[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。図1において、この無停電電源装置は、スイッチS1〜S9、コンデンサC1〜C6,Cd、リアクトルL1〜L6、電流検出器CT1〜CT6、コンバータ1、直流正母線Lp、直流負母線Ln、双方向チョッパ2、インバータ3、操作部4、および制御装置5を備える。
この無停電電源装置は、商用交流電源6およびバイパス交流電源7から商用周波数の三相交流電力を受け、負荷8に商用周波数の三相交流電力を供給する。商用交流電源6は、交流出力端子6a〜6cにそれぞれ三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1を出力する。商用交流電源6の中性点端子6dは接地電圧GNDを受ける。
三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の瞬時値は、制御装置5によって検出される。制御装置5は、商用交流電源6の交流出力電圧Vu1,Vv1,Vw1に基づいて、商用交流電源6の停電が発生したか否かを検出する。
バイパス交流電源7は、交流出力端子7a〜7cにそれぞれ三相交流電圧Vu2,Vv2,Vw2を出力する。バイパス交流電源7の中性点端子7dは接地電圧GNDを受ける。三相交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の瞬時値は、制御装置5によって検出される。負荷8の交流入力端子8a〜8cは、無停電電源装置から三相交流電圧を受ける。負荷8は、無停電電源装置から供給される三相交流電力によって駆動される。
スイッチS1〜S3の一方端子はそれぞれ商用交流電源6の交流出力端子6a〜6cに接続される。コンデンサC1〜C3の一方電極はそれぞれスイッチS1〜S3の他方端子に接続され、それらの他方電極は互いに接続される。リアクトルL1〜L3の一方端子はそれぞれスイッチS1〜S3の他方端子に接続され、それらの他方端子はコンバータ1の3つの入力ノードにそれぞれ接続される。
スイッチS1〜S6は、制御装置5によって制御される。インバータ3によって生成される三相交流電力を負荷8に供給するインバータ給電モード(第1のモード)時には、制御装置5は、スイッチS1〜S6をオンさせるとともにスイッチS7〜S9をオフさせる。バイパス交流電源7からの三相交流電力を負荷8に供給するバイパス給電モード(第2のモード)時には、制御装置5は、スイッチS1〜S3,S7〜S9をオンさせるとともに、スイッチS4〜S6をオフさせる。インバータ給電モードおよびバイパス給電モードのうちのいずれか一方の給電モードから他方の給電モードに切換える切換期間には、制御装置5は、スイッチS1〜S3をオフさせて商用交流電源6とコンバータ1を電気的に切り離す。
コンデンサC1〜C3およびリアクトルL1〜L3は交流フィルタF1を構成する。交流フィルタF1は、低域通過フィルタであり、商用交流電源6からコンバータ1に商用周波数の交流電流を流し、コンバータ1から商用交流電源6にスイッチング周波数の信号が流れることを防止する。電流検出器CT1〜CT3は、それぞれリアクトルL1〜L3に流れる交流電流I1〜I3を検出し、検出値を示す信号を制御装置5に与える。
コンバータ1の正側出力ノードは、直流正母線Lpを介してインバータ3の正側入力ノードに接続される。コンバータ1の負側出力ノードは、直流負母線Lnを介してインバータ3の負側入力ノードに接続される。コンデンサCdは、母線Lp,Ln間に接続され、母線Lp,Ln間の直流電圧VDCを平滑化させる。直流電圧VDCの瞬時値は、制御装置5によって検出される。
コンバータ1は、制御装置5によって制御され、商用交流電源6から三相交流電力が正常に供給されている場合(商用交流電源6の健全時)には、商用交流電源6からの三相交流電力を直流電力に変換する。コンバータ1によって生成された直流電力は、母線Lp,Lnを介して双方向チョッパ2およびインバータ3に供給される。
制御装置5は、商用交流電源6の健全時には、商用交流電源6の交流出力電圧Vu1,Vv1,Vw1、交流電流I1〜I3、およびコンデンサCdの端子間電圧VDCに基づき、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr1(第1の参照電圧)になるようにコンバータ1を制御する。また、制御装置5は、商用交流電源6からの三相交流電力の供給が停止された場合(商用交流電源6の停電時)には、コンバータ1の動作を停止させる。
また、制御装置5は、インバータ給電モードおよびバイパス給電モードのうちのいずれか一方の給電モードから他方の給電モードに切換える切換期間には、コンバータ1の運転を停止させる。交流フィルタF1およびコンバータ1は、商用交流電源6からの三相交流電力を直流電力に変換する順変換器を構成する。
双方向チョッパ2は、制御装置5によって制御され、商用交流電源6の健全時には、コンバータ1によって生成された直流電力をバッテリ9に蓄え、商用交流電源6の停電が発生したことに応じて、バッテリ9の直流電力を母線Lp,Lnを介してインバータ3に供給する。バッテリ9の端子間電圧VBの瞬時値は、制御装置5によって検出される。
制御装置5は、コンデンサCdの端子間電圧VDCおよびバッテリ9の端子間電圧VBに基づいて、双方向チョッパ2を制御する。制御装置5は、商用交流電源6の健全時には、バッテリ9の端子間電圧VBが参照電圧VBr(第2の参照電圧)になるように双方向チョッパ2を制御する。また、制御装置5は、商用交流電源6の停電時には、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2(第3の参照電圧)になるように双方向チョッパ2を制御する。
また、制御装置5は、インバータ給電モードおよびバイパス給電モードのうちのいずれか一方の給電モードから他方の給電モードに切換える切換期間には、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2になるように双方向チョッパ2を制御する。なお、VBr<VDC2r<VDC1である。VDCr2は、VDCr1よりも少しだけ低い電圧である。
インバータ3は、制御装置5によって制御され、コンバータ1および双方向チョッパ2から供給される直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。インバータ3の3つの出力ノードは、それぞれリアクトルL4〜L6の一方端子に接続される。リアクトルL4〜L6の他方端子はそれぞれスイッチS4〜S6の一方端子に接続され、スイッチS4〜S6の他方端子はそれぞれ負荷8の3つの交流入力端子8a〜8cに接続される。コンデンサC4〜C6の一方電極はそれぞれリアクトルL4〜L6の他方端子に接続され、コンデンサC4〜C6の他方電極はともにコンデンサC1〜C3の他方電極に接続される。
