JP6741884B1 - ポリオレフィン微多孔膜 - Google Patents

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Abstract

溶融粘弾性測定において、230℃における損失正接(tanδ)が0.35以上0.60未満である、ポリオレフィン微多孔膜。

Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜に関する。
ポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料、精密濾過膜等に使用されており、特にリチウムイオン二次電池(LIB)用セパレータ又はその構成材料として使用されている。セパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぐと共に、その微多孔中に保持した電解液を通じてイオンも透過させる。
近年、LIBについては、携帯電話、ノート型パソコン等の小型電子機器への利用だけでなく、電気自動車、小型電動バイク等の電動車両への応用も図られている。車載用LIBは、航続距離を延ばすために単セル当たりの容量が大きくなる傾向にあるため、体積当たりの容量が大きい電池が開発されている。そのため、電池内に異物が存在したときの内部短絡による電池の異常発熱時の発熱量も増加する傾向にあり、電池内部の短絡部の局所的な温度が数秒で300℃近くまで上昇する場合がある。従って、車載用LIBには、安全性の向上がより重要な課題となっている。
安全性向上のため、LIB用セパレータに求められる特性としては、内部短絡時に抵抗を増大させ熱暴走を停止する機能又は熱によって収縮し難いという特性が挙げられる。
ここで、LIB用セパレータとして、ポリオレフィン微多孔膜のための、様々な原料又は材質が検討されている(特許文献1〜5)。
特許文献1には、オレフィン系樹脂を含有し、ゲル分率が30%以上、動的粘弾性による250℃における貯蔵弾性率Erが0.01MPa以上、TMAの最大収縮率が25%以下である耐熱性合成樹脂微多孔フィルムが記載されている。かかる耐熱性合成樹脂微多孔フィルムは、その合成樹脂微多孔フィルムの表面の少なくとも一部に形成されかつ1分子中に重合性官能基を2個以上有する重合性化合物の重合体を含む皮膜層を含有する。特許文献1において、かかる耐熱性合成樹脂微多孔フィルムは、低熱収縮性、及び低流動性を有し、耐メルトダウン性に優れていると記載されている。
特許文献2には、オレフィン系樹脂を含有する合成樹脂微多孔フィルムを含有し、ゲル分率が75質量%以上、動的粘弾性による40〜250℃における貯蔵弾性率Erが0.008MPa以上、TMAの最大収縮率が25%以下、電子スピン共鳴法によって測定されるラジカル量が2.0×1016spins/100mg以下である耐熱性合成樹脂微多孔フィルムが記載されている。特許文献2において、かかる耐熱性合成樹脂微多孔フィルムは、低熱収縮性、及び低流動性を有すると記載されている。
特許文献3には、160℃から220℃の範囲内の一定温度での溶融粘弾性測定により得られた貯蔵弾性率、及び損失弾性率が一致した角周波数が10rad/sec以下であるポリエチレン系樹脂を主成分とするポリオレフィン微多孔膜が記載されている。特許文献3において、かかるポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン特性とメルトダウン特性に優れると記載されている。
特許文献4には、特定のポリエチレン、及びポリプロピレンからなり、GPC/FTIRより求められる分子量と末端メチル基濃度との相関が特定の関係を満たすポリオレフィン製微多孔膜が記載されている。特許文献4において、かかるポリオレフィン製微多孔膜は、透過性能、及び突刺強度に優れ、低い孔閉塞温度と高い熱破膜温度を有し、高温オーブン特性に非常に優れていると記載されている。
特開2017−128639号公報 特開2017−203145号公報 特許第5250261号公報 特許第3995471号公報
特許文献1、及び2に記載されている微多孔フィルムを用いたセパレータは、化学架橋点を多く有するため、シャットダウン特性に劣る又は短絡初期の電池の内部抵抗を増大させる能力が低いという課題が残る。また、官能基による化学架橋反応を要するため、生産効率が悪い又は経時劣化し易いという課題も残る。
また、近年、電池の高容量化に伴い、高エネルギー密度化した電池の安全性を確保する観点で、特許文献3、及び4で想定されているよりもより高温領域で安全性を担保できることが期待されている。
従って、車載用等のより高度な安全性が求められる分野においては、実際の電池内部における短絡時のセパレータの状況を想定し、過酷な条件での短絡試験で良好な短絡耐性を示すセパレータが求められる。更に車載用LIBでは高出力での充放電が繰り返されるため、長期間充放電を繰り返しても容量低下の少ないセパレータが求められる。なお、このような課題は、車載用LIBに用いられるセパレータに限られず、高エネルギー密度化された電池に用いられるセパレータにおいて同様に存在する。
そこで、本発明は、高エネルギー密度化された電池内部で異物等の存在により内部短絡が発生したときに、熱暴走を抑制できるポリオレフィン微多孔膜を提供することを目的の一つとする。すなわち、本発明は、過酷な条件での短絡試験で良好な短絡耐性を有するポリオレフィン微多孔膜を提供することを目的とする。なお、本発明の一実施形態においては、LIBの良好なサイクル特性を担保することのできるポリオレフィン微多孔膜を提供する。
発明者らは、ポリオレフィン微多孔膜の溶融粘弾性測定における、損失正接(tanδ)を特定の範囲にすることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
溶融粘弾性測定において、230℃における損失正接(tanδ)が0.35以上0.60未満である、ポリオレフィン微多孔膜。
[2]
TMA測定において、MD、及びTDの最大荷重が共に3.0gf以下である、[1]に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[3]
溶融粘弾性測定において、230℃での貯蔵弾性率(G’)が5.0×10Pa以上である、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[4]
溶融粘弾性測定において、190℃における損失正接(tanδ190)と230℃における損失正接(tanδ230)の差(tanδ230−tanδ190)が−0.05以下(前記差≦−0.05)である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[5]
溶融粘弾性測定において、190℃における貯蔵弾性率(G’190)と230℃における貯蔵弾性率(G’230)の差(G’230−G’190)が−1.0×10Pa以上(前記差≧−1.0×10Pa)である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[6]
溶融粘弾性測定において、230℃における貯蔵弾性率(G’230)と280℃における貯蔵弾性率(G’280)の差(G’280−G’230)が−2.1×10Pa以上(前記差≧−2.1×10Pa)である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[7]
TMA測定において、MD、及びTDにおける160℃での荷重が共に0.10gf/10μm以上である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[8]
昇温速度15℃/minで測定したシャットダウン温度が150℃以下である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[9]
ハーフドライ法で求められる平均孔径が0.05μm以上0.08μm以下である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[10]
バブルポイント法で求められる最大孔径とハーフドライ法で求められる平均孔径の差が0.01μm以上0.02μmである、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[11]
膜を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される、[1]〜[10]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[12]
膜を構成する樹脂成分は、ポリエチレンとポリプロピレンとを含み、前記ポリプロピレンの割合は、前記ポリオレフィン樹脂成分の総量を100質量%として1質量%以上10質量%以下である、[1]〜[11]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
[13]
[1]〜[12]のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜を含む電池用セパレータ。
本発明によれば、車載用途に用いられるような高エネルギー密度の電池内で短絡が起きても熱暴走を防止することができるセパレータを提供可能な、ポリオレフィン微多孔膜を提供することができる。
図1は、実施例1で得られた溶融粘弾性測定用試料について、貯蔵弾性率、及び損失正接の温度依存性の一例を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を例示する目的で詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。本願明細書において、各数値範囲の上限値、及び下限値は任意に組み合わせることができる。また、本願明細書において、「〜」とは、特に断りがない場合、その両端の数値を上限値、及び下限値として含む意味である。
<微多孔膜>
本発明の一態様は、ポリオレフィン微多孔膜である。ポリオレフィン微多孔膜の好ましい態様は、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、かつ孔径の微細なものである。また、ポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレータ又はその構成要素、特に二次電池用セパレータ又はその構成要素として利用されることができる。
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、溶融粘弾性測定において、230℃における損失正接(tanδ)が0.35以上0.60未満である。
理論に拘束されることを望まないが、溶融粘弾性測定において、230℃における損失正接(tanδ)が0.35以上であることにより、内部短絡により電池内の温度が上昇してポリオレフィン微多孔膜が溶融したときに、その溶融した樹脂(ポリオレフィン微多孔膜)が電極の空孔に適度に侵入してアンカー効果を発現すると考えられる。そして、溶融した樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまるため、短絡面積の増加を抑えることができると考えられる。同様に、理論に拘束されることを望まないが、230℃における損失正接(tanδ)が0.60以下であることにより、溶融した樹脂が適度な粘度を持つようになるため、溶融した樹脂の流動性が上がりすぎることなく、樹脂の流出による電極の露出又は短絡面積の増加を抑制することができると考えられる。
