以下、図面を用いながら、開示の無線端末、無線基地局、無線通信システム、および無線通信方法の実施形態について説明する。尚、便宜上別個の実施形態として説明するが、各実施形態を組み合わせることで、組合せの効果を得て、更に、有用性を高めることもできることはいうまでもない。
〔問題の所在〕
まず、各実施形態を説明する前に、従来技術における問題の所在を説明する。この問題は、発明者が従来技術を仔細に検討した結果として新たに見出したものであり、従来は知られていなかったものであることに注意されたい。
上述したように、MTCデバイスは一般的な携帯電話端末(いわゆるセルラー端末)と比較して、いくつかの異なる性質があると考えられている。例えば、MTCデバイス特有の性質の一つとして、MTCデバイスは移動しない(あるいは移動するにしても極めて限定的な)ものがほとんどであることが挙げられる。一般的な携帯電話端末は高速移動する場合(高速な乗り物で移動中の場合等)もありうるが、電気メーターや防犯センサー等のMTCデバイスにはそのような場合は想定しにくいためである。
MTCデバイスはほとんど移動しないため、MTCデバイスには一般的な携帯電話端末に要求されるモビリティ(移動性)はほとんど要求されないと考えられる。例えば、MTCデバイスにおいては、ハンドオーバー機能は不要である可能性がある。ここでは、MTCデバイスに対するスケジューリングに着目して検討する。ここで、スケジューリングとは、無線基地局が無線端末(MTCデバイスを含む)に対して、送受信に用いる無線リソースや変調方式・符号化方式等を指定することである。
移動がほとんどないという性質を踏まえると、MTCデバイスにおいては、いわゆるダイナミックスケジューリングを実施する意義は少ないと考えられる。ここで、ダイナミックスケジューリングとは、送受信を行う度にダイナミック(動的)にスケジューリングを行うことである。LTEのダイナミックスケジューリングにおいては、要素技術として適応的変調符号化(AMC: Adaptive Modulation and Coding)が採用されている。適応的変調符号化は、データの送受信に用いる変調方式や符号化方式を無線品質に応じて逐次選択することにより通信効率を高める技術であり、特に高速移動中の無線端末等のような無線品質が変化しやすい場合において効果が発揮されるものである。しかしながら、上述したようにMTCデバイスはほぼ移動せず、無線品質もほぼ一定であるものと考えられるため、適応的変調符号化を実施する必要性が一般的な携帯電話端末と比べて少ないと考えられる。
それどころか、MTCデバイスに対してダイナミックスケジューリングを実施すると、むしろ大量のシグナリング(制御用の信号)の発生による弊害が懸念される。特に、ダイナミックスケジューリングに基づいて上りのデータ送信(無線端末から無線基地局へのデータ送信)を行う場合が問題となる。ダイナミックスケジューリングに基づいて下りのデータ送信(無線基地局から無線端末へのデータ送信)を行う場合には、無線基地局は下りデータと当該下りデータをマッピングした無線リソース等を示すための制御情報であるDCI(Downlink Control Information)とを一緒に無線端末に送信するだけで良いため、シグナリング量はあまり問題とはならない。これに対し、上りのデータ送信においては、無線基地局は無線端末が送信したい上りデータの存在やデータサイズが分からないと適切な量の無線リソースを割当てることができないため、下りデータの送信に比べて処理が複雑となる。
具体的には、ダイナミックスケジューリングに基づく上りのデータの送信においては、データの送信を行う毎にその都度、無線端末と無線基地局の間で2往復の制御用信号が送受信される。具体的には、まず無線端末は上りデータの送信を要求する制御信号であるSR(Scheduling Request)を無線基地局に送信する。次に無線基地局は所定量の上り無線リソースを割当てるInitial UL Grantを無線端末に送信する。そして無線端末は、Initial UL Grantで割当てられた所定量の上り無線リソースに基づいて、上りデータのデータサイズを示すBSR(Buffer Status Report)を無線基地局に送信する。最後に、無線基地局は、受信したBSRに基づいて無線端末に割当てる無線リソースを決定し、当該無線リソースに基づいて無線端末による上り送信を許可することを示すUL Grantを無線端末に対し送信する。
このように、特にダイナミックスケジューリングに基づく上りのデータ送信には、多くのシグナリングを要する。ここで、MTCデバイスは一般的な携帯電話端末よりも台数が多くなることが想定されている。そのため、仮にMTCデバイスに対してダイナミックスケジューリングを実施すると、システムにおけるシグナリング量が膨大となることが懸念される。シグナリング量が増大すると、データの送受信に使える無線リソースが圧迫されるため、無線リソースの効率的利用の観点で避けられるべきである。また、MTCデバイスは省電力であることが要求される場合も多いが、シグナリング量が増えると、その処理に必要な消費電力も増えるため、望ましくないと考えられる。
一方、LTEにおいては、以上で説明したダイナミックスケジューリングに対し、セミパーシステント・スケジューリング(SPS: Semi-Persistent Scheduling)と呼ばれるスケジューリング方式が規定されている。SPSは、ダイナミックスケジューリングのように毎回動的に無線リソースを割当てるものではなく、半持続的(semi-persistent)に無線リソースを割当てるものである。
図1に、LTEにおける上りのSPSの処理シーケンスの一例を示す。ここでは上り(無線端末20から無線基地局10への無線通信)のSPSを説明するが、LTEにおいては下り(無線基地局10から無線端末20への無線通信)についても同様にSPSを適用することができる。
まず、図1のS101で無線基地局10は、SPSにおける基本的なパラメータを無線端末20に通知する。S101の通知は、L3(Layer 3)シグナリングであるRRC信号によって、物理下り共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared CHannel)を介して送受信される。S101のRRC信号で通知されるSPSのパラメータには、例えばSPSの通信間隔等を含む。無線基地局10は、SPSの通信間隔をサブフレーム(1msec)単位で設定することができる。なお、S101のRRC信号ではSPSの基本的なパラメータが通知されるのみであり、このRRC信号に基づくタイミングでSPSに基づく送受信が開始されるわけではない。
次にS102で無線基地局10は、SPSを活性化(activation)するための制御信号を無線端末20に送信する。S102の制御信号は、L1(Layer 1)シグナリングであるDCI(Downlink Control Information)によって、物理下り制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)を介して送受信される。S102の制御信号により、S101のRRC信号で基本パラメータが設定されたSPSが活性化され、当該SPSに基づく送受信が開始される。S102の制御信号に相当するDCIは、SPSの実行に必要なパラメータを含む。DCIが含むパラメータは、SPSに基づく送信が行われる各サブフレームにおける上り物理共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel)に対応する無線リソースの指定や、SPSに基づく送信に適用される変調符号化方式(MCS: Modulation and Coding)の指定等を含む。
そして、S103〜S109にかけて無線端末20は、特別なシグナリングを介さずに、SPSに基づく送信をPUSCHを介して行う。SPSに基づく初回の送信に当たるS103は、S102でDCIが送受信されたサブフレームの4サブフレーム後に行われる。以後、S101のRRC信号により通知された通信間隔毎のサブフレームにおいて、無線端末20は無線基地局10にSPSに基づく送信をPUSCHを介して行う。
図2に、図1のS102〜S105に対応する拡大図を示す。図2は、一例として、SPSの通信間隔が20サブフレームである場合を図示している。図2に示されるように、上述した通り、SPSに基づく初回の送信に当たるS103は、S102でDCIを受信したサブフレームの4サブフレーム後に行われる。そして、その後は、通信間隔である20サブフレーム毎の各1サブフレームにおいて、無線端末20は無線基地局10にSPSに基づく送信を行う。
図1に戻って、S110で無線基地局10は、SPSを解放(release)するための制御信号を無線端末20に送信する。S110の制御信号は、S102と同様に、DCIによってPDSCHを介して送受信される。S110の制御信号により、S103で活性化されたSPSが解放され、当該SPSに基づく送受信が終了される。これにより、S106以降、SPSに基づく送信は行われない。ただし、S106の後に無線基地局10が再びSPSを活性化した場合には、無線端末20はSPSに基づく送信を再び開始することができる。
なお、図1においては一例として、SPSに基づく送信が7回以上(図中の省略を含む)行われた後に無線基地局10はSPSを開放しているが、無線基地局10は任意のタイミングでSPSを解放することができる。例えば無線基地局10は、SPSを利用するアプリケーション(VoIPによる通話等)が終了したタイミングで、SPSを解放することができる。
一方、図3にLTEにおける下りのSPSの処理シーケンスの一例を示す。また、図4に、図3のS202〜S205に対応する拡大図を示す。図1〜2に示される上りのSPSでは各送信(S103〜S109)をPUSCHを介して行っていたのに対し、図3〜4に示される下りのSPSにおいては、各送信(S203〜S209)をPDSCHを介して行う点が異なっている。
図1〜4に基づいて説明したSPSによれば、ダイナミックスケジューリングのようにデータ送信の度に無線リソースの割当のためのシグナリングを行う必要が無くなる。例えば図1のS103〜S109に示されるような送信を、ダイナミックスケジューリングによって行おうすると、S103〜S109のそれぞれの送信毎にリソース割当のためのシグナリングが必要となる。これに対し、図1に示されるSPSにおいては、S103〜S109のそれぞれの送信毎にリソース割当のためのシグナリングは必要ない。図1に示されるSPSにおいて必要なシグナリングは、SPSに基づく送信を開始するためのS101およびS102と、SPSに基づく送信を終了させるためのS110のみとなる。したがって、SPSによれば、ダイナミックスケジューリングと比較してシグナリング量を抑制することが可能となる。シグナリング量の抑制の効果は、SPSの送信回数が増える(または、SPSの実行期間が長くなる)ほどに、高まると考えられる。
