JP6754459B2 - 羊膜間葉系細胞組成物の製造方法及び凍結保存方法、並びに治療剤 - Google Patents
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Description
(1)羊膜を、コラゲナーゼと、サーモリシン及び/又はディスパーゼとにより酵素処理する工程;及び
酵素処理した羊膜をメッシュに通す工程:
を含む、間葉系細胞組成物の製造方法。
(2)メッシュを通過した細胞を回収する工程;及び
回収した細胞を培養する工程:
をさらに含む、(1)に記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(3) 前記メッシュを通過した細胞を回収する工程が、倍量又はそれ以上の量の培地又は平衡塩溶液で濾液を希釈した後、遠心分離により間葉系細胞を回収する工程である、(2)に記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(4) コラゲナーゼの濃度が50CDU/ml〜1000CDU/mlであり、サーモリシンおよび/又はディスパーゼの濃度が100PU/ml〜800PU/mlである、(1)から(3)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(5) 酵素処理する工程が、30〜40℃で30分以上処理する工程である、(1)から(4)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(6) 酵素処理する工程が、スターラー又はシェーカーを用いて10rpm/分〜100rpm/分で30分以上撹拌する工程である、(1)から(5)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(7) 羊膜が帝王切開により得られたものである、(1)から(6)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(8) メッシュのポアサイズが40〜200μmである、(1)から(7)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(9) 羊膜をメッシュを通す工程が自然落下である、(1)から(8)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法。
(11) (1)から(9)の何れかに記載の間葉系細胞組成物の製造方法により得られる、(11)に記載の間葉系細胞組成物。
(12) (10)又は(11)に記載の間葉系細胞組成物を0.05質量%より多く5質量%以下のアルブミンを含有する培地にて培養することにより得られる、間葉系細胞培養組成物。
(14) 前記溶液が、さらにヒトアルブミンを0質量%より多く5質量%以下含有する溶液である、(13)に記載の凍結保存された間葉系細胞の製造方法。
(15) 前記間葉系細胞が、(1)から(9)の何れかに記載の方法により製造された間葉系細胞組成物に含まれる間葉系細胞、請求(10)又は(11)に記載の間葉系細胞組成物に含まれる間葉系細胞、又は(12)に記載の間葉系細胞培養組成物に含まれる間葉系細胞である、(13)又は(14)に記載の凍結保存された間葉系細胞の製造方法。
(16) (13)から(15)の何れかに記載の方法により得られる凍結保存された間葉系細胞を解凍後、輸液製剤により2倍以上に希釈する工程を含む、間葉系細胞投与用組成物を製造する方法。
(18) 注射用製剤である、(17)に記載の細胞治療剤。
(19) 細胞塊又はシート状構造の移植用製剤である、(17)に記載の細胞治療剤。
(20) 移植片対宿主病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、肝硬変、又は放射線腸炎から選択される疾患の治療剤である、(17)から(19)の何れかに記載の治療剤。
本明細書において「胎児付属物」は、卵膜、胎盤、臍帯および羊水を指す。さらに「卵膜」は、胎児の羊水を含む胎嚢であり、内側から羊膜、絨毛膜および脱落膜からなる。このうち、羊膜と絨毛膜は胎児を起源とする。「羊膜」は、卵膜の最内層にある血管に乏しい透明薄膜で、内壁は分泌機能のある一層の上皮細胞で覆われ羊水を分泌する。
