JP6750432B2 - 有機樹脂被覆めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は有機樹脂被覆めっき鋼板に関するものであり、より詳細には、プレス成形後に更なる塗装が施されずに、家電、建材、土木、機械、自動車、家具などの材料として使用されうる有機樹脂被覆めっき鋼板に関する。本発明の有機樹脂被覆めっき鋼板は、特に耐PM(プレッシャーマーク)と耐キズ付性に優れる。
家電用、建材用、自動車用などに、従来の成形加工後に塗装されていたポスト塗装製品に代わって、亜鉛系めっき鋼板の表層に有機樹脂皮膜を被覆した有機樹脂被覆めっき鋼板(プレコート鋼板とも呼ばれる)が使用されるようになってきた。この有機樹脂被覆めっき鋼板は、プレス加工された後、更なる塗装などが施されずに家電、建材、自動車等の材料として用いられる場合が多い。そのため、このような有機樹脂被覆めっき鋼板は、加工時に美麗さを失わないように、耐キズ付き性に優れていることが求められる。
例えば、特許文献1は、有機被膜中にビーズを含ませ、ビーズの粒径およびガラス転移点を特定することにより、プレス加工による被膜損傷の発生しにくい、すなわち耐キズ付き性に優れた有機被覆亜鉛系めっき鋼板を開示している。
また、特許文献2は、光ディスク等のドライブケース用のプレコート金属板であって、光ディスクに対する傷付け防止性に優れ、且つ導電性を有する、プレコート金属板を開示している。具体的には、特許文献2では、樹脂被膜の膜厚を限定することにより導電性を確保し、樹脂被膜中にビーズを含ませて耐キズ付け性を確保している。
特許文献3も、光ディスクに対する傷付け防止性を向上させたプレコート金属板として、ビーズを含むプレコート金属板を開示している。特許文献3では、ビーズの平均粒径や添加量、および樹脂の種類やガラス転移温度等を特定して、耐キズ付け性を向上させている。
特開第5644983号 特開2008−94085号公報 特開2008−161735号公報
特許文献1〜3で見られるように、耐キズ付き性に優れた有機樹脂被覆鋼板(プレコート鋼板)が開発されており、それらはキズを防止するために樹脂被膜中にビーズを含ませている。しかし、この耐キズ付性向上のため被膜中に添加しているビーズによって、プレッシャーマーク(PM)が発生するという問題を本発明者は見出した。
一般に、有機樹脂被覆鋼板は、有機樹脂被膜を被覆された後、コイル状に巻き取られる。コイル巻き取り時の圧力やコイル保管時に床面等から受ける圧力(コイルの自重による反作用)が高い場合に、樹脂被膜に含まれるビーズが変形して、外観むらが生じる。この外観不良がプレッシャーマークと呼ばれる。(図1参照)
なお、特許文献1〜3はいずれにおいても、プレッシャーマークを解決することについての記載または示唆はない。また、有機樹脂被覆めっき鋼板には、優れた加工密着性、耐食性、耐白化性も求められている。
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、耐キズ付性、美麗性、加工密着性、耐食性、耐白化性、および耐プレッシャーマーク性が向上した、新規かつ改良された有機樹脂被覆めっき鋼板を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、一方の面の亜鉛めっき層上に形成された有機樹脂被膜α、および他方の面の亜鉛めっき層上に形成された被膜βを含む有機樹脂被覆めっき鋼板であって、有機樹脂被膜αに、メラミン樹脂、ガラス転移温度0℃〜20℃のポリエステル樹脂、およびメラミン樹脂とポリエステル樹脂の架橋反応物が含まれるとともに、有機樹脂被膜αの質量を基準として1〜15質量%のビーズAが5〜1000個/mmの割合で分散され、有機樹脂被膜αに含まれるビーズはビーズAのみであり、有機樹脂被膜αの膜厚をt、ビーズAの平均粒径をφとしたとき、5μm≦t≦15μm、1.1×t≦φ≦10×tであり、有機樹脂被膜αと被膜βを面接触させ、10MPaで押圧したとき、ビーズAのみかけひずみが20%以下であることを特徴とする、有機樹脂被覆めっき鋼板が提供される。
ここで、ビーズAが、ガラス転移温度が−60℃〜50℃であるウレタン樹脂製ビーズであってもよい。
また、ビーズAのガラス転移温度が−40℃〜0℃であってもよい。
また、一方の面の亜鉛めっき層と有機樹脂被膜αとの間に形成された化成処理膜を含んでいてもよい。
また、被膜βの平均膜厚が0.5〜2.0μmであり、被膜βの表面の算術平均粗さRaが0.3〜2.0μmの範囲であってもよい。
また、有機樹脂被膜αが、3〜15質量%のカーボンブラック、1〜10質量%のカルシウム修飾シリカ、0.5〜5質量%のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
