには、正極に高い電子伝導性およびイオン伝導性を持たせることが重要である。
活物質の電子伝導性を向上させるため、炭素材料を導電助剤として活物質周辺に存在させる手法が用いられている。炭素材料としては、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラックの他、有機化合物の炭化によって得られる炭素質材料などが用いられてきたが、近年、グラフェンを用いる例が報告されている。特許文献1および非特許文献1には、酸化グラフェンと正極活物質を粉体混合してから還元する手法が開示されている。また、特許文献2にはオリビン型シリケート化合物粒子とグラフェンとをせん断力条件下に混合して導電性複合粒子を作製する方法が開示されている。
特開2013−93316号公報 特開2014−96308号公報
Qin Z., et al. Journal of Materials Chemistry, 22, 21144 (2011)
特許文献1および非特許文献1では、酸化グラフェンと活物質をスラリー状態あるいはボールミルで混合した後、酸化グラフェンを還元することで複合体を得ている。しかしながら、いずれの場合も高温加熱で還元を行っており、活物質によっては性能劣化を招く懸念があることから、適用できる活物質が限定される技術であった。
特許文献2では、オリビン型シリケート化合物からなる粒子とグラフェン粉末とをせん断力条件下で混合することで複合化して導電性複合粒子を得ている。しかしながら、せん断条件下で混合複合化する手法はグラフェンの厚み制御が困難で、実施例の全ての写真で示されるように、導電性複合粒子はグラフェンで完全に厚く被覆されてしまい、リチウムイオン伝導性が低くなる傾向があった。また、せん断条件下で複合化されたグラフェンとオリビン型シリケート化合物粒子とは密着性が悪く、凝集して縮まった形状のグラフェンが単に付着しているに過ぎない。そのため、グラフェンとオリビン型シリケート化合物粒子間の接触抵抗が大きくなりやすく、グラフェンの高い導電性が十分に発揮されないものであった。更には、せん断によりオリビン型シリケート化合物粒子に強い力がかかりやすく、活物質の性能劣化を招きやすいものでもあった。
本発明の目的は、高容量・高出力の二次電池を得るべく、広範な活物質に適用でき、かつ高い電子伝導性と高いイオン伝導性を両立し得るリチウム二次電池用正極材料を提供することにある。
発明者らは鋭意検討した結果、適切な大きさのグラフェンによる正極活物質の被覆により、電子伝導性とイオン伝導性の両立が可能であることを見出した。
すなわち本発明は、粒状正極活物質をグラフェンで被覆してなり、粒状正極活物質の粒子径Daが3μm以上20μm以下であり、かつグラフェンの粒子径Dbを粒状正極活物質の粒子径Daで除した値(Db/Da)が0.10≦Db/Da≦1.0を満たすリチウム二次電池用正極材料を含むリチウム二次電池用正極であって、集電体と合剤層を有し、前記合剤層中に前記粒状正極活物質を95%質量以上含み、かつ前記合剤層表面のX線光電子分光分析により測定される、全元素に対する前記粒状正極活物質由来の金属元素の組成比が2%以下である、リチウム二次電池用正極である。
本発明のリチウム二次電池用正極材料は、正極活物質表面を被覆するグラフェンの間隙をイオンが通過しやすくなることにより、電子伝導性を確保しつつイオン導電性を高めることが出来る。
実施例2で作製したリチウム二次電池用正極中の正極活物質の走査型電子顕微鏡写真である。
<リチウム二次電池用正極材料>
本発明のリチウム二次電池用正極材料(以下、「本発明の正極材料」または単に「正極材料」という場合がある)に用いられる正極活物質には特に制限は無い。正極活物質の種類としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、コバルトをニッケルやマンガンで一部置換した三元系(LiMnNiCo1−x−y)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケル酸リチウムのニッケルを一部コバルトとアルミニウムで置換したLiNi0.8Co0.15Al0.05、リン酸鉄リチウムやリン酸マンガンリチウムなどのオリビン系、などのリチウム金属酸化物、V等の金属酸化物やTiS、MoS、NbSeなどの金属化合物、あるいは固溶体など、多くの種類の活物質を用いることができる。特にニッケルを含有する三元系やニッケル酸リチウムあるいはその置換体の活物質は、高容量である反面、導電性が低い特徴を有するため、本発明の構成により大きな電極性能向上効果を得ることができる。