コンデンサC4〜C6およびリアクトルL4〜L6は交流フィルタF2を構成する。交流フィルタF2は、低域通過フィルタであり、インバータ3から負荷8に商用周波数の交流電流を流し、インバータ3から負荷8にスイッチング周波数の信号が流れることを防止する。換言すると、交流フィルタF2は、インバータ3から出力される三相矩形波電圧を正弦波状の三相交流電圧Va,Vb,Vcに変換する。
三相交流電圧Va〜Vcの瞬時値は、制御装置5によって検出される。電流検出器CT4〜CT6は、それぞれリアクトルL4〜L6に流れる交流電流I4〜I6を検出し、検出値を示す信号を制御装置5に与える。
制御装置5は、インバータ3の交流出力電圧Va〜Vc、バイパス交流電源7の交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2、交流電流I4〜I6に基づき、交流出力電圧Va〜Vcがそれぞれ交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2になるようにインバータ3を制御する。
スイッチS7〜S9の一方端子はそれぞれバイパス交流電源7の交流出力端子7a〜7cに接続され、それらの他方端子はそれぞれ負荷8の交流入力端子8a〜8cに接続される。スイッチS7〜S9は、制御装置5によって制御され、インバータ給電モード時にはオフされ、バイパス給電モード時およびラップ給電モード時にはオンされる。
操作部4(選択部)は、無停電電源装置の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部4を操作することにより、無停電電源装置の電源をオンおよびオフしたり、自動運転モード、バイパス給電モード、およびインバータ給電モードのうちのいずれかのモードを選択することが可能となっている。
制御装置5は、操作部4からの信号、商用交流電源6の交流出力電圧Vu1,Vv1,Vw1、交流入力電流I1〜I3、コンデンサCdの端子間電圧VDC、バッテリ9の端子間電圧VB、交流出力電流I4〜I6、交流出力電圧Va〜Vc、バイパス交流電源7の交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2などに基づいて無停電電源装置全体を制御する。
ここで、この無停電電源装置の動作について簡単に説明する。商用交流電源6の健全時において操作部4を用いて自動運転モードが選択された場合には、スイッチS1〜S3がオンされて商用交流電源6が交流フィルタF1を介してコンバータ1に接続され、スイッチS4〜S6がオンされてインバータ3が交流フィルタF2を介して負荷8に接続され、スイッチS7〜S9がオフされてバイパス交流電源7と負荷8が電気的に切り離される。
また、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr1になるようにコンバータ1が制御され、バッテリ9の端子間電圧VBが参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2が制御され、交流出力電圧Va〜Vcがそれぞれバイパス交流電源7の交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2になるようにインバータ3が制御される。これにより、交流出力電圧Va〜VcがスイッチS4〜S6を介して負荷8に供給され、負荷8が駆動される。
商用交流電源6の停電が発生した場合には、スイッチS1〜S3がオフされ、コンバータ1の運転が停止され、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2になるように双方向チョッパ2が制御され、交流出力電圧Va〜Vcがそれぞれバイパス交流電源7の交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2になるようにインバータ3が制御される。
バッテリ9の直流電力が消費され、バッテリ9の端子間電圧VBが下限値に到達した場合には、双方向チョッパ2およびインバータ3の運転が停止される。したがって、商用交流電源6の停電が発生した場合でも、バッテリ9の端子間電圧VBが下限値に到達するまでの期間は負荷8の運転を継続することができる。
また、商用交流電源6の健全時において操作部4を用いてインバータ給電モードが選択された場合には、上記自動運転モード時と同様に、スイッチS1〜S6がオンされるとともにスイッチS7〜S9がオフされ、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr1になるようにコンバータ1が制御され、バッテリ9の端子間電圧VBが参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2が制御される。また、交流出力電圧Va〜Vcがそれぞれバイパス交流電源7の交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2になるようにインバータ3が制御される。
インバータ給電モード時において操作部4を用いてバイパス給電モードが選択された場合には、スイッチS1〜S3がオフされ、コンバータ1の運転が停止され、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2になるように双方向チョッパ2が制御される。次いで、所定時間だけラップ給電モードが実行され、スイッチS4〜S9がオンされ、インバータ3およびバイパス交流電源7の両方から負荷8に三相交流電力が供給される。このとき、スイッチS1〜S3がオフされているので、無停電電源装置に循環電流が流れることはない。
ラップ給電モードが終了すると、スイッチS4〜S6がオフされてスイッチS7〜S9のみがオンされる。次に、スイッチS1〜S3がオンされ、コンバータ1が制御されてコンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr1に上げられ、インバータ給電モードからバイパス給電モードへの切換が完了する。コンバータ1の運転が再開されると、コンバータ1によって生成された直流電力が双方向チョッパ2を介してバッテリ9に蓄えられる。
バイパス給電モードでは、バイパス交流電源7からスイッチS7〜S9を介して負荷8に三相交流電力が供給され、負荷8が駆動される。バイパス給電モード時には、次にインバータ給電モードが選択されるときに備えて、コンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3が運転され、バッテリ9の充電などが行なわれる。あるいはバイパス給電モード時には、スイッチS1〜S3がオフされて、コンバータ1、双方向チョッパ2、インバータ3、バッテリ9などの修理、定期点検などが行なわれれる。