一方、SPSには、ダイナミックスケジューリングとの比較において、デメリットも存在する。SPSのデメリットの一つとして、ダイナミックスケジューリングと比較して、無線環境の変化に弱いことが挙げられる。このデメリットは、前述した適応的変調符号化がSPSには適用できないことを起因とするものである。適応的変調符号化は、通信の度に無線環境に応じたMCSの指定を行うことにより実現されるため、通信の度にMCSを通知するためのシグナリングが必要となる。しかしながら、SPSは通信の度のシグナリングを省略するため、適応的変調符号化を適用することが本来的に不可能である。そのため、SPSにおいては、活性化時(図1のS102)に指定されたMCSを解放時(図1のS110)まで使い続ける。そのため、SPSにおいては、活性化後に例えば無線環境が悪化した場合に、誤りに強いMCSに変更することはできない。したがって、SPSは無線環境の変化に弱いという性質がある。もし誤りに強いMCSに変更したい場合は、SPSの再活性化(re-activation)を行う必要がある。SPSの再活性化の際には、SPSの活性化(activation)の場合と同様に、SPSの実行に必要なパラメータを含む。DCIが含むパラメータは、SPSに基づく送信が行われる各サブフレームにおける上り物理共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel)に対応する無線リソースの指定や、SPSに基づく送信に適用される変調符号化方式(MCS: Modulation and Coding)の指定等を含む。
ここで、MTCデバイスに対するスケジューリングに話を戻すと、MTCデバイスは上記で説明したSPSと比較的相性が良いと考えられる。まず、上述したようにSPSには適応的変調符号化は適用されないが、移動に基づく無線品質の変化がほとんどないMTCデバイスに対してはその弊害は少ないと考えられる。また、SPSは上りの場合であっても、シグナリングは最初と最後のみであり、ダイナミックスケジューリングのように上りデータの送信の度にシグナリングが送受信されることはない。したがって、MTCデバイスが送受するシグナリング量を抑えることができる。
以上のように、MTCデバイスにSPSを適用した場合、SPSのデメリットによる影響をほとんど受けることなく、SPSのメリットを享受できると考えられる。したがって、MTCデバイスはSPSと好相性であり、MTCデバイスにはSPSを適用してスケジューリングを行うのが望ましいと考えられる。
ところで、SPSは従来、前述したようなVoIP等に適用されることが想定されていた。ここで、VoIPに基づく通話データは、音声データであるため、1回の送信あたりのデータ量はそれほど大きくないと考えられる。
これに対し、今後は、MTCデバイスにSPSを適用した場合等において、比較的大きな動画や静止画等のデータを送受信することも想定される。一例として、MTCに対応した監視カメラにSPSを適用することを考える。監視カメラは所定の周期で撮影した画像を、SPSに基づく所定の通信間隔(例えば80msec)でサーバに送信する。このような場合には、SPSの毎回の送信において、比較的大きなデータが送受信されることになる。
ここで、無線端末20が比較的大きなデータを送る場合には、比較的大きな無線リソースを無線端末20に割当てる必要がある。これを従来のSPSにおいて実現しようとすると、SPSの送信タイミングにあたる1サブフレームにおいて、比較的大きな無線リソースを割当てる必要がある。この場合、SPSの送信タイミングにあたる1サブフレーム毎に比較的大きな無線リソースが、特定の無線端末20に対し半持続的に予約されることになる。しかしながら、将来のサブフレームにおいて比較的大きな無線リソースを特定の無線端末20に割当ててしまうと、他の無線端末20の当該サブフレームにおける無線リソース割当の柔軟性を予め奪うことになるため、好ましくない。
例えば、SPSを実施する無線端末20が多くなると、SPS用の無線リソースにより、あるサブフレームが圧迫されることも起こりうる。このような場合に、SPS用の無線リソースで圧迫されたサブフレームにおいて、優先度や緊急性が高いSPS以外のデータ送信が発生すると、対応が困難となることが想定される。特に、今後のMTCデバイスの広まり等により無線端末20の台数が増加することを考慮すると、無線リソースの割当の柔軟性はできるだけ確保しておくべきであると考えられる。
また、上記の事情に加え、MTCデバイスは、例えばセンサーネットワークにおける各種のセンサー装置のように、サイズの小さいデータが多発的に発生するという特性があるものも多いと考えられる。このようなMTCデバイスにおいては、図1〜4に示されるようなone-shot型のSPSでは、無線リソースの割当が不十分となりうることも懸念される。また、このようなMTCデバイスに対し、送信するデータをある程度バッファリングする前提でone-shot型のSPSを適用することも可能と思われる。しかしながら、MTCデバイスに搭載されるメモリは容量が小さい場合も多く、それほど多くのデータはバッファリングできないため、やはりMTCデバイスとone-shot型のSPSとはそれほど相性が良くないと考えられる。
なお、以上の説明は例としてMTCデバイスに基づいて行ったが、上記の問題は必ずしもMTCデバイスに限られるものではない。上記の問題は、例えばMTCデバイスと同様なもしくは類似した形態で利用される通常の携帯電話端末についても起こりうるものであると考えられる。
以上をまとめると、従来のSPSにおいては、画像データのような比較的大きなデータを送受信することは想定されていなかったと考えられる。そのため、監視カメラ等のMTCデバイスを含む携帯電話端末に従来のSPSがそのまま適用されると、将来の無線リソースの割当における柔軟性が失われるという不都合が生じる可能性がある。また、MTCデバイスでは、小さなデータが多発的に発生するという特徴を有するため、従来のone-shot型のSPSにおいては、対応するのが難しい。前述したようにこの問題は、発明者が従来技術を仔細に検討した結果として新たに見出したものであり、従来は知られていなかったものである。以降では、この問題を解決するための本願の各実施形態を順に説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態は、無線基地局10が無線端末20に対し、所定の通信間隔で行われる通信の通信間隔とともに、各通信間隔で前記通信を行うための通信区間を指定するものである。言い換えれば、複数個の区間から成る通信間隔で行われる通信における該通信間隔を含む第1情報を無線基地局から受信する受信部と、前記第1情報に基づいて、前記無線基地局と前記通信を行う通信部とを備え、前記第1情報は、前記複数個の区間のうちの所定個の区間で前記通信を行うことを示す第2情報を含む無線端末20及びこれを含む無線通信システム等に対応するものである。
第1実施形態の無線通信システムの前提を述べる。第1実施形態の無線通信システムが使用する無線リソースは少なくとも時間成分を有しており、ここでは便宜上、時間成分の単位を通信区間と呼ぶことにする。無線基地局10および無線端末20は、時間方向では通信区間単位で送信や受信を行うことができるものとする。なお、ここで「通信区間」とは無線リソースの時間成分の単位を示す用語の一例にすぎず、これを例えば、フレーム、サブフレーム、スロット、タイムスロット、あるいは(単に)区間、等の用語と置換しても本願発明の本質は何ら損なわれないことは言うまでもない。
また、第1実施形態においては、通信間隔を有する上り送信(無線端末20から無線基地局10への、通信間隔を有する送信)に本願発明を適用した場合に基づいて説明を行う。しかしながら、本願発明は通信間隔を有する下り送信(無線基地局10から無線端末20への、通信間隔を有する送信)に対しても同様に適用することができることに留意する。
図5に、第1実施形態に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。
S301で無線基地局10は、無線端末20による通信間隔を有する送信用の無線リソースの割当を当該無線端末20に対して行う。通信間隔を有する送信用の無線リソースの割当は、無線基地局10が、通信間隔を有する送信用の無線リソースを示す情報(以後は便宜上、リソース情報と称する)を無線端末20に送信することで行われる。
ここで、リソース情報は、無線リソースの通信間隔を示す情報を少なくとも含むものとする。無線リソースの通信間隔を示す情報は、例えば、通信区間数(2以上の正整数であるNとする)とすることができる。
さらに、リソース情報は、各通信間隔(各N通信区間)において無線リソースが割当てられた通信区間を示す情報(以後は便宜上、通信区間指示情報と称する)をも、少なくとも含む情報とする。通信区間指示情報は、各通信間隔(各N通信区間)において無線端末20が送信可能な通信区間を示す情報と言い換えることもできる。通信区間指示情報としては、いくつかの例が考えられる。例えば、各通信間隔において通信間隔を有する送信用の無線リソースは連続する通信区間上に割当てられるという前提を置く場合には、通信区間指示情報は、当該連続する通信区間の数(1以上でN−1以下の正整数であるMとする)とすることができる。
一方、前記の前提を置かず、各通信間隔において通信間隔を有する送信用の無線リソースは連続しない通信区間上に割当てることもできるようにしてもよい。この場合の一例としては、通信区間指示情報を、Nビットのビットマップとすることができる。Nビットのビットマップにおける各ビットが、各通信間隔に相当するN個の通信区間それぞれにおける無線リソース割当の有無を示すことになる。なお、Nビットのビットマップを採用する場合には、ビットマップの長さが通信間隔を示すことになるため、リソース情報に通信間隔を示す別途の情報を含むことを要しない。
また、S301で無線基地局10が送信するリソース情報としては、前述した通信間隔を示す情報や通信区間指示情報以外の、通信間隔を有する送信に用いる無線リソースに関する情報を含んでもよい。例えば、リソース情報は、通信区間指示情報で示される通信区間に割当てられた無線リソースを特定するための情報(例えば、周波数情報や時間情報)を含むようにしてもよい。また、リソース情報は、通信間隔を有する送信における初回送信のタイミングを示す情報(例えば、通信区間のオフセット情報)を含んでもよい。