本発明によれば、耐キズ付性、美麗性、および耐プレッシャーマーク性が向上した有機樹脂被覆鋼板が提供される。さらに、驚くべきことに、PMの改善を通じて、他の点でも有利な効果を得ることが可能となった。具体的には、有機樹脂被覆鋼板をプレス等の加工における、加工性の向上(大きな加工でも白化を生じないこと、加工密着性に優れていること)、有機樹脂被覆鋼板の裏面に導電性をもたらすこと、有機樹脂被覆鋼板の耐食性の向上等の効果が得られる。つまり、耐キズ付性、美麗性、加工密着性、耐食性、耐白化性、および耐プレッシャーマーク性が向上した、新規かつ改良された有機樹脂被覆めっき鋼板が提供される。
プレッシャーマークの発生機構を説明する概念図である。 本実施形態に係る有機樹脂被覆めっき鋼板の断面図である。 みかけひずみの測定について説明する概念図である。
本実施形態に係る有機樹脂被覆めっき鋼板は、一方の面の亜鉛めっき層上に形成された有機樹脂被膜α、および他方の面の亜鉛めっき層上に形成された被膜βを含む有機樹脂被覆めっき鋼板であって、有機樹脂被膜αに、メラミン樹脂、ガラス転移温度0℃〜20℃のポリエステル樹脂、およびメラミン樹脂とポリエステル樹脂の架橋反応物が含まれるとともに、1〜15質量%のビーズAが5〜1000個/mmの割合で分散され、有機樹脂被膜αの膜厚をt、ビーズAの平均粒径をφとしたとき、5μm≦t≦15μm、1.1×t≦φ≦10×tであり、有機樹脂被膜αと被膜βを面接触させ、10MPaで押圧したとき、ビーズAのみかけひずみが20%以下であることを特徴とする。
本実施形態に係る有機樹脂被覆めっき鋼板は、図2に示すように、亜鉛めっき鋼板の一方の面の亜鉛めっき層上に有機樹脂被膜αが形成され、他方の面(αと反対の面)に、被膜βが形成される。
本実施形態に用いる亜鉛めっき鋼板の種類は、特に限定されない。亜鉛めっき鋼板は、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミ−亜鉛合金めっき鋼板、亜鉛−アルミ−マグネシウム合金めっき鋼板、亜鉛−バナジウム複合めっき鋼板等、一般に公知の亜鉛系めっき鋼板であればよい。
有機樹脂被膜αには、ビーズAが分散されており、ここで、有機樹脂被膜αの膜厚をt、前記ビーズAの平均粒径をφとしたとき、1.1×t≦φ≦10×tの条件を満たす。ビーズAの平均粒径φが、有機樹脂被膜αの膜厚より大きいので、常に有機樹脂被膜αからビーズAの少なくとも一部が露出または突出している。そのため、何らかの物質が本実施形態の有機樹脂被覆めっき鋼板に接触する場合、当該物質は、ビーズAの露出部(突出部)に接触しやすく、有機樹脂被膜αには接触しにくい。これにより、有機樹脂被膜αが損傷することが抑制される。すなわち、優れた耐キズ付性が得られる。ビーズAの平均粒径φが、有機樹脂被膜αの膜厚tの1.1倍未満であると、ビーズAの露出が十分でなく、優れた耐キズ付性が得られない。ビーズAの平均粒径φが、有機樹脂被膜αの膜厚の1.1倍よりも大きくなるほど、ビーズAの露出部が大きくなり、耐キズ付性は向上する。ただし、ビーズAの平均粒径φが大きくなりすぎると、ビーズAを密着させるための有機樹脂被膜αの量が相対的に低下し、樹脂αとビーズAとの密着性が十分ではなくなり、ビーズAが有機樹脂被膜αから脱落し、結果として優れた耐キズ付性が得られない場合がある。そのため、ビーズAの平均粒径φは、有機樹脂被膜αの膜厚tの10倍以下とする。
なお、有機樹脂被膜αの膜厚(平均膜厚)tは、以下の方法で算出される。すなわち、サンプル断面をFE−SEMで観察し、1万倍の視野中でビーズAのないところでの最大厚みを求め、任意に10視野観察して最大10点の平均(算術平均)を膜厚tとすればよい。以下の実施例では、本方法により膜厚tを測定した。
ビーズAの平均粒径φは、サンプル断面の顕微鏡観察と同一断面の研磨を繰り返す方法によって求めることができる。つまり、視野内で観察されるビーズAの粒径は、ビーズAの直径方向に垂直な断面の直径、すなわち断面径であると言える。したがって、ビーズAの断面径は、研磨を繰り返す毎に徐々に増大し、やがて最大値に達する。この最大値は、ビーズAの粒径に相当する。研磨をさらに続けると、断面径は減少する。そこで、ある視野において観察されるビーズAの粒径(断面径)を研磨のたびに測定し、最大の測定値をそのビーズAの粒径とする。任意に選ばれたビーズA20個の最大粒径の算術平均値を平均粒径φと定義する。ここで、最初の研磨で観察された粒径(断面径)が最大値となるビーズは、実際の粒径よりも小さい可能性があるため、平均値を求める際の対象から除外する。