i)標準培地での培養条件で、プラスチックに接着性を示す。
ii)表面抗原CD105, CD73, CD90が陽性であり、CD45, CD34, CD14, CD11b, CD79alpha, CD19, HLA-DRが陰性。
iii)培養条件にて骨細胞、脂肪細胞、軟骨細胞に分化可能。
本明細書における「間葉系細胞培養組成物」とは、上記の間葉系細胞組成物を培養することにより得られる細胞浮遊液などを意味する。
本明細書における「間葉系細胞投与用組成物」とは、上記の間葉系細胞組成物を用いて投与に適した形に調製した任意の組成物を意味し、特には限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシドを5〜10質量%含有し、ヒドロキシルエチルデンプンを5〜10質量%またはデキストランを1〜5質量%含有する溶液中に間葉系細胞を含む混合物に輸液製剤を2倍量以上加えて得られる細胞浮遊液などを意味する。
本発明の間葉系細胞組成物の製造方法は、羊膜を、コラゲナーゼと、サーモリシン及び/又はディスパーゼとにより酵素処理する工程;及び酵素処理した羊膜をメッシュに通す工程を含む方法である。
1.手術室にて待機的帝王切開例からヒト胎児付属物を無菌的に採取する。
2.胎児付属物から羊膜を無菌的且つ用手的に剥離する。
3.羊膜を滅菌容器(ディスポーザブルカップ)に移し、生理食塩水等の等張液を用いて数回洗浄し、付着した血液等を取り除く。
4.羊膜を、メス・ハサミ等にて大まかに切る(このステップは省略しても良い)。また、羊膜は、培地中で2〜8℃、24〜48時間保存してから使用してもよい。
5.羊膜を至適濃度に調整したコラゲナーゼと、サーモリシン及び/又はディスパーゼとを含有する溶液に浸し、恒温振盪機を用いて37℃90分間60rpm震盪攪拌する。
6.その結果、上皮細胞層は一層のままとなり、細胞外基質層に含まれるMSCは酵素含有溶液に浮遊する。
7. Falconセルストレーナー(100mmメッシュ)を滅菌チューブ(Falcon50mlチューブ)にセットし、自由落下にて羊膜消化後の細胞含有液をろ過することで、上皮細胞層はメッシュ上に残り、MSCのみがメッシュを通過する。
8.メッシュを通過したMSC含有溶液をハンクス平衡塩液で希釈後、400×g、5分遠心操作にて間葉系細胞をペレットにする。
9. 10%FBS添加aMEMにて希釈し、プラスチックフラスコに播種し、培養する。
本発明では、コラゲナーゼ、サーモリシンおよび/又はディスパーゼの組合せを用いているが、MSCを遊離し、上皮細胞層を分解しない酵素(又はその組み合わせ)を使用することもできる。コラゲナーゼ、サーモリシンおよび/又はディスパーゼの好ましい濃度の組合せは、酵素処理後顕微鏡観察やFACSにより決定することができる。上皮細胞層が分解されず、細胞外基質層に含まれるMSCが遊離する濃度条件であることが好ましい。
同様に、コラゲナーゼ300CDU/mlにディスパーゼを添加すると濃度依存的に生細胞数は増加し、ディスパーゼ200PU/mlでは生細胞数が3.02×106個まで増加し、生細胞率も83.7%であった(実施例6、表8)。したがって、コラゲナーゼのみでなく、サーモリシン又はディスパーゼを混合して同時に酵素処理することにより、より多くの生細胞が得られる。
コラゲナーゼ300CDU/mlの場合、最適なサーモリシン濃度は400PU/mlであった。この場合のCD90陽性MSC含有率は83.3%、CD324陽性上皮細胞は12.8%であった(実施例1、表2)。また、コラゲナーゼ300CDU/mlに添加する最適なディスパーゼ濃度は200PU/mlであり、この場合のCD90陽性MSC含有率は83.3%、CD324陽性上皮細胞は12.8%であった(実施例6、表9)。
本発明による凍結保存された間葉系細胞の製造方法は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を5〜10質量%含有し、ヒドロキシルエチルデンプンを5〜10質量%またはデキストランを1〜5質量%含有する溶液中に間葉系細胞を含む混合物を凍結保存する工程を含む方法である。