よって、高エネルギー密度の電池であっても、本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜を備えることで、内部短絡時に熱暴走を防止することができる。
溶融粘弾性測定において、内部短絡時に熱暴走を防止し易くする観点から、230℃における損失正接(tanδ)は、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.37以上、更に好ましくは0.39以上、より更に好ましくは0.40以上、最も好ましくは0.41以上であり、好ましくは0.60以下、より好ましくは0.57以下、更に好ましくは0.54以下、より更に好ましくは0.52以下、最も好ましくは0.50以下である。
また、溶融粘弾性測定において、190℃における損失正接は、好ましくは0.50以上0.75以下、より好ましくは0.52以上0.73以下、更に好ましくは0.54以上0.71以下、より更に好ましくは0.56以上0.69以下、最も好ましくは0.57以上0.67以下である。190℃における損失正接が0.50以上であることにより、内部短絡が発生しジュール熱により昇温が起きた直後に、溶融した樹脂(ポリオレフィン微多孔膜)が電極の空孔に適度に侵入してアンカー効果を発現すると考えられ、そして溶融した樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまるため、短絡面積の増加を抑えることができることができると考えられる。同様に、理論に拘束されることを望まないが、190℃における損失正接(tanδ)が0.75以下であることにより、短絡直後に溶融した樹脂が適度な粘度を持つようになるため、溶融した樹脂の流動性が上がりすぎることなく、樹脂の流出による電極の露出又は短絡面積の増加を抑制することができると考えられる。
また、溶融粘弾性測定において、280℃における損失正接は、好ましくは0.35以上0.60以下、より好ましくは0.37以上0.58以下、更に好ましくは0.39以上0.56以下、より更に好ましくは0.41以上0.54以下、最も好ましくは0.43以上0.52以下である。280℃における損失正接が0.35以上であることにより、内部短絡により電池が高温になった際に、溶融した樹脂(ポリオレフィン微多孔膜)が電極の空孔に適度に侵入してアンカー効果を発現すると考えられ、そして溶融した樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまるため、短絡面積の増加を抑えることができることができると考えられる。同様に、理論に拘束されることを望まないが、280℃における損失正接(tanδ)が0.60以下であることにより、溶融した樹脂が適度な粘度を持つようになるため、溶融した樹脂の流動性が上がりすぎることなく、樹脂の流出による電極の露出又は短絡面積の増加を抑制することができると考えられる。
また、溶融粘弾性測定において、190℃における損失正接(tanδ190)と230℃における損失正接(tanδ230)の差(tanδ230−tanδ190)は好ましくは0.00以下、より好ましくは−0.02以下、更に好ましくは−0.04以下、より更に好ましくは−0.05以下、最も好ましくは−0.08以下である。上記の差(tanδ230−tanδ190)が0.00以下であることにより、短絡後に短絡部周辺が昇温していく過程において、ポリオレフィン微多孔膜が溶融した後もその流動性が急激に増加することなく、樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまることで、短絡面積の増加を防ぎ易くなると推測される。
また、溶融粘弾性測定において、230℃における損失正接(tanδ230)と280℃における損失正接(tanδ280)の差(tanδ280−tanδ230)は、好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下、更に好ましくは0.01以下、より更に好ましくは0.00以下である。上記の差(tanδ280−tanδ230)が0.03以下であることは、高容量又は高密度な電池が短絡したときに、短絡部が例えば300℃近くまで昇温していく過程において、溶融した樹脂の流動性が急激に増加し難くなり、短絡部周辺にとどまり易くなるため、短絡面積の増加を防ぎ易くなると推測される。
また、溶融粘弾性測定において、230℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×10Pa以上であることが好ましい。230℃における貯蔵弾性率(G’)が1.0×10Pa以上であることにより、短絡後にポリオレフィン微多孔膜が溶融しても速やかに流動することがなく、その結果、樹脂の流出又は消失により電極が露出して電極間短絡が起こることを防止し易くなり、ひいては、熱暴走を防ぎ易くなると推測される。溶融粘弾性測定において、内部短絡時に熱暴走を防止し易くする観点から、230℃での貯蔵弾性率(G’)は好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは4.0×10Pa以上、更に好ましくは5.0×10Pa以上、より更に好ましくは6.0×10Pa以上、特に好ましくは6.5×10Pa以上、最も好ましくは7.0×10Pa以上である。また、230℃での貯蔵弾性率(G’)は好ましくは2.0×10Pa以下、より好ましくは1.8×10Pa以下、更に好ましくは1.6×10Pa以下、より更に好ましくは1.4×10Pa以下、特に好ましくは1.2×10Pa以下、最も好ましくは1.0×10Pa以下である。上記の貯蔵弾性率(G’)が2.0×10Pa以下であることにより、短絡後の昇温によりポリオレフィン微多孔膜が溶融した後に適度な粘性が生じ、アンカー効果が発現し易くなり、その結果、溶融した樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまり易くなって、短絡面積の増加を抑制し易くなると推測される。
また、溶融粘弾性測定において、190℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×10Pa以上であることが好ましい。190℃における貯蔵弾性率(G’)が1.0×10Pa以上であることにより、短絡直後に溶融した樹脂が適度な粘度を持つようになるため、溶融した樹脂の流動性が上がりすぎることなく、樹脂の流出による電極の露出又は短絡面積の増加を抑制することができると考えられる。溶融粘弾性測定において、内部短絡時に熱暴走を防止し易くする観点から、190℃での貯蔵弾性率(G’)は好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは3.0×10Pa以上、更に好ましくは4.0×10Pa以上、より更に好ましくは5.0×10Pa以上、特に好ましくは5.5×10Pa以上、最も好ましくは6.0×10Pa以上である。また、190℃での貯蔵弾性率(G’)は好ましくは1.8×10Pa以下、より好ましくは1.6×10Pa以下、更に好ましくは1.4×10Pa以下、より更に好ましくは1.2×10Pa以下、特に好ましくは1.0×10Pa以下、最も好ましくは8.0×10Pa以下である。同様に、理論に拘束されることを望まないが、上記の貯蔵弾性率(G’)が1.8×10Pa以下であることにより、内部短絡が発生しジュール熱により昇温が起きた直後に、溶融した樹脂(ポリオレフィン微多孔膜)が電極の空孔に適度に侵入してアンカー効果を発現すると考えられる。そして、溶融した樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまるため、短絡面積の増加を抑えることができることができると考えられる。
また、溶融粘弾性測定において、280℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×10Pa以上であることが好ましい。280℃における貯蔵弾性率(G’)が1.0×10Pa以上であることにより、電池が高温になった際に溶融した樹脂が適度な粘度を持つようになるため、溶融した樹脂の流動性が上がりすぎることなく、樹脂の流出による電極の露出又は短絡面積の増加を抑制することができると考えられる。溶融粘弾性測定において、内部短絡時に熱暴走を防止し易くする観点から、280℃での貯蔵弾性率(G’)は、好ましくは1.0×10Pa以上、より好ましくは3.0×10Pa以上、更に好ましくは4.0×10Pa以上、より更に好ましくは5.0×10Pa以上、特に好ましくは5.5×10Pa以上、最も好ましくは6.0×10Pa以上である。また、280℃での貯蔵弾性率(G’)は、好ましくは1.8×10Pa以下、より好ましくは1.6×10Pa以下、更に好ましくは1.4×10Pa以下、より更に好ましくは1.2×10Pa以下、特に好ましくは1.0×10Pa以下、最も好ましくは8.0×10Pa以下である。同様に、理論に拘束されることを望まないが、上記の貯蔵弾性率(G’)が1.8×10Pa以下であることにより、電池が高温になった際に、溶融した樹脂(ポリオレフィン微多孔膜)が電極の空孔に適度に侵入してアンカー効果を発現すると考えられる。そして、溶融した樹脂が電極の空孔に適度に侵入した状態でその場にとどまるため、短絡面積の増加を抑えることができることができると考えられる。
また、溶融粘弾性測定において、190℃における貯蔵弾性率(G’190)と230℃における貯蔵弾性率(G’230)の差(G’230−G’190)は好ましくは−1.0×10Pa以上、より好ましくは0Pa以上、更に好ましくは1.0×10Pa以上、より更に好ましくは2.0×10Pa以上、最も好ましくは2.5×10Pa以上である。上記の差(G’230−G’190)が−1.0×10Pa以上であることにより、短絡後に短絡部周辺が昇温していく過程において、溶融した樹脂の流動性が急激に増加し難くなり、溶融した樹脂が短絡部周辺にとどまり易くなるため、短絡面積の増加を防ぎ易くなると推測される。
また、溶融粘弾性測定において、230℃における貯蔵弾性率(G’230)と280℃における貯蔵弾性率(G’280)の差(G’280−G’230)は好ましくは−2.1×10Pa以上、より好ましくは−1.9×10Pa以上、更に好ましくは−1.7×10Pa以上、より更に好ましくは−1.5×10Pa以上、特に好ましくは−1.3×10Pa以上、最も好ましくは−1.1×10Pa以上である。上記の差(G’280−G’230)が−2.1×10Pa以上であることは、高容量又は高密度な電池が短絡したときに、短絡部が例えば300℃近くまで昇温していく過程において、溶融した樹脂の流動性が急激に増加し難くなり、短絡部周辺にとどまり易くなるため、短絡面積の増加を防ぎ易くなると推測される。
190℃、230℃、280℃における貯蔵弾性率(G’)、及び/又は損失正接(tanδ)は、例えば、使用するポリオレフィン原料の選定、溶融混錬時の比エネルギー、溶融混錬時のポリマー濃度又は混錬温度、延伸時の歪速度等、各種の製造条件(例えば、表1に記載の製造条件)を制御することにより、上記で説明されたとおりに調整されることができる。
