JP6744065B2 - 工業用油の劣化評価方法及び工業用油の劣化評価システム - Google Patents

工業用油の劣化評価方法及び工業用油の劣化評価システム Download PDF

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Description

本発明は、各種の機械設備で使用される工業用油の劣化を評価するのに有用な工業用油の劣化評価方法及び工業用油の劣化評価システムに関する。
従来、各種の機械設備では、動力伝達媒体、潤滑剤、防錆や冷却等の目的のため、様々な工業用油が使用されている。例えば、火力プラントでは、耐火性、潤滑性、酸化安定性及び応答性に優れる油圧作動油としてリン酸エステルが広く利用されている。一方、この種の工業用油は、使用に伴って徐々に劣化し、また、使用時に混入する水分や塵埃等が劣化を促進する場合もある。工業用油が劣化すると、金属磨耗の過大な増大等、種々の機械トラブルを誘発する。機械トラブルを未然に防ぐには、使用中の工業用油の劣化状態を評価することが有力な手段となる。従って、工業用油の劣化評価方法は、機械設備の安定した稼働、生産性や経済性の向上につながる重要な要素となる。
工業用油の劣化状態を評価する手段としては、例えば、外表面をイオン液体膜で被覆した特定構造のpHセンサを用い、潤滑油の全酸価(油の劣化指標)を直接に測定する手法がある(特許文献1参照)。また、例えば、特定構造の限外ろ過膜に特定の指示薬を保持させ、当該限外ろ過膜上での中和反応に基づいて潤滑油の塩基価を測定する手法がある(特許文献2参照)。
また、例えば、光学フィルターを発光部と測定試料(作動油)の間に配置し、一つの発光部及び受光部で複数の波長の吸光度を測定する特定構造の装置を用いる手法がある(特許文献3参照)。また、例えば、潤滑油を透過した可視光を3原色に分け、各々の吸光度を検出する特定構造のモニター装置を用いる手法がある(特許文献4参照)。
特開2014−163709号公報 特開2012−52903号公報 特開平10−104223号公報 特開平06−34541号公報
しかしながら、特許文献1〜4の何れの手法も、高額あるいは特別な装置、高度な技術、長期間を要することが多く、劣化評価の頻度が限定されてしまう問題があった。
一方、火力プラント等の機械設備の現場では、高い稼働率や高負荷条件での運転が要求される機会が多い。このため、現場で工業用油の劣化を早期発見可能な簡易、迅速、安価な評価手法が望まれていた。尚、これらの課題は、火力プラントだけでなく、工業用油を使用する他の機械設備を用いる現場においても同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、簡易、安価、迅速に工業用油の劣化状態を評価することができる工業用油の劣化評価方法及び工業用油の劣化評価システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、機械設備で使用される工業用油を分取する第1工程と、変色域の一部又は全部が予め設定したpH危険値よりも大きい指示薬を前記工業用油に混合する第2工程と、前記指示薬の変色の程度を判定して、前記工業用油の劣化状態が、前記pH危険値に対応する危険状態に近づいている度合いを評価する評価工程(第3工程)とを有することを特徴とする工業用油の劣化評価方法にある。そして、前記評価工程(第3工程)では、前記指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を目視によって判定することが好ましい。
本態様は、工業用油の劣化に伴って酸性物質が生じる、という知見を基礎とし、その酸性物質が親水性であることに着目している。酸性物質は、指示薬の示すpH変化に寄与する。ゆえに、酸性物質の濃度が高くなるにつれ(工業用油の劣化が進行するにつれ)、指示薬の示すpHが低下する。
従って、本態様によれば、工業用油の劣化に伴って酸性物質の濃度が上昇し、これによりpHが低下した場合、その低下したpHと、変色域と、に応じて、目視判定が可能な程度に指示薬が変色する。よって、指示薬の変色の程度を目視によって判定することにより、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを簡易、安価、迅速に評価できる。
尚、本態様によれば、簡単な操作、かつ少サンプルで実現できる上、短時間で評価結果が得られるので、現場で工業用油の劣化を早期発見することが可能になる。従って、工業用油を交換する、より高度な評価・分析を行う等の対策を適時に行うことが容易になり、その結果、機械設備の運転効率の向上が図られる。
ここで、前記評価工程では、前記指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を目視によって判定することが好ましい。
これによれば、酸性色又は塩基性色の濃淡を目視によって判定することにより、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを簡易、安価、迅速に評価できる。
また、前記指示薬が前記pH危険値又はその近傍にある場合の色見本を準備し、前記評価工程では、前記指示薬の色調と、前記色見本の色調と、を目視によって対比することで、前記指示薬の変色の程度を判定することが好ましい。
これによれば、色見本の色調を基準として、指示薬の変色の程度を正確に判定できる。従って、簡易、迅速、安価、それでいて正確に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。
また、前記指示薬を混合した前記工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータと、予め設定した閾値との差に基づいて、前記工業用油の劣化状態を定量的に評価する第4工程を更に有することが好ましい。
これによれば、指示薬の変色の程度を目視によって一応は判定可能であるものの、より詳細な判定結果を希望する状況において、工業用油の劣化状態を数値化して評価できる。また、分光光度計での測定は比較的容易であり、他の高度な評価・分析に比べて簡易、迅速、安価である。従って、簡易、迅速、安価、しかも定量的に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。
尚、指示薬を混合した工業用油に非プロトン性極性溶媒及びアルコール類を混合すれば、色調が均一な溶液を得ることができるため、より正確に分光光度計による測定を実施できる。また、分光光度計による測定は、例えば、透過光を得て吸光度や透過率を測定したり、反射光を得て、反射率を測定したりすることができる。
また、前記第4工程では、前記分光光度計による測定を、予め設定した波長領域で実施することが好ましい。