本発明で用いられる粒状正極活物質の粒子径Daは、3μm以上20μm以下である。粒子径Daが3μm未満であると、グラフェン被覆による導電性向上が困難になる。より具体的に説明すると、粒子径が3μm未満の粒状正極活物質をグラフェンで被覆するためには、粒状正極活物質の粒子径よりも小さいグラフェンを用いた場合には十分な導電性を確保することが困難になる。また粒状正極活物質の粒子径よりも大きいグラフェンを使用した場合にはグラフェンが複数の粒状正極活物質と接着して凝集を誘発する。そのため粒子径が3μm未満の正極活物質を適切に被覆できる大きさのグラフェンが存在しない。また粒子径が20μmより大きいと、粒状正極活物質内部の抵抗が高くなるため、グラフェンにより活物質表面の導電性を向上しても電池としての出力が向上できない。
粒状正極活物質の粒子径は、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは12μm以下である。また、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。
粒状正極活物質は、活物質の一次粒子であっても良いし、一次粒子が集合した二次造粒体であっても良い。二次造粒体の場合、粒子径Daとは一次粒子の粒子径ではなく、二次造粒体の粒子径を指す。粒状正極活物質が二次造粒体である場合、当該二次造粒体を構成する一次粒子の粒子径は0.2μm以上1μm以下であることが好ましい。グラフェンはフレキシブルで形状追随性が高いため、本発明においては、粒状正極活物質は、表面の凹凸形状がある二次造粒体のほうがグラフェン被覆の効果が得やすい。
なお、本発明において、粒状正極活物質の粒子径は、一次粒子径、二次粒子径ともにメジアン径(D50)を意味する。粒状正極活物質のメジアン径は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、日機装社製マイクロトラックHRAX−100)により測定することができる。
本明細書における「グラフェン」とは、単層グラフェンが積層した構造体であり、薄片状の形態を有するものを指す。また、リチウム二次電池の導電助剤としては、分散性向上等の目的で純粋なグラフェンに表面処理剤を付与したものを用いる場合もあるが、本明細書においては表面処理剤を付与したものも含めて「グラフェン」と表記するものとする。グラフェンの厚みは特に制限は無いが、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。
本発明において、グラフェンの粒子径Dbは、前述した粒状正極活物質の粒子径Daに対し、0.10≦Db/Da≦1.0を満たすものを用いる。Db/Daの値が0.10よりも小さいと、粒状正極活物質を被覆するよりもグラフェン同士の凝集が優勢になり、十分な導電性が確保できない。Db/Daが1.0よりも大きいと、活物質がグラフェンにより被覆されたときにイオンが透過しにくく、イオン伝導性が低下する。また、グラフェンが複数の粒状正極活物質を巻き込んで凝集体が形成される傾向があり、電池としての性能も低下する。Db/Daの値は0.20以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましい。また、0.70以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、グラフェンの粒子径Dbはレーザー回折散乱粒度分布測定装置で測定したときのメジアン径(D50)を意味する。グラフェンのメジアン径は、前述の粒状正極活物質のメジアン径と同様に測定することができ、概ねグラフェンの幅方向の大きさを反映した値をとる。
本発明で使用するグラフェンは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.06以上0.25以下であることが好ましい。グラフェンの酸素原子が少なすぎると分散性が悪くなり、多すぎると導電性が低下する。XPSでは、超高真空中に置いた試料表面に軟X線を照射し、表面から放出される光電子をアナライザーで検出する。この光電子をワイドスキャンで測定し、物質中の束縛電子の結合エネルギー値を求めることで、物質表面の元素情報が得られる。さらに、ピーク面積比を用いて元素比を定量することができる。
グラフェン表面の酸素原子は、官能基水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、エステル結合(−C(=O)−O−)、エーテル結合(−C−O−C−)、カルボニル基(−C(=O)−)、エポキシ基などの酸素原子を含有する極性の高い官能基である。なお、グラフェンに表面処理剤を付与する場合は、グラフェン自体の官能基だけでなく、このような表面処理剤が有する官能基に由来する酸素原子も「グラフェン表面の酸素原子」に含めるものとする。すなわち、表面処理剤が付与されたグラフェンにおいては、表面処理剤処理後の表面のO/C比が上記範囲であることが好ましい。グラフェン表面のO/C比は、より好ましくは0.12以上0.20以下、更に好ましくは0.14以上0.17以下である。