また、バイパス給電モード時において操作部4を用いてインバータ給電モードが選択された場合には、スイッチS1〜S3がオフされ、コンバータ1の運転が停止され、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2になるように双方向チョッパ2が制御される。次いで、所定時間だけラップ給電モードが実行され、スイッチS4〜S9がオンされ、インバータ3およびバイパス交流電源7の両方から負荷8に三相交流電力が供給される。このとき、スイッチS1〜S3がオフされているので、無停電電源装置に循環電流が流れることはない。
ラップ給電モードが終了すると、スイッチS7〜S9がオフされてスイッチS1〜S6がオンされ、コンバータ1によってコンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr1に上げられて、バイパス給電モードからインバータ給電モードへの切換が完了する。コンバータ1が運転されると、コンバータ1によって生成された直流電力が双方向チョッパ2を介してバッテリ9に蓄えられる。
次に、このような無停電電源装置に流れる循環電流について説明する。図2は、コンバータ1およびインバータ3の構成を示す回路図である。図2において、コンバータ1は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)Q1〜Q6およびダイオードD1〜D6を含む。IGBTは、スイッチング素子を構成する。IGBTQ1〜Q3のコレクタはともに直流正母線Lpに接続され、それらのエミッタはそれぞれ入力ノード1a,1b,1cに接続される。
入力ノード1a,1b,1cは、それぞれリアクトルL1〜L3(図1)の他方端子に接続される。IGBTQ4〜Q6のコレクタはそれぞれ入力ノード1a,1b,1cに接続され、それらのエミッタはともに直流負母線Lnに接続される。ダイオードD1〜D6は、それぞれIGBTQ1〜Q6に逆並列に接続される。
IGBTQ1,Q4はそれぞれゲート信号A1,B1によって制御され、IGBTQ2,Q5はそれぞれゲート信号A2,B2によって制御され、IGBTQ3,Q6はそれぞれゲート信号A3,B3によって制御される。ゲート信号B1,B2,B3は、それぞれゲート信号A1,A2,A3の反転信号である。
IGBTQ1〜Q3は、それぞれゲート信号A1,A2,A3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号A1,A2,A3が「L」レベルにされた場合にオフする。IGBTQ4〜Q6は、それぞれゲート信号B1,B2,B3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号B1,B2,B3が「L」レベルにされた場合にオフする。
ゲート信号A1,B1,A2,B2,A2,B2の各々は、パルス信号列であり、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。ゲート信号A1,B1の位相とゲート信号A2,B2の位相とゲート信号A3,B3の位相とは、基本的には120度ずつずれている。ゲート信号A1,B1,A2,B2,A3,B3は、制御装置5によって生成される。
たとえば、交流入力電圧Vu1のレベルが交流入力電圧Vv1のレベルよりも高い場合は、IGBTQ1,Q5がオンされ、入力ノード1aからIGBTQ1、直流正母線Lp、コンデンサCd、直流負母線Ln、およびIGBTQ5を介して入力ノード1bに電流が流れ、コンデンサCdが充電される。
逆に、交流入力電圧Vv1のレベルが交流入力電圧Vu1のレベルよりも高い場合は、IGBTQ2,Q4がオンされ、入力ノード1bからIGBTQ2、直流正母線Lp、コンデンサCd、直流負母線Ln、およびIGBTQ4を介して入力ノード1aに電流が流れ、コンデンサCdが充電される。他の場合も同様である。
ゲート信号A1,B1,A2,B2,A3,B3によってIGBTQ1〜Q6の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ1〜Q6の各々のオン時間を調整することにより、入力ノード6a〜6cに与えられた三相交流電圧を直流電圧VDC(コンデンサCdの端子間電圧)に変換することが可能となっている。
インバータ3は、IGBTQ11〜Q16およびダイオードD11〜D16を含む。IGBTは、スイッチング素子を構成する。IGBTQ11〜Q13のコレクタはともに直流正母線Lpに接続され、それらのエミッタはそれぞれ出力ノード3a,3b,3cに接続される。出力ノード3a,3b,3cは、それぞれリアクトルL4〜L6(図1)の一方端子に接続される。IGBTQ14〜Q16のコレクタはそれぞれ出力ノード3a,3b,3cに接続され、それらのエミッタはともに直流負母線Lnに接続される。ダイオードD11〜D16は、それぞれIGBTQ11〜Q16に逆並列に接続される。
IGBTQ11,Q14はそれぞれゲート信号X1,Y1によって制御され、IGBTQ12,Q15はそれぞれゲート信号X2,Y2によって制御され、IGBTQ13,Q16はそれぞれゲート信号X3,Y3によって制御される。ゲート信号Y1,Y2,Y3は、それぞれゲート信号X1,X2,X3の反転信号である。
IGBTQ11〜Q13は、それぞれゲート信号X1,X2,X3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号X1,X2,X3が「L」レベルにされた場合にオフする。IGBTQ14〜Q16は、それぞれゲート信号Y1,Y2,Y3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号Y1,Y2,Y3が「L」レベルにされた場合にオフする。
ゲート信号X1,Y2,X3,Y1,X2,Y3の各々は、パルス信号列であり、PWM信号である。ゲート信号X1,Y1の位相とゲート信号X2,Y2の位相とゲート信号X3,Y3の位相とは、基本的には120度ずつずれている。ゲート信号X1,Y1,X2,Y2,X3,Y3は、制御装置5によって生成される。
たとえば、IGBTQ11,Q15がオンすると、直流正母線LpがIGBTQ11を介して出力ノード3aに接続されるとともに、出力ノード3bがIGBTQ15を介して直流負母線Lnに接続され、出力ノード3a,3b間に正電圧が出力される。
また、IGBTQ12,Q14がオンすると、直流正母線LpがIGBTQ12を介して出力ノード3bに接続されるとともに、出力ノード3aがIGBTQ14を介して直流負母線Lnに接続され、出力ノード3a,3b間に負電圧が出力される。