ポリオレフィン微多孔膜の溶融粘弾性を測定した場合と、ポリオレフィン微多孔膜の原料となるポリオレフィン樹脂の溶融粘弾性を測定した場合とでは、得られる値が異なる場合がある。また、原料となるポリオレフィン樹脂の溶融粘弾性を測定可能な手法でも、ポリオレフィン微多孔膜の溶融粘弾性を測定するのに好ましくない手法もある。そのため、本実施形態において、上記の貯蔵弾性率(G’)、及び損失正接(tanδ)はそれぞれ、実施例に記載の手法により測定される。
本実施形態では、原料となるポリオレフィン樹脂を対象とするのではなく、ポリオレフィン微多孔膜を対象として、その溶融粘弾性測定による各種パラメータを特定範囲内に制御している。これにより、電池内におけるセパレータの各種パラメータを特定範囲内に制御することができ、ひいては、内部短絡時に熱暴走を防止することができる。
また、熱機械分析(TMA)測定におけるMD、及びTDの最大荷重が共に3.0gf以下であることが好ましい。理論に拘束されることを望まないが、TMA測定におけるMD、及びTDの最大荷重が3.0gf以下であることにより、短絡部周辺のセパレータの熱収縮による短絡面積の増加を防ぎ易くなるので、内部短絡時に電池の熱暴走が起こり難くなると推定される。TMA測定における最大荷重はMD・TD共に好ましくは3.0gf以下、より好ましくは2.9gf以下、更に好ましくは2.8gf以下、より更に好ましくは2.7gf以下、特に好ましくは2.6gf以下、最も好ましくは2.5gf以下であり、好ましくは0.1gf以上である。TMA測定におけるMD、及びTDの最大荷重が共に0.1gf以上であることにより、内部短絡に伴う温度上昇時、セパレータの収縮応力による巻き締まりによりセルの形態が維持される。また、TMA測定におけるMDの最大荷重は2.5gf以下であることが好ましく、2.3gf以下であることがより好ましく、TDの最大荷重は2.0gf以下であることが好ましく、1.8gf以下であることがより好ましい。
また、TMA測定におけるMDの最大荷重とTDの最大荷重の合計が5.5gf以下であることが好ましい。理論に拘束されることを望まないが、TMA測定におけるMD、及びTDの最大荷重の合計が5.0gf以下であることにより、短絡部周辺のセパレータの熱収縮による短絡面積の増加を防ぎ易くなるので、内部短絡時に電池の熱暴走が起こり難くなると推定される。TMA測定におけるMDの最大荷重とTDの最大荷重の合計は好ましくは5.5gf以下、より好ましくは5.3gf以下、更に好ましくは5.1gf以下、より更に好ましくは4.9gf以下、特に好ましくは4.7gf以下、更に特に好ましくは4.5gf以下、4.2gf以下又は3.9gf以下、最も好ましくは1.0gf以上である。TMA測定におけるMDの最大荷重とTDの最大荷重の合計が1.0gf以上であることにより、内部短絡に伴う温度上昇時、セパレータの収縮応力による巻き締まりによりセルの形態が維持されると推測される。
また、TMA測定における、MD、及びTDにおける160℃での荷重(膜厚10μmあたりの荷重)は、好ましくは0.05gf以上、より好ましくは0.10gf以上、更に好ましくは0.15gf以上、より更に好ましくは0.20gf以上、最も好ましくは0.25gf以上、好ましくは1.0gf以下、より好ましくは0.7gf以下、更に好ましくは0.5gf以下である。MD、及びTDにおける160℃での荷重が0.05gf以上であることは、ポリオレフィン樹脂の溶融後も完全破膜し難く、形態を維持し易いことを示す。従って、TMA測定における、MD、及びTDにおける160℃での荷重が0.05gf以上であることにより、電池短絡による昇温により短絡部周辺が160℃前後に達しても微小破膜が起き難く、新たな短絡部発生による熱暴走を防ぎ易くなると推測される。また、TMA測定における、MD、及びTDにおける160℃での荷重が1.0gf以下であることにより、160℃以上の高温に達したときにそれ以上収縮し難くなるので、熱収縮による短絡を防止し易くなる。
また、TMA測定において、TDの最大荷重に対するMDの最大荷重の比率(MDの最大荷重/TDの最大荷重)は、好ましくは0.75以上1.5以下、より好ましくは0.80以上1.45以下、更に好ましくは0.85以上1.40以下、より更に好ましくは0.90以上1.35以下である。上記の比率(MDの最大荷重/TDの最大荷重)が0.75以上1.5以下であることにより、異方性による亀裂の発生による短絡面積の増加を抑制し易くなる。
TMA測定におけるMD、及びTDの最大荷重、及び160℃での荷重は、例えば、二軸延伸温度、二軸延伸倍率、熱固定時の緩和倍率、熱固定時の緩和歪速度、熱固定時の緩和温度の制御又はポリオレフィン原料の選定等、各種の製造条件(例えば、表1に記載の製造条件)により、上記で説明されたとおりに調整されることができる。これらのTMA測定は、実施例に記載の手法によって行われる。
また、昇温速度15℃/minで測定したシャットダウン温度が150℃以下であることが好ましい。昇温速度15℃/minで測定したシャットダウン温度が150℃以下であることにより、短絡時の急激な昇温のときに内部抵抗を瞬時に増大させることで熱暴走を抑制し易くなる。昇温速度15℃/minで測定したシャットダウン温度は、好ましくは150℃以下、より好ましくは149℃以下、更に好ましくは148℃以下、より更に好ましくは147℃以下、最も好ましくは146℃以下であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは133℃以上、更に好ましくは135℃以上、より更に好ましくは137℃以上、特に好ましくは139℃以上である。シャットダウン温度が130℃以上であることにより、低温での樹脂の溶融・流出による熱暴走を防止し易くなると推測できる。
昇温速度15℃/minで測定したシャットダウン温度は、例えば、使用するポリオレフィン原料の選定、溶融混錬時の比エネルギー、溶融混錬時のポリマー濃度又は混錬温度、延伸時の歪速度等、各種の製造条件(例えば、表1に記載の製造条件)を制御することにより、上記で説明されたとおりに調整されることができる。シャットダウン温度は、実施例に記載の手法により測定される。
ポリオレフィン微多孔膜の構成要素、及び好ましい実施形態について以下に説明する。
[構成要素]
ポリオレフィン微多孔膜としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を含む多孔膜、ポリオレフィン系の繊維の織物(織布)、ポリオレフィン系の繊維の不織布、紙、並びに、絶縁性物質粒子の集合体が挙げられる。これらの中でも、塗工工程を経て多層多孔膜、すなわち二次電池用セパレータを得る場合に塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚を従来のセパレータより薄くして、二次電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜(以下、「ポリオレフィン樹脂多孔膜」ともいう。)が好ましい。
ポリオレフィン樹脂多孔膜について説明する。
ポリオレフィン樹脂多孔膜は、二次電池用セパレータとして使用されたときのシャットダウン性能等を向上させる観点から、多孔膜を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される多孔膜であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂が占める割合は、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物に含有されるポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモ重合体、共重合体又は多段重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、ポリオレフィン樹脂多孔膜が二次電池用セパレータとして使用されたときのシャットダウン特性の観点から、ポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物が好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)、及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等が挙げられる。
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等が挙げられる。
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンラバー等が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂は、電池の熱暴走を初期段階で止めるという観点から、130℃から140℃までの範囲内に融点を持つポリエチレンを主成分とすることが好ましい。
本願明細書において、高分子量ポリエチレンとは、粘度平均分子量(Mv)が10万以上のポリエチレンを意味する。ポリエチレンについてMvは、ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を測定することで、次式にて算出することができる。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
一般的に、超高分子量ポリエチレンのMvは、100万以上であるため、仮にかかる定義に従えば、本願明細書における高分子量ポリエチレン(HMWPE)は、定義上、UHMWPEを包含する。また、かかる定義とは異なる定義に基づいて「超高分子量ポリエチレン」と称さるポリエチレンであっても、Mvが10万以上である場合には、本実施形態における高分子量ポリエチレンに該当する可能性がある。
本願明細書において、高密度ポリエチレンとは密度0.942〜0.970g/cm3のポリエチレンをいう。なお、本発明においてポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に記載のD)密度勾配管法に従って測定した値をいう。
ポリオレフィン樹脂多孔膜が二次電池用セパレータとして使用されたときに低融点かつ高強度の要求性能を満たす観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。更に、速やかなヒューズ挙動を発現する観点から、ポリオレフィン樹脂多孔膜の主成分がポリエチレンであることが好ましい。「ポリオレフィン樹脂多孔膜の主成分がポリエチレンである」とは、ポリオレフィン樹脂多孔膜の全質量に対して、50質量%を超えてポリエチレンを含むことを意味する。ポリオレフィン樹脂多孔膜の全質量に対して、ポリエチレンは、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは98質量%以上であり、100質量%であってもよい。