観察方法および研磨方法としては特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、樹脂埋め込み研磨やミクロトーム加工などを用いることができる。特に高い精度でビーズAの平均粒径を求める場合は、研磨方法としてクライオFIB−SEM(Cryo Scanning Electronscopy combined with Focused Ion Beam)が好適である。試料温度を約−100℃とし、イオンビームで試料を加工するため、イオンビーム照射に伴う発熱による塗膜への損傷が少なく、サブナノメートル単位での研磨が可能であるため、小さいビーズであっても粒径を求めることができる。以下に説明する実施例では、クライオFIB−SEMを用いて平均粒径を算出した。
さらに、有機樹脂被膜αと被膜βが面接触させ、それらを10MPaで押圧した場合に、みかけひずみが20%以下となる。10MPaは、コイルの巻き取り張力から算出される、ビーズAを含む有機樹脂被膜αと裏面の被膜βとの最大接触面圧である。コイル保管時に床面等から受ける圧力(コイルの自重による反作用)は、コイルの自重にもよるが、通常10MPa以下である。プレッシャーマークは、樹脂被膜に含まれるビーズが圧力により変形することにより、生じる外観むらによるものであることを本発明者は知見し、10MPaで押圧した場合のビーズAのみかけひずみが20%以下であれば、プレッシャーマークが改善されることを見出した。すなわち、この特定のみかけひずみを備えたビーズAを用いることにより、優れた耐PM性が得られる。みかけひずみが20%を超えると、変形がおおきくなり、十分な耐PM性は得られない。なお、ビーズAのみかけひずみは、以下の方法で測定できる。すなわち、ビーズを含む有機樹脂被膜αと裏面の被膜βを接触させて、圧力10MPaで押圧し、押圧前と押圧終了後のビーズ露出部高さ(有機樹脂被膜αから露出している、ビーズAの高さ)を、レーザー顕微鏡(キーエンス社製/VK9710)で観察し、測定する。そして、ビーズのみかけひずみεを、図3に示すように、押圧前のビーズ露出部高さをh、押圧後のーズ露出部高さをhとして、数式ε=(h−h)/hにより算出する(図3参照)。以下で説明する実施例では、本方法によりみかけひずみを測定した。
ただし、本発明者が耐PM性に影響を与えるパラメータについてさらに検討を加えたところ、みかけひずみ以外のパラメータ(例えば、ビーズAの粒径と有機樹脂皮膜αとの比φ/t等)も耐PM性に影響を与えることが明らかとなった。
ビーズAは、有機樹脂被膜αに5〜1000個/mmの割合で分散していてもよい。優れた耐キズ付性を得るためには、ビーズAの分散率(分散割合)が高い方が好ましい。ビーズAの分散率が5個/mm未満では、有機樹脂被膜αに分散されるビーズAの量が少なく、十分な耐キズ付性が得られない。ビーズAの分散率が、高くなるほど、ビーズAの量が増えて、耐キズ付性は向上する。ただし、ビーズAの分散率が高くなりすぎると、ビーズAを密着させるための有機樹脂被膜αの量が相対的に低下し、樹脂αとビーズAとの密着性が十分ではなくなる。結果として、ビーズAが被膜αから脱落し、優れた耐キズ付性が得られない場合がある。そのため、ビーズAの分散率は、1000個/mm以下とする。
なお、ビーズAの分散率(分散割合)は、以下の方法で測定できる。すなわち、顕微鏡でサンプルの表面を観察し、1mmの視野中におけるビーズAの個数を測定し、測定値を分散率とする。なお視野の枠内に完全に収まっているビーズは1個、一部のみが視野の枠内に入っているビーズについては0.5個としてカウントする。なお、分散率の表示方法については、分散率の整数部分が1桁である場合は小数点以下を四捨五入し、分散率の整数部分が2桁または3桁である場合は1の位以下を四捨五入し、分散率の整数部分が4桁以上の場合は10の位以下を四捨五入してもよい。本実施形態におけるビーズAは、その平均粒径φが有機樹脂被膜αの厚みtの1.1倍よりも大きいため、サンプルの表面から突出している。したがって、表面からの観察により容易に計数することができる。以下で説明する実施例では、本方法によりビーズAの分散率を測定した。
また、所望のビーズAの分散率を得るために、有機樹脂被膜αの質量を基準として、ビーズAの質量が1〜15質量%、好ましくは上限を10質量%となるように調整してもよい。ビーズAの平均粒径、比重、有機樹脂被膜αの比重等によって、ビーズAの分散率は変化することを考慮して、適宜調整することにより、所望のビーズAの分散率を得ることができる。
ビーズAは、ガラス転移温度が−60℃〜50℃であるウレタン樹脂製ビーズであってもよい。ビーズAのガラス転移温度は、好ましくは−40℃〜0℃である。ビーズAのガラス転移温度(以降Tgと称すことがある)がこれらの範囲内の値となる場合に、優れた耐キズ付性と耐PM性が得られる。
