JP6752253B2 - 避航支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、避航支援装置に関し、例えば、他船との衝突を回避するための最適な操船方法を計算によって求める技術に関する。
非特許文献1,2には、現時点における操船者の選好関係を、避航操船空間の効用値によって表す方式が示される。避航操船空間は、針路の変針角と速力の変速率とを組み合わせた空間であり、効用値は、この空間の各位置毎に算出される。効用値は、針路、速力の変更に伴う操船者の主観的な選好度から、針路、速力の変更に応じた他船に対する客観的な衝突危険度を減算したものである。衝突危険度の算出の際には、船舶の周囲に楕円状の排他的領域が定義される。この排他的領域の大きさは、自船および他船の全長および速力等に基づいて定められる。また、当該文献には、避航操船空間上の選好度および衝突危険度に基づき閉塞度を算出する方法が示される。閉塞度は、自船が有する避航操船の選択肢が他船との関係でどの程度閉塞されるかを表す。
特許文献1には、避航判断に必要な予測情報を操船者に提示する避航支援装置が示される。当該避航支援装置は、自船が今後選択し得る複数の航路上の各位置毎に将来の他船の予測位置との関係から衝突危険度および閉塞度を算出し、当該各位置毎の閉塞度を画面に表示する。
特開平9−22500号公報
長澤、他3名、"避航操船環境の困難度−II.−シミュレーションによる評価に向けて−"、日本航海学会論文集、88号、1993年、p.137−144 長澤、他3名、"Assessment of High Speed Navigation in a Congested Area by the Traffic Simulation"、FAST’93、Vol.2(1993)、p.1349−1357
例えば、船舶の安全な避航や船舶の省人化等を図るための装置として、特許文献1に示されるような避航支援装置が知られている。避航支援装置は、船舶の自律航行で必要とされる主要技術の一つを担うことができる。ここで、非特許文献1,2や特許文献1の技術では、衝突危険度を算出するための排他的領域は、例えば、遠洋、近海、湾内といった海域の輻輳状況を考慮することなく、単に船舶の全長等に基づいて定められる。このため、当該衝突危険度等を反映して自動的に避航操船方法を定めるような場合を想定すると、例えば、輻輳度が高い湾内であっても、輻輳度が低い遠洋であっても、同じような他船に同じような状況で遭遇すれば、同じような避航操船方法が選択される。
一方、現実社会では、操船者は、例えば、遠洋で他船に遭遇した際には他船に対して十分な距離を保てるように避航操船を行い、湾内で他船に遭遇した際には他船に対して必要最小限の距離を保てるように避航操船を行う場合が多い。このようなことから、非特許文献1,2や特許文献1の技術を用いて自動的に避航操船方法を定めた場合、現実とは乖離した操船が行われる恐れがある。
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、海域の輻輳状況に応じた現実的な避航操船を可能にする避航支援装置を提供することにある。
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
一実施の形態による避航支援装置は、危険度算出部と、閉塞度算出部と、サイズ設定部とを有する。危険度算出部は、自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、自船または他船の一方である基準船舶の周囲に設定される楕円状のバンパー領域を用いて算出する。閉塞度算出部は、自船が有する避航操船の選択肢が他船との関係でどの程度閉塞されるかを表す閉塞度を算出する。サイズ設定部は、閉塞度算出部で算出された閉塞度に応じて、危険度算出部で用いるバンパー領域のサイズを可変設定する。
前記一実施の形態によれば、海域の輻輳状況に応じた現実的な避航操船が可能になる。