次にS302〜S308のそれぞれで無線端末20は、S301で割当てられた通信間隔を有する無線リソースに基づいて、無線基地局10に対する送信を行う。別の言い方をすれば、S302〜S308のそれぞれで無線端末20は、S301で受信したリソース情報に基づいて、無線基地局10に対して通信間隔を有する送信を行う。ここで、前述したように、リソース情報は少なくとも通信間隔を示す情報と通信区間指示情報とを含む。そのため、S302〜S308のそれぞれで無線端末20は、S301で受信したリソース情報に含まれる通信間隔を示す情報と通信区間指示情報とで特定される通信区間において、無線基地局10に対して通信間隔を有する送信を行う。
図6に、図5のS302〜S304に対応する拡大図を示す。図6は、一例として、無線端末20が行う送信における通信間隔Nが20通信区間の場合を示している。また、図6は、一例として、各通信間隔において通信用の無線リソースは連続する通信区間上に配置されるという前提を置いた上で、通信区間指示情報が示す当該連続する通信区間の数Mが8の場合を示している。このとき、図6のS302〜S304に示されるように、20通信区間の通信間隔で、各通信間隔において連続する8通信区間において、無線端末20は無線基地局10に送信を行うことができる。
以上説明した第1実施形態に係る無線通信システムによれば、無線基地局10が通信間隔を有する送信用の無線リソースを割当てる際に、各通信間隔において複数通信区間に跨る無線リソースを割当てることが可能となる。これにより、通信間隔を有する送信における無線リソースの割当を時間方向で柔軟に行うことが可能となる。
これにより、第1実施形態によれば、通信間隔を有する送信を行う場合において、各通信間隔に比較的大きなデータを送信する場合に、複数の通信区間に分割して送信することが可能となる。そのため、複数の通信区間において予め確保しておく無線リソースが小さくなる。その結果、通信間隔を有する送信において、ある通信区間の無線リソースが圧迫されるような場合が少なくなり、上述した問題を解決することができる。
さらに第1実施形態は、図1等に例示される従来の通信間隔を有する送信と比較して、シグナリングの量を増やすことなく実現することができる。また、第1実施形態をダイナミックスケジューリングと比較すると、従来の通信間隔を有する送信以上に大幅にシグナリングの量を低減することができる。例えば従来の通信間隔を有する送信を例示した図2の送信をダイナミックスケジューリングで実現しようとすると3回のシグナリングを要するのに対し、第1実施形態を例示した図6の送信をダイナミックスケジューリングで実現しようとすると24回ものシグナリングを要することからも、第1実施形態はシグナリング量低減の効果が大きいことが分かる。
これらに加えて、第1実施形態によれば、各通信間隔で送るべきデータを複数通信区間に分割して送信することができる。これにより、送信電力を一定とすると、ビット当たりの送信電力が相対的に増えるため、カバレッジが向上する。別の言い方をすると、誤りに強い変調方式・符号化方式を使用できるため、通信特性が向上するという効果が得られる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、LTEのSPS(Semi-Persistent Scheduling)送信に対して本願発明を適用した場合に対応する実施形態である。一言で言うと、図1〜4に示される従来のSPSはone-shot型であるのに対し、第2実施形態のSPSはmulti-shot型のSPSを実現するものである。
第2実施形態においても、上りのSPS送信に本願発明を適用した場合に基づいて説明を行う。しかしながら、本願発明は下りのSPS送信に対しても同様に適用することができることに留意する。
第2実施形態の無線通信システムの前提を述べる。無線リソースは時間成分を有しており、時間成分の単位をサブフレーム(1msec)である。無線基地局10および無線端末20は、時間方向ではサブフレーム単位で送信や受信を行うことができるものとする。
図7に、第2実施形態に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。
S401で無線基地局10は、SPSのパラメータを含むRRC信号を無線端末20に対して送信する。より具体的には、無線基地局10が無線端末20に送信するRRC信号であるRRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージ、またはRRC Connection Reestablishmentメッセージは、それぞれRadio Resource Config Dedicated情報要素を含んでいる。そしてRadio Resource Config Dedicated情報要素はSPS-Config情報要素を含むことができる。このSPS-Config情報要素が、SPSに関する各種のパラメータを含んでいる。したがって、S401で無線基地局10は、RRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージ、またはRRC Connection ReestablishmentメッセージのいずれかにSPS-Configを格納して無線端末20に送信する。
ここで、比較のために、まず従来のLTEシステムにおけるSPS-Config情報要素を説明する。まず、SPS-Config情報要素は、パラメータであるsemi Persist Sched C-RNTI、sps-Config DL情報要素、sps-Config UL情報要素を含んでいる。ここで、semi Persist SchedC-RNTIは、SPSにおける無線端末20の識別子に相当し、前述したDCIが自分宛であるか否かを判定する際に用いる。また、sps-Config DL情報要素とsps-Config UL情報要素とは、それぞれ下りのSPSと上りのSPSに対する各種パラメータを含んでいる。以下では、sps-Config UL情報要素に基づいて説明を行うが、sps-Config DL情報要素も概ね同様に扱うことができる。
図8に従来のLTEシステムにおけるsps-Config UL情報要素を示す。SPS-Config UL情報要素はSPSに関するいくつかのパラメータを含んでおり、その一つであるsemi Persist Scheduling Interval ULが上りのSPSの通信間隔を示すパラメータである。semi Persist Scheduling Interval ULは、それぞれ10、20、32、40、64、80、128、160、320、または640サブフレームの各値を取りうることが規定されている。したがって、無線基地局10は、これらの値のいずれかをsemi Persist Scheduling Interval ULに設定したRRC信号を送信することで、無線端末20に上りのSPSの通信間隔を通知することができる。
これに対し、図9に第2実施形態におけるSPS-Config UL情報要素を示す。図9のSPS-Config UL情報要素は、図8とは異なり、パラメータとの一つとしてsemi Persist Scheduling Interval UL を含んでいる(下線部)。ここでsemi Persist Scheduling Interval UL は、上りのSPSの各通信間隔において送信可能な連続するサブフレームの数を表すパラメータとする。ここでは、一例として、第1実施形態で説明したのと同様に、SPSの各通信間隔においては連続するサブフレームにおいてのみ送信可能であるという前提を置くものとしている。
図9のsemi Persist Scheduling Interval UL は、一例として3ビットの情報であるとする。また、3ビットに基づく000〜111の8種類の値により、semi Persist Scheduling Interval UL は、上りのSPSの各通信間隔において送信可能な連続するサブフレームの数として1、2、4、8、16、32、64、128を表すことができるものとする。
以上をまとめると、S401で無線基地局10は、SPSの通信間隔を示す情報(semi Persist Scheduling Interval UL)とSPSの各通信間隔において送信可能な連続するサブフレームの数を表す情報(semi Persist Scheduling Interval UL )を含むRRC信号を無線端末20に対して送信する。一方、無線端末20は無線基地局10が送信したRRC信号を受信する。
次にS402で無線基地局10は、SPSを活性化するための制御信号を無線端末20に対して送信する。より具体的には、無線基地局10は、下りの制御情報であるDCI(Down link Information)に含まれる所定のパラメータに所定の値を設定したうえで無線端末20に送信することで、SRSを活性化する。ここで、SPSの活性化(activation)とは、S301で設定されたパラメータに基づくSPSを開始することに相当する。
本実施形態におけるDCIは、一般的なLTEにおけるDCIと同じものを用いることができる。図10A〜Bに本実施形態におけるDCIを示す。DCIはいくつかのフォーマットが規定されており、それぞれ役割が異なっている。上りのSPSを活性化する場合、DCI format 0を用いる。DCI format 0は、上りデータのダイナミックスケジューリングに使用される制御情報であるが、上りSPSの活性化にも使用される。DCI format 0は、NDI、TPC command for scheduled PDSCH、Cyclic shift RM RS、MCS and RV、Resource Block等の各フィールドを含む。
DCI format 0のこれらのフィールドの値を図10Aで示す表の「アクティベーション」の列が示す値に設定することで、無線基地局10は無線端末20に対して上りのSPSを活性化する旨を通知することができる。ここで、MCSフィールドは5ビットのフィールドであるが、最初の1ビットを0に設定し、残りの4ビットによりSPSで用いる変調符号化方式を指定する。また、Resource Blockは上りの帯域幅に応じて異なるサイズとなる(例えば、上りの帯域幅が50MHzの場合は6ビット、100MHzの場合は8ビットとなる)が、これによりSPSで送信を行う各サブフレームにおけるリソースブロック(上りの帯域幅を分割したもので、周波数方向のリソース単位)を指定することができる。
一方、下りのSPSを活性化する場合、DCI format 1、1A、2、2A、2B、2Cのいずれかを用いる。これらのDCI format 0のこれらのフィールドの値を図10Bで示す表の「アクティベーション」の列が示す値に設定することで、無線基地局10は無線端末20に対して下りのSPSを活性化する旨を通知することができる。