ビーズAのガラス転移温度が−60℃未満となる場合、ビーズAが非常に柔らかくなり、十分な耐キズ付性および耐PM性が得られない場合がある。またビーズA自身の耐溶剤性が劣化し、塗料中の有機溶剤によるビーズAの膨潤が起こり易くなる。この場合、経時により塗料の貯蔵安定性が不十分となる場合がある。耐キズ付性および塗料の経時安定性を高めるために、ビーズAのガラス転移温度を−40℃以上としてもよい。一方、ガラス転移温度が高くなるにつれて、ビーズは硬くなり、弾性が低下しやすい。ビーズの押圧によるひずみは、加温や経時により解消することがあるが、ガラス転移温度が50℃超になると、優れた耐PMが得られない場合がある。耐PM性を高めるために、ビーズAのガラス転移温度を0℃以下としてもよい。
ウレタン樹脂ビーズとしては、ジイソシアネートとグリコールとの重付加反応により得られるもの、脱塩酸剤の存在下でジアミンにグリコールのビスクロルギ酸エステルを作用させて得られるもの、ジアミンと炭酸エチレンとの反応により得られるもの、ω−アミノアルコールをクロルギ酸エステル又はカルバミン酸エステルに変えこれを縮合させて得られるもの、ビスウレタンとジアミンとの反応により得られるものが用いられる。ジイソシアネートとグリコールとの重付加反応により得られるものが多く用いられ、ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(2,4−及び2,6−の混合物)が多く用いられ、水酸基を有する化合物としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコールのようなエーテル系と、アジピン酸とエチレングリコールを縮合させたポリエステル系のものが多く用いられる。
このようなウレタン樹脂として、例えば、根上工業社製の「アートパール」(根上工業社の登録商標)、三洋化成社製のメルテックス(登録商標)、大日精化社製のダイミックビーズ(登録商標)、等の市販品を好適に用いることができる。ビーズAのガラス転移点が上述した範囲内の値となる場合、みかけひずみが20%以下となり、ひいては、耐PM性が改善する。なお、本発明者がビーズAのガラス転移点とみかけひずみとの相関について詳細に検討したところ、ガラス転移点はみかけひずみに影響を与えるが、他のパラメータ(例えば、ビーズAの平均粒径、有機樹脂被膜αの膜厚t、およびこれらの比比φ/t)によってもみかけひずみが変動することが明らかとなった。
有機樹脂被膜αは、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびそれらの架橋反応物を含んだものであってもよい。すなわち、有機樹脂被膜αは、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを架橋反応させたものであってもよい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が0℃〜20℃であってもよい。ガラス転移点が0℃未満である場合、有機樹脂被膜αが非常に柔らかくなる。このため、たとえビーズAを有機樹脂被膜αに分散していても、有機被覆めっき鋼板のプレス加工時に有機樹脂被膜αに疵が入り易すくなる恐れがある。すなわち、優れた耐キズ付性が得られない場合がある。一方、ガラス転移点が20℃超となる場合、有機樹脂被膜αが非常に硬くなる。この結果、有機被覆めっき鋼板のプレス加工時に有機樹脂被膜αに白化が生じる恐れがある。白化とは、有機樹脂被膜αに亀裂が生じて下地の亜鉛めっき層が透けて白く見える現象である。ガラス転移温度を0℃〜20℃にすることにより、架橋反応後の有機樹脂被膜αが適度に柔らかくなるので、有機樹脂被膜αの耐キズ付性と白化性を両立することができる。また、コイルとして巻き取った場合に、向かい合った有機樹脂被膜αと裏面の被膜βが接触して、巻き取り時のコイル温度によって熱融着するブロッキング現象を生じにくくすることができる。
有機樹脂被膜αの膜厚tが5〜15μmであってもよい。有機樹脂被膜αの膜厚が5μm未満であると、耐食性が不十分となる場合があり、また得られる有機被覆めっき鋼板において所望する美麗性(黒色度)が得られない場合がある。そのため、有機樹脂被膜αの膜厚の下限を5μmとしてもよい。また、膜厚は5μm以上であれば、特に上限を設けなくてもよいが、15μm超となる場合、塗料の乾燥硬化過程で発生する突沸跡による外観不良(このような外観不良は「わき外観」、「わき」、あるいは「ボイリング」とも呼ばれる)が発生することがある。そのため、膜厚の上限を15μmとしてもよい。有機樹脂被膜αの膜厚がこの範囲内5〜15μmとなる場合には、優れた耐食性、所望する美麗性(黒色度)を得て、突沸跡による外観不良も回避することができる。