ゲート信号X1,Y1,X2,Y2,X3,Y3によってIGBTQ11〜Q16の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ11〜Q16の各々のオン時間を調整することにより、母線Lp,Ln間の直流電圧VDCを三相交流電圧Va,Vb,Vcに変換することが可能となっている。
図3は、商用交流電源6の構成を示す等価回路図である。図3において、商用交流電源6は、中性点端子6dに対して星形接続(Y接続)された3相の交流電源6U,6V,6Wを含む。交流電源6Uは、交流出力端子6aと中性点端子6dとの間に接続され、交流出力端子6aに交流電圧Vu1を出力する。交流電源6Vは、交流出力端子6bと中性点端子6dとの間に接続され、交流出力端子6bに交流電圧Vv1を出力する。交流電源6Wは、交流出力端子6cと中性点端子6dとの間に接続され、交流出力端子6cに交流電圧Vw1を出力する。
交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の各々は商用周波数(たとえば60Hz)で正弦波状に変化する。交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のピーク値(実効値の√2倍)は同一であり、それらの位相は120度ずつずれている。交流電源6U,6V,6Wは、たとえば、商用交流電源6の最終段の三相変圧器に含まれる最終段の三相の巻線に対応している。
図4は、バイパス交流電源7の構成を示す等価回路図である。図4において、バイパス交流電源7は、中性点端子7dに対して星形接続された3相の交流電源7U,7V,7Wを含む。交流電源7Uは、交流出力端子7aと中性点端子7dとの間に接続され、交流出力端子7aに交流電圧Vu2を出力する。交流電源7Vは、交流出力端子7bと中性点端子7dとの間に接続され、交流出力端子7bに交流電圧Vv2を出力する。交流電源7Wは、交流出力端子7cと中性点端子7dとの間に接続され、交流出力端子7cに交流電圧Vw2を出力する。
交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の各々は商用周波数で正弦波状に変化する。交流電圧Vu2,Vv2,Vw2のピーク値は同一であり、それらの位相は120度ずつずれている。交流電源7U,7V,7Wは、たとえば、自家発電機の三相のコイルに対応している。
インバータ給電モードおよびバイパス給電モードでは、バイパス交流電源7の交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の位相(およびピーク値)は、それぞれ商用交流電源6の交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の位相(およびピーク値)に一致しており、また、スイッチS7〜S9またはスイッチS4〜S6がオフされている。この状態では、無停電電源装置に循環電流は流れない。
しかし、ラップ給電モードでは、スイッチS7〜S9またはスイッチS4〜S6をオンしたときにバイパス交流電源7の負荷電流が大きく変動し、交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の位相、ピーク値が変動する。このため、交流電圧Vu2,Vv2,Vw2がそれぞれ交流電圧Vu1,Vv1,Vw1に一致しなくなる。
図5(A)〜(C)は、商用交流電源6の交流電圧Vu1,Vv1,Vw1とバイパス交流電源7の交流電圧Vu2,Vv2,Vw2との関係を示す図である。交流電圧Vu1,Vv1,Vw1,Vu2,Vv2,Vw2の各々は、ベクトル表示されている。交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の位相は120度ずつずれ、交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の位相は120度ずつずれている。図5(A)は、交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の位相がそれぞれ交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の位相に一致している場合を示している。
図5(B)は、交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の位相がそれぞれ交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の位相よりも60度遅れている場合を示している。たとえば、交流電圧Vu1の位相と交流電圧Vw2の位相とは180度ずれている。交流電圧Vu1が正のピーク値となり、交流電圧Vw2が負のピーク値となったとき、交流電圧Vu1と交流電圧Vw2の差の電圧ΔV12=Vu1−Vw2は、交流電圧Vu1,Vw2のピーク値の和となる。逆に、交流電圧Vu1が負のピーク値となり、交流電圧Vw2が正のピーク値となったとき、交流電圧Vw2と交流電圧Vu1の差の電圧ΔV21=Vw2−Vu1は、交流電圧Vu1,Vw2のピーク値の和となる。
図5(C)は、交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の位相がそれぞれ交流電圧Vu1,Vv1,Vv1の位相よりも60度進んでいる場合を示している。たとえば、交流電圧Vu1の位相と交流電圧Vv2の位相とは180度ずれている。交流電圧Vu1が正のピーク値となり、交流電圧Vv2が負のピーク値となったとき、交流電圧Vu1と交流電圧Vv2の差の電圧ΔV12=Vu1−Vv2は、交流電圧Vu1,Vv2のピーク値の和となる。逆に、交流電圧Vu1が負のピーク値となり、交流電圧Vv2が正のピーク値となったとき、交流電圧Vv2と交流電圧Vu1の差の電圧ΔV21=Vv2−Vu1は、交流電圧Vu1,Vv2のピーク値の和となる。
もし、ラップ給電モード時において、スイッチS1〜S3がオンされ、かつコンデンサCdの端子間電圧VDCが交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のピーク値と交流電圧Vu2,Vv2,Vw2のピーク値との和よりも小さい場合には、次のような問題が発生する。たとえば、図5(B)で示したように、交流電圧Vu1,Vw2の位相が180度ずれ、交流電圧Vu1,Vw2の差の電圧ΔV12=Vu1−Vw2が交流電圧Vu1,Vw2のピーク値の和となった場合、図6で示される経路に循環電流ICが流れる。