次に図7のS403〜S409で無線端末20は、SPSに基づく送信を行う。これらのSPS送信は、S401のRRC信号とS402のDCIとで通知された各種パラメータ等に基づいて実行される。
図11に、図7のS402〜S405に対応する拡大図を示す。図2で説明したように、SPSに基づく初回の送信に当たるS403は、S402でDCIが送受信されたサブフレームの4サブフレーム後に行われる。この4サブフレームのタイミング差(FDDの場合)は、仕様で予め規定されている固定値であるため、無線基地局10から指示等を受けることなく、無線端末20はS402を受信したタイミングに基づいてSPSの初回送信のタイミングを認識することができる。
そしてその後は、図11のS403〜S405や図7のS403〜S409に示されるように、S401のRRC信号により通知されたsemi Persist Scheduling Interval ULとsemi Persist Scheduling Interval ULの値に基づいて、無線端末20は無線基地局10にSPSに基づく送信を行う。図11は、一例として、S401のRRC信号に含まれるsemi Persist Scheduling Interval ULの値が20サブフレームの場合を示している。また、図11は、一例として、S401のRRC信号に含まれるsemi Persist Scheduling Interval ULの値が8サブフレームの場合を示している。このとき、図11のS403〜S405に示されるように、20サブフレームの通信間隔で、各通信間隔において連続する8サブフレームにおいて、無線端末20は無線基地局10に送信を行うことができる。
次に、各通信間隔における連続するサブフレームの送信(例えば、図11のS403に示されるような連続する8個のサブフレームの送信)の処理について詳しく説明する。ここでは、説明を単純化するために、前提として、無線端末20が各通信間隔で送信するデータが当該通信間隔の送信前に確定しているものとする。そして、各通信間隔において送信するデータを、semi Persist Scheduling Interval UL個のサブフレームで分割して送信するものとする。
無線端末20はS403等において、当該通信間隔で送信するデータをsemi Persist Scheduling Interval UL個に分割したデータを、連続するsemi Persist Scheduling Interval UL個のサブフレームそれぞれで送信する。図11の例では、無線端末20はS403等において、当該通信間隔で送信するデータを8個に分割したデータを、連続する8個のサブフレームそれぞれで送信する。このとき無線端末20は、semi Persist Scheduling Interval UL個のサブフレームそれぞれで、S402のDCIで指定されたMCSに基づいて分割データを符号化および変調する。また無線端末20は、semi Persist Scheduling Interval UL個のサブフレームそれぞれで、S402のDCIで指定されたResource Blockに対して、符号化および変調された分割データをマッピングする。以上のようにして、無線端末20はS403等に対応するSPSに基づく送信を行うことができる。
ところで、LTEシステムでは再送制御が行われる。そのため、無線基地局10はデータを受信すると、応答信号であるACK信号またはNACK信号を無線端末20に送信する。ACK信号はデータの受信(復号)に成功したことを示す応答信号である。一方、NACK信号はデータの受信(復号)に失敗したことを示す応答信号である。無線端末20はこれらの応答信号に基づき、データの再送を行うか否かを決定する。LTEシステムにおいては、データを受信したサブフレームの4個後のサブフレームにおいて、ACK信号またはNACK信号を送信することが規定されている。
図7および図11において各データに対するACK信号及びNACK信号は図示されていないが、本実施形態の無線基地局10は受信結果に応じてACK信号またはNACK信号を無線端末20に送信するものとする。ACK信号やNACK信号の送信においてはいくつかの方式が考えられる。最も単純な方式としては、一般的なLTEシステムに則って、サブフレーム毎にACK信号またはNACK信号を送信することができる(便宜上、個別応答方式と呼ぶ)。個別応答方式では再送もサブフレーム毎に行うことができる。個別応答方式によれば、図11に示す場合、各通信間隔でSPS送信される8個のサブフレームそれぞれについて、無線基地局10はACK信号またはNACK信号を無線端末20に送信する必要がある。つまり図11の例では、SPS送信の各通信間隔に8個のACK信号またはNACK信号を要することになる。
このようにサブフレーム毎にACK信号またはNACK信号を送信する個別応答方式は、既存のLTEシステムに馴染みやすいものの、シグナリング量が膨大となる懸念がある。そこで、各通信間隔毎に1つのACK信号またはNACK信号を送信する方式が考えられる(便宜上、一括応答方式と呼ぶ)。図11の例に基づいて説明すると、無線基地局10は、各通信間隔で通信可能な最後(8個目)のサブフレームまで受信した後に、当該通信間隔で通信可能な全てのサブフレームの受信が成功した場合にはACKを1回だけ送信する。一方、無線基地局10は当該通信間隔で通信可能なサブフレームの受信が1つでも失敗した場合にはNACKを1回だけ送信する。しかし、一括応答方式の場合、再送が必要な場合、8個のサブフレームをまとめて再送する必要がある。そのためシグナリング量は減るが、再送するデータ量が増えてしまうという別の問題が発生する。
そこで、個別応答方式と一括応答方式を組み合わせた再送方式が考えられる。例えば、無線基地局10はある通信間隔で送信可能な全てのサブフレームの受信が成功した場合にはACKを最後に1回だけ送信する。一方、無線基地局10は当該通信間隔で送信可能なサブフレームのいずれかで受信が失敗した場合にはそのサブフレーム以降はサブフレーム毎にACK信号またはNACK信号を送信することができる。こうすると、シグナリング量を抑えることができるとともに、再送をサブフレーム毎に行うことが可能となる。
あるいは、ACK信号またはNACK信号は1ビットの信号であるが、これを複数ビットに拡張することも考えられる。例えばACK信号またはNACK信号を8ビットのビットマップとし、図2における各通信間隔において送信可能な8サブフレームの各サブフレームの受信結果に対応付けることができる。この方法でも、シグナリング量を抑制しながらサブフレーム毎の再送が可能である。
なお、再送を行う場合には、無線端末20はダイナミックスケジューリングに基づいて無線基地局10から割当てられた無線リソースを用いて再送を行うことができる。また、次の通信間隔の無線リソースを用いて再送を行うこともできる。
最後に、上記で説明した第2実施形態においては、一例として、SPS送信の各通信間隔においては連続するサブフレームにおいてのみ送信可能であるという前提を置いた場合を説明している。しかしながら、この前提は第2実施形態(以降で説明する第2実施形態に基づく他の実施形態も含む)において必須のものではない。すなわち、第2実施形態においては、SPS送信の各通信間隔において連続しないサブフレームにおいて送信可能としてもよい。
具体的には、上記説明においてはSPS送信のパラメータsemi Persist Scheduling Interval ULは上りのSPSの各通信間隔において送信可能な連続するサブフレームの数を表すものとしたが、これに限られない。一例としては、semi Persist Scheduling Interval ULを、SPS送信の通信間隔(サブフレーム単位)分のビット数から成るビットマップとすることができる。このとき、semi Persist Scheduling Interval ULにおいて、ビットマップにおける各ビットが、各通信間隔において通信可能なサブフレームそれぞれにおける無線リソース割当の有無を示すことになる。また、semi Persist Scheduling Interval ULを所定のビット数から成るビットマップとして、当該ビットマップにおける各ビットが、各通信間隔における先頭から所定ビット数のサブフレームそれぞれにおける無線リソース割当の有無を示すこととしてもよい。
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の各種効果が得られる。
すなわち、第2実施形態に係る無線通信システムによれば、無線基地局10がSPS用の無線リソースを割当てる際に、各通信間隔において複数サブフレームに跨る無線リソースを割当てることが可能となる。これにより、SPS用の無線リソースの割当を時間方向で柔軟に行うことが可能となる。
これにより、第2実施形態によれば、SPSを行う場合において、各通信間隔に比較的大きなデータを送信する場合に、複数のサブフレームに分割して送信することが可能となる。そのため、複数のサブフレームにおいて予め確保しておく無線リソースが小さくなる。その結果、SPSにおいて、あるサブフレームの無線リソースが圧迫されるような場合が少なくなり、上述した問題を解決することができる。
さらに第2実施形態は、図1等に例示される従来のSPSと比較して、シグナリングの量を増やすことなく実現することができる。また、第2実施形態をダイナミックスケジューリングと比較すると、従来のSPS以上に大幅にシグナリングの量を低減することができる。例えば従来のSPSを例示した図2の送信をダイナミックスケジューリングで実現しようとすると3回のシグナリングを要するのに対し、第2実施形態を例示した図11の送信をダイナミックスケジューリングで実現しようとすると24回ものシグナリングを要することからも、第2実施形態はシグナリング量低減の効果が大きいことが分かる。
これらに加えて、第2実施形態によれば、各通信間隔で送るべきデータを複数サブフレームに分割して送信することができる。これにより、送信電力を一定とすると、ビット当たりの送信電力が相対的に増えるため、カバレッジが向上する。別の言い方をすると、誤りに強い変調方式・符号化方式を使用できるため、通信特性が向上するという効果が得られる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、第1実施形態または第2実施形態に適用可能な変形例である。以下では第3実施形態の例として、第2実施形態に基づく変形例を説明するが、第1実施形態に基づく変形例もこれと同様に構成することができる。