ポリオレフィン微多孔膜の原料として用いるポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量(以下、Mv)は、好ましくは5万以上500万未満、より好ましくは8万以上200万未満、更に好ましくは10万以上100万未満である。粘度平均分子量が5万以上であると、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にあるため好ましい。更に、二次電池用セパレータとしたときに、粘度平均分子量が500万未満であると、温度上昇時に孔を閉塞し易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜の原料として、複数のポリオレフィン原料を混合して用いてよい。複数のポリオレフィンン原料を混合して用いる場合、中でも、Mvが10万以上30万以下のポリエチレンとMvが50万以上100万未満のポリエチレンを含むことが好ましい。Mvが10万以上30万以下のポリエチレンを含むことにより、溶融混錬時に粘度が上がりすぎることなく、ポリオレフィンの分子量劣化を抑制することができ、延伸時に過度な残留応力が残らず、熱収縮が小さくなる傾向にある。また、温度上昇時に孔を閉塞し易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にある。更に、ポリオレフィン微多孔膜が溶融したときに粘性が生じ易くなるため、電池の短絡後の溶融時に適度に電極に適度に侵入してアンカー効果を発現し易くなり、熱収縮を抑えて短絡面積の増加を抑制し易くなると推測される。Mvが50万以上100万未満のポリエチレンを含むことにより、溶融混錬時に応力が大きくなり、樹脂を均一に混錬することが可能になる。また、ポリオレフィン微多孔膜が重合体同士の絡み合いを発現するため、高強度となる傾向にあると共に、ポリオレフィン微多孔膜が溶融し300℃近くの高温に達したときに粘度が下がり過ぎることなく、樹脂が流出せずにその場にとどまり易くなるため、熱暴走を抑制し易くなると推測される。
ポリオレフィン微多孔膜の原料として用いられるMvが10万以上30万以下のポリエチレンの割合は、ポリオレフィン原料の総量を100質量%として好ましくは10質量%以上40質量%以下、より好ましくは12質量%以上38%質量以下、更に好ましくは14質量%以上36質量%以下、より更に好ましくは16質量%以上34質量%以下、最も好ましくは18質量%以上32質量%以下(又は18質量%以上30質量%未満)である。Mvが10万以上30万以下のポリエチレンの割合が10質量%以上であることにより、良好なシャットダウン特性、熱収縮抑制効果、高温に達したときに適度な粘性を持つことによる短絡面積の増加抑制効果を得ることができる傾向にある。Mvが10万以上30万以下のポリエチレンの割合が40質量%以下であることにより、溶融混錬時に重合体同士の絡み合いを発現することができる傾向にある。また、ポリオレフィン微多孔膜が高温に達したときに溶融した樹脂の流動性が大きくなり過ぎず、樹脂の流出による電極の露出による熱暴走を回避することができる傾向にある。
ポリオレフィン微多孔膜の原料として用いられるMvが50万以上100万未満のポリエチレンの割合は、ポリオレフィン原料の総量を100質量%として好ましくは40質量%以上90質量%以下、より好ましくは45質量%以上85%質量以下、更に好ましくは50質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは55質量%以上75質量%以下であり、最も好ましくは62質量%以上73質量%以下である。Mvが50万以上100万未満のポリエチレンの割合が40質量%以上であることにより、ポリオレフィン微多孔膜の高強度化、高温に達したときに樹脂が流出せずに熱暴走を抑制する効果を得ることができる傾向にある。Mvが50万以上100万未満のポリエチレンの割合が90質量%以下であることにより、延伸時に過度な残留応力が残らず、熱収縮が小さくなる傾向にある。また、温度上昇時に孔を閉塞し易く、良好なシャットダウン機能が得られる傾向にあると同時に、ポリオレフィン微多孔膜が溶融したときに粘性が生じるため、電池の短絡後の溶融時に適度に電極に侵入してアンカー効果を発現し、熱収縮を抑えて短絡面積の増加を抑制し易くなると推測される。
ポリオレフィン微多孔膜の原料としてMvが100万以上の超高分子量ポリエチレンを含む場合、ポリオレフィン原料の総量を100質量%として、好ましくは20質量%未満、より好ましくは15質量%未満、更に好ましくは10質量%未満、より更に好ましくは7質量%未満又は5質量%未満、最も好ましくは、Mvが100万以上の超高分子量ポリエチレンを含まない。Mvが100万以上の超高分子量ポリエチレンの割合が20質量%未満であることにより、溶融混錬時の過度な絡み合いによる重合体の分子量劣化を抑制することができる傾向にある。また、ポリオレフィン微多孔膜の残留応力を抑制できると共に、溶融時に適度に電極に侵入してアンカー効果を発現し易くなるため、電池短絡後高温に達したときに短絡面積の増加を抑制し易くなると推測される。
ポリオレフィン微多孔膜の原料として低密度ポリエチレンを含む場合、ポリオレフィン原料の総量を100質量%として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下又は5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下(又は3質量%未満、更には1質量%未満)、最も好ましくは、低密度ポリエチレンを含まない。低密度ポリエチレンの割合が10質量%以下であることにより、ポリオレフィン微多孔膜が150℃前後の高温に達したときに容易に破膜し辛くなり、300℃近い高温に達したときに溶融した樹脂の流動性が大きくなり過ぎず、樹脂の流出による電極の露出による熱暴走を回避することができる傾向にある。同様の理由からMvが5万未満の低分子量ポリエチレンは、本発明における作用効果の発揮を著しく阻害しない範囲内であれば含んでもよく、その含有量は例えば低密度ポリエチレンの場合と同様である。そして、Mvが5万未満の低分子量ポリエチレンは含まないことが好ましい。
また、多孔膜の耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン、及びポリプロピレンの混合物を用いてもよい。ポリオレフィン微多孔膜の原料として用いられるポリプロピレンの割合は、ポリオレフィン原料の総量を100質量%として、好ましくは1質量%以上10質量%以下、より好ましくは3質量%以上10質量%以下、更に好ましくは4質量%以上(又は4質量%超え)9質量%以下、より更に好ましくは5質量%以上8質量%以下であり、最も好ましくは5質量%を超え8質量%未満である。
すなわち、ポリプロピレンの割合は、膜を構成する樹脂成分中のポリオレフィン樹脂の総量を100質量%として、好ましくは1質量%以上10質量%以下、より好ましくは3質量%以上10質量%以下、更に好ましくは4質量%以上(又は4質量%超え)9質量%以下、より更に好ましくは5質量%以上8質量%以下であり、最も好ましくは5質量%を超え8質量%未満である。
ポリプロピレンの割合が1質量%以上であることにより、ポリオレフィン微多孔膜が150℃前後の高温に達したときに容易に破膜し辛くなり、電池短絡時の初期に微小なピンホールが生じ難くなる。ポリプロピレンの割合が10質量%以下であることにより、300℃近い高温に達したときに溶融した樹脂の流動性が大きくなり過ぎず、樹脂の流出又は電極への過度な染み込みによる電極の露出による熱暴走を回避し易くなる。
ポリオレフィン微多孔膜の原料として用いられるポリプロピレンのMvは好ましくは20万以上100万以下、より好ましくは25万以上90万以下、更に好ましくは30万以上80万以下である。理論に拘束されることを望まないが、ポリプロピレンのMvが20万以上であることにより、溶融混錬時に重合体同士の絡み合いが強くなることでポリエチレン中に均一にポリプロピレンが分散され、ポリプロピレンの耐熱性を効果的に発現できると推測される。また、ポリオレフィン微多孔膜が300℃近い高温に達したときにも粘度が上がりすぎないため好ましい。ポリプロピレンのMvが100万以下であることにより、溶融混錬時の過度な絡み合いによる重合体の分子量劣化を抑制し易くなる。また、ポリオレフィン微多孔膜の残留応力を抑制し易くなる。
ポリプロピレンのMvは、ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を測定することで、次式に従って算出することができる。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
ポリオレフィン微多孔膜の原料として用いられるポリプロピレンとしては、耐熱性と高温での溶融粘度を高めるという観点からホモポリマーであることが好ましい。中でも、アイソタクティックポリプロピレンが好ましい。アイソタクティックポリプロピレンの量は、ポリオレフィン微多孔膜全体のポリプロピレンの総質量に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは100質量%(全て)である。アイソタクティックポリプロピレンが90質量%以上であることにより、短絡時の昇温による微多孔膜の更なる溶融を抑制することができる。また、アイソタクティックポリプロピレンは結晶性が高いため、可塑剤との相分離が進行し易くなり、多孔性が良好で透過性の高い膜が得られる傾向にある。そのため、出力又はサイクル特性に好ましい影響を与えることができる。更に、ホモポリマーは非晶部が少ないため、融点以下の熱がかかったとき又は残留応力によって非晶部が収縮したときにおける熱収縮の増加を抑制することができ、また、短絡初期にセパレータの温度が100℃前後に達したときに非晶部の収縮によって短絡面積が増加するという問題を抑制し易くなる。
ポリオレフィン原料に含まれてもよいポリオレフィン樹脂、及びその含有量は、上記の説明に限定されない。従って、ポリオレフィン原料は、本発明における作用効果の発揮を著しく阻害しない範囲内であれば、上記で説明したのと異なるポリオレフィン樹脂を含んでもよいし、また、上記で説明したのと異なる含有量とされてもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量%に対して、20質量%以下であることがシャットダウン性能等を向上させる観点から好ましく、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
ポリオレフィン樹脂多孔膜の物性又は原料特性の観点から、ポリオレフィン原料は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(分子量分布:Mw/Mn)が1.0以上15.0以下であることが好ましく、3.0以上12.0以下であることがより好ましく、5.0以上9.0以下であることが更に好ましい。上記の重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、実施例に記載の手法により測定される。
<その他の性質>
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、膜厚1μmあたりの突刺強度(gf/μm)が好ましくは17gf/μm以上、より好ましくは18gf/μm以上、更に好ましくは19gf/μm以上であり、好ましくは60gf/μm以下、より好ましくは50gf/μm以下、更に好ましくは40gf/μm以下、より更に好ましくは35gf/μm以下、最も好ましくは30gf/μm以下である。突刺強度が17gf/μm以上であることによりポリオレフィン微多孔膜を用いた電池を作製するときに、電極表面の凹凸に接触したときの微小な薄膜化又は破膜を防ぐことができ、微短絡による電池不良を抑制することができる。突刺強度が60gf/μm以下であることにより、電池の収縮応力を抑制することができる。上記の突刺強度(gf/μm)は、実施例に記載の手法により測定される。