有機樹脂被膜αの主樹脂となるポリエステル樹脂は、例えば、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び変成アルキド樹脂等が用いられる。アルキド樹脂は、無水フタル酸などの多塩基酸とグリセリンなどの多価アルコールとの縮合物を骨格とし、これを脂肪酸の油脂で変性したものである。用いる油脂の種類と含有量によって、短油性アルキド樹脂、中油性アルキド樹脂、長油性アルキド樹脂及び超長油性アルキド樹脂に分類される。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和多塩基酸又は飽和多塩基酸とグリコール類をエステル化することによって合成される。多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びアジピン酸が用いられ、グリコール類としては、プロピレングリコールが多く用いられる。変成アルキド樹脂としては、天然樹脂、フェノール樹脂又はスチレンなどの重合性モノマーで変成されたものが用いられる。一般に公知のポリエステル樹脂であればよい。
このようなポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡社製の「バイロンTM」(東洋紡社の登録商標)や、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」(住化バイエルウレタン社の登録商標)等の市販品を用いて、前記のガラス転移温度を満たすことが可能である。
メラミン樹脂は硬化剤としてはたらき、ポリエステル樹脂との架橋度は調整することが可能である。これにより有機樹脂被膜αの硬度を、柔らかすぎず、硬すぎない適当な範囲に調整することが可能である。架橋度が低く有機樹脂被膜αが柔らかすぎると、たとえビーズAを有機樹脂被膜αに分散していても、有機被覆めっき鋼板のプレス加工時に有機樹脂被膜αに疵が入り易すくなる恐れがある。一方、有機樹脂被膜αが非常に硬すぎると、有機被覆めっき鋼板のプレス加工時に、有機樹脂被膜αに亀裂が生じて下地の亜鉛めっき層が透けて白く見える現象、すなわち白化が生じる恐れがある。またメラミン樹脂は、有機溶剤に溶解させることによる塗料化が容易であるだけではなく、常温では塗料寿命が長寿命でありながら、熱を加えると短時間で容易に架橋反応が進み、ビーズAの分散性も良好であり、さらには優れた塗装性をも有するため、めっき鋼板表面への塗料の塗布が容易となる。
メラミン樹脂は一般に公知のメラミン樹脂であればよい。例えば、完全アルキル型メチル化メラミン、イミノ基型メチル化メラミン、メチロール化メラミン、メチロール基型メチル化メラミン、完全アルキル型混合エーテル化メラミン、メチロール基型混合エーテル化メラミン、イミノ基型混合エーテル化メラミン等のメラミン樹脂等が挙げられる。より具体的な例としては、市販のもの、例えば、CYTEC社製のアミノ系樹脂「CYMELTMシリーズ」や「MYCOATTMシリーズ」、三井化学社製のアミノ系樹脂「ユーバンTMシリーズ」、DIC社製の「スーパーベッカミンTMシリーズ」などが挙げられる。
有機樹脂被膜αは、有機樹脂皮膜αの質量を基準として、3〜15質量%のカーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックは、有機樹脂被膜αの黒色顔料としてはたらき、所望する美麗性(黒色度)を実現することができる。カーボンブラック濃度が3質量%未満では、十分な黒色度が得られないことがある。カーボンブラック濃度が高いと意匠性は向上する。ただし、カーボンブラック濃度が15質量%を超えると、耐食性や耐薬品性が低下する傾向にあるので、カーボンブラック濃度を15質量%未満とすることが好ましい。質量%は、カーボンブラックに加え、他の構成要素を含めた有機樹脂被膜αの合計質量を基準とする。黒色顔料としてはカーボンブラックが好ましいが、他の着色顔料を併用してもよい。カーボンブラックは、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等、公知のカーボンブラックを使用することができる。また、公知のオゾン処理、プラズマ処理、液相酸化処理されたカーボンブラックも使用することができる。使用するカーボンブラックの粒子径は塗料中での分散性や塗膜品質、塗装性に問題が無い範囲であれば特に制約は無く、具体的には一次粒子径で10〜120nmのものの使用が可能である。薄膜での意匠性(着色性、隠蔽性)や耐食性を考慮すると、一次粒子径が10〜50nmの微粒子カーボンブラックを使用することが好ましい。これらのカーボンブラックは塗料中に分散する過程で凝集が起こるため、一次粒子径のまま分散することは一般的に難しい。すなわち、実際には一次粒子径よりも大きな粒子径を持った二次粒子の形態で塗料中では存在し、該塗料から形成する前記黒色塗膜中でも同様の形態で存在する。