これによれば、分光光度計による測定値の差が大きい波長範囲を狙って測定を実施できるため、第4工程を更に短時間化・簡略化することができる。
また、前記評価工程(第3工程)は、前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータに基づいて色を数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価する第5工程を含むことが好ましい。
また、前記評価工程(第3工程)は、前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油の画像データを取得し、数値が標準化されたカラーチェッカーと対比して画像データを数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価する第6工程を含むことが好ましい。
これらによれば、目視の評価に加え、分光光度計で得られた測定値(例えば、吸光度や透過率、反射率)、もしくは、画像データを数値化することができる。
また、前記前記評価工程(第3工程)は、前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータに基づいて色を数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価することが好ましい。
また、前記評価工程(第3工程)は、前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油の画像データを取得し、数値が標準化されたカラーチェッカーと対比して画像データを数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価することが好ましい。
これらによれば、目視の評価に代えて、分光光度計で得られた測定値(例えば、吸光度や透過率、反射率)、もしくは、画像データを数値化することで、工業用油の劣化の度合いを評価することができる。
また、前記第2工程では、前記指示薬として、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルの少なくとも一種を用いることが好ましい。
これらの指示薬を用いれば、リン酸エステルを評価対象としたときにpH危険値として設定されやすいpH範囲よりも前段階で、比較的明確な変色が得られる。従って、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルの少なくとも一種は、油圧作動油として広く利用されているリン酸エステルを評価するのに好適な指示薬である。
メチルレッド及びブロモクレゾールパープルは、変色域の少なくとも一部が互いに異なる。このため、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルを併用することもできる。これによれば、複数の指標に基づいて、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを簡易、安価、迅速に評価できる。
また、前記指示薬を混合した前記工業用油に、更に非プロトン性極性溶媒及びアルコール類を混合することが好ましい。
これによれば、親水性の酸性物質と、疎水性の油と、を馴染ませ、色調が均一な溶液を得ることができる。従って、指示薬の変色の程度を目視するのが容易になる。
上記課題を解決する本発明の他の態様は、機械設備で使用される工業用油を分取する分取ラインと、前記分取ラインで分取した前記工業用油の劣化状態を、上記態様のいずれかに記載の工業用油の劣化評価方法により評価する評価制御手段と、を具備することを特徴とする工業用油の劣化評価システムにある。
かかる態様によれば、上記の第4工程を自動化でき、第4工程の短時間化・簡略化を更に図ることができるとともに、更に正確に工業用油の劣化状態を評価できる。
本発明によれば、簡易、安価、迅速に工業用油の劣化状態を評価できる。
実施形態1に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示す工程図。 工業用油中の酸性物質の様子を説明する模式図である。 実施形態1に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示すタイムチャート図。 酸性物質が生じている工業用油に指示薬を混合したときの色調を示す図。 実施形態2に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示す工程図。 実施形態2に係る工業用油の劣化評価方法での吸光度の測定結果を示す図。 実施形態2に係る工業用油の劣化評価方法での吸光度の測定結果を示す図。 実施形態2に係る工業用油の劣化評価システムの例を示す工程図。 実施形態3に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示すタイムチャート図。 実施形態4に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示すタイムチャート図。 実施形態5に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示すタイムチャート図。 実施形態6に係る工業用油の劣化評価方法の一例を示すタイムチャート図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る工業用油の劣化評価方法(以下、単に「劣化評価方法」と称することがある。)の一例を示す工程図である。図1には、以下に説明する第1工程、第2工程及び評価工程が示されている。
第1工程では、機械設備で使用される工業用油を分取する。第1工程で分取した工業用油が、劣化評価の対象となる。
図1の例では、火力プラントで使用される油圧作動油(リン酸エステル)を分取している。リン酸エステルは、耐火性、潤滑性、酸化安定性及び応答性に優れている。近年、火力プラント等の機械設備の現場では、高い稼働率や高負荷条件での運転が要求される機会が多く、リン酸エステルの利用可能性が高まってきている。本実施形態に係る劣化評価方法によれば、このようなリン酸エステルの劣化状態を、現場にて簡易、安価、迅速に評価できる。
ここで、本実施形態に係る劣化評価方法は、リン酸エステルをはじめとする工業用油の劣化に伴って酸性物質が生じる、という知見を基礎とし、その酸性物質が親水性であることに着目している。
すなわち、例えば、リン酸エステル(下記式(1)参照)は、使用に伴って徐々に劣化し、加水分解され、これにより親水性の酸性物質(下記式(2)の(a)〜(d)を参照)等を生じ得る。使用時に混入する水分や塵埃等が劣化を促進し、酸性物質の生成を促進する場合もある。酸性物質は、ここで例示する構造に限定されないが、何れも、親水性の極性基(例えばOH基)を有している。