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、透気度(sec/100cm)が好ましくは30sec/100cm以上、より好ましくは40sec/100cm以上、更に好ましくは50sec/100cm以上、より更に好ましくは60sec/100cm以上であり、好ましくは500sec/100cm以下、より好ましくは400sec/100cm以下、更に好ましくは300sec/100cm以下、より更に好ましくは200sec/100cm以下、最も好ましくは100sec/100cm以下である。透気度が30sec/100cm以上であることにより、自己放電を抑制することができる。透気度が500sec/100cm以下であることにより、電池の出力を担保することができる。上記の透気度(sec/100cm)は、実施例に記載の手法により測定される。
<引張破断強度、及び引張伸度>
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、MD、及びTDの引張破断強度が好ましくは0.1kgf以上2.0kgf以下、より好ましくは0.3kgf以上1.7kgf以下、更に好ましくは0.5kgf以上1.5kgf以下、最も好ましくは0.7kgf以上1.3kgf以下である。MD、及びTDの引張破断強度が0.1kgf以上であると、電池が外力により変形したとき等にセパレータが破膜する可能性を低減することができる。MD、及びTDの引張破断強度が2.0kgf以下であると、残留応力を低くすることができ、熱収縮の抑制により短絡面積の増加を防ぎ易くなるため好ましい。上記の引張破断強度(kgf)は、実施例に記載の手法により測定される。
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、MD、及びTDの引張伸度が好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは60%以上である。MD、及びTDの引張伸度が30%以上であると、電池が外力により変形したとき等にセパレータが破断する可能性を低減することができる。また、微小な異物が存在した状態でポリオレフィン微多孔膜と電極とを積層したときに生じる微小区間においてポリオレフィン微多孔膜が歪を受け、ピンホールが発生して、微短絡による電池不良を起こす可能性を低減することができる。上記の引張伸度(%)は、実施例に記載の手法により測定される。
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、TDの引張伸度に対するMDの引張破断伸度の比率(MDの引張伸度/TDの引張伸度)が好ましくは0.70以上1.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.75以上1.45以下、更に好ましくは0.80以上1.40以下、より更に好ましくは0.85以上1.35以下である。TDの引張伸度に対するMDの引張伸度の比率が0.70以上1.5以下であることにより、低収縮応力を特徴とする微多孔膜で懸念される微小異物が存在するときの異方性による亀裂の発生を抑制することができる。
ポリオレフィン微多孔膜の厚みは、好ましくは0.5μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上50μm以下、更に好ましくは3μm以上25μm以下、より更に好ましくは4μm以上15μm以下、特に好ましくは5μm以上12μm以下、最も好ましくは8μm以上11μm以下である。ポリオレフィン微多孔膜の厚みは、機械的強度、及び短絡時の絶縁性保持の観点から0.1μm以上であることが好ましく、LIBの高容量化の観点から100μm以下であることが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜全体の厚みは、例えば、ダイリップ間隔、延伸工程における延伸倍率等を制御することによって調整することができる。
ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.03μm以上、より更に好ましくは0.04μm以上、特に好ましくは0.045μm以上、最も好ましくは0.050μm以上であり、好ましくは0.70μm以下、より好ましくは0.20μm以下、更に好ましくは0.15μm以下、より更に好ましくは0.10μm以下、特に好ましくは0.08μm以下、最も好ましくは0.065μm以下である。平均孔径が0.01μm以上であることにより、良好なイオン電導性を持つため好ましい。平均孔径が0.70μm以下であることにより、電池内副生成物による目詰まりによるサイクル特性の低下又は自己放電を防止できる観点から望ましい。平均孔径は、ポリオレフィンの組成比、二軸延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、及び熱固定時の緩和率を制御すること、並びにこれらを組み合わせることにより調整することができる。上記の平均孔径(μm)は、実施例に記載の手法により測定される。
ポリオレフィン微多孔膜の最大孔径は、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.03μm以上、更に好ましくは0.04μm以上、より更に好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.06μm以上、更に特に好ましくは0.065μm以上、最も好ましくは0.070μm以上であり、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.30μm以下、更に好ましくは0.20μm以下、より更に好ましくは0.15μm以下、特に好ましくは0.10μm以下、更に特に好ましくは0.090μm以下、最も好ましくは0.080μm以下である。最大孔径が0.02μm以上であることにより、良好なイオン電導性とサイクル特性を持つため好ましい。最大孔径が1.00μm以下であることにより、電池内副生成物による目詰まりによるサイクル特性の低下又は自己放電を防止できる観点から望ましい。上記の最大孔径(μm)は、実施例に記載の手法により測定される。
ポリオレフィン微多孔膜の最大孔径と平均孔径の差(最大孔径−平均孔径)は、良好なサイクル特性の観点から、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.003μm以上、更に好ましくは0.005μm以上、より更に好ましくは0.008μm以上、特に好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.05μm以下、より更に好ましくは0.03μm以下、特に好ましくは0.02μm以下である。最大孔径と平均孔径の差が上記範囲にあることにより、リチウムイオン濃度の偏析が起こり辛くなり、サイクル特性が良好になると推測される。
ポリオレフィン微多孔膜の気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましくは30%以上65%以下、更に好ましくは35%以上55%以下、最も好ましくは40%以上50%以下である。ポリオレフィン微多孔膜の気孔率は、イオン伝導性向上の観点から25%以上であることが好ましく、耐電圧特性の観点から95%以下であることが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の気孔率は、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、二軸延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、及び熱固定時の緩和率を制御すること、並びにこれらを組み合わせることによって調整することができる。上記の気孔率は、実施例に記載の手法により測定される。
≪ポリオレフィン微多孔膜の製造方法≫
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、特に制限はなく、既知の製造方法を採用することができる。例えば、以下の方法:
(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、必要に応じて延伸した後、孔形成材を抽出することにより多孔化させる方法;
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法;
(3)ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形した後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法;
(4)ポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させてポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法
等が挙げられる。
以下、ポリオレフィン微多孔膜を製造する方法の一例として、上記(1)ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材とを溶融混練してシート状に成形後、孔形成材を抽出する方法を説明する。
まず、ポリオレフィン樹脂組成物と孔形成材を溶融混練する。溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、及び必要によりその他の添加剤を押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入することで、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で孔形成材を導入して混練する方法が挙げられる。
孔形成材としては、可塑剤、無機材又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
可塑剤としては、特に限定されないが、ポリオレフィンの融点以上において均一溶液を形成し得る不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒の具体例としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。なお、これらの可塑剤は、抽出後、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。更に、好ましくは、樹脂混練装置に投入する前に、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤、及び可塑剤を、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練する。より好ましくは、事前混練においては、使用される可塑剤の一部分を投入し、残りの可塑剤は、樹脂混練装置に適宜加温しサイドフィードしながら混練する。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸するときに、破膜することなく高倍率で延伸することができる傾向にある。