有機樹脂被膜αは、有機樹脂皮膜αの質量を基準として、1〜10質量%のカルシウム修飾シリカを含んでもよい。カルシウム修飾シリカは、有機樹脂被膜αの防錆顔料としてはたらき、美麗性を長期にわたって実現することができる。さらに、カルシウム修飾シリカは、それ自体が硬質であるので、有機樹脂被膜αの硬度を高めて、耐キズ付性を向上する。カルシウム修飾シリカが1質量%未満では、十分に防錆性や耐キズ付性を向上しないことがある。カルシウム修飾シリカ濃度が高いと防錆性や耐キズ付性は向上する。ただし、カルシウム修飾シリカが10質量%を超えると、有機樹脂被膜αの他の構成成分比が相対的に低下し、十分な性能が得られないことがあるので、カルシウム修飾シリカ濃度を10質量%未満とすることが好ましい。質量%は、カルシウム修飾シリカに加え、他の構成要素を含めた有機樹脂被膜αの合計質量を基準とする。
有機樹脂被膜αは、有機樹脂皮膜αの質量を基準として、0.5〜5質量%のエポキシ樹脂を含んでもよい。エポキシ樹脂は、有機樹脂被膜αとめっき鋼板との密着性を高め、樹脂被覆めっき鋼板を加工した際に有機樹脂被膜αの剥離を抑制することができる。さらに、有機樹脂被膜αとビーズAとの密着性も向上し、優れた耐キズ付性、耐PM性の向上にも寄与する。エポキシ樹脂が0.5質量%未満では、十分に密着性が向上しないことがある。エポキシ樹脂濃度が高いと密着性は向上する。ただし、エポキシ樹脂濃度が5質量%を超えると、有機樹脂被膜αの他の構成成分比が相対的に低下し、十分な性能が得られないことがあるので、エポキシ樹脂濃度を5質量%未満とすることが好ましい。質量%は、エポキシ樹脂に加え、他の構成要素を含めた有機樹脂被膜αの合計質量を基準とする。エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などを用いることができる。
亜鉛めっき層と有機樹脂被膜αとの間に、化成処理膜が形成されていてもよい。これにより、有機樹脂被膜αの亜鉛めっき層との密着性が向上するので、有機被覆めっき鋼板のプレス成形時に有機樹脂被膜αが剥離しにくくなる。
化成処理の種類は特に制限されない。本実施形態で実施可能な化成処理の例としては、一般に公知の亜鉛系めっき鋼板用化成処理が挙げられる。本実施形態の化成処理は、リン酸亜鉛系化成処理、塗布クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理、クロメートフリー系化成処理等であってもよい。クロメートフリー系化成処理としては、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物、タンニン又はタンニン酸、樹脂、シリカ等を含む水溶液で亜鉛系めっき層を処理する方法等が知られている。本実施形態の化成処理は、特開昭53−9238号公報、特開平9−241576号公報、特開2001−89868号公報、特開2001−316845号公報、特開2002−60959号公報、特開2002−38280号公報、特開2002−266081号公報、特開2003−253464号公報等に記載されている公知の化成処理であってもよい。これらの化成処理を行うための処理液としては、市販の化成処理液、例えば、日本パーカライジング社製のクロメート処理液「ZM−1300AN」、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理液「CT−E300N」、日本ペイント・サーフケミカルズ社製の3価クロム系化成処理液「サーフコート(R) NRC1000」等が挙げられる。
被膜βの平均膜厚は、0.5〜2.0μmであってもよい。被膜βは、有機樹脂被膜αの反対面(裏面)に存する被膜である。被膜βの平均膜厚を0.5μm未満とすると、裏面の耐食性が十分でない場合がある。被膜βの平均膜厚を厚くするほど、耐食性は向上するが、2.0μmを超えると、導電性が低下する。本実施形態の有機樹脂被覆めっき鋼板は、家電、建材、土木、機械、自動車、家具などの材料として使用され、その際に導電性が求められることが多い。被膜βの平均膜厚は、0.5〜2.0μmであれば、十分な耐食性および導電性を実現することが可能である。なお、被膜βの平均膜厚は、有機樹脂被膜αの平均膜厚tの測定と同様のやり方で測定することができる。すなわち、サンプル断面をFE−SEMで観察し、1万倍の視野中で被膜βの最大膜厚を求め、任意に10視野観察して最大10点の平均(算術平均)を被膜βの平均膜厚とすればよい。以下の実施例では、本方法により被膜βの平均膜厚を測定した。導電率は、ロレスター4端針を用い、20点で測定を行えばよい。以下の実施例では、本方法により被膜βの導電率を測定した。かかる導電性試験において、所定の抵抗値以下となる結果が20点当たり何点得られるかを集計してもよい。すなわち、20点すべてで所定の抵抗値以下であれば、導電率100%(20/20)と評価され、10点で所定の抵抗値以下であれば、導電率50%(10/20)評価される。