すなわち、交流電源6Uの一方端子(出力端子6a)からコンバータ1の入力ノード1a、ダイオードD1(図2)、直流正母線Lp、コンデンサCd、直流負母線Ln、ダイオードD16(図2)、インバータ3の出力ノード3c、交流電源7W、中性点端子7d、接地電圧GNDのライン、および中性点端子6dを介して交流電源6Uの他方端子に至る経路に循環電流ICが流れてしまう。なお、図6では、図面および説明の簡単化のため、フィルタF1,F2、オンされたスイッチS1〜S9などの図示は省略されている。
逆に、交流電圧Vw2,Vu1の差の電圧ΔV21=Vw2−Vu1が交流電圧Vu1,Vw2のピーク値の和となった場合、図7で示される経路に循環電流ICが流れる。すなわち、交流電源7Wの一方端子(出力端子7c)からインバータ3の出力ノード3c、ダイオードD13(図2)、直流正母線Lp、コンデンサCd、直流負母線Ln、ダイオードD4(図2)、コンバータ1の入力ノード1a、交流電源6U、中性点端子6d、接地電圧GNDのライン、および中性点端子7dを介して交流電源7Uの他方端子に至る経路に循環電流ICが流れる。
循環電流ICが流れると、循環電流ICによってコンデンサCdが充電され、コンデンサCdの端子間電圧VDCが上限値VDCHを超え、制御装置5によって異常が発生したと判別されて無停電電源装置の運転が停止され、負荷8の運転が停止される場合がある。また、電流検出器CT1〜CT6の検出値が上限値IHを超え、制御装置5によって異常が発生したと判別されて無停電電源装置の運転が停止され、負荷8の運転が停止される場合がある。
そこで、本実施の形態1では、インバータ給電モードおよびバイパス給電モードのうちのいずれか一方の給電モードから他方の給電モードに切換える切換期間には、スイッチS1〜S3をオフさせることにより、無停電電源装置に循環電流ICが流れることを防止している。ラップ給電モードは、切換期間内に行なわれる。
また、本実施の形態1では、交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のピーク値と交流電圧Vu2,Vv2,Vw2のピーク値との和の電圧よりも低い参照電圧VDCr1,VDCr2にコンデンサCdの端子間電圧VDCを設定することにより、消費電力の低減化、効率の向上を図っている。
バイパス交流電源7が安定している場合には、バイパス交流電源7の交流出力電圧Vu2,Vv2,Vw2は商用交流電源6の交流出力電圧Vu1,Vv1,Vw1に一致しているので、交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のピーク値と交流電圧Vu2,Vv2,Vw2のピーク値との和の電圧は、交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のピーク値の2倍の電圧に等しい。また、交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のピーク値は同じ値である。
たとえば、交流電圧Vu1の実効値は277Vであり、そのピーク値は392Vである。交流電圧Vu1のピーク値の2倍の電圧は784Vである。参照電圧VDCr1は、784Vよりも低い750Vに設定される。参照電圧VDCr2は、参照電圧VDCr1よりも少し低い730Vに設定される。なお、参照電圧VDCr1は、コンデンサCdの端子間電圧VDCの上限値VDCH(たとえば1000V)よりも低い値に設定される。
次に、コンバータ1およびスイッチS1〜S9の制御方法について説明する。図8は、制御装置5のうちのコンバータ1およびスイッチS1〜S9の制御に関連する部分の構成を示すブロック図である。図8において、制御装置5は、信号発生回路11、タイマー12、停電検出器13、および制御部14〜16を含む。
操作部4(図1)は、無停電電源装置の使用者によってインバータ給電モードが選択された場合には、モード選択信号MSを「L」レベルにし、バイパス給電モードが選択された場合には、モード選択信号MSを「H」レベルにする。信号発生回路11は、操作部4からのモード選択信号MSの立ち上がりエッジおよび立下りエッジの各々に応答して、切換指令信号PCを所定時間だけ「H」レベルに立ち上げる。
タイマー12は、切換指令信号PCの立ち上がりエッジに応答して、第1の時間T1、第2の時間T2、および第3の時間T3を順次計測する。また、タイマー12は、切換指令信号PCの立ち上がりエッジから第3の時間T3まで、切換信号φCを活性化レベルの「H」レベルにする。さらに、タイマー12は、第1の時間T1から第2の時間T2まで、オーバーラップ指令信号φOLを活性化レベルの「H」レベルにする。
停電検出器13は、商用交流電源6から供給される三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1に基づいて、停電が発生したか否かを判別し、判別結果を示す停電検出信号φFを出力する。停電検出器13は、たとえば、交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のレベルが下限値よりも高い場合には商用交流電源6は健全であると判別し、交流電圧Vu1,Vv1,Vw1のレベルが下限値よりも低下した場合には、停電が発生したと判別する。商用交流電源6が健全である場合には停電検出信号φFは非活性化レベルの「L」レベルにされ、停電が発生した場合には停電検出信号φFは活性化レベルの「H」レベルにされる。
制御部14は、モード選択信号MSおよびオーバーラップ指令信号φOLに従ってスイッチS4〜S9を制御する。モード選択信号MSおよびオーバーラップ指令信号φOLがともに「L」レベルである場合、制御部14は、スイッチS4〜S6をオンさせるとともにスイッチS7〜S9をオフさせる。
オーバーラップ指令信号φOLが「H」レベルである場合、制御部14はスイッチS4〜S9をオンさせる。モード選択信号MSが「H」レベルであり、オーバーラップ指令信号φOLが「L」レベルである場合、制御部14は、スイッチS7〜S9をオンさせるとともにスイッチS4〜S6をオフさせる。
制御部15は、切換信号φCおよび停電検出信号φFのうちの少なくともいずれか一方の信号が活性化レベルの「H」レベルにされた場合には、スイッチS1〜S3をオフさせ、切換信号φCおよび停電検出信号φFがともに非活性化レベルの「L」レベルである場合には、スイッチS1〜S3をオンさせる。
制御部16は、切換信号φCおよび停電検出信号φFがともに非活性化レベルの「L」レベルである場合には、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1、三相入力電流I1〜I3、直流電圧VDCに基づいて動作し、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr1(またはVDCr2)に一致するように、コンバータ1を制御する。また、制御部16は、切換信号φCおよび停電検出信号φFのうちの少なくともいずれか一方の信号が活性化レベルの「H」レベルにされた場合には、コンバータ1の運転を停止させる。