上記した凍結保存液を用いて、プログラムフリーザーを用い、例えば、-1〜-2℃/分の凍結速度で-30℃〜-50℃の間の温度(例えば、-40℃)まで温度を下げ、更に-10℃/分の凍結速度で-80℃〜-100℃の間の温度(例えば、-90℃)まで温度を下げることによって、凍結保存された間葉系細胞を製造することができる。
上記の方法により得られた凍結保存された間葉系細胞は、解凍後、輸液製剤により2倍以上に希釈することによって、間葉系細胞投与用組成物を製造することができる。
上記で調製したMSC(増殖させたMSCも含む)は難治性疾患の治療剤として利用が可能である。
即ち、本発明によれば、上記した間葉系細胞組成物および/又は間葉系細胞培養組成物および/又は間葉系細胞投与用組成物を有効成分として含む細胞治療剤が提供される。さらに本発明によれば、細胞移植治療のために使用される、上記した間葉系細胞組成物および/又は間葉系細胞培養組成物および/又は間葉系細胞投与用組成物が提供される。更に本発明によれば、被験者に、上記の間葉系細胞組成物および/又は間葉系細胞培養組成物および/又は間葉系細胞投与用組成物の治療有効量を投与する工程を含む、被験者に細胞を移植する方法、並びに被験者の疾患の治療方法が提供される。
インフォームドコンセントを得た待機的帝王切開症例の妊婦由来ヒト胎児付属物から、羊膜を用手的に分離した。ハンクス平衡塩液(Ca・Mg不含有)にて2回洗浄後、得られた羊膜の内1gを容器に取り、精製コラゲナーゼ (CLSPA, Worthington社, 規格>500CDU/mg)300CDU/ml (=<600μg/ml)及びサーモリシン(和光純薬、規格>7000PU/mg)0〜400PU/ml(=<60μg/ml) (No.1:0PU/ml、No.2:100PU/ml、No.3:200PU/ml、No.4:400PU/mlの4種類)を含有するハンクス平衡塩液(Ca・Mg含有)計5mlを添加し、37℃にて90分間、60rpmにてシェーカーにより震盪攪拌を行った。得られた混合物に2倍量の10%ウシ胎児血清(FBS)添加αMEM(Alpha Modification of Minimum Essential Medium Eagle)を添加後、ナイロンネットフィルター(ポアサイズ:100μm)で濾過した。フィルターに残った組織をヘマトキシリン・エオジン(HE)染色にて評価した。濾液は400 x gにて5分遠心操作を行い、上清を破棄後、10%FBS添加αMEMにて細胞を再懸濁し、細胞数をトリパンブルー染色後に測定した。得られた細胞は間葉系マーカー抗CD90-FITC抗体及び上皮系マーカー抗CD324-APC抗体(BD Bioscience社)にて4℃にて15分染色後、死細胞除去のため7-AAD色素を添加し、フローサイトメーター(FACSCanto:BD社)にて表面抗原マーカー解析を行った。結果を表1、表2,図3及び図4に示す。
PU(=protease unit): 乳酸カゼインを基質として35℃、pH7.2において1分間に1μgのチロシンに相当するアミノ酸及びペプチドを生成する酵素量。
図4に示すように、酵素処理後のフィルター上に残留した組織をHE染色により検討を行ったところ、コラゲナーゼのみ(No.1)では細胞外基質層の構造が保たれ、消化不十分であった。サーモリシンを添加することで細胞外基質層の消化が認められ、400PU/ml(No.4)では完全に消化された。
上記実施例1を踏まえ、同様の方法にて、コラゲナーゼを除きサーモリシンのみを用いた検討を行った。
結果を表3,図5及び図6に示す。
しかしながら、図5に示すように、サーモリシンのみの酵素処理液に含有する細胞のフローサイトメーターによる結果からは、どの濃度においても得られる細胞はほぼ100%CD324陽性上皮細胞であり、目的とするCD90陽性MSCは得られなかった。
図6に示すように、酵素処理後のフィルター上に残留した組織のHE染色による検討では、MSCを含む細胞外基質層は全く消化されておらず、また、上皮細胞層の破綻がサーモリシンの濃度依存的に存在した。