被膜βの表面の算術平均粗さRaを0.3〜2.0μmの範囲としてもよい。算術平均粗さRaが0.3μm未満であると、十分な導電率が得られないことがある。粗さRaを大きくするにつれて導電率が向上するが、粗さRaが2.0μmを超えると、耐食性が低下する。被膜β
の表面の算術平均粗さRaを0.3〜2.0μmの範囲とすることにより、十分な導電率および耐食性を得ることができる。なお、算術平均粗さRaは、JIS B0601:2001に基づいて求めればよい。以下の実施例では、本方法により算術平均粗さRaを測定した。
以下、実施例を用いて、本実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定して解釈されるべきものではない。
表1〜3に示す種々の条件で、Znめっき鋼板に、ビーズAを分散させた有機樹脂被膜α、被膜βを形成した。得られた有機樹脂被覆めっき鋼板を用いて、各性能について測定し、評価を行った。
Figure 0006750432
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各性能の測定内容は以下のとおりである。
(プレッシャーマーク性)
オモテ面である有機樹脂被膜α面と、ウラ面である被膜βを接触させ、所定の圧力および温度でホットプレスを1時間(加圧時間)行い、試験後の外観を目視観察した。
<評価基準>
◎:斜めから透かしてもPMが全く見えない。
○:斜めから透かしてPMが極僅かに見える。
○△:斜めからPMがはっきり見える。
△:正面から観察して僅かに見える。
×:正面からPMがはっきり見える。
(耐キズ付性)
各供試材を電気亜鉛めっき鋼板(無処理材)と密着させ、加圧した状態で供試材を90°回転させた。加圧は0.5kg/cmとし、試験温度は25℃とした。その後、供試材の外観を目視で評価した。
<評価基準>
○:キズが全く見えない
○△:細かいキズはあるが、素地の露出なし
△:素地が僅かに露出(露出面積:9%未満)
×:素地が露出(露出面積:9%以上)
(裏面導電率)
ロレスター4端針を用い、20点で導電率の測定を行った。
<評価基準>
かかる導電性試験において、抵抗値が1mΩ以下となる結果が20点当たり何点得られるかを集計した。20点すべてで所定の抵抗値以下であれば、導電率100%(20/20)と評価され、10点で所定の抵抗値以下であれば、導電率50%(10/20)評価される。
(加工密着性)
0T曲げ(180°折り曲げ)加工を施し、折り曲げ部外側をテープ剥離したのち、テープ側への塗膜付着状況を観察し、下記の評価基準で評価した。かかる密着性試験において、評点が○△以上の場合、密着性に優れ、△以上は許容できると判断した。
<評価基準>
○:テープ側に塗膜付着無し
○△:テープ側に数点の塗膜剥離ある状態で、鋼板側の剥離が、数%未満
△:テープ側に数点の塗膜剥離ある状態で、鋼板側の剥離が、9%未満
×:テープ側に塗膜剥離あり、鋼板側の剥離が、9%以上
(塗料の経時安定性)
塗料を作製後、温度40℃で1ヶ月間経時劣化させた。経時劣化した塗料を用いて鋼板上に塗布し、焼付硬化後の塗板を目視および30倍ルーペで観察した。
<評価基準>
○:塗料中に固形物なし
○△:塗料中に小さな固形物があるが目視では見えない
△:塗料中に固形物があり、目視で見える
×:塗料中が固化し塗布できない
(黒色度)
光沢測定装置(商品名:Uni
Gloss 60Plus (コニカミノルタ社製))を用いて、試験片の60度光沢値を測定した。また、色彩色差計CR−400(コニカミノルタ社製)を用いて、試験片のL*値を測定した。
<評価基準>
60度光沢値の基準として、従来製品の9.2を用い、L*値の基準として、従来製品の27を用いた。これらの従来品の基準値を満たしたものを○とし、満たさなかったものを×とした。どちらか一方のみを満足する場合を△とした。
(耐食性(オモテ))
試験片のオモテ側である有機樹脂被膜αについて、その中央部でエリクセン試験機(JIS Z 2247のA寸法に準拠)にて6mm押し出し加工したのち、端面をテープシールしてJIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験(SST)を120時間行い、押し出し加工を施した部分の各々の試験時間後における錆発生状況を観察し、下記の評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:白錆発生面積が1%未満
○:白錆発生面積が1%以上、5%未満
○△:白錆発生面積が5%以上、10%未満
△:白錆発生面積が10%以上、30%未満
×:白錆発生面積が30%以上
(耐食性(ウラ))
試験片のウラ側である被膜βについて、有機樹脂被膜αと同様の耐食性評価を行った。
(加工部白化)
試験片が破断するまでエリクセン加工を行い、白化程度を目視にて評価した。