グラフェンのO/C比は、例えば化学剥離法を用いた場合は原料となる酸化グラフェンの酸化度を変えたり表面処理剤の量を変えたりすることによりコントロールすることが可能である。酸化グラフェンの酸化度が高いほど還元後に残る酸素の量も多くなり、酸化度が低いと還元後の酸素量が低くなる。また、酸性基のある表面処理剤の付着量が多くなるほど酸素量を多くすることができる。
本発明においては、表面処理剤として窒素原子を含有する化合物が付着しているグラフェンを用いることが好ましい。窒素原子を含有する化合物は、電池作製時に広く用いられるN−メチルピロリドンとの親和性が高いため、グラフェンの分散性を高めることができる。窒素原子を含有する化合物としては、グラフェン表面への吸着性が高いことから、芳香環が含まれている分子を用いることが好ましい。窒素原子を含有する化合物としては、ピラゾロン系化合物、3級アミン、2級アミン、1級アミンが挙げられる。具体的には、アンチピリン、アミノピリン,4−アミノアンチピリン,1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン,4−ベンゾイル−3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン,1−(2−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン,5−オキソ−1−フェニル−2−ピラゾリン−3−カルボン酸, 1−(2−クロロ−5−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン,1−(4−クロロフェニル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン, 1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、3−クロロアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、1−ナフチルアミン、ドーパミン塩酸塩、ドーパミン、ドーパ、などが挙げられる。
グラフェンの比表面積は、グラフェンの厚さとグラフェンの剥離度を反映しており、グラフェンの比表面積が大きいほどグラフェンが薄く、剥離度が高いことを示している。グラフェンの比表面積が小さい、すなわち剥離度が低いと、電極の導電性ネットワークを形成することが難しくなる。一方、グラフェンの比表面積が大きい、すなわち剥離度が高いと、凝集しやすくなるため分散性が低下し、取扱いが困難になる。本発明で使用されるグラフェンは、BET測定法により測定される比表面積が80m/g以上250m/g以下であることが好ましく、100m/g以上200m/g以下であることがより好ましく、130m/g以上180m/g以下であることが更に好ましい。なお、BET測定法はJIS Z8830:2013内に記載の方法で行い、吸着ガス量の測定方法はキャリアガス法で、吸着データの解析は一点法で行うものとする。
本発明に用いるグラフェンの製造方法には制限は無く、黒鉛から直接剥離させる方法であっても、黒鉛を酸化し酸化グラファイトとしたものを剥離して酸化グラフェンとし、さらに還元して作製する方法であっても良い。本発明に用いるグラフェンは粒子径を適宜制御して調整する必要があり、また比表面積が高いことが好ましいが、このようなグラフェンを作製しやすいという点で、酸化グラファイトを剥離・還元する後者の方法が好ましい。酸化グラフェンの作製法に特に限定は無く、ハマーズ法等の公知の方法を使用できる。また市販の酸化グラフェンを用いてもよい。
酸化グラフェンは高い分散性を有するが、それ自体は絶縁性で導電助剤等に用いることはできない。酸化グラフェンの酸化度が高すぎると、還元して得られるグラフェン粉末の導電性が低くなる傾向があるため、酸化グラフェンの、XPSによって測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)は、0.5以上であることが好ましい。酸化グラフェンをXPSで測定する際には、十分に溶媒を乾燥させた状態で行う。