本発明の一実施の形態による避航支援装置周りの構成例を示す概略図である。 自船と他船が衝突し得る状況の一例を示す図である。 図1の避航支援装置における選好度算出部の処理結果の一例を示す図である。 図1の避航支援装置における危険度算出部の処理内容の一例を説明する図である。 図4におけるバンパー領域を説明する補足図である。 図1の避航支援装置における危険度算出部の処理結果の一例を示す図である。 図1の避航支援装置における効用値算出部の処理結果の一例を示す図である。 図1の避航支援装置における主要部の概略的な処理内容の一例を示すフロー図である。 図1の避航支援装置におけるバンパーサイズ設定部によって設定されるバンパー領域の一例を示す図である。 図1の避航支援装置におけるバンパーサイズ設定部によって設定されるバンパー領域の他の一例を示す図である。 図9のバンパー領域を用いて算出された衝突危険度の一例を示す図である。 図11の衝突危険度に基づき算出された効用値の一例を示す図である。 図10のバンパー領域を用いて算出された衝突危険度の一例を示す図である。 図13の衝突危険度に基づき算出された効用値の一例を示す図である。 図1の避航支援装置を用いて湾内を避航操船する際の避航ルートの一例を示す図である。 図1の避航支援装置を用いて遠洋を避航操船する際の避航ルートの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
《避航支援装置周りの概略》
図1は、本発明の一実施の形態による避航支援装置周りの構成例を示す概略図である。図1において、船舶情報取得部11は、各種機構を用いて、自船の情報(針路、速力および位置)と、自船周辺の所定の範囲内に存在する単数または複数の他船の情報(針路、速力および位置)とを取得する。各種機構は、代表的には、AIS(Automatic Identification System)30、レーダ31、カメラ32、方位センサ35、速度センサ36およびGPS(Global Positioning System)37等のいずれかまたはその組み合わせである。
AISは、船舶間や船舶と陸上間で、船舶の位置、針路、速力、目的地などの船舶情報を無線通信で交換することで、他船や自船の情報を取得するシステムである。レーダ31やカメラ32は、自船の周辺に存在する各他船の相対的な針路、速力および位置を検出することで、他船の情報を取得する。方位センサ35は、ジャイロコンパス等であり、自船の針路を検出する。速度センサ36は、電磁式ログやドップラーログ等であり、自船の速力を検出する。GPS37は、自船の位置を検出する。
避航支援装置10は、効用値算出部20と、閉塞度算出部21と、航路設定部22と、操船指示部23とを備える。効用値算出部20は、選好度算出部24と、バンパーサイズ設定部25と、危険度算出部26とを備える。避航支援装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むコンピュータシステムを用いたプログラム処理によって実現される。ただし、必ずしもこれに限定されず、例えば、避航支援装置10の一部は、専用のハードウェアで実現されてもよい。
危険度算出部26は、避航操船空間の各位置毎に、自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、自船または他船の一方である基準船舶の周囲に設定される楕円状のバンパー領域(言い換えれば排他的領域)を用いて算出する。避航操船空間とは、現状からの変針角の選択肢と変速率の選択肢とを組み合わせた空間であり、避航操船を行う際に採り得る選択肢(言い換えれば手数)を表す。選好度算出部24は、避航操船空間の各位置毎に、当該各位置の選択に伴う操船者の主観的な好みを表す選好度を算出する。
閉塞度算出部21は、自船が有する避航操船の選択肢が他船との関係でどの程度閉塞されるかを表す閉塞度を算出する。通常、海域の輻輳度が高ければ避航操船の選択肢が狭まり(すなわち閉塞度が高まり)、海域の輻輳度が低ければ避航操船の選択肢が広がる(すなわち閉塞度が低下する)。したがって、閉塞度は、実質的に、海域の輻輳状況を表すことができる。