<評価基準>
○:白化なし
○△:破断部近傍のみ白化が認められる。
△:破断部以外の場所にも白化が認められる。
×:白化が全面に発生
(外観)
有機樹脂被膜αについて、外観の良否を目視にて評価した。
<評価基準>
○:わき外観なし
×:わき外観あり
(総合評価)
評価された各性能において、最も成績の悪い結果を反映させて総合評価とした。
<評価基準>
○:合格(優秀)
○△:合格(良好)
△:合格(可)
×:不合格
#1の条件を基準として、特定事項の条件(数値)を、本実施形態の好ましい範囲の内外で様々に変化させた場合の、性能項目への影響をみた。#2〜#5、#33〜42および#47では、ビーズAの平均粒径(φ)、有機樹脂被膜αの厚み(t)およびφ/tのいずれかを変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、耐プレッシャーマーク性、耐キズ付性、加工密着性、黒色度、耐食性(オモテ)、および外観のいずれかが劣っていた。
#6〜#8では、ビーズAのみかけひずみを変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、耐プレッシャーマーク性が劣っていた。#9〜#12、#33〜37では、ビーズAの分散割合を変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、耐キズ付性または加工密着性が劣っていた。#13〜#18では、ビーズAのガラス転移温度(Tg)を変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、耐キズ付性、塗料の経時的安定性または耐プレッシャーマーク性が劣っていた。#19〜#23では、有機樹脂被膜αへの添加剤を変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、加工密着性、黒色度、または耐食性(オモテ・ウラ)が劣っていた。
#24は、化成処理を行っておらず、化成処理を行っているものに比べて、加工密着性が許容範囲であるがやや劣っていた。#25〜#32では、被膜βの膜厚、表面粗度を変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、導電性または耐食性(ウラ)が劣っていた。
#43〜#46では、有機樹脂被膜αに含まれるポリエステルのガラス転移温度を変化させており、本実施形態の好ましい範囲外では、耐キズ付性および加工部白化が劣っていた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (6)

  1. 一方の面の亜鉛めっき層上に形成された有機樹脂被膜α、および他方の面の亜鉛めっき層上に形成された被膜βを含む有機樹脂被覆めっき鋼板であって、
    前記有機樹脂被膜αに、メラミン樹脂、ガラス転移温度0℃〜20℃のポリエステル樹脂、および前記メラミン樹脂と前記ポリエステル樹脂の架橋反応物が含まれるとともに、前記有機樹脂被膜αの質量を基準として1〜15質量%のビーズAが5〜1000個/mmの割合で分散され、
    前記有機樹脂被膜αに含まれるビーズは前記ビーズAのみであり、
    前記有機樹脂被膜αの膜厚をt、前記ビーズAの平均粒径をφとしたとき、5μm≦t≦15μm、1.1×t≦φ≦10×tであり、
    前記有機樹脂被膜αと前記被膜βを面接触させ、10MPaで押圧したとき、前記ビーズAのみかけひずみが20%以下であることを特徴とする、有機樹脂被覆めっき鋼板。
  2. 前記ビーズAが、ガラス転移温度が−60℃〜50℃であるウレタン樹脂製ビーズであることを特徴とする、請求項1に記載の有機樹脂被覆めっき鋼板。
  3. 前記ビーズAのガラス転移温度が−40℃〜0℃であることを特徴とする、請求項2に記載の有機樹脂被覆めっき鋼板。
  4. 前記一方の面の亜鉛めっき層と前記有機樹脂被膜αとの間に形成された化成処理膜を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機樹脂被覆めっき鋼板。
  5. 前記被膜βの平均膜厚が0.5〜2.0μmであり、前記被膜βの表面の算術平均粗さRaが0.3〜2.0μmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機樹脂被覆めっき鋼板。
  6. 前記有機樹脂被膜αが、3〜15質量%のカーボンブラック、1〜10質量%のカルシウム修飾シリカ、0.5〜5質量%のエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機樹脂被覆めっき鋼板。
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