また、酸化グラフェンの状態において内部までグラファイトが酸化されていないと、還元したときに薄片状のグラフェン粉末が得られにくい。そのため、酸化グラフェンは、乾燥させてX線回折測定をしたときに、グラファイト特有のピークが検出されないことが望ましい。酸化グラフェンの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。
酸化グラフェンを還元することでグラファイト層の剥離が進み、グラフェンが得られる。酸化グラフェンを還元する還元剤は特に限定されず、各種の有機還元剤、無機還元剤を用いることができ、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤を用いることがより好ましいが、還元雰囲気下での加熱により酸化グラフェンを還元してもよい。
なお、リチウム二次電池用正極中に存在する粒状正極活物質やグラフェンの粒子径や物性を分析する場合、以下のように行う。まず、スパチュラを用いて合剤層を集電体から剥離し、得られた粉体をNMPに溶解させ、ろ過を行うことで合剤層中の結着剤を除去する。正極活物質の粒子径を測定する場合は、大気雰囲気中500℃で1時間焼成することにより、グラフェンを除去する。このようにして得られた粉末(粒状正極活物質)をレーザー回折散乱粒度分布測定装置で測定することで、粒状正極活物質の粒子径(メジアン径)Daを測定することができる。
グラフェンの粒子径を測定する場合は、剥離した合剤層を硝酸及び塩酸で処理することにより活物質を溶解・除去洗浄する。このようにして得られた粉末(グラフェン粉末)をレーザー散乱粒度分布測定装置で測定することで、グラフェンの粒子径(メジアン径)Dbを測定することができる。また、このようにして得られたグラフェン粉末を用いて、グラフェンの酸化度・比表面積などの物性を測定することができる。
本発明の正極材料においては、粒状正極活物質がグラフェンによって平均被覆率50%以上95%以下で被覆されていることが好ましい。電池性能向上のためには、電極内での電子伝導性とイオン導電性の両立が必要になる。特に電極活物質の表面付近における電子伝導性とイオン導電性を確保することが電池性能向上のために重要である。グラフェンは導電性の高い材料であり、粒状正極活物質をグラフェンにより被覆することで活物質表面の導電性を向上することができ、被覆率が高いほど導電性が向上する。一方で完全被覆してしまうと電解液中のイオンが活物質に到達しにくくなるため、一部被覆されていない部分があることが好ましい。粒状正極活物質の平均被覆率は70%以上90%以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における平均被覆率とは、走査電子顕微鏡(SEM)により正極材料、または正極材料を含む正極の表面を観察し、観察像を二次元平面画像とみなした上で正極材料表面におけるグラフェン被覆部分の占める割合を算出した値である。具体的には、SEMより正極材料の1個を拡大して観察し、観察像を二次元平面画像とみなした上で粒状正極活物質の面積に占めるグラフェン被覆部分の面積を算出する。この操作をランダムに選択した粒状正極活物質50個について行い、その平均値を平均被覆率とする。
<リチウム二次電池用正極>
本発明のリチウム二次電池用正極(以下、「本発明の正極」または単に「正極」という場合がある)は、前述のリチウム二次電池用正極材料を含むものであり、特に限定されるものではないが、典型的には、前述の正極材料と結着剤とさらに必要に応じてグラフェン以外の導電助剤を含む合剤層が、集電体上に形成されたものである。
合剤層に含まれる結着剤としては、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素系重合体、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのゴム弾性を有するポリマー、ポリイミド前駆体および/またはポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、もしくはポリエチレンオキシドなどのポリエーテルが挙げられる。
合剤層は、必要に応じ、さらにグラフェン以外の導電助剤を含有していてもよい。グラフェン以外の導電助剤としては、電極全体の導電性を向上させ、かつ導電性を維持する必要から、三次元的な形状を有することが好ましい。このような導電助剤としては、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、VGCF(登録商標)などの炭素材料、銅、ニッケル、アルミニウムもしくは銀などの金属材料またはこれらの混合物の粉末や繊維などを用いればよい。
集電体としては、金属箔あるいは金属メッシュが好ましく用いられ、特にアルミニウム箔が好ましく用いられる。