図9は、制御部16の構成を示す回路ブロック図である。図9において、制御部16は、電圧検出器20,28、参照電圧発生回路21、減算器22,26A〜26C、直流電圧制御回路23、正弦波発生回路24、乗算器25A〜25C、電流制御回路27、加算器29A〜29C、PWM回路30、ORゲート31、およびゲート回路32を含む。
電圧検出器20は、コンデンサCdの端子間電圧VDCを検出し、その検出値を示す信号を出力する。参照電圧発生回路21は、参照電圧VDCr1を生成する。減算器22は、参照電圧VDCr1からコンデンサCdの端子間電圧VDCを減算し、参照電圧VDCr1と直流電圧VDCとの偏差ΔVDC=VDCr1−VDCを求める。
直流電圧制御回路23は、偏差ΔVDC=VDCr1−VDCが0となるようにコンバータ1の交流入力電流I1〜I3を制御するための電流指令値Icを算出する。直流電圧制御回路23は、たとえば、偏差ΔVDCを比例演算または比例積分演算することにより電流指令値Icを算出する。
正弦波発生回路24は、商用交流電源6からの三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1と同相の三相正弦波信号を生成する。乗算器25A〜25Cは、それぞれ三相正弦波信号に電流指令値Icを乗算して、三相電流指令値I1c〜I3cを生成する。
減算器26Aは、電流指令値I1cと電流検出器CT1により検出された交流電流I1との偏差ΔI1=I1c−I1を算出する。減算器26Bは、電流指令値I2cと電流検出器CT2により検出された交流電流I2との偏差ΔI2=I2c−I2を算出する。減算器26Cは、電流指令値I3cと電流検出器CT3により検出された交流電流I3との偏差ΔI3=I3c−I3を算出する。
電流制御回路27は、偏差ΔI1,ΔI2,ΔI3の各々が0となるように電圧指令値V1a,V2a,V3aを生成する。電流制御回路27は、たとえば、偏差ΔI1,ΔI2,ΔI3を比例制御または比例積分制御することにより電圧指令値V1a,V2a,V3aを生成する。電圧検出器28は、商用交流電源6からの三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の瞬時値を検出し、それらの検出値を示す信号を出力する。
加算器29Aは、電圧指令値V1aと電圧検出器28により検出された交流電圧Vu1とを加算して電圧指令値V1cを生成する。加算器29Bは、電圧指令値V2aと電圧検出器28により検出された交流電圧Vv1とを加算して電圧指令値V2cを生成する。加算器29Cは、電圧指令値V3aと電圧検出器28により検出された交流電圧Vw1とを加算して電圧指令値V3cを生成する。
PWM回路30は、電圧指令値V1c〜V3cに基づいて、コンバータ1を制御するためのPWM制御信号φ1〜φ3を生成する。ORゲート31は、切換信号φCおよび停電検出信号φFの論理和信号φ31を出力する。ゲート回路32は、ORゲート31の出力信号φ31が「L」レベルである場合には、PWM制御信号φ1〜φ3に基づいてゲート信号A1〜A3,B1〜B3(図2)を生成する。
また、ゲート回路32は、ORゲート31の出力信号φ31が「H」レベルである場合(すなわち、切換期間または商用交流電源6の停電時)には、ゲート信号A1〜A3,B1〜B3を「L」レベルにしてIGBTQ1〜Q6をオフさせることにより、コンバータ1の運転を停止する。
次に、双方向チョッパ2の構成およびその制御方法について説明する。図10は、双方向チョッパ2の構成を示す回路図である。図10において、双方向チョッパ2は、IGBTQ21,Q22、ダイオードD21,D22、リアクトル35、およびコンデンサ36を含む。双方向チョッパ2は、制御装置5に含まれる制御部37によって制御される。
IGBTQ21のコレクタは高電圧側ノード2aに接続され、そのエミッタはリアクトル35を介して低電圧側ノード2cに接続されるとともに、IGBTQ22のコレクタに接続される。IGBTQ22のエミッタは、高電圧側ノード2bおよび低電圧側ノード2dに接続される。ダイオードD21,D22は、それぞれIGBTQ21,Q22に逆並列に接続される。コンデンサ36は、高電圧側ノード2a,2b間に接続され、高電圧側ノード2a,2b間の直流電圧VDCを安定化させる。
IGBTQ21は、制御部37からのゲート信号G1によって制御される。制御部37は、ORゲート31(図9)の出力信号φ31が「L」レベルである場合には、ゲート信号G1を所定周波数で「H」レベルおよび「L」レベルにし、信号φ31が「H」レベルである場合(すなわち、切換期間および商用交流電源6の停電時)には、ゲート信号G1を「L」レベルに固定する。ゲート信号G1が「H」レベルにされるとIGBTQ21がオンし、ゲート信号G1が「L」レベルにされるとIGBTQ21がオフする。
VDC>VBである場合にIGBTQ21がオンされると、直流正母線LpからIGBTQ21、リアクトル35、およびバッテリ9を介して直流負母線Lnに至る経路に電流Ibが流れ、バッテリ9が充電されるとともに、リアクトル35に電磁エネルギーが蓄えられる。
IGBTQ21がオフされると、リアクトル35の一方端子(バッテリ9側の端子)からバッテリ9およびダイオードD22を介してリアクトル35の他方端子に至る経路で電流が流れ、バッテリ9が充電されるとともに、リアクトル35の電磁エネルギーが放出される。
ゲート信号G1が「H」レベルにされる時間(パルス幅)と1周期との比は、デューティ比と呼ばれる。制御部37は、ORゲート31の出力信号φ31が「L」レベルである場合には、バッテリ9の端子間電圧VBが参照電圧VBrになるように、ゲート信号G1のデューティ比を調整する。
IGBTQ22は、制御部37からのゲート信号G2によって制御される。制御部37は、ORゲート31(図9)の出力信号φ31が「H」レベルである場合(すなわち、切換期間および商用交流電源6の停電時)には、ゲート信号G2を所定周波数で「H」レベルおよび「L」レベルにし、信号φ31が「L」レベルである場合にはゲート信号G2を「L」レベルに固定する。ゲート信号G2が「H」レベルにされるとIGBTQ22がオンし、ゲート信号G22が「L」レベルにされるとIGBTQ22がオフする。
IGBTQ2がオンされると、バッテリ9の正極からリアクトル35およびIGBTQ22を介してバッテリ9の負極に電流が流れ、リアクトル35に電磁エネルギーが蓄えられる。IGBTQ22がオフされると、リアクトル35からIGBTQ22に流れていた電流がリアクトル35からダイオードD21に転流され、コンデンサ36,Cdを介してバッテリ9の負極に流れ、コンデンサ36,Cdが充電されるとともに、リアクトル35の電磁エネルギーが放出される。制御部37は、信号φ31が「H」レベルである場合には、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDC2になるように、ゲート信号G2のデューティ比を調整する。