第3実施形態においても、上りのSPS送信に本願発明を適用した場合に基づいて説明を行う。しかしながら、本願発明は下りのSPS送信に対しても同様に適用することができることに留意する。また、本願発明は第1実施形態に示されるように、LTEにおけるSPSに限らず、通信間隔を有する通信において一般に適用可能であることは言うまでもない。
図12に、第3実施形態に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。図12は、第2実施形態のSPSにおいて、個々のSPS送信(例えば、図11のS403等)に対応するものである。図12で示すSPS送信は、一例として、第2実施形態におけるsemi Persist Scheduling Interval UL の値が8サブフレームであることを前提としている。言い換えると、図12のS501〜S508は、図11のS403等において送信が行われている連続する8個のサブフレームに対応している。なお、ここで8個というのはあくまでも一例であり、本実施形態は他の個数であっても適用可能であることは言うまでもない。
第3実施形態の前提を述べる。第2実施形態では、SPSの各通信間隔で送信するデータを、連続するsemi Persist Scheduling Interval UL 個のサブフレームの全てにおいて分割して送信していた。これに対して第3実施形態では、SPSの各通信間隔で送信するデータを、連続するsemi Persist Scheduling Interval UL 個のサブフレームの全てにおいて分割して送信することを要しない。第3実施形態では、SPSの各通信間隔で送信するデータを、各通信間隔において連続して送信可能なsemi Persist Scheduling Interval UL 個のサブフレームのうちで、先頭から任意の数のサブフレームに分割して送信することができる。
例えば、SPSにおいて、送信するデータがたまたま小さい場合もありうると考えられる。このような場合に小さいデータを多くのサブフレームに分割して送信する必要性は少ない。むしろこのような小さいデータは、必要最小限のフレームに分割して送信する方が、送信回数の増加による消費電力の増大を抑えることができるため、望ましい場合も多いと考えられる。本実施形態は、このような理由に基づき、前記のように、SPSの各通信間隔で送信するデータを、各通信間隔において送信可能な連続するサブフレームの全てにおいて分割して送信することを要しないこととする。
図12のS501〜S502で無線端末20は、ある通信間隔で送信可能なサブフレームのうちで先頭から2個のサブフレームでSPS送信を行っている。ここで、2個は一例であり他の個数でも良いのは言うまでもない。
図12のS503で無線端末20は、当該通信間隔におけるSPS送信が終了したことを示す送信終了を無線基地局10に通知する。この送信終了を示す通知(以下では送信終了通知と呼ぶ)は、例えばSPS送信用の無線リソースを用いて行うことができる。この通知のための無線リソースを別途割当てるのは、効率的でないと考えられるためである。送信終了通知は、例えば、上りデータのデータサイズを示すBSR(Buffer Status Report)においてバッファサイズを0と設定したものを用いることができる。BSRはPUSCHを介して送信される情報であるため、BSRを用いた送信終了通知はSPS送信用の無線リソースを用いて行うことが可能である。BSRを用いた送信終了通知は、最後にデータ送信を行ったサブフレームの次のサブフレームで送信することとしてもよいし、最後にデータ送信を行うサブフレームの空き部分に格納して送信することもできる。
図12のS504〜S508で無線端末20は、SPS送信を行わない。S504〜S508では無線基地局10も、SPSの受信処理は行わない。S503の送信終了通知により、無線基地局10は無線端末20がS504〜S508のサブフレームで送信を行わないことを予め認識できるからである。
なお、S503の送信終了通知としてBSRを用いた場合、SPSは一旦解放されることになる。したがって、無線端末20は、S504〜S508で送信を行わないだけでなく、S501〜S508に対応する通信間隔の次以降の通信間隔においてもSPS送信を行わない。この場合、無線基地局10は無線端末20に対して再度SPSを活性化することにより、無線端末20にSPS送信を再開させることが可能である。
図12に示す第3実施形態によれば、無線端末20がSPS送信の各通信間隔における送信回数を必要に応じて減らすことができ、無線端末20の消費電力を低減することができる。
なお、上記の説明ではS503の送信終了通知としてBSRを用いたが、S503において無線端末20は他の方式により送信終了を無線基地局10に通知することもできる。一例として、無線端末20はS503のサブフレームで送信を行わないことによって、送信終了を無線基地局10に通知することができる。また、S503を含む所定個のサブフレームで送信を行わないことで、送信終了を無線基地局10に通知することとしても良い。この場合の所定個は、図9に示されるSPS-Config ULに含まれるパラメータであるimplicit Release Afterが示すサブフレーム数とすることができる。なお、無線端末20がimplicit Release After個のサブフレームで送信を行わないことは、無線端末20が明示的にSPS送信を解放することを示す。そのため、この場合にはSPSは一旦解放される。無線基地局10は無線端末20に対して再度SPSを活性化することにより、無線端末20にSPS送信を再開させることが可能である。
また、S503の送信終了通知として、送信終了を通知するための新たな信号を定義して用いても良い。この新たな信号は、例えばPUCCHを介して送信することとしても良いし、PUSCHを介して送信することとしても良い。PUSCHを介して送信する場合、例えば、SPS送信用の無線リソースを用いて行うことができる。この通知のための無線リソースを別途割当てるのは、効率的でないと考えられるためである。
さらに、S503の送信終了通知としてこの新たな信号を用いた場合に、SPSは解放されないこととしてもよい。この場合、無線端末20は、S504〜S508で送信を行わないが、S501〜S508に対応する通信間隔の次以降の通信間隔においてはSPS送信を行うことになる。言い換えると、SPS送信が一旦解放されるわけではないため、無線基地局10が無線端末20に対して再度SPSを活性化することなく、無線端末20はSPS送信を継続することが可能である。
次に、第3実施形態の更なる変形例を説明する。図12に示す第3実施形態において、S504〜S508で無線端末20は送信を行わないが、この時送信するための無線リソースは事前のRRC信号およびDCIによって既に割り当てられている。すなわち、図12のS504〜S508においては、無線端末20が送信を行わないことで、既に割り当てられた無線リソースが空費されていることになる。これは無線リソースの効率的利用の観点で好ましくない。そこで、以下で説明する第3実施形態の変形例においては、無線基地局10は、無線端末20が送信を行わない無線リソースを他無線端末に対して割当てることができる。これにより、無線リソースの空費を抑制することができ、シグナリング量を抑えつつ、無線リソースの効率的利用が可能となると考えられる。
図13に、第3実施形態の変形例に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。図13および後述する図14においては2つの無線端末20が登場するため、便宜上、1つを無線端末20aと称し、もう一つを他無線端末20bとする。
図13および以降の説明では、図中において各処理に付された番号に英文字が付加されている場合に、番号が同じ処理は同じサブフレームのタイミングで実行されることを示すものとする。例えば、S604aとS604bとは、同じサブフレームのタイミングで実行される。
図13のS601a〜S603aは、図12のS501〜S503と同様の処理ため、ここでは説明を割愛する。
図13のS604a〜S608aで無線端末20aは、図12のS504〜S508と同様に、送信を行わない。一方、S604bで無線基地局10は、無線端末20aとは別の他無線端末20bに対してUL Grantを送信する。このUL Grantにおいて、無線基地局10は他無線端末20bに割当てる上り送信用の無線リソースを指定するが、当該無線リソースの全部または一部において無線端末20aのSPS送信用無線リソースで解放されたものを使用することができる。なお、UL grantで指定される無線リソースは、当該UL grantが送信されたサブフレームの4個後のサブフレーム上の無線リソースであることが仕様上規定されている。そのため、解放された無線リソースが4サブフレーム後以降のものである場合に限り、無線基地局10はUL grantを用いて他無線端末20bに解放済みリソースの割当を行うことができる。
図13のS608bで他無線端末20bは、S604bのUL Grantに基づいて、無線基地局10に上りデータを送信する。上述したように、S608bは、S604bの4個後のサブフレームに対応している。これにより、無線端末20aにより解放された上り送信用の無線リソースを他無線端末20bに割当てることが可能となるため、上りの無線リソースの効率的な利用が可能となる。
なお、解放された上りリソース用の無線リソースは、他無線端末20b向けの下り通信に使い回すこともできる。無線端末20aが解放をあるサブフレームで送信すると、無線基地局10は、そのサブフレームで解放要求を検出できる。そして、解放された無線リソースは他無線端末20b向けの下りリソースに使用できる。具体的には、次のサブフレームにおいて、PDSCHを送信する無線リソースをPDCCHによって指定する。
ところで、図13は上りのSPSに基づく第3実施形態の変形例を示している。これに対し、図14に下りのSPSに基づく第3実施形態の変形例に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。S701a〜S702aでは無線基地局10が下りのSPS送信を行うとともに、S703aでは無線基地局10が無線端末20aに対し送信終了を通知している。
上述したように、上りの場合は無線基地局10による無線リソースの割当(UL Grant)と当該割当に対応する上り送信との間に4サブフレームのタイムラグが必要となる。これに対し、下りの場合は無線基地局10による無線リソースの割当(DCI)と下りデータ送信とは同じサブフレームで行われる。したがって、図14のS704b〜S706bに例示されるように、無線基地局10は送信終了通知を送信した次のサブフレームから、下りのリソース割当ておよび下りデータ送信を他無線端末20bに対して行うことができる。