本発明の正極においては、合剤層中において粒状正極活物質が95質量%以上を占めており、かつXPSで測定される合剤層表面における正極活物質由来の金属元素組成比が2%以下であることが好ましい。粒状正極活物質は、正極中に多く含まれるほど容量密度が大きくなるが、粒状正極活物質の比率が大きすぎると、導電材料が相対的に少なくなり、正極中の導電性が十分得られない。XPSは表面分析法であるため、被覆率が高いほど、XPSで測定される正極活物質由来の金属元素組成比は低くなる。
本発明の正極合剤層においては、窒素原子を含有する化合物が付着したグラフェンが正極表面を被覆していることが好ましい。窒素原子を含有する化合物が付着したグラフェンが正極表面を被覆している状態であれば、XPSで測定される金属元素組成比は相対的に低くなり、窒素元素比は相対的に高くなる。XPSで測定される合剤層表面における正極活物質由来の金属元素に対する窒素元素の比率は25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。窒素元素比率が高すぎると、グラフェンが電極表面に偏在して電極内の導電に関与しにくくなる。また、当該比率は200%以下であることが好ましく、150%以下であることが更に好ましい。
<リチウム二次電池用正極材料およびリチウム二次電池用正極の製造方法>
本発明のリチウム二次電池用正極材料は、一例として、粒子径Daが3μm以上20μm以下である粒状正極活物質と、粒子径Dbが0.1≦Db/Da≦1.0を満たすグラフェンと、溶媒とを混合し、その後乾燥することを含む製造方法により製造することができる。
グラフェンと粒状正極活物質とを溶媒中で混合する手法には制限はないが、せん断力を加えることのできる装置が好ましく、例えばプラネタリーミキサー、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社)、自公転ミキサー、湿式遊星ボールミルなどがあげられる。
そして、このようにして得られた混合液を乾燥し、溶媒を除去することで、グラフェンで被覆された本発明の正極材料を得ることが出来る。乾燥方法には制限はなく、真空乾燥オーブン、スプレードライ法、凍結乾燥法などが挙げられるが、乾燥時の凝集を防止する点では凍結乾燥法が好ましい。
また、グラフェンを薄膜状にすることが出来れば、溶媒を使用せずに固相で混合しても良い。固相混合する装置としては自動乳鉢・乾式遊星ボールミル・ハイブリダイザー(株式会社奈良機械製作所)やノビルタ(登録商標)(ホソカワミクロン株式会社)などが挙げられる。
本発明のリチウム二次電池用正極は、前述のように作製した正極材料を溶媒と混合して正極ペーストを調製し、得られた正極ペーストを集電体に塗布し、その後正極ペーストを乾燥させることを含む製造方法によって製造することができる。また、粒子径Daが3μm以上20μm以下である粒状正極活物質と、粒子径Dbが(Db/Da)が0.1≦Db/Da≦1.0を満たすグラフェンと、を溶媒と混合して正極ペーストを調製し、得られた正極ペーストを集電体に塗布し、その後正極ペーストを乾燥させることを含む製造方法も、好ましい態様である。
正極ペーストの調製に用いる溶媒としては、双極子モーメントが2.5D以上である非水系極性溶媒が好ましく、具体的にはN−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン・水・ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
また、正極用ペーストを調製する際には、正極材料、あるいは粒状正極活物質とグラフェンの他に、通常は結着剤を混合する。また、さらにグラフェン以外の導電助剤を混合してもよい。結着剤、グラフェン以外の導電助剤としては、前述したものを用いることができる。結着剤の含有量としては、粒状正極活物質に対して0.5〜5重量%であることが好ましく、0.75〜1.5重量%であることがより好ましい。
正極ペースト中のグラフェンの添加量は、特に限定されるものではなく、正極活物質の被覆率を適切に制御出来るよう適宜調整することができるが、少なすぎるとレート特性としては不十分となり、多すぎると被覆厚みが厚くなりレート特性が悪化することから、粒状正極活物質に対して0.5〜5質量%添加することが好ましく、0.75〜1.5質量%添加することがより好ましい。正極ペーストを調製する際、グラフェンは粉末のまま添加してもよいが、分散性の点からは、分散液の状態で添加することが好ましい。