可塑剤の中でも、流動パラフィンは、ポリオレフィン樹脂がポリエチレン又はポリプロピレンの場合に、これらとの相溶性が高く、溶融混練物を延伸しても樹脂と可塑剤の界面剥離が起こり難く、均一な延伸が実施し易くなる傾向にあるため好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とから成る組成物中に占めるポリオレフィン原料の質量分率は、好ましくは18質量%以上35質量%未満、より好ましくは20質量%以上33質量%未満、更に好ましくは22質量%以上31質量%未満である。ポリオレフィン原料の質量分率が35質量%未満であると、混錬時のエネルギーが上がり過ぎないため、重合体同士の過度な絡み合いによる分子量の劣化を抑制することができるため、ポリオレフィン微多孔膜の特性を損なうことがない。一方、ポリオレフィン原料の質量分率が18質量%以上であると、溶融混錬時に十分なエネルギーを与えることができ、重合体同士の絡み合いにより均一に混錬されるため、ポリオレフィン原料と可塑剤との混合物を高倍率で延伸した場合でもポリオレフィン分子鎖の絡み合いの解れが起こらず、均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度も増加し易い。
孔形成材とポリオレフィン原料の溶融混錬を行う場合には、ポリオレフィン原料と孔形成材の混錬時の比エネルギーが0.10kW・h/kg以上0.40kW・h/kg以下であることが好ましく、0.12kW・h/kg以上0.35kW・h/kg以下がより好ましく、0.14kW・h/kg以上0.30kW・h/kg以下が更に好ましい。比エネルギーは孔形成材とポリオレフィン原料の溶融混錬時にかかる押出機のスクリューの動力P(kW)を孔形成材とポリオレフィン原料の単位時間当たりの押出量Q(kg/h)で除した値である。押出機のスクリューの動力P(kW)は押出時にスクリューにかかるトルクをT(N・m)、スクリュー回転数をN(rpm)とし、下記式から求めることができる。
P=T×N/9550
比エネルギーが0.10kW・h/kg以上であることにより、重合体同士の絡み合いを促進し、異なるポリオレフィン原料を均一に混錬することで孔径が均一で強度の高いポリオレフィン微多孔膜を得ることができる傾向にある。また、ポリオレフィン微多孔膜が溶融したときに重合体同士の絡み合いにより急激な粘度低下を抑制することができると推測される。比エネルギーが0.40kW・h/kg以下であることにより、過度な混錬による重合体の開裂又は分解による分子量劣化又は酸化劣化を抑制し、ポリオレフィン微多孔膜が溶融し、高温に達したときの粘度低下を抑制し易くなると推測される。
押出機により孔形成材とポリオレフィン原料の溶融混錬を行う場合には、溶融混錬区間の温度(混錬温度)は、溶融混錬時の比エネルギー又はポリオレフィン微多孔膜の膜強度、孔径均一性の観点から好ましくは140℃以上200℃未満、より好ましくは150℃以上190℃未満である。
押出機により孔形成材とポリオレフィン原料の溶融混練を行う場合には、ポリオレフィン原料と孔形成材の単位時間当たりの押出量(すなわち、押出機の吐出量Q:kg/時間)と押出機のスクリュー回転数N(rpm)との比(Q/N、単位:kg/(h・rpm))は、溶融混錬時の比エネルギー又はポリオレフィン微多孔膜の膜強度、孔径均一性の観点から好ましくは2.2以上7.8以下、より好ましくは2.5以上7.5以下、更に好ましくは2.8以上7.2以下、より更に好ましくは3.1以上6.9以下である。
次に、溶融混練物をシート状に成形する。シート状成形体を製造する方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出し、熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。冷却固化に用いられる熱伝導体としては、金属、水、空気、可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導の効率が高いため、金属製のロールを用いることが好ましい。また、押出した混練物を金属製のロールに接触させるときに、少なくとも一対のロールで挟み込むことは、熱伝導の効率が更に高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性も向上する傾向にあるため、より好ましい。溶融混練物をTダイからシート状に押出すときのダイリップ間隔は、200μm以上3,000μm以下であることが好ましく、500μm以上2,500μm以下であることがより好ましい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジ又は欠点等の膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において、膜破断等のリスクを低減することができる。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く、冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる。
また、シート状成形体を圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法により実施することができる。シート状成形体に圧延を施すことにより、特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍を超えて3倍以下であることが好ましく、1倍を超えて2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍を超えると、面配向が増加し、最終的に得られる多孔膜の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にある。
(延伸)
シート状成形体又は多孔膜が延伸される延伸工程は、シート状成形体から孔形成材を抽出する工程(孔形成工程)の前に行ってよいし、シート状成形体から孔形成材を抽出した多孔膜に対して行ってもよい。更に、延伸工程は、シート状成形体からの孔形成材の抽出の前と後に行ってもよい。
延伸処理としては、一軸延伸又は二軸延伸のいずれも好適に用いることができるが、得られる多孔膜の強度等を向上させる観点から二軸延伸が好ましい。また、得られた多孔膜の熱収縮性の観点から、少なくとも2回の延伸工程を行うことが好ましい。
シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、最終的に得られる多孔膜が裂け難くなり、高い突刺強度を有するものとなる。延伸方法としては、例えば、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、多数回延伸等の方法を挙げることができる。孔径の均一性、延伸の均一性、シャットダウン性の観点からは、同時二軸延伸が好ましい。
ここで、同時二軸延伸とは、MD(微多孔膜連続成形の機械方向)の延伸とTD(微多孔膜のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD、及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている状態とする。
延伸倍率は、面倍率で28倍以上100倍未満の範囲であることが好ましく、32倍以上70倍以下の範囲であることがより好ましく、36倍以上50倍以下であることが更に好ましい。各軸方向の延伸倍率は、MDに4倍以上10倍未満、TDに4倍以上10倍未満の範囲であることが好ましく、MDに5倍以上9倍未満、TDに5倍以上9倍未満の範囲であることがより好ましく、MDに5.5倍以上8.5倍未満、TDに5.5倍以上8.5倍未満の範囲であることが更に好ましい。総面積倍率が28倍以上であると、得られるポリオレフィン微多孔膜の強度が高まると共に孔径が小さくなり過ぎないため、サイクル特性に優れる。一方、総面積倍率が100倍以下であると、残留応力が大きくなり過ぎないため過度な熱収縮を防ぐことができ、破断伸度の低下を防ぐことができ、過度な大孔径化又は孔径の不均一化を防ぐことができる。
シート状成形体又は多孔膜の同時二軸又は逐次二軸延伸においては、MD、及びTDの延伸歪速度は好ましくは20%/sec以上70%/sec以下、より好ましくは23%/sec以上67%/sec以下、更に好ましくは26%/sec以上64%/sec以下、より更に好ましくは29%/sec以上61%/sec以下、最も好ましくは32%/sec以上58%/sec以下である。理論に拘束されることを望まないが、MD、及びTDの延伸歪速度が20%/sec以上であることにより、シート状成型体中の重合体同士の絡み合いが保持された状態で延伸されるため、ポリオレフィン微多孔膜が高強度で孔径が均一になり、溶融して高温に達しても粘度の低下を抑制することができると推測される。MD、及びTDの延伸歪速度が70%/sec以下であることにより、得られるポリオレフィン微多孔膜の残留応力が低下し、低熱収縮化できる傾向にあるため好ましい。
上記シート状成型体又はポリオレフィン微多孔膜の延伸時の温度は、120℃を超えることが好ましく、122℃を超えることがより好ましい。また、延伸時の温度は、131℃以下であることが好ましく、129℃であることがより好ましい。延伸時の温度、特に二軸延伸時の温度が120℃を超えることにより、過度な残留応力による熱収縮の増加を抑制することができる。延伸時の温度、特に二軸延伸時の温度が131℃以下であることにより、ポリオレフィン微多孔膜に十分な強度を与えることができると共に、膜表面の溶融による孔径分布の乱れを防ぎ、電池の充放電を繰り返したときのサイクル性能を担保することができる。
ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮を抑制するために、延伸工程後又はポリオレフィン微多孔膜形成後に熱処理を行い、熱固定することもできる。
熱収縮を抑制する観点から、ポリオレフィン微多孔膜に熱固定を施すことが好ましい。熱固定の方法としては、物性の調整を目的として、所定の温度雰囲気、及び所定の延伸率で行う延伸操作、及び/又は延伸応力低減を目的として、所定の温度雰囲気、及び所定の緩和率で行う緩和操作が挙げられる。延伸操作を行った後に緩和操作を行っても構わない。これらの熱固定は、テンター又はロール延伸機を用いて行うことができる。
より高強度かつ高気孔率なポリオレフィン微多孔膜を得る観点から、延伸操作の倍率は、膜のMD、及び/又はTDに、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.4倍超えであり、好ましくは2.3倍未満、より好ましくは2.0倍未満である。また、熱固定時にMDとTD両方に延伸を施す場合には、MDとTDの延伸倍率の積は好ましくは3.5倍未満、より好ましくは3.0倍未満である。熱固定時のMD、及び/又はTDの延伸倍率が1.1倍以上であることにより、高気孔率化と低熱収縮化の効果を得ることができ、2.3倍以下であることにより過度な大孔径化又は引張伸度の低下を防ぐことができる。熱処理時のMDとTDの延伸倍率の積が3.5倍未満であることにより、熱収縮の増加を抑制することができる。