(R〜Rは、それぞれ独立して、H、CH、OHの何れかを表す。)
(R〜Rは、それぞれ独立して、H、CH、OHの何れかを表す。)
図2(a)〜(b)は、工業用油中の酸性物質の様子を説明する模式図である。まず、図2(a)に示すように、機械設備で使用されている工業用油Oilの劣化に伴って発生した酸性物質Wsのほとんどは、該工業用油Oil中で溶解状態にある。このような状態であると、一見しただけでは工業用油Oil中に酸性物質Wsがどの程度生じているかを判断するのは難い。
一方、図2(b)に示すように、工業用油Oilを分取し、この工業用油Oilに水等の親水性化合物を加えて静置しておくと、酸性物質Wsが、油層Osに対して分離してくる。油層Osは水に溶け難いものの、親水基を有する酸性物質Wsは、油層Osに比べてはるかに水に溶けやすい。尚、図2(c)に示すように、分子中に親水基と疎水基を有する非プロトン性極性溶媒及びアルコール類AMを更に混合すれば、親水性の酸性物質Wsと疎水性の油層Osとを馴染ませて、均一溶液を得ることもできる。
そこで、第2工程では、変色域の一部又は全部が予め設定したpH危険値よりも大きい指示薬を、上記の工業用油に混合する。ここでは、指示薬の水溶液を混合しているが(図1に示すHO)、指示薬を染み込ませた濾紙(リトマス紙等)上に工業用油を滴下しても良い(指示薬を混合)。
工業用油の劣化に伴って生じる親水性の酸性物質は、指示薬を含む溶液のpH変化に寄与する。すなわち、工業用油に混合した指示薬を含む溶液のpHは、酸性物質の濃度が高くなる(工業用油の劣化が進行する)につれて低下する。従って、本実施形態に係る劣化評価方法によれば、工業用油の劣化に伴って酸性物質の濃度が上昇し、これによりpHが低下した場合、その低下したpHと、変色域と、に応じて指示薬が変色する。
本実施形態に係る劣化評価方法で使用可能な指示薬は、例えば、下表の通りである。下表には、指示薬名とともに変色域や色調も示しているが、変色域や色調はあくまで一例である。また、本実施形態で用いる指示薬は、予め設定するpH危険値よりも一部又は全部が大きい変色域を有している。
pH危険値は、例えば、工業用油の劣化がこれ以上進行すると機械トラブルが生じ得る状態(工業用油の危険状態)を想定したときの酸性物質のpHである。工業用油の劣化に伴って酸性物質の濃度が高くなるので、pH危険値が大きいほど、工業用油の劣化が許されないと言える。
図1の例では、第2工程において、分子中に親水基と疎水基を有する非プロトン性極性溶媒(アセトニトリル)を更に混合している。これによれば、上記のように、親水性の酸性物質と、疎水性の油と、を馴染ませ、色調が均一な溶液を得ることができる。
ここでの非プロトン性極性溶媒及びアルコール類は、分子中に親水部と疎水部を有する化合物であれば特に限定されないが、取扱容易性や入手容易性の観点から、アセトニトリル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、ピリジン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラヒドロフラン、t-ブチルメチルエーテル、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル等が好ましい。
これらの非プロトン性極性溶媒およびアルコール類は、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。また、非プロトン性極性溶媒およびアルコール類は、第1工程で混合しても、評価工程で混合しても良い。勿論、非プロトン性極性溶媒およびアルコール類を混合しなくても良い。非プロトン性極性溶媒およびアルコール類を混合しない場合は、油層Os(図2(b)参照)に対して分離した酸性物質Ws(図2(b)参照)の変色の度合いを目視によって判定する。
上記の第1工程で分取する工業用油、第2工程で工業用油に混合する指示薬、及び必要に応じて混合する非プロトン性極性溶媒およびアルコール類は、何れも少量(例えば1ml以下又は数ml)である。工業用油、指示薬及び非プロトン性極性溶媒およびアルコール類の混合順序は限定されない。図1の例では、工業用油に指示薬及び非プロトン性極性溶媒およびアルコール類を添加する例を示しているが、逆に、指示薬及び非プロトン性極性溶媒およびアルコール類に工業用油を添加しても良い。指示薬は、1種単独で用いてもよいが、変色域の少なくとも一部が異なる2種以上の指示薬を併用するのが好ましい。
評価工程では、指示薬の変色の程度を目視によって判定することにより、工業用油の劣化度合い(工業用油の劣化状態が、pH危険値に対応する危険状態に近づいている度合い)を評価する。具体的に、評価工程では、指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を目視によって判定することにより、工業用油の劣化度合いを評価する。
指示薬の色調が塩基性色であれば、工業用油の劣化に伴う酸性物質の濃度が比較的低いことを判定でき、この場合、工業用油の劣化度合いは比較的低いと評価できる。工業用油の劣化に伴って酸性物質の濃度が高くなるので、塩基性色が弱くなるにつれ、又は酸性色が強くなるにつれ、工業用油の劣化に伴う酸性物質の濃度が高くなっていることを判定でき、その分、工業用油の劣化が進行していると評価できる。
図3(a)〜(d)は、本実施形態に係る劣化評価方法の一例を示すタイムチャート図である。図3(a)において、横軸は時間の経過を示し、縦軸は酸性度(工業用油の劣化度合い)を示している。図3(b)〜(d)においては、横軸の表記を省略している。図中の「初期値」は、例えばpH7.0である。ただし、図中の「初期値」は、pH7.0より大きいこともあり、更にはpH7.0より小さいこともある。
酸性物質によるpH上昇速度(工業用油の劣化速度)は、劣化評価の対象とした工業用油の用途・品質、機械設備の運転状況等に応じて異なる。一般には、工業用油の劣化は指数関数的に進行する場合(図3(a))が多い。ただ、劣化速度が経過時間に応じて複数段階で変化する場合(図3(b))や、図3(a)とは逆の場合(図3(c))もあり得る。また、経過時間に比例して工業用油の劣化が進行する場合(図3(d))もあり得る。
酸性物質によるpH上昇速度は前記の例に限定されないが、ここでは、図3(a)の場合を例にとり、本実施形態に係る劣化評価方法の一例を説明する。時点t1では、工業用油は新油に近い状態であるため、酸性物質によるpHは、pH危険値pH_Lに比べてはるかに低い。時点t2でも同様である。これらの時点の近傍の領域R1aでは、酸性物質によるpH上昇速度が比較的遅い。酸性物質によるpHがpH危険値pH_Lに至る可能
性が低いところでの劣化評価タイミングの間隔は、大きくしても構わない。