バンパーサイズ設定部25は、閉塞度算出部21で算出された閉塞度に応じて、危険度算出部26で用いるバンパー領域のサイズを可変設定する。具体的には、バンパーサイズ設定部25は、閉塞度が高いほどバンパー領域のサイズを小さく設定する。効用値算出部20は、避航操船空間の各位置毎に、選好度算出部24による選好度から危険度算出部26による衝突危険度を減算することで効用値を算出する。
航路設定部22は、予め操船者等によって設定された電子海図上の予定航路を記憶する。予定航路は、出発地点と目標地点とを複数のウエイポイント(代表的には変針点)を介して結んだ経路である。電子海図は、ハードディスク等の不揮発性記憶装置14に記憶される。操船指示部23は、例えば、効用値算出部20からの効用値が最大となる変針角および変速率を認識し、当該変針角および変速率を自動操縦装置15へ指示する。
自動操縦装置15は、指示された変針角に向けて変針するように舵を自動制御するオートパイロットや、指示された変速率に向けて変速するようにエンジン出力を自動制御する装置等を含む。自動操縦装置15は、船舶情報取得部11からの自船情報(現在の針路、速力、位置)と、航路設定部22からの予定航路情報とを受け、操船指示部23からの指示に応じて適宜、避航操船を行いながら、目標地点に向けて自律航行を行う。結果表示装置13は、ディスプレイ等であり、例えば、効用値算出部20による効用値の算出結果を表す3次元グラフ(避航操船空間の各位置毎の効用値)を表示する。
《避航支援装置の各部の詳細》
図2は、自船と他船が衝突し得る状況の一例を示す図である。図2の例では、自船OSは、北に向けて所定の速力で進行しており、他船TSは、西に向けて所定の速力で進行している。自船OSおよび他船TSがそのまま進行を続けると、所定の時間(最近接時間(Tcpa))後に衝突する可能性がある。この場合、他船TSを右側に見る自船OSに衝突回避義務が生じる。このような場合に、自船OSは、図1に示した避航支援装置10を用いて、少ないロスで衝突を回避するための避航操船方法を探索する。
図3は、図1の避航支援装置における選好度算出部の処理結果の一例を示す図である。図3において、横軸は、変針角[deg]であり、原針路を0[deg]として左変針60[deg]から右変針60[deg]までの範囲を示している。縦軸は、変速率[%]であり、原速力を100[%]として0[%]から100[%]までの範囲を示している。前述した避航操船空間は、この横軸および縦軸で示される空間であり、避航操船の選択肢を表す空間である。
一方、高さ軸は、選好度であり、“1.0”に近づくほど好ましさが増し、“0”に近づくほど好ましさが減ることを表す。通常、操船者は、他船や陸域等の障害物が存在しない場合、主観的に原針路と原速力を維持することを好み、針路や速力をできるだけ変化させないことを好む。図3に示される選好度Pb(Xi,j)は、このような操船者の主観を反映して、式(1)に示される演算式によって定められる。式(1)における各項は、式(2)および式(3)に示される指数関数によって定められる。図1の選好度算出部24は、変針角(Xi)と変速率(Xj)との組み合わせ毎に、式(1)の選好度Pb(Xi,j)を算出する。
Pb(Xi,j)=Pb(Xi,0)×Pb(X0,j) …(1)
Pb(Xi,0)=exp(−ac×ΔCo) …(2)
Pb(X0,j)=exp(−av×ΔV) …(3)
式(2)の変針選好度Pb(Xi,0)は、変速率を100[%]とした場合で、変針角を0[deg]から“ΔCo”変化させた場合の選好度を表す。一方、式(3)の変速選好度Pb(X0,j)は、変針角を0[deg]とした場合で、変速率を100[%]から“ΔV”変化させた場合の選好度を表す。式(2)および式(3)における“ac”および“av”は予め設定される係数であり、“ac”は、右変針時と左変針時で異なる値に設定されてもよい。
図4は、図1の避航支援装置における危険度算出部の処理内容の一例を説明する図であり、図5は、図4におけるバンパー領域を説明する補足図である。図6は、図1の避航支援装置における危険度算出部の処理結果の一例を示す図である。例えば、図2に示したようなケースにおいて、危険度算出部26は、図6に示されるような処理結果を生成する。図6において、横軸および縦軸は、図3の場合と同様の避航操船空間である。高さ軸は、衝突危険度であり、“1.0”に近づくほど危険が増し、“0”に近づくほど危険が減ることを表す。