この可塑剤抽出後の熱固定時の延伸操作は、好ましくはTDに行う。延伸操作における温度は、透過性を維持したままTMA応力を抑制し、孔径均一性を保つ観点から110℃以上140℃以下であることが好ましい。
熱固定時の緩和操作は、膜のMD、及び/又はTDへの縮小操作のことである。所定の条件範囲で緩和操作を行うことにより、溶融後の温度上昇に伴う応力低下を緩やかにすることができ、160℃付近でも容易に破膜しないポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。緩和率とは、緩和操作後の膜の寸法を緩和操作前の膜の寸法で除した値のことである。なお、MD、TD双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値のことである。緩和率は、好ましくは1.0未満、より好ましくは0.97未満、更に好ましくは0.95未満であり、より更に好ましくは0.90未満、最も好ましくは0.85未満である。緩和率は膜品位の観点から、0.4以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。緩和時の歪速度の絶対値は1.0%/sec以上9.0%/sec以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%/sec以上8.5%/sec以下、更に好ましくは2.0%/sec以上8.0%/sec以下、より更に好ましくは2.5%/sec以上7.5%/sec以下、最も好ましくは3.0%/sec以上7.0%/sec以下である。緩和操作は、MD、TD双方で行ってもよいが、MD又はTDのいずれか一方にのみ行ってもよい。上記倍率、及び歪速度での延伸と緩和を行うことで、MD、及び/又はTDの熱収縮を適正な範囲に制御することができる。
この可塑剤抽出後の熱固定時の緩和操作は、好ましくはTDに行う。緩和操作における温度は、TMA応力の抑制と孔径均一性を保つ観点から、125℃以上135℃以下であることが好ましい。
以下、実施例、及び比較例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、及び比較例に限定されるものではない。
<ポリオレフィン微多孔膜の溶融粘弾性測定>
・試料の調製
溶融粘弾性測定の試料は以下の方法で作製した。ポリオレフィン微多孔膜を総厚み約5mmになるように複数枚重ね、プレス機を用いて25℃、10MPaで2分間プレスし、微多孔膜間の空気を可能な限り除き、ポリオレフィン微多孔膜の積層体を得た。ポリオレフィン微多孔膜の積層体を厚み1.0mm、10cm四方のシート成型用SUS枠(厚み1.0mm)に配置し、プレス機を用いて0.1MPa、200℃で2分間予熱した後、10MPa、200℃で2分間プレスした。その後、1.0mmのSUS枠に配置したまま10MPa、25℃で2分間プレスし、冷却固化させ約1.0mm、面積約100cmのポリオレフィンシートを得た。得られたポリオレフィンシートから気泡を含まない箇所を選び、25mmφの円形型抜き器を用いて打ち抜き、直径25mmφ、厚み約1.0mmの溶融粘弾性測定試料を得た。実施例1においては、約500枚の5cm四方のポリオレフィン微多孔膜を重ね、プレス機を用いて溶融粘弾性測定用試料を得た。
・溶融粘弾性測定
貯蔵弾性率(G’)、損失正接(tanδ)は、Anton Paar社製のMCR302を用いて、試料室内に1m/hの窒素をフローしながら、以下の条件により求めた。
測定温度:初期温度170℃から300℃の範囲
昇温速度:3℃/min
固定治具:直径25mmのパラレルプレート
試料厚み:約1.0mm
ギャップ:可変式(初期値を約1.0mmに設定し、法線方向の荷重が±0.5Nの範囲に収まるように測定中に適宜自動調整)
測定角周波数:1.0Hz
せん断歪み:1.0%
<DSC測定>
ポリオレフィン原料の融点は示差走査熱量(DSC)測定装置「DSC−60」(島津製作所社製)を用いて求めた。10℃/minの速度で室温から200℃まで昇温(第一昇温過程)したのち、10℃/minで30℃まで降温(第一降温過程)したのち、再度200℃まで10℃/minの速度で昇温した際の第二昇温過程での吸熱ピークの極小点の温度をポリオレフィン原料の融点とした。得られた値の小数点以下第一位を四捨五入した値を、ポリオレフィン原料の融点とした。
<TMA測定(熱機械分析:Thermomechanical Analysis)>
ポリオレフィン微多孔膜のTMA測定は、島津製作所TMA50(商標)を使用し、専用プローブとして引張型を用いた。MD(TD)の値を測定する場合は、MD(TD)が15mm、幅3.0mmに切り出したサンプルを、チャック間距離が10mmとなるようにチャックに固定し、専用プローブにセットする。チャック間距離(TD)が10mmとなるようにチャックに固定し、専用プローブにセットした。初期荷重を0.0049N(0.5gf)とし、定長モードにて30℃より10℃/minの速度にてプローブを250℃まで昇温させた。250℃まで到達する間、1秒間隔で温度と荷重をサンプリングし、最大荷重値、及び160℃における荷重値を得た。
<シャットダウン特性>
厚さ10μmのニッケル箔を2枚(A、B)用意し、一方のニッケル箔Aをスライドガラス上に、縦10mm、横10mmの正方形部分を残して「テフロン(登録商標)」テープでマスキングすると共に固定する。
熱電対を繋いだセラミックスプレート上に、別のニッケル箔Bを載せ、この上に規定の電解液で3時間浸漬させた、測定試料の微多孔膜を置き、その上からニッケル箔を貼りつけたスライドガラスを載せ、更にシリコンゴムを載せる。
これをホットプレート上にセットした後、油圧プレス機にて1.5MPaの圧力をかけた状態で、15℃/minの速度で昇温した。
このときのインピーダンス変化を交流1V、1kHzの条件下で測定した。この測定において、インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度をシャットダウン温度とした。
なお、規定の電解液の組成比は以下の通りである。
溶媒の組成比(体積比):炭酸プロピレン/炭酸エチレン/γ−ブチルラクトン=1/1/2
電解液の組成比:上記溶媒にてLiBF4を1mol/リットルの濃度になるように溶かし、0.5質量%になるようにトリオクチルフォスフェイトを加えた。
ニッケル箔2Aとニッケル箔2Bとを、微多孔性フィルム1を挟むような形で重ね合わせ、更にその両側からガラス板3A、3Bによって2枚のニッケル箔を挟み込んだ。このとき、箔2Bの窓の部分と微多孔性フィルム1とが対向するように位置合わせした。2枚のガラス板3A、3Bは、市販のダブルクリップで挟むことにより固定した。熱電対5は「テフロン(登録商標)」テープでガラス板に固定した。
<引張試験>
引張試験機(島津オートグラフAG−A型)を用いてMD、及びTDの引張試験を行い、サンプル破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除し、MD、及びTDの引張破断強度(kg/cm)とした。測定条件は、温度;23±2℃、湿度:40%、サンプル形状;幅10mm×長さ100mm、チャック間距離;50mm、引張速度;200mm/minである。
引張伸度(%)は、破断に至るまでの伸び量(mm)をチャック間距離(50mm)で除して、100を乗じることにより求めた。
<粘度平均分子量(Mv)>
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンについては、次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
<ポリオレフィン原料のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)>
・試料の調製
ポリオレフィン原料を秤量し、濃度が1mg/mlになるように溶離液1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を加えた。高温溶解器を用いて、160℃で30分静置したのち、160℃で1時間揺動させ、試料がすべて溶解したことを目視で確認した。160℃のまま、0.5μmフィルターでろ過し、ろ液をGPC測定試料とした。
・GPC測定
GPC装置として、Agilent社製のPL−GPC220(商標)を用い、東ソー(株)製のTSKgel GMHHR−H(20) HT(商標)の30cmカラム2本を使用し、上記で調整したGPC測定試料500μlを測定機に注入し、160℃にてGPC測定を行った。
なお、標準物質として市販の分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成し、求められた各試料のポリスチレン換算の分子量分布データを得た。ポリエチレンの場合は、ポリスチレン換算の分子量分布データに0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)を乗じることにより、ポリエチレン換算の分子量分布データを取得した。ポリプロピレンの場合は、(ポリプロピレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=26.4/41.3)を乗じることにより、ポリプロピレン換算の分子量分布データを取得した。これにより、各試料の重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を得た。
<平均孔径(μm)>
ハーフドライ法に準拠し、パームポロメータ(Porous Materials,Inc.社:CFP−1500AE)を用い、平均孔径(μm)を測定した。浸液には同社製のパーフルオロポリエステル(商品名「Galwick」、表面張力15.6dyn/cm)を用いた。乾燥曲線、及び湿潤曲線について、印加圧力、及び空気透過量の測定を行い、得られた乾燥曲線の1/2の曲線と湿潤曲線とが交わる圧力PHD(Pa)から、次式により平均孔径dHD(μm)を求める。
dHD=2860×γ/PHD
<最大孔径(μm)>
バブルポイント法に準拠し、パームポロメータ(Porous Materials,Inc.社:CFP−1500AE)を用い、最大孔径(μm)を測定した。浸液には同社製のパーフルオロポリエステル(商品名「Galwick」、表面張力15.6dyn/cm)を用いた。湿潤曲線について、印可圧力、及び空気透過量の測定を昇圧モードで行い、得られた湿潤曲線における最初のバブルが発生した圧力PBP(Pa)から、次式により最大孔径dBP(μm)を求める。
dBP=2860×γ/PBP
<膜厚(μm)>
微小測厚器(東洋精機製 タイプKBM)を用いて、室温23℃、湿度40%の雰囲気下で測定した。端子径5mmφの端子を用い、44gfの荷重を印加して測定した。
<気孔率(%)>
10cm×10cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、それらと密度(g/cm)より、次式を用いて気孔率を計算した。
気孔率(%)=(体積−質量/密度)/体積×100
<透気度(sec/100cm)>
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計、G−B2(商標)を用いて温度23℃、湿度40%の雰囲気下でポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度を測定し透気度とした。