時点tx付近から、酸性物質によるpH上昇速度が大きくなる。酸性物質によるpH上昇速度が比較的大きい領域R2aは、評価タイミングごとに異なる色調が得られやすいため、指示薬の変色域として選択するのに適している。かかる領域R2aを変色域に有する指示薬を選択すれば、指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を、目視によって明確に判定しやすい。
時点tx以降、劣化評価タイミングの間隔を小さくしている(時点tx〜時点tx+n)。本実施形態に係る劣化評価方法によれば、簡単な操作、かつ少サンプルで実現できる上、短時間で評価結果が得られるので、指示薬の変色の程度や工業用油の使用期間に応じて、所定時期から評価タイミングの間隔を小さくすることも容易である。従って、工業用油を交換する、より高度な評価・分析を行う等の対策を適時に行うことが容易になり、その結果、機械設備の運転効率の向上が図られる。
勿論、酸性物質によるpH上昇速度が比較的小さい領域R1aを、指示薬の変色域として選択することもできる。これによれば、酸性物質によるpH上昇速度が比較的大きくなる時点txに至る状況を判断できる。このため、酸性物質のpHがpH危険値pH_Lに至る前に、余裕を持って工業用油が劣化していることを評価できる。
図3(b)〜(c)の場合も、基本的な技術思想は図3(a)の場合と同様である。例えば、図3(b)の場合では、酸性物質によるpH上昇速度が比較的大きい領域R2b及び領域R2b’は、評価タイミングごとに異なる色調が得られやすいため、指示薬の変色域として適している。勿論、酸性物質によるpH上昇速度が比較的小さい領域R1b及び領域R1b’を、指示薬の変色域として選択することもできる。
図3(c)の場合では、酸性物質によるpH上昇速度が比較的小さい領域R1cであっても、酸性物質によるpHがH危険値pH_Lに至る直前近傍で、劣化評価タイミングの間隔を小さくできる。酸性物質によるpHがH危険値pH_Lに至る直前近傍で劣化評価タイミングの間隔を小さくすることで、酸性物質のpHがpH危険値pH_Lに至る直前まで工業用油の劣化度合いを評価できる。これにより、酸性物質のpHがpH危険値pH_Lに至る直前まで、工業用油の使用を許可できる。勿論、図3(c)の場合でも、酸性物質によるpH上昇速度が比較的大きい領域R2cを、指示薬の変色域として選択することもできる。
図3(d)の場合では、酸性物質によるpH上昇速度は経過時間にほぼ比例している。この場合では、図3(a)〜(c)の場合に見られた、pH上昇速度が比較的小さい領域と、pH上昇速度が比較的大きい領域と、を区別し難い。とは言え、この場合でも、酸性物質によるpHがH危険値pH_Lに至る直前近傍の領域r1cが分かれば、かかる領域r1cを変色域に含む指示薬を用いればよい。これにより、酸性物質のpHがpH危険値pH_Lに至る直前まで、工業用油の使用を許可できる。勿論、酸性物質によるpHがpH危険値pH_Lよりも十分に小さい領域r2cを変色域に含む指示薬を用いてもよい。
本実施形態によれば、上記のように、予め設定したpH危険値よりも一部又は全部が大きい変色域を有する指示薬を選択している。このため、工業用油の劣化に伴う酸性物質によるpHが、pH危険値に至る前に指示薬の変色域に必ず至り、これにより指示薬が変色する。指示薬の変色の程度(塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度)を目視によって判定することにより、工業用油の劣化状態が危険状態に近づいている度合いを評価できる。
これらを考慮した上で、本実施形態に係る劣化評価方法では、pH危険値よりも十分に大きい範囲(pH危険値+1.0〜3.0程度)を変色域に有する指示薬を用いることが好ましい。これによれば、酸性物質のpHがpH危険値pH_Lに至る前に、余裕を持って工業用油が劣化していることを評価できる。
一方、pH危険値よりも僅かに大きい範囲(pH危険値+0.5〜2.0程度)を変色域に有する指示薬を用いることも好ましい。これによれば、酸性物質のpHがpH危険値に至る直前まで工業用油の劣化度合いを評価でき、酸性物質のpHがpH危険値に至る直前まで工業用油の使用を許可できる。
この他、上記の例の中間の範囲(pH危険値+1.0〜2.5程度)を変色域に有する指示薬を用いることも好ましい。これによれば、余裕を持って工業用油が劣化していることを評価でき、かつ、酸性物質のpHがpH危険値に至る直前まで工業用油の使用を許可できる。
更には、工業用油の色調を考慮して指示薬を選択することが好ましい。比較的無色に近い工業用油もあれば、やや黄色の工業用油、赤みがかった工業用油もある。劣化に伴って次第に黄色に近づく工業用油や、劣化に伴って次第に赤色に近づく工業用油もある。何れにしても、一般に、工業用油は、黄色や赤色に近い色調を有していることが多い。工業用油が所定の色調を有する場合、その色調に対して、酸性色や塩基性色が反対色(黄系、赤系の色を呈する工業用油であれば、青色、青紫色、青緑色等の青系の色)の関係にある指示薬を用いることができる。これによれば、塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっていることを正確に判定しやすい。
具体的に、指示薬としては、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルの少なくとも一種を用いることが好ましい。これらの指示薬を用いれば、リン酸エステルを評価対象としたときにpH危険値として設定されやすいpH範囲よりも前段階で、比較的明確な変色を得ることができる。従って、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルの少なくとも一種は、油圧作動油として広く利用されているリン酸エステルを評価するのに好適な指示薬である。
図4(a)〜(e)は、酸性物質が生じている工業用油(ここではリン酸エステルを用いている)に指示薬を混合したときの色調を示す図である。このうち、図4(a)は、メチルオレンジ(変色域pH3.1−pH4.4)を混合した例を示しており、図4(b)は、メチルレッド(変色域pH4.2−pH6.2)を混合した例を示しており、図4(c)は、ブロモクレゾールパープル(変色域pH5.2−pH6.8)を混合した例を示しており、図4(d)は、ブロモチモールブルー(変色域pH6.0−pH7.6)を混合した例を示しており、図4(e)に、フェノールフタレイン(変色域pH7.8−10.0)を示した。
図4(a)〜(e)の何れも、左から順番に、新油(0か月経過後の工業用油)、工業用油の劣化に起因する機械トラブル時の該工業用油、4〜5か月経過後の工業用油、7〜8か月経過後の工業用油、13〜14か月経過後の工業用油を示している。