溶媒と混合する手法には制限はないが、せん断力を加えることのできる装置が好ましく、例えばプラネタリーミキサー、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社)、自公転ミキサー、湿式遊星ボールミルなど、前述の正極材料の製造において記載したのと同様の装置を用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的かつより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。ただし、以下の実施例4は比較例に読み替えるものとする。なお実施例中の部は特に具体的な記載のない限り重量部を意味する。実施例中の物性値は、下記の方法によって測定した。
A.放電容量の測定
各実施例、比較例で作製した正極を、ガラスチューブオーブンにて120℃で3時間真空乾燥した。ガラスチューブに入れた状態(真空状態)のままArグローブボックス(美和製作所社製)内に搬送し、Ar雰囲気で開放した。対極として金属リチウムを用い、電解液としてLiPF/EC+DMC(富山薬品(株)製 LI−PASTE1)を200μL用いたコイン形モデルセルを作製した。
作製したコインセルを充放電試験機(東洋システム社製 TOSCAT−3100)にセットし、0.1Cの電流密度で4.3V(v s.Li/Li+)まで充電し、0.1Cの定電流で3 .0V(v s.Li/Li+)まで放電する条件で、充放電を3回繰り返した。さらに、充電電流密度を1C(1.9mA/cm2)で固定し、放電電流密度を1C(1.9mA/ cm2)、および5C(9.5mA/cm2)の電流密度で放電させたときの放電容量を求めた。
B.X線光電子分光測定
各サンプルのX線光電子分光測定は、Quantera SXM (PHI 社製))を使用して測定した。励起X線は、monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°である。
C.グラフェンの比表面積の測定
グラフェンの比表面積は、全自動比表面積測定装置 HM Model−1210(Macsorb社製)を使用して測定した。測定原理はBET流動法(1点法)、脱気条件は100℃×180分とした。
D.グラフェンの粒子径の測定
グラフェン粉末をHORIBA社製粒度分布測定装置LASER SCATTERING PARTICLE SIZE DISTRIBUTION ANALYZER LA−920で測定した粒度分布の中央値を粒子径とした。水循環系で装置内蔵の超音波印加しながら測定した。グラフェンの屈折率は1.43とした。
E.平均被覆率の測定
走査電子顕微鏡により正極材料の1個を拡大して観察し、観察像を二次元平面とみなした上で正極材料の面積に占めるグラフェン被覆部分の面積を算出した。この操作をランダムに選択した粒状正極活物質50個について行い、その平均値を平均被覆率とした。
[調製例1]グラフェン分散液(メジアン径21μm)の調製
平均粒子径25μmの天然黒鉛粉末(伊藤黒鉛社、品番Z−25)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械攪拌し、混合液の温度は20℃以下で保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間の反応を行い、酸化グラフェン分散液を得た。これを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返して酸化グラフェンゲルを作製した。作製した酸化グラフェンゲルの酸素原子の炭素原子に対する元素組成比は0.53であった。作製した酸化グラフェンゲルをイオン交換水で、濃度30mg/mlに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一酸化グラフェン分散液を得た。
該酸化グラフェン分散液20mlと、表面処理剤として0.3gのドーパミン塩酸塩を混合し、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社、30−30型)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒40000)で60秒処理した。処理後に酸化グラフェン分散液を5mg/mlに希釈し、分散液20mlに0.3gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて還元反応時間を1時間、還元反応温度を室温40℃で反応させ、濾過、水洗、乾燥した後グラフェン粉末を得た。