更に、従来法であるトリプシンを用いた方法との比較検討を行った(非特許文献3)。ヒト羊膜1gを容器に取り、No.41)0.05%トリプシン(0.53 mM EDTA含有)5mlにて37℃90分60rpm震盪攪拌(シェーカーにより)、No.42)0.05%トリプシン(0.53 mM EDTA含有、Invitrogen社)5mlにて37℃90分60rpm震盪攪拌(シェーカーにより)後、ナイロンネットフィルター(ポアサイズ:100μm)濾過にて残存した組織を、更に精製コラゲナーゼ (300CDU/ml)含有ハンクス平衡塩液(Ca・Mg含有)にて37℃90分60rpm震盪攪拌(シェーカーにより)、No.43)精製コラゲナーゼ(300CDU/ml)+サーモリシン(250PU/ml)含を有するハンクス平衡塩液(Ca・Mg含有)5mlにて、37℃90分震盪攪拌(シェーカーにより)を行った。以下は実施例1と同様とした。結果を表4、表5、図7及び図8に示す。
しかしながら、図7に示すように、各酵素処理液に含有する細胞のフローサイトメーターによる結果からは、トリプシンのみ(No.41)だと、目的とするCD90陽性MSCは0.6%と全く得られない、トリプシン処理後、更にコラゲナーゼ処理を加えた2段階処理(No.42)の場合、目的とするCD90陽性細胞は32.6%得られたが、不要なCD324陽性上皮細胞も65.6%含有している、コラゲナーゼ+サーモリシンの一回の処理(No.43)では、CD90陽性MSCは90.3%、CD324陽性上皮細胞は8.0%であった。
上記実施例1〜3を踏まえ、サーモリシン濃度を250PU/mlに固定した場合の、羊膜間葉系細胞分離に最小限必要なコラゲナーゼ濃度の検討を行った。結果を表6及び図9に示す。
これら実施例4の結果から、サーモリシン濃度を250PU/mlに固定した場合、細胞外基質層を十分に消化するには、コラゲナーゼ濃度は、好ましくは少なくとも75 CDU/ml以上であり、より好ましくは150CDU/ml以上にする必要性が分かった。
更にサーモリシン濃度を実施例3の倍である500PU/mlに固定した場合の、羊膜間葉系細胞分離に最小限必要なコラゲナーゼ濃度の検討を行った。結果を表7及び図10に示す。
これら実施例5の結果から、サーモリシン濃度を500PU/mlに固定した場合、細胞外基質層を十分に消化するには、コラゲナーゼ濃度は、好ましくは少なくとも37.5CDU/ml以上であり、より好ましくは75CDU/ml以上にする必要性が分かった。
上記実施例1に関し、サーモリシンに代えて、同様に非極性アミノ酸のN末端側を切断する金属プロテイナーゼであるディスパーゼを用い、これにコラゲナーゼを添加した検討を行った。
インフォームドコンセントを得た妊婦由来のヒト胎児付属物から、羊膜を用手的に分離した。ハンクス平衡塩液(Ca・Mg不含有)にて2回洗浄後、得られた羊膜の内1gを容器に取り、コラゲナーゼ (Brightase-C, ニッピ社, 規格>20万CDU/バイアル)300CDU/ml及びディスパーゼI(和光純薬、規格10000〜13000PU/バイアル)0〜400PU/ml (No.1:0PU/ml、No.2:100PU/ml、No.3:200PU/ml、No.4:400PU/mlの4種類)を含有するハンクス平衡塩液(Ca・Mg含有)計5ml添加し、37℃にて90分、60rpmにてシェーカーにより震盪攪拌を行った。得られた混合物に2倍量の10%ウシ胎児血清(FBS)添加αMEM(Alpha Modification of Minimum Essential Medium Eagle)を添加後、ナイロンネットフィルター(ポアサイズ:100μm)で濾過した。フィルターに残った組織をヘマトキシリン・エオジン(HE)染色にて評価した。濾液は400 x gにて5分遠心操作を行い、上清を破棄後、10%FBS添加αMEMにて細胞を再懸濁し、細胞数をトリパンブルー染色後、測定した。得られた細胞は間葉系マーカー抗CD90-FITC抗体及び上皮系マーカー抗CD324-APC抗体(BD Bioscience社)にて4℃にて15分染色後、死細胞除去のため7-AAD色素を添加し、フローサイトメーター(FACSCanto:BD社)にて表面抗原マーカー解析を行った。結果を表8、表9、図11及び図12に示す。
図12に示すように、酵素処理後のフィルター上に残留した組織をHE染色により検討を行ったところ、コラゲナーゼのみ(No.81)では細胞外基質層の構造が保たれ、消化不十分であった。ディスパーゼを添加することで細胞外基質層の消化が認められ、200PU/ml(No.83)、400PU/ml(No.84)では完全に消化された。