図4(a)〜(d)のうち、図4(b)の例では、新油に指示薬を混合した色調に比べて、工業用油の劣化に起因する機械トラブル時の該工業用油に指示薬を混合した色調が、目視によって判定可能であるほどに、酸性色(赤系の色)となっていることが分かる。また、使用により工業用油が徐々に劣化し、次第に酸性色(赤系の色)に呈色していく過程も、目視によって判定可能である。
また、図4(c)の例では、新油に指示薬を混合した色調に比べて、工業用油の劣化に起因する機械トラブル時の該工業用油に指示薬を混合した色調が、目視によって判定可能であるほどに、酸性色(黄系の色)となっていることが分かる。また、使用により工業用油が徐々に劣化し、次第に塩基性色(青系の色)が弱くなっていく過程も、目視によって判定可能である。
図4(c)の例では、黄系、赤系の色を呈する工業用油の色調に対して、塩基性色が反対色(青色、青紫色、青緑色等の青系の色)の関係にある。このため、塩基性色が弱くなっていることが目視によって判定しやすく、図4(b)の場合と比較して、より正確に、工業労油の劣化度合いを評価しやすい。
図4(a)の例では、指示薬の変色が目視によっては判定しにくい。ただ、これは、あくまで劣化評価対象としてリン酸エステルを選択した場合の結果である。劣化評価対象として選択する工業用油の種類等、種々の条件によっては、指示薬としてメチルオレンジを用いたときに、目視によって判定可能であるほどの変色が得られる場合もある。
評価工程では、図4(a)〜(d)で例示したようなサンプルに基づく色見本(指示薬の示すpHがpH危険値又はその近傍である場合の色見本)を予め準備しておき、上記の評価工程で、指示薬の色調と、色見本の色調と、を目視によって対比することで、指示薬の変色の程度を判定するようにしても良い。これによれば、色見本の色調を基準として、指示薬の変色の程度を正確に判定できる。このような色見本は、酸性色及び塩基性色の何れも工業用油の色調に対して反対色にない場合(図4(a)、図4(b)、図4(d)の場合等)に、特に有効となる。
以上、本実施形態に係る劣化評価方法によれば、工業用油の劣化に伴って酸性物質の濃度が上昇し、これによりpHが低下した場合、その低下したpHと、変色域と、に応じて指示薬が変色する。この変色の程度は、工業用油が使用される機械設備の現場にて、目視によって簡易、迅速、安価に判定できる場合が多い。よって、指示薬の変色の程度を目視によって判定することにより、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを簡易、安価、迅速に評価できる。
そして、本実施形態に係る劣化評価方法によれば、簡単な操作、かつ少サンプルで実現できる上、短時間で評価結果が得られるので、現場で工業用油の劣化を早期発見することが可能になる。従って、工業用油を交換する、より高度な評価・分析を行う等の対策を適時に行うことが容易になり、その結果、機械設備の運転効率の向上が図られる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る劣化評価方法の一例を示す工程図である。本実施形態に係る劣化評価方法は、実施形態1に係る劣化評価方法と比べ、分光光度計により測定を実施する第4工程を更に有する点が異なる。第1工程、第2工程及び評価工程は、上記の実施形態1と同様であるため説明は省略する。
第4工程は、指示薬を混合した工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータ(例えば、吸光度や透過率、反射率)と、予め設定した閾値と、の差分に基づいて、工業用油の劣化状態を定量的に評価する。
指示薬の変色の程度を目視することにより、塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっていることを一応は判定できるものの、より正確な劣化度合いの評価を希望する状況において、第4工程が有用となる。第4工程によれば、工業用油の劣化程度を数値化して評価できる。
分光光度計による測定は、比較的簡易な手法である。指示薬を混合した工業用油の一部又は全部を透明セルに分取し、分光光度計にセットして所定の光Iを照射して、その透過光It、あるいは、反射光Irを得ればよい。測定も短時間で済む。リファレンスは、新油を用いることができる。リファレンスとしての新油は、密封して保存しておいても良い。
指示薬を混合した工業用油に非プロトン性極性溶媒及びアルコール類を更に混合すれば、色調が均一な溶液を得ることができるので、分光光度計による測定をより正確に実施することも可能になる。勿論、非プロトン性極性溶媒およびアルコール類は混合せず、油層Os(図2(b)参照)に対して分離した酸性物質Ws(図2(b)参照)を透明セルに分取して、分光光度計による測定を実施しても良い。分光光度計により測定を実施する場合には、測定に悪影響を与えないよう、分取した工業用油を濾過して測定に用いることが好ましい。
分光光度計により透過光Itを得て吸光度を測定した結果を説明する。図6(a)〜(b)及び図7(a)〜(b)は、指示薬を混合した工業用油の吸光度の測定結果を示す図である。ここでは、更にアセトニトリルを混合している。
図6(a)は、指示薬としてメチルオレンジを用いた場合の結果を示しており、図6(b)は、指示薬としてメチルレッドを用いた場合の結果を示しており、図7(a)は、指示薬としてブロモクレゾールパープルを用いた場合の結果を示しており、図7(b)は、指示薬としてブロモチモールブルーを用いた場合の結果を示している。各図中、細線1は新油(0か月経過後の工業用油)、太線2は工業用油の劣化に起因する機械トラブル時の該工業用油、点線3は4〜5か月経過後の工業用油、破線4は7〜8か月経過後の工業用油、一点鎖線5は13〜14か月経過後の工業用油を示している。
すなわち、図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)は、それぞれ、図4(a)〜(d)に対応している。更に、細線1、太線2、点線3、破線4及び一点鎖線5は、それぞれ、図4(a)〜(e)の最も左側のサンプル、左から2番目のサンプル、左から3番目のサンプル、左から4番目のサンプル及び最も右側のサンプルに対応している。
図6(a)〜(b)及び図7(a)〜(b)に示すように、工業用油の劣化状態が上記の危険状態にあると、いわゆる正常状態(工業用油の劣化状態が危険状態にない状態)の工業用油に対し、所定の波長範囲において大きな吸光度差が得られる。吸光度差が顕著に現れる波長範囲も、工業用油に混合する指示薬の色調によって異なる。
例えば、図6(a)の場合、工業用油の劣化状態が危険状態に至るにつれて、約400nm〜約450nmの波長範囲で、正常状態の工業用油(特に新油に近い状態の工業用油)よりも吸光度が大きくなりやすい。図6(b)の場合、工業用油の劣化状態が危険状態に至るにつれて、約450nm〜約500nmの波長範囲や、約500nm〜約550nmの波長範囲で、正常状態の工業用油よりも吸光度が大きくなりやすい。