図11(A)〜(H)は、図8〜図10に示した制御装置5の動作を示すタイムチャートである。図11において、(A)はモード選択信号MSの波形を示し、(B)は切換指令信号PCの波形を示し、(C)は切換信号φCの波形を示し、(D)はオーバーラップ指令信号φOLの波形を示している。
また、(E)はコンデンサCdの端子間電圧VDCを示し、(F)はスイッチS1〜S3の状態を示し、(G)はスイッチS4〜S6の状態を示し、(H)はスイッチS7〜S9の状態を示している。図11では、インバータ給電モードからバイパス給電モードに切換える場合の動作が示されている。
時刻t0では、インバータ給電モードが実行されており、モード選択信号MS、切換指令信号PC、切換信号φC、およびオーバーラップ指令信号φOLはともに「L」レベルにされている。また、コンデンサCdの端子間電圧VDCは参照電圧VDCr1にされ、スイッチS1〜S6はオンされ、スイッチS7〜S9はオフされている。
ある時刻t1において操作部4を用いてバイパス給電モードが選択されると、モード選択信号MSが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられ、信号発生回路11によって切換指令信号PCが所定時間だけ「H」レベルに立ち上げられる。切換指令信号PCの立ち上がりエッジに応答して、タイマー12(図8)が第1の時間T1、第2の時間T2、および第3の時間T3を順次計測し、計時結果に基づいて切換信号φCおよびオーバーラップ指令信号φOLを生成する。
切換信号φCは、切換指令信号PCの立ち上がりエッジ(時刻t1)から第3の時間T3(時刻t4)まで「H」レベルにされる。オーバーラップ指令信号φOLは、第1の時間T1(時刻t2)から第2の時間T2(時刻t3)まで「H」レベルにされる。
切換信号φCが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられると(時刻t1)、スイッチS1〜S3(図1)がオフされ、制御部16(図8、図9)によってコンバータ1の運転が停止されるとともに、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2になるように、制御部37(図10)によって双方向チョッパ2が制御される。
スイッチS1〜S3がオフされている切換期間内に、ラップ指令信号φOLが「H」レベルにされてラップ給電モードが実行される。ラップ指令信号φOLが「H」レベルに立ち上げられると(時刻t2)、スイッチS7〜S9がオンされる。このとき、スイッチS1〜S3がオフされているので、循環電流IC(図6、図7)が流れることはない。ラップ指令信号φOLが「L」レベルに立ち下げられると(時刻t3)、スイッチS4〜S6がオフされ、ラップ給電モードが終了する。
切換信号φCが「L」レベルに立ち下げられると(時刻t4)、スイッチS1〜S3がオンされ、コンバータ1の運転が再開され、双方向チョッパ2によるバッテリ9の充電が再開され、インバータ給電モードからバイパス給電モードへの切換えが完了する。コンデンサCdの端子間電圧VDCは、コンバータ1によって参照電圧VDCr2から参照電圧VDCr1に上げられる。このとき、参照電圧VDCr1は参照電圧VDCr2よりも少しだけ高い電圧に設定されているので、コンデンサCdの端子間電圧VDCを参照電圧VDCr1に迅速に戻すことができる。
図12(A)〜(H)は、図8〜図10に示した制御装置5の動作を示す他のタイムチャートであって、図11(A)〜(H)と対比される図である。図12(A)〜(H)では、バイパス給電モードからインバータ給電モードに切換える場合の動作が示されている。
時刻t0では、バイパス給電モードが実行されており、モード選択信号MSは「H」レベルにされ、切換指令信号PC、切換信号φC、およびオーバーラップ指令信号φOLはともに「L」レベルにされている。また、コンデンサCdの端子間電圧VDCはコンバータ1によって参照電圧VDCr1にされ、スイッチS1〜S3,S7〜S9はオンされ、スイッチS4〜S6はオフされている。
ある時刻t1において操作部4を用いてインバータ給電モードが選択されると、モード選択信号MSが「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられ、信号発生回路11によって切換指令信号PCが所定時間だけ「H」レベルに立ち上げられる。切換指令信号PCの立ち上がりエッジに応答して、タイマー12(図8)が第1の時間T1、第2の時間T2、および第3の時間T3を順次計測し、計時結果に基づいて切換信号φCおよびオーバーラップ指令信号φOLを生成する。
切換信号φCは、切換指令信号PCの立ち上がりエッジ(時刻t1)から第3の時間T3(時刻t4)まで「H」レベルにされる。オーバーラップ指令信号φOLは、第1の時間T1(時刻t2)から第2の時間T2(時刻t3)まで「H」レベルにされる。
切換信号φCが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられると(時刻t1)、制御部16(図8、図9)によってコンバータ1の運転が停止されるとともに、コンデンサCdの端子間電圧VDCが参照電圧VDCr2になるように、制御部37(図10)によって双方向チョッパ2が制御される。
スイッチS1〜S3がオフされている期間内に、ラップ指令信号φOLが「H」レベルにされてラップ給電モードが実行される。ラップ指令信号φOLが「H」レベルに立ち上げられると(時刻t2)、スイッチS4〜S6がオンされる。このとき、スイッチS1〜S3がオフされているので、循環電流IC(図6、図7)が流れることはない。ラップ指令信号φOLが「L」レベルに立ち下げられると(時刻t3)、スイッチS7〜S9がオフされ、ラップ給電モードが終了する。
切換信号φCが「L」レベルに立ち下げられると(時刻t4)、スイッチS1〜S3がオンされ、コンバータ1の運転が再開され、双方向チョッパ2によるバッテリ9の充電が再開されて、バイパス給電モードからインバータ給電モードへの切換えが完了する。コンデンサCdの端子間電圧VDCは、コンバータ1によって参照電圧VDCr2から参照電圧VDCr1に上げられる。このとき、参照電圧VDCr1は参照電圧VDCr2よりも少しだけ高い電圧に設定されているので、コンデンサCdの端子間電圧VDCを参照電圧VDCr1に迅速に戻すことができる。