上記実施例6を踏まえ、同様の方法にて、コラゲナーゼを除きディスパーゼのみを用いた検討を行った。
結果を表10,図13及び図14に示す。
しかしながら、図13に示すように、ディスパーゼのみの酵素処理液に含有する細胞のフローサイトメーターによる結果からは、どの濃度においても目的とするCD90陽性MSC数%と非常に少なかった。
図14に示すように、酵素処理後のフィルター上に残留した組織のHE染色による検討では、MSCを含む細胞外基質層は全く消化されておらず、また、上皮細胞層の破綻がディスパーゼの濃度依存的に存在した。
上記実施例6〜7を踏まえ、ディスパーゼ濃度を250PU/mlに固定した場合の、羊膜間葉系細胞分離に最小限必要なコラゲナーゼ濃度の検討を行った。結果を表11及び図15に示す。
これら実施例8の結果から、ディスパーゼ濃度を250PU/mlに固定した場合、細胞外基質層を十分に消化するには、コラゲナーゼ濃度は少なくとも75CDU/ml以上、より好ましくは150CDU/ml以上、さらに好ましくは300CDU/ml以上にする必要性が分かった。
実施例1にて得られた細胞を10%FBS添加αMEM培養液にて希釈後、プラスチックデッシュ上に播種し、羊膜由来MSCを接着培養させた。トリプシン処理にて細胞剥離後、10%FBS添加αMEM培養液にてトリプシン中和し、遠心後上清を捨て、得られた細胞ペレットをRPMI1640にて再懸濁し、羊膜由来MSC懸濁液を作成した。得られた懸濁液に対し、最終組成が表12となるように凍結保存液を調整した。
HES:ニプロ社製、品番HES40
ヒトアルブミン(Alb):ベネシス社製、献血アルブミン25%静注12.5g/50ml
デキストラン40:大塚製薬工場社製、低分子デキストラン糖注
生理食塩水:大塚製薬工場社製:上記の希釈調整用液とした。
更に、解凍した細胞懸濁液100μLを24wellプレート4ウェルに播種し、3mlの10%FBS添加αMEM培養液を添加し、24時間後および48時間後に写真撮影後、一視野当たりの細胞数の平均値を測定した。表14、図16及び図17に結果を示す。
マウスにおいて、同種他家骨髄移植および脾細胞移植を行い、急性移植片対宿主病(GVHD)を発症させ、ヒト羊膜由来MSC移植による治療効果を検討した。7-8週齢の雌B6C3F1マウスに対して、15GyのX線照射の後、同種他家であるBDF1マウス由来骨髄細胞1.0×107細胞および同脾細胞3×107細胞を経静脈的に移植した。骨髄細胞移植14日目、17日目、21日目、15日目に、実施例1と同様の手法(コラゲナーゼ300CDU/ml+サーモリシン250PU/mlの条件下)にて得られたヒト羊膜由来MSC(1×105細胞 )を経静脈的に移植し、体重を経時的に観察した。図18に、骨髄細胞移植日からの体重変化率を示す。
この結果から、急性移植片対宿主病(GVHD)に伴う体重増加の遅延がヒト羊膜由来MSC移植により改善していることが明らかとなった。
ラットにおいて、デキストラン硫酸(DSS)を経口摂取させることで炎症性腸疾患を発症させ、ヒト羊膜由来MSC移植による治療効果を検討した。8週齢の雄SDラットに対し8%DSSの自由飲水での投与を開始した。DSS投与開始の翌日、実施例1と同様の手法(コラゲナーゼ300CDU/ml+サーモリシン250PU/mlの条件下)にて得られたヒト羊膜由来MSC(1×106細胞 )を経静脈的に移植し、DSSを計5日間投与した。
図19に疾患活動性(Disease activity index(DAI):体重の減少、便の固さ、直腸出血を観察、測定し、点数化)および相対的体重変化を示す。この結果から、腸炎の病態がヒト羊膜由来MSC移植により改善していることが明らかとなった。
尚、DAIの点数化は、下記の文献の方法に従った。Cooper, H. S.; Murthy, S. N.; Shah, R. S.; Sedergran, D. J. Clinicopathologic study of dextran sulfate sodium experimental murine colitis. Lab. Invest. 69:238-249; 1993.