図7(a)の場合、工業用油の劣化状態が危険状態に至るにつれて、約450nm以下の波長範囲で、正常状態の工業用油よりも吸光度が大きくなりやすい。一方、工業用油の劣化状態が危険状態に至るにつれて、約550nm〜約600nmの波長範囲や、約600nm〜約650nmで、正常状態の工業用油よりも吸光度が小さくなりやすい。図7(b)の場合、工業用油の劣化状態が危険状態に至るにつれて、約450nm以下の波長範囲で、正常状態の工業用油よりも吸光度が大きくなりやすい。一方、工業用油の劣化状態が危険状態に至るにつれて、約550nm〜約600nmの波長範囲や、約600nm〜約650nmで、正常状態の工業用油(特に新油に近い状態の工業用油)に対して吸光度が小さくなりやすい。
図6(a)〜(b)及び図7(a)〜(b)の結果の解析手法を用いれば、所定の波長範囲において工業用油の劣化状態が危険状態にある場合の危険吸光度を、指示薬ごとに求めることが可能である。測定された吸光度と、危険吸光度と、の差を数値化して評価できる。所定の評価タイミングごとに吸光度を測定し、吸光度の推移を観察するようにしても良い。
また、吸光度の差が顕著に現れる波長範囲も、指示薬ごとに求めることが可能である。従って、吸光度は、予め設定した波長領域で測定することが好ましい。これによれば、吸光度の差が顕著に現れる波長範囲を狙って吸光度を測定できるため、第4工程を短時間化・簡略化することが可能となる。予め設定した波長領域は、図6(a)〜(b)及び図7(a)〜(b)の例では上記の通りである。
以上説明した第4工程によれば、指示薬の変色の程度を目視によって一応は判定可能であるものの、より詳細な判定結果を希望する状況において、工業用油の劣化状態を数値化して評価できる。また、分光光度計での測定は比較的容易であり、他の高度な評価・分析に比べて簡易、迅速、安価である。従って、簡易、迅速、安価、しかも定量的に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。尚、指示薬を混合した工業用油に非プロトン性極性溶媒およびアルコール類を混合すれば、色調が均一な溶液を得ることができるため、より正確に分光光度計による測定(例えば、吸光度や透過率、反射率の測定)を実施することができる。
図6(a)〜(b)及び図7(a)〜(b)の結果は、現場での作業者による分光光度計を用いた測定によって、手動で得ることができる。また、以下で説明する劣化評価システムによっても得ることができる。かかる劣化評価システムを用いれば、上記の第4工程を自動化できる。
図8(a)は、機械設備で使用される工業用油を分取する分取ラインと、分取ラインで分取した工業用油の劣化状態を、上記の第4工程により評価する評価制御手段と、を具備する劣化評価システム1の模式図である。図8(a)中、矢印は工業用油の循環ラインを示している。
各種の機械設備では、動力伝達媒体、潤滑剤、防錆や冷却等の目的のため、様々な工業用油が使用されている。例えば、火力プラントでは、油圧装置2中で動力伝達媒体として、油圧作動油(リン酸エステル等)が使用されている。油圧作動油は、所定のタンク3に貯留されている。タンク3は、循環ライン4により、油圧装置2や図示しないポンプ等と接続されている。
そして、火力プラントには、循環ライン4から分岐した分取ライン5が設けられている。分取ライン5によって分取された工業用油が、第4工程における評価対象となる。分取ライン5は、上記の第4工程により評価する評価制御手段6に接続されている。評価制御手段6は、分光光度計を自動制御する制御回路や、上記の第4工程を表示する表示部等を含んで構成されている。これらの評価制御手段6は、公知の構成からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、各部は具体的にはマイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現される。分取ライン5や評価制御手段6に関する基本的な構成は、いわゆるオートサンプラー装置の構成を流用することができる。
評価制御手段6での評価手法は、基本的には、上記の第4工程で説明した手法と同様である。例えば、評価制御手段6は、分光光度計による測定値の推移を監視して(例えば、図8(b)参照)、測定値(例えば、測定された吸光度や透過率、反射率)と、工業用油の劣化状態が危険状態にある場合の危険値(例えば、危険吸光度や危険透過率、危険反射率)と、の差を評価できる。
ここで、本実施形態に係る劣化評価システム1には、循環ライン4から分岐して再びタンク3に戻る浄油ライン7が設けられている。浄油ライン7には、循環ライン4側から、第1流量制御弁8と、ポンプ9と、第1フィルター10a及び第2フィルター10bが設けられている。そして、評価制御手段6は、第4工程における評価対象に基づいて、第1流量制御弁8の開度やポンプ9の出力を制御可能となっている。
すなわち、評価制御手段6は、上記の第4工程において、測定値(例えば、測定された吸光度や透過率、反射率)が危険値(例えば、危険吸光度や危険透過率、危険反射率)に近づいているとき、第1流量制御弁8の開度を大きくする等の制御により、循環ライン4から浄油ライン7に流れる工業用油の流量を増加させる。これにより、浄油ライン7を流れる工業用油が第1フィルター10a及び第2フィルター10bを通過して、その結果、劣化度合いが緩和される。一方、評価制御手段6は、上記の第4工程において、測定値(例えば、測定された吸光度や透過率、反射率)と危険値(例えば、危険吸光度や危険透過率、危険反射率)との差が十分に確保されているとき、第1流量制御弁8の開度を小さくする等の制御により、循環ライン4の工業用油が不必要に浄油ライン7に流れないようにする。
第1フィルター10a及び第2フィルター10bは互いに異なる機能を有している。それぞれのフィルターは、例えば、工業用油中の不純物を濾過するためのフィルターや、工業用油中の酸性物質を除去するためのフィルターである。ただし、同一の機能を有するフィルターを複数配置しても良い。勿論、フィルターは1つだけ配置しても良い。
上記のように、分取ライン5や評価制御手段6に関する基本的な構成は、いわゆるオートサンプラー装置の構成を流用することができる。ただし、図示しないものの、分取ライン5の間に、分取ライン5を流れる工業用油の流量を更に調節するための部材や、評価制御手段6側の装置にかかる圧力を低減させるための部材等を配置してもよい。また、本実施形態に係る劣化評価システム1には、分取ライン5によって分取した工業用油に指示薬等を添加するための添加ライン11が設けられている。添加ライン11に関する基本的な構成も、いわゆるオートサンプラー装置の構成を流用することができる。ただし、上記と同様に、図示しないものの、添加ライン11を流れる工業用油の流量を更に調節するための部材や、評価制御手段6側の装置にかかる圧力を低減させるための部材等を配置してもよい。図面では、分取ライン5と添加ライン11とはそれぞれ独立して評価制御手段6に接続されているが、評価制御手段6の手前で、分取ライン5と添加ライン11とが合流する構成であっても良い。