図13〜14に示す第3実施形態の変形例によれば、第3実施形態と同様に、無線端末20aがSPS送信の各通信間隔における送信回数を必要に応じて減らすことができ、無線端末20aの消費電力を低減することができる。さらに、第3実施形態の変形例によれば、SPS送信用の無線リソースのうちで送信が行われないもの、他無線端末20bに対して割当てることが可能となる。これにより、SPS送信用無線リソースの空費が抑制されるため、無線リソースの効率的な利用が可能となるという効果を奏する。
〔第4実施形態〕
第4実施形態は、第1実施形態〜第3実施形態に適用可能な変形例である。以下では第4実施形態の例として、第2実施形態に基づく変形例を説明するが、第1実施形態に基づく変形例や第3実施形態に基づく変形例もこれと同様に構成することができる。
第4実施形態においても、上りのSPS送信に本願発明を適用した場合に基づいて説明を行う。しかしながら、本願発明は下りのSPS送信に対しても同様に適用することができることに留意する。また、本願発明は第1実施形態に示されるように、LTEにおけるSPSに限らず、通信間隔を有する通信において一般に適用可能であることは言うまでもない。
図15に、第4実施形態に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。図15は、第2実施形態のSPSにおいて、個々のSPS送信(例えば、図11のS403等)に対応するものである。
図15に、第4実施形態に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。図15は、第4実施形態のSPSにおいて、個々のSPS送信(例えば、図11のS403等)に対応するものである。図15で示すSPS送信は、一例として、第2実施形態におけるsemi Persist Scheduling Interval UL の値が8サブフレームであることを前提としている。言い換えると、図15のS801〜S808は、図11のS403等において送信が行われている連続する8個のサブフレームに対応している。なお、ここで8個というのはあくまでも一例であり、本実施形態は他の個数であっても適用可能であることは言うまでもない。
図15のS801〜S806で無線端末20は、ある通信間隔において送信可能な連続する8個のサブフレームのうちで先頭から6個のサブフレームでSPS送信を行っている。ここで、6個は一例であり他の個数でも良いのは言うまでもない。
図15のS807で無線端末20は、SPS送信を延長する旨の延長要求を無線基地局10に送信する。この延長要求は、例えば、従来のダイナミックスケジューリングで用いられる制御信号であるSR(Scheduling Request)により実現することができる。この場合、システムのポリシーにより、無線基地局10がSPS送信中の所定の無線端末20(例えばMTCデバイス)にはダイナミックスケジューリングを行わないことを前提とするのが望ましい。この前提により、SPS送信中のMTCデバイスは、ダイナミックスケジューリング用にSRを送信する必要が無くなり、SRをSPS延長用の制御信号として用いることができるためである。一方、このような前提を置いても、通常のMTCデバイスには例えばWebトラフィックのような不定期な送信が起こらず、ダイナミックスケジューリングは不要と考えられるため、弊害は少ないと考えられる。前記の前提の下でSPS送信の延長要求としてSRを用いれば、無線基地局10は、SPS実施中のMTCデバイスからSRを受信した場合に、通常のダイナミックスケジューリングは行わず、SPS延長を要求されたものと認識することができる。
また、S807の延長要求用の信号をSRとは別に別途定義することもできる。延長要求用の信号は、例えばPUCCHを介して送信することとしても良いし、PUSCHを介して送信することとしても良い。PUSCHを介して送信する場合、例えば、SPS送信用の無線リソースを用いて行うことができる。この通知のための無線リソースを別途割当てるのは、効率的でないと考えられるためである。
図15のS808で無線基地局10は、S807の延長要求に応じて、延長応答を送信する。延長応答としては、例えばSPSを(再)活性化する際に用いるDCIを用いることができる。DCIはPDCCHを介して送信することができる。
また、延長応答は、DCIとは異なる信号を新たに定義して用いることもできる。この場合、延長応答はSPS送信の延長を許可するか否かを示す情報を含むことができる。また、延長応答は、SPSを延長する期間(例えばサブフレーム数)を指定しても良い。延長応答は、例えばPDCCHを介して送信することとしても良いし、PDSCHを介して送信することとしても良い。
なお、図15において図示はされていないが、S808と同じサブフレームで無線端末20は上りデータを送信しても良い。S808のサブフレームは延長前のSPS送信に対応するため、無線基地局10によってSPS送信の延長が許可されるか否かに関わらず、無線端末20はS808における送信が可能であることに留意する。
そして図15のS809〜S810で無線端末20は、延長されたSPS送信を行う。SPS送信の延長期間は、決められていても良いし、特に決められていなくても良い。SPS送信の延長期間は、例えば前述したように、延長要求により無線基地局10から無線端末20に指定されても良いし、他の任意の下り信号で通知されることとしても良い。なお、図15においては、延長されたSPS送信をサブフレーム2個で行っているが、この個数は一例に過ぎないことは言うまでもない。
なお、図15において、S808の延長応答は省略されても構わない。延長応答は延長要求に対する応答信号という側面もあるが、特に延長応答がSR等によりPUCCHを介して送信される場合、PUCCHは誤り率が低いため、応答信号の意義はあまり高くないためである。延長応答が省略される場合、無線端末20は延長されたSPS送信に対してACKが返送されないことにより、延長要求が許可されなかったことを認識できる。
以上で説明した第4実施形態によれば、ある通信間隔におけるSPS送信を延長することができる。言い換えると、第4実施形態によれば、ある通信間隔におけるSPS送信を行うサブフレームの数を必要に応じて増やすことが可能となる。
〔第5実施形態〕
第5実施形態は本願発明を間欠受信と組み合わせた変形例である。第5実施形態は第2〜第4実施形態と適宜組み合わせることができる。
第5実施形態においても、上りのSPS送信に本願発明を適用した場合に基づいて説明を行う。しかしながら、本願発明は下りのSPS送信に対しても同様に適用することができることに留意する。また、本願発明は第1実施形態に示されるように、LTEにおけるSPSに限らず、通信間隔を有する通信において一般に適用可能であることは言うまでもない。
LTEシステムにおいては、間欠受信(DRX: Discontinous Reception)と呼ばれる機能が導入されている。DRXは、通信中の無線端末20における消費電力の低減を図るための技術である。通信中の無線端末20は、データ通信の間欠性によってデータ通信を示す信号である制御信号(PDCCH)等を受信する必要があるため、通信機能の電源を完全にオフとすることはできない。しかしながら、通信中の無線端末20が通信機能の電源を常にオンとするのは、電力消費の面で好ましくない。そこでDRXにおいては、制御信号等の受信処理を間欠的に行うこととし、受信を行う必須の区間を設けその区間においては制御信号等のモニタリングを行い、受信を行わない期間においては通信機能の電源をオフとすることで、通信中の無線端末20の消費電力を削減するものである。
DRXは間欠的な受信を実現するものであるが、間欠送信(DTX: Discontinous Transmission)をDRXに合わせて行うことも可能である。DRXにおける受信期間においては通信機能の電源がオンとなるからである。これにより、SPSとDRXと組み合わせることができるとともに、SPSに基づく本願発明とDRXとを組み合わせることができる。
図16に、第2実施形態に係る本願発明とDRXとを組み合わせたものである第5実施形態に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。図16に示すように、DRXを実施中の無線端末20は、DRXサイクルと呼ばれる周期で繰り返される受信期間と休止期間とに基づいて、受信(活動)及び休止を行う。図16においては便宜上、受信期間をONで表し、休止期間をOFFで表す。具体的には、図16のS901b、S903b、S905bがそれぞれ受信期間に対応し、S902b、S904bがそれぞれ休止期間に対応する。ここで、DRXの受信期間はLTEの仕様においては活動時間(active time)と呼ばれているため、以降はこの用語を使用する。
図16の例では、本願発明のSPSの送信期間と、DRXの活動時間とが一致している。具体的には、図16のS901aとS901b、S903aとS903b、S905aとS905bとがそれぞれ一致するタイミングとなっている。換言すると、DRXとSPSとが連動しているとも言える。ここで、図16で示すSPS送信は、一例として、SPS送信のパラメータであるsemi Persist Scheduling Interval UL の値が8サブフレームであることを前提としている。DRXの活動時間の設定は、無線基地局10が無線端末20にRRC信号を送信することで行われる。DRXとSPSのいずれも、各種の設定を決定するのは無線基地局10であるため、無線基地局10は図16に示されるように無線端末20におけるDRXとSPSとを連動させることができる。
なお、図16はSPSに基づく本願発明とDRXとの組合せの一例であり、必ずしも、DRXの活動時間と本願発明のSPSの送信期間とが一致していなくても構わない。ただし、SPSの送信期間はDRXの活動時間に含まれる必要がある。DRXの活動時間以外の期間では、無線端末20の通信機能は電源がオフとなるため、SPS送信を行うのは不可能だからである。
ここで、SPSに基づく本願発明とDRXとを組み合わせた場合において、第4実施形態のようにSPS送信期間を延長することを考える。図17に、第2実施形態に係る本願発明とDRXとを組み合わせたものである第5実施形態のSPS送信期間の延長に係る無線通信システムの処理シーケンスの一例を示す。図17は、1通信間隔分のSPS送信とDRX受信(例えば図16のS801aとS801b)を拡大した図である。また、一例として、SPS送信のパラメータであるsemi Persist Scheduling Interval UL の値が8サブフレームであることを前提としている。