マウスにおいて、プリスタン(Pristane; 2,6,10,14-tetramethyl-pentadecane)を投与することで全身性エリテマトーデスを発症させ、ヒト羊膜由来MSC移植による治療効果を検討した。13週齢雄BALB/cマウスに対しプリスタンを500μl腹腔内に投与した。同時に実施例1と同様の手法(コラゲナーゼ300CDU/ml+サーモリシン250PU/mlの条件下)にて得られたヒト羊膜由来MSC(1×105細胞/10g)を尾静脈に投与し、以後隔週で同数のヒト羊膜由来MSCを投与し、20週経過後に生化学的評価を行った。
図20に尿蛋白の経過を示す。この結果から、全身性エリテマトーデスに伴う蛋白尿がヒト羊膜由来MSC移植により改善していることが明らかとなった。
ラットにおいて、四塩化炭素(CCl4)を繰り返し投与することで肝硬変を発症させ、ヒト羊膜由来MSC移植による治療効果を検討した。6週齢の雄SDラットに対し2ml/kgのCCl4を週2回の頻度で腹腔内投与を開始した。CCl4投与開始から3週目に実施例1と同様の手法(コラゲナーゼ300CDU/ml+サーモリシン250PU/mlの条件下)にて得られたヒト羊膜由来MSC(1×106細胞 )を経静脈的に移植し、CCl4を計7週間投与し、肝臓の組織学的評価を行った。
図21に肝臓のMasson trichrome染色の結果から得られた繊維化面積率(膠原線維陽性割合)を示す。この結果から、肝硬変に伴う肝線維化がヒト羊膜由来MSC移植により改善していることが明らかとなった。
ラットにおいて、直腸に放射線照射することで放射線腸炎を発症させ、ヒト羊膜由来MSCによる治療効果を検討した。8週齢の雄SDラットに対し5Gy/日の放射線を5日間連日で下腹部に照射した。最終照射日に実施例1と同様の手法(コラゲナーゼ300CDU/ml+サーモリシン250PU/mlの条件下)にて得られたヒト羊膜由来MSC(1×106細胞 )を経静脈的に移植し、その3日後に直腸の組織学的評価を行った。
図22に直腸のPAS染色の結果から得られたPAS陽性杯細胞数(/HPF:強拡大視野当たり)の変化を示す。この結果から、放射線腸炎に伴う杯細胞の減少がヒト羊膜由来MSC移植により改善していることが明らかとなった。
2 上皮細胞層
3 細胞外基質層
Claims (10)
- ジメチルスルホキシドを5〜10質量%、ヒドロキシエチルデンプンを4〜10質量%、及びヒトアルブミンを5質量%以下で含有し、間葉系細胞組成物を含む混合物を凍結保存し、次いで前記凍結保存した混合物を解凍した後に培養する工程を含み、
前記間葉系細胞組成物は、CD324及び/又はCD326陽性上皮細胞の含有率が20%以下であり、CD90陽性細胞の含有率が75%以上である、間葉系細胞組成物の製造方法。 - 前記間葉系細胞組成物中における生細胞率が80%以上である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記CD90陽性細胞が、CD90陽性間葉系細胞である請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記間葉系細胞が羊膜由来である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞を、輸液製剤により2以上に希釈する工程を含む、間葉系細胞投与用組成物を製造する方法。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により得られる間葉系細胞を有効成分として含む細胞治療剤。
- 請求項6に記載の方法により得られる間葉系細胞投与用組成物を有効成分として含む細胞治療剤。
- 注射用製剤である、請求項6又は7に記載の細胞治療剤。
- 細胞塊又はシート状構造の移植用製剤である、請求項6又は7に記載の細胞治療剤。
- 移植片対宿主病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、肝硬変、又は放射線腸炎から選択される疾患の治療剤である、請求項7から9のいずれか一項に記載の細胞治療剤。
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