このような本実施形態に係る劣化評価システム1の構成は、あくまで一例である。ただし、図8に示す劣化評価システム1を構成することで、上記の第4工程の結果に応じて、第1流量制御弁8の開度や工業用油の評価頻度等をフィードバック制御でき、また工業用油の流れを適時コントロールできる。そして、警報等を発する、警告画面を表示する等の工程を正確に行うことが可能となり、より効率的に機械設備を稼働できる。
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3に係る劣化評価方法の一例を示す工程図である。本実施形態に係る劣化評価方法は、実施形態1に係る劣化評価方法と比べ、評価工程で色の数値化を行う点(第5工程)が異なる。第1工程、第2工程は、上記の実施形態1と同様であるため説明は省略する。
評価工程では、指示薬の変色の程度を目視によって観察することにより、工業用油の劣化度合い(工業用油の劣化状態が、pH危険値に対応する危険状態に近づいている度合い)を評価する。具体的に、評価工程では、指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を色見本と対比して目視によって観察する。観察した後、工業用油のデータを分光光度計によって測定し、得られたデータに基づいて色を数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価する工程を含む(第5工程)。
分光光度計による測定は、指示薬を混合した工業用油の一部又は全部を透明セルに分取し、透明セルに所定の光Iを照射して、その透過光Itあるいは反射光Irを元に得られたデータから色を数値化する。例えば、分光光度計により、表色系の一つであるRGBカラーモデル(赤、緑、青の原色を混ぜた多数の色をそれぞれ数値化したモデル)に基づいて、RGBのそれぞれ数値を計測して色を数値化する。すなわち、赤、緑、青の度合いを数値により表して、色を数値化して劣化状態を定量的に評価し、指示薬の変色の程度を目視によって判定することに加え、工業用油の劣化の度合いを評価する。
以上説明した評価工程では、劣化の度合いを目視によって判定することに加え、工業用油の劣化状態を、分光光度計により色を数値化することで客観的に評価できる。従って、簡易、迅速、安価、しかも定量的に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4に係る劣化評価方法の一例を示す工程図である。本実施形態に係る劣化評価方法は、実施形態1に係る劣化評価方法と比べ、評価工程で色の数値化を行う点(第6工程)が異なる。第1工程、第2工程は、上記の実施形態1と同様であるため説明は省略する。
評価工程では、指示薬の変色の程度を目視によって観察することにより、工業用油の劣化度合い(工業用油の劣化状態が、pH危険値に対応する危険状態に近づいている度合い)を評価する。具体的に、評価工程では、指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を色見本と対比して目視によって観察する。
指示薬の変色の程度のデータをサンプルとして写真データとして取得する。酸性物質が生じている工業用油に指示薬を混合したときの色調は、前述した通り(図4参照)、劣化の具合に応じて、次第に酸性色(黄系から赤系の色)に呈色し、塩基性色が反対色(青色、青紫色、青緑色等の青系の色)に呈色する関係にある。
写真データは、チェッカー(カラーチェッカー)と比較することにより、再現性ある写真データとすることができる。例えば、表色系の一つであるRGBカラーモデル(赤、緑、青の原色を混ぜた多数の色をそれぞれ数値化したモデル)に対応するRGBのそれぞれ数値を、写真データから算出して一覧表にすることにより、赤、緑、青の度合いを数値により表して色を数値化して一覧表にすることができる。一覧表には、サンプル毎に、水分や粘度、酸価の値である物性情報を合わせて表示することができる。一覧表により、赤、緑、青の度合いを数値により確認して(色を数値化して)劣化状態を定量的に評価し、指示薬の変色の程度を目視によって判定することに加え、工業用油の劣化の度合いを評価する。
以上説明した評価工程では、劣化の度合いを目視によって判定することに加え、工業用油の劣化状態を、色を数値化した一覧表により客観的に評価できる。従って、簡易、迅速、安価、しかも定量的に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。
(実施形態5)
図11は、本発明の実施形態5に係る劣化評価方法の一例を示す工程図である。本実施形態に係る劣化評価方法は、実施形態3に係る劣化評価方法と比べ、評価工程で劣化の度合いを目視によって判定することに代えて、色の数値化だけで評価を行う点(第5工程に相当する)が異なる。第1工程、第2工程は、上記の実施形態1と同様であるため説明は省略する。
評価工程では、指示薬の変色の程度を目視によって観察することにより、工業用油の劣化度合いを評価することに代えて、工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータに基づいて色を数値化することで工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価する。分光光度計による測定は、第5工程と同様に、指示薬を混合した工業用油の一部又は全部を透明セルに分取し、透明セルに所定の光Iを照射して、その透過光Itあるいは反射光Irを元に得られたデータから色を数値化する。
例えば、分光光度計により、表色系の一つであるRGBカラーモデル(赤、緑、青の原色を混ぜた多数の色をそれぞれ数値化したモデル)に基づいて、RGBのそれぞれ数値を計測して色を数値化する。すなわち、赤、緑、青の度合いを数値により表して、色を数値化して劣化状態を定量的に評価し、指示薬の変色の程度を目視によって判定することに加え、工業用油の劣化の度合いを評価する。
以上説明した評価工程では、劣化の度合いを目視によって判定することに代えて、工業用油の劣化状態を、分光光度計により色を数値化することで客観的に評価できる。従って、簡易、迅速、安価、しかも定量的に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。
(実施形態6)
図12は、本発明の実施形態5に係る劣化評価方法の一例を示す工程図である。本実施形態に係る劣化評価方法は、実施形態4に係る劣化評価方法と比べ、評価工程で劣化の度合いを目視によって判定することに代えて、色の数値化だけで評価を行う点(第6工程に相当する)が異なる。第1工程、第2工程は、上記の実施形態1と同様であるため説明は省略する。