危険度算出部26は、図6の避航操船空間の各位置毎に、図4に示されるような方式を用いて衝突危険度を算出する。図4には、自船OSと他船TSの相対関係が示される。自船OSは、絶対軸上の座標(Xo,Yo)に位置し、所定の針路へ速力Voで進行する。一方、他船TSは、絶対軸上の座標(Xt,Yt)に位置し、所定の針路へ速力Vtで進行する。
ここで、自船OSまたは他船TSの一方は基準船舶であり、他方は対象船舶である。基準船舶の位置は、相対軸上の原点に定められ、基準船舶の針路は、相対軸上のY軸に定められ、それに直交する軸は、相対軸上のX軸に定められる。この例では、基準船舶は他船TS、対象船舶は自船OSであるが、相対関係であるため、対象船舶が他船TS、基準船舶が自船OSであってもよい。
このような相対軸上で、対象船舶である自船OSは、速力Voのベクトルと速力Vtの逆ベクトルとの合成ベクトルで得られる相対針路43へ相対速力Vrで進行する。なお、自船OSの位置、針路、速力は、図1の船舶情報取得部11からの自船情報に、避航操船空間の位置に基づく変針角および変速率を反映させることで定められる。また、他船TSの位置、針路、速力は、図1の船舶情報取得部11からの他船情報に基づき、他船TSが当該針路および速力をそのまま維持するものとして定められる。
ここで、基準船舶である他船TSの周囲には、楕円状のバンパー領域(排他的領域)40が設定される。図5には、短径Aおよび長径Bを有する基準サイズのバンパー領域40aが示される。基準サイズは、自船OSの全長および速力、他船TSの全長および速力といった2隻の船舶の情報に基づいて定められる。なお、他船TSの位置は、バンパー領域40aの中心ではなく、船舶の交通ルール等を反映して中心から距離Cおよび距離Dだけ左下にシフトした位置に設定される。
このようなバンパー領域40(40a)を用いて、図4に示されるように、他船TSの位置からバンパー領域40の外周に向けて最大値から最小値に順次推移するようなリスク関数41,42が定義される。具体的には、リスク関数41は、Y軸(相対軸)用であり、他船TSの位置となるY軸(相対軸)の原点座標で最大値“1.0”となり、バンパー領域40の外周が位置するY軸(相対軸)の最大座標および最小座標で最小値(例えば“0”)となる。同様に、リスク関数42は、X軸(相対軸)用であり、X軸(相対軸)の原点座標で最大値“1.0”となり、バンパー領域40の外周が位置するX軸(相対軸)の最大座標および最小座標で最小値(例えば“0”)となる。
危険度算出部26は、自船OS(対象船舶)が将来的に通過するバンパー領域40内の位置に応じたリスク関数41,42の値を算出することで衝突危険度を算出する。具体的には、危険度算出部26は、自船OSが相対針路43上を進行した場合のY軸(相対軸)との交点座標に対応するリスク関数41の値をY軸衝突危険度Ryとして算出し、X軸(相対軸)との交点座標に対応するリスク関数42の値をX軸衝突危険度Rxとして算出する。
そして、危険度算出部26は、式(4)に示されるように、Y軸衝突危険度RyかX軸衝突危険度Rxの大きい方の値に所定の重み付けを行うことで衝突危険度R(Xi,j)を算出する。式(4)において、“Tcpa”は最近接時間であり、“Wtcpa”は予め設定された一定時間である。式(4)では、最近接時間(Tcpa)が短いほど、衝突危険度R(Xi,j)が高まるような重み付けがなされている。
R(Xi,j)=max(Rx,Ry)×(1−Tcpa/Wtcpa) …(4)
また、実際には、所定の範囲内に他船TSは1隻ではなく、q隻(qは2以上の整数)存在する場合がある。これに伴い、図6の避航操船空間の各位置毎に、対象となる他船TS(すなわち、最も影響が大きい他船TS)も異なり得る。そこで、実際には、式(4)の衝突危険度R(Xi,j)の代わりに、式(5)の衝突危険度Rk(Xi,j)が用いられる。式(5)の衝突危険度Rk(Xi,j)は、避航操船空間の各位置毎に、単数または複数の他船TSの中の最も影響が大きい他船TSに対する衝突危険度R(Xi,j)によって定められる。