得られたグラフェン粉末のメジアン径は21μmであった。前記B項に従って測定した酸素原子の炭素原子に対する元素組成比は0.13であり、前記C項に従って測定した比表面積は180m/gであり、得られたグラフェン粉末にNMPを加え、フィルミックス(プライミクス社、30−30型)を用いて混合して、固形分濃度2BB.5%のグラフェン分散液を得た。
[調製例2]グラフェン分散液(メジアン径10μm)の調製
濃度30mg/mlの均一酸化グラフェン分散液を作製した後に、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を5分間印加(微細化工程)した以外は、調製例1と同様にグラフェン粉末を得た。
グラフェン粉末のメジアン径は10μmであった。グラフェン粉末の比表面積は190m/gであり、前記B項に従って測定した酸素原子の炭素原子に対する元素組成比は0.13であった。得られたグラフェン粉末にNMPを加え、フィルミックス(プライミクス社、30−30型)を用いて混合して、固形分濃度2.5%のグラフェン分散液を得た。
[調製例3]グラフェン分散液(メジアン径3.4μm)の調製
濃度30mg/mlの均一酸化グラフェン分散液を作製した後に、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加(微細化工程)した以外は、調製例1と同様にグラフェン粉末を得た。
グラフェン粉末のメジアン径は3.4μmであった。グラフェン粉末の比表面積は190m/gであり、前記B項に従って測定した酸素原子の炭素原子に対する元素組成比は0.13であった。得られたグラフェン粉末にNMPを加え、フィルミックス(プライミクス社、30−30型)を用いて混合して、固形分濃度2.5%のグラフェン分散液を得た。
[調製例4]グラフェン分散液(メジアン径0.7μm)の調製
濃度30mg/mlの均一酸化グラフェン分散液を作製した後に、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を3時間印加(微細化工程)した以外は、調製例1と同様にグラフェン粉末を得た。
グラフェン粉末のメジアン径は0.7μmであった。グラフェン粉末の比表面積は190m/gであり、前記B項に従って測定した酸素原子の炭素原子に対する元素組成比は0.13であった。得られたグラフェン粉末にNMPを加え、フィルミックス(プライミクス社、30−30型)を用いて混合して、固形分濃度2.5%のグラフェン分散液を得た。
[調整例5]グラフェン分散液(メジアン径3.2μm)の調製
濃度30mg/mlの均一酸化グラフェン分散液を作製した後に、ドーパミン塩酸塩を加える工程を省き、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加(微細化工程)した以外は、調整例1と同様にグラフェン粉末を得た。グラフェン粉末のメジアン径は3.2μmであった。グラフェン粉末の比表面積は250m/gであり、前記B項に従って測定した酸素原子の炭素原子に対する元素組成比は0.12であった。得られたグラフェン粉末にNMPを加え、フィルミックス(プライミクス社、30−30型)を用いて混合して、固形分濃度2.5%のグラフェン分散液を得た。
[実施例1]
三元系の正極活物質LiMn0.3Ni0.5Co0.2(ユミコア社製、二次造粒体、メジアン径12μm、一次粒子径0.7μm)3g、調製例2で作製したグラフェン分散液を0.9g(固形分で22.5mg)、アセチレンブラック(電気化学社)22.5mg、8%のポリフッ化ビニリデンNMP溶液(PVDF)(呉羽化学工業(株)製、 KF1000)を0.5625g(固形分で45mg)添加し、さらにNMPを510mg溶媒として添加し、自公転ミキサー(シンキー社製、あわとり錬太郎ARE−310)で2000RPMの回転数で5分間混合して正極ペーストを調製した。最終的な正極ペーストの組成比は、活物質:グラフェン:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン=100:0.75:0.75:1.5であった。
次いで、この正極ペーストを、集電体となる20μmのアルミ箔(日本製箔社製)の上に、ギャップ300μmのドクターブレードを用いて塗布し、80℃で30分間乾燥した後、油圧式プレス機で20kg・f/cmの圧力でプレスを行った。その後、アルミ箔と共にφ16mmのポンチで打ち抜いた。得られた正極の合剤層の重量は25mg、合剤層の厚みは55μmであった。前記D項に従って測定した平均被覆率は86%であった。合剤層の表面をXPSにより測定したところ、Li,Co,Ni,Mnの元素比を全て足し合わせた合計元素比率(全元素に対する粒状正極活物質由来の金属元素の比率)は1.5%であった。また、XPSにより測定される、Li,Co,Ni,Mnの合計元素量に対するN元素量の比率は、93%であった。