評価工程では、指示薬の変色の程度を目視によって観察することにより、工業用油の劣化度合いを評価することに代えて、指示薬の変色の程度のデータをサンプルとして写真データとして保存する。酸性物質が生じている工業用油に指示薬を混合したときの色調は、前述した通り(図4参照)、劣化の具合に応じて、次第に酸性色(黄系から赤系の色)に呈色し、塩基性色が反対色(青色、青紫色、青緑色等の青系の色)に呈色する関係にある。
写真データは、チェッカー(カラーチェッカー)と比較することにより、再現性ある写真データとすることができる。例えば、表色系の一つであるRGBカラーモデル(赤、緑、青の原色を混ぜた多数の色をそれぞれ数値化したモデル)に対応するRGBのそれぞれ数値を、写真データから算出して一覧表にすることにより、赤、緑、青の度合いを数値により表して色を数値化して一覧表にすることができる。一覧表には、サンプル毎に、水分や粘度、酸価の値である物性情報を合わせて表示することができる。一覧表により、赤、緑、青の度合いを数値により確認して(色を数値化して)劣化状態を定量的に評価し、指示薬の変色の程度を目視によって判定することに加え、工業用油の劣化の度合いを評価する。
以上説明した評価工程では、劣化の度合いを目視によって判定することに代えて、工業用油の劣化状態を、色を数値化した一覧表により客観的に評価できる。従って、簡易、迅速、安価、しかも定量的に、工業用油の劣化状態が上記の危険状態に近づいている度合いを評価できる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明した。しかし、本発明の基本的構成は上記の態様に限定されない。
上記の本実施形態では、リン酸エステルを劣化評価の対象とした。しかし、劣化評価の対象は、本発明の範囲においてリン酸エステルに限定されない。勿論、劣化評価の対象は、油圧作動油にも限られず、本発明の範囲において各種の潤滑油やその他の工業用油でも良い。すなわち、劣化に伴って親水性の酸性物質を生じる工業用油であれば、基本的には、本実施形態に係る工業用油の劣化評価方法を使用できる。
図面に示される要素は、本発明を説明する上で、誇張して示されている場合がある。また、本明細書の「第1工程」「第2工程」「評価工程」又は「第4工程」「第5工程」又は「第6工程」という用語は、厳密な工程順序を限定するものではない。例えば、「第1工程」と「第2工程」との間に、本発明の範囲で実施可能な他の工程が含まれることを除外しない。
1 劣化評価システム、 2 油圧装置、 3 タンク、 4 循環ライン、 5 分取ライン、 6 評価制御手段、 7 浄油ライン、 8 第1流量制御弁、 9 ポンプ、 10a 第1フィルター、 10b 第2フィルター、 11 添加ライン

Claims (8)

  1. 機械設備で使用される工業用油を分取する第1工程と、
    変色域の一部又は全部が予め設定したpH危険値よりも大きい指示薬を前記工業用油に混合する第2工程と、
    前記指示薬の変色の程度を判定して、前記工業用油の劣化状態が、前記pH危険値に対応する危険状態に近づいている度合いを評価する評価工程とを有し、
    前記評価工程は、
    前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油の前記指示薬の変色の程度を目視によって判定することにより、前記工業用油の劣化状態が、前記pH危険値に対応する危険状態に近づいている度合いを評価し、
    前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油の画像データを取得し、数値が標準化されたカラーチェッカーと対比して画像データを数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価する工程を含む
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  2. 請求項1に記載の工業用油の劣化評価方法において、
    前記評価工程では、
    前記指示薬の塩基性色が弱くなっている又は酸性色が強くなっている程度を目視によって判定する
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の工業用油の劣化評価方法において、
    前記指示薬が前記pH危険値又はその近傍にある場合の色見本を準備し、
    前記評価工程では、
    前記指示薬の色調と、前記色見本の色調と、を目視によって対比することで、前記指示薬の変色の程度を判定する
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の工業用油の劣化評価方法において、
    前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータと、予め設定した閾値との差に基づいて、前記工業用油の劣化状態を定量的に評価する第4工程を更に有する
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  5. 請求項4に記載の工業用油の劣化評価方法において、
    前記第4工程では、
    前記分光光度計による測定を、予め設定した波長領域で実施する
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の工業用油の劣化評価方法において、
    前記評価工程は、
    前記第2工程で前記指示薬を混合した前記工業用油を分光光度計によって測定し、得られたデータに基づいて色を数値化することで前記工業用油の色を特定して劣化状態を定量的に評価する第5工程を含む
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の工業用油の劣化評価方法において、
    前記第2工程では、
    前記指示薬を混合した前記工業用油に、更に非プロトン性極性溶媒、もしくは、アルコール類を混合する
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価方法。
  8. 機械設備で使用される工業用油を分取する分取ラインと、
    前記分取ラインで分取した前記工業用油の劣化状態を、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の工業用油の劣化評価方法により評価する評価制御手段とを具備する
    ことを特徴とする工業用油の劣化評価システム。
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