以上のように、本実施の形態1では、インバータ給電モードとバイパス給電モードとを切換える切換期間には、スイッチS1〜S3をオフさせてコンバータ1を商用交流電源6から電気的に切り離す。したがって、商用交流電源6の中性点端子6dおよびバイパス交流電源7の中性点端子7dがともに接地された場合でも、コンデンサCdなどを含む経路に循環電流ICが流れることを防止することができる。
[実施の形態2]
図13は、この発明の実施の形態2による無停電電源装置の要部を示す回路ブロック図であって、図8と対比される図である。図13を参照して、この無停電電源装置が実施の形態1と異なる点は、タイマー12および制御部14,15が制御部40で置換され、補助スイッチSa,Sb,Scおよび状態検出器44〜46が追加されている点である。
スイッチS1〜S3および補助スイッチSaは、電磁接触器41を構成する。補助スイッチSaは、スイッチS1〜S3と連動する。たとえば、スイッチS1〜S3がオンすると、スイッチSaもオンする。逆に、スイッチS1〜S3がオフしたときにスイッチSaがオンしてもよい。スイッチSaは、状態検出器44に接続される。状態検出器44は、スイッチSaがオンしているかオフしているか(すなわち、スイッチS1〜S3がオンしているかオフしているか)を検出し、検出結果を示す信号φ44を制御部40に出力する。
スイッチS4〜S6および補助スイッチSbは、電磁接触器42を構成する。補助スイッチSbは、スイッチS4〜S6と連動する。たとえば、スイッチS4〜S6がオンすると、スイッチSbもオンする。逆に、スイッチS4〜S6がオフしたときにスイッチSbがオンしてもよい。スイッチSbは、状態検出器45に接続される。状態検出器45は、スイッチSbがオンしているかオフしているか(すなわち、スイッチS4〜S6がオンしているかオフしているか)を検出し、検出結果を示す信号φ45を制御部40に出力する。
スイッチS7〜S9および補助スイッチScは、電磁接触器43を構成する。補助スイッチScは、スイッチS7〜S9と連動する。たとえば、スイッチS7〜S9がオンすると、スイッチScもオンする。逆に、スイッチS7〜S9がオフしたときにスイッチScがオンしてもよい。スイッチScは、状態検出器46に接続される。状態検出器46は、スイッチScがオンしているかオフしているか(すなわち、スイッチS7〜S9がオンしているかオフしているか)を検出し、検出結果を示す信号φ46を制御部40に出力する。
制御部40は、信号発生回路11の出力信号PS、状態検出器44〜46の出力信号φ44〜φ46、およびモード選択信号MSに基づいて、電磁接触器41〜43を制御するとともに切換信号φCを出力する。また、制御部40は、停電検出器13の出力信号φFが活性化レベルの「H」レベルである場合には、電磁接触器41をオフさせる。
図14(A)〜(F)は、図13に示した制御部40の動作を示すタイムチャートである。図14において、(A)はモード選択信号MSの波形を示し、(B)は切換指令信号PCの波形を示し、(C)は切換信号φCの波形を示し、(D)はスイッチS1〜S3,Saの状態を示し、(E)はスイッチS4〜S6,Sbの状態を示し、(F)はスイッチS7〜S9,Scの状態を示している。図14では、インバータ給電モードからバイパス給電モードに切換える場合の動作が示されている。
時刻t0では、インバータ給電モードが実行されており、モード選択信号MS、切換指令信号PC、および切換信号φCはともに「L」レベルにされている。また、スイッチS1〜S3,SaおよびスイッチS4〜S6,Sbはオンされ、スイッチS7〜S9,Scはオフされている。
ある時刻t1において操作部4を用いてバイパス給電モードが選択されると、モード選択信号MSが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられ、信号発生回路11によって切換指令信号PCが所定時間だけ「H」レベルに立ち上げられる。切換指令信号PCが「H」レベルに立ち上げられたことに応じて制御部40は、切換信号φCを「H」レベルに立ち上げるとともに、スイッチS1〜S3,Saをオフさせる(時刻t2)。
補助スイッチSaがオフされたことに応じて制御部40は、スイッチS7〜S9,Scをオンさせ、ラップ給電モードを実行する(時刻t3)。このとき、スイッチS1〜S3がオフされているので、循環電流IC(図6、図7)が流れることはない。
補助スイッチScがオフされたことに応じて制御部40は、スイッチS4〜S6,Sbをオフさせ、ラップ給電モードを終了する(時刻t4)。補助スイッチSbがオフされたことに応じて制御部40は、スイッチS1〜S3,Saをオンさせるとともに切換信号φCを「L」レベルに立ち下げる(時刻t5)。これにより、インバータ給電モードからバイパス給電モードへの切換が終了する。
図15(A)〜(F)は、図13に示した制御部40の動作を示す他のタイムチャートである。図15において、(A)はモード選択信号MSの波形を示し、(B)は切換指令信号PCの波形を示し、(C)は切換信号φCの波形を示し、(D)はスイッチS1〜S3,Saの状態を示し、(E)はスイッチS4〜S6,Sbの状態を示し、(F)はスイッチS7〜S9,Scの状態を示している。図15では、バイパス給電モードからインバータ給電モードに切換える場合の動作が示されている。
時刻t0では、バイパス給電モードが実行されており、モード選択信号MSは「H」レベルにされ、切換指令信号PCおよび切換信号φCはともに「L」レベルにされている。また、スイッチS1〜S3,SaおよびスイッチS7〜S9,Scはオンされ、スイッチS4〜S6,Sbはオフされている。
ある時刻t1において操作部4を用いてインバータ給電モードが選択されると、モード選択信号MSが「H」レベルから「L」レベルに立ち上げられ、信号発生回路11によって切換指令信号PCが所定時間だけ「H」レベルに立ち上げられる。切換指令信号PCが「H」レベルに立ち上げられたことに応じて制御部40は、切換信号φCを「H」レベルに立ち上げるとともに、スイッチS1〜S3,Saをオフさせる(時刻t2)。
補助スイッチSaがオフされたことに応じて制御部40は、スイッチS4〜S6,Sbをオンさせ、ラップ給電モードを実行する(時刻t3)。このとき、スイッチS1〜S3がオフされているので、循環電流IC(図6、図7)が流れることはない。
補助スイッチSbがオフされたことに応じて制御部40は、スイッチS7〜S9,Scをオフさせ、ラップ給電モードを終了する(時刻t4)。補助スイッチScがオフされたことに応じて制御部40は、スイッチS1〜S3,Saをオンさせるとともに切換信号φCを「L」レベルに立ち下げる(時刻t5)。これにより、バイパス給電モードからインバータ給電モードへの切換が終了する。
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。