図7は、図1の避航支援装置における効用値算出部の処理結果の一例を示す図である。図7において、横軸および縦軸は、図3の場合と同様の避航操船空間である。高さ軸は、効用値であり、“1.0”に近づくほど効果が増し、“0”に近づくほど効果が減ることを表す。効用値算出部20は、図7の避航操船空間の各位置毎に、式(6)に示されるように、式(1)の選好度Pb(Xi,j)から式(5)の衝突危険度Rk(Xi,j)を減算することで効用値u(Xi,j)を算出する。この際に、衝突危険度Rk(Xi,j)は、詳細には、所定の係数αで重み付けされる。
u(Xi,j)=Pb(Xi,j)−α×Rk(Xi,j) …(6)
このような演算に伴い、図7の効用値は、図3の選好度から図6の衝突危険度を減算することで得られる。最適な避航操船方法は、効用値u(Xi,j)が最大となる方法であり、図7の例では、速力を維持して、変針角18[deg]の右変針を行う方法となる。図1の操船指示部23は、この効用値が最大となる避航操船空間の位置に対応する変針角および変速率を最適な避航操船方法として自動操縦装置15へ指示する。
次に、図1の閉塞度算出部21の詳細な処理内容について説明する。閉塞度算出部21は、式(1)の選好度Pb(Xi,j)と式(5)の衝突危険度Rk(Xi,j)とを用いて、式(7)に基づき閉塞度BCを算出する。式(7)の閉塞度BCは、概略的には、避航操船空間の各位置で得られる衝突危険度Rk(Xi,j)の積算値に基づいて算出され、詳細には、衝突危険度Rk(Xi,j)を選好度Pb(Xi,j)で重み付けした結果の積算値に基づいて算出される。
図6の例では、他船TSが1隻であるため、避航操船空間の限られた範囲で衝突危険度が高まっている。ただし、他船TSの数が増えると、避航操船空間の広い範囲で衝突危険度が高まり、その積算値で得られる閉塞度BCも高まり得る。すなわち、閉塞度BCは、避航操船で採り得る選択肢の広さ(この選択肢の広さに伴う閉塞感の程度)を表すと共に、実質的に、海域の輻輳状況を表すことができる。なお、式(7)における選好度Pb(Xi,j)による重み付けは、より好まれる選択肢で衝突危険度が高まるほど閉塞度BCが高まるということを意味する。
《避航支援装置の概略動作》
図8は、図1の避航支援装置における主要部の概略的な処理内容の一例を示すフロー図である。避航支援装置10は、図8のフローを所定の制御サイクル毎に繰り返し実行する。図8において、避航支援装置10は、船舶情報取得部11から自船情報(針路、速力、位置)と、所定の範囲内に存在する他船情報(針路、速力、位置)とを取得する(ステップS101)。
次いで、避航支援装置10は、選好度算出部24に、式(1)に示した選好度Pb(Xi,j)を算出させる。また、避航支援装置10は、危険度算出部26に、図5に示した基準サイズのバンパー領域40aを用いて式(5)の衝突危険度Rk(Xi,j)を算出させる(ステップS102)。続いて、避航支援装置10は、閉塞度算出部21に、ステップS102で算出された選好度Pb(Xi,j)および衝突危険度Rk(Xi,j)に基づいて式(7)に示した閉塞度BCを算出させる(ステップS103)。
次いで、避航支援装置10は、バンパーサイズ設定部25に、ステップS103で算出された閉塞度BCに応じてバンパー領域40のサイズを可変設定させる(ステップS104)。具体的には、バンパーサイズ設定部25は、閉塞度BCが高いほど、バンパー領域40のサイズを小さく設定する。この際に、バンパーサイズ設定部25は、例えば、閉塞度BCに応じてリニアにバンパー領域40のサイズを可変設定してもよく、閉塞度BCの範囲に応じて階段状にバンパー領域40のサイズを可変設定してもよい。
続いて、避航支援装置10は、危険度算出部26に、ステップS104で設定されたサイズのバンパー領域40を用いて式(5)の衝突危険度Rk(Xi,j)を算出させる(ステップS105)。次いで、避航支援装置10は、効用値算出部20に、ステップS102で算出された選好度Pb(Xi,j)と、ステップS105で算出された衝突危険度Rk(Xi,j)を用いて式(6)に示した効用値u(Xi,j)を算出させる(ステップS106)。その後、避航支援装置10は、操船指示部23に、ステップS106で算出された効用値u(Xi,j)に基づく最適な避航方法(変針角および速力)を決定させる(ステップS107)。