図17のS1001〜S1007で無線端末20は、SPSに基づく上りデータの送信を行う。そして図17のS1008で無線端末20は、図15のS807と同様のSPS送信の延長要求を無線基地局10に送信する。ただしS1008の延長要求はSRを用いることとする。S807の延長要求においては、SRは一つの例に過ぎなかったが、S1008においてはSRを用いる必要がある。
ここで、図17のS1008はSPSのある通信間隔において送信可能な最後のサブフレームであるとともに、DRXの活動時間の最後のサブフレームである。そのため、S1008でSPSに対する延長要求をSRを用いて送信したとしても、S1009ではDRX活動時間が終了することにより通信機能の電源がオフとなるため、無線端末20は延長応答の受信が行えないようにも思われる。
しかしながら、LTEにおいては、無線端末20がSRを送信すると、図17に示されるようにDRXの活動時間が延長されることが規定されている(ただしSRがペンディング中の場合)。さらに、LTEにおいては、無線端末20はDRXの活動時間においてPDCCHをモニタリング(受信)することが規定されている。したがって、図17のS1009で無線基地局10が、例えばSPSを(再)活性化するためのDCIを用いて、延長応答をPDCCHを介して送信する場合、無線端末20は当該延長応答を受信できることになる。これにより、S1010〜S1011で無線端末20は、延長されたDRX活動時間において、延長されたSPS送信を行うことができる。
以上で説明した第5実施形態によれば、本願発明とDRXとを組み合わせた場合に、DRX活動時間を延長することにより、別途のシグナリングを要することなく、SPS送信期間を延長することが可能となる。
〔各実施形態の無線通信システムのネットワーク構成〕
次に図18に基づいて、第1実施形態の無線通信システム1のネットワーク構成を説明する。図18に示すように、無線通信システム1は、無線基地局10と、無線端末20とを有する。無線基地局10は、セルC10を形成している。無線端末20はセルC10に存在している。なお、本願においては無線基地局10を「送信局」、無線端末20を「受信局」と称することがあることに注意されたい。
無線基地局10は、有線接続を介してネットワーク装置3と接続されており、ネットワーク装置3は、有線接続を介してネットワーク2に接続されている。無線基地局10は、ネットワーク装置3およびネットワーク2を介して、他の無線基地局とデータや制御情報を送受信可能に設けられている。
無線基地局10は、無線端末20との無線通信機能とデジタル信号処理及び制御機能とを分離して別装置としてもよい。この場合、無線通信機能を備える装置をRRH(Remote Radio Head)、デジタル信号処理及び制御機能を備える装置をBBU(Base Band Unit)と呼ぶ。RRHはBBUから張り出されて設置され、それらの間は光ファイバなどで有線接続されてもよい。また、無線基地局10は、マクロ無線基地局、ピコ無線基地局等の小型無線基地局(マイクロ無線基地局、フェムト無線基地局等を含む)の他、様々な規模の無線基地局であってよい。また、無線基地局10と無線端末20との無線通信を中継する中継局が使用される場合、当該中継局(無線端末20との送受信及びその制御)も本願の無線基地局10に含まれることとしてもよい。
一方、無線端末20は、無線通信で無線基地局10と通信を行う。
無線端末20は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)、無線通信機能を有する各種装置や機器(センサー装置等)などの無線端末であってよい。また、無線基地局10と無線端末との無線通信を中継する中継局が使用される場合、当該中継局(無線基地局10との送受信及びその制御)も本稿の無線端末20に含まれることとしてもよい。
ネットワーク装置3は、例えば通信部と制御部とを備え、これら各構成部分が、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。ネットワーク装置3は、例えばゲートウェイにより実現される。ネットワーク装置3のハードウェア構成としては、例えば通信部はインタフェース回路、制御部はプロセッサとメモリとで実現される。
なお、無線基地局、無線端末の各構成要素の分散・統合の具体的態様は、第1実施形態の態様に限定されず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、メモリを、無線基地局、無線端末の外部装置としてネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
〔各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成〕
次に、図19〜図20に基づいて、各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成を説明する。
図19は、無線基地局10の構成を示す機能ブロック図である。図19に示すように、無線基地局10は、送信部11と、受信部12と、制御部13とを備える。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、送信部11と受信部12とをまとめて通信部14と称する。
送信部11は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部11は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を送信する。下りの物理データチャネルは例えば、個別データチャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を含む。また、下りの物理制御チャネルは例えば、個別制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を含む。送信する信号は例えば、接続状態の無線端末20に個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続状態の無線端末20に個別データチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、送信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
送信部11が送信する信号の具体例としては、図1〜図7または図11〜図17において各無線基地局10により送信される各信号が挙げられる。具体的には、送信部11は、図1、図3および図7におけるSPSパラメータ通知を、PDSCHを介したRRCシグナリングにより無線端末20に送信しうる。送信部11は、図1〜図4、図7および図11におけるSPS活性化およびSPS解放を、PDCCHを介して無線端末20に送信しうる。送信部11は、図3〜図4および図14における下りのSPSに基づく送信を、PDSCHを介して無線端末20に送信しうる。送信部11は、図5における送信パラメータ通知を無線端末20に送信しうる。送信部11は、図13におけるUL Grantを、PDCCHを介して無線端末20(図13では他無線端末20bに対応する)に送信しうる。送信部11は、図14における送信終了通知を、例えばPDCCHまたはPDSCHを介して無線端末20に送信しうる。送信部11は、図14におけるDCIを、PDCCHを介して無線端末20(図13では他無線端末20bに対応する)に送信しうる。送信部11は、図14における下りのデータ送信を、PDSCHを介して無線端末20(図13では他無線端末20bに対応する)に送信しうる。送信部11は、図15および図17における延長応答を、例えばPDCCHを介して無線端末20に送信しうる。
受信部12は、無線端末20から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して第1無線通信で受信する。受信部12は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を受信する。上りの物理データチャネルは例えば、個別データチャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を含む。また、上りの物理制御チャネルは例えば、個別制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を含む。受信する信号は例えば、接続状態の無線端末20から個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続状態の無線端末20から個別データチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、受信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
受信部12が送信する信号の具体例としては、図1〜図7または図11〜図17において各無線基地局10により受信される各信号が挙げられる。具体的には、受信部12は、図1〜図2、図7、図11〜図13および図15〜図17における上りのSPSに基づく送信を、PUSCHを介して無線端末20から受信しうる。受信部12は、図5〜図6における上りの送信を、無線端末20から受信しうる。受信部12は、図12〜図13における送信終了通知を、例えばPUSCHを介して無線端末20から受信しうる。受信部12は、図13における上りのデータ送信を、例えばPUSCHを介して無線端末20(図13では他無線端末20bに対応する)から受信しうる。受信部12は、図15および図17における延長要求を、例えばPUCCHを介して無線端末20から受信しうる。
制御部13は、送信するデータや制御情報を送信部11に出力する。制御部13は、受信されるデータや制御情報を受信部12から入力する。制御部13は、有線接続あるいは無線接続を介して、ネットワーク装置3や他の無線基地局からデータや制御情報を取得する。制御部はこれら以外にも送信部11が送信する各種の送信信号や受信部12が受信する各種の受信信号に関連する種々の制御を行う。