[実施例2]
グラフェン分散液を調製例3で作製したものを使用した以外は、実施例1と同様に正極を作製し、評価した。作製した電極の活物質を走査型電子顕微鏡で観察した写真を図1に示す。
[実施例3]
調製例2で作製したグラフェン分散液を1.8g(固形分で45mg)使用し、アセチレンブラックを使用せずに、正極ペーストを作製し、組成比を活物質:グラフェン:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン=100:1.5:0:1.5とした以外は、実施例1と同様に正極を作製し、評価した。
[実施例4]
グラフェン分散液を調製例5で作製したものを使用した以外は、実施例1と同様に正極を作製し、評価した。
[比較例1]
グラフェン分散液を調製例1で作製したものを使用した以外は、実施例1と同様に正極を作製し、評価した。
[比較例2]
グラフェン分散液を調製例4で作製したものを使用した以外は、実施例1と同様に正極を作製し、評価した。
[比較例3]
グラフェン使用せず、アセチレンブラックを45mgして、正極ペーストを作製し、組成比を活物質:グラフェン:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン=100:0:1.5:1.5とした以外は実施例1と同様に正極を作製し、評価した。
各実施例、比較例における正極の構成、前記A項に従って測定した放電容量および前記B項に従って測定した合剤層表面のLi,Co,Ni,Mnの合計元素比率(粒状正極活物質由来の金属元素の組成比)、N元素比率、N元素/Li,Co,Ni,Mnの合計元素の比を表1に示す。

Claims (7)

  1. 粒状正極活物質をグラフェンで被覆してな、前記粒状正極活物質の粒子径Daが3μm以上20μm以下であり、かつ前記グラフェンの粒子径Dbを前記粒状正極活物質の粒子径Daで除した値(Db/Da)が0.10≦Db/Da≦1.0を満たすリチウム二次電池用正極材料を含むリチウム二次電池用正極であって、集電体と合剤層を有し、前記合剤層中に前記粒状正極活物質を95%質量以上含み、かつ前記合剤層表面のX線光電子分光分析により測定される、全元素に対する前記粒状正極活物質由来の金属元素の組成比が2%以下である、リチウム二次電池用正極。
  2. 粒状正極活物質をグラフェンで被覆してなり、前記粒状正極活物質の粒子径Daが3μm以上20μm以下であり、かつ前記グラフェンの粒子径Dbを前記粒状正極活物質の粒子径Daで除した値(Db/Da)が0.10≦Db/Da≦1.0を満たすリチウム二次電池用正極材料を含むリチウム二次電池用正極であって、集電体と合剤層を有し、前記合剤層表面のX線光電子分光分析により測定される、正極活物質由来の金属元素に対する窒素元素の比率が25%以上200%以下である、リチウム二次電池用正極。
  3. 前記合剤層表面のX線光電子分光分析により測定される、正極活物質由来の金属元素に対する窒素元素の比率が25%以上200%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
  4. 前記グラフェンによる前記粒状正極活物質の平均被覆率が50%以上95%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
  5. 前記粒状正極活物質が二次造粒体であり、かつ該二次造粒体を構成する一次粒子の粒子径が0.2μm以上1μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
  6. 前記グラフェンの、X線光電子分光分析により測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.06以上0.25以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極。
  7. 粒子径Daが3μm以上20μm以下である粒状正極活物質と、
    粒子径Dbが(Db/Da)が0.1≦Db/Da≦1.0を満たすグラフェンと、
    を溶媒と混合して正極ペーストを調製し;
    得られた正極ペーストを集電体に塗布し;
    その後該正極ペーストを乾燥させる;
    ことを含む、請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
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