図9および図10は、図1の避航支援装置におけるバンパーサイズ設定部によって設定されるバンパー領域の一例を示す図である。図9のバンパー領域40bは、高い閉塞度BCに伴い、図5に示した基準サイズのバンパー領域40aと比較して、径方向のサイズが1/3に設定される。一方、図10のバンパー領域40cは、低い閉塞度BCに伴い、図5に示した基準サイズのバンパー領域40aと比較して、径方向のサイズが1.5倍に設定される。
図11は、図9のバンパー領域を用いて算出された衝突危険度の一例を示す図であり、図12は、図11の衝突危険度に基づき算出された効用値の一例を示す図である。図9のようにバンパー領域40bのサイズが小さくなると、図4におけるリスク関数41,42の幅が狭まることから、図11に示されるように、衝突危険度が高くなる変針角の範囲も図6と比較して狭まる。その結果、効用値を決める選好度および衝突危険度の内、選好度の影響が相対的に高まり、図12に示されるように、効用値が最大となる変針角は、図7の場合と比較して、0[deg]側にシフトする。図12の例では、2[deg]となる。
図13は、図10のバンパー領域を用いて算出された衝突危険度の一例を示す図であり、図14は、図13の衝突危険度に基づき算出された効用値の一例を示す図である。図10のようにバンパー領域40cのサイズが大きくなると、図4におけるリスク関数41,42の幅が広がることから、図13に示されるように、衝突危険度が高くなる変針角の範囲も図6と比較して広がる。その結果、効用値を決める選好度および衝突危険度の内、衝突危険度の影響が相対的に高まり、図14に示されるように、効用値が最大となる変針角は、図7の場合と比較して、0[deg]から離れる側にシフトする。図14の例では、32[deg]となる。
《実施の形態の主要な効果》
図15は、図1の避航支援装置を用いて湾内を避航操船する際の避航ルートの一例を示す図である。図16は、図1の避航支援装置を用いて遠洋を避航操船する際の避航ルートの一例を示す図である。図15の湾内のように海域の輻輳度が高い状況では、閉塞値BCが高くなり、図9に示したようにバンパー領域40bのサイズは小さく設定される。この場合、図12のような効用値に基づき、図15に示されるように、変針角が小さい避航ルートが選択される。
一方、図16の遠洋のように海域の輻輳度が低い状況では、閉塞値BCが低くなり、図10に示したようにバンパー領域40cのサイズは大きく設定される。この場合、図14のような効用値に基づき、図16に示されるように、変針角が大きい避航ルートが選択される。このように、図1の避航支援装置10を用いると、遠洋で他船TS1に遭遇した際には他船TS1に対して十分な距離CPA2を保てるように避航操船を行い、湾内で他船TS1に遭遇した際には他船TS1に対して必要最小限の距離CPA1(<CPA2)を保てるように避航操船を行うことができる。
すなわち、例えば、遠洋であるにも関わらず、敢えて必要最小限の距離CPA1で他船TS1を回避するといった現実とは乖離する避航操船方法が選択される事態を防止することができる。また、湾内であるにも関わらず、敢えて、経済的損失の増大を招き得る(言い換えれば、遠洋に比べて予定航路からの逸脱率が相対的に大きくなり得る)十分な距離CPA2で他船TS1を回避するといった現実とは乖離する避航操船方法が選択される事態を防止することができる。その結果、海域の輻輳状況に応じた現実的な避航操船が実現可能になる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、前述した実施の形態では、非特許文献1,2に示される避航操船方式を前提として、閉塞度に応じてバンパー領域のサイズを可変設定したが、必ずしも、当該方式のみを前提とするものではなく、少なくとも、バンパー領域を設定して衝突危険度を算出するような方式であれば、同様に適用可能である。また、閉塞度は、必ずしも、式(7)に限定されるものではなく、自船が有する避航操船の選択肢が他船との関係でどの程度閉塞されるかを表す指数であればよい。さらに、選好度、衝突危険度、効用値、閉塞度を算出する各式は、必ずしも、前述した各式に限定されず、適宜、変更されてもよい。