制御部13が制御する処理の具体例としては、図1〜図7および図11〜図17において各無線基地局10において実行される各種処理が挙げられる。具体的には、制御部13は、図1、図3および図7におけるSPSパラメータ通知の送信処理を制御しうる。制御部13は、図1〜図4、図7および図11におけるSPS活性化およびSPS解放の送信処理を制御しうる。制御部13は、図3〜図4および図14における下りのSPSに基づく送信処理を制御しうる。制御部13は、図5における送信パラメータ通知の送信処理を制御しうる。制御部13は、図13におけるUL Grantの送信処理を制御しうる。制御部13は、図14における送信終了通知の送信処理を制御しうる。制御部13は、図14におけるDCIの送信処理を制御しうる。制御部13は、図14における下りのデータ送信の送信処理を制御しうる。制御部13は、図15および図17における延長応答の送信処理を制御しうる。制御部13は、図1〜図2、図7、図11〜図13および図15〜図17における上りのSPSに基づく受信処理を制御しうる。制御部13は、図5〜図6における上りの送信の受信処理を制御しうる。制御部13は、図12〜図13における送信終了通知の受信処理を制御しうる。制御部13は、図13における上りのデータ送信の受信処理を制御しうる。制御部13は、図15および図17における延長要求の受信処理を制御しうる。
図20は、無線端末20の構成を示す機能ブロック図である。図20に示すように、無線端末20は、送信部21、受信部22と、制御部23とを備える。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、送信部21と受信部22とをまとめて通信部24と称する。
送信部21は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部21は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を送信する。上りの物理データチャネルは例えば、個別データチャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を含む。また、上りの物理制御チャネルは例えば、個別制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を含む。送信する信号は例えば、接続する無線基地局10に個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続する無線基地局10に個別データチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、送信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
送信部21が送信する信号の具体例としては、図1〜図7または図11〜図17において各無線端末20により送信される各信号が挙げられる。具体的には、送信部21は、図1〜図2、図7、図11〜図13および図15〜図17における上りのSPSに基づく送信を、PUSCHを介して無線基地局10へ送信しうる。送信部21は、図5〜図6における上りの送信を、無線基地局10へ送信しうる。送信部21は、図12〜図13における送信終了通知を、例えばPUSCHを介して無線基地局10へ送信しうる。送信部21は、図13における上りのデータ送信を、例えばPUSCHを介して無線基地局10へ送信しうる。送信部21は、図15および図17における延長要求を、例えばPUCCHを介して無線基地局10へ送信しうる。
受信部22は、無線基地局10から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。受信部22は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を受信する。下りの物理データチャネルは例えば、個別データチャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を含む。また、下りの物理制御チャネルは例えば、個別制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を含む。受信する信号は例えば、接続する無線基地局10から個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続する無線基地局10から個別データチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、受信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
受信部22が受信する信号の具体例としては、図1〜図7または図11〜図17において各無線端末20により受信される各信号が挙げられる。具体的には、受信部22は、図1、図3、図7および図7におけるSPSパラメータ通知を、PDSCHを介したRRCシグナリングにより無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図1〜図4および図11におけるSPS活性化およびSPS解放を、PDCCHを介して無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図3〜図4および図14における下りのSPSに基づく送信を、PDSCHを介して無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図5における送信パラメータ通知を無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図13におけるUL Grantを、PDCCHを介して無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図14における送信終了通知を、例えばPDCCHまたはPDSCHを介して無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図14におけるDCIを、PDCCHを介して無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図14における下りのデータ送信を、PDSCHを介して無線基地局10から受信しうる。受信部22は、図15および図17における延長応答を、例えばPDCCHを介して無線基地局10から受信しうる。
制御部23は、送信するデータや制御情報を送信部21に出力する。制御部23は、受信されるデータや制御情報を受信部22から入力する。制御部23は、有線接続あるいは無線接続を介して、ネットワーク装置3や他の無線基地局からデータや制御情報を取得する。制御部はこれら以外にも送信部21が送信する各種の送信信号や受信部22が受信する各種の受信信号に関連する種々の制御を行う。
制御部23が制御する処理の具体例としては、図1〜図7および図11〜図17において各無線端末20において実行される各種処理が挙げられる。具体的には、制御部23は、図1、図3および図7におけるSPSパラメータ通知の受信処理を制御しうる。制御部23は、図1〜図4、図7および図11におけるSPS活性化およびSPS解放の受信処理を制御しうる。制御部23は、図3〜図4および図14における下りのSPSに基づく受信処理を制御しうる。制御部23は、図5における送信パラメータ通知の受信処理を制御しうる。制御部23は、図13におけるUL Grantの受信処理を制御しうる。制御部23は、図14における送信終了通知の受信処理を制御しうる。制御部23は、図14におけるDCIの受信処理を制御しうる。制御部23は、図14における下りのデータ送信の受信処理を制御しうる。制御部23は、図15および図17における延長応答の受信処理を制御しうる。制御部23は、図1〜図2、図7、図11〜図13および図15〜図17における上りのSPSに基づく送信処理を制御しうる。制御部23は、図5〜図6における上りの送信の送信処理を制御しうる。制御部23は、図12〜図13における送信終了通知の送信処理を制御しうる。制御部23は、図13における上りのデータ送信の送信処理を制御しうる。制御部23は、図15および図17における延長要求の送信処理を制御しうる。
〔各実施形態の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成〕
図21〜図22に基づいて、各実施形態および各変形例の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成を説明する。
図21は、無線基地局10のハードウェア構成を示す図である。図21に示すように、無線基地局10は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ31を備えるRF(Radio Frequency)回路32と、CPU(Central Processing Unit)33と、DSP(Digital Signal Processor)34と、メモリ35と、ネットワークIF(Interface)36とを有する。CPUは、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。メモリ35は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。
図19に示す無線基地局10の機能構成と図21に示す無線基地局10のハードウェア構成との対応を説明する。送信部11および受信部12(あるいは通信部14)は、例えばRF回路32、あるいはアンテナ31およびRF回路32により実現される。制御部13は、例えばCPU33、DSP34、メモリ35、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(LargeScale Integration)等が挙げられる。
図22は、無線端末20のハードウェア構成を示す図である。図22に示すように、無線端末20は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ41を備えるRF回路42と、CPU43と、メモリ44とを有する。さらに、無線端末20は、CPU43に接続されるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を有してもよい。メモリ44は、例えばSDRAM等のRAM、ROM、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。
図20に示す無線端末20の機能構成と図22に示す無線端末20のハードウェア構成との対応を説明する。送信部21および受信部22(あるいは通信部24)は、例えばRF回路42、あるいはアンテナ41およびRF回路42により実現される。制御部23は、例えばCPU43、メモリ44、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、例えばASIC、FPGA、LSI等が挙げられる。