<突刺強度(gf)>
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで微多孔膜を固定した。次に固定された微多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、温度23℃、湿度40%の雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(gf)を得た。
≪実施例1≫
<ポリオレフィン微多孔膜の製造>
ポリオレフィン微多孔膜を、以下の手順で作製した。樹脂原料の組成は、1種類目のポリエチレンとして融点135℃、粘度平均分子量70万、分子量分布5.0のポリエチレン70質量部、及び2種類目のポリエチレンとして粘度平均分子量25万、分子量分布5.0のポリエチレン23質量部、ポリプロピレンとして、融点161℃、粘度平均分子量40万、分子量分布6.0のアイソタクティックポリプロピレン7質量部であった。前記樹脂組成に、酸化防止剤として、0.3質量部のテトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンを混合した。得られた各混合物を、二軸押出機にフィーダーを介して投入した。更に孔形成材として流動パラフィン(37.78℃における動粘度75.90cSt)を、樹脂原料+流動パラフィンの合計を100質量部として、流動パラフィンが71質量部となるようにサイドフィードで押出機に注入し、混錬温度が160℃、Q/Nが3.5kg/(h・rpm)、比エネルギーが0.21kWh/kgとなる条件で混練し、押出機先端に設置したTダイから押出した。押出後、ただちに30℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1.3mmのシートを成形した。このシートを同時二軸延伸機で125℃の条件でMDの歪速度が35%/sec、TDの歪速度が30%/secとなるように7×6倍に延伸した後、塩化メチレンに浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。その後、シートを乾燥し、テンター延伸機により120℃の条件で幅方向(TD)に1.9倍延伸した。その後、この延伸シートを128℃の条件で横延伸後の幅から0.85倍になるように歪速度−4.2%/secで幅方向(TD)に緩和する熱処理を行い、ポリオレフィン微多孔膜を得た。
≪実施例2〜23、及び比較例1〜14≫
実施例1の製造方法に準じて表1〜9に記載した条件で実施例2〜23、及び比較例1〜14のポリオレフィン微多孔膜を作製した。なお、原料組成について1種類目のポリエチレンをPE1、2種類目のポリエチレンをPE2、3種類目のポリエチレンをPE3、ポリプロピレンをPPと表した。なお、PE1〜PE3の表記は便宜的なものであり、本発明における原料の投入順序がPE1、PE2、及びPE3の順番に限定される趣旨ではない。
<釘刺し評価>
以下の手順a〜cにより、正極、負極、及び非水電解液を調整した。
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%、及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。このときの正極活物質塗布量は109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%、及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)、及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。このときの負極活物質塗布量は52g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
d.電池作製
上記a〜cで得られた正極、負極、及び非水電解液、並びに実施例1〜23で得られたセパレータを使用して、電流値1A(0.3C)、終止電池電圧4.2Vの条件で3時間定電流定電圧(CCCV)充電したサイズ100mm×60mm、容量3Ahのラミネート型二次電池を作製した。
e.釘刺し評価
ラミネート型二次電池を、温調可能な防爆ブース内の鉄板上に静置した。ラミネート型二次電池の中央部に、防爆ブース内の温度を40℃に設定し、直径3.0mmの鉄製釘を、2mm/secの速度で貫通させ、釘は貫通した状態で維持した。釘内部に、釘が貫通した後ラミネート電池内部の温度が測定できるように設置した熱電対の温度を測定し、最高到達温度、及び釘が内部に侵入してから200℃に達するまでの時間(sec)を以下のように評価した。
・最高到達温度
A:200℃以下
B:200℃より高く230℃以下
C:230℃より高く260℃以下
D:260℃より高く290℃以下
E:290℃より高く320℃以下
F:320℃より高い
G:発火又は発火の危険あり
・200℃到達時間
A:200℃に達しない
B:3.5秒以上
C:3.2秒以上3.5秒未満
D:2.9秒以上3.2秒未満
E:2.6秒以上2.9秒未満
F:2.3秒以上2.6秒未満
G:2.3秒未満
<サイクル試験>
実施例、及び比較例で得たセパレータをそれぞれ使用し、上記手順dで得られた簡易電池を用いて、以下の手順でサイクル特性の評価を行った。
(1)前処理
上記簡易電池を、1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を8時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧充電を3時間行い、更に1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後、4.2Vの定電圧充電を3時間行った。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表す。
(2)サイクル試験
上記前処理を行った電池を、温度25℃の条件下で、放電電流1Cで放電終止電圧3Vまで放電を行った後、充電電流1Cで充電終止電圧4.2Vまで充電を行った。これを1サイクルとして充放電を繰り返した。そして、初期容量(第1回目のサイクルにおける容量)に対する300サイクル後の容量保持率を用いて、以下の基準でサイクル特性を評価した。
(3)サイクル特性の評価基準
A:95%以上100%以下の容量保持率
B:90%以上95%未満の容量保持率
C:85%以上90%未満の容量保持率
D:80%以上85%未満の容量保持率
E:80%未満の容量保持率
実施例1〜23、及び比較例1〜14で得られたポリオレフィン微多孔膜を上記の評価方法に従って評価した。
実施例1〜23、及び比較例1〜14で得られた微多孔膜の物性、及びそれらを二次電池に組み込んだときの評価結果を表1〜9に示す。また、実施例1で得られた溶融粘弾性測定用試料について、貯蔵弾性率と損失正接の温度依存性の一例を図1に示す。
実施例1〜23では、比較例1〜14と異なり、最高到達温度、及び200℃到達時間の評価がいずれも「A」〜「D」の範囲内であることが確認された。従って、実施例1〜23では、比較例1〜14と比べて、熱暴走を抑制できることが分かった。しかも、実施例1〜23は、サイクル特性の評価が「A」〜「D」の範囲内でもあった。従って、1〜23では、良好なサイクル特性を担保できかつ熱暴走を抑制できることが分かった。

Claims (14)

  1. 溶融粘弾性測定において、230℃における損失正接(tanδ 230 )が0.35以上0.60未満であり、190℃における損失正接(tanδ 190 )が0.50以上0.75以下であり、190℃における損失正接(tanδ 190 )と230℃における損失正接(tanδ 230 )の差(tanδ 230 −tanδ 190 )が−0.05以下(前記差≦−0.05)であり、280℃における貯蔵弾性率(G’ 280 )が1.0×10 Pa以上1.8×10 Pa以下であり、かつ
    130℃から140℃までの範囲内に融点を持つポリエチレンを主成分とする、ポリオレフィン微多孔膜。
  2. TMA測定において、MD、及びTDの最大荷重が共に3.0gf以下である、請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  3. 溶融粘弾性測定において、230℃での貯蔵弾性率(G’ 230 )が5.0×10Pa以上である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  4. 溶融粘弾性測定において、190℃における貯蔵弾性率(G’190)と230℃における貯蔵弾性率(G’230)の差(G’230−G’190)が−1.0×10Pa以上(前記差≧−1.0×10Pa)である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  5. 溶融粘弾性測定において、230℃における貯蔵弾性率(G’230)と280℃における貯蔵弾性率(G’280)の差(G’280−G’230)が−2.1×10Pa以上(前記差≧−2.1×10Pa)である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  6. TMA測定において、MD、及びTDにおける160℃での荷重が共に0.10gf/10μm以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  7. 昇温速度15℃/minで測定したシャットダウン温度が150℃以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  8. ハーフドライ法で求められる平均孔径が0.05μm以上0.08μm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  9. バブルポイント法で求められる最大孔径とハーフドライ法で求められる平均孔径の差が0.01μm以上0.02μm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  10. 膜を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  11. 膜を構成する樹脂成分は、ポリエチレンとポリプロピレンとを含み、前記ポリプロピレンの割合は、前記樹脂成分中の前記ポリオレフィン樹脂の総量を100質量%として1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  12. 前記ポリオレフィン微多孔膜の透気度が、30sec/100cm 以上500sec/100cm 以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  13. 前記ポリオレフィン微多孔膜の膜厚1μmあたりの突刺強度(gf/μm)が、17gf/μm以上60gf/μm以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリオレフィン微多孔膜を含む電池用セパレータ。
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