10 避航支援装置
11 船舶情報取得部
13 結果表示装置
14 電子海図
15 自動操縦装置
20 効用値算出部
21 閉塞度算出部
22 航路設定部
23 操船指示部
24 選好度算出部
25 バンパーサイズ設定部
26 危険度算出部
30 AIS
31 レーダ
32 カメラ
35 方位センサ
36 速度センサ
37 GPS
40,40a〜40c バンパー領域
41,42 リスク関数
43 相対針路
OS 自船
TS 他船

Claims (7)

  1. 自船が避航操船を行った場合の他船に対する衝突危険度を、前記自船または前記他船の一方である基準船舶の周囲に設定される楕円状のバンパー領域を用いて算出する危険度算出部と、
    前記自船が有する前記避航操船の選択肢が前記他船との関係でどの程度閉塞されるかを表す閉塞度を算出する閉塞度算出部と、
    前記閉塞度算出部で算出された前記閉塞度に応じて、前記危険度算出部で用いる前記バンパー領域のサイズを可変設定するサイズ設定部と、
    を有する避航支援装置。
  2. 請求項1記載の避航支援装置において、
    前記サイズ設定部は、前記閉塞度が高いほど前記バンパー領域のサイズを小さく設定する、
    避航支援装置。
  3. 請求項1または2記載の避航支援装置において、
    前記危険度算出部は、前記基準船舶の位置から前記バンパー領域の外周に向けて最大値から最小値に順次推移するようなリスク関数を定義し、前記自船または前記他船の他方である対象船舶が将来的に通過する前記バンパー領域内の位置に応じた前記リスク関数の値を算出することで前記衝突危険度を算出する、
    避航支援装置。
  4. 請求項1記載の避航支援装置において、
    前記危険度算出部は、現状からの変針角の選択肢と変速率の選択肢とを組み合わせた空間を避航操船空間として、前記避航操船空間の各位置毎に、単数または複数の前記他船の中の最も影響が大きい前記他船に対する前記衝突危険度を算出し、
    前記閉塞度算出部は、前記避航操船空間の各位置で得られる前記衝突危険度の積算値に基づいて前記閉塞度を算出する、
    避航支援装置。
  5. 請求項4記載の避航支援装置において、さらに、
    前記避航操船空間の各位置毎に、当該各位置の選択に伴う操船者の主観的な好みを表す選好度を算出する選好度算出部と、
    前記避航操船空間の各位置毎に、前記選好度から前記衝突危険度を減算することで効用値を算出する効用値算出部と、
    を有し、
    前記閉塞度算出部は、前記避航操船空間の各位置毎に前記衝突危険度を前記選好度で重み付けし、当該重み付けした結果の積算値に基づいて前記閉塞度を算出する、
    避航支援装置。
  6. 請求項5記載の避航支援装置において、
    前記危険度算出部に、基準サイズの前記バンパー領域を用いて前記衝突危険度を算出させる第1の処理と、
    前記閉塞度算出部に、前記第1の処理で算出された前記衝突危険度に基づいて前記閉塞度を算出させる第2の処理と、
    前記サイズ設定部に、前記第2の処理で算出された前記閉塞度に応じて前記バンパー領域のサイズを可変設定させる第3の処理と、
    前記危険度算出部に、前記第3の処理で設定されたサイズの前記バンパー領域を用いて前記衝突危険度を算出させる第4の処理と、
    前記効用値算出部に、前記第4の処理で算出された前記衝突危険度を用いて前記効用値を算出させる第5の処理と、
    を実行する、
    避航支援装置。
  7. 請求項5記載の避航支援装置において、
    さらに、前記効用値が最大となる前記避航操船空間の位置に対応する前記変針角および前記変速率を避航操船方法として指示する操船指示部を有する、
    避航